適応光学系を有する顕微鏡検査法
光学系の後瞳がセグメント化され、該セグメントが波面変調デバイスによって個々に制御され、光学系内の励起または放射ビームの個々のビームレットの方向および位相を制御して、サンプルおよびシステムによって誘導される収差に対する適応光学系補正を提供する顕微鏡検査技術。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2009年7月9日に出願された「Adaptive Optics Using Pupil Segmentation」と題する米国仮特許出願第61/224,102号明細書、2009年10月1日に出願された「Adaptive Optics Using Pupil Segmentation」と題する米国仮特許出願第61/247,929号明細書、2009年11月23日に出願された「Adaptive Optics Using Pupil Segmentation」と題する米国仮特許出願第61/263,614号明細書、及び、2009年11月30日に出願された「Adaptive Optics in Widefield Microscopy」と題する米国仮特許出願第61/265,225号明細書との優先権を主張する。これらの先に出願された出願の各々の主題は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、顕微鏡検査法に関し、特に、適応光学系を有する顕微鏡検査法に関する。
【背景技術】
【0003】
光学顕微鏡法は、数世紀前の発明以来、注目すべきコントラスト機構およびハードウェアの実現とともに多くの段階を通じて進化してきた。しかしながら、その使用に関する基本的な動機、すなわち、裸眼で識別できない造りを解像することができることは変わっていない。結果として、より高い分解能への動きが近年における光学顕微鏡開発の焦点になっており、従来の光学顕微鏡法の回折限界を打ち破るためにいくつかの方法が示されている。こうした努力にもかかわらず、多くの場合に正当に評価されない1つの事実が残っており、すなわち、多くの生物サンプルでは、高性能な研究用顕微鏡の場合でさえも回折限界の分解能が実現されることは稀である。光学顕微鏡の理想的な画像性能では、設定された浸漬媒体の光学特性と同じ光学特性を有するサンプルに励起光および放射光の両方あるいはどちらか一方を通す必要があり、このような条件からのずれがあると、収差として知られる光学的歪みが生じて、信号、画像忠実度、および分解能の損失をもたらす。実際に、生物サンプルは、不均質な光学特性を有しており、したがって、画像は生物組織内の深さが増すにつれて次第に画質が低下する。
【0004】
天文学で使用される光学望遠鏡の場合にも同様の課題が存在する。遠方の星からとらえられる光は、まず地球の擾乱大気を横断しなければならず、擾乱大気が光学的歪みを与えて画像品質を著しく低下させる。適応光学系(「AO」)と総称される、このような歪みを積極的に補正する方法によって、地上望遠鏡では地球外物体の回折限界画像が得られるようになった。天文学における適応光学系は概念的に簡単であり、すなわち結像面の近くに配置されるセンサーが歪んだ波面を直接測定し、可変鏡などの能動光学素子がこの波面をフィードバックループで修正して回折限界性能を回復させる。しかしながら、顕微鏡検査法における適応光学系は、収差のある波面を直接的に測定することが困難であるためにさほど容易でなく、結局のところ、試料内に波面センサーを配置することができることは稀である。試料からの後方散乱光はこのような直接波面センシングに使用されてきたが、このような方法は、結像面に対する収差と結像面からの収差のいずれをも激しく変化させる可能性があり、多重散乱光によってさらに複雑化する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Panagopoulou,S.I.,Neal,D.R.,「Zonal matrix iterative method for wavefront reconstruction from gradient measurements,」J.Refract.Surg.21,S563−S569(2005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示では、光学系の後瞳がセグメント化され、セグメントが波面変調デバイスによって個々に制御され、光学系内の励起ビームまたは放射ビームの個々のビームレットの方向および位相を制御し、サンプルおよびシステムによって誘発される収差に対する適応光学系補正を行う顕微鏡検査技術を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一般的な態様では、サンプルの画像を形成する方法は、サンプル内の焦点にビームの断面が個々のビームレットを含む励起光のビームを収束させるステップと、焦点をサンプル内の複数の異なる位置まで走査するステップとを含む。個々のビームレットの角度は焦点が複数の異なる位置にあるときに個々に制御され、個々のビームレットの相対位相は焦点が複数の異なる位置にあるときに個々に制御される。焦点から放射される放射光は、焦点が複数の異なる位置にあるときに検出され、サンプルの画像は焦点の複数の異なる位置から検出された放射光に基づいて作成される。
実施形態は、以下の特徴の1つまたは複数を含むことができる。例えば、個々のビームレットの角度を個々に制御するステップは、個々のビームレットに対応する個々の小区域を含む波面変調素子によって励起ビームを変調するステップと、個々の小区域内で対応する個々のビームレットの位相に空間的勾配を誘導するために対応するビームレットに小区域によって与えられる位相値のプロファイルを制御するステップとを含むことができる。複数の異なる位置はサンプルの平面内に位置してもよく、平面はサンプル内の励起ビームの軸に対して垂直または非垂直であってよい。励起光は第1の波長を有していてもよく、放射光は第1の波長よりも小さい(例えば、第1の波長のおよそ半分の)第2の波長を有する。波面変調素子は、空間光変調器を含んでいてもよく、空間光変調器の活性層から反射される光にグローバル・フレーズ・ランプ(global phrase ramp)を適用して、空間光変調器の前面から反射される光と活性層から反射される光との間に非ゼロ角度を誘導するステップをさらに含むことができる。
【0008】
位相値のプロファイルが決定されうる。一実施形態では、位相値を決定するステップは、励起ビームの複数の異なるビームレットをサンプル内の参照物体に照射するステップを含んでいてもよく、複数の異なるビームレットが波面変調素子の種々の対応する小区域によって変調される。参照物体からの放射光は参照物体に複数の異なるビームレットが照射されるときに検出されてもよく、サンプル内の参照物体の位置は参照物体に複数の異なるビームレットが照射されるときに検出される放射光に基づいて決定されてもよい。決定された位置に基づいて、対応するビームレットの位相に空間的勾配を誘導するために、ビームレットが位相に空間的勾配を含むときに位置が互いに実質的に等しくなるように、小区域の対応するビームレットに各小区域によって与えられる位相値のビームレット−角度−補正プロファイルについての決定がなされうる。別の実施形態では、位相値を決定するステップは、複数のビームレットにおいて、波面変調素子の小区域に対応する各ビームレットに対して(a)ビームレットをサンプル内の参照物体に照射するステップと、(b)参照物体にビームレットが照射されるときにサンプル内の参照物体から放射光を検出するステップと、(c)検出された放射光に基づいてサンプル内の参照物体の位置を決定するステップとを含むことができる。この後、決定された位置に基づいて、ビームレットが位相に空間的勾配を含むとき、ビームレットが位相に空間的勾配を含まないときに形成される焦点よりも小さいサイズを有するサンプル内の焦点で交差するように、対応するビームレットの位相に空間的勾配を誘導するために、小区域の対応するビームレットに各小区域によって与えられる位相値のビームレット−角度−補正プロファイルについての決定がなされうる。参照物体は蛍光ビーズであってもよい。
【0009】
位相値のプロファイルを決定するステップは、位相値のビームレット−角度−補正プロファイルに基づいて、焦点におけるビームレット間に建設的干渉をもたらすことになる波面変調素子でビームレット間の相対位相を決定するステップをさらに含むことができる。位相値のプロファイルを決定するステップは、波面変調素子の参照小区域によって変調される参照ビームレットをサンプル内の参照物体に照射するステップと、参照物体を照射するために波面変調素子の異なる個々の小区域によって複数の異なるビームレットを連続的に変調させるステップとをさらに含むことができる。各ビームレットに対して、焦点におけるビームレットと参照ビームレットとの間に建設的干渉をもたらすことになるビームレットと参照ビームレットの間の相対位相を誘導するために、ビームレットの対応する小区域によってビームレットに与えられる位相値のプロファイルについての決定をすることができる。
【0010】
別の一般的な態様では、顕微鏡システムは、励起光を放射するように構成された光源と、サンプル内の焦点に励起光のビームを収束させるように構成された収束素子と、個々のビームレットを含む励起ビームの断面と、サンプル内の複数の異なる位置で焦点を走査するように構成された走査素子と、焦点が複数の異なる位置にあるときに励起光を変調し個々のビームレットの角度および相対位相を制御するように構成された波面変調素子と、焦点が複数の異なる位置にあるときに焦点から放射される放射光を検出するように構成された検出器と、焦点の複数の異なる位置から検出された放射光に基づいてサンプルの画像を作成するように構成されたプロセッサとを含む。
【0011】
実施形態は、以下の特徴の1つまたは複数を含むことができる。例えば、波面変調素子は、個々のビームレットに対応する波面変調素子の個々の小区域内で、個々の対応するビームレットの位相に空間的勾配を誘導するために、対応するビームレットに小区域によって与えられる位相値のプロファイルを制御することによって、個々のビームレットの角度を制御するように構成されうる。複数の異なる位置はサンプルの平面内にあり、平面はサンプル内の励起ビームの軸に垂直または非垂直であることができる。励起光は第1の波長を有していてもよく、放射光は第1の波長よりも小さい第2の波長を有する。波面変調素子は、空間光変調器の前面から反射された光と活性層から反射された光との間に非ゼロ角度を誘導するために、空間光変調器の活性層から反射された光にグローバル・フレーズ・ランプを適用するように構成された空間光変調器を含むことができる。
【0012】
波面変調素子は、サンプルに達しない方向に個々のビームレットの方向を変調し、サンプル内の参照物体に励起ビームの残りの異なる個々のビームレットが照射され、複数の異なるビームレットは波面変調素子の種々の対応する小区域によって変調されて、参照物体に複数の異なるビームレットが照射されるときにサンプル内の参照物体からの放射光が検出されうるように、さらに構成されることができる。1つまたは複数のプロセッサが含まれることができ、参照物体に複数の異なるビームレットが照射されるときに検出される放射光に基づいてサンプル内の参照物体の位置を決定し、決定された位置に基づいて、位置が実質的に互いに等しくなるように対応するビームレットの位相に空間的勾配を誘導するために、小区域の対応するビームレットに各小区域によって与えられる位相値のビームレット−角度−補正プロファイルを決定することによって位相値のプロファイルを決定するように構成されることができる。波面変調素子とサンプルとの間の励起ビームの経路に沿って位置する視野絞りが含まれることができ、サンプルに達しない方向に変調される励起光のビームレットを阻止するように構成されることができる。
【0013】
位相値のプロファイルを決定するステップは、位相値のビームレット−角度−補正プロファイルに基づいて、焦点におけるビームレット間に建設的干渉をもたらすことになる波面変調素子でビームレット間の相対位相を決定するステップをさらに含むことができる。波面変調素子は、サンプルに達しない方向に個々のビームレットの方向を変調し、サンプル内の参照物体に励起ビームの残る異なる個々のビームレットが照射されて、複数の異なるビームレットが波面変調素子の種々の対応する小区域によって変調され、参照物体に複数の異なるビームレットが照射されるときにサンプル内の参照物体からの放射光が検出されうるように、さらに構成されてもよい。1つまたは複数のプロセッサを含むことができ、各異なる個々のビームレットに対して、個々のビームレットと参照ビームレットの間の焦点に建設的干渉をもたらすことになるビームレットと参照ビームレットの間に相対位相を誘導するために、ビームレットの対応する小区域によってビームレットに与えられる位相値のプロファイルを決定することによって、位相値のプロファイルを決定するように構成されることができる。
【0014】
別の一般的な態様では、サンプルの画像を形成する方法は、励起光をサンプルに照射するステップと、サンプルによって放射される光を対物レンズで集めるステップと、集められた光のビームを波面変調素子によって変調するステップとを含み、変調された光のビームの断面は個々のビームレットと、個々のビームレットが波面変調素子の異なる個々の小区域によって変調される個々に制御する角度と、波面変調素子によって変調する光を画像化することとを含む。
【0015】
実施形態は、以下の特徴の1つまたは複数を含むことができる。例えば、個々のビームレットの角度を個々に制御するステップは、個々のビームレットに対応する波面変調素子の個々の小区域内に、個々の対応するビームレットの位相に空間的勾配を誘導するために、対応するビームレットに小区域によって与えられる位相値のプロファイルを制御するステップを含むことができる。ビームレットが個々の小区域によって変調される位相値のプロファイルは、(a)波面変調素子にフレネルレンズのパターンを与え、その際に、種々のフレネルレンズが波面変調素子の複数の異なる小区域に与えられるステップと、(b)励起光をサンプル内の参照物体に照射するステップと、(c)フレネルレンズのパターンが波面変調素子に与えられている状態で参照物体によって放射される光を集めるステップと、(d)変調されて集められた光のビームの断面が個々のビームレットを含んでおり、フレネルレンズのパターンが与えられる状態で波面変調素子で集められた光のビームを変調するステップと、(e)集められて変調された光を画像化するステップと、(f)画像化された光の参照物体の画像のパターンの位置の特徴を参照物体の画像の理想パターンの位置の特徴と比較するステップと、(g)比較に基づいて、2つのパターン間の差異を減らすことになる位相値のプロファイルを決定するステップと、によって決定されうる。
【0016】
波面変調素子は空間光変調器を含むことができ、空間光変調器の前面から反射される光と活性層から反射される光との間に非ゼロ角度を誘導するために、グローバル・フレーズ・ランプが空間光変調器の活性層から反射される光に適用されてもよい。
【0017】
別の一般的な態様では、顕微鏡システムは、サンプルを照射するように構成された励起光源と、サンプルによって放射される光を集めるように構成された集光光学系と、波面変調素子と、検出器とを含むことができる。波面変調素子は集められた光のビームを変調するように構成されてもよく、反射された光のビームの断面が個々のビームレットを含み、波面変調素子は個々のビームレットが波面変調素子の異なる個々の小区域から反射される角度を個々に制御するように構成されることができる。検出器は、波面変調素子から反射される光を画像化するように構成されることができる。
【0018】
実施形態は、以下の特徴の1つまたは複数を含むことができる。例えば、個々のビームレットの角度を個々に制御するステップは、個々のビームレットに対応する波面変調素子の個々の小区域内に、個々の対応するビームレットの位相に空間的勾配を誘導するために、対応するビームレットに小区域によって与えられる位相値のプロファイルを制御するステップを含むことができる。波面変調素子は、空間光変調器の前面から反射される光と活性層から反射される光との間に非ゼロ角度を誘導するために、空間光変調器の活性層から反射される光にグローバル・フレーズ・ランプを適用するように構成される空間光変調器を含むことができる。
【0019】
1つまたは複数のプロセッサが含まれることができ、小区域によって与えられる位相値のプロファイルを決定するように構成されることができて、決定するステップは、(a)波面変調素子にフレネルレンズのパターンを与え、その際に、複数の異なるフレネルレンズが波面変調素子の複数の異なる小区域に与えられるステップと、(b)励起光をサンプル内の参照物体に照射するステップと、(c)フレネルレンズのパターンが波面変調素子に与えられている状態で参照物体によって放射される光を集めるステップと、(d)変調されて集められた光のビームの断面が個々のビームレットを含んでおり、フレネルレンズのパターンが与えられる状態で波面変調素子で集められた光のビームを変調するステップと、(e)集められて変調された光を画像化するステップと、(f)画像化された光の参照物体の画像のパターンの位置の特徴を参照物体の画像の理想パターンの位置の特徴と比較するステップと、(g)比較に基づいて、2つのパターン間の差異を減らすことになる位相値のプロファイルを決定するステップと、を含む。
【0020】
1つまたは複数の実施形態の詳細を添付図面および以下の説明に記載する。他の特徴は、説明および図面から、また特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】適応光学系がシステム及び/又はサンプル収差の補正に使用されるポイントスキャン顕微鏡検査法に使用することのできる顕微鏡システムの概略ブロック図である。
【0022】
【図2】適応光学系がシステム及び/又はサンプル収差の補正に使用されるポイントスキャン顕微鏡検査法に使用することのできる顕微鏡システムの概略ブロック図である。
【0023】
【図3】図3aは、対物レンズに当たって収差なしで回折限界焦点に収束されている平面波光ビームの概略図である。
【0024】
図3bは、波の経路に沿った不均一性によって収差を受けているときの、対物レンズに当たって回折限界焦点に収束されている平面波光ビームの概略図である。
【0025】
図3cは、波の経路に沿った不均質性によって収差を受けているときの、対物レンズに当たって回折限界焦点に収束されている複数のビームレットから構成される歪み波光ビームの概略図であり、受ける収差はビームレットが対物レンズの後瞳に入る角度および相対位相によって補償される。
【0026】
【図4A】ビームの経路に沿った不均質性によって収差を受けているときの、サンプル内の対物レンズに当たって回折限界焦点に収束されている平面波励起光ビームと、物体の放射光から作られるサンプル内の物体の対応する画像との概略図である。
【0027】
【図4B】対物レンズに当たってサンプル内の焦点に回折されている図4Aの励起光ビームのビームレットと、物体の放射光から作られる物体の対応する画像との概略図である。
【図4C】対物レンズに当たってサンプル内の焦点に回折されている図4Aの励起光ビームのビームレットと、物体の放射光から作られる物体の対応する画像との概略図である。
【図4D】対物レンズに当たってサンプル内の焦点に回折されている図4Aの励起光ビームのビームレットと、物体の放射光から作られる物体の対応する画像との概略図である。
【0028】
【図4E】ビームレットの経路に沿った不均質性によって収差を受けているときの、対物レンズに当たって回折限界焦点に収束されている複数のビームレットから構成される歪み波光励起ビームの概略図であり、受ける収差はビームレットが対物レンズの後瞳に入る角度によって補償される。
【0029】
【図4F】光ビームの参照ビームレットとともに示す、図4Eの励起光ビームのそれぞれのビームレットの概略図であり、それぞれのビームレットと参照ビームレットはいずれも対物レンズに当たってサンプル内の焦点に回折されており、それぞれのビームレットと参照ビームレットの間の複数の異なる相対位相が示され、放射光の信号は相対位相の関数としてサンプルから放射される。
【図4G】光ビームの参照ビームレットとともに示す、図4Eの励起光ビームのそれぞれのビームレットの概略図であり、それぞれのビームレットと参照ビームレットはいずれも対物レンズに当たってサンプル内の焦点に回折されており、それぞれのビームレットと参照ビームレットの間の複数の異なる相対位相が示され、放射光の信号は相対位相の関数としてサンプルから放射される。
【0030】
【図4H】対物レンズに当たる複数のビームレットから構成される歪み波光励起ビームの概略図であり、個々のビームレットはサンプル内の回折限界焦点に同相で収束されるように対物レンズの後瞳に当たるビームレットにおける相対位相および角度が制御される。
【0031】
【図5】図5aは対物レンズの後瞳をセグメント化するために使用される3つの独立したマスクの概略図である。
【0032】
図5bは対物レンズの後瞳をセグメント化するために使用される9つの独立したマスクの概略図である。
【0033】
図5cは対物レンズの後瞳で9つのセグメントを作るために重複する6つのマスクの概略図である。
【0034】
図5dは対物レンズの後瞳に18のセグメントを作るために互いに重複するように複数の位置に配置される9つのマスクの概略図である。
【0035】
【図6】サンプルを通る光に収差を誘導するサンプルの概略図である。
【0036】
【図7】適応光学系技術を用いて収差を補正する広視野顕微鏡検査システムの概略図である。
【0037】
【図8】適応光学系技術を用いて収差を補正する広視野顕微鏡検査システムの概略図である。
【0038】
【図9A】波面変調素子に適用されるフレネル・ゾーン・プレート・パターンの概略図である。
【0039】
【図9B】図9Aのフレネル・ゾーン・プレート・パターンを有する物体の画像化によって形成される物体の画像の概略図である。
【0040】
【図9C】波面変調素子に適用されるフレネル・ゾーン・プレート・パターンの配列の概略図である。
【0041】
【図9D】図9Cのフレネル・ゾーン・プレート・パターンの配列を有する物体の画像化によって形成される物体の画像の配列の概略図である。
【0042】
【図10】サンプルの画像を形成するプロセスのフローチャートである。
【0043】
【図11】サンプルの画像を形成するプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、適応光学系がシステム及び/又はサンプル収差の補正に使用されるサンプルのポイントスキャン顕微鏡検査法に使用されうる顕微鏡検査システム100の概略ブロック図である。ポイントスキャン顕微鏡検査法では、回折限界点に光が収束され、該点に由来する信号光は非結像検出器(例えば、光電子増倍管)に入る。物体の画像は、サンプルの焦点の全域を走査し、焦点の複数の異なる位置から得られた信号光から画像をコンピュータで構成することによって形成される。システムは励起光源102を含む。ある実施形態では、光源102は、近赤外線励起光ビームを発生する1フェムト秒パルスのチタン:サファイアレーザー(例えば、モデルChameleon Ultra II、Coherent Inc.製)を含むことができる。励起光ビームは、1対のガルバノメータ104a、104bから反射されて、励起光ビームとサンプル106における励起ビームの焦点との2次元(2D)ラスター走査(x方向およびy方向の)を提供する。一実施形態では、ガルバノメータは、Cambridge Technology Inc.製の3mmビームアパーチャガルバノメータ、モデル番号6215Hを含むことができる。ガルバノメータ104a、104bは、2つの特注の30mm焦点距離のテレセントリックf−θレンズ108a、108bによって光学的に互いに共役関係にある。第3のレンズ110と特注の150mm焦点距離のテレセントリックf−θレンズ112は、波面変調素子(「WME」)114に対してガルバノメータ104bが共役となるように機能し、さらにWMEの寸法によく合うように励起ビームを拡大する。
【0045】
一実施形態では、WME114は、液晶相のみの空間光変調器(例えば、1920×1080ピクセル、PLUTO−NIR空間光変調器、Holoeye Photonics AG製)を含むことができる。他の実施形態では、WME114は、可変鏡(例えば、Mirao 52−e、Imagine Eyes,Inc製)またはマイクロミラーのアレイ(例えば、Boston Micrmachines製、Kilo−DM)を含むことができる。WME114は、システムまたはサンプルで誘発される収差の特殊AO補正を行うようにプログラムされることができる。WMEとして反射型液晶相のみの空間光変調器(SLM)を使用することの利点は、ピクセル数が高い(例えば、1920×1080ピクセル)ために、これは各々が滑らかに変化する線形位相ランプを有する多くの小区域に容易に分割されうるうえに、小区域が全く独立していることもあり、可変鏡の場合のように機械的に結合されないことである。WME114に対するガルバノメータ104aおよび104bの共役によって、WME114の各小区域における励起ビームの強度がビーム走査中も確実に一定に保たれる。
【0046】
WME114自体は、励起ビームをサンプル106内の焦点120に収束させる顕微鏡対物レンズ118に対して1対のレンズ116a、116bによって共役の関係にある。一実施形態では、対物レンズ118は、16mm径の後瞳を有する20×NA 1.0水浸対物レンズ(例えば、モデルW Plan−APOCHROMAT、Carl Zeiss Inc.製)とすることができる。別の実施形態では、対物レンズ118は、20mm径の後瞳を有する16×NA 0.8水浸対物レンズ(例えば、モデルLWD 16×W、Nikon Corp.製)とすることができる。
【0047】
対物レンズ118に対するWME114の共役関係によって、WME114で適用される補正位相パターンは、励起ビームの走査中およびサンプル106内の焦点120の走査中に、後瞳孔を横切って振動しないことが保障される。レンズ116a、116b間の中間像面にある視野絞り122は、望ましくない比較的高い回折次数からの光と、WMEの前面からの鏡面反射(WMEがSLMなどの反射素子を含むとき)と、サンプル106に入らないように意図された角度でのWME114の小区域から反射される光とを阻止するように機能する。
【0048】
ツァイス(Zeiss)対物レンズの場合(デザインNA 1.0)、WME114における6.0mmの1/e2ビーム半径と、後瞳半径aに正規化された開口率σ/a=0.75に対する対物レンズ118の後瞳とが採用されうる。ニコン(Nikon)対物レンズ(デザインNA 0.8)の場合、正規化された開口率σ/a=1.2に対して、1/e2ビーム半径σはWME114において6.0mmであってもよく、1/e2ビーム半径は対物レンズ118の後瞳において12.0mmであってもよい。これらの開口率によって、位相補正は励起ビームのほとんどに適用されるようになり、かつ励起ビームエネルギーのほとんどは対物レンズ118に入るようになる。ツァイス対物レンズの比較的低い開口率によって、対物レンズは深部の生体内撮像により適したものとなるが、ニコンの場合の比較的高い開口数では分解能を最大にするために対物レンズNAがより有効に利用される。ツァイス対物レンズの場合、適応光学系補正に使用されるWME領域は長方形であるが、ニコン対物レンズの場合、WME領域は正方形である。
【0049】
対物レンズの真上の2色性ロング・パス・ビームスプリッタ124は、励起ビーム光をサンプル106に伝達することができ、サンプル106から放射される放射光の蛍光信号を反射することができる。反射された放射光は、この後、検出器126で検出されうる。検出器126は、1つまたは複数の光電子増倍管チューブ(例えば、モデルH7422−40、Hamamatsu製)でありうる。対物レンズ118は、z軸ステージ128によってサンプル106に当たる励起ビームの軸方向に移動されることができる。システム100は、1つまたは複数のプロセッサ及び/又はコンピュータデバイス150を含んでいてもよく、これらはシステムの他の素子を制御し、及び/又はシステムから得られる情報を処理するように動作してもよい。例えば、プロセッサ及び/又はコンピュータデバイス150は、WME114の光学特性を制御するために、ミラー及びレンズを含むシステム内の光学素子の位置及び/又は角度を制御するために光源102の出力および周波数を制御するように動作することができる。また、プロセッサ及び/又はコンピュータデバイス150は、検出器126によって検出される光に関する情報を処理するように動作することができる。例えば、プロセッサ及び/又はコンピュータデバイス150も、検出された光に基づいてサンプル106の画像を作成してもよく、例えば、システムがポイントスキャン顕微鏡検査法に使用されるとき、プロセッサ及び/又はコンピュータデバイス150は、焦点120がサンプル106内の複数の異なる位置にあるときに放射光の量および質に関する情報に基づいてサンプル106の画像を作成してもよい。
【0050】
図2は、図1に示すシステム100のさらなる詳細を示す顕微鏡システム100の概略ブロック図である。システムの一部のさらなる詳細は、1)サンプルにおいて所望のレーザー強度を設定し、2)レーザー強度を安定化し、c)ビームがサンプル106の走査に使用されていないときに、あるいは走査中のxガルバノメータ104aのフライバック中に励起ビームを削除するために、アナログ・フィードバック・ループで、ビームピックオフ204(例えば、モデル7940ビームピックオフ、Omega Optical製)、光検出器206(例えば、モデルPDA100A光検出器、ThorLabs製)、及び比例−積分−微分コントローラ(図示せず、例えば、SIM960コントローラ、Stanford Research Systems製)と結合されうる電気光学変調器(「EOM」)202(例えば、モデル350−80LA EOM、Conoptics Inc.製)を含む。励起ビームの出力が確実に制御されうる(例えば、励起ビームのフルパワーの0.01%〜100%)ダイナミックレンジをさらに拡大するために、一連の中性密度フィルターを有するフィルターホイール208(例えば、Lambda 10−Bフィルターホイール、Sutter Instruments製)が使用されることができる。EOM 202から顕微鏡対物レンズ118までの長い経路にわたる励起ビームの発散を最小にするために、A2×ビーム拡大器210(例えば、モデルBE02M−B、Thorlabs Inc.製)が使用されることができる。逆に、高速移動ステージ214(例えば、モデルM−663、Physik Instrumente,GmbH製)に取り付けられた2xビームレジューサ212(例えば、モデルBE02M−B、Thorlabs Inc.製)が、必要に応じてWME114の小区分にビームを集中するために、励起ビームの経路に往復的に送り込まれることができる。同じ対の高速移動ステージに取り付けられた1対のミラー216は、WME114に対して二次元でビームの位置を合わせることができる。ビームレジューサ212とレーザー位置決めミラー216の動作を以下でさらに詳しく説明する。
【0051】
顕微鏡対物レンズは、軸方向の2Dおよび3D画像化のための高速単一軸圧電屈曲ステージ218(例えば、モデルP−733.ZCLステージ、Physik Instrumente,GmbH製)に取り付けられうる。検出経路に沿って、蛍光は、まずレンズ220(例えば、LA1002−Aレンズ、Thorlabs製)によってコリメートされ、カスタム2色性ビームスプリッタ222(例えば、Q560DCXRビームスプリッタ、Chroma Technology Corp.製)によって赤色および緑色成分に分けられ、2つの新たなレンズ224、226(例えば、モデルLA1002−Aレンズ、Thorlabs製)によって再収束され、この後、2つのPMT 226、228で検出されうる。緑色の蛍光が1対のフィルター230(例えば、ガラスフィルター:モデルCG−BG−39−1.00−2、CVI製、および帯域通過フィルター:モデルFF01−510/84、Semrock製)によって第1のPMT 226で選択され、赤色の蛍光が別のフィルター対232(例えば、帯域通過フィルター:モデルFF01−617/73、Semrock製、および帯域通過フィルター:モデルFF01−630/69、Semrock製)によって第2のPMT 228で選択されうる。低ノイズ電流増幅器(例えば、モデルDLPCA−200増幅器、FEMTO Messtechnik,GmbH製)が2つのPMT226、228で測定される信号を昇圧するために使用されることができ、高速リセット・カスタム・アナログ積分器が各ピクセルの時間的経過にともなって得られる増幅された電流スパイクを加算して、赤色および緑色の画像を形成するためのディジタル化される2つの最終信号を生み出すために使用されることができる。
【0052】
図1および図2のシステム100は、例えば、厚い組織における2光子蛍光顕微鏡検査法に使用されてもよく、その場合、励起光のビームはサンプル106内の焦点に強く収束され、焦点がサンプル106を通じて走査される間に放射光が焦点120から検出される。2光子顕微鏡検査法では、画像品質に影響を与える収差のみが焦点120の強収束を劣化させるので、この収差のみが収束された励起光によって受ける収差である。焦点120の空間強度プロファイルは電磁理論から計算されてもよく、かつその理想的な回折限界からのずれは収差モードの無限級数の形で数学的に記述されてもよいが、ここでは、本発明者らはその代わりに収差補正のために直感的な適応光学系アルゴリズムにつながる焦点形成の簡単な物理的モデルに従う。
【0053】
このモデルでは、顕微鏡対物レンズ118の後瞳に入るすべての光線が曲げられて共通位相を有して共有点で交わるときに、回折限界焦点120が生じるものと考えられ−すなわち、焦点は最大の建設的干渉点である。このような状態は図3aに示されており、ここでは、平面波302として顕微鏡対物レンズ304に当たるビームは顕微鏡対物レンズ304によって点306に収束され、ビームのビームレット308、310、312の各例は同じ焦点306に収束される。しかしながら、図3bに示すように、対物レンズ304と公称焦点306の間の経路に沿った予期せぬ屈折率の不均質性によってビームレット308、310、312が偏向される可能性があるので、これらのビームレットはすべてが焦点で交わるわけでなくかつ/またはビームレット308、310、312の相対位相をシフトさせる可能性があり、したがって個々のビームレットは焦点において他のビームレットとさほど建設的に干渉しない。
【0054】
図3cに示すように、顕微鏡対物レンズの後瞳に光学的に共役な波面変調素子114などの能動光学素子を使用すると、このようなビームレットは個々に焦点306に戻されることができ、ビームレットの相対位相はすべてのサンプルによって誘導された収差を効果的に無効にするように再び最適化され、したがって、回折限界焦点306が得られうる。このような能動光学素子が収差を補正するために使用されるとき、顕微鏡対物レンズの後瞳に当たるビームは平面波でなく、ビームレットは対物レンズ304およびサンプルを通り、非常に低い空間的広がりを有する焦点において同相で強く収束されるように、むしろ、後瞳に垂直な角度で、互いに相対位相を有して、後瞳の位置で後瞳に当たるビームレット316、318、320を含む歪み波314である。当然ながら、ビームレットの無限連続体を個々に取り扱うことは可能でないが、能動素子114を各小区域が独立した調整可能な平面的な位相パターンを有するN個の小区域に分割し、それによって傾斜角と相対位相オフセットを個々に制御可能なN個のビームレットに後瞳を分けることは可能である。後瞳全体に必要な補正位相パターンの複雑さが増すと、正確な近似を実現するためにより多くの小区域Nが必要である。しかしながら、収差が多種多様である場合に、回折限界性能を取り戻すためにはN<100であれば通常は十分である。
【0055】
WME114の個々の小区域によって変調されるビームレットを共通焦点120にまとめるために、まず、対物レンズ118の後瞳が十分に照射される状態でサンプル106の参照画像が取得されることができる。例えば、図4Aに示すように、収差のある励起光のビームを用いて画像が作成されることができる。例えば、サンプル106内の蛍光ビーズは、参照画像を作成するために使用されることができる。適応光学系補正に選定される横方向画像平面は、蛍光参照ビーズなどのサンプル106内の関心対象の特徴の画像の三次元スタックを取得し、ユーザーが定義する関心対象の領域にわたって積分されたような信号が最大となる平面を選択することによって選択されることができる。おそらくは、この平面は最初の理想的な焦点に最も近く、したがって、回折限界性能を取り戻すために最小の補正で済むことになる。
【0056】
参照画像が取得された後、二進位相パターンがWME114のN個の小区域の1つを除くすべてに加えられることができる−これはN個の小区域の1つを除くすべてに関連するビームレットを中間画像平面における視野絞り122によって回折させ阻止させて、これらのビームレットを効果的に「オフ」にする(つまり、これらの小区域に当たる光は対物レンズ118に達しない)パターンである。ビームレットは、ビームレットに関連するWME114の小区域に0およびπの位相シフトの交互の列からなる位相格子を適用することによって「オフ」にされることができる。この位相格子は、これらの小区域によって変調されるビームレットの光のほとんどを、中間画像平面で視野絞り122の中で回折させ、光が遮断される。
【0057】
この後、サンプルの画像(例えば、サンプル内の蛍光ビーズの画像)が、唯一の残る「オン」ビームレットを用いて取得されることができる。ビームレットを理想的な焦点から偏向させる唯一の残る「オン」ビームレットの経路に沿った不均一性は、参照画像に対するこの画像内のシフトとして明らかになる。例えば、図4Bに示すように、図4Bに示すビームレットのみから励起光によって作り出されるサンプル内の蛍光ビーズの画像が、図4Aに示すように、収差のある励起光のすべてのビームレットから作り出される画像(点線参照)から上および左に変位される。例えば、図4Cに示すように、図4Cに示すビームレットのみから励起光によって作り出されるサンプル内の蛍光ビーズの画像が、図4Aに示すように、収差のある励起光のすべてのビームレットから作り出される画像(点線参照)の中心にある。例えば、図4Dに示すように、図4Dに示すビームレットのみからの励起光によって作り出されるサンプル内の蛍光ビーズの画像が、図4Aに示すように、収差のある励起光のすべてのビームレットから作り出される画像(点線参照)から上および右に変位される。
【0058】
簡単な単独の物体の場合、唯一のビームレットからの励起光によって作り出される画像のシフトは画像内の物体における重心のシフトから決定されることができるが、多くの複雑なサンプルの場合、画像相関がシフトを決定するために用いられることができる。さらに複雑なサンプルでは、サンプル内の複数の特徴の画像相関は、種々の瞳のセグメントが作動させられるときに画像シフトを測定するために用いられることができる。例えば、サンプルにおける複数の蛍光ビーズなどの特徴の画像は、ビームレットを共通焦点に導くために比較されて用いられることができる。また、画像相関は、任意の蛍光パターンを有する複雑な生物組織内での適応光学系技術の適用を可能にする。
【0059】
ビーム偏向測定に画像相関を使用する1つの利点は、ユーザーによって選択された相関領域全体にわたる平均収差を測定することであり、したがって、その領域全体にわたって有効な適応光学系補正を提供することである。対応する欠点は、測定された収差が大量の生物組織に関する光学特性の平均値を表すので、これはローカル的屈折率プロファイルが測定平均値と異なる特殊な小区域での最適補正よりも低くなる可能性があるということである。このような領域では、ローカル画像相関またはローカル的特徴の重心推定のいずれかを用いたさらにローカル的な測定が要求されるかもしれない。この後、比較的大きい視野画像は、各々が固有の補正波面で作り出される比較的小さいサブ画像からまとめられることができる。
【0060】
いずれにしても、収差のない方向からの個々のビームレットの傾斜角のシフトが検知された時点で、ビームレットの所望の方向からのビームレットの偏向角度が計算されてもよく、大きさが等しい対頂角がWME114の対応する小区域に適切な位相ランプを適用することによってビームレットに与えられてもよい。
【0061】
このプロセスは、この後、すべてのN個のビームレットが図4Eに示すように共通焦点で交わるまで、WME114の他のN−1個の小区域、および他のN−1個の対応するビームレットに対して繰り返されることができる。N個の小区域に関する傾斜角測定の場合、同時に「オン」であるのは1つの小区域のみであるという事実を補償するために、出力が最初に少なくともN倍に増加されることができる。WME114全体のガウス強度変動に起因して、画像変位を正確に測定すべく、ただしサンプル106で過度な光退色を生じない程度に、十分な信号を得るために必要に応じて各小区域でさらなる出力調整が自動的に行われることができる。
【0062】
つぎに、ビームレットの位相を補正するために、参照ビームレットが他のN−1個のビームレットの1つとともに「オン」にされることができる。この後、図4Fに示すように、焦点における信号が最大になるまで第2のビームレットに与えられる複数の異なる位相を有する一連の画像が取得されることができる。この後、このプロセスは、同じ参照ビームレットを用いて、さらには、残るN−2個のビームレットの各々を用いて、図4Gに示すように繰り返されることができる。この後、適応光学系アルゴリズムが終了し、Nが十分に大きければ、励起光ビームのビームレットは共通焦点においてすべて交わるとともに、回折限界焦点が実現されるように焦点において互いに同相である。異なる個々のビームレットの相対位相を補正するとき、励起光の特定ビームレット出力は十分な信号を実現するが、光退色を回避するために、必要に応じて調整されることができる。光退色をさらに最小にするために、4〜7個の画像のみが各小区域に対して0と2πの間の等間隔位相オフセットで取得されてもよい。この後、これらの画像の各々からの焦点における信号を、関数S=|1+αexp(i(φ−φ0))|4にフィットさせることによって、最大建設的干渉に対する正確な位相オフセットφ0が決定されてもよく、ここで、Sは現在の小区域からの電場と参照小区域またはすべての他の小区域のいずれかからの電場との干渉から生じる2つの光子信号を表す。
【0063】
別の実施形態では、個々のビームレットの位相を補正するために、個々のビームレットを共通焦点において一緒に交わらせるためにWME114によって適用されるビーム偏向角に関する情報が、対物レンズの後瞳全体の位相勾配測定値のアレイを規定するために使用されることができる。これらの位相勾配測定値から、焦点120において個々のビームレットが建設的に干渉するために必要な後瞳における個々のビームレットの相対位相は、非特許文献1に記載されて本明細書で参照によって援用されるように、波面全体の位相の既知の空間的連続性に基づく反復アルゴリズムによって決定されうる。
【0064】
「オン」の小区域では、WMEがSLMなどの反射素子を含むとき、制御不可能であるWMEの前面から鏡面的に反射されるほんの僅かな光からWME114内で変調される光の大部分を分離するために、緩やかでグローバルな位相ランプを適用することができる。適応光学系補正の後、WME114の各小区域に固有の別のローカル位相ランプが、サンプル106において回折限界焦点120を作り出すために必要な個々のビームレットの傾斜角および位相に必要な補正をもたらすためにグローバルな位相ランプに重畳されうる。一実施形態では、WMEの個々の画素は、256の異なるグレースケール値の1つでプログラムされることができる。WMEを制御するために使用される8ビット・グレースケール・レベルとピクセルによって変調されたビームレットにもたらされた実際の位相シフトとの関係は、メーカーの推奨値に従って較正によって決定される。
【0065】
適合光学系プロセスの傾斜角と位相測定値部分の両方に対して、すべての小区域が「オフ」の背景画像が出力レベルが変更されるときには必ず取得されてもよく、背景画像は測定値の精度を保証するために同じ出力レベルで取得されたすべての後続画像から差し引かれてもよい。
【0066】
単一の「オン」小区域は、対物レンズ118の全NAの〜
【数1】
の空間広がりを有するビームレットにおけるサンプル106に対して、励起ビームで得られる出力のせいぜい1/Nを供給するので、適応光学系プロセスアプローチは広ダイナミックレンジの出力で動作すべきである。このため、著しく低減された強度Iの大きい焦点が得られ、2光子励起の場合、信号は|I|2に比例するのでピーク信号Sにさらに大幅な低減が生じる。改善対策は、励起光の単一ビームレットが採用されるときにレーザー出力およびピクセル積分時間を増加することと、2×ビームレジューサ212および1対のビーム・ステアリング・ミラー216を用いて「オン」小区域に励起光を集中することを含むことができる。
【0067】
それにもかかわらず、励起ビームで得られる出力の大きさはやはりビーム偏向測定値の数、従って提供されうる補正の複雑さに実際の制限を課し、後瞳がN個の非重複小区域に分割されるとき一度にオンになるのはその1つのみである(以後、「独立マスクアプローチ」と称する)。比較的高いNをもたらす代替的な方策(以後、「重複マスクアプローチ」と称する)は、一連の重複マスクにおける小区域の隣接するグループをオンにすることを含み、各マスクはWME114の任意の単一の小区域に対応する後瞳領域よりも大きい後瞳領域のほんの一部である1/Mに対応し、それによって著しく強力な焦点を作り出す。ビーム偏向および位相オフセットは、前述のように各マスクに対して測定され、各小区域が固有の1組のマスクによってサンプリングされ、各小区域において固有の補正位相が得られるまで種々のマスクが適用される。
【0068】
図5a、5b、5c、及び5dは、適応光学系補正に対する独立、重複、および段階的重複マスクアプローチの例を提供する。対物レンズ118の後瞳は図において大きい方形で表され、網掛けされた長方形はビーム偏向測定中に特定点においてオンにされる瞳のほんの一部を表す。図5a及び5bに示す独立マスクアプローチでは、対物レンズ118の後瞳は非重複領域にセグメント化される。各領域、すなわち「マスク」は、ビーム偏向測定中に個々に「オン」にされる。マスクされた各小区域における補正波面は、すべての他の区域における平面から独立した平面によって推定される。図5aは独立したマスクアプローチを示し、ここでは、各々が全瞳領域の1/3に対応するWME114に対する3つの非重複マスクがビーム偏向を独立に測定し、3つの瞳小区域の各々における収差を補正する。図5bは独立マスクアプローチを示し、ここでは、各々が瞳領域の1/9に対応するWME114に対する9つの非重複マスクがビーム偏向を独立に測定し、9つの瞳小区域の各々における収差を補正する。
【0069】
図5cに示す重複マスクアプローチでは、ビーム偏向測定中に個々に「オン」となるマスクは他のマスクと重複する。その結果、最終補正波面における平面小区域の全数は、マスク領域に対する瞳領域の比よりも大きい。しかしながら、これらの小区域における位相の最終値は、マスクの重複によって互いに完全に独立でないかもしれない。他方、所与のマスク領域の場合、あるいは同じことであるが、所与のレーザー出力の場合、重複マスクには、さらに多くの小区域を使用することができ、それゆえ、優れた補正が得られる場合が多い。従って、図5cは重複マスクアプローチを示し、ここでは、各々が瞳領域の1/3をカバーするWME114に対する6つの重複マスクによって9つの異なる瞳小区域の各々に対する固有の波面推定値が得られる。
【0070】
最後に、図5dに示す段階的な重複マスクアプローチでは、マスクは同じ寸法を有するが、マスクの寸法よりも小さい距離で隣接するマスクから離される。例えば、図5dに記載するパターンは、3×3および2×1の段階的な重複マスクで示され、ここで、「3×3」は各マスクの寸法(後瞳に亘るための3つの水平マスク×3つの垂直マスク)を示し、「2×1」は段階的パターン(各マスクの幅を横断するための2ステップと高さをカバーするための1ステップ)を示す。このアプローチは、位相勾配データの高密度アレイを一定間隔で測定できるので、位相復元に特によく適している。それゆえ、段階的重複アプローチでは、収差のある波面は、小区域そのものよりも小さい一連の離散ステップで小区域を移動し、各ステップでビーム偏向、したがって位相勾配を測定することによって、単一の「オン」小区域のサイズよりも小さいスケールで測定されることができる。図5dは段階的重複マスクアプローチを示し、ここでは、瞳領域の1/9をカバーするWME114のマスクは、マスクの幅の半分に等しい水平ステップと、マスクの高さに等しい垂直ステップとで移動される。ビーム偏向は、マスクの各位置で測定される。それゆえ、図5dは、瞳領域の1/9に対応するマスクが18の異なる瞳小区域の各々に固有の波面推定をもたらすように、3×3および2×1の段階的重複マスクとして示される。位相復元は、段階的重複マスクの各位置における最適な位相オフセットを決定するために使用されてもよく、各測定点を中心とする領域において収差がある波面に最適な平面を決定するために勾配データと結合されてもよい。
【0071】
重複および段階的重複マスクアプローチは、例えば、後瞳のN=81小区域が後瞳の領域の1/9に対応するマスクを用いて規定されるように、さらに拡張されることができる。当然ながら、所与の数Nの小区域の場合、独立したマスクアプローチは、小区域間の結合が残留する重複および段階的重複マスクアプローチよりも優れている。しかしながら、所与のマスク領域の場合、あるいは同じことであるが、所与のレーザー出力の場合、重複または段階的重複マスクには、さらに多くの小区域を使用することができ、それゆえ、優れた補正が得られる場合が多い。
【0072】
サンプル106の焦点120における励起ビーム光の収差の低減と、サンプルから得られる結果として生じる画像の改善とは、通常WME114の小区域数Nの関数として単調増加し、Nは対物レンズ118の後瞳の個々のセグメントに対応するが、Nのある値において分解能と信号強度の改善は限界に達する。良好な結果を実現するために必要な小区域の数Nは、調査中のサンプルと、最適化されているパラメータと、所望の最適化度との詳細に依存する。当然ながら、対物レンズ118の後瞳の個々のセグメントに対応するWME114の小区域の密度は、WME全体で均一である必要はない。むしろ、収差がある波面の初期の低分解能マップは低い値のNを用いて作成されてもよく、この後、微細構造を示唆する領域が高密度の小区域を用いてサンプリングされてもよい。
【0073】
顕微鏡システム100の性能に影響を与える収差は、サンプル160自体からと同様に、光源102と焦点120との間の光路に沿ってどこからでも由来することができる。それゆえ、これらの本質的な顕微鏡収差は、後続の実験における全測定収差のサンプルによって誘導された成分を導出しうるように特徴づけられることができる。例えば、画像は蛍光ビーズ参照物体について取得されてもよく、また画像はWME114の平坦性の乏しさに大きく起因する可能性のある著しい非点収差およびコマ収差を示してもよい。しかしながら、N=36の独立した小区域を有する本明細書に記載する適応光学系補正と直接位相測定を適用した後、横(X−Y平面)方向および軸(X−Z、Y−Z、長軸Z、および短軸−Z平面)方向の両方のビーズ画像の半値全幅(FWHM)はそれらの回折限界値に近づきうる。
【0074】
適応光学系プロセスが終了し、回折限界焦点120を実現するために対物レンズ118の後瞳における適切な角度と位相とを有する個々のビームレットを生じるWME小区域に適用される位相が決定された後、WME114の位相パターンは、最終補正波面、モジュロ2πを表す。この波面をより直感的な形で表示するために、測定中に使用されるグローバルな位相ランプが差し引かれ、位相は、縁をカウントし位相が小区域境界を越えて連続するものと仮定することによって明らかにされる。最後に、サンプルのみによる収差を決定するために、システム収差に起因する明らかにされた波面の一部が差し引かれる。
【0075】
前述のように、適応光学系は、ポイントスキャン顕微鏡検査法に使用されることに加えて、広視野顕微鏡検査法によって得られる画像の品質を向上させるためにも使用されることができる。広視野顕微鏡検査法では、サンプルの大きい区域が均一に照射され、関心区域全体が画像検出器(例えば、CCDカメラ)に同時に記録される。多くのポイントスキャン法の場合、収差の主要な影響は励起光にあり、回折限界焦点が形成されることを阻止する。前述のように、収差の主要な影響は、さらに、放射経路にあり、サンプル内の各点から放射される信号が画像検出器の回折限界点に再収束されことを阻止する。ポイントスキャン顕微鏡検査法は散乱生物組織に好ましく、広視野走査顕微鏡検査法は透明な生物サンプルに、より一般的に適用されるが、サンプルによって誘発される収差はいずれにしてもよく見られる。
【0076】
例えば、図6に示すように、放射光の球面波面はサンプル604において点602から放射されることができる。波面はサンプル604における屈折率の不均質性によって歪められうる(すなわち、収差を生じる)。この後、収差を生じた波面を顕微鏡対物レンズ606によって収束させると、結果的に平面波ではなく、収差を生じた波面608を生じる。
【0077】
ポイントスキャン顕微鏡検査法と違って、従来の広視野顕微鏡検査法はオプティカルセクショニング能力を欠いている。それゆえ、これは、通常、単一の培養細胞および極薄組織切片に使用され、この場合、収差は典型的に問題ではない。しかしながら、選択的平面照明顕微鏡検査法(「SPIM」)および構造化照明顕微鏡検査法(「SIM」)などの軸方向切断能力を有する広視野法の最近の開発によって、厚いサンプルへの適用が現在では可能であり、したがって、放射光の収差の補正が現実味を帯びている。
【0078】
図7は、適応光学系技術を用いて収差を補正する広視野顕微鏡システム700の概略図である。放射光はシステム700の焦点面704から放射され、この場合、焦点面はサンプル702内にある。対物レンズ706は、サンプル702を通過することによって収差を受ける可能性のある放射光の焦点を合わせ、1対の望遠レンズ708a、708bは収束された光を視野絞り710に通して放射光ビームのウエストを拡大または縮小するために使用されることができる。波面変調素子712によって、この後、放射光を検出器714に通す前に、収差がある波面に適応光学系技術が適用される。WME712によって、ポイントスキャン顕微鏡検査法に関して前述した同様の適応光学系瞳セグメンテーション技術を適用してもよく、波面の複数の異なる部分で形成された画像を回折限界の完全な広視野波面を復元するために使用できるように、焦点面704からの放射光ビームのビームレットの角度に個々のシフトを適用してもよい。
【0079】
図8は、適応光学系技術を用いて収差を補正し、システム700のさらなる詳細を示す広視野顕微鏡システム800の概略図である。励起光源802は、移動ステージ808に取り付けられた対物レンズ806を通ってビームスプリッタ804からサンプル810に反射される励起光を提供する。放射光は、対物レンズ806の焦点面でサンプル810から放射され、対物レンズ806によって放射光ビームに収束され、望遠レンズシステム814a、814bに向かってミラー812から反射される。望遠レンズ814a、814bは、放射光ビームを視野絞り816に通す。前述したポイントスキャン顕微鏡検査法で使用される適応光学系と同様に、波面変調素子818は、放射光ビームの個々のビームレットを修正するための波面センサーおよび位相制御デバイスの両方としての機能を果たす。WME818によって変調される放射光は、放射光を画像化する検出器820(例えば、CCD検出器)に向けられる。
【0080】
図9Aに示すような一実施形態では、単一のフレネル・レンズ・パターンがWME818に適用されることができる。フレネル・レンズ・パターンは、この後、図9Bに示すように、サンプル810の単一画像を形成するために放射ビームを検出器820に収束させる。この後、図9Cに示すように、フレネルレンズのアレイがWME818の複数の異なる小区域に適用されて、放射光波面を、複数の異なる、個々に制御可能なビームレットにセグメント化し、図9Dに示すように、検出器820の画像平面でサンプルの画像のアレイを作り出すことができる。完全な平面波放射波面の場合、画像のアレイは、完全な格子に位置することになる。しかしながら、その理想的な格子位置からの個々の画像のずれは、個々の画像を作成するために使用される波面の部分の傾斜(及び、波面のその部分に対応するビームレットの角度)を測定するために使用されることができる。それゆえ、その理想的な格子位置からの個々の画像のずれの測定は、対物レンズ806の後瞳全体の波面傾斜測定値のアレイを決定するために使用されてもよく、それから所望の補正波面が復元されてもよい。この補正をWME818に適用し、これに図9Aに示す単一のフレネル・レンズ・パターンを重ね合わせ、これを使用して画像全体を検出器に収束させると、サンプル810の回折限界画像が検出器820で復元される。
【0081】
2光子蛍光顕微鏡検査法と同様に、サンプル810が視野位置に依存する収差を示さない場合、結果として得られる適応光学系補正は視野のいたるところで回折限界分解能を復元することが可能である。収差が視野に依存する場合、視野全体に対して平均化された補正が得られ、これは信号および分解能をさらに改善することが可能である。さらに、複数の異なる部分的視野内の蛍光の特徴を用いた画像シフトを解析することによって、視野に依存する収差が測定されてもよく、適切な収差パターンを各部分的視野に順次適用することによって回折限界画像が復元されてもよい。
【0082】
図10は、サンプルの画像を形成するプロセス1000のフローチャートである。プロセス1000では、励起光ビームがサンプル内の焦点に収束される(1002)。そして、ビームの断面は個々のビームレットを含む。焦点が、サンプル内の複数の異なる位置で走査される(1004)。個々のビームレットの角度は、焦点が複数の異なる位置にあるとき個々に制御される(1006)。個々のビームレットの角度を個々に制御するステップは、個々のビームレットに対応する個々の小区域を含む波面変調素子で励起ビームを変調するステップ(1006a)を含んでいてもよく、個々の小区域内で対応する個々のビームレットの位相に空間的勾配を誘導するために対応するビームレットに小区域によって与えられる位相値のプロファイルを制御するステップ(1006b)を含んでいてもよい。
【0083】
位相値のプロファイルは、個々のビームレットを物体に照射することによって形成される物体の位置画像のシフトを観察することによって決定されることができる。例えば、サンプル内の参照物体には、励起ビームの複数の異なるビームレットが照射されてもよく、その場合、複数の異なるビームレットは、波面変調素子の種々の対応する小区域によって変調される。参照物体からの放射光は、参照物体に複数の異なるビームレットが照射されるときに検出されてもよく、サンプル内の参照物体の位置は参照物体に複数の異なるビームレットが照射されるときに検出される放射光に基づいて決定されてもよい。決定された位置に基づいて、ビームレットが位相に空間的勾配を含むときに位置が実質的に互いに等しくなるように、対応するビームレットの位相に空間的勾配を誘導するために、小区域の対応するビームレットに各小区域によって与えられる位相値のビームレット−角度−補正プロファイルについての決定がなされることができる。
【0084】
個々のビームレットの相対位相は、焦点が複数の異なる位置にあるときに個々に制御される(1008)。例えば、焦点におけるビームレット間に建設的干渉をもたらすことになる波面変調素子におけるビームレット間の相対位相は、位相値のビームレット−角度―補正プロファイルに基づいて決定されることができる。焦点から放射される放射光は、焦点が複数の異なる位置にあるときに検出される(1010)。焦点の複数の異なる位置から検出された放射光に基づいてサンプルの画像が作成される(1012)。
【0085】
図11は、サンプルの画像を形成するプロセス1100のフローチャートである。プロセス1100では、サンプルに励起光が照射され(1102)、サンプルによって放射される光は対物レンズで集められる(1104)。集められた光のビームは波面変調素子によって変調され、この場合、変調された光のビームの断面は個々のビームレットを含む(1106)。個々のビームレットが変調される角度は、波面変調素子の異なる個々の小区域によって個々に制御される(1108)。個々のビームレットの角度を個々に制御するステップは、個々のビームレットに対応する波面変調素子の個々の小区域内で、個々の対応するビームレットの位相に空間的勾配を誘導するために、小区域によって対応するビームレットに与えられる位相値のプロファイルを制御する(1108b)ステップを含むことができる。波面変調素子によって変調される光は画像化される(1110)。
【0086】
ビームレットが個々の小区域によって変調される位相値のプロファイルは、波面変調素子にフレネルレンズのパターンを与えることによって決定されてもよく、その場合、複数の異なるフレネルレンズは波面変調素子の複数の異なる小区域に与えられる。サンプル内の参照物体には励起光が照射されてもよく、参照物体によって放射される光は、フレネルレンズのパターンが波面変調素子に与えられる間に集められてもよい。集められた光のビームはフレネルレンズのパターンが与えられる間に波面変調素子で変調されてもよく、この場合、変調され集められた光のビームの断面は個々のビームレットを含む。集められて変調された光は画像化されてもよく、画像化された光における参照物体の画像パターンの位置特徴は参照物体の画像の理想パターンの位置特徴と比較されてもよい。比較に基づいて、2つのパターンの差を減らすことになる位相値のプロファイルが決定されることができる。
【0087】
本明細書に記載する様々な技術の実施形態は、ディジタル電子回路、またはコンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、あるいはこれらの組合せで実施されることができる。実施形態は、コンピュータプログラム製品、すなわち、情報担体において、例えば、機械で読取可能な記憶デバイスにおいて、または伝播信号において、データ処理装置、例えば、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、または複数のコンピュータによって実行するために、あるいはこれらの動作を制御するために、明白に具体化されるコンピュータプログラムとして実施されてもよい。前述したコンピュータプログラムなどのコンピュータプログラムは、コンパイラ型言語、インタープリタ型言語を含む任意の形のプログラミング言語で書かれることができ、スタンドアロンプログラムとして、あるいはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、またはコンピュータ環境での使用に適した他のユニットとしてなど、任意の形で展開されることもできる。コンピュータプログラムは、1つのサイトまたは複数サイトに分散された、1台のコンピュータあるいは複数台のコンピュータで、通信ネットワークによって相互接続されて、実行されるように展開されうる。
【0088】
方法のステップは、入力データで動作し出力を発生することによって機能を実施するためにコンピュータプログラムを実行する1つまたは複数のプログラマブルプロセッサによって実施されてもよい。さらに、方法のステップは、特殊目的論理回路、例えば、FPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)によって実施されてもよく、また、装置はこれらとして実現されてもよい。
【0089】
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサは、例として、汎用および専用の両マイクロプロセッサと、あらゆる種類のディジタルコンピュータのいずれか1つまたは複数のプロセッサとを含む。一般に、プロセッサは、リード・オンリー・メモリまたはランダム・アクセス・メモリまたは両方から命令およびデータを受け取る。コンピュータの要素は、命令を実行する少なくとも1つのプロセッサと、命令およびデータを記憶する1つまたは複数のメモリデバイスを含んでいてもよい。また、一般に、コンピュータは、データを記憶する1つまたは複数の大容量記憶装置、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、または光ディスクを含んでいてもよく、あるいはこれらからデータを受け取り、またはこれらにデータを転送し、またはこれらの両方を行うように動作可能に結合されてもよい。コンピュータプログラム命令およびデータを具体化するのに適した情報担体は、例として、半導体メモリデバイス、例えば、EPROM、EEPROM、およびフラッシュ・メモリ・デバイス;磁気ディスク、例えば、内蔵ハードディスクまたはリムーバブルディスク;光磁気ディスク;およびCD−ROMおよびDVD−ROMディスクなど、あらゆる形態の不揮発性メモリを含む。プロセッサおよびメモリは、専用論理回路によって補完されてもよく、専用論理回路に組み込まれてもよい。
【0090】
ユーザーとの対話を行うために、実施形態は、表示装置、例えば、ユーザーに対して情報を表示するブラウン管(CRT)または液晶ディスプレイ(LCD)モニタと、キーボードおよびポインティングデバイス、例えば、ユーザーがコンピュータに入力を提供することができるマウスまたはトラックボールを有するコンピュータで実施されてもよい。ユーザーとの対話を行うために他の種類のデバイスも使用されることができる。例えば、ユーザーに提供されるフィードバックは、任意の形態の感覚フィードバック、例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、または触覚フィードバックであってもよく、ユーザーからの入力は音響、音声、触覚入力などのいかなる形態で受け取られてもよい。
【0091】
前述の実施形態の特定の特徴は本明細書で説明した通りであるが、ここで多くの修正形態、代替形態、変更形態、および等価物が当業者に想起されるであろう。そこで、添付の特許請求の範囲は実施形態の真の趣旨に含まれるすべての修正形態および変更形態を網羅するものであることを理解されたい。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2009年7月9日に出願された「Adaptive Optics Using Pupil Segmentation」と題する米国仮特許出願第61/224,102号明細書、2009年10月1日に出願された「Adaptive Optics Using Pupil Segmentation」と題する米国仮特許出願第61/247,929号明細書、2009年11月23日に出願された「Adaptive Optics Using Pupil Segmentation」と題する米国仮特許出願第61/263,614号明細書、及び、2009年11月30日に出願された「Adaptive Optics in Widefield Microscopy」と題する米国仮特許出願第61/265,225号明細書との優先権を主張する。これらの先に出願された出願の各々の主題は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、顕微鏡検査法に関し、特に、適応光学系を有する顕微鏡検査法に関する。
【背景技術】
【0003】
光学顕微鏡法は、数世紀前の発明以来、注目すべきコントラスト機構およびハードウェアの実現とともに多くの段階を通じて進化してきた。しかしながら、その使用に関する基本的な動機、すなわち、裸眼で識別できない造りを解像することができることは変わっていない。結果として、より高い分解能への動きが近年における光学顕微鏡開発の焦点になっており、従来の光学顕微鏡法の回折限界を打ち破るためにいくつかの方法が示されている。こうした努力にもかかわらず、多くの場合に正当に評価されない1つの事実が残っており、すなわち、多くの生物サンプルでは、高性能な研究用顕微鏡の場合でさえも回折限界の分解能が実現されることは稀である。光学顕微鏡の理想的な画像性能では、設定された浸漬媒体の光学特性と同じ光学特性を有するサンプルに励起光および放射光の両方あるいはどちらか一方を通す必要があり、このような条件からのずれがあると、収差として知られる光学的歪みが生じて、信号、画像忠実度、および分解能の損失をもたらす。実際に、生物サンプルは、不均質な光学特性を有しており、したがって、画像は生物組織内の深さが増すにつれて次第に画質が低下する。
【0004】
天文学で使用される光学望遠鏡の場合にも同様の課題が存在する。遠方の星からとらえられる光は、まず地球の擾乱大気を横断しなければならず、擾乱大気が光学的歪みを与えて画像品質を著しく低下させる。適応光学系(「AO」)と総称される、このような歪みを積極的に補正する方法によって、地上望遠鏡では地球外物体の回折限界画像が得られるようになった。天文学における適応光学系は概念的に簡単であり、すなわち結像面の近くに配置されるセンサーが歪んだ波面を直接測定し、可変鏡などの能動光学素子がこの波面をフィードバックループで修正して回折限界性能を回復させる。しかしながら、顕微鏡検査法における適応光学系は、収差のある波面を直接的に測定することが困難であるためにさほど容易でなく、結局のところ、試料内に波面センサーを配置することができることは稀である。試料からの後方散乱光はこのような直接波面センシングに使用されてきたが、このような方法は、結像面に対する収差と結像面からの収差のいずれをも激しく変化させる可能性があり、多重散乱光によってさらに複雑化する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Panagopoulou,S.I.,Neal,D.R.,「Zonal matrix iterative method for wavefront reconstruction from gradient measurements,」J.Refract.Surg.21,S563−S569(2005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示では、光学系の後瞳がセグメント化され、セグメントが波面変調デバイスによって個々に制御され、光学系内の励起ビームまたは放射ビームの個々のビームレットの方向および位相を制御し、サンプルおよびシステムによって誘発される収差に対する適応光学系補正を行う顕微鏡検査技術を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一般的な態様では、サンプルの画像を形成する方法は、サンプル内の焦点にビームの断面が個々のビームレットを含む励起光のビームを収束させるステップと、焦点をサンプル内の複数の異なる位置まで走査するステップとを含む。個々のビームレットの角度は焦点が複数の異なる位置にあるときに個々に制御され、個々のビームレットの相対位相は焦点が複数の異なる位置にあるときに個々に制御される。焦点から放射される放射光は、焦点が複数の異なる位置にあるときに検出され、サンプルの画像は焦点の複数の異なる位置から検出された放射光に基づいて作成される。
実施形態は、以下の特徴の1つまたは複数を含むことができる。例えば、個々のビームレットの角度を個々に制御するステップは、個々のビームレットに対応する個々の小区域を含む波面変調素子によって励起ビームを変調するステップと、個々の小区域内で対応する個々のビームレットの位相に空間的勾配を誘導するために対応するビームレットに小区域によって与えられる位相値のプロファイルを制御するステップとを含むことができる。複数の異なる位置はサンプルの平面内に位置してもよく、平面はサンプル内の励起ビームの軸に対して垂直または非垂直であってよい。励起光は第1の波長を有していてもよく、放射光は第1の波長よりも小さい(例えば、第1の波長のおよそ半分の)第2の波長を有する。波面変調素子は、空間光変調器を含んでいてもよく、空間光変調器の活性層から反射される光にグローバル・フレーズ・ランプ(global phrase ramp)を適用して、空間光変調器の前面から反射される光と活性層から反射される光との間に非ゼロ角度を誘導するステップをさらに含むことができる。
【0008】
位相値のプロファイルが決定されうる。一実施形態では、位相値を決定するステップは、励起ビームの複数の異なるビームレットをサンプル内の参照物体に照射するステップを含んでいてもよく、複数の異なるビームレットが波面変調素子の種々の対応する小区域によって変調される。参照物体からの放射光は参照物体に複数の異なるビームレットが照射されるときに検出されてもよく、サンプル内の参照物体の位置は参照物体に複数の異なるビームレットが照射されるときに検出される放射光に基づいて決定されてもよい。決定された位置に基づいて、対応するビームレットの位相に空間的勾配を誘導するために、ビームレットが位相に空間的勾配を含むときに位置が互いに実質的に等しくなるように、小区域の対応するビームレットに各小区域によって与えられる位相値のビームレット−角度−補正プロファイルについての決定がなされうる。別の実施形態では、位相値を決定するステップは、複数のビームレットにおいて、波面変調素子の小区域に対応する各ビームレットに対して(a)ビームレットをサンプル内の参照物体に照射するステップと、(b)参照物体にビームレットが照射されるときにサンプル内の参照物体から放射光を検出するステップと、(c)検出された放射光に基づいてサンプル内の参照物体の位置を決定するステップとを含むことができる。この後、決定された位置に基づいて、ビームレットが位相に空間的勾配を含むとき、ビームレットが位相に空間的勾配を含まないときに形成される焦点よりも小さいサイズを有するサンプル内の焦点で交差するように、対応するビームレットの位相に空間的勾配を誘導するために、小区域の対応するビームレットに各小区域によって与えられる位相値のビームレット−角度−補正プロファイルについての決定がなされうる。参照物体は蛍光ビーズであってもよい。
【0009】
位相値のプロファイルを決定するステップは、位相値のビームレット−角度−補正プロファイルに基づいて、焦点におけるビームレット間に建設的干渉をもたらすことになる波面変調素子でビームレット間の相対位相を決定するステップをさらに含むことができる。位相値のプロファイルを決定するステップは、波面変調素子の参照小区域によって変調される参照ビームレットをサンプル内の参照物体に照射するステップと、参照物体を照射するために波面変調素子の異なる個々の小区域によって複数の異なるビームレットを連続的に変調させるステップとをさらに含むことができる。各ビームレットに対して、焦点におけるビームレットと参照ビームレットとの間に建設的干渉をもたらすことになるビームレットと参照ビームレットの間の相対位相を誘導するために、ビームレットの対応する小区域によってビームレットに与えられる位相値のプロファイルについての決定をすることができる。
【0010】
別の一般的な態様では、顕微鏡システムは、励起光を放射するように構成された光源と、サンプル内の焦点に励起光のビームを収束させるように構成された収束素子と、個々のビームレットを含む励起ビームの断面と、サンプル内の複数の異なる位置で焦点を走査するように構成された走査素子と、焦点が複数の異なる位置にあるときに励起光を変調し個々のビームレットの角度および相対位相を制御するように構成された波面変調素子と、焦点が複数の異なる位置にあるときに焦点から放射される放射光を検出するように構成された検出器と、焦点の複数の異なる位置から検出された放射光に基づいてサンプルの画像を作成するように構成されたプロセッサとを含む。
【0011】
実施形態は、以下の特徴の1つまたは複数を含むことができる。例えば、波面変調素子は、個々のビームレットに対応する波面変調素子の個々の小区域内で、個々の対応するビームレットの位相に空間的勾配を誘導するために、対応するビームレットに小区域によって与えられる位相値のプロファイルを制御することによって、個々のビームレットの角度を制御するように構成されうる。複数の異なる位置はサンプルの平面内にあり、平面はサンプル内の励起ビームの軸に垂直または非垂直であることができる。励起光は第1の波長を有していてもよく、放射光は第1の波長よりも小さい第2の波長を有する。波面変調素子は、空間光変調器の前面から反射された光と活性層から反射された光との間に非ゼロ角度を誘導するために、空間光変調器の活性層から反射された光にグローバル・フレーズ・ランプを適用するように構成された空間光変調器を含むことができる。
【0012】
波面変調素子は、サンプルに達しない方向に個々のビームレットの方向を変調し、サンプル内の参照物体に励起ビームの残りの異なる個々のビームレットが照射され、複数の異なるビームレットは波面変調素子の種々の対応する小区域によって変調されて、参照物体に複数の異なるビームレットが照射されるときにサンプル内の参照物体からの放射光が検出されうるように、さらに構成されることができる。1つまたは複数のプロセッサが含まれることができ、参照物体に複数の異なるビームレットが照射されるときに検出される放射光に基づいてサンプル内の参照物体の位置を決定し、決定された位置に基づいて、位置が実質的に互いに等しくなるように対応するビームレットの位相に空間的勾配を誘導するために、小区域の対応するビームレットに各小区域によって与えられる位相値のビームレット−角度−補正プロファイルを決定することによって位相値のプロファイルを決定するように構成されることができる。波面変調素子とサンプルとの間の励起ビームの経路に沿って位置する視野絞りが含まれることができ、サンプルに達しない方向に変調される励起光のビームレットを阻止するように構成されることができる。
【0013】
位相値のプロファイルを決定するステップは、位相値のビームレット−角度−補正プロファイルに基づいて、焦点におけるビームレット間に建設的干渉をもたらすことになる波面変調素子でビームレット間の相対位相を決定するステップをさらに含むことができる。波面変調素子は、サンプルに達しない方向に個々のビームレットの方向を変調し、サンプル内の参照物体に励起ビームの残る異なる個々のビームレットが照射されて、複数の異なるビームレットが波面変調素子の種々の対応する小区域によって変調され、参照物体に複数の異なるビームレットが照射されるときにサンプル内の参照物体からの放射光が検出されうるように、さらに構成されてもよい。1つまたは複数のプロセッサを含むことができ、各異なる個々のビームレットに対して、個々のビームレットと参照ビームレットの間の焦点に建設的干渉をもたらすことになるビームレットと参照ビームレットの間に相対位相を誘導するために、ビームレットの対応する小区域によってビームレットに与えられる位相値のプロファイルを決定することによって、位相値のプロファイルを決定するように構成されることができる。
【0014】
別の一般的な態様では、サンプルの画像を形成する方法は、励起光をサンプルに照射するステップと、サンプルによって放射される光を対物レンズで集めるステップと、集められた光のビームを波面変調素子によって変調するステップとを含み、変調された光のビームの断面は個々のビームレットと、個々のビームレットが波面変調素子の異なる個々の小区域によって変調される個々に制御する角度と、波面変調素子によって変調する光を画像化することとを含む。
【0015】
実施形態は、以下の特徴の1つまたは複数を含むことができる。例えば、個々のビームレットの角度を個々に制御するステップは、個々のビームレットに対応する波面変調素子の個々の小区域内に、個々の対応するビームレットの位相に空間的勾配を誘導するために、対応するビームレットに小区域によって与えられる位相値のプロファイルを制御するステップを含むことができる。ビームレットが個々の小区域によって変調される位相値のプロファイルは、(a)波面変調素子にフレネルレンズのパターンを与え、その際に、種々のフレネルレンズが波面変調素子の複数の異なる小区域に与えられるステップと、(b)励起光をサンプル内の参照物体に照射するステップと、(c)フレネルレンズのパターンが波面変調素子に与えられている状態で参照物体によって放射される光を集めるステップと、(d)変調されて集められた光のビームの断面が個々のビームレットを含んでおり、フレネルレンズのパターンが与えられる状態で波面変調素子で集められた光のビームを変調するステップと、(e)集められて変調された光を画像化するステップと、(f)画像化された光の参照物体の画像のパターンの位置の特徴を参照物体の画像の理想パターンの位置の特徴と比較するステップと、(g)比較に基づいて、2つのパターン間の差異を減らすことになる位相値のプロファイルを決定するステップと、によって決定されうる。
【0016】
波面変調素子は空間光変調器を含むことができ、空間光変調器の前面から反射される光と活性層から反射される光との間に非ゼロ角度を誘導するために、グローバル・フレーズ・ランプが空間光変調器の活性層から反射される光に適用されてもよい。
【0017】
別の一般的な態様では、顕微鏡システムは、サンプルを照射するように構成された励起光源と、サンプルによって放射される光を集めるように構成された集光光学系と、波面変調素子と、検出器とを含むことができる。波面変調素子は集められた光のビームを変調するように構成されてもよく、反射された光のビームの断面が個々のビームレットを含み、波面変調素子は個々のビームレットが波面変調素子の異なる個々の小区域から反射される角度を個々に制御するように構成されることができる。検出器は、波面変調素子から反射される光を画像化するように構成されることができる。
【0018】
実施形態は、以下の特徴の1つまたは複数を含むことができる。例えば、個々のビームレットの角度を個々に制御するステップは、個々のビームレットに対応する波面変調素子の個々の小区域内に、個々の対応するビームレットの位相に空間的勾配を誘導するために、対応するビームレットに小区域によって与えられる位相値のプロファイルを制御するステップを含むことができる。波面変調素子は、空間光変調器の前面から反射される光と活性層から反射される光との間に非ゼロ角度を誘導するために、空間光変調器の活性層から反射される光にグローバル・フレーズ・ランプを適用するように構成される空間光変調器を含むことができる。
【0019】
1つまたは複数のプロセッサが含まれることができ、小区域によって与えられる位相値のプロファイルを決定するように構成されることができて、決定するステップは、(a)波面変調素子にフレネルレンズのパターンを与え、その際に、複数の異なるフレネルレンズが波面変調素子の複数の異なる小区域に与えられるステップと、(b)励起光をサンプル内の参照物体に照射するステップと、(c)フレネルレンズのパターンが波面変調素子に与えられている状態で参照物体によって放射される光を集めるステップと、(d)変調されて集められた光のビームの断面が個々のビームレットを含んでおり、フレネルレンズのパターンが与えられる状態で波面変調素子で集められた光のビームを変調するステップと、(e)集められて変調された光を画像化するステップと、(f)画像化された光の参照物体の画像のパターンの位置の特徴を参照物体の画像の理想パターンの位置の特徴と比較するステップと、(g)比較に基づいて、2つのパターン間の差異を減らすことになる位相値のプロファイルを決定するステップと、を含む。
【0020】
1つまたは複数の実施形態の詳細を添付図面および以下の説明に記載する。他の特徴は、説明および図面から、また特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】適応光学系がシステム及び/又はサンプル収差の補正に使用されるポイントスキャン顕微鏡検査法に使用することのできる顕微鏡システムの概略ブロック図である。
【0022】
【図2】適応光学系がシステム及び/又はサンプル収差の補正に使用されるポイントスキャン顕微鏡検査法に使用することのできる顕微鏡システムの概略ブロック図である。
【0023】
【図3】図3aは、対物レンズに当たって収差なしで回折限界焦点に収束されている平面波光ビームの概略図である。
【0024】
図3bは、波の経路に沿った不均一性によって収差を受けているときの、対物レンズに当たって回折限界焦点に収束されている平面波光ビームの概略図である。
【0025】
図3cは、波の経路に沿った不均質性によって収差を受けているときの、対物レンズに当たって回折限界焦点に収束されている複数のビームレットから構成される歪み波光ビームの概略図であり、受ける収差はビームレットが対物レンズの後瞳に入る角度および相対位相によって補償される。
【0026】
【図4A】ビームの経路に沿った不均質性によって収差を受けているときの、サンプル内の対物レンズに当たって回折限界焦点に収束されている平面波励起光ビームと、物体の放射光から作られるサンプル内の物体の対応する画像との概略図である。
【0027】
【図4B】対物レンズに当たってサンプル内の焦点に回折されている図4Aの励起光ビームのビームレットと、物体の放射光から作られる物体の対応する画像との概略図である。
【図4C】対物レンズに当たってサンプル内の焦点に回折されている図4Aの励起光ビームのビームレットと、物体の放射光から作られる物体の対応する画像との概略図である。
【図4D】対物レンズに当たってサンプル内の焦点に回折されている図4Aの励起光ビームのビームレットと、物体の放射光から作られる物体の対応する画像との概略図である。
【0028】
【図4E】ビームレットの経路に沿った不均質性によって収差を受けているときの、対物レンズに当たって回折限界焦点に収束されている複数のビームレットから構成される歪み波光励起ビームの概略図であり、受ける収差はビームレットが対物レンズの後瞳に入る角度によって補償される。
【0029】
【図4F】光ビームの参照ビームレットとともに示す、図4Eの励起光ビームのそれぞれのビームレットの概略図であり、それぞれのビームレットと参照ビームレットはいずれも対物レンズに当たってサンプル内の焦点に回折されており、それぞれのビームレットと参照ビームレットの間の複数の異なる相対位相が示され、放射光の信号は相対位相の関数としてサンプルから放射される。
【図4G】光ビームの参照ビームレットとともに示す、図4Eの励起光ビームのそれぞれのビームレットの概略図であり、それぞれのビームレットと参照ビームレットはいずれも対物レンズに当たってサンプル内の焦点に回折されており、それぞれのビームレットと参照ビームレットの間の複数の異なる相対位相が示され、放射光の信号は相対位相の関数としてサンプルから放射される。
【0030】
【図4H】対物レンズに当たる複数のビームレットから構成される歪み波光励起ビームの概略図であり、個々のビームレットはサンプル内の回折限界焦点に同相で収束されるように対物レンズの後瞳に当たるビームレットにおける相対位相および角度が制御される。
【0031】
【図5】図5aは対物レンズの後瞳をセグメント化するために使用される3つの独立したマスクの概略図である。
【0032】
図5bは対物レンズの後瞳をセグメント化するために使用される9つの独立したマスクの概略図である。
【0033】
図5cは対物レンズの後瞳で9つのセグメントを作るために重複する6つのマスクの概略図である。
【0034】
図5dは対物レンズの後瞳に18のセグメントを作るために互いに重複するように複数の位置に配置される9つのマスクの概略図である。
【0035】
【図6】サンプルを通る光に収差を誘導するサンプルの概略図である。
【0036】
【図7】適応光学系技術を用いて収差を補正する広視野顕微鏡検査システムの概略図である。
【0037】
【図8】適応光学系技術を用いて収差を補正する広視野顕微鏡検査システムの概略図である。
【0038】
【図9A】波面変調素子に適用されるフレネル・ゾーン・プレート・パターンの概略図である。
【0039】
【図9B】図9Aのフレネル・ゾーン・プレート・パターンを有する物体の画像化によって形成される物体の画像の概略図である。
【0040】
【図9C】波面変調素子に適用されるフレネル・ゾーン・プレート・パターンの配列の概略図である。
【0041】
【図9D】図9Cのフレネル・ゾーン・プレート・パターンの配列を有する物体の画像化によって形成される物体の画像の配列の概略図である。
【0042】
【図10】サンプルの画像を形成するプロセスのフローチャートである。
【0043】
【図11】サンプルの画像を形成するプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、適応光学系がシステム及び/又はサンプル収差の補正に使用されるサンプルのポイントスキャン顕微鏡検査法に使用されうる顕微鏡検査システム100の概略ブロック図である。ポイントスキャン顕微鏡検査法では、回折限界点に光が収束され、該点に由来する信号光は非結像検出器(例えば、光電子増倍管)に入る。物体の画像は、サンプルの焦点の全域を走査し、焦点の複数の異なる位置から得られた信号光から画像をコンピュータで構成することによって形成される。システムは励起光源102を含む。ある実施形態では、光源102は、近赤外線励起光ビームを発生する1フェムト秒パルスのチタン:サファイアレーザー(例えば、モデルChameleon Ultra II、Coherent Inc.製)を含むことができる。励起光ビームは、1対のガルバノメータ104a、104bから反射されて、励起光ビームとサンプル106における励起ビームの焦点との2次元(2D)ラスター走査(x方向およびy方向の)を提供する。一実施形態では、ガルバノメータは、Cambridge Technology Inc.製の3mmビームアパーチャガルバノメータ、モデル番号6215Hを含むことができる。ガルバノメータ104a、104bは、2つの特注の30mm焦点距離のテレセントリックf−θレンズ108a、108bによって光学的に互いに共役関係にある。第3のレンズ110と特注の150mm焦点距離のテレセントリックf−θレンズ112は、波面変調素子(「WME」)114に対してガルバノメータ104bが共役となるように機能し、さらにWMEの寸法によく合うように励起ビームを拡大する。
【0045】
一実施形態では、WME114は、液晶相のみの空間光変調器(例えば、1920×1080ピクセル、PLUTO−NIR空間光変調器、Holoeye Photonics AG製)を含むことができる。他の実施形態では、WME114は、可変鏡(例えば、Mirao 52−e、Imagine Eyes,Inc製)またはマイクロミラーのアレイ(例えば、Boston Micrmachines製、Kilo−DM)を含むことができる。WME114は、システムまたはサンプルで誘発される収差の特殊AO補正を行うようにプログラムされることができる。WMEとして反射型液晶相のみの空間光変調器(SLM)を使用することの利点は、ピクセル数が高い(例えば、1920×1080ピクセル)ために、これは各々が滑らかに変化する線形位相ランプを有する多くの小区域に容易に分割されうるうえに、小区域が全く独立していることもあり、可変鏡の場合のように機械的に結合されないことである。WME114に対するガルバノメータ104aおよび104bの共役によって、WME114の各小区域における励起ビームの強度がビーム走査中も確実に一定に保たれる。
【0046】
WME114自体は、励起ビームをサンプル106内の焦点120に収束させる顕微鏡対物レンズ118に対して1対のレンズ116a、116bによって共役の関係にある。一実施形態では、対物レンズ118は、16mm径の後瞳を有する20×NA 1.0水浸対物レンズ(例えば、モデルW Plan−APOCHROMAT、Carl Zeiss Inc.製)とすることができる。別の実施形態では、対物レンズ118は、20mm径の後瞳を有する16×NA 0.8水浸対物レンズ(例えば、モデルLWD 16×W、Nikon Corp.製)とすることができる。
【0047】
対物レンズ118に対するWME114の共役関係によって、WME114で適用される補正位相パターンは、励起ビームの走査中およびサンプル106内の焦点120の走査中に、後瞳孔を横切って振動しないことが保障される。レンズ116a、116b間の中間像面にある視野絞り122は、望ましくない比較的高い回折次数からの光と、WMEの前面からの鏡面反射(WMEがSLMなどの反射素子を含むとき)と、サンプル106に入らないように意図された角度でのWME114の小区域から反射される光とを阻止するように機能する。
【0048】
ツァイス(Zeiss)対物レンズの場合(デザインNA 1.0)、WME114における6.0mmの1/e2ビーム半径と、後瞳半径aに正規化された開口率σ/a=0.75に対する対物レンズ118の後瞳とが採用されうる。ニコン(Nikon)対物レンズ(デザインNA 0.8)の場合、正規化された開口率σ/a=1.2に対して、1/e2ビーム半径σはWME114において6.0mmであってもよく、1/e2ビーム半径は対物レンズ118の後瞳において12.0mmであってもよい。これらの開口率によって、位相補正は励起ビームのほとんどに適用されるようになり、かつ励起ビームエネルギーのほとんどは対物レンズ118に入るようになる。ツァイス対物レンズの比較的低い開口率によって、対物レンズは深部の生体内撮像により適したものとなるが、ニコンの場合の比較的高い開口数では分解能を最大にするために対物レンズNAがより有効に利用される。ツァイス対物レンズの場合、適応光学系補正に使用されるWME領域は長方形であるが、ニコン対物レンズの場合、WME領域は正方形である。
【0049】
対物レンズの真上の2色性ロング・パス・ビームスプリッタ124は、励起ビーム光をサンプル106に伝達することができ、サンプル106から放射される放射光の蛍光信号を反射することができる。反射された放射光は、この後、検出器126で検出されうる。検出器126は、1つまたは複数の光電子増倍管チューブ(例えば、モデルH7422−40、Hamamatsu製)でありうる。対物レンズ118は、z軸ステージ128によってサンプル106に当たる励起ビームの軸方向に移動されることができる。システム100は、1つまたは複数のプロセッサ及び/又はコンピュータデバイス150を含んでいてもよく、これらはシステムの他の素子を制御し、及び/又はシステムから得られる情報を処理するように動作してもよい。例えば、プロセッサ及び/又はコンピュータデバイス150は、WME114の光学特性を制御するために、ミラー及びレンズを含むシステム内の光学素子の位置及び/又は角度を制御するために光源102の出力および周波数を制御するように動作することができる。また、プロセッサ及び/又はコンピュータデバイス150は、検出器126によって検出される光に関する情報を処理するように動作することができる。例えば、プロセッサ及び/又はコンピュータデバイス150も、検出された光に基づいてサンプル106の画像を作成してもよく、例えば、システムがポイントスキャン顕微鏡検査法に使用されるとき、プロセッサ及び/又はコンピュータデバイス150は、焦点120がサンプル106内の複数の異なる位置にあるときに放射光の量および質に関する情報に基づいてサンプル106の画像を作成してもよい。
【0050】
図2は、図1に示すシステム100のさらなる詳細を示す顕微鏡システム100の概略ブロック図である。システムの一部のさらなる詳細は、1)サンプルにおいて所望のレーザー強度を設定し、2)レーザー強度を安定化し、c)ビームがサンプル106の走査に使用されていないときに、あるいは走査中のxガルバノメータ104aのフライバック中に励起ビームを削除するために、アナログ・フィードバック・ループで、ビームピックオフ204(例えば、モデル7940ビームピックオフ、Omega Optical製)、光検出器206(例えば、モデルPDA100A光検出器、ThorLabs製)、及び比例−積分−微分コントローラ(図示せず、例えば、SIM960コントローラ、Stanford Research Systems製)と結合されうる電気光学変調器(「EOM」)202(例えば、モデル350−80LA EOM、Conoptics Inc.製)を含む。励起ビームの出力が確実に制御されうる(例えば、励起ビームのフルパワーの0.01%〜100%)ダイナミックレンジをさらに拡大するために、一連の中性密度フィルターを有するフィルターホイール208(例えば、Lambda 10−Bフィルターホイール、Sutter Instruments製)が使用されることができる。EOM 202から顕微鏡対物レンズ118までの長い経路にわたる励起ビームの発散を最小にするために、A2×ビーム拡大器210(例えば、モデルBE02M−B、Thorlabs Inc.製)が使用されることができる。逆に、高速移動ステージ214(例えば、モデルM−663、Physik Instrumente,GmbH製)に取り付けられた2xビームレジューサ212(例えば、モデルBE02M−B、Thorlabs Inc.製)が、必要に応じてWME114の小区分にビームを集中するために、励起ビームの経路に往復的に送り込まれることができる。同じ対の高速移動ステージに取り付けられた1対のミラー216は、WME114に対して二次元でビームの位置を合わせることができる。ビームレジューサ212とレーザー位置決めミラー216の動作を以下でさらに詳しく説明する。
【0051】
顕微鏡対物レンズは、軸方向の2Dおよび3D画像化のための高速単一軸圧電屈曲ステージ218(例えば、モデルP−733.ZCLステージ、Physik Instrumente,GmbH製)に取り付けられうる。検出経路に沿って、蛍光は、まずレンズ220(例えば、LA1002−Aレンズ、Thorlabs製)によってコリメートされ、カスタム2色性ビームスプリッタ222(例えば、Q560DCXRビームスプリッタ、Chroma Technology Corp.製)によって赤色および緑色成分に分けられ、2つの新たなレンズ224、226(例えば、モデルLA1002−Aレンズ、Thorlabs製)によって再収束され、この後、2つのPMT 226、228で検出されうる。緑色の蛍光が1対のフィルター230(例えば、ガラスフィルター:モデルCG−BG−39−1.00−2、CVI製、および帯域通過フィルター:モデルFF01−510/84、Semrock製)によって第1のPMT 226で選択され、赤色の蛍光が別のフィルター対232(例えば、帯域通過フィルター:モデルFF01−617/73、Semrock製、および帯域通過フィルター:モデルFF01−630/69、Semrock製)によって第2のPMT 228で選択されうる。低ノイズ電流増幅器(例えば、モデルDLPCA−200増幅器、FEMTO Messtechnik,GmbH製)が2つのPMT226、228で測定される信号を昇圧するために使用されることができ、高速リセット・カスタム・アナログ積分器が各ピクセルの時間的経過にともなって得られる増幅された電流スパイクを加算して、赤色および緑色の画像を形成するためのディジタル化される2つの最終信号を生み出すために使用されることができる。
【0052】
図1および図2のシステム100は、例えば、厚い組織における2光子蛍光顕微鏡検査法に使用されてもよく、その場合、励起光のビームはサンプル106内の焦点に強く収束され、焦点がサンプル106を通じて走査される間に放射光が焦点120から検出される。2光子顕微鏡検査法では、画像品質に影響を与える収差のみが焦点120の強収束を劣化させるので、この収差のみが収束された励起光によって受ける収差である。焦点120の空間強度プロファイルは電磁理論から計算されてもよく、かつその理想的な回折限界からのずれは収差モードの無限級数の形で数学的に記述されてもよいが、ここでは、本発明者らはその代わりに収差補正のために直感的な適応光学系アルゴリズムにつながる焦点形成の簡単な物理的モデルに従う。
【0053】
このモデルでは、顕微鏡対物レンズ118の後瞳に入るすべての光線が曲げられて共通位相を有して共有点で交わるときに、回折限界焦点120が生じるものと考えられ−すなわち、焦点は最大の建設的干渉点である。このような状態は図3aに示されており、ここでは、平面波302として顕微鏡対物レンズ304に当たるビームは顕微鏡対物レンズ304によって点306に収束され、ビームのビームレット308、310、312の各例は同じ焦点306に収束される。しかしながら、図3bに示すように、対物レンズ304と公称焦点306の間の経路に沿った予期せぬ屈折率の不均質性によってビームレット308、310、312が偏向される可能性があるので、これらのビームレットはすべてが焦点で交わるわけでなくかつ/またはビームレット308、310、312の相対位相をシフトさせる可能性があり、したがって個々のビームレットは焦点において他のビームレットとさほど建設的に干渉しない。
【0054】
図3cに示すように、顕微鏡対物レンズの後瞳に光学的に共役な波面変調素子114などの能動光学素子を使用すると、このようなビームレットは個々に焦点306に戻されることができ、ビームレットの相対位相はすべてのサンプルによって誘導された収差を効果的に無効にするように再び最適化され、したがって、回折限界焦点306が得られうる。このような能動光学素子が収差を補正するために使用されるとき、顕微鏡対物レンズの後瞳に当たるビームは平面波でなく、ビームレットは対物レンズ304およびサンプルを通り、非常に低い空間的広がりを有する焦点において同相で強く収束されるように、むしろ、後瞳に垂直な角度で、互いに相対位相を有して、後瞳の位置で後瞳に当たるビームレット316、318、320を含む歪み波314である。当然ながら、ビームレットの無限連続体を個々に取り扱うことは可能でないが、能動素子114を各小区域が独立した調整可能な平面的な位相パターンを有するN個の小区域に分割し、それによって傾斜角と相対位相オフセットを個々に制御可能なN個のビームレットに後瞳を分けることは可能である。後瞳全体に必要な補正位相パターンの複雑さが増すと、正確な近似を実現するためにより多くの小区域Nが必要である。しかしながら、収差が多種多様である場合に、回折限界性能を取り戻すためにはN<100であれば通常は十分である。
【0055】
WME114の個々の小区域によって変調されるビームレットを共通焦点120にまとめるために、まず、対物レンズ118の後瞳が十分に照射される状態でサンプル106の参照画像が取得されることができる。例えば、図4Aに示すように、収差のある励起光のビームを用いて画像が作成されることができる。例えば、サンプル106内の蛍光ビーズは、参照画像を作成するために使用されることができる。適応光学系補正に選定される横方向画像平面は、蛍光参照ビーズなどのサンプル106内の関心対象の特徴の画像の三次元スタックを取得し、ユーザーが定義する関心対象の領域にわたって積分されたような信号が最大となる平面を選択することによって選択されることができる。おそらくは、この平面は最初の理想的な焦点に最も近く、したがって、回折限界性能を取り戻すために最小の補正で済むことになる。
【0056】
参照画像が取得された後、二進位相パターンがWME114のN個の小区域の1つを除くすべてに加えられることができる−これはN個の小区域の1つを除くすべてに関連するビームレットを中間画像平面における視野絞り122によって回折させ阻止させて、これらのビームレットを効果的に「オフ」にする(つまり、これらの小区域に当たる光は対物レンズ118に達しない)パターンである。ビームレットは、ビームレットに関連するWME114の小区域に0およびπの位相シフトの交互の列からなる位相格子を適用することによって「オフ」にされることができる。この位相格子は、これらの小区域によって変調されるビームレットの光のほとんどを、中間画像平面で視野絞り122の中で回折させ、光が遮断される。
【0057】
この後、サンプルの画像(例えば、サンプル内の蛍光ビーズの画像)が、唯一の残る「オン」ビームレットを用いて取得されることができる。ビームレットを理想的な焦点から偏向させる唯一の残る「オン」ビームレットの経路に沿った不均一性は、参照画像に対するこの画像内のシフトとして明らかになる。例えば、図4Bに示すように、図4Bに示すビームレットのみから励起光によって作り出されるサンプル内の蛍光ビーズの画像が、図4Aに示すように、収差のある励起光のすべてのビームレットから作り出される画像(点線参照)から上および左に変位される。例えば、図4Cに示すように、図4Cに示すビームレットのみから励起光によって作り出されるサンプル内の蛍光ビーズの画像が、図4Aに示すように、収差のある励起光のすべてのビームレットから作り出される画像(点線参照)の中心にある。例えば、図4Dに示すように、図4Dに示すビームレットのみからの励起光によって作り出されるサンプル内の蛍光ビーズの画像が、図4Aに示すように、収差のある励起光のすべてのビームレットから作り出される画像(点線参照)から上および右に変位される。
【0058】
簡単な単独の物体の場合、唯一のビームレットからの励起光によって作り出される画像のシフトは画像内の物体における重心のシフトから決定されることができるが、多くの複雑なサンプルの場合、画像相関がシフトを決定するために用いられることができる。さらに複雑なサンプルでは、サンプル内の複数の特徴の画像相関は、種々の瞳のセグメントが作動させられるときに画像シフトを測定するために用いられることができる。例えば、サンプルにおける複数の蛍光ビーズなどの特徴の画像は、ビームレットを共通焦点に導くために比較されて用いられることができる。また、画像相関は、任意の蛍光パターンを有する複雑な生物組織内での適応光学系技術の適用を可能にする。
【0059】
ビーム偏向測定に画像相関を使用する1つの利点は、ユーザーによって選択された相関領域全体にわたる平均収差を測定することであり、したがって、その領域全体にわたって有効な適応光学系補正を提供することである。対応する欠点は、測定された収差が大量の生物組織に関する光学特性の平均値を表すので、これはローカル的屈折率プロファイルが測定平均値と異なる特殊な小区域での最適補正よりも低くなる可能性があるということである。このような領域では、ローカル画像相関またはローカル的特徴の重心推定のいずれかを用いたさらにローカル的な測定が要求されるかもしれない。この後、比較的大きい視野画像は、各々が固有の補正波面で作り出される比較的小さいサブ画像からまとめられることができる。
【0060】
いずれにしても、収差のない方向からの個々のビームレットの傾斜角のシフトが検知された時点で、ビームレットの所望の方向からのビームレットの偏向角度が計算されてもよく、大きさが等しい対頂角がWME114の対応する小区域に適切な位相ランプを適用することによってビームレットに与えられてもよい。
【0061】
このプロセスは、この後、すべてのN個のビームレットが図4Eに示すように共通焦点で交わるまで、WME114の他のN−1個の小区域、および他のN−1個の対応するビームレットに対して繰り返されることができる。N個の小区域に関する傾斜角測定の場合、同時に「オン」であるのは1つの小区域のみであるという事実を補償するために、出力が最初に少なくともN倍に増加されることができる。WME114全体のガウス強度変動に起因して、画像変位を正確に測定すべく、ただしサンプル106で過度な光退色を生じない程度に、十分な信号を得るために必要に応じて各小区域でさらなる出力調整が自動的に行われることができる。
【0062】
つぎに、ビームレットの位相を補正するために、参照ビームレットが他のN−1個のビームレットの1つとともに「オン」にされることができる。この後、図4Fに示すように、焦点における信号が最大になるまで第2のビームレットに与えられる複数の異なる位相を有する一連の画像が取得されることができる。この後、このプロセスは、同じ参照ビームレットを用いて、さらには、残るN−2個のビームレットの各々を用いて、図4Gに示すように繰り返されることができる。この後、適応光学系アルゴリズムが終了し、Nが十分に大きければ、励起光ビームのビームレットは共通焦点においてすべて交わるとともに、回折限界焦点が実現されるように焦点において互いに同相である。異なる個々のビームレットの相対位相を補正するとき、励起光の特定ビームレット出力は十分な信号を実現するが、光退色を回避するために、必要に応じて調整されることができる。光退色をさらに最小にするために、4〜7個の画像のみが各小区域に対して0と2πの間の等間隔位相オフセットで取得されてもよい。この後、これらの画像の各々からの焦点における信号を、関数S=|1+αexp(i(φ−φ0))|4にフィットさせることによって、最大建設的干渉に対する正確な位相オフセットφ0が決定されてもよく、ここで、Sは現在の小区域からの電場と参照小区域またはすべての他の小区域のいずれかからの電場との干渉から生じる2つの光子信号を表す。
【0063】
別の実施形態では、個々のビームレットの位相を補正するために、個々のビームレットを共通焦点において一緒に交わらせるためにWME114によって適用されるビーム偏向角に関する情報が、対物レンズの後瞳全体の位相勾配測定値のアレイを規定するために使用されることができる。これらの位相勾配測定値から、焦点120において個々のビームレットが建設的に干渉するために必要な後瞳における個々のビームレットの相対位相は、非特許文献1に記載されて本明細書で参照によって援用されるように、波面全体の位相の既知の空間的連続性に基づく反復アルゴリズムによって決定されうる。
【0064】
「オン」の小区域では、WMEがSLMなどの反射素子を含むとき、制御不可能であるWMEの前面から鏡面的に反射されるほんの僅かな光からWME114内で変調される光の大部分を分離するために、緩やかでグローバルな位相ランプを適用することができる。適応光学系補正の後、WME114の各小区域に固有の別のローカル位相ランプが、サンプル106において回折限界焦点120を作り出すために必要な個々のビームレットの傾斜角および位相に必要な補正をもたらすためにグローバルな位相ランプに重畳されうる。一実施形態では、WMEの個々の画素は、256の異なるグレースケール値の1つでプログラムされることができる。WMEを制御するために使用される8ビット・グレースケール・レベルとピクセルによって変調されたビームレットにもたらされた実際の位相シフトとの関係は、メーカーの推奨値に従って較正によって決定される。
【0065】
適合光学系プロセスの傾斜角と位相測定値部分の両方に対して、すべての小区域が「オフ」の背景画像が出力レベルが変更されるときには必ず取得されてもよく、背景画像は測定値の精度を保証するために同じ出力レベルで取得されたすべての後続画像から差し引かれてもよい。
【0066】
単一の「オン」小区域は、対物レンズ118の全NAの〜
【数1】
の空間広がりを有するビームレットにおけるサンプル106に対して、励起ビームで得られる出力のせいぜい1/Nを供給するので、適応光学系プロセスアプローチは広ダイナミックレンジの出力で動作すべきである。このため、著しく低減された強度Iの大きい焦点が得られ、2光子励起の場合、信号は|I|2に比例するのでピーク信号Sにさらに大幅な低減が生じる。改善対策は、励起光の単一ビームレットが採用されるときにレーザー出力およびピクセル積分時間を増加することと、2×ビームレジューサ212および1対のビーム・ステアリング・ミラー216を用いて「オン」小区域に励起光を集中することを含むことができる。
【0067】
それにもかかわらず、励起ビームで得られる出力の大きさはやはりビーム偏向測定値の数、従って提供されうる補正の複雑さに実際の制限を課し、後瞳がN個の非重複小区域に分割されるとき一度にオンになるのはその1つのみである(以後、「独立マスクアプローチ」と称する)。比較的高いNをもたらす代替的な方策(以後、「重複マスクアプローチ」と称する)は、一連の重複マスクにおける小区域の隣接するグループをオンにすることを含み、各マスクはWME114の任意の単一の小区域に対応する後瞳領域よりも大きい後瞳領域のほんの一部である1/Mに対応し、それによって著しく強力な焦点を作り出す。ビーム偏向および位相オフセットは、前述のように各マスクに対して測定され、各小区域が固有の1組のマスクによってサンプリングされ、各小区域において固有の補正位相が得られるまで種々のマスクが適用される。
【0068】
図5a、5b、5c、及び5dは、適応光学系補正に対する独立、重複、および段階的重複マスクアプローチの例を提供する。対物レンズ118の後瞳は図において大きい方形で表され、網掛けされた長方形はビーム偏向測定中に特定点においてオンにされる瞳のほんの一部を表す。図5a及び5bに示す独立マスクアプローチでは、対物レンズ118の後瞳は非重複領域にセグメント化される。各領域、すなわち「マスク」は、ビーム偏向測定中に個々に「オン」にされる。マスクされた各小区域における補正波面は、すべての他の区域における平面から独立した平面によって推定される。図5aは独立したマスクアプローチを示し、ここでは、各々が全瞳領域の1/3に対応するWME114に対する3つの非重複マスクがビーム偏向を独立に測定し、3つの瞳小区域の各々における収差を補正する。図5bは独立マスクアプローチを示し、ここでは、各々が瞳領域の1/9に対応するWME114に対する9つの非重複マスクがビーム偏向を独立に測定し、9つの瞳小区域の各々における収差を補正する。
【0069】
図5cに示す重複マスクアプローチでは、ビーム偏向測定中に個々に「オン」となるマスクは他のマスクと重複する。その結果、最終補正波面における平面小区域の全数は、マスク領域に対する瞳領域の比よりも大きい。しかしながら、これらの小区域における位相の最終値は、マスクの重複によって互いに完全に独立でないかもしれない。他方、所与のマスク領域の場合、あるいは同じことであるが、所与のレーザー出力の場合、重複マスクには、さらに多くの小区域を使用することができ、それゆえ、優れた補正が得られる場合が多い。従って、図5cは重複マスクアプローチを示し、ここでは、各々が瞳領域の1/3をカバーするWME114に対する6つの重複マスクによって9つの異なる瞳小区域の各々に対する固有の波面推定値が得られる。
【0070】
最後に、図5dに示す段階的な重複マスクアプローチでは、マスクは同じ寸法を有するが、マスクの寸法よりも小さい距離で隣接するマスクから離される。例えば、図5dに記載するパターンは、3×3および2×1の段階的な重複マスクで示され、ここで、「3×3」は各マスクの寸法(後瞳に亘るための3つの水平マスク×3つの垂直マスク)を示し、「2×1」は段階的パターン(各マスクの幅を横断するための2ステップと高さをカバーするための1ステップ)を示す。このアプローチは、位相勾配データの高密度アレイを一定間隔で測定できるので、位相復元に特によく適している。それゆえ、段階的重複アプローチでは、収差のある波面は、小区域そのものよりも小さい一連の離散ステップで小区域を移動し、各ステップでビーム偏向、したがって位相勾配を測定することによって、単一の「オン」小区域のサイズよりも小さいスケールで測定されることができる。図5dは段階的重複マスクアプローチを示し、ここでは、瞳領域の1/9をカバーするWME114のマスクは、マスクの幅の半分に等しい水平ステップと、マスクの高さに等しい垂直ステップとで移動される。ビーム偏向は、マスクの各位置で測定される。それゆえ、図5dは、瞳領域の1/9に対応するマスクが18の異なる瞳小区域の各々に固有の波面推定をもたらすように、3×3および2×1の段階的重複マスクとして示される。位相復元は、段階的重複マスクの各位置における最適な位相オフセットを決定するために使用されてもよく、各測定点を中心とする領域において収差がある波面に最適な平面を決定するために勾配データと結合されてもよい。
【0071】
重複および段階的重複マスクアプローチは、例えば、後瞳のN=81小区域が後瞳の領域の1/9に対応するマスクを用いて規定されるように、さらに拡張されることができる。当然ながら、所与の数Nの小区域の場合、独立したマスクアプローチは、小区域間の結合が残留する重複および段階的重複マスクアプローチよりも優れている。しかしながら、所与のマスク領域の場合、あるいは同じことであるが、所与のレーザー出力の場合、重複または段階的重複マスクには、さらに多くの小区域を使用することができ、それゆえ、優れた補正が得られる場合が多い。
【0072】
サンプル106の焦点120における励起ビーム光の収差の低減と、サンプルから得られる結果として生じる画像の改善とは、通常WME114の小区域数Nの関数として単調増加し、Nは対物レンズ118の後瞳の個々のセグメントに対応するが、Nのある値において分解能と信号強度の改善は限界に達する。良好な結果を実現するために必要な小区域の数Nは、調査中のサンプルと、最適化されているパラメータと、所望の最適化度との詳細に依存する。当然ながら、対物レンズ118の後瞳の個々のセグメントに対応するWME114の小区域の密度は、WME全体で均一である必要はない。むしろ、収差がある波面の初期の低分解能マップは低い値のNを用いて作成されてもよく、この後、微細構造を示唆する領域が高密度の小区域を用いてサンプリングされてもよい。
【0073】
顕微鏡システム100の性能に影響を与える収差は、サンプル160自体からと同様に、光源102と焦点120との間の光路に沿ってどこからでも由来することができる。それゆえ、これらの本質的な顕微鏡収差は、後続の実験における全測定収差のサンプルによって誘導された成分を導出しうるように特徴づけられることができる。例えば、画像は蛍光ビーズ参照物体について取得されてもよく、また画像はWME114の平坦性の乏しさに大きく起因する可能性のある著しい非点収差およびコマ収差を示してもよい。しかしながら、N=36の独立した小区域を有する本明細書に記載する適応光学系補正と直接位相測定を適用した後、横(X−Y平面)方向および軸(X−Z、Y−Z、長軸Z、および短軸−Z平面)方向の両方のビーズ画像の半値全幅(FWHM)はそれらの回折限界値に近づきうる。
【0074】
適応光学系プロセスが終了し、回折限界焦点120を実現するために対物レンズ118の後瞳における適切な角度と位相とを有する個々のビームレットを生じるWME小区域に適用される位相が決定された後、WME114の位相パターンは、最終補正波面、モジュロ2πを表す。この波面をより直感的な形で表示するために、測定中に使用されるグローバルな位相ランプが差し引かれ、位相は、縁をカウントし位相が小区域境界を越えて連続するものと仮定することによって明らかにされる。最後に、サンプルのみによる収差を決定するために、システム収差に起因する明らかにされた波面の一部が差し引かれる。
【0075】
前述のように、適応光学系は、ポイントスキャン顕微鏡検査法に使用されることに加えて、広視野顕微鏡検査法によって得られる画像の品質を向上させるためにも使用されることができる。広視野顕微鏡検査法では、サンプルの大きい区域が均一に照射され、関心区域全体が画像検出器(例えば、CCDカメラ)に同時に記録される。多くのポイントスキャン法の場合、収差の主要な影響は励起光にあり、回折限界焦点が形成されることを阻止する。前述のように、収差の主要な影響は、さらに、放射経路にあり、サンプル内の各点から放射される信号が画像検出器の回折限界点に再収束されことを阻止する。ポイントスキャン顕微鏡検査法は散乱生物組織に好ましく、広視野走査顕微鏡検査法は透明な生物サンプルに、より一般的に適用されるが、サンプルによって誘発される収差はいずれにしてもよく見られる。
【0076】
例えば、図6に示すように、放射光の球面波面はサンプル604において点602から放射されることができる。波面はサンプル604における屈折率の不均質性によって歪められうる(すなわち、収差を生じる)。この後、収差を生じた波面を顕微鏡対物レンズ606によって収束させると、結果的に平面波ではなく、収差を生じた波面608を生じる。
【0077】
ポイントスキャン顕微鏡検査法と違って、従来の広視野顕微鏡検査法はオプティカルセクショニング能力を欠いている。それゆえ、これは、通常、単一の培養細胞および極薄組織切片に使用され、この場合、収差は典型的に問題ではない。しかしながら、選択的平面照明顕微鏡検査法(「SPIM」)および構造化照明顕微鏡検査法(「SIM」)などの軸方向切断能力を有する広視野法の最近の開発によって、厚いサンプルへの適用が現在では可能であり、したがって、放射光の収差の補正が現実味を帯びている。
【0078】
図7は、適応光学系技術を用いて収差を補正する広視野顕微鏡システム700の概略図である。放射光はシステム700の焦点面704から放射され、この場合、焦点面はサンプル702内にある。対物レンズ706は、サンプル702を通過することによって収差を受ける可能性のある放射光の焦点を合わせ、1対の望遠レンズ708a、708bは収束された光を視野絞り710に通して放射光ビームのウエストを拡大または縮小するために使用されることができる。波面変調素子712によって、この後、放射光を検出器714に通す前に、収差がある波面に適応光学系技術が適用される。WME712によって、ポイントスキャン顕微鏡検査法に関して前述した同様の適応光学系瞳セグメンテーション技術を適用してもよく、波面の複数の異なる部分で形成された画像を回折限界の完全な広視野波面を復元するために使用できるように、焦点面704からの放射光ビームのビームレットの角度に個々のシフトを適用してもよい。
【0079】
図8は、適応光学系技術を用いて収差を補正し、システム700のさらなる詳細を示す広視野顕微鏡システム800の概略図である。励起光源802は、移動ステージ808に取り付けられた対物レンズ806を通ってビームスプリッタ804からサンプル810に反射される励起光を提供する。放射光は、対物レンズ806の焦点面でサンプル810から放射され、対物レンズ806によって放射光ビームに収束され、望遠レンズシステム814a、814bに向かってミラー812から反射される。望遠レンズ814a、814bは、放射光ビームを視野絞り816に通す。前述したポイントスキャン顕微鏡検査法で使用される適応光学系と同様に、波面変調素子818は、放射光ビームの個々のビームレットを修正するための波面センサーおよび位相制御デバイスの両方としての機能を果たす。WME818によって変調される放射光は、放射光を画像化する検出器820(例えば、CCD検出器)に向けられる。
【0080】
図9Aに示すような一実施形態では、単一のフレネル・レンズ・パターンがWME818に適用されることができる。フレネル・レンズ・パターンは、この後、図9Bに示すように、サンプル810の単一画像を形成するために放射ビームを検出器820に収束させる。この後、図9Cに示すように、フレネルレンズのアレイがWME818の複数の異なる小区域に適用されて、放射光波面を、複数の異なる、個々に制御可能なビームレットにセグメント化し、図9Dに示すように、検出器820の画像平面でサンプルの画像のアレイを作り出すことができる。完全な平面波放射波面の場合、画像のアレイは、完全な格子に位置することになる。しかしながら、その理想的な格子位置からの個々の画像のずれは、個々の画像を作成するために使用される波面の部分の傾斜(及び、波面のその部分に対応するビームレットの角度)を測定するために使用されることができる。それゆえ、その理想的な格子位置からの個々の画像のずれの測定は、対物レンズ806の後瞳全体の波面傾斜測定値のアレイを決定するために使用されてもよく、それから所望の補正波面が復元されてもよい。この補正をWME818に適用し、これに図9Aに示す単一のフレネル・レンズ・パターンを重ね合わせ、これを使用して画像全体を検出器に収束させると、サンプル810の回折限界画像が検出器820で復元される。
【0081】
2光子蛍光顕微鏡検査法と同様に、サンプル810が視野位置に依存する収差を示さない場合、結果として得られる適応光学系補正は視野のいたるところで回折限界分解能を復元することが可能である。収差が視野に依存する場合、視野全体に対して平均化された補正が得られ、これは信号および分解能をさらに改善することが可能である。さらに、複数の異なる部分的視野内の蛍光の特徴を用いた画像シフトを解析することによって、視野に依存する収差が測定されてもよく、適切な収差パターンを各部分的視野に順次適用することによって回折限界画像が復元されてもよい。
【0082】
図10は、サンプルの画像を形成するプロセス1000のフローチャートである。プロセス1000では、励起光ビームがサンプル内の焦点に収束される(1002)。そして、ビームの断面は個々のビームレットを含む。焦点が、サンプル内の複数の異なる位置で走査される(1004)。個々のビームレットの角度は、焦点が複数の異なる位置にあるとき個々に制御される(1006)。個々のビームレットの角度を個々に制御するステップは、個々のビームレットに対応する個々の小区域を含む波面変調素子で励起ビームを変調するステップ(1006a)を含んでいてもよく、個々の小区域内で対応する個々のビームレットの位相に空間的勾配を誘導するために対応するビームレットに小区域によって与えられる位相値のプロファイルを制御するステップ(1006b)を含んでいてもよい。
【0083】
位相値のプロファイルは、個々のビームレットを物体に照射することによって形成される物体の位置画像のシフトを観察することによって決定されることができる。例えば、サンプル内の参照物体には、励起ビームの複数の異なるビームレットが照射されてもよく、その場合、複数の異なるビームレットは、波面変調素子の種々の対応する小区域によって変調される。参照物体からの放射光は、参照物体に複数の異なるビームレットが照射されるときに検出されてもよく、サンプル内の参照物体の位置は参照物体に複数の異なるビームレットが照射されるときに検出される放射光に基づいて決定されてもよい。決定された位置に基づいて、ビームレットが位相に空間的勾配を含むときに位置が実質的に互いに等しくなるように、対応するビームレットの位相に空間的勾配を誘導するために、小区域の対応するビームレットに各小区域によって与えられる位相値のビームレット−角度−補正プロファイルについての決定がなされることができる。
【0084】
個々のビームレットの相対位相は、焦点が複数の異なる位置にあるときに個々に制御される(1008)。例えば、焦点におけるビームレット間に建設的干渉をもたらすことになる波面変調素子におけるビームレット間の相対位相は、位相値のビームレット−角度―補正プロファイルに基づいて決定されることができる。焦点から放射される放射光は、焦点が複数の異なる位置にあるときに検出される(1010)。焦点の複数の異なる位置から検出された放射光に基づいてサンプルの画像が作成される(1012)。
【0085】
図11は、サンプルの画像を形成するプロセス1100のフローチャートである。プロセス1100では、サンプルに励起光が照射され(1102)、サンプルによって放射される光は対物レンズで集められる(1104)。集められた光のビームは波面変調素子によって変調され、この場合、変調された光のビームの断面は個々のビームレットを含む(1106)。個々のビームレットが変調される角度は、波面変調素子の異なる個々の小区域によって個々に制御される(1108)。個々のビームレットの角度を個々に制御するステップは、個々のビームレットに対応する波面変調素子の個々の小区域内で、個々の対応するビームレットの位相に空間的勾配を誘導するために、小区域によって対応するビームレットに与えられる位相値のプロファイルを制御する(1108b)ステップを含むことができる。波面変調素子によって変調される光は画像化される(1110)。
【0086】
ビームレットが個々の小区域によって変調される位相値のプロファイルは、波面変調素子にフレネルレンズのパターンを与えることによって決定されてもよく、その場合、複数の異なるフレネルレンズは波面変調素子の複数の異なる小区域に与えられる。サンプル内の参照物体には励起光が照射されてもよく、参照物体によって放射される光は、フレネルレンズのパターンが波面変調素子に与えられる間に集められてもよい。集められた光のビームはフレネルレンズのパターンが与えられる間に波面変調素子で変調されてもよく、この場合、変調され集められた光のビームの断面は個々のビームレットを含む。集められて変調された光は画像化されてもよく、画像化された光における参照物体の画像パターンの位置特徴は参照物体の画像の理想パターンの位置特徴と比較されてもよい。比較に基づいて、2つのパターンの差を減らすことになる位相値のプロファイルが決定されることができる。
【0087】
本明細書に記載する様々な技術の実施形態は、ディジタル電子回路、またはコンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、あるいはこれらの組合せで実施されることができる。実施形態は、コンピュータプログラム製品、すなわち、情報担体において、例えば、機械で読取可能な記憶デバイスにおいて、または伝播信号において、データ処理装置、例えば、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、または複数のコンピュータによって実行するために、あるいはこれらの動作を制御するために、明白に具体化されるコンピュータプログラムとして実施されてもよい。前述したコンピュータプログラムなどのコンピュータプログラムは、コンパイラ型言語、インタープリタ型言語を含む任意の形のプログラミング言語で書かれることができ、スタンドアロンプログラムとして、あるいはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、またはコンピュータ環境での使用に適した他のユニットとしてなど、任意の形で展開されることもできる。コンピュータプログラムは、1つのサイトまたは複数サイトに分散された、1台のコンピュータあるいは複数台のコンピュータで、通信ネットワークによって相互接続されて、実行されるように展開されうる。
【0088】
方法のステップは、入力データで動作し出力を発生することによって機能を実施するためにコンピュータプログラムを実行する1つまたは複数のプログラマブルプロセッサによって実施されてもよい。さらに、方法のステップは、特殊目的論理回路、例えば、FPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)によって実施されてもよく、また、装置はこれらとして実現されてもよい。
【0089】
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサは、例として、汎用および専用の両マイクロプロセッサと、あらゆる種類のディジタルコンピュータのいずれか1つまたは複数のプロセッサとを含む。一般に、プロセッサは、リード・オンリー・メモリまたはランダム・アクセス・メモリまたは両方から命令およびデータを受け取る。コンピュータの要素は、命令を実行する少なくとも1つのプロセッサと、命令およびデータを記憶する1つまたは複数のメモリデバイスを含んでいてもよい。また、一般に、コンピュータは、データを記憶する1つまたは複数の大容量記憶装置、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、または光ディスクを含んでいてもよく、あるいはこれらからデータを受け取り、またはこれらにデータを転送し、またはこれらの両方を行うように動作可能に結合されてもよい。コンピュータプログラム命令およびデータを具体化するのに適した情報担体は、例として、半導体メモリデバイス、例えば、EPROM、EEPROM、およびフラッシュ・メモリ・デバイス;磁気ディスク、例えば、内蔵ハードディスクまたはリムーバブルディスク;光磁気ディスク;およびCD−ROMおよびDVD−ROMディスクなど、あらゆる形態の不揮発性メモリを含む。プロセッサおよびメモリは、専用論理回路によって補完されてもよく、専用論理回路に組み込まれてもよい。
【0090】
ユーザーとの対話を行うために、実施形態は、表示装置、例えば、ユーザーに対して情報を表示するブラウン管(CRT)または液晶ディスプレイ(LCD)モニタと、キーボードおよびポインティングデバイス、例えば、ユーザーがコンピュータに入力を提供することができるマウスまたはトラックボールを有するコンピュータで実施されてもよい。ユーザーとの対話を行うために他の種類のデバイスも使用されることができる。例えば、ユーザーに提供されるフィードバックは、任意の形態の感覚フィードバック、例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、または触覚フィードバックであってもよく、ユーザーからの入力は音響、音声、触覚入力などのいかなる形態で受け取られてもよい。
【0091】
前述の実施形態の特定の特徴は本明細書で説明した通りであるが、ここで多くの修正形態、代替形態、変更形態、および等価物が当業者に想起されるであろう。そこで、添付の特許請求の範囲は実施形態の真の趣旨に含まれるすべての修正形態および変更形態を網羅するものであることを理解されたい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルの画像を形成する方法であって、
前記サンプル内の焦点に、ビームの断面が個々のビームレットを含む励起光ビームを収束させるステップと、
前記サンプル内の複数の異なる位置で前記焦点を走査するステップと、
前記焦点が前記複数の異なる位置にあるときに前記個々のビームレットの角度を個々に制御するステップと、
前記焦点が前記複数の異なる位置にあるときに前記個々のビームレットの相対位相を個々に制御するステップと、
前記焦点が前記複数の異なる位置にあるときに前記焦点から放射された放射光を検出するステップと、
前記焦点の複数の異なる位置から前記検出された放射光に基づいて前記サンプルの画像を作成するステップと、
を備える、方法。
【請求項2】
前記個々のビームレットの角度を個々に制御するステップは、
前記個々のビームレットに対応する個々の小区域を含む波面変調素子で前記励起ビームを変調するステップと、
個々の小区域内で、前記対応する個々のビームレットの位相に空間的勾配を誘導するために前記対応するビームレットに前記小区域によって与えられる位相値のプロファイルを制御するステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の異なる位置は前記サンプルの平面内にある、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記平面は前記サンプル内の前記励起ビームの軸に非垂直である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記励起光は第1の波長を有し、前記放射光は前記第1の波長よりも小さい第2の波長を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記波面変調素子は空間光変調器を含み、前記空間光変調器の活性層から反射される光にグローバル・フレーズ・ランプを適用して、前記空間光変調器の前面から反射される光と前記活性層から反射される光との間に非ゼロ角度を誘導するステップをさらに備える、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記位相値のプロファイルを決定するステップをさらに備え、前記決定するステップは、
複数の異なるビームレットが、前記波面変調素子の種々の対応する小区域によって変調され、前記サンプル内の参照物体に、前記励起ビームの複数の異なるビームレットを照射するステップと、
前記参照物体に前記複数の異なるビームレットが照射されるとき前記参照物体から放射光を検出するステップと、
前記参照物体に前記複数の異なるビームレットが照射されるときに検出された前記放射光に基づいて前記サンプル内の前記参照物体の位置を決定するステップと、
前記決定された位置に基づいて、前記対応するビームレットの位相に空間的勾配を誘導するための前記小区域の対応するビームレットに各小区域によって与えられる位相値のビームレット−角度−補正プロファイルを決定し、前記ビームレットが前記位相に前記空間的勾配を含むときに前記位置が互いに実質的に等しくなるようにするステップと、
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記参照物体は蛍光ビーズである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記位相値のプロファイルを決定するステップは、
前記位相値のビームレット−角度−補正プロファイルに基づいて、前記焦点におけるビームレット間に建設的干渉をもたらすことになる前記波面変調素子における前記ビームレット間の相対位相を決定するステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記位相値のプロファイルを決定するステップをさらに備え、前記決定するステップは、
前記波面変調素子の参照小区域によって変調される参照ビームレットを前記サンプル内の参照物体に照射するステップと、
前記波面変調素子の異なる個々の小区域によって変調される複数の異なるビームレットを前記参照物体に連続的に照射できるようにするステップと、
各ビームレットに対して、前記焦点における前記ビームレットと、参照ビームレットとの間に建設的干渉をもたらすことになる前記ビームレットと前記参照ビームレットの間の相対位相を誘導するために、前記ビームレットの対応する小区域によって前記ビームレットに与えられる位相値のプロファイルを決定するステップと、
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記位相値のプロファイルを決定するステップをさらに備え、前記決定するステップは、
前記波面変調素子の小区域に対応する複数のビームレットの各ビームレットに対して、
前記サンプル内の参照物体に前記ビームレットを照射するステップと、
前記参照物体に前記ビームレットが照射されるとき前記サンプル内の前記参照物体から放射光を検出するステップと、
前記検出された放射光に基づいて前記サンプル内の前記参照物体の位置を決定するステップと、
前記決定された位置に基づいて、前記対応するビームレットの位相に空間的勾配を誘導するための前記小区域の対応するビームレットに各小区域によって与えられる位相値のビームレット−角度−補正プロファイルを決定し、前記ビームレットが前記位相で前記空間的勾配を含むとき、前記ビームレットは該ビームレットが前記位相で前記空間的勾配を含まないときに形成される焦点よりも小さいサイズを有するサンプル内の焦点で交わるようにするステップと、
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記位相値のプロファイルを決定するステップは、
前記位相値のビームレット−角度−補正プロファイルに基づいて、前記焦点における前記ビームレット間に建設的干渉をもたらすことになる前記波面変調素子でのビームレット間の相対位相を決定するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
励起光を放射するように構成された光源と、
サンプル内の焦点にその断面が個々のビームレットを含む励起光ビームを収束させるように構成された収束素子と、
前記サンプル内の複数の異なる位置で前記焦点を走査するように構成された走査素子と、
前記励起光を変調して前記焦点が複数の異なる位置にあるときに前記個々のビームレットの角度および相対位相を制御するように構成された波面変調素子と、
前記焦点が複数の異なる位置にあるときに前記焦点から放射された放射光を検出するように構成された検出器と、
前記焦点の複数の異なる位置からの前記検出された放射光に基づいて前記サンプルの画像を作成するように構成されたプロセッサと、
を備える、顕微鏡システム。
【請求項14】
前記波面変調素子は、前記個々のビームレットに対応する前記波面変調素子の個々の小区域内で、前記個々の対応するビームレットの位相に空間的勾配を誘導するために前記対応するビームレットに前記小区域によって与えられる位相値のプロファイルを制御することによって、前記個々のビームレットの角度を制御するように構成される、請求項13に記載の顕微鏡システム。
【請求項15】
前記複数の異なる位置は前記サンプルの平面内にある、請求項14に記載の顕微鏡システム。
【請求項16】
前記平面は前記サンプル内の前記励起ビームの軸に非垂直である、請求項14に記載の顕微鏡システム。
【請求項17】
前記励起光は第1の波長を有し、前記放射光は前記第1の波長よりも小さい第2の波長を有する、請求項14に記載の顕微鏡システム。
【請求項18】
前記波面変調素子は空間光変調器を含み、前記空間光変調器の前面から反射された光と活性層から反射された光との間に非ゼロ角度を誘導するために、前記空間光変調器の前記活性層から反射された光にグローバル・フレーズ・ランプを適用するように構成された、請求項14に記載の顕微鏡システム。
【請求項19】
前記波面変調素子は前記サンプルに達しない方向に個々のビームレットの方向を変調して前記サンプル内の参照物体に前記励起ビームの残りの異なる個々のビームレットが照射されうるように、さらに構成され、前記複数の異なるビームレットが前記波面変調素子の種々の対応する小区域によって変調され、さらに、前記参照物体に前記複数の異なるビームレットが照射されるときに前記サンプル内の前記参照物体からの放射光が検出されうるように、前記顕微鏡システムは、
前記参照物体に前記複数の異なるビームレットが照射されるときに検出された前記放射光に基づいて前記サンプル内の参照物体の位置を決定するステップと、
前記決定された位置に基づいて、前記位置が実質的に互いに等しくなるように、前記対応するビームレットの位相に空間的勾配を誘導するために前記小区域の対応するビームレットに各小区域によって与えられる位相値のビームレット−角度−補正プロファイルを決定するステップと、
によって、前記位相値のプロファイルを決定するように構成された1つまたは複数のプロセッサをさらに備える、請求項14に記載の顕微鏡システム。
【請求項20】
前記波面変調素子と前記サンプルの間の前記励起ビームの経路に沿って位置し、前記サンプルに達しない方向に変調される励起光のビームレットを阻止するように構成される視野絞りをさらに備える、請求項19に記載の顕微鏡システム。
【請求項21】
前記位相値のプロファイルを決定するステップは、前記位相値のビームレット−角度−補正プロファイルに基づいて、前記焦点におけるビームレット間に建設的干渉をもたらすことになる前記波面変調素子におけるビームレット間の相対位相を決定するステップをさらに含む、請求項19に記載の顕微鏡システム。
【請求項22】
前記波面変調素子は前記サンプルに達しない方向に個々のビームレットの方向を変調して前記サンプル内の参照物体に前記励起ビームの残りの異なる個々のビームレットが照射されるように、さらに構成され、前記複数の異なるビームレットが前記波面変調素子の種々の対応する小区域によって変調され、さらに、前記参照物体に複数の異なるビームレットが照射されるときに前記サンプル内の前記参照物体からの放射光が検出されるように、前記顕微鏡システムは、
各々の異なる個々のビームレットに対して、前記個々のビームレットと前記参照ビームレットの間の焦点に建設的干渉をもたらすことになる前記ビームレットと前記参照ビームレットの間に相対位相を誘導するために、前記ビームレットの対応する小区域によって前記ビームレットに与えられる位相値のプロファイルを決定するステップによって、
前記位相値のプロファイルを決定するように構成された1つまたは複数のプロセッサをさらに備える、請求項19に記載の顕微鏡システム。
【請求項23】
サンプルの画像を形成する方法であって、
サンプルに励起光を照射するステップと、
前記サンプルによって放射される光を対物レンズで集めるステップと、
変調された光のビームの断面が個々のビームレットを含んでおり、波面変調素子によって前記集められた光のビームを変調するステップと、
前記個々のビームレットが前記波面変調素子の異なる個々の小区域によって変調される角度を個々に制御するステップと、
前記波面変調素子によって変調される前記光を画像化するステップと、
を備える、方法。
【請求項24】
前記個々のビームレットの角度を個々に制御するステップは、前記個々のビームレットに対応する前記波面変調素子の個々の小区域内で、前記個々の対応するビームレットの位相に空間的勾配を誘導するために、前記対応するビームレットに前記小区域によって与えられる位相値のプロファイルを制御するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記波面変調素子は、空間光変調器を含み、前記空間光変調器の活性層から反射される光にグローバル・フレーズ・ランプを適用して、前記空間光変調器の前面から反射される光と前記活性層から反射される光との間に非ゼロ角度を誘導するためのステップをさらに備える、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記ビームレットが前記個々の小区域によって変調される位相値のプロファイルを決定するステップをさらに備え、前記決定するステップは、
フレネルレンズのパターンを前記波面変調素子に与え、その際に複数の異なるフレネルレンズが前記波面変調素子の複数の異なる小区域に与えられるステップと、
前記サンプル内の参照物体に励起光を照射するステップと、
前記フレネルレンズのパターンが前記波面変調素子に与えられている状態で前記参照物体によって放射される光を集めるステップと、
変調され集められた光のビームの断面が個々のビームレットを含んでおり、前記フレネルレンズのパターンが与えられている状態で前記波面変調素子で前記集められた光のビームを変調するステップと、
前記集められ変調された光を画像化するステップと、
前記画像化された光で前記参照物体の画像パターンの位置の特徴を前記参照物体の画像の理想パターンの位置の特徴と比較するステップと、
前記比較に基づいて、前記2つのパターンの間の差異を減らすことになる位相値のプロファイルを決定するステップと、
を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
サンプルを照射するように構成された励起光の光源と、
サンプルによって放射される光を集めるように構成された集光光学系と、
前記集められた光のビームを変調するように構成された波面変調素子であって、反射光のビームの断面が個々のビームレットを含み、個々のビームレットが前記波面変調素子の異なる個々の小区域から反射される角度を個々に制御するように構成されている波面変調素子と、
前記波面変調素子から反射された光を画像化するように構成された検出器と、
を備える、顕微鏡システム。
【請求項28】
前記個々のビームレットの角度を個々に制御するステップは、
前記個々のビームレットに対応する前記波面変調素子の個々の小区域内で、前記個々の対応するビームレットの位相に空間的勾配を誘導するために、前記対応するビームレットに前記小区域によって与えられる位相値のプロファイルを制御するステップを含む、請求項27に記載の顕微鏡システム。
【請求項29】
前記波面変調素子は空間光変調器を含み、前記空間光変調器の前面から反射された光と活性層から反射された光との間に非ゼロ角度を誘導するために、前記空間光変調器の活性層から反射された光にグローバル・フレーズ・ランプを適用するように構成される、請求項28に記載の顕微鏡システム。
【請求項30】
前記小区域によって与えられる位相値のプロファイルを決定するように構成された1つまたは複数のプロセッサをさらに備えており、前記決定するステップは、
フレネルレンズのパターンを前記波面変調素子に与え、その際に複数の異なるフレネルレンズが前記波面変調素子の複数の異なる小区域に与えられるステップと、
前記サンプル内の参照物体に励起光を照射するステップと、
フレネルレンズの前記パターンが前記波面変調素子に与えられている状態で前記参照物体によって放射される光を集めるステップと、
変調され集められた光のビームの断面が個々のビームレットを含んでおり、フレネルレンズの前記パターンが与えられている状態で前記波面変調素子で前記集められた光のビームを変調するステップと、
前記集められ変調された光を画像化するステップと、
前記画像化された光で前記参照物体の画像のパターンの位置の特徴を前記参照物体の画像の理想パターンの位置の特徴と比較するステップと、
前記比較に基づいて、前記2つのパターンの間の差異を減らすことになる位相値のプロファイルを決定するステップと、
を含む、請求項28に記載の顕微鏡システム。
【請求項1】
サンプルの画像を形成する方法であって、
前記サンプル内の焦点に、ビームの断面が個々のビームレットを含む励起光ビームを収束させるステップと、
前記サンプル内の複数の異なる位置で前記焦点を走査するステップと、
前記焦点が前記複数の異なる位置にあるときに前記個々のビームレットの角度を個々に制御するステップと、
前記焦点が前記複数の異なる位置にあるときに前記個々のビームレットの相対位相を個々に制御するステップと、
前記焦点が前記複数の異なる位置にあるときに前記焦点から放射された放射光を検出するステップと、
前記焦点の複数の異なる位置から前記検出された放射光に基づいて前記サンプルの画像を作成するステップと、
を備える、方法。
【請求項2】
前記個々のビームレットの角度を個々に制御するステップは、
前記個々のビームレットに対応する個々の小区域を含む波面変調素子で前記励起ビームを変調するステップと、
個々の小区域内で、前記対応する個々のビームレットの位相に空間的勾配を誘導するために前記対応するビームレットに前記小区域によって与えられる位相値のプロファイルを制御するステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の異なる位置は前記サンプルの平面内にある、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記平面は前記サンプル内の前記励起ビームの軸に非垂直である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記励起光は第1の波長を有し、前記放射光は前記第1の波長よりも小さい第2の波長を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記波面変調素子は空間光変調器を含み、前記空間光変調器の活性層から反射される光にグローバル・フレーズ・ランプを適用して、前記空間光変調器の前面から反射される光と前記活性層から反射される光との間に非ゼロ角度を誘導するステップをさらに備える、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記位相値のプロファイルを決定するステップをさらに備え、前記決定するステップは、
複数の異なるビームレットが、前記波面変調素子の種々の対応する小区域によって変調され、前記サンプル内の参照物体に、前記励起ビームの複数の異なるビームレットを照射するステップと、
前記参照物体に前記複数の異なるビームレットが照射されるとき前記参照物体から放射光を検出するステップと、
前記参照物体に前記複数の異なるビームレットが照射されるときに検出された前記放射光に基づいて前記サンプル内の前記参照物体の位置を決定するステップと、
前記決定された位置に基づいて、前記対応するビームレットの位相に空間的勾配を誘導するための前記小区域の対応するビームレットに各小区域によって与えられる位相値のビームレット−角度−補正プロファイルを決定し、前記ビームレットが前記位相に前記空間的勾配を含むときに前記位置が互いに実質的に等しくなるようにするステップと、
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記参照物体は蛍光ビーズである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記位相値のプロファイルを決定するステップは、
前記位相値のビームレット−角度−補正プロファイルに基づいて、前記焦点におけるビームレット間に建設的干渉をもたらすことになる前記波面変調素子における前記ビームレット間の相対位相を決定するステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記位相値のプロファイルを決定するステップをさらに備え、前記決定するステップは、
前記波面変調素子の参照小区域によって変調される参照ビームレットを前記サンプル内の参照物体に照射するステップと、
前記波面変調素子の異なる個々の小区域によって変調される複数の異なるビームレットを前記参照物体に連続的に照射できるようにするステップと、
各ビームレットに対して、前記焦点における前記ビームレットと、参照ビームレットとの間に建設的干渉をもたらすことになる前記ビームレットと前記参照ビームレットの間の相対位相を誘導するために、前記ビームレットの対応する小区域によって前記ビームレットに与えられる位相値のプロファイルを決定するステップと、
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記位相値のプロファイルを決定するステップをさらに備え、前記決定するステップは、
前記波面変調素子の小区域に対応する複数のビームレットの各ビームレットに対して、
前記サンプル内の参照物体に前記ビームレットを照射するステップと、
前記参照物体に前記ビームレットが照射されるとき前記サンプル内の前記参照物体から放射光を検出するステップと、
前記検出された放射光に基づいて前記サンプル内の前記参照物体の位置を決定するステップと、
前記決定された位置に基づいて、前記対応するビームレットの位相に空間的勾配を誘導するための前記小区域の対応するビームレットに各小区域によって与えられる位相値のビームレット−角度−補正プロファイルを決定し、前記ビームレットが前記位相で前記空間的勾配を含むとき、前記ビームレットは該ビームレットが前記位相で前記空間的勾配を含まないときに形成される焦点よりも小さいサイズを有するサンプル内の焦点で交わるようにするステップと、
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記位相値のプロファイルを決定するステップは、
前記位相値のビームレット−角度−補正プロファイルに基づいて、前記焦点における前記ビームレット間に建設的干渉をもたらすことになる前記波面変調素子でのビームレット間の相対位相を決定するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
励起光を放射するように構成された光源と、
サンプル内の焦点にその断面が個々のビームレットを含む励起光ビームを収束させるように構成された収束素子と、
前記サンプル内の複数の異なる位置で前記焦点を走査するように構成された走査素子と、
前記励起光を変調して前記焦点が複数の異なる位置にあるときに前記個々のビームレットの角度および相対位相を制御するように構成された波面変調素子と、
前記焦点が複数の異なる位置にあるときに前記焦点から放射された放射光を検出するように構成された検出器と、
前記焦点の複数の異なる位置からの前記検出された放射光に基づいて前記サンプルの画像を作成するように構成されたプロセッサと、
を備える、顕微鏡システム。
【請求項14】
前記波面変調素子は、前記個々のビームレットに対応する前記波面変調素子の個々の小区域内で、前記個々の対応するビームレットの位相に空間的勾配を誘導するために前記対応するビームレットに前記小区域によって与えられる位相値のプロファイルを制御することによって、前記個々のビームレットの角度を制御するように構成される、請求項13に記載の顕微鏡システム。
【請求項15】
前記複数の異なる位置は前記サンプルの平面内にある、請求項14に記載の顕微鏡システム。
【請求項16】
前記平面は前記サンプル内の前記励起ビームの軸に非垂直である、請求項14に記載の顕微鏡システム。
【請求項17】
前記励起光は第1の波長を有し、前記放射光は前記第1の波長よりも小さい第2の波長を有する、請求項14に記載の顕微鏡システム。
【請求項18】
前記波面変調素子は空間光変調器を含み、前記空間光変調器の前面から反射された光と活性層から反射された光との間に非ゼロ角度を誘導するために、前記空間光変調器の前記活性層から反射された光にグローバル・フレーズ・ランプを適用するように構成された、請求項14に記載の顕微鏡システム。
【請求項19】
前記波面変調素子は前記サンプルに達しない方向に個々のビームレットの方向を変調して前記サンプル内の参照物体に前記励起ビームの残りの異なる個々のビームレットが照射されうるように、さらに構成され、前記複数の異なるビームレットが前記波面変調素子の種々の対応する小区域によって変調され、さらに、前記参照物体に前記複数の異なるビームレットが照射されるときに前記サンプル内の前記参照物体からの放射光が検出されうるように、前記顕微鏡システムは、
前記参照物体に前記複数の異なるビームレットが照射されるときに検出された前記放射光に基づいて前記サンプル内の参照物体の位置を決定するステップと、
前記決定された位置に基づいて、前記位置が実質的に互いに等しくなるように、前記対応するビームレットの位相に空間的勾配を誘導するために前記小区域の対応するビームレットに各小区域によって与えられる位相値のビームレット−角度−補正プロファイルを決定するステップと、
によって、前記位相値のプロファイルを決定するように構成された1つまたは複数のプロセッサをさらに備える、請求項14に記載の顕微鏡システム。
【請求項20】
前記波面変調素子と前記サンプルの間の前記励起ビームの経路に沿って位置し、前記サンプルに達しない方向に変調される励起光のビームレットを阻止するように構成される視野絞りをさらに備える、請求項19に記載の顕微鏡システム。
【請求項21】
前記位相値のプロファイルを決定するステップは、前記位相値のビームレット−角度−補正プロファイルに基づいて、前記焦点におけるビームレット間に建設的干渉をもたらすことになる前記波面変調素子におけるビームレット間の相対位相を決定するステップをさらに含む、請求項19に記載の顕微鏡システム。
【請求項22】
前記波面変調素子は前記サンプルに達しない方向に個々のビームレットの方向を変調して前記サンプル内の参照物体に前記励起ビームの残りの異なる個々のビームレットが照射されるように、さらに構成され、前記複数の異なるビームレットが前記波面変調素子の種々の対応する小区域によって変調され、さらに、前記参照物体に複数の異なるビームレットが照射されるときに前記サンプル内の前記参照物体からの放射光が検出されるように、前記顕微鏡システムは、
各々の異なる個々のビームレットに対して、前記個々のビームレットと前記参照ビームレットの間の焦点に建設的干渉をもたらすことになる前記ビームレットと前記参照ビームレットの間に相対位相を誘導するために、前記ビームレットの対応する小区域によって前記ビームレットに与えられる位相値のプロファイルを決定するステップによって、
前記位相値のプロファイルを決定するように構成された1つまたは複数のプロセッサをさらに備える、請求項19に記載の顕微鏡システム。
【請求項23】
サンプルの画像を形成する方法であって、
サンプルに励起光を照射するステップと、
前記サンプルによって放射される光を対物レンズで集めるステップと、
変調された光のビームの断面が個々のビームレットを含んでおり、波面変調素子によって前記集められた光のビームを変調するステップと、
前記個々のビームレットが前記波面変調素子の異なる個々の小区域によって変調される角度を個々に制御するステップと、
前記波面変調素子によって変調される前記光を画像化するステップと、
を備える、方法。
【請求項24】
前記個々のビームレットの角度を個々に制御するステップは、前記個々のビームレットに対応する前記波面変調素子の個々の小区域内で、前記個々の対応するビームレットの位相に空間的勾配を誘導するために、前記対応するビームレットに前記小区域によって与えられる位相値のプロファイルを制御するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記波面変調素子は、空間光変調器を含み、前記空間光変調器の活性層から反射される光にグローバル・フレーズ・ランプを適用して、前記空間光変調器の前面から反射される光と前記活性層から反射される光との間に非ゼロ角度を誘導するためのステップをさらに備える、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記ビームレットが前記個々の小区域によって変調される位相値のプロファイルを決定するステップをさらに備え、前記決定するステップは、
フレネルレンズのパターンを前記波面変調素子に与え、その際に複数の異なるフレネルレンズが前記波面変調素子の複数の異なる小区域に与えられるステップと、
前記サンプル内の参照物体に励起光を照射するステップと、
前記フレネルレンズのパターンが前記波面変調素子に与えられている状態で前記参照物体によって放射される光を集めるステップと、
変調され集められた光のビームの断面が個々のビームレットを含んでおり、前記フレネルレンズのパターンが与えられている状態で前記波面変調素子で前記集められた光のビームを変調するステップと、
前記集められ変調された光を画像化するステップと、
前記画像化された光で前記参照物体の画像パターンの位置の特徴を前記参照物体の画像の理想パターンの位置の特徴と比較するステップと、
前記比較に基づいて、前記2つのパターンの間の差異を減らすことになる位相値のプロファイルを決定するステップと、
を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
サンプルを照射するように構成された励起光の光源と、
サンプルによって放射される光を集めるように構成された集光光学系と、
前記集められた光のビームを変調するように構成された波面変調素子であって、反射光のビームの断面が個々のビームレットを含み、個々のビームレットが前記波面変調素子の異なる個々の小区域から反射される角度を個々に制御するように構成されている波面変調素子と、
前記波面変調素子から反射された光を画像化するように構成された検出器と、
を備える、顕微鏡システム。
【請求項28】
前記個々のビームレットの角度を個々に制御するステップは、
前記個々のビームレットに対応する前記波面変調素子の個々の小区域内で、前記個々の対応するビームレットの位相に空間的勾配を誘導するために、前記対応するビームレットに前記小区域によって与えられる位相値のプロファイルを制御するステップを含む、請求項27に記載の顕微鏡システム。
【請求項29】
前記波面変調素子は空間光変調器を含み、前記空間光変調器の前面から反射された光と活性層から反射された光との間に非ゼロ角度を誘導するために、前記空間光変調器の活性層から反射された光にグローバル・フレーズ・ランプを適用するように構成される、請求項28に記載の顕微鏡システム。
【請求項30】
前記小区域によって与えられる位相値のプロファイルを決定するように構成された1つまたは複数のプロセッサをさらに備えており、前記決定するステップは、
フレネルレンズのパターンを前記波面変調素子に与え、その際に複数の異なるフレネルレンズが前記波面変調素子の複数の異なる小区域に与えられるステップと、
前記サンプル内の参照物体に励起光を照射するステップと、
フレネルレンズの前記パターンが前記波面変調素子に与えられている状態で前記参照物体によって放射される光を集めるステップと、
変調され集められた光のビームの断面が個々のビームレットを含んでおり、フレネルレンズの前記パターンが与えられている状態で前記波面変調素子で前記集められた光のビームを変調するステップと、
前記集められ変調された光を画像化するステップと、
前記画像化された光で前記参照物体の画像のパターンの位置の特徴を前記参照物体の画像の理想パターンの位置の特徴と比較するステップと、
前記比較に基づいて、前記2つのパターンの間の差異を減らすことになる位相値のプロファイルを決定するステップと、
を含む、請求項28に記載の顕微鏡システム。
【図1】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図4A−D】
【図4E−H】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図4A−D】
【図4E−H】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2012−533069(P2012−533069A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519780(P2012−519780)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/041582
【国際公開番号】WO2011/006106
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(512006387)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/041582
【国際公開番号】WO2011/006106
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(512006387)
【Fターム(参考)】
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