説明

過渡事象ライド・スルー能力を伴う電力変換システムおよびその方法

【課題】特定の過渡事象に付随する過電流・過電圧を抑制することが可能なDC−ACコンバータを提供する。
【解決手段】電力変換システム10は、DC電力を受け取るためのDCバス146と、DCバス146に電気的に結合され、DC電力をAC電力に変換するためのライン側コンバータ144と、ライン側コンバータ144によるAC電力の調節を可能にする制御信号を与えるライン側コントローラ164と、を含んでいる。ライン側コントローラ164はさらに、過渡事象の間に、制御信号を少なくとも部分的に電流閾値に基づいて制限する電流リミッタ230を含んでいる。ライン側コントローラ164はさらに、過渡事象の間に、制御信号を少なくとも部分的にDC電圧フィードバック信号156とDC限界電圧閾値とに基づいて制限する電圧リミッタ290を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示内容の実施形態は一般的に、電力を変換および提供して電気システムに供給するための電力変換システムおよび方法に関し、より詳細には、過渡事象中のライド・スルー能力が向上した電力変換システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
再生可能電力、たとえば太陽光発電システムから生成される太陽光電力は、世界全体を通してより大きいエネルギー源になりつつある。典型的な太陽光発電システムには、複数の相互接続された太陽電池を有する1または複数の光起電力アレイ(PVアレイ)が含まれている。PVアレイの太陽電池によって、太陽エネルギーがDC電力に変換される。PVアレイの出力を電力網に結びつけるために、通常、太陽光電力コンバータを用いてPVアレイからのDC電力をAC電力に変えて、電力網に供給している。
【0003】
種々の太陽光電力コンバータ構成が、PVアレイからのDC電力出力をAC電力に変換するために存在している。太陽光電力コンバータのある実施では、DC−DCコンバータ段とDC−ACコンバータ段とを含む2段階がある。DC−DCコンバータは、PVアレイからDCバス上へのDC電力の流れを制御する。DC−ACコンバータは、DCバスに供給されたDC電力を、電力網に出力可能なAC電力に変換する。既存の太陽光電力コンバータではさらに、電力コンバータ・コントローラを用いてDC−DCコンバータおよびDC−ACコンバータを調節して、種々のシステム変数(たとえばDCバス電圧ならびにAC送電網電圧および周波数)を補う。
【0004】
送電網に接続された太陽光発電システムの急成長に伴い、太陽光電力が電力網に入ると、送電網電圧および周波数に著しい影響を与える場合がある。太陽光発電システムは通常、過渡事象が起きている間でも、電力網に接続された状態でいることが要求される。特定の過渡事象に付随する問題の1つは、DC−ACコンバータを通って流れる電流がそのハードウェア制限を超えると、DC−ACコンバータが損傷を受ける場合があることである。過渡事象に付随する別の問題は、送電網電圧および周波数の変化が原因で送電網の出力電力が著しく変化すると、電力不均衡がDCバスに生じる場合があることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、前述した問題に対処するシステムおよび方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書において開示される一実施形態によれば、電力変換システムが提供される。電力変換システムは、直流(DC)電力を受け取るためのDCバスと、DCバスに結合され、DCバス上のDC電力を交流(AC)電力に変換するためのライン側コンバータと、ライン側コンバータによるAC電力の調節を可能にするために制御信号をライン側コンバータに与えるように構成された電圧源コントローラと、を含んでいる。電圧源コントローラは、ライン側コンバータに対する制御信号を、少なくとも部分的に電力コマンド信号と電力フィードバック信号とに基づいて生成する信号発生器を含んでいる。電圧源コントローラさらに、過渡事象の間に、制御信号を、少なくとも部分的に電流閾値に基づいて制限する電流リミッタを含んでいる。電圧源コントローラさらに、過渡事象の間に、制御信号を、少なくとも部分的にDCバス電圧フィードバック信号とDC限界電圧閾値とに基づいて制限する電圧リミッタを含んでいる。
【0007】
本明細書において開示される別の実施形態によれば、電力変換システムを動作させる方法が提供される。本方法は、ライン側コントローラによって、制御信号を少なくとも部分的に電力コマンド信号と電力フィードバック信号とに基づいて生成することと、過渡事象の間に、制御信号を少なくとも部分的に電流閾値またはDCバス限界電圧閾値に基づいて制限することと、制限された制御信号をライン側コンバータに加えることと、を含んでいる。
【0008】
本明細書において開示されるさらに別の実施形態によれば、太陽光電力変換システムが提供される。太陽光電力変換システムは、光起電力(PV)電源から直流(DC)電力を受け取るためのDCバスと、DCバスに結合され、DCバス上のDC電力を交流(AC)電力に変換するためのライン側コンバータと、電圧源コントローラであって、制御信号を、少なくとも部分的に電力コマンド信号と電力フィードバック信号とに基づいて生成することと、過渡事象の間に、制御信号を少なくとも部分的に電流閾値とDC限界電圧制限とに基づいて制限することと、電力変換システムが過渡事象を受けているときに、制限された制御信号をライン側コンバータに加えて、ライン側コンバータの電流を制限することと、を行なうように構成された電圧源コントローラと、を含んでいる。
【0009】
本開示のこれらおよび他の特徴、態様、および優位性は、以下の詳細な説明を添付図面を参照して読むことでより良好に理解される。なお図面の全体に渡って同様の文字は同様の部品を表わしている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本開示の典型的な実施形態による太陽光電力変換システムの概略的なブロック図である。
【図2】本開示の典型的な実施形態による図1に示すライン側コントローラによって実施される制御図である。
【図3】本開示の典型的な実施形態による図2に示す有効電力レギュレータの詳細な制御図である。
【図4】本開示の典型的な実施形態による図3に示す有効電力レギュレータの電力レギュレータの詳細な制御図である。
【図5】本開示の別の典型的な実施形態による図2に示す有効電力レギュレータの詳細な制御図である。
【図6】本開示の典型的な実施形態による図5に示す有効電力コマンド調整ユニットの詳細な制御図である。
【図7】本開示の別の典型的な実施形態による図2に示す有効電力レギュレータの詳細な制御図である。
【図8】本開示の典型的な実施形態による図7に示す位相角発生器の詳細な制御図である。
【図9】本開示の別の典型的な実施形態による図2に示す有効電力レギュレータの詳細な制御図である。
【図10】本開示の典型的な実施形態による図9に示すDC限界電圧制御ユニットの詳細な制御図である。
【図11】本開示の典型的な実施形態による図9に示す位相角発生器の詳細な制御図である。
【図12】本開示の別の典型的な実施形態による図9に示すDC限界電圧レギュレータの詳細な制御図である。
【図13】本開示の典型的な実施形態による図9に示すDC限界電圧レギュレータの詳細な制御図である。
【図14】本開示の典型的な実施形態による図2に示す無効電力レギュレータの詳細な制御図である。
【図15】本開示の典型的な実施形態による図2に示す無効電力レギュレータの詳細な制御図である。
【図16】本開示の典型的な実施形態による送電網と関連するライン側コンバータの単純化した回路モデルである。
【図17】本開示の典型的な実施形態によるフェーザ電流リミッタの実施を表わすフェーザ図である。
【図18】本開示の典型的な実施形態によるフェーザ電流リミッタの詳細な制御図である。
【図19】本開示の別の典型的な実施形態によるフェーザ電流リミッタの詳細な制御図である。
【図20】本開示の別の典型的な実施形態による図1に示すライン側コントローラによって実施される制御図である。
【図21】本開示の別の典型的な実施形態による図3に示す有効電力レギュレータの電力レギュレータの詳細な制御図である。
【図22】本開示の典型的な実施形態による過渡事象および復帰プロセスの間に1または複数の積分要素を凍結およびリセットするための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において開示される実施形態は一般的に、ライド・スルー能力が向上した電力変換システムを動作させることに関する。本明細書で用いる場合、「ライド・スルー能力」は、電力変換システムが、その通常動作を維持することができること、または過渡事象もしくは故障状態が起きた場合に復帰して通常動作に戻ることができることを指す。本明細書で用いる「過渡事象」および「故障状態」の用語は、電源たとえばPV電源などにおいて起こる1もしくは複数の電源側事象もしくは状態を指す場合もあるし、または負荷たとえば電力網などにおいて起こる1もしくは複数の負荷側事象もしくは状態を指す場合もある。より詳細には、本明細書で説明する電力変換システムのライド・スルー能力を実施することは、電圧源制御構造または方式に基づいている。本明細書で用いる場合、「電圧源制御構造または方式」が指す制御実施形態は、主な制御パラメータのうちの1つが、電力変換システムの電圧振幅コマンドおよび位相角コマンドを含むAC電圧であるものである。いくつかの実施形態においては、過渡事象たとえば低電圧ライド・スルー(LVRT)事象またはゼロ電圧ライド・スルー(ZVRT)事象の間に、電流リミッタ・アルゴリズムまたはより具体的にはフェーザ電流リミッタを、電力変換システムがさらに用いて、電力変換システムの出力における電流を制限する。さらに、LVRT過渡事象の間に、電圧リミッタまたはDCバス電圧限界アルゴリズムを、ライン側コントローラ内で実施して、DCバスにおけるDCバス電圧を所定の限界内に制限しても良い。また、いくつかの他の実施形態においては、アンチ・ワインドアップ特徴部を電力変換システム内に設けることを、電力変換システムが過渡事象に入っているかまたは過渡事象から復帰していると判定されるときに行なっても良い。本明細書で用いる場合、「アンチ・ワインドアップ」は、過渡事象に入った後または復帰プロセスの間に1または複数の積分要素を凍結させること、および復帰プロセスの後にリセットすることを指す。加えて、いくつかの実施形態においては、過渡事象の間に位相角コマンド信号を生成する際に、電力コマンド信号を、電源側電力基準信号(たとえば、MPPT回路からの最大電力点追従(MPPT)電力基準信号など)を用いて制限しても良い。
【0012】
以下、本開示の1または複数の特定の実施形態について説明する。これらの実施形態を簡潔に説明するために、本明細書では実際の実施のすべての特徴については説明しない場合がある。当然のことながら、任意のこのような実際の実施を起こす際には、任意のエンジニアリングまたはデザイン・プロジェクトの場合と同様に、開発者の具体的な目標たとえばシステム関連およびビジネス関連の制約に適合することを実現するために、実施に固有の多くの決定を行なわなければならない。具体的な目標は実施ごとに違う場合がある。また当然のことながら、このような開発努力は、複雑で時間のかかる場合があるが、それでも、本開示の利益を受ける当業者にとってはデザイン、作製、および製造の日常的な取り組みであろう。
【0013】
別に定義がない限り、本明細書で用いる技術および科学用語の意味は、本開示が属する分野の当業者が広く理解しているものと同じである。用語「第1」、「第2」などは、本明細書で用いる場合、何ら順番、数量、または重要性を示すものではなく、むしろ1つの要素を別のものから区別するために用いている。また用語「a」および「an」は、数量の限定を示すものではなく、むしろ参照した物品の少なくとも1つの存在を示すものである。用語「または」は包括的であることが意図されており、列記した物品のいずれかまたはすべてを意味している。本明細書において「含む(including)」「備える(comprising)」または「有する(having)」およびそれらの変形を用いることは、その後に列記される物品とその均等物だけでなく、付加的な物品を包含することが意図されている。用語「接続される」および「結合される」は、物理的または機械的な接続または結合に限定されず、電気的接続または結合を、直接的であろうと間接的であろうと、含むことができる。さらに、用語「回路」および「回路構成」および「コントローラ」には、単一のコンポーネントが含まれていても良いし、複数のコンポーネントが含まれていても良い。これらは、能動的および/または受動的であり、互いに接続されているかまたは別の方法で結合されていて(たとえば、1または複数の集積回路チップとして)、記載した機能を実現している。
【0014】
図1に、本開示の典型的な実施形態による電力変換システム10のブロック図を例示する。以下、本開示のベスト・モードの理解をより良好にするために、電力変換システム10を太陽光電力変換システムとして例示し説明する。しかし、当業者であれば容易に分かるように、本明細書で説明した1または複数の実施形態は太陽光応用に限定すべきではなく、開示内容の特定の態様を同様の方法で他の電力変換システム(たとえば燃料電池システム、風力発電システム、および潮流発電システムなど)に適用することができる。
【0015】
一般的に、太陽光電力変換システム10は、太陽光電力コンバータ14を含んでいる。太陽光電力コンバータ14は、太陽光電力源12と電力網18との間を結びつけるように構成されている。より具体的には、太陽光電力コンバータ14は、太陽光電力源12から生成された直流(DC)電圧または電流の形態の電力(以下、DC電力と言う)を、電力網18として示す電気システムに供給するのに適した交流(AC)電圧または電流の形態の電力(以下、AC電力と言う)に変換するように構成されている。一実施形態においては、太陽光電力源12は1または複数の光起電力アレイ(PVアレイ)を含んでいても良い。光起電力アレイは、複数の相互接続された太陽電池を有しており、太陽電池は太陽エネルギーをDC電力に光起電力効果を通して変換することができる。一実施形態においては、電気システム18はAC電力網を含んでいても良く、太陽光電力変換システムは、公称上固定周波数の三相AC電力を送出するように構成されている。
【0016】
ある実施においては、図1に示す電力コンバータ14は、PV側コンバータ142とライン側コンバータ144とを含む2段階構造に基づいている。PV側コンバータ142は、DC−DCコンバータ(たとえばDC−DC昇圧コンバータ)を含んでいても良い。DC−DCコンバータは、電源12から受け取ったDC電圧を上げて、より高いDC電圧をDCバス146上に出力するものである。DCバス146は、一定のDC電圧レベルをDCバス146において維持するための1または複数のコンデンサを含んでいても良く、その結果、DCバス146から電力網18へのエネルギー流れを管理することができる。ライン側コンバータ144は、DC−ACインバータを含んでいても良い。DC−ACインバータは、DCバス146上のDC電圧を、AC電力網18に供給するのに適したAC電圧に変換するものである。他の実施においては、電力コンバータ14は、DC−ACコンバータを含む1段コンバータ構造に基づいていても良い。DC−ACコンバータは、DCバスにおけるDC電圧を、電力網18に供給するのに好適な周波数および電圧振幅を伴うAC電圧に変換するためものである。
【0017】
ある実施においては、図1に示す電力変換システム10はさらに、電力コンバータ・コントローラ16を含んでいる。電力コンバータ・コントローラ16は、太陽光電力源12からのPV電力出力を調節するとともに、ライン側コンバータ144の出力における有効電力または無効電力を調節するように構成されている。ある実施においては、電力コンバータ・コントローラ16は、PV側コントローラ162とライン側コントローラ164とを有するように構成されている。PV側コントローラ162は、PV側制御信号166をPV側コンバータ142に送って、太陽光電力源12からのPV電力出力を、種々のコマンド信号およびフィードバック信号に従って調節するように構成されている。ライン側コントローラ164は、ライン側制御信号168をライン側コンバータ144に送って、ライン側コンバータ144からの有効電力または無効電力出力を、種々のコマンド信号およびフィードバック信号に従って調節するように構成されている。特に、図1に示すように、過渡事象に対処するために、ライン側コントローラ164を、電流リミッタ(CL)アルゴリズム230を実施してライン側コンバータ144の出力における電流を制限するように構成しても良い。ライン側コントローラ164をさらに、DCバスにおけるDCバス電圧を所定の限界内に制限する電圧リミッタ(VL)アルゴリズム290を実施するように構成しても良い。PV側コンバータ162は、任意のタイプのコンバータ・トポロジ、たとえばハーフ・ブリッジ・コンバータ、フル・ブリッジ・コンバータ、またはプッシュ・プル・コンバータを含んでいても良い。ライン側コンバータ144は、任意のタイプのDC−ACコンバータ・トポロジ、たとえば2−レベル・コンバータまたは3−レベル・コンバータを含んでいても良い。PV側コンバータ142およびライン側コンバータ144は、複数の半導体スイッチング素子(図示せず)を含んでいても良い。たとえば、限定することなく、集積ゲート整流サイリスタ(IGCT)および絶縁ゲート型バイポーラ・トランジスタ(IGBT)である。スイッチング素子のスイッチ・オンおよびオフは、PV側制御信号166およびライン側制御信号168にそれぞれ応答して行なう。2つのコントローラ162、164を例示しているが、他の実施形態においては、単一のコントローラを用いてPV側コンバータ142およびライン側コンバータ144の両方を制御しても良い。
【0018】
ある実施においては、図1に示す電力変換システム10はさらに、1または複数の容量性および誘導要素を有するPV側フィルタ22を含んでいても良い。PV側フィルタ22は、太陽光電力源12からのDC電力出力のリップル成分を取り除いて、リップル信号がPV側コンバータ142から太陽光電力源12に送信されることを妨げるためのものである。電力変換システム10はさらに、1または複数の誘導要素または容量性要素(図示せず)を有するライン側フィルタ24を含んでいても良い。ライン側フィルタ24は、ライン側コンバータ144からの三相AC電力出力の各位相に対して高調波信号を取り除くためのものである。
【0019】
ある実施においては、図1に示す電力変換システム10はさらに、最大電力点追従(MPPT)回路26を含んでいても良い。説明を目的として、MPPT回路26は、図示では、電力コンバータ・コントローラ16の外部に配置されている。その代わりに、MPPT回路26は、電力コンバータ・コントローラ16内に構成しても良いし、またはより具体的には、PV側コントローラ162内に構成しても良い。一実施形態においては、MPPT回路26は、太陽光電力源12から最大電力を取り出すための摂動観測(P&O)アルゴリズムを実施しても良い。ある実施においては、MPPT回路26は、フィードバックDC電流信号112およびフィードバックDC電圧信号114を受け取る。フィードバックDC電流信号112およびフィードバックDC電圧信号114は、太陽光電力源12の出力に配置された電流センサ28および電圧センサ32によって測定される。MPPT回路26は、現時点で太陽光電力源12から得られる実際の電力の計算を、DC電流信号112とDC電圧信号114とを乗じることによって行なう。MPPT回路26はさらに、計算した現時点で得られる実際の電力を、以前に計算および記憶したものと比べて、電力変動を観測する。電力変動がゼロよりも大きい場合には、続いて行なう推奨される摂動を同じ方向で行ない、そうでない場合には反転させる。MPPT回路26は次に、電圧または電流基準信号158をPV側コントローラ162に送る。PV側コントローラ162では、制御信号166を相応に調整する。このプロセスを、太陽光電力源12の最大電力動作点または最大電力動作点に近い点が見つかるまで繰り返す。他の実施形態においては、他のアルゴリズム(たとえば、増分コンダクタンス・アルゴリズムなど)を実施して、太陽光電力源12から最大電力を取り出しても良い。
【0020】
図1に示すように、MPPT回路26はさらに、ライン側コントローラ164と電気通信するように構成されている。MPPTアルゴリズムを実施する際、MPPT電力基準信号159をMPPT回路26から生成して、ライン側コントローラ164に供給しても良い。一実施形態においては、MPPT電力基準信号159を、電力コマンド信号を制限するために用いる。電力コマンド信号は、ライン側コンバータ144に対するライン側制御信号168を生成するために用いられる。こうして、太陽光電力源12から与えられる電力と電力コンバータ14から出力される電力とを、調整しても良いしまたはバランスさせても良い。
【0021】
さらに図1を参照して、通常動作において、電力変換システム10または特にPV側コントローラ162は、DCバス146に現れるDC電圧の制御を担っている。より具体的には、PV側コントローラ162は、DC電圧フィードバック信号156を受け取る。DC電圧フィードバック信号156は、DCバス146の出力に配置されたDC電圧センサによって測定される。PV側コントローラ162はさらに、DC電圧コマンド信号292を受け取る。PV側コントローラ162は、PV側制御信号166を、DC電圧フィードバック信号156およびDC電圧コマンド信号292に従って調整して、DCバス146に現れるDC電圧を一定の電圧レベルに維持する。代替的な実施形態においては、ライン側コントローラ164が、DCバス146に現れるDC電圧の制御を担っても良い。
【0022】
続けて図1を参照して、電力変換システム10またはライン側コントローラ164はさらに、過渡事象ライド・スルー制御の能力を伴うように構成しても良い。たとえば、送電網の過渡事象または故障状態の間に、ライン側コントローラ164は、電流制限アルゴリズムを実施してライン側コンバータ144からの出力電流を制限して、ライン側コンバータ144内に存在する半導体デバイスを過電流問題から保護できるようにすることができる。さらに、送電網の過渡事象または故障状態の間に、ライン側コントローラ164は、電圧制限アルゴリズムを実施して、DCバス146におけるDC電圧を上限および下限内に制限することができる。こうして、DCバス146を、過電圧および崩壊の問題から保護することができる。電流制限アルゴリズムおよび電圧制限アルゴリズムのより詳細については後述する。
【0023】
図2に、本開示の典型的な実施形態によるライン側コントローラ164の全体制御図の少なくとも一部を例示する。図2に例示した機能ブロックは、ハードウェアまたはソフトウェアまたはそれらの組み合わせで実施することができる。実際の応用では、ライン側コントローラ164は、マイクロ・コントローラまたはデジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)によって実施しても良い。一般的に、図2に示すように、典型的な実施形態においては、ライン側コントローラ164は、以下のものを含んでいる。電力コマンドおよび電力フィードバック信号212、214を受け取って、位相角コマンド信号216を生成するための有効電力レギュレータ210と、無効電力コマンドおよび無効電力フィードバック信号222、224を受け取って、電圧振幅コマンド信号226を生成するための無効電力レギュレータ220と、フィードバック電流信号154、フィードバック電圧信号228、最大値許容電流閾値信号231、およびインピーダンス値233のうちの1または複数に従って、位相角コマンド信号216および電圧振幅コマンド信号226を制限するための電流リミッタ230と、制限された位相角コマンド信号232と制限された電圧振幅コマンド信号234とに従って制御信号168を生成するための信号発生器240と、である。
【0024】
図2の例示した実施形態においては、有効電力レギュレータ210は、電力コマンド信号212および電力フィードバック信号214を受け取って、位相角コマンド信号216を、少なくとも電力コマンド信号212および電力フィードバック信号214に基づいて生成する。電力コマンド信号212は、ライン側コンバータ144(図1を参照)の出力端子と送電網18との間で送出される所望の電力を表わしており、送電網運用者によって指示されても良い。電力フィードバック信号214は、ライン側コンバータ144の出力端子と送電網18との間で送出される実際の測定電力である。電力フィードバック信号214は、フィードバック電流信号154とフィードバック電圧信号152とを乗じることによって得ても良い。フィードバック電流信号154とフィードバック電圧信号152とは、ライン側コンバータ144と送電網18との間に配置された電流センサ34と電圧センサ36とから得ても良い。本明細書において参照する位相角コマンド216にはいくつかの変形があっても良いことに特に注意されたい。一実施形態においては、有効電力レギュレータ210から生成される位相角コマンド信号216が表わしているのは、送電網18またはその近傍の電圧とライン側コンバータ144のAC電圧との間の所望の位相角変位または差である。別の実施形態においては、位相角コマンド信号216は、ライン側コンバータ144のAC電圧の所望の位相角を表わしている。ライン側コンバータ144のAC電圧の所望の位相角は、送電網電圧の位相角を位相角変位と組み合わせることによって得ることができる。本明細書で説明したように、ライン側コンバータ144のAC電圧は、ライン側コンバータ144の出力端子におけるAC電圧であっても良い。その代わりに、ライン側コンバータ144のAC電圧は、ライン側コンバータ144の内部インピーダンスを考慮することによって、ライン側コンバータ144の内部電圧を含んでいても良い。さらに、いくつかの他の実施形態においては、AC電圧の測定を、さらにライン側コンバータ144からのラインに沿って行なっても良い。
【0025】
図3に、本開示の一実施形態による図2に示す有効電力レギュレータ210のより詳細な制御図を例示する。例示した実施形態においては、有効電力レギュレータ210は、加算要素250、電力レギュレータ260、および位相角発生器270を含んでいる。加算要素250は、電力フィードバック信号214を電力コマンド信号212から差し引いて、電力コマンド信号212と電力フィードバック信号214との間の差を表わす電力誤差信号252を与える。電力誤差信号252は電力レギュレータ260に供給される。電力レギュレータ260は、周波数コマンド信号262を、電力誤差信号252に従って生成する。周波数コマンド信号262は位相角発生器270に供給される。位相角発生器270は、位相角コマンド信号216を、周波数コマンド信号262に従って生成する。
【0026】
図4に、本開示の典型的な実施形態による図3に示す電力レギュレータ260のより詳細な制御図を例示する。例示した実施形態においては、電力レギュレータ260はPIコントローラ264を含んでいる。PIコントローラ264は、周波数コマンド信号262を電力誤差信号252に従って生成するように構成されている。一実施形態においては、周波数コマンド信号262は、比例要素263からの出力と積分要素265からの出力とを加算要素267を通して組み合わせることによって生成する。例示した実施形態においては、電力レギュレータ260は任意的に、補償ユニット266を含んでいても良い。一般的に、補償ユニット266は、電力変換システム10の安定性を確実にする働きをする。例示した実施形態においては、補償ユニット266は、比例要素269と加算要素268とを含んでいる。比例要素269は減衰係数を周波数誤差信号272に、因子Dによって与える。比例要素269からの出力を電力誤差信号252から、加算要素261によって差し引く。加算要素261は、別の電力誤差信号を積分要素265に与えて、さらに周波数コマンド信号262を計算することを図る。周波数誤差信号272は、基本周波数信号271を周波数コマンド信号262から、加算要素268において差し引くことによって得られる。基本周波数信号271が表わしているのは、電力網18に送出されるAC電圧の公称上の角速度、または位相ロック・ループ(PLL)回路(図8を参照)から得られる測定された角速度である。
【0027】
図5に、本開示の別の実施形態による図2に示す有効電力レギュレータ210の詳細な制御図を例示する。図5に例示する制御図は、図3に示した制御図と同様である。違いの1つは、図5では有効電力コマンド調整ユニット289がさらに設けられていることである。有効電力コマンド調整ユニット289は、電力コマンド信号212と電力制限信号219とを受け取って、制限された電力コマンド信号218を生成するように構成されている。一実施形態においては、電力制限信号219は、MPPT回路26(図1に示す)から出力されるMPPT電力基準信号159である。送電網の過渡現象の間に電力コマンド信号212を制限することによって、電力レギュレータ260および位相角発生器270内の積分要素にかかる積分ストレスを軽減することができる。別の実施形態においては、電力制限信号219を有効電力コマンド調整ユニット289に、電力変換システム10のハードウェア制限に基づいて供給しても良い。
【0028】
図6に、本開示の典型的な実施形態による図5に示す有効電力コマンド調整ユニット289の詳細な制御図を例示する。例示した実施形態においては、有効電力コマンド調整ユニット289は、制限要素274、加算要素276、および積分要素277を含んでいる。制限要素274は、電力コマンド信号212を受け取って、電力コマンド信号212を、位相角制限信号232とランプ速度制御信号278とに従って制約するように構成されている。制限要素274から生成された制限された電力コマンド信号275を、加算要素276に供給する。加算要素276は、制限された電力信号275とフィードバック電力信号214との間の差を表わす電力誤差信号279を与える。電力誤差信号279を積分要素277内で積分して、制限された電力コマンド信号218を生成する。制限された電力コマンド信号218を、図5に示す加算要素250に供給する、位相角コマンド信号216の生成を図る。
【0029】
図7に、本開示のさらに別の実施形態による図2に示す有効電力レギュレータ210の詳細な制御図を例示する。図7に例示する制御図は、図3および図5に示した制御図と同様である。違いの1つは、図7では位相ロック・ループ(PLL)回路280がさらに設けられていることである。PLL回路280は、フィードバック電圧信号152を送電網18から受け取って、周波数基準信号282と位相角基準信号284とをフィードバック電圧信号152に従って生成するように構成されている。周波数基準信号282を用いて周波数コマンド信号262を調整する。位相角基準信号284を用いて、位相角コマンド信号216を調整する。位相角コマンド信号216については、以下でより詳細に説明する。
【0030】
図8に、本開示の典型的な実施形態によるPLL回路280と関連する図7に示す位相角発生器270の詳細な制御図を例示する。例示した実施形態においては、位相角発生器270は、加算要素286、積分要素283、および加算要素249を含んでいる。加算要素286は、周波数基準信号282を、電力レギュレータ260から受け取った周波数コマンド信号262から差し引いて、周波数基準信号282と周波数コマンド信号262との間の差を表わす周波数誤差信号281を与える。周波数誤差信号281を積分要素283によって積分して、位相角変位信号285を積分要素283から生成する。位相角変位信号285をさらに、上側位相角閾値と下側位相角閾値(図8には示さず)との間に制限しても良い(図8には示さず)。上側位相角閾値と下側位相角閾値とは、電力変換システムが過渡事象を確実にライド・スルーできるように、事前規定または計算されている。上側および下側位相角閾値を計算する一実施形態については、後に図18および図19を参照して説明する。制限された位相角変位信号285を位相角基準信号284と、加算要素249内で組み合わせる。加算要素249からは出力が位相角コマンド信号216として出される。
【0031】
図9に、本開示のさらに他の実施形態による図2に示す有効電力レギュレータ210の詳細な制御図を例示する。図9に例示する制御図は、図3、図5、および図7に示す制御図と同様である。違いの1つは、図9では電圧リミッタまたはDC限界電圧レギュレータ290がさらに設けられていることである。例示した実施形態においては、DC限界電圧レギュレータ290は、DC電圧コマンド信号292とDC電圧フィードバック信号156とを受け取って、位相角補正信号296を生成するように、構成されている。位相角補正信号296が位相角発生器270に供給される。位相角発生器270では、位相角補正信号296を用いて位相角コマンド信号216を補正する。
【0032】
図10に、本開示の典型的な実施形態による図9に示すDC限界電圧レギュレータ290のより詳細な制御図を例示する。例示した実施形態においては、DC限界電圧レギュレータ290は、電圧リミッタ310、加算要素320、第1の論理素子340、電圧レギュレータ360、および第2の論理素子380を含んでいる。電圧リミッタ310を上限電圧値および下限電圧値を用いて設定して、入力DC電圧フィードバック信号156を制限することを図り、上限電圧値および下限電圧値によって規定される電圧範囲内にある制限されたDC電圧信号312を与えることを図る。加算要素320は、DC電圧フィードバック信号156を制限されたDC電圧信号312から差し引いて、DC電圧誤差信号322を与える。通常動作では、DCバス146に現れるDC電圧は上限電圧値および下限電圧値内に位置して、加算要素320から与えられるDC電圧誤差信号322がゼロになるようになっている。この場合、第1の論理回路要素340と第2の論理回路要素380とはスイッチ・オフされており、そのため、図9に示す位相角発生器270には位相角補正信号296は供給されない。送電網の過渡事象たとえば低電圧ライド・スルー事象が起こると、DCバス146に現れるDC電圧は、電力不均衡が原因で、一時的に、下限を下回る値まで下がるかまたは上限よりも高い値まで駆動される場合がある。この場合、加算要素320から与えられるDC電圧誤差信号322は非ゼロであり、第1の論理回路要素340と第2の論理回路要素380とがスイッチ・オンされて、電圧レギュレータ360から位相角補正信号296が位相角発生器270に与えられるようになる。これについては、図11を参照して以下でより詳細に説明する。
【0033】
図11に、本開示の典型的な実施形態によるPLL回路280と関連する図9に示す位相角発生器270の詳細な制御図を例示する。図11に示す制御図は、図8を参照して前述した制御図と同様である。違いの1つは、一実施形態において、別の加算要素287が位相角発生器270内にさらに設けられていることであるる。加算要素287は、位相角補正信号296と位相角変位信号285とを組み合わせて、組み合わされた位相角信号289を生成する。一実施形態においては、組み合わせられた位相角信号289を加算要素262に直接供給して、位相コマンド信号216の生成を図る。別の実施形態においては、組み合わせられた位相角信号289をリミッタ288に供給しても良い。リミッタ288は、組み合わせられた位相角信号289を上側位相角制限と下側位相角制限との間に制約するように構成されている。位相角信号289を制限する目的の1つは、電力変換システム10が確実に過渡事象をライド・スルーできるようにすることである。リミッタ288からの出力を、加算要素262内で位相角基準信号284と組み合わせて、位相角コマンド信号216の発生を図る。
【0034】
図12に、本開示のさらに別の実施形態による図2に示す有効電力レギュレータ210の詳細な制御図を例示する。図12の制御図は図9の制御図と同様である。1つの違いは、DC限界電圧レギュレータ290が、周波数補正信号298を、位相角補正信号ではなくDCコマンド信号292とDCフィードバック信号156とに従って生成することである。図11を再び参照して、周波数補正信号298を加算要素286に供給して、周波数誤差信号281の生成とさらに周波数コマンド信号262および位相角コマンド信号216の生成とを図っても良い。
【0035】
図13に、本開示のさらに他の実施形態による図2に示す有効電力レギュレータ210の詳細な制御図を例示する。図13の制御図は図9および図12の制御図と同様である。1つの違いは、DC限界電圧レギュレータ290が、電力補正信号299を、DCコマンド信号292とDCフィードバック信号156とに従って生成することである。電力補正信号299を加算要素250に供給して、電力誤差信号252の生成とさらに周波数コマンド信号262および位相角コマンド信号216の生成とを図る。
【0036】
図2を再び参照して、ライン側コントローラ164の無効電力レギュレータ220は、無効電力コマンド信号222とフィードバック無効電力信号224とを受け取って、電圧振幅信号226を、少なくとも無効電力コマンド信号222とフィードバック無効電力信号224とに基づいて生成する。無効電力コマンド信号222は、ライン側コンバータ144(図1を参照)の出力と送電網18との間で送出される所望の無効電力を表わしており、送電網運用者によって指示されても良い。無効電力フィードバック信号224は、ライン側コンバータ144の出力と送電網18との間で送出される実際の測定された無効電力である。無効電力フィードバック信号224は、フィードバック電流信号154とフィードバック電圧信号152とを乗じることによって得ても良い。電圧振幅コマンド信号226は、ライン側コンバータ144のAC電圧の所望の電圧振幅を表わしている。ライン側コンバータ144のAC電圧は、ライン側コンバータ144の出力端子におけるAC電圧であっても良い。その代わりに、AC電圧は、ライン側コンバータ144の内部インピーダンスを考慮することによって、ライン側コンバータ144の内部電圧であっても良い。
【0037】
図14に、典型的な実施形態による図2の無効電力レギュレータ220の詳細な制御図を例示する。例示した実施形態においては、無効電力レギュレータ220は、第1の加算要素610、VARレギュレータ620、第2の加算要素630、および電圧レギュレータ640を含んでいる。第1の加算要素610は、無効電力フィードバック信号224を無効電力コマンド222から差し引いて、無効電力誤差信号612を生成する。VARレギュレータ620は、送電網電圧コマンド信号622を、無効電力誤差信号312に従って生成する。送電網電圧コマンド信号622は、送電網18またはその近傍で達成すべき所望の電圧を表わしている。第2の加算要素330は、送電網電圧フィードバック信号214を送電網電圧コマンド信号622から差し引いて、電圧誤差信号632を生成する。電圧レギュレータ640は、電圧振幅コマンド信号226を、電圧誤差信号632に従って生成する。
【0038】
図15に、別の典型的な実施形態による図2に示す無効電力レギュレータ220の詳細な制御図を例示する。制御図は、図14に示す制御図と同様である。代替的な実施形態として、図15ではさらに無効電力コマンド調整ユニット650を設けている。無効電力コマンド調整ユニット650は、無効電力コマンド信号222を無効電力制限信号654に従って制限し、制限された無効電力コマンド信号652を相応に生成するように構成されている。制限された無効電力コマンド信号652を用いて、図14を参照して前述した調節に追従するようにし、電圧振幅コマンド信号226を生成する。無効電力コマンド調整ユニット650を含む目的の1つは、過渡事象の間に電力変換システム10が所望の無効電流を確実に送電網18に送れるようにすることである。
【0039】
図2を再び参照して、一実施形態においては、電流リミッタ230は、フェーザ電流リミッタを含み、図3〜13に示したような有効電力レギュレータ210から生成される位相角コマンド信号216に制限を与えるように構成されている。またフェーザ電流リミッタ230は、図14〜15に示したような無効電力レギュレータ220から生成される電圧振幅コマンド信号226に制限を与えるように構成されている。過渡事象が電力網18に起きたら、位相角コマンド信号216および電圧振幅コマンド信号226のいずれか一方または両方を、フェーザ電流リミッタ230によって、種々のコマンドおよび信号に従って(たとえば、電流閾値信号231などによって)制限する。フェーザ電流リミッタ230から生成される、結果として生じる制限された位相角コマンド信号232または制限された電圧振幅コマンド信号234を次に、信号発生器240によって用いて、ライン側制御信号168(図1に示す)を調整する。こうして、過渡事象の間に、ライン側コントローラ144から流れる電流を、ライン側コントローラ144に付随するAC電圧を調整することによって間接的に制御する。言い換えれば、電力変換システム10が過渡事象をライド・スルーすることが、ライン側コンバータ144に存在する半導体デバイスが過電流問題のために損傷を受ける可能性を小さくするかまたはなくすことによって、可能である。
【0040】
以下、図16〜18を参照して、どのようにフェーザ電流リミッタ230を実施して、位相角コマンド信号216と電圧振幅コマンド信号226とに制限を与えるかについて、詳細に説明する。
【0041】
図16に、送電網18と関連するライン側コンバータ144の単純化した回路モデルを例示する。ライン側コンバータ144は単純化して、内部電圧源67と内部インピーダンス68とを含むとしている。電圧源67は、内部電圧362を、電圧源67と内部インピーダンス68とが接続される点において出力する。内部電圧源67は、端子電圧364を、内部インピーダンス68と送電網インピーダンス72とが接続される点において出力する。送電網インピーダンス72と送電網18とが接続される点は送電網電圧368である。当然のことながら、ライン側コンバータ144の端子電圧364を、送電網電圧368と送電網インピーダンス72に渡る電圧降下365とに基づいて導き出すことができる。送電網インピーダンスに渡る電圧降下365を、送電網インピーダンス72を通って流れる電流367と送電網インピーダンス72とから導き出すことができる。一実施形態においては、送電網インピーダンス72を通って流れる電流367を、ライン側コンバータ144の端子電圧364を制御することによって管理することができる。さらに、内部インピーダンス68を考慮して、ライン側コンバータ144の内部電圧362を、送電網電圧368と、内部インピーダンス68および送電網インピーダンス72に渡る電圧降下369とに基づいて、導き出すことができる。一例では、内部インピーダンス68と送電網インピーダンス72とを通って流れる電流367を、ライン側コンバータ144の内部電圧362を制御することによって管理することができる。
【0042】
図17に、端子電圧364と、送電網電圧368と、送電網インピーダンス72に渡る電圧降下367とのフェーザ図を例示する。図17では、電圧能力曲線502を波線円として例示している。能力曲線502の中心は、送電網電圧368の端点によって規定される。能力曲線502の半径は、送電網インピーダンス72に渡る最大許容電圧降下によって規定される。最大許容電圧降下は、最大許容電流と送電網インピーダンス72とから導き出すことができる。端子電圧364を制御して、その端点が、波線円502上にまたは波線円502に囲まれた円形領域508内に位置するようにしなければならない。したがって、端子電圧364と送電網電圧368との間の位相角差を、最大位相角371および最小位相角372内に制御しなければならない。最大位相角371は、原点から延びて能力曲線502の上部に接する破線504によって規定される。最小位相角372は、原点から延びて能力曲線502の下部に接する破線506によって規定される。さらに、ライン側コンバータ144の端子電圧364の大きさを、最大電圧閾値および最小電圧閾値内に制御しなければならない。最小電圧閾値は、原点から、水平軸Xが能力曲線502の左側部分を横切る点まで延びる破線512によって規定される。最大電圧閾値は、原点から、水平軸Xが能力曲線502の右側部分を横切る点まで延びる破線514によって規定される。
【0043】
図18に、典型的な実施形態による図2に示すフェーザ電流リミッタ230の詳細なブロック図を例示する。例示した実施形態においては、フェーザ電流リミッタ230は、第1の計算ユニット410、第2の計算ユニット420、および第3の計算ユニット430を含んでいる。第1の計算ユニット410は、送電網インピーダンス72に渡る最大電圧降下412を、最大許容電流信号231と送電網インピーダンス72のインピーダンス値233とに従って計算するように構成されている。最大許容電流信号231は、ライン側コンバータ144の定格電流に従って得ても良い。インピーダンス値233は、PIコントローラを通る電流誤差信号を用いることによって得ても良い。計算した最大許容電圧降下412を、第2の計算ユニット420と第3の計算ユニット430とに供給する。第2の計算ユニット420は、最大位相角制限信号422と最小位相角制限信号424とを、最大許容電圧降下412と送電網電圧フィードバック信号228とに従って計算する。第3の計算ユニット430は、最大電圧振幅信号432と最小電圧振幅信号434とを、最大許容電圧降下412と送電網電圧フィードバック信号228とに従って計算する。
【0044】
図19に、図2に示すフェーザ電流リミッタ230の別の典型的な実施形態を例示する。例示した実施形態においては、第2の計算ユニット420から生成された最大位相角制限信号422と最小位相角制限信号424とをさらに用いて、最大電圧振幅信号432と最小電圧振幅信号434とを第3の計算ユニット430によって計算することを図る。理解されるように、位相角が最大位相角および最小位相角内に制限されているために、端子電圧364の電圧振幅閾値をより容易に計算することができる。
【0045】
図18〜19を参照してすでに述べたように、フェーザ電流リミッタ230から導き出された最大位相角制限信号422と最小位相角制限信号424とを用いて、有効電力レギュレータ210から生成された位相角コマンド信号216(図2を参照)を制限し、制限された位相角コマンド信号232(図2を参照)を生成する。加えて、最大電圧振幅信号432と最小電圧振幅信号434とを用いて電圧振幅コマンド信号226(図2を参照)を制限し、制限された電圧振幅コマンド信号234(図2を参照)を生成する。制限された位相角コマンド信号232と制限された電圧振幅コマンド信号234とを信号発生器240に供給する。信号発生器240からは、ライン側コンバータ144に対するライン側制御信号168が生成される。ある実施においては、信号発生器240は、ライン側制御信号168に対するPWMパターン信号を生成するためのパルス幅変調(PWM)信号発生器であっても良い。ライン側制御信号168は、少なくとも部分的に最大許容電流に基づいて生成されているために、ライン側コンバータ144から流れる電流を、このように管理することができる。その結果、電力変換システム10は過渡事象をライド・スルーすることができる。
【0046】
図20に、別の典型的な実施形態による図1に示すライン側コントローラ164の詳細な制御図を例示する。図20に示す制御図は、図2に示す制御図と同様である。違いの1つは、さらに凍結およびリセット・ユニット244がライン側コントローラ164内に設けられていることである。一般的に、凍結およびリセット・ユニット244は、電力変換システム10が過渡事象から復帰している間に、ライン側コントローラ164に関連する1または複数の積分要素を凍結させるように構成されている。凍結およびリセット・ユニット244はさらに、復帰後にこれらの積分器をリセットするように構成されている。一実施形態においては、図20に示すように、凍結およびリセット・ユニット244は、有効電力レギュレータ210と無効電力レギュレータ220とに結合されている。凍結およびリセット・ユニット244は、送電網電圧フィードバック信号228を受け取って、凍結信号246、248を生成する。凍結信号246、248を用いて、有効電力レギュレータ210および無効電力レギュレータ220に関連する1または複数の積分要素を凍結させる。
【0047】
図21に、アンチ・ワインドアップ特徴部が含まれる有効電力レギュレータ210の電力レギュレータ260の詳細な制御図を例示する。図21に示す制御図は、図4に示す制御図と同様である。違いの1つは、2つのスイッチング素子336、338が、電力レギュレータ260のPIコントローラ264内に含まれていることである。スイッチング素子336、338のスイッチ・オフは、電力変換システム10が過渡事象から復帰していることを示す凍結信号246に応答して行なうことができる。過渡事象がまったくないか、特定の過渡事象が終了したときには、スイッチング素子336、338をスイッチ・オンして、PIコントローラ264が通常動作を実行できるようにすることができる。
【0048】
図22に、典型的な実施形態による電力変換システムを凍結およびリセットするための方法のフローチャートを例示する。方法3000を、コンピュータ読取可能媒体内に記憶したソフトウェア命令を用いてプログラムしても良い。ソフトウェア命令は、プロセッサによって実行されると、方法3000の種々のステップを行なうものである。コンピュータ読取可能媒体には、任意の方法または技術で実施される揮発性および不揮発性の取り外し可能および取り外し不可能の媒体が含まれていても良い。コンピュータ読取可能媒体には、限定することなく、以下のものが含まれる。RAM、ROM、EEPROM、フラッシュ・メモリもしく他のメモリ技術、CD−ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)もしくは他の光記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置もしくは他の磁気記憶装置、または任意の他の非一時的媒体であって、所望の情報を記憶するために使用でき、命令実行システムからアクセスできるものである。
【0049】
ある実施においては、方法3000はブロック3002で始まっても良い。ブロック3002において、電力コンバータの出力端子と電力網との間の点における電圧のステータスを検出する。検出した電圧ステータスには、高電圧ステータス、公称電圧ステータス、および低電圧ステータスが含まれていても良い。より具体的には、非限定的な例として、高電圧ステータスは、送電網電圧が定格電圧よりも1.1倍大きいことを表わしていても良い。公称電圧ステータスは、送電網電圧が定格電圧の0.9倍よりも大きく定格電圧の1.1倍よりも小さいことを表していても良い。低電圧ステータスは、送電網電圧が時間定格電圧の0.9倍よりも小さいことを表していても良い。
【0050】
ブロック3004において、第1の判定が、検出電圧が下側電圧値よりも小さい値まで低下するかまたは上側電圧値よりも大きい値まで増加するかについて行なわれる。一実施形態においては、下側電圧値は定格電圧の0.9倍であっても良く、上側電圧値は定格電圧の1.1倍であっても良い。判定が肯定的である場合、電力変換システムが過渡事象に入っているかまたは故障状態を受けていることを意味する。肯定的な判定に続いて、手順はブロック3006に進む。判定が否定的である場合、電力変換システムが正常に動作していることを意味しており、手順はブロック3002に戻って、電圧ステータスの検出を続けることを図る。
【0051】
ブロック3006において、凍結信号の送信が、電力変換システムが過渡事象に入っているかまたは故障状態を受けていると判定されたら、行なわれる。一実施形態においては、図20に示すように、凍結信号246および248が、凍結およびリセット・ユニット244から送信されて、有効電力レギュレータ210と無効電力レギュレータ220とに付随する1または複数の積分要素を凍結させる。
【0052】
ブロック3008において、第2の判定が、検出した電圧ステータスが高電圧ステータスから公称電圧ステータスに移っているかまたは低電圧ステータスから公称電圧ステータスに移っているかについて行なわれる。そうである場合には、手順はブロック3010に進み、そうでない場合には、手順はブロック3008に戻る。
【0053】
ブロック3010において、公称電圧ステータスに達したらすぐに、第1のフラッグ信号が送られる。第1のフラッグ信号は、送電網電圧が公称電圧に戻ったことを示している。
【0054】
ブロック3012において、送電網電圧が公称電圧レベルに留まっていた時間を表わす時間分を記録する。
【0055】
ブロック3014において、第3の判定が、送電網電圧が公称電圧レベルに留まっていた時間分が事前設定時間値に達しているか否かについてなされる。一実施形態においては、非限定的な例として、事前設定時間値は10ミリ秒であっても良い。送電網電圧が公称電圧レベルに留まっていた時間分が事前設定時間値に達したと判定された場合には、手順はブロック3016に進み、そうでない場合には、手順はブロック3008に戻って、復帰がまだ進行中であるか否かを検証する。
【0056】
ブロック3016において、第2のフラッグ信号が送られる。第2のフラッグ信号は、送電網電圧が公称電圧に事前設定時間値の間留まっていたことを示す。この場合、電力変換システムは過渡事象または故障状態から真に復帰していると判定することができる。第1のフラッグ信号がブロック3010において送られ、第2のフラッグ信号がブロック3016において送られたら、ブロック3006において凍結された電力変換システムの積分要素をリセットして通常の積分動作を行なうことができる。
【0057】
ブロック3018において、復帰プロセス後に、第1のフラッグ信号をリセットし、記録した時間分をクリアして、電力変換システムが復帰したという判定に追従するようにする。ブロック3018の後に、手順はブロック3002に戻って、さらに電圧ステータスを判定することを図る。
【0058】
本発明を典型的な実施形態に関して説明してきたが、当業者であれば分かるように、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変形を施しても良く、また本発明の要素に対して均等物を代用しても良い。加えて、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を本発明の教示に適合させるために、多くの変更を施しても良い。したがって本発明は、本発明を行なうために考えられるベスト・モードとして開示された特定の実施形態には限定されず、本発明には、添付の請求項の範囲に含まれるすべての実施形態が含まれることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流(DC)電力を受け取るためのDCバスと、
前記DCバスに結合され、前記DCバス上の前記DC電力を交流(AC)電力に変換するためのライン側コンバータと、
前記ライン側コンバータによる前記AC電力の調節を可能にするために制御信号を前記ライン側コンバータに与えるための電圧源コントローラであって、
前記ライン側コンバータに対する前記制御信号を、少なくとも部分的に電力コマンド信号と電力フィードバック信号とに基づいて生成する信号発生器と、
過渡事象の間に、前記制御信号を少なくとも部分的に電流閾値に基づいて制限する電流リミッタと、
前記過渡事象の間に、前記制御信号を、少なくとも部分的にDCバス電圧フィードバック信号とDC限界電圧閾値とに基づいて制限するための電圧リミッタと、を含む電圧源コントローラと、を含む電力変換システム。
【請求項2】
前記電力変換システムはさらに、MPPT電力基準信号を生成するための最大電力点追従(MPPT)装置を含み、前記電圧源コントローラはさらに、前記MPPT電力基準信号に従って前記電力コマンド信号を制約するように構成された電力コマンド調整ユニットを含む請求項1に記載の電力変換システム。
【請求項3】
前記電圧源コントローラはさらに、前記電力コマンド信号と前記電力フィードバック信号とに基づいて内部周波数コマンド信号を生成することと、前記内部周波数コマンド信号を積分することによって位相角コマンド信号を生成することと、を行なうための有効電力レギュレータを含み、前記電圧源コントローラは、前記制御信号を生成するときに前記位相角コマンド信号を用いるように構成されている請求項1に記載の電力変換システム。
【請求項4】
前記電圧源コントローラはさらに、前記電力変換システムが前記過渡事象に入っているのかまたは前記過渡事象から復帰しているのかを、前記ライン側コンバータの前記出力においてフィードバック電圧を検出することによって判定することと、前記有効電力レギュレータの1または複数の積分要素を、前記電力変換システムが前記過渡事象から復帰されていると判定されるまで凍結させるために用いられるステータス信号を生成することと、を行なうための凍結ユニットを含む請求項3に記載の電力変換システム。
【請求項5】
前記電流リミッタは、電圧振幅閾値を、少なくとも部分的に前記電流閾値と前記ライン側コンバータの前記出力端子におけるインピーダンスとに基づいて計算することと、さらに前記位相角コマンド信号に対する位相角制限信号を、少なくとも部分的に前記計算された電圧振幅閾値とフィードバック送電網電圧とに基づいて計算することと、を行なうように構成されている請求項3に記載の電力変換システム。
【請求項6】
前記電力変換システムはさらに、送電網電圧の周波数基準信号または位相角基準信号を生成するための位相同期回路(PLL)回路を含み、前記有効電力レギュレータはさらに、前記位相角コマンド信号を、前記周波数基準信号に従って前記内部周波数コマンド信号を調整することまたは前記位相角基準信号に従って前記位相角コマンド信号を調整することによって生成するように構成されている請求項3に記載の電力変換システム。
【請求項7】
前記電圧リミッタはさらに、前記内部周波数コマンド信号に対する周波数補正信号または前記位相角コマンド信号に対する位相角補正信号を、前記DCバス電圧フィードバック信号と前記DC限界電圧閾値とに基づいて与えるように構成されている請求項3に記載の電力変換システム。
【請求項8】
前記電圧源コントローラはさらに、無効電力コマンド信号と前記ライン側コンバータからの前記AC電力出力を測定することによって得られる無効電力フィードバック信号とに基づいて電圧振幅コマンド信号を生成するための無効電力レギュレータを含み、前記電圧源コントローラは、前記ライン側コンバータに与えられる前記制御信号を生成するときに前記電圧振幅コマンド信号を用いるように構成されている請求項1に記載の電力変換システム。
【請求項9】
前記電圧源コントローラはさらに、前記電力変換システムが前記過渡事象に入っているのかまたは前記過渡事象から復帰しているのかを、前記ライン側コンバータの前記出力におけるフィードバック電圧を受け取ることによって判定することと、前記無効電力レギュレータの1または複数の積分要素を、前記電力変換システムが前記過渡事象から復帰されていると判定されるまで凍結させるステータス信号を生成することと、を行なうための凍結ユニットを含む請求項8に記載の電力変換システム。
【請求項10】
前記電流リミッタは、電圧振幅閾値を、少なくとも部分的に前記電流閾値と前記ライン側コンバータの前記出力端子におけるインピーダンスとに基づいて計算することと、さらに前記電圧振幅コマンド信号に対する電圧振幅制限を、少なくとも部分的に前記計算された電圧振幅閾値とフィードバック送電網電圧とに基づいて計算することと、を行なうように構成されている請求項8に記載の電力変換システム。
【請求項11】
前記電流リミッタは、電圧振幅閾値を、少なくとも部分的に前記電流閾値と前記ライン側コンバータの前記出力端子におけるインピーダンスとに基づいて計算することと、位相角制限を、少なくとも部分的に前記電圧閾値とフィードバック送電網電圧とに基づいて計算することと、前記電圧振幅コマンド信号に対する電圧振幅制限を、少なくとも部分的に前記位相角制限、前記計算された電圧振幅閾値に基づいて計算することと、を行なうように構成されている請求項8に記載の電力変換システム。
【請求項12】
電力変換システム内のライン側コンバータを動作させる方法であって、
前記ライン側コンバータに対する制御信号を、少なくとも部分的に電力コマンド信号と電力フィードバック信号とに基づいて生成することと、
過渡事象の間に、前記制御信号を、少なくとも部分的に電流閾値とDCバス限界電圧閾値とに基づいて制限することと、
前記制限された制御信号を前記ライン側コンバータに加えることと、を含む方法。
【請求項13】
前記電力コマンド信号と前記電力フィードバック信号とに基づいて内部周波数コマンド信号を生成することと、
前記内部周波数コマンド信号を積分して、前記制御信号を生成するときに用いるための位相角コマンド信号を生成することと、をさらに含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記電力変換システムの1または複数の積分要素を、前記電力変換システムが前記過渡事象を受けていると判定されたら凍結させることと、
前記電力変換システムの前記1または複数の積分要素を、前記電力変換システムが復帰したと判定されたときにリセットすることと、をさらに含む請求項12に記載の方法。
【請求項15】
電圧振幅閾値を、少なくとも部分的に前記電流閾値と前記ライン側コンバータの前記出力端子におけるインピーダンスとに基づいて計算することと、
位相角制限信号を、少なくとも部分的に前記計算された電圧閾値とフィードバック送電網電圧とに基づいて計算することと、
前記位相角コマンド信号に対して制限を、前記位相角制限信号を用いて与えることと、をさらに含む請求項12に記載の方法。
【請求項16】
送電網電圧の周波数基準信号または位相角基準信号を生成するための位相同期回路(PLL)回路を用いることと、
前記周波数基準信号に従って前記内部周波数コマンド信号を調整するかまたは前記位相角基準信号に従って前記位相角コマンド信号を調整することと、をさらに含む請求項12に記載の方法。
【請求項17】
無効電力コマンド信号と前記ライン側コンバータからの前記AC電力出力を測定することによって得られるフィードバック無効電力信号とに基づいて電圧振幅コマンド信号を生成することと、前記制御信号を生成するときに前記電圧振幅コマンド信号を用いることと、をさらに含む請求項12に記載の方法。
【請求項18】
電圧振幅閾値を、少なくとも部分的に前記電流閾値と前記ライン側コンバータの前記出力端子におけるインピーダンスとに基づいて計算すること、
電圧振幅制限を、少なくとも部分的に前記計算された電圧振幅閾値とフィードバック送電網電圧とに基づいて計算することと、
前記電圧振幅コマンド信号に対して制限を、前記電圧振幅制限を用いて与えることと、をさらに含む請求項12に記載の方法。
【請求項19】
電圧振幅閾値を、少なくとも部分的に前記電流閾値と前記ライン側コンバータの前記出力端子におけるインピーダンスとに基づいて計算することと、
位相角制限を、少なくとも部分的に前記電圧振幅閾値とフィードバック送電網電圧とに基づいて計算することと、
電圧振幅制限を、少なくとも部分的に前記位相角制限に基づいて計算することと、
前記電圧振幅コマンド信号に対して制限を、前記電圧振幅制限を用いて与えることと、をさらに含む請求項12に記載の方法。
【請求項20】
直流(DC)電力を出力するための光起電力(PV)電源と、
前記PV電源から前記DC電力を受け取るためのDCバスと、
前記DCバスに電気的に結合され、前記DCバス上の前記DC電力を交流(AC)電力に変換するためのライン側コンバータと、
電圧源コントローラであって、
制御信号を、少なくとも部分的に電力コマンド信号と電力フィードバック信号とに基づいて生成することと、
過渡事象の間に、前記制御信号を少なくとも部分的に電流閾値とDC限界電圧制限とに基づいて制限することと、
前記電力変換システムが前記過渡事象を受けているときに、前記制限された制御信号を前記ライン側コンバータに加えて、前記ライン側コンバータの前記電流を制限することと、を行なうように構成された電圧源コントローラと、を含む太陽光電力変換システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−39026(P2013−39026A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−164261(P2012−164261)
【出願日】平成24年7月25日(2012.7.25)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】