運転支援装置及び運転支援方法
【課題】ドライバーにとって違和感のない運転支援を実行可能な運転支援装置及び運転支援方法を提供する。
【解決手段】自車両V0周囲の状況に応じて支援量決定部14が決定した運転支援量により自車両V0のドライバーの運転支援を行い、運転支援量を決定した後にドライバーによる操舵があったときは、支援量変化量算定部17及び支援実現部18は、運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量に応じた補正量により補正された運転支援量によりドライバーの運転支援を行う。このため、ドライバーにとって違和感のない運転支援が実行される。
【解決手段】自車両V0周囲の状況に応じて支援量決定部14が決定した運転支援量により自車両V0のドライバーの運転支援を行い、運転支援量を決定した後にドライバーによる操舵があったときは、支援量変化量算定部17及び支援実現部18は、運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量に応じた補正量により補正された運転支援量によりドライバーの運転支援を行う。このため、ドライバーにとって違和感のない運転支援が実行される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置及び運転支援方法に関し、特に自車両のドライバーの運転支援を行なう運転支援装置及び運転支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自車両のドライバーの運転支援を行なう装置が提案されている。例えば、特許文献1には、ドライバーの運転操作と自車両の走行環境とを検出し、検出した運転操作が自車両の走行環境に応じた前方物体との接触回避などの目的を達成不可能な運転操作であるとき、当該運転目的を達成するための運転操作支援力を発生するべく、操作支援アクチュエータを駆動制御する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−260473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記技術では、目標とする運転操作支援力の運転支援量を決定した後に、ドライバーが自身の運転操作で回避動作を行った場合、ドライバーにとっては、必要以上の運転支援量となり、違和感を生じる可能性がある。
【0005】
本発明は、このような実情を考慮してなされたものであり、その目的は、ドライバーにとって違和感のない運転支援を実行可能な運転支援装置及び運転支援方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、自車両周囲の状況に応じて決定した運転支援量により自車両のドライバーの運転支援を行い、運転支援量を決定した後にドライバーによる操舵があったときは、運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量に応じた補正量により補正された運転支援量によりドライバーの運転支援を行う運転支援ユニットを備えた運転支援装置である。
【0007】
この構成によれば、運転支援ユニットは、自車両周囲の状況に応じて決定した運転支援量により自車両のドライバーの運転支援を行い、運転支援量を決定した後にドライバーによる操舵があったときは、運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量に応じた補正量により補正された運転支援量によりドライバーの運転支援を行う。このため、ドライバーにとって違和感のない運転支援が実行される。
【0008】
この場合、運転支援ユニットは、自車両周囲の状況に応じて決定した運転支援量と、運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量と運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量に応じた補正量との互いに関連付けられた関係とに基づいて補正された運転支援量によりドライバーの運転支援を行うものとできる。
【0009】
この構成によれば、運転支援ユニットは、自車両周囲の状況に応じて決定した運転支援量と、運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量と運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量に応じた補正量との互いに関連付けられた関係とに基づいて補正された運転支援量によりドライバーの運転支援を行う。このため、運転支援ユニットは簡単に補正量を求めることができる。
【0010】
また、運転支援ユニットは、自車両周囲の障害物と自車両との接触を避けるように運転支援量を決定し、運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量による操舵の方向が障害物に近いほど運転支援量が大きくなるように補正し、運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量による操舵の方向が障害物に遠いほど運転支援量が小さくなるように補正するものとできる。
【0011】
この構成によれば、運転支援ユニットは、自車両周囲の障害物と自車両との接触を避けるように運転支援量を決定し、運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量による操舵の方向が障害物に近いほど運転支援量が大きくなるように補正し、運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量による操舵の方向が障害物に遠いほど運転支援量が小さくなるように補正する。これにより、運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量による操舵の方向が障害物に近く、ドライバーの障害物に対する認識が低いときは、運転支援量が大きくなるように補正することにより安全性を高めることができる。また、運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量による操舵の方向が障害物に遠く、ドライバーの障害物に対する認識が高いときは、運転支援量が小さくなるように補正することによりドライバーの違和感を低減することができる。
【0012】
また、運転支援ユニットは、自車両周囲に発見された第1の障害物と自車両との接触を避けるための運転支援量を決定し、第1の障害物と自車両との接触を避けるための運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量に応じて第1の障害物と自車両との接触を避けるための運転支援量を補正し、自車両周囲に新たに発見された第2の障害物と自車両との接触を避けるための運転支援量を決定し、第2の障害物と自車両との接触を避けるための運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量に応じて第2の障害物と自車両との接触を避けるための運転支援量を補正するものとできる。
【0013】
この構成によれば、運転支援ユニットは、自車両周囲に発見された第1の障害物と自車両との接触を避けるための運転支援量を決定し、第1の障害物と自車両との接触を避けるための運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量に応じて第1の障害物と自車両との接触を避けるための運転支援量を補正し、自車両周囲に新たに発見された第2の障害物と自車両との接触を避けるための運転支援量を決定し、第2の障害物と自車両との接触を避けるための運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量に応じて第2の障害物と自車両との接触を避けるための運転支援量を補正する。これにより、次々に障害物が発見されたときは、一度は各々の障害物と自車両との接触を避けるための運転支援量を決定し、その後にドライバーによる操舵があったときは、当該操舵量に応じて既に決定された各障害物を避けるための運転支援量を補正していくだけで済むため、運転支援量を算出するコストの低減を図ることが可能となる。
【0014】
また、本発明は、自車両周囲の状況に応じて決定した運転支援量により自車両のドライバーの運転支援を行い、運転支援量を決定した後にドライバーによる操舵があったときは、運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量に応じた補正量により補正された運転支援量によりドライバーの運転支援を行う運転支援工程を含む運転支援方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の運転支援装置及び運転支援方法によれば、ドライバーにとって違和感のない運転支援を実行可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態に係る運転支援装置の構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係る運転支援装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】障害物を回避する支援量を決定した時の自車の将来の予測経路を示す平面図である。
【図4】図3において、さらにドライバーの操舵操作が行なわれた時の自車の将来の予測経路を示す平面図である。
【図5】初期の制動制御量に対する支援量を示すグラフ図である。
【図6】変更後の制動制御量に対する支援量を示すグラフ図である。
【図7】操舵量γに対する支援量を示す平面図である。
【図8】操舵量γに対する制動制御量に対する支援量の最大値を示すグラフ図である。
【図9】自車の進行方向に移動体である障害物が出現した状況を示す平面図である。
【図10】障害物の種類ごとの操舵角に対するブレーキ支援減速度を示すグラフ図である。
【図11】操舵角に対するブレーキ支援減速度を示すグラフ図である。
【図12】第2実施形態において自車の進行方向に障害物が出現した状況を示す平面図である。
【図13】図12において新たな障害物が出現した状況を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る運転支援装置について説明する。図1に示すように、本発明の第1実施形態の運転支援装置10は、環境認識部11、自車状態検出部12、危険度算出部13、支援量決定部14、行動判定部15、環境変化判定部16、支援変化量算定部17及び支援実現部18を備えている。
【0018】
環境認識部11は、自車両周辺の環境を認識する装置である。環境認識部11は、自車両周辺の歩行者、他車両等の障害物を検出する。環境認識部11は、レーザレーダ、カメラ等を備えている。
【0019】
自車状態検出部12は、自車両の位置、自車両の運動状態を検出する。自車状態検出部12は、車速センサと、自車両のヨー角を測定する白線センサ、ヨーレートを計測するジャイロセンサ、加速度センサ及びGPSを備えている。
【0020】
危険度算定部13は、環境認識部11により認識された障害物等と、自車状態検出部12により検出された自車両の状態とから、自車両の危険度を算定する。支援量決定部14は、危険度算定部13により算定された障害物等の危険度から、自車両のドライバーの運転を支援する度合である支援量を決定する。
【0021】
行動判定部15は、環境認識部11により認識された障害物等と、自車状態検出部12により検出された自車両の状態とから、自車両のドライバーの運転操作を判定する。特に行動判定部12は、支援量決定部14が支援量を決定した後の自車両のドライバーの運転操作を判定する。
【0022】
環境変化判定部16は、支援量決定部14が支援量を決定した後に、環境認識部11により新たな障害物が認識されたか否かを判定するためのものである。
【0023】
支援変化量算定部17は、行動判定部15により判定された自車両のドライバーの運転操作と、環境変化判定部16により判定された新たな障害物とに基づいて、支援量決定部14により決定された支援量を補正する。
【0024】
支援実現部18は、支援変化量算定部17により算定された支援量に従って、自車両のドライバーを支援する。支援実現部18は、具体的には、映像や音声によりドライバーの運転を誘導する。また、支援実現部18は、アクチュエータによりステアリングホイール、アクセルペダル及びブレーキペダルに反力を与えることによりドライバーの運転を誘導する。また、支援実現部18は、ドライバーの運転操作に関わらず、自車両の速度、加速度、減速度及び舵角を制御する。
【0025】
以下、本実施形態の運転支援装置10の動作について説明する。図2に示すように、運転支援装置10の危険度算定部13は、環境認識部11及び自車状態検出部12により自車両及び障害物の現在の位置及び速度等を取得する(S11)。危険度算出部13は、自車両及び障害物の将来の位置を予測する(S12)。支援量決定部14は、予測された自車両及び障害物の将来の位置から、必要な支援量を決定する(S13)。支援量の決定後に行動判定部15がドライバーによる操舵操作が発生したと判定した時は(S15)、支援変化量算定部17は、後述する簡易計算を用いてドライバーの操舵操作の量から決定した支援量を補正し、適切な支援量を決定する(S15)。
【0026】
図3に示すように、障害物H1に対して自車両V0が経路Poldを通過すると予測される支援量が決定されたものとする。ところが、図4に示すように、支援量が決定された後にドライバーにより障害物H1を回避する操舵操作が行われると、ドライバーの操舵操作後に自車両V0が通過すると予測される経路Pは、経路Poldから余裕距離dを隔てたものとなる。この場合、運転支援が強過ぎることでドライバーに不快感を与える可能性がある。また、図4の状況で、再び自車両の将来の位置の予測及び支援量算出を行うと、計算コストがかかるという問題がある。そこで、本実施形態では以下の手法を用いる。
【0027】
以下、ドライバーの操舵量を直接用いて支援量を変更する方法について説明する。支援変化量算定部17は、図4のドライバーの操舵量を取得し、支援量としての制動制御量を直接変更する。例えば、図3で図5に示す制動制御による支援量が決定されているときに、操舵量と下式(1)を用いて図6に示すように最大制動制御量を変更することで、ドライバーの違和感を低減することができる。操舵量を直接用いた方法の他に、支援量決定時の自車両V0の将来の予測経路と、ドライバーの操舵後に新たに予測した自車両V0の将来の予測経路との間にできる空間の面積を用いる方法等も考えられる。
Snew=Sold+f(γ) (1)
(Snew:更新後の最大制動制御量、Sold:更新前の最大制動制御量)
【0028】
以下、上式(1)中のf(γ)を求める方法を説明する。図7に示すように、自車両V0の左側に歩行者である障害物H1が存在する場合には、ドライバーが右に操舵を行なったときは、支援を弱めるべきである。一方、ドライバーが左に操舵を行なったときは、支援を強めるべきである。そのため、図7に示すように、操舵の右方向には支援量が0になる領域A0が存在する。一方、操舵の左方向には支援量が最大値に達する領域Amaxが存在する場合がある。例えば、ドライバーの操舵量γと制動制御支援量との間には、図8に示すような線形の関係が考えられる。
【0029】
このような支援量を補正する動作について、さらに詳述する。図9に示すように、移動体である障害物H1が自車両V0の進行方向を横切る状況を想定する。この時点で初速Vの自車両V0に対して制動による運転支援を開始したと仮定する。図9の状況では、ドライバーが障害物H1に気付き、右に操舵した場合に、支援量が変わらないと違和感が生じる。そこで、支援変化量算定部17は、予め図10に示すような操舵角θとブレーキ支援減速度gとのマップを有している。図10では、障害物H1が車両、自転車又は人である場合に分けて、操舵角θに対してブレーキ支援減速度gが正規分布を有するマップとなっている。図10に示すようなマップは、自車両V0と障害物H1との衝突の程度を基に導き出しても良い。また、障害物H1が飛び出してくる速度に応じて支援量を軽減する量である図10中の分散σを変更することも考えられる。
【0030】
また、移動体である障害物H1に自車両V0が接近する場合、支援量を増大させるときは、図10の正規分布のマップではなく図11に示すようなアークタンジェントのマップも考えられる。図10では横軸を操舵角θとしたが、図3及び図4に示すような自車両V0がカーブを走行する状況では、操舵角θだけでは支援量を軽減することが困難である状況も考えられる。そこで、当初の予測経路に対し、ドライバーの操作やその他の外乱により経路が変わった場合、外界の走行路と新たな予測経路との2つを用いて支援量を決定する方法も考えられる。例えば、図3及び図4では、走行路が右へのカーブであり、新たな予測経路がより曲がりが大きい右へのカーブである。そのため、支援変化量算定部17は、この2つのカーブの極率の差や、経路間にできる面積をマップの横軸として、支援量への補正量を決定することができる。
【0031】
本実施形態によれば、運転支援装置10の支援実現部18は、自車両V0周囲の状況に応じて支援量決定部14が決定した運転支援量により自車両V0のドライバーの運転支援を行い、運転支援量を決定した後にドライバーによる操舵があったときは、支援量変化量算定部17及び支援実現部18は、運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量に応じた補正量により補正された運転支援量によりドライバーの運転支援を行う。このため、ドライバーにとって違和感のない運転支援が実行される。さらに、補正量の算出は、再度支援量を計算する場合と比較して簡易に行なうことができ、計算コストを低減することができる。
【0032】
また、本実施形態によれば、支援量変化量算定部17及び支援実現部18は、自車両V0周囲の状況に応じて決定した運転支援量と、運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量と運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量に応じた補正量との互いに関連付けられたマップとに基づいて補正された運転支援量によりドライバーの運転支援を行う。このため、運転支援ユニットは簡単に補正量を求めることができる。
【0033】
また、本実施形態によれば、支援量決定部14は、自車両V0周囲の障害物H1と自車両V0との接触を避けるように運転支援量を決定し、支援量変化量算定部17及び支援実現部18は、運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量による操舵の方向が障害物H1に近いほど運転支援量が大きくなるように補正し、運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量による操舵の方向が障害物H1に遠いほど運転支援量が小さくなるように補正する。これにより、運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量による操舵の方向が障害物H1に近く、ドライバーの障害物に対する認識が低いときは、運転支援量が大きくなるように補正することにより安全性を高めることができる。また、運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量による操舵の方向が障害物H1に遠く、ドライバーの障害物に対する認識が高いときは、運転支援量が小さくなるように補正することによりドライバーの違和感を低減することができる。
【0034】
以下、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、次々に障害物が発見されたときは、一度は各々の障害物と自車両との接触を避けるための運転支援量を決定し、その後にドライバーによる操舵があったときは、当該操舵量に応じて既に決定された各障害物を避けるための運転支援量を補正する。
【0035】
図12に示すように、自車両V0の運転支援装置10は、障害物H1に対して初期の目標通過経路P1及び支援量を決定する。その後に図13に示すように障害物H2が発見された状況を想定する。障害物H1に対しての支援量を決定した後にドライバーによる操作行動があった場合、支援変化量算定部17は、障害物H1に対しては、上記第1実施形態のように、初期の支援量をドライバーの操作量に基づいて補正する。障害物H2に対しては、従来のように障害物H2と自車両V0との予想経路等に基づいて支援量を決定する。もし、その後にドライバーによる操作行動があった場合は、支援変化量算定部17は、障害物H2に対しても、上記第1実施形態のように、初期の支援量をドライバーの操作量に基づいて補正する。補正のために要する計算は簡易であるため、計算コストの低減が可能となる。
【0036】
上記の従来の技術では、ドライバーの操作の変化や環境の変化が起こった場合、従来の状況の予測や危険の程度を予測する手法では、計算コストが多く、支援量の決定が間に合わない可能性がある。上記の従来の技術において課題となるのが、支援量を計算する時間の短縮である。従来の複雑な予測計算や支援量の決定方法では支援量の決定が遅れてしまう恐れがある。これは、支援の対象となる障害物の数が増えるほど深刻な問題となる。
【0037】
本実施形態では、支援量決定部14は、自車両V0周囲に発見された障害物H1と自車両V0との接触を避けるための運転支援量を決定し、障害物H1と自車両V0との接触を避けるための運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量に応じて障害物H1と自車両V0との接触を避けるための運転支援量を補正し、自車両V0周囲に新たに発見された障害物H2と自車両V0との接触を避けるための運転支援量を決定し、障害物H2と自車両V0との接触を避けるための運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量に応じて障害物H2と自車両V0との接触を避けるための運転支援量を補正する。これにより、次々に障害物が発見されたときは、一度は各々の障害物H1,H2と自車両V0との接触を避けるための運転支援量を決定し、その後にドライバーによる操舵があったときは、当該操舵量に応じて既に決定された各障害物H1,H2を避けるための運転支援量を補正していくだけで済むため、運転支援量を算出するコストの低減を図ることが可能となる。
【0038】
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記実施形態では、ドライバーの操舵量により生じる最適支援量の変化について説明したが、操舵以外のドライバーの操作量であるアクセルペダル踏量、ブレーキペダル踏量、ドライバーのアクセルペダル又はブレーキペダルへの足の構え、車速、ブレーキペダル圧等を用いても良い。また、支援量の補正は、ドライバーの操作量だけではなく、対象とする障害物の移動や向き等の外部環境の変化の量を用いても良い。また、変化させる支援量としては、車速及び操舵に対する支援量、視覚提示の色、視覚提示の光の強さ、視覚提示の点滅の速さ、聴覚提示の音量、聴覚提示の音の高さ、触覚提示の強度、触覚提示の振動周期等が考えられる。
【符号の説明】
【0039】
10…運転支援装置、11…環境認識部、12…自車状態検出部、13…危険度算出部、14…支援量決定部、15…行動判定部、16…環境変化判定部、17…支援変化量算定部、18…支援実現部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置及び運転支援方法に関し、特に自車両のドライバーの運転支援を行なう運転支援装置及び運転支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自車両のドライバーの運転支援を行なう装置が提案されている。例えば、特許文献1には、ドライバーの運転操作と自車両の走行環境とを検出し、検出した運転操作が自車両の走行環境に応じた前方物体との接触回避などの目的を達成不可能な運転操作であるとき、当該運転目的を達成するための運転操作支援力を発生するべく、操作支援アクチュエータを駆動制御する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−260473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記技術では、目標とする運転操作支援力の運転支援量を決定した後に、ドライバーが自身の運転操作で回避動作を行った場合、ドライバーにとっては、必要以上の運転支援量となり、違和感を生じる可能性がある。
【0005】
本発明は、このような実情を考慮してなされたものであり、その目的は、ドライバーにとって違和感のない運転支援を実行可能な運転支援装置及び運転支援方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、自車両周囲の状況に応じて決定した運転支援量により自車両のドライバーの運転支援を行い、運転支援量を決定した後にドライバーによる操舵があったときは、運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量に応じた補正量により補正された運転支援量によりドライバーの運転支援を行う運転支援ユニットを備えた運転支援装置である。
【0007】
この構成によれば、運転支援ユニットは、自車両周囲の状況に応じて決定した運転支援量により自車両のドライバーの運転支援を行い、運転支援量を決定した後にドライバーによる操舵があったときは、運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量に応じた補正量により補正された運転支援量によりドライバーの運転支援を行う。このため、ドライバーにとって違和感のない運転支援が実行される。
【0008】
この場合、運転支援ユニットは、自車両周囲の状況に応じて決定した運転支援量と、運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量と運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量に応じた補正量との互いに関連付けられた関係とに基づいて補正された運転支援量によりドライバーの運転支援を行うものとできる。
【0009】
この構成によれば、運転支援ユニットは、自車両周囲の状況に応じて決定した運転支援量と、運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量と運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量に応じた補正量との互いに関連付けられた関係とに基づいて補正された運転支援量によりドライバーの運転支援を行う。このため、運転支援ユニットは簡単に補正量を求めることができる。
【0010】
また、運転支援ユニットは、自車両周囲の障害物と自車両との接触を避けるように運転支援量を決定し、運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量による操舵の方向が障害物に近いほど運転支援量が大きくなるように補正し、運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量による操舵の方向が障害物に遠いほど運転支援量が小さくなるように補正するものとできる。
【0011】
この構成によれば、運転支援ユニットは、自車両周囲の障害物と自車両との接触を避けるように運転支援量を決定し、運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量による操舵の方向が障害物に近いほど運転支援量が大きくなるように補正し、運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量による操舵の方向が障害物に遠いほど運転支援量が小さくなるように補正する。これにより、運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量による操舵の方向が障害物に近く、ドライバーの障害物に対する認識が低いときは、運転支援量が大きくなるように補正することにより安全性を高めることができる。また、運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量による操舵の方向が障害物に遠く、ドライバーの障害物に対する認識が高いときは、運転支援量が小さくなるように補正することによりドライバーの違和感を低減することができる。
【0012】
また、運転支援ユニットは、自車両周囲に発見された第1の障害物と自車両との接触を避けるための運転支援量を決定し、第1の障害物と自車両との接触を避けるための運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量に応じて第1の障害物と自車両との接触を避けるための運転支援量を補正し、自車両周囲に新たに発見された第2の障害物と自車両との接触を避けるための運転支援量を決定し、第2の障害物と自車両との接触を避けるための運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量に応じて第2の障害物と自車両との接触を避けるための運転支援量を補正するものとできる。
【0013】
この構成によれば、運転支援ユニットは、自車両周囲に発見された第1の障害物と自車両との接触を避けるための運転支援量を決定し、第1の障害物と自車両との接触を避けるための運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量に応じて第1の障害物と自車両との接触を避けるための運転支援量を補正し、自車両周囲に新たに発見された第2の障害物と自車両との接触を避けるための運転支援量を決定し、第2の障害物と自車両との接触を避けるための運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量に応じて第2の障害物と自車両との接触を避けるための運転支援量を補正する。これにより、次々に障害物が発見されたときは、一度は各々の障害物と自車両との接触を避けるための運転支援量を決定し、その後にドライバーによる操舵があったときは、当該操舵量に応じて既に決定された各障害物を避けるための運転支援量を補正していくだけで済むため、運転支援量を算出するコストの低減を図ることが可能となる。
【0014】
また、本発明は、自車両周囲の状況に応じて決定した運転支援量により自車両のドライバーの運転支援を行い、運転支援量を決定した後にドライバーによる操舵があったときは、運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量に応じた補正量により補正された運転支援量によりドライバーの運転支援を行う運転支援工程を含む運転支援方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の運転支援装置及び運転支援方法によれば、ドライバーにとって違和感のない運転支援を実行可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態に係る運転支援装置の構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係る運転支援装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】障害物を回避する支援量を決定した時の自車の将来の予測経路を示す平面図である。
【図4】図3において、さらにドライバーの操舵操作が行なわれた時の自車の将来の予測経路を示す平面図である。
【図5】初期の制動制御量に対する支援量を示すグラフ図である。
【図6】変更後の制動制御量に対する支援量を示すグラフ図である。
【図7】操舵量γに対する支援量を示す平面図である。
【図8】操舵量γに対する制動制御量に対する支援量の最大値を示すグラフ図である。
【図9】自車の進行方向に移動体である障害物が出現した状況を示す平面図である。
【図10】障害物の種類ごとの操舵角に対するブレーキ支援減速度を示すグラフ図である。
【図11】操舵角に対するブレーキ支援減速度を示すグラフ図である。
【図12】第2実施形態において自車の進行方向に障害物が出現した状況を示す平面図である。
【図13】図12において新たな障害物が出現した状況を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る運転支援装置について説明する。図1に示すように、本発明の第1実施形態の運転支援装置10は、環境認識部11、自車状態検出部12、危険度算出部13、支援量決定部14、行動判定部15、環境変化判定部16、支援変化量算定部17及び支援実現部18を備えている。
【0018】
環境認識部11は、自車両周辺の環境を認識する装置である。環境認識部11は、自車両周辺の歩行者、他車両等の障害物を検出する。環境認識部11は、レーザレーダ、カメラ等を備えている。
【0019】
自車状態検出部12は、自車両の位置、自車両の運動状態を検出する。自車状態検出部12は、車速センサと、自車両のヨー角を測定する白線センサ、ヨーレートを計測するジャイロセンサ、加速度センサ及びGPSを備えている。
【0020】
危険度算定部13は、環境認識部11により認識された障害物等と、自車状態検出部12により検出された自車両の状態とから、自車両の危険度を算定する。支援量決定部14は、危険度算定部13により算定された障害物等の危険度から、自車両のドライバーの運転を支援する度合である支援量を決定する。
【0021】
行動判定部15は、環境認識部11により認識された障害物等と、自車状態検出部12により検出された自車両の状態とから、自車両のドライバーの運転操作を判定する。特に行動判定部12は、支援量決定部14が支援量を決定した後の自車両のドライバーの運転操作を判定する。
【0022】
環境変化判定部16は、支援量決定部14が支援量を決定した後に、環境認識部11により新たな障害物が認識されたか否かを判定するためのものである。
【0023】
支援変化量算定部17は、行動判定部15により判定された自車両のドライバーの運転操作と、環境変化判定部16により判定された新たな障害物とに基づいて、支援量決定部14により決定された支援量を補正する。
【0024】
支援実現部18は、支援変化量算定部17により算定された支援量に従って、自車両のドライバーを支援する。支援実現部18は、具体的には、映像や音声によりドライバーの運転を誘導する。また、支援実現部18は、アクチュエータによりステアリングホイール、アクセルペダル及びブレーキペダルに反力を与えることによりドライバーの運転を誘導する。また、支援実現部18は、ドライバーの運転操作に関わらず、自車両の速度、加速度、減速度及び舵角を制御する。
【0025】
以下、本実施形態の運転支援装置10の動作について説明する。図2に示すように、運転支援装置10の危険度算定部13は、環境認識部11及び自車状態検出部12により自車両及び障害物の現在の位置及び速度等を取得する(S11)。危険度算出部13は、自車両及び障害物の将来の位置を予測する(S12)。支援量決定部14は、予測された自車両及び障害物の将来の位置から、必要な支援量を決定する(S13)。支援量の決定後に行動判定部15がドライバーによる操舵操作が発生したと判定した時は(S15)、支援変化量算定部17は、後述する簡易計算を用いてドライバーの操舵操作の量から決定した支援量を補正し、適切な支援量を決定する(S15)。
【0026】
図3に示すように、障害物H1に対して自車両V0が経路Poldを通過すると予測される支援量が決定されたものとする。ところが、図4に示すように、支援量が決定された後にドライバーにより障害物H1を回避する操舵操作が行われると、ドライバーの操舵操作後に自車両V0が通過すると予測される経路Pは、経路Poldから余裕距離dを隔てたものとなる。この場合、運転支援が強過ぎることでドライバーに不快感を与える可能性がある。また、図4の状況で、再び自車両の将来の位置の予測及び支援量算出を行うと、計算コストがかかるという問題がある。そこで、本実施形態では以下の手法を用いる。
【0027】
以下、ドライバーの操舵量を直接用いて支援量を変更する方法について説明する。支援変化量算定部17は、図4のドライバーの操舵量を取得し、支援量としての制動制御量を直接変更する。例えば、図3で図5に示す制動制御による支援量が決定されているときに、操舵量と下式(1)を用いて図6に示すように最大制動制御量を変更することで、ドライバーの違和感を低減することができる。操舵量を直接用いた方法の他に、支援量決定時の自車両V0の将来の予測経路と、ドライバーの操舵後に新たに予測した自車両V0の将来の予測経路との間にできる空間の面積を用いる方法等も考えられる。
Snew=Sold+f(γ) (1)
(Snew:更新後の最大制動制御量、Sold:更新前の最大制動制御量)
【0028】
以下、上式(1)中のf(γ)を求める方法を説明する。図7に示すように、自車両V0の左側に歩行者である障害物H1が存在する場合には、ドライバーが右に操舵を行なったときは、支援を弱めるべきである。一方、ドライバーが左に操舵を行なったときは、支援を強めるべきである。そのため、図7に示すように、操舵の右方向には支援量が0になる領域A0が存在する。一方、操舵の左方向には支援量が最大値に達する領域Amaxが存在する場合がある。例えば、ドライバーの操舵量γと制動制御支援量との間には、図8に示すような線形の関係が考えられる。
【0029】
このような支援量を補正する動作について、さらに詳述する。図9に示すように、移動体である障害物H1が自車両V0の進行方向を横切る状況を想定する。この時点で初速Vの自車両V0に対して制動による運転支援を開始したと仮定する。図9の状況では、ドライバーが障害物H1に気付き、右に操舵した場合に、支援量が変わらないと違和感が生じる。そこで、支援変化量算定部17は、予め図10に示すような操舵角θとブレーキ支援減速度gとのマップを有している。図10では、障害物H1が車両、自転車又は人である場合に分けて、操舵角θに対してブレーキ支援減速度gが正規分布を有するマップとなっている。図10に示すようなマップは、自車両V0と障害物H1との衝突の程度を基に導き出しても良い。また、障害物H1が飛び出してくる速度に応じて支援量を軽減する量である図10中の分散σを変更することも考えられる。
【0030】
また、移動体である障害物H1に自車両V0が接近する場合、支援量を増大させるときは、図10の正規分布のマップではなく図11に示すようなアークタンジェントのマップも考えられる。図10では横軸を操舵角θとしたが、図3及び図4に示すような自車両V0がカーブを走行する状況では、操舵角θだけでは支援量を軽減することが困難である状況も考えられる。そこで、当初の予測経路に対し、ドライバーの操作やその他の外乱により経路が変わった場合、外界の走行路と新たな予測経路との2つを用いて支援量を決定する方法も考えられる。例えば、図3及び図4では、走行路が右へのカーブであり、新たな予測経路がより曲がりが大きい右へのカーブである。そのため、支援変化量算定部17は、この2つのカーブの極率の差や、経路間にできる面積をマップの横軸として、支援量への補正量を決定することができる。
【0031】
本実施形態によれば、運転支援装置10の支援実現部18は、自車両V0周囲の状況に応じて支援量決定部14が決定した運転支援量により自車両V0のドライバーの運転支援を行い、運転支援量を決定した後にドライバーによる操舵があったときは、支援量変化量算定部17及び支援実現部18は、運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量に応じた補正量により補正された運転支援量によりドライバーの運転支援を行う。このため、ドライバーにとって違和感のない運転支援が実行される。さらに、補正量の算出は、再度支援量を計算する場合と比較して簡易に行なうことができ、計算コストを低減することができる。
【0032】
また、本実施形態によれば、支援量変化量算定部17及び支援実現部18は、自車両V0周囲の状況に応じて決定した運転支援量と、運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量と運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量に応じた補正量との互いに関連付けられたマップとに基づいて補正された運転支援量によりドライバーの運転支援を行う。このため、運転支援ユニットは簡単に補正量を求めることができる。
【0033】
また、本実施形態によれば、支援量決定部14は、自車両V0周囲の障害物H1と自車両V0との接触を避けるように運転支援量を決定し、支援量変化量算定部17及び支援実現部18は、運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量による操舵の方向が障害物H1に近いほど運転支援量が大きくなるように補正し、運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量による操舵の方向が障害物H1に遠いほど運転支援量が小さくなるように補正する。これにより、運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量による操舵の方向が障害物H1に近く、ドライバーの障害物に対する認識が低いときは、運転支援量が大きくなるように補正することにより安全性を高めることができる。また、運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量による操舵の方向が障害物H1に遠く、ドライバーの障害物に対する認識が高いときは、運転支援量が小さくなるように補正することによりドライバーの違和感を低減することができる。
【0034】
以下、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、次々に障害物が発見されたときは、一度は各々の障害物と自車両との接触を避けるための運転支援量を決定し、その後にドライバーによる操舵があったときは、当該操舵量に応じて既に決定された各障害物を避けるための運転支援量を補正する。
【0035】
図12に示すように、自車両V0の運転支援装置10は、障害物H1に対して初期の目標通過経路P1及び支援量を決定する。その後に図13に示すように障害物H2が発見された状況を想定する。障害物H1に対しての支援量を決定した後にドライバーによる操作行動があった場合、支援変化量算定部17は、障害物H1に対しては、上記第1実施形態のように、初期の支援量をドライバーの操作量に基づいて補正する。障害物H2に対しては、従来のように障害物H2と自車両V0との予想経路等に基づいて支援量を決定する。もし、その後にドライバーによる操作行動があった場合は、支援変化量算定部17は、障害物H2に対しても、上記第1実施形態のように、初期の支援量をドライバーの操作量に基づいて補正する。補正のために要する計算は簡易であるため、計算コストの低減が可能となる。
【0036】
上記の従来の技術では、ドライバーの操作の変化や環境の変化が起こった場合、従来の状況の予測や危険の程度を予測する手法では、計算コストが多く、支援量の決定が間に合わない可能性がある。上記の従来の技術において課題となるのが、支援量を計算する時間の短縮である。従来の複雑な予測計算や支援量の決定方法では支援量の決定が遅れてしまう恐れがある。これは、支援の対象となる障害物の数が増えるほど深刻な問題となる。
【0037】
本実施形態では、支援量決定部14は、自車両V0周囲に発見された障害物H1と自車両V0との接触を避けるための運転支援量を決定し、障害物H1と自車両V0との接触を避けるための運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量に応じて障害物H1と自車両V0との接触を避けるための運転支援量を補正し、自車両V0周囲に新たに発見された障害物H2と自車両V0との接触を避けるための運転支援量を決定し、障害物H2と自車両V0との接触を避けるための運転支援量を決定した後のドライバーによる操舵量に応じて障害物H2と自車両V0との接触を避けるための運転支援量を補正する。これにより、次々に障害物が発見されたときは、一度は各々の障害物H1,H2と自車両V0との接触を避けるための運転支援量を決定し、その後にドライバーによる操舵があったときは、当該操舵量に応じて既に決定された各障害物H1,H2を避けるための運転支援量を補正していくだけで済むため、運転支援量を算出するコストの低減を図ることが可能となる。
【0038】
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記実施形態では、ドライバーの操舵量により生じる最適支援量の変化について説明したが、操舵以外のドライバーの操作量であるアクセルペダル踏量、ブレーキペダル踏量、ドライバーのアクセルペダル又はブレーキペダルへの足の構え、車速、ブレーキペダル圧等を用いても良い。また、支援量の補正は、ドライバーの操作量だけではなく、対象とする障害物の移動や向き等の外部環境の変化の量を用いても良い。また、変化させる支援量としては、車速及び操舵に対する支援量、視覚提示の色、視覚提示の光の強さ、視覚提示の点滅の速さ、聴覚提示の音量、聴覚提示の音の高さ、触覚提示の強度、触覚提示の振動周期等が考えられる。
【符号の説明】
【0039】
10…運転支援装置、11…環境認識部、12…自車状態検出部、13…危険度算出部、14…支援量決定部、15…行動判定部、16…環境変化判定部、17…支援変化量算定部、18…支援実現部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両周囲の状況に応じて決定した運転支援量により前記自車両のドライバーの運転支援を行い、前記運転支援量を決定した後に前記ドライバーによる操舵があったときは、前記運転支援量を決定した後の前記ドライバーによる操舵量に応じた補正量により補正された前記運転支援量により前記ドライバーの運転支援を行う運転支援ユニットを備えた運転支援装置。
【請求項2】
前記運転支援ユニットは、前記自車両周囲の状況に応じて決定した前記運転支援量と、前記運転支援量を決定した後の前記ドライバーによる操舵量と前記運転支援量を決定した後の前記ドライバーによる操舵量に応じた前記補正量との互いに関連付けられた関係とに基づいて補正された前記運転支援量により前記ドライバーの運転支援を行う、請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記運転支援ユニットは、前記自車両周囲の障害物と前記自車両との接触を避けるように前記運転支援量を決定し、前記運転支援量を決定した後の前記ドライバーによる操舵量による操舵の方向が前記障害物に近いほど前記運転支援量が大きくなるように補正し、前記運転支援量を決定した後の前記ドライバーによる操舵量による操舵の方向が前記障害物に遠いほど前記運転支援量が小さくなるように補正する、請求項1又は2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記運転支援ユニットは、
前記自車両周囲に発見された第1の障害物と前記自車両との接触を避けるための前記運転支援量を決定し、第1の前記障害物と前記自車両との接触を避けるための前記運転支援量を決定した後の前記ドライバーによる操舵量に応じて第1の前記障害物と前記自車両との接触を避けるための前記運転支援量を補正し、
前記自車両周囲に新たに発見された第2の障害物と前記自車両との接触を避けるための前記運転支援量を決定し、第2の前記障害物と前記自車両との接触を避けるための前記運転支援量を決定した後の前記ドライバーによる操舵量に応じて第2の前記障害物と前記自車両との接触を避けるための前記運転支援量を補正する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の運転支援装置。
【請求項5】
自車両周囲の状況に応じて決定した運転支援量により前記自車両のドライバーの運転支援を行い、前記運転支援量を決定した後に前記ドライバーによる操舵があったときは、前記運転支援量を決定した後の前記ドライバーによる操舵量に応じた補正量により補正された前記運転支援量により前記ドライバーの運転支援を行う運転支援工程を含む運転支援方法。
【請求項1】
自車両周囲の状況に応じて決定した運転支援量により前記自車両のドライバーの運転支援を行い、前記運転支援量を決定した後に前記ドライバーによる操舵があったときは、前記運転支援量を決定した後の前記ドライバーによる操舵量に応じた補正量により補正された前記運転支援量により前記ドライバーの運転支援を行う運転支援ユニットを備えた運転支援装置。
【請求項2】
前記運転支援ユニットは、前記自車両周囲の状況に応じて決定した前記運転支援量と、前記運転支援量を決定した後の前記ドライバーによる操舵量と前記運転支援量を決定した後の前記ドライバーによる操舵量に応じた前記補正量との互いに関連付けられた関係とに基づいて補正された前記運転支援量により前記ドライバーの運転支援を行う、請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記運転支援ユニットは、前記自車両周囲の障害物と前記自車両との接触を避けるように前記運転支援量を決定し、前記運転支援量を決定した後の前記ドライバーによる操舵量による操舵の方向が前記障害物に近いほど前記運転支援量が大きくなるように補正し、前記運転支援量を決定した後の前記ドライバーによる操舵量による操舵の方向が前記障害物に遠いほど前記運転支援量が小さくなるように補正する、請求項1又は2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記運転支援ユニットは、
前記自車両周囲に発見された第1の障害物と前記自車両との接触を避けるための前記運転支援量を決定し、第1の前記障害物と前記自車両との接触を避けるための前記運転支援量を決定した後の前記ドライバーによる操舵量に応じて第1の前記障害物と前記自車両との接触を避けるための前記運転支援量を補正し、
前記自車両周囲に新たに発見された第2の障害物と前記自車両との接触を避けるための前記運転支援量を決定し、第2の前記障害物と前記自車両との接触を避けるための前記運転支援量を決定した後の前記ドライバーによる操舵量に応じて第2の前記障害物と前記自車両との接触を避けるための前記運転支援量を補正する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の運転支援装置。
【請求項5】
自車両周囲の状況に応じて決定した運転支援量により前記自車両のドライバーの運転支援を行い、前記運転支援量を決定した後に前記ドライバーによる操舵があったときは、前記運転支援量を決定した後の前記ドライバーによる操舵量に応じた補正量により補正された前記運転支援量により前記ドライバーの運転支援を行う運転支援工程を含む運転支援方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−190189(P2012−190189A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52186(P2011−52186)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】
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