遮蔽部材
【課題】真空断熱材を採用するにあたってのラミネートフィルムが紫外線により劣化するという問題を解決し、収納性が高く、断熱性能に優れた遮蔽部材を提供する。
【解決手段】太陽光を遮蔽する遮蔽部材3において、遮蔽部材3が、ラミネートフィルム7で芯材6を覆い真空密封した真空断熱材4と、真空断熱材4を覆う紫外線遮蔽素材のカバー部材5とからなることを特徴とする遮蔽部材3であり、紫外線によるラミネートフィルム7の劣化を低減することができ、内部へのガス侵入の増加を低減することができる。それにより、真空断熱材4の断熱性能の劣化が抑えられ、長期間の使用が可能となる。
【解決手段】太陽光を遮蔽する遮蔽部材3において、遮蔽部材3が、ラミネートフィルム7で芯材6を覆い真空密封した真空断熱材4と、真空断熱材4を覆う紫外線遮蔽素材のカバー部材5とからなることを特徴とする遮蔽部材3であり、紫外線によるラミネートフィルム7の劣化を低減することができ、内部へのガス侵入の増加を低減することができる。それにより、真空断熱材4の断熱性能の劣化が抑えられ、長期間の使用が可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽等からの光、熱を遮蔽する部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の遮蔽部材であるブラインドは、複数枚のスラットが設けられたブラインドにおいて、スラット本体に断熱材を積層したものである(例えば、特許文献1参照)。また、断熱材として高断熱性能な真空断熱材というものがある。
【0003】
図12は、特許文献1に記載された従来のブラインドの概略図である。
【0004】
従来のブラインドの構成は、図12に示すように、複数枚のアルミニウム薄板からなるスラット1が設けられたブラインドにおいて、スラット1本体に発泡ポリスチレン2が積層されている。
【0005】
以上のように構成されたブラインドについて、以下その作用を説明する。
【0006】
各スラット1は、表面に発泡ポリスチレン2が積層されており、各スラット1を傾斜させて各スラット間の間隙を閉塞する。これにより、断熱性の優れたものとなり、屋外の温度を遮断できる。
【0007】
また、断熱材として真空断熱材というものがあり、発泡ポリスチレンを真空断熱材に変えることによりさらなる断熱性能の向上が予測できる。真空断熱材とは、ラミネートフィルムで芯材を覆い、真空密封したものであり、真空にすることにより高断熱性能を実現したものである。
【特許文献1】特開平8−49481号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の構成では、高い断熱性能を得るためには発泡ポリスチレンの厚みが必要であり、ブラインドの採光性や収納性が悪くなる問題があった。
【0009】
また、発泡ポリスチレンを真空断熱材に変えると、薄くできるので採光性や収納性は向上するが、真空断熱材のラミネートフィルムが樹脂からできているため、紫外線に弱く劣化する問題が考えられる。ラミネートフィルムが劣化すると、真空断熱材内部へのガス侵入量が増加し、真空状態が維持できなくなる。それにより、断熱性能が低下してしまう問題がある。
【0010】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、真空断熱材を採用するにあたってのラミネートフィルムが紫外線により劣化するという問題を解決し、収納性が高く、断熱性能に優れた遮蔽部材を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記従来の課題を解決するために、本発明は、ラミネートフィルムで芯材を覆い真空密封した真空断熱材と、前記真空断熱材を覆う紫外線遮蔽素材のカバー部材とから遮蔽部材を構成したのであり、真空断熱材を紫外線遮蔽素材のカバー部材で覆うことで、紫外線によるラミネートフィルムの劣化を低減することができ、内部へのガス侵入の増加を低減することができる。それにより、真空断熱材の断熱性能の劣化が抑えられ、長期間の使用が可能となる。
【発明の効果】
【0012】
真空断熱材を紫外線遮蔽素材のカバー部材で覆うことで、紫外線によるラミネートフィルムの劣化を低減することができ、内部へのガス侵入の増加を低減することができる。それにより、真空断熱材の断熱性能の劣化が抑えられ、長期間の使用が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
請求項1に記載の発明は、太陽光を遮蔽する遮蔽部材において、前記遮蔽部材が、ラミネートフィルムで芯材を覆い真空密封した真空断熱材と、前記真空断熱材を覆う紫外線遮蔽素材のカバー部材とからなることを特徴とする遮蔽部材であり、真空断熱材を覆う紫外線遮蔽素材のカバー部材により、紫外線による真空断熱材のラミネートフィルムの劣化を低減することができ、内部へのガス侵入の増加を低減することができる。それにより、真空断熱材の断熱性能の劣化が抑えられ、長期間の使用が可能となる。
【0014】
また、遮蔽部材を通して侵入してくる熱を低減することができ、室内の温度上昇を抑えることができる。また、暖房時のように室外より室内の温度が高いときには、遮蔽部材を通して逃げていく熱を低減することができ、室内の温度低下を抑えることができる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、太陽光を遮蔽する遮蔽部材において、前記遮蔽部材が、ラミネートフィルムで複数の芯材を覆い、同一平面上の独立空間に真空密封した真空断熱材と、前記真空断熱材を覆う紫外線遮蔽素材のカバー部材とからなり、ラミネートフィルム同士が接合したシール部において真空断熱材とカバー部材とを接合したことを特徴とする遮蔽部材であり、真空断熱材の縁や、特に芯材間のシール部において真空断熱材とカバー部材を固定できるので、カバー部材内部で真空断熱材を固定できる。また、折り畳むときにもカバー部材が弛むことがなくなる。それによって、遮蔽部材の収納、展開をスムーズに行うことができる。
【0016】
また、真空断熱材が複数の芯材から構成されていることにより、芯材間で折り曲げることができる。それによって、遮蔽部材をコンパクトに折り畳むことができるので、遮蔽部材の収納性が向上する。
【0017】
また、各芯材が独立していることにより、一つの芯材部が破袋しても他の芯材部に影響がなく、断熱性能の低下を抑えることができる。
【0018】
請求項3に記載の発明は、ラミネートフィルム同士が接合したシール部において、シール部に折り目をつけて真空断熱材とカバー部材とを接合したことを特徴とする請求項2に記載の遮蔽部材であり、シール部に折り目をつけることができ、ラミネートフィルムに穴が開いても芯材部の真空状態に影響がないところで折れるようにできる。それによって、真空状態を維持できるので、真空断熱材の断熱性能の長期信頼性が向上する。
【0019】
請求項4に記載の発明は、真空断熱材に紫外線をカットするカット手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の遮蔽部材であり、カバー部材によって遮蔽することができなかった紫外線を低減することができ、紫外線によるラミネートフィルムの劣化をさらに低減することができ、内部へのガス侵入の増加を低減することができる。それにより、真空断熱材の断熱性能の劣化が抑えられ、さらに長期間の使用が可能となる。
【0020】
請求項5に記載の発明は、太陽光を遮蔽する遮蔽部材において、前記遮蔽部材が、ラミネートフィルムで芯材を覆い真空密封した真空断熱材からなり、真空断熱材に紫外線をカットするカット手段を備えることを特徴とする遮蔽部材であり、紫外線によるラミネートフィルムの劣化を低減することができ、内部へのガス侵入の増加を低減することができる。それにより、真空断熱材の断熱性能の劣化が抑えられ、長期間の使用が可能となる。
【0021】
請求項6に記載の発明は、紫外線カット手段が、真空断熱材のラミネートフィルムの最外層に紫外線カット剤を塗布したことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の遮蔽部材であり、カバー部材によって遮蔽することができなかった紫外線を低減することができ、紫外線によるラミネートフィルムの劣化を低減することができる。それによって、さらに真空断熱材の断熱性能劣化を抑えることができ、長期間の使用が可能となる。
【0022】
請求項7に記載の発明は、紫外線カット手段が、真空断熱材のラミネートフィルムの最外層に紫外線カットフィルムを用いたことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の遮蔽部材であり、カバー部材によって遮蔽することができなかった紫外線を低減することができ、さらに真空断熱材の断熱性能劣化を抑えることができ、長期間の使用が可能となる。また、ラミネートフィルム化されているので、紫外線カット処理をする工程を削減することができる。
【0023】
請求項8に記載の発明は、紫外線カットフィルムが、少なくとも赤外線吸収率が25%未満の樹脂フィルムと、赤外線反射層とが、接着剤により複層された、赤外線反射率が50%以上である請求項7に記載の遮蔽部材であり、樹脂フィルムを透過した赤外線は、接着剤の接着部と非接着部へそれぞれ入射する。このとき、接着部に入射した赤外線の一部は、接着剤の赤外線吸収作用により吸収され、熱として赤外線反射層へ伝導するが、非接着部では接着剤が無いので赤外線の吸収が生じない。このように接着剤を部分的に塗布することにより、輻射熱伝導抑制フィルムの赤外線吸収率を低減し、輻射による熱伝導を抑制することができる。
【0024】
請求項9に記載の発明は、真空断熱材が、複数の芯材を同一平面上の独立空間に真空密封した真空断熱材である請求項1または請求項5に記載の遮蔽部材であり、真空断熱材が複数の芯材から構成されていることにより、芯材間で折り曲げることができる。それによって、遮蔽部材をコンパクトに折り畳むことができるので、遮蔽部材の収納性が向上する。また、各芯材が独立していることにより、一つの芯材部が破袋しても他の芯材部に影響がなく、断熱性能の低下を抑えることができる。
【0025】
請求項10に記載の発明は、真空断熱材が、ラミネートフィルム同士の接合部が芯材の伝熱方向の中心の高さにある真空断熱材であり、芯材の厚みより芯材間の間隔が大きいことを特徴とする請求項2または請求項3または請求項9のいずれか一項に記載の遮蔽部材であり、真空断熱材をシール部毎に山、谷と折り畳むときに、隣り合う芯材の面と面を接触させて折り畳むことができる。それにより、遮蔽部材がコンパクトに折り畳むことができ、収納性が向上する。
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0027】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における遮蔽部材の伝熱方向に平行な断面図である。図2は、本発明の実施の形態1における遮蔽部材の伝熱方向に垂直な断面図である。図3は、本発明の実施の形態1における別仕様での遮蔽部材の伝熱方向に垂直な断面図である。
【0028】
図1、図2、図3に示すように、遮蔽部材3は、真空断熱材4と、真空断熱材4を覆う紫外線遮蔽素材のカバー部材5とからなり、真空断熱材4は、複数の芯材6と、複数の芯材6を覆うラミネートフィルム7とからなる。
【0029】
以上のように構成された遮蔽部材3を従来のカーテン等と同様に窓際で吊すなどして使用する。
【0030】
以上のように、本実施の形態においては、太陽光を遮蔽する遮蔽部材3において、遮蔽部材3が、ラミネートフィルム7で複数の芯材6を覆い真空密封した真空断熱材4と、真空断熱材4を覆う紫外線遮蔽素材のカバー部材5とからなることを特徴とする遮蔽部材3であり、真空断熱材4からなる遮蔽部材3なので、太陽光などの光を遮断するだけでなく、遮蔽部材3を通して侵入してくる熱を低減することができ、室内の温度上昇を抑えることができる。また、室外より室内の温度が高いときには、遮蔽部材3を通して逃げていく熱を低減することができ、室内の温度低下を抑えることができる。
【0031】
また、真空断熱材4を紫外線遮蔽素材のカバー部材5で覆うことで、紫外線によるラミネートフィルム7の劣化を低減することができ、ラミネートフィルム7を通しての真空断熱材内部へのガス侵入量の増加を抑えることができる。それにより、真空断熱材4の真空状態が維持でき、断熱性能劣化を抑えることができるので、長期間の使用が可能となる。
【0032】
また、真空断熱材4が複数の芯材6から構成されていることにより、芯材6間で折り曲げることができる。それによって、遮蔽部材3をコンパクトに折り畳むことができるので、遮蔽部材3の収納性が向上する。詳細な収納の方法としては、図2のように芯材6を一定間隔で並べることにより、シール部で山、谷と折りたたみ、アコーディオンカーテンのようにして収納することができる。また、図3のように芯材6を縦横に一定間隔で並べる仕様では、複雑に折り畳むことができるので、収納性が広がる。
【0033】
また、複数の芯材からなる真空断熱材ではなく、一つの芯材6からなる真空断熱材4を複数用意し、カバー部材5で覆って遮蔽部材3を形成してもよい。この場合、ラミネートフィルム7の端面が多い分、内部へのガス侵入量が増え、真空断熱材4の劣化が早くなる。
【0034】
ここで、芯材6の形状が正方形、もしくは長方形になっているが、円形、三角形、多角形でもよく、収納の仕方に応じて芯材6の形状を決めることができる。また、芯材6を複数からなるとしてあるが、雨戸のようにスライドさせて収納する場合、折り畳む必要がなく、芯材6は単一でもよい。
【0035】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2における遮蔽部材3の伝熱方向に平行な断面図である。図5は、本発明の実施の形態2における遮蔽部材3の伝熱方向に垂直な断面図である。
【0036】
本実施の形態の遮蔽部材3は、実施の形態1のカバー部材5と真空断熱材4とをラミネートフィルム7同士が接合したシール部において接合したものである。
【0037】
接合方法として、糸8などで縫合する方法がある。また、金具等で接合する方法でもよいが、熱リークの原因になるので、金属ではなく、金属より熱伝導率が低いプラスチック等を用いることが望ましい。
【0038】
以上のように、本実施の形態においては、太陽光を遮蔽する遮蔽部材3において、遮蔽部材3が、ラミネートフィルム7で複数の芯材6を覆い個別に真空密封した真空断熱材4と、真空断熱材4を覆う紫外線遮蔽素材のカバー部材5とからなり、ラミネートフィルム7同士が接合したシール部において真空断熱材4とカバー部材5とを接合したことを特徴とする遮蔽部材3であり、実施の形態1の効果に加え、真空断熱材4の縁や、特に芯材6間のシール部において真空断熱材4とカバー部材5を固定できるので、カバー部材5内部で真空断熱材4を固定できる。また、折り畳むときにもカバー部材5が弛むことがなくなる。それによって、遮蔽部材3の収納、展開をスムーズに行うことができる。
【0039】
(実施の形態3)
図6は、本発明の実施の形態3における遮蔽部材3の伝熱方向に平行な断面図である。
【0040】
本実施の形態の遮蔽部材3は、実施の形態1や実施の形態2のラミネートフィルム7の最外層に紫外線カット剤9を塗布して構成されたものである。紫外線カット剤9の成分として、金属粉体、無機粉体、金属酸化物粉体が挙げられる。
【0041】
以上のように、本実施の形態においては、紫外線カット手段が、真空断熱材4の最外層に紫外線カット剤9を塗布した遮蔽部材3であり、実施の形態1、2の効果に加え、カバー部材5によって遮蔽することができなかった紫外線を低減することができ、ラミネートフィルム7の劣化を低減することができる。そのため、内部へのガス侵入の増加を低減することができ、真空断熱材4の断熱性能劣化を抑えることができ、さらに長期間の使用が可能となる。また、真空断熱材を作製した後で紫外線カット剤9を塗布するだけなので、遮蔽部材専用の真空断熱材を作製する必要がなく、生産コストが下がる。
【0042】
紫外線カット剤9として、金属粉体は輻射率が低く、赤外線を反射する能力において優れた作用を有するため、断熱材表面へ伝わる輻射熱が効果的に抑制され、断熱性能が向上するものである。特に、輻射率の低い銀、アルミニウム等が有効である。
【0043】
無機粉体は、赤外線を反射する作用を有するため、断熱材表面へ伝わる輻射熱が、効果的に抑制され、断熱性能が向上するものである。また、金属粉体よりも、比較的固体熱伝導率が低いという利点もある。特に、チッ化珪素、チッ化ホウ素などのチッ化物、炭化珪素、炭化ホウ素などの炭化物などが有効である。
【0044】
金属酸化物は、赤外線を散乱反射する作用を有するため、断熱材表面へ伝わる輻射熱が効果的に抑制され、断熱性能向上するものである。また、金属粉体よりも、比較的固体熱伝導率が低いという利点もある。特に、酸化チタン、酸化錫、アンチモンドープ錫酸化物、錫ドープインジウム酸化物などが有効である。
【0045】
また、真空断熱材4のラミネートフィルム7の最外層に紫外線カット剤を塗布した場合、カバー部材5がなくても使用することができ、なにも紫外線対策をしない場合に比べ、真空断熱材4の断熱性能劣化を抑えることができ、長期間の使用が可能となる。
【0046】
(実施の形態4)
図7は、本発明の実施の形態4における遮蔽部材3の伝熱方向に平行な断面図である。
【0047】
本実施の形態の遮蔽部材3は、実施の形態1や実施の形態2のラミネートフィルム7の最外層を紫外線カットフィルム10で構成したものである。好ましくは、紫外線カットフィルム10が、少なくとも赤外線吸収率が25%未満の樹脂フィルムと、赤外線反射層とが、接着剤により複層された、赤外線反射率が50%以上である。
【0048】
以上のように、本実施の形態においては、紫外線カット手段が、真空断熱材4のラミネートフィルム7の最外層に紫外線カットフィルム10を用いた遮蔽部材3であり、実施の形態1、2の効果に加え、カバー部材5によって遮蔽することができなかった紫外線を低減することができ、ラミネートフィルム7の劣化を低減することができる。
【0049】
そのため、内部へのガス侵入の増加を低減することができ、真空断熱材4の断熱性能劣化を抑えることができ、さらに長期間の使用が可能となる。また、ラミネートフィルム化されているので、真空断熱材4作製後に紫外線カット処理をする工程を削減することができる。
【0050】
また、本実施の形態では遮蔽部材3の構成要素としてカバー部材5があるが、真空断熱材4のラミネートフィルム7の最外層に紫外線カットフィルム10で構成した場合、カバー部材5をなくすこともできる。その場合でも、従来に比べ、ラミネートフィルム7の劣化を低減することができ、真空断熱材4の断熱性能劣化を抑えることができ、長期間の使用が可能となる。
【0051】
また、紫外線カットフィルム10が、少なくとも赤外線吸収率が25%未満の樹脂フィルムと、赤外線反射層とが、接着剤により複層された、赤外線反射率が50%以上であると、樹脂フィルムを透過した赤外線は、接着剤の接着部と非接着部へそれぞれ入射する。このとき、接着部に入射した赤外線の一部は、接着剤の赤外線吸収作用により吸収され、熱として赤外線反射層へ伝導するが、非接着部では接着剤が無いので赤外線の吸収が生じない。このように接着剤を部分的に塗布することにより、輻射熱伝導抑制フィルムの赤外線吸収率を低減し、輻射による熱伝導を抑制することができる
(実施の形態5)
図8は、本発明の実施の形態4における遮蔽部材3の伝熱方向に平行な断面図である。図9は、本発明の実施の形態5における遮蔽部材3の伝熱方向に垂直な断面図である。
【0052】
本実施の形態の遮蔽部材3は、実施の形態2の真空断熱材4とカバー部材5の接続を、シール部に折り目をつけて接合したものである。図8では、金具11で形成されており、金具11の中心の軸以外で曲がらないようになっている。
【0053】
以上のように、本実施の形態においては、ラミネートフィルム7同士が接合したシール部において、シール部に折り目をつけて真空断熱材4とカバー部材5とを接合した遮蔽部材3であり、実施の形態2の効果に加え、シール部に折り目をつけることができ、ラミネートフィルムに穴が開いても芯材部の真空状態に影響がないところで折れるようにできる。それによって、真空状態を維持できるので、真空断熱材の断熱性能の長期信頼性が向上する。
【0054】
(実施の形態6)
図10は、本発明の実施の形態6における遮蔽部材3の伝熱方向に平行な断面図である。図11は、本発明の実施の形態6における遮蔽部材3の伝熱方向に垂直な断面図である。
【0055】
本実施の形態の遮蔽部材3は、実施の形態2の芯材6間(a)のシール幅を芯材6の厚み(b)より大きく構成したものである。
【0056】
以上のように、本実施の形態においては、ラミネートフィルム7同士の接合部が芯材6の伝熱方向の中心の高さにある真空断熱材4であり、芯材6の厚みより芯材6間の間隔が大きい真空断熱材4であり、芯材6の厚みより芯材6間の間隔が大きいことを遮蔽部材3であり、実施の形態2の効果に加え、真空断熱材4をシール部毎に山、谷と折り畳むときに、隣り合う芯材の面と面を接触させて折り畳むことができる。それにより、遮蔽部材がコンパクトに折り畳むことができ、収納性が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上のように、本発明による遮蔽部材は、太陽光を遮断するだけでなく、遮蔽部材を通して侵入してくる熱を低減することができるので、部屋の窓際での使用だけでなく、窓が存在する個所で使用することができる。例えば、車、電車、新幹線等の乗り物等である。また、窓でなくても光を遮蔽する個所にも適用できる。例えば、傘、サンバイザー等である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施の形態1における遮蔽部材の伝熱方向に平行な断面図
【図2】本発明の実施の形態1における遮蔽部材の伝熱方向に垂直な断面図
【図3】本発明の実施の形態1における遮蔽部材の伝熱方向に垂直な断面図
【図4】本発明の実施の形態2における遮蔽部材の伝熱方向に平行な断面図
【図5】本発明の実施の形態2における遮蔽部材の伝熱方向に垂直な断面図
【図6】本発明の実施の形態3における遮蔽部材の伝熱方向に平行な断面図
【図7】本発明の実施の形態4における遮蔽部材の伝熱方向に平行な断面図
【図8】本発明の実施の形態5における遮蔽部材の伝熱方向に平行な断面図
【図9】本発明の実施の形態5における遮蔽部材の伝熱方向に垂直な断面図
【図10】本発明の実施の形態6における遮蔽部材の伝熱方向に平行な断面図
【図11】本発明の実施の形態6における遮蔽部材の伝熱方向に垂直な断面図
【図12】従来のブラインドの概略図
【符号の説明】
【0059】
3 遮蔽部材
4 真空断熱材
5 カバー部材
6 芯材
7 ラミネートフィルム
9 紫外線カット剤
10 紫外線カットフィルム
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽等からの光、熱を遮蔽する部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の遮蔽部材であるブラインドは、複数枚のスラットが設けられたブラインドにおいて、スラット本体に断熱材を積層したものである(例えば、特許文献1参照)。また、断熱材として高断熱性能な真空断熱材というものがある。
【0003】
図12は、特許文献1に記載された従来のブラインドの概略図である。
【0004】
従来のブラインドの構成は、図12に示すように、複数枚のアルミニウム薄板からなるスラット1が設けられたブラインドにおいて、スラット1本体に発泡ポリスチレン2が積層されている。
【0005】
以上のように構成されたブラインドについて、以下その作用を説明する。
【0006】
各スラット1は、表面に発泡ポリスチレン2が積層されており、各スラット1を傾斜させて各スラット間の間隙を閉塞する。これにより、断熱性の優れたものとなり、屋外の温度を遮断できる。
【0007】
また、断熱材として真空断熱材というものがあり、発泡ポリスチレンを真空断熱材に変えることによりさらなる断熱性能の向上が予測できる。真空断熱材とは、ラミネートフィルムで芯材を覆い、真空密封したものであり、真空にすることにより高断熱性能を実現したものである。
【特許文献1】特開平8−49481号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の構成では、高い断熱性能を得るためには発泡ポリスチレンの厚みが必要であり、ブラインドの採光性や収納性が悪くなる問題があった。
【0009】
また、発泡ポリスチレンを真空断熱材に変えると、薄くできるので採光性や収納性は向上するが、真空断熱材のラミネートフィルムが樹脂からできているため、紫外線に弱く劣化する問題が考えられる。ラミネートフィルムが劣化すると、真空断熱材内部へのガス侵入量が増加し、真空状態が維持できなくなる。それにより、断熱性能が低下してしまう問題がある。
【0010】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、真空断熱材を採用するにあたってのラミネートフィルムが紫外線により劣化するという問題を解決し、収納性が高く、断熱性能に優れた遮蔽部材を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記従来の課題を解決するために、本発明は、ラミネートフィルムで芯材を覆い真空密封した真空断熱材と、前記真空断熱材を覆う紫外線遮蔽素材のカバー部材とから遮蔽部材を構成したのであり、真空断熱材を紫外線遮蔽素材のカバー部材で覆うことで、紫外線によるラミネートフィルムの劣化を低減することができ、内部へのガス侵入の増加を低減することができる。それにより、真空断熱材の断熱性能の劣化が抑えられ、長期間の使用が可能となる。
【発明の効果】
【0012】
真空断熱材を紫外線遮蔽素材のカバー部材で覆うことで、紫外線によるラミネートフィルムの劣化を低減することができ、内部へのガス侵入の増加を低減することができる。それにより、真空断熱材の断熱性能の劣化が抑えられ、長期間の使用が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
請求項1に記載の発明は、太陽光を遮蔽する遮蔽部材において、前記遮蔽部材が、ラミネートフィルムで芯材を覆い真空密封した真空断熱材と、前記真空断熱材を覆う紫外線遮蔽素材のカバー部材とからなることを特徴とする遮蔽部材であり、真空断熱材を覆う紫外線遮蔽素材のカバー部材により、紫外線による真空断熱材のラミネートフィルムの劣化を低減することができ、内部へのガス侵入の増加を低減することができる。それにより、真空断熱材の断熱性能の劣化が抑えられ、長期間の使用が可能となる。
【0014】
また、遮蔽部材を通して侵入してくる熱を低減することができ、室内の温度上昇を抑えることができる。また、暖房時のように室外より室内の温度が高いときには、遮蔽部材を通して逃げていく熱を低減することができ、室内の温度低下を抑えることができる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、太陽光を遮蔽する遮蔽部材において、前記遮蔽部材が、ラミネートフィルムで複数の芯材を覆い、同一平面上の独立空間に真空密封した真空断熱材と、前記真空断熱材を覆う紫外線遮蔽素材のカバー部材とからなり、ラミネートフィルム同士が接合したシール部において真空断熱材とカバー部材とを接合したことを特徴とする遮蔽部材であり、真空断熱材の縁や、特に芯材間のシール部において真空断熱材とカバー部材を固定できるので、カバー部材内部で真空断熱材を固定できる。また、折り畳むときにもカバー部材が弛むことがなくなる。それによって、遮蔽部材の収納、展開をスムーズに行うことができる。
【0016】
また、真空断熱材が複数の芯材から構成されていることにより、芯材間で折り曲げることができる。それによって、遮蔽部材をコンパクトに折り畳むことができるので、遮蔽部材の収納性が向上する。
【0017】
また、各芯材が独立していることにより、一つの芯材部が破袋しても他の芯材部に影響がなく、断熱性能の低下を抑えることができる。
【0018】
請求項3に記載の発明は、ラミネートフィルム同士が接合したシール部において、シール部に折り目をつけて真空断熱材とカバー部材とを接合したことを特徴とする請求項2に記載の遮蔽部材であり、シール部に折り目をつけることができ、ラミネートフィルムに穴が開いても芯材部の真空状態に影響がないところで折れるようにできる。それによって、真空状態を維持できるので、真空断熱材の断熱性能の長期信頼性が向上する。
【0019】
請求項4に記載の発明は、真空断熱材に紫外線をカットするカット手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の遮蔽部材であり、カバー部材によって遮蔽することができなかった紫外線を低減することができ、紫外線によるラミネートフィルムの劣化をさらに低減することができ、内部へのガス侵入の増加を低減することができる。それにより、真空断熱材の断熱性能の劣化が抑えられ、さらに長期間の使用が可能となる。
【0020】
請求項5に記載の発明は、太陽光を遮蔽する遮蔽部材において、前記遮蔽部材が、ラミネートフィルムで芯材を覆い真空密封した真空断熱材からなり、真空断熱材に紫外線をカットするカット手段を備えることを特徴とする遮蔽部材であり、紫外線によるラミネートフィルムの劣化を低減することができ、内部へのガス侵入の増加を低減することができる。それにより、真空断熱材の断熱性能の劣化が抑えられ、長期間の使用が可能となる。
【0021】
請求項6に記載の発明は、紫外線カット手段が、真空断熱材のラミネートフィルムの最外層に紫外線カット剤を塗布したことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の遮蔽部材であり、カバー部材によって遮蔽することができなかった紫外線を低減することができ、紫外線によるラミネートフィルムの劣化を低減することができる。それによって、さらに真空断熱材の断熱性能劣化を抑えることができ、長期間の使用が可能となる。
【0022】
請求項7に記載の発明は、紫外線カット手段が、真空断熱材のラミネートフィルムの最外層に紫外線カットフィルムを用いたことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の遮蔽部材であり、カバー部材によって遮蔽することができなかった紫外線を低減することができ、さらに真空断熱材の断熱性能劣化を抑えることができ、長期間の使用が可能となる。また、ラミネートフィルム化されているので、紫外線カット処理をする工程を削減することができる。
【0023】
請求項8に記載の発明は、紫外線カットフィルムが、少なくとも赤外線吸収率が25%未満の樹脂フィルムと、赤外線反射層とが、接着剤により複層された、赤外線反射率が50%以上である請求項7に記載の遮蔽部材であり、樹脂フィルムを透過した赤外線は、接着剤の接着部と非接着部へそれぞれ入射する。このとき、接着部に入射した赤外線の一部は、接着剤の赤外線吸収作用により吸収され、熱として赤外線反射層へ伝導するが、非接着部では接着剤が無いので赤外線の吸収が生じない。このように接着剤を部分的に塗布することにより、輻射熱伝導抑制フィルムの赤外線吸収率を低減し、輻射による熱伝導を抑制することができる。
【0024】
請求項9に記載の発明は、真空断熱材が、複数の芯材を同一平面上の独立空間に真空密封した真空断熱材である請求項1または請求項5に記載の遮蔽部材であり、真空断熱材が複数の芯材から構成されていることにより、芯材間で折り曲げることができる。それによって、遮蔽部材をコンパクトに折り畳むことができるので、遮蔽部材の収納性が向上する。また、各芯材が独立していることにより、一つの芯材部が破袋しても他の芯材部に影響がなく、断熱性能の低下を抑えることができる。
【0025】
請求項10に記載の発明は、真空断熱材が、ラミネートフィルム同士の接合部が芯材の伝熱方向の中心の高さにある真空断熱材であり、芯材の厚みより芯材間の間隔が大きいことを特徴とする請求項2または請求項3または請求項9のいずれか一項に記載の遮蔽部材であり、真空断熱材をシール部毎に山、谷と折り畳むときに、隣り合う芯材の面と面を接触させて折り畳むことができる。それにより、遮蔽部材がコンパクトに折り畳むことができ、収納性が向上する。
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0027】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における遮蔽部材の伝熱方向に平行な断面図である。図2は、本発明の実施の形態1における遮蔽部材の伝熱方向に垂直な断面図である。図3は、本発明の実施の形態1における別仕様での遮蔽部材の伝熱方向に垂直な断面図である。
【0028】
図1、図2、図3に示すように、遮蔽部材3は、真空断熱材4と、真空断熱材4を覆う紫外線遮蔽素材のカバー部材5とからなり、真空断熱材4は、複数の芯材6と、複数の芯材6を覆うラミネートフィルム7とからなる。
【0029】
以上のように構成された遮蔽部材3を従来のカーテン等と同様に窓際で吊すなどして使用する。
【0030】
以上のように、本実施の形態においては、太陽光を遮蔽する遮蔽部材3において、遮蔽部材3が、ラミネートフィルム7で複数の芯材6を覆い真空密封した真空断熱材4と、真空断熱材4を覆う紫外線遮蔽素材のカバー部材5とからなることを特徴とする遮蔽部材3であり、真空断熱材4からなる遮蔽部材3なので、太陽光などの光を遮断するだけでなく、遮蔽部材3を通して侵入してくる熱を低減することができ、室内の温度上昇を抑えることができる。また、室外より室内の温度が高いときには、遮蔽部材3を通して逃げていく熱を低減することができ、室内の温度低下を抑えることができる。
【0031】
また、真空断熱材4を紫外線遮蔽素材のカバー部材5で覆うことで、紫外線によるラミネートフィルム7の劣化を低減することができ、ラミネートフィルム7を通しての真空断熱材内部へのガス侵入量の増加を抑えることができる。それにより、真空断熱材4の真空状態が維持でき、断熱性能劣化を抑えることができるので、長期間の使用が可能となる。
【0032】
また、真空断熱材4が複数の芯材6から構成されていることにより、芯材6間で折り曲げることができる。それによって、遮蔽部材3をコンパクトに折り畳むことができるので、遮蔽部材3の収納性が向上する。詳細な収納の方法としては、図2のように芯材6を一定間隔で並べることにより、シール部で山、谷と折りたたみ、アコーディオンカーテンのようにして収納することができる。また、図3のように芯材6を縦横に一定間隔で並べる仕様では、複雑に折り畳むことができるので、収納性が広がる。
【0033】
また、複数の芯材からなる真空断熱材ではなく、一つの芯材6からなる真空断熱材4を複数用意し、カバー部材5で覆って遮蔽部材3を形成してもよい。この場合、ラミネートフィルム7の端面が多い分、内部へのガス侵入量が増え、真空断熱材4の劣化が早くなる。
【0034】
ここで、芯材6の形状が正方形、もしくは長方形になっているが、円形、三角形、多角形でもよく、収納の仕方に応じて芯材6の形状を決めることができる。また、芯材6を複数からなるとしてあるが、雨戸のようにスライドさせて収納する場合、折り畳む必要がなく、芯材6は単一でもよい。
【0035】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2における遮蔽部材3の伝熱方向に平行な断面図である。図5は、本発明の実施の形態2における遮蔽部材3の伝熱方向に垂直な断面図である。
【0036】
本実施の形態の遮蔽部材3は、実施の形態1のカバー部材5と真空断熱材4とをラミネートフィルム7同士が接合したシール部において接合したものである。
【0037】
接合方法として、糸8などで縫合する方法がある。また、金具等で接合する方法でもよいが、熱リークの原因になるので、金属ではなく、金属より熱伝導率が低いプラスチック等を用いることが望ましい。
【0038】
以上のように、本実施の形態においては、太陽光を遮蔽する遮蔽部材3において、遮蔽部材3が、ラミネートフィルム7で複数の芯材6を覆い個別に真空密封した真空断熱材4と、真空断熱材4を覆う紫外線遮蔽素材のカバー部材5とからなり、ラミネートフィルム7同士が接合したシール部において真空断熱材4とカバー部材5とを接合したことを特徴とする遮蔽部材3であり、実施の形態1の効果に加え、真空断熱材4の縁や、特に芯材6間のシール部において真空断熱材4とカバー部材5を固定できるので、カバー部材5内部で真空断熱材4を固定できる。また、折り畳むときにもカバー部材5が弛むことがなくなる。それによって、遮蔽部材3の収納、展開をスムーズに行うことができる。
【0039】
(実施の形態3)
図6は、本発明の実施の形態3における遮蔽部材3の伝熱方向に平行な断面図である。
【0040】
本実施の形態の遮蔽部材3は、実施の形態1や実施の形態2のラミネートフィルム7の最外層に紫外線カット剤9を塗布して構成されたものである。紫外線カット剤9の成分として、金属粉体、無機粉体、金属酸化物粉体が挙げられる。
【0041】
以上のように、本実施の形態においては、紫外線カット手段が、真空断熱材4の最外層に紫外線カット剤9を塗布した遮蔽部材3であり、実施の形態1、2の効果に加え、カバー部材5によって遮蔽することができなかった紫外線を低減することができ、ラミネートフィルム7の劣化を低減することができる。そのため、内部へのガス侵入の増加を低減することができ、真空断熱材4の断熱性能劣化を抑えることができ、さらに長期間の使用が可能となる。また、真空断熱材を作製した後で紫外線カット剤9を塗布するだけなので、遮蔽部材専用の真空断熱材を作製する必要がなく、生産コストが下がる。
【0042】
紫外線カット剤9として、金属粉体は輻射率が低く、赤外線を反射する能力において優れた作用を有するため、断熱材表面へ伝わる輻射熱が効果的に抑制され、断熱性能が向上するものである。特に、輻射率の低い銀、アルミニウム等が有効である。
【0043】
無機粉体は、赤外線を反射する作用を有するため、断熱材表面へ伝わる輻射熱が、効果的に抑制され、断熱性能が向上するものである。また、金属粉体よりも、比較的固体熱伝導率が低いという利点もある。特に、チッ化珪素、チッ化ホウ素などのチッ化物、炭化珪素、炭化ホウ素などの炭化物などが有効である。
【0044】
金属酸化物は、赤外線を散乱反射する作用を有するため、断熱材表面へ伝わる輻射熱が効果的に抑制され、断熱性能向上するものである。また、金属粉体よりも、比較的固体熱伝導率が低いという利点もある。特に、酸化チタン、酸化錫、アンチモンドープ錫酸化物、錫ドープインジウム酸化物などが有効である。
【0045】
また、真空断熱材4のラミネートフィルム7の最外層に紫外線カット剤を塗布した場合、カバー部材5がなくても使用することができ、なにも紫外線対策をしない場合に比べ、真空断熱材4の断熱性能劣化を抑えることができ、長期間の使用が可能となる。
【0046】
(実施の形態4)
図7は、本発明の実施の形態4における遮蔽部材3の伝熱方向に平行な断面図である。
【0047】
本実施の形態の遮蔽部材3は、実施の形態1や実施の形態2のラミネートフィルム7の最外層を紫外線カットフィルム10で構成したものである。好ましくは、紫外線カットフィルム10が、少なくとも赤外線吸収率が25%未満の樹脂フィルムと、赤外線反射層とが、接着剤により複層された、赤外線反射率が50%以上である。
【0048】
以上のように、本実施の形態においては、紫外線カット手段が、真空断熱材4のラミネートフィルム7の最外層に紫外線カットフィルム10を用いた遮蔽部材3であり、実施の形態1、2の効果に加え、カバー部材5によって遮蔽することができなかった紫外線を低減することができ、ラミネートフィルム7の劣化を低減することができる。
【0049】
そのため、内部へのガス侵入の増加を低減することができ、真空断熱材4の断熱性能劣化を抑えることができ、さらに長期間の使用が可能となる。また、ラミネートフィルム化されているので、真空断熱材4作製後に紫外線カット処理をする工程を削減することができる。
【0050】
また、本実施の形態では遮蔽部材3の構成要素としてカバー部材5があるが、真空断熱材4のラミネートフィルム7の最外層に紫外線カットフィルム10で構成した場合、カバー部材5をなくすこともできる。その場合でも、従来に比べ、ラミネートフィルム7の劣化を低減することができ、真空断熱材4の断熱性能劣化を抑えることができ、長期間の使用が可能となる。
【0051】
また、紫外線カットフィルム10が、少なくとも赤外線吸収率が25%未満の樹脂フィルムと、赤外線反射層とが、接着剤により複層された、赤外線反射率が50%以上であると、樹脂フィルムを透過した赤外線は、接着剤の接着部と非接着部へそれぞれ入射する。このとき、接着部に入射した赤外線の一部は、接着剤の赤外線吸収作用により吸収され、熱として赤外線反射層へ伝導するが、非接着部では接着剤が無いので赤外線の吸収が生じない。このように接着剤を部分的に塗布することにより、輻射熱伝導抑制フィルムの赤外線吸収率を低減し、輻射による熱伝導を抑制することができる
(実施の形態5)
図8は、本発明の実施の形態4における遮蔽部材3の伝熱方向に平行な断面図である。図9は、本発明の実施の形態5における遮蔽部材3の伝熱方向に垂直な断面図である。
【0052】
本実施の形態の遮蔽部材3は、実施の形態2の真空断熱材4とカバー部材5の接続を、シール部に折り目をつけて接合したものである。図8では、金具11で形成されており、金具11の中心の軸以外で曲がらないようになっている。
【0053】
以上のように、本実施の形態においては、ラミネートフィルム7同士が接合したシール部において、シール部に折り目をつけて真空断熱材4とカバー部材5とを接合した遮蔽部材3であり、実施の形態2の効果に加え、シール部に折り目をつけることができ、ラミネートフィルムに穴が開いても芯材部の真空状態に影響がないところで折れるようにできる。それによって、真空状態を維持できるので、真空断熱材の断熱性能の長期信頼性が向上する。
【0054】
(実施の形態6)
図10は、本発明の実施の形態6における遮蔽部材3の伝熱方向に平行な断面図である。図11は、本発明の実施の形態6における遮蔽部材3の伝熱方向に垂直な断面図である。
【0055】
本実施の形態の遮蔽部材3は、実施の形態2の芯材6間(a)のシール幅を芯材6の厚み(b)より大きく構成したものである。
【0056】
以上のように、本実施の形態においては、ラミネートフィルム7同士の接合部が芯材6の伝熱方向の中心の高さにある真空断熱材4であり、芯材6の厚みより芯材6間の間隔が大きい真空断熱材4であり、芯材6の厚みより芯材6間の間隔が大きいことを遮蔽部材3であり、実施の形態2の効果に加え、真空断熱材4をシール部毎に山、谷と折り畳むときに、隣り合う芯材の面と面を接触させて折り畳むことができる。それにより、遮蔽部材がコンパクトに折り畳むことができ、収納性が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上のように、本発明による遮蔽部材は、太陽光を遮断するだけでなく、遮蔽部材を通して侵入してくる熱を低減することができるので、部屋の窓際での使用だけでなく、窓が存在する個所で使用することができる。例えば、車、電車、新幹線等の乗り物等である。また、窓でなくても光を遮蔽する個所にも適用できる。例えば、傘、サンバイザー等である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施の形態1における遮蔽部材の伝熱方向に平行な断面図
【図2】本発明の実施の形態1における遮蔽部材の伝熱方向に垂直な断面図
【図3】本発明の実施の形態1における遮蔽部材の伝熱方向に垂直な断面図
【図4】本発明の実施の形態2における遮蔽部材の伝熱方向に平行な断面図
【図5】本発明の実施の形態2における遮蔽部材の伝熱方向に垂直な断面図
【図6】本発明の実施の形態3における遮蔽部材の伝熱方向に平行な断面図
【図7】本発明の実施の形態4における遮蔽部材の伝熱方向に平行な断面図
【図8】本発明の実施の形態5における遮蔽部材の伝熱方向に平行な断面図
【図9】本発明の実施の形態5における遮蔽部材の伝熱方向に垂直な断面図
【図10】本発明の実施の形態6における遮蔽部材の伝熱方向に平行な断面図
【図11】本発明の実施の形態6における遮蔽部材の伝熱方向に垂直な断面図
【図12】従来のブラインドの概略図
【符号の説明】
【0059】
3 遮蔽部材
4 真空断熱材
5 カバー部材
6 芯材
7 ラミネートフィルム
9 紫外線カット剤
10 紫外線カットフィルム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光を遮蔽する遮蔽部材において、前記遮蔽部材が、ラミネートフィルムで芯材を覆い真空密封した真空断熱材と、前記真空断熱材を覆う紫外線遮蔽素材のカバー部材とからなることを特徴とする遮蔽部材。
【請求項2】
太陽光を遮蔽する遮蔽部材において、前記遮蔽部材が、ラミネートフィルムで複数の芯材を覆い、同一平面上の独立空間に真空密封した真空断熱材と、前記真空断熱材を覆う紫外線遮蔽素材のカバー部材とからなり、ラミネートフィルム同士が接合したシール部において真空断熱材とカバー部材とを接合したことを特徴とする遮蔽部材。
【請求項3】
ラミネートフィルム同士が接合したシール部において、シール部に折り目をつけて真空断熱材とカバー部材とを接合したことを特徴とする請求項2に記載の遮蔽部材。
【請求項4】
真空断熱材に紫外線をカットするカット手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の遮蔽部材。
【請求項5】
太陽光を遮蔽する遮蔽部材において、前記遮蔽部材が、ラミネートフィルムで芯材を覆い真空密封した真空断熱材からなり、真空断熱材に紫外線をカットするカット手段を備えることを特徴とする遮蔽部材。
【請求項6】
紫外線カット手段が、真空断熱材のラミネートフィルムの最外層に紫外線カット剤を塗布したことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の遮蔽部材。
【請求項7】
紫外線カット手段が、真空断熱材のラミネートフィルムの最外層に紫外線カットフィルムを用いたことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の遮蔽部材。
【請求項8】
紫外線カットフィルムが、少なくとも赤外線吸収率が25%未満の樹脂フィルムと、赤外線反射層とが、接着剤により複層された、赤外線反射率が50%以上である請求項7に記載の遮蔽部材。
【請求項9】
真空断熱材は、複数の芯材を同一平面上の独立空間に真空密封した真空断熱材である請求項1または請求項5に記載の遮蔽部材。
【請求項10】
真空断熱材は、ラミネートフィルム同士の接合部が芯材の伝熱方向の中心の高さにある真空断熱材であり、芯材の厚みより芯材間の間隔が大きいことを特徴とする請求項2または請求項3または請求項9のいずれか一項に記載の遮蔽部材。
【請求項1】
太陽光を遮蔽する遮蔽部材において、前記遮蔽部材が、ラミネートフィルムで芯材を覆い真空密封した真空断熱材と、前記真空断熱材を覆う紫外線遮蔽素材のカバー部材とからなることを特徴とする遮蔽部材。
【請求項2】
太陽光を遮蔽する遮蔽部材において、前記遮蔽部材が、ラミネートフィルムで複数の芯材を覆い、同一平面上の独立空間に真空密封した真空断熱材と、前記真空断熱材を覆う紫外線遮蔽素材のカバー部材とからなり、ラミネートフィルム同士が接合したシール部において真空断熱材とカバー部材とを接合したことを特徴とする遮蔽部材。
【請求項3】
ラミネートフィルム同士が接合したシール部において、シール部に折り目をつけて真空断熱材とカバー部材とを接合したことを特徴とする請求項2に記載の遮蔽部材。
【請求項4】
真空断熱材に紫外線をカットするカット手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の遮蔽部材。
【請求項5】
太陽光を遮蔽する遮蔽部材において、前記遮蔽部材が、ラミネートフィルムで芯材を覆い真空密封した真空断熱材からなり、真空断熱材に紫外線をカットするカット手段を備えることを特徴とする遮蔽部材。
【請求項6】
紫外線カット手段が、真空断熱材のラミネートフィルムの最外層に紫外線カット剤を塗布したことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の遮蔽部材。
【請求項7】
紫外線カット手段が、真空断熱材のラミネートフィルムの最外層に紫外線カットフィルムを用いたことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の遮蔽部材。
【請求項8】
紫外線カットフィルムが、少なくとも赤外線吸収率が25%未満の樹脂フィルムと、赤外線反射層とが、接着剤により複層された、赤外線反射率が50%以上である請求項7に記載の遮蔽部材。
【請求項9】
真空断熱材は、複数の芯材を同一平面上の独立空間に真空密封した真空断熱材である請求項1または請求項5に記載の遮蔽部材。
【請求項10】
真空断熱材は、ラミネートフィルム同士の接合部が芯材の伝熱方向の中心の高さにある真空断熱材であり、芯材の厚みより芯材間の間隔が大きいことを特徴とする請求項2または請求項3または請求項9のいずれか一項に記載の遮蔽部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−63662(P2006−63662A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−248084(P2004−248084)
【出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成15年度新エネルギー・産業技術総合開発機構「高性能、高機能真空断熱材」に関する委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成15年度新エネルギー・産業技術総合開発機構「高性能、高機能真空断熱材」に関する委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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