説明

運行管理システム、運行管理方法、運行管理サーバ、およびキーボックス

【課題】運転手の状態に応じた確実な車両鍵管理や運行結果検証の効率化を実現し、運行管理者の作業を軽減する。
【解決手段】可搬記憶媒体50の読み取り情報を本人情報に照合し両者が一致した場合に本人認証成功とする処理を実行する認証手段110と、認証成功であった時にアルコール検知装置150から測定結果ないし血圧測定装置160から測定結果を受信しアルコール濃度が所定基準値以下であるかの判定か血圧が所定基準範囲内であるかの判定を実行する判定手段111と、アルコール濃度が所定基準値以下または血圧が所定基準範囲内である時、運行スケジュールテーブル127から該当運転手が車両運転手として設定されている車両を検索し該当車両の車両IDを含む鍵使用許可データを可搬記憶媒体50に設定し、該当運転手の可搬記憶媒体50の媒体IDおよび車両IDを含む扉開放許可データをキーボックス200に対し送る許可設定手段112とから運行管理システム10を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運行管理システム、運行管理方法、運行管理サーバ、およびキーボックスに関するものであり、具体的には、運転手の状態に応じた確実な車両鍵管理や運行結果検証の効率化を実現し、運行管理者の作業を軽減する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
バスやトラック等の運行を管理する運行管理者は、運行計画を作成したうえで、法令違反のチェック、運転手の点呼表作成などの事務処理を行って該当管理を実行している。こうした運行管理業務には経験に基づくノウハウが必要とされ、当該業務に応じた運転手等への指示内容については検証が要求されている。そのため、車両故障や運転手の急病などが発生した場合の短時間での運行計画変更に際し、運行管理者の培ってきた経験に基づく判断で運転手や車両の状態を考慮し選定処理が行われている。
【0003】
運転手の状態等を考慮して運行管理を行う技術として、例えば、互いに信号を送受できる送信部,受信部を備えた車両,運行管理基地局,医師待機所から構成される運行管理装置であって、前記車両は、ドライバの生理データを計測するドライバ生理データ計測部と、計測したドライバ生理データについて異常の有無を第1の診断装置により判断し、異常ありの場合にはドライバ生理データを前記運行管理基地局へ送信するドライバ生理状態一次判断部とを備え、前記運行管理基地局は、前記車両より送信されて来たドライバ生理データについて、前記第1の診断装置より判断精度が高い第2の診断装置にて判断し、異常ありの場合にはドライバ生理データを前記医師待機所へ送信するドライバ生理状態二次判断部と、受信した信号を基に運行に必要な指令を発する運行判断部とを備え、前記医師待機所は、前記運行管理基地局より送信されて来たドライバ生理データを医師の診断に供し、該診断の結果を前記運行管理基地局または前記車両へ送信するドライバ生理状態三次判断部を備えていることを特徴とする運行管理装置(特許文献1参照)などが提案されている。
【特許文献1】特開2000−57479号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような運行管理者の業務は多岐にわたり、大きな負担となっている。例えば、運行車両の鍵や運転手の健康状態等の管理は、手書き台帳において運行管理者が人手で管理する場合が多く、運転手や車両が多数登録されている運送業者らについて該当管理を行うとすれば、管理に係る手間や時間は膨大なものとなる。また、多数にのぼる各運転手の健康状態等に基づいて勤務に就かせるか否かを即時的に判断するのは非常に困難であり、現場責任者等によるその場の判断に任せることも多かった。加えて、こうした運転手や車両の管理を行うことと並行して、運行計画の作成や変更に際して、どの車両・運転手をどの行路のどの時間帯に設定すればよいかも考慮する必要があり、やはり運行管理者の負担は大きかった。
【0005】
また、運行管理者の負担軽減措置として、一般のOAオペレータ等が例えば運行ルートの登録作業を代行するとしても、その入力内容が正しいか否か運行管理者が最終判断をしなければならず、結局のところ負担軽減に繋がっていない。
【0006】
また、運転手が報告する運行結果と、運行管理者が事前に指示した運行指示内容とを比較し運行状況についての事後検証を行う場合、運行指示に沿った正しい運行結果であっても道路状況等によっては運行結果が変動しやすいため、運行管理者が運行結果毎に逐一検証を行う必要があった。
【0007】
そこで本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、運転手の状態に応じた確実な車両鍵管理や運行結果検証の効率化を実現し、運行管理者の作業を軽減する技術の提供を主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の運行管理システムは、他装置と通信する通信手段と、車両の属性情報、運転手の属性情報、および車両の運行スケジュールの各データを格納する記憶手段とを備えた運行管理サーバを含むものである。
【0009】
前記運行管理サーバは、可搬記憶媒体のリーダ装置より前記通信手段を介して運転手の可搬記憶媒体の読み取り情報を受信し、当該可搬記憶媒体の読み取り情報を、前記記憶手段における運転手の属性情報が含む本人情報に照合し、前記読み取り情報が前記本人情報に一致した場合に本人認証成功とする認証処理を実行する、認証手段を備える。
【0010】
また、前記運行管理サーバは、前記認証処理の結果が本人認証成功であった時に、アルコール検知装置から運転手の呼気中アルコール濃度測定結果、ないし血圧測定装置から運転手の血圧測定結果、を前記通信手段を介して受信し、運転手の呼気中アルコール濃度測定結果が所定基準値以下であるかの判定か、または運転手の血圧測定結果が所定基準範囲内であるかの判定を実行する、判定手段を備える。
【0011】
また、前記運行管理サーバは、前記判定の結果が、前記運転手の呼気中アルコール濃度測定結果が所定基準値以下、または前記運転手の血圧測定結果が所定基準範囲内、である時、前記記憶手段における運行スケジュールのデータから、該当運転手が車両運転手として設定されている車両を検索し、ここで検索された該当車両の車両IDを含む鍵使用許可データを、前記リーダ装置に対して前記通信手段を介して送信して該当運転手が保持する可搬記憶媒体に設定し、該当運転手の可搬記憶媒体の媒体IDおよび前記該当車両の車両IDを含む扉開放許可データを、前記該当車両の鍵を保管するキーボックスに対し前記通信手段を介して送信する、許可設定手段を備える。
【0012】
なお、前記運行管理システムは、前記運行管理サーバの他に、キーボックスを含むとすれば好適である。このキーボックスは、車両の鍵を保管する保管庫を複数備え、前記保管庫の自動開閉を行うコンピュータを備える装置となる。
【0013】
すなわち、前記キーボックスは、他装置と通信する通信手段および可搬記憶媒体のリーダ装置と、各車両の車両IDと該当車両の鍵を保管する保管庫との対応関係を記憶する鍵テーブルを格納する記憶手段と、前記保管庫の扉開閉機構を制御する扉制御手段とを備える。
【0014】
また、前記キーボックスは、前記扉開放許可データを前記通信手段を介して前記運行管理サーバから受信し、この扉開放許可データが含む車両IDを前記鍵テーブルに照合して該当保管庫を特定し、この保管庫の情報と、前記扉開放許可データが含む前記運転手の可搬記憶媒体の媒体IDとを記憶手段に格納する保管庫特定手段を備える。
【0015】
また、前記キーボックスは、前記可搬記憶媒体のリーダ装置より運転手の可搬記憶媒体の読み取り情報を取得し、この読み取り情報が含む媒体IDと前記記憶手段における前記運転手の媒体IDとを照合し、前記読み取り情報が含む媒体IDが前記運転手の媒体IDに一致した場合に、前記記憶手段に格納した前記保管庫の情報に基づき、該当保管庫の扉開放指示を前記扉制御手段に通知する、開放指示手段を備える。
【0016】
なお、前記運行管理システムにおいて、前記運行管理サーバの認証手段が、運転免許証リーダ装置より前記通信手段を介して運転免許証の読み取り情報を受信し、当該運転免許証の読み取り情報を、前記記憶手段における運転手の属性情報が含む運転免許証情報に照合し、前記読み取り情報が前記運転免許証情報に一致した場合に本人認証成功とする認証処理を実行する、としてもよい。
【0017】
また、前記運行管理システムにおいて、前記運行管理サーバの記憶手段が、運転手毎の生体画像データを予め記憶しており、前記運行管理サーバの判定手段が、前記認証処理の結果が本人認証成功であった時に、アルコール検知装置から運転手の呼気中アルコール濃度測定結果、ないし血圧測定装置から運転手の血圧測定結果と、前記アルコール検知装置ないし前記血圧測定装置に付帯するカメラ装置による該当運転手の撮影データとを前記通信手段を介して受信し、前記運転手の撮影データと、前記記憶手段における該当運転手の生体画像データとを照合し、前記撮影データが前記生体画像データに一致した場合に、該当運転手の呼気中アルコール濃度測定結果が所定基準値以下であるかの判定か、または運転手の血圧測定結果が所定基準範囲内であるかの判定を実行する、とすれば好適である。
【0018】
また、前記運行管理システムにおいて、前記運行管理サーバが、前記記憶手段において、運転手毎の勤務履歴データと連絡先データとを格納しているとしてもよい。この場合、前記運行管理サーバは、前記判定の結果が、前記運転手の呼気中アルコール濃度測定結果が所定基準値以下、または前記運転手の血圧測定結果が所定基準範囲内、でなかった時、該当運転手以外の運転手のうち現時点での勤務時間が所定基準値以内である運転手を前記勤務履歴データに基づき検索し、ここで検索した運転手のうち、前記記憶手段における運行スケジュールのデータにおいて車両運転手として設定されていない者を代替運転手として特定する、代替運転手特定手段を備える。
【0019】
また、前記運行管理サーバは、前記判定の結果が、前記運転手の呼気中アルコール濃度測定結果が所定基準値以下、または前記運転手の血圧測定結果が所定基準範囲内、でなかった該当運転手が、前記記憶手段における運行スケジュールのデータにおいて車両運転手として設定されている車両を検索し、ここで検索された該当車両の車両運転手として前記代替運転手を前記運行スケジュールのデータに設定する、代替運転手設定手段を備える。
【0020】
また、前記運行管理サーバは、前記代替運転手の連絡先データを記憶手段から読み出し、前記通信手段により前記代替運転手の連絡先に宛てて、代替運転手となった旨の通知を送信する、代替通知手段とを備える。
【0021】
そして、前記運行管理サーバは前記認証手段において、前記可搬記憶媒体のリーダ装置より前記通信手段を介して前記代替運転手の可搬記憶媒体の読み取り情報を受信し、当該可搬記憶媒体の読み取り情報を、前記記憶手段における代替運転手の属性情報が含む本人情報に照合し、前記読み取り情報が前記本人情報に一致した場合に本人認証成功とする認証処理を実行する。
【0022】
また、前記運行管理サーバは、前記判定手段において、前記認証処理の結果が本人認証成功であった時に、アルコール検知装置から前記代替運転手の呼気中アルコール濃度測定結果、ないし血圧測定装置から代替運転手の血圧測定結果、を前記通信手段を介して受信し、前記代替運転手の呼気中アルコール濃度測定結果が所定基準値以下であるかの判定か、または前記代替運転手の血圧測定結果が所定基準範囲内であるかの判定を実行する。
【0023】
また、前記運行管理サーバは、前記許可設定手段において、前記判定の結果が、前記代替運転手の呼気中アルコール濃度測定結果が所定基準値以下、または前記代替運転手の血圧測定結果が所定基準範囲内、である時、前記記憶手段における運行スケジュールのデータから、該当代替運転手が車両運転手として設定されている車両を検索し、ここで検索された該当車両の車両IDを含む鍵使用許可データを、前記リーダ装置に対して前記通信手段を介して送信して該当代替運転手が保持する可搬記憶媒体に設定し、該当代替運転手の可搬記憶媒体の媒体IDおよび前記該当車両の車両IDを含む扉開放許可データを、前記該当車両の鍵を保管するキーボックスに対し前記通信手段を介して送信する。
【0024】
また、前記運行管理システムにおいて、前記運行管理サーバが、前記記憶手段の運行スケジュールにおいて、運行経路上の車両停車予定地に対応するGPS座標情報と、該当車両停車予定地における停車予定時間の情報とを記憶しているとしてもよい。また、前記運行管理サーバは、前記記憶手段において、運転手の媒体IDに応じた連絡先データを格納しているとしてもよい。
【0025】
この場合、前記運行管理サーバは、車両の備える走行履歴記録装置から前記通信手段を介して、該当車両を運転した運転手の可搬記憶媒体の媒体IDを含む運行終了後の走行履歴データを受信し、当該走行履歴データが含む停車地のGPS座標情報および停車時間と、前記運行スケジュールにおける車両停車予定地のGPS座標情報および停車予定時間とを比較し、両者の一致/不一致をもって運行スケジュールに沿った停車と休憩が行われているか判定する、適正運行判定手段を備える。
【0026】
また、前記運行管理サーバは、前記判定により運行スケジュールに沿った停車と休憩が行われていないと判定した場合、前記走行履歴データが含む前記媒体IDを前記記憶手段で照合し、該当する運転手の連絡先データを特定し、前記通信手段により前記連絡先に宛てて、運行スケジュール違反の旨の警告通知を送信する、警告通知手段を備える。
【0027】
また、前記運行管理システムにおいて、前記運行管理サーバが、前記記憶手段において、運転手毎の勤務履歴データを格納しているとしてもよい。この場合、前記運行管理サーバは、前記通信手段を介して、ユーザ端末からの運行スケジュールのデータ入力を受け付けて、データ入力を受け付けた運行スケジュールにおける運転手の設定情報を抽出し、当該設定情報が含む運転手について、現時点での勤務時間が所定基準値以内である運転手であるか前記勤務履歴データに基づき判定し、当該判定により現時点での勤務時間が所定基準値以上となっている運転手が前記設定情報に含まれている場合、該当運転手について設定できない旨の通知を、前記ユーザ端末に送信する、入力データチェック手段を備える。
【0028】
また、本発明の運行管理方法は、他装置と通信する通信手段と、車両の属性情報、運転手の属性情報、および車両の運行スケジュールの各データを格納する記憶手段とを備えた運行管理サーバが、以下の処理を実行するものである。
【0029】
すなわち、前記運行管理サーバは、可搬記憶媒体のリーダ装置より前記通信手段を介して運転手の可搬記憶媒体の読み取り情報を受信し、当該可搬記憶媒体の読み取り情報を、前記記憶手段における運転手の属性情報が含む本人情報に照合し、前記読み取り情報が前記本人情報に一致した場合に本人認証成功とする認証処理を実行する、認証処理を実行する。
【0030】
また、前記運行管理サーバは、前記認証処理の結果が本人認証成功であった時に、アルコール検知装置から運転手の呼気中アルコール濃度測定結果、ないし血圧測定装置から運転手の血圧測定結果、を前記通信手段を介して受信し、運転手の呼気中アルコール濃度測定結果が所定基準値以下であるかの判定か、または運転手の血圧測定結果が所定基準範囲内であるかの判定を実行する、判定処理を実行する。
【0031】
また、前記運行管理サーバは、前記判定の結果が、前記運転手の呼気中アルコール濃度測定結果が所定基準値以下、または前記運転手の血圧測定結果が所定基準範囲内、である時、前記記憶手段における運行スケジュールのデータから、該当運転手が車両運転手として設定されている車両を検索し、ここで検索された該当車両の車両IDを含む鍵使用許可データを、前記リーダ装置に対して前記通信手段を介して送信して該当運転手が保持する可搬記憶媒体に設定し、該当運転手の可搬記憶媒体の媒体IDおよび前記該当車両の車両IDを含む扉開放許可データを、前記該当車両の鍵を保管するキーボックスに対し前記通信手段を介して送信する、許可設定処理を実行する。
【0032】
また、本発明の運行管理サーバは、他装置と通信する通信手段と、車両の属性情報、運転手の属性情報、および車両の運行スケジュールの各データを格納する記憶手段とを備えたサーバ装置であり、以下の手段を備える。
【0033】
すなわち前記運行管理サーバは、可搬記憶媒体のリーダ装置より前記通信手段を介して運転手の可搬記憶媒体の読み取り情報を受信し、当該可搬記憶媒体の読み取り情報を、前記記憶手段における運転手の属性情報が含む本人情報に照合し、前記読み取り情報が前記本人情報に一致した場合に本人認証成功とする認証処理を実行する、認証手段を備える。
【0034】
また、前記運行管理サーバは、前記認証処理の結果が本人認証成功であった時に、アルコール検知装置から運転手の呼気中アルコール濃度測定結果、ないし血圧測定装置から運転手の血圧測定結果、を前記通信手段を介して受信し、運転手の呼気中アルコール濃度測定結果が所定基準値以下であるかの判定か、または運転手の血圧測定結果が所定基準範囲内であるかの判定を実行する、判定手段を備える。
【0035】
また、前記運行管理サーバは、前記判定の結果が、前記運転手の呼気中アルコール濃度測定結果が所定基準値以下、または前記運転手の血圧測定結果が所定基準範囲内、である時、前記記憶手段における運行スケジュールのデータから、該当運転手が車両運転手として設定されている車両を検索し、ここで検索された該当車両の車両IDを含む鍵使用許可データを、前記リーダ装置に対して前記通信手段を介して送信して該当運転手が保持する可搬記憶媒体に設定し、該当運転手の可搬記憶媒体の媒体IDおよび前記該当車両の車両IDを含む扉開放許可データを、前記該当車両の鍵を保管するキーボックスに対し前記通信手段を介して送信する、許可設定手段を備える。
【0036】
また、本発明のキーボックスは、他装置と通信する通信手段および可搬記憶媒体のリーダ装置と、各車両の車両IDと該当車両の鍵を保管する保管庫との対応関係を記憶する鍵テーブルを格納する記憶手段と、前記保管庫の扉開閉機構を制御する扉制御手段と、運転手の可搬記憶媒体の媒体IDおよび車両IDを含む扉開放許可データを、前記通信手段を介して運行管理サーバから受信し、この扉開放許可データが含む車両IDを前記鍵テーブルに照合して該当保管庫を特定し、この保管庫の情報と、前記扉開放許可データが含む前記運転手の可搬記憶媒体の媒体IDとを記憶手段に格納する保管庫特定手段と、前記可搬記憶媒体のリーダ装置より運転手の可搬記憶媒体の読み取り情報を取得し、この読み取り情報が含む媒体IDと前記記憶手段における前記運転手の媒体IDとを照合し、前記読み取り情報が含む媒体IDが前記運転手の媒体IDに一致した場合に、前記記憶手段に格納した前記保管庫の情報に基づき、該当保管庫の扉開放指示を前記扉制御手段に通知する、開放指示手段と、を備える。
【0037】
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明の実施の形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、運転手の状態に応じた確実な車両鍵管理や運行結果検証の効率化を実現し、運行管理者の作業を軽減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
−−−システム構成−−−
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施形態の運行管理システム10のネットワーク構成図である。図1に示す運行管理システム10は、運転手の状態に応じた確実な車両鍵管理や運行結果検証の効率化を実現し、運行管理者の作業を軽減するコンピュータシステムである。例えば、バス等の車両を運行する運送業者がこの運行管理システム10を備えて、運行スケジュールに応じて車両や運転手の配置を行う状況が想定できる。また、運転手はRFIDチップを備えたカードなどの可搬記憶媒体50を所持しており、この可搬記憶媒体50のリーダ装置20を通じて出勤時や退社時に勤怠管理データの入力を実行する。また車両の鍵はキーボックス200に保管されており、運行管理システム10が許可した者に対してのみ鍵の利用が許される仕組みになっている。
【0040】
こうした本実施形態における運行管理システム10を構成する各装置について以下説明する。前記運行管理システム10(以下システム10)を構成する運行管理サーバ100は、本発明を実現する機能を備えるべくハードディスクドライブなどの不揮発性の記憶手段101に格納されたプログラム102をRAM103に読み出し、演算装置たるCPU104により実行する。また、前記運行管理サーバ100は、コンピュータ装置が一般に備えている各種キーボードやボタン類などの入力インターフェイス105、ディスプレイなどの出力インターフェイス106を備える。また、前記可搬記憶媒体のリーダ装置20、キーボックス200、アルコール検知装置150、血圧測定装置160などとの間のデータ授受を担う通信手段107を有している。
【0041】
続いて、前記システム10を構成する前記運行管理サーバ100が、例えばプログラム102に基づき前記記憶手段101にて構成・保持する機能部につき説明を行う。なお、前記運行管理サーバ100は、記憶手段において、車両の属性情報を格納した車両テーブル125、運転手の属性情報を格納した運転手テーブル126、および車両の運行スケジュールテーブル127を格納している。
【0042】
こうした前記運行管理サーバ100は、前記可搬記憶媒体50のリーダ装置20より前記通信手段107を介して運転手の可搬記憶媒体50の読み取り情報を受信し、当該可搬記憶媒体50の読み取り情報を、前記記憶手段101における運転手テーブル126が含む本人情報に照合し、前記読み取り情報が前記本人情報に一致した場合に本人認証成功とする認証処理を実行する、認証手段110を備える。
【0043】
なお、前記認証手段110が、前記可搬記憶媒体のリーダ装置20たる運転免許証リーダ装置より前記通信手段107を介して運転免許証の読み取り情報を受信し、当該運転免許証の読み取り情報を、前記記憶手段101における運転手テーブル126が含む運転免許証情報に照合し、前記読み取り情報が前記運転免許証情報に一致した場合に本人認証成功とする認証処理を実行する、としてもよい。
【0044】
また、前記運行管理サーバ100は、前記認証処理の結果が本人認証成功であった時に、アルコール検知装置150から運転手の呼気中アルコール濃度測定結果、ないし血圧測定装置160から運転手の血圧測定結果、を前記通信手段107を介して受信し、運転手の呼気中アルコール濃度測定結果が所定基準値以下であるかの判定か、または運転手の血圧測定結果が所定基準範囲内であるかの判定を実行する、判定手段111を備える。
【0045】
なお、前記運行管理サーバ100の記憶手段101において、運転手毎の生体画像データを、例えば、前記運転手テーブル126に予め記憶しているとしてもよい。
【0046】
この場合、前記判定手段111が、前記認証処理の結果が本人認証成功であった時に、アルコール検知装置150から運転手の呼気中アルコール濃度測定結果、ないし血圧測定装置160から運転手の血圧測定結果と、前記アルコール検知装置150ないし前記血圧測定装置160に付帯するカメラ装置30による該当運転手の撮影データとを前記通信手段107を介して受信し、前記運転手の撮影データと、前記記憶手段101の運転手テーブル126における該当運転手の生体画像データとを照合し、前記撮影データが前記生体画像データに一致した場合に、該当運転手の呼気中アルコール濃度測定結果が所定基準値以下であるかの判定か、または運転手の血圧測定結果が所定基準範囲内であるかの判定を実行する、とすれば好適である。
【0047】
また、前記運行管理サーバ100は、前記判定の結果が、前記運転手の呼気中アルコール濃度測定結果が所定基準値以下、または前記運転手の血圧測定結果が所定基準範囲内、である時、前記記憶手段101における運行スケジュールテーブル127から、該当運転手が車両運転手として設定されている車両を検索し、ここで検索された該当車両の車両IDを含む鍵使用許可データを、前記リーダ装置20に対して前記通信手段107を介して送信して該当運転手が保持する可搬記憶媒体50に設定し、該当運転手の可搬記憶媒体50の媒体IDおよび前記該当車両の車両IDを含む扉開放許可データを、前記該当車両の鍵を保管するキーボックス200に対し前記通信手段107を介して送信する、許可設定手段112を備える。
【0048】
また、前記運行管理サーバ100が、前記記憶手段101において、前記運転手テーブル126において運転手毎の連絡先データを格納しているとしてもよい。また、前記記憶手段101が、運転手毎の勤務履歴データを格納した勤務履歴テーブル128を記憶しているとしてもよい。
【0049】
この場合、前記運行管理サーバ100は、前記判定の結果が、前記運転手の呼気中アルコール濃度測定結果が所定基準値以下、または前記運転手の血圧測定結果が所定基準範囲内、でなかった時、該当運転手以外の運転手のうち現時点での勤務時間が所定基準値以内である運転手を前記勤務履歴テーブル128において検索し、ここで検索した運転手のうち、前記記憶手段101における運行スケジュールテーブル127において車両運転手として設定されていない者を代替運転手として特定する、代替運転手特定手段113を備えるとしてもよい。
【0050】
また、前記運行管理サーバ100は、前記判定の結果が、前記運転手の呼気中アルコール濃度測定結果が所定基準値以下、または前記運転手の血圧測定結果が所定基準範囲内、でなかった該当運転手が、前記記憶手段101における運行スケジュールテーブル127において車両運転手として設定されている車両を検索し、ここで検索された該当車両の車両運転手として前記代替運転手を前記運行スケジュールテーブル127に設定する、代替運転手設定手段114を備えるとしてもよい。
【0051】
また、前記運行管理サーバ100は、前記代替運転手の連絡先データを記憶手段101の運転手テーブル126から読み出し、前記通信手段101により前記代替運転手の連絡先に宛てて、代替運転手となった旨の通知を送信する、代替通知手段115を備えるとしてもよい。
【0052】
こうした状況で、前記認証手段110は、前記可搬記憶媒体50のリーダ装置20より前記通信手段107を介して前記代替運転手の可搬記憶媒体50の読み取り情報を受信し、当該可搬記憶媒体50の読み取り情報を、前記記憶手段101における運転手テーブル126にて代替運転手の属性情報が含む本人情報に照合し、前記読み取り情報が前記本人情報に一致した場合に本人認証成功とする認証処理を実行する。
【0053】
また、前記判定手段111は、前記認証処理の結果が本人認証成功であった時に、アルコール検知装置150から前記代替運転手の呼気中アルコール濃度測定結果、ないし血圧測定装置160から代替運転手の血圧測定結果、を前記通信手段107を介して受信し、前記代替運転手の呼気中アルコール濃度測定結果が所定基準値以下であるかの判定か、または前記代替運転手の血圧測定結果が所定基準範囲内であるかの判定を実行する。
【0054】
また、前記許可設定手段112は、前記判定の結果が、前記代替運転手の呼気中アルコール濃度測定結果が所定基準値以下、または前記代替運転手の血圧測定結果が所定基準範囲内、である時、前記記憶手段101における運行スケジュールテーブル127において、該当代替運転手が車両運転手として設定されている車両を検索し、ここで検索された該当車両の車両IDを含む鍵使用許可データを、前記リーダ装置20に対して前記通信手段107を介して送信して該当代替運転手が保持する可搬記憶媒体50に設定し、該当代替運転手の可搬記憶媒体50の媒体IDおよび前記該当車両の車両IDを含む扉開放許可データを、前記該当車両の鍵を保管するキーボックス200に対し前記通信手段107を介して送信する。
【0055】
なお、前記運行管理サーバ100が、前記記憶手段101の運行スケジュールテーブル127において、運行経路上の車両停車予定地に対応するGPS座標情報と、該当車両停車予定地における停車予定時間の情報とを記憶しているとしてもよい。また、前記記憶手段101の運転手テーブル126において、運転手の媒体IDに応じた連絡先データを格納しているとしてもよい。
【0056】
この場合、前記運行管理サーバ100は、車両の備える走行履歴記録装置40(例:GPS装置と連動したデジタルタコグラフ)から前記通信手段107を介して、該当車両を運転した運転手の可搬記憶媒体50の媒体IDを含む運行終了後の走行履歴データを受信し、当該走行履歴データが含む停車地のGPS座標情報および停車時間と、前記運行スケジュールテーブル127における車両停車予定地のGPS座標情報および停車予定時間とを比較し、両者の一致/不一致をもって運行スケジュールに沿った停車と休憩が行われているか判定する、適正運行判定手段116を備えるとすれば好適である。
【0057】
また、前記運行管理サーバ100は、前記判定により運行スケジュールに沿った停車と休憩が行われていないと判定した場合、前記走行履歴データが含む前記媒体IDを前記記憶手段101の運転手テーブル126で照合し、該当する運転手の連絡先データを特定し、前記通信手段107により前記連絡先に宛てて、運行スケジュール違反の旨の警告通知を送信する、警告通知手段117を備えるとすれば好適である。
【0058】
また、前記運行管理サーバ100が、前記記憶手段101において、運転手毎の勤務履歴データを格納した勤務履歴テーブル128を備えているとしてもよい。この場合、前記運行管理サーバ100は、前記通信手段107を介して、ユーザ端末300からの運行スケジュールのデータ入力を受け付けて、データ入力を受け付けた運行スケジュールにおける運転手の設定情報を抽出し、当該設定情報が含む運転手について、現時点での勤務時間が所定基準値以内である運転手であるか前記勤務履歴テーブル128の格納データに基づき判定し、当該判定により現時点での勤務時間が所定基準値以上となっている運転手が前記設定情報に含まれている場合、該当運転手について設定できない旨の通知を、前記ユーザ端末200に送信する、入力データチェック手段118を備えるとしてもよい。
【0059】
なお、前記可搬記憶媒体50のリーダ装置20は、運転手の所持するRFIDチップを備えたカードなどの可搬記憶媒体50に対するリーダライタ装置である。また、前記可搬記憶媒体50としてはRFIDチップを備えたカードを想定できる。こうしたカードは、例えば、RFIDチップ51をプラスティック筐体52などの適宜な収納ケースに格納した形態が想定され、前記リーダ装置20との間で無線通信可能である。前記RFIDチップ51は、プログラム53(リーダ装置20からの要求に応じて格納情報を返信処理したり、逆にデータを格納処理したりするプログラムなど)を格納するROM54、RAM55、前記プログラム53をROM54からRAM55に読み出して実行するCPU56、前記媒体IDや鍵使用許可データを記憶するEEPROM57、前記リーダ装置20との無線通信処理を担う通信手段58(アンテナも含む)とから構成される。
【0060】
また、前記アルコール検知装置150は、運転手がはき出した呼気を取得し、当該呼気中のアルコール濃度測定を実行する装置であり、アルコール濃度測定器の他に、演算手段、プログラムを格納した記憶手段、運行管理サーバ100とデータ通信を行うための通信手段を備えている。前記プログラムは前記演算手段により実行されることで、前記リーダ装置20で読み取られた前記可搬記憶媒体50の媒体IDの通知を前記リーダ装置20から受けた時点で、呼気中のアルコール濃度測定を開始する指示を前記アルコール濃度測定器に通知する手段と、前記媒体IDと前記アルコール濃度測定器での測定結果とを前記通信手段により前記運行管理サーバ100に送信する手段とを実現するものとなる。
【0061】
また、前記血圧測定装置160は、運転手の血圧測定を実行する装置であり、血圧測定器の他に、演算手段、プログラムを格納した記憶手段、運行管理サーバ100とデータ通信を行うための通信手段を備えている。前記プログラムは前記演算手段により実行されることで、前記リーダ装置20で読み取られた前記可搬記憶媒体50の媒体IDの通知を前記リーダ装置20から受けた時点で、血圧測定を開始する指示を前記血圧測定器に通知する手段と、前記媒体IDと前記血圧測定器での測定結果とを前記通信手段により前記運行管理サーバ100に送信する手段とを実現するものとなる。
【0062】
続いて、前記運行管理システム10を前記運行管理サーバ100らと共に構成するのがキーボックス200である。このキーボックス200は、例えば、車両の鍵を保管する保管庫220を複数備え、前記保管庫220の自動開閉を行うコンピュータを備える装置となる。前記保管庫220は、例えば扉221により開閉される構造となっており、前記扉221の開閉機構222としては、単に扉221の鍵を電気的或いは機械的に解錠/施錠したりする鍵制御機構の他、扉221を油圧やモータ等の駆動装置で所定位置より動かして保管庫220の開口部を開け閉めする扉移動機構などが想定できる。また、この開閉機構222は、扉制御手段210の指示により制御される。例えば、扉制御手段210が、扉221の鍵の解錠指示を通知した場合、前記開閉機構220の鍵制御機構は前記通知を受けて解錠の動作を実行する。また、扉制御手段210が、扉221の扉221の開放指示を通知した場合、前記開閉機構220の扉移動機構は前記通知を受けて扉221を所定位置から所定距離だけ移動させて保管庫220の開口部を開ける動作を実行する。
【0063】
また、前記キーボックス200は、前記可搬記憶媒体50のリーダ装置25を備えている。
【0064】
こうしたキーボックス200は、本発明を実現する機能を備えるべくハードディスクドライブなどの不揮発性の記憶手段201に格納されたプログラム202をRAM203に読み出し、演算装置たるCPU204により実行する。また、前記キーボックス200は、コンピュータ装置が一般に備えている各種キーボードやボタン類などの入力インターフェイス205、ディスプレイなどの出力インターフェイス206を必要に応じて備えることができる。また、前記運行管理サーバ100らとの間のデータ授受を担う通信手段207を有している。
【0065】
続いて、前記キーボックス200が、例えばプログラム202に基づき前記記憶手段201にて構成・保持する機能部につき説明を行う。なお、前記キーボックス200は、各車両の車両IDと該当車両の鍵を保管する保管庫との対応関係を記憶する鍵テーブル225を記憶手段201に格納している。
【0066】
こうした前記キーボックス200は、前記扉開放許可データを前記通信手段207を介して前記運行管理サーバ100から受信し、この扉開放許可データが含む車両IDを前記鍵テーブル225に照合して該当保管庫220を特定し、この保管庫220の情報と、前記扉開放許可データが含む前記運転手の可搬記憶媒体50の媒体IDとを記憶手段201に格納する保管庫特定手段211を備える。
【0067】
また、前記キーボックス200は、前記可搬記憶媒体50のリーダ装置25より運転手の可搬記憶媒体50の読み取り情報を取得し、この読み取り情報が含む媒体IDと前記記憶手段101における前記運転手の媒体IDとを照合し、前記読み取り情報が含む媒体IDが前記運転手の媒体IDに一致した場合に、前記記憶手段101に格納した前記保管庫220の情報に基づき、該当保管庫220の扉開放指示を前記扉制御手段210に通知する、開放指示手段212を備える。
【0068】
なお、前記カメラ装置30は、アルコール検知装置150、血圧測定装置160に付帯するのではなく、ネットワーク140またはUSB等を通じて運行管理サーバ100に直接接続されていてもよい。この場合は、前記カメラ装置30の制御は、ネットワーク140に接続されているアルコール検知装置150、血圧測定装置160、または運行管理サーバ100が行う。
【0069】
これまで示した前記システム10を構成する各装置における各手段110〜118、210〜212、らはハードウェアとして実現してもよいし、メモリやHDD(Hard Disk Drive)などの適宜な記憶装置に格納したプログラムとして実現するとしてもよい。この場合、各装置のCPUがプログラム実行に合わせて記憶装置より該当プログラムをRAMに読み出して、これを実行することとなる。
【0070】
−−−テーブル構造例−−−
次に、本実施形態の前記システム10が利用するテーブルの例について説明する。図2は、図2は本実施形態における(a)車両テーブル125、(b)運転手テーブル126、(c)運行スケジュールテーブル127、(d)勤務履歴テーブル128、の各構成例を示す図である。
【0071】
前記車両テーブル125は、車両の属性情報を格納したテーブルであり、例えば、車両IDをキーとして、車両タイプ、使用年数、使用地域などのデータが対応付けされたレコードの集合体となっている。
【0072】
また、前記運転手テーブル126は、運転手の属性情報を格納したテーブルであり、例えば、運転手のIDをキーとして、当該運転手が所持する可搬記憶媒体50の媒体ID、運転手の氏名、年齢、所属、運転免許証番号といった本人情報、運転手毎の生体画像データ(顔、指紋、虹彩、静脈等の撮影画像データ)、連絡先データ(運転手が利用する端末のメールアドレスや電話番号、ファクス番号など)といったデータを対応付けされたレコードの集合体となっている。
【0073】
また、前記運行スケジュールテーブル127は、運行経路毎の運行車両やその運行時刻、乗車する運転手などを定めたテーブルであり、例えば、運行経路IDをキーとして、経路出発地から停車予定地を経る最終地点までの各GPS座標および運行時刻、車両停車予定地における停車予定時間、運行される車両の車両ID、該当車両の車両運転手として設定されている運転手の運転手ID、といったデータを対応付けたレコードの集合体となっている。
【0074】
また、前記勤務履歴テーブル128は、運転手のIDおよび媒体IDをキーに、該当運転手の現時点での勤務時間(毎月など所定期間内での積算値)のデータを対応付けされたレコードの集合体となっている。
【0075】
また、図3は本実施形態における鍵テーブル225の構成例を示す図である。この鍵テーブル225は、各車両の車両IDをキーに、該当車両の鍵を保管する保管庫220の保管庫IDを対応付けされたレコードの集合体となっている。
【0076】
−−−処理フロー例1−−−
以下、本実施形態における運行管理方法の実際手順について、図に基づき説明する。なお、以下で説明する運行管理方法に対応する各種動作は、前記システム10を構成する各装置のRAMに読み出して実行するプログラムによって実現される。そして、このプログラムは、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。
【0077】
図4は本実施形態の運行管理方法の処理フロー例1を示す図である。ここではまず、本実施形態の運行管理方法の処理手順について全体概要を説明しておく。この場合、まず、前記運行管理サーバ100は、入力インターフェース105を介して運行管理者等からの運行スケジュールデータの仮登録を受け付けて、記憶手段101に格納する(s100)。続いて、前記運行管理サーバ100は、前記ステップs100で受け付けた運行スケジュールのデータを記憶手段101から読み出して、その修正を入力インターフェース105で受け付ける(s101)。
【0078】
当該修正後、例えば、同一日時の別々の運行経路に同一車両や同一運転手などが重複して設定されていないか、設定した運転手の勤務時間が所定基準値を超えないかなどのデータチェックを前記運行管理サーバ100が実行する(s102)。そして、例えば、前記運行管理サーバ100の運営主体である運送会社の業務システム等から、業務連絡データを受信し、前記運行スケジュールに設定されている運転手の出勤予定を確認する(s103)。
【0079】
前記運転手が病欠等で出勤しない場合(s103:病欠等)、前記運行管理サーバ100は、処理を前記ステップs101に戻す。他方、前記運転手が出勤する場合(s103:出勤)、前記運行管理サーバ100は、アルコール検知装置150や血圧測定装置160から該当運転手に関する測定結果を受信し(s104)、基準を満たすか判定する(s105)。
【0080】
前記判定により、該当運転手の呼気アルコール濃度や血圧が所定基準を満たさない場合(s105:NG)、運行管理サーバ100は処理を前記ステップs101に戻す。一方、前記運転手の呼気アルコール濃度や血圧が所定基準を満たす場合(s105:OK)、前記運行管理サーバ100は、該当運転手が運転する車両の鍵について、前記運転手による利用を許可する通知をキーボックス200に通知する(s106)。また、前記運転手の可搬記憶媒体50にも該当車両の鍵の利用許可を設定する。
【0081】
また、前記運行管理サーバ100は、前記運転手が運転する車両について、例えば、車両管理部門等の端末から整備状況のデータを受信し(s107)、その結果が運行NGであれば(s107:NG)、処理を前記ステップs101に戻す。他方、前記整備状況のデータが運行OKであれば(s107:OK)、前記運行管理サーバ100は、次のステップs108に処理を進める。
【0082】
次に運行管理サーバ100は、例えば、車両基地などの現場に備わる端末から運転手の点呼結果データを受信し、前記運行スケジュールに設定された運転手の出勤状態を最終確認する(s108)。前記運転手が点呼時に不在であれば(s108:NG)、処理を前記ステップs101に戻す。他方、前記運転手が点呼時に不在でなければ(s108:OK)、前記運行管理サーバ100は、前記ステップs101までで仮登録しておいた運行スケジュールを本登録のデータとして記憶手段101の運行スケジュールテーブル127に登録する(s109)。
【0083】
また、その後、前記運行スケジュールに沿って車両の運行が実行されることになるが、その運行終了後に該当車両の走行履歴記録装置40から走行履歴のデータを回収し、運行スケジュールに照合する(s110)。こうした照合を行うことで、実際の運行結果と運行スケジュールとの乖離具合を特定し、担当運転手の車両運行に対する特性を検知できる。
【0084】
−−−処理フロー例2−−−
次に、運行スケジュールに設定された運転手の健康状態に応じて、担当車両の鍵の利用可否について判定する処理について説明する。図5は本実施形態の運行管理方法の処理フロー例2を示す図である。なお、運転手は前記可搬記憶媒体50を携行して、車両基地などに設置されているリーダ装置20を前にしているとする。このリーダ装置20はネットワーク140を通じて運行管理サーバ100に接続されている。
【0085】
この場合、前記運行管理サーバ100の認証手段110は、前記可搬記憶媒体50のリーダ装置20より前記通信手段107を介して、前記運転手の可搬記憶媒体50の読み取り情報を受信し、当該可搬記憶媒体50の読み取り情報を、前記運転手テーブル126における該当運転手に関する本人情報に照合する(s200)。
【0086】
前記読み取り情報としては、例えば、可搬記憶媒体50のROM54に記憶されている媒体ID“1111-2222-3333-4444”や本人情報(運転手ID、氏名、年齢、所属、免許証番号など)を想定できる。従って前記認証手段110は、こうした読み取り情報が含む、例えば運転手ID“1020”や媒体ID“1111-2222-3333-4444”をキーに、前記運転手テーブル126を検索し、ここで検索できた該当レコードが含む本人情報と、前記読み取り情報とを照合する。
【0087】
こうした読み取り情報が前記運転手テーブル126の本人情報に一致した場合(s201:OK)、前記認証手段110は本人認証成功であったと判定し、その旨を例えば、前記車両基地に設置されているリーダ装置20に対し、前記運転手の媒体ID“1111-2222-3333-4444”(読み取り情報に含まれていた)と共に返信する(s202)。他方、前記読み取り情報が前記運転手テーブル126の本人情報に一致しなかった場合(s201:NG)、前記認証手段110は本人認証不成功であったと判定し、処理をステップs220に進める。
【0088】
なお、前記認証手段110が、前記可搬記憶媒体50のリーダ装置20として運転免許証のリーダ装置より前記通信手段107を介して運転免許証の読み取り情報を受信し、当該運転免許証の読み取り情報を、前記記憶手段101における運転手テーブル126が含む運転免許証情報に照合し、前記読み取り情報が前記運転免許証情報に一致した場合に本人認証成功とする認証処理を実行する、としてもよい。
【0089】
前記リーダ装置20は、前記運行管理サーバ100の認証手段110から本人認証成功の通知を受けて、例えば、LEDなどの表示装置かスピーカなどの音声出力装置等に、本人認証成功の表示ないし音の出力を行うこととする(s203)。これを確認した前記運転手は、前記アルコール検知装置150における呼気中のアルコール濃度測定と、血圧測定装置160における血圧測定とを受けることになる。
【0090】
この場合、前記アルコール検知装置150は、前記リーダ装置20で読み取られた前記可搬記憶媒体50の媒体ID“1111-2222-3333-4444”および本人認証成功の通知を前記リーダ装置20から受けた時点で、呼気中のアルコール濃度測定を開始する指示をアルコール濃度測定手段に通知し、前記媒体ID“1111-2222-3333-4444”と前記アルコール濃度測定手段での測定結果とを通信手段により前記運行管理サーバ100に送信する(s204)。なお、前記アルコール検知装置150に付帯するカメラ装置30により、該当運転手の撮影データを取得し、この撮影データを前記アルコール濃度測定手段での測定結果等とあわせて運行管理サーバ100に送信するとする。
【0091】
また同様に、前記血圧測定装置160は、前記リーダ装置20で読み取られた前記可搬記憶媒体50の媒体ID“1111-2222-3333-4444”および本人認証成功の通知を前記リーダ装置20から受けた時点で、血圧測定を開始する指示を血圧測定手段に通知し、前記媒体IDと前記血圧測定手段での測定結果とを通信手段により前記運行管理サーバ100に送信する(s205)。なお、前記血圧測定装置160に付帯するカメラ装置30により、該当運転手の撮影データを取得し、この撮影データを前記血圧測定手段での測定結果等とあわせて運行管理サーバ100に送信するものとする。
【0092】
一方、前記運行管理サーバ100の判定手段111は、前記アルコール検知装置150から運転手の呼気中アルコール濃度測定結果、および前記血圧測定装置160から運転手の血圧測定結果、さらには、前記運転手の撮影データを前記通信手段107を介して受信する(s206)。この時、前記判定手段111は、前記運転手の撮影データと、前記記憶手段101の運転手テーブル126における該当運転手“1020”の生体画像データ“kao1020.dat”とを照合し、前記撮影データが前記生体画像データに一致するか判定する(s207)。画像の一致判定技術については既存の画像処理技術や生体情報処理技術を採用すればよい。
【0093】
前記ステップs207の判定において、前記撮影データが該当運転手の生体画像データに一致しなかった場合(s207:NG)、別人が前記運転手になりすましている可能性があるため、処理を終了する。他方、前記撮影データが該当運転手の生体画像データに一致した場合(s207:OK)、前記判定手段111は、前記運転手の呼気中アルコール濃度測定結果を所定基準値(記憶手段101に予め記憶)以下であるかの判定(s208)と、前記運転手の血圧測定結果が所定基準範囲(記憶手段101に予め記憶)内であるかの判定(s209)を実行する。
【0094】
前記運行管理サーバ100の許可設定手段112は、前記ステップs208の判定結果が、前記運転手の呼気中アルコール濃度測定結果が所定基準値以下であり(s208:OK)、前記ステップs209の判定結果が、前記運転手の血圧測定結果が所定基準範囲内、である時(s209:OK)、前記記憶手段101における運行スケジュールテーブル127から、該当運転手の運転手ID“1020”が車両運転手として設定されているレコード“R0001”を特定し、このレコード“R0001”における車両の車両ID“A111”を特定する(s210)。
【0095】
他方、前記運行管理サーバ100の許可設定手段112は、前記ステップs208の判定結果が、前記運転手の呼気中アルコール濃度測定結果が所定基準値以下でない(s208:NG)か、前記ステップs209の判定結果が、前記運転手の血圧測定結果が所定基準範囲外、である時(s209:NG)、該当運転手の健康状態が不良であるとして、処理をステップs220に進める。
【0096】
一方、前記ステップs210で車両を検索した前記許可設定手段112は、前記検索により特定した該当車両の車両ID“A111”を含む鍵使用許可データを、前記リーダ装置20に対して前記通信手段107を介して送信する(s211)。また、前記許可設定手段112は、該当運転手の可搬記憶媒体50の媒体ID“1111-2222-3333-4444”および前記該当車両の車両ID“A111”を含む扉開放許可データを、前記キーボックス200に対し前記通信手段107を介して送信する(s212)。
【0097】
他方、前記可搬記憶媒体50のリーダ装置20は、前記許可設定手段112からの鍵使用許可データを受信し、前記運転手の所持する可搬記憶媒体50と前記通信手段58で無線通信を実行し、前記EEPROM57に書込設定する(s213)。
【0098】
また、前記キーボックス200の保管庫特定手段211は、前記扉開放許可データを前記通信手段207を介して前記運行管理サーバ100から受信し、この扉開放許可データが含む車両ID“A111”を前記鍵テーブル225に照合して該当保管庫220の保管庫ID“ST001”を特定する(s214)。なお、ここで特定した保管庫220の保管庫ID“ST001”と、前記扉開放許可データが含む前記運転手の可搬記憶媒体50の媒体ID“1111-2222-3333-4444”は、前記保管庫特定手段211が記憶手段201に格納する。
【0099】
その後、前記運転手は車両基地等の現場での点呼を経て、前記運行スケジュール“R0001”に沿った運行を行うべく、該当車両“A111”の鍵を受領するために、キーボックス200を訪れる。また、キーボックス200が備えるリーダ装置25に対し、自身が携行している可搬記憶媒体50をかざす動作を行う。
【0100】
この時、前記キーボックス200の開放指示手段212は、前記可搬記憶媒体50のリーダ装置25より、前記運転手の可搬記憶媒体50の読み取り情報を取得し、この読み取り情報が含む媒体IDと前記記憶手段201における前記運転手の媒体ID“1111-2222-3333-4444”とを照合する(s215)。
【0101】
前記読み取り情報が含む媒体IDが“1111-2222-3333-4444”であり、前記運転手の媒体ID“1111-2222-3333-4444”に一致した場合(s215:OK)、前記開放指示手段212は、前記記憶手段201に格納した前記保管庫220の保管庫ID“ST001”に基づき、該当保管庫“ST001”の扉開放指示を前記扉制御手段210に通知する(s216)。扉制御手段210は、例えば、該当保管庫“ST001”の電子ロックを解除するなどの処理を実行する。前記運転手は電子ロックが解除された前記保管庫“ST001”から該当車両“A111”の鍵を取り出し、運行開始に向けて前記車両“A111”が待機する車両基地に移動することになる。
【0102】
なお、前記ステップs201において、前記読み取り情報が前記運転手テーブル126の本人情報に一致しなかった場合(s201:NG)、或いは、前記ステップ208において、判定結果が、前記運転手の呼気中アルコール濃度測定結果が所定基準値以下でない(s208:NG)か、前記ステップs209の判定結果が、前記運転手の血圧測定結果が所定基準範囲外、である時(s209:NG)、運行管理サーバ100は処理をステップs220に進める。図6は本実施形態の運行管理方法の処理フロー例2の続きのフローを示す図である。
【0103】
このステップs220において、前記運行管理サーバ100の代替運転手特定手段113は、該当運転手“1020”以外の運転手のうち現時点での勤務時間が所定基準値(記憶手段101に予め記憶)以内である運転手を前記勤務履歴テーブル128において検索する(s221)。前記勤務時間の所定基準値が例えば、“70”時間であり、図2(d)の勤務履歴テーブル128の例であれば、前記代替運転手特定手段113は、該当運転手“1020”以外の運転手として運転手“1021”を検索し、この勤務時間が“25”時間であり、前記所定基準値“70”時間以内である運転手として特定する。
【0104】
また、前記代替運転手特定手段113は、ここで検索した運転手“1021”が、前記記憶手段101における運行スケジュールテーブル127の前記レコード“R0001”において車両運転手として設定されていないか確認し、前記運転手“1021”を代替運転手として特定する(s222)。図2(c)の運行スケジュールテーブル127のレコード“R0001”の例では、前記運転手の運転手ID“1021”は設定されていないので、代替運転手として特定される。
【0105】
また、前記運行管理サーバ100の代替運転手設定手段114は、前記呼気中アルコール濃度測定結果が所定基準値以下または血圧測定結果が所定基準範囲内、でなかった該当運転手“1020”が、前記運行スケジュールテーブル127のレコード“R0001”において車両運転手として設定されている車両“A111”を検索し、ここで検索された該当車両の車両運転手として前記代替運転手“1021”を、前記運行スケジュールテーブル127の該当レコード“R0001”に設定する(s223)。
【0106】
続いて、前記運行管理サーバ100の代替通知手段115は、前記代替運転手“1021”の連絡先データ“456@abc.CO.JP”を記憶手段101の運転手テーブル126から読み出し、前記通信手段101により前記代替運転手の連絡先“456@abc.CO.JP”に宛てて、代替運転手となった旨の通知文を含む、例えば電子メールをメーラー(運行管理サーバ100が予め記憶手段101に備える)等で送信する(s224)。
【0107】
前記代替運転手“1021”は、前記電子メールを例えば携帯端末で受信し、自身が代替運転手となったことを認識することができる。また、代替運転手となったことに応じて、運行管理サーバ100やキーボックス200等は、前記運転手“1020”に関して実行した処理(上記ステップs200〜s216)を同様に実行する。
【0108】
−−−処理フロー例3−−−
次に、運行結果の検証処理について説明する。図7は本実施形態の運行管理方法の処理フロー例3を示す図である。運行スケジュールに沿って車両運行が実施され、前記車両“A111”が車両基地に戻ってきたとする。また前記車両“A111”には、運行管理サーバ100の通信手段107と通信可能に接続できる通信インターフェースを備えた走行履歴記録装置40(例:GPS装置と連動したデジタルタコグラフ等)が備わっている。この走行履歴記録装置40は、車両のGPS(Global Positioning System)装置から一定間隔でGPS座標値のデータを取得し、このGPS座標値のデータに時刻データ(自身の備える時計機能から取得)を合わせて記憶手段に格納する装置である。また、前記可搬記憶媒体50のリーダ装置(車載)から、運転を行っている運転手の可搬記憶媒体50の媒体IDを取得し、前記GPS座標値など走行履歴データにあわせて記憶している。
【0109】
この場合、前記運行管理サーバ100の適正運行判定手段116は、前記車両“A111”の備える走行履歴記録装置40から前記通信手段107を介して、該当車両“A111”を運転した運転手、例えば、代替運転手“1021”の可搬記憶媒体50の媒体ID“5555-6666-7777-8888”を含む運行終了後の走行履歴データを受信する(s300)。
【0110】
次に、前記適正運行判定手段116は、前記ステップs300で受信した走行履歴データから、停車地のGPS座標情報および停車時間を抽出する(s301)。この処理は、例えば、時刻が進んでいるにも関わらずGPS座標値に変化がない箇所を検索して停車地として特定し、この間の時刻の経過を停車時間として算定すればよい。例えば、停車地のGPS座標値が“GHI.JKL・・・”で、停車時間が“00:20”と算定できたとする。
【0111】
前記適正運行判定手段116は、前記ステップs301で抽出した停車地のGPS座標情報“GHI.JKL・・・”および停車時間“00:20”と、前記運行スケジュールテーブル127の前記レコード“R0001”における車両停車予定地のGPS座標情報“GHI.JKL・・・”および停車予定時間“00:45”とを比較し、両者の一致/不一致をもって運行スケジュールに沿った停車と休憩が行われているか判定する(s302)。上記の例の場合、停車地のGPS座標値は一致したが、停車時間は予定とは異なり“25”分少ない時間となっている。
【0112】
続いて前記運行管理サーバ100の警告通知手段117は、前記ステップs302の判定により、前記運行スケジュール“R0001”に沿った停車と休憩(=停車時間)が行われていないと判定した場合(s302:NG)、前記走行履歴データが含む前記媒体ID“5555-6666-7777-8888”を前記記憶手段101の運転手テーブル126で照合し、該当する運転手“1021”の連絡先データ“456@abc.CO.JP”を特定し、前記通信手段107により前記連絡先“456@abc.CO.JP”に宛てて、運行スケジュール違反の旨の警告通知(例えば、電子メール)を送信する(s303)。他方、、前記ステップs302の判定により、前記運行スケジュール“R0001”に沿った停車と休憩(=停車時間)が行われたと判定した場合(s302:OK)、処理を終了する。
【0113】
−−−処理フロー例4−−−
次に、運行管理者以外の者が運行スケジュールのデータを設定しようとした場合に、データの自動チェックを行う処理について説明する。図8は本実施形態の運行管理方法の処理フロー例4を示す図である。この場合、前記運行管理サーバ100の入力データチェック手段118は、前記通信手段107を介して、ユーザ端末300からの運行スケジュールのデータ入力を受け付ける(s400)。前記ユーザ端末300を操作しているのは前記運行管理者以外の者となる。
【0114】
また前記入力データチェック手段118は、前記データ入力を受け付けた運行スケジュールにおける運転手、例えば、運転手“1022”の設定情報を抽出し(s401)、当該設定情報が含む運転手“1022”について、現時点での勤務時間が所定基準値(例えば、“70”時間)以内である運転手であるか前記勤務履歴テーブル128の格納データに基づき判定する(s402)。図2(d)の勤務履歴テーブル128の例であれば、前記運転手“1022”の勤務時間は“70”時間と特定できる。従って、この時点で運転手“1022”の勤務時間が所定基準値に達していることが判定できる。
【0115】
前記入力データチェック手段118は、前記ステップ402の判定により現時点での勤務時間が所定基準値以上となっている運転手が前記設定情報に含まれている場合(s402:NG)、該当運転手“1022”について、運行スケジュールに設定できない旨の通知を、前記ユーザ端末200に送信し(s403)、処理を前記ステップs400に戻す。以下、適切な運転手が運行スケジュールに設定されるまで、前記ステップs401〜s403が繰り返し実行される。
【0116】
本実施形態によれば、運行管理者における運行スケジュール作成作業の負担を削減し、法令違反のない運行スケジュールを容易に作成できるとともに、運転手の急病や車両の故障等による急なスケジュール変更に際し、変更後の車両・運転手の重複や労務チェックを即座に行うことができる。また、車両キーの持ち出し可否をシステム側で自動判定することにより、健康状態が優れない者や飲酒状態にある者など、運行管理者が持ち出しを想定していない人物によるキー持ち出しを確実に防止することが可能となる。また車両の運行結果と運行スケジュールとを自動比較し、その比較結果を運転手の指導等に活用することで、運行スケジュールに沿った信頼性の高い運行管理を行うことができる。
【0117】
したがって、運転手の状態に応じた確実な車両鍵管理や運行結果検証の効率化を実現し、運行管理者の作業を軽減できる。
【0118】
以上、本発明の実施の形態について、その実施の形態に基づき具体的に説明したが、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本実施形態の運行管理システムのネットワーク構成図である。
【図2】本実施形態における(a)車両テーブル、(b)運転手テーブル、(c)運行スケジュールテーブル、(d)勤務履歴テーブル、の各構成例を示す図である。
【図3】本実施形態における鍵テーブルの構成例を示す図である。
【図4】本実施形態の運行管理方法の処理フロー例1を示す図である。
【図5】本実施形態の運行管理方法の処理フロー例2を示す図である。
【図6】本実施形態の運行管理方法の処理フロー例2の続きのフローを示す図である。
【図7】本実施形態の運行管理方法の処理フロー例3を示す図である。
【図8】本実施形態の運行管理方法の処理フロー例4を示す図である。
【符号の説明】
【0120】
10 運行管理システム
20、25 RFIDリーダ
30 カメラ装置
40 走行履歴記録装置
50 可搬記憶媒体(RFIDカード)
51 RFIDチップ
52 プラスティック筐体
53 プログラム
54 ROM
55 RAM
56 CPU
57 EEPROM
58 通信手段
100 運行管理サーバ
101、201 記憶手段
102、202 プログラム
103、203 RAM(Random Access Memory)
104、204 CPU(Central Processing Unit)
105、205 入力インターフェイス
106、206 出力インターフェイス
107、207 通信手段
110 認証手段
111 判定手段
112 許可設定手段
113 代替運転手特定手段
114 代替運転手設定手段
115 代替通知手段
116 適正運行判定手段
117 警告通知手段
118 入力データチェック手段
125 車両テーブル
126 運転手テーブル
127 運行スケジュールテーブル
128 勤務履歴テーブル
140 ネットワーク
150 アルコール検知装置
160 血圧測定装置
200 キーボックス
210 扉制御手段
211 保管庫特定手段
212 開放指示手段
220 保管庫
221 扉
222 開閉機構
225 鍵テーブル
300 ユーザ端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他装置と通信する通信手段と、
車両の属性情報、運転手の属性情報、および車両の運行スケジュールの各データを格納する記憶手段と、
可搬記憶媒体のリーダ装置より前記通信手段を介して運転手の可搬記憶媒体の読み取り情報を受信し、当該可搬記憶媒体の読み取り情報を、前記記憶手段における運転手の属性情報が含む本人情報に照合し、前記読み取り情報が前記本人情報に一致した場合に本人認証成功とする認証処理を実行する、認証手段と、
前記認証処理の結果が本人認証成功であった時に、アルコール検知装置から運転手の呼気中アルコール濃度測定結果、ないし血圧測定装置から運転手の血圧測定結果、を前記通信手段を介して受信し、運転手の呼気中アルコール濃度測定結果が所定基準値以下であるかの判定か、または運転手の血圧測定結果が所定基準範囲内であるかの判定を実行する、判定手段と、
前記判定の結果が、前記運転手の呼気中アルコール濃度測定結果が所定基準値以下、または前記運転手の血圧測定結果が所定基準範囲内、である時、前記記憶手段における運行スケジュールのデータから、該当運転手が車両運転手として設定されている車両を検索し、ここで検索された該当車両の車両IDを含む鍵使用許可データを、前記リーダ装置に対して前記通信手段を介して送信して該当運転手が保持する可搬記憶媒体に設定し、該当運転手の可搬記憶媒体の媒体IDおよび前記該当車両の車両IDを含む扉開放許可データを、前記該当車両の鍵を保管するキーボックスに対し前記通信手段を介して送信する、許可設定手段と、
を備える運行管理サーバを含むことを特徴とする運行管理システム。
【請求項2】
他装置と通信する通信手段および可搬記憶媒体のリーダ装置と、
各車両の車両IDと該当車両の鍵を保管する保管庫との対応関係を記憶する鍵テーブルを格納する記憶手段と、
前記保管庫の扉開閉機構を制御する扉制御手段と、
前記扉開放許可データを前記通信手段を介して前記運行管理サーバから受信し、この扉開放許可データが含む車両IDを前記鍵テーブルに照合して該当保管庫を特定し、この保管庫の情報と、前記扉開放許可データが含む前記運転手の可搬記憶媒体の媒体IDとを記憶手段に格納する保管庫特定手段と、
前記可搬記憶媒体のリーダ装置より運転手の可搬記憶媒体の読み取り情報を取得し、この読み取り情報が含む媒体IDと前記記憶手段における前記運転手の媒体IDとを照合し、前記読み取り情報が含む媒体IDが前記運転手の媒体IDに一致した場合に、前記記憶手段に格納した前記保管庫の情報に基づき、該当保管庫の扉開放指示を前記扉制御手段に通知する、開放指示手段と、
を備えるキーボックスを含むことを特徴とする請求項1に記載の運行管理システム。
【請求項3】
前記運行管理サーバの認証手段が、
運転免許証リーダ装置より前記通信手段を介して運転免許証の読み取り情報を受信し、当該運転免許証の読み取り情報を、前記記憶手段における運転手の属性情報が含む運転免許証情報に照合し、前記読み取り情報が前記運転免許証情報に一致した場合に本人認証成功とする認証処理を実行する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の運行管理システム。
【請求項4】
前記運行管理サーバの記憶手段が、運転手毎の生体画像データを予め記憶しており、
前記運行管理サーバの判定手段が、
前記認証処理の結果が本人認証成功であった時に、アルコール検知装置から運転手の呼気中アルコール濃度測定結果、ないし血圧測定装置から運転手の血圧測定結果と、前記アルコール検知装置ないし前記血圧測定装置に付帯するカメラ装置による該当運転手の撮影データとを前記通信手段を介して受信し、前記運転手の撮影データと、前記記憶手段における該当運転手の生体画像データとを照合し、前記撮影データが前記生体画像データに一致した場合に、該当運転手の呼気中アルコール濃度測定結果が所定基準値以下であるかの判定か、または運転手の血圧測定結果が所定基準範囲内であるかの判定を実行する、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の運行管理システム。
【請求項5】
前記運行管理サーバが、
前記記憶手段において、運転手毎の勤務履歴データと連絡先データとを格納しており、
前記判定の結果が、前記運転手の呼気中アルコール濃度測定結果が所定基準値以下、または前記運転手の血圧測定結果が所定基準範囲内、でなかった時、該当運転手以外の運転手のうち現時点での勤務時間が所定基準値以内である運転手を前記勤務履歴データに基づき検索し、ここで検索した運転手のうち、前記記憶手段における運行スケジュールのデータにおいて車両運転手として設定されていない者を代替運転手として特定する、代替運転手特定手段と、
前記判定の結果が、前記運転手の呼気中アルコール濃度測定結果が所定基準値以下、または前記運転手の血圧測定結果が所定基準範囲内、でなかった該当運転手が、前記記憶手段における運行スケジュールのデータにおいて車両運転手として設定されている車両を検索し、ここで検索された該当車両の車両運転手として前記代替運転手を前記運行スケジュールのデータに設定する、代替運転手設定手段と、
前記代替運転手の連絡先データを記憶手段から読み出し、前記通信手段により前記代替運転手の連絡先に宛てて、代替運転手となった旨の通知を送信する、代替通知手段とを備え、
前記認証手段において、前記可搬記憶媒体のリーダ装置より前記通信手段を介して前記代替運転手の可搬記憶媒体の読み取り情報を受信し、当該可搬記憶媒体の読み取り情報を、前記記憶手段における代替運転手の属性情報が含む本人情報に照合し、前記読み取り情報が前記本人情報に一致した場合に本人認証成功とする認証処理を実行し、
前記判定手段において、前記認証処理の結果が本人認証成功であった時に、アルコール検知装置から前記代替運転手の呼気中アルコール濃度測定結果、ないし血圧測定装置から代替運転手の血圧測定結果、を前記通信手段を介して受信し、前記代替運転手の呼気中アルコール濃度測定結果が所定基準値以下であるかの判定か、または前記代替運転手の血圧測定結果が所定基準範囲内であるかの判定を実行し、
前記許可設定手段において、前記判定の結果が、前記代替運転手の呼気中アルコール濃度測定結果が所定基準値以下、または前記代替運転手の血圧測定結果が所定基準範囲内、である時、前記記憶手段における運行スケジュールのデータから、該当代替運転手が車両運転手として設定されている車両を検索し、ここで検索された該当車両の車両IDを含む鍵使用許可データを、前記リーダ装置に対して前記通信手段を介して送信して該当代替運転手が保持する可搬記憶媒体に設定し、該当代替運転手の可搬記憶媒体の媒体IDおよび前記該当車両の車両IDを含む扉開放許可データを、前記該当車両の鍵を保管するキーボックスに対し前記通信手段を介して送信する、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の運行管理システム。
【請求項6】
前記運行管理サーバが、
前記記憶手段の運行スケジュールにおいて、運行経路上の車両停車予定地に対応するGPS座標情報と、該当車両停車予定地における停車予定時間の情報とを記憶しており、
前記記憶手段において、運転手の媒体IDに応じた連絡先データを格納しており、
車両の備える走行履歴記録装置から前記通信手段を介して、該当車両を運転した運転手の可搬記憶媒体の媒体IDを含む運行終了後の走行履歴データを受信し、当該走行履歴データが含む停車地のGPS座標情報および停車時間と、前記運行スケジュールにおける車両停車予定地のGPS座標情報および停車予定時間とを比較し、両者の一致/不一致をもって運行スケジュールに沿った停車と休憩が行われているか判定する、適正運行判定手段と、
前記判定により運行スケジュールに沿った停車と休憩が行われていないと判定した場合、前記走行履歴データが含む前記媒体IDを前記記憶手段で照合し、該当する運転手の連絡先データを特定し、前記通信手段により前記連絡先に宛てて、運行スケジュール違反の旨の警告通知を送信する、警告通知手段と、
を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の運行管理システム。
【請求項7】
前記運行管理サーバが、
前記記憶手段において、運転手毎の勤務履歴データを格納しており、
前記通信手段を介して、ユーザ端末からの運行スケジュールのデータ入力を受け付けて、データ入力を受け付けた運行スケジュールにおける運転手の設定情報を抽出し、当該設定情報が含む運転手について、現時点での勤務時間が所定基準値以内である運転手であるか前記勤務履歴データに基づき判定し、当該判定により現時点での勤務時間が所定基準値以上となっている運転手が前記設定情報に含まれている場合、該当運転手について設定できない旨の通知を、前記ユーザ端末に送信する、入力データチェック手段を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の運行管理システム。
【請求項8】
他装置と通信する通信手段と、車両の属性情報、運転手の属性情報、および車両の運行スケジュールの各データを格納する記憶手段とを備えた運行管理サーバが、
可搬記憶媒体のリーダ装置より前記通信手段を介して運転手の可搬記憶媒体の読み取り情報を受信し、当該可搬記憶媒体の読み取り情報を、前記記憶手段における運転手の属性情報が含む本人情報に照合し、前記読み取り情報が前記本人情報に一致した場合に本人認証成功とする認証処理を実行する、認証処理と、
前記認証処理の結果が本人認証成功であった時に、アルコール検知装置から運転手の呼気中アルコール濃度測定結果、ないし血圧測定装置から運転手の血圧測定結果、を前記通信手段を介して受信し、運転手の呼気中アルコール濃度測定結果が所定基準値以下であるかの判定か、または運転手の血圧測定結果が所定基準範囲内であるかの判定を実行する、判定処理と、
前記判定の結果が、前記運転手の呼気中アルコール濃度測定結果が所定基準値以下、または前記運転手の血圧測定結果が所定基準範囲内、である時、前記記憶手段における運行スケジュールのデータから、該当運転手が車両運転手として設定されている車両を検索し、ここで検索された該当車両の車両IDを含む鍵使用許可データを、前記リーダ装置に対して前記通信手段を介して送信して該当運転手が保持する可搬記憶媒体に設定し、該当運転手の可搬記憶媒体の媒体IDおよび前記該当車両の車両IDを含む扉開放許可データを、前記該当車両の鍵を保管するキーボックスに対し前記通信手段を介して送信する、許可設定処理と、
を実行することを特徴とする運行管理方法。
【請求項9】
他装置と通信する通信手段と、
車両の属性情報、運転手の属性情報、および車両の運行スケジュールの各データを格納する記憶手段と、
可搬記憶媒体のリーダ装置より前記通信手段を介して運転手の可搬記憶媒体の読み取り情報を受信し、当該可搬記憶媒体の読み取り情報を、前記記憶手段における運転手の属性情報が含む本人情報に照合し、前記読み取り情報が前記本人情報に一致した場合に本人認証成功とする認証処理を実行する、認証手段と、
前記認証処理の結果が本人認証成功であった時に、アルコール検知装置から運転手の呼気中アルコール濃度測定結果、ないし血圧測定装置から運転手の血圧測定結果、を前記通信手段を介して受信し、運転手の呼気中アルコール濃度測定結果が所定基準値以下であるかの判定か、または運転手の血圧測定結果が所定基準範囲内であるかの判定を実行する、判定手段と、
前記判定の結果が、前記運転手の呼気中アルコール濃度測定結果が所定基準値以下、または前記運転手の血圧測定結果が所定基準範囲内、である時、前記記憶手段における運行スケジュールのデータから、該当運転手が車両運転手として設定されている車両を検索し、ここで検索された該当車両の車両IDを含む鍵使用許可データを、前記リーダ装置に対して前記通信手段を介して送信して該当運転手が保持する可搬記憶媒体に設定し、該当運転手の可搬記憶媒体の媒体IDおよび前記該当車両の車両IDを含む扉開放許可データを、前記該当車両の鍵を保管するキーボックスに対し前記通信手段を介して送信する、許可設定手段と、
を備えることを特徴とする運行管理サーバ。
【請求項10】
他装置と通信する通信手段および可搬記憶媒体のリーダ装置と、
各車両の車両IDと該当車両の鍵を保管する保管庫との対応関係を記憶する鍵テーブルを格納する記憶手段と、
前記保管庫の扉開閉機構を制御する扉制御手段と、
運転手の可搬記憶媒体の媒体IDおよび車両IDを含む扉開放許可データを、前記通信手段を介して運行管理サーバから受信し、この扉開放許可データが含む車両IDを前記鍵テーブルに照合して該当保管庫を特定し、この保管庫の情報と、前記扉開放許可データが含む前記運転手の可搬記憶媒体の媒体IDとを記憶手段に格納する保管庫特定手段と、
前記可搬記憶媒体のリーダ装置より運転手の可搬記憶媒体の読み取り情報を取得し、この読み取り情報が含む媒体IDと前記記憶手段における前記運転手の媒体IDとを照合し、前記読み取り情報が含む媒体IDが前記運転手の媒体IDに一致した場合に、前記記憶手段に格納した前記保管庫の情報に基づき、該当保管庫の扉開放指示を前記扉制御手段に通知する、開放指示手段と、
を備えることを特徴とするキーボックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−140426(P2010−140426A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−318736(P2008−318736)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(508369261)株式会社日立ICTビジネスサービス (1)
【Fターム(参考)】