説明

道路網グラフをモデル化する方法、装置及びシステム

複数の車両から少なくとも位置データを含む情報データを受け取る段階と、前記受け取ったデータにしたがって道路網グラフをモデル化する段階とを有する、前記道路網グラフをモデル化する方法、装置及びシステムが提供される。前記情報データは、少なくとも、位置データを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道、街路、及び他の交通関連の接続についての単一の地形構造(topographic structure)(それぞれ、形状(shape)、プロファイル(profile)または輪郭(contour))を示す道路網グラフ(road network graph)のモデル化(または、生成、整形または適応化)の分野に関する。さらに、そのようなグラフをモデル化する方法を効率よく実施するのに適したサーバ装置及びシステムが提供される。
【背景技術】
【0002】
最近の20〜30年間における、程度の差はあるが絶え間ない車両の増加に伴い、今日、特に中国、ロシア及びブラジルのような発展し急成長している国々では、運転手に対して正確な経路及び交通ナビゲーションを提供し、かつ、絶えず増加する交通量への対処を支援するデータを道路システムの立案者に提供することについての要求もある。
【0003】
これら両方の課題に対処するために、今日、世界中で導入されているいくつかの高度なシステムがある。先進国は、最近の2〜3年間のうちに、それらの国々での道路システムのデジタル化されたモデルを作成し終えたたので、運転手が自分の道を見つけることが可能になった。このシステムは、今日、車両ナビゲーションとして知られている。これらのシステムは、通常は道路システムの運用者によって得られて放送または類似の技術(RDS等)を使用してナビゲーション装置を装備した車両に送られるリアルタイム交通データを提供するシステムによって、ときどき補完されている。
【0004】
これらのシステムはすべて、(GPSのような最新の手法を使用する)測地学的な手段を用いる、データの退屈な収集及び検証を必要とする。さらに、交通状況についてのデータを得るためには、車両バイパス認識装置(vehicle by-pass recognition device)(いわゆる、ループ(loop)、マイクロ波カーテン、カメラ及び類似のもの)の設置、異常な出来事についての運転手自身による報告、及び、特別な車両、航空機またはヘリコプタによる監視が必要である。リアルタイムデータが関係している場合、後者の対策はほぼ避けられないが、一方、それは道路システムの立案者にとってはあまり有用なデータではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、現状技術の欠陥を克服する、道路網グラフをモデル化する方法、装置及びシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、添付の独立形式請求項で定義された事項により解決される。
【0007】
本発明の第1の様相によれば、好ましくは少なくとも1つのモデル化(modeling)サーバ上で実行される、道路網グラフをモデル化する方法が提供される。前記モデル化の方法は、前記グラフを計算する方法、前記グラフを(好ましくは自動的に)プロファイル化する方法、前記グラフを(好ましくは自動的に)更新する方法、及び前記グラフを検証する方法を包含してもよい。前記方法は複数の車両から情報を受け取るステップと、前記受け取ったデータにしたがって前記道路網グラフをモデル化するステップと、を少なくとも含む。情報は位置データ、好ましくは前記複数の車両の測量学的位置データを含む。それによって、道路網グラフの効率的な更新が、信頼性があり経済的な方法で達成される。
【0008】
さらに、前記グラフを計算する方法は、道路網の幾何学的配置(位置データ)、トポロジー(接続データ)、及び統計量(交通量、平均速度等)の自動計算を含んでいてもよい。それによって、ナビゲーションシステム内及び交通制御/計画装置内で使用するための詳細な交通データ及び統計量を得ることができる。
【0009】
さらに、前記グラフを計算する方法は、システム(前記情報)に含まれる車両からの測定値、または他の情報源(政府機関、地図制作または道路工事会社、航空写真または他の画像の認識等)からのグラフ網情報を使用してもよい。この場合、それは基本的にグラフの統合(merging)である。それによって、いくつかの情報源からの情報を統合することができる。
【0010】
さらに、プロファイル化の方法は、前記情報に応じて、道路及びジャンクション(結合点)の抽象的な表現の(好ましくは自動的な)ステップと、それらのパラメータを設定するステップとで構成されてもよい。それによって、グラフは完成し、他の(より抽象的な)グラフ表現に変換することができる。
【0011】
さらに、前記情報データも例えば第三者から得られてもよい。これは、例えば街路名または制限速度のように、前記複数の車両(検証車両は含まれていない)がそれらを測定するように装備されていない種類の情報の種類に対して特に有効である。それによって、他の情報源が得られる。
【0012】
前記グラフを更新する方法は、実質的に、それをプロファイル化する方法に相当する。1つの基本的な違いは、グラフの著しい変化を報告することと、新しい小区間(サブセクション)に対するグラフ計算のステップとである。
【0013】
検証方法は、道路網を行き来し、前記道路網グラフとの不一致を探し、それに関する付加的情報を提供する、特別に装備された検証車両によっても行われるグラフの検査で構成されてもよい。以前に提供された道路網グラフを使用することにより、検証のあるプロセス内で最適化ステップが実行されてもよい。前記最適化は、検証車両の経路を最適化することであってもよい。それによって、道路網グラフを照合(cross-checking)し検証するさらなる手段が提供される。
【0014】
本発明の他の実施態様によれば、前記モデル化は、前記データについて行われる曲線、弧、多項式などを処理する数学的手法に基づいている。それによって、前記モデル化は、前記数学的手法の使用によりコンピュータシステム内で実行することができる。すなわち、例えば、異なるデータを同一の方法で処理することができ、それによって、例えば再現可能な結果を達成できる。
【0015】
本発明の他の実施態様によれば、前記モデル化は、前記データに対して行われたベジェ(Bezier)曲線手法に基づいている。ベジェ曲線を使用することによって実用的な実施形態において到達した好都合な手法であるので、ベジェ曲線が使用されることが好ましい。
【0016】
本発明の他の実施太陽によれば、前記情報データは、車種、車速、加速度などから構成されてもよい。好都合に、前記データは、前記道路グラフの改善されたモデル化を可能にする、(上述した)付加的情報を含んでいてもよい。前記付加的パラメータによって、例えば、特殊な自動車のある挙動(運転方法)を調べるのが容易になる。
【0017】
本発明の他の実施態様によれば、前記受け取った情報データは、複数の車両からの少なくとも1つの車両の移動経路を表す。各移動経路は、好ましくは、ベジェ曲線によって記述される。前記ベジェ曲線は、(特別の車のある経路に対応する)前記移動経路を適切で正確に示すことを可能にする。有利な実施態様によれば、前記少なくとも1つの車両に関連付けられた移動経路の平均化することを提供することができる。平均化により、移動経路の正確な表現を達成することができる。主移動経路は複数の移動経路に基づいて計算され、改善されたモデルを提供する。前記複数の移動経路は、ある1つの車両または異なる複数の車両からさえ発生してもよい。
【0018】
本発明の他の実施態様によれば、前記受け取った情報データに基づいて前記道路網グラフの第1近似を計算することと、前記第1近似内で道路及びジャンクションをプロファイル化してプロファイル化された道路網グラフを発生することと、前記プロファイル化された網の検証を行うこととが提供される。上述のステップは、前記道路網グラフの結果として生じる表現を向上させる。前記第1近似は、第1の手法として使用され、次のステップが閉ループに対応して反復して行われてもよい、すなわち、前記ループは本発明に基づく有利な実行に対応する。
【0019】
本発明の他の実施態様によれば、前記計算はベジェ曲線手法に基づいている。前記計算は、正確で詳細な結果を与えるベジェ曲線に基づいているのが好ましい。
【0020】
本発明の他の実施態様によれば、前記受け取った情報データに基づいて既存の道路網グラフの変化を検出することと、前記変化を保存することと、前記変化を前記既存の道路網グラフに導入することとが提供される。それによって、既存の道路網における変化が検出され、本発明によれば、この方法は、例えば既にモデル化または計算されていたグラフに基づいて、変化を導入する。
【0021】
本発明の他の実施態様によれば、前記導入することは統計情報に基づいている。前記統計情報は、一般に、例えば、週の時間、移動する車両を使用してまたは他の種類の車両を使用して位置AからBへ到達するのに要した時間などに応じた、前記移動する車両の平均速度のような交通情報に対応する。前記統計情報として、他の交通状況を使用することもできる。統計情報データとして、ある運転手の振る舞いすら使用することも考えられる。例えば、タクシーの運転手のような専門の運転手は、日々の運行中、点AからBへ到着したい普通の運転手とは異なる振る舞いをするだろう。
【0022】
さらに、前記統計情報は、測定車両などによる収集/採集プロセスによって提供されると考えられる。
【0023】
本発明の他の実施態様によれば、前記網グラフに関連する情報を前記複数の車両の少なくとも1つの車両に送信することが提供される。それによって、車両の遠隔ナビゲーションを提供することができる。すなわち、旅行を遠隔から制御できるように、前記車両の運転手はサーバから航法データを受信する。好都合に、モデル化された道路網グラフに関連する実際の情報は、運転手に伝えられ、例えば経済的な運転行動を可能にする。道路網グラフは自動的に及び/または定期的に適応化されるので、車両の運転手は、例えば道路特性に関する実際の情報を常に受け取るだろう。
【0024】
本発明の他の実施態様によれば、プロファイル化された道路網グラフは、その道路を対象としてその道路の走行された時刻の情報を含んでいる。有利なことに、前記時刻は、例えばナビゲーション問題のためにさらに使用される。前記タイミングデータに基づいた道路計画も実現することができる。
【0025】
本発明の他の実施態様によれば、前記複数の車両からの前記情報は、曲線、弧、多項式などを処理する数学的手法を使用して、圧縮することができる。前記圧縮技術によって、保存及び/または処理されるべきデータ量を減らすことができる。有利な実施態様によれば、移動経路はベジェ曲線によって記述することができる。
【0026】
本発明の他の実施態様によれば、前記情報データの圧縮ステップを前記モデル化エンティティ内及び/または前記複数の車両内で選択的に実行することが提供される。それによって、圧縮を車両側で実現することができ、それは、サーバエンティティを解放できること、すなわち節約された計算能力を他の問題に使用できることを意味している。
【0027】
本発明の他の実施態様によれば、前記情報データを保存することが提供される。それによって、ある興味のあるデータの将来の利用が確保される。
【0028】
本発明の他の実施態様によれば、前記計算は、固定小数点値を正確に算出するデジタル計算手法に基づいている。それによって、前記計算は、固定小数点アーキテクチャに基づいたエンティティ上で提供することができる。
【0029】
本発明の他の実施態様によれば、前記情報データは測定データを含み、さらに、所定のしきい値に応じて前記測定データの正規化ステップが提供される。前記正規化ステップを実行することによってデータは所与のしきい値に応じて示され、それは、例えば、処理及び/または表示を向上させる。それは、固定小数点アーキテクチャに基づいたエンティティに適用することもでき、そのため計算誤差が減少する。
【0030】
本発明の他の実施態様によれば、前記保存は、圧縮アルゴリズム、ハッシュ化(hashing)アルゴリズム、暗号アルゴリズムなどの実行の後に行われる。それによって、安全な圧縮されたデータストリングが達成される。
【0031】
したがって、各ログ(log)は、車上(on-board)装置が必要な情報をすべて決定した後に送信される。
【0032】
本発明の他の実施態様によれば、マルチパス現象/効果の存在有無の検出が提供され、検出された場合、前記計算ステップの間に前記受け取った情報に対してより少ない重みが割り当てられてもよい。それによって、例えば、マルチパス効果により歪められたデータが前記計算ステップの間により少ない重みを得ることが確保される。
【0033】
本発明の他の実施態様によれば、前記複数の車両内の位置情報提供エンティティによる道路寸法の測定が提供される。それによって、移動経路の形状に対応する道路軸の特徴付け(characterization)が提供される。さらに、前記道路軸の詳細な寸法記入が街路(道路)等の幅に対応して提供される。
【0034】
本発明の他の実施態様によれば、前記エンティティは車両内のGPSトランシーバである。しかしながら、前記トランシーバは、装備をされた適切な車両の位置データを受信及び/または送信するように適合されている。
【0035】
本発明の他の実施態様によれば、道路網の幾何学的配置(ジオメトリ)、トポロジー及び統計量を自動的な形態で計算することが提供される。前記計算は、例えば周期的なアルゴリズムによって、自動的に行われる。
【0036】
本発明の他の実施態様によれば、前記情報データの使用することによる道路網グラフの自動的なプロファイル化が可能になる。
【0037】
本発明の他の実施態様によれば、前記情報データの使用することによる道路網グラフの自動更新も可能になる。
【0038】
前記自動的なプロファイル化及び/または更新も、例えば時間ベースで繰り返される周期的なアルゴリズムに基づいてもよい。
【0039】
本発明の別の様相によれば、コンピュータプログラム製品がプロセッサベースの装置、コンピュータ、端末、ネットワーク装置、携帯端末、または移動通信可能な端末上で実行されるとき、本発明の任意の前述の実施態様による方法の動作を実行する、機械読み取り可能な媒体に保存されたプログラムコード部を有するコンピュータプログラム製品が提供される。
【0040】
本発明の別の様相によれば、コンピュータプログラム製品がプロセッサベースの装置、コンピュータ、端末、ネットワーク装置、携帯端末、または移動通信可能な端末上で実行されるとき、本発明の実施形態による前述の方法の動作を実行する、機械読み取り可能な媒体に保存されたプログラムコード部を有するコンピュータプログラム製品が提供される。
【0041】
本発明の別の様相によれば、ソフトウェアツールが提供される。前記ソフトウェアツールは、ソフトウェアツールがコンピュータプログラムに実装及び/または実行されるときに前述の方法の動作を実行するプログラム部分を有する。
【0042】
本発明の別の様相によれば、搬送波に具現化され、プロセッサによって実行されるときに本発明の前述の実施態様による方法の動作を実行させる命令を表すコンピュータデータ信号が提供される。
【0043】
本発明のさらなる他の様相によれば、道路網グラフをモデル化するサーバ装置が提供される。前記サーバ装置は、複数の車両から位置データを含む情報データを受信する要素部分(component)と、前記受け取ったデータにしたがって道路網グラフをモデル化する要素部分とを少なくとも有する。
【0044】
本発明のさらなる他の実施形態によれば、前記サーバは、前記道路網グラフの第1近似を計算する要素部分と、前記第1近似内で道路及びジャンクションをプロファイル化してプロファイル化された道路網グラフを発生する要素部分と、前記プロファイル化された道路網の検証を行う要素部分と、をさらに含む。それによって、プロファイル化された網グラフ内の要素はすべて、前記複数の車両から生じたデータに基づいて更新される。これは、要素はすべて、車両データに基づいた付加の属性を受信することを意味している。前記プロファイル化操作も、前記網要素の更新を確実に確保するために、定期的に行われてもよい。さらに、プロファイル化操作に使用できるいくつかの属性は、例えば政府のデータベースなどの他の既存のデータベースや、道路工事会社などから収集されてもよい。前記属性に対応するデータは、プロファイル化(及びさらにモデル化)のステップ内でのさらなる利用のために、手動及び/または自動的に挿入することができる。なお、収集された情報はすべて保存され、さらにいつでも利用できることに留意するべきである。
【0045】
本発明のさらなる他の実施態様によれば、前記サーバは、前記受け取った情報に基づいて前記道路網グラフの変化を検出する要素部分と、前記変化を評価する要素部分と、前記変化を前記道路網グラフに含ませる要素部分と、をさらに有する。
【0046】
本発明のさらなる他の実施態様によれば、前記サーバは、前記受け取った情報に基づいて前記道路網グラフを解析する要素部分と、第三者に解析結果を報告する要素部分と、をさらに有する。
【0047】
本発明のさらなる他の実施態様によれば、前記サーバは、前記情報の圧縮ステップを前記モデル化エンティティ内及び/または前記複数の車両内で選択的に実行する要素部分をさらに有する。
【0048】
本発明のさらなる他の実施態様によれば、前記サーバは、前記情報を保存する要素部分をさらに有する。
【0049】
本発明のさらなる他の実施態様によれば、前記サーバは、マルチパス現象/効果の存在有無を検出する要素部分と、前記受け取った情報に対してより少ない重みを割り当てる要素部分と、をさらに有する。
【0050】
本発明のさらなる他の実施態様によれば、前記サーバは、前記複数の車両内の位置情報提供エンティティによって道路寸法を測定する要素部分をさらに有する。
【0051】
本発明のさらなる他の実施態様によれば、前記受け取った情報は、各移動経路が例えばベジェ曲線によって記述される、前記複数の車両からの少なくとも1つの車両の移動経路を表し、前記サーバは、前記少なくとも1つの車両に関連付けられた移動経路を平均化する要素部分をさらに有する。
【0052】
本発明のさらなる他の様相によれば、道路網グラフをモデル化するシステムが提供され、前記システムは、複数のサーバ装置と複数の情報データ提供車両とを有する。
【0053】
さらに、本発明の好ましい実施態様によれば、ベジェ曲線が前記道路網グラフ1をモデル化するのに使用されてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
添付の図面は、本発明についてさらなる理解を与えるために含まれ、組み込まれており、本明細書の一部を構成する。図面は本発明の実施形態を例示し、その説明とともに本発明の原理について説明する役割を果たすものである。
【0055】
詳細な説明及び添付の図面の全体にわたって、同一または類似の要素部分(コンポーネント)、ユニットまたは装置は、明快さを目的として、同一の参照番号によって参照される。
【0056】
以下の説明は、道路網のデジタルモデル、好ましくはベクトル化(すなわち曲線で記述された)モデルの生成及び検証、道路網のデジタルモデルの効率的な更新、デジタル道路網のプロファイル化(profiling)(属性の設定)を提供する、本発明に基づくシステムを紹介する。上記の課題を達成するために、このシステムは、位置データ及び他のデータをサーバに送信する位置受信機(GPS、GALILEOまたは類似のもの)を装備した多数の車両から受信した、保存された経路データを利用する。
【0057】
これらの受信機は、移動した経路についての保存データをある時間で程度の差はあるものの頻繁に送信する無線データ送信機も装備しているのが好ましく、他のオプションによれば、受信機からのデータは手動で読み出され、後で中央記憶装置に転送される。
【0058】
経路について正確に記述しているデータ量は非常に大きい。このため、データを(通信費用を低くするために)市内局(central local)に送信する前か、またはそれを保存する前かのいずれかにおいて、特別のデータ圧縮が必要である。データはすべて、1つまたは複数のリモート(遠隔)サーバに保存されてもよく、特別のソフトウェアツールを使用して、利用可能なすべてのデータを組み合わせ、解析すべき地理的領域に対応する所望のデータ集合とすることもできる。
【0059】
図1は、データフロー図に基づいて本発明の原理を概略的に示している。本発明に基づく動作シーケンスは任意の手段によって開始することができる。この始動動作は、ユーザ入力などによって自動的に与えられてもよい。動作シーケンスは、新しいデータが受信または特定されるとそれぞれ起動または開始されると考えられる。
【0060】
次の動作ステップ100において、データの受信がなされるが、前記データの受信は、連続的にまたは定期的に繰り返されるプロセスであってもよい。この動作は、以下で説明するデータ取得に対応している。次の動作ステップにおいて、前記道路網グラフがステップ150においてモデル化される。すべてのモデル化計算及びモデル化操作は、下記に説明するように、ベジェ曲線に基づいていてもよい。この方法は、モデル化ステップ及び計算ステップがすべて終了後、ENDで終了してもよいし、図1に基づく新しい動作に対応して再開されてもよい。
【0061】
モデル化ステップ150は、システム内の他のエンティティから付加的情報を受信することも考えられる。これは、例えば新しい反復などを外部プロセスまたは外部操作によって、またはユーザ入力によってでも、制御できることを意味している。前記複数の車両からの情報に対応する付加のパラメータを受信しながら、所望の結果が達成されるまでモデル化ステップ150を再開してもよい。
【0062】
図2A〜2Cを参照すると、システムは以下のように動作してもよい。一般に、3つの基本的プロセスがある。第1のプロセス(図2A)は、道路網グラフの第1の結果を与える初期計算である。
【0063】
第2のプロセス(図2B)は、周期的に、例えば月に一度繰り返すことができる。これは、システムに対して道路網システムにおける変更の定期的な更新を提供する。前記変更は、道路網の大きさ(幾何学的配置及び/またはトポロジー)の変更またはその統計量(属性)の変更のいずれかに対応してもよい。更新問題に使用される他の変更が、本発明の範囲の内で組み込まれていてもよい。
【0064】
第3のプロセス(図2C)では、絶えず現在の交通状況を解析している。特別な状況が(高い統計的確率で)検出されると、システムは、それを適切な受信者(交通管制センター、警察など)に報告する。
【0065】
図2Aを参照すると、道路網グラフの最初計算を表すプロセスが示されている。第1の動作ステップでは、データ収集200がなされる。これは、例えば複数の適切な装備をされた車両が中央のサーバに対して位置情報を配信/送信することを意味している。この送信は、周期的に、または手動でさえ行われると考えられる。これは、例えば前記車両の記憶装置に現在保存されている収集されたデータが、どうにかして、たとえば前記センターサーバまたはプロバイダに送信されなければならないことを意味している。次の動作ステップ210において、前記道路網の第1近似の計算を行うことができ、ここでこの近似は最初の道路網グラフに対応している。位置情報の第1の集合に基づいて、グラフの近似化の第1の計算が行われてもよい。この第1近似は、道路網の仮の表現に対応しており、当然、修正または改訂される必要がある。次に、道路及び/またはジャンクションのプロファイル化310が行われる。このステップの間、道路の方向及び/またはジャンクションの種類のようないくつかのパラメータ、及び平均速度のような他の属性、例えば(それぞれある接続または距離を移動するのに必要な)時間などが付加されてもよく、それはステップ215にしたがって検証することができる。検証ステップ215は、第1近似の第1の検証を与え、次に前記グラフは絶え間なく強化及び/または拡張することができる。ステップ215とステップ225の間の主な差異は、ステップ215はグラフ全体について行われるのが好ましいが、一方、ステップ225は、単に、ある検出された/特定された変更についてのみ行われるということにある。
【0066】
図2Bを参照すると、前記第1近似の更新及び実現化が原理的に示されている。データ収集ステップは、図2Aによる前述のステップに類似している。適切に装備された車両は、他のデータの中でとりわけ位置情報を絶え間なく配信する。前記データは、車種、運転手などに関する情報を含んでいてもよい。次のステップ220において、既存のグラフに含まれる既存のデータと新しく受信したデータとの間の比較がなされてもよい。その結果、変更のリストまたは新しい道路などさえも示されるので、この方法は、前記第1近似を実現することができる。前記実現化ステップを図2Bの操作ステップ225を参照して示すが、前記変更は、例えば既存の道路の削除、または新しい道路の追加、またはそれどころかその属性(例えば速度、時間、交通規則等)の追加のようなグラフ構造の変更を含んでいてもよい。
【0067】
なお、ステップ220(図2B)に対する入力は、図2A(または他のあるグラフ)に基づく動作シーケンスの結果、または将来における図2B及び付加的に図2Cによるシーケンスの出力のいずれかであることに、留意するべきである。
【0068】
図2Cは、交通状況のリアルタイム解析が与えられさらに報告される本発明による動作シーケンスを示している。既に前に述べたように、データ収集200は絶え間なく行われ、本発明に基づくシステムは、既存の交通データを解析することができる。この解析230は、確率的な及び/または予測的な交通監視動作に出会うように確率論に基づいていてもよい。本発明によれば、この解析230の結果は第三者にさらに報告されてもよい。この第三者は、中央交通監視機関に相当してもよく、それどころた車両または運転手にそれぞれ相当してもよい。本発明の範囲内で多くの考えられる構成がある。
【0069】
次に、データ取得またはデータ収集の対象を詳細に説明する。前記複数の車両から車両内に設置された装置(車上装置)は、例えばGPS信号(それはガリレオ(Galileo)のような他の類似のシステムでもありえる)及び多分いくつかの推測航法(dead-rockoning)装置(例えばジャイロスコープ)を使用して、毎秒、その位置を与えることができる。それは、通常、GPS受信機が処理できる最も小さな時間間隔だからである。もし複数の測定値が直線で結ばれれば、それらの測定値は道路の形状を非常によく説明するだろう。達成されるべき問題はこれらのデータの量である。それが圧縮を必要とする理由である。データの量が低減されると、達成される利点がいくつかある、すなわち、センターサーバへのデータ転送を低減でき、データベースサイズを縮小でき、(後)処理時間を短縮できる。
【0070】
誤差が道路幅員や一般に道路の幾何学的配置を越えないように、道路の形状を非常に正確に記述することも考えられる。したがって、その形状の適切で実質的に可逆(lossless)である圧縮が必要とされる。
【0071】
この問題の解決のために、3次のベジェ曲線を使用して道路の形状を記述することができる。ベジェ曲線は非常に融通性があり、表現が幾何学的に単純である。これらの曲線は、U字及びS字の形状、尖点(cusp)及びループ(loop)を記述できる。高次のベジェ曲線、弧、多項式などのような他の曲線も使用することができるであろう。他の考えられる特徴は、単なる移動経路(trajectory)の形だけではなく、他の情報データについても記述することである。それとともに、速度、エンジン回転数等を記述し、利用可能にすることができる。
【0072】
一般に、移動経路という用語は、ある環境における車両の旅行/運行または移動の記述に関連している。これは、平凡な説明によれば、ある自動車の運行は線(曲線)で表すことができ、その線の各点は、車両の実際の地理的な位置(同様に高度も含まれていてもよい)を表すことを意味している。移動経路の各点を、車両の実際の速度、加速度、または計算またはモデリング問題にとっては有利な類似のものに関連付けることもさらに考えられる。
【0073】
2つのログ間の時間間隔の設定:
2つのログ(運転記録;log)間の時間間隔は道路の形状に強く依存する。ログという表現は、前記複数の車両からのある情報を保存することに関連している。車上装置は、いくつかの位置データをサーバへ送信する前にそれらデータを記録してもよい。この位置データは、車両の走行経路(移動経路)に対応する。データは、保存せずに自発的に送信されてもよく、または既に上で述べたように、位置データは蓄積され(要素部分415の主な目的)、その上で送信されてもよい。
【0074】
一般に、ハイウェイの長い部分は、単一の曲線でよく近似できるが、一方、曲がりくねった山道は、1つの曲線で記述できるその短い部分だけを持つ。時間間隔は、通常、主要道路上ではより長くなる。目標は、最小の要素数でかつ最小の誤差で、道路(車両の進路または移動経路)を得ることである。
【0075】
したがって、発見的な近似化が必要とされるかもしれない。車上装置は、一連の連続する測定値を含むバッファを備えている。バッファ長は、連続するログ間の最大時間間隔の長さに等しい(測定値が有効な位置を有する場合、すなわち、車上装置がジャイロスコープを備えずにトンネル内または車庫内にない場合)。許容される最小時間間隔を設定できるのが好都合である。本発明によれば、この方法により、データ圧縮の品質の上限及び下限を達成することができる。
【0076】
さらに、すべての測定データが利用可能だとは限らない(前記バッファが小さすぎる)ので、発見的解決法を使用して、ある車両の移動経路の適切な表現を決定することができる。
【0077】
基本的な考え方は、曲線(例えばベジェ曲線)によって、バッファ中の測定値が、例えば毎秒のような所定の時間間隔で近似されることである。既に行われた近似化が十分良好な場合、測定値のいくつかを省略して、今後において近似を算出する資源を節約することができる。近似が所与の誤差しきい値を越えた場合、プロセスは停止して、プロセスの終了時に測定値とともに既存の曲線を記録し(保存し)、バッファを空にする必要がある。このようにして、道路の記述において、小さな(所与のしきい値以下)誤差(GPS誤差に関するものではない!)を確保することができる。現在の測定値の記録を起動する他の条件もある。
【0078】
本発明によれば、大きな、好ましくは速度の基準二階導関数より大きなそれらの測定値を記録することができる。加速度は、これらの点で最も急激に変化する。加速度が一定の場合、道路の形状は徐々に変化する。速度の二階導関数の最大の点間の道路形状について記述する方が容易である。
【0079】
本発明によれば、二階導関数のしきい値を設定することができる。ある測定値がこのしきい値を越えた場合、その測定値に対する曲線(測定値とともに)を記録できる。したがって、本発明によれば、かくして、道路の記述における最小の要素数が達成される。
【0080】
マルチパス現象または信号喪失(トンネルに入る場合)のようなGPS信号の異常挙動に遭遇した場合、現在の(または最後の満足できる)曲線及び測定値が記録される。このようにして、誤りまたは間違った測定値を避けることができる。マルチパス現象または効果は、それぞれ、衛星からのGPS信号が反射されることを意味している、すなわち、GPS信号が他の信号と干渉し、通信データまたは通信信号が誤りとなる。この場合、受信機は現在位置を誤って決定する。
【0081】
前述の基本的な考え方は、単に道路の形状だけでなく、他の量(例えば速度)に適用することもできる。この量の測定値は毎秒近似されるが、近似が十分にはよくない場合、近似化プロセスは中止され、さらに、最後の満足できる近似が登録されてもよい。スカラ量(数)が観測される場合、曲線の代わりに例えば多項式を使用すると考えられる。
【0082】
実験的な観測は、前述の近似が、道路の形状について数メートルの許容差まで正確に記述しつつ、30〜40秒毎(平均で)に記録できることを示している。この観測は、本発明による3次のベジェ曲線によって近似されたものである。そうでなければ、時間差は実質的に変わる場合がある。一般に、曲線次数が高くなればなるほど、ログ間の時間差は長くなる(2つのサブの連続的な位置のログ間の時間)。
【0083】
マルチパス効果または現象:
道路の形状について正確に記述しようとする場合の最も大きな問題の1つは、マルチパス現象である。マルチパス現象が短時間にわたって続く場合、それは、GPS受信機によって報告された方向とGPS座標から計算された方向の差の発生と、座標の推定誤差の増加とが同時に発生することから検出することができる。
【0084】
この現象が検出されると、この現象に関わっている測定値には、それら測定値が本発明に従って近似化されるとき、他の測定値よりも小さな重みが割り当てられる。したがって、より正確な測定値の方が、曲線の形状に対してより多くの影響を有することになる。
【0085】
マルチパス現象が起こる前に、測定値(及び曲線)は記録または保存されると考えられる。それは、その現象の前の測定値(及び曲線)は間違っていないからである。その現象が最大時間間隔を越えない場合には、その現象が終わるまで何も記録しないことが好ましい。しかしながら、正確な曲線または近似は、正確な測定値に強く依存している。マルチパス効果があると判断された場合、この期間(マルチパス効果中)内に得られた測定値は無視されると考えられる。同じことが、単に推定誤差が増加した場合にも適用される。
【0086】
GPS装置の内でカルマン(Kalman)フィルタの応用:
GPS受信機の速度が低い場合、当業者には知られているように、GPS受信機のカルマンフィルタは完璧には作動しないので、他の困難さが生ずる。したがって、車両が停止しているときは常に、報告されるGPS位置はドリフトしている。これは、多くの交通渋滞が発生する市街地において重大問題となりえる。
【0087】
この問題への解決法は、車両の速度が低い(例えば3km/h以下)場合に、何も記録しないことである。本発明によれば、(曲線とともに)測定値は、車両が停止しその直後に車両が動き始めたことを検出すると、すぐに記録することができる。低速度での測定値を破棄してもよく、さらにいかなる近似化ステップも禁止され、真っすぐな曲線(線)を有する連続するログ(車両が停止する直前及び発進直後)だけが結ばれる。
【0088】
車上装置が推測航法装置(ジャイロスコープ)を備えている場合には、上述の問題が両方とも解決されるが、それは、車上装置の価格を増加させることになる。
【0089】
他の問題は、動作開始及び終了や一時的な誤動作等を取り扱う境界条件である。
【0090】
本発明の可能な実施形態によれば、以下の実装を実現することができる。したがって、毎秒、以下の量が観測される。
【0091】
・GPS座標・位置(P(t)),
・GPS受信機によって計算された水平誤差(シグマ(σ))の推定値,
・GPS受信機によって計算された速度ベクトル(WGS84での方位角(Azimuth),速度(Speed)(ノット)),
・GPS座標から計算された速度ベクトル((P(t+1)−P(t−1))/2),
・(GPS方位からの)加速度,
・(GPS座標からの)加速度,
・(GPS方位からの)加速度の微分,
・(GPS座標からの)加速度の微分,
・データ妥当性に関する情報(次の列挙を参照):
・0 方位なし、座標なし,
・1 方位なし、座標OK,
・2 方位OK、座標なし,
・3 方位OK、座標OK。
【0092】
上記番号付けは単なる例示であり、本発明はそれに限定されるものではない。
【0093】
位置がGPS受信機によって計算されたのかそれとも推測航法装置によって計算されたのかを知ることも必要である。さらに、本発明の範囲内において、他の量も観測してもよい。
【0094】
GPS受信機によって計算された速度ベクトル(Vs)とGPS座標から計算された速度ベクトル(Vk)が大きく異なり、かつ誤差推定(σ)が大きくなる場合、まさに考えられる原因は、マルチパス現象かもしれない。
【0095】
これらの一連の測定値はバッファに保存される。このバッファの長さ(Max)は、近似曲線に対する最大時間間隔である。最小の時間間隔(min)をそのような曲線に対して設定することができる。しかしながら、前記間隔は、データ圧縮品質に対する下限を提供し、最新の測定値をバッファに記録しないことを可能にする。現在の測定値以前のmin秒までに収集された測定値も記録することができる。現在の測定値以前のr秒間(r<min)に収集された測定値が記録されると、バッファは完全には空にならない、すなわち最後のr個の測定値はバッファ内にとどまるかもしれない。循環バッファが使用される場合、それらのr個の測定値をバッファの最初にシフトさせる必要はない。それによって、本発明の一実施形態による実装は、出発位置及び現在位置をバッファに保存することができる。
【0096】
現在の測定値以前の測定値をいつか記録することが考えられる。ある現象の発見には、いくつかの連続する測定値が必要なことがときどきある。例えば、連続する5つの測定値を使用して中間の(3番目の)測定値の加速度の微分を計算することができる。現時点では、2秒前の微分が計算される。その微分が十分に大きい場合、2秒前からの(曲線での)測定値は、本発明にしたがって記録することができる。次にバッファが空にされ、最後の3つ(=r個)の測定値のみがバッファに残る。ユニットは、バッファ中にmin個の測定値が存在するようになるまで、数秒間、近似化を行う必要はない。それ以降、通常のルーチンが進行する。導関数は、5つの連続する測定値上の直交多項式を用いて滑らかにされる。
【0097】
例えば、数秒前からの曲線を記録する必要が望まれる場合には、最後のmin個の近似曲線を保存する付加のバッファを使用することができる。
【0098】
一般に、いくつかの境界条件がある。(確実な位置での)第1の測定値が記録されている必要がある。エンジンが切られた後の最後の位置に対しても同様のことが言える。トンネル外での(確実なGPS位置による)最後の位置が記録されている必要がある。トンネルの起点としてマークするために、GPS位置がどれだけの連続する秒だけ無効でなくてはならないかのしきい値uを設定することも考えられる。この目的は、非常に短いトンネルや、GPS受信機の誤差、ノイズを切り捨てることである。測定値がトンネルの起点として記録されたのち、確実なGPS位置を有する1番目の測定値が、トンネルの終点として記録される必要がある。車上装置が推測航法装置を持たない場合、これらの2つのログは、真っすぐな曲線すなわち直線によって連結される。2つのログ間の時間間隔は、この場合のみ、Maxより大きくなりえる。車上装置が推測航法装置(ジャイロスコープ)を持っている場合、トンネル内での記録手順は通常の手順と同じである。
【0099】
次の節は、本発明の一実施形態に基づく記録ステップ(ログ)の選択について説明している。例えば、次の3つの量(値)、A(t)=加速度の微分の大きさ(スカラ)、V(t)=速度ベクトルの差|Vs−Vk|(スカラ表現)、及びS(t)=シグマ(σ)すなわち推定誤差(スカラ値)が、所定の時刻tで観測される。
【0100】
A(t)が所与のしきい値を越えた場合、測定値は、記録の要素(対象)となる。V(t)とS(t)との重み付け和が、(起こり得るマルチパス効果発生による)他のしきい値を越えた場合、
・もし、(t−1)>minの場合には、(現在の曲線近似を悪くしないために)以前の測定値は記録されるべきであり、あるいは、
・t<Maxの場合には、t番目の測定値は記録されるべきでない(マルチパス効果がまもなく終了するかもしれず、その結果、正確な終点測定及び曲線近似が可能だからである)。
【0101】
大きな微分と、小さなマルチパス及び誤差推定とを有する測定値を見つけて記録することが望ましい。2つの境界値、すなわち新しいログに対する最小時間(min)と新しいログに対する最大時間(Max)とがあってもよい。
【0102】
図5を参照して、本発明に係るオートマット(automat)が提供される。例えば、以下のようである。(Lはログ(LOG)を意味し(530),mは、毎秒での測定値である(510)。)
これは、一時的状態(temporary state)を有する(図5による)オートマットである。
【0103】
Lmmmmmmmmmmmmmmmmmmm... = L+c*m
前記オートマットは以下の基本的なループ(Loop)を実行する。
【0104】
Loop:
L+c*m
現在の測定値の数cがminより大きく、Max未満の場合、
トリガがtで設定され、t>min,t<Max,(c−t)<minである場合には、系列中の測定値tが記録され、この系列はL+(c−t)*mまで空にされる。
【0105】
さもなくて数cがmin以下かMax以上の場合には、
L+(c+1)*m
とし、上述のLoopへ戻る。
【0106】
トリガ(520)はいくつかの部分から成ってもよい。
【0107】
A)速度の二階導関数が所定のしきい値より大きい場合、これはt1:=c−2での測定値がログの候補であることを意味する。
【0108】
B)マルチパス現象がおそらくt2:=c−1(方向間の差が大きく、推定誤差が増加した)で起こった場合、
1. m(t2−1)にマルチパスがなく、(t2−1)>minの場合には、m(t2−1)がログ候補であり、
さもなければ(起こらなかった場合)、
2. t2<Maxの場合には、m(t2)は記録されるべきでない。
【0109】
C)cで計算された曲線が測定値に十分に当てはまらず、t3:=c−1での曲線が当てはまった場合、m(t3)がログの候補である。
【0110】
D)他のスカラ量(例えば速度)が観測され、測定値の近似が十分にはよくない場合、曲線とともにm(t4)及びこの量の近似化関数がt4:=c−1で記録されるべきである。次に、記録の候補(tl,t2,t3,t4)の最小値tmが選択される。新しいログは、他の量の対応する曲線及びおそらく近似化関数を持つm(tm)である。
【0111】
位置の測定値に曲線を当てはめようとする場合、それらは、マルチパス確率が増えるにしたがって小さくなる重みで重み付けされる。この当てはめが固定小数点数演算で行われる場合、いくつかの特別措置を取る必要がある。
【0112】
他のいくつかの考えられる境界条件は、発進後の最初の確実な位置が記録される、(自動車を停止する場合の)最後の確実な位置が記録される、(GPS位置が無効になる前の)トンネル前の最後の測定値が記録される、トンネル後の最初の測定値が記録される、というものである。
【0113】
ベジェ曲線:
本発明に基づく有利な適用が提供される、3次のベジェ曲線を以下に簡単に紹介する。
【0114】
これらの曲線は、一般に、4つの制御点P0〜P3によって定義される。この曲線は、制御点の凸包内にある。曲線は第1の制御点で開始し、最後の制御点で終端する。曲線の開始方向は、最初の2点間の方向と等しく、終端方向は、最後の2点間の方向と等しい。
【0115】
数値的に、ベジェ曲線は、制御点Pk上のベルンシュタインの多項式(Bernstein polynomials)で定義される。
【0116】
【数1】

【0117】
は、tによってパラメータ化された曲線を記述している。
【0118】
前記曲線は、ド・カステリョ(De Casteljau)のアルゴリズム(不図示)によって分割することができる。
【0119】
他の論点は、受け取ったまたは提供された測定値にしたがってベジェ曲線を当てはめることである。移動ユニット(または装置)が固定小数点式のデジタル信号処理装置を備える場合、固定小数点数算術演算だけが用いられてもよく、そのため固定小数点演算による計算誤差を最小化するまたはなくす必要がある。本発明に係る第1の改善点は、ベクトル(または曲線)などのノルムを算出するCORDIC(Coordinate digital computing)アルゴリズムを含むことであった。
【0120】
本発明に係る第2の改善点は、測定値の(タイトでない)バウンディングボックス(bounding box)を選択し、そのバウンディングボックスの大きさ及び(固定小数点数算術演算の)数の範囲にしたがって測定値を正規化することである。
【0121】
現状の技術は、単に(制御店の第1及び第2の対の間の)曲線の接線(制御)ベクトルの長さを調節するだけであることを教えているが、方向を変更することも必要である。
【0122】
下記は、フィッティング曲線の形状のより一層の柔軟性を、本発明にしたがってどのように達成できるかを示している。
【0123】
次の定義がなされる。
【0124】
1=V0+α11+β11P
2=V3+α22+β22P
ここで、Viは曲線の制御点、tiは曲線の終端での制御(接線)ベクトル、tjPはtjに垂直である。αjは制御ベクトルの長さの補正を意味し、βjは方向の補正を意味する。βj値に対する解は、αjに対する解に類似しており、それは先行技術に説明されている。
【0125】
当てはめ(フィッティング)手順がループ中で反復されてもよく、このループは2つのステップ、すなわちまず制御ベクトルの長さを調整し、次に制御ベクトルの方向を調整することを含んでいてもよい。
【0126】
本発明によれば、GPS信号または情報による距離の測定をそれぞれ提供することができる。GPSシステムの助けを借りて経路の長さを測定することは可能である。(いくつかは欠けているかもしれない毎秒得られる測定値)が利用可能な場合、すべての連続対間の距離を合計して実際の長さの非常に正確な推定値を得ることが考えられる。速度が低い(例えば3km/h未満)場合、測定値は、本発明の一実施形態によれば切り捨てられてもよい。
【0127】
データの保存:
本発明で使用され、複数の車両から受信されるようなデータ及び情報はすべて、中央の記憶場所(サーバ)で保存され、のちに、所望の結果を達成するために、例えば2、3の段階で解析されてもよい。これらのデータエントリは、好ましくは生(raw)データと呼ばれる。生データは、位置、速度、針路(方向)、データ取得時刻の少なくとも1つを含んでいてもよいが、さらに、曲線(移動経路)の記述、他の量(速度など)の関数の記述、位置受信機によって受信された位置の水平方向の精度評価、良好な信号を有する(GPS)衛星の数、他の車両センサからのデータ(温度、重み)なども含むことができる。生データは、車両の旅行(移動または移動経路)が個別のデータ群として保存されるように保存することもできるが、しかし車両の識別子は、暗号化(ハッシュ化)されていてもよく、またはプライバシーを維持するために存在さえしなくてもよい。
【0128】
車両データは、経路データの識別をさらに支援する2つの属性、すなわち車両の種類(乗用車、バン、トラック、バス、オートバイ、建設車両、トラクター、…)と、サービスの種類(旅客、警察、建設、タクシー、地方自治体バス、軍用、農業、…)と、を含んでいてもよい。
【0129】
この上述の2つの属性は、公道網と、(トラクターのような)特別な種類の車両によって使用される道路と、拡張された権利または制限された権利(警察、軍用、タクシーなど)を持つ特定のサービスによって使用される道路との区別を支援できる。
【0130】
道路網の計算:
まず生データは、道路を示すベクトル(曲線)を得るために分析され、(数学においてよく知られているグラフ理論でのように)に有向グラフに組織化される。このプロセスは、少数の非常に正確な測定値(測地学的な慣習における従来の手法として)、または、平均化したときに高精度を実現する、多数のそれほど正確でない測定値を必要とする。本発明によれば、第2の状況に的を絞っている。
【0131】
グラフの辺は街路であり、いくつかの道路が連結されるとグラフ頂点が現れる。幾何学的に、最も近い頂点はジャンクション(結合点)を示している。したがって、これ以降の動作は、すべて、標準のグラフ理論から導き出される。結果として生じるグラフは、基本的な道路網グラフである。簡単に言えば、その解析は、同じ道を移動した多くの車両からの生データを、移動した道路を表す1つのベクトル(曲線)に変換する。このプロセスは全く自明なものではない。交通規則を破る運転手も何人かいるので、データはその交通規則を正確には示さないかもしれないことに注意することも考えられる。
【0132】
第1の目標は、2次元(2D)マップを作ることである。測定値が十分に正確な場合、海面からの高さに関する情報を含むことが可能である。道路網の2つの特性、すなわち道路軸の正確な位置を意味する幾何学的配置(ジオメトリ)と、道路間の正しい接続を意味するトポロジーとを適切に算出することが必要である。
【0133】
幾何学的配置は、基本的に、同じ道路上にあった車両の移動経路を平均化することによって算出される。トポロジーは、基本的に、どの移動経路がどの道路に接続しているかを調べることにより算出される。道路地図計算のためのいくつかの方策がある。基本的な2つの近似、すなわち局所版及び広域版を説明する。その両方において、道路のサンプリング点間の距離が定義されてもよい。
【0134】
局所版は、(距離に関して)より局所的に的を絞っている。局所版は、サンプリング点間の所定距離によって局所的に進行する。それは、結果として生じるグラフの密度に注目している。地図のこの計算は、2つのステップ、すなわち、道路区間の計算及び道路ジャンクションの計算に基づいている。
【0135】
基本操作は、測定値の平均化に対応する2つのサンプリング点間の単一の曲線を計算することである。実験的試験によれば、2つのサンプリング点間で100mの距離が選択された。本発明によれば、2つのサンプリング点間の道路の区間は、その2点間の距離が約20mの場合には、直線として記述するのか好ましい。それによって、発生誤差はそれほど大きくならず、道路区間は適切に表される。
【0136】
本発明によれば、ベジェ曲線は、その数値安定度、幾何学的な柔軟性及び明快さのため、車両移動経路及びその算出された平均をグラフに表すのに使用することができる。
【0137】
ベジェ曲線の平均化:
この手順は、本発明の一部であり、道路の幾何学的配置を計算するのに使用されるが、それは他の目的にも使用することができるであろう。本発明によれば、複数の測定車両によって提供される複数の移動経路が提供される。各車両の各移動経路は、本発明にしたがて、連続するベジェ曲線によって記述される。これらの曲線は、通常、異なった長さを有する。道路軸または道路の小区間の正確な幾何学的配置をそれぞれ得るために、本発明にしたがって、すべての現在の移動経路の平均化ステップが提供されてもよい。平均化された曲線は、すべての道路網の詳細を十分に正確に記述するように、十分に短くなければならない。したがって、長さ100m未満の平均化されたベジェ曲線が使用された。
【0138】
次の節では、本発明に基づくベジェ曲線によって記述された1群の移動経路の平均化ステップについて説明する。目的は、いくつかの移動経路を平均化することである。まず、各平均化の開始点及び終了点が選択されてもよい。本発明によれば、移動経路の平均化が始まる開始点及び終了する終了点は、移動経路に垂直な線としても設定することができる。
【0139】
本発明によるベジェ曲線は、開始点と終了点間の平均移動経路(線)を十分によく記述することができるものとする。
【0140】
平均化の前に、選択された開始点及び終了点(または線)に最も近い点で、所与の曲線を分割することができる。したがって、非常に類似する移動経路の小区間による結果が得られる。
【0141】
本発明によれば、前記平均化を行ういくつかの方法があってもよい。
【0142】
1.開始点と終了点間の小区間がすべて単一の曲線で記述される場合、小区間の制御点を単純に平均化することが好ましい。そうでなければ、次に説明する平均化の他の方法を選択してもよい。
【0143】
2.平均化
・これらの小区間の開始及び終了座標、
・これらの開始及び終了座標における速度(制御ベクトルの長さ)、
・小区間の長さ、
・開始座標と終了座標間の各小区間の時間差。したがって、移動経路を推測するのに十分なデータが提供される(次の節を参照)。
【0144】
3.この小区間における測定された位置(もとの曲線上の座標・点)への新しいベジェ曲線を当てはめ(データ圧縮の節を参照)。測定された位置が十分にはない場合、曲線上に点を任意に追加することが好ましい。大きな誤差がありうる位置を使用しないことが言及されるべきであろう。各小区間上の開始点または終了点に非常に近接した位置を使用することは、これらの位置の誤差が曲線の形状により一層影響を与え、その結果としてときどき小さなループが現れるかもしれないので、不都合かもしれない。
【0145】
移動経路の推測または特定:
移動経路がベジェ曲線では記述されないが、測定値が十分に近接している場合、移動経路は、以下のようにベジェ曲線を推測することにより、移動経路を推測、記述することができる。
【0146】
データ圧縮を伴わずに、車両からのデータは、位置、それらの位置における方向(針路)及び速度、及び連続する位置間の時間及び距離からなる。道路地図計算にとって、これらの位置間の移動経路は何であったかに関する情報を持っていることが必要である。記録された距離が推測された曲線の長さと一致した場合、それは満足なものと考えることができる。
【0147】
次の値、すなわち移動経路の開始点及び終了点、開始及び終了時の速度ベクトル、距離、この経路を移動するのに必要な時間によって、前記点間の移動経路を推測するステップを提供することができる。
【0148】
本発明によれば、移動経路は3次のベジェ曲線によって推測または計算することができる。開始点及び終了点は固定されており、それらの点は、ベジェ曲線技術で知られているように最初の及び最後の制御点である。次に、中間の2つの制御点の位置が決定されるべきである。第2の制御点は、速度ベクトルを加えることにより第1の制御点から得られ、第3の制御点は、速度ベクトルを引くことにより最後の制御点から得られる。次に、これらの点の第1近似のために、正規化された速度ベクトルに対して、適切な係数(例えば速度[m/s]*時間[s]/3)を乗算する。次に、曲線の長さを算出し、必要ならば、それを調整してもよい(次の節を参照)。
【0149】
ベジェ曲線の長さの調整:
これは、正しい方向を持つ曲線の近似が与えられる場合に有用である。開始及び終了ベクトルの長さの2つの自由度だけが残されている場合、長さは、考えられる付加的な要因である。通常、速度は余り急激に変化しないので、この手順は、両方のベクトルを一様に変化させる。曲線が実データより短い場合には、速度(制御)ベクトルを延長するのが好ましく、長い場合には、このベクトルを短くするのが好ましく、そしてプロセスを繰り返す。実際の長さと所要の長さが十分に近い場合、動作シーケンスを停止してもよい。それにもかかわらず、所望の結果がいくつかの操作の後で得られるように、この調整は、繰り返し手法で提供される。
【0150】
道路区間の計算:
これは、道路ジャンクション間の道路の区間が計算できる場合のステップである。このステップは、道路網の幾何学的配置に注目している。本発明によれば、出発点は無作為(ランダム)に選択され、操作シーケンスは、上で説明した基本操作を、測定値が分離するまで測定値に沿って継続する。これがジャンクションの合図(signal)である。ジャンクション間の全区間を得るために、この区間を後方へ継続することも予想される。
【0151】
道路ジャンクションの計算:
道路網の幾何学的配置及びトポロジーがジャンクションにおいて最も複雑になるので、道路ジャンクションの計算は別のステップである。このステップの重点は、トポロジーにある。測定値(曲線のログまたはその一部分)は、対応する道路区間に起因する。ある道路区間から他の道路区間に至る測定値はすべて収集される。それらは、あるパイプから他のパイプへの流れに似ている。既に説明した基本操作が、収集された測定値に適用される。新しく計算された「流れ」の区間に2つの既存の区間を単に接続するのが好ましい。同じ手順が、測定値によって結び付けられた2つの道路区間のすべての組み合わせに対してなされる。
【0152】
同じ手順を、結果として生じるグラフについて繰り返すことができる。または、我々のシステムからの測定値についてのみ行うだけでなく、異なる情報源(政府機関、道路建設会社など)からのいくつかのグラフについて行うことができる。
【0153】
広域計算:
広域版は幾何学的精度へより志向している。該広域版は、測定の範囲内に長い経路(少なくとも500m)を必要とする。それは、部分的グラフ相補性も可能にする。
【0154】
道路区間の計算:
まず、道路区間の開始点及び終了点が選択される。次に、開始点から終了点へ進み、かつほぼ同じ長さを持つ測定値がすべて収集される。上で説明した基本操作が収集されたデータについて適用される。終点での区間の短い部分(100から500m)を切り捨てて、それほど正確でない結果を回避してもよい。
【0155】
既存のグラフに道路区間を付加すること:
道路区間が既に計算されている場合、その道路区間を既存のグラフに付加することができる。既存のグラフに含まれない小区間のみを付加してもよい。
【0156】
グラフを計算すること:
さらに、測定値のすべてが使用されるまで、最初の2つのステップを繰り返すことが必要である。まず、空のグラフを持つ出発点が提供され、最終結果は、測定値によって十分に網羅された道路網の一部のグラフである。
【0157】
実験結果:
実験的な観測は、本発明に基づく方法が高精度であることを示している。当然、その精度は、得られた測定値の数に依存する。
【0158】
計算されたグラフのトポロジーでは、数パーセントの誤差がある。この誤差は、GPSの誤差(典型的には30m)の2倍よりも近接する平行な道路がある場合や、複雑なジャンクションに現れるのが大半である。それらは、GPSシステムの不正確さ、及び記録されたログ間の長すぎる固定の時間間隔に起因する。期待されることは、この方法が、圧縮した測定値(当てはめられた曲線を持つログ間の動的な時間間隔)を用いる場合及び車上装置にジャイロスコープを含む場合に、誤差の割合が減少することである。速度及び待ち時間もかなり正確である。
【0159】
道路網のプロファイリング:
さらに、本発明に基づく主な操作ステップは、ジャンクションの識別及びプロファイリングかもしれない。互いに接続されかつ近接する、基本的な道路網グラフにおけるいくつかの頂点は、ジャンクションのさらに複雑な構造に統合(マージ)することができる。ジャンクションの下記(及びおそらく他のもまた)特性を定義するために、基本的な道路網グラフを生データとともに用いてジャンクションを解析する。ここでの特性とは、(どの道路がジャンクションに入ってきて、出て行き、接続されているのか、信号機があるのか、どの道路が優先権を持っているかなどの)交通規則、(ジャンクションではどの道路が主要なのか、ジャンクションを横切る期待時間は何なのかの)トラフィックパターン、(Xまたは星型形状、遠回り、(ハイウェイからのような)出口などの)ジャンクションの形態、いくつの車線(レーン)が特定方向に進むか等である。あまりにも多くの補助道路を持つ領域でナビゲートする場合に、運転手を当惑させないために、主要な道路を補助道路から区別するために、2線のデータを用いることができる。
【0160】
データは、(行列などの)付加の補助データ構造を持つグラフとして、再度、保存される。
【0161】
このデータは、運転手をナビゲートするのに基本的に十分であろう。
【0162】
さらに、道路のプロファイリングが提供される(図2Aから2Cも参照)。多くの車両が同じ道路を移動しているので、平均速度、一日のある時間における平均速度などのような、利用可能な多くの統計データがある。これらのデータは、接続(道路)をプロファイリングするのに用いられるが、それは接続ごとに次の属性を割り当てることである。すなわち、街路/道路の方向(一方通行、双方向通行)、距離、平均速度または接続を移動する平均時間(その週の時間またはそれと同等のものに依存)、統計データの妥当性(特定の接続/道路上の交通について本質的なものを伝えることができる十分なデータがあることを確認すること)、平均交通量(相対的な、他の道路に関する)、道路の形態(ハイウェイ、街路、地方の道路、車線数など)、それが(最も間近に)用いられた時刻、及びおそらく他のいくつかのものである。
【0163】
これは、道路網グラフ及び生データを用いて行われる。そのプロセスは、図2A〜2Cを参照して及びその説明の中で、より詳細に、上で説明した。
【0164】
考えられる利点は(曲線及びフィッティングされた速度のおかげで)、車両の移動経路(移動)上の各点ごとに速度を提供することが可能なことである。したがって、道路の交差部を横断する場合、車両速度が正確にどれ位だったかを知らせることが可能になる。他の量(値)が、本発明による速度に関する前述の例と同様に、当てはめられてもよい。
【0165】
一般に、前記プロファイリング操作は、既に保存されている交通データをいつでもいかなるグラフ(手動で生成された、または他の情報源からのものであっても)についても利用することにより、行うことができる。
【0166】
道路が使用されたときにそれが観測されれば、(装備された)車両によって長い間使用されなかった道路を見つけることが可能になる。そのような道路はもはや使用されず、(通常、ある点検後に)道路地図データベースから削除できる可能性が非常に高い。これは、(ハイウェイを建設するためにまたは他の建設現場で使用された)補助の道路、または機能停止した他の道路(道路網の更新についての節を参照)を検出する非常に効率的な方法である。
【0167】
その結果は、幾何学的に及びトポロジカル(位相幾何学的)に正しいデジタル道路網システムである。それは、本方式に組み込まれたすべての車両の過去の経験により、非常に正確な最も高速の経路ナビゲーションを可能にする統計データを含んでいる。しかし、このデータは、禁止されている右折や左折を運転手にどうにかして提案しないように、手動で(特別に装備をされた検証車両により)チェックされなければならない。
【0168】
検証:
前節からのデジタル道路網システムを、特殊装置を装備した検証車両によって詳しく調査し、データベース(道路グラフ)が実際の道路システムに対応することを検証すべきである。道路システムは既にデジタル化されているので、最短の可能な移動経路を実現するために、運転手に進む道を正確に助言することは可能である。最適化は、(グラフ理論から知られている中国の郵便集配人アルゴリズムのような)経路最適化のよく知られている原理の1つを使用して行うことができる。
【0169】
当然、特別に装備された車が点検に向かう前に、ある修正は手動で行われてもよい。これは、必要経費をさらに減少させることができる。これらの車両が、あまりにも少ないまたは十分に正確でないデータから計算されたこれらの道路及びジャンクションへ送られるだけで、他の節約が達成される。道路網グラフに変更が検出された場合、これは特に有用である。
【0170】
これは、検証前の道路システムがない(または、いかなる方法でも少なくとも位相幾何学的に「順序づけられ」ていない)他のシステムに対して大きな進歩を示すものである。実際の道路網システムとデジタル道路網システムとの間に不一致があるときはいつも、運転手は、新しい経路を提案する特殊装置にそのデータを入れる必要がある。変更は恒久的または(デジタル道路網システムに与える影響が小さい)一時的なものかもしれない。このプロセスは、検証をはるかに高速で行い、コスト効率のよいものにする。
【0171】
検証は、いくつかの街路(グラフの辺)を実際に付加または削除し、接続及びそのトポロジーを変化させる。車両が移動したことがない道路は、必ずしも手動で付加される必要はない。必要ならば、検証車両は、システムに変更を入力するために、2、3回道路を移動する。
【0172】
前記車両が、トンネルまたは他の障害の高さ及び幅を調べる必要があるということは非常に考えられる側面である。それは、他の方法では、これらのデータを得ることは非常に難しいからである。その結果は、ナビゲーションに使用することができるデジタル道路網システムである。
【0173】
これらの車両は、道路の品質を決定する振動センサ、または道路網に直接は関連付けられないがモバイルネットワークのサービス可能範囲のような他の有用な情報または類似の情報を集める他のセンサを装備することができる。
【0174】
道路網グラフの更新:
車上装置はデータを連続的に送っているので、説明したプロセスを更新するステップに対応して数回繰り返すことができる。この目的は、新しい区間または道路網に対する変更を非常に高速で検出し、説明したプロセスによってまさに同じ区間を非常に高速で検証できるようにすることである。新しく処理された生データは、最も高い確実性で同じ街路を生み出し、また、それらのいくつかは検証プロセスによって誤りと証明されているので、それらのデータに注意を払いそれにタグをつけ、その結果、更新プロセスが検証スタッフを不必要に派遣しないようにするのを支援することが考えられる。
【0175】
一般に、前記更新操作は、前記交通データをいつでもいかなるグラフ(手動で生成された、または他の情報源からのものでも)上でも使用することにより、行うことができる。
【0176】
車上装置によって送られた生データは、いくつかの目的に使用される。車両の移動経路に関する生データは、曲線で記述される。移動経路の区間ごとに、対応する道路区間及びジャンクションがデータベースで見つかる。それらをデータベース中で見つからない場合、移動経路のこの区間は道路網更新のために印をつけられて保存される。
【0177】
前述のステップで、曲線類似性は、考え得る問題である。それは、ある車両がある道路または道路部分にそれぞれあったときに識別できるように、曲線の類似した小区間を見つのに提供される。グラフ外の区間は保存され、それに応じて印をつけられる。更新の計算が開始されたら、幾何学的配置、トポロジー及びプロファイリングは、本発明にしたがう上記節にしたがって行うことができる。これは、さらなる処理ステップを行わずに変更を検出するのみの、現行技術の方法の改善点である。
【0178】
したがって、曲線類似性に対する前記手法は、例えば、一般に車両がどこに正確にあるかという精度の高い特定または形状認識を可能にするので、通行料電子徴収システムのような他の目的に使用することができる。
【0179】
メインサーバは、受信データを、保存された道路区間に関する交通情報と比較する。これらの情報が実質的に異なる場合、これは警報の理由になる。通常、これは交通渋滞を示唆しているだろう。いくつかの車両が、特定の道路区間の異常な交通量に関する同様な情報を送信した場合には、その警報はさらに説得力を持つ。この操作は2、3分以内に行われる。データは後処理にも使用される。第1のステップは、道路区間及びジャンクションに関する交通統計量情報を更新することである。新しいデータに対応する道路区間がデータベースで見つけられ、それらの情報が更新される。
【0180】
道路区間は、横断の回数に関する情報も持っている。規則的な点検(例えば月に一度)は、もはや使用されなくなった道路を見つけて、(なんらかのチェック後)データベースから削除することができる。一方、データベースに対応する道路がなかった移動経路の区間は、そののちデータベースに付加される、新しい道路区間の計算に使用される。
【0181】
ベジェ曲線の類似性:
例えば2つの曲線を比較するためには、それらはまず整列している必要がある。整列は、並進運動、回転及びスケーリングを含んでいてもよい。曲線間の類似性は、本発明に基づき、対応する制御点対間の距離(ユークリッドまたはその他)から算出される。この計算は、合計、平均、最小、最大等であってもよい。それは、その問題の性質に依存する。
【0182】
制御点の類似した構成が類似した曲線を生み出すということは真実である。逆は必ずしも真ではない。すなわち、制御点の非常に異なる構成により、類似した曲線を構築することができる。その問題はパラメータ化にある。これは、真っすぐな曲線すなわち線の例によって示すことができる。線の中間2つの制御点は、線のいかなる場所にも配置することができ、曲線は同一形状を持ち、パラメータ化のみが異なるだろう。
【0183】
パラメータ化でなく曲線の形状が考えられれば、類似性を算出する前に曲線を再パラメータ化することができる。再パラメータ化は、曲線のサンプリング点及びそののちそのサンプリング点を他の曲線で当てはめることによって行うことができる(点の順序集合にベジェ曲線を当てはめることについての節を参照)。この曲線は、基本的にもとの曲線と同一形状を持っているべきである。
【0184】
1対の曲線で類似した小区間を見つけること:
この手順は道路地図計算及び交通統計量更新のために考えられる。長い曲線は、車両の移動経路を記述することができる。道路も曲線として記述される。車両が1つのまたは他の道路にいつあったか、そしてその移動経路のどの部分がどの道路に対応するかを特定することが考えられる。
【0185】
まず、曲線の類似性の定義が必要である。曲線の比較のために、下記定義を使用することができる:
・絶対的判断基準:この場合、比較される曲線の小区間の最短距離が設定されるべきである。短い数片の曲線は、その制御点が相互に接近しているので、常に類似しているかもしれない。曲線間(例えば開始点と終了点を接続するベクトル間)の角度に関するいくつかの判断基準を設定することもできる;
・相対的判断基準。
【0186】
曲線を最初に整列させることができる。まず、第2の曲線のサブ曲線が第1の曲線の終点に最も近い終点で選択される。次に、本発明に基づく下記手順が再帰的に繰り返される。
【0187】
2つの曲線が類似している場合、それらは類似部分として記録される。そうでなければ、第1の曲線は(中間で)分割され、第2の曲線は、第1の曲線の分割点に最も近いところで分割される。両方のサブ曲線対が比較される。
【0188】
最後に、類似したサブ曲線対が報告される。
【0189】
本発明の実施形態による上述したシステムは、道路網のデジタルモデルを生成してプロファイリングするまさに効果的な手段である。この種類のデータは、大量輸送時代において非常に考えられる。交通解析に対処する特別のインフラストラクチュアを構築する代わりに、提案のシステムは、他の有用な目的(一般に、ナビゲーション、メッセージ送信、車両部隊制御)、公衆無線データネットワーク(GSM/UMTS、CDMA)、及び大きなデータ容量を解析する特別のコンピュータシステムに役立つ車両に、比較的低コストの設備を使用している。この種の原理は、急速に発展している道路システムを持ち、デジタルモデルさもなければ道路網を作る複雑な操作を動作させるのに十分な構成能力がない開発途上国に最も有用である。このシステムの利用法についても多くの可能性がある。
【0190】
車上装置は、その車上装置がユーザインターフェース、通常はキーボード及びスクリーン(表示画面)を備えている場合、運転手をナビゲートすることができる。ナビゲーションの要求を、現在情報も持っているサーバへ送信でき、サーバは、その結果を示して運転手を案内するOBUに、その結果を返送する。
【0191】
最も価値のあるデータは、交通統計量と共に、ナビゲーション会社が自分のルーティング製品をより速く更新するのを支援する、連続的に更新されるデジタル道路網モデルデータである。これは、既にマップ化された道路を持つ国々(EU、米国)、及び特に、道路網の貧弱なデジタルモデルを持つ国々(ロシア、中国、インド)の両方に対して真実である。
【0192】
プロファイルされた道路網のモデルは、そのモデルが最も効果を持つ処理能力(スループット)を、道路施設の立案者が向上させるのを支援する。モデルは、一般的な交通流データだけでなく、1日の特定の時間、週の特定の曜日等の交通流データを含んでいる。
【0193】
よくある質問は、多分、点Aから点Bへ到着するのにどれだけの時間が必要か?というものであろう。移動経路は、旅行毎に、測定値、曲線の順序集合として記述することができる。それらは移動経路識別子で印をつけることができる。次に、点Aに近接したすべての測定値(曲線)及び点Bに近接したすべての測定値が収集される。第1の群の測定値(曲線)が第2の群の測定値(曲線)と同一の移動経路識別子を持っている場合、それらの2つの測定値(曲線)間の移動経路が抽出される。そのような抽出された移動経路の小区間はすべて、点Aから点Bへ交通流を表している。それらをさらに解析することができる。
【0194】
経路データは、統計データ(日ベースで更新される)に基づいているので、それは、多重積荷、多重配達の最適化、ジャストインタイム配達、到着変動量の最適化、公共交通機関道路網の最適化のような、最適化用途に最適なプラットホームである。
【0195】
道路網グラフが、グラフの接続(道路区間)を移動するのに必要な時間を定義するタイミング詳細を含んでいる場合、それは、時間詳細に基づいた最も速い経路を計算すると考えられる。前記時間詳細は、例えばその週の曜日または一般に1日のうちの時間に依存する交通量を特徴づけることができる。例えば、ユーザが出発時刻を入力すると、本発明に基づく方法は最も速い経路を決定し、結果として生じる旅行時間等をユーザに提供する。アルゴリズムが出発時刻等を決定し提供するように、ユーザが所望の到着時刻を入力できることも考えられる。次の方法でこれを達成できるであろう。すなわちグラフのすべての接続は、タイミング詳細に従って接続を通過するのにどれくらいの時間を要するのかについての補足の情報を持つべきである。最も速い経路を探索する場合、在圏要素(visited eleemnts)もタイミング詳細を含んでいなければならない。
【0196】
そのようなシステムは、通行料電子徴収システムとして動作するように容易に変更できるであろう。主な利点は、すべての知識を用いることにより、道路網の完全な地図を必要としないことである。移動経路は曲線として測定され、曲線を使用して正しい道路を識別する確率は、単一のGPS座標測定値のみを使用するよりはるかに大きい。
【0197】
曲線の形状が比較されると、車両の実際の位置の特定は非常に容易でより正確である。
【0198】
図3は、本発明の実施形態によるシステムの原理を示している。複数の車両は、適切な車上装置を装備している2台の自動車によって代表的に示されている。前記装置は、例えばGPS信号を受信し、各車両の地理的情報を決定するのにそれぞれ適している。この実施形態によれば、GPS衛星300が使用されてもよいが、それに限定されるものではない。前記衛星300は、測定車両の各車上装置に対して位置信号を提供する。車上装置は位置データをすべて保存してもよく、あるいは、ある位置302にあるセンターサーバ301にデータを定期的に送ってもよい。サーバ301は、アンテナ303と、当然、複数の測定車両からの信号を受信する手段とを適切に装備している。受信情報はすべて、サーバユニットまたは例えば他の適切な記憶手段に保存することができる。本発明に基づく方法は、この実施形態にしたがってワーク(計算)ステーションとしても機能するサーバ301で実行されてもよい。さらに、データベースサーバも、大量の受信位置データを保存するサーバ301を支援するために実装されてもよい。
【0199】
双方の車両の移動経路は、この場合、道路A及び道路Bと命名され、該2つの道路は2つのジャンクション(ジャンクションA)を示している。サーバは、前記受信情報によって、各車両からのすべての移動経路をそれぞれ保存してもよい。さらに、本発明によれば、類似した道路を移動(ドライブ)する1つまたは2以上の車両からのすべての移動経路を平均化して、正確な道路モデルを得ることができる。
【0200】
領域380は、長さL及び幅Wのようないくつかの寸法で割り当てられた道路の一部分を例として示している。本発明によれば、道路網グラフのすべての道路区間部分は、幅、長さ、方向、高度等のようなパラメータによって特徴づけることができる。平均速度、道路のカテゴリー等のような他のパラメータが付加的に挿入されてもよい。平均速度は、例えば日における時間または日にしたがって定義されてもよい。さらに、前記パラメータは、交通統計量のような統計情報を含んでいてもよい。前記統計量は、例えば第三者から提供されてもよく、自動車数または推測値等のような、交通渋滞情報または交通統計量さえ含んでいてもよい。
【0201】
図4は、測定車両に搭載できる車上装置の実施形態を示している。前記車上装置は、前記装置の動作をすべて制御するのに適したCPU400を含んでいる。図4によれば、CPU400は、前記車上装置内でさらなるモジュールまたは要素部分(コンポーネント)のすべてとそれぞれ相互に接続してもよい。前記車上装置は、リムーバブル記憶装置425と、位置信号受信機405とを有し、推測航法モジュール410と、通信インタフェース420と、内部メモリモジュール415とをさらに有する。
【0202】
前記通信モジュール420は、あるデータチャネルを使ってセンターサーバと通信するのに適していてもよい。GSM、CDMA、UMTS、TETRA、汎用の無線インタフェース(Reneral Radio Interface)等のような異なる技術を使用することが考えられる。
【0203】
図6は、ベジェ曲線によって表されたいくつかの移動経路を、平均化された曲線に平均化する原理を示している。各移動経路A,B,Cは、位置データ情報60に基づいてベジェ曲線手法により記述される。
【0204】
図6に図示した例では、本発明による計算の原理のみが示されている。実際には、各車両の移動経路は、観測下の道路または街路の現実に存在する形状とほとんど一致するが、説明を明瞭にするために、移動経路間でかなりの相違が示されている。
【0205】
一般に、各車両の各移動経路は連続するベジェ曲線により記述することができる。これらの曲線は、通常、異なった長さを持つ。道路軸の幾何学的配置を得るために、前記複数の測定車両に対応する前記移動経路についての平均化ステップを提供する必要がある。
【0206】
これは、曲線の形状が前記複数の車両から受け取った位置データに依存することを意味している。この実施形態では、3つの移動経路のみが示されているが、本発明に基づく方法を複数の車両について行うことは可能である。
【0207】
位置データ60は、ベジェ曲線を記述するために使用される、前記測定車両の地理的な位置データ(座標)を含んでいてもよい。前記ベジェ曲線の数学的な計算は、小節「ベジェ曲線」において詳細に上で説明している。
【0208】
この実施形態では、位置データは時間ベースで提供されるが、これは、各Δtの位置データが前記複数の車両からどうにかして送信されることを意味している。本発明によれば、そのタイミングは可変であり、固定されていない。したがって、経路に曲線がない場合には前記時間に大きな値を選ぶことが考えられるが、道路に多くの曲線またはジャンクションがある領域では、時間はそれに応じて適応させてもよい。すなわち、値が小さくなることは、移動経路の形状の精密な寸法が得られる結果になる。
【0209】
その後、移動経路A,B,Cを使用して、既存の物理的な道路形状に対応する、平均化された曲線65を計算することができる。本発明によれば、多くの移動経路(ベジェ曲線)を平均化して所望の結果を得ることが考えられる。本発明に基づくアルゴリズムは、ベジェ曲線の効果的な平均化を可能にし、計算能力の見地から好都合で経済的である。
【0210】
したがって本発明は、入力が通常(このシステムに含まれる)多くの車両からの測定値によって形成されるような、道路網グラフの自動計算を達成し、同じ方法は、た他のある測定値についてまたは道路網の既存のグラフについても行うことができる。
【0211】
さらに本発明は、入力がグラフ及び生データである道路網の自動プロファイリングを達成している。グラフは、上記明細書で概説したように得られ(上記のように計算された、あるいは、誰かから購入したなど)、生データは、通常、本発明のシステムの車両からの測定値であるが、それは他のどこか(例えば、政府系機関からの道路名、制限速度)からのデータでもありえる。他の態様においてこの手順は、グラフ上に生データ(そのパラメータのいくつか)を貼ること(及び記録すること)に基本的に関係している。曲線の形状は、対応する道路及び移動経路区間を識別するために考えられた本発明の一側面である。
【0212】
さらに、自動更新は基本的に上記に対応しており、どんな道路区間にも対応しない移動経路の区間(及び逆もまた同様である、すなわち最近どんな車両によっても通過されなかった道路区間)の認識が特に重要である。十分な量の生データを収集すると、道路網グラフの新しい部分を計算することができる。本発明の一側面は、いかなるグラフについてもそれができるということであり、このことは、例えば、EU、米国、日本等の既存の道路グラフについて更新(プロファイリングも)を行うことができることを意味している。
【0213】
最後に、データの最終承認が包含された検証方法が提供される。その利点は、本発明が近似法(計算されたグラフ)を持ち、検証車両の経路を最適化することができることであり、そしてそれは多大な節約を意味している。
【0214】
さらに、道路網グラフ内で最も速い経路を見つける方法が提供される。前記発見は、道路網グラフの要素の一部であるタイミング詳細に基づいている。しかし、適切な装備をされた車両のユーザは、本発明による道路網グラフによって提供される情報を用いて、一時的に最も速い経路を特定(発見)することができる。例えば、ユーザが所定の時間にある住所に到着したい場合、本発明に基づく方法は、最も速い経路を特定し計算する。この特定は、タイミング詳細の使用によってもプロファイリングされた道路網グラフに含まれる情報に基づいている。
【0215】
さらに、例えば、道路施設計画に適用可能かもしれない、情報データによって記録された交通流を調べる方法が提供される。すなわち、連続的に適応された道路網グラフは、交通状況に関する情報を配信し、混み合った道路の小区間及び/またはジャンクション等を特定するのに使用することができる。
【0216】
本発明を添付の図面による実施形態に関して上で説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、添付の請求項の範囲内でいくつかの方法で変更できることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0217】
【図1】本発明に基づく方法の原理を例示するフローチャートを示している。
【図2A】本発明に基づく動作シーケンスを示している。
【図2B】本発明に基づく、変更を検出する原理を示すフローチャートである。
【図2C】本発明に基づく、交通データのリアルタイム解析及び報告を示している。
【図3】本発明に基づくシステムの原理を示している。
【図4】本発明の実施の一形態による搭載ユニット装置である。
【図5】本発明の他の実施形態に基づく記録オートマット(logging automat)の原理である。
【図6】ベジェ曲線によって表されたいくつかの移動経路を平均化する原理を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路網グラフをモデル化する方法であって、
複数の車両から少なくとも当該車両の位置データを含む情報データを受け取るステップと、
前記受け取ったデータにしたがって前記道路網グラフをモデル化するステップと、
を有する方法。
【請求項2】
前記情報データは、前記複数の車両についての車種、車速及び加速度などの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
自動的な形態で道路網の幾何学的配置、トポロジー及び交通統計量を計算するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
(道路)網グラフの自動統合を有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記情報データの使用することによる道路網グラフの自動的なプロファイル化が行われる、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
検証がグラフの検査によって、好ましくは現場で道路網グラフを検査する車両によって行われる、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記道路網グラフは、該道路網グラフを検証する間において最適化ステップに使用される、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記モデル化は、前記データについて行われる曲線、弧、多項式などを処理する数学的手法に基づいている、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記モデル化はベジェ曲線手法に基づいている、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記数学的手法は曲線の平均値算出に基づいている、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
曲線の長さを所望の事前に定義された長さに延ばすことをさらに含む、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
車両の移動経路に対応する曲線を点の順序集合に当てはめることをさらに含む、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
1対の曲線の類似性を算出することをさらに含む、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
1対の曲線の類似した小区間を見つける類似性検出ステップを実行することをさらに含む、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記網グラフに関連する情報を前記複数の車両の少なくとも1つの車両へ送信することが提供される、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の車両に関する前記情報データの圧縮が行われる、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記データ圧縮はベジェ曲線当てはめを含む、請求項12または16に記載の方法。
【請求項18】
前記受け取った情報データは前記複数の車両からの少なくとも1つの車両の移動経路を示しており、各移動経路はベジェ曲線によって記述でき、
さらに前記少なくとも1つの車両に関連付けられた移動経路を平均化することを含む、請求項1乃至17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記受け取った情報データに基づいて前記道路網グラフの第1近似を計算するステップと、
前記第1近似内で道路及びジャンクションをプロファイル化して、プロファイル化された道路網グラフを発生するステップと、
前記プロファイル化された道路網の検証を行うステップと、
をさらに含む、請求項1乃至18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記計算は、ベジェ曲線手法、及び/または、前記データについて行われる曲線、弧、多項式などを処理する数学的手法に基づいている、請求項1乃至19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記受け取った情報データに基づいて既存の道路網グラフの変化を検出するステップと、
前記変化を保存するステップと、
前記変化を前記既存の道路網グラフに導入するステップと、
をさらに含む、請求項1乃至20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記導入することは統計情報に基づいている、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記網グラフに関連する情報を前記複数の車両の少なくとも1つの車両へ送信することをさらに含む、請求項1乃至22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記情報データの前記圧縮ステップを前記モデル化エンティティ内及び/または前記複数の車両内で選択的に実行することをさらに含む、請求項1乃至23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記情報データを保存するステップをさらに有する、請求項1乃至24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記計算は固定小数点値を算出するデジタル計算手法に基づいている、請求項1乃至25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記情報データは測定データを含み、前記方法は、所定のしきい値に応じて前記測定データを正規化することをさらに含む、請求項1乃至26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記保存は、圧縮アルゴリズム、ハッシュ化アルゴリズム、暗号化アルゴリズムなどの実行の後に行われる、請求項1乃至27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
マルチパス現象/効果の存在有無を検出し、検出した場合には、前記計算ステップの間に前記受け取った情報に対してより少ない重みを割り当てることをさらに含む、請求項1乃至28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記複数の車両内の位置情報提供エンティティによって道路寸法及び/または大きさを測定することをさらに含む、請求項1乃至29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記エンティティは前記車両内のGPSトランシーバである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記GPSトランシーバはジャイロスコープ等に接続されている、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
曲線類似性が前記道路網グラフ上で前記車両の位置を決定するのに使用される、請求項1乃至32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
コンピュータプログラム製品であって、プログラムがプロセッサベースの装置、端末装置、ネットワーク装置、携帯端末、家庭用電子機器、または移動通信可能な端末上で実行されるとき、請求項1乃至33のいずれか1項に記載の動作を実行するプログラムコード部を有するコンピュータプログラム製品。
【請求項35】
コンピュータプログラム製品であって、プログラム製品がプロセッサベースの装置、端末装置、ネットワーク装置、携帯端末、家庭用電子機器、または移動通信可能な端末上で実行されるとき、請求項1乃至34のいずれか1項に記載の動作を実行する、機械読み取り可能な媒体に格納されたプログラムコード部を有するコンピュータプログラム製品。
【請求項36】
ソフトウェアツールであって、プログラムがプロセッサベースの装置、端末装置、ネットワーク装置、携帯端末、家庭用電子機器、または移動通信可能な端末上で実行されるコンピュータプログラムに実装されるとき、請求項1乃至35のいずれか1項に記載の動作を実行するプログラム部分を有するソフトウェアツール。
【請求項37】
搬送波に具現化され、プロセッサによって実行されたときに請求項1乃至36のいずれか1項に記載の方法の動作を実行させる命令を表すコンピュータデータ信号。
【請求項38】
道路網グラフをモデル化するサーバ装置であって、
複数の車両から当該車両の少なくとも位置データを含む情報データを受け取る要素部分と、
前記受け取ったデータにしたがって前記道路網グラフをモデル化する要素部分と、
を有する、サーバ装置。
【請求項39】
前記道路網グラフの第1近似を計算する要素部分と、
前記第1近似内で道路及びジャンクションをプロファイル化して、プロファイル化された道路網グラフを発生する要素部分と、
前記プロファイル化された道路網の検証を行う要素部分と、
をさらに有する、請求項38に記載のサーバ。
【請求項40】
前記受け取った情報に基づいて前記道路網グラフの変化を検出する要素部分と、
前記変化を保存する要素部分と、
前記変化を前記道路網グラフに含ませる要素部分と、
をさらに有する、請求項38に記載のサーバ。
【請求項41】
前記受け取った情報に基づいて前記道路網グラフを解析する要素部分と、
解析結果を第三者に報告する要素部分と、
をさらに有する、請求項38に記載のサーバ。
【請求項42】
前記モデル化エンティティ内で前記情報の圧縮ステップを選択的に実行する要素部分をさらに有する、請求項38に記載のサーバ。
【請求項43】
少なくとも、前記複数の車両から受け取った前記情報の生データ、該生データに関連付けられた属性、及び道路網グラフなどを保存する要素部分をさらに有する、請求項38乃至42のいずれか1項に記載のサーバ。
【請求項44】
マルチパス現象/効果の存在有無を検出する要素部分とと、
前記受け取った情報に対してより少ない重みを割り当てる要素部分と、
をさらに有する、請求項38乃至43のいずれか1項に記載のサーバ。
【請求項45】
前記複数の車両内の位置情報提供エンティティによって道路寸法を測定する要素部分をさらに有する、請求項38乃至44のいずれか1項に記載のサーバ。
【請求項46】
前記受け取った情報データは前記複数の車両からの少なくとも1つの車両の移動経路を示しており、各移動経路は数学的手法によって記述され、
さらに、前記少なくとも1つの車両に関連付けられた移動経路を平均化する要素部分を有する、請求項38乃至45のいずれか1項に記載のサーバ。
【請求項47】
前記数学的手法は、ベジェ曲線、弧、または多項式などの少なくとも1つに対応する、請求項46に記載のサーバ。
【請求項48】
道路網グラフをモデル化するシステムであって、請求項38に記載の複数のサーバ装置と、複数の情報データ提供車両と、を有するシステム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−503638(P2009−503638A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−522073(P2008−522073)
【出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【国際出願番号】PCT/IB2005/002129
【国際公開番号】WO2007/010317
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(508021749)テラーゴ インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】TELARGO INC.
【Fターム(参考)】