運転支援装置及び運転支援方法
【課題】運転者の自信度に応じた態様により運転支援を行う。
【解決手段】運転者の運転技量を判断する運転技量判断手段30と、運転者の主観的評価に基づく運転技量に対する自信度を判断する自信度判断手段40と、判断された運転技量と自信度に基づいて、情報取得手段10を介して取得した運転支援情報を提供する際の態様を決定する提供態様決定手段50と、決定された態様により運転支援情報を運転者に提供する提供手段60とを備える。
【解決手段】運転者の運転技量を判断する運転技量判断手段30と、運転者の主観的評価に基づく運転技量に対する自信度を判断する自信度判断手段40と、判断された運転技量と自信度に基づいて、情報取得手段10を介して取得した運転支援情報を提供する際の態様を決定する提供態様決定手段50と、決定された態様により運転支援情報を運転者に提供する提供手段60とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転を支援する運転支援装置及び運転支援方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の運転支援装置として、運転者の意識レベル、及び、運転者の年齢又は個人差を考慮して警報を出力するものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−317197号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、運転者の運転技量に対する自信度(自己評価)が異なる場合、同じ運転支援を行っても、運転者によっては支援を受け容れることができない場合があるという問題があった。
【0005】
本願発明が解決しようとする課題は、運転者の運転技量に対する自信度(自己評価)が異なる場合であっても、それぞれの運転者が受け容れ易い運転支援を行う運転支援装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、自車両の運転に関する運転支援情報を、複数の態様で提供する運転支援装置に係り、以下の解決手段によって上記課題を解決する。
【0007】
すなわち、本発明は、自車両側にて発生した運転支援情報と、自車両に関する車両情報又は運転者の運転技量情報の少なくとも一方を取得する情報取得手段と、車両情報又は運転技量情報に基づいて運転者の運転技量を判断する運転技量判断手段と、運転者の入力情報に基づいて当該運転者の運転技量に対する自信度を判断する自信度判断手段と、を備える。
【0008】
さらに、本発明は、運転技量判断手段により判断された運転技量と、自信度判断手段により判断された自信度とに基づいて、取得した運転支援情報の提供の態様を決定する態様決定手段と、この決定された態様により運転支援情報を運転者に提供する提供手段と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、運転者の運転技量に対する自信度(自己評価)が異なる場合であっても、それぞれの運転者が受け容れ易い運転支援を行う運転支援装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
《第1実施形態》
図1は本実施形態に係る運転支援装置を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る運転支援装置100は、経路誘導情報や障害物警報など自車両側にて発生した運転支援情報、自車両の動きに関する車両情報、運転者の運転技量情報を含む情報を取得する情報取得手段1を備える。経路誘導情報は、自車両側に搭載されたナビゲーション装置200から取得し、障害物警報は警報装置300から取得する。また車両の挙動に応じて発生する車両情報は車両コントローラ400から取得することができ、運転者の運転技量情報は、車両コントローラ400のユーザメモリから読み出すことができる。
【0013】
また、本実施形態に係る運転支援装置100は、取得した車両情報又は運転技量情報に基づいて運転者の運転技量を判断する運転技量判断手段30と、音声入力装置600を介して運転者により入力された入力情報に基づいて運転技量に対する自信度を判断する自信度判断手段40とを有する。
【0014】
さらに、運転支援装置100は、この判断された運転技量と自信度に基づいて取得した運転支援情報の提供の態様を決定する態様決定手段50と、決定された態様により運転支援情報を提供する提供手段60とを備える。
【0015】
また、本実施形態に係る運転支援装置100は、運転支援情報を提供する際の態様を、走行シーンごとに決定する観点から、自車両の車載装置から取得した車両情報に基づいて、自車両の走行シーンを判断する走行シーン判断手段20をさらに備えることができる。判断された走行シーンは運転技量判断手段30及び自信度判断手段40へ送出され、運転技量、自信度のそれぞれに対応づけられて記憶される。運転技量及び自信度は、カーブや、車線変更、高速道路、山道などの走行シーンごとに変化するので、走行シーンごとに自信度を評価することができる。なお、走行シーン判断手段20は、車両情報以外の経路誘導情報や障害物警報情報に基づいて、運転支援情報に係る走行シーンを判断することができる。
【0016】
運転技量判断手段30は、車両情報又は運転技量情報に基づいて、運転者の運転技量を客観的に判断する。本実施形態の運転技量算出部31は、ナビゲーション装置200から車両情報に含まれる走行軌跡を取得する走行軌跡取得部311と、同じくナビゲーション装置200から自車両が走行する道路の規範走行モデルを取得する規範走行モデル取得部312と、運転技量算出部312とを有する。この運転技量算出部312は、走行軌跡取得部311が取得した自車両の走行軌跡と、規範走行モデル取得部312が取得した自車両が走行する道路の規範走行モデルとをマッチングし、規範走行モデルに対する自車両の走行軌跡の乖離度に基づいて運転者の運転技量を算出する。
【0017】
また、運転技量算出手段30は、事前に入力され、車両コントローラ400のユーザメモリに記憶された、運転者の年齢、身体機能データ、運転適正検査の結果、運転技量に関するアンケートへの回答などの運転技量情報に基づいて運転者の運転技量を判断することも可能である。
【0018】
さらに、運転技量算出手段30は、車両コントローラ400に記憶された車両操作履歴に基づいて、アクセルブレーキ操作の滑らかさ、ステアリングの滑らかさにより運転者の運転技量を判断することも可能である。ちなみに、車両コントローラ400は、図1に示すように車速センサ、エンジン回転数センサ、アクセル開度センサ、ブレーキ操作センサ、操舵角センサ及びシフトポジションセンサを有し、各車両情報を時間情報とともに取得する。その他、特開2006-277256号公報に開示された手法を用いることもできる。
【0019】
これらの運転技量の判断結果は数値化して態様決定手段50へ出力される。判断結果の数値化は、自信度と共通した指標に基づいて行うことが好ましい。たとえば、高度、中度、及び低度と3段階に区分けしてもよいし、5段階評価としてもよい。
【0020】
次に、運転者の運転技量に対する自己評価である自信度の判断について説明する。自信度判断手段40は、主観的自信度算出部41を有し、運転者の入力情報に基づき運転技量に対する自信度を判断する。本実施形態における運転者の自信度は、運転者自身の運転技量に対する自己評価である。主観的自信度算出部41は、運転者の自信度を運転者からの発話入力に基づいて判断する。
【0021】
本実施形態では、音声入力装置600のマイク610を介して入力された運転者の発話を発話データ取得部411が取得し、自信度算出部31が取得した発話データの内容に基づいて運転者の自信度を算出する。具体的には、運転中に運転者自身に運転技量に対する自己評価(運転の困難度又は運転の容易度)を5段階評価で発話させてもよい。
【0022】
入力情報の取得に際して、音声対話技術を用いることができる。例えば、ナビゲーション装置200が交差点などの所定の走行シーンの通過を判断した際に、音声入力装置600の音声合成エンジン640が「“ポン”、先ほどの交差点の運転は難しかったですか?」又は「“ポン”、運転は負担が高かったですか?」といった問いかけを音声合成し、スピーカ630を介して出力する。運転者はこの問いに対して、自分が感じた自信度(困難度又は容易度)を「5点」「1点」と言ったように数値評価により答える。音声認識機能620は発話データの内容を解析し、解析した数値評価を自信度判断手段40へ送る。
【0023】
また、運転者の自由発話の内容に基づいて自信度を評価することができる。例えば、運転者の発話から「とても疲れた」「疲れた」「あ〜あ」「楽チン」等の運転負担・困難度に関するキーワードを抽出する。抽出されたキーワードに基づいて、予め定義した「とても疲れた」=10点、「疲れた」=5点といった評点テーブルを参照し、運転者の自信度を算出することができる。
【0024】
さらに、一般的なテキストマイニング技術(例えば、SPSS社製ソフトウェアーText Mining for Clementine)を用いて、発話データの内容に基づいて自信度を評価することもできる。これらの自信度の判断結果は数値化して態様決定手段50へ出力することができる。
【0025】
次に、態様決定手段50について説明する。態様決定手段50は、運転技量判断手段30により判断された運転技量と、自信度判断手段40により判断された自信度とに基づいて、取得した運転支援情報を提供する際の態様を決定する。
【0026】
ところで、本実施形態の運転技量は、車両情報や運転技量情報に基づいて判断された客観的な評価である。他方、自信度は、運転者の入力情報に基づいて判断された主観的な評価である。これら客観的な運転技量と主観的な運転技量(運転技量に対する自信度)は一致することもあるが、個人の性格特性の影響を受け、一致しない場合が多い。
【0027】
図2は運転技量と自信度との関係を示す。図2に示すように、運転技量と自信度との関係は、客観的な運転技量が低いにもかかわらず主観的な自信度が高い自身過剰傾向を示す場合、客観的な運転技量が高いにもかかわらず主観的な自信度が低い自信喪失傾向を示す場合、客観的な運転技量と主観的な自信度がほぼ同じ適正評価の場合がある。
【0028】
本願発明者の分析によれば、自信過剰傾向にある運転者の運転支援に対する受容度(受け容れ易さ)と、自信喪失傾向にある運転者の運転支援に対する受容度とには、異なる傾向があることが判った。すなわち、自己の運転技量を過大に評価する自信過剰な運転者は、運転支援情報を煩わしく思う傾向があり、提供された運転支援を素直に受け容れない傾向がある。一方、自己の運転技量を過小に評価する自信過小な運転者は、運転支援情報に過敏に反応し、提供された運転支援を従順に受け容れる傾向がある。
【0029】
本願発明は、客観的な運転技量と主観的な自信度によって運転支援の受容度度が異なる点に着目し、運転者が受け入れやすい態様で運転支援情報を提供する。
【0030】
本実施形態の態様決定手段50は、運転技量と自信度とを対比し、運転者の運転技量に対する自信度を評価する。なお、本実施形態では、走行シーンごとの運転技量と走行シーンごとの自信度を対比して、走行シーンごとに自信度を評価することができる。
【0031】
そして、本実施形態の態様決定手段50は、運転者の自信度を、図2に示すように過大評価(自信過剰)、過小評価(自信過小)及び適正範囲の3段階で評価する。本例では説明の便宜のため3段階評価としたが、さらに多段階の評価段階を設けることもできる。
【0032】
この態様決定手段50は、運転者の自信度の評価に基づいて、運転支援情報の提供の態様を決定する。本実施形態の運転支援情報の提供の態様は、運転支援情報をどのように(提供媒体、提供手法、提供態様など)、運転者に伝えるかという観点から、複数の態様に区分することができる。
【0033】
図3に運転支援情報を提供するための複数の態様をツリー状に示した。図3に示すように、一つの運転支援情報Aに対して、運転者の視覚に刺激を与える視覚的態様、運転者の視覚に刺激を与える聴覚的態様、運転者の触覚に刺激を与える触覚的態様の三種類がある。さらに、視覚的態様、聴覚的態様、及び触覚的態様は、明示的態様と暗示的態様を含む。明示的態様は運転者の情報認識率が所定の閾値以上である態様であり、暗示的態様は運転者の情報認識率が所定の閾値未満である態様である。
【0034】
図4に、明示的態様と暗示的態様の具体例を示した。明示的態様と暗示的態様は、運転者の情報認識率に影響を与える因子や閾値に基づいて区分される。例えば、文字による表示は、その意味内容を直接的に伝達するから明示的態様であり、図形による表示は、その意味内容を感覚的な形象により間接的に伝達するから暗示的態様である。また、70dB以上の音量による音声出力は、運転者が確実に聞き取れるため明示的態様であり、40dB以下の音量による音声出力は、運転者が聞き流す可能性もあるため暗示的態様である。さらに、5Hz以上の振動による提示は、運転者が確実に気づくため明示的態様であり、1Hz以下の振動による提示は、運転者が気づかない場合もあるため暗示的態様である。また、触覚に刺激を与える態様としては送風によるものや、嗅覚を刺激するものも利用することができる。
【0035】
これら明示的態様と暗示的態様を区分するための閾値や要因は、図4に示したものに限定されることなく、適宜定義することができる。なお、運転者の情報認識率は、運転者の感覚、車室環境、提供デバイス(ディスプレイ、スピーカ)に応じて異なるため、この閾値は予め実験的に求めることが好ましい。
【0036】
また、図3に示すように、各明示的態様及び暗示的態様は、前置時間の長い態様と前置時間の短い態様を含む。前置時間とは、運転支援に対応する行動が実際に行われるタイミングまでの時間(いわゆるTTE:Time to Event)である。具体的に、「交差点左折」という運転支援情報は、通常、その交差点を通過する前に提供される。前置時間(以下「TTE」とも言う)は、運転支援情報を提供してから、その支援に係る行動をするまでの時間である。なお、図3では省略したが、聴覚的態様の暗示的態様、触覚的態様の暗示的態様も、視覚的態様と同様に、前置時間の長い態様と短い態様を含む。
【0037】
図5は、視覚的態様で提供される明示的態様(文字)を暗示的態様(図形)の具体例を示す図である。明示的態様と暗示的態様のそれぞれは、前置時間(TTE)が異なる3つの態様(明1(TTE長),明2(TTE中),明3(TTE短),暗1(TTE長),暗2(TTE中),暗3(TTE短))を含む。
【0038】
明1(TTE長)の態様によれば、右折誘導支援に係る交差点への到着10秒前(1Km前)に、右折誘導情報を提供する。前置時間(TTE)を長くとることにより、運転者は運転戦略を立て易くなる。つまり、右折に備えて、車線変更を行うなどの円滑な運転を計画することができる。他方、明3(TTE短)の態様によれば、現在地から右折交差点に至るまでの3箇所の交差点について、それぞれ到着3秒前に、直進又は右折誘導の情報を提供する。前置時間(TTE)を短くとると、直ぐ近くの交差点について細かい支援を行うことができる。
【0039】
態様決定手段50は、運転者の運転技量に対する自信度の評価に基づいて、取得した運転支援情報を提供する際の態様を、明示的態様若しくは暗示的態様、又は明示的態様及び暗示的態様の組み合わせ態様のいずれかに決定する。
【0040】
図6に、提示の態様例を自信度の評価に重ねて示した。図6に示すように、本実施形態では、明示的態様と暗示的態様とを組み合わせた態様で運転支援情報を提供する。もちろん、明示的態様のみ又は暗示的態様のみで運転支援情報を提供することもできる。
【0041】
同図に示すように、態様決定手段50は、運転者の自信度を自信過剰であると評価した場合、暗示的態様のみ又は暗示的態様を明示的態様よりも多く含む組み合わせ態様を提供の態様として決定する。このようにしたのは、自信過剰な運転者は、提供された運転支援を煩いと感じ、これを受け容れない傾向があるからである。つまり、自信過剰な運転者に対して、大きな音や点滅表示等で運転支援情報を明示的に提示すると、提供された支援に却って反発したり、支援機能自体を停止してしまうことがある。これに対し、本実施形態では、自信過剰な運転者に対して運転支援情報を、さりげない暗示的態様で提示するため、自信過剰な運転者であっても比較的素直に運転支援を受け容れるように仕向けることができる。このように、自信過剰な運転者の運転支援情報に対する受容度を向上させることにより、運転支援情報が実際の運転に活用されるようにすることができる。
【0042】
さらに、態様決定手段50は、運転者の自信度を自信過小であると評価した場合、明示的態様のみ又は明示的態様を暗示的態様よりも多く含む組み合わせ態様を提供の態様として決定する。自信過小な運転者は、運転支援情報を慎重に聞き取り、提供された運転支援情報に対して従順に反応する傾向がある。このように自信過小な運転者に対して、運転支援情報を小さい音や、小さい表示エリア等で暗示的に提示すると、はっきりしない情報に注意を向けなければならず、ストレスとなってしまう場合がある。このため、自信過小な運転者に対しては、明示的な態様で運転支援情報をはっきりと提示する。これにより、自信過小な運転者は明示的に提供された運転支援情報に従い、適切な運転をすることができる。
【0043】
具体的には、図6に示すように、自信過剰と評価された運転技量「低」かつ自信度「中」の場合、暗示的態様のみ又は暗示的態様を暗示的態様よりも多く含む組み合わせ態様とする。他方、自信過小と評価された運転技量「高」かつ自信度「中」の場合、明示的態様のみ又は明示的態様を暗示的態様よりも多く含む組み合わせ態様とする。
【0044】
また、同図に示すように、態様決定手段50は、運転技量が高いほど明1,暗1といった前置時間が長い態様を多く含む組み合わせとし、運転技量が低いほど明3,暗3といった前置時間が短い態様を多く含む組み合わせとすることができる。前述したように、前置時間が長いほど運転戦略を立て易い。自分で運転戦略を立てることができる運転技量の高い運転者に対しては、早めに運転支援情報を提供することにより、円滑な運転を支援することができる。
【0045】
図7は、提供の順序を予め定義した明示的態様と暗示的態様の組み合わせ態様を示す図である。同図に示すように、態様決定手段50は、運転者の自信度を自信過剰であると評価した場合、暗示的態様による提供が明示的態様による提供よりも先に行われるように順序を定義した組み合わせ態様を提供の態様として決定する。このようにしたのは、自信過剰な運転者は、提供された運転支援を煩いと感じ、これを受け容れない傾向があるからである。本実施形態では、最初に、暗示的な態様でさりげなく情報を提供することにより、運転支援情報を受け容れ易くすることができる。
【0046】
他方、態様決定手段50は、運転者の自信度を自信過小であると評価した場合、明示的態様による提供が暗示的態様による提供よりも先に行われるように順序を定義した組み合わせ態様を提供の態様として決定する。自信過小な運転者に対しては、最初に、明示的な態様ではっきりと運転支援情報を提供することにより、運転支援を聞き逃さないようにしている運転者にストレスを与えずに運転支援を行うことができる。
【0047】
具体的には、図7に示すように、自信過剰と評価された運転技量「低」かつ自信度「中」の場合、暗示的態様による提示を先に行うようにし、他方、自信過小と評価された運転技量「高」かつ自信度「中」の場合、明示的態様による提示を先に行うようにする。
【0048】
以上のように、態様決定手段50は運転支援情報の提供の態様を決定する。決定した提供の態様は提供手段60に送られ、提供手段60は決定された態様により運転支援情報を運転者に提供する。
【0049】
本実施形態の提供手段60は、視覚情報を提供するディスプレイ61と、聴覚情報を提供するスピーカ62と、触覚情報を提供できる振動体63を備える。提供手段60は、決定された態様に従い、運転支援情報を音声、テキスト表示、画像表示、及び/又は振動により運転者に提供する。
【0050】
次に、図8に示すフローチャートに基づいて、本実施形態に係る運転支援装置の動作について説明する。
【0051】
まず、車両コントローラ400から自車両の停止解除信号を取得した場合(100)、ステップ101へ進む。一方、停止解除状態にならない場合は、停止解除信号を取得するまで待機する。
【0052】
次に、走行シーン判断手段20は、ナビゲーション装置200、警報装置300、車両コントローラ400から取得した情報に基づいて、自車両の走行シーンを判断する(101)。この走行シーンの判断結果は時間とともに記憶され、運転技量判断手段30、自信度判断手段40へ送出される。
【0053】
運転技量判断手段30は、車両コントローラ400から取得した運転者の車両操作履歴と、自車両が走行する道路の規範走行モデルに基づいて運転者の運転技量を判断する(103)。このとき走行シーンの判断結果と車両操作履歴とを対応づけて、走行シーンごとの運転技量を判断することもできる。
【0054】
さらに、自信度算出手段40は、運転者の発話による入力情報に基づいて、運転者の運転技量に対する主観的な自信度を判断する。
【0055】
次に、態様決定手段50は、ステップ103で判断された運転技量と、ステップ104で判断された自信度とを対比し、運転者の運転技量に対する自信度を評価する。
【0056】
図2に示す評価指標を参照して、自信度が自信過剰と判断された場合(105でY)、暗示的提供態様が明示的態様よりも多い態様、及び/又は暗示的態様が明示的態様よりも先に提示される態様を、運転支援情報の提供態様として決定する(106)。
【0057】
さらに自信度が自信過小と判断された場合(107でY)、明示的態様が暗示的態様よりも多い態様、及び/又は先に明示的態様が暗示的態様よりも先に提示される態様を、運転支援情報の提供態様として決定する(108)。
【0058】
運転者の自信度が、自信過剰でもなく、自信過小でもない、運転技量に見合った適正な自信度である場合(107でN)、明示的態様と暗示的態様とを同等に含む組み合わせ態様を運転支援情報の提供態様として決定する(109)。提供手段は、決定された態様により、運転支援情報を提供する(110)。
【0059】
以上のように、構成され、動作する本実施形態の運転支援装置100は、以下の効果を奏する。
【0060】
運転者の運転技量に対する自信度という個人の心理特性に応じた態様により運転支援を行うため、運転者の運転支援情報に対する受容度を高めることができる。
【0061】
さらに、運転者の自信度と客観的な運転技量との対比によって自信度を評価することができるため、自信過剰又は自信過小と評価された運転者に応じて、適切な態様で運転支援情報を提供することができる。
【0062】
また、本実施形態の運転支援装置は、運転支援情報に耳を貸さない傾向を示す自信過剰な運転者に対しては、暗示的な態様を多く利用して、さりげなく運転支援情報を提供することにより、運転支援情報を受け容れやすくすることができる。他方、運転支援情報に対して従順に従う自信過小な運転者に対しては、明示的な態様を多く利用して、はっきりと運転支援情報を提供することにより、ストレスを感じさせることなく運転支援情報が利用できるようにすることができる。なお、運転技量と自信度が同等である運転者には、明示的態様と暗示的態様とをバランス良く用いて運転支援情報を提供することができる。
【0063】
加えて、自信過剰な運転者に対して、暗示的態様による提供を明示的態様による提供よりも先に行うことにより、運転支援情報の受容度を向上させるなど、上述の効果を得ることができる。また、自信過小な運転者に対して、明示的態様による提供を暗示的態様により提供よりも先に行うことにより、自信過小な運転者に対してストレスを与えることなく運転支援情報を提供することができる。
【0064】
さらに、運転技量が高い運転者に対しては、情報提供タイミングから支援実行タイミングまでの前置時間が長い態様で運転支援情報を提供することにより、自分で運転戦略を立てることができる運転技量の高い運転者に対しては、早めに運転支援情報を提供することにより、円滑な運転を支援することができる。
【0065】
なお、自信過剰な運転者は、自己の運転技量を過信して無理な運転をするおそれがあり、他方、自信過小な運転者は、自己の運転技量を過小に評価して運転技量の向上に努めないおそれがある。このような自信過剰又は自信過小の運転者にこそ運転支援が必要となるところ、自信過剰又は自信過小といった心理特性によって運転支援を受容しない傾向が高い。本実施形態の運転支援装置100によれば、自信過剰の運転者及び自信過小の運転者の運転支援に対する受容性を向上させることができる。
【0066】
《第2実施形態》
次に、第2実施形態を図9〜図12に基づいて説明する。
【0067】
本実施形態は、運転者の自信度を正確に評価する観点から、発話等により判断した主観的な自信度を、サブタスク成績、生体信号等の客観因子に基づいて補正することを特徴とする。
【0068】
図9は、本発明の第2実施形態に係る運転支援装置200を示すブロック図である。
【0069】
本実施形態の運転支援装置において、情報取得手段10、走行シーン判断手段20、運転技量判断手段30、自信度判断手段40、提供態様決定手段50、及び提供手段60は、図1に示す第1実施形態と同じ構成であるので、ここに援用してその説明を省略し、本実施形態において特徴的な構成を中心に説明する。
【0070】
図9に示すように、本実施形態の自信度判断手段40は、第1実施形態で説明した構成に加えて、さらに、運転者の発話などに基づいて主観的な自信度を算出する主観的自信度算出部41と、この主観的な自信度を客観因子に基づいて補正する自信度補正部42とを有する。
【0071】
各構成について説明する前に、本実施形態の特徴点について説明する。先に説明した第1実施形態では、運転技量と主観的な自信度とを対比して、運転者の自信度を評価した。しかし、この自信度は自己評価に基づく主観的なものであり、個人の心理特性の影響を受け易い。特に、高齢の運転者は、内心よりも高い自信度を表明する傾向が顕著に現れる。図10は、若年ドライバと高齢ドライバの、走行シーンごとの運転困難度に対する主観評価と客観評価の調査結果を示す図である。大文字A〜Fで示すポイントが若年ドライバの評価で、小文字a〜fが高齢ドライバの評価である。大文字A〜Fと小文字a〜fは同じ走行シーンに対応する。図10に示すように、高齢ドライバは、困難性が高いという客観評価を受けた走行シーンについても、主観評価は容易としている。全体を見ても、主観評価はすべての走行シーンで「容易」に偏っている。すなわち、高齢の運転者は、かなりの負荷を感じながら運転をしているにもかかわらず、運転に対する自信を尋ねると「大丈夫」と答えてしまう傾向がある。その原因としては、視力、聴力、運動反応性のいずれもが加齢とともに低下するが、このような身体能力の低下を自認しないこと、さらに過去の高い運転技量の記憶を現在に適用してしまうこと、運転技量が低下してしまった事実を認めないこと等が挙げられる。このため、主観的自信度算出部41は、運転者の内心の自信度よりも高い値(自信度)を算出してしまう場合がある。
【0072】
このような食い違いを是正するため、本実施形態は、算出した主観的な自信度を、サブタスク成績、生体信号等の客観因子(客観的困難度)に基づいて補正する。
【0073】
図11は、運転技量と自信度と客観因子との関係を示す図である。第1実施形態では、運転技量と自信度との関係に着目したが、本実施形態ではさらに客観因子を加える。自信度は、客観因子に基づいて補正することができる。そして、補正後の自信度と運転技量とを対比して運転技量に対する自信度を適正に評価することができる。また、運転技量は、客観因子に基づいて補正することができる。補正後の運転技量と自信度を対比して運転技量に対する自信度を適正に評価することができる。
【0074】
図9に戻り、本実施形態の自信度補正部42について説明する。この自信度補正部42は、装置外部のサブタスク試験装置800からその成績を取得する試験成績取得部421を有する。本実施形態のサブタスク試験装置800は、自信度の判断時に、運転者に対して視覚刺激を提示し、その視覚刺激の内容に気付いたら、手元のスイッチを押すといったサブタスクや、音声情報の復唱を行うサブタスク、又は暗算計算を行うサブタスクを与えるサブタスク試験(反応試験)を行う。試験成績取得部421は、このサブタスク試験の試験成績を取得する。
【0075】
そして、自信度補正部42は、運転者のサブタスク試験(反応試験)に対する正答率や反応時間などの成績に基づいて、運転に対する客観的困難性を算出する。ちなみに、この試験成績は、各走行シーンに対応づけて走行シーン記憶部423に記憶させてもよい。そうすれば、走行シーンごとの反応試験成績に基づいて走行シーンごとに自信度を補正することができる。
【0076】
具体的に、自信度補正部42は、取得した試験成績と、主観的な自信度とを対比し、試験成績と自信度との間に乖離がある場合、自信度を補正する。例えば、主観的な自信度が高いにもかかわらず、サブタスクの試験成績が悪い場合、算出した自信度を低くする補正をする。補正幅は、乖離の度合いに対応づけて予め定義する。このように補正するのは、運転に対する主観的自信度が高い場合、余裕があるはずであり、与えられたサブタスクの成績も高いはずだからである。こうして、主観的な自信度を、サブタスク試験によって得られた客観的困難性に基づいて補正することにより、運転者の内心にある真の自信度を求めることができる。
【0077】
また、自信度補正部42は、装置外部の生体信号取得装置700からその検出信号を取得する生体信号取得部422を有する。本実施形態の生体信号取得装置は、ステアリングホイール、シート座面下、シートベルトに取り付けられた心拍センサ710と、ステアリングホイールおよびシフトノブ等に取り付けられた皮膚抵抗センサ720と、ヘッドレスト部、着脱可能な帽子に取り付けられた脳波・脳血流センサ730を含み、自信度の判断時に運転者の体から心拍、皮膚抵抗、脳波、脳血流(酸素化ヘモグロビン、脱酸素化ヘモグロビン)に関する信号を取得する。
【0078】
生体信号取得部422は、これら生体信号取得装置700の各センサから、生体信号を取得する。そして、自信度補正部42は、運転者の生体信号に基づいて運転に対する客観的困難性を算出する。ちなみに、この生体信号は、各走行シーンに対応づけて走行シーン記憶部423に記憶させてもよい。そうすれば、走行シーンごとにの生体信号に基づいて走行シーンごとの自信度を補正することができる。
【0079】
具体的に、自信度補正部42は、取得した自信度を算出した際(発話した際)の生体信号と平常時の生体信号とを比較する。比較の結果、自信度を算出した際の生体信号が平常時と異なる緊張状態を示す値又は波形を示す場合、自信度を補正する。例えば、主観的な自信度が高いにもかかわらず、生体信号が生体の緊張状態を示す場合、算出した自信度を低くする補正をする。運転に対する主観的自信度が高い場合、運転者はリラックスしているはずであり、検出した生体信号も平常乃至リラックス状態(非緊張状態)となるはずだからである。なお、補正幅は、緊張状態の程度に応じて予め対応づけておいてもよいし、緊張状態が示された時間に応じて予め対応づけておいてもよい。ちなみに、緊張状態の生体信号は、うそ発見器(ポリグラフ)に用いられるうそをついたときの生体信号をモデルとすることもできる。このように、主観的な自信度を、生体信号から得られた客観的困難性に基づいて補正し、運転者の内心にある真の自信度を算出することができる。
【0080】
加えて、本実施形態では、運転時の反応試験成績(サブタスク成績)、運転時の生体信号を、運転技量の補正にも利用することができる。運転技量補正部32は、サブタスク試験装置800から反応試験の成績を取得する成績取得部321と、生体信号取得手段700から生体信号を取得する生体信号取得部322とを有する。具体的に、運転技量補正部32は、判断した運転技量の高さとサブタスクの成績の高さとが異なる傾向を示す場合、運転技量を補正する。具体的には、運転技量が高いにも関わらず、サブタスクの成績が悪い場合は、運転技量の評価を下げる。また、運転技量補正部32は、判断した運転技量の高さと生体信号の状態が所定の関係を示さない場合、運転技量を補正する。具体的には、運転技量が高いにも関わらず、生体信号が緊張状態を示す場合、運転技量の評価を下げる。なお、サブタスク成績、生体信号は各走行シーンに対応づけて走行シーン記憶部323に記憶する。これにより、走行シーンごとに運転技量の補正を行うことができる。
【0081】
続いて、図12に示すフローチャートに基づいて、本実施形態に係る運転支援装置の動作について説明する。
【0082】
ステップ100〜103までは、図8に示す第1実施形態の動作と共通する。運転者の運転技量が判断されたら(103)、運転技量補正部32は、サブタスク試験成績及び/又は生体信号を取得し(121)、取得したサブタスク試験成績及び/又は生体信号に基づいて、運転技量を補正する(122)。
【0083】
さらに、主観的自信度算出部41が運転者の自信度を算出したら(104)、自信度補正部42は、サブタスク試験成績及び/又は生体信号を取得し(123)、取得したサブタスク試験成績及び/又は生体信号に基づいて、自信度を補正する(124)。
【0084】
ステップ105以降は、図8に示す第1実施形態の動作と共通する。
【0085】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用及び効果を奏する。
【0086】
さらに、本実施形態によれば、運転者が表明する主観的な自信度を、運転者の内心の自信度に近づけることができるため、運転者の自信度に適した態様で運転支援情報を提供することができる。特に、高齢者は、内心では運転に不安があるにもかかわらず、自信があるように振舞う傾向が高い。つまり、口では「簡単」と言いつつも、身体は緊張状態にある場合や、自信度は「高い」と表明しつつも、運転中にサブタスクをこなすほどの心理的な余裕がない場合がある。本実施形態では、発話等の入力情報に基づいて判断される主観的な自信度を、運転時の反応試験成績(サブタスク成績)や、運転時の生体信号といった客観的困難度により適正な値に補正することができる。補正後の自信度に基づいて運転支援情報の提供の態様を決定するため、運転者の真の自信度に適した態様で運転支援情報を提供することができる。
【0087】
加えて、本実施形態によれば、車両の操作履歴や運転適正試験により客観的に求めた運転技量を、さらに生体信号や反応試験成績といった客観的困難性に基づいて補正することができ、正確な運転技量を求めることができる。補正後の運転技量に基づいて運転支援情報の提供の態様を決定するため、運転者に適した態様で運転支援情報を提供することができる。
【0088】
《第3実施形態》
図13は、本発明の第3実施形態に係る運転支援装置を示すブロック図である。
【0089】
同図に示すように、本実施形態に係る運転支援装置は、図1に示す実施形態に係る運転支援装置に対し、さらに、身体的支援実行手段70と心理的支援実行手段80とを備える。
【0090】
本実施形態の運転支援装置において、情報取得手段10、走行シーン判断手段20、運転技量判断手段30、自信度判断手段40、提供態様決定手段50、及び提供手段60は、図1に示す第1実施形態と同じ構成であるので、ここに援用してその説明を省略し、身体的支援実行手段70と心理的支援実行手段80について説明する。
【0091】
まず、心理的支援実行手段80について説明する。心理的支援実行手段70は、自信度判断手段40により判断された運転者の運転技量に対する自信度が所定の閾値未満である場合、心理的支援データに基づく運転支援情報を提供する。例えば、自信度の評価値が、自信度の最大評価値に対して30%以下の場合、運転者に対して心理的な支援が必要であると判断し、心理的支援データに基づいて運転支援情報を提供する。この心理的な運転支援情報は、例えば精神科医が行うカウンセリングの内容、運転者に勇気を与える内容、運転者が自信を取り戻す内容のメッセージのテキストや、運転者がリラックスできる音楽、画像、振動とすることができる。例えば、運転者の過去の成功体験を想起させる内容、家族のメッセージを提供することもできる。これらの運転支援情報は、心理的支援データ81に予め記憶させておくことができる。また、これらの運転支援情報は、ディスプレイ61、スピーカ62、振動体63を介して提供される。
【0092】
次に、本実施形態の身体的支援実行手段70について説明する。身体的支援実行手段70は、運転技量判断手段30により判断された運転者の運転技量が所定の閾値未満である場合、自車両に搭載された運転操作支援装置500に操作支援開始命令を送出する。例えば、運転技量の評価値が、運転技量の最大評価値に対して50%以下の場合、身体的負担が大きいと判断し、身体的負担を軽減するため、運転者に対して身体的な支援及び脳処理に対する支援を行う。具体的には、運転操作支援装置500の運転支援機能を起動させる操作支援開始命令を送出する。
【0093】
運転操作支援装置500は、操作支援開始命令に従い、ステアリング操作、アクセル操作、ブレーキ操作、ウィンカ操作を行う。さらに、運転操作支援装置500は、操作支援開始命令に従い、追従走行、車間距離キープ走行、キープレーン走行などの自動走行機能を実行する。
【0094】
続いて、図14のフローチャートに基づいて、本実施形態の運転支援装置の動作を説明する。ステップ100〜104、121〜124までは第2実施形態と共通するため、ここに援用して説明を省略する。
【0095】
本実施形態では、運転技量判断手段30が運転技量を判断した後(103)、又は運転技量が補正された後(122)、その運転技量が所定の閾値未満であるか否かを判断する(131)。運転技量が閾値未満である場合、身体支援実行手段70は、車載の運転操作支援装置500に運転操作の支援を実行させる。その後は第1実施形態のステップ105へ移行する。
【0096】
一方、自信度判断手段40が自信度を判断した後(104)、又は自信度が補正された後(124)、その自信度が所定の閾値未満であるか否かを判断する(133)。自信度が閾値未満である場合、心理的支援実行手段80は、心理的支援データ81を参照して、運転者の心をケアする運転支援情報を提供する。その後は第1実施形態のステップ105へ移行する。
【0097】
本実施形態によれば、第1実施形態及び第2実施形態と共通の作用及び効果を奏することができる。
【0098】
また、本実施形態によれば、自信度が低い運転者に対して心理的な支援を行うことができるため、運転者の性格特性によって生じる自己評価の偏りを是正し、運転技量を適正に評価できる状態に運転者を導くことができる。
【0099】
さらに、本実施形態によれば、運転技量が低い運転者に対して身体的な支援を行うことにより、運転者の運転能力を補い、運転技量を自己評価に近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の第1実施形態に係る運転支援装置を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係る自信度の評価を説明するための図である。
【図3】第1本実施形態に係る運転支援情報を提供する態様の一例を示す図である。
【図4】第1実施形態に係る明示的態様と暗示的態様の例を示す図である。
【図5】第1実施形態に係る、経路誘導情報を提供する場合の明示的態様及び暗示的態様の例を示す図である。
【図6】第1実施形態に係る提示の態様の組み合わせ態様例を示す図である。
【図7】第1実施形態に係る提示の順序を含む組み合わせ態様例を示す図である。
【図8】第1実施形態に係る運転支援装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第2実施形態に係る運転支援装置を示すブロック図である。
【図10】若年ドライバと高齢ドライバの運転困難度に対する主観評価と客観評価を示す図である。
【図11】運転技量と自信度と客観評価との関係を説明するための図である。
【図12】第2実施形態に係る運転支援装置の動作を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第3実施形態に係る運転支援装置を示すブロック図である。
【図14】第3実施形態に係る運転支援装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0101】
100,200,300…運転支援装置
10…情報取得手段
20…走行シーン判断手段
30…運転技量判断手段
31・・・運転技量算出部
32…運転技量補正部
40…自信度判断手段
41…自信度算出部
42・・・自信度補正部
50…提供態様決定手段
60…提供手段
70…身体的支援実行手段
80…心理的支援実行手段
200…ナビゲーション装置
300…警報装置
400…車両コントローラ
500…運転操作支援装置
600…音声入力装置
700…生体信号取得装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転を支援する運転支援装置及び運転支援方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の運転支援装置として、運転者の意識レベル、及び、運転者の年齢又は個人差を考慮して警報を出力するものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−317197号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、運転者の運転技量に対する自信度(自己評価)が異なる場合、同じ運転支援を行っても、運転者によっては支援を受け容れることができない場合があるという問題があった。
【0005】
本願発明が解決しようとする課題は、運転者の運転技量に対する自信度(自己評価)が異なる場合であっても、それぞれの運転者が受け容れ易い運転支援を行う運転支援装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、自車両の運転に関する運転支援情報を、複数の態様で提供する運転支援装置に係り、以下の解決手段によって上記課題を解決する。
【0007】
すなわち、本発明は、自車両側にて発生した運転支援情報と、自車両に関する車両情報又は運転者の運転技量情報の少なくとも一方を取得する情報取得手段と、車両情報又は運転技量情報に基づいて運転者の運転技量を判断する運転技量判断手段と、運転者の入力情報に基づいて当該運転者の運転技量に対する自信度を判断する自信度判断手段と、を備える。
【0008】
さらに、本発明は、運転技量判断手段により判断された運転技量と、自信度判断手段により判断された自信度とに基づいて、取得した運転支援情報の提供の態様を決定する態様決定手段と、この決定された態様により運転支援情報を運転者に提供する提供手段と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、運転者の運転技量に対する自信度(自己評価)が異なる場合であっても、それぞれの運転者が受け容れ易い運転支援を行う運転支援装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
《第1実施形態》
図1は本実施形態に係る運転支援装置を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る運転支援装置100は、経路誘導情報や障害物警報など自車両側にて発生した運転支援情報、自車両の動きに関する車両情報、運転者の運転技量情報を含む情報を取得する情報取得手段1を備える。経路誘導情報は、自車両側に搭載されたナビゲーション装置200から取得し、障害物警報は警報装置300から取得する。また車両の挙動に応じて発生する車両情報は車両コントローラ400から取得することができ、運転者の運転技量情報は、車両コントローラ400のユーザメモリから読み出すことができる。
【0013】
また、本実施形態に係る運転支援装置100は、取得した車両情報又は運転技量情報に基づいて運転者の運転技量を判断する運転技量判断手段30と、音声入力装置600を介して運転者により入力された入力情報に基づいて運転技量に対する自信度を判断する自信度判断手段40とを有する。
【0014】
さらに、運転支援装置100は、この判断された運転技量と自信度に基づいて取得した運転支援情報の提供の態様を決定する態様決定手段50と、決定された態様により運転支援情報を提供する提供手段60とを備える。
【0015】
また、本実施形態に係る運転支援装置100は、運転支援情報を提供する際の態様を、走行シーンごとに決定する観点から、自車両の車載装置から取得した車両情報に基づいて、自車両の走行シーンを判断する走行シーン判断手段20をさらに備えることができる。判断された走行シーンは運転技量判断手段30及び自信度判断手段40へ送出され、運転技量、自信度のそれぞれに対応づけられて記憶される。運転技量及び自信度は、カーブや、車線変更、高速道路、山道などの走行シーンごとに変化するので、走行シーンごとに自信度を評価することができる。なお、走行シーン判断手段20は、車両情報以外の経路誘導情報や障害物警報情報に基づいて、運転支援情報に係る走行シーンを判断することができる。
【0016】
運転技量判断手段30は、車両情報又は運転技量情報に基づいて、運転者の運転技量を客観的に判断する。本実施形態の運転技量算出部31は、ナビゲーション装置200から車両情報に含まれる走行軌跡を取得する走行軌跡取得部311と、同じくナビゲーション装置200から自車両が走行する道路の規範走行モデルを取得する規範走行モデル取得部312と、運転技量算出部312とを有する。この運転技量算出部312は、走行軌跡取得部311が取得した自車両の走行軌跡と、規範走行モデル取得部312が取得した自車両が走行する道路の規範走行モデルとをマッチングし、規範走行モデルに対する自車両の走行軌跡の乖離度に基づいて運転者の運転技量を算出する。
【0017】
また、運転技量算出手段30は、事前に入力され、車両コントローラ400のユーザメモリに記憶された、運転者の年齢、身体機能データ、運転適正検査の結果、運転技量に関するアンケートへの回答などの運転技量情報に基づいて運転者の運転技量を判断することも可能である。
【0018】
さらに、運転技量算出手段30は、車両コントローラ400に記憶された車両操作履歴に基づいて、アクセルブレーキ操作の滑らかさ、ステアリングの滑らかさにより運転者の運転技量を判断することも可能である。ちなみに、車両コントローラ400は、図1に示すように車速センサ、エンジン回転数センサ、アクセル開度センサ、ブレーキ操作センサ、操舵角センサ及びシフトポジションセンサを有し、各車両情報を時間情報とともに取得する。その他、特開2006-277256号公報に開示された手法を用いることもできる。
【0019】
これらの運転技量の判断結果は数値化して態様決定手段50へ出力される。判断結果の数値化は、自信度と共通した指標に基づいて行うことが好ましい。たとえば、高度、中度、及び低度と3段階に区分けしてもよいし、5段階評価としてもよい。
【0020】
次に、運転者の運転技量に対する自己評価である自信度の判断について説明する。自信度判断手段40は、主観的自信度算出部41を有し、運転者の入力情報に基づき運転技量に対する自信度を判断する。本実施形態における運転者の自信度は、運転者自身の運転技量に対する自己評価である。主観的自信度算出部41は、運転者の自信度を運転者からの発話入力に基づいて判断する。
【0021】
本実施形態では、音声入力装置600のマイク610を介して入力された運転者の発話を発話データ取得部411が取得し、自信度算出部31が取得した発話データの内容に基づいて運転者の自信度を算出する。具体的には、運転中に運転者自身に運転技量に対する自己評価(運転の困難度又は運転の容易度)を5段階評価で発話させてもよい。
【0022】
入力情報の取得に際して、音声対話技術を用いることができる。例えば、ナビゲーション装置200が交差点などの所定の走行シーンの通過を判断した際に、音声入力装置600の音声合成エンジン640が「“ポン”、先ほどの交差点の運転は難しかったですか?」又は「“ポン”、運転は負担が高かったですか?」といった問いかけを音声合成し、スピーカ630を介して出力する。運転者はこの問いに対して、自分が感じた自信度(困難度又は容易度)を「5点」「1点」と言ったように数値評価により答える。音声認識機能620は発話データの内容を解析し、解析した数値評価を自信度判断手段40へ送る。
【0023】
また、運転者の自由発話の内容に基づいて自信度を評価することができる。例えば、運転者の発話から「とても疲れた」「疲れた」「あ〜あ」「楽チン」等の運転負担・困難度に関するキーワードを抽出する。抽出されたキーワードに基づいて、予め定義した「とても疲れた」=10点、「疲れた」=5点といった評点テーブルを参照し、運転者の自信度を算出することができる。
【0024】
さらに、一般的なテキストマイニング技術(例えば、SPSS社製ソフトウェアーText Mining for Clementine)を用いて、発話データの内容に基づいて自信度を評価することもできる。これらの自信度の判断結果は数値化して態様決定手段50へ出力することができる。
【0025】
次に、態様決定手段50について説明する。態様決定手段50は、運転技量判断手段30により判断された運転技量と、自信度判断手段40により判断された自信度とに基づいて、取得した運転支援情報を提供する際の態様を決定する。
【0026】
ところで、本実施形態の運転技量は、車両情報や運転技量情報に基づいて判断された客観的な評価である。他方、自信度は、運転者の入力情報に基づいて判断された主観的な評価である。これら客観的な運転技量と主観的な運転技量(運転技量に対する自信度)は一致することもあるが、個人の性格特性の影響を受け、一致しない場合が多い。
【0027】
図2は運転技量と自信度との関係を示す。図2に示すように、運転技量と自信度との関係は、客観的な運転技量が低いにもかかわらず主観的な自信度が高い自身過剰傾向を示す場合、客観的な運転技量が高いにもかかわらず主観的な自信度が低い自信喪失傾向を示す場合、客観的な運転技量と主観的な自信度がほぼ同じ適正評価の場合がある。
【0028】
本願発明者の分析によれば、自信過剰傾向にある運転者の運転支援に対する受容度(受け容れ易さ)と、自信喪失傾向にある運転者の運転支援に対する受容度とには、異なる傾向があることが判った。すなわち、自己の運転技量を過大に評価する自信過剰な運転者は、運転支援情報を煩わしく思う傾向があり、提供された運転支援を素直に受け容れない傾向がある。一方、自己の運転技量を過小に評価する自信過小な運転者は、運転支援情報に過敏に反応し、提供された運転支援を従順に受け容れる傾向がある。
【0029】
本願発明は、客観的な運転技量と主観的な自信度によって運転支援の受容度度が異なる点に着目し、運転者が受け入れやすい態様で運転支援情報を提供する。
【0030】
本実施形態の態様決定手段50は、運転技量と自信度とを対比し、運転者の運転技量に対する自信度を評価する。なお、本実施形態では、走行シーンごとの運転技量と走行シーンごとの自信度を対比して、走行シーンごとに自信度を評価することができる。
【0031】
そして、本実施形態の態様決定手段50は、運転者の自信度を、図2に示すように過大評価(自信過剰)、過小評価(自信過小)及び適正範囲の3段階で評価する。本例では説明の便宜のため3段階評価としたが、さらに多段階の評価段階を設けることもできる。
【0032】
この態様決定手段50は、運転者の自信度の評価に基づいて、運転支援情報の提供の態様を決定する。本実施形態の運転支援情報の提供の態様は、運転支援情報をどのように(提供媒体、提供手法、提供態様など)、運転者に伝えるかという観点から、複数の態様に区分することができる。
【0033】
図3に運転支援情報を提供するための複数の態様をツリー状に示した。図3に示すように、一つの運転支援情報Aに対して、運転者の視覚に刺激を与える視覚的態様、運転者の視覚に刺激を与える聴覚的態様、運転者の触覚に刺激を与える触覚的態様の三種類がある。さらに、視覚的態様、聴覚的態様、及び触覚的態様は、明示的態様と暗示的態様を含む。明示的態様は運転者の情報認識率が所定の閾値以上である態様であり、暗示的態様は運転者の情報認識率が所定の閾値未満である態様である。
【0034】
図4に、明示的態様と暗示的態様の具体例を示した。明示的態様と暗示的態様は、運転者の情報認識率に影響を与える因子や閾値に基づいて区分される。例えば、文字による表示は、その意味内容を直接的に伝達するから明示的態様であり、図形による表示は、その意味内容を感覚的な形象により間接的に伝達するから暗示的態様である。また、70dB以上の音量による音声出力は、運転者が確実に聞き取れるため明示的態様であり、40dB以下の音量による音声出力は、運転者が聞き流す可能性もあるため暗示的態様である。さらに、5Hz以上の振動による提示は、運転者が確実に気づくため明示的態様であり、1Hz以下の振動による提示は、運転者が気づかない場合もあるため暗示的態様である。また、触覚に刺激を与える態様としては送風によるものや、嗅覚を刺激するものも利用することができる。
【0035】
これら明示的態様と暗示的態様を区分するための閾値や要因は、図4に示したものに限定されることなく、適宜定義することができる。なお、運転者の情報認識率は、運転者の感覚、車室環境、提供デバイス(ディスプレイ、スピーカ)に応じて異なるため、この閾値は予め実験的に求めることが好ましい。
【0036】
また、図3に示すように、各明示的態様及び暗示的態様は、前置時間の長い態様と前置時間の短い態様を含む。前置時間とは、運転支援に対応する行動が実際に行われるタイミングまでの時間(いわゆるTTE:Time to Event)である。具体的に、「交差点左折」という運転支援情報は、通常、その交差点を通過する前に提供される。前置時間(以下「TTE」とも言う)は、運転支援情報を提供してから、その支援に係る行動をするまでの時間である。なお、図3では省略したが、聴覚的態様の暗示的態様、触覚的態様の暗示的態様も、視覚的態様と同様に、前置時間の長い態様と短い態様を含む。
【0037】
図5は、視覚的態様で提供される明示的態様(文字)を暗示的態様(図形)の具体例を示す図である。明示的態様と暗示的態様のそれぞれは、前置時間(TTE)が異なる3つの態様(明1(TTE長),明2(TTE中),明3(TTE短),暗1(TTE長),暗2(TTE中),暗3(TTE短))を含む。
【0038】
明1(TTE長)の態様によれば、右折誘導支援に係る交差点への到着10秒前(1Km前)に、右折誘導情報を提供する。前置時間(TTE)を長くとることにより、運転者は運転戦略を立て易くなる。つまり、右折に備えて、車線変更を行うなどの円滑な運転を計画することができる。他方、明3(TTE短)の態様によれば、現在地から右折交差点に至るまでの3箇所の交差点について、それぞれ到着3秒前に、直進又は右折誘導の情報を提供する。前置時間(TTE)を短くとると、直ぐ近くの交差点について細かい支援を行うことができる。
【0039】
態様決定手段50は、運転者の運転技量に対する自信度の評価に基づいて、取得した運転支援情報を提供する際の態様を、明示的態様若しくは暗示的態様、又は明示的態様及び暗示的態様の組み合わせ態様のいずれかに決定する。
【0040】
図6に、提示の態様例を自信度の評価に重ねて示した。図6に示すように、本実施形態では、明示的態様と暗示的態様とを組み合わせた態様で運転支援情報を提供する。もちろん、明示的態様のみ又は暗示的態様のみで運転支援情報を提供することもできる。
【0041】
同図に示すように、態様決定手段50は、運転者の自信度を自信過剰であると評価した場合、暗示的態様のみ又は暗示的態様を明示的態様よりも多く含む組み合わせ態様を提供の態様として決定する。このようにしたのは、自信過剰な運転者は、提供された運転支援を煩いと感じ、これを受け容れない傾向があるからである。つまり、自信過剰な運転者に対して、大きな音や点滅表示等で運転支援情報を明示的に提示すると、提供された支援に却って反発したり、支援機能自体を停止してしまうことがある。これに対し、本実施形態では、自信過剰な運転者に対して運転支援情報を、さりげない暗示的態様で提示するため、自信過剰な運転者であっても比較的素直に運転支援を受け容れるように仕向けることができる。このように、自信過剰な運転者の運転支援情報に対する受容度を向上させることにより、運転支援情報が実際の運転に活用されるようにすることができる。
【0042】
さらに、態様決定手段50は、運転者の自信度を自信過小であると評価した場合、明示的態様のみ又は明示的態様を暗示的態様よりも多く含む組み合わせ態様を提供の態様として決定する。自信過小な運転者は、運転支援情報を慎重に聞き取り、提供された運転支援情報に対して従順に反応する傾向がある。このように自信過小な運転者に対して、運転支援情報を小さい音や、小さい表示エリア等で暗示的に提示すると、はっきりしない情報に注意を向けなければならず、ストレスとなってしまう場合がある。このため、自信過小な運転者に対しては、明示的な態様で運転支援情報をはっきりと提示する。これにより、自信過小な運転者は明示的に提供された運転支援情報に従い、適切な運転をすることができる。
【0043】
具体的には、図6に示すように、自信過剰と評価された運転技量「低」かつ自信度「中」の場合、暗示的態様のみ又は暗示的態様を暗示的態様よりも多く含む組み合わせ態様とする。他方、自信過小と評価された運転技量「高」かつ自信度「中」の場合、明示的態様のみ又は明示的態様を暗示的態様よりも多く含む組み合わせ態様とする。
【0044】
また、同図に示すように、態様決定手段50は、運転技量が高いほど明1,暗1といった前置時間が長い態様を多く含む組み合わせとし、運転技量が低いほど明3,暗3といった前置時間が短い態様を多く含む組み合わせとすることができる。前述したように、前置時間が長いほど運転戦略を立て易い。自分で運転戦略を立てることができる運転技量の高い運転者に対しては、早めに運転支援情報を提供することにより、円滑な運転を支援することができる。
【0045】
図7は、提供の順序を予め定義した明示的態様と暗示的態様の組み合わせ態様を示す図である。同図に示すように、態様決定手段50は、運転者の自信度を自信過剰であると評価した場合、暗示的態様による提供が明示的態様による提供よりも先に行われるように順序を定義した組み合わせ態様を提供の態様として決定する。このようにしたのは、自信過剰な運転者は、提供された運転支援を煩いと感じ、これを受け容れない傾向があるからである。本実施形態では、最初に、暗示的な態様でさりげなく情報を提供することにより、運転支援情報を受け容れ易くすることができる。
【0046】
他方、態様決定手段50は、運転者の自信度を自信過小であると評価した場合、明示的態様による提供が暗示的態様による提供よりも先に行われるように順序を定義した組み合わせ態様を提供の態様として決定する。自信過小な運転者に対しては、最初に、明示的な態様ではっきりと運転支援情報を提供することにより、運転支援を聞き逃さないようにしている運転者にストレスを与えずに運転支援を行うことができる。
【0047】
具体的には、図7に示すように、自信過剰と評価された運転技量「低」かつ自信度「中」の場合、暗示的態様による提示を先に行うようにし、他方、自信過小と評価された運転技量「高」かつ自信度「中」の場合、明示的態様による提示を先に行うようにする。
【0048】
以上のように、態様決定手段50は運転支援情報の提供の態様を決定する。決定した提供の態様は提供手段60に送られ、提供手段60は決定された態様により運転支援情報を運転者に提供する。
【0049】
本実施形態の提供手段60は、視覚情報を提供するディスプレイ61と、聴覚情報を提供するスピーカ62と、触覚情報を提供できる振動体63を備える。提供手段60は、決定された態様に従い、運転支援情報を音声、テキスト表示、画像表示、及び/又は振動により運転者に提供する。
【0050】
次に、図8に示すフローチャートに基づいて、本実施形態に係る運転支援装置の動作について説明する。
【0051】
まず、車両コントローラ400から自車両の停止解除信号を取得した場合(100)、ステップ101へ進む。一方、停止解除状態にならない場合は、停止解除信号を取得するまで待機する。
【0052】
次に、走行シーン判断手段20は、ナビゲーション装置200、警報装置300、車両コントローラ400から取得した情報に基づいて、自車両の走行シーンを判断する(101)。この走行シーンの判断結果は時間とともに記憶され、運転技量判断手段30、自信度判断手段40へ送出される。
【0053】
運転技量判断手段30は、車両コントローラ400から取得した運転者の車両操作履歴と、自車両が走行する道路の規範走行モデルに基づいて運転者の運転技量を判断する(103)。このとき走行シーンの判断結果と車両操作履歴とを対応づけて、走行シーンごとの運転技量を判断することもできる。
【0054】
さらに、自信度算出手段40は、運転者の発話による入力情報に基づいて、運転者の運転技量に対する主観的な自信度を判断する。
【0055】
次に、態様決定手段50は、ステップ103で判断された運転技量と、ステップ104で判断された自信度とを対比し、運転者の運転技量に対する自信度を評価する。
【0056】
図2に示す評価指標を参照して、自信度が自信過剰と判断された場合(105でY)、暗示的提供態様が明示的態様よりも多い態様、及び/又は暗示的態様が明示的態様よりも先に提示される態様を、運転支援情報の提供態様として決定する(106)。
【0057】
さらに自信度が自信過小と判断された場合(107でY)、明示的態様が暗示的態様よりも多い態様、及び/又は先に明示的態様が暗示的態様よりも先に提示される態様を、運転支援情報の提供態様として決定する(108)。
【0058】
運転者の自信度が、自信過剰でもなく、自信過小でもない、運転技量に見合った適正な自信度である場合(107でN)、明示的態様と暗示的態様とを同等に含む組み合わせ態様を運転支援情報の提供態様として決定する(109)。提供手段は、決定された態様により、運転支援情報を提供する(110)。
【0059】
以上のように、構成され、動作する本実施形態の運転支援装置100は、以下の効果を奏する。
【0060】
運転者の運転技量に対する自信度という個人の心理特性に応じた態様により運転支援を行うため、運転者の運転支援情報に対する受容度を高めることができる。
【0061】
さらに、運転者の自信度と客観的な運転技量との対比によって自信度を評価することができるため、自信過剰又は自信過小と評価された運転者に応じて、適切な態様で運転支援情報を提供することができる。
【0062】
また、本実施形態の運転支援装置は、運転支援情報に耳を貸さない傾向を示す自信過剰な運転者に対しては、暗示的な態様を多く利用して、さりげなく運転支援情報を提供することにより、運転支援情報を受け容れやすくすることができる。他方、運転支援情報に対して従順に従う自信過小な運転者に対しては、明示的な態様を多く利用して、はっきりと運転支援情報を提供することにより、ストレスを感じさせることなく運転支援情報が利用できるようにすることができる。なお、運転技量と自信度が同等である運転者には、明示的態様と暗示的態様とをバランス良く用いて運転支援情報を提供することができる。
【0063】
加えて、自信過剰な運転者に対して、暗示的態様による提供を明示的態様による提供よりも先に行うことにより、運転支援情報の受容度を向上させるなど、上述の効果を得ることができる。また、自信過小な運転者に対して、明示的態様による提供を暗示的態様により提供よりも先に行うことにより、自信過小な運転者に対してストレスを与えることなく運転支援情報を提供することができる。
【0064】
さらに、運転技量が高い運転者に対しては、情報提供タイミングから支援実行タイミングまでの前置時間が長い態様で運転支援情報を提供することにより、自分で運転戦略を立てることができる運転技量の高い運転者に対しては、早めに運転支援情報を提供することにより、円滑な運転を支援することができる。
【0065】
なお、自信過剰な運転者は、自己の運転技量を過信して無理な運転をするおそれがあり、他方、自信過小な運転者は、自己の運転技量を過小に評価して運転技量の向上に努めないおそれがある。このような自信過剰又は自信過小の運転者にこそ運転支援が必要となるところ、自信過剰又は自信過小といった心理特性によって運転支援を受容しない傾向が高い。本実施形態の運転支援装置100によれば、自信過剰の運転者及び自信過小の運転者の運転支援に対する受容性を向上させることができる。
【0066】
《第2実施形態》
次に、第2実施形態を図9〜図12に基づいて説明する。
【0067】
本実施形態は、運転者の自信度を正確に評価する観点から、発話等により判断した主観的な自信度を、サブタスク成績、生体信号等の客観因子に基づいて補正することを特徴とする。
【0068】
図9は、本発明の第2実施形態に係る運転支援装置200を示すブロック図である。
【0069】
本実施形態の運転支援装置において、情報取得手段10、走行シーン判断手段20、運転技量判断手段30、自信度判断手段40、提供態様決定手段50、及び提供手段60は、図1に示す第1実施形態と同じ構成であるので、ここに援用してその説明を省略し、本実施形態において特徴的な構成を中心に説明する。
【0070】
図9に示すように、本実施形態の自信度判断手段40は、第1実施形態で説明した構成に加えて、さらに、運転者の発話などに基づいて主観的な自信度を算出する主観的自信度算出部41と、この主観的な自信度を客観因子に基づいて補正する自信度補正部42とを有する。
【0071】
各構成について説明する前に、本実施形態の特徴点について説明する。先に説明した第1実施形態では、運転技量と主観的な自信度とを対比して、運転者の自信度を評価した。しかし、この自信度は自己評価に基づく主観的なものであり、個人の心理特性の影響を受け易い。特に、高齢の運転者は、内心よりも高い自信度を表明する傾向が顕著に現れる。図10は、若年ドライバと高齢ドライバの、走行シーンごとの運転困難度に対する主観評価と客観評価の調査結果を示す図である。大文字A〜Fで示すポイントが若年ドライバの評価で、小文字a〜fが高齢ドライバの評価である。大文字A〜Fと小文字a〜fは同じ走行シーンに対応する。図10に示すように、高齢ドライバは、困難性が高いという客観評価を受けた走行シーンについても、主観評価は容易としている。全体を見ても、主観評価はすべての走行シーンで「容易」に偏っている。すなわち、高齢の運転者は、かなりの負荷を感じながら運転をしているにもかかわらず、運転に対する自信を尋ねると「大丈夫」と答えてしまう傾向がある。その原因としては、視力、聴力、運動反応性のいずれもが加齢とともに低下するが、このような身体能力の低下を自認しないこと、さらに過去の高い運転技量の記憶を現在に適用してしまうこと、運転技量が低下してしまった事実を認めないこと等が挙げられる。このため、主観的自信度算出部41は、運転者の内心の自信度よりも高い値(自信度)を算出してしまう場合がある。
【0072】
このような食い違いを是正するため、本実施形態は、算出した主観的な自信度を、サブタスク成績、生体信号等の客観因子(客観的困難度)に基づいて補正する。
【0073】
図11は、運転技量と自信度と客観因子との関係を示す図である。第1実施形態では、運転技量と自信度との関係に着目したが、本実施形態ではさらに客観因子を加える。自信度は、客観因子に基づいて補正することができる。そして、補正後の自信度と運転技量とを対比して運転技量に対する自信度を適正に評価することができる。また、運転技量は、客観因子に基づいて補正することができる。補正後の運転技量と自信度を対比して運転技量に対する自信度を適正に評価することができる。
【0074】
図9に戻り、本実施形態の自信度補正部42について説明する。この自信度補正部42は、装置外部のサブタスク試験装置800からその成績を取得する試験成績取得部421を有する。本実施形態のサブタスク試験装置800は、自信度の判断時に、運転者に対して視覚刺激を提示し、その視覚刺激の内容に気付いたら、手元のスイッチを押すといったサブタスクや、音声情報の復唱を行うサブタスク、又は暗算計算を行うサブタスクを与えるサブタスク試験(反応試験)を行う。試験成績取得部421は、このサブタスク試験の試験成績を取得する。
【0075】
そして、自信度補正部42は、運転者のサブタスク試験(反応試験)に対する正答率や反応時間などの成績に基づいて、運転に対する客観的困難性を算出する。ちなみに、この試験成績は、各走行シーンに対応づけて走行シーン記憶部423に記憶させてもよい。そうすれば、走行シーンごとの反応試験成績に基づいて走行シーンごとに自信度を補正することができる。
【0076】
具体的に、自信度補正部42は、取得した試験成績と、主観的な自信度とを対比し、試験成績と自信度との間に乖離がある場合、自信度を補正する。例えば、主観的な自信度が高いにもかかわらず、サブタスクの試験成績が悪い場合、算出した自信度を低くする補正をする。補正幅は、乖離の度合いに対応づけて予め定義する。このように補正するのは、運転に対する主観的自信度が高い場合、余裕があるはずであり、与えられたサブタスクの成績も高いはずだからである。こうして、主観的な自信度を、サブタスク試験によって得られた客観的困難性に基づいて補正することにより、運転者の内心にある真の自信度を求めることができる。
【0077】
また、自信度補正部42は、装置外部の生体信号取得装置700からその検出信号を取得する生体信号取得部422を有する。本実施形態の生体信号取得装置は、ステアリングホイール、シート座面下、シートベルトに取り付けられた心拍センサ710と、ステアリングホイールおよびシフトノブ等に取り付けられた皮膚抵抗センサ720と、ヘッドレスト部、着脱可能な帽子に取り付けられた脳波・脳血流センサ730を含み、自信度の判断時に運転者の体から心拍、皮膚抵抗、脳波、脳血流(酸素化ヘモグロビン、脱酸素化ヘモグロビン)に関する信号を取得する。
【0078】
生体信号取得部422は、これら生体信号取得装置700の各センサから、生体信号を取得する。そして、自信度補正部42は、運転者の生体信号に基づいて運転に対する客観的困難性を算出する。ちなみに、この生体信号は、各走行シーンに対応づけて走行シーン記憶部423に記憶させてもよい。そうすれば、走行シーンごとにの生体信号に基づいて走行シーンごとの自信度を補正することができる。
【0079】
具体的に、自信度補正部42は、取得した自信度を算出した際(発話した際)の生体信号と平常時の生体信号とを比較する。比較の結果、自信度を算出した際の生体信号が平常時と異なる緊張状態を示す値又は波形を示す場合、自信度を補正する。例えば、主観的な自信度が高いにもかかわらず、生体信号が生体の緊張状態を示す場合、算出した自信度を低くする補正をする。運転に対する主観的自信度が高い場合、運転者はリラックスしているはずであり、検出した生体信号も平常乃至リラックス状態(非緊張状態)となるはずだからである。なお、補正幅は、緊張状態の程度に応じて予め対応づけておいてもよいし、緊張状態が示された時間に応じて予め対応づけておいてもよい。ちなみに、緊張状態の生体信号は、うそ発見器(ポリグラフ)に用いられるうそをついたときの生体信号をモデルとすることもできる。このように、主観的な自信度を、生体信号から得られた客観的困難性に基づいて補正し、運転者の内心にある真の自信度を算出することができる。
【0080】
加えて、本実施形態では、運転時の反応試験成績(サブタスク成績)、運転時の生体信号を、運転技量の補正にも利用することができる。運転技量補正部32は、サブタスク試験装置800から反応試験の成績を取得する成績取得部321と、生体信号取得手段700から生体信号を取得する生体信号取得部322とを有する。具体的に、運転技量補正部32は、判断した運転技量の高さとサブタスクの成績の高さとが異なる傾向を示す場合、運転技量を補正する。具体的には、運転技量が高いにも関わらず、サブタスクの成績が悪い場合は、運転技量の評価を下げる。また、運転技量補正部32は、判断した運転技量の高さと生体信号の状態が所定の関係を示さない場合、運転技量を補正する。具体的には、運転技量が高いにも関わらず、生体信号が緊張状態を示す場合、運転技量の評価を下げる。なお、サブタスク成績、生体信号は各走行シーンに対応づけて走行シーン記憶部323に記憶する。これにより、走行シーンごとに運転技量の補正を行うことができる。
【0081】
続いて、図12に示すフローチャートに基づいて、本実施形態に係る運転支援装置の動作について説明する。
【0082】
ステップ100〜103までは、図8に示す第1実施形態の動作と共通する。運転者の運転技量が判断されたら(103)、運転技量補正部32は、サブタスク試験成績及び/又は生体信号を取得し(121)、取得したサブタスク試験成績及び/又は生体信号に基づいて、運転技量を補正する(122)。
【0083】
さらに、主観的自信度算出部41が運転者の自信度を算出したら(104)、自信度補正部42は、サブタスク試験成績及び/又は生体信号を取得し(123)、取得したサブタスク試験成績及び/又は生体信号に基づいて、自信度を補正する(124)。
【0084】
ステップ105以降は、図8に示す第1実施形態の動作と共通する。
【0085】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用及び効果を奏する。
【0086】
さらに、本実施形態によれば、運転者が表明する主観的な自信度を、運転者の内心の自信度に近づけることができるため、運転者の自信度に適した態様で運転支援情報を提供することができる。特に、高齢者は、内心では運転に不安があるにもかかわらず、自信があるように振舞う傾向が高い。つまり、口では「簡単」と言いつつも、身体は緊張状態にある場合や、自信度は「高い」と表明しつつも、運転中にサブタスクをこなすほどの心理的な余裕がない場合がある。本実施形態では、発話等の入力情報に基づいて判断される主観的な自信度を、運転時の反応試験成績(サブタスク成績)や、運転時の生体信号といった客観的困難度により適正な値に補正することができる。補正後の自信度に基づいて運転支援情報の提供の態様を決定するため、運転者の真の自信度に適した態様で運転支援情報を提供することができる。
【0087】
加えて、本実施形態によれば、車両の操作履歴や運転適正試験により客観的に求めた運転技量を、さらに生体信号や反応試験成績といった客観的困難性に基づいて補正することができ、正確な運転技量を求めることができる。補正後の運転技量に基づいて運転支援情報の提供の態様を決定するため、運転者に適した態様で運転支援情報を提供することができる。
【0088】
《第3実施形態》
図13は、本発明の第3実施形態に係る運転支援装置を示すブロック図である。
【0089】
同図に示すように、本実施形態に係る運転支援装置は、図1に示す実施形態に係る運転支援装置に対し、さらに、身体的支援実行手段70と心理的支援実行手段80とを備える。
【0090】
本実施形態の運転支援装置において、情報取得手段10、走行シーン判断手段20、運転技量判断手段30、自信度判断手段40、提供態様決定手段50、及び提供手段60は、図1に示す第1実施形態と同じ構成であるので、ここに援用してその説明を省略し、身体的支援実行手段70と心理的支援実行手段80について説明する。
【0091】
まず、心理的支援実行手段80について説明する。心理的支援実行手段70は、自信度判断手段40により判断された運転者の運転技量に対する自信度が所定の閾値未満である場合、心理的支援データに基づく運転支援情報を提供する。例えば、自信度の評価値が、自信度の最大評価値に対して30%以下の場合、運転者に対して心理的な支援が必要であると判断し、心理的支援データに基づいて運転支援情報を提供する。この心理的な運転支援情報は、例えば精神科医が行うカウンセリングの内容、運転者に勇気を与える内容、運転者が自信を取り戻す内容のメッセージのテキストや、運転者がリラックスできる音楽、画像、振動とすることができる。例えば、運転者の過去の成功体験を想起させる内容、家族のメッセージを提供することもできる。これらの運転支援情報は、心理的支援データ81に予め記憶させておくことができる。また、これらの運転支援情報は、ディスプレイ61、スピーカ62、振動体63を介して提供される。
【0092】
次に、本実施形態の身体的支援実行手段70について説明する。身体的支援実行手段70は、運転技量判断手段30により判断された運転者の運転技量が所定の閾値未満である場合、自車両に搭載された運転操作支援装置500に操作支援開始命令を送出する。例えば、運転技量の評価値が、運転技量の最大評価値に対して50%以下の場合、身体的負担が大きいと判断し、身体的負担を軽減するため、運転者に対して身体的な支援及び脳処理に対する支援を行う。具体的には、運転操作支援装置500の運転支援機能を起動させる操作支援開始命令を送出する。
【0093】
運転操作支援装置500は、操作支援開始命令に従い、ステアリング操作、アクセル操作、ブレーキ操作、ウィンカ操作を行う。さらに、運転操作支援装置500は、操作支援開始命令に従い、追従走行、車間距離キープ走行、キープレーン走行などの自動走行機能を実行する。
【0094】
続いて、図14のフローチャートに基づいて、本実施形態の運転支援装置の動作を説明する。ステップ100〜104、121〜124までは第2実施形態と共通するため、ここに援用して説明を省略する。
【0095】
本実施形態では、運転技量判断手段30が運転技量を判断した後(103)、又は運転技量が補正された後(122)、その運転技量が所定の閾値未満であるか否かを判断する(131)。運転技量が閾値未満である場合、身体支援実行手段70は、車載の運転操作支援装置500に運転操作の支援を実行させる。その後は第1実施形態のステップ105へ移行する。
【0096】
一方、自信度判断手段40が自信度を判断した後(104)、又は自信度が補正された後(124)、その自信度が所定の閾値未満であるか否かを判断する(133)。自信度が閾値未満である場合、心理的支援実行手段80は、心理的支援データ81を参照して、運転者の心をケアする運転支援情報を提供する。その後は第1実施形態のステップ105へ移行する。
【0097】
本実施形態によれば、第1実施形態及び第2実施形態と共通の作用及び効果を奏することができる。
【0098】
また、本実施形態によれば、自信度が低い運転者に対して心理的な支援を行うことができるため、運転者の性格特性によって生じる自己評価の偏りを是正し、運転技量を適正に評価できる状態に運転者を導くことができる。
【0099】
さらに、本実施形態によれば、運転技量が低い運転者に対して身体的な支援を行うことにより、運転者の運転能力を補い、運転技量を自己評価に近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の第1実施形態に係る運転支援装置を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係る自信度の評価を説明するための図である。
【図3】第1本実施形態に係る運転支援情報を提供する態様の一例を示す図である。
【図4】第1実施形態に係る明示的態様と暗示的態様の例を示す図である。
【図5】第1実施形態に係る、経路誘導情報を提供する場合の明示的態様及び暗示的態様の例を示す図である。
【図6】第1実施形態に係る提示の態様の組み合わせ態様例を示す図である。
【図7】第1実施形態に係る提示の順序を含む組み合わせ態様例を示す図である。
【図8】第1実施形態に係る運転支援装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第2実施形態に係る運転支援装置を示すブロック図である。
【図10】若年ドライバと高齢ドライバの運転困難度に対する主観評価と客観評価を示す図である。
【図11】運転技量と自信度と客観評価との関係を説明するための図である。
【図12】第2実施形態に係る運転支援装置の動作を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第3実施形態に係る運転支援装置を示すブロック図である。
【図14】第3実施形態に係る運転支援装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0101】
100,200,300…運転支援装置
10…情報取得手段
20…走行シーン判断手段
30…運転技量判断手段
31・・・運転技量算出部
32…運転技量補正部
40…自信度判断手段
41…自信度算出部
42・・・自信度補正部
50…提供態様決定手段
60…提供手段
70…身体的支援実行手段
80…心理的支援実行手段
200…ナビゲーション装置
300…警報装置
400…車両コントローラ
500…運転操作支援装置
600…音声入力装置
700…生体信号取得装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の運転に関する運転支援情報を、複数の態様で提供する運転支援装置であって、
前記自車両側にて発生した前記運転支援情報と、前記自車両に関する車両情報又は運転者の運転技量情報の少なくとも一方を取得する情報取得手段と、
前記車両情報又は前記運転技量情報に基づいて、前記運転者の運転技量を判断する運転技量判断手段と、
前記運転者の入力情報に基づいて、当該運転者の運転技量に対する自信度を判断する自信度判断手段と、
前記運転技量判断手段により判断された運転技量と、前記自信度判断手段により判断された自信度とに基づいて、前記取得した運転支援情報の提供の態様を決定する態様決定手段と、
前記決定された態様により前記運転支援情報を前記運転者に提供する提供手段と、を備える運転支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の運転支援装置において、
前記態様決定手段は、前記運転技量判断手段により判断された運転技量と、前記自信度判断手段により判断された自信度とを対比し、前記運転者の運転技量に対する自信度を評価し、前記自信度の評価に基づいて、前記取得した運転支援情報を提供する際の態様を決定する運転支援装置。
【請求項3】
請求項2に記載の運転支援装置において、
前記運転支援情報の提供の態様は、前記運転者による情報認識率が所定の閾値以上である明示的態様と、前記運転者による情報認識率が所定の閾値未満である暗示的態様と、を含み、
前記態様決定手段は、前記自信度の評価に基づいて、前記取得した運転支援情報を提供する際の態様を、前記明示的態様若しくは前記暗示的態様、又は前記明示的態様及び前記暗示的態様の組み合わせ態様のいずれかに決定する運転支援装置。
【請求項4】
請求項2に記載の運転支援装置において、
前記運転支援情報の提供の態様は、前記運転者による情報認識率が所定の閾値以上である明示的態様と、前記運転者による情報認識率が所定の閾値未満である暗示的態様とを含み、
前記態様決定手段は、前記運転者の自信度を自信過剰であると評価した場合、前記暗示的態様を前記明示的態様よりも多く含むように、前記暗示的態様又は前記明示的態様と前記暗示的態様とを組み合わせた態様を、前記運転支援情報の提供の態様として決定する運転支援装置。
【請求項5】
請求項2又は4に記載の運転支援装置において、
前記運転支援情報の提供の態様は、前記運転者による情報認識率が所定の閾値以上である明示的態様と、前記運転者による情報認識率が所定の閾値未満である暗示的態様とを含み、
前記態様決定手段は、前記運転者の自信度を自信過小であると評価した場合、前記明示的態様を前記暗示的態様よりも多く含むように、前記明示的態様又は前記明示的態様と前記暗示的態様とを組み合わせた態様を、前記運転支援情報の提供の態様として決定する運転支援装置。
【請求項6】
請求項2に記載の運転支援装置において、
前記運転支援情報の提供の態様は、前記運転者による情報認識率が所定の閾値以上である明示的態様と、前記運転者による情報認識率が所定の閾値未満である暗示的態様とを含み、
前記態様決定手段は、前記運転者の自信度を自信過剰と評価した場合、前記暗示的態様による提供が前記明示的態様による提供よりも先に行われるように提供の順番を定義して、前記暗示的態様又は前記明示的態様と前記暗示的態様とを組み合わせた態様を、前記運転支援情報の提供の態様として決定する運転支援装置。
【請求項7】
請求項2又は6に記載の運転支援装置において、
前記運転支援情報の提供の態様は、前記運転者による情報認識率が所定の閾値以上である明示的態様と、前記運転者による情報認識率が所定の閾値未満である暗示的態様とを含み、
前記態様決定手段は、前記運転者の自信度を自信過小と評価した場合、前記明示的態様による提供が前記暗示的態様による提供よりも先に行われるように提供の順番を定義して、前記明示的態様又は前記明示的態様と前記暗示的態様とを組み合わせた態様を、前記運転支援情報の提供の態様として決定する運転支援装置。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか一項に記載の運転支援装置において、
前記態様決定手段は、前記運転者の運転技量が高くなるにつれて、運転支援に対応する行動が実際に行われるタイミングまでの前置時間が長い態様をより多く含むように、前記明示的態様、前記暗示的態様、又は前記明示的態様と前記暗示的態様とを組み合わせた態様を、前記運転支援情報の提供の態様として決定する運転支援装置。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか一項に記載の運転支援装置において、
前記運転技量判断手段は、前記車両情報に含まれる自車両の走行軌跡を取得する走行軌跡取得部と、前記自車両が走行する道路の規範走行モデルを取得する規範走行モデル取得部と、前記規範走行モデルに対する前記自車両の走行軌跡の乖離度に基づいて前記運転者の運転技量を算出する運転技量算出部とを有する運転支援装置。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか一項に記載の運転支援装置において、
前記自信度判断手段は、運転者の発話データを取得する発話データ取得部と、前記取得した発話データの内容に基づいて、前記運転者の運転技量に対する自信度を算出する運転支援装置。
【請求項11】
請求項1〜10の何れか一項に記載の運転支援装置において、
前記自信度判断手段は、前記自信度の判断時に前記運転者に与えた反応動作試験に対する試験結果を取得し、前記試験結果に基づいて前記判断した運転者の運転技量に対する自信度を補正する運転支援装置。
【請求項12】
請求項1〜11の何れか一項に記載の運転支援装置において、
前記自信度判断手段は、前記自信度の判断時における前記運転者の生体信号を取得し、前記生体信号に基づいて、前記判断した運転者の運転技量に対する自信度を補正する運転支援装置。
【請求項13】
請求項1〜12の何れか一項に記載の運転支援装置において、
前記運転技量判断手段は、前記運転技量の判断時における前記運転者に与えた反応動作試験に対する試験結果を取得し、前記試験結果に基づいて前記判断した運転者の運転技量を補正する運転支援装置。
【請求項14】
請求項1〜13の何れか一項に記載の運転支援装置において、
前記運転技量判断手段は、前記運転技量の判断時における前記運転者の生体信号を取得し、前記生体信号に基づいて、前記判断した運転者の運転技量を補正する運転支援装置。
【請求項15】
請求項1〜14の何れか一項に記載の運転支援装置において、
前記自車両側から取得した車両情報に基づいて、前記自車両の走行シーンを判断する走行シーン判断手段をさらに備え、
前記運転技量判断手段は、前記判断した運転技量を前記走行シーンに対応づけて記憶し、
前記態様決定手段は、前記運転支援情報に対応する走行シーンにおける前記運転者の運転技量と、前記走行シーンにおける前記運転者の自信度とに基づいて、前記取得した運転支援情報を提供する態様を決定する運転支援装置。
【請求項16】
請求項1〜14の何れか一項に記載の運転支援装置において、
前記自車両側から取得した車両情報に基づいて、前記自車両の走行シーンを判断する走行シーン判断手段をさらに備え、
前記自信度判断手段は、前記判断した運転技量に対する運転者の自信度を前記走行シーンに対応づけて記憶し、
前記態様決定手段は、前記運転支援情報に対応する走行シーンにおける自信度と、前記走行シーンにおける前記運転者の運転技量とに基づいて、前記取得した運転支援情報を提供する態様を決定する運転支援装置。
【請求項17】
請求項1〜16の何れか一項に記載の運転支援装置において、
前記自信度判断手段により判断された運転者の運転技量に対する自信度が所定の閾値未満である場合、心理的支援データに基づく運転支援情報を提供する運転支援装置。
【請求項18】
請求項1〜17の何れか一項に記載の運転支援装置において、
前記運転技量判断手段により判断された運転者の運転技量が所定の閾値未満である場合、前記自車両に搭載された運転操作支援装置に操作支援開始命令を送出する運転支援装置。
【請求項19】
自車両の車両情報又は運転者の運転技量情報に基づいて、運転者の運転技量を判断し、
前記運転者からの入力に基づいて、運転技量に対する運転者の自信度を判断し、
前記判断された運転技量と前記自信度とに基づいて、前記運転者の運転技量に対する自信度を評価し、
前記運転者の自信度の評価結果に応じた態様で運転支援情報を提供する運転支援方法。
【請求項1】
自車両の運転に関する運転支援情報を、複数の態様で提供する運転支援装置であって、
前記自車両側にて発生した前記運転支援情報と、前記自車両に関する車両情報又は運転者の運転技量情報の少なくとも一方を取得する情報取得手段と、
前記車両情報又は前記運転技量情報に基づいて、前記運転者の運転技量を判断する運転技量判断手段と、
前記運転者の入力情報に基づいて、当該運転者の運転技量に対する自信度を判断する自信度判断手段と、
前記運転技量判断手段により判断された運転技量と、前記自信度判断手段により判断された自信度とに基づいて、前記取得した運転支援情報の提供の態様を決定する態様決定手段と、
前記決定された態様により前記運転支援情報を前記運転者に提供する提供手段と、を備える運転支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の運転支援装置において、
前記態様決定手段は、前記運転技量判断手段により判断された運転技量と、前記自信度判断手段により判断された自信度とを対比し、前記運転者の運転技量に対する自信度を評価し、前記自信度の評価に基づいて、前記取得した運転支援情報を提供する際の態様を決定する運転支援装置。
【請求項3】
請求項2に記載の運転支援装置において、
前記運転支援情報の提供の態様は、前記運転者による情報認識率が所定の閾値以上である明示的態様と、前記運転者による情報認識率が所定の閾値未満である暗示的態様と、を含み、
前記態様決定手段は、前記自信度の評価に基づいて、前記取得した運転支援情報を提供する際の態様を、前記明示的態様若しくは前記暗示的態様、又は前記明示的態様及び前記暗示的態様の組み合わせ態様のいずれかに決定する運転支援装置。
【請求項4】
請求項2に記載の運転支援装置において、
前記運転支援情報の提供の態様は、前記運転者による情報認識率が所定の閾値以上である明示的態様と、前記運転者による情報認識率が所定の閾値未満である暗示的態様とを含み、
前記態様決定手段は、前記運転者の自信度を自信過剰であると評価した場合、前記暗示的態様を前記明示的態様よりも多く含むように、前記暗示的態様又は前記明示的態様と前記暗示的態様とを組み合わせた態様を、前記運転支援情報の提供の態様として決定する運転支援装置。
【請求項5】
請求項2又は4に記載の運転支援装置において、
前記運転支援情報の提供の態様は、前記運転者による情報認識率が所定の閾値以上である明示的態様と、前記運転者による情報認識率が所定の閾値未満である暗示的態様とを含み、
前記態様決定手段は、前記運転者の自信度を自信過小であると評価した場合、前記明示的態様を前記暗示的態様よりも多く含むように、前記明示的態様又は前記明示的態様と前記暗示的態様とを組み合わせた態様を、前記運転支援情報の提供の態様として決定する運転支援装置。
【請求項6】
請求項2に記載の運転支援装置において、
前記運転支援情報の提供の態様は、前記運転者による情報認識率が所定の閾値以上である明示的態様と、前記運転者による情報認識率が所定の閾値未満である暗示的態様とを含み、
前記態様決定手段は、前記運転者の自信度を自信過剰と評価した場合、前記暗示的態様による提供が前記明示的態様による提供よりも先に行われるように提供の順番を定義して、前記暗示的態様又は前記明示的態様と前記暗示的態様とを組み合わせた態様を、前記運転支援情報の提供の態様として決定する運転支援装置。
【請求項7】
請求項2又は6に記載の運転支援装置において、
前記運転支援情報の提供の態様は、前記運転者による情報認識率が所定の閾値以上である明示的態様と、前記運転者による情報認識率が所定の閾値未満である暗示的態様とを含み、
前記態様決定手段は、前記運転者の自信度を自信過小と評価した場合、前記明示的態様による提供が前記暗示的態様による提供よりも先に行われるように提供の順番を定義して、前記明示的態様又は前記明示的態様と前記暗示的態様とを組み合わせた態様を、前記運転支援情報の提供の態様として決定する運転支援装置。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか一項に記載の運転支援装置において、
前記態様決定手段は、前記運転者の運転技量が高くなるにつれて、運転支援に対応する行動が実際に行われるタイミングまでの前置時間が長い態様をより多く含むように、前記明示的態様、前記暗示的態様、又は前記明示的態様と前記暗示的態様とを組み合わせた態様を、前記運転支援情報の提供の態様として決定する運転支援装置。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか一項に記載の運転支援装置において、
前記運転技量判断手段は、前記車両情報に含まれる自車両の走行軌跡を取得する走行軌跡取得部と、前記自車両が走行する道路の規範走行モデルを取得する規範走行モデル取得部と、前記規範走行モデルに対する前記自車両の走行軌跡の乖離度に基づいて前記運転者の運転技量を算出する運転技量算出部とを有する運転支援装置。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか一項に記載の運転支援装置において、
前記自信度判断手段は、運転者の発話データを取得する発話データ取得部と、前記取得した発話データの内容に基づいて、前記運転者の運転技量に対する自信度を算出する運転支援装置。
【請求項11】
請求項1〜10の何れか一項に記載の運転支援装置において、
前記自信度判断手段は、前記自信度の判断時に前記運転者に与えた反応動作試験に対する試験結果を取得し、前記試験結果に基づいて前記判断した運転者の運転技量に対する自信度を補正する運転支援装置。
【請求項12】
請求項1〜11の何れか一項に記載の運転支援装置において、
前記自信度判断手段は、前記自信度の判断時における前記運転者の生体信号を取得し、前記生体信号に基づいて、前記判断した運転者の運転技量に対する自信度を補正する運転支援装置。
【請求項13】
請求項1〜12の何れか一項に記載の運転支援装置において、
前記運転技量判断手段は、前記運転技量の判断時における前記運転者に与えた反応動作試験に対する試験結果を取得し、前記試験結果に基づいて前記判断した運転者の運転技量を補正する運転支援装置。
【請求項14】
請求項1〜13の何れか一項に記載の運転支援装置において、
前記運転技量判断手段は、前記運転技量の判断時における前記運転者の生体信号を取得し、前記生体信号に基づいて、前記判断した運転者の運転技量を補正する運転支援装置。
【請求項15】
請求項1〜14の何れか一項に記載の運転支援装置において、
前記自車両側から取得した車両情報に基づいて、前記自車両の走行シーンを判断する走行シーン判断手段をさらに備え、
前記運転技量判断手段は、前記判断した運転技量を前記走行シーンに対応づけて記憶し、
前記態様決定手段は、前記運転支援情報に対応する走行シーンにおける前記運転者の運転技量と、前記走行シーンにおける前記運転者の自信度とに基づいて、前記取得した運転支援情報を提供する態様を決定する運転支援装置。
【請求項16】
請求項1〜14の何れか一項に記載の運転支援装置において、
前記自車両側から取得した車両情報に基づいて、前記自車両の走行シーンを判断する走行シーン判断手段をさらに備え、
前記自信度判断手段は、前記判断した運転技量に対する運転者の自信度を前記走行シーンに対応づけて記憶し、
前記態様決定手段は、前記運転支援情報に対応する走行シーンにおける自信度と、前記走行シーンにおける前記運転者の運転技量とに基づいて、前記取得した運転支援情報を提供する態様を決定する運転支援装置。
【請求項17】
請求項1〜16の何れか一項に記載の運転支援装置において、
前記自信度判断手段により判断された運転者の運転技量に対する自信度が所定の閾値未満である場合、心理的支援データに基づく運転支援情報を提供する運転支援装置。
【請求項18】
請求項1〜17の何れか一項に記載の運転支援装置において、
前記運転技量判断手段により判断された運転者の運転技量が所定の閾値未満である場合、前記自車両に搭載された運転操作支援装置に操作支援開始命令を送出する運転支援装置。
【請求項19】
自車両の車両情報又は運転者の運転技量情報に基づいて、運転者の運転技量を判断し、
前記運転者からの入力に基づいて、運転技量に対する運転者の自信度を判断し、
前記判断された運転技量と前記自信度とに基づいて、前記運転者の運転技量に対する自信度を評価し、
前記運転者の自信度の評価結果に応じた態様で運転支援情報を提供する運転支援方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−134496(P2009−134496A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−309873(P2007−309873)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]