説明

道路仕上げ機及び道路仕上げ機の操作方法

【課題】必要な作業待機状態を効率的に確保する道路仕上げ機及びその操作方法を提供する。
【解決手段】主動力装置Pと、油圧ポンプ及び/又は油圧や電気で動く機能部品に給電する発電機への動力伝達装置を有する道路仕上げ機Fにおいて、該動力伝達装置は、任意断接可能な少なくとも1つのクラッチを備え、クラッチ制御装置Sが設けられ、クラッチ制御装置Sによって少なくとも操作指示及び/又は検出したクラッチ負荷状況に応じて、該操作指示に自動優先する切断遅延を設定可能にし、クラッチ切り替え回数制限を、時間と共に移動する検出間隔によって設定可能にする。クラッチ制御装置Sにより、逆の操作指令が出されておらず、前記切断遅延が過ぎた後にのみ、クラッチを接続し、逆の操作指令が現れても、クラッチを最初の接続状態に保つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求項1の前文に記載の道路仕上げ機、及び特許請求項14の前文に記載の方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
道路仕上げ機の主動力装置である内燃機関は、殆どの場合ディーゼルエンジンであるが、動作(敷設作業走行及び輸送走行)時、道路仕上げ機やその機能部品がいつでも作業に確実に対応できるように、恒常的に動作している。機能部品が動作時に油圧又は電気エネルギのどちらを必要とするかに関係無く、動力は常に消費される。それにより、実際に道路仕上げ機の作業待機や不所望な機械的高負荷による過剰な引き摺り損失(drag loss)が発生し、燃料消費が増え、その結果環境への負荷も増大する。
【0003】
環境への負荷を緩和し、再生不可能なエネルギ担体の廃棄を避け、また耐用年数を長くするための更なる試みについて考慮すると、既に道路仕上げ機のエネルギ収支を改善する試みが行なわれている。先行権を有する欧州特許出願第09 006 978.2-2422号では、少なくとも1つの任意に断接するクラッチを動力伝達装置に設け、該クラッチを介して、1つの機能部品が実際に動力を必要としない道路仕上げ機の動作状況では、少なくとも1つの油圧ポンプ及び/又は発電機を切断して、引き摺り損失を軽減し、燃料を節約し、環境負荷を減らすことを提案している。機械的負荷が減少するため、同発明では、道路仕上げ機の装置の少なくとも一部の構成要素の耐用年数が伸び、その上エネルギ収支が大幅に改善される。この少なくとも1つのクラッチは、オペレータが誘導する、或は検出された要求に従い制御システムで断接される。このクラッチは、ポンプ伝達ギアの上流で、ポンプ伝達ギアに又はポンプ伝達ギアの出力部に配置でき、例えば油圧で切替えられる。少なくとも1つのクラッチが伝達する動力は道路仕上げ機のような機械ではかなり大きいので、頻繁に切り替え動作を行なうと、急な変化の要求が多いために、必要な道路仕上げ機の作業待機状態を損なう可能性があり、危険なクラッチ負荷状況を招いてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の基本的な目的は、必要な作業待機状態を効率的な方法で確保するように、道路仕上げ機及び該道路仕上げ機を操作する方法を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この設定した目的を、特許請求項1の特徴及び特許請求項14の特徴によって達成する。
【0006】
道路仕上げ機では、オペレータ入力又は操作指令により、機械の機能を作動させる。本発明の場合、道路仕上げ機の制御システムで、操作指令を検出し、ユーザ入力が、クラッチによってオン及びオフ可能な機能群の一部か否かを決定する。オペレータが所望する機能を、機能性に影響を与えず、作動させるために、本操作指令により駆動部品(典型的には、油圧ポンプ)を接続、従って連結する必要がある。対応する機能群への操作指令を取消すと、駆動部品をオフにできる。この結果、操作指令が要求した断接動作となるが、該指令については、クラッチ制御装置が優先できる。
【0007】
道路仕上げ機では、少なくとも特定の動作状況で、クラッチ制御装置が、少なくとも1つのクラッチの切り替え動作を制御する役割を担い、少なくともオペレータ指示及び/又は検出したクラッチ負荷状況に応じて、オペレータ指示に優先して切断遅延及び/又はクラッチ切り替え回数制限を自動的に設定して、それにより道路仕上げ機を絶えず、敷設作業走行中でも輸送走行中でも確実に作業待機状態にするが、クラッチを保護する観点から、要求があった場合にのみ好適なクラッチ切り替え操作を抑制する。従って、遡及的アプローチ又は現況に関するアプローチにおいて、動作状況を一層効率的に考慮できる。実質的に、クラッチ制御装置は、クラッチを、道路仕上げ機の各動作状況に対して必要以上に長く又は/及び頻繁に接続させたままにしている。本明細書では、クラッチ制御装置により、全てのクラッチ切り替え動作を可能にすると共に、直接的又は間接的な操作指令に優先して、動作状況によってのみ発生させることもある。
【0008】
本方法によれば、クラッチ制御装置は、設定した切断遅延を経過した後にのみ、逆の操作指令がその後現れない限り、クラッチを自動的に切断する、及び/又はクラッチ制御装置は、設定したクラッチ切り替え回数制限中は、逆の操作指令が現れても、クラッチを自動的に接続状態に保つ。このようにして、例えば燃料節約に対してのみ妥協を得ながら、付随する対策を、少なくとも1つのクラッチを、操作指令にも関わらず即座に切断させない場合、又は少なくとも1つのクラッチを、操作指令が複数回断接動作を命令した期間中に接続状態に保つ場合に、少なくとも引き摺り損失を抑制するために、取る事ができる。このようにして、恒常的な作業待機が確実に行なえる上、それはクラッチの過負荷で妥協するものでもない。
【0009】
道路仕上げ機の好適な実施形態では、クラッチ制御装置は、切断遅延及び/又はクラッチ切り替え回数制限を、前の及び/又は後の及び/又は現在のクラッチ負荷状況に応じて、調節する。
【0010】
操作指示だけでなく負荷状態も正しく考慮可能にするために、好ましい実施形態では、クラッチ制御装置は、クラッチ負荷状況と動作状況を表す以下の数量:結果として断接を生じさせる少なくとも1つの操作指令、及び/又は少なくとも1つの機能部品の動作又は非動作による内燃機関の動作挙動の変化、及び/又は少なくとも1つの測定温度値、及び/又は少なくとも1つの油圧ポンプ若しくは少なくとも1つの磁気作動式制御弁の、操作指令に対する少なくとも1つの応答反応、の中少なくとも1つに対する検出部と評価部を備える。
【0011】
クラッチ制御装置が、固定検出間隔内でのクラッチ切り替え動作の時点及び/又は回数、特に最初の接続動作に関する時間関連記録部を備えると、更に好適となる。例えば、接続動作を検出間隔内で既に検出している場合、当該検出間隔内ではそれ以上接続動作を行なう必要はなく、クラッチ制御装置はむしろ、記録した最初の接続動作が検出間隔を過ぎ、その後もう接続の操作指令が現れなくなるまで、クラッチを接続状態に保つ。検出間隔は様々に設計できる。検出間隔は、予め特定した間隔内の総切り替え回数によってだけでなく、入手した測定値によっても影響を受けることがある。例えば、切り替え動作回数が、1時間内でクラッチ製造会社が規定した値を上回ると、クラッチ制御装置は、検出間隔又はサンプリング間隔を夫々延長して、クラッチの切り替え頻度を減少させる。別の、又は更なる方法として、オイル温度が過度に高くなると、例えばサンプリング間隔を延長して、切り替え動作回数を減少させることもできる。このために、複数の入力数量又は検出した状態変化を組合せることもできる。逆に、検出間隔を再び短縮することもできる。
【0012】
好適には、切断遅延を、一定又は可変になるよう調節する。クラッチ切り替え回数制限も、一定又は可変になるよう調節できる。変更は、線形的、漸増的に又は漸減的に行なうことができる。
【0013】
道路仕上げ機の好適な実施形態では、動力伝達装置は、少なくとも1つの動力分割用ポンプ伝達ギアを備え、該ギアは、少なくとも1つの油圧ポンプ及び好適には発電機を、少なくとも駆動する。少なくとも1つのクラッチを、主動力装置とポンプ伝達ギアとの間に、又はポンプ伝達ギア内に、又はポンプ伝達ギアの出力部に設けることができる。
【0014】
好適な実施形態では、少なくとも2つの並列クラッチも備えるが、該クラッチをクラッチ制御装置によって個別に又は一緒に切替する。本明細書では、該少なくとも2つのクラッチを、1つだけのクラッチを制御するのと同様に制御するが、クラッチ制御装置によって行なう夫々の断接動作を、異なる機能部品又は機能部品群に対する操作指令によって少なくともトリガする。例えば、少なくとも1つのクラッチを、油圧シリンダを備える機能部品等の、かなり頻繁に若しくは短い間隔で作動させる機能部品に対して設け、少なくとも1つの更なるクラッチを、移動駆動部、材料輸送装置、材料送給装置、タンパ、締め固め装置、振動装置、加熱手段等の、長い間隔で作動させる機能部品に対して設ける。
【0015】
好適な実施形態では、少なくとも1つの油圧ポンプを可変容量型ポンプとし、該ポンプの出力部を、機能部品が必要とする可変動力に適合可能にする。油圧で作動する機能部品は夫々、少なくとも1つの油圧モータ、好適には可変容量型モータ、又は少なくとも1つの油圧シリンダを備えることができる。少なくともこの可変容量型ポンプ及び/又は可変容量型モータにより、機能部品がそれ以上動力を必要としないにも関わらず関連するクラッチを依然として接続状態に保つ場合に、内部制御によって引き摺り損失又はポンプ損失を最小限に抑えることが可能となる。
【0016】
別の実施形態では、発電機が供給する電気で作動する機能部品は、電気加熱手段及び/又は電気モータを備える。ここでもまた、発電機が発生する引き摺り抵抗を、クラッチを接続し続ける状態にも関わらず機能部品がそれ以上動力を必要としない場合に、電気制御によって最小限に抑えることができる。
【0017】
特に好適な実施形態では、クラッチを、電気的、油圧的、機械的又は空圧的に作動させ、好適には多板クラッチ又は板クラッチとして具現化し、クラッチ制御装置に送信された検出測定温度値で、ポンプ伝達ギア内のギアオイル温度及び/又はクラッチの油圧回路内のオイル温度を表す。測定温度値は、クラッチの負荷状態を査定するのに極めて有意な数である。適切な場合、測定温度値を、異なる点で検出でき、平均化を選択することもできる。
【0018】
更なる重要な実施形態では、少なくとも1つの油圧で作動する機能部品に対して、非加圧の循環回路を、その油圧回路内に設け、該回路を、操作指令が現れていない際に、対応する機能群に対して起動できる。このようにして、クラッチを断接する際に不要な引き摺り損失又はポンプ損失を最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】油圧及び/又は電気で作動する機能部品を有する道路仕上げ機の概略側面図である。
【図2】道路仕上げ機の主動力装置から少なくとも1つの油圧ポンプ及び/又は発電機への動力伝達装置に関する概略伝達図であり、断接クラッチを該動力伝達装置に含んでいる。
【図3】複数のクラッチを有する動力伝達装置の別の実施形態に関する概略伝達図である。
【図4】例えば図1の道路仕上げ機の自動クラッチ制御装置の影響下にあるクラッチ切り替え動作に関する図であり、この場合は、切断遅延を用いている。
【図5】図4と同じクラッチ制御装置の影響下にあるクラッチ切り替え動作に関する図であり、ここでは、クラッチ切り替え回数制限を用いており、連続したシーケンスの異なる時点を示している。
【図6】図4と同じクラッチ制御装置の影響下にあるクラッチ切り替え動作に関する図であり、ここでは、クラッチ切り替え回数制限を用いており、連続したシーケンスの異なる時点を示している。
【図7】図4と同じクラッチ制御装置の影響下にあるクラッチ切り替え動作に関する図であり、ここでは、クラッチ切り替え回数制限を用いており、連続したシーケンスの異なる時点を示している。
【図8】図4と同じクラッチ制御装置の影響下にあるクラッチ切り替え動作に関する図であり、ここでは、クラッチ切り替え回数制限を用いており、連続したシーケンスの異なる時点を示している。
【図9】図4と同じクラッチ制御装置の影響下にあるクラッチ切り替え動作に関する図であり、ここでは、クラッチ切り替え回数制限を用いており、連続したシーケンスの異なる時点を示している。
【図10】図4と同じクラッチ制御装置の影響下にあるクラッチ切り替え動作に関する図であり、ここでは、クラッチ切り替え回数制限を用いており、連続したシーケンスの異なる時点を示している。
【図11】図4と同じクラッチ制御装置の影響下にあるクラッチ切り替え動作に関する図であり、ここでは、クラッチ切り替え回数制限を用いており、連続したシーケンスの異なる時点を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面を参照して、本発明の主題に関する実施形態について、説明する。
【0021】
図1の、例えば高温の瀝青質敷設材料又はコンクリート敷設材料の通行エリアを低速敷設作業走行中に敷く自走式道路仕上げ機Fは、基本的により高速な輸送走行速度で輸送走行も行なうことができる。道路仕上げ機Fは、シャーシ1に、移動ギア2、ここでは少なくとも1つの油圧モータ16によって駆動する軌道ギア(図示しないホイルギアの代わりに)を備える。敷設材料用バンカ5を、シャーシ1の前方領域に配設する。長手方向搬送装置6は、シャーシ内部でバンカ5から、後部に配置された材料送給装置7まで延在する。長手方向搬送装置6を、例えば、図示しない油圧モータによって駆動でき、長手方向搬送装置6は、任意には、電気加熱装置Hを備えることができる。少なくとも1つの油圧モータで駆動される、任意には油圧シリンダで高さを調節可能な材料送給装置7を、ビーム8で道路仕上げ機Fが牽引するスクリードBの前に位置させ、スクリードBにより敷設材料を敷均及び/又は締め固めする。ビーム8をシャーシ1に枢着させ、ビーム8の高さを油圧シリンダ15を用いて調節できる。更に、油圧シリンダ14をビーム8に枢着し、シャーシ1で支持し、例えば輸送走行中に、図1で示した昇位置でスクリードBを保持するが、該シリンダ14をまた、特定の動作段階で敷設作業中にも作動できる。シャーシ1の上には、例えばメイン駆動スイッチ45といったオペレータ制御盤51と、クラッチ制御装置Sを有する運転台3があり、該クラッチ制御装置Sを好適にはコンピュータ制御のクラッチ制御装置Sとし、該装置Sには少なくとも1つの検出部54と1つの評価部55、また任意には時間関連記録部56も含む。更に、カバー4の下に、典型的にはディーゼルエンジンである内燃機関Mを有する主動力装置Pと、道路仕上げ機F及び/又はスクリードBにある少なくとも電気加熱装置Hに給電する、及び/又は電気モータから成る機能部品に給電するための発電機Gとがある。オペレータ制御盤51は、図示しない道路仕上げ機制御装置と通信する。
【0022】
スクリードBは、例えば、ビーム8と連結する基本スクリード12と、横行可能な伸縮スクリード13を有し、夫々にタンパ11、10及び/又は押圧片(図示せず)、及び仕上げプレート用振動手段を下側に装備し、タンパ10、11、押圧片及び/又は仕上げプレートは、電気加熱装置Hを備えることができる。伸縮スクリード13を、油圧シリンダ9によってシフトできる。別の方法として、スクリードBは基本スクリード12のみを備えることもできる。
【0023】
油圧モータ、油圧シリンダ及び電気加熱装置及び/又は電気モータは、道路仕上げ機Fの動作において、個々の動作状況に応じて様々な数又は回数で必要となる機能部品の一部であり、発電機Gや主動力装置Pが駆動する油圧ポンプと共に、主動力装置Pから動力を引出す道路仕上げ機の及び/又はスクリードBの機能組立体を形成する。更なる機能部品としては、例えば油圧シリンダ17によって調節できるバンカ5の側壁がある。
【0024】
図2では、複数の機能部品の駆動図を示しているが、同図では個々の油圧ポンプと発電機のみを示しており、油圧的又は電気的に作動する機能部品自体も、油圧オイルタンク、ギアオイルタンク等も図示していない。図2の内燃機関Mには、クラッチ、又はポンプ伝達ギア19をフランジ接続したフライホイールハウジング18を有する。内燃機関Mのクランク軸20により、例えば捩り弾性クラッチ21を介して、駆動系22を駆動するが、駆動系22はポンプ伝達ギア19にある(又は、図示するように、ポンプ伝達ギア19内の)クラッチK1に繋がっている。クラッチK1は、断接位置間で油圧的、空圧的、電気的又は機械的にシフトできる。図2では、クラッチK1を駆動系22と駆動系22の同軸延長部22’との間に設ける。同軸延長部22’を、図示した実施形態ではポンプ伝達ギア19に中心でフランジ接続した移動駆動部用油圧ポンプ23に繋げており、該移動駆動部は、例えば油圧モータ16を含む。油圧ポンプ23を、定量型ポンプ又は可変容量型ポンプとすることができる。油圧モータを、任意には可変容量型モータとする。
【0025】
クラッチK1を、例えば、油圧作動式多板クラッチとし、クラッチK1は駆動系22と永久的に連結させた少なくとも1つのクラッチ部25を有し、該クラッチ部は、クラッチK1の接位置では、耐トルク状態で、クラッチ部24と、ひいては同軸延長部22’に連結し、同時に中空軸26と連結する。中空軸26により、ポンプ伝達ギア19の複数のギア段27、28、29を駆動する。ギア段27、28、29は、複数の油圧ポンプ又は油圧ポンプ装置30、31、32、33を駆動できる。発電機Gを、ポンプ伝達ギア19(37で)で若しくはそれ自体のベアリング36を用いてシャーシ1内で、又は内燃機関Mと共に内燃機関Mのエンジン支持コンソール35で保持し、図2では、駆動連結部34(例えば、ベルト駆動部又はプロペラシャフト)を介して駆動する。
【0026】
図2で、クラッチK1を接続する場合、全てのギア段27、28、29、油圧ポンプ23、及び発電機Gを、内燃機関のクランク軸20によって駆動する。しかしながら、クラッチK1を切断した場合、少なくとも1つの油圧ポンプを駆動系22又はクランク軸20から、図2では更にポンプ30〜33からも、また油圧ポンプ23だけでなくポンプ伝達ギア19のギア段27、28、29からも切断する(オイル撹拌損失又は発生した損失に関する噛合抵抗によって生じる、内燃機関に対する引き摺り負荷が無い状態)。クラッチK1を断接するために、オペレータは、例えば、メイン駆動スイッチ45で操作指令を生成でき、該操作指令はクラッチ制御装置Sで検出され、記録される。最後に、クラッチ制御装置Sにより今度はクラッチK1の断接を、少なくとも1つの操作指令、任意には、例えば、ポンプ伝達ギア19のギアオイルの温度やクラッチK1の油圧回路の油圧オイルの温度といった、更なる検出及び評価パラメタ又は測定値夫々に応じて制御する。
【0027】
図2では、ポンプ38を、1つの選択肢として、恒常的に駆動する発電機Gで示しているが、これもまた恒常的に駆動され、例えば、図2のクラッチK1等、クラッチを夫々油圧で作動させるといった、基本機能を提供する。
【0028】
図3では、様々な駆動図を示している。図3では、内燃機関Mのクランク軸20に捩り弾性クラッチ21を介して連結した駆動系22を、ここではポンプ伝達ギア19に中心でフランジ接続した移動駆動部用油圧ポンプ23にまで通過させ、その結果、油圧ポンプ23を恒常的に駆動する。クラッチK2を、連続する駆動系22に着座させ、接続状態で、中空軸26を介して、ポンプ伝達ギア19のギア段27、28、29、従ってポンプ30〜33を駆動する。クラッチK2を切断すると、ギア段27、28、29及びポンプ30〜33が切断される一方で、油圧ポンプ23は依然として駆動される。発電機Gを、図2のように恒常的に駆動させる、又は油圧ポンプ23と組合せて、駆動系22によって駆動させることもできる。
【0029】
図3に対する別の実施形態では、油圧ポンプ23の代わりに、発電機Gをポンプ伝達ギア19にフランジ接続し、駆動系22を介してクランク軸20に恒常的に連結する。この場合、例えば油圧ポンプ23を、ポンプ伝達ギア19の更なる出力部39に連結する。従って、クラッチK2を切断した状態では、油圧ポンプ23も切断される一方で、発電機Gは恒常的に駆動される。
【0030】
図3では、別の変形例について、更に点線で示しており、断接クラッチK3を1つずつ各油圧ポンプ装置(複数のポンプ段を有する)又は各油圧ポンプ30〜33に関連付け、また油圧ポンプ23にも、好適にはポンプ伝達ギア19の各出力部で関連付ける。この場合、クラッチK2を省略することができ、駆動系22は恒常的にポンプ伝達ギア19のギア段27に接続される。しかしながら、別の方法として、そこにも、クラッチK3を備えてもよい。
【0031】
必要に応じて、個別に、グループ毎に又は纏めて断接可能な個々のクラッチを介して、ポンプ30〜33、23の全て、複数又は1つだけを切断できる。その結果内燃機関Mにより、駆動系22のみ、及び任意には、ポンプ伝達ギア19のギア段27、28、29及び発電機Gを恒常的に駆動できる。別の図示しない変形例では、発電機Gを、またクラッチを介して、例えば、内燃機関Mを始動及び/又はランアップ(立ち上げ)時に、任意に切断してもよい。
【0032】
内燃機関Mのエネルギ収支を、始動するのに及び任意にはランアップ段で向上させるために、図2のクラッチK1を切断状態に変え、その結果全引き摺り負荷が、クランク軸20又は駆動系22から切断されて、内燃機関Mが一層始動し易くなる。道路仕上げ機Fが敷設作業走行又は輸送走行で始動すると、クラッチK1が接続され、その結果全ての機能部品が駆動する。発電機Gは、任意には、恒常的に稼働する。道路仕上げ機で全くどの機能も働いていないアイドリング段では、クラッチK1を切断することで、エネルギを節約できる。
【0033】
図3の実施形態では、クラッチK2を、例えば、内燃機関Mを始動するために、及び任意にはランアップするために切断し、その結果油圧ポンプ30〜33、及び任意には油圧ポンプ23が切断され、又は移動駆動部用油圧ポンプ23のみ及び発電機Gが恒常的に駆動される。油圧ポンプ23を、図示するように、ポンプ伝達ギア19に中心でフランジ接続した場合、道路仕上げ機Fは、クラッチK2を切断した状態では、取除くべき機能部品の引き摺り負荷が全くないため、高輸送速度で且つ燃料消費を抑えて輸送走行できる。対照的に、恒常的に駆動される発電機Gにより、加熱手段Hを、道路仕上げ機Fの停止状態中に、動作温度まで加熱し、更なる機能部品をクラッチK2を介して連結することができる。移動駆動部用油圧ポンプ23を恒常的に駆動する場合、道路仕上げ機Fを、更なる機能部品の過剰な引き摺り負荷無しに、高輸送速度で且つ燃料消費を抑えて走行できる。
【0034】
しかしながら、図3の点線で示したように、個別に断接するクラッチK3を、ポンプ伝達ギア19のポンプ30〜33、23に対する出力部に設ける(図3のクラッチK2をこの場合は省略できる)場合、各、複数又は全ての油圧ポンプを、必要に応じて連結又は切断できる。道路仕上げ機Fの輸送走行時には、例えば、移動駆動部用油圧ポンプ23へのクラッチK3のみを接続する一方で、他のポンプ30〜33を切断したままにする。従って、発電機Gも、例えば切断又は一緒に稼働させる。加熱手段Hを加熱するために、発電機を、恒常的に、又は接続したクラッチを介して駆動する一方で、他の油圧ポンプ30〜33を依然として切断した状態にできる。図3の個々の断接クラッチK3により、必要に応じて、各機能部品を駆動又は切断可能になり、道路仕上げ機F又は内燃機関Mのエネルギ収支を夫々、任意には始動中及び/又はランアップ中、輸送走行中、又は加熱手段Hの加熱中、向上させられる。
【0035】
クラッチK1、K2、K3夫々を、任意には、道路仕上げ機Fの敷設作業走行の中断中、例えば新たな敷設材料の供給を待つ間等に、切断することもできる。クラッチK1、K2、K3夫々を、特定の動作状況で、運転台3のドライバーの操作指令によって、或はスクリードBにある外部コントロールスタンドの随伴者によって、断接できるが、断接は、少なくとも与えられた操作指令を評価しながら、道路仕上げ機Fのクラッチ制御装置Sによって全自動で適切に行われる。クラッチ制御装置Sは、ここでは、特定の引き摺り負荷に関して切断又は連結が必要な動作状況を監視及び/又は検出する手段と協働する。しかしながら、クラッチ制御装置Sは、クラッチK1、K2、K3夫々を、操作指令又は監視及び/又は検出手段の情報に従うのみでなく、更に、危険なクラッチ負荷状況を回避することを考慮して自動的に制御し、これを回避する場合には操作指令に優先でき、以下で説明する他の態様に向かう。
【0036】
基本的に、クラッチ制御装置Sは、クラッチK1、K2、K3夫々を自動的に、ただし敷設作業走行又は輸送走行中に道路仕上げ機の作業待機状態を損なわずに、制御する。クラッチ制御装置による自動クラッチ制御では、オペレータの全操作指令を検出する。評価部55では、操作指令を評価する。このデータ処理の結果により、自動的に断接する。例えば、接続の操作指令がクラッチ制御装置Sに現れた場合、クラッチ制御装置Sは対応するクラッチK1、K2又はK3を接続する。操作指令を、例えばボタンを解除する又はメイン駆動スイッチ45を零位置に移動して、取消した場合、クラッチ制御装置SはクラッチK1、K2、又はK3夫々を切断する、或は任意には、夫々、この操作指令に優先又はこれを無視できる。クラッチ制御装置Sは、任意には、各クラッチを切断する理由として、検出した極めて危険な動作状況を利用でき、又は逆の操作指令に関わらず各クラッチを切断した状態を保ち、その極めて危険な動作状況の理由を取除かせるための、例えば修理やメンテナンスといった、故障メッセージを生成できる。
【0037】
接続の操作指令が現れると、接続動作を早急に実行する必要がある。しかしながら、切断動作のために複数の戦略を提示できる。好適には、切り替え頻度を、例えばあまりに頻繁なクラッチ切り替え動作による熱負荷を理由に、限定する。素早く操作指令に従う場合の切り替え頻度を減少するには、クラッチを、例えば、予め決定した切断遅延の時間間隔(図4、Δt)後のみに、切断する。切断遅延Δtを、所定の一定期間とできる。しかしながら、好適には、切断遅延Δtを、評価部55で、切り替え頻度、及び/又はセンサで検出できる少なくとも1つの他の測定値を考慮に入れて、可変に構成することもできる。クラッチ制御装置Sは、例えば多過ぎる切り替え頻度を検出した場合、切断遅延Δtを延長する。かなり長期間に亘り低切り替え頻度を検出した場合、切断遅延Δtを、例えば段階的に、再び短縮する。同様に、切断遅延Δtを変化させるのに、例えば温度信号変換器からのセンサ信号を考慮に入れることができ、該変換器は、ポンプ伝達ギア19及び/又はクラッチの油圧回路のギアオイル温度について信号化する。温度が上昇すると、切り替え頻度を、切断遅延Δtを延長することで減少させて、オイル温度の更なる上昇を防止する。オイル温度が下がると、切断遅延Δtを短縮できる。更に、採用した切断遅延Δtを調節するのに、複数の入力量又は検出若しくは記録した状態変化を互いに組合せることができる。入手した測定値を、検出した切り替え頻度と関連付けできる。切断遅延Δtは、線形的に、漸減的に、又は漸増的に変化させることができる。その代わりに又は加えて、クラッチ制御装置Sにより、切り替え動作の回数を、検出又はサンプリング間隔内(図5〜図11)に限定できる。このために、例えば、接続動作の時点を記録する。例えば、少なくとも1回の接続動作が、この検出間隔内で既に記録されていた場合は、各更なる接続動作を抑制し、それによりクラッチを、最初に記録した接続動作が当該検出間隔を過ぎるまで、接続状態のままにする。検出間隔後に、操作指令が全く出ていない、又は以前に出た切断の操作指令が存在している場合は、クラッチ制御装置Sはクラッチを切断する。記録した接続動作が検出間隔を過ぎた後に、接続の操作指令が存在している場合は、クラッチを再び接続する。
【0038】
好適には、検出又はサンプリング間隔の量を、クラッチ制御装置Sによって自動的に変化させる。この量は、予め特定した間隔内の総切り替え動作回数に応じて、また検出した測定値に応じても可変である。例えば、切り替え頻度が増加し、1時間内に、クラッチ製造会社が危険と特定した値を超えた場合、クラッチ制御装置Sは、検出又はサンプリング間隔を増大させて、切り替え頻度を減少させる。その代わりに又は加えて、検出した温度の値も考慮し、それによりオイル温度が過度に高くなった場合に、切り替え動作回数を、間隔を延長して減少させる。ここでもまた、複数の入力量、例えば記録した切り替え動作回数と様々な測定値、好適には測定した温度値を、組合せて考慮できる。
【0039】
要するに、クラッチ制御装置Sは、図4のように、一定又は可変の切断遅延Δt、及び/又は図5〜図11の、固定又は可変のクラッチ切り替え回数制限期間dtを有する検出又はサンプリング間隔を、調節できる。検出間隔は、例えば現時点t0から遡り、操作手順と同期して経過するものとする。
【0040】
少なくとも1つのクラッチの切り替え頻度を最小化するには、頻繁に且つ極めて短時間のみ動作する機能部品を、接続状態に保つことが最適である。その結果、エネルギを、確実にこれらの機能部品で、例えば、非加圧回路D(図2及び図3で示した)によって節約できる。非加圧回路Dを、適切には、クラッチ制御装置Sでもクラッチを切断する際に、常に稼動させる。非加圧回路Dは、夫々の場合、次の接続の操作指令が現れるまでのみ、稼動させる、或は各クラッチを、クラッチ制御装置Sによって接続する。道路仕上げ機のこれらの機能部品としては、例えば、油圧シリンダ17、15、14、9で動作するものが挙げられる。
【0041】
対照的に、敷設作業走行時には、移動駆動部、材料輸送装置、材料送給装置、加熱手段、タンパ、押圧片、振動装置等の機能部品は、通常、長い時間間隔で動作する。該部品と関連させる少なくとも1つのクラッチを、クラッチ制御装置Sによって、対応する操作指令が現れた後比較的直ぐに、切断する、又は検出したクラッチ負荷の状況が接続状態を必要とする場合にのみ、接続状態を保つ。2つ以上のクラッチを設けた場合には、クラッチ制御装置により、1つのクラッチだけを制御するのと同様に、複数のクラッチを制御できるが、その場合、各断接動作を、異なる機能部品を作動させることによって、又は異なる機能部品を作動させる操作指令によってトリガするが、その後は各断接動作を、その時点の適切な制御ルーチンに対応させる。
【0042】
可能な選択肢として、オペレータは各クラッチを直接的に、例えばレバーによって、手動でも接続できる。また、クラッチを、オペレータ制御盤51の別のスイッチを介して、手動操作で作動してもよい。
【0043】
クラッチ制御装置Sによって考慮される操作指令は、オペレータから直接発信されるもののみでなく、その代わりに又は加えて、例えば、機能部品によって影響を受ける内燃機関Mの速度特性を評価すること等で、導出できる。内燃機関Mの速度が、所定の閾値を超えた場合、クラッチ制御装置Sはクラッチを接続する。しかしながら、内燃機関の速度が、所定の閾値を下回った場合、クラッチ制御装置はクラッチを切断する。別の方法として、可変容量型ポンプの旋回角度を、例えば該旋回角度を調節するのに使用する電磁弁制御流量によって、操作指令を導出するのに利用してもよい。これは、例えば、比例弁の比例磁石の制御流量によって、決定できる。フリッカ (flicker) 制御弁でも、断接動作用操作指令を、制御弁の位置によって、例えば、制御流量を測定することによって、導出してもよい。
【0044】
図2では、例えば、油圧ポンプ31を可変容量型ポンプ(矢印51で記号表示した)とし、任意には、少なくとも1つの、比例磁石47を有する比例電磁制御弁46を、例えば油圧シリンダ15を作動するのに用いる。ここでは、例えば圧力目盛りとして構成した、弁48を有する非加圧回路Dを設けて、該回路により、油圧シリンダ15が動力を必要としない際又は比例電磁制御弁46が閉位置にある際に、油圧ポンプ31の送給を加圧せずに容器49に流入させる。図2で更に、少なくとも1つの温度センサ53をポンプ伝達ギア19に配設し、該センサを温度信号変換器として、ギアオイル温度をクラッチ制御装置Sに信号で伝えることについて、概略的に示している。図3では、図示しない機能部品を作動させるフリッカ電磁弁50を、一例として油圧ポンプ32に関連させ、該弁のフリッカ磁石52を、例えばスイッチング電流に関して監視し、それによりクラッチ制御装置Sが、機能部品を作動又はスイッチを切る仮想操作指令を導出できるようする。別の方法として、各弁を、その位置に照らして距離センサで監視してもよい。
【0045】
図4の図式では、実線で示した一連の曲線40で、クラッチ切り替え動作を示しており、該動作は、操作指令(43:接続の操作指令、44:切断の操作指令)によって構成され、道路仕上げ機Fの操作に実際に適している。各クラッチを、切断状態41と接続状態42との間で変化させることができる。実際の接続動作を矢印43’で示し、実際の切断動作を矢印44’で示しており、夫々、クラッチ制御装置S(点線)によって発生させる。最初の接続動作の操作指令43が生成されると直ぐに、クラッチ制御装置Sは該指令を出来るだけ早く実行する(矢印43’)。クラッチを、次の切断動作が操作指令44によって命令されるまで、接続状態42とする。クラッチ制御装置Sにより操作指令44を検出する間、操作指令44が発生した時点から切断遅延Δtを設定して、切り替え動作を抑制し、切断遅延Δtが経過したなら、クラッチ制御装置Sは、切断動作を開始する(矢印44’)。
【0046】
切断遅延Δtが経過するまでの1切り替え動作(43’、44’)が検出される。後の時点で、次の接続動作のための操作指令43が再び現れると、クラッチ制御装置Sは接続動作として即座に実行する(矢印43’)。クラッチ制御装置Sは、次の切断動作の操作指令44に対して、まず切断遅延Δtの設定で反応する、即ちクラッチを接続状態に保つ。別の操作指令43が、切断遅延Δtが経過する前に接続動作を命令すると、クラッチ制御装置Sは、クラッチを切断せずに、その後再び切断遅延Δtを設定し、次の切断動作に関する操作指令44を待つ。同じことが、切断遅延Δtが経過する前に、操作指令43が命令した次の接続動作で起こり、その結果クラッチを切断せずに、当該期間が終わるまでの間、切断動作に関する操作指令44が発生すると、クラッチ制御装置Sが切断遅延Δtを再び設定する。その結果、更なる操作指令43が現れないため、クラッチ制御装置Sは最終的にクラッチを、切断遅延Δtが経過した後に切断動作(矢印44’)で、切断する。図4では、夫々同じ時間の切断遅延Δtを調節する。しかしながら、別の方法として、切断遅延Δtの期間を、例えばクラッチ負荷状況に応じて、短縮又は延長してもよい。クラッチを実際に断接するクラッチ制御装置Sによる影響については、切断遅延Δtを用いて図4の点線で示しており、一方前述のように、図5〜図11では、サンプリング間隔dtでのクラッチ切り替え回数制限を用いている。
【0047】
図5〜図11の図式では、クラッチ制御装置Sは、図4による切断遅延Δtの代わりとして、サンプリング間隔dtを用いたクラッチ切り替え回数制限に関する制御戦略を採用しており、該サンプリング間隔dtは、現在時点t0から、過去に向けて固定又は可変(線形的又は漸増的に又は漸減的に可変)の期間に亘る。これら2戦略は、追加的に又は交互に採用してもよい。
【0048】
実線の一連の曲線40は、図5〜図11では、操作入力、又は操作、又は例えば図4でのように操作指令43、44によって実際に要求する切り替え状態についても、示している。操作指令43を接続の信号とし、操作指令44を現在の切断の信号とする。しかしながら、操作によって要求された切り替え状態を、クラッチ制御装置Sによって、実際の断接動作(矢印43’、44’)で優先できる。図5〜図11では、サンプリング間隔を、異なる、連続した現在時点(各t0)で、表している。
【0049】
図5では、要求された切り替え動作がまだ検出間隔dt内に現れていない。全ての予想される仮定操作指令43、44はまだこれからである。図6でのみ、接続の操作指令43が、検出間隔dt内に現れている。クラッチ制御装置Sは、接続動作(矢印43’)(接続状態42)によってこの操作指令43を即座に実行する。検出間隔dt内での最初の接続動作(矢印43’)を、信号として保存する。図7で表したように、操作指令44が、切断用信号として現れ、検出間隔dtが時間と共に移動した場合でも、保存した接続動作の信号は依然として検出又はサンプリング間隔dt内にあり、その結果クラッチ制御装置Sは操作指令44に優先して、クラッチを接続状態に保つ。図8でのみ、検出間隔dtが対応して、時間と共に更に移動し、その結果クラッチ制御装置Sは、保存した接続動作の信号(矢印43’)が検出間隔dtから出るのと同時に、切断動作(矢印44’)(切断状態41)にする。図9で表したように、新たな接続の操作指令43が一定時間後に発生した場合は、クラッチ制御装置Sは接続動作をトリガする(矢印43’)。サンプリング間隔dtが時間と共に更に移動した場合(図10)で、且つ、この時間中に、その後再び以前の接続動作43’の保存した信号とは別に、更なる切断の操作指令44又は更なる接続の操作指令43が発生し、保存した接続動作の信号が依然として検出間隔dt内にある場合は、クラッチ制御装置Sは全ての切断の操作指令44を、保存した接続動作の信号が検出間隔dtを過ぎる時点t0まで、優先する。そうして初めて、これ以上操作指令43が現れない場合に、切断動作はトリガされる。図11では、別の操作指令43、従って接続用信号を、ここでもまた後の時点で受信する場合、クラッチ制御装置Sは当該信号を評価し、接続動作を即座にトリガする(矢印43’)。その結果、切断の操作指令44は、検出間隔dt内に現れるが、クラッチ制御装置Sは、保存した前の接続動作の信号(矢印43’)が検出間隔dtを過ぎるまで、当該信号に優先し該信号を無視する。そうして初めて、切断動作(矢印44’)が実際に行なわれる。
【0050】
一連のカーブ40内では、クラッチは、命令通り、4回接続、4回切断されておらず、例えば3回だけ断接されており、道路仕上げ機Fの動作に関する安全性は常に損なわれていない。
【符号の説明】
【0051】
9、14、15、17 油圧シリンダ
19 ポンプ伝達ギア
23、30〜33 油圧ポンプ
41 切断状態
42 接続状態
43、44 操作指令
48、50 磁気作動式制御弁
54 検出部
55 評価部
56 時間関連記録部
57 可変容量型ポンプ
F 道路仕上げ機
G 発電機
P 主動力装置
M 内燃機関
K1、K2、K3 断接クラッチ
S クラッチ制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関(M)を備える主動力装置(P)と、少なくとも1つの油圧ポンプ(23、30、31、32、33)及び/又は道路仕上げ機(F)の油圧的又は電気的に作動させる機能部品及び/又は道路仕上げ機(F)の少なくとも1つのスクリード(B)に給電する発電機(G)への動力伝達装置を有する道路仕上げ機(F)であって、前記動力伝達装置は、少なくとも1つの任意に断接するクラッチ(K1、K2、K3)を備えること、及びクラッチ制御装置(S)を前記少なくとも1つのクラッチを切替するように提供するが、該切り替えを、操作指令(43、44)と連結した少なくとも1つの操作指示に応じて、及び/又は決定されたクラッチ負荷状態に応じて、前記操作指示に優先する切断遅延(Δt)を自動的に設定可能、及び/又はクラッチ切り替え回数制限(dt)を、時間と共に移動する検出間隔(dt)によって自動的に設定可能にすることで行なうことを特徴とする、道路仕上げ機。
【請求項2】
前記クラッチ制御装置(S)は、前記切断遅延(Δt)及び/又は前記クラッチ切り替え回数制限用前記検出間隔(dt)を、現在及び/又は前の操作指示及び又は前記クラッチ負荷状況に応じて、調節できることを特徴とする、請求項1に記載の道路仕上げ機。
【請求項3】
前記クラッチ制御装置(S)は、前記クラッチ負荷状況に少なくとも影響を与える以下の状態変化:少なくとも1つの断接の操作指令(43、44)、及び/又は少なくとも1つの機能部品を動作状態にする若しくは非動作状態にすることによる、前記内燃機関(M)の動作挙動の少なくとも1つの変化、及び/又は少なくとも1つの測定温度値、及び/又は少なくとも1つの油圧ポンプ若しくは少なくとも1つの磁気作動式制御弁(48、50)の、少なくとも1つ応答反応、のうちの少なくとも1つに対する検出部(54)と評価部(55)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の道路仕上げ機。
【請求項4】
前記クラッチ制御装置(S)は、時点及び/又は決定された検出間隔(dt)内での少なくとも接続動作の回数に関する時間関連記録部(56)を更に備えることを特徴とする、請求項3に記載の道路仕上げ機。
【請求項5】
前記切断遅延(Δt)を、一定又は可変に調節できることを特徴とする、請求項1に記載の道路仕上げ機。
【請求項6】
前記クラッチ切り替え回数制限に対する前記検出遅延(dt)を、一定又は可変に調節できることを特徴とする、請求項1に記載の道路仕上げ機。
【請求項7】
前記切断遅延(Δt)及び/又は前記クラッチ切り替え回数制限に対する前記検出間隔(dt)を、線形的又は漸増的又は漸減的に可変にすることを特徴とする、請求項5又は6に記載の道路仕上げ機。
【請求項8】
前記動力伝達装置は、少なくとも1つの動力分割用ポンプ伝達ギア(19)を備え、該ギアは、少なくとも1つの油圧ポンプ及び好適には前記発電機(G)を少なくとも駆動すること、及び前記少なくとも1つのクラッチ(K1、K2、K3)を、前記主動力装置(P)と前記ポンプ伝達ギア(19)との間に、又は前記ポンプ伝達ギア(19)内に、又は前記ポンプ伝達ギア(19)の出力部に配置することを特徴とする、請求項1〜7の少なくとも1項に記載の道路仕上げ機。
【請求項9】
少なくとも2つのクラッチ(K1、K2、K3)を設け、好適には少なくとも1つのクラッチ(K3)を、油圧シリンダ(15、17、14、9)を備える機能部品等のかなり頻繁に若しくは短い間隔で作動させる機能部品用とし、少なくとも1つのクラッチ(K1、K2)を、移動駆動部、材料輸送装置、材料送給装置、タンパ、締め固め装置、振動装置、加熱手段等のかなり長い間隔で作動させる機能部品用とすることを特徴とする、請求項8に記載の道路仕上げ機。
【請求項10】
少なくとも1つの油圧ポンプ(31)を可変容量型ポンプ(57)とすること、及び前記関連する、油圧で作動する機能部品は、油圧モータ、好適には可変容量型モータ又は少なくとも油圧シリンダを備えることを特徴とする、請求項1に記載の道路仕上げ機。
【請求項11】
前記発電機(G)が供給する電気で作動する機能部品は、電気加熱手段(H)及び/又は電気モータを備えることを特徴とする、請求項1に記載の道路仕上げ機。
【請求項12】
前記クラッチ(K1、K2、K3)、好適には多板クラッチ又は板クラッチを、油圧的、空圧的又は電気的又は機械的に切り替え可能にすること、及び前記クラッチ負荷状況に照らして検出した測定温度値は、ポンプ伝達ギア(19)内のギアオイル温度及び/又は前記クラッチの油圧回路内のオイル温度を表すことを特徴とする、請求項1に記載の道路仕上げ機。
【請求項13】
少なくとも1つの油圧で作動する機能部品に対して任意に作動する、好適には圧力に応じて又は前記クラッチ制御装置(S)によって作動する非加圧循環回路(D)を、当該油圧回路内に設けることを特徴とする、請求項1〜12の少なくとも1項に記載の道路仕上げ機。
【請求項14】
少なくとも1つのスクリード(B)を備える道路仕上げ機(F)を敷設作業走行時及び輸送走行時に操作する方法であり、前記道路仕上げ機(F)は、内燃機関(M)を備える主動力装置(P)だけでなく、少なくとも1つの油圧ポンプ(30〜33、23)と、動作中に、前記敷設作業走行及び/又は前記輸送走行に必要な油圧で又は電気で作動させる機能部品に給電する発電機(G)とへの動力伝達装置を含み、該方法は、前記動力伝達装置に設けた少なくとも1つの任意に断接するクラッチ(K1、K2、K3)に対して、操作指示に優先する切断遅延(Δt)及び/又はクラッチ切り替え回数制限を、クラッチ制御装置(S)によって、前記クラッチ(K1、K2、K3)を断接する少なくとも1つの存在する操作指令(43、44)及び/又は検出したクラッチ負荷状況に応じて調節すること、及び前記クラッチ制御装置(S)により、逆の操作指令(43)が現れておらず、前記切断遅延(Δt)が経過した後にのみ、自動的に前記クラッチ(K1、K2、K3)を切断し、及び/又は逆の切断の操作指令(44)にも関わらず、時間と共に移動する前記クラッチ切り替え回数制限の検出間隔(dt)中は前記クラッチを自動的に接続状態に保つことを特徴とする道路仕上げ機の操作方法。
【請求項15】
前記クラッチ制御装置(S)により、少なくとも1つの保存した実際の接続動作(43’)の信号が、前記検出間隔(dt)を出てしまうまで、前記クラッチを接続状態に保つことを特徴とする、請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−36719(P2012−36719A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−164459(P2011−164459)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(596068349)ヨゼフ フェゲーレ アーゲー (35)
【Fターム(参考)】