道路用発光標示体
【課題】誘目性の高い道路用発光標示体を提供する。
【解決手段】複数の発光体と、この各発光体の通電を制御する制御装置と、前記各発光体からの光を透過させて外部に放射させる透光体と、この透光体と前記各発光体と前記制御装置とを内装させる本体を備え、前記本体を円錐台形状に形成させ、前記本体の外周側面に窓部を周方向に沿って全周に亘り複数並設させ、前記透光体を前記窓部の内側に取り付けて、前記発光体からの光を透過させて前記窓部を通して外部に放射可能に設ける。
道路用発光標示体を車両の車輪などが踏みつけたときに、車輪は前記本体に接触して窓部の内側に取り付けられた前記透光体に直接接触しないので、前記透光体の損傷や破壊が抑制され、周囲のあらゆる方向へ前記発光体からの光を前記窓部から放射させて視認できるように構成できる。
【解決手段】複数の発光体と、この各発光体の通電を制御する制御装置と、前記各発光体からの光を透過させて外部に放射させる透光体と、この透光体と前記各発光体と前記制御装置とを内装させる本体を備え、前記本体を円錐台形状に形成させ、前記本体の外周側面に窓部を周方向に沿って全周に亘り複数並設させ、前記透光体を前記窓部の内側に取り付けて、前記発光体からの光を透過させて前記窓部を通して外部に放射可能に設ける。
道路用発光標示体を車両の車輪などが踏みつけたときに、車輪は前記本体に接触して窓部の内側に取り付けられた前記透光体に直接接触しないので、前記透光体の損傷や破壊が抑制され、周囲のあらゆる方向へ前記発光体からの光を前記窓部から放射させて視認できるように構成できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、道路側縁やセンターラインなどの路面上や、道路側縁に設置される縁石上や、中央分離帯上などに設置される道路用発光標示体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内装した発光体からの光を車両のドライバーなどに視認させて、道路の形状や設置物の存在を認識させるための道路用発光標示体については、種々の発明が開示されている。
【0003】
例えば特許文献1には、路面に埋設された鋲本体の上部に透光体が取り付けられると共に、該透光体の下方に電源装置により発光される発光体が取り付けられ、前記発光体の光が前記透光体を通って外部に放出されるようになされた道路鋲であって、前記発光体は路面と平行に車座状に略等間隔で複数配置されると共に流れ点滅することを特徴とする自発光式道路鋲、が本件出願人によって開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−353440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし特許文献1に示す自発光式道路鋲は、路面に埋設させる構造で、発光体の光のみで標示を行う構成である。本発明は上記とは異なる構成により誘目性の高い道路用発光標示体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は以下のような構成としている。
すなわち本発明に係る道路用発光標示体は、複数の発光体と、該各発光体の通電を制御する制御装置と、前記各発光体からの光を透過させて外部に放射させる透光体と、該透光体と前記各発光体と前記制御装置とを内装させる本体を備えた道路用発光標示体であって、
前記本体は路面上に設置されて上方に突出する円錐台形状に形成され、前記本体の外周側面には窓部が周方向に沿って全周に亘り複数並設されており、
前記透光体は前記窓部の内側に取り付けられて、前記発光体からの光を透過させて前記窓部を通して外部に放射可能に設けられていることを特徴としている。
【0007】
本発明に係る道路用発光標示体によれば、複数の発光体と、該各発光体の通電を制御する制御装置と、前記各発光体からの光を透過させて外部に放射させる透光体と、該透光体と前記各発光体と前記制御装置とを内装させる本体を備え、前記本体は路面上に設置されて上方に突出する円錐台形状に形成され、前記本体の外周側面には窓部が周方向に沿って全周に亘り複数並設されているので、周囲のあらゆる方向へ前記発光体からの光を前記窓部から放射させて視認できるように構成できる。
また、前記本体が円錐台形状に形成されるので、道路用発光標示体を車両の車輪などが踏みつけたときに、車輪が本体の外周側面に設けられた傾斜面に接触して、与えられる衝撃を抑制できる。
また、前記透光体が前記窓部の内側に取り付けられて、前記発光体からの光を透過させて前記窓部を通して外部に放射可能に設けているので、道路用発光標示体を車両の車輪などが踏みつけたときに、車輪は前記本体に接触して窓部の内側に取り付けられた前記透光体に直接接触しないので、前記透光体の損傷や破壊が抑制され、発光体からの光の放射が継続的に維持できる。
【0008】
また、前記本体の外周側面に周方向に沿う溝部を全周に亘り形成させ、この溝部に光の再帰反射性を備えた反射部材を全周に亘り取り付ければ、前記発光体からの光と共に、前記反射部材に再帰反射された車両のヘッドライト光などがドライバーに視認され、2種類の光が同時に視認されることによる誘目性の高い標示を周囲のあらゆる方向へ行うことができ、好ましい。
【0009】
また、前記複数の発光体において、1又は隣り合う2以上の発光体から構成させる発光グループを複数設け、この各発光体グループに発光体から発せられる光を集光させて放射させるレンズ部をそれぞれ備えさせ、上下方向には肉厚を変化させて凸レンズとしての形態を備えると共に、水平方向には肉厚が一定でレンズとしての形態を備えていない横非集光部を前記各レンズ部にそれぞれ形成させれば、発光体の発する上下方向の光を前記レンズ部の凸レンズで集光させて外部へ光線を放射させるので、外部へ放射される光がより明るいものとなされ、運転者や歩行者などの標示対象者からの視認性が向上する。また、前記横非集光部から外部へ放射される光は水平方向へは集光されずに広範囲に放射され、標示対象者が移動して道路に設置した道路用発光標示体の脇を通過しようとしたときでも、前記の光を視認可能な領域がより大きく形成され、道路用発光標示体の視認性が向上する。
【0010】
また、前記各レンズ部の横非集光部の水平方向両端に水平方向に肉厚を変化させて凸レンズとしての形態を備える横集光部をそれぞれ形成させると共に、一つの前記窓部から一つの前記発光体グループの光を放射させるようにすれば、前記レンズ部の横集光部から放射される光が集光されて水平方向の照射範囲が狭められ、前記窓部の水平方向の縁に遮られて前記本体の外部には放射されない光が集光されて放射されるようになされるので、発光体からの光を効率よく外部へ放射させて標示対象者に視認されるようになされるので、好ましい。
【0011】
また、前記窓部を内側から覆うカバー体を前記本体内に取り付け、前記窓部を通る前記発光体からの光が前記カバー体を透過するようにさせると共に、前記カバー体が裏面から入射した光を拡散させて前記窓部へ透過させるようにすれば、前記発光体からの光が前記カバー体により拡散されて前記窓部の全範囲が面発光しているように視認され、より大きな面積の発光によって視認性が高められるので、好ましい。
【0012】
また、前記カバー体に多数の再帰反射領域と、この各再帰反射領域の周囲に設けられた再帰反射性を有しない隙間領域とを備えさせ、前記隙間領域は裏面から入射した光を拡散させて透過させるように設けて、前記発光体からの光を前記カバー体の裏面側から隙間領域を透過させて前記窓部へ放射させると共に、前記本体の外方からの光を前記再帰反射領域にて再帰反射させるようにすれば、前記発光体からの光によって前記窓部の全範囲を面発光しているように視認させ、且つヘッドライトを点灯させている車両のドライバーなどに対しては前記再帰反射領域にて再帰反射させた光を視認させることができるので、より確実に道路用発光標示体を視認させることができ、好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る道路用発光標示体によれば、誘目性の高い標示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る道路用発光標示体の実施の一形態を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図である。
【図2】図1の道路用発光標示体から本体と透光体を取り外した状態を示す平面図である。
【図3】図1のA−A断面図である
【図4】図1の道路用発光標示体に用いられているレンズ部を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図であり、(ハ)は側面図である。
【図5】図4のレンズ部の断面を示す、(イ)は図4のA−A断面図であり、(ロ)は図4のB−B断面図である。
【図6】発光体からの光の放射の状態を示すレンズ部付近を拡大した図1の要部の縦断面図である。
【図7】発光体からの光の放射の状態を示すレンズ部付近を拡大した図1の要部の水平断面図である。
【図8】図1の道路用発光標示体の発光体の発光パターンの一形態を説明する図である。
【図9】本発明に係る道路用発光標示体の実施の他の一形態を示す図である。
【図10】本発明に係る道路用発光標示体の実施の他の一形態を示す要部の水平断面を示す図である。
【図11】図10の実施形態の要部の縦断面を示す図である。
【図12】図10のカバー体の表面を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態を図面に基づき具体的に説明する。
最初に図1〜3により、本発明の道路用発光標示体の全体的な構成について説明する。
図面において、1は本体である。
本実施形態の本体1はアルミニウムダイカスト等の金属で作製され、リング形状の上面部11と、この上面部11の外径より大きな内径のリング形状の下面部12と、前記上面部11の下面外縁と前記下面部12の上面内縁との間に架け渡されるように一体的に形成された複数本の傾斜柱部13、本形態では8本の傾斜柱部13から構成された円錐台形状に形成されている。
前記各傾斜柱部13は等間隔に配置されて本体部1の外周側面を形成しており、隣り合う8本の傾斜柱部13の間に開口する複数の窓部14、本形態では合計8個の窓部14が形成されるように設けられている。
また、上面部11の上面には、突起17が放射状に複数設けられている。突起17を設けることで、雨が降ったりして水がかかっても、本体1の上面に水やゴミが溜まり難く、外側に向けて流れ易く、さらに、すべり止めとしての利点がある。本実施形態の各突起17は、回転角5.6度刻みの放射状で高さ0.5mmにそれぞれ形成させているが、これに限るものではなく、その高さや角度、幅の大きさを変更させてもよく、他の形状に形成させてもよい。
また、本体1の上面を構成する前記上面部11は、そのリングの内側が開口して天窓部15が設けられている。
また本体1の下面を構成する下面部12の下面には、その開口するリングの内側部分を塞ぐようにアルミニウム合金などの金属で作製された底板2が取り付けられている。
【0016】
4は反射部材である。
反射部材4は、帯状の形状をした基材42に適宜間隔をおいてガラスビーズ製の反射器41が配設されている。
反射器41は入射光に対して平行に光を反射する再帰反射性が高く、かつ汚れにくく、劣化しにくいガラスビーズ製のものを用いるのが好ましいが、基材42の表面に反射テープなどを貼着してもよい。基材42の材質は、鉄鋼、ステンレス、アルミニウムなどの金属などを用いてもよいが、反射器41を埋め込み形成することを容易にするためにゴム、ウレタン系樹脂、エラストマーなどの弾性の高い合成樹脂を用いるのが好ましく、反射器41が外れにくくなるように、ポリエチレンやポリプロピレン等、ある程度高い硬度を有する熱可塑性合成樹脂を用いるのがより好ましい。
また、本実施形態の反射部材4は、反射器41を基材42の全長に亘って配設させており、反射器41の再帰反射性が反射部材4の全長に亘って得られるようになされている。
【0017】
本体1には、その上面部の外周側面に内側へ窪む溝部16が全周に亘って形成されている。
帯状の反射部材4は、前記溝部16に巻回されて本体1の上面部11に取り付けられており、より詳細には反射器41を含めて反射部材4が本体1の上面部11の縁より本体1の径方向内側に位置するように、溝部16内に収納されて取り付けられている。反射部材4は、溝部16に巻回させることで外れにくくなされると共に、上下方向への位置ずれを防ぐことができる。
また、反射器41を本体1の上面部11の縁より本体1の径方向内側に位置させることで反射器41が本体1の外側面より外側へ突出しないので、車両の車輪などが道路鋲を踏みつけたときに、車輪などが反射器41や基材42に直接接触しないので、反射部材の損傷や、汚染による再帰反射性の低下などが抑制される。
尚、帯状の反射部材4の構成は、反射器41と基材42を用いた本実施形態の構成に限るものではなく、帯状に形成させた反射テープをそのまま溝部16に貼着してもよく、他の形態のものを利用してもよい。
【0018】
3は透光体である。
透光体3は伏せた皿のように下方に開口する円錐台形状に形成されており、その上面部分には均一な肉厚に形成された円形の受光面部31が設けられると共に、この受光面部31の縁から外側斜め下方へ延設される傾斜側面部32が形成されている。
透光体3の外側形状は前記本体1の内側形状に対応した形状に形成させており、その傾斜側面部32の外側を前記本体1の上面部11、傾斜柱部13、下面部12の内側に当接させ、傾斜側面部32が前記窓部14より本体1の内側に位置するように、透光体3が本体1内に収納されて取り付けられている。
透光体3は硬質の透明ガラスやポリカーボネート、アクリル樹脂等の如き透光性を有する合成樹脂等から一般的に作製されるものである。
【0019】
また、透光体3の受光面部31には、その外周縁が下方に降る段部33が全周に亘って形成されている。この段部33より内側の受光面部31は、前記本体1の天窓部15に対応した形状に形成されており、前記段部33の上面を本体1の上面部11の下面に当接させ、段部33より内側の受光面部31を下方から天窓部15に挿入させて、透光体3が本体1に収納されて取り付けられている。
受光面部31が天窓部15に挿入され、段部33が上面部11に当接されて、透光体3が本体1に取り付けられるので、道路用発光標示体が車両の車輪などに踏みつけられたときに、受光面部31と天窓部15とが当接して、透光体3と本体1とが受けた力によって位置ずれするなどの問題が生じにくくなされている。
【0020】
透光体3の傾斜側面部32のリング形状の下面は前記底板2の上面に当接されて取り付けられている。この傾斜側面部32の下面には、上方へ窪む環状溝34が下面全体に亘って形成され、更にこの環状溝34にはパッキンPが嵌め込まれて取り付けられており、底板2と透光体3との隙間から透光体3の内側に水などが侵入することを防止している。
【0021】
5は発光部である。
本実施形態の発光部5は、太陽電池55と、この太陽電池55で生起させた電力を蓄える蓄電部53と、この蓄電部53の電力により発光する発光体51と、この発光体51への通電を制御する基板形状の制御装置54とを備え、これらはそれぞれ円盤形状の基板59に取り付けられたユニットに形成されている。この発光部5は前記底板2に固定されて前記透光体3の内側の中空部分に収納され、前記本体1に内装されている。
また前記発光部5は、太陽電池55が透光体3の受光面部31の下方に配置されるように取り付けられており、受光面部31を透過する上方からの太陽光を受光して電力を生起するように設けられている。
本実施形態の蓄電部53には、鉛蓄電池などの充電池や電気二重層コンデンサ等の充電装置を用いることができる。また、本実施形態の発光体51には、発光ダイオード、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、陰極管、エレクトロルミネッセンス、キセノンランプ等が適宜使用されるが、一般には指向性が強く且つ高輝度の発光ダイオードが好適に使用される。
【0022】
本実施形態の発光部5には、24個の発光体51が光軸を水平方向へ向けるように取り付けられている。具体的には、各発光体51は円盤形状の基板59上面から上方に突出するように設けられたホルダー58に取り付けられて、各発光体51が基板58の縁付近に車座状に配置されるように固定されており、各発光体51からの光が基板59の外側方向へそれぞれ放射状に発せられるように取り付けられている。
また、前記発光部5が本体1に内装された状態で、前記各発光体51は上下方向の高さが窓部14の略中央に位置するようにホルダー58に取り付けられて固定されている。
【0023】
また、前記発光部5には、センシング手段57が固定されている。
本実施形態のセンシング手段57は、夕方や夜間などの周囲が暗い場合において、前照灯が点灯された車両や自転車などの、発光する接近物などの光を受光するフォトトランジスタであり、前記制御装置54に接続されて対象の接近物を感知した際に、各発光体51による発光の開始や終了、若しくは各発光体51の組み合わせや点滅周期により表現される発光パターンの変更などを行うようになされている。
本実施形態のセンシング手段57は、その感知対象方向を水平方向に向けて前記ホルダー58に取り付けられており、より具体的には車座状に取り付けられた前記各発光体51の隣り合う2個の発光体51の間に配置されて、本形態では8個のセンシング手段が等間隔に車座状に取り付けられている。この各センシング手段57は、本体1に形成された8個の各窓部14から入射する光をそれぞれ感知するように設けられている。
【0024】
6はレンズ部である。
レンズ部6は、前記各発光体51の光を集光して放射するよう各発光体51の光放射方向側に車座状に配置されて、それぞれ底板2の上面に固定されている。
具体的には、本実施形態のレンズ部6の備えるレンズ61は横長形状に形成され、一つのレンズ61で複数個の発光体51、本形態では3個の発光体51の光が集光可能となされており、3個の発光体51を1組として構成される発光体グループ52の光放射方向側に1個のレンズ部6が配置されるように、8組の各発光体グループ52の光放射方向側にそれぞれ1個づつ合計8個のレンズ部6が固定されている。
【0025】
本実施形態の道路用発光標示体は、上面部11の下面外縁と下面部12の上面内縁との間に複数本の傾斜柱部13が架け渡されるように一体的に形成されており、前記各傾斜柱部13の下部から前記下面部12が外方へ突出するような円錐台形状に本体1が設けられている。このため、本実施形態の道路用発光標示体が車両の車輪に踏まれたときに、各傾斜柱部13などの傾斜している部位から受ける力は斜め下方向に向かい、道路用発光標示体と設置面との固定を外す横方向への力として働こうとするが、各傾斜柱部13の下部から外方へ突出する下面部12が備えられているため、前記の車輪の一部が下面部12の上面に接触することで、下面部12へ下向きの力が与えられ、道路用発光標示体を設置面へ押しつける力として働き、道路用発光標示体と設置面との固定が外れにくくなされる。
【0026】
図4は図1の道路用発光標示体に用いられているレンズ部を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図であり、(ハ)は側面図であり、図5は図4のレンズ部の断面を示す、(イ)は図4のA−A断面図であり、(ロ)は図4のB−B断面図である。
レンズ部6は長方形の板形状に形成された板部62と、この板部62の上部分に形成された横長のレンズ61から構成されている。
板部62は上下方向に立設する板形状に形成され、より詳細にはその中央部分が前方へ突出するように湾曲する板形状に形成されている。
レンズ61は、正面視からの形状が横長の長方形の左右両辺をそれぞれ横方向に至るほどアールを描いて中央に集束する半円形とした形状に形成されており、前記板部62の略上半分の範囲を占めるように設けられている。
【0027】
板部62に設けられたレンズ61は、板部62の前面より前方に突出して形成される前方レンズ面61aにより構成される前方部分と、同様に板部62の後面側に形成される後方レンズ面61bにより構成される後方部分とから構成されている。
図5(ロ)に示すように、レンズ61の上下の断面において、レンズ61の前方部分は板部62の前方に突出する円弧状の断面を有するように形成されており、このレンズ61の前方部分の円弧状の形状が前部レンズ面61aとして機能する。
また、レンズ61の後方部分は、前部レンズ面61aに対応する位置において、板部62の後面が前方に向けてくぼむように形成され、このくぼみ形状が後部レンズ面61bとして機能する。このとき、後部レンズ面61bは前部レンズ面61aより小さな曲率を有する円弧形状に形成されている。前部レンズ面61aと後部レンズ面61bとを上記のように形成させることで、レンズ61の上下断面形状は、レンズ面の中央が最も肉厚で、端部に至るほど肉薄となり、レンズ61が上下方向において凸レンズとして機能するようになされている。
【0028】
図6は発光体からの光の放射の状態を示すレンズ部付近を拡大した図1の要部の縦断面図である。
図6は発光体51から上下方向に放射される光線の状況を示しており、発光体51より光が発せられレンズ61を介さずに放射させる場合は、光軸付近の光L1はそのまま光K1〜K2の範囲へ直進して放射されるが、レンズ61の上下の断面を上記のように形成させることで、後部レンズ面61bと前部レンズ面61aとの曲率の大きさの差異によってレンズ61が上下方向に凸レンズとして機能するようになされて発光体51からの光L1が集光され、上下方向への放射範囲を狭められた光T1〜T2として前部レンズ面61aから放射される。
発光体51から上下方向へ放射される光L1をレンズ61によって集光させることで、光T1〜T2は光L1よりも明るい光として視認されるので、道路用発光標示体の視認性を向上させ、道路用発光標示体の遠方を通行する歩行者や運転者などから良好に視認できるようになされる。
また、光L1において、レンズ61を介さない場合には本体1の内側面に照射されて窓部14から外方へ放射されない光K1や光K2を、レンズ61によって集光させることでその光の向きをレンズ61の中央よりに変化させ、光T1、T2として窓部14から放射させることができるので、発光標示の効率を高めることができる。
【0029】
また、発光体51から発せられた光において、レンズ61より下方へ向けて発せられた光L3はレンズ部6の板部62を透過し、底板2に反射された反射光R3が窓部14から外方へ放射されて外部から視認されるようになされている。
反射光R3は、レンズ61によって集光させて水平方向へ視認性を高めた前記の光T1〜T2よりもその光の放射方向を上方向へ向けて放射されるので、道路用発光標示体から遠方を通行する歩行者や運転者などのみならず、道路用発光標示体の付近を通過する歩行者や自転車などの運転者からも良好に視認できるようになされている。
【0030】
更に、発光体51から発せられた光において、上方へ向けて発せられた光L4が、太陽電池55と、本体1の上面部11との間を通過して、透光体3の受光面部31を透過して天窓部15から外方へ放射されて、外部から視認されるようになされている。
この光L4は反射光R3と同様に、光T1〜T2よりも上方向へ向けて放射されることで、道路用発光標示体の付近を通過する歩行者や自転車などの運転者から良好に視認されるようになされている。
【0031】
図5(イ)に示すように、レンズ61の水平断面において、板部62の前面より前方に突出して形成されている前部レンズ面61aの形状は、中央が板部62と同様に湾曲し、その両端では端に至るほど前方への突出大きさが小さくなるように円弧を描いて板部62の側面又は前面に至るように形成されている。
また、前記前方レンズ面61aに対応する位置において、板部62の後面が前方へ向けてくぼむように形成された後部レンズ面61bの形状は、中央が板部62及び前部レンズ面61aと同様に湾曲し、その両端において端に至るほど前方へくぼむ大きさが小さくなるように円弧を描いて板部62の後面に至るように形成されている。
【0032】
前部レンズ面61aと後部レンズ面61bとの中央の湾曲部分は、同じ曲率で湾曲されており、レンズ61の水平方向にレンズ厚さが均一な部分が形成され、これが非横集光部65として機能する。
非横集光部65はレンズ61の水平方向の厚みが均一に形成されているため、光を水平方向へ集光するレンズとして機能しない。
【0033】
また、後部レンズ面61bの両端部分の円弧の曲率の大きさは、前部レンズ面61aの両端部分の円弧よりも小さく形成されている。
レンズ61の水平断面を上記のように形成させることで、前記非横集光部65の両端に形成された前部レンズ面61aと後部レンズ面61bとの円弧部分とが、図6に示すレンズ61と同様の集光効果を奏する横集光部66として機能する。この横集光部66へ、レンズ部61の後方に配置した発光体51からの光が入光するとこれを集光させ、水平方向への放射範囲を狭めて前部レンズ面61aより放射させる。
【0034】
図7は発光体からの光の放射の状態を示すレンズ部付近を拡大した図1の要部の水平断面図である。
本図においては、発光体51からの光が透光体3及び窓部14を通り外方へ放出される状況を示すため、透光体3及び傾斜柱部13を図2に追加して記載している。
前記の如く、3個1組の発光体51から構成される発光体グループ52の光放射方向側には1個のレンズ部6が配置固定されている。
各発光体51から発せられレンズ61の非横集光部65に入る光L5は、レンズ61によって水平方向への集光がなされず、その水平方向の光の向きと放射範囲とが変化していない光T5として、レンズ61から放射される。
光T5は、透光体3を透過する際にも同様にその光の向きと放射範囲を変えずに、窓部14を通って外方へ放射される。
【0035】
一方、発光体51から発せられレンズ61の横集光部66に入る光L6は、レンズ61によって水平方向へ集光されてその放射範囲を狭められ、その光の方向をレンズ61の水平方向中央よりに変化させた光T6として、レンズ61から放射される。
光T6は、窓部14を通って外方へ放射されるが、レンズ61に集光されることにより光L6より強い光となって放射される。
また、光L6において、レンズ61を介さない場合には、各レンズ部6の間に配置された本体1の傾斜柱部13の内側面に照射されて窓部14から外方へ放射されない光K6を、レンズ61によって集光させることでその光の向きをレンズ61の中央よりに変化させて、光T6として窓部14から放射させることができるので、発光表示の効率を高めることができる。
【0036】
前記のように、レンズ6を介して放射させる光は、その上下方向への放射範囲を狭くするように集光されてその明るさを大きなものにされると共に、非横集光部65を設けることで水平方向への集光を抑え、光の放射範囲の狭小化を抑制させている。
歩行者や車両の運転手などの標示対象者が通常の移動を行う場合、道路面に対する目の位置の高さが大きく変わることがないため、道路用発光標示体1から発する光線の上下方向の放射範囲を狭めても、その視認性を大きく損なうことがない。
また、反対に標示対象者は道路を通行するとともに水平方向へ移動するので、道路用発光標示体1から発する光は、視認される場所がより大きくなされるように水平方向へ広範囲に放射されるのが好ましく、本実施形態のレンズ61のように非横集光部65を備えることで、このような広範囲への放射を行うことができる。
【0037】
また、本実施形態の道路用発光標示体は、発光体51からの光を外方へ放射させる複数個の窓部14が、本体1の外周側面の全周に亘って並設されているので、周囲のあらゆる方向からでも窓部14から放射される前記発光体51からの光を視認できる。本実施形態の本体1は各窓部14を各傾斜柱部13の間に設けると共に、各窓部14の横幅の大きさを各傾斜柱部13の横幅の4倍以上に形成させており、道路用発光標示体の周囲からの視認性を非常に高いものとしている。
また、本実施形態の道路用発光標示体は、各窓部14からの発光標示に加えて、本体1の上面部11の全周に亘って取り付けた反射部材4における光の再帰反射による標示を行うことができる。
前記発光体51からの光と共に、前記反射部材4に再帰反射された車両のヘッドライト光などがドライバーに視認され、2種類の光が同時に視認されることによる誘目性の高い標示を周囲のあらゆる方向へ行うことができる。
【0038】
図8は図1の道路用発光標示体の発光体の発光パターンの一形態を説明する図である。
本発明の発光部5は、制御装置54により各発光体51への通電が制御されて、種々の発光パターンによる発光標示を表現できるように構成されている。
図8において、★印を付した発光体51が発光しているものであり、1個のレンズ部6の内側に取り付けられた3個1組の発光体グループ52単位で流れ発光している状態を示している。
具体的には、最初に(イ)に示す発光体グループ52が点滅し、続いて(ロ)に示すようにこの発光体グループ52の右回りに隣接する発光体グループ52が点滅し、更に続いて(ハ)に示すように更にその右回りに隣接する発光体グループ52が点滅する、というように順次右回りに隣接する発光体グループ52が点滅発光することで、光が右回りに流れ発光するように視認されるようになされている。
【0039】
上記の実施形態の発光パターンは、レンズ6の配置にあわせた3個1組の発光体グループ52単位で点滅発光させているが、これに限るものではなく、1個の発光体51単位で流れ発光させてもよいし、2個1組又は4個以上の発光体51を1組として流れ発光させてもよい。
また、本実施形態の道路用発光標示体による発光パターンは上記のような流れ発光に限るものではなく、全ての発光体51を同時に点滅させるなどの発光パターンで発光させてもよい。
【0040】
また、上記の発光パターンを状況に応じて切り替えるようにしてもよく、発光部5に設けたセンシング手段57が対象の接近物を感知した際に、制御装置54によって各発光体51の発光パターンの種類や、周期などが変更されるように構成させてもよい。
【0041】
図9は本発明に係る道路用発光標示体の実施の他の一形態を示す図である。
本実施形態の道路用発光標示体は、発光部5に16個の発光体51が車座状に取り付けられ、各発光体51が2個1組の発光体グループ52を構成している点が図1〜8に示される実施形態と異なる事項である。
本発明に係る道路用発光標示体は、設置場所や目的に応じて、発光体51や発光体グループ52の個数や組み合わせを適宜調整して構成させてもよいが、図1や図9に示すように本体1から外方へ放射状に光を放射させる発光体グループ52を8組若しくはそれ以上設けることで、周囲のあらゆる方向から発光表示がよく視認されるようになされるので、好ましい。
【0042】
図10は本発明に係る道路用発光標示体の実施の他の一形態を示す要部の水平断面を示す図であり、図11は図10の実施形態の要部の縦断面を示す図である。
本実施形態は、透光体3の内側面にカバー体7が取り付けられている点が図1に示した実施形態と異なる事項であり、具体的には、透光性を有するシート状のカバー体7が8個の前記窓部14をそれぞれ内側から覆うように合計8枚取り付けられている。
このカバー体7は裏面から入射した光を拡散させて表面から出射させるようになされており、各発光体51からの光を拡散させて前記窓部14から放射させるようになされている。
前記のようにカバー体7を取り付けることで、前記発光体51からの光が前記カバー体7により拡散されて、本体1の外側からは前記窓部14の全範囲が面発光しているように視認され、より大きな面積の発光によって視認性が高められるようになされる。
【0043】
図12は図10のカバー体の表面を示す拡大図である。
本実施形態のカバー体7は、透光性を有する再帰反射性シートを用いており、より具体的にはシート内部にキューブコーナープリズムのプリズム素子を形成させたプリズム型の再帰反射性シートを用いている。
本実施形態のカバー体7には、プリズム素子を形成させた再帰反射領域71と、その周囲に設けられた再帰反射性を有しない隙間領域72とが、全体に均一に設けられている。具体的には、上下方向及び左右方向へ規則的に多数並設された菱形形状の再帰反射領域71の間に、隙間領域72が網目模様を形成するように設けられている。
【0044】
前記再帰反射領域71がカバー体7全体に均一に形成されることで、本体1の外方から照射された光が再帰反射性領域71で反射されて、カバー体7全体で光源の方向へ再帰反射させるので、反射部材4による再帰反射光とあわせて、ヘッドライトを点灯させた車両のドライバーなどからの視認性が良好なものとなされる。
【0045】
また、前記隙間領域72は乳白色の半透明に設けられており、裏面側から入射した光を拡散させて表面側へ透過させるように設けられている。このように設けられた隙間領域72がカバー体7全体に均一に形成されることで、発光体51によるカバー体7の発光を均一な面発光にすることができる。
【0046】
また、本実施形態のカバー体7は、透光性を有する再帰反射性シートで形成させているが、これに限るものではなく、射出成形などによって形成させたシート状以外の再帰反射体等を用いてもよい。カバー体7に前記の如き隙間領域72を設けることで、発光体51の光を拡散させて透過させることができ、その視認性を向上させることができる。
【0047】
また、本実施形態の道路用発光標示体において、8個の前記窓部14をそれぞれ覆うカバー体7の一部を光の再帰反射性を有する非透光性のものとし、この非透光性のカバー体を設けた窓部14に配置されたレンズ部6や発光体51を取り外すように設けてもよい。
このような構成とすることで、一部の方向へ対する発光体51による発光表示の必要が無い場合に、発光する発光体51の数量を削減して蓄電部53の蓄電量の低減を抑制させると共に、カバー体の有する再帰反射性によってその視認性を確保できる。
【符号の説明】
【0048】
1 本体
11 上面部
12 下面部
13 傾斜柱部
14 窓部
15 天窓部
16 溝部
2 底板
3 透光体
31 受光面部
32 傾斜側面部
33 段部
34 環状溝
4 反射部材
41 反射器
42 基材
5 発光部
51 発光体
52 発光グループ
53 蓄電部
54 制御装置
55 太陽電池
57 センシング手段
58 ホルダー
59 基板
6 レンズ部
61 レンズ
61a 前部レンズ面
61b 後部レンズ面
62 板部
65 非横集光部
66 横集光部
7 カバー体
71 再帰反射領域
72 隙間領域
P パッキン
L1〜L6 光
K1〜K6 光
T1〜T6 光
R3 反射光
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、道路側縁やセンターラインなどの路面上や、道路側縁に設置される縁石上や、中央分離帯上などに設置される道路用発光標示体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内装した発光体からの光を車両のドライバーなどに視認させて、道路の形状や設置物の存在を認識させるための道路用発光標示体については、種々の発明が開示されている。
【0003】
例えば特許文献1には、路面に埋設された鋲本体の上部に透光体が取り付けられると共に、該透光体の下方に電源装置により発光される発光体が取り付けられ、前記発光体の光が前記透光体を通って外部に放出されるようになされた道路鋲であって、前記発光体は路面と平行に車座状に略等間隔で複数配置されると共に流れ点滅することを特徴とする自発光式道路鋲、が本件出願人によって開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−353440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし特許文献1に示す自発光式道路鋲は、路面に埋設させる構造で、発光体の光のみで標示を行う構成である。本発明は上記とは異なる構成により誘目性の高い道路用発光標示体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は以下のような構成としている。
すなわち本発明に係る道路用発光標示体は、複数の発光体と、該各発光体の通電を制御する制御装置と、前記各発光体からの光を透過させて外部に放射させる透光体と、該透光体と前記各発光体と前記制御装置とを内装させる本体を備えた道路用発光標示体であって、
前記本体は路面上に設置されて上方に突出する円錐台形状に形成され、前記本体の外周側面には窓部が周方向に沿って全周に亘り複数並設されており、
前記透光体は前記窓部の内側に取り付けられて、前記発光体からの光を透過させて前記窓部を通して外部に放射可能に設けられていることを特徴としている。
【0007】
本発明に係る道路用発光標示体によれば、複数の発光体と、該各発光体の通電を制御する制御装置と、前記各発光体からの光を透過させて外部に放射させる透光体と、該透光体と前記各発光体と前記制御装置とを内装させる本体を備え、前記本体は路面上に設置されて上方に突出する円錐台形状に形成され、前記本体の外周側面には窓部が周方向に沿って全周に亘り複数並設されているので、周囲のあらゆる方向へ前記発光体からの光を前記窓部から放射させて視認できるように構成できる。
また、前記本体が円錐台形状に形成されるので、道路用発光標示体を車両の車輪などが踏みつけたときに、車輪が本体の外周側面に設けられた傾斜面に接触して、与えられる衝撃を抑制できる。
また、前記透光体が前記窓部の内側に取り付けられて、前記発光体からの光を透過させて前記窓部を通して外部に放射可能に設けているので、道路用発光標示体を車両の車輪などが踏みつけたときに、車輪は前記本体に接触して窓部の内側に取り付けられた前記透光体に直接接触しないので、前記透光体の損傷や破壊が抑制され、発光体からの光の放射が継続的に維持できる。
【0008】
また、前記本体の外周側面に周方向に沿う溝部を全周に亘り形成させ、この溝部に光の再帰反射性を備えた反射部材を全周に亘り取り付ければ、前記発光体からの光と共に、前記反射部材に再帰反射された車両のヘッドライト光などがドライバーに視認され、2種類の光が同時に視認されることによる誘目性の高い標示を周囲のあらゆる方向へ行うことができ、好ましい。
【0009】
また、前記複数の発光体において、1又は隣り合う2以上の発光体から構成させる発光グループを複数設け、この各発光体グループに発光体から発せられる光を集光させて放射させるレンズ部をそれぞれ備えさせ、上下方向には肉厚を変化させて凸レンズとしての形態を備えると共に、水平方向には肉厚が一定でレンズとしての形態を備えていない横非集光部を前記各レンズ部にそれぞれ形成させれば、発光体の発する上下方向の光を前記レンズ部の凸レンズで集光させて外部へ光線を放射させるので、外部へ放射される光がより明るいものとなされ、運転者や歩行者などの標示対象者からの視認性が向上する。また、前記横非集光部から外部へ放射される光は水平方向へは集光されずに広範囲に放射され、標示対象者が移動して道路に設置した道路用発光標示体の脇を通過しようとしたときでも、前記の光を視認可能な領域がより大きく形成され、道路用発光標示体の視認性が向上する。
【0010】
また、前記各レンズ部の横非集光部の水平方向両端に水平方向に肉厚を変化させて凸レンズとしての形態を備える横集光部をそれぞれ形成させると共に、一つの前記窓部から一つの前記発光体グループの光を放射させるようにすれば、前記レンズ部の横集光部から放射される光が集光されて水平方向の照射範囲が狭められ、前記窓部の水平方向の縁に遮られて前記本体の外部には放射されない光が集光されて放射されるようになされるので、発光体からの光を効率よく外部へ放射させて標示対象者に視認されるようになされるので、好ましい。
【0011】
また、前記窓部を内側から覆うカバー体を前記本体内に取り付け、前記窓部を通る前記発光体からの光が前記カバー体を透過するようにさせると共に、前記カバー体が裏面から入射した光を拡散させて前記窓部へ透過させるようにすれば、前記発光体からの光が前記カバー体により拡散されて前記窓部の全範囲が面発光しているように視認され、より大きな面積の発光によって視認性が高められるので、好ましい。
【0012】
また、前記カバー体に多数の再帰反射領域と、この各再帰反射領域の周囲に設けられた再帰反射性を有しない隙間領域とを備えさせ、前記隙間領域は裏面から入射した光を拡散させて透過させるように設けて、前記発光体からの光を前記カバー体の裏面側から隙間領域を透過させて前記窓部へ放射させると共に、前記本体の外方からの光を前記再帰反射領域にて再帰反射させるようにすれば、前記発光体からの光によって前記窓部の全範囲を面発光しているように視認させ、且つヘッドライトを点灯させている車両のドライバーなどに対しては前記再帰反射領域にて再帰反射させた光を視認させることができるので、より確実に道路用発光標示体を視認させることができ、好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る道路用発光標示体によれば、誘目性の高い標示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る道路用発光標示体の実施の一形態を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図である。
【図2】図1の道路用発光標示体から本体と透光体を取り外した状態を示す平面図である。
【図3】図1のA−A断面図である
【図4】図1の道路用発光標示体に用いられているレンズ部を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図であり、(ハ)は側面図である。
【図5】図4のレンズ部の断面を示す、(イ)は図4のA−A断面図であり、(ロ)は図4のB−B断面図である。
【図6】発光体からの光の放射の状態を示すレンズ部付近を拡大した図1の要部の縦断面図である。
【図7】発光体からの光の放射の状態を示すレンズ部付近を拡大した図1の要部の水平断面図である。
【図8】図1の道路用発光標示体の発光体の発光パターンの一形態を説明する図である。
【図9】本発明に係る道路用発光標示体の実施の他の一形態を示す図である。
【図10】本発明に係る道路用発光標示体の実施の他の一形態を示す要部の水平断面を示す図である。
【図11】図10の実施形態の要部の縦断面を示す図である。
【図12】図10のカバー体の表面を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態を図面に基づき具体的に説明する。
最初に図1〜3により、本発明の道路用発光標示体の全体的な構成について説明する。
図面において、1は本体である。
本実施形態の本体1はアルミニウムダイカスト等の金属で作製され、リング形状の上面部11と、この上面部11の外径より大きな内径のリング形状の下面部12と、前記上面部11の下面外縁と前記下面部12の上面内縁との間に架け渡されるように一体的に形成された複数本の傾斜柱部13、本形態では8本の傾斜柱部13から構成された円錐台形状に形成されている。
前記各傾斜柱部13は等間隔に配置されて本体部1の外周側面を形成しており、隣り合う8本の傾斜柱部13の間に開口する複数の窓部14、本形態では合計8個の窓部14が形成されるように設けられている。
また、上面部11の上面には、突起17が放射状に複数設けられている。突起17を設けることで、雨が降ったりして水がかかっても、本体1の上面に水やゴミが溜まり難く、外側に向けて流れ易く、さらに、すべり止めとしての利点がある。本実施形態の各突起17は、回転角5.6度刻みの放射状で高さ0.5mmにそれぞれ形成させているが、これに限るものではなく、その高さや角度、幅の大きさを変更させてもよく、他の形状に形成させてもよい。
また、本体1の上面を構成する前記上面部11は、そのリングの内側が開口して天窓部15が設けられている。
また本体1の下面を構成する下面部12の下面には、その開口するリングの内側部分を塞ぐようにアルミニウム合金などの金属で作製された底板2が取り付けられている。
【0016】
4は反射部材である。
反射部材4は、帯状の形状をした基材42に適宜間隔をおいてガラスビーズ製の反射器41が配設されている。
反射器41は入射光に対して平行に光を反射する再帰反射性が高く、かつ汚れにくく、劣化しにくいガラスビーズ製のものを用いるのが好ましいが、基材42の表面に反射テープなどを貼着してもよい。基材42の材質は、鉄鋼、ステンレス、アルミニウムなどの金属などを用いてもよいが、反射器41を埋め込み形成することを容易にするためにゴム、ウレタン系樹脂、エラストマーなどの弾性の高い合成樹脂を用いるのが好ましく、反射器41が外れにくくなるように、ポリエチレンやポリプロピレン等、ある程度高い硬度を有する熱可塑性合成樹脂を用いるのがより好ましい。
また、本実施形態の反射部材4は、反射器41を基材42の全長に亘って配設させており、反射器41の再帰反射性が反射部材4の全長に亘って得られるようになされている。
【0017】
本体1には、その上面部の外周側面に内側へ窪む溝部16が全周に亘って形成されている。
帯状の反射部材4は、前記溝部16に巻回されて本体1の上面部11に取り付けられており、より詳細には反射器41を含めて反射部材4が本体1の上面部11の縁より本体1の径方向内側に位置するように、溝部16内に収納されて取り付けられている。反射部材4は、溝部16に巻回させることで外れにくくなされると共に、上下方向への位置ずれを防ぐことができる。
また、反射器41を本体1の上面部11の縁より本体1の径方向内側に位置させることで反射器41が本体1の外側面より外側へ突出しないので、車両の車輪などが道路鋲を踏みつけたときに、車輪などが反射器41や基材42に直接接触しないので、反射部材の損傷や、汚染による再帰反射性の低下などが抑制される。
尚、帯状の反射部材4の構成は、反射器41と基材42を用いた本実施形態の構成に限るものではなく、帯状に形成させた反射テープをそのまま溝部16に貼着してもよく、他の形態のものを利用してもよい。
【0018】
3は透光体である。
透光体3は伏せた皿のように下方に開口する円錐台形状に形成されており、その上面部分には均一な肉厚に形成された円形の受光面部31が設けられると共に、この受光面部31の縁から外側斜め下方へ延設される傾斜側面部32が形成されている。
透光体3の外側形状は前記本体1の内側形状に対応した形状に形成させており、その傾斜側面部32の外側を前記本体1の上面部11、傾斜柱部13、下面部12の内側に当接させ、傾斜側面部32が前記窓部14より本体1の内側に位置するように、透光体3が本体1内に収納されて取り付けられている。
透光体3は硬質の透明ガラスやポリカーボネート、アクリル樹脂等の如き透光性を有する合成樹脂等から一般的に作製されるものである。
【0019】
また、透光体3の受光面部31には、その外周縁が下方に降る段部33が全周に亘って形成されている。この段部33より内側の受光面部31は、前記本体1の天窓部15に対応した形状に形成されており、前記段部33の上面を本体1の上面部11の下面に当接させ、段部33より内側の受光面部31を下方から天窓部15に挿入させて、透光体3が本体1に収納されて取り付けられている。
受光面部31が天窓部15に挿入され、段部33が上面部11に当接されて、透光体3が本体1に取り付けられるので、道路用発光標示体が車両の車輪などに踏みつけられたときに、受光面部31と天窓部15とが当接して、透光体3と本体1とが受けた力によって位置ずれするなどの問題が生じにくくなされている。
【0020】
透光体3の傾斜側面部32のリング形状の下面は前記底板2の上面に当接されて取り付けられている。この傾斜側面部32の下面には、上方へ窪む環状溝34が下面全体に亘って形成され、更にこの環状溝34にはパッキンPが嵌め込まれて取り付けられており、底板2と透光体3との隙間から透光体3の内側に水などが侵入することを防止している。
【0021】
5は発光部である。
本実施形態の発光部5は、太陽電池55と、この太陽電池55で生起させた電力を蓄える蓄電部53と、この蓄電部53の電力により発光する発光体51と、この発光体51への通電を制御する基板形状の制御装置54とを備え、これらはそれぞれ円盤形状の基板59に取り付けられたユニットに形成されている。この発光部5は前記底板2に固定されて前記透光体3の内側の中空部分に収納され、前記本体1に内装されている。
また前記発光部5は、太陽電池55が透光体3の受光面部31の下方に配置されるように取り付けられており、受光面部31を透過する上方からの太陽光を受光して電力を生起するように設けられている。
本実施形態の蓄電部53には、鉛蓄電池などの充電池や電気二重層コンデンサ等の充電装置を用いることができる。また、本実施形態の発光体51には、発光ダイオード、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、陰極管、エレクトロルミネッセンス、キセノンランプ等が適宜使用されるが、一般には指向性が強く且つ高輝度の発光ダイオードが好適に使用される。
【0022】
本実施形態の発光部5には、24個の発光体51が光軸を水平方向へ向けるように取り付けられている。具体的には、各発光体51は円盤形状の基板59上面から上方に突出するように設けられたホルダー58に取り付けられて、各発光体51が基板58の縁付近に車座状に配置されるように固定されており、各発光体51からの光が基板59の外側方向へそれぞれ放射状に発せられるように取り付けられている。
また、前記発光部5が本体1に内装された状態で、前記各発光体51は上下方向の高さが窓部14の略中央に位置するようにホルダー58に取り付けられて固定されている。
【0023】
また、前記発光部5には、センシング手段57が固定されている。
本実施形態のセンシング手段57は、夕方や夜間などの周囲が暗い場合において、前照灯が点灯された車両や自転車などの、発光する接近物などの光を受光するフォトトランジスタであり、前記制御装置54に接続されて対象の接近物を感知した際に、各発光体51による発光の開始や終了、若しくは各発光体51の組み合わせや点滅周期により表現される発光パターンの変更などを行うようになされている。
本実施形態のセンシング手段57は、その感知対象方向を水平方向に向けて前記ホルダー58に取り付けられており、より具体的には車座状に取り付けられた前記各発光体51の隣り合う2個の発光体51の間に配置されて、本形態では8個のセンシング手段が等間隔に車座状に取り付けられている。この各センシング手段57は、本体1に形成された8個の各窓部14から入射する光をそれぞれ感知するように設けられている。
【0024】
6はレンズ部である。
レンズ部6は、前記各発光体51の光を集光して放射するよう各発光体51の光放射方向側に車座状に配置されて、それぞれ底板2の上面に固定されている。
具体的には、本実施形態のレンズ部6の備えるレンズ61は横長形状に形成され、一つのレンズ61で複数個の発光体51、本形態では3個の発光体51の光が集光可能となされており、3個の発光体51を1組として構成される発光体グループ52の光放射方向側に1個のレンズ部6が配置されるように、8組の各発光体グループ52の光放射方向側にそれぞれ1個づつ合計8個のレンズ部6が固定されている。
【0025】
本実施形態の道路用発光標示体は、上面部11の下面外縁と下面部12の上面内縁との間に複数本の傾斜柱部13が架け渡されるように一体的に形成されており、前記各傾斜柱部13の下部から前記下面部12が外方へ突出するような円錐台形状に本体1が設けられている。このため、本実施形態の道路用発光標示体が車両の車輪に踏まれたときに、各傾斜柱部13などの傾斜している部位から受ける力は斜め下方向に向かい、道路用発光標示体と設置面との固定を外す横方向への力として働こうとするが、各傾斜柱部13の下部から外方へ突出する下面部12が備えられているため、前記の車輪の一部が下面部12の上面に接触することで、下面部12へ下向きの力が与えられ、道路用発光標示体を設置面へ押しつける力として働き、道路用発光標示体と設置面との固定が外れにくくなされる。
【0026】
図4は図1の道路用発光標示体に用いられているレンズ部を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図であり、(ハ)は側面図であり、図5は図4のレンズ部の断面を示す、(イ)は図4のA−A断面図であり、(ロ)は図4のB−B断面図である。
レンズ部6は長方形の板形状に形成された板部62と、この板部62の上部分に形成された横長のレンズ61から構成されている。
板部62は上下方向に立設する板形状に形成され、より詳細にはその中央部分が前方へ突出するように湾曲する板形状に形成されている。
レンズ61は、正面視からの形状が横長の長方形の左右両辺をそれぞれ横方向に至るほどアールを描いて中央に集束する半円形とした形状に形成されており、前記板部62の略上半分の範囲を占めるように設けられている。
【0027】
板部62に設けられたレンズ61は、板部62の前面より前方に突出して形成される前方レンズ面61aにより構成される前方部分と、同様に板部62の後面側に形成される後方レンズ面61bにより構成される後方部分とから構成されている。
図5(ロ)に示すように、レンズ61の上下の断面において、レンズ61の前方部分は板部62の前方に突出する円弧状の断面を有するように形成されており、このレンズ61の前方部分の円弧状の形状が前部レンズ面61aとして機能する。
また、レンズ61の後方部分は、前部レンズ面61aに対応する位置において、板部62の後面が前方に向けてくぼむように形成され、このくぼみ形状が後部レンズ面61bとして機能する。このとき、後部レンズ面61bは前部レンズ面61aより小さな曲率を有する円弧形状に形成されている。前部レンズ面61aと後部レンズ面61bとを上記のように形成させることで、レンズ61の上下断面形状は、レンズ面の中央が最も肉厚で、端部に至るほど肉薄となり、レンズ61が上下方向において凸レンズとして機能するようになされている。
【0028】
図6は発光体からの光の放射の状態を示すレンズ部付近を拡大した図1の要部の縦断面図である。
図6は発光体51から上下方向に放射される光線の状況を示しており、発光体51より光が発せられレンズ61を介さずに放射させる場合は、光軸付近の光L1はそのまま光K1〜K2の範囲へ直進して放射されるが、レンズ61の上下の断面を上記のように形成させることで、後部レンズ面61bと前部レンズ面61aとの曲率の大きさの差異によってレンズ61が上下方向に凸レンズとして機能するようになされて発光体51からの光L1が集光され、上下方向への放射範囲を狭められた光T1〜T2として前部レンズ面61aから放射される。
発光体51から上下方向へ放射される光L1をレンズ61によって集光させることで、光T1〜T2は光L1よりも明るい光として視認されるので、道路用発光標示体の視認性を向上させ、道路用発光標示体の遠方を通行する歩行者や運転者などから良好に視認できるようになされる。
また、光L1において、レンズ61を介さない場合には本体1の内側面に照射されて窓部14から外方へ放射されない光K1や光K2を、レンズ61によって集光させることでその光の向きをレンズ61の中央よりに変化させ、光T1、T2として窓部14から放射させることができるので、発光標示の効率を高めることができる。
【0029】
また、発光体51から発せられた光において、レンズ61より下方へ向けて発せられた光L3はレンズ部6の板部62を透過し、底板2に反射された反射光R3が窓部14から外方へ放射されて外部から視認されるようになされている。
反射光R3は、レンズ61によって集光させて水平方向へ視認性を高めた前記の光T1〜T2よりもその光の放射方向を上方向へ向けて放射されるので、道路用発光標示体から遠方を通行する歩行者や運転者などのみならず、道路用発光標示体の付近を通過する歩行者や自転車などの運転者からも良好に視認できるようになされている。
【0030】
更に、発光体51から発せられた光において、上方へ向けて発せられた光L4が、太陽電池55と、本体1の上面部11との間を通過して、透光体3の受光面部31を透過して天窓部15から外方へ放射されて、外部から視認されるようになされている。
この光L4は反射光R3と同様に、光T1〜T2よりも上方向へ向けて放射されることで、道路用発光標示体の付近を通過する歩行者や自転車などの運転者から良好に視認されるようになされている。
【0031】
図5(イ)に示すように、レンズ61の水平断面において、板部62の前面より前方に突出して形成されている前部レンズ面61aの形状は、中央が板部62と同様に湾曲し、その両端では端に至るほど前方への突出大きさが小さくなるように円弧を描いて板部62の側面又は前面に至るように形成されている。
また、前記前方レンズ面61aに対応する位置において、板部62の後面が前方へ向けてくぼむように形成された後部レンズ面61bの形状は、中央が板部62及び前部レンズ面61aと同様に湾曲し、その両端において端に至るほど前方へくぼむ大きさが小さくなるように円弧を描いて板部62の後面に至るように形成されている。
【0032】
前部レンズ面61aと後部レンズ面61bとの中央の湾曲部分は、同じ曲率で湾曲されており、レンズ61の水平方向にレンズ厚さが均一な部分が形成され、これが非横集光部65として機能する。
非横集光部65はレンズ61の水平方向の厚みが均一に形成されているため、光を水平方向へ集光するレンズとして機能しない。
【0033】
また、後部レンズ面61bの両端部分の円弧の曲率の大きさは、前部レンズ面61aの両端部分の円弧よりも小さく形成されている。
レンズ61の水平断面を上記のように形成させることで、前記非横集光部65の両端に形成された前部レンズ面61aと後部レンズ面61bとの円弧部分とが、図6に示すレンズ61と同様の集光効果を奏する横集光部66として機能する。この横集光部66へ、レンズ部61の後方に配置した発光体51からの光が入光するとこれを集光させ、水平方向への放射範囲を狭めて前部レンズ面61aより放射させる。
【0034】
図7は発光体からの光の放射の状態を示すレンズ部付近を拡大した図1の要部の水平断面図である。
本図においては、発光体51からの光が透光体3及び窓部14を通り外方へ放出される状況を示すため、透光体3及び傾斜柱部13を図2に追加して記載している。
前記の如く、3個1組の発光体51から構成される発光体グループ52の光放射方向側には1個のレンズ部6が配置固定されている。
各発光体51から発せられレンズ61の非横集光部65に入る光L5は、レンズ61によって水平方向への集光がなされず、その水平方向の光の向きと放射範囲とが変化していない光T5として、レンズ61から放射される。
光T5は、透光体3を透過する際にも同様にその光の向きと放射範囲を変えずに、窓部14を通って外方へ放射される。
【0035】
一方、発光体51から発せられレンズ61の横集光部66に入る光L6は、レンズ61によって水平方向へ集光されてその放射範囲を狭められ、その光の方向をレンズ61の水平方向中央よりに変化させた光T6として、レンズ61から放射される。
光T6は、窓部14を通って外方へ放射されるが、レンズ61に集光されることにより光L6より強い光となって放射される。
また、光L6において、レンズ61を介さない場合には、各レンズ部6の間に配置された本体1の傾斜柱部13の内側面に照射されて窓部14から外方へ放射されない光K6を、レンズ61によって集光させることでその光の向きをレンズ61の中央よりに変化させて、光T6として窓部14から放射させることができるので、発光表示の効率を高めることができる。
【0036】
前記のように、レンズ6を介して放射させる光は、その上下方向への放射範囲を狭くするように集光されてその明るさを大きなものにされると共に、非横集光部65を設けることで水平方向への集光を抑え、光の放射範囲の狭小化を抑制させている。
歩行者や車両の運転手などの標示対象者が通常の移動を行う場合、道路面に対する目の位置の高さが大きく変わることがないため、道路用発光標示体1から発する光線の上下方向の放射範囲を狭めても、その視認性を大きく損なうことがない。
また、反対に標示対象者は道路を通行するとともに水平方向へ移動するので、道路用発光標示体1から発する光は、視認される場所がより大きくなされるように水平方向へ広範囲に放射されるのが好ましく、本実施形態のレンズ61のように非横集光部65を備えることで、このような広範囲への放射を行うことができる。
【0037】
また、本実施形態の道路用発光標示体は、発光体51からの光を外方へ放射させる複数個の窓部14が、本体1の外周側面の全周に亘って並設されているので、周囲のあらゆる方向からでも窓部14から放射される前記発光体51からの光を視認できる。本実施形態の本体1は各窓部14を各傾斜柱部13の間に設けると共に、各窓部14の横幅の大きさを各傾斜柱部13の横幅の4倍以上に形成させており、道路用発光標示体の周囲からの視認性を非常に高いものとしている。
また、本実施形態の道路用発光標示体は、各窓部14からの発光標示に加えて、本体1の上面部11の全周に亘って取り付けた反射部材4における光の再帰反射による標示を行うことができる。
前記発光体51からの光と共に、前記反射部材4に再帰反射された車両のヘッドライト光などがドライバーに視認され、2種類の光が同時に視認されることによる誘目性の高い標示を周囲のあらゆる方向へ行うことができる。
【0038】
図8は図1の道路用発光標示体の発光体の発光パターンの一形態を説明する図である。
本発明の発光部5は、制御装置54により各発光体51への通電が制御されて、種々の発光パターンによる発光標示を表現できるように構成されている。
図8において、★印を付した発光体51が発光しているものであり、1個のレンズ部6の内側に取り付けられた3個1組の発光体グループ52単位で流れ発光している状態を示している。
具体的には、最初に(イ)に示す発光体グループ52が点滅し、続いて(ロ)に示すようにこの発光体グループ52の右回りに隣接する発光体グループ52が点滅し、更に続いて(ハ)に示すように更にその右回りに隣接する発光体グループ52が点滅する、というように順次右回りに隣接する発光体グループ52が点滅発光することで、光が右回りに流れ発光するように視認されるようになされている。
【0039】
上記の実施形態の発光パターンは、レンズ6の配置にあわせた3個1組の発光体グループ52単位で点滅発光させているが、これに限るものではなく、1個の発光体51単位で流れ発光させてもよいし、2個1組又は4個以上の発光体51を1組として流れ発光させてもよい。
また、本実施形態の道路用発光標示体による発光パターンは上記のような流れ発光に限るものではなく、全ての発光体51を同時に点滅させるなどの発光パターンで発光させてもよい。
【0040】
また、上記の発光パターンを状況に応じて切り替えるようにしてもよく、発光部5に設けたセンシング手段57が対象の接近物を感知した際に、制御装置54によって各発光体51の発光パターンの種類や、周期などが変更されるように構成させてもよい。
【0041】
図9は本発明に係る道路用発光標示体の実施の他の一形態を示す図である。
本実施形態の道路用発光標示体は、発光部5に16個の発光体51が車座状に取り付けられ、各発光体51が2個1組の発光体グループ52を構成している点が図1〜8に示される実施形態と異なる事項である。
本発明に係る道路用発光標示体は、設置場所や目的に応じて、発光体51や発光体グループ52の個数や組み合わせを適宜調整して構成させてもよいが、図1や図9に示すように本体1から外方へ放射状に光を放射させる発光体グループ52を8組若しくはそれ以上設けることで、周囲のあらゆる方向から発光表示がよく視認されるようになされるので、好ましい。
【0042】
図10は本発明に係る道路用発光標示体の実施の他の一形態を示す要部の水平断面を示す図であり、図11は図10の実施形態の要部の縦断面を示す図である。
本実施形態は、透光体3の内側面にカバー体7が取り付けられている点が図1に示した実施形態と異なる事項であり、具体的には、透光性を有するシート状のカバー体7が8個の前記窓部14をそれぞれ内側から覆うように合計8枚取り付けられている。
このカバー体7は裏面から入射した光を拡散させて表面から出射させるようになされており、各発光体51からの光を拡散させて前記窓部14から放射させるようになされている。
前記のようにカバー体7を取り付けることで、前記発光体51からの光が前記カバー体7により拡散されて、本体1の外側からは前記窓部14の全範囲が面発光しているように視認され、より大きな面積の発光によって視認性が高められるようになされる。
【0043】
図12は図10のカバー体の表面を示す拡大図である。
本実施形態のカバー体7は、透光性を有する再帰反射性シートを用いており、より具体的にはシート内部にキューブコーナープリズムのプリズム素子を形成させたプリズム型の再帰反射性シートを用いている。
本実施形態のカバー体7には、プリズム素子を形成させた再帰反射領域71と、その周囲に設けられた再帰反射性を有しない隙間領域72とが、全体に均一に設けられている。具体的には、上下方向及び左右方向へ規則的に多数並設された菱形形状の再帰反射領域71の間に、隙間領域72が網目模様を形成するように設けられている。
【0044】
前記再帰反射領域71がカバー体7全体に均一に形成されることで、本体1の外方から照射された光が再帰反射性領域71で反射されて、カバー体7全体で光源の方向へ再帰反射させるので、反射部材4による再帰反射光とあわせて、ヘッドライトを点灯させた車両のドライバーなどからの視認性が良好なものとなされる。
【0045】
また、前記隙間領域72は乳白色の半透明に設けられており、裏面側から入射した光を拡散させて表面側へ透過させるように設けられている。このように設けられた隙間領域72がカバー体7全体に均一に形成されることで、発光体51によるカバー体7の発光を均一な面発光にすることができる。
【0046】
また、本実施形態のカバー体7は、透光性を有する再帰反射性シートで形成させているが、これに限るものではなく、射出成形などによって形成させたシート状以外の再帰反射体等を用いてもよい。カバー体7に前記の如き隙間領域72を設けることで、発光体51の光を拡散させて透過させることができ、その視認性を向上させることができる。
【0047】
また、本実施形態の道路用発光標示体において、8個の前記窓部14をそれぞれ覆うカバー体7の一部を光の再帰反射性を有する非透光性のものとし、この非透光性のカバー体を設けた窓部14に配置されたレンズ部6や発光体51を取り外すように設けてもよい。
このような構成とすることで、一部の方向へ対する発光体51による発光表示の必要が無い場合に、発光する発光体51の数量を削減して蓄電部53の蓄電量の低減を抑制させると共に、カバー体の有する再帰反射性によってその視認性を確保できる。
【符号の説明】
【0048】
1 本体
11 上面部
12 下面部
13 傾斜柱部
14 窓部
15 天窓部
16 溝部
2 底板
3 透光体
31 受光面部
32 傾斜側面部
33 段部
34 環状溝
4 反射部材
41 反射器
42 基材
5 発光部
51 発光体
52 発光グループ
53 蓄電部
54 制御装置
55 太陽電池
57 センシング手段
58 ホルダー
59 基板
6 レンズ部
61 レンズ
61a 前部レンズ面
61b 後部レンズ面
62 板部
65 非横集光部
66 横集光部
7 カバー体
71 再帰反射領域
72 隙間領域
P パッキン
L1〜L6 光
K1〜K6 光
T1〜T6 光
R3 反射光
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光体と、該各発光体の通電を制御する制御装置と、前記各発光体からの光を透過させて外部に放射させる透光体と、該透光体と前記各発光体と前記制御装置とを内装させる本体を備えた道路用発光標示体であって、
前記本体は路面上に設置されて上方に突出する円錐台形状に形成され、前記本体の外周側面には窓部が周方向に沿って全周に亘り複数並設されており、
前記透光体は前記窓部の内側に取り付けられて、前記発光体からの光を透過させて前記窓部を通して外部に放射可能に設けられていることを特徴とする道路用発光標示体。
【請求項2】
前記本体の外周側面には周方向に沿う溝部が全周に亘り形成され、該溝部には光の再帰反射性を備えた反射部材が全周に亘り取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の道路用発光標示体。
【請求項3】
前記複数の発光体において、1又は隣り合う2以上の発光体から構成される発光グループが複数設けられ、該各発光体グループには発光体から発せられる光を集光させて放射させるレンズ部がそれぞれ備えられており、
上下方向には肉厚を変化させて凸レンズとしての形態を備えると共に、水平方向には肉厚が一定でレンズとしての形態を備えていない横非集光部が前記各レンズ部にそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の道路用発光標示体。
【請求項4】
前記各レンズ部には、前記横非集光部の水平方向両端に水平方向に肉厚を変化させて凸レンズとしての形態を備える横集光部がそれぞれ形成されると共に、一つの前記窓部から一つの前記発光体グループの光が放射されるようになされたことを特徴とする請求項3に記載の道路用発光標示体。
【請求項5】
前記本体内には、前記窓部を内側から覆うカバー体が取り付けられ、
前記窓部を通る前記発光体からの光が前記カバー体を透過するようになされると共に、
前記カバー体は裏面から入射した光を拡散させて前記窓部へ透過させるようになされていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の道路用発光標示体。
【請求項6】
前記カバー体は多数の再帰反射領域と、
該各再帰反射領域の周囲に設けられた再帰反射性を有しない隙間領域とを備え、
前記隙間領域は裏面から入射した光を拡散させて透過させるようになされており、
前記発光体からの光を前記カバー体の裏面側から隙間領域を透過させて前記窓部へ放射させると共に、
前記本体の外方からの光を前記再帰反射領域にて再帰反射させるようになされていることを特徴とする請求項5に記載の道路用発光標示体。
【請求項1】
複数の発光体と、該各発光体の通電を制御する制御装置と、前記各発光体からの光を透過させて外部に放射させる透光体と、該透光体と前記各発光体と前記制御装置とを内装させる本体を備えた道路用発光標示体であって、
前記本体は路面上に設置されて上方に突出する円錐台形状に形成され、前記本体の外周側面には窓部が周方向に沿って全周に亘り複数並設されており、
前記透光体は前記窓部の内側に取り付けられて、前記発光体からの光を透過させて前記窓部を通して外部に放射可能に設けられていることを特徴とする道路用発光標示体。
【請求項2】
前記本体の外周側面には周方向に沿う溝部が全周に亘り形成され、該溝部には光の再帰反射性を備えた反射部材が全周に亘り取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の道路用発光標示体。
【請求項3】
前記複数の発光体において、1又は隣り合う2以上の発光体から構成される発光グループが複数設けられ、該各発光体グループには発光体から発せられる光を集光させて放射させるレンズ部がそれぞれ備えられており、
上下方向には肉厚を変化させて凸レンズとしての形態を備えると共に、水平方向には肉厚が一定でレンズとしての形態を備えていない横非集光部が前記各レンズ部にそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の道路用発光標示体。
【請求項4】
前記各レンズ部には、前記横非集光部の水平方向両端に水平方向に肉厚を変化させて凸レンズとしての形態を備える横集光部がそれぞれ形成されると共に、一つの前記窓部から一つの前記発光体グループの光が放射されるようになされたことを特徴とする請求項3に記載の道路用発光標示体。
【請求項5】
前記本体内には、前記窓部を内側から覆うカバー体が取り付けられ、
前記窓部を通る前記発光体からの光が前記カバー体を透過するようになされると共に、
前記カバー体は裏面から入射した光を拡散させて前記窓部へ透過させるようになされていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の道路用発光標示体。
【請求項6】
前記カバー体は多数の再帰反射領域と、
該各再帰反射領域の周囲に設けられた再帰反射性を有しない隙間領域とを備え、
前記隙間領域は裏面から入射した光を拡散させて透過させるようになされており、
前記発光体からの光を前記カバー体の裏面側から隙間領域を透過させて前記窓部へ放射させると共に、
前記本体の外方からの光を前記再帰反射領域にて再帰反射させるようになされていることを特徴とする請求項5に記載の道路用発光標示体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−26160(P2012−26160A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−165744(P2010−165744)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】
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