説明

遮音パネルを用いた防音パネル

【課題】低吸音性能を持つ地球環境に優しい吸音材を使用し、遮音・吸音性能を高めた、遮音パネルを用いた防音パネルを提供する。
【解決手段】多数の通気穴6を有する前面板5と遮音性がある背面板7の間に、地球環境に優しい例えばポリエステルなどの吸音材1及び吸音材2がある。
吸音材1及び吸音材2にはさまれて、遮音及び振動吸収性のある板4の面に複数の中空管又は扁平した管3を並列、接合した遮音パネル9を設ける。
遮音パネル9に接合された中空管又は扁平した管3の中空部8を、空気層又は音響エネルギーを減少させる材料を挿入し蓋をする。
これらを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
この発明は、地球環境に優しい吸音材1及び吸音材2、例えばポリエステルなどを使用し、且つ遮音パネル9を設置することにより、音響エネルギーを減少させる防音パネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、地球環境に悪影響を及ぼすグラスウールやロックウールを吸音材に使用し、遮音パネルに相当するものは平板などを用いていた。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これは次のような欠点があった。
従来、吸音材として使用されているグラスウールやロックウールは、高額のリサイクル費用が掛かるため土中に廃棄処理されている。又、土への還元が不可能な物質でもある。
従来、防音パネルの吸音性能を変えるためにグラスウールやロックウールの密度や厚みを変えていた。従って、吸音性能を高めるために、材料容積を多く使用することが多かった。
従来、吸音材として使用されているグラスウールやロックウールは、高吸音性能、且つ低価格のため、思考の第一として活用されていた。
従来、グラスウールやロックウールの施工時に細かい繊維が舞い、目に入ったり皮膚のチクチク感が起きたり、体内吸込みによる健康障害の可能性等、作業環境が大変悪かった。
本発明は以上のような欠点を失くすためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
多数の通気穴6を有する前面板5と遮音性がある背面板7の間に、地球環境に優しい例えばポリエステルなどの吸音材1及び吸音材2がある。
吸音材1及び吸音材2にはさまれて、遮音及び振動吸収性のある板4例えば金属板、ベニヤ板、樹脂板などの面に複数の中空管又は扁平した管3、例えば金属製を並列、接合した遮音パネル9を設ける。
遮音パネル9に接合された中空管又は扁平した管3の中空部8を、空気層又は音響エネルギーを減少させる材料、例えばポリエスレル、大鋸屑、炭、土などを挿入し蓋をする。
本発明は、以上の構成よりなる遮音パネルを用いた防音パネルである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
遮音及び振動吸収性のある板4の面に中空管又は扁平した管3を並列、接合した遮音パネル9を設備する。
遮音パネル9の前後を地球環境に優しい吸音材1及び吸音材2ではさむ。
吸音材1の前面に多数の通気穴6を有する前面板5及び吸音材2の後面に遮音性を有する背面板7で吸音材1、吸音材2、遮音パネル9全体を覆い構成する。
本発明は、以上のような構造である。
本発明に使用する地球に優しい吸音材、例えばポリエステルなどの吸音性能は、従来使用されているグラスウールやロックウールの吸音性能に対し、劣ることが試験結果から明らかとなっている。
例えば、ポリエステルとグラスウールを同じ厚みで同じ吸音性能を発揮させるためには、ポリエステルの密度を2から3倍に高める必要があるというデーターも報告されている。
しかも、あまり密度を多くしすぎると繊維間の空気層の割合が減少し吸音性能が高まらない現象が起こる。
このような特性を持つ吸音材1及び吸音材2の密度を一定にして且つ防音パネルの厚さを変えないで吸音性能を発揮させるために、遮音パネル9を防音パネル内に設備したものである。
吸音性能を高めるしくみを以下に説明する。(図2を参照)
音源から発せられた音波はエネルギー(以下音響エネルギーと呼ぶ)を持って、空気中を伝播し前面板5を介して吸音材1に入射波する。
吸音材1に入射波した音響エネルギーは、繊維摩擦及び空気伝播摩擦によって熱に変換され減少する。即ち吸音されつつ複数の中空管又は扁平した管3に当たる。
複数の中空管又は扁平した管3は、吸音材及び空気に対し密度がはるかに大きいため、音波は複数の中空管又は扁平した管3の表面を回析しつつ、広域に反射波され遮音される。
広域に反射波した音波は、お互いに減じ合ったり増幅し合ったりしつつ、吸音材1を戻る。
戻った音波と次に来る音波は衝突しあい、その音響エネルギーは繊維摩擦及び空気伝播摩擦により熱に変換され減少し吸音される。
音響エネルギーの程度にもよるが、吸音材1を通過した音波は、遮音パネル9全体の振動をもたらす。
この振動は遮音パネル9自体の振動吸収により減少する。
減少された振動は音波となって、遮音パネル9の後面の表面から吸音材2へ広域に入射波する。
この入射波が持っている音響エネルギーは、吸音材2の繊維摩擦及び空気伝播摩擦により熱に変換され減少し吸音される。
同時に、背面板7に反射された音波の音響エネルギーと衝突しあい、減少し遮音・吸音される。
これらの現象を総合した結果が防音パネルの遮音・吸音性能となる。このように遮音パネル9を設けると減音させる要素が、従来の防音パネルより多くなる。
又、音響エネルギーを減少させる要素として質量を大きくすることがあげられるため、遮音パネル9の質量はグラスウールやロックウールの質量に対し大きく出来ることも可能である。
【発明の効果】
【0006】
遮音パネル9の設置により、グラスウールやロックウールと同程度の価格で低吸音性能の地球環境に優しい吸音材の使用が可能となる。
完全リサイクル、リュース、無害焼却が可能、且つ施工環境が良好となる。
吸音材1及び吸音材2の密度を高めることなく、従来のグラスウールやロックウールを使用した防音パネル厚み前後に製作することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の断面図である。
【図2】 本発明の音波入射・反射説明図
【符号の説明】
1 吸音材
2 吸音材
3 中空管又は扁平した管
4 遮音及び振動吸収のある板
5 前面板
6 通気穴
7 背面板
8 中空部
9 遮音パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の通気穴6を有する前面板5と遮音性がある背面板7の間に吸音材1及び吸音材2がある。
吸音材1及び吸音材2にはさまれて、遮音及び振動吸収性のある板4の面に複数の中空管又は扁平した管3を並列、接合した遮音パネル9がある。
これらで構成された防音パネル。
【請求項2】
吸音及び遮音性能を変化させるために、請求項1における中空管又は扁平した管3の中空部8を空気層、又は音響エネルギーを減少させる材料を挿入した遮音パネルを用いた防音パネル。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−267987(P2006−267987A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−121520(P2005−121520)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(505022493)
【Fターム(参考)】