説明

運転支援方法及び運転支援装置

【課題】 本発明は、事前に実際の道路状況を予測した的確な運転をドライバーに指示することのできる運転支援方法及び運転支援装置を提供する。
【解決手段】
制御部11は、GPS受信器18にて検出した現在位置に基づいて、情報記憶部14の基準運転情報記憶部14bに記憶した、前方にある予め定めた基準地点とその基準地点に対する基準速度を読み出す。制御部11は読み出した基準地点に対する基準速度と自車の実車速とに基づいて表示開始位置を求める。制御部11は、表示開始位置に来たとき、デッドアップディスプレイ10を介してフロントガラスのコンバイナに、前方を自車と伴走する仮想車両を表示するとともに前方の基準地点における基準速度になるように減速させるための仮想車両の形態中のブレーキランプを点灯表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援方法及び運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ドライバーの運転を支援する運転支援装置としてナビゲーション装置がある。そして、ナビゲーション装置には、進行方向におけるカーブ路又は勾配路の有無などの道路形状(状況)を判別し、カーブ路の曲がり方向、曲率半径、カーブ路の距離又は勾配角度などの付加情報を求めて、その付加情報を表示することで車両の走行を支援するものが提案されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平9−189565号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ナビゲーション装置において、上記付加情報を案内表示されても、実際に走行運転をしている場合には、案内表示から想定する道路イメージと実際の道路状況から得る体感が相違することが多々ある。特に、不慣れな道路を走行する時には、想定する道路イメージと実際の道路状況が大きく相違し運転操作を難しくしていた。
【0004】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、事前に実際の道路状況を予測した的確な運転をドライバーに指示することのできる運転支援方法及び運転支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明の運転支援方法は、フロントガラス又は運転席の前方に設けた表示部に、前方を自車と伴走する仮想車両を表示するとともに、自車の現在の実運転情報と自車前方位置の予め定めた基準地点における予め定めた基準運転情報とに基づいて、自車の運転操作の指示を表示する。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載の運転支援方法において、前記運転操作の指示の表示は、ブレーキタイミングを前記仮想車両の形態中のブレーキランプの点灯で表示する。
請求項3の発明は、請求項2に記載の運転支援方法において、前記仮想車両の形態中のブレーキランプの点灯タイミングは、前記実運転情報と前記基準運転情報とに基づいて決定する。
【0007】
請求項4の発明は、請求項3に記載の運転支援方法において、前記仮想車両の形態中のブレーキランプの点灯タイミングは、前記実運転情報と前記基準運転情報とに基づいて、ブレーキ開始距離を算出し、前記実運転情報と予め設定した反応時間から反応距離を求め、前記ブレーキ開始距離及び前記反応距離から表示開始位置を求め、その表示開始位置を点灯タイミングとして決定する。
【0008】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか1つに記載の運転支援方法において、前記仮想車両の形態は、自車前方位置の道路状況に基づいて、前記自車から見てその前方道路状況に対して他の車が走行するときのその時々で変化する走行姿勢の形態である。
【0009】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか1つに記載の運転支援方法において、前記仮想車両の形態は、自車前方位置の道路形状に基づいて、前記自車から見てその前方道路状況に対して他の車が走行するときのその進行方向を示す指標が合わせて表示させる。
【0010】
請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれか1つに記載の運転支援方法において、前記基準運転情報は、その基準地点における予め定めた基準速度であり、前記実運転情報は実車速である。
【0011】
請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれか1つに記載の運転支援方法において、前方に他の車両が予め定めた距離走行していない時、前記フロントガラス又は運転席の前方に設けた表示部に、前記仮想車両及び前記運転操作指示を表示する。
【0012】
請求項9の発明は、請求項1〜8のいずれか1つに記載の運転支援方法において、自車周辺であって予め定めた範囲内に移動体がいない時、前記フロントガラス又は運転席の前方に設けた表示部に、前記仮想車両及び前記運転操作指示を表示する。
【0013】
請求項10の発明の運転支援装置は、自車の現在位置を検出する現在位置検出手段と、地図データを記憶する地図データ記憶手段と、前記地図データの道路上の予め定めた各基準地点に対する予め定めた基準運転情報を記憶する基準運転情報記憶手段と、前記現在位置検出手段から検出した現在位置と、前記地図データ記憶手段に記憶した地図データとから、該地図データの道路上に自車の現在位置を特定する位置特定する位置特定手段と、前記位置特定手段が特定する現在位置に基づいて、前方にある前記予め定めた基準地点の有無を検索し前記基準運転情報記憶手段からその基準地点とその基準地点に対する基準運転情報を読み出す読出手段と、前記読出手段が読み出した基準地点に対する基準運転情報と自車の実運転情報とに基づいて、フロントガラス又は運転席の前方に設けた表示部に、前方を自車と伴走する仮想車両を表示するとともに前方の前記基準地点の基準運転情報に対する自車の運転操作の指示を表示する表示制御手段とを備えた。
【0014】
請求項11の発明は、請求項10に記載の運転支援装置において、前記運転操作の指示の表示は、前記仮想車両の形態中のブレーキランプの点灯であり、前記表示制御手段は、前記基準地点に対する基準運転情報と前記自車の実運転情報とに基づいて、点灯タイミングを算出しその算出したタイミングで点灯表示する。
【0015】
請求項12の発明は、請求項11に記載の運転支援装置において、前記基準運転情報記憶手段に記憶した基準運転情報はその基準地点における予め定めた基準速度であり、前記実運転情報は実車速であり、前記表示制御手段は、前記現在位置の実車速と前記基準位置における基準速度とに基づいてブレーキ開始距離を算出し、前記現在位置の実車速と予め設定された反応時間とで反応距離を算出し、前記ブレーキ開始距離及び前記反応距離とでブレーキランプ点灯の表示開始位置を求める。
【0016】
請求項13の発明は、請求項10〜12のいずれか1つに記載の運転支援装置において、前記地図データの道路上の予め定めた区間の道路形状情報を記憶した道路形状記憶手段と、仮想車両の各進行方向が認識できる複数の形態情報を記憶した形態情報記憶手段とを備え、前記表示制御手段は、前記現在位置検出手段から検出した現在位置と前記道路形状記憶手段に記憶した道路形状情報に基づいて、前記自車から見てその前方道路形状情報に対して他の車が走行するときのその時々で変化する走行姿勢に対応する前記仮想車両の形態情報を前記形態情報記憶手段から読み出して前記仮想車両を表示する。
【0017】
請求項14の発明は、請求項10〜13のいずれか1つに記載の運転支援装置において、前記表示制御手段は、前方を走行する他の車両の有無を検出する前方検出手段からの検出信号を入力し、前方に他の車両が走行している判断したとき、前記フロントガラス又は前記運転席の前方に設けた表示部に、前記仮想車両の形態及び前記運転操作指示を表示しない。
【0018】
請求項15の発明は、請求項10〜14のいずれか1つに記載の運転支援装置において、前記表示制御手段は、自車周辺の移動体の有無を検出する周辺検出手段からの検出信号を入力し、周辺に移動体がいないと判断したとき、前記フロントガラス又は前記運転席の前方に設けた表示部に、前記仮想車の形態及び前記運転操作指示を表示しない。
【0019】
請求項16の発明は、請求項10〜15のいずれか1に記載の運転支援装置において、前記地図データの道路上の予め定めた区間について、前記運転操作指示の禁止の有無の情報を記憶する表示可能情報を記憶する道路形状情報を記憶した表示可能情報を備え、前記表示制御手段は、現在位置の区間の表示可能情報が運転操作指示の禁止の表示可能情報でるとき、前記フロントガラス又は前記運転席の前方に設けた表示部に、前記運転操作指示を表示しない。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の発明によれば、自車の現在の実運転情報と基準地点のおける基準運転情報とに基づいて、前方を伴走するように表示される仮想車両及び指示によって、あたかも前方を走行する車両がその時々の道路形状に基づく運転操作が前方に表示される。従って、ドライバーは、事前に実際の道路形状を予測した的確な運転操作の指示を視認できる。
【0021】
請求項2の発明によれば、あたかも前方を走行する車両が道路形状に基づくその時々のブレーキ操作が、この仮想車両のブレーキランプの点灯で表示される。従って、ドライバーは、事前に実際の道路形状を予測した的確なブレーキ操作の指示を視認できる。
【0022】
請求項3の発明によれば、実運転情報と基準運転情報から点灯タイミングを決定するため、車両状態に合致したタイミングでブレーキランプを点灯させることができる。
請求項4の発明によれば、その時の実運転情報及びドライバーの反応時間を考慮した最適な点灯タイミングが決定される。
【0023】
請求項5の発明によれば、前方を走行する他車のように前方を伴走する仮想車両が前方の道路形状に応じて仮想車両のその道路形状に即して形態に表示が切り替わる。ドライバーは、あたかも前方を伴走するように表示される仮想車両によって事前に実際の道路形状を予測した的確な運転操作の指示を視認できる。
【0024】
請求項6の発明によれば、前方を走行する他車のように前方を伴走する仮想車両の指標が前方の道路形状に応じて仮想車両のその道路形状に即して切り替わる。ドライバーは、あたかも前方を伴走するように表示される仮想車両によって事前に実際の道路形状を予測した的確な運転操作の指示を視認できる。
【0025】
請求項7の発明によれば、運転操作の指示表示のタイミングは、その時々の実際の速度(実車速)に応じたタイミングとなる。
請求項8の発明によれば、前方を実際の車両が走行しているときには、その前方の他車に従った走行ができる。
【0026】
請求項9の発明によれば、周辺に移動体が近づいているときには、近づく移動体に注意を注ぐことができる運転操作の移行させることができる。
請求項10の発明によれば、現在位置に基づいて前方にある前記予め定めた基準地点の有無を検索し基準運転情報記憶手段からその基準地点とその基準地点に対する基準運転情報を読み出す。表示制御手段は、基準運転情報と自車の実運転情報とに基づいて、前方を自車と伴走する仮想車両を表示するとともに前方の前記基準地点の基準運転情報に対する自車の運転操作の指示を、フロントガラス又は運転席の前方に設けた表示部に表示する。
【0027】
これによって、前方を伴走するように表示される仮想車両及び指示によって、あたかも前方を走行する車両がその時々の道路形状に基づく運転操作が前方に表示される。従って、ドライバーは、事前に実際の道路形状を予測した的確な運転操作の指示を視認できる。
【0028】
請求項11の発明によれば、あたかも前方を走行する車両が道路形状に基づくその時々のブレーキ操作が、この仮想車両のブレーキランプの点灯で表示される。従って、ドライバーは、事前に実際の道路形状を予測した的確なブレーキ操作の指示を視認できる。
【0029】
請求項12の発明によれば、実速度と基準地点における基準速度とに基づいてブレーキ開始距離を算出し、実速度と反応時間とで反応距離を算出する。そして、ブレーキ開始距離と反応距離から表示開始位置を求めた。そして、自車が表示開始位置に到達すると、ブレーキランプの点灯した仮想車両の表示に切り替えることができる。従って、その時の実運転情報及びドライバーの反応時間を考慮した最適な点灯タイミングが決定される。
【0030】
請求項13の発明によれば、前方を走行する他車のように前方を伴走する仮想車両の指標が前方の道路形状に応じて仮想車両の形態が道路形状に即して切り替わる。ドライバーは、あたかも前方を伴走するように表示される仮想車両によって事前に実際の道路形状を予測した的確な運転操作の指示を視認できる。
【0031】
請求項14の発明によれば、前方を実際の車両が走行しているときには、その前方の他車に従った走行ができる。
請求項15の発明によれば、周辺に移動体が近づいているときには、近づく移動体に注意を注ぐことができる運転操作の移行させることができる。
【0032】
請求項16の発明によれば、例えば、スリップし易い区間等、ブレーキ操作をすると反対に適当でない区間を走行しているときには、ブレーキランプが点灯した仮想車両が表示されないことから、ドライバーはより信頼性の高い運転支援を受けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
(第1実施形態)
以下、本発明の運転支援装置の一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、自動車(以下、単に自車という)に搭載した運転支援装置の電気的構成を示すブロック回路図である。図1において、運転支援装置としてのナビゲーション装置(以下、ナビ装置という)10は、マイクロコンピュータよりなる制御部11を有している。表示制御手段、位置特定手段、読出手段、表示タイミング算出手段としての制御部11は、経路案内プログラムに従って現在地から目的地までの経路探索処理、現在地算出処理、経路を表示した地図を出力する経路案内処理等を行うとともに、その他、公知のナビ装置が行う各種の処理を行うようになっている。
【0034】
ナビ装置10は、表示装置12を備え、制御部11とバスを介して接続されている。表示装置12は、画像を表示するタッチパネル式の液晶表示装置であって、制御部11の制御に従って経路案内のための案内画像、現在位置を示す画像等が表示される。また、表示装置12は、タッチスイッチの機能を有し画面を指等で所定の位置を押すことにより、指等で押した画面上の位置を検知して、その位置に対応する経路案内等を行うための各種操作信号を制御部11に出力する。また、ナビ装置10は、運転支援及び前記経路案内を受けるために使用される各種操作スイッチからなる入力部13を備え、その各種操作スイッチの操作信号が制御部11に出力される。
【0035】
また、ナビ装置10は、地図データ記憶手段としての情報記憶装置14を備え、制御部
11とデータバスを介して接続されている。情報記憶装置14は、RAM、ROMや、ハード磁気ディスク、光ディスク等の外部記憶媒体等から構成されている。情報記憶装置14は、制御部11は実行する経路案内プログラム等のその他、公知のナビゲーション装置が行うプログラムが記憶されている。また、情報記憶装置14は、制御部11が目的地設定のために利用する目的地データ及び地図データや、制御部11が経路探索等に利用するノードデータ、リンクデータ、道路情報等が記憶されている。
【0036】
さらに、情報記憶装置14は道路形状記憶手段としての道路形状記憶部14aと基準運転情報記憶手段としての基準運転情報記憶部14bとを備えている。そして、道路形状記憶部14aには、道路状況情報としてのカーブ路を示すカーブ路情報15が記憶され、基準運転情報記憶部14bには、予め定めた地点(以下、基準地点という)における基準運転情報16が記憶されている。図2は、カーブ路情報15のデータ構成を説明するための模式図、図3は基準運転情報16のデータ構成を説明するための模式図である。
【0037】
図2に示すように、カーブ路情報15は、予め定めたカーブ路毎に設定され、そのカーブ路区間(道路区間)の始点と終点の各座標(ノード)、旋回方向、カーブ路区間内のノードデータ、曲率半径等のデータから構成されている。
【0038】
図3に示すように、基準運転情報16は、各基準地点毎に設定される。予め定めた複数の基準地点は、本実施形態では、前記カーブ路情報15の各カーブ路の始点(進入地点)としている。つまり、道路状況が変わって運転操作環境が変わり慎重な運転操作が要求される区間の進入地点としている。これら各カーブ路及び基準地点は、試験走行または計算等で対象となるカーブ路を求め、その求めたカーブ路に対して基準地点を設定している。
【0039】
そして、基準運転情報16は、図3に示すように、基準地点の座標(ノード)、その基準地点での走行速度(基準速度Vs)、及び表示可能情報としての運転支援表示の有無から構成されている。基準速度Vsは、その基準地点を始点とするカーブ路の曲率半径に対してスムースにコーナリングできる速度としている。運転支援表示の有無は、運転支援のためにブレーキ表示を行う必要があるかを決める情報であって、進入するカーブ路が例えば滑り易い路面であったり、曲率が30度以上であってブレーキ表示をすることが好ましくないカーブ路の場合にはブレーキ表示をしない情報が書き込まれる。これら、基準運転情報記憶部14bの基準速度Vs、及び運転支援表示の有無は、予め試験、実験または計算等で求めた値が、各基準地点毎に設定されている。
【0040】
情報記憶装置14は、フロントガラスGLのコンバイナCB(図5参照)に仮想車両IGの表示するための、その仮想車両IGの形態(キャラクタ)のデータ(形態情報)17を記憶した形態情報記憶手段としての形態情報記憶部14cを備えている。
【0041】
図4は各形態情報17の形態を説明するための模式図である。形態情報17は、複数種類用意されていて、仮想車両IGが直進している状態を後方から見た場合のブレーキランプLが消灯している形態17a1と点灯している形態17a2の形態情報17aがある。また、形態情報には、仮想車両IGが右旋回している状態を後方から見た場合の形態であってブレーキランプLが消灯している形態17b1と点灯している形態17b2の形態情報17bがある。さらに、形態情報17には、仮想車両IGが左旋回している状態を後方から見た場合であってブレーキランプLが消灯している形態17c1と点灯している形態17c2の形態情報17cが記憶されている。
【0042】
尚、仮想車両IGの直進、右旋回、左旋回の表示は、仮想車両IGの形態中の進行方向を示す指標Sで表現している。
情報記憶装置14は、制御部11が前記基準運転情報16及び形態情報17を利用して
フロントガラスGL(のコンバイナCB)にドライバーに対して運転操作を支援するための運転情報を表示するための運転支援プログラムを記憶している。運転支援プログラムは、運転支援プログラムは、その前方を走行している他の車両がいる場合を想定した仮想車両IGを道路形状に基づいてその向きを変える表示を制御部11に実行するプログラムである。運転支援プログラムは、前記基準地点より手前の位置においてドライバーがその基準地点を前記基準速度Vsで通過しスムースにコーナ路を走行するための運転操作指示の表示を制御部11に実行するプログラムである。
【0043】
制御部11は、データバスを介して現在位置検出手段としてのGPS(Global Positioning System)受信器18と接続されている。GPS受信器18は、車両(自車)の現在
位置、自車の方位等を衛星航法により検出する。
【0044】
さらに、ナビ装置10は、ヘッドアップディスプレイ19を備え、制御部11とバスを介して接続されている。ヘッドアップディスプレイ19は、制御部11の制御に基づいて前記情報記憶装置14の形態情報記憶部14cに記憶した形態情報17を読み出しその読み出した形態情報17の仮想車両IGをフロントガラスGLに設けたコンバイナCBに入射するようになっている。そして、図5〜図7に示すように、運転席のドライバーは、コンバイナCBを介してその仮想車両IGを認識することができる。
【0045】
因みに、図5は、形態情報17中のブレーキランプLが消灯している状態で直進している形態情報17aに基づく形態17a1の仮想車両IGを示す。図6は、形態情報17中のブレーキランプLが消灯している状態で右旋回している形態情報17bに基づく形態17b1の仮想車両IGを示す。図7は、形態情報17中のブレーキランプLが消灯している状態で左旋回している形態情報17cに基づく形態17c1の仮想車両IGを示す。尚、ブレーキランプLが点灯している仮想車両IGの場合は、図5〜図7に示す仮想車両IGの形態中ブレーキランプLの部分が、それぞれ図8に示すように点灯した状態となる。図9は、図5に示すブレーキランプLが消灯している状態から、ブレーキランプLが点灯した状態の仮想車両IGを示す。
【0046】
制御部11は、データバスを介して自車に搭載された電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)21との間で各種データを送受信可能になっている。ECU21は、
自車に装備された車速センサ22、前方検出手段及び周辺検出手段としての周辺検出センサ23の検出信号を入力する。ECU21は、車速センサ22、周辺検出センサ23のほかに各種センサからの検出信号を入力し、これら各信号に基づいて最適なエンジンの燃料噴射量、点火時期等、その他各種自動車のための制御を行う。
【0047】
車速センサ22は自車の走行速度を検出するセンサであって、ECU21は、車速センサ22の検出信号に基づいてその時々の実運転情報としての走行速度(実車速Vn)を算出しその実車速Vnを制御部11に出力する。周辺検出センサ23はレーザレーダ、ミリ波レーダ、超音波ソナー等からなり、自車の前方を含む周囲360度の移動体を検出する。制御部11は周辺検出センサ23の検出信号に基づいて自車の周辺の移動体の有無を検出し、その検出した移動体がどの方向にあって車からどれくらい離れているか算出する。尚、本実施形態では、制御部11は、移動体について他の自動車、自転車、歩行者、動物を識別できこれらを移動体として判断し、これら移動体がどの方向にあって車からどの位置にあるかを算出し移動体情報として制御部11に出力する。
【0048】
次に、上記のように構成したナビ装置10の作用について図10及び図11に示すフローチャートに従って説明する。図10及び図11は、ナビ装置10の制御部11の運転支援プログラムに基づく動作を示すフローチャートを示す。
【0049】
走行中の自車において、入力部13の操作スイッチを操作して運転支援モードに設定する。制御部11は、運転支援プログラムを実行する。制御部11は、その時々でGPS受信器18からの検出信号に基づいて走行中の車両(自車)の現在位置及び自車の方位を取得する(ステップS10)。続いて、制御部11は、ECU21から周辺検出センサ23の検出信号に基づく移動体がどの方向にあって自車からどの位置にあるかの移動体情報を取得する(ステップS11)。このとき、制御部11は、ECU21から車速センサ22の検出信号に基づいて走行中の車両(自車)の実車速Vnをあわせて取得するようになっている。
【0050】
ECU21から移動体情報を入力すると、制御部11は取得した移動体情報に基づいて走行中の道路前方300メートル以内に他の車両が走行していないかどうか判断する(ステップS12)。前方300メートル以内に他の車両が走行していないと判断すると(ステップS12でYES)、制御部11は取得した移動体情報に基づいて自車の周辺であって半径20メートル以内に自転車、歩行者、動物等の移動体がいないかどうかを判断する(ステップS13)。
【0051】
半径20メートル以内に移動体がいないと判断すると(ステップS14でYES)、制御部11はフロントガラスGLのコンバイナCBに運転操作を支援する仮想車両IGを表示させるための仮想車両表示処理動作を行う(ステップS14)。続いて、制御部11は入力部13の操作スイッチの操作により運転支援モードが解除されたかどうか判断する(ステップS15)。運転支援モードが解除されない場合には(ステップS15でNO)、制御部11はこのステップS10に戻る。
【0052】
従って、以後、運転支援モードが解除されるまで、ステップS15において仮想車両表示処理動作を行う。
尚、前記ステップS12において前方300メートル以内に他の車両が走行していると判断されたとき(ステップS12でNO)、制御部11は既に仮想車両IGを表示しているかを判断する(ステップS16)。そして、既に仮想車両IGを先の処理動作で表示されている場合(ステップS16でYES)、制御部11はその仮想車両IGの表示を終了して(ステップS17)、前記ステップS15に移る。反対に、仮想車両IGが表示されていない場合(ステップS16でNO)、制御部11は直ちに前記ステップS15に移る。
【0053】
同様に、ステップS13において半径20メートル以内に移動体がいると判断されたとき(ステップS13でNO)、制御部11はステップS16に移り前記と同じ処理動作をしてステップS15に移る。
【0054】
次に、ステップS14の仮想車両表示処理動作を、図11に従って説明する。
図11において、まず、制御部11は既に仮想車両IGが表示されているか判断する(ステップS20)。そして、制御部11は仮想車両IGが表示されていないと(ステップS20でNO)、制御部11は前記ステップS10で取得した現在位置と情報記憶装置14に記憶した地図データや、カーブ路情報15等とから、現在走行している道路区間の道路形状(直進、右旋回、左旋回)を求めその道路形状に基づいて形態情報(仮想車両IGのブレーキランプLが消灯している形態情報)17を選択する(ステップS21)。
【0055】
続いて、前方に道路区間の始点または終点(又は次のカーブ路の始点)があるかどうか情報記憶装置14の道路形状記憶部14aに記憶したカーブ路情報15を検索し、表示更新タイミングかどうか判断する(ステップS22)。制御部11による表示更新タイミングかどうかの判断は、検索の結果、始点または終点があった場合に、その時の実車速Vnで予め定めた基準時間tz(本実施形態では3秒後)走行したときの走行距離Mにあるか
演算する。
【0056】
つまり、制御部11は、実車速Vnと予め設定した基準時間tz(3秒)とを積算してその時の走行距離Mを求める。そして、制御部11は、図12に示すように、その始点(又は終点)P0より手前であってその求めた走行距離Mの地点(表示変更地点Pc)を算出する。そして、制御部11は、現在位置が表示変更地点Pcに到達したかどうか、即ち、表示更新タイミングかどうか判断する。
【0057】
そして、表示変更地点Pcに到達していない判断したとき(ステップS22でNO)、制御部11は、ステップS21で選択した形態情報17のブレーキランプLが消灯している仮想車両IGをヘッドアップディスプレイ19を介してフロントガラスGLのコンバイナCBに表示させる(ステップS23)。例えば、道路形状が直進であったときには、図5に示す仮想車両IGが表示される。
【0058】
反対に、表示変更地点Pcに到達した、即ち、表示更新タイミングになったと判断したとき(ステップS22でYES)、制御部11は次の区間の道路形状(直進、右旋回、左旋回)を求めその道路形状に基づいて新たな形態情報(仮想車両IGのブレーキランプLが消灯している形態情報)17を選択する(ステップS24)。そして、制御部11は、ステップS23で選択した新たな形態情報17のブレーキランプLが消灯している仮想車両IGをヘッドアップディスプレイ19を介してフロントガラスGLのコンバイナCBに表示させる(ステップS25)。例えば、道路形状が直進から右旋回になったときには、図5に示す仮想車両IGから図6に示す仮想車両IGが表示される。
【0059】
続いて、制御部11は、ブレーキ表示可能範囲かどうかの判断を行う(ステップS26)。制御部11は前方に基準地点があるかどうか情報記憶装置14の基準運転情報記憶部14bに記憶した基準運転情報16から検索する。制御部11は、基準地点が前方にある場合、その基準地点における基準運転情報16を読み出す。そして、制御部11は、基準運転情報16中の運転支援表示の有無の情報を抽出し、その有無に基づいて判断する。そして、運転支援表示が可能な場合(ステップS26でYES)、制御部11はステップS27に移り、ブレーキ開始地点Psの算出処理を行う。
【0060】
ステップS27において、制御部11は先に読み出した基準運転情報16の基準速度Vs、基準減速度(減速加速度)Ga、現在の実車速Vnから、ブレーキ開始地点Psを求める。図13は、ブレーキ開始地点Ps及び後記する表示開始位置Paを説明するための説明図である。まず、制御部11は基準地点P1で基準速度Vsで進入するためにブレーキ操作を開始するブレーキ開始距離Dを以下の関係式から求める。ここで、基準減速度Gaはドライバーが減速時に違和感を感じない減速度であり、例えば、−0.16[G]である。
【0061】
2Ga・D=Vs−Vn
D=(Vs−Vn)/2Ga
制御部11は、求めたブレーキ開始距離Dと前記基準地点P1からブレーキ開始地点Psの座標を求める。
【0062】
続いて、制御部11は表示開始位置Paを求める(ステップS28)。これは、求めたブレーキ開始地点Psでブレーキ操作を開始させるために、その操作を画像で表示して知らせる際に、その表示に反応してブレーキ操作するまでの遅れ(反応時間tx:本実施形態では1秒とする)が生じる。そして、この反応時間を考慮して表示開始位置Paが求められる。まず、制御部11は、現在の実車速Vnと、反応時間txから、表示に反応するまでの反応距離Nを以下の関係式から求める。
【0063】
N=Vn・tx
制御部11は、求めた反応距離Nと前記ブレーキ開始地点Psから表示開始位置Paの座標を求める。
【0064】
表示開始位置Paを求めると、制御部11は現在位置が表示開始位置Paに到達したかどうか判断する(ステップS29)。そして、現在位置が表示開始位置Paに到達していない場合(ステップS29でNO)、制御部11は、ステップS23またはステップS25で実行した仮想車両IGの表示状態のまま前記ステップS16に戻る。
【0065】
一方、現在位置が表示開始位置Paに到達すると(ステップS29でYES)、制御部11は、ブレーキランプLが消灯している形態情報17の仮想車両IGからブレーキランプLが点灯した形態情報17の仮想車両IGに切り替えて表示する(ステップS30)。例えば、図5に示すブレーキランプLが消灯している仮想車両IGから図9に示すブレーキランプLが点灯した仮想車両IGが表示される。つまり、制御部11は、情報記憶装置14の形態情報記憶部14cに記憶したブレーキランプLが点灯した形態情報17を読み出し、ヘッドアップディスプレイ19を介してコンバイナCBにその形態を表示する。従って、この時点で、ドライバーは、コンバイナCBに表示されたブレーキランプLが点灯した仮想車両IGを視認することになる。その結果、ドライバーは、このブレーキランプLの点灯を視認してブレーキペダルを操作し減速することができる。即ち、ドライバーは、あたかも前方を走行する他の車両が道路形状の変化によって(カーブ路に近づいて)減速したと判断してブレーキペダルを操作し減速する。つまり、ドライバーは、不慣れな道路を走行する時に、前方を伴走するように表示される仮想車両IGによって事前に実際の道路形状に即した的確な運転操作の指示を受けることができる。
【0066】
尚、前記ステップS20において、既に仮想車両IGが表示されている場合(ステップS20でYES)、制御部11は、表示されている仮想車両IGにブレーキランプLが点灯しているかどうか判断する(ステップS31)。ブレーキランプLが消灯している仮想車両IGの場合(ステップS31でNO)、制御部11は、前記ステップS22に移り以後前記と同様な処理を実行する。
【0067】
また、ブレーキランプLが点灯している仮想車両IGの場合(ステップS31でYES)、制御部11は、前記基準地点P1を通過したかどうか判断する(ステップS32)。
基準地点P1を通過していない場合(ステップS32でNO)、制御部11は、ブレーキランプLが点灯した仮想車両IGの表示状態を続行したまま前記ステップS16に戻る。
【0068】
反対に、基準地点P1を通過した場合(ステップS32でYES)、制御部11は、ブレーキランプLが点灯した仮想車両IGからブレーキランプLが消灯した仮想車両IGに切り替えて表示する(ステップS33)。つまり、制御部11は、情報記憶装置14の形態情報記憶部14cに記憶したブレーキランプLが消灯した形態情報17を読み出し、ヘッドアップディスプレイ19を介してコンバイナCBにブレーキランプLが点灯しない仮想車両IGを表示する。そして、制御部11は、ステップS16に戻る。
【0069】
従って、この時点で、コンバイナCBに表示された仮想車両IGはブレーキランプLが消灯した表示となる。その結果、ドライバーは、このブレーキランプLの消灯を視認してブレーキペダルの操作を解除することができる。即ち、ドライバーは、スムースに減速してカーブ路の始点(基準地点P1)を進入したと判断してブレーキペダル操作を解除する。つまり、ドライバーは、不慣れな道路を走行する時に、前方を伴走するように表示される仮想車両IGによって事前に実際の道路形状に即した的確な運転操作の指示を受けるこ
とできる。
【0070】
次に、上記のように構成したナビ装置10の効果について以下に述べる。
(1)本実施形態によれば、前方を走行する他車のように前方を伴走する仮想車両IGをフロントガラスGLに表示させるとともに、道路形状が変わる地点の手前の表示変更地点Pcに到達すると、仮想車両IGがその道路形状が変わる地点に即した形態の仮想車両IGの表示に切り替わるため、ドライバーは、あたかも前方を伴走するように表示される仮想車両IGによって事前に実際の道路形状を予測した的確なバンドル操作等の運転操作の指示を受けることができる。
【0071】
(2)本実施形態によれば、基準地点P1の手前にある表示開始位置Paに到達すると、ブレーキランプLが消灯した仮想車両IGから、運転支援をするためのブレーキランプLが点灯した仮想車両IGの表示に切り替えるようにした。従って、ドライバーは、あたかも前方を走行する車両が道路形状に基づくその時々のブレーキ操作が、この仮想車両IGのブレーキランプLの点灯で表示されるので、事前に実際の道路形状を予測した的確なブレーキ操作等の運転操作の指示を受けることができる。
【0072】
(3)本実施形態によれば、各基準地点P1において最適に走行するための基準速度Vsを予め設定した。そして、ブレーキ開始地点Psを、基準地点P1においてその基準地点P1の基準速度Vsとその時の実車速Vnで求めた。従って、その時の自車の走行速度(実車速Vn)の応じた最適なブレーキ開始地点Psを決定することができる。
【0073】
(4)本実施形態によれば、表示開始位置Paは、ブレーキ開始地点Psを求め、そのブレーキ開始地点Psから現在の実車速Vnと反応時間txとから求めた反応距離Nを考慮して求めた。従って、その時の自車の走行速度(実車速Vn)の応じた最適な表示開始位置Pa(反応距離N)を決定することができる。
【0074】
(5)本実施形態によれば、300メートル前方に他の車両が走行している場合には、仮想車両IGを表示しないようにした。従って、ドライバーは、前方を実際の車両が走行しているときには、その前方の他車に従った走行ができる。
【0075】
(6)本実施形態によれば、自車半径20メートル以内の周辺に移動体が存在する場合には、仮想車両IGを表示しないようにした。従って、ドライバーは、周辺に移動体が近づいているときには、近づく移動体に注意を注ぐことができる運転操作の移行させることができる。
【0076】
(7)本実施形態によれば、ステップS26において、ブレーキランプLを点灯表示するに適した区間を走行しているかをチェックした。従って、スリップし易い区間等、ブレーキ操作をすると反対に適当でない区間を走行しているときには、ブレーキランプLが点灯した仮想車両IGが表示されないことから、ドライバーはより信頼性の高い運転支援を受けることができる。
【0077】
尚、本実施形態において、ブレーキ開始距離D(=(Vs−Vn)/2Ga)を算出する時、その算出したブレーキ開始距離Dが正の値をとることを前提に説明したが、実車速Vnが基準速度Vs以下であって、ゼロまたは負の値となるときには、以後の表示開始位置Paの算出を行わずに、ステップS16に移り、先にブレーキランプLが消灯した仮想車両IGを続けるようにしてもよい。
【0078】
また、ブレーキ開始距離Dがゼロまたは負の値となっても、ステップS28において表示開始位置Paを算出した後、その算出した表示開始位置Paが、自車からみて基準地点
P1より後方の位置となる場合には、ステップS16に移り、先にブレーキランプLが消灯した仮想車両IGを続けるようにしてもよい。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0079】
本実施形態は、第1実施形態において、制御部11がステップS27及びステップS28が相違する。従って、その相違する点を詳細に説明し、その他の部分は説明の便宜上省略する。
【0080】
本実施形態では、制御部11は先に読み出した基準運転情報16の基準速度Vs及び基準減速度Ga、現在位置から基準地点までの距離Lxから、現在位置での推奨車速Vaを以下の式から求める。ここで、基準減速度Gaは、ドライバーが減速時に違和感を感じない減速度であり、例えば固定値、−0.15[G]である。
【0081】
2Ga・Lx=Vs−Va
制御部11は、現在の実車速Vnが求めた現在位置での推奨車速Va以上であるかどうか判断する。そして、実車速Vnが、推奨車速Vaより小さい場合、制御部11は、ステップS23又はステップS25で実行した仮想車両IGの表示状態のまま前記ステップS16に戻る。
【0082】
一方、実車速Vnが推奨車速Va以上である場合、制御部11は、ブレーキランプLが消灯している形態情報17の仮想車両IGからブレーキランプLが点灯した形態情報17の仮想車両IGに切り替えて表示する(ステップS30)。
【0083】
本実施形態によれば、現在位置の移動に合わせて、現在位置での推奨車速Vaと実車速Vnの比較を行い、ブレーキランプLの点灯タイミングを決定するようにしたので、リアルタイムな車両状態に合致したタイミングでブレーキランプLを点灯させることができる。
【0084】
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
○上記実施形態では、ステップS26でのブレーキ表示可能範囲かどうかの判断は、基準運転情報記憶部14bに記憶した基準運転情報16の運転支援表示の有無の情報に基づいて行った。これを、地図データ上に全てのリンク又はノードのデータに、運転支援表示の有無の情報を付加する。そして、制御部11は常時このリンク又はノードのデータに付加した運転支援表示の有無の情報に基づいて判断してもよい。
【0085】
また、道路形状記憶部14aのカーブ路情報15にこの運転支援表示の有無の情報を付加してブレーキ表示可能範囲かどうかの判断をおこなってもよい。
○上記実施形態では、フロントガラスGLに表示する仮想車両IGは、直進、右旋回、左旋回の区別を仮想車両IGの指標Sに認識できるようにしたが、図14に示すように、仮想車両IG自体の形向きが異なる形態情報17を用意して、指標Sに替えて進行する方向の向いた仮想車両IGで表現してもよい。
【0086】
因みに、図15は、形態情報17中のブレーキランプLが消灯している状態で直進している形態情報17aに基づく形態17a1の仮想車両IGを示す。図16は、形態情報17中のブレーキランプLが消灯している状態で右旋回している形態情報17bに基づく形態17b1の仮想車両IGを示す。図17は、形態情報17中のブレーキランプLが消灯している状態で左旋回している形態情報17cに基づく形態17c1の仮想車両IGを示す。
【0087】
また、この場合、第1実施形態で示した指標Sを合成して表示してもよい。
○上記実施形態では、ヘッドアップディスプレイ19を介してフロントガラスGL(コンバイナCB)に仮想車両IGを表示させるようにした。これを、運転席の前方に設けたインストルパネルの表示部に仮想車両IGを表示するようにしてもよい。要は、運転席から見てドライバーが運転に支障をきたさない視野範囲に表示装置を設け、その表示装置の表示部に仮想車両IGを表示するようにしてもよい。
○上記実施形態では、300メートル前方以内に他の車両が走行している場合には、仮想車両IGを表示しないようにしたが、この300メートルという距離を適宜変更して実施してもよい。
○上記実施形態では、自車半径20メートル以内の周辺に移動体が存在する場合には、仮想車両IGを表示しないようにしたが、この20メートルという距離を適宜変更して実施してもよい。
○上記実施形態では、道路形状情報としてカーブ路情報15、即ち、カーブ路に対してブレーキランプLの点灯表示を行うようにしたが、カーブ路以外のブレーキ操作が必要な、例えば、上り坂、下り坂または急に道幅が狭くなる道路、安全柵がない道路等を道路形状情報として記憶して実施してもよい。
○上記実施形態では、運転支援装置をナビゲーション装置10に具体化した。これを、自動車に搭載したナビ装置10と、同ナビ装置10と携帯電話網を介して情報の授受を行う情報管理センタとで運転支援装置を構成する。そして、ナビゲーション装置10はその時々の現在位置情報及び実車速Vnを情報管理センタを送信する。情報管理センタは、現在位置情報及び実車速Vnに基づいてフロントガラスGLに表示する仮想車両IGを選択し形態情報17をナビゲーション装置10を送信する。ナビゲーション装置10は、受信した形態情報17に基づいてヘッドアップディスプレイ19を介してフロントガラスGLに受信した形態情報17に基づく仮想車両IGを表示させる。
【0088】
この場合、ナビ装置10に、道路形状記憶部、基準運転情報記憶部14b、形態情報記憶部14cを設ける必要がないので、ナビ装置10を小型化することができるとともに、制御部11の負荷を軽減することができる。
○上記実施形態では、基準速度Vsは情報記憶装置14に予め記憶されているようになっている。情報記憶装置14には基準速度Vsを記憶せずに、道路形状記憶部14aに記憶されている曲率半径R、及び基準旋回重力Gbから基準速度Vsは以下の式により算出することができる。ここで、基準旋回重力Gbは、ドライバーがコーナー旋回中に違和感を感じない旋回重力であり、例えば、固定値、0.20[G]である。
【0089】
Gb=Vs/R
また、道路形状記憶部14aに曲率半径Rが記憶されていない場合には、ノードデータ、例えば隣接する3つのノードデータから、曲率半径Rを算出することができる。
○上記実施形態では、実運転情報として実車速Vnとし、基準運転情報として基準速度Vsとした。これら実車速Vn、基準速度Vsを、例えば、エンジン回転数、アクセルペダル踏み込み量、変速比等の少なくともいずれか1つ又はこれらを組み合わせたものを実運転情報及び基準運転情報として実施してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】第1実施形態の運転支援装置の電気的構成を示す説明するブロック回路図。
【図2】カーブ路情報のデータ構成を説明するための模式図。
【図3】基準運転情報のデータ構成を説明するための模式図。
【図4】各形態情報の形態を説明するための模式図である。
【図5】ブレーキランプが消灯している状態で直進する仮想車両の図。
【図6】ブレーキランプが消灯している状態で右旋回する仮想車両の図。
【図7】ブレーキランプが消灯している状態で左旋回する仮想車両の図。
【図8】ブレーキランプの点灯と消灯の場合の仮想車両を説明する説明図。
【図9】ブレーキランプLが点灯した状態で直進する仮想車両の図。
【図10】運転支援処理を説明するためのフローチャート。
【図11】同じく運転支援処理を説明するためのフローチャート。
【図12】表示変更地点の求め方を説明する説明図。
【図13】ブレーキ開始地点及び表示開始位置の求め方を説明する説明図。
【図14】その他別例の各形態情報の形態を説明するための模式図である。
【図15】別例の直進する仮想車両の図。
【図16】別例の右旋回する仮想車両の図。
【図17】別例の左旋回する仮想車両の図。
【符号の説明】
【0091】
10…運転支援装置としてナビゲーション装置(ナビ装置)、11…表示制御手段、位置特定手段、読出手段、表示タイミング算出手段としての制御部、12…表示装置、13…入力部、14…情報記憶装置、14a…道路形状記憶手段としての道路形状記憶部、14b…基準運転情報記憶手段としての基準運転情報記憶部、14c…形態情報記憶手段としての形態情報記憶部、15…道路形状情報としてのカーブ路情報、16…基準運転情報、17,17a,17b,17c…形態情報、18…現在位置検出手段としてのGPS受信器、19…ヘッドアップディスプレイ、21…電子制御装置(ECU)、22…車速センサ、23…前方検出手段及び周辺検出手段としての周辺検出センサ、12b…、12c…、21…、Vn…実運転情報としての実車速、Vs…基準速度、Va…推奨速度、GL…フロントガラス、CB…コンバイナ、IG…仮想車両、S…指標、L…ブレーキランプ、P1…基準地点、Pc…表示変更地点、Ps…ブレーキ開始地点、Pa…表示開始位置、tz…基準時間、tx…反応時間、D…ブレーキ開始距離、N…反応距離。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントガラス又は運転席の前方に設けた表示部に、前方を自車と伴走する仮想車両を表示するとともに、自車の現在の実運転情報と自車前方位置の予め定めた基準地点における予め定めた基準運転情報とに基づいて、自車の運転操作の指示を表示することを特徴とする運転支援方法。
【請求項2】
請求項1に記載の運転支援方法において、
前記運転操作の指示の表示は、ブレーキタイミングを前記仮想車両の形態中のブレーキランプの点灯で表示することを特徴とする運転支援方法。
【請求項3】
請求項2に記載の運転支援方法において、
前記仮想車両の形態中のブレーキランプの点灯タイミングは、前記実運転情報と前記基準運転情報とに基づいて決定することを特徴とする運転支援方法。
【請求項4】
請求項3に記載の運転支援方法において、
前記仮想車両の形態中のブレーキランプの点灯タイミングは、前記実運転情報と前記基準運転情報とに基づいて、ブレーキ開始距離を算出し、前記実運転情報と予め設定した反応時間から反応距離を求め、前記ブレーキ開始距離及び前記反応距離から表示開始位置を求め、その表示開始位置を点灯タイミングとして決定することを特徴とする運転支援方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の運転支援方法において、
前記仮想車両の形態は、自車前方位置の道路状況に基づいて、前記自車から見てその前方道路状況に対して他の車が走行するときのその時々で変化する走行姿勢の形態であること特徴とする運転支援方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の運転支援方法において、
前記仮想車両の形態は、自車前方位置の道路形状に基づいて、前記自車から見てその前方道路状況に対して他の車が走行するときのその進行方向を示す指標が合わせて表示させること特徴とする運転支援方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の運転支援方法において、
前記基準運転情報は、その基準地点における予め定めた基準速度であり、前記実運転情報は実車速であることを特徴とする運転支援方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載の運転支援方法において、
前方に他の車両が予め定めた距離走行していない時、前記フロントガラス又は運転席の前方に設けた表示部に、前記仮想車両及び前記運転操作の指示を表示することを特徴とする運転支援方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1つに記載の運転支援方法において、
自車周辺であって予め定めた範囲内に移動体がいない時、前記フロントガラス又は運転席の前方に設けた表示部に、前記仮想車両及び前記運転操作の指示を表示することを特徴とする運転支援方法。
【請求項10】
自車の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
地図データを記憶する地図データ記憶手段と、
前記地図データの道路上の予め定めた各基準地点に対する予め定めた基準運転情報を記憶する基準運転情報記憶手段と、
前記現在位置検出手段から検出した現在位置と、前記地図データ記憶手段に記憶した地図データとから、該地図データの道路上に自車の現在位置を特定する位置特定する位置特定手段と、
前記位置特定手段が特定する現在位置に基づいて、前方にある前記予め定めた基準地点の有無を検索し前記基準運転情報記憶手段からその基準地点とその基準地点に対する基準運転情報を読み出す読出手段と、
前記読出手段が読み出した基準地点に対する基準運転情報と自車の実運転情報とに基づいて、フロントガラス又は運転席の前方に設けた表示部に、前方を自車と伴走する仮想車両を表示するとともに前方の前記基準地点の基準運転情報に対する自車の運転操作の指示を表示する表示制御手段と
を備えたことを特徴とする運転支援装置。
【請求項11】
請求項10に記載の運転支援装置において、
前記運転操作の指示の表示は、前記仮想車両の形態中のブレーキランプの点灯であり、
前記表示制御手段は、前記基準地点に対する基準運転情報と前記自車の実運転情報とに基づいて、点灯タイミングを算出しその算出したタイミングで点灯表示することを特徴とする運転支援装置。
【請求項12】
請求項11に記載の運転支援装置において、
前記基準運転情報記憶手段に記憶した基準運転情報はその基準地点における予め定めた基準速度であり、前記実運転情報は実車速であり、
前記表示制御手段は、前記現在位置の実車速と前記基準位置における基準速度とに基づいてブレーキ開始距離を算出し、前記現在位置の実車速と予め設定された反応時間とで反応距離を算出し、前記ブレーキ開始距離及び前記反応距離とでブレーキランプ点灯の表示開始位置を求めることを特徴とする運転支援方法。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれか1つに記載の運転支援装置において、
前記地図データの道路上の予め定めた区間の道路形状情報を記憶した道路形状記憶手段と、
仮想車両の各進行方向が認識できる複数の形態情報を記憶した形態情報記憶手段と
を備え、
前記表示制御手段は、前記現在位置検出手段から検出した現在位置と前記道路形状記憶手段に記憶した道路形状情報に基づいて、前記自車から見てその前方道路形状情報に対して他の車が走行するときのその時々で変化する走行姿勢に対応する前記仮想車両の形態情報を前記形態情報記憶手段から読み出して前記仮想車両を表示することを特徴とする運転支援装置。
【請求項14】
請求項10〜13のいずれか1つに記載の運転支援装置において、
前記表示制御手段は、前方を走行する他の車両の有無を検出する前方検出手段からの検出信号を入力し、前方に他の車両が走行している判断したとき、前記フロントガラス又は前記運転席の前方に設けた表示部に、前記仮想車両の形態及び前記運転操作の指示を表示しないことを特徴とする運転支援装置。
【請求項15】
請求項10〜14のいずれか1つに記載の運転支援装置において、
前記表示制御手段は、自車周辺の移動体の有無を検出する周辺検出手段からの検出信号を入力し、周辺に移動体がいないと判断したとき、前記フロントガラス又は前記運転席の前方に設けた表示部に、前記仮想車の形態及び前記運転操作の指示を表示しないことを特徴とする運転支援装置。
【請求項16】
請求項10〜15のいずれか1に記載の運転支援装置において、
前記地図データの道路上の予め定めた区間について、前記運転操作指示の禁止の有無の情報を記憶する表示可能情報を記憶する道路形状情報を記憶した表示可能情報を備え、
前記表示制御手段は、現在位置の区間の表示可能情報が運転操作指示の禁止の表示可能情報でるとき、前記フロントガラス又は前記運転席の前方に設けた表示部に、前記運転操作指示を表示しないことを特徴とする運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−112962(P2006−112962A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−301807(P2004−301807)
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】