説明

運転支援装置

【課題】複数の車外対象物が特定された場合に、車両のユーザーが注目している車外対象物をより精度良く特定することが可能な運転支援装置を提供する。
【解決手段】特定手段によって特定された車外対象物が複数存在する場合、運転支援装置1内の制御部2は、ユーザー情報記録部3から、ユーザーの関心があるものと推定される車外対象物を種類別に分類して記録された種類の情報を取得する。制御部2は、特定された車外対象物に対応する種類のうち、ユーザー情報記録部3に記録された種類と一致する種類に対応する車外対象物を出力対象とする。そしてこの出力対象となる車外対象物に関する情報を出力装置30より出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両のユーザーが注目している車外対象物を特定して案内する運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転者が注目している建物などの車外対象物を視線検出及び音声認識により特定して案内する運転支援装置が知られている。この運転支援装置では、運転者の質問が発せられる直前の所定の時点で取得・記憶保持された車外風景画像と視線方向とを照合する。そしてこの照合により、運転者が質問直前に注目していた車外対象物が自動的に特定されることが開示されている(例えば特許文献1)。
【0003】
また上記特許文献1では、複数の車両から報告された質問の対象となった車外対象物に関する情報を所定のセンタが統合し、質問回数による車外対象物のランク付けを行って、それを各車両にフィードバックしている。このフィードバックにより、もし照合時に複数の車外対象物が特定された場合には、その質問回数が多い順にランク付けされたランキングを参照することで、自動的に車外対象物を1つに絞る方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−90790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のような質問回数のランキングを参照して自動的に車外対象物を絞る技術は、複数の車両から集めた情報に基づいて車両対象物を特定するため、運転者などのユーザーが関心を持っていない車外対象物が特定される場合も発生する。特に、照合時に車外対象物が数多く特定されるほど、各車両のユーザーの関心も分散する可能性が高くなるため、上記技術ではユーザー自身が本当に知りたい車外対象物でないものが特定される可能性が高くなるという問題がある。
【0006】
本発明は上記問題に鑑み、複数の車外対象物が特定された場合に、車両のユーザーが注目している車外対象物をより精度良く特定することが可能な運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を解決するために請求項1の運転支援装置は、車両のユーザーが注目している車外対象物を特定する特定手段を有し、特定された車外対象物を出力するものにおいて、ユーザーの関心があるものと推定される車外対象物を種類別に分類して記録するユーザー情報記録手段と、特定手段によって特定された車外対象物が複数存在する場合、この特定された車外対象物に対応する種類のうち、ユーザー情報記録手段に記録された種類と一致する種類に対応する車外対象物を出力対象とする手段を備えることを特徴としている。
【0008】
この構成によれば、ユーザーが注目している車外対象物が複数特定された場合でも、その特定された複数の車外対象物の種類の中から、ユーザーが関心を持っていると予想される種類に対応する車外対象物を出力対象とすることができる。従って、車両のユーザーが注目している(つまりユーザーが知りたい)車外対象物をより精度良く特定し、出力することができる。
【0009】
尚、たとえ最終的に絞り込んで特定された車外対象物が複数残ったとしても(1つに絞りきれなかったとしても)、それらの車外対象物はユーザーの注目している車外対象物であるので問題ない。
【0010】
また請求項2の運転支援装置では、ユーザー情報記録手段は、ユーザーが利用した車外対象物が種類別に記録されてなるものであることを特徴としている。
【0011】
この構成によれば、ユーザーが利用した車外対象物に対応する種類が記録されることで、ユーザーの関心があると推定される車外対象物の種類をより精度良く抽出することができる。
【0012】
また上記請求項2の運転支援装置においては、さらに請求項3記載のように、ユーザー情報記録手段に記録された種類は、ユーザーが車外対象物を利用した日時又は利用した位置に基づいて分類されていることを特徴としている。
【0013】
この構成によれば、ユーザーが利用した車外対象物に対応する種類を、曜日や時間、地域などの条件毎により詳細に分類できるため、運転支援装置を使用する状況に応じて、ユーザーの関心があると推定される車外対象物の種類をより精度良く抽出することができる。
【0014】
また請求項4の運転支援装置では、ユーザー情報記録手段に記録された種類は、ユーザーより入力された分野に基づいて分類されていることを特徴としている。
【0015】
この構成によれば、ユーザー入力された分野ごとに対応する車外対象物の種類が記録されていることにより、ユーザーの関心があると推定される車外対象物の種類をより精度良く抽出することができる。
【0016】
また請求項5の運転支援装置では、車両の走行履歴を記録する走行履歴記録手段、及び地図データ上の地物を新規に更新又は追加する地図情報更新手段に基づき、車両の現在位置を過去に走行した時点から現時点迄の間に、特定手段によって特定された車外対象物の内、地図データで新規に更新又は追加された地物が存在するか否かを検索する新規地物検索手段と、をさらに有し、特定された車外対象物が複数存在する場合、走行履歴記録手段によって記録された前記走行履歴に基づき、前記現在位置が過去に走行したことのある場所であり、かつ、新規地物検索手段の検索結果により、新規に追加又は更新された地物が、特定手段によって特定された車外対象物と一致するときは、その特定された車外対象物に対応する新規に更新又は追加された地物を出力対象とすることを特徴としている。
【0017】
過去に自車が走行した道(特に普段よく走行する道)では、ユーザーは車両の現在位置の周辺にある様々な車外対象物を既に知っていると考えられる。しかし、地図の更新により、車外対象物の情報が新しく更新又は追加された場合、ユーザーはその追加された車外対象物の情報は知らない(つまりユーザーが問い合わせて知りたい情報)と考えられる。
【0018】
そこで特定された車外対象物が複数存在する場合、車両のユーザーが注目している(つまりユーザーが知りたい)車外対象物をより絞り込んで特定することができる。
【0019】
また、請求項6の運転支援装置は、特定手段により特定され、出力対象とされた車外対象物に関する情報を、映像表示手段及び音声出力手段の少なくとも一方を用いて出力することを特徴としている。
【0020】
この構成によれば、特定した車外対象物の案内等の情報をユーザーに視覚又は聴覚、あるいはその両方を通して伝えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態における運転支援装置の構成を示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態における車外対象物特定処理を示すフローチャートである。
【図3】本実施形態に係り、図2のステップS16の詳細な制御処理を示すフローチャートである。
【図4】本実施形態に係り、図1のユーザー情報記録部に記録された、車外対象物の利用履歴情報に関するテーブルである。
【図5】本実施形態に係り、図2のステップS14の別の制御処理を示すフローチャートである。
【図6】図1〜図5の本実施形態の作用効果を説明するための概略図である。
【図7】本実施形態に係り、図2のステップS16の制御処理ついて、図3とは別の制御処理を示すフローチャートである。
【図8】本実施形態に係り、図1のユーザー情報記録部に記録された、ユーザーの興味情報に関するテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る車両に用いられる運転支援装置の実施形態を、図面に基づき説明する。
【0023】
図1は運転支援装置1の概略構成図である。まず接続関係について説明し、個々の機能については後述する。運転支援装置1は、その運転支援装置1の外部に設けたトークスイッチ(トークSWと略す)10、マイク11、位置・方位検出装置12、視線カメラ13、及び地図データ入力装置14より、それぞれ通信線を介して対応する信号が入力される。また運転支援装置1は、その外部に設けた出力装置30に通信線を介して信号を出力する。この運転支援装置1の内部には、制御部2、ユーザー情報記録部3、音声認識処理部20、現在位置・方位検出処理部21、視線検出処理部22、地図データ記録部23、音声処理部24、及び画像処理部25を備えており、各部(3、20〜25)は通信線を介して制御部2にそれぞれ通信可能に接続されている。
【0024】
トークSW10は、音声認識処理部20に音声認識処理を開始させるトリガを発生させるためのスイッチであり、ユーザー(ここで言うユーザーとは、予め音声認識処理部20に音声認識用の音声登録がされており、かつ視線方向を検出するための視線カメラ13が向けられている、車両の運転手又は乗員を言う)によってスイッチのオン又はオフが切り替えられる。また、スイッチをオンすることで、制御部2は車外対象物を特定するための処理を開始する。
【0025】
マイク11は、ユーザー等(=ユーザーの他、音声登録されていない乗員を含む)の発話音声を録取するためのものであり、入力された音声は、語彙データとして音声認識処理部20に送信される。
【0026】
位置・方位検出装置12は、図示しないがGPS受信機、方位センサ、車速センサなどを備えている。この位置・方位検出装置12で検出された各検出データは、現在位置・方位検出処理部21に送信され、車両の現在位置(緯度・経度)及び走行方位が算出される。
【0027】
視線カメラ13は、ユーザーの目の動きを撮像するものであり、ユーザーの目を含む顔を撮影した撮像データを視線検出処理部22に送信する。
【0028】
地図データ入力装置14は、DVD−ROMドライブ等のドライブ装置からなり、そのDVD−ROMメディアから地図データ(建物等の施設や山等の物体の地物に関する詳細情報を含む)を読み出し、地図データ記録部23に記録する。尚、本実施形態の地図データを入手する手段は、ドライブ装置を用いているが、特に限ることはない。常に最新の地図データを入手できる手段であれば何であっても良い。例えば地図データの更新や追加がある度に、図示しない無線通信機能を用いて図示しないサービスセンターからその地図データをダウンロードして、地図データ記録部23に記録してもよい。
【0029】
出力装置30は、スピーカー部31及び表示部32からなり、特定された車外対象物に関する情報を表示及び/又は音声を用いて案内する。具体的には、表示部32は図示しない液晶ディスプレイ装置から構成され、画像処理部25の処理結果(例えば車外対象物が「建物等の施設」であれば、その名称、施設内容、駐車場、営業時間などの情報、山等の物体であればその名称、標高、歴史や観光などの情報)をディスプレイに表示出力する。また、スピーカー部31は運転支援装置1の音声処理部24の処理結果(表示と同様の情報)をスピーカーから音声出力する。
【0030】
運転支援装置1は、マイク11を介して受信したユーザー等の語彙データを解析して、音声内容の認識や、図示しないメモリ等に予め音声登録された人であるかの認識を行う音声認識処理部20を備えている。また、位置・方位検出装置12から送信された各検出データに基づき、自車の現在位置・方位を算出する現在位置・方位検出処理部21を備えている。さらに視線カメラ13から送信される撮像データを画像処理する(つまりユーザーの顔面画像から眼球の動きを基に視線方向を検出する)視線検出処理部22、地図データ入力装置14から送信される地図データにより、地物の更新・追加情報を含む地図データが記録される地図データ記録部23を備えている。また、運転支援装置1の各処理部及び各記録部と通信して車外対象物を特定するための処理を行う制御部2、ユーザーが利用した車外対象物、又はユーザーの興味のある車外対象物が、それぞれ種類分けして記録されたユーザー情報記録部3、特定された車外対象物を通知するための処理を行う音声処理部24(合成音声の作成など)、及び画像処理部25(描画データの作成、縮尺変更処理など)を備えている。
【0031】
なお、音声認識処理部20、現在位置・方位検出処理部21、視線検出処理部22、制御部2、音声処理部24、画像処理部25は、CPU、ROM、RAM、EEPROM、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)等を備えた周知のマイクロコンピュータ上で周期的に実行される処理として実現される。また、図示しないが、運転支援装置1は、インターフェース部を備え、運転支援装置1の外部に設けた装置と必要な情報のやりとりが行われるよう構成されている。運転支援装置1は、このインターフェース部を介して情報のやりとりを行っている。例えば図示しない時計機能を有する装置から送信される日付や時刻に関するデータを、インターフェース部を介して受信している。
【0032】
上記構成に基づき本実施形態に係る車外対象物を特定する特定手段の基本的な処理方法を簡単に説明する。
【0033】
まず運転支援装置1(制御部2)は、トークSW10がオンされることにより、車外対象物特定処理を開始する。
【0034】
次に運転支援装置1は、位置・方位検出装置12より入力された各検出データに基づき現在位置・方位を算出し(現在位置・方位検出処理部21)、車両のユーザーが注目している視線方向を視線カメラ13の撮影結果から検出し(視線検出処理部22)、そしてマイク11を介して得られるユーザー等の発音による語彙データの入力により音声内容を認識する(音声認識処理部20)。
【0035】
そして運転支援装置1は、現在位置・方位の算出結果、視線方向の検出結果、語彙データの音声認識結果に基づき、地図データから出力対象となる車外対象物を特定する。
【0036】
また運転支援装置1は、この特定された車外対象物の情報を地図データ記録部23に記録された)地図データから検索して抽出し、音声又は映像表示で案内するための案内処理部(音声処理部24又は画像処理部25)で処理し、この処理結果を出力する。
【0037】
そしてこの処理結果を受信した出力装置30は、特定された車外対象物の情報を報知するため、音声(スピーカー部31)及び映像(表示部32)のうち少なくとも一方を通してその情報を出力する。
【0038】
尚、上述のような、視線検出及び音声認識により、車両ユーザーが注目している車外対象物を特定して案内する運転支援装置の基本的な構成、動作原理、及び制御方法については周知の技術を用いているため(例えば特許文献1及び特開2003−329463号公報などを参照)、詳細な説明は省略する。
【0039】
次に、図2のフローチャートを用い、本実施形態に係る運転支援装置1による車外対象物特定処理の流れを説明する。
【0040】
まず、ユーザーによりトークSW10がオン状態に切り替えられたことを制御部2が検知すると、制御部2は本処理(車外対象物を特定するための処理)を開始する。
【0041】
ステップS10では、ユーザーが注目する視線方向が、現在走行している車両の方向に対して何度であるかを特定するため(つまり視線方向をより正確に求めるため)に、まず車両の現在位置と走行方位を取得開始する。
【0042】
次にステップS11では、ユーザーがどの車外対象物を見ているかを推測するために、画像処理によりユーザーの視線方向を検出開始する。
【0043】
ステップS12では、マイク11より音声入力及び音声認識処理を開始し、音声入力があった場合はその語彙データを音声認識処理部20で処理する。
【0044】
ステップS13では、音声認識処理部20で語彙データを解析することにより、質問の内容を分析する(車外対象物に関連する語彙を抽出する)と共に、ユーザーの音声か否かを認識する。これは意図しない音声認識処理(例えばユーザーの視線方向は検出しながらも、音声登録をしていない乗員がユーザーの意図したものと違う車外対象物を勝手に質問して認識処理されてしまう等)を防ぐためであり、予め音声登録されたユーザーからの質問であったか否かを判定する。ユーザーからの質問である場合は、ステップS14に進み、ユーザーからの質問で無い場合は、マイク11よりユーザーの音声入力がなされるまでステップS13を繰り返し実行する。
【0045】
ステップS14では、車両位置・方位、ユーザーの視線方向、及び発話内容(語彙)に基づき、地図データから出力対象となる車外対象物を特定する。例えば、複数のビル等の建物が並ぶ街中で、車両が北に向かって停車中に、ユーザーが右方向(つまり東側)の車外を見ながら、「あれは何?」と質問したとする。その場合、ユーザーの視線方向で車両の東側にある建物を地図データ上から検出し、その建物を出力対象となる車外対象物として特定する。またその建物の施設の情報(建物の名称や建物内の案内)も抽出する(以降、車外対象物の例は建物の施設を中心に説明する)。もし、ユーザーの視線方向から複数の車外対象物を特定した場合は、その複数の車外対象物についての情報をそれぞれ抽出する。
【0046】
次のステップS15では、ステップS14で特定した車外対象物が一つに絞られているか否かを判定する。車外対象物が一つに絞られている場合は、その車外対象物以外に周囲に対象となるものが存在しないため、その車外対象物がユーザーの知りたい車外対象物であると推測できる。そのため1つに絞られた車外対象物をユーザーの知りたい車外対象物とみなして、ステップS17に進み、出力装置30を用いてユーザーに車外対象物を案内する。また、車外対象物が一つに絞られていない(つまり車外対象物が複数特定された)場合は、ユーザーの知りたい車外対象物と、ユーザーの関心の無い車外対象物が混在していることが考えられるため、ステップS16に進み、複数の車外対象物をさらに特定する処理を行う。このステップS16処理の詳細は図3を用いて後述する。そしてステップS16でユーザーの知りたい車外対象物をさらに特定したら、ステップS17に進み、出力装置30を用いてユーザーに車外対象物を報知する。
【0047】
ステップS17では出力装置30の音声(スピーカー部31)または映像(表示部32)を通して車内に車外対象物に関する名称や案内等の情報を出力する。具体的には、特定された車外対象物が××百貨店というデパートであった場合、「あれは××百貨店です。××百貨店には食品売り場、紳士服、婦人服があります。××百貨店の営業時間は10:00〜19:00です。また、××百貨店の営業時間150台駐車可能な駐車場があります。」といった音声案内、又は文字や写真等を用いた映像表示案内をユーザーに行う。尚、このような案内等は音声出力と映像表示の両方の出力手段を用いて行ってもよい。
【0048】
そして、ステップS17の案内が終了すると、エンドに進み、本処理を終了する(トークSW10のオン設定をオフ設定にする)。
【0049】
次に図3を用いて図2のステップS16の複数の車外対象物をさらに特定する処理手段について説明する。
【0050】
まずステップS161で現在の日時又は現在の車両位置のデータを取得し、RAM等のメモリに記憶する。
【0051】
ステップS162では、そのステップS161で取得したデータに基づき、次のステップの判定に使用するユーザーに関係する情報となる利用履歴情報をユーザー情報記録部3から抽出する。
【0052】
ここで図4を用いて、この利用履歴情報の作成方法について詳細に説明する。図4にはユーザーが過去に利用した車外対象物の利用履歴に関する情報が、ユーザー情報記録部3のテーブル(3a1、3a2、3b1、3b2)に後述する条件毎に記録されている。この各テーブルには優先度(位)、利用頻度(%)、ユーザーが利用した車外対象物の種類(建物や山等の車外対象物に付けられた固有名称を一般名称に抽象化したもの)の項目が予め用意されている。
【0053】
このテーブルの設計思想は、ユーザーの日常よく利用する車外対象物が、そのユーザーが注目している(≒ユーザーの関心が高いと推定される、又はユーザーが知りたい)車外対象物であるとして作られている。
【0054】
尚、ユーザー情報記録部3に記録されたテーブルは、地図データ上にある各車外対象物を固有名詞ではなく上位概念の種類で分類して(カテゴリ別に分けて)記録している。例えば車外対象物が○□ラーメンという店であれば、レストランの種類に分類し、富士山であれば山の種類に分類する。このように種類で記録している理由は、ユーザーの過去利用した車外対象物を抽象化した種類毎に分けることで、これまでユーザーが利用したことがない車外対象物であっても、それがユーザーにとって関心のある車外対象物か否かを、種類を見ることで予想することができる。また種類で括ることにより、固有名詞全てを記録して検索するよりも、記録容量の節約や検索時間を短縮できる利点もある。
【0055】
そしてこの図4のテーブルの利用履歴情報は大きく分けて2つのグループで記録されており、日にちに関するテーブルグループ(3a1、3a2)と、地域(場所)に関するテーブルグループ(3b1、3b2)に分けられている。
【0056】
尚、上述のステップS162の利用履歴情報について、日にちに関するか、地域(場所)に関するかのどちらのグループのテーブルを用いるかは、図2の処理を開始する前(少なくともステップS162の処理前)に図示しないタッチパネルなどの入力装置からユーザー等の操作によって予め選択(又は設定)されている。
【0057】
ここからは、上記の各テーブルグループ内部についての作成方法について説明する。
【0058】
まず、日にち(平日、休日)に関するテーブルグループ(3a1、3a2)が予め選択された場合の、テーブル内部の作成方法について以下、具体的に説明する。
【0059】
日常において車両を使用中のユーザーが車外対象物を利用したとき(利用とは、例えば車外対象物の駐車場に停車したとき、又はその場所に所定時間滞在したとき等を言う)に、車外対象物の種類のデータやその位置に関するデータ、車外対象物を利用したときの日時データが制御部2に入力される。
【0060】
そして制御部2では、その入力された各データに基づき、テーブルグループ内で、どのテーブルの内部情報を書き換えるかを決める。
【0061】
そして制御部2は、入力されたデータを基に利用頻度(%)を算出する。また制御部2が利用頻度を算出する度に、テーブルは利用頻度が大きい順に優先度(1位、2位、3位、・・・)を設定する。
【0062】
尚、ここで使用する種類(例えば百貨店、レストラン、スポーツジム等の一般名称)は地図データに登録された車外対象物毎に予め記録されている。
【0063】
ここで上述の説明をもっとわかり易くするために、まず日にちに関するテーブルグループが予め選択された場合を具体例に、そのテーブル内部の作成方法についての以下に説明する。
【0064】
ユーザーが○×百貨店という名称の百貨店(種類)で買い物をするために、車両をその百貨店で停車した場合、車外対象物をユーザーが利用したと判断する。
【0065】
尚、利用したと判断する方法は上記に限らず、例えばカーナビゲーション装置(非図示)の目的地設定機能を用いて、車外対象物となる目的地の場所(例えば○△イートという名称のレストラン)や立ち寄り場所(例えば△△ジムという名称のスポーツジム)が設定されているときに、それらの場所に車両が進入した場合に、車外対象物をユーザーが利用したと判断してもよい(設定された目的地なので到着すれば停車することが予想できるため)。
【0066】
入力された上述の日時データが、日曜(休日)であった場合、テーブルは3a1(用履歴情報・休日)を選択する。
【0067】
そして制御部2は、入力された各データ(車外対象物の種類)を元に利用頻度(%)を算出する。具体的な例をあげると、テーブル3a1で今回利用した種類(百貨店)と同じで、かつ過去に入力された種類(百貨店)の累積数(例えば累積数29)に今回利用した分(つまり1)を加えた数(29+1=30)を、テーブル3a1の過去に入力された全ての種類の総数(例えば総数100)で割る除算を行うことで利用頻度(%)を算出する。今回の例の場合、テーブル3a1の百貨店の利用頻度は30/100×100(%表示)=30(%)となる。また制御部2は利用頻度が算出される度に、テーブル3a1は利用頻度が大きい順に優先度(1位、2位、3位、・・・)を設定する。ここでの百貨店の優先度は最も高い1位に設定されている。
【0068】
尚、この優先度は利用頻度の順位を分かりやすく説明するために設けたものであり、必須のデータではない。従って優先度の代わりに利用頻度を直接後述する種類の判定(ステップS163)に用いてもよい。
【0069】
このようにユーザーが上述の百貨店以外の車外対象物の種類を利用した場合であっても、同様の算出方法でその車外対象物の種類に対応する利用頻度、及び優先度が求められ、テーブル3a1に記録される。
【0070】
また、地域(場所)に関するテーブルグループ(3b1、3b2)が予め選択された場合の、テーブル内部の作成方法についても以下、具体的に説明する。
【0071】
入力された上述の位置データが、自宅周辺であった場合、テーブルは3b1(利用履歴情報・自宅周辺)を選択する。また、ユーザーはその自宅周辺で○△コンビニという名称のコンビニエンスストア(種類)を利用したとする。
【0072】
そして制御部2は、上述の日にちに関するテーブルの算出方法と同様に、入力されたデータを元に利用頻度(%)を算出する。このコンビニエンスストアの利用頻度は30%であり、優先度は最も高い1位に設定されている。また他の種類についても同様の算出方法で利用頻度、及び優先度が求められ、テーブル3b1に記録されている。
【0073】
以上の様に、ユーザーに関係する情報としての利用履歴情報は、車両利用中のユーザーが車外対象物を利用する毎に記録・更新される。
【0074】
ここで図3のステップS162の利用履歴情報の抽出に戻る。車両は現在、休日(日曜)の市街地にいるとし、テーブルグループは日にちに関するテーブルが予め選択されているとする。この場合、休日であるため図4のテーブル3a1が利用履歴情報として抽出される。
【0075】
次にステップS163に進み、利用履歴情報(例ではテーブル3a1)の所定値以上の優先度(利用頻度を直接用いても良い)の種類が、特定された複数の車外対象物の種類と一致するか否かを判定する。
【0076】
具体的な例として、特定された複数の車外対象物が4つ(名称:種類→○△ジム:スポーツジム、○○百貨店:百貨店、××百貨店:百貨店、×○博物館:文化施設)あった場合を仮定する。テーブル3a1の優先度の所定値を3以上と予め決められているとすると、テーブル3a1の優先度が1位の百貨店、2位のレストラン、3位のスーパーマーケットが所定値以上の優先度の種類に該当する。この1〜3位の種類中で、その特定された複数の車外対象物(4つ)の種類と同じ種類が一致するか否かを検索する。この場合では百貨店の種類に該当する○○百貨店、××百貨店の2つが、テーブル3a1の優先度1位の百貨店の種類に該当するため、利用履歴情報(テーブル3a1)の3以上の優先度の種類が、特定された複数の車外対象物の種類と一致すると判定し、ステップS164に進む。
【0077】
もし、抽出された利用履歴情報の所定値以上の優先度の種類が、特定された複数の車外対象物の種類と一致しない場合は、この利用履歴情報にはユーザーが知りたい(≒ユーザーの関心が高いと予想される)車外対象物が無いとして処理を終了する(図2のS17に進む)。
【0078】
尚、この優先度の所定値の決め方は上述のように固定値を予め決めて設定してあってもよいが、条件に応じて優先度の所定値が変わる方法であってもよい。例えば利用頻度が所望値(ユーザーの関心があると予想される値、例えば10%と設定)を超えた値に最も近い利用頻度値を有する種類の優先度の値を所定値と定めてもよい。このように利用頻度の所望値に応じて優先度の所定値を変更することで、利用頻度の少ない種類を排除することができるため、ユーザーの関心がより高い種類だけを車外対象物を絞り込む判定に用いることができる。
【0079】
ステップS164では、「利用履歴情報の所定値以上の優先度の各種類が、特定された複数車外対象物の種類と一致する」条件を満たすこととなった車外対象物に対し、前処理で抽出された名称や案内等の情報を抽出し(読み込み)、処理を終了する(図2のS17に進む)。具体的には、上述のステップS163の例では、○○百貨店、××百貨店の2つに対する名称や案内等の情報だけを残し、他の○△ジム、×○博物館に関する各情報は破棄する。そしてステップS17で、ステップS163で抽出された2つの建物の名称や案内等の情報を各々順に出力する。
【0080】
以上の構成により、車外対象物が複数特定された場合、この特定された車外対象物に対応する種類のうち、ユーザー情報記録部3に記録された種類と一致する種類に対応する車外対象物を出力対象とすることができる。従って車外対象物が複数特定された場合であっても、ユーザーが注目している(≒ユーザーの関心が高いと推定される、又はユーザーの知りたい)車外対象物をより精度良く特定し、出力することができる。
【0081】
尚、上述したステップS163の例のように、たとえ最終的に特定された車外対象物が複数あったとしても(1つに絞りきれなかったとしても)、それらの車外対象物はユーザーの注目している車外対象物であるので問題ない。
【0082】
(その他の実施形態)
まず、当該その他の実施形態で用いる運転支援装置は、本実施形態に示した運転支援装置1と同じ構成要素を有しており、同一の構成要素及び運転支援装置1の制御処理を示すフローチャートの同一の処理には、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0083】
ユーザーが過去に車両走行した道路であれば、過去にその道路から見える車外対象物は、興味があれば過去に確認していると予想されるため、既にその車外対象物の情報を知っていると考えられる。そこで図2のステップS14の代わりの制御処理として、図5に示すような過去に現在走行中の道路を走行したことがあるか否かの判定を加えた処理手段を用いてもよい。
【0084】
ステップS141では、図2のステップS14と同様、自車位置・視線方向・発話内容に基づき、地図データから車外対象物を特定する。そして車外対象物に関する名称や案内等の情報を抽出する。
【0085】
ステップS142では、車両が現在走行中の道路が、過去に走行したことがある道路か否かを判定する。
【0086】
尚、この判定のために、日常においてユーザーが車両を走行する度に、その道路の車両位置や地図データの情報から道路の走行経路及びその走行したときの日時がユーザー情報記録部3に記録されている。そして車両の現在位置が、過去の走行経路上にあるか否かを検索することによって、過去に走行したことがある道路か否かを判定する。
【0087】
過去に走行したことがない道路だと判定された場合は、当処理を終了し、図2のステップS15に進む。また、過去に走行したことがある道路だと判定された場合は、ステップS143に進む。
【0088】
ステップS143では、ステップS141で特定された車外対象物の内、現在の道路を前回走行した日時から現時点の日時迄に、地図データで新規に更新又は追加された地物が存在するかを検索する。
【0089】
ステップS144では、ステップS143の検索結果を基に、新規に更新又は追加された地物が、特定された車外対象物と一致するか否かを判定する。新規に更新又は追加された地物が無いと判定された場合は、当処理を終了し、図2のステップS15に進む。また、新規に更新又は追加された地物と車外対象物が一致すると判定された場合は、ステップS145に進む。
【0090】
ステップS145では、ステップS141で特定された車外対象物の内、地図データで新規に更新又は追加された地物と一致するものを、さらに絞り込んだ車外対象物として特定する。
【0091】
このステップS145の思想は、ユーザーが普段通るような道路に見かけないものがあったら気になって知りたいと考えるからである。逆に普段通るような道路であれば、ユーザーは殆どの建物等の施設や山等の物体は既に知っていると考えられるため、地図データで新規に更新又は追加された目新しいもの(地物)に関心があると推測される。そのため、地図データで新規に追加又は更新された地物が、特定された車外対象物と一致するときは、この特定された車外対象物に対応する新規に更新又は追加された地物を出力対象としている。そしてその出力対象として地物(=車外対象物)に関する名称や案内等の情報を抽出する(ステップS141で抽出した車外対象物のうち、絞り込んだ車外対象物に関する情報を読み込む)。
【0092】
上述のような処理を行うことにより、複数の車外対象物が特定された場合に、車両のユーザーが注目している車外対象物を、出力対象としてより絞り込んで特定することができる。
【0093】
ここで図1〜図5を利用して説明してきた本実施形態の作用効果の流れについて、図6の概要図を用いて分かりやすく説明する。
【0094】
トークSW10がオンされた後、ステップS10、11にて、ユーザーの視線方向を検出する。そしてステップS13でユーザーからの質問(例えばあれは何?)であると認識されると、続くステップS141で視線方向及び音声認識結果に基づき、地図データを用いて車外対象物を特定する。ここでの特定された車外対象物は複数の4つ(名称:種類→○△ジム:スポーツジム、○○百貨店:百貨店、××百貨店:百貨店、×○博物館:文化施設)である。
【0095】
ここで、現在走行中の道路が過去に走行したことのある道路である場合は、走行履歴情報から過去走行した時点より新規に更新・追加された地物があるかを検索する。ステップS145では、走行履歴情報の検索から、○△ジムと××百貨店が新規に更新・追加された地物であると検出されると、○○百貨店と×○博物館は特定された車外対象物から除外し、新しい施設情報を持つ○△ジムと××百貨店を、ユーザーが注目している車外対象物として特定する。
【0096】
そして、特定された車外対象物はまだ複数存在する(ここでは2つ存在する)ため、次に利用履歴情報を用いて車外対象物をさらに絞り込む。
【0097】
ステップS164では最初にトークSW10を押下した時点の日時から、現在日曜(休日)であるとすると、利用履歴情報から例えば「休日は百貨店に行く頻度が比較的多い」という情報を取得すると、ユーザーは特定された車外対象物のうち、○△ジムを除外し、ユーザーが休日よく利用する百貨店の種類に分類される××百貨店を車外対象物として特定する。そしてステップS17で特定した対象物(××百貨店)の情報をユーザーに通知する。例えば「これは、××百貨店です。最上階のフロアーでは□□の期間中、全国ご当地グルメイベントが開催されています。」といった案内情報をユーザーに映像や音声を用いて出力(報知)する。このようにして、複数の車外対象物が特定された場合に、複数の車外対象物をさらに特定する2つの手段を併用することで、車両のユーザーが注目している車外対象物を出力対象としてより一層精度良く特定し、出力することができる。
【0098】
ところで、図2のステップS16における複数の車外対象物を特定する処理は、図3、図4を用いて上述したように車両のユーザーが過去に利用してきた車外対象物の利用頻度に基づいて車外対象物を絞り込む方法を用いたが、本実施形態はこれに限ることはなく、例えば図7、図8に示すような他の方法であってもよい。
【0099】
図7は図2のステップS16における複数の車外対象物の特定処理において、ユーザーに関係する情報(ここではユーザーが興味を持っている情報=興味情報)に基づいて車外対象物を絞り込むための処理手段を示すフローチャートである。ここでは図2のステップS15で車外対象物が複数特定された場合(車外対象物が1つではない場合)に本処理がスタートする。
【0100】
ステップS165では、ステップS166の判定処理に必要な興味情報のデータをユーザー情報記録部3から取得する。
【0101】
ここで図8を用いて、この興味情報の作成方法について詳細に説明する。図8にはユーザーが興味を持っているものに関するテーブル3cが、ユーザー情報記録部3に記録されており、このテーブルには優先度(位)、ユーザーが興味のある分野、ユーザーが興味のある分野に該当する車外対象物の種類の項目が予め用意されている。
【0102】
このテーブルの設計思想は、ユーザーが普段より興味を持っている分野が、そのユーザーが注目している(≒ユーザーの関心が高いと予想される、又はユーザーの知りたい)車外対象物であるとして作られている。
【0103】
このテーブル3cは、分野項目として事前に用意した複数の関心事(新しいもの、食べるもの、運動するもの、読むもの・・・等)を、ユーザーが興味のある順に図示しない入力装置から当処理を行う前に予め選択してもらい、それを優先度順に並べて記録されている。また、その分野に対応する種類も予め用意されており、それぞれテーブルに記録されている。例えば、ユーザーが「新しいもの」の分野に関心があった場合、それに対応する種類は「最新の地図データで情報が更新・追加された建物や施設など」が該当する。またその他、「食べるもの」の分野であれば、それに対応する種類は飲食に関係する店(居酒屋、レストラン、ファーストフード、コンビニエンスストア、など)が該当する。
【0104】
本実施形態では、所定値以上の優先度(例えば上位にある3以上の優先度)をユーザーの注目している車外対象物であるとしている。ステップS165では、興味情報のデータとして、テーブル3cの優先度1〜3の「新しいもの」「食べるもの」「運動できるもの」の該当する種類の欄に記録された各種類の情報を取得する。
【0105】
ステップS166では、興味情報に記録された上述の優先度1〜3の各種類が、図2のステップS15で特定された複数の車外対象物の種類と一致するか否かを判定する。もし優先度1〜3の各種類が、その複数の車外対象物の種類と一致しない場合は、当処理を終了し、図2のステップS17に進む。また、その複数の車外対象物の種類と一致する場合は、ステップS167に進む。
【0106】
ステップS167では、「興味情報の所定値以上の優先度の各種類が、特定された複数の車外対象物の種類と一致する」条件を満たすこととなった車外対象物に対し、前処理で抽出された名称や案内等の情報を抽出し、処理を終了する(S17に進む)。具体的には、特定された複数の車外対象物が4つ(名称:種類→○△ジム(新規):スポーツジム、○○百貨店:百貨店、××百貨店(新規):百貨店、×○博物館:文化施設)あった場合を仮定する。例えば、○△ジム、××百貨店の2つが最近新規に開店され、地図データに追加されたとした場合、その○△ジム、××百貨店に対する名称や案内等の情報だけを残し、他の○○百貨店、×○博物館に関する各情報は破棄する。そしてステップS17で、ステップS167で抽出された2つの建物の名称や案内等の情報を各々順に出力する。
【0107】
このように車外対象物が複数特定された場合でも、ユーザーが興味を有する車外対象物の種類が、その複数特定された車外対象物の種類と一致する場合に、ユーザーが興味を示す種類に属する車外対象物を出力対象とできる。つまりユーザーが注目している車外対象物をより精度良く特定して出力することができる。また、この図7、図8に示すようなユーザーの入力結果に基づいて複数の車外対象物を特定する処理は、ユーザーにとって予め興味のある分野を設定させるといった煩わしさはあるが、図3、図4に示すような過去記録を集める特定処理に比べ、ユーザー情報記録部3に記録される容量は少なくて済むため、コスト的な利点がある。
【0108】
さらに上述したように、本実施形態及びその他の実施形態によれば、車両のユーザーが注目している車外対象物をより精度良く特定することができるため、ユーザーが「あれは何?」といった簡単な質問をしても、従来に比べより適切にユーザーの知りたい車外対象物に関する情報を案内できるといった特別な効果を得ることができる。
【0109】
以上、本発明の運転支援装置における実施形態を説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されるものでなく、本発明は特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り適用できる。
【0110】
例えば本実施形態では、ユーザーの視線方向の検出方法は、ユーザーの目の動きから検出するものであるがこれに限ることは無く、例えば顔面の向きから視線方向を推測して視線方向として検出してもよく、また、ユーザーの指をカメラで撮影してその指し示す方向から視線方向を推測して視線方向として検出してもよい。
【0111】
また、図2のステップS13では、ユーザーからの質問が無かった場合、ずっと質問待ちの処理を行っているが、これに限ることは無く、例えば一定時間経過したら強制的に図2の処理を終了させるようなフロー処理を追加して設けてもよい。
【0112】
さらに、図4の利用履歴情報のテーブルはこれに限ることは無く、より正確にユーザーの知りたい車外対象物を特定するためにテーブルを細分化してもよい。例えば曜日に対して時間(朝、昼、夜)毎にさらに細分化して用意してもよい。
【0113】
また、カーナビゲーション装置で目的地が設定されている場合は、往路、復路毎のテーブルを設けてもよい。
【0114】
さらに各テーブルグループ同士の組み合わせであってもよく、例えば休日の自宅周辺で車外対象物を特定する場合は、図4のテーブル3a1と3b1に共通する種類の利用頻度を掛け合わせて重み付けし、その掛け合わせた値が高い順に優先度を設定して判定に利用しても良い。
【0115】
また、つまり各実施形態を組み合わせた構成であってもよい。例えば、図7、図8を用いた処理(図2のステップS16の他の実施例)と、図5の処理(図2のステップS14の他の実施例)とを組み合わせて用いても良い。また、図5の処理のうちステップS142〜ステップS145の処理は、図3、図4を用いた処理(又は図7、図8を用いた処理)の前後どちらで実行しても良い。
【0116】
そして本発明の運転支援装置は、地図データ入力装置14や出力装置30等の各種装置や各種制御機能を共通して利用できるカーナビゲーション装置と組み合わせることにより、コスト低減を図ることができるため、カーナビゲーションシステムとしても好ましく実施できる。
【0117】
また、車外対象物に関する名称や案内等の情報の抽出処理(前もって抽出した情報を読み込む処理も含む)は、ステップS14やステップS164、ステップS141、S145、ステップS167で行っているが、これに限ることは無く、例えばステップS17で一括して情報の抽出処理を行うようにしても良い。
【符号の説明】
【0118】
1 運転支援装置
2 制御部
3 ユーザー情報記録部
10 トークSW
11 マイク
12 位置・方位検出装置
13 視線カメラ
14 地図データ入力装置
20 音声認識処理部
21 現在位置・方位検出処理部
22 視線検出処理部
23 地図データ記録部
24 音声処理部
25 画像処理部
30 出力装置
31 スピーカー部
32 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のユーザーが注目している車外対象物を特定する特定手段を有し、特定された車外対象物を出力する運転支援装置において、
前記ユーザーの関心があるものと推定される車外対象物を種類別に分類して記録するユーザー情報記録手段と、
前記特定手段によって特定された車外対象物が複数存在する場合、当該特定された車外対象物に対応する種類のうち、前記ユーザー情報記録手段に記録された種類と一致する種類に対応する車外対象物を出力対象とする手段を備えること
を特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
前記ユーザー情報記録手段は、前記ユーザーが利用した車外対象物が種類別に記録されてなることを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記ユーザー情報記録手段に記録された前記種類は、前記ユーザーが前記車外対象物を利用した日時又は利用した位置に基づいて分類されていることを特徴とする請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記ユーザー情報記録手段に記録された前記種類は、前記ユーザーにより入力された分野に基づいて分類されていることを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記車両の走行履歴を記録する走行履歴記録手段と、
地図データ上の前記地物を新規に更新又は追加する地図情報更新手段と、
前記走行履歴記録手段及び前記地図情報更新手段に基づき、前記車両の現在位置を過去に走行した時点から現時点迄の間に、前記特定手段によって特定された車外対象物の内、前記地図データで前記新規に更新又は追加された地物が存在するか否かを検索する新規地物検索手段と、をさらに有し、
前記特定された車外対象物が複数存在する場合、
前記走行履歴記録手段によって記録された前記走行履歴に基づき、前記現在位置が過去に走行したことのある場所であり、かつ、
前記新規地物検索手段の検索結果により、前記新規に追加又は更新された地物が、前記特定手段によって特定された車外対象物と一致するときは、
当該特定された車外対象物に対応する前記新規に更新又は追加された地物を出力対象とすること
を特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の運転支援装置。
【請求項6】
前記特定手段により特定され、出力対象とされた車外対象物に関する情報を、映像表示手段及び音声出力手段の少なくとも一方を用いて出力することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−11483(P2013−11483A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143285(P2011−143285)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】