説明

運搬用台車及び荷下ろし小運搬方法

【課題】トラックの積荷台から1人の作業員の手作業で運搬用台車へ荷下ろしを行える運搬用台車と荷下ろし小運搬方法を提供する。
【解決手段】車輪を備えた車台部11の後部支柱14に、荷台20の下辺枠部21の後部が上下方向への回転が可能に支持される。荷台20は、その下辺枠部21の前部に荷物Wの前囲い枠部22を備え、荷台20の下辺枠部21と車台部11又は支柱14との間に、荷台20の回転動作を緩衝する手段30が設置されている。荷台20の下辺枠部21の後端部に、トラックの積荷台101と連結する連結手段40又は42が設けられている。車台部11に、運搬用台車1を路面上へ位置決め固定する位置決め手段50、51が設けられ、荷台20の下辺枠部21を水平姿勢に止めるストッパ手段18、及び下方へ回転した前囲い枠部22を一定位置に止めるストッパ手段19が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トラックに積んだ板ガラス製品の梱包体やガラス板張り建具などの積荷を立てた姿勢のまま、同トラックの積荷台から1人の作業員の手作業で運搬用台車へ荷下ろししてそのまま運搬用台車で小運搬することに至便の運搬用台車、及び荷下ろし小運搬方法の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
トラック輸送の分野では基本的に運転手一人で荷物の積み下ろし作業まで行うことが多くなっている。したがって、一人作業に適する運搬用台車が種々開発され、使用されている。
しかし、素手の力で持ち運ぶことが難しいガラス製品の梱包体やガラス板張り建具のような積荷を立てた姿勢のまま、トラックの積荷台から下ろし、運搬用台車へ積んで指定された場所へ小運搬する仕事に適する運搬用台車は未だ見当たらない。
因みに、ガラス板張り建て具は、縦×横の寸法が2.4m×3m、厚さ150mm、重量は80Kgもある。このような大型・大重量板状物をトラックで積み出す製造工場などには、通例、フォークリフト車の用意があるので、それを利用してトラックの積荷台へ積み込む作業は一人でも容易に行える。しかし、前記積荷を下ろす場所には、たいていフォークリフト車の用意が無いし、フォークリフト車をトラックへ積んで持ち回ることもできない。よって、運転手一人の力作業で前記積荷の荷下ろし作業を行うほかないので、作業は困難をきわめる。
もっとも、車載クレーン搭載車で納品することも多くなっている。しかし、車載クレーン搭載車を使用する場合は、車載クレーンを搭載した分だけ積荷台が狭くなっており、積載量が減って運搬コストが増大する問題点もある。
【0003】
先行技術として、下記の特許文献1に記載された「運搬機」は、高圧ガスボンベのような円柱形状の重量物を寝かせた姿勢でトラック等の積荷台へ積み込み、又は同積荷台から下ろして小運搬する仕事に便利な構成である。
特許文献2に記載された「板ガラス搬送装置」は、大型・大重量の板ガラスを立てた姿勢で水平運搬することに適した構成である。
また、特許文献3に記載された「パレット積載用台車」も、同様にガラス板を立てた姿勢のまま鉄製のパレット(梱包容器)内へ複数枚積層した大型・大重量板状物を、立てた姿勢で水平運搬することに適した構成である。
しかし、上記引用文献2、3の運搬車は、ともにガラス板等を立てた姿勢で水平運搬する用途を有するのみで、ガラス板等を立てた荷姿のままトラックの積荷台から一人作業で下ろして台車へ積む方法や手段については一切開示がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平7−115640号公報
【特許文献2】特開2003−212031号公報
【特許文献3】特開2006−168444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のとおり、既往の各先行技術文献1〜3は、それぞれ対象とする積載する荷物の形状や運搬目的に適応する構成の運搬用台車を開示しているにすぎない。
しかし、本願発明が対象とする大型・大重量の板状物を立てた姿勢のまま、トラックの積荷台から、1人の作業員の手作業で荷下ろしができる運搬用台車及び運搬用台車へ荷下ろしする方法については、一切開示も示唆もない。
【0006】
本発明の目的は、トラックの積荷である大型・大重量の板状物を、立てた姿勢のまま、積荷台から、1人の作業員の手作業で運搬用台車へ荷下ろしすることが容易に可能で、台車上へ下ろした積荷は、そのまま安定な積載状態で、手押し台車の操作で運搬して目的の場所へ小運搬することに適し、指定の場所へ立ち姿のまま下ろして置く作業に適する構成の運搬用台車、及び前記トラックの積載荷物を運搬用台車へ荷下ろしする方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する手段として、請求項1に記載した発明に係る運搬用台車は、
車輪12、13を備えた車台部11の後部に支柱14が立てられ、同支柱14に、荷台20の下辺枠部21の後部が上下方向への回転が可能に支持され、
前記荷台20は、その下辺枠部21の前部に荷物Wの前囲い枠部22を備えており、
前記荷台20の下辺枠部21と、前記車台部11又は支柱14との間に、荷台20の前記回転動作を緩衝する手段30が設置されており、
荷台20の下辺枠部21の後端部に、トラック100の積荷台101と連結し連結姿勢を保持する連結手段40又は42が設けられ、
車台部11に、運搬用台車1を路面上へ位置決め固定する位置決め手段50、51が設けられ、荷台20の下辺枠部21を水平姿勢に止めるストッパ手段18、及び下方へ回転した前囲い枠部22を一定位置に止めるストッパ手段19が設けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した運搬用台車1において、
荷台20の下辺枠部21及び前囲い枠部22に、荷物Wの引き込み用及び引き出し用として回転自在なコロ又はローラ26が複数設置されていることを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、請求項1に記載した運搬用台車1において、
荷台20の回転動作を緩衝する手段30は、伸縮動作が自在なガススプリング、又はガススプリングとリンク機構とを組み合わせた構成であることを特徴とする。
請求項4に記載した発明は、請求項1に記載した運搬用台車1において、
荷台20の下辺枠部21とトラック100の積荷台101とを連結して連結姿勢を保持する連結手段40は、下辺枠部21の後端部へ上下方向へ起伏する回転が自在に設置された、先端部にトラック100の積荷台101へ掛け止めるフック41を備えた渡り桟橋板40、又は先端部にトラック100の積荷台101へ掛け止めるフック43を備えた一対のフック部材42であることを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載した発明は、請求項1に記載した運搬用台車1において、
運搬用台車1を、トラック100の積荷台101から荷物Wを下ろす作業に適切な位置の路面上へ位置決め固定する手段50と51は、車台部11の前部及び後部の外側部位に設置された、垂直下向きに押し下げて路面に突き立て前輪12及び後輪13を路面から浮き上がらせる足踏みピン機構として構成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項6記載した発明に係る荷下ろし小運搬方法は、上記請求項1〜5に記載した運搬用台車1を使用して実施する荷下ろし小運搬方法であって、
前記運搬用台車1の荷台20の下辺枠部21を水平状態に止め、連結手段40又は42によりトラック100の積荷台101と連結して荷台20の下辺枠部21を水平姿勢に支持させ、同運搬用台車1の車台部11に設置した位置決め手段50、51により路面上に位置決め固定すること、
トラック100の積荷台101に積まれた荷物Wは、積荷台101上を移動させて前記荷台20の下辺枠部21上へ引き込み進入させて同荷台20に支持させること、
次に、荷台20を支持しているストッパ手段18を解除して、荷台20の下辺枠部21を下向き方向へ回転させて前囲い枠部22を路面へ接近させ、同前囲い枠部22が車台部11の受け部材17へ止まった状態で同前囲い枠部22のストッパ手段19により止めて支持させ、
しかる後に前記位置決め手段50、51を解除し、運搬用台車1を手押し操作可能にし、目的の場所へ手押しにより小運搬することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る運搬用台車1は、構造が簡単で、製作が容易である上に、小型、軽量であるから、トラック等100の積荷台101に空きスペースを見付けて載せ、持ち回ることが容易に可能である。
使用場所では、運搬用台車1の荷台20の下辺枠部21を水平状態に止め、連結手段40又は42によりトラック100の積荷台101と連結して荷台20の下辺枠部21を水平姿勢に支持させ、同運搬用台車1の車台部11に設置した位置決め手段50、51により路面上に位置決め固定する。そして、トラック100の積荷台101に積まれた荷物Wは、積荷姿勢のまま積荷台101上を滑らすように移動させて荷台20の下辺枠部21上へ引き込み進入させ同荷台20に支持させる。したがって、トラック100の運転手一人の力作業として荷物Wの積み替えが容易に可能である。
【0012】
その後、荷台20を支持しているストッパ手段18を解除して、荷台20の下辺枠部21を下向き方向へ回転させて前囲い枠部22を路面へ接近させ、同前囲い枠部22が車台部11の受け部材17へ止まった状態を更にストッパ手段19により前囲い枠部22の位置を止めて支持させることにより、荷物W及び荷台20の重心を十分に下げて安定、安全な状態にできる。この荷台20の回転動作は、ガススプリング等の緩衝手段30が働いて重力作用を緩和、緩衝するので、荷物W及び荷台20の重量が大きくとも、ゆっくりと安全な速さと作用力で行うことができる。
しかる後に前記位置決め手段50、51を解除して前輪12及び後輪13を着地させ、運搬用台車1を手押し操作可能状態にすると、一人の作業として目的の場所へ安定、安全な状態で小運搬することができる。
運搬用台車1が目的の場所へ到達すると、既に荷物Wは路面へ接近させ前囲い枠部22に支持されているので、そのまま、或いは位置決め手段50、51を再び働かせて固定した上で、前囲い枠部22上を滑らせる要領で荷物W引き出して下ろし、指定の保管場所へ楽に安全に置くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る運搬用台車の実施例1を示した斜視図である。
【図2】上記運搬用台車をトラックと連結した使用状態を示す側面図である。
【図3】上記運搬用台車をトラックの積荷台に対し荷下ろしに適した位置及び姿勢に連結した使用状態を示す斜視図である。
【図4】運搬用台車をトラックと連結する連結手段の使用状態を拡大して示した斜視図である。
【図5】運搬用台車をトラックと連結する連結手段の異なる実施例を使用状態で拡大して示した斜視図である。
【図6】運搬用台車の荷台へ荷物を積み替える作業状態を示す斜視図である。
【図7】運搬用台車の荷台を荷物と共に地面側へ回転して下げる途中段階を示した斜視図である。
【図8】運搬用台車をトラックから分離し作業員が手押しする小運搬状態を示した斜視図である。
【図9】運搬用台車の荷台の回転を緩衝する緩衝手段の異なる実施例を図2と同様な視点で示した側面図である。
【図10】本発明に係る運搬用台車の異なる実施例2を示した正面図である。
【図11】上記図10(実施例2)の運搬用台車を示した平面図である。
【図12】荷台の下辺枠部を水平状態に止めるストッパ手段等の詳細を示す斜視図である。
【図13】上記運搬用台車の後部の特に運搬用台車を路面上へ位置決め固定する手段の詳細を示す斜視図である。
【図14】上記運搬用台車の前部の特にストッパ手段及び運搬用台車を路面上へ位置決め固定する手段等の詳細を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
車輪12、13を備えた車台部11の後部に支柱14を立て、同支柱14に、荷台20の下辺枠部21の後部を上下方向への回転が可能に支持させる。
前記荷台20は、その下辺枠部21の前部に荷物の前囲い枠部22を備えている。
前記荷台20の下辺枠部21と、前記車台部11又は支柱14との間に、同荷台20の前記回転動作を緩衝する手段30が設置されている。
荷台20の下辺枠部21の後端部に、トラック100の積荷台101と連結し連結姿勢を保持する連結手段40又は42を設ける。
車台部11に、当該運搬用台車1を路面上へ位置決め固定する位置決め手段50、51を設ける。また、荷台20の下辺枠部21を水平姿勢に止めるストッパ手段18、及び下方へ回転した前囲い枠部22を一定位置に止めるストッパ手段19を設ける。
【実施例1】
【0015】
図1〜図8は、本発明による運搬用台車1の基本的形態を示すもので、例えば荷物Wとして板ガラス製品の梱包体やガラス張り建具その他の大型・大重量の板状荷物を、トラック100の積荷台101から一人の作業員による力作業として荷下ろしを行い小運搬する用途に適する手押し台車として構成した実施例1を示している。この運搬用台車1は、全体が金属構造として構成されている。
この運搬用台車1は、上記大型のガラス張り建具の荷下ろし小運搬に適するように平面視を前後方向に細長い形状とした車台部11が、その前後及び左右の位置にゴム車輪である前輪12と、大径の後輪13を備えて、地面上を略水平姿勢で走行する構成とされている。もっとも車台部11の平面形状は、積み込む荷物Wの形状に応じて適する形態及び構造とされる。前輪12及び後輪13はストッパー付きキャスターとして構成されている。前輪12と後輪13の車軸間隔は約1200mm余の大きさとされている。後輪13は、運搬用台車1の安定性を確保する配慮で、車輪幅を例えば800mmと大きく構成されている。
車台部11の後端の両側位置に2本の支柱14、14が地上約950mmの高さまで垂直に立てられ、該支柱14、14間の上部に、荷台20の下辺枠部21の後部が、回転軸15によりブランコの如く上下方向への回転が自在に支持されている。
前記2本の支柱14、14の上部と、車台部11の前部との間が、前記荷台20の回転が可能な間隔を開けて平行に配置した2本の斜材16により剛結され、もって荷台20とこれに積んだ荷物Wが下方向へ回転する運動に対し十分安定で堅牢な構成とされている。
【0016】
上記荷台20は、図1と図2に示すとおり、荷物Wが上記した大きな板ガラス建具(板状荷物)であることを前提として、幅寸が約450mm、長さが1m程度の下辺枠部21の前端部に、直角上方向へ立ち上がる長さ1m程度の前囲い枠部22を一連に形成した直角2辺形状の構成であり、トラック100に積載した荷物Wの荷下ろしに使用する時には、図1、図2の如く下辺枠部21を水平な状態で使用する。
荷台20は、上記した大きな板ガラス建具の如き荷物Wを安定状態に積み込め支持できるように、前囲い枠部22の先端部と下辺枠部21の後部との間には、荷物Wの倒れ防止用として働く2本の補助枠材23、23が、中間部を略直角に屈曲した形状で平行に配置され連結されている。
したがって、図1及び図2に示したとおり、荷台20を側面方向に見ると、ほぼ正方の枠組み形状に構成されている。そして、荷台20は、前記下辺枠部21と前囲い枠22及び補助枠23とで囲まれた空間の後面24と上面25が開放されており、板状の荷物Wを引き込み進入させることが可能で、しかも倒れを防止して安定状態に収納・保持できる構成とされている。
荷台20の上記下辺枠部21と前囲い枠22にはそれぞれ、後述するように板ガラス建具の如き荷物Wを手作業により引き込み進入させる作業、又は同荷台20から引き出して路上などへ下ろす作業を容易にするため、回転自在なローラ26(又はコロ)が一定の間隔を開けて複数設置されている。隣接するローラ26、26間の隙間は目隠し板27で塞いだ構成とされている
【0017】
上記構成の荷台20は、上記荷物Wを水平状態の下辺枠部21引き込み載せた後には、前記状態から図1、図2中に記載した矢印Rの方向へゆっくりと回転させ、最終的には荷物Wを前囲い枠22に載せた状態にして路面近傍の位置まで下ろして、図8に示したように小運搬が可能な状態に変化させる。そうした荷台20の回転動作に際し、荷台20及び荷物Wの重量に起因する加速度的に急激な回転を緩和、緩衝する手段として、図示例の場合は、下辺枠部21と前記車台部11の後部枠との間に、直線状でテレスコピックな伸縮動作が自在な公知のガススプリング30が左右に2本設置されて、上記荷台20を支持する構成とされている。
したがって、荷台20は、図1及び図2に実線で示したようにガススプリング30により下辺枠部21を水平な状態に支持させて、トラック100の積荷台101に積載された荷物Wを下辺枠部21を引き込んで載せる。そして、ガススプリング30を操作して収縮動作を開始させることにより、下辺枠部21とその上の荷物Wを合一に、両者の重量に起因する大きな回転力を緩和・緩衝しつつ、回転軸15を中心として荷台20を図1、図2中に記載した矢印Rの方向(下方)へゆっくりと安全な状態に回転させる。その過程において荷台20に積んだ荷物Wは、当初下辺枠部21上に積んだ状態から、次第に前囲い枠22に載せる状態に切り換えて路面近傍の位置まで下ろす。
【0018】
もっとも、荷台20を支持してその回転動作を緩和・緩衝させる手段は、上記したガススプリング30のみによる構成に限らない。例えば図9に示したように、下辺枠部21と支柱14を含む拘束リンク機構31の可動節を、やはり上述したガススプリング30で駆動する構成によっても同様に実施することが出来る。この実施例によれば、拘束リンク機構31を利用したことにより、ガススプリング30の伸縮ストロークを短縮化できるし、また、荷台20を支持してその回転動作を緩和・緩衝させる際にガススプリング30が負担する作用力(回転力)を軽減化する構成を実現することもできる。
【0019】
次に、車台部11の前部には、上記のように回転軸15を中心として下方へ回転した荷台20の前囲い枠22を、一定の前上がり傾斜角θの位置に受け止めて支持するストッパ手段として、図示例の場合は両側の斜材16、16間に架設した受け止め部材17が架設されている。但し、この受け止め部材17は、直接車台枠11の左右の外周フレーム材へ架設しても良いし、或いは中間部を切除したに等しい短い部材で実施することもできる。
因みに、下方へ回転してきた前囲い枠22を、上記の受け止め部材17で支持させた前上がり傾斜角θ(図2参照)は、運搬用台車1の手押し走行中に、前囲い枠22上に載せた荷物Wが前囲い枠22上を滑って不用意に前方へ飛び出す不具合や危険を防ぐことができ、しかも小運搬後には作業員1人の腕力で荷物Wを前囲い枠22から引き出して下ろす作業が困難でないように、例えば5度〜15度ぐらいに設定されている。
【0020】
次に、上記荷台20の下辺枠部21の後端部には、板状の荷物Wを積載して運送してきたトラック100(図3等参照)の積荷台101から、運搬用台車1の荷台20へ荷物Wを下ろす作業に最適な位置及び姿勢に、例えば図2及び図3に示すように連結する連結手段として、先端部にフック41を備えた渡り桟橋板40が起伏操作が自在に設置されている(図1、図2も参照)。
渡り桟橋板40の構成は、図4に詳示した通り、荷台20の下辺枠部11の後端部の両側へ共通な回転軸を持つ配置で設置したヒンジ44により、図4に示す水平状態を中心として、上方へせいぜい30度ぐらいまで、及び下方へは少なくとも90度ぐらいまで自由に回転できる構成で取り付けて設置されている。
因みに運搬用台車1は、上記した寸法構成に基づき、荷台20の下辺枠部21は水平状態に支持されるとトラック100の積荷台101とほぼ同じ高さになる。したがって、渡り桟橋板40をヒンジ44の位置で回転して、図4のように水平な姿勢でトラック100の積荷台101へ連結すると、渡り桟橋板40は、荷台20の下辺枠部21とトラック100の積荷台101とをほぼ水平状態に連結することができる。
【0021】
上記の渡り桟橋板40は、その先端部にほぼ直角下向きに屈曲したフック部41を備えている。一方、トラック100の積荷台101を構成する3辺のアオリ103は、そのいずれかを外向きに倒すと、図2中に拡大図で示したとおり、ヒンジ部104の厚さに起因する隙間102が形成されることは公知である。よって、渡り桟橋板40の前記フック部41を、前記の隙間102へ差し込んで止めると(図2の拡大図を参照)、トラック100の積荷台101と運搬用台車1の荷台20とは略同一レベルで水平に連結できるだけでなく、同渡り桟橋板40の強度及び剛性に基づいて、運搬用台車1の連結姿勢、連結状態を保持する。そのため渡り桟橋板40は、荷下ろし作業に際して通過する荷物Wの重量にも耐える強度及び剛性を有するように少し厚い蝶番が使用されている。
上記のようにしてトラック100の積荷台101と運搬用台車1とを渡り桟橋板40で連結し、更に前輪12及び後輪13を各々ストッパーを働かせ、或いは車輪止めを使用して固定した後に、トラック100の積荷台101上に積んだ荷物Wの荷下ろし作業を進めることができる。その際には図6に例示するように、1人の作業員(運転手)の腕力(手作業)で、板状の荷物Wは積荷台101上を滑らせ、更に渡り桟橋板40上を横滑りさせる要領で、荷台20の下辺枠部21上へと楽に乗り移らせることが出来る。
したがって、渡り桟橋板40にも荷物Wを軽く滑らせるローラ又はコロを設置しておくことも好ましい。
【0022】
以下に、上記の運搬用台車1を使用して、トラック100の積荷台101に積載し運搬してきた板状の荷物Wを下ろして小運搬する作業方法について更に詳しく説明する。
上記構成の運搬用台車1は、荷台20を例えば図8に示すように前囲い枠部22が車台部11の上記した受け止め部材17へ当たる位置まで回転して下げると、比較的に小型・軽量で細幅な構成になるので、トラック100の積荷台101上へ、大型・大重量板状物Wの積載位置を避けた空きスペースを確保して積荷台101上へ一緒に載せて各目的地へ運ぶことで、1人の作業員(運転手)のみでも荷下ろし小運搬の利便に供し得る。この場合、車台枠11と支柱14及び斜材16の構造を折り畳式、或いは組み立て解体が自在な構成とし、或いは後輪13の車輪間隔を伸縮可能な構成とし、更に荷台20も組み立て、解体が容易に可能な構成にすると、更に持ち運びや積荷台101への積み込みも容易にできる。
即ち、トラック100が目的地へ着くと、積荷台101を構成するアオリ103のうち、荷物Wを下ろそうとする側のアオリ103を回転して下方へ倒して、先ず運搬用台車1を先行して地面上へ下ろす。そして、先ずは図1に示したようにガススプリング30を伸張させる操作をして、荷台20を例えば図1に示したように下辺枠部21が水平な状態にする。しかる後に前記の運搬用台車1を、トラック100の積荷台101のうちアオリ103を倒した側へ移動させ、積荷台101上の荷物Wへ最も近くて荷下ろし作業が容易な位置に定め、運搬用台車1の荷台20をほぼ直角な向きに配置し、同荷台20の後部側をトラック100の積荷台101へ接近させる。
【0023】
次に、渡り桟橋板40を上方へ回転して起こし、図3と図4に示したように、トラック100の積荷台101と、倒したアオリ103との隙間102へ、渡り桟橋板40の先端部のフック41を挿し入れて止め、運搬用台車1の荷台20の下辺枠部21と、トラック100の積荷台101とをがっちり連結する。かくするとトラック100の積荷台101と荷台20の下辺枠部21とを渡り桟橋板40によりほぼ同じ高さで一連の水平状態に連結できる(図3、図4)。そして、渡り桟橋板40の強度と剛性により、運搬用台車1はトラック100の積荷台101に対して荷物Wを下ろす作業に適した姿勢に位置決め固定を行える。
【0024】
そこで作業者は、トラック100の積荷台101上に積まれた荷物Wを、例えば図3に例示したように立てた荷姿のまま積荷台101上を滑らす如くに移動させて、渡り桟橋板40上を渡らせ、運搬用台車1の荷台20の下辺枠部21上へと進入させる。そのまま図6に示すように、荷物Wは運搬用台車1の荷台20の下辺枠部21上を前方の前囲い枠部22へ突き当たる位置まで引き込んで、同荷台20上に支持させる(図2の実線及び図6を参照)。かくして荷物Wは荷台20上へ載せたことになる。
次には上記渡り桟橋板40のフック41をトラック100の積荷台101の隙間102から引き抜いて外し、トラック100との連結を解除して荷台20を回転させる。
その手段として荷台20の下辺枠部21を水平状態に支持しているガススプリング30を収縮させる操作を行う。すると荷物Wを載せた荷台20は、回転軸15を中心に図2の円弧矢印Rのように前囲い枠部22の方が下向き方向へゆっくり回転する。このときの荷台20の回転は、ガススプリング30が有する速度の緩和、緩衝機能により、荷物W及び荷台20の重量に起因する大きな回転力に抵抗しつつ、安全な速度を保った回転を行わせることが出来る。
かくして荷台20が下方へ回転する途中の段階を図7に示した。更に図8は荷台20の前囲い枠部22が車台部11の突き当たり部材17へ突き当たって止まり、支持状態となった段階を示している。
つまり、上記のように荷台20が下方へ回転する途中の段階で、荷台20上の板状をなす荷物Wは、下辺枠部21上へ乗せた状態から、前囲い枠部22に支持される状態へと変化する。
【0025】
上記のようにして前囲い枠部22が車台部11の突き当たり部材17へ突き当たって止められた状態は、荷物Wを載せた前囲い枠部22が前方へ5度〜15度の前上がり傾斜角θを呈する状態となる。そして、背が高い板状の荷物Wでも、その重心を路面に近い低い位置にまで下げるし、上記した補助枠材23が荷物Wの側面を支える倒れ防止枠として機能するので、荷物Wは不用意に横倒しになったりせず、前囲い枠部22から前方へ飛び出す虞のない安定状態に支持される。
【0026】
上記の段階に至り、作業員は、前輪12及び後輪13のストッパー或いは車輪止めを解除し、図8に示すように、台車後部の左右両側に位置する支柱14、14を両手で掴まえて操縦する要領で、運搬用台車1を手押しにより目的の場所へ走行させ、荷物Wの小運搬の目的を達成できる。
運搬用台車1を目的の場所へ到達させたならば、荷物Wを下ろして載置するのに適正な方向へ運搬用台車1の向き及び位置を定める。そして、再び前輪12及び後輪13のストッパーを働かせ、或いは車輪止めを使用して位置を固定する。しかる後に、荷台20の前囲い枠部22上に載せた荷物Wを、立てた荷姿のまま、前囲い枠部22上を滑らすように引き出して、指定の保管場所へ下ろし、立て掛けて置くことができる。
【0027】
ところで、上述した作業工程に関し、説明を省いたが、図2に実線で示し、図6に示したように、下辺枠部21が水平な状態の荷台20へ、引き込み方向の幅寸が下辺枠部21の奥行き寸法よりも長い板状の荷物Wを乗せた場合、渡り桟橋板40を上方へ回転してそのフック41をトラック100の積荷台101の隙間102から引き抜き連結を解除することは、板状の荷物Wに邪魔されて実行不可能に近い。しかし、渡り桟橋板40を、トラック100の積荷台101の隙間102から引き抜いて荷台20の下辺枠部21とトラック100の積荷台101との連結を解除しないかぎり、荷台20を回転できず、運搬用台車1の自由な走行移動はできない。
【実施例2】
【0028】
図5は、上記のような不都合を解決した構成の実施例2を示している。
即ち、図5に示した渡り桟橋板40’は、先端にフックを有さず、単に荷物Wを荷台20へ引き込む際の渡り板としてのみ機能する構成とされている。
一方、荷台20を構成する下辺枠部21を構成する両側のフレーム材21’の外面側には、別途、トラック100の積荷台101のアオリ103を倒して形成される隙間102へ差し込んで連結するフック43を形成したフック部材42、42が、軸45を中心として上下方向への回転が自在に設置されている。前記フック43を隙間102へ差し入れている限り、運搬用台車1は、トラック100に反力をとってその位置及び姿勢を一定に保持し続ける。
つまり、渡り桟橋板40の桟橋としての機能と、フック部材42が運搬用台車1とトラック100の積荷台101とを連結する機能とを分離した構成を特徴とする。
従って、本実施例2によれば、渡り桟橋板40’はフックを持たないから、上記した引き込み方向の幅寸が下辺枠部21の奥行き寸法よりも長い板状の荷物Wを下辺枠部21及び渡り桟橋板40’上に載せた場合でも、荷台20を図2の前方へ回転させることに一切支障とならない。一方、両側2本のフック部材42、42は、下辺枠部21の両外側に位置するから、前記の長い板状の荷物Wを下辺枠部21及び渡り桟橋板40’上に載せていても、何時でも必要に応じてトラック100の積荷台101の隙間102から引き抜いて下辺枠部21との連結を解くことが容易に可能である。
隙間102から外されたフック部材42は軸45を中心に、及び渡り桟橋板40’はヒンジ44を中心に回転させてそれぞれ収納状態にできる。
なお、上記のフック部材42、42の取り付け板は、下辺枠部21ではなく、運搬用台車1の後部に立つ支柱14の上部へ軸45により取り付けて実施することもできる。
また、フック部材42、42が、運搬用台車1における荷台20の下辺枠部21の後部をトラック100の積荷台101へ十分に接近させた状態に取り付けることができ、トラック100の積荷台101へ積んだ荷物Wを荷台20のへ下辺枠部21へ引き込む作業の際に不都合でないときは、渡り桟橋板40’の設置を省略した構成で実施することもできる。
【実施例3】
【0029】
最後に、図10以下は、上記実施例1、2の構成原理に基づいて構成した上で、更に実用的な機能要素を付加した構成の実施例3を示している。
そこで以下には、上記実施例1、2の構成の説明と重複する説明は省きつつ、実施例3の要点を説明する。
実施例3として主に図10及び図11に示した運搬用台車1も、前輪12と後輪13を備えた車台部11の後部に支柱14が立てられ、同支柱14の上部に回転軸15により、荷台20の下辺枠部21の後部が上下方向への回転が可能に支持されている。
荷台20は、その下辺枠部21の前部に略直角に立ち上がる前囲い枠部22を備えており、下辺枠部21と前囲い枠部22それぞれの端部間が、荷物Wの倒れ防止用として働く補助枠材23で連結されている。荷台20の回転後には最終的に荷物Wを載せることになる前囲い枠部22へ接近した近傍位置に、前囲い枠部22と平行な配置で、荷物Wのはみ出し防止用として働く落下防止材23’が、補助枠材23と下辺枠部21との間に架設されている。
【0030】
台車後部の左右2本の支柱14、14の両外側面には、当該運搬用台車1を手押し操作することに便利であるように、左右両方向へ略水平に突き出るハンドル60が設けられている。
同じく荷台20の下辺枠部21の外側面部の中間位置には、取っ手61が水平な向きに固定して設置されている。この取っ手61は、例えば図10に実線で示したように下辺枠部21を水平姿勢に位置決めした状態で、当該運搬用台車1を作業員の手で押し動かす操作に至便である。
本実施例3の場合、荷台20の前記回転動作の速度を緩和、緩衝する手段であるガススプリング30は、支柱14の中間高さの位置に後方向きに固定されたブラケット53と、前記荷台20の下辺枠部21を構成する枠材の外側面部に固定して起立させたブラケット54との間に設置されている。これは図10に例示したように、荷台20の上記回転動作の速度を緩和、緩衝するガススプリング30の機能が必要十分に発揮される構成に工夫した結果である。
【0031】
本実施例3の場合、荷台20の下辺枠部21を水平姿勢に位置決めした状態で、当該運搬用台車1をトラック100と連結する手段として、図4に例示したフック付きの渡り桟橋板40又は図5に示すフック無しの渡り桟橋板40’は採用していない。その代わりの手段として、図5に例示したように、先端にトラック100の積荷台101の隙間102へ止めるフック43を有するフック部材42、42が設置されている。そして、渡り桟橋板の代わりに、荷物引き込み用のローラ26’が下辺枠部21の後端部に設置される。
更に、前囲い枠部22の先端部には、荷台20と共に図10中に点線で図示したように路面に接近する位置まで回転された際に、同前囲い枠部22上に載せた荷物Wを下ろす際に、路面との段差量を可及的に軽減して着地時の衝撃を緩和できるように逆向き角度に屈曲されたローラ付きの誘導路部55が延長構造として付設されている。
もっとも荷台20の回転により下降された前記誘導路部55の先端は、通例図10に示したように路面上に設置するパレット70と干渉を起こさない高さとして、パレット70へ荷物Wを載置する作業に支障ない構成とされる。
【0032】
次に、本実施例3の特徴的な構成として、車台部11の前後の位置に、運搬用台車1を路面上へ位置決め固定する位置決め手段50、51が設けられ、また、荷台20の下辺枠部21を水平状態に止めるストッパ手段18、及び下方へ回転した前囲い枠部22を一定位置に止めるストッパ手段19が設けられているので、以下これらを説明する。
図10と図11が分かり易いように、運搬用台車1の車台部11を構成する外周フレーム材のうち前後方向の2辺を形成するフレーム材において前輪12に近い外側位置に位置決め手段50が垂直下向きの姿勢に設置されている。また、同車台部11を構成する外周フレーム材のうち後端側の辺を形成するフレーム材の外側面の左右位置に、やはり垂直下向きの姿勢で位置決め手段51がそれぞれ設置されている。ただし、位置決め手段50、51の設置位置は前記の限りではない。また、上記段落番号[0015]で説明したように、前輪12と後輪13がストッパー付きであるときは、位置決め手段50、51の設置は必ずしも必要でなく、用途内容に応じていずれか一方を選択して実施すれば足りる。
【0033】
上記の位置決め手段50、51はいずれも同じ構成であり、いわば市販品を利用したものである。具体的には図10と図14が分かり易いように、下端に路面へ突き立てる滑り止めシュー56を備えた足踏みピン57が、ホルダであるシリンダケース中に復元バネと共に上下方向へ可動状態に収納され、ピン上端が足踏み可能な状態に突き出されている。この足踏みピン57の昇降ストロークは、当該足踏みピン57が路面上に突き立てられると相対的に前輪12(又は後輪13)が路面から浮上して運搬用台車1を足踏みピン57のみにて支持し位置決め固定の状態を実現可能な寸法で構成されている。足踏みピン57の前記シリンダケースは、ブラケット58により足踏みピン57を垂直な姿勢として、車台部11を構成する外周フレーム材へ取り付け固定されている。シリンダケース内には前記足踏みピンを押し下げると、その下降位置へ自動的に止める逆止め機構が内蔵され、前記逆止め機構は解除操作により簡単に外れて、足踏みピン57が浮上する構成である。
したがって、運搬用台車1を荷台後部のフック部材42、42によりトラック100の積荷台101と連結した際に、或いは目的の場所まで小運搬して荷物Wを下ろす作業を始める際に、上記の各位置決め手段50、51の足踏みピン57を作業者が足で踏み込み路面へ突き立てると、前輪12、後輪13が路面から浮上し足踏みピン57で支持した状態に堅固に位置決め固定ができ、以後の各作業を行い易くできる。
もっとも、位置決め手段50、51を上記足踏みピン57の構成に限るものではなく、同様な機能を期待できる他の構成、手段を採用して実施できる。
【0034】
次に、荷台20の下辺枠部21を水平状態に止めるストッパ手段18、及び下方へ回転した前囲い枠部22を一定位置に止めるストッパ手段19について説明する。
荷台20の下辺枠部21を水平状態に位置決めして止める手段、或いは荷台20を下向き方向へ回転させて前囲い枠部22が車台部11の受け部材17へ突き当たった位置で止める手段の基本は、上記したガススプリング30の適切な位置決め操作で一応は達成される。しかし、荷台20の下辺枠部21上へトラック100の積荷台101から荷物Wを乗り移らせる作業、或いは下降した前囲い枠部22から路面上のパレット70へ荷物Wを下ろす作業の際に起こり易い衝撃的な振動や衝撃に対して十分安定した位置決め状態を保持できるとは言い難い。仮に前記の各作業時に荷台20がぐらぐら動いて不安定であると、危険な作業となることは明らかで、ぐらつきは防止する必要がある。前記の不具合を防ぐストッパ手段18、19として、本実施例3では以下に説明するピンロック機構を採用しており、機械的に強固な位置決め固定を行う構成とした。ただし、ストッパ手段18、19としてのピンロック機構も市販品を利用することが出来るので、詳細な説明は割愛する。
【0035】
先ず荷台20の下辺枠部21を水平状態に位置決めするストッパ手段18の設置位置と構成は、図12が分かり易いように、上記支柱14の上部に後方向きに水平なブラケット181を水平姿勢に固定して設け、このブラケット181に水平方向内向きに進退自在な構成で止めピン182が設置されている。
一方、荷台20の下辺枠部21を構成する外周フレーム材の外側面であって、前記止めピン182が進退する位置にピン孔183を有する被固定部材184が固定されている。つまり、荷台20を上方へ回転して下辺枠部21を水平状態とした際に、止めピン182と被固定部材184のピン孔183の位置が一致する構成である。
よって作業員は上記下辺枠部21の水平状態において、止めピン182を手で押し込んでピン受け部材184のピン孔183へ差し込むことで、下辺枠部21の前記位置を機械的に強固に固定することができる。
逆に荷物Wを積み込んだ後、荷台20を下方へ回転するに際しては、先ず前記の止めピン182をピン孔183から引き抜く。しかる後に、上記のガススプリング30を収縮させる操作を行って荷台20を下方へゆっくりと回転させる。
かくして下方へ回転した荷台20は、その前囲い枠部22が車台部11の受け部材17へ突き当たって止まる。そこで作業者は、ストッパ手段19を操作して更に機械的に強固な位置決め固定の処理を行うことができる。
【0036】
ストッパ手段19は、図10と図14が分かり易いように、前囲い枠部22を構成する外周フレーム材の前方部位の外側面であって前記車台部11の受け部材17と干渉しない後方の位置に、図10に示した如くピン孔190を備えた被固定部材191が、荷台20が下方へ回転する下前方方向へ突き出る配置に固定して設置されている。
一方、車台部11を構成する外周フレームの前方部位の外側面であって、上記したように前囲い枠部22が受け部材17へ突き当たって止まった際に丁度上記被固定部材191のピン孔190と位置が一致し、同ピン孔190への出入りが可能な位置に止めピン192(図11参照)が前記被固定部材191の回転方向と直交する向きへ足踏みペダル193で駆動し進退自在に設置されている。
【0037】
したがって、上記したように荷台20を回転させて下降した前囲い枠部22が受け部材17へ突き当たって止まった際に、足踏みペダル193を押し回すと、止めピン192が前進して、被固定部材191のピン孔190へ差し込まれて前囲い枠部22を同位置へ機械的に強固に固定することができる。
もっとも、上記ストッパ手段18、19の設置位置及び構造は、上記実施例に限るものではない。特にストッパ手段19は、ストッパ手段18と同様に手作業でピン孔へ差し込み又は引き抜く構成で実施することもできる。
【0038】
以上に本発明を図示した実施例に基づいて説明したが、もとより本発明は実施例の構成に限定されるものではない。いわゆる当業者が必要に応じて行うであろう設計変更その他の応用、改変の範囲まで含むことを念のため申し添える。
【符号の説明】
【0039】
1 運搬用台車
11 車台部
12 前輪
13 後輪
14 支柱
17 受け部材
20 荷台
21 下辺枠部
22 荷物止め部(前囲い枠部)
26 ローラ
30 回転緩衝手段(ガススプリング)
40 連結手段(渡り桟橋板)
41 フック
42 連結手段(フック部材)
43 フック
50、51 位置決め手段
100 トラック
101 積荷台
102 隙間
103 アオリ
W 荷物(大型・大重量板状物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪を備えた車台部の後部に支柱が立てられ、同支柱に、荷台の下辺枠部の後部が上下方向への回転が可能に支持され、
前記荷台は、その下辺枠部の前部に荷物の前囲い枠部を備えており、
前記荷台の下辺枠部と、前記車台部又は支柱との間に、荷台の前記回転動作を緩衝する手段が設置されており、
荷台の下辺枠部の後端部に、トラックの積荷台と連結し連結姿勢を保持する連結手段が設けられ、
車台部に、運搬用台車を路面上へ位置決め固定する位置決め手段が設けられ、荷台の下辺枠部を水平姿勢に止めるストッパ手段、及び下方へ回転した前囲い枠部を一定位置に止めるストッパ手段が設けられていることを特徴とする、運搬用台車。
【請求項2】
荷台の下辺枠部及び前囲い枠部に、荷物の引き込み用及び引き出し用として回転自在なコロ又はローラが複数設置されていることを特徴とする、請求項1に記載した運搬用台車。
【請求項3】
荷台の回転動作を緩衝する手段は、伸縮動作が自在なガススプリング、又はガススプリングとリンク機構とを組み合わせた構成であることを特徴とする、請求項1に記載した運搬用台車。
【請求項4】
荷台の下辺枠部とトラックの積荷台とを連結して連結姿勢を保持する連結手段は、下辺枠部の後端部へ上下方向へ起伏する回転が自在に設置された、先端部にトラックの積荷台へ掛け止めるフックを備えた渡り桟橋板、又は先端部にトラックの積荷台へ掛け止めるフックを備えた一対のフック部材であることを特徴とする、請求項1に記載した運搬用台車。
【請求項5】
運搬用台車を、トラックの積荷台から荷物を下ろす作業に適切な位置の路面上へ位置決め固定する手段は、車台部の前部及び後部の外側部位に設置された、垂直下向きに押し下げて路面に突き立て前輪及び後輪を路面から浮き上がらせる足踏みピン機構として構成されていることを特徴とする、請求項1に記載した運搬用台車。
【請求項6】
上記請求項1〜5に記載した運搬用台車1を使用して実施する荷下ろし小運搬方法であって、
運搬用台車の荷台の下辺枠部を水平状態に止め、連結手段によりトラックの積荷台と連結して荷台の下辺枠部を水平姿勢に支持させ、同運搬用台車の車台部に設置した位置決め手段により路面上に位置決め固定すること、
トラックの積荷台に積まれた荷物は、積荷台上を移動させて前記荷台の下辺枠部上へ引き込み進入させて同荷台に支持させること、
次に、荷台を支持しているストッパ手段を解除して、荷台の下辺枠部を下向き方向へ回転させて前囲い枠部を路面へ接近させ、同前囲い枠部が車台部の受け部材へ止まった状態を更にストッパ手段により止めて支持させ、
しかる後に前記位置決め手段を解除して運搬用台車を手押し操作可能にし、目的の場所へ手押しにより小運搬することを特徴とする、荷下ろし小運搬方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−6483(P2013−6483A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139733(P2011−139733)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(595027099)株式会社ニッケンビルド (22)
【Fターム(参考)】