説明

過電圧検出回路、過電圧保護回路

【課題】簡単な構成により過電圧検出をできる技術を提供すること、その過電圧検出技術
を用いた過電圧保護技術を提供する。
【解決手段】定電圧回路1の出力Aに抵抗R1の一端を接続し、定電圧回路2の出力Bに
抵抗R2の一端を接続し、直列に接続された抵抗R1の他端と抵抗R2の他端との接続点
Cを比較機1の入力に接続する。抵抗R1と抵抗R2は、定電圧回路1の出力、定電圧回
路2の出力に対して過負荷にならないように大きな定数の抵抗値に設定する。比較機1の
設定電圧V1は、定電圧回路1の出力Aに接続される回路、および定電圧回路2の出力B
に接続される回路が破壊に至る電圧よりも低い電圧に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定電圧回路から出力される異常電圧を検出する過電圧検出回路、その過電圧
検出回路を用いた過電圧保護回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一つの定電圧回路に対して、出力される異常電圧を検出するためには一つの過電
圧検出回路が必要で有った。そして、過電圧検出回路としては、ツェナーダイオード、ト
ランジスター等の幾つかの部品を組み合わせて回路を構成するか(例えば、特許文献1)
、集積回路(IC)を利用して回路を構成していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−133538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一つの定電圧回路に対して、一つの過電圧検出回路が必要なうえ、ツェ
ナーダイオード、トランジスター等の幾つかの部品を組み合わせて回路を構成していたの
で、基板において過電圧検出回路が占める面積が大きくなるという問題が有った。また、
基板を製作する価格が高くなるという問題も有していた。
本発明は、上記した課題を踏まえ、簡単な構成により過電圧検出をできる技術を提供す
ること、その過電圧検出技術を用いた過電圧保護技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の
形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]適用例1の過電圧検出回路は、第1の定電圧回路の出力に接続された第1の
抵抗素子と、第2の定電圧回路の出力に接続された第2の抵抗素子と、が直列に接続され
、前記第1の抵抗素子と前記第2の抵抗素子との接続点の電圧を比較器の入力端子に入力
することを特徴とする。適用例1の過電圧検出回路よれば、定電圧回路から出力される電
圧の異常を検出することが可能となる。また、定電圧回路の数よりも少ない数の過電圧検
出回路によって、異常電圧の検出が可能となる。さらに、簡素な構成の過電圧検出回路が
可能となる。
【0007】
[適用例2]適用例1の過電圧検出回路と、前記比較器の出力に基づいて、前記第1の定
電圧回路および前記第2の定電圧回路への電源供給を遮断する手段とを備えて、過電圧保
護回路としても良い。適用例2の過電圧保護回路によれば、簡素な構成の回路が可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】過電圧検出回路、その回路を用いた過電圧保護回路を示す回路図である。
【図2】他の過電圧検出回路、その回路を用いた過電圧保護回路を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以上説明した本発明の構成および作用を一層明らかにするために、以下本発明を適用し
た過電圧検出回路、その回路を用いた過電圧保護回路について説明する。
【0010】
A.実施例
図1は、過電圧検出回路、その回路を用いた過電圧保護回路を示す回路図である。定電
圧回路1の出力Aに抵抗R1の一端を接続し、定電圧回路2の出力Bに抵抗R2の一端を
接続し、直列に接続された抵抗R1の他端と抵抗R2の他端との接続点Cを比較機1の入
力に接続する。抵抗R1と抵抗R2は、定電圧回路1の出力、定電圧回路2の出力に対し
て過負荷にならないように大きな定数の抵抗値に設定する。比較機1の設定電圧V1は、
定電圧回路1の出力Aに接続される回路、および定電圧回路2の出力Bに接続される回路
が破壊に至る電圧よりも低い電圧に設定する。
例えば、定電圧回路1の出力電圧を5V、定電圧回路2の出力電圧を3V、抵抗R1と
抵抗R2の抵抗値をそれぞれ100キロオームとする。ここで、定電圧回路1の出力Aに
接続されている回路が動作不能に至る電圧が10V以上とすると、A点の電圧が10Vに
なった時には、電圧異常として検出する必要がある。A点の電圧を10Vとし、B点の電
圧を3Vとすると、C点の電圧は6.5Vとなる。比較機1(IC1)のリファレンス電
圧V1を例えば6Vに設定しておくと、定電圧回路1の出力Aに接続されている回路が破
壊される前に異常が検出され、回路の保護が可能となる。
【0011】
比較機1の出力をトランジスターQ1のベースに接続する。トランジスターQ1のエミ
ッターをGNDに接続し、コレクターとVcc間に抵抗R3を接続する。C点の電圧が6
.5Vの時には、トランジスターQ1が導通状態となり、コレクターの出力Dがロー(L
ow)となる。このとき、トランジスターQ1はスイッチング素子として機能している。
トランジスターQ1のコレクターは制御IC10に接続されており、コレクター出力Dが
ローの場合は、制御IC10によってスイッチSW1が開放され、電源Vから定電圧回路
1および定電圧回路2への電圧供給が遮断される。従って、定電圧回路1からの異常電圧
の供給が停止されるので、定電圧回路1の出力Aに接続されている回路が保護される。
【0012】
B.その他の実施例
図2は、その他の過電圧検出回路、その回路を用いた過電圧保護回路を示す回路図であ
る。定電圧回路1の出力Aに抵抗R1の一端を接続し、定電圧回路2の出力Bに抵抗R2
の一端を接続し、抵抗R1の他端と抵抗R2の他端との接続点Cを比較機1と比較機2の
入力に接続する。抵抗R1と抵抗R2は、定電圧回路1の出力、定電圧回路2の出力に対
して過負荷にならないように大きな定数の抵抗値に設定する。比較機1の設定電圧V1は
、定電圧回路1の出力Aに接続される回路、および定電圧回路2の出力Bに接続される回
路が破壊に至る電圧よりも低い電圧に設定する。また、比較機2の設定電圧V2は、定電
圧回路1の出力Aに接続されている回路、および定電圧回路2の出力Bに接続されている
回路が動作不能に至る電圧よりも高い電圧に設定する。
例えば、定電圧回路1の出力電圧を5V、定電圧出力2の出力電圧を3V、抵抗R1と
抵抗R2の抵抗値を100キロオームとする。ここで、定電圧回路1の出力Aに接続され
ている回路が動作不能に至る電圧が10V以上とすると、A点の電圧が10Vになった時
には、電圧異常として検出する必要がある。A点の電圧を10Vとし、B点の電圧を3V
とすると、C点の電圧は6.5Vとなる。比較機1(IC1)のリファレンス電圧V1を
例えば6Vに設定しておくと、定電圧回路1の出力Aに接続されている回路が破壊される
前に異常が検出され、回路の保護が可能となる。
【0013】
また、定電圧回路2の出力Bに接続されている回路が動作不能に至る電圧が1V以下と
すると、B点の電圧が1Vになった時には、電圧異常として検出する必要がある。A点の
電圧を5V、B点の電圧を1Vとすると、C点の電圧は3Vとなる。比較機2(IC2)
のリファレンス電圧V2を例えば4Vに設定しておくと、定電圧回路2の出力Bに接続さ
れている回路が動作不能に至る前に異常が検出され、回路動作の維持が可能となる。
比較機1の出力7をAND回路5の入力3に接続し、比較機2の出力1をAND回路5
の入力2に接続する。AND回路5の出力1は制御IC10に接続されている。定電圧回
路1の出力または定電圧回路2の出力に異常があると、C点の電圧がそれぞれ比較器2の
入力2、比較器1の入力5に入力され、AND回路5の出力1にロー(Low)が出力さ
れる(通常のAND回路5の出力1はハイ(High)となる)。AND回路5の出力1
は制御IC10に接続されているので、AND回路5の出力1がローの場合は、制御IC
10によってスイッチSW1が開放され、電源Vから定電圧回路1および定電圧回路2へ
の電圧供給が遮断される。従って、定電圧回路1からの異常電圧の供給が停止されるので
、定電圧回路1の出力Aに接続されている回路が保護される。
【0014】
C.その他の実施形態
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何ら限
定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において様々な形態で実施し得
ることは勿論である。
例えば、定電圧回路の出力電圧の違いを問わず、また、定電圧回路の数が三つ以上であ
っても、本発明を実施し得る。
【符号の説明】
【0015】
1…定電圧回路1、2…定電圧回路2、3…比較機1、4…比較機2、
5…ゲートIC(IC3)、6…抵抗R1、7…抵抗R2、8…抵抗R3
9…トランジスターQ1、10…制御IC。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の定電圧回路の出力に接続された第1の抵抗素子と、
第2の定電圧回路の出力に接続された第2の抵抗素子と、が直列に接続され、
前記第1の抵抗素子と前記第2の抵抗素子との接続点の電圧を比較器の入力端子に入力
する過電圧検出回路。
【請求項2】
請求項1に記載の過電圧検出回路と、
前記比較器の出力に基づいて、前記第1の定電圧回路および前記第2の定電圧回路への
電源供給を遮断する手段と、を備える過電圧保護回路。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−231509(P2010−231509A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−78395(P2009−78395)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】