説明

選択的11β−HSD1阻害剤としてのジアゼパン−アセトアミド誘導体

本発明は、酵素11−β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型(11β−HSD−1)の選択的阻害剤としての、式Iで表されるジアゼパン−アセトアミド誘導体、ならびに、かかる化合物の、メタボリック症候群、糖尿病、インスリン抵抗性、肥満、脂質障害、緑内障、骨粗鬆症、認知障害、不安症、鬱病、免疫障害、高血圧および他の疾患および状態の処置および予防のための使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、酵素11−β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型(11β−HSD−1)の選択的阻害剤としてのジアゼパン−アセトアミド誘導体、ならびに、メタボリック症候群、糖尿病、インスリン抵抗性、肥満、脂質障害、緑内障、骨粗鬆症、認知障害、不安症、鬱病、免疫障害、高血圧ならびに他の疾患および状態の処置および予防のためのかかる化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)は、ステロイドホルモンをそれらの不活性な代謝物に変換することによって、ステロイドホルモン受容体の占有率および活性化を調節する。最近の概説については、Nobel et al., Eur. J. Biochem. 2001, 268:4113-4125を参照のこと。
多数のクラスのHSDが存在する。11−β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(11β−HSD)は、活性な糖質コルチコイド(コルチゾルおよびコルチコステロンなど)と、それらの不活性な形態(コルチゾンおよび11−デヒドロコルチコステロンなど)との相互転換を触媒する。アイソフォームである11−β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型(11β−HSD1)は、肝臓、脂肪組織、脳、肺、および他の糖質コルチコイド組織において広く発現されるが、一方、アイソフォーム2(11β−HSD2)の発現は、腎臓、腸および胎盤などの鉱質コルチコイド受容体を発現する組織に限定される。そして、11β−HSD2の阻害は、高血圧などの深刻な副作用と関連する。
【0003】
過剰のコルチゾルは、糖尿病、肥満、脂質異常症、インスリン抵抗性および高血圧を含む多数の障害と関連する。11β−HSD1阻害剤の投与は、標的組織におけるコルチゾルおよび他の11β−ヒドロキシステロイドのレベルを低下させ、それにより過剰量のコルチゾルおよび他の11β−ヒドロキシステロイドの作用を低下させる。したがって、11β−HSD1は、糖質コルチコイド作用の低減によって寛解され得る多数の障害と関連する治療の標的となり得る。したがって、11β−HSD1の阻害を用いて、糖尿病、肥満、高血圧または脂質異常症などの、異常に高いレベルのコルチゾルおよび他の11β−ヒドロキシステロイドによって媒介される疾患を予防、処置または制御することができる。脳における11β−HSD1活性を、例えばコルチゾルのレベルがより低くなるように阻害することも、また、不安症、鬱病、認知障害または年齢に関連する認知機能障害を処置または低減するために有用であり得る(Seckl, et al., Endocrinology, 2001, 142:1371-1376)。
【0004】
コルチゾルは、重要かつ周知の抗炎症性ホルモンであり、また、肝臓においてインスリンの作用に対するアンタゴニストとしても作用し、それによって、インスリン感受性が低下し、結果として、糖新生が増加し、肝臓におけるグルコースレベルが上昇する。既に耐糖能異常を有する患者は、異常に高いレベルのコルチゾルの存在下において2型糖尿病を発症する可能性がより高い(Long et al., J. Exp. Med. 1936, 63:465-490;Houssay, Endocrinology 1942, 30:884-892)。さらに、11β−HSD1が、局所的な糖質コルチコイドの作用および肝臓におけるブドウ糖産生の調節において、重要な役割を果たすことが実証されている(Jamieson et al., J. Endocrinol. 2000, 165:685-692)。Walker, et al., J. Clin. Endocrinol. Metab. 1995, 80:3155-3159においては、非特異的11β−HSD1阻害剤であるカルベノキソロンの投与が、ヒトにおいて肝臓のインスリン感受性の改善をもたらすことが報告されている。
【0005】
さらに、糖尿病の処置における11β−HSD1の作用の仮説的機構は、マウスおよびラットにおいて行われた多様な実験によって支持されている。これらの研究は、肝臓のブドウ糖産生における二つの重要な酵素であるホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)およびグルコース−6−ホスファターゼ(G6Pアーゼ)のmRNAのレベルおよび活性が、11β−HSD1阻害剤の投与により低下したことを示した。さらに、11β−HSD1ノックアウトマウスにおいて血中ブドウ糖レベルおよび肝臓のブドウ糖産生が低下することが示された。また、このマウスノックアウトモデルを用いて集積されたさらなるデータから、PEPCKおよびG6Pアーゼの基底レベルは糖質コルチコイドに非依存的に調節されるので、11β−HSD1の阻害は低血糖症を引き起こさないことが確認された(Kotelevtsev et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1997, 94:14924-14929)。
【0006】
したがって、11β−HSD1阻害剤の治療有効量の投与は、糖尿病、特にインスリン非依存性糖尿病(NIDDM、2型糖尿病)の症状を処置、制御および寛解させる上で有効であり、11β−HSD1阻害剤の治療有効量の習慣的な投与は、特にヒトにおいて、糖尿病の発症を遅延させるかまたは予防する。
高レベルのコルチゾルの効果はまた、クッシング症候群を有する患者において観察される。クッシング症候群は、血流中の高レベルのコルチゾルにより特徴付けられる代謝疾患である。クッシング症候群を有する患者は、しばしばNIDDMを発症する。
【0007】
過剰レベルのコルチゾルは、肥満と関連づけられてきた。これは、おそらく肝臓の糖新生の増加に起因する。腹部の肥満は、耐糖能障害、糖尿病、高インスリン血症、高中性脂肪血症、ならびに高血圧、VLDLの上昇およびHDLの低下などのメタボリック症候群の他の要因と緊密に関連する(Montague et al., Diabetes, 2000, 49:883-888)。また、前脂肪細胞(間質細胞)における11β−HSD1の阻害は、脂肪細胞への分化の速度の低下をもたらすことが報告されている。このことから、網(omental)の脂肪蓄積の拡大の低下(あるいは脂肪蓄積の減少)をもたらすことが予測され、これは中心性肥満の減少をもたらす可能性がある(Bujalska et al., Lancet 1997, 349:1210-1213)。
【0008】
したがって、11β−HSD1阻害剤の有効量の投与は、肥満の処置または制御において有用である。11β−HSD1阻害剤による長期処置はまた、肥満の発症を遅延させるかまたは予防する上で、患者が11β−HSD1阻害剤を食事の制御および運動と組み合わせて用いる場合は特に、有用である。
本発明の化合物はまた、インスリン抵抗性を低下させ、血清ブドウ糖を正常濃度に維持することにより、2型糖尿病およびインスリン抵抗性に伴う状態(メタボリック症候群、肥満、反応性低血糖および糖尿病性脂質異常症を含む)の処置および予防において有用性を有する。
【0009】
成熟脂肪細胞における11β−HSD1の阻害は、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター1(PAI1)の分泌を減弱することが予測され、これは、Halleux et al., J;Clin. Endocrinol. Metab. 1999, 84:4097-4105において報告されるように、非依存的な心臓血管危険因子である。さらに、糖質コルチコイド活性と特定の心臓血管危険因子との間に相関関係が存在することが示されている。このことは、糖質コルチコイドの効果の低下が、特定の心臓血管疾患の処置または予防において有益であろうことを示唆する(Walker et al., Hypertension 1998, 31:891-895;およびFraser et al., Hypertension 1999, 33:1364 1368)。
【0010】
高血圧および脂質異常症は、アテローム性動脈硬化症の発症の原因となり、11β−HSD1活性の阻害およびコルチゾルの量の減少は、高血圧を処置または制御する上で有益である。したがって、本発明の11β−HSD1阻害剤の治療有効量の投与はまた、アテローム性動脈硬化症を処置するか、発症を制御もしくは遅延させるか、または予防する上で、特に有益であり得る。
【0011】
11β−HSD1はまた、食欲制御のプロセスにおいて関与すると見なされており、したがって、体重関連障害においてさらなる役割を果たすと考えられる。副腎摘除術が絶食の効果を減弱し、食物摂取および視床下部ニューロペプチドYの発現の両方を増加させることが知られている。このことは、糖質コルチコイドが、食物摂取の増進において役割を果たすこと、および脳における11β−HSD1の阻害が満腹感を増加させ、したがって食物摂取の減少をもたらすことを示唆する(Woods et al., Science 1998, 280:1378-1383)。
【0012】
11β−HSD1の調節と関連する他の可能な治療効果は、多様な膵臓栄養物(aliment)に関するものである。マウスの膵β細胞における11β−HSD1の阻害が、ブドウ糖刺激によるインスリン分泌を増加させることが報告される(Davani et al., J. Biol. Chem. 2000, 275:34841-34844)。このことは、糖質コルチコイドがインビボで膵臓インスリン放出の減少の原因であることが先に見出されたという先行発見に続く(Billaudel et al., Horm. Metab. Res. 1979, 11:555-560)。したがって、11β−HSD1の阻害が、糖尿病の処置において、肝臓および脂肪減少に対して予測される効果以外の、他の有益な効果を生じるであろうことが示唆される。
【0013】
脳における過剰レベルのコルチゾルはまた、ニューロトキシンの増強を介してニューロンの損失または機能不全をもたらし得る。11β−HSD1阻害剤の有効量の投与は、加齢と関連する認知障害およびニューロン機能不全の低減、寛解、制御または予防をもたらす。認知障害は、加齢および脳における過剰レベルのコルチゾルと関連づけられている(J. R. Seckl and B. R. Walker, Endocrinology, 2001, 142:1371-1376およびこの中で引用される参考文献を参照のこと)。11β−HSD1はまた、脳における糖質コルチコイド活性を調節し、したがって、神経毒性の原因となる(Rajan et al., Neuroscience 1996, 16:65-70;Seckl et al., Necroendocrinol. 2000, 18:49-99)。ストレスおよび/または糖質コルチコイドは、認識機能に影響を及ぼすことが知られており(de Quervain et al., Nature 1998, 394:787-790)、未公開の結果は、非特異的な11β−HSD1阻害剤で処置されたラットにおいて、有意な記憶の改善を示す。これらの報告は、脳における糖質コルチコイドの公知の効果に加えて、脳における11β−HSD1の阻害が、不安症、鬱病および関連する状態に対する正の治療効果を有し得ることを示唆する(Tronche et al., Nature Genetics 1999, 23:99-103)。11β−HSD1は、海馬細胞において11−デヒドロコルチコステロンをコルチコステロンへと再活性化し、キナーゼ神経毒性を増強し、その結果年齢に関連した学習障害をもたらし得る。したがって、11β−HSD1の選択的阻害剤は、加齢に伴う海馬の機能低下に対する保護となると考えられている(Yau et al., Proc.Natl. Acad. Sci. USA 2001, 98:4716-4721)。したがって、ヒト脳における11β−HSD1の阻害は、認知障害、鬱病および食欲増加などの、ニューロンの機能に対する有害な糖質コルチコイド媒介性の効果に対する保護となることが仮定されている。
【0014】
さらに、糖質コルチコイドが免疫系を抑制するという一般的な認識に基づいて、11β−HSD1は、免疫調節において役割を果たすと考えられている。免疫系とHPA(視床下部−下垂体−副腎皮質)系との間に動的相互作用が存在すること(Rook, Baillier's Clin. Endocrinol. Metab. 2000, 13:576-581)、および、糖質コルチコイドが細胞媒介性応答と体液性応答との間のバランスを補助することが知られている。糖質コルチコイド活性の増大は、ストレスによって誘発され得、体液性応答と関連し、したがって、結果として11β−HSD1の阻害は細胞ベースの反応に向かって応答をシフトさせる。結核、ハンセン病および乾癬などの特定の疾患状態において、および過剰のストレスの条件下においてもまた、高い糖質コルチコイド活性は、実際には細胞ベースの応答が患者にとってより有益であり得る場合でも、免疫応答を体液性応答へとシフトさせる。一方、11β−HSD1活性の阻害および付随する糖質コルチコイドレベルの低下は、免疫応答を細胞ベースの応答へ向かってシフトさせる(D. Mason, Immunology Today, 1991, 12:57-60、およびG.A.Vt. Rook, Baillier's Clin. Endocrinol. Metab., 1999, 13:576-581)。したがって、11β−HSD1の阻害の代替的な有用性は、細胞ベースの応答が得られることを確実にするために、免疫化に関連する一時的な免疫応答を支持することである。
【0015】
最近の報告は、糖質コルチコイドが標的とする受容体およびHSDのレベルが緑内障に対する感受性と関連することを示唆する(J. Stokes et al., Invest. Ophthalmol. 2000, 41:1629-1638)。さらに、11β−HSD1の阻害と眼内圧の低下との間の関連が、最近報告された(Walker et al., poster P3-698 at the Endocrine society meeting June 12-15, 1999, San Diego)。非特異的な11β−HSD1阻害剤であるカルベノキソロンの投与が、正常な患者において眼内圧を20%低下させることが示された。眼において、11β−HSD1は、角膜上皮、角膜の非着色上皮(眼房水の産生の部位)、毛様体筋ならびに虹彩の括約筋および散大筋の基底細胞においてのみ発現する。対照的に、遠位のイソ酵素である11−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ2型(「11β−HSD2」)は、非着色毛様体上皮および角膜内皮において高く発現される。ドレナージの部位である線維柱帯網では、HSDは見出されていない。したがって、11β−HSD1は、眼房水の産生において役割を果たすことが示唆され、11β−HSD1活性の阻害は、緑内障の処置において眼内圧を低下させる上で有用である。
【0016】
糖質コルチコイドはまた、骨格の発達および機能において必須の役割を果たすが、過剰に存在する場合は、かかる発達および機能に対して有害である。C. H. Kim et al., J. Endocrinol. 1999, 162:371 379において報告されるように、糖質コルチコイドによって誘導される骨減少は、部分的には骨芽細胞増殖およびコラーゲン合成の抑制に由来する。骨の小結節形成に対する糖質コルチコイドの有害効果が、非特異的11β−HSD1阻害剤であるカルベノキソロンの投与により緩和され得ることが報告されている(C. G. Bellows et al., Bone 1998, 23:119-125)。さらなる報告は、11β−HSD1がおそらく破骨細胞における活性糖質コルチコイドのレベルの増加をもたらす原因であり、したがって、骨再吸収を増強することを示唆する(M. S. Cooper et al., Bone 2000, 27:375-381)。このデータは、11β−HSD1の阻害は、1または2以上の平行して作用し得る機構を介して、骨粗鬆症に対する有益な効果を有し得ることを示唆する。
【0017】
11β−HSD1阻害剤は、例えば、WO0410629、WO03065983、WO04089896、WO04089380、WO04065351、WO04033427またはWO04041264から公知である。しかし、ジアゼパン−アセトアミド誘導体は、活性な11β−HSD1阻害剤として開示されていない。
ジアゼパン−アセトアミド誘導体は、例えばHuang, W. et al., Bioorg. Med. Chem. Letters (2003), 13(4), 723-728、US6211183、US6133256、WO9846628またはWO9846591においてXa因子阻害剤として、WO2001085723においてタキキニンアンタゴニストとして、またはWO2006059801においてキマーゼ阻害剤として開示されている。しかし、これらの刊行物の開示は、本発明のジアゼパン−アセトアミド誘導体を包含せず、また開示された化合物の11β−HSD1阻害剤としての使用も包含しない。
【0018】
したがって、有利な治療における必要性が継続して存在しているため、本発明の好ましい目的は、糖尿病、肥満、緑内障、骨粗鬆症、認知障害、免疫障害、鬱病、高血圧および他のものなどの疾患の処置のための、新規の医薬活性化合物を提供することであった。
本願におけるあらゆる引用は、その引用文献が本願に対する先行技術であるという承認ではない。
【発明の概要】
【0019】
発明の概要
驚くべきことに、本発明の化合物は、非常に活性な11β−HSD1阻害剤であることが見出された。したがって、本発明の一態様は、式I:
【化1】

式中、
、Rは、互いに独立して、アルキルまたはシクロアルキルであり、ここでシクロアルキルは、アルキルまたはヒドロキシルから選択される基により随意に置換されており、または、R、Rおよびこれらが結合する窒素は、6〜10個の原子を含む飽和単環もしくは二環式環を形成し、N、SまたはOから選択されるさらに1個のヘテロ原子を随意に含み、および、Hal、アルキル、ヒドロキシル、=O(カルボニル酸素)またはアリール、ヘテロアリールから選択される基により随意に置換されており、
は、アルキル、シクロアルキル、フェニルまたはヘテロアリールであり、ここでフェニルまたはヘテロアリールは、Hal、アルキル、C〜C−アルキルオキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C〜Cアルキルオキシカルボニル、C〜CアルキルカルボニルまたはRNC〜C−アルキルオキシにより随意に置換されており、
、Rは、互いに独立して、C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルである、
で表される化合物、
ならびにその生理学的に受容可能な塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物である。
【0020】
本発明の好ましい態様は、式Iによる化合物であって、式中、
、Rおよびこれらが結合する窒素がデカヒドロキノリンを形成し、Hal、アルキル、ヒドロキシル、=O(カルボニル酸素)から選択される基により随意に置換されている前記化合物、
ならびにその生理学的に受容可能な塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物である。
【0021】
本発明の好ましい態様は、式Iによる化合物であって、式中、
、Rおよびこれらが結合する窒素がピペリジンを形成し、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシルから選択される基により随意に置換されている前記化合物、
ならびにその生理学的に受容可能な塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物である。
【0022】
本発明の好ましい態様は、式Iによる化合物であって、式中、
がシクロヘキシルであり、これはアルキルまたはヒドロキシルから選択される基により随意に置換されており、
が、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピルである前記化合物、
ならびにその生理学的に受容可能な塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物である。
【0023】
本発明の好ましい態様は、式Iによる化合物であって、式中、
がフェニルまたはヘテロアリールであり、ここでフェニルまたはヘテロアリールは、Hal、アルキル、C〜C−アルキルオキシにより随意に置換されている前記化合物、
ならびにその生理学的に受容可能な塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物である。
本発明の好ましい態様は、式Iによる化合物であって、式中、
がメチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、イソブチルである前記化合物、
ならびにその生理学的に受容可能な塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物である。
【0024】
本発明の他の特に好ましい態様は、式Iによる化合物であって、以下からなる群:
a)2−(4−シクロプロパンスルホニル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−1−(オクタヒドロ−キノリン−1−イル)−エタノン
b)2−(4−メタンスルホニル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−1−(オクタヒドロ−キノリン−1−イル)−エタノン
c)2−[4−(2−メチル−プロパン−1−スルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−(オクタヒドロ−キノリン−1−イル)−Ex
d)1−(オクタヒドロ−キノリン−1−イル)−2−[4−(2,2,2−トリフルオロ−エタンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−エタノン
e)1−(オクタヒドロ−キノリン−1−イル)−2−[4−(プロパン−2−スルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−エタノン
f)2−(4−シクロプロパンスルホニル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−1−(オクタヒドロ−イソキノリン−2−イル)−エタノン
g)2−[4−(2−メチル−プロパン−1−スルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−(オクタヒドロ−イソキノリン−2−イル)−エタノン
【0025】
h)1−(オクタヒドロ−イソキノリン−2−イル)−2−[4−(2,2,2−トリフルオロ−エタンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−エタノン
i)2−(4−メタンスルホニル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−1−(オクタヒドロ−イソキノリン−2−イル)−エタノン
j)1−(オクタヒドロ−イソキノリン−2−イル)−2−[4−(プロパン−2−スルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−エタノン
k)2−[4−(2−クロロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−(オクタヒドロ−キノリン−1−イル)−エタノン
l)2−[4−(2−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−(オクタヒドロ−キノリン−1−イル)−エタノン
m)2−[4−(2−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−(4−ヒドロキシ−オクタヒドロ−キノリン−1−イル)−エタノン
n)2−[4−(2−クロロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−(4−ヒドロキシ−オクタヒドロ−キノリン−1−イル)−エタノン
o)2−[4−(2,6−ジフルオロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−(オクタヒドロ−キノリン−1−イル)−エタノン
【0026】
p)2−[4−(2−クロロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−(4aS,8aR)−オクタヒドロ−キノリン−1−イル−エタノン
q)2−[4−(2,6−ジフルオロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−(4aS,8aR)−オクタヒドロ−キノリン−1−イル−エタノン
r)2−[4−(2−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−(4aS,8aR)−オクタヒドロ−キノリン−1−イル−エタノン
s)N−シクロヘキシル−N−シクロプロピル−2−[4−(2−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−アセトアミド
t)2−[4−(2−クロロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−N−シクロヘキシル−N−メチル−アセトアミド
u)N−シクロヘキシル−2−[4−(2,6−ジフルオロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−N−メチル−アセトアミド
v)N−シクロヘキシル−2−[4−(2−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−N−メチル−アセトアミド
w)2N−シクロヘキシル−N−シクロプロピル−2−[4−(2−クロロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−アセトアミド
【0027】
x)N−シクロヘキシル−N−シクロプロピル−2−(4−メタンスルホニル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−アセトアミド
y)2−[4−(2−クロロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−ピペリジン−1−イル−エタノン
z)2−[4−(2−クロロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−スピロ[1H−インデン−1,4’ピペリジン−1−イル)−エタノン
aa)2−[4−(2−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−スピロ[1H−インデン−1,4’ピペリジン−1−イル)−エタノン
bb)2−[4−(2,6−ジフルオロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−スピロ[1H−インデン−1,4’ピペリジン−1−イル)−エタノン
より選択される前記化合物、ならびにその生理学的に受容可能な塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物である。
【0028】
化合物、特に本発明による化合物を定義するために本明細書において使用される命名法は、一般に、化学化合物および特に有機化合物のためのIUPAC組織の規則に基づく。
【0029】
「アルキル」、ならびにアルコキシおよびアルカノイルなどの接頭辞「alk」を有する他の基は、炭素鎖を意味し、これは、その炭素鎖が他に定義されない限りにおいて、直鎖状であっても分枝状であってもそれらの組合せであってもよい。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−およびtert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルなどが挙げられる。特定数の炭素原子が可能である場合、例えばC〜C10から可能である場合、用語アルキルはまた、シクロアルキル基、およびシクロアルキル構造と組み合わされた直鎖状または分枝状のアルキル鎖を含む。炭素原子の数が特定されない場合は、C〜Cが意図される。特に好ましいのは、C〜Cアルキルである。C〜Cアルキルラジカルは、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチルである。
【0030】
〜Cシクロアルキルは、アルキルのサブセットであり、4〜8個の炭素原子を有する飽和単環式炭化水素を意味するものとして理解される。シクロアルキルの例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどが挙げられる。シクロアルキル基は、他に記されない限りにおいて、一般に単環式である。シクロアルキル基は、他に定義されない限りにおいて、飽和している。C〜Cシクロアルキルラジカルは、例えば、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルである。
【0031】
用語「C〜Cアルキルオキシ」とは、示された数の炭素原子を有する直鎖状または分枝状の構造のアルコキシ基を意味する。C〜Cアルキルオキシは、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシなどである。
用語「C〜Cアルキルオキシカルボニル」とは、1〜4個のC原子を有する本発明の直鎖状または分枝状のカルボン酸誘導体のエステル、すなわち、メチルオキシカルボニル(MeOCO−)、エチルオキシカルボニル、またはブチルオキシカルボニルを指す。
【0032】
用語「C〜Cアルキルカルボニル」とは、1〜4個のC原子およびカルボン酸基を有する直鎖状又は分枝状のアルキルを指す。
「アリール」とは、炭素環原子を有する単環式または多環式の芳香族環系を意味する。好ましいアリールは、単環式または二環式の6〜10員の芳香族環系である。「アリール」基の例として、フェニル、2−ナフチル、1−ナフチル、ビフェニル、インダニルならびにこれらの置換誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。最も好ましいアリールはフェニルである。
【0033】
「ヘテロ環」および「ヘテロシクリル」とは、O、SおよびN、さらにイオウの酸化形態、すなわちSOおよびSOを含むものから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有する、飽和または不飽和の非芳香族の環または環系を指す。ヘテロ環の例として、テトラヒドロフラン(THF)、ジヒドロフラン、1,4−ジオキサン、モルホリン、1,4−ジチアン、ピペラジン、ピペリジン、1,3−ジオキソラン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピロリン、ピロリジン、テトラヒドロピラン、ジヒドロピラン、オキサチオラン、ジチオラン、1,3−ジオキサン、1,3−ジチアン、オキサチアン、チオモルホリンなどが挙げられる。
【0034】
「ヘテロアリール」とは、芳香族または部分的に芳香族のヘテロ環であって、O、SおよびNから選択される少なくとも1つの環ヘテロ原子を含有するものを意味する。ヘテロアリールは、したがって、アリール、シクロアルキルおよび芳香族でないヘテロ環などの他の種類の環と融合しているヘテロアリールを含む。ヘテロアリール基の例として以下が挙げられる:ピロリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラニル、トリアジニル、チエニル、ピリミジル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、インドリニル、ピリダジニル、インダゾリル、イソオキサゾリル、イソインドリル、ジヒドロベンゾチエニル、インドリジニル、シンノリニル、フタルアジニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、カルバゾリル、ベンズジオキシニル、ベンゾジオキソリル、キノキサリニル、プリニル、フラザニル、チオフェニル、イソベンジルフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、キノリル、インドリル、イソキノリル、ジベンゾフラニルなど。ヘテロシクリル基およびヘテロアリール基については、1〜3個の環を形成する3〜15原子を含有する環および環系が含まれる。
【0035】
用語「Hal」とは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を指す。塩素およびフッ素が、一般的に好ましい。ハロゲンがアルキルまたはアルコキシ基において置換されるとき、フッ素が最も好ましい(例えば、CFおよびCFO)。
用語「組成物」とは、医薬組成物においては、活性成分(単数または複数)、およびキャリアを構成する不活性成分(単数または複数)、ならびに、任意の製品であって、任意の2もしくは3以上の成分の組合せ、錯体形成もしくは凝集から、1もしくは2以上の成分の解離から、または1もしくは2以上の成分の他の種類の反応もしくは相互作用から直接的または間接的に生じるものを含む製品を包含することを意図する。したがって、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物と薬学的に受容可能なキャリアとを混合することによって製造されるあらゆる組成物を包含する。
【0036】
用語、化合物「の投与」および化合物「を投与する」とは、本発明の化合物または本発明の化合物のプロドラッグを、個人の必要に対して提供することを意味すると理解されるべきである。
本明細書において使用される場合、用語「有効量」とは、例えば研究者または医師によって求められている、組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を惹起する、薬物または薬剤の量を意味する。さらに、用語「治療有効量」とは、かかる量を受けていない対応する被験体と比較した場合に、疾患、障害もしくは副作用の処置の改善、治癒、予防もしくは寛解、または疾患もしくは障害の進行の速度の低下をもたらす、あらゆる量を意味する。この用語はまた、その範囲内に、正常な生理学的機能を増強するために有効な量を包含する。
【0037】
構造式Iの化合物は、1または2以上の非対称中心を含んでもよく、したがって、ラセミ体およびラセミ混合物、単一のエナンチオマー、ジアステレオマーの混合物、および個々のジアステレオマーとして生じてもよい。本発明は、構造式Iの化合物の全てのかかる異性体の形態を包含することを意図する。本明細書において記載される化合物の一部は、オレフィン二重結合を含み、他に特定されない限り、EおよびZ幾何異性体の両方を含むことを意図する。
本明細書において記載される化合物の一部は、ケト・エノール互変異性体などの互変異性体として存在してもよい。個々の互変異性体ならびにそれらの混合物は、構造式Iの化合物のうちに包含される。構造式Iの化合物を、例えば、好適な溶媒、例えばメタノールもしくはエチルアセテートもしくはそれらの混合物からの分別結晶化によって、または必要に応じて活性な固定相を用いるキラルクロマトグラフィーを介して、個々のジアステレオマーに分離してもよい。結晶産物または誘導体化された結晶中間産物のX線結晶学によって、必要であれば公知の絶対配置の非対称中心を含有する試薬を用いて、絶対立体化学を決定してもよい。
【0038】
あるいは、一般構造式Iの化合物の立体異性体は、光学的に純粋な出発物質または公知の絶対配置の試薬を用いる立体特異的合成によって得てもよい。本発明の異なる局面において、医薬組成物は、構造式Iによる化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を、薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて含むものIと称される。
【0039】
用語「溶媒和物」とは、水和物、アルコラート、または他の結晶化の溶媒和物を意味する。
化合物は、以下に示す一般法AおよびBにより製造することができる。全ての調製方法において、全ての出発物質は既知であるか、または既知の出発物質から容易に製造することができる。
【0040】
本発明のさらなる態様は、本発明の化合物の製造のための方法であり、これは以下を特徴とする:
a)(一般法A)式IIの二置換アミン(式中、RおよびRは上で定義のとおりである)を、標準条件化で(例えば塩化メチレンを溶媒として用い、炭酸カリウムなどの無機塩基の存在下で)臭化ブロモアセチルと結合させ、対応する式IIIで表されるブロモ誘導体を得て、かかるブロモ誘導体を次に式IVの保護ホモピペラジンと、標準条件化で(例えばDCMを溶媒として、3級塩基の存在下で)反応させ、次にかかるホモピペラジンの窒素をトリフルオロ酢酸などの酸により脱保護し、かかるホモピペラジンを、標準条件化で(例えばDCMを溶媒として、トリエチルアミンなどの第三級塩基の存在下で)塩化スルホニル誘導体(この式中、Rは上で定義のとおりである)と結合すること、
【化2】

【0041】
b)(一般法B)式VIIのスルホンアミド−ホモピペラジン(この式中Rは上で定義のとおりである)を、式VIのブロモアセトアミド(式中、RおよびRは上で定義のとおりである)を用いて標準の塩基性条件化で(例えばDCMを溶媒として、TEAまたはDIPEAなどの第三級塩基の存在下で)縮合すること、
【化3】

c)上で定義した残基R、Rおよび/またはRを、他の残基R、Rおよび/またはRに、例えばアルキル基を導入するなどして、変換すること、または、
d)式Iの化合物を単離し、および/または酸または塩基で処理して、これの塩を得ること。
【0042】
全ての粗産物を、それぞれメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ヘキサン、シクロヘキサンまたは石油エーテルを含む溶媒混合物を用いる標準的なクロマトグラフィーに供した。
製造プロセスのさらに詳細な説明についてはまた、例および以下の好ましい条件の一般的な説明を参照されたい。
また、式Iの化合物の生理学的に受容可能な塩を、酸または塩基との記載される反応によって得られた式Iの化合物を単離および/または処理することにより、得ることができる。
【0043】
式Iの化合物およびまたそれらの製造のための出発物質を、例において記載する方法によって、または文献において(例えば、Houben-Weyl, Methoden der Organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg Thieme Verlag, Stuttgart;Organic Reactions, John Wiley&Sons, Inc., New Yorkなどの標準的な著作物)記載されるようなそれ自体公知の方法によって、詳しくは、上記の反応について公知であり好適な反応条件下において、製造する。それ自体公知の改変もまた、ここにおいて用いられ得るが、本明細書においてはこれ以上詳細には言及しない。
【0044】
請求項に記載される方法のための出発物質は、所望の場合は、反応混合物から単離せず、その代わりにそれらをすみやかに式Iの化合物へとさらに変換することにより、インサイチュで形成してもよい。一方、反応を段階的に行うことが可能である。
【0045】
好ましくは、化合物の反応を、好適な溶媒の存在下において行う。溶媒は、好ましくは対応する反応条件下において不活性である。好適な溶媒の例は、ヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンもしくはキシレンなどの炭化水素類;トリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、テトラクロロメタン、クロロホルムもしくはジクロロメタンなどの塩化炭化水素類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールもしくはtert−ブタノールなどのアルコール類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)もしくはジオキサンなどのエーテル類;エチレングリコールモノメチルもしくはモノエチルエーテル、またはエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム(diglyme))などのグリコールエーテル類;アセトンもしくはブテノンなどのケトン類;アセトアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリジノン(NMP)などのアミド類;アセトニトリルなどのニトリル類;ジメチルスルホキシド(DMSO)などのスルホキシド類;ニトロメタンもしくはニトロベンゼンなどのニトロ化合物類;エチルアセテートなどのエステル類、または上記の溶媒の混合物もしくは水との混合物である。極性溶媒が、一般に好ましい。好適な極性溶媒の例は、塩化炭化水素類、アルコール類、グリコールエーテル類、ニトリル類、アミド類およびスルホキシドまたはこれらの混合物である。より好ましいものは、アミド類、特にジメチルホルムアミド(DMF)である。
【0046】
上記の通り、反応温度は、反応段階および使用される条件に依存して約−100℃から300℃の間である。
反応時間は、一般に、対応する化合物の反応性および対応する反応条件に依存して、数分間から数日間の間の範囲である。好適な反応時間は、当該分野において公知の方法、例えば反応のモニタリングにより、容易に決定される。上記で与えられる反応温度に基づいて、好適な反応時間は、一般に、10分間から48時間の間の範囲にある。
【0047】
式Iの塩基は、酸を用いて、例えば、エタノールなどの好ましくは不活性な溶媒中での当量の塩基および酸の反応と、その後の蒸発により、関連する酸付加塩へと変換することができる。この反応のための好適な酸は、特に、生理学的に受容可能な塩を生じるものである。したがって、無機酸、例えば、硫酸、亜硫酸、ジチオン酸、硝酸、塩酸もしくは臭化水素酸などのハロゲン化水素酸、例えばオルトリン酸などのリン酸、スルファミン酸、さらに有機酸、特に、脂肪族、脂環式、アルアリファティック(araliphatic)、芳香族またはヘテロ環式の、一塩基または多塩基のカルボン酸、スルホン酸、または硫酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、ピバル酸、ジエチル酢酸、マロン酸、コハク酸、ピメリン酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、メタンもしくはエタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリメトキシ安息香酸、アダマンタンカルボン酸、p−トルエンスルホン酸、グリコール酸、エンボン酸(embonic acid)、クロロフェノキシ酢酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリン、グリオキシル酸、パルミチン酸、パラクロロフェノキシイソブチル酸、シクロヘキサンカルボン酸、ブドウ糖1−リン酸、ナフタレンモノ−および−ジスルホン酸、またはラウリル硫酸を使用することが可能である。
【0048】
生理学的に受容可能でない酸、例えばピクリン酸を含む塩を、式Iの化合物を単離および/または精製するために用いることができる。
一方、式Iの化合物を、対応する金属塩、特に、アルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩へ、または、対応するアンモニウム塩へ、塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムもしくは炭酸カリウム)を用いて変換してもよい。好適な塩は、さらに、置換アンモニウム塩、例えば、ジメチル−、ジエチル−およびジイソプロピルアンモニウム塩、モノエタノール−、ジエタノール−およびジイソプロパノールアンモニウム塩、シクロヘキシル−およびジシクロヘキシルアンモニウム塩、ジベンジルエチレンジアンモニウム塩、さらに、例えばアルギニンもしくはリジンとの塩である。
【0049】
所望の場合、式Iの遊離塩基を、さらなる酸性の基が分子中に存在しない限り、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムなどの強塩基による処置によって、その塩から遊離させることができる。式Iの化合物が遊離の酸基を有する場合は、塩形成を、塩基による処置によって同様に達成することができる。好適な塩基は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、または一級アミン、二級アミンもしくは三級アミンの形態における有機塩基である。
【0050】
本明細書において記載される各反応段階の後で、必要に応じて、1または2以上の仕上げ(working up)の手順および/または単離の手順を行ってもよい。好適なかかる手順は、Houben-Weyl, Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg-Thieme-Verlag, Stuttgartなどの標準的な著作物から当該分野において公知である。かかる手順の例として、以下が挙げられるがこれらに限定されない:溶媒の蒸発、蒸留、結晶化、分別結晶化、抽出の手順、洗浄の手順、温浸(digesting)の手順、ろ過の手順、クロマトグラフィー、HPLCによるクロマトグラフィー、および乾燥の手順、特に、真空および/または高温における乾燥の手順。
【0051】
本明細書において記載される化合物は、11β−HSD1酵素の選択的阻害剤である。したがって、本発明は、コルチゾンのコルチゾルへの変換の原因である11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1のレダクターゼ活性を阻害することに関する、本発明の化合物の使用に関する。
【0052】
構造式Iで表される11β−HSD1阻害剤は、一般に、約500nMより低い阻害定数IC50を有し、好ましくは約100nMより低いIC50を有する。一般に、化合物の、11β−HSD1に対する11β−HSD2のIC50の比率は、少なくとも2以上、好ましくは約10または10より大きい。さらにより好ましいものは、11β−HSD1に対する11β−HSD2についてのIC50の比率が約20または20より大きい化合物である。例えば、本発明の化合物は、理想的には、11β−HSD2に対して、約1000nMより大きい、好ましくは5000nMより大きい阻害定数IC50を示す。
【0053】
本発明は、哺乳動物の患者において、特にヒトにおいて、過剰量または制御されない量のコルチゾルおよび/または他のコルチコステロイドによって媒介されるものとして本明細書において記載される疾患および状態を、構造式Iの化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物の有効量を投与することによって、処置、制御、寛解、予防するか、またはこれらの発症を遅延させるか、またはこれらを発症する危険性を低下させるための、11β−HSD1阻害剤の使用を含む。11β−HSD1酵素の阻害は、通常は不活性であるコルチゾンのコルチゾルへの変換を制限する。コルチゾルは、過剰量で存在する場合、これらの疾患の症状および状態を引き起こすか、またはかかる症状の原因となり得る。
【0054】
したがって、本発明の好ましい態様は、11β−HSD1阻害剤としての本発明の化合物の使用である。
本発明のさらなる好ましい態様は、医薬の製造のための本発明の化合物の使用である。
本発明のさらなる好ましい態様は、高コルチゾルレベルによって引き起こされるか、媒介されるか、および/または進行する疾患の処置および/または予防のための医薬の製造のための、本発明の化合物の使用である。
【0055】
本発明のさらなる好ましい態様は、以下からなる群より選択される1もしくは2以上の疾患または状態の処置および/または予防のための医薬の製造のための、本発明の化合物の使用である:メタボリック症候群、糖尿病、特にインスリン非依存性糖尿病、糖尿病前症、インスリン抵抗性、耐糖能の低下、高血糖、肥満および体重に関連する障害、脂質障害、例えば脂質異常症、高脂血症、高中性脂肪血症、高コレステロール血症、低HDLレベルまたは高LDLレベル、緑内障、骨粗鬆症、糖質コルチコイド媒介性の神経機能に対する作用、例えば、認知障害、不安症または鬱病、神経変性疾患、免疫障害、例えば、結核、ハンセン病または乾癬、高血圧、アテローム性動脈硬化症およびその続発症、血管再狭窄、心血管疾患、膵炎、網膜症、神経障害および腎障害。
【0056】
本発明の別の局面において、以下:高血糖、耐糖能の低下、インスリン抵抗性、肥満、脂質障害、脂質異常症、高脂血症、高中性脂肪血症、高コレステロール血症、低MELレベル、高LDLレベル、アテローム性動脈硬化症およびその続発症、血管再狭窄、膵炎、腹部肥満、神経変性疾患、網膜症、腎障害、神経障害、メタボリック症候群、高血圧および他の状態、ならびにインスリン抵抗性が構成要素である障害からなる群より選択される状態を、かかる処置を必要とする哺乳動物患者において処置するための方法が開示される。この方法は、患者に、構造式Iによる化合物を、上記状態を処置するために有効な量で投与することを含む。
【0057】
本発明の別の局面において、高血糖、耐糖能の低下、インスリン抵抗性、肥満、脂質障害、脂質異常症、高脂血症、高中性脂肪血症、高コレステロール血症、低EMILレベル、高LDLレベル、アテローム性動脈硬化症およびその続発症、血管再狭窄、膵炎、腹部肥満、神経変性疾患、網膜症、腎障害、神経障害、メタボリック症候群、高血圧および他の状態、ならびにインスリン抵抗性が構成要素である障害からなる群より選択される状態の発症を、かかる処置を必要とする哺乳動物患者において遅延させるための方法が開示される。この方法は、患者に、構造式Iによる化合物を、上記状態の発症を遅延させるために有効な量で投与することを含む。
【0058】
本発明のさらなる好ましい態様は、本発明による1または2以上の化合物の治療有効量を含むことを特徴とする医薬組成物である。
本発明のさらなる好ましい態様は、生理学的に受容可能な賦形剤、助剤、アジュバント、希釈剤、キャリアおよび本発明による化合物以外の医薬活性剤からなる群より選択される1または2以上のさらなる化合物をさらに含むことを特徴とする医薬組成物である。
【0059】
本発明のさらなる好ましい態様は、以下の別々のパケットからなるセット(キット)である:
a)本発明による1または2以上の化合物の治療有効量、および
b)本発明による化合物以外の1または2以上のさらなる医薬活性剤の治療有効量。
【0060】
構造式Iの化合物は、構造式Iの化合物または他の薬物が有用性を有する疾患または状態の処置、予防、抑制または寛解において、1または2以上の他の薬物と組み合わせて用いてもよい。一般には、薬物の組合せは、一方の薬物単独より安全もしくはより効果的であるか、または、その組合せが、個々の薬物の相加的特性に基づいて予測されるものよりも安全またはより効果的である。かかる他の薬物は、構造式Iの化合物と同時にまたは連続して、一般に用いられる経路および量で投与されてよい。構造式Iの化合物が1または2以上の他の薬物と同時に用いられる場合、かかる他の薬物(単数または複数)と構造式Iの化合物とを含有する組合せ製品が好ましい。しかし、組合せ治療はまた、構造式Iの化合物と1または2以上の他の薬物とが、異なるが重複するスケジュールで投与される治療を含む。他の活性成分と組み合せて使用される場合、本発明の化合物または他の活性成分または両方が、各々が単独で使用される場合より低い用量で効果的に使用され得ることが企図される。
【0061】
したがって、本発明の医薬組成物は、構造式Iの化合物に加えて1または2以上の他の活性成分を含有するものを包含する。構造式Iの化合物と組み合わせて、別々に投与されるかまたは同じ医薬組成物中で投与され得る他の活性成分の例として、以下が挙げられるがこれらに限定されない:ジペプチジルペプチダーゼIV(DP−IV)阻害剤;グリタゾン類(例えば、トログリタゾン、ピオグリタゾン、エングリタゾン(englitazone)、MCC−555、ロシグリタゾンなど)などのPPARγアゴニスト、およびKRP−297などのPPARα/γデュアルアゴニストを含む他のPPARリガンド、ならびにゲムフィブロジル、クロフィブラート、フェノフィブラートおよびベザフィブラートなどのPPARαアゴニスト、ならびにメトホルミンおよびフェンホルミンなどのビグアナイド類を含む、インスリン感作剤;インスリンまたはインスリン模倣薬;スルホニルウレアおよび他のインスリン分泌促進物質、例えば、トルブタミド、グリピジド、メグリチニド(meglitinide)および関連物質;アカルボースなどのα−グルコシダーゼ阻害剤;WO 98/04528、WO 99/01423、WO 00/39088およびWO 00/69810において開示されるもののようなグルカゴン受容体アンタゴニスト;
【0062】
GLP−1、GLP−1アナログ、およびWOOO/42026およびWOOO/59887において開示されるもののようなGLP−1受容体アゴニスト;GIP、WOOO/58360において開示されるもののようなGIP模倣薬、およびGIP受容体アゴニスト;PACAP、PACAP模倣薬、およびWO 01/23420において開示されるもののようなPACAP受容体3アゴニスト;コレステロール低下剤、例えば、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン(itavastatin)、ロスバスタチンおよび他の記載されるもの)、胆汁酸捕捉剤(コレスチラミン、コレスチポール、および架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体類)、ニコチニルアルコール、ニコチン酸、およびそれらの塩、コレステロール吸収の阻害剤、例えば、エゼチミブおよびβ−シトステロール、アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤、例えば、アバシミブ(avasimibe)、および抗酸化剤、例えばプロブコール;WO97/28149において開示されるもののようなPPARδアゴニスト;
【0063】
抗肥満化合物、例えば、フェンフルラミン、デクステンフルラミン(dextenfluramine)、フェンテルミン、シブトラミン、オルリスタット、ニューロペプチドY1またはY5アンタゴニスト類、CB1受容体インバースアゴニスト類およびアンタゴニスト類、アドレナリン性受容体アゴニスト類、メラノコルチン受容体アゴニスト類、特に、メラノコルチン−4受容体アゴニスト類、グレリンアンタゴニスト類、およびメラニン凝集ホルモン(MCH)受容体アンタゴニスト類;回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤;糖質コルチコイド以外の炎症状態における使用のために意図される薬剤、例えば、アスピリン、非ステロイド性抗炎症薬、アザルフィジンおよび選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤;タンパク質チロシンホスファターゼ1B(PTP−1B)阻害剤;アンギオテンシン系またはレニン系に作用するものを含む降圧剤、例えば、アンギオテンシン転換酵素阻害剤、アンギオテンシンII受容体アンタゴニスト、またはレニン阻害剤、例えば、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、ホシノプリル、リシノプリル、キナプリル、ラマプリル、ゾフェノプリル、カンデサルタン、シレキセチル、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、タソサルタン、テルミサルタン、およびバルサルタン;およびコレステリルエステル転送タンパク質(CETP)の阻害剤。
【0064】
上記の組合せは、構造式Iの化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物と、1または2以上の他の活性化合物とを含む。非限定的な例として、構造式Iの化合物と、ビグアナイド、スルホニルウレア、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、PPARアゴニスト、PTP−1B阻害剤、DP−IV阻害剤および抗肥満化合物から選択される2つ以上の活性化合物との組合せが挙げられる。
【0065】
本発明の別の局面において、以下:高血糖、耐糖能の低下、インスリン抵抗性、肥満、脂質障害、脂質異常症、高脂血症、高中性脂肪血症、高コレステロール血症、低HDLレベル、高LDLレベル、アテローム性動脈硬化症およびその続発症、血管再狭窄、膵炎、腹部肥満、神経変性疾患、網膜症、腎障害、神経障害、メタボリック症候群、高血圧および他の状態、ならびにインスリン抵抗性が構成要素である障害からなる群より選択される状態を発症する危険性を、かかる処置を必要とする哺乳動物患者において低減する方法が開示される。この方法は、患者に、構造式Iによる化合物を、上記状態を発症する危険性を低減するために有効な量で投与することを含む。
【0066】
本発明の別の局面において、以下:高血糖、耐糖能の低下、インスリン抵抗性、肥満、脂質障害、脂質異常症、高脂血症、高中性脂肪血症、高コレステロール血症、低HDLレベル、高LDLレベル、アテローム性動脈硬化症およびその続発症、血管再狭窄、膵炎、腹部肥満、神経変性疾患、網膜症、腎障害、神経障害、メタボリック症候群、高血圧および他の状態、ならびにインスリン抵抗性が構成要素である障害からなる群より選択される状態を、かかる処置を必要とする哺乳動物患者において処置する方法が開示される。この方法は、患者に、構造式Iにおいて定義される化合物および以下からなる群より選択される化合物の有効量を投与することを含む:ジペプチジルペプチダーゼIV(DP−IV)阻害剤;PPARγアゴニスト、PPARαアゴニストおよびPPARα/γデュアルアゴニストならびにビグアナイド類からなる群より選択されるインスリン感作剤;
【0067】
インスリンまたはインスリン模倣薬;スルホニルウレアおよび他のインスリン分泌促進物質;α−グルコシダーゼ阻害剤;グルカゴン受容体アンタゴニスト;GLP−1、GLP−1アナログ、およびGLP−1受容体アゴニスト;GIP、GIP模倣薬およびGIP受容体アゴニスト;PACAP、PACAP模倣薬、およびPACAP受容体3アゴニスト;HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、捕捉剤、ニコチニルアルコール、ニコチン酸、およびそれらの塩、コレステロール吸収の阻害剤、アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤、ならびに抗酸化剤からなる群より選択されるコレステロール低下剤;PPARδアゴニスト;抗肥満化合物;回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤;糖質コルチコイドを除く抗炎症剤;タンパク質チロシンホスファターゼ1B(PTP−1B)阻害剤;
【0068】
アンギオテンシン系またはレニン系に作用するものを含む降圧剤、例えば、アンギオテンシン転換酵素阻害剤、アンギオテンシンII受容体アンタゴニスト、またはレニン阻害剤、例えば、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、ホシノプリル、リシノプリル、キナプリル、ラマプリル、ゾフェノプリル、カンデサルタン、シレキセチル、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、タソサルタン、テルミサルタン、およびバルサルタン;上記の化合物は、上記の状態を処置するために有効な量で患者に投与される。構造式Iの化合物と組み合わせることができるジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤として、以下において開示されるものが挙げられる:WO 03/004498、WO 03/004496;EP 1 258 476;WO 02/083128;WO 02/062764;WO 03/00025;WO 03/002530;WO 03/002531;WO 03/002553;WO 03/002593;WO 03/000180;およびWO 03/000181。具体的なDP-IV阻害剤化合物として、イソロイシンチアゾリジド(thiazolidide);NVP−DPP728;P32/98;およびLAF 237が挙げられる。
【0069】
構造式Iの化合物と組み合わせることができる抗肥満化合物として、フェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、オルリスタット、ニューロペプチドY1またはY5アンタゴニスト類、カンナビノイドCB1受容体アンタゴニスト類およびインバースアゴニスト類、メラノコルチン受容体アゴニスト類、特に、メラノコルチン−4受容体アゴニスト類、グレリンアンタゴニスト類、およびメラニン凝集ホルモン(MCH)受容体アンタゴニスト類が挙げられる。構造式Iの化合物と組み合わせることができる抗肥満化合物の概説については、S.Chaki et al., "Recent advances in feeding suppressing agents:potential therapeutic strategy for the treatment of obesity," Expert Opin. Ther. Patents, 11:1677-1692 (2001)およびD. Spanswick and K. Lee, "Emerging antiobesity drugs," Expert Opin. Emerging Drugs, 8:217-237 (2003)を参照のこと。
【0070】
構造式Iの化合物と組み合わせることができるニューロペプチドY5アンタゴニスト類として、米国特許第6,335,345号およびWO 01/14376において開示されるもの;ならびにGW59884A;GW569180A;LY366377;およびCOP-71683Aとして同定される具体的な化合物が挙げられる。
式Iの化合物と組み合わせることができるカンナビノイドCB1受容体アンタゴニスト類として、PCT公開WO 03/007887;米国特許第5,624,941号において開示されるもの、例えばリモナバン;PCT公開WO 02/076949において開示されるもの、例えばSLV-319;米国特許第6,028,084号;PCT公開WO 98/41519;PCT公開WO 00/10968;PCT公開WO 99/02499;米国特許第5,532,237号;および米国特許第5,292,736号において開示されるものが挙げられる。
【0071】
式Iの化合物と組み合わせることができるメラノコルチン受容体アゴニストとして、WO 03/009847;WO 02/068388;WO 99/64002;WO 00/74679;WO 01/70708;およびWO 01/70337において開示されるもの、ならびにJ.D. Speake et al., "Recent advances in the development of melanocortin-4 receptor agonists, Expert Opin.Ther.Patents, 12:1631-1638(2002)において開示されるものが挙げられる。
本発明の別の局面において、高コレステロール血症、アテローム性硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高中性脂肪血症および脂質異常症からなる群より選択される状態を、かかる処置を必要とする哺乳動物患者において処置する方法が開示される。この方法は、患者に、構造式Iにおいて定義される化合物の治療有効量と、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤とを投与することを含む。
【0072】
さらにとりわけ、本発明の別の局面において、高コレステロール血症、アテローム性硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高中性脂肪血症および脂質異常症からなる群より選択される状態を、かかる処置を必要とする哺乳動物患者において処置する方法が開示され、ここで、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、スタチンである。
【0073】
さらによりとりわけ、本発明の別の局面において、高コレステロール血症、アテローム性硬化症、低HALレベル、高LDLレベル、高脂血症、高中性脂肪血症および脂質異常症からなる群より選択される状態を、かかる処置を必要とする哺乳動物患者において処置する方法が開示され、ここで、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチンおよびロスバスタチンからなる群より選択されるスタチンである。
【0074】
本発明の別の局面において、高コレステロール血症、アテローム性硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高中性脂肪血症および脂質異常症からなる群より選択される状態、ならびにかかる状態の続発症を発症する危険性を低下させる方法が開示され、この方法は、かかる処置を必要とする哺乳動物患者に構造式Iの化合物とHMG−CoAレダクターゼ阻害剤との有効量を投与することを含む。
【0075】
本発明の別の局面において、アテローム性硬化症の発症を遅延させるか発症する危険性を低下させる処置を必要とするヒト患者において、アテローム性硬化症の発症を遅延させるか発症する危険性を低下させるための方法が開示され、この方法は、前記の患者に、構造式Iの化合物とHMG−CoAレダクターゼ阻害剤との有効量を投与することを含む。
さらにとりわけ、アテローム性硬化症の発症を遅延させるか発症する危険性を低下させる処置を必要とするヒト患者において、アテローム性硬化症の発症を遅延させるか発症する危険性を低下させるための方法が開示され、ここで、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、スタチンである。
【0076】
さらによりとりわけ、アテローム性硬化症の発症を遅延させるか発症する危険性を低下する処置を必要とするヒト患者において、アテローム性硬化症の発症を遅延させるか発症する危険性を低下させるための方法が開示され、ここで、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチンおよびロスバスタチンからなる群より選択されるスタチンである。
さらによりとりわけ、アテローム性硬化症の発症を遅延させるか発症する危険性を低下する処置を必要とするヒト患者において、アテローム性硬化症の発症を遅延させるか発症する危険性を低下させるための方法が開示され、ここで、スタチンは、シンバスタチンである。
【0077】
本発明の別の局面において、アテローム性硬化症の発症を遅延させるか発症する危険性を低下する処置を必要とするヒト患者において、アテローム性硬化症の発症を遅延させるか発症する危険性を低下させるための方法が開示され、ここで、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤はスタチンであり、この方法は、コレステロール吸収阻害剤を投与することをさらに含む。
さらにとりわけ、本発明の別の局面において、アテローム性硬化症の発症を遅延させるか発症する危険性を低下する処置を必要とするヒト患者において、アテローム性硬化症の発症を遅延させるか発症する危険性を低下させるための方法が開示され、ここで、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤はスタチンであり、コレステロール吸収阻害剤はエゼチミブである。
【0078】
本発明の別の局面において、医薬組成物が開示される。医薬組成物は、構造式Iによる化合物、以下からなる群:DP−IV阻害剤;PPARαアゴニスト、PPARγアゴニスト、PPARα/γデュアルアゴニストおよびビグアナイド類からなる群より選択されるインスリンI感作剤;インスリンまたはインスリン模倣薬;スルホニルウレアおよび他のインスリン分泌促進物質;oc−グルコシダーゼ阻害剤;グルカゴン受容体アンタゴニスト;GLP−1、GLP−1アナログ、およびGLP−1受容体アゴニスト;GIP、GIP模倣薬およびGIP受容体アゴニスト;PACAP、PACAP模倣薬、PACAP受容体3アゴニスト;HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、捕捉剤、ニコチニルアルコール、ニコチン酸およびこれらの塩、コレステロール吸収の阻害剤、アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤および抗酸化剤からなる群より選択されるコレステロール低下剤;PPARδアゴニスト;抗肥満化合物;回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤;糖質コルチコイド以外の抗炎症剤;タンパク質チロシンホスファターゼ1B(PTP−1B)阻害剤;アンギオテンシン系またはレニン系に作用するものを含む降圧剤、例えば、アンギオテンシン転換酵素阻害剤、アンギオテンシンII受容体アンタゴニスト、またはレニン阻害剤、例えば、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、ホシノプリル、リシノプリル、キナプリル、ラマプリル、ゾフェノプリル、カンデサルタン、シレキセチル、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、タソサルタン、テルミサルタン、およびバルサルタン;コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)の阻害剤、より選択される化合物;ならびに薬学的に受容可能なキャリアを含む。
【0079】
本発明のさらなる態様は、上記の医薬組成物の製造のための方法であり、本発明の1または2以上の化合物、ならびに、固体、液体または半液体の賦形剤、助剤、アジュバント、希釈剤、キャリアおよび本発明の化合物以外の医薬活性剤からなる群より選択される1または2以上の化合物が、好適な投与形態に変換されることを特徴とする。
【0080】
本発明の医薬組成物は、それらの意図される目的を達成する任意の手段により投与することができる。例えば、投与は、経口、非経口、局所、経腸、静脈内、筋肉内、吸入、鼻内、関節内、脊髄内、経気管、経眼、皮下、腹腔内、経皮、または口腔内経路によるものであってよい。代替的に、または同時に、投与は経口経路によるものであってもよい。投与される投与量は、レシピエントの年齢、健康および体重、もしあるならば併用する処置の種類、処置の頻度、ならびに所望の効果の性質に依存する。非経口投与が好ましい。経口投与は特に好ましい。
【0081】
好適な投与形態として、以下が挙げられるがこれらに限定されない:カプセル剤、錠剤、ペレット、糖衣錠、半流動物、散剤、顆粒、坐剤、軟膏、クリーム、ローション、吸入剤、注射、パップ剤(cataplasm)、ゲル、テープ剤、点眼剤、溶液、シロップ、エアロゾル、懸濁液、乳液。これらは、例えば以下に記載されるように、当該分野において公知の方法により製造することができる。
錠剤:
活性成分(単数または複数)と助剤とを混合し、この混合物を錠剤へ圧縮し(直接圧縮法)、必要に応じて圧縮の前に混合物の一部を造粒する。
カプセル剤:
活性成分(単数または複数)と助剤とを混合して流動性を有する粉末を得、必要に応じて粉末を造粒し、粉末/顆粒を開放したカプセル中に充填し、カプセルをキャップする。
【0082】
半流動物(軟膏、ゲル、クリーム):
活性成分(単数または複数)を水性または脂質のキャリア中に溶解/分散する;その後、水相/脂肪相と相補的な脂肪相/水相とを混合し、均質化する(クリームのみ)。
坐剤(直腸および膣用):
活性成分(単数または複数)を、熱により液化したキャリア材料(直腸:キャリア材料は通常ワックスである;膣用:キャリアは通常ゲル化剤の加熱溶液である)中に溶解/分散し、この混合物を坐剤の型に流し入れ(cast)、焼鈍し、型から坐剤を取り出す。
エアロゾル:
活性成分(単数または複数)を、噴霧剤中に溶解/分散し、この混合物をアトマイザーに詰める。
【0083】
一般に、医薬組成物および/または医薬処方物の製造のための非化学的経路は、1または2以上の本発明による化合物を、かかる処置を必要とする患者への投与に好適な投与形態へ変換する、当該分野において公知の好適な機械的手段におけるプロセシングの工程を含む。通常、かかる投与形態への本発明による1または2以上の化合物の変換は、キャリア、賦形剤、助剤および本発明の化合物以外の医薬活性成分からなる群より選択される1または2以上の化合物の添加を含む。好適なプロセッシング工程として、以下が挙げられるがこれらに限定されない:各々の活性および非活性成分の、配合、製粉、混合、造粒、溶解、分散、均質化、成型および/または圧縮。上記のプロセッシング工程を行うための機械的手段は、例えば、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry、第5版から、当該分野において公知である。このことに関して、活性成分は、好ましくは、少なくとも1つの本発明による化合物、および本発明による化合物以外の1または2以上のさらなる化合物であって有益な薬学的特性を示すもの、好ましくは、本明細書において開示される本発明の化合物以外の医薬活性剤である。
【0084】
経口での使用のために特に好適であるのは、錠剤、ピル、被覆錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒、シロップ、ジュースまたはドロップであり、直腸での使用に好適であるのは坐剤であり、非経口での使用のために好適であるのは溶液、好ましくは油ベースの溶液または水溶液、さらに懸濁液、乳液またはインプラントであり、局所での使用のために好適であるのは、軟膏、クリームまたは散剤である。また、新規の化合物を凍結乾燥してもよく、生じた凍結乾燥物を、例えば注射処方物の処方のために使用する。示される処方物は、滅菌であってもよく、ならびに/あるいは、助剤、例えば潤滑剤、保存剤、安定剤、および/もしくは湿潤剤、乳化剤、浸透圧を調節するための塩、緩衝化物質、着色料、香味料、および/または、1もしくは2以上のビタミン類などの複数のさらなる活性成分を含んでもよい。
【0085】
好適な賦形剤は、有機または無機の物質であり、経腸(例えば経口)、非経口または局所投与に好適であって新規化合物と反応しないもの、例えば、水、植物油、ベンジルアルコール、アルキレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールトリアセテート、ゼラチン、炭水化物、例えば乳糖、ショ糖、マンニトール、ソルビトール、またはデンプン(トウモロコシデンプン、コムギデンプン、米デンプン、馬鈴薯デンプン)、セルロース調製物、および/またはリン酸カルシウム、例えばリン酸三カルシウムもしくはリン酸水素カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、および/またはワセリンである。
【0086】
所望の場合、上記のデンプン、およびまたカルボキシメチル−デンプン、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムなどの崩壊剤を添加してもよい。助剤として、限定することなく以下が挙げられる:流動調節剤および潤滑剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸またはその塩、例えばステアリン酸マグネシウムもしくはステアリン酸カルシウム、および/またはポリエチレングリコール。糖衣錠のコアは、好適なコーティングを備え、これは、所望の場合、胃液に対して耐性である。この目的のために、濃縮糖類溶液を使用してもよい。濃縮糖類溶液は、必要に応じてアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ウルシ溶液および好適な有機溶媒もしくは溶媒混合物を含有する。胃液に対して耐性のコーティングを製造するために、または長期の作用の利点を得ることができる投与形態を提供するために、錠剤、糖衣錠またはピルは、内部投与成分(inner dosage component)および外部投与成分(outer dosage component)を含んでもよく、後者は、前者を覆うエンベロープの形態である。
【0087】
二つの成分は、腸溶層により分離されていてもよく、腸溶層は、胃内での分解に耐えるのに役立ち、内部成分が完全な状態で十二指腸内へ通過すること、または放出を遅延させることを可能にする。かかる腸溶層またはコーティングのために、多様な材料が用いられ、これは、多数のポリマー酸、およびポリマー酸と、シェラック、アセチルアルコール、好適なセルロース調製物、例えばフタル酸アセチルセルロース、セルロースアセテートまたはフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースの溶液などの材料との混合物を含む。例えば識別のため、または活性化合物の用量の組合せを特徴付けるために、着色料もしくは色素を錠剤または糖衣錠のコーティングに添加してもよい。
【0088】
好適なキャリア物質は、有機または無機の材料であり、経腸(例えば、経口)または非経口投与または局所適用に好適であって新規化合物と反応しないもの、例えば、水、植物油、ベンジルアルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、乳糖またはデンプンなどの炭水化物、ステアリン酸マグネシウム、タルクおよびワセリンである。特に、錠剤、被覆錠剤、カプセル剤、シロップ、懸濁液、ドロップまたは坐剤が、経腸投与のために用いられ、溶液、好ましくは油性溶液もしくは水溶液、さらには懸濁液、乳液またはインプラントが、非経口投与のために用いられ、軟膏、クリームまたは散剤が、局所投与のために用いられる。また、新規化合物を凍結乾燥してもよく、得られた凍結乾燥物を、例えば注射処方物の製造のために使用する。
【0089】
示される処方物は、滅菌であってもよく、ならびに/あるいは、賦形剤、例えば潤滑剤、保存剤、安定剤、および/または湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を及ぼすための塩、緩衝化物質、着色料、香味料および/または芳香剤を含んでもよい。これらはまた、所望の場合、1もしくは2以上のさらなる活性成分、例えば1または2以上のビタミン類を含んでもよい。
【0090】
経口で使用することができる他の医薬処方物として、ゼラチン製の押し込み式(push-fit)カプセル、ならびにゼラチンおよびグリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤からなる軟性の密封カプセルが挙げられる。押し込み式カプセルは、顆粒の形態の活性成分を含んでもよく、これは、乳糖などの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、および必要に応じて安定剤と混合されていてもよい。ソフトカプセルにおいては、活性成分は、好ましくは、油脂または液体パラフィンなどの好適な液体中に溶解または懸濁される。さらに、安定剤を添加してもよい。
【0091】
本発明の新規組成物を経口での投与のために組み込むことができる液体の形態として、水溶液、好適に風味付けされたシロップ、水性または油性の懸濁液、および綿実油、胡麻油、ココナッツ油またはピーナッツ油などの食用油との風味付けされた乳液、ならびにエリキシル剤および類似の薬学的ビヒクルが挙げられる。水性懸濁液のための好適な分散剤および懸濁剤として、合成または天然のゴム、例えばトラガカント、アラビアゴム、アルギン酸、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンまたはゼラチンが挙げられる。
【0092】
非経口投与のための好適な処方物として、水溶性形態の活性化合物の水溶液、例えば、水溶性の塩およびアルカリの溶液が挙げられる。さらに、好適な油性注射用懸濁液としての活性化合物の懸濁液を投与してもよい。好適な親油性の溶媒またはビヒクルとして、油脂、例えば、胡麻油、または合成脂肪酸エステル、例えば、オレイン酸エチルもしくはトリグリセリドもしくはポリエチレングリコール−400(この化合物は、PEG−400中で可溶性である)が挙げられる。
【0093】
水性の注射用懸濁液は、懸濁液の粘性を高めるための物質を含んでいてもよく、かかる物質として、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、および/またはデキストランが挙げられる。必要に応じて、懸濁液はまた安定剤を含んでもよい。
吸入用スプレー剤としての投与のために、活性成分が、噴霧用ガスまたは噴霧用ガス混合物(例えばCOもしくはクロロフルオロカーボン)中に溶解または懸濁されているスプレーを使用することができる。活性成分は、ここで、微粒子化した形態において有利に用いられる。この場合、1または2以上のさらなる生理学的に受容可能な溶媒、例えばエタノールが存在してもよい。吸入用溶液を、従来の吸入器により投与することができる。
【0094】
直腸で用いることができる可能な医薬処方物として、例えば、活性化合物の1または2以上と坐剤用基剤との組合せからなる坐剤が挙げられる。好適な坐剤用基剤は、例えば、天然または合成のトリグリセリド、またはパラフィン炭化水素である。さらに、活性化合物と基剤との混合物からなるゼラチンの直腸用カプセルを用いることもできる。可能な基剤の材料として、例えば、液体トリグリセリド、ポリエチレングリコール、またはパラフィン炭化水素が挙げられる。
【0095】
医薬における使用のために、本発明の化合物は、薬学的に受容可能な塩の形態であり得る。しかしながら、他の塩は、本発明による化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩の製造において有用である可能性がある。本発明の化合物の好適な薬学的に受容可能な塩として、酸付加塩が挙げられ、これは、例えば、本発明の化合物の溶液と、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、炭酸またはリン酸などの薬学的に受容可能な酸の溶液とを混合することにより、形成することができる。さらに、本発明の化合物が酸性部分を担持する場合、その好適な薬学的に受容可能な塩として、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウムまたはカリウムの塩;アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウムまたはマグネシウムの塩;および好適な有機塩基により形成される塩、例えば、四級アンモニウム塩が挙げられる。
【0096】
本発明は、その範囲内に、上記の本発明の化合物のプロドラッグを含む。一般に、かかるプロドラッグは、本発明の機能的誘導体であり、必要とされる本発明の化合物へとインビボで容易に転換可能である。好適なプロドラッグ誘導体の選択および製造のための従来の方法は、例えば、Design of Prodrugs, ed. H. Bundgaard, Elsevier, 1985において記載される。
【0097】
医薬処方物は、ヒトにおける医薬および獣医薬として用いることができる。本明細書において使用される場合、「有効量」とは、例えば研究者または医師によって求められている、組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を惹起する、薬物または薬剤の量を意味する。さらに、用語「治療有効量」とは、かかる量を受けていない対応する被験体と比較した場合に、疾患、障害もしくは副作用の処置の改善、治癒、予防もしくは寛解、または疾患もしくは障害の進行の速度の低下をもたらす、あらゆる量を意味する。この用語はまた、その範囲内に、正常な生理学的機能を増強するために有効な量を包含する。本発明による化合物の1または2以上の前記治療有効量は、当業者に公知であるか、または当該分野において公知の標準的な方法により容易に決定することができる。
【0098】
本発明による物質は、一般に、市販の調製物と同様に投与される。通常、治療上有効である好適な用量は、用量単位あたり、0.0005mgと1000mgとの間、好ましくは0.005mgと500mgとの間、特に、0.5mgと100mgとの間である。日用量は、好ましくは約0.001mg/体重1kgと10mg/体重1kgとの間である。
【0099】
当業者は、用量レベルが、特定の化合物、症状の重篤度、および副作用に対する被験体の感受性の関数として、変化し得ることを容易に理解する。特定の化合物の一部は、他のものより強力である。所与の化合物についての好ましい投与量は、当業者によって多様な手段により容易に決定される。好ましい手段は、所与の化合物の生理学的効力を測定することである。
宿主または患者は、哺乳動物種からのもの、例えば、霊長類の種、特にヒト;マウス、ラットおよびハムスターを含む齧歯類;ウサギ;ウマ、ウシ、イヌ、ネコなどであってよい。動物モデルは、実験的研究のために重要であり、ヒト疾患の処置のためのモデルを提供する。
【0100】
しかし、個々の患者のための具体的な用量は、多数の要因に依存し、例えば、用いられる特定の化合物の効力、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、摂食の種類、投与の時間および経路、排出速度、投与の種類および投与されるべき投与形態、医薬の組合せ、治療が関係する特定の障害の重篤度に依存する。個々の患者のための具体的な治療有効用量は、例えば治療的処置を助言するかまたは行う医師または内科医により、通常の実験により容易に決定することができる。
【0101】
多くの障害の場合、対象となる化合物による処置に対する特定の細胞の感受性は、インビトロの試験により決定することができる。代表的には、活性剤が関連する反応を示すことができるために十分な期間、通常、約1時間と1週間との間、細胞の培養物を、多様な濃度の対象となる化合物と組み合わせる。インビトロ試験のために、生検サンプルからの培養細胞を用いてもよい。
さらなる説明がなくとも、当業者は、上記の説明を最も広い範囲で用いることができるとみなす。したがって、好ましい態様は、説明的な開示としてのみみなされるべきであり、決して限定するものではない。
【0102】
上記および以下において、全ての温度は℃において示される。以下の例において、「従来の仕上げ」とは、必要であれば溶媒を除去し、必要であれば水を加え、必要であれば最終生成物の構成に依存してpHを2〜10の間に調整し、混合物を酢酸エチルまたはジクロロメタンで抽出し、相を分離し、有機相を飽和NaHCO溶液、所望であれば水および飽和NaCl溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過し、蒸発させ、生成物をシリカゲル上でのクロマトグラフィー、分取HPLCおよび/または結晶化により精製することを意味する。精製された化合物は、所望の場合、凍結乾燥する。
質量分析(MS): ESI(エレクトロスプレーイオン化)(M+H)
【0103】
略語および頭字語のリスト:
AcOH:酢酸、anh:無水物、atm:気圧、BOC:tert−ブトキシカルボニルCDI:1,1’−カルボニルジイミダゾール、conc:濃縮、d:日、dec:分解、DMAC:NN−ジメチルアセトアミド、DMPU:1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(IH)−ピリミジノン、DMF:NN−ジメチルホルムアミド、DMSO:ジメチルスルホキシド、DPPA:ジフェニルホスホリルアジド、EDCI:1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド、EtOAc:酢酸エチル、EtOH:エタノール(100%)、EtO:ジエチルエーテル、EtN:トリエチルアミン、h:時間、MeOH:メタノール、pet.ether:石油エーテル(沸騰範囲30〜60℃)、temp.:温度、THF:テトラヒドロフラン、TFA:トリフルオロAcOH、Tf:トリフルオロメタンスルホニル。
本発明の化合物を、以下に示す一般法AおよびBにより製造することができる。全ての製造方法において、全ての出発物質は公知であるか、または公知の出発物質から容易に製造することができる。
【0104】
例1(一般法A)
2−(4−シクロプロパンスルホニル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−1−(オクタヒドロ−キノリン−1−イル)−エタノン
ステップ1:2−ブロモ−1−(オクタヒドロ−キノリン−1−イル)−エタノン
塩化メチレン30ml中のデカヒドロキノリン2.15g(15mmol)および炭酸カリウム5.20g(37.5mmol)の氷冷した懸濁液に、3.10g(15mmol)の臭化ブロモアセチルを加えた。次に反応混合物をRTで20時間撹拌した。水を加え、混合物を塩化メチレンで抽出し、有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮して乾燥した。塩化メチレンを溶出液として用いたフラッシュクロマトグラフィーにより、2.6gの化合物を無色でない(uncolorless)油として得た。
【化4】

【0105】
ステップ2:4−[2−(オクタヒドロ−キノリン−1−イル)−2−オキソ−エチル]−[1,4]ジアゼパン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
3.448g(16.87mmol)のBoc−ホモピペラジンおよび3.339g(33mmol)のTEAを60mlの塩化メチレンに溶解した溶液に、ステップ1の化合物4.39g(16.87mmol)を60mlのメチレンに溶解した溶液を1滴ずつ加えた。反応混合物をRTで一晩撹拌し、水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮して乾燥し、6.2gの化合物を黄色の油として得た。
【化5】

【0106】
ステップ3:2−[1,4]ジアゼパン−1−イル−1−(オクタヒドロ−キノリン−1−イル)エタノン
ステップ2の化合物3.88g(10.43mmol)をジオキサン40mlに溶解した溶液に、ジオキサン中の4MのHCl溶液26.085ml(104.34mmol)を加えた。次に反応混合物をRTで20時間撹拌した。反応混合物を濃縮して乾燥し、酢酸エチルで希釈し、有機相を1NのHClで洗浄した。水相をNaOHで塩基性化し、酢酸エチルで抽出し、有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥した。濃縮して乾燥し、2.18gの化合物を黄色の油として得た。
【化6】

【0107】
ステップ4:2−(4−シクロプロパンスルホニル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−1−(オクタヒドロ−キノリン−1−イル)−エタノン
ステップ3の化合物0.2g(0.633mmol)およびDIPEA0.442ml(2.533mmol)を10mlの塩化メチレンに溶解し冷却した溶液に、塩化シクロプロピルスルホニル0.061ml(0.633mmol)を加えた。次に反応混合物をRTで一晩撹拌し、塩化メチレンで希釈し、有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮して乾燥し、0.31gの粗生成物を得た。塩化メチレン/メタノール95:5を溶出液として用いたフラッシュクロマトグラフィーにより、161mgの化合物を黄色の油として得た。
【化7】

【0108】
以下の化合物を、例1の記載と同様の方法で製造した。
例1−1:
2−(4−メタンスルホニル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−1−(オクタヒドロ−キノリン−1−イル)−エタノン
HPLC−MS(M+H)358.1
例1−2:
2−[4−(2−メチル−プロパン−1−スルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−(オクタヒドロ−キノリン−1−イル)−エタノン
HPLC−MS(M+H)400.2
【0109】
例1−3:
1−(オクタヒドロ−キノリン−1−イル)−2−[4−(2,2,2−トリフルオロ−エタンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−エタノン
HPLC−MS(M+H)426.0
例1−4:
1−(オクタヒドロ−キノリン−1−イル)−2−[4−(プロパン−2−スルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−エタノン
HPLC−MS(M+H)386.1
【0110】
以下の化合物を、例1の記載と同様の方法で、ステップ1においてデカヒドロキノリンの代わりにデカヒドロイソキノリンを用いて製造した。
例1−5:
2−(4−シクロプロパンスルホニル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−1−(オクタヒドロ−イソキノリン−2−イル)−エタノン
HPLC−MS(M+H)384.2
例1−6:
2−[4−(2−メチル−プロパン−1−スルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−(オクタヒドロ−イソキノリン−2−イル)−エタノン
HPLC−MS(M+H)400.2
例1−7:
1−(オクタヒドロ−イソキノリン−2−イル)−2−[4−(2,2,2−トリフルオロ−エタンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−エタノン
HPLC−MS(M+H)426.0
【0111】
例1−8:
2−(4−メタンスルホニル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−1−(オクタヒドロ−イソキノリン−2−イル)−エタノン
HPLC−MS(M+H)358.1
例1−9:
1−(オクタヒドロ−イソキノリン−2−イル)−2−[4−(プロパン−2−スルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−エタノン
HPLC−MS(M+H)386.1
【0112】
以下の化合物を、例1の記載と同様の方法で、ステップ1においてデカヒドロキノリンの代わりに4−ヒドロキシデカヒドロキノリンを用いて製造した。
例1−10:
2−[4−(2−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−(4−ヒドロキシ−オクタヒドロ−キノリン−1−イル)−エタノン
HPLC−MS(M+H)454.2
例1−11:
2−[4−(2−クロロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−(4−ヒドロキシ−オクタヒドロ−キノリン−1−イル)−エタノン
HPLC−MS(M+H)470.2
【0113】
例2(一般法B)
2−[4−(2−クロロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−(オクタヒドロ−キノリン−1−イル)−エタノン
ステップ1:4−(2−クロロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
Bocホモピペラジン2.04g(10mmol)およびDIPEA1.32g(10mmol)を80mlの塩化メチレンに溶解し氷冷した溶液に、2.18g(10mmol)の塩化2−クロロフェニルスルホニルを40mlの塩化メチレンに溶解した溶液を加えた。次に反応混合物をRTで一晩撹拌した。有機相をHCl aqおよび水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮して乾燥して、3.7gの化合物を黄色の油として得た。
【化8】

【0114】
ステップ2:1−(2−クロロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン
ステップ1の化合物3.7g(9.87mmol)を塩化メチレン35mlに溶解し氷冷した溶液に、トリフルオロ酢酸35mlを加えた。次に反応混合物をRTで一晩撹拌した。混合物を濃縮して乾燥し、塩化メチレンで希釈し、有機相を0.1NのNaOHと水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。濃縮して乾燥して、2.44gの化合物を黄色の油として得た。
【化9】

【0115】
ステップ3:2−[4−(2−クロロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−(オクタヒドロ−キノリン−1−イル)エタノン
例2ステップ2の化合物0.273g(0.99mmol)およびTEA0.276ml(1.99mmol)を塩化メチレン10mlに溶解した溶液に、塩化メチレン5ml中の例1ステップ1の化合物258.6mg(0.99mmol)を加えた。次に反応混合物をRTで48時間撹拌し、塩化メチレンで希釈し、有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮して乾燥した。塩化メチレン/メタノール98:2を溶出液として用いたフラッシュクロマトグラフィーにより、312mgの化合物を黄色の油として得た。
【化10】

【0116】
以下の化合物を、例2の記載と同様の方法で製造した。
例2−1:
2−[4−(2−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−(オクタヒドロ−キノリン−1−イル)−エタノン
HPLC−MS(M+H)438
例2−2:
2−[4−(2,6−ジフルオロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−(オクタヒドロ−キノリン−1−イル)−エタノン
HPLC−MS(M+H)456
例2−3:
2−[4−(2−クロロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−(4aS,8aR)−オクタヒドロ−キノリン−1−イル−エタノン
HPLC−MS(M+H)454.1
【0117】
例2−4:
2−[4−(2,6−ジフルオロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−(4aS,8aR)−オクタヒドロ−キノリン−1−イル−エタノン
HPLC−MS(M+H)456
例2−5:
2−[4−(2−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−(4aS,8aR)−オクタヒドロ−キノリン−1−イル−エタノン
HPLC−MS(M+H)438
【0118】
例3(一般法B)
N−シクロヘキシル−N−シクロプロピル−2−[4−(2−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−アセトアミド
ステップ1:2−ブロモ−N−シクロヘキシル−N−シクロプロピル−アセトアミド
塩化メチレン15ml中の、N−シクロヘキシル−N−シクロプリピルアミンハイドロクロリド1.054g(6mmol)および炭酸カリウム2.07g(15mmol)および水15mlの氷冷した混合物に、1.2g(6mmol)の臭化ブロモアセチルを加えた。次に反応混合物をRTで20時間撹拌した。有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮して乾燥して、1.33gの粗化合物を得た。DCMを溶出液として用いたフラッシュクロマトグラフィーにより、1.12gの所望の化合物を無色の油として得た。
【化11】

【0119】
ステップ2:N−シクロヘキシル−N−シクロプロピル−2−[4−(2−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−アセトアミド
0.33g(1.279mmol)の1−(2−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパンおよび0.356ml(2.558mmol)のTEAを塩化メチレン10mlに溶解した溶液に、ステップ1の化合物0.332g(1.279mmol)の溶液を加えた。次に反応混合物を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮して0.55gの粗生成物を得た。塩化メチレン/メタノール98:2を溶出液として用いたフラッシュクロマトグラフィーにより、450mgの化合物を黄色の油として得た。
【化12】

【0120】
以下の化合物を、例3の記載と同様の方法で製造した。
例3−1:
2−[4−(2−クロロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−N−シクロヘキシル−N−メチル−アセトアミド
HPLC−MS(M+H)428.1
例3−2:
N−シクロヘキシル−2−[4−(2,6−ジフルオロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−N−メチル−アセトアミド
HPLC−MS(M+H)430.1
例3−3:
N−シクロヘキシル−2−[4−(2−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−N−メチル−アセトアミド
HPLC−MS(M+H)412.1
【0121】
例3−4:
2N−シクロヘキシル−N−シクロプロピル−2−[4−(2−クロロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−アセトアミド
HPLC−MS(M+H)454.2
例3−5:
N−シクロヘキシル−N−シクロプロピル−2−(4−メタンスルホニル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−アセトアミド
HPLC−MS(M+H)358.1
【0122】
以下の化合物を、例3の記載と同様の方法で、2−ブロモ−N−シクロヘキシル−N−シクロプロピル−アセトアミドの代わりに2−ブロモ−1−(ピペリジン−1−イル)−エタノンを用いて製造した。
例3−6:
2−[4−(2−クロロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−ピペリジン−1−イル−エタノン
例2ステップ2の化合物1.37g(5mmol)およびTEA1.4ml(10mmol)を塩化メチレン40mlに溶解した溶液に、1.030g(5mmol)の2−ブロモ−1−(ピペリジン−1−イル)−エタノンを加えた。次に反応混合物を一晩撹拌し、塩化メチレンで希釈し、有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮して乾燥した。塩化メチレン/メタノール98:2を溶出液として用いたフラッシュクロマトグラフィーにより、1.55gの化合物を黄色の油として得た。
【化13】

【0123】
以下の化合物を、例3の記載と同様の方法で、2−ブロモ−N−シクロヘキシル−N−シクロプロピル−アセトアミドの代わりに2−ブロモ−1−(4−ピロール−1−イル−ピペリジン−1−イル)−エタノンを用いて製造した。
例3−7:
2−[4−(2−クロロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−(4−ピロール−1−イル−ピペリジン−1−イル)−エタノン
HPLC−MS(M+H)465.2
例3−8:
2−[4−(3−クロロ−2−メチル−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−(4−ピロール−1−イル−ピペリジン−1−イル)−エタノン
HPLC−MS(M+H)480.1
【0124】
以下の化合物を、例3の記載と同様の方法で、2−ブロモ−N−シクロヘキシル−N−シクロプロピル−アセトアミドの代わりに2−ブロモ−1−スピロ[1H−インデン−1,4’ピペリジン−1−イル)−エタノンを用いて製造した。
例3−9:
2−[4−(2−クロロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−スピロ[1H−インデン−1,4’ピペリジン−1−イル)−エタノン
HPLC−MS(M+H)400.2
【化14】

【0125】
例3−10:
2−[4−(2−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−スピロ[1H−インデン−1,4’ピペリジン−1−イル)−エタノン
HPLC−MS(M+H)484.1
例3−11:
2−[4−(2,6−ジフルオロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−スピロ[1H−インデン−1,4’ピペリジン−1−イル)−エタノン
HPLC−MS(M+H)502.1
【0126】
例4:アッセイ−阻害定数の測定
ヒト組み換え11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型(11β−HSD1)酵素および2型(11β−HSD2)酵素を、E.Coliにおいて発現させた。マウス肝臓のミクロソーム画分をTEBUから購入した。
【0127】
11β−HSD1酵素アッセイを、1mMのEDTAを含む30mMのHepes緩衝液(pH7.4)、基質混合物コルチゾン/NADPH(200nM/200μM)、G−6−P(1mM)および連続希釈した阻害剤を含む、全容積100μlの96ウェルマイクロタイタープレート中で行った。E.Coliからの10μlの11β−HSD1(3μg)の添加により、またはマウス肝臓からのミクロソーム画分(2.5μg)として、反応を開始した。混合の後に、プレートを150分間37℃で振盪した。10μlの酸−18βグリシルレチン停止溶液で、反応を停止させた。11β−HSD1調製物中のコルチゾルレベルの決定を、HTRF(Cis bio international製HTRFコルチゾルアッセイ)でモニタリングした。
【0128】
活性を、対照の%、または酵素活性の50%を阻害する濃度(IC50)で表す。
このアッセイを、11β−HSD2酵素に対して同様に適用し、コルチゾル、NAD、およびカルベノキソロンを、それぞれ基質、コファクター、および停止剤として用いた。
【表1】

【0129】
例5:注射バイアル
100gの本発明の活性化合物の溶液および5gのリン酸水素二ナトリウムを3リットルの二回蒸留水に溶解した溶液を、2Nの塩酸を用いてpH6.5に調節し、無菌ろ過し、注射バイアル中に分注し、無菌条件下において凍結乾燥し、無菌条件で密封する。各々の注射バイアルは、5mgの活性化合物を含有する。
例6:坐剤
20gの本発明の活性化合物と100gのダイズレシチンと1400gのカカオバターとの混合物を溶融し、鋳型へ注入し、冷却する。各々の坐剤は、20mgの活性化合物を含有する。
【0130】
例7:溶液
940mlの二回蒸留水中、1gの本発明の活性化合物、9.38gのNaHPO・2HO、28.48gのNaHPO・12HO、および0.1gの塩化ベンズアルコニウムの溶液を調製する。これを、pH6.8に調製し、1リットルにし、放射線により滅菌する。この溶液を、点眼剤の形態において用いることができる。
例8:軟膏
500mgの本発明の活性化合物を、99.5gのワセリンと、無菌条件下において混合する。
【0131】
例9:錠剤
1kgの本発明の活性化合物、4kgの乳糖、1.2kgの馬鈴薯デンプン、0.2kgのタルク、および0.1kgのステアリン酸マグネシウムの混合物を、各々の錠剤が10mgの活性化合物を含むように、慣用的な用法において圧縮して錠剤を得る。
例10:被覆錠剤
前の例と同様に、錠剤を打錠し、次いで、ショ糖、馬鈴薯デンプン、タルク、トラガカントおよび着色料のコーティングを用いて、通常の方法で被覆する。
例11:カプセル剤
2kgの本発明の活性化合物を、硬質ゼラチンのカプセル中に、各々のカプセルが20mgの活性化合物を含むように、通常の方法で分注する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

式中、
、Rは、互いに独立して、アルキルまたはシクロアルキルであり、ここでシクロアルキルは、アルキルまたはヒドロキシルから選択される基により随意に置換されており、または、R、Rおよびこれらが結合する窒素は、6〜10個の原子を含む飽和単環もしくは二環式環を形成し、N、SまたはOから選択されるさらに1個のヘテロ原子を随意に含み、および、Hal、アルキル、ヒドロキシル、=O(カルボニル酸素)またはアリール、ヘテロアリールから選択される基により随意に置換されており、
は、アルキル、シクロアルキル、フェニルまたはヘテロアリールであり、ここでフェニルまたはヘテロアリールは、Hal、アルキル、C〜Cアルキルオキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C〜Cアルキルオキシカルボニル、C〜C−アルキルカルボニルまたはRNC〜C−アルキルオキシにより随意に置換されており、
、Rは、互いに独立して、C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルである、
で表される化合物、
またはその生理学的に受容可能な塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物もしくは立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物。
【請求項2】
、Rおよびこれらが結合する窒素がデカヒドロキノリンを形成し、Hal、アルキル、ヒドロキシル、=O(カルボニル酸素)から選択される基により随意に置換されている、
請求項1に記載の化合物、またはその生理学的に受容可能な塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物もしくは立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物。
【請求項3】
、Rおよびこれらが結合する窒素がピペリジンを形成し、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシルから選択される基により随意に置換されている、
請求項1に記載の化合物、またはその生理学的に受容可能な塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物もしくは立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物。
【請求項4】
がシクロヘキシルであり、これはアルキルまたはヒドロキシルから選択される基により随意に置換されており、
が、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピルである、
請求項1〜3のいずれかに記載の化合物、またはその生理学的に受容可能な塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物もしくは立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物。
【請求項5】
式Iで表される化合物であって、式中、
がフェニルまたはヘテロアリールであり、ここでフェニルまたはヘテロアリールは、Hal、アルキル、C〜Cアルキルオキシにより随意に置換されている、前記化合物、
またはその生理学的に受容可能な塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物もしくは立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物。
【請求項6】
式Iで表される化合物であって、式中、
がメチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、イソブチルである、前記化合物、
またはその生理学的に受容可能な塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物もしくは立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物。
【請求項7】
以下からなる群より選択される化合物:
a)2−(4−シクロプロパンスルホニル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−1−(オクタヒドロ−キノリン−1−イル)−エタノン
b)2−(4−メタンスルホニル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−1−(オクタヒドロ−キノリン−1−イル)−エタノン
c)2−[4−(2−メチル−プロパン−1−スルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−(オクタヒドロ−キノリン−1−イル)−Ex
d)1−(オクタヒドロ−キノリン−1−イル)−2−[4−(2,2,2−トリフルオロ−エタンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−エタノン
e)1−(オクタヒドロ−キノリン−1−イル)−2−[4−(プロパン−2−スルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−エタノン
f)2−(4−シクロプロパンスルホニル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−1−(オクタヒドロ−イソキノリン−2−イル)−エタノン
g)2−[4−(2−メチル−プロパン−1−スルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−(オクタヒドロ−イソキノリン−2−イル)−エタノン
h)1−(オクタヒドロ−イソキノリン−2−イル)−2−[4−(2,2,2−トリフルオロ−エタンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−エタノン
i)2−(4−メタンスルホニル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−1−(オクタヒドロ−イソキノリン−2−イル)−エタノン
j)1−(オクタヒドロ−イソキノリン−2−イル)−2−[4−(プロパン−2−スルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−エタノン
k)2−[4−(2−クロロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−(オクタヒドロ−キノリン−1−イル)−エタノン
l)2−[4−(2−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−(オクタヒドロ−キノリン−1−イル)−エタノン
m)2−[4−(2−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−(4−ヒドロキシ−オクタヒドロ−キノリン−1−イル)−エタノン
n)2−[4−(2−クロロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−(4−ヒドロキシ−オクタヒドロ−キノリン−1−イル)−エタノン
o)2−[4−(2,6−ジフルオロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−(オクタヒドロ−キノリン−1−イル)−エタノン
p)2−[4−(2−クロロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−(4aS,8aR)−オクタヒドロ−キノリン−1−イル−エタノン
q)2−[4−(2,6−ジフルオロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−(4aS,8aR)−オクタヒドロ−キノリン−1−イル−エタノン
r)2−[4−(2−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−(4aS,8aR)−オクタヒドロ−キノリン−1−イル−エタノン
s)N−シクロヘキシル−N−シクロプロピル−2−[4−(2−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−アセトアミド
t)2−[4−(2−クロロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−N−シクロヘキシル−N−メチル−アセトアミド
u)N−シクロヘキシル−2−[4−(2,6−ジフルオロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−N−メチル−アセトアミド
v)N−シクロヘキシル−2−[4−(2−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−N−メチル−アセトアミド
w)2N−シクロヘキシル−N−シクロプロピル−2−[4−(2−クロロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−アセトアミド
x)N−シクロヘキシル−N−シクロプロピル−2−(4−メタンスルホニル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−アセトアミド
y)2−[4−(2−クロロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−ピペリジン−1−イル−エタノン
z)2−[4−(2−クロロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−スピロ[1H−インデン−1,4’ピペリジン−1−イル)−エタノン
aa)2−[4−(2−フルオロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−スピロ[1H−インデン−1,4’ピペリジン−1−イル)−エタノン
bb)2−[4−(2,6−ジフルオロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−スピロ[1H−インデン−1,4’ピペリジン−1−イル)−エタノン
またはその生理学的に受容可能な塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物もしくは立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の化合物の製造方法であって、
a)式IIで表される二置換アミン(式中、RおよびRは上に定義のとおりである)を、臭化ブロモアセチルと結合させて、対応する式IIIで表されるブロモ誘導体を得、該ブロモ誘導体を式IVで表される保護ホモピペラジンと反応させ、次に前記ホモピペラジンの窒素を酸により脱保護し、前記ホモピペラジンを塩化スルホニル誘導体(式中、Rは上に定義のとおりである)と結合させること、
【化2】

b)式VIIで表されるスルホンアミド−ホモピペラジン(式中、Rは上に定義のとおりである)を、式VIで表されるブロモアセトアミド(式中、RおよびRは上に定義のとおりである)と縮合させること、
【化3】

c)上に定義の残基R、Rおよび/またはRを、他の残基R、Rおよび/またはRに、例えばアルキル基を導入することにより、変換すること、または
d)式Iで表される化合物を、酸または塩基により単離および/または処理して、その塩を得ること、
を特徴とする、前記方法。
【請求項9】
11β−HSD1阻害剤としての、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項10】
医薬の製造のための、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項11】
高コルチゾルレベルによって引き起こされるか、媒介されるかおよび/または進行する疾患の、処置および/または予防のための医薬の製造のための、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項12】
メタボリック症候群、糖尿病、特にインスリン非依存性糖尿病、糖尿病前症、インスリン抵抗性、耐糖能の低下、高血糖、肥満および体重に関連する障害、脂質障害、例えば脂質異常症、高脂血症、高中性脂肪血症、高コレステロール血症、低HDLレベルまたは高LDLレベル、緑内障、骨粗鬆症、糖質コルチコイド媒介性の神経機能に対する作用、例えば、認知障害、不安症または鬱病、神経変性疾患、免疫障害、例えば、結核、ハンセン病または乾癬、高血圧、アテローム性動脈硬化症およびその続発症、血管再狭窄、心血管疾患、膵炎、網膜症、神経障害および腎障害からなる群より選択される1または2以上の疾患または状態の処置および/または予防のための医薬の製造のための、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項13】
請求項1〜7のいずれかに記載の1または2以上の化合物の治療有効量を含むことを特徴とする、医薬組成物。
【請求項14】
生理学的に受容可能な賦形剤、助剤、アジュバント、希釈剤、キャリア、および請求項1〜7のいずれかに記載の化合物以外の医薬活性剤からなる群より選択される1または2以上のさらなる化合物を含むことを特徴とする、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
以下の別々のパケットからなるセット(キット):
a)請求項1〜7のいずれかに記載の1または2以上の化合物の治療有効量、および
b)請求項1〜7のいずれかに記載の化合物以外の1または2以上のさらなる医薬活性剤の治療有効量。
【請求項16】
請求項1〜7のいずれかに記載の1または2以上の化合物、ならびに、固体、液体または半液体の賦形剤、助剤、アジュバント、希釈剤、キャリア、および請求項1〜7のいずれかに記載の化合物以外の医薬活性剤からなる群より選択される1または2以上の化合物を、好適な投与形態に変換することを特徴とする、医薬組成物の製造方法。

【公表番号】特表2010−508312(P2010−508312A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535000(P2009−535000)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【国際出願番号】PCT/EP2007/008664
【国際公開番号】WO2008/052638
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】