説明

選択的S1P4−アゴニストとしてのインドール−アラニン誘導体

本発明は、1個またはそれ以上のS1P1、S1P2、S1P3またはS1P5受容体よりもS1P4受容体に対して少なくとも10倍選択性の、特に、遊離型または塩形態の構造(I)
【化1】


[式中、Rは、フェニルまたはナフチルであり、ここでフェニルは、1個または2個のハロゲン、C1−6アルキル、C1−6アルコキシまたはフェニルC1−6アルキルにより置換され;そして
は、水素またはC1−6アルキルである]
で示される新規のインドール−アラニン誘導体であるS1P4受容体アゴニスト、それらの製造方法、特に移植術におけるそれらの使用、およびそれらを含む医薬組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、有機化合物、それらの製造方法およびそれらを含む医薬組成物に関する。
【0002】
1つの局面において、本発明は、スフィンゴシン−1−リン酸(S1P4)受容体アゴニストである化合物であって、1個またはそれ以上のS1P1、S1P2、S1P3またはS1P5受容体よりもS1P4受容体に対して選択性を有する化合物を提供する。S1P受容体は、例えばWO03/061567に記載されている。好ましくは前記化合物は、上記の各S1P受容体よりもS1P4受容体に対して選択性である。前記化合物は、好ましくは、1個またはそれ以上の上記のS1P受容体よりもS1P4受容体に対して少なくとも10倍、より好ましくは20倍、最も好ましくは100倍の選択性を示す。選択性は、S1P4受容体に対する化合物のEC50とS1P1、S1P2、S1P3またはS1P5受容体に対する化合物のEC50の比を決定することにより測定される。EC50値は、例えば下記のGTPγ35S結合アッセイまたはカルシウム動員アッセイにより得られる。さらなる好ましい態様において、前記化合物はまた、GTPγ35S結合アッセイまたはカルシウム動員アッセイにおいて1μMまたはそれ以下のS1P4受容体に対するEC50値を示す。
【0003】
好ましい態様において、本発明は、遊離型または塩形態の式I
【化1】

[式中、
は、フェニルまたはナフチルであり、ここでフェニルは、1個または2個のハロゲン、C1−6アルキル、C1−6アルコキシまたはフェニルC1−6アルキルにより置換されており;そして
は、水素またはC1−6アルキルである]
で示される化合物に関する。
【0004】
全てのアルキル基は、直鎖または分岐鎖であり得る。C1−6アルキルは、好ましくはC1−4アルキルである。C1−6アルコキシは、好ましくはC1−4アルコキシである。
ハロゲンは、F、Cl、BrまたはIであり得る。
【0005】
は、好ましくは式Ia:
【化2】

[式中、R、RおよびRのうち1個または2個は、水素であり;そして
、RおよびRのうち1個または2個は、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6アルコキシまたはフェニルC1−6アルキルであるか;
または、RおよびR、またはRおよびRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、ベンゼン環を形成する]
で示される基である。
【0006】
式IおよびIaにおいて、以下の意味は、好ましくは、独立して、一緒にまたはいずれかの組合せもしくは下位の組合せである:
a)RまたはRの一方が、水素以外であり、より好ましくはRが水素以外であり、そしてRが水素である;
b)RまたはRが、ベンジル、エチル、ブトキシ、プロピル、イソプロピルまたはクロロであり、より好ましくはRが、上記の基のうちの1個であり、そしてRが水素である;
b)Rは、水素またはクロロであり、より好ましくは水素である;
c)Rは、水素またはメチルである。
【0007】
式Iの化合物は、無機酸または有機酸、例えば塩酸、臭化水素酸またはマレイン酸との酸付加塩も形成し得る。式Iの化合物は、カルボキシ基から誘導される陽イオン性塩、よりとりわけ、アルカリまたはアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム、カリウム、カルシウムまたはマグネシウム塩、およびアンモニアまたは有機アミンから誘導されるアンモニウム塩を形成し得る。
【0008】
式Iの化合物は、一級アミノ基を有する炭素原子でのキラル中心を含む。それ故に、式Iの化合物は、2個のエナンチオマー形態で存在する。本発明には、式Iのラセミ体および全てのエナンチオマー形態が包含されることが理解されるべきである。
【0009】
式Iの化合物は、それらの水和物の形態でも得られる。水和物はまた、本発明の一部である。
【0010】
本発明はまた、式II
【化3】

[式中、RおよびRは、上記に定義の通りであり、
は、C1−6アルキルまたはベンジルであり、そして
は、アミノ保護基である]
で示される化合物を脱保護すること、および要すれば式Iの化合物をその塩に変換することを含む、式Iの化合物の製造方法を提供する。
【0011】
前記方法は、常套方法を用いて実行可能である。好適なアミノ保護基の例は、例えば「Protective Groups in Organic Synthesis」T.W. Greene, J.Wiley & Sons NY、2nd ed., chapter 7, 1991、およびその中の文献に開示されており、例えばアシル、例えばtert.ブチルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、9−フルオレニルメトキシカルボニル、トリフルオロアセチル、トリメチルシリルエタンスルホニルなどである。脱保護は、Rがベンジルオキシカルボニルであり、およびRがベンジルであるとき、例えば加水分解により行われ得る。その反応は、そのとき、触媒としてパラジウム活性炭を用いて室温にてテトラヒドロフラン、塩化メチレンまたはジオキサンのような有機溶媒中で行われ得る。RがC1−6アルキルであるとき、その方法は、2段階で都合良く行われる。第一段階において、式IIの化合物のカルボキシ基を、室温にてテトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノールまたはエタノールのような有機溶媒中、例えばNaOH水溶液または塩基性イオン交換樹脂を用いた弱い加水分解により保護することができる。第二段階において、アミノ基を塩化メチレン中、例えばヨードトリメチルシランを用いて脱保護する。Rがベンジルオキシカルボニルであるとき、水素化分解を行うことができる。前記2段階方法は、RからRのうち1個または2個がハロゲンであるとき、好適に用いられる。
【0012】
塩の任意の形成は、常套的に行われ得る。
【0013】
式Iの化合物のラセミ混合物は、公知の方法で、例えば分解剤(resolving agent)として光学活性酸を用いて分解され得る。あるいは、純粋なエナンチオマー形態を、光学活性出発物質を利用して製造することができる。
【0014】
出発物質として用いる式IIの化合物を、例えば、式III
【化4】

[式中、RおよびRは上記に定義の通りである]
で示される化合物を、式IV
【化5】

[式中、RおよびRは、上記に定義の通りであり、そしてXは脱離基である]
で示される化合物と反応させることにより、製造することができる。
【0015】
反応を、常套方法を用いて行うことができる。例えば、反応を、−15℃から25℃の温度にて塩化メチレンのような有機溶媒中で行うことができる。脱離基Xは、例えばハロゲン、とりわけ塩素またはヒドロキシである。
【0016】
都合良くは、酸結合剤、例えばピリジンのような三級アミンが存在する。
【0017】
上記の方法の出発物質の製造が特に記載されない場合、これらは、公知の化合物とまたは本明細書に記載の方法と同様の方法で製造可能である。
【0018】
下記の実施例において、全ての温度は摂氏温度で記載され、かつ修正されていない。[α]20値も修正されていない。
【0019】
実施例1:
3−(4−(2−エチルフェニル)−2−カルボキサミド−インドール)−D−アラニン a)4−(2−エチルフェニル)−インドール−2−カルボン酸
11mlのトルエンおよび2mlの2M ソーダ中、0.28gの4−ブロモ−インドール−2−カルボン酸および0.069gのテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムの混合物に、3mlのエタノール中0.300gの2−エチルフェニルボロン酸の溶液を加える。この混合物を、16時間還流し、ろ過し、そして水相を2N HClで酸性化し、酢酸エチルで抽出する。有機相の濃縮により、次の段階用に十分純粋な、褐色がかった粉末として産物を得る(融点230−233℃)。
【0020】
b)3−(4−(2−エチルフェニル)−2−カルボキサミド−インドール)−N(2)−Z−D−アラニンメチルエステル
32mlのピリジン中、2.11gの4−(2−エチルフェニル)−インドール−2−カルボン酸の溶液に、1.41gのカルボニルジイミダゾールを加える。ガス発生の終了後、2.29gのメチル N(2)−Z−D−2,3−ジアミノプロピオネートを加え、そして混合物を室温で4日間撹拌する。溶媒を蒸発後、残渣を水/酢酸エチルで抽出し、有機相を乾燥させ、濃縮し、そして粗産物を酢酸イソプロピル/トルエン 4:1を用いてシリカのクロマトグラフィーを行い、黄色の非結晶性粉末として所望の化合物を得る。
【0021】
c)3−(4−(2−エチルフェニル)−2−カルボキサミド−インドール)−D−アラニン
2.03gの3−(4−(2−エチルフェニル)−2−カルボキサミド−インドール)−N(2)−Z−D−アラニンメチルエステル、4.1mlの2N NaOHおよび10mlのジオキサンの混合物を、室温で2時間撹拌する。常套方法での後処理後、得られる酸を22mlの塩化メチレン中に溶解し、1.03mlのヨードトリメチルシランで0℃にて処理する。50分間撹拌後、混合物を乾燥濃縮し、残渣を水中に取り込む。粗産物が析出し、ろ過により集め、水で洗浄し、そして0.2N NaOHの添加によりpHを6に調整の下、水/イソプロパノールから再結晶し、表題化合物を白色粉末として得る(融点、258−265℃)。
【0022】
式Iの化合物(ここで、RおよびRは表1に定義の通りである)は、適当な出発物質を用いて、上記の方法のうちの1方法に従い製造され得る。
【0023】
【表1】

【0024】
遊離型または薬学的に許容される塩形態の、S1P4受容体アゴニスト(以降、本発明の化合物として称される)に選択性である本明細書に開示される化合物、例えば式Iの化合物は、有用な薬理学的特性、例えばインビトロおよびインビボ試験で示される通りの、例えばリンパ球再循環調節特性を示し、それ故に、治療に用いられる。特に、本発明の化合物は、以下のアッセイにて証明されるように、ヒトS1P4(EDG6)受容体の機能的アゴニストとして有用である。
【0025】
S1P4化合物のインビトロ薬理作用を決定するためのアッセイ
a)ヒトS1P受容体をコードする発現ベクター
C末端でc−mycペプチドタグと融合したヒトS1P4遺伝子(HSEDG4;GenBank受託番号AJ000479)の発現ベクターを、Van Brocklynらの、2000, Blood 95(8), 2624に記載の通りに得る。S1P4−myc融合タンパク質をコードするDNAを、哺乳動物発現ベクターpRc/CMV(Invitrogen)中にクローニングし、それは安定した哺乳動物細胞を選択するためのG418耐性を有する。S1P4挿入物のDNA配列を、両方の鎖で決定する。HSEDG4のGenBank登録と比較してアミノ酸変化を導くであろうヌクレオチドの相違は、発見されていない。S1P4−myc cDNAを、HindIII/XbaIを用いてpRc/CMVベクター中に挿入する。
【0026】
下記のベクターを用いる。
ヒトS1P1およびS1P3配列の前のmyc配列を含むヒトS1P1(GenBankTM受託番号M31210)およびS1P3(GenBankTM受託番号X83864)cDNAを、pcDNA 3.1ベクター中に挿入する。前記ベクターを、構築物の正確性を確認するために配列決定して完了する。ヒトS1P2(GI:4090955、TREMBL:0195136)を、PCRに基づく方法によりクローン化する。肺cDNA(マラソンcDNA)を得る(BD Biosciences Chontech, Palo Alto, CA 94303, USA)。下記のオリゴヌクレオチド:フォワードプライマー:CAC CAT GGG CAG CTT GTA CTC GGA GTA CCT GAA CCC CAA CAA GGT CCA G(1から45、GenBankTM受託番号AF034780)およびリバースプライマー:5’−GAT TCA GAC CAC CGT GTT GCC CTC CAG(1062から1039、GenBankTM受託番号AF034780)を、PCR反応に用いる(翻訳開始配列(ATG)およびストップコドンに下線を引く)。PCRを、0.2−0.4μgのcDNA、1×反応緩衝液(10xPfuTurbo DNAポリメラーゼ緩衝液、Stratagene, La Jolla, CA 92037, USA)、0.5μMのプライマー、0.25mMのdNTPおよび2.5ユニットのPfuTurbo DNAポリメラーゼ(Stratagene)の存在下にて、第一段階を95℃で2分間、(95℃で30秒、60℃で30秒および72℃で90秒)を30サイクル、そして72℃で10分間の最終段階で行う。増幅した約1100bpの産物を、標準アガロースゲル電気泳動により分析する。pcDNA 3.1 Topo V(Invitrogen Corporation)中にPCR産物をクローニング後、異なる細菌コロニーからのDNA挿入を配列決定する。最終的な配列を、両方向で配列決定されている3個の独立したプラスミド調製物から組み立てる。
【0027】
ヒトS1P5(GI:30171332またはGenBankTM受託番号AY262689、TREMBL:Q9H228)を、PCRに基づく方法によりクローニングする。肺および脾臓cDNA(マラソンcDNA)を、BD Biosciences Chlontech社から入手する(BD Biosciences Chlontech, Palo Alto, CA 94303, USA);ゲノムDNAを、標準的方法を用いてHeLa細胞から単離する。下記のオリゴヌクレオチド:フォワードプラオマーCAC CAT GA GTC GGG GCT GCT GCG(−4から20、GenBankTM受託番号AY262689)およびリバースプライマー5‘−TCA GTC TGC AGC CGG TTC TGA TAC CAG AGT C(1197から1131、AY262689)を、PCR反応に用いる(翻訳開始配列(ATG)およびストップコドンに下線を引く)。PCRを、0.5μMのプライマー、0.25mMのdNTPおよび2.5ユニットのPfuTurbo DNAポリメラーゼ(Stratagene)の存在下にて、第一段階を95℃で2分間、(95℃で30秒、60℃で30秒および72℃で90秒)を30サイクル、そして72℃で10分間の最終段階で行う。増幅した約1100bpの産物を、標準アガロースゲル電気泳動により分析する。pcDNA 3.1 Topo V(Invitrogen Corporation)中にPCR産物をクローニング後、異なる細菌コロニーからのDNA挿入を配列決定する。最終的な配列を、両方向で配列決定されている3個の独立したプラスミド調製物から組み立てる。
【0028】
b)S1P4を安定に発現するCHO−K1細胞株の構築
c−myc標識したS1P4受容体を発現する安定な細胞株を構築するために、5μgのプラスミドpRc/CMV myc−S1P4を、プラスミドを1箇所で切断する、制限エンドヌクレアーゼPvuIを用いて切断する。その後、線状化プラスミドを終濃度0.3Mの酢酸ナトリウム、pH5.0および66%エタノールを用いて沈殿させる。遠心および洗浄後、DNAペレットを30μlの水に溶解する。トランスフェクションについては、CHO−K1(ATCC番号:CCL−61)細胞を、100mmの細胞培養ディッシュ(Falcon)に1ウェルあたり1x10細胞の細胞密度でトランスフェクションする前日に、10%FCS(ウシ胎仔血清)を含むMEMα培地(α修飾型最小必須培地)中に播種し、24時間37℃で5%CO中でインキュベートする。トランスフェクションの日に、5μgの線状化pRC/CMV myc−S1P4プラスミドを270μlのRPMI培地に加える。60μlのSuperFectトランスフェクション試薬(Qiagen)をDNA溶液に添加し、10秒間混合後、試料を10分間インキュベートし、複合体を形成させる。DNA−SuperFect複合体を、さらに3mlのRPMI/10%FCSを添加しながら混合し、その後、細胞の単層に移す。3時間インキュベート後、トランスフェクション培地を除去し、細胞をPBSで洗浄する。10%FCSを添加された新鮮なRPMI培地を加え、細胞を37℃および5%COで72時間インキュベートする。安定に形質転換されたクローンの選択を、500μg/mlのG418(Lifetechnologies)の添加後に行う。約12−14日後、細胞クローンを、それらの前方および横方向へ分散する特性に従い、FACStar Plus cell sorter(BectonDickinson)を用いて96ウェル細胞培養プレートの個々のウェル中に単一細胞を選別することにより得る。選別および選択法の後に増殖した個々のコロニーを増大させ、1個のクローンを、TaqMan定量PCR分析により決定されるS1P4 mRNA発現のレベルを基に最終的に選択する。
【0029】
c)細胞培養維持
親CHO−K1細胞を、10%FBSおよび10μg/mlゲンタマイシン(Lifetechnologies)を添加されたRPMI培地(Lifetechnologies)中で維持する。1個の最終的に選択されたクローンを含む、S1P4/mycをトランスフェクトしたCHO−K1細胞を、10%FBS、10μg/mlゲンタマイシンおよび0.5mg/ml G418(Lifetechnologies)を添加されたMEMα培地中で維持する。
【0030】
d)安定なCHOクローンにおけるS1P4転写レベルの決定
細胞からの全RNAを、RNeasy Miniキット(Qiagen)を利用して単離する。培養ディッシュ(1つには、35mmディッシュ、350μlの緩衝液を用い、Qiagenのプロトコルに従い調整した)中に直接(単層に増殖した)細胞の破壊後、溶解物をスピンカラムにピペットで採取り出し、21000×gで2分間遠心する。350μlの70%エタノールを貫流液(flow-through)に加え、ウェルを混合し、RNeasy miniカラムに適用し、そして10’000×gで15秒間遠心する。貫流液を捨て、700μlのRW1緩衝液(Qiagen)をRNeasyカラムに加え、15秒間遠心し、カラムを洗浄する。カラムを、500μlのRPE緩衝液(Qiagen)を加えてさらに2度洗浄し、そして10000×gで15秒間遠心する。RNAを、RNeasyカラムに直接30−50μlの無RNAse水を添加することにより溶出し、10’000×gで1分間遠心する。
【0031】
RNAを、QiagenのOmniscriptキット(Qiagen)を用いて逆転写する。約2μgのRNAを、2μlの10×緩衝液、2μlのdNTP混合物、1μlのRNase阻害剤(10ユニット/μl)、0.5μgのランダムヘキサマー、1μlのOmniscript逆転写酵素および無RNase水と共に混合して最終容量を20μlとし、そして37℃で60分間インキュベートし、さらに30分間42℃でインキュベートする。反応を、93℃で5分間で不活化し、氷上で冷却して、用いるまで−20℃で保存する。
【0032】
選択されたクローンにおけるS1P4 mRNAの相対的転写レベルを決定するために、リアルタイムPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)分析を行う。最適なプライマーおよびオプローブ濃度を、テンプレートとしてプラスミドを含むヒトS1P4を用いてPE(Perkin/Elmer)Biosystems社により提供される使用説明書に記載の通りに決定する。ヒトS1P4オリゴヌクレオチド、ならびにリアルタイムPCRに最適なそれらの濃度を、下記に記載する(HSEDG4;GenBank受託番号AJ000479に基づく):
【0033】
【表2】

【0034】
その後、第一鎖のcDNAを、ABI7700 TaqMan器(PE Biosystems)での定量PCRに用いる。各試料中に存在するRNAの量の内部対照として、18SリボソームRNAを、TaqMan Ribosomal RNA control試薬(PE Biosystems、P/N4308310、VIC標識プローブ)を用いて同チューブ中で、S1P4 PCR反応とリボソームRNA PCR反応を多重に行うことにより用いる。S1P4およびリボソームRNAについての2個の独立した増幅物の同じ効率は形式上測定されないが、異なる細胞クローンでのS1P4転写レベルの半定量測定は、機能分析にてさらに特徴付けられる細胞クローンの選択には十分である。
【0035】
e)膜の製造
膜タンパク質を、野生型CHO−K1およびヒトS1P4を発現するCHO細胞クローンから製造する。10−30mgの膜タンパク質を得るために、細胞を、細胞クローンあたり1個の大きな培養ディッシュ(500cm)80および90%コンフルエンスまで増殖させる。培養培地を除去し、0.1%の無脂肪酸ウシ血清アルブミン(BSA)およびプロテアーゼ阻害剤カクテル(50mlあたり1錠、Roche Diagnostics, Rotkreuz)を添加した20mlの冷HEPES 10mM(pH7.5)中に剥離することにより、細胞をディッシュから氷上に集める。細胞を、750×gで10分間4℃にて遠心し、10mlの冷膜緩衝液(20mM HEPES、pH7.4;100mM NaCl;10mM MgCl;1mM EDTA;0.1% BSAおよびプロテアーゼ阻害剤カクテル)中に再懸濁する。細胞懸濁物を、Polytronホモジナイザーを用いて25000rpmで各20秒間隔にて3回、氷上でホモジナイズする。ホモジネートを、26’900×gで30分間、4℃にて遠心し、膜タンパク質ペレットをボルテックスすることにより2mlの冷膜緩衝液中に再懸濁する。タンパク質濃度を、Bio Rad Protein Assayを用い、標準としてヒトIgGを用いて測定する。膜タンパク質懸濁物の容量を、2から3mgのタンパク質/mlの最終濃度になるように調整する。その後、溶液を氷上で25000rpmにて20秒間、再びホモジナイズ(Polytron)し、その後0.8−1mlの容量でエッペンドルフチューブ中に分注する。
【0036】
f)hS1P4を発現する細胞の活性測定:
f1)GTPγ35S結合アッセイ
GTPγS分析で試験すべきクローンの選択は、リアルタイムPCRアッセイに基づく。大量のヒトS1P4を発現するCHOクローンを、これらの実験に用いる。膜タンパク質を上記の通りに製造する。用いるGTPγ35S結合アッセイの基本的プロトコルは、最近の刊行物(Brinkmann et al. 2002, J.Biol. Chem, 277, 21453)に記載されており、下記の修飾を付す。S1Pを発現するCHOからの膜タンパク質へのGTPγ35Sの結合を特徴付けるために、WGAでコーティングされたPVTビーズ(SPA−ビーズ、Amersham Biosciences)を用いる。GTPγ35Sのβ線が、水溶液中で顕著な透過性を有するため、プレートを、非結合GTPγ35Sによる非特異的な効果を最小にするために遠心する。アッセイを、225μl/ウェルの最終容量で96−ウェルOptiplate(Packard、カタログ番号6005190)中で行う。短いホモジナイゼーションの後、膜タンパク質を、50mM HEPES、100mM NaCl、10mM MgCl、20μg/ml サポニン(Riedel-de-Haen:カタログ番号16109)、0.1%無脂肪BSA(Sigma カタログ番号A0281)、pH7.4中に、異なる濃度(25から150μg/mlの間)で再懸濁する。膜タンパク質を、1mg/ウェルのSPA−ビーズ、10μM GDP、異なる濃度のアゴニストと共に混合し、10−15分間RT(室温)でインキュベートする。GTPγ35S結合反応を、200pM GTPγ35S(Amersham、カタログ番号SJ1308、>1000Ci/mmol)の付加により開始する。前記Optiplateを密封し、一定に振とうしながら110−120分間RTでインキュベートする。その後、プレートを10分間2000rpmで遠心し、TopCount計器(Packard)で計測する。EC50値の計算を、Origin 7 RS2ソフトウェアパッケージ(Origin Lab Corporation, One Roundhouse Plaza, Northampton, MA 01060, USA)で利用可能な非線形回帰フィットプログラムを用いて行う。
【0037】
f2)カルシウム動員アッセイ
CHO細胞を、FCS添加αMEM中、黒色Costarプレート(96または384ウェル、それぞれ50’000細胞または12.500細胞)に播種し、COインキュベーター中で20−24時間37℃にて培養する。培養培地を除去後、細胞を2μM Fluo4AM(分子プローブ、カタログ番号F−1241;DMSO中1mg/mlの貯蔵溶液)、5mM プロベネシド(probenicid)を含むHBSS培地中で1時間37℃にてインキュベートし、HBSS緩衝液、2.5mM プロベネシドで洗浄し、そして同じ培地を重層する(96−ウェルプレートあたり75μl、384プレートあたり50μl)。プレートをFLIPRに移す。40秒間ベースラインを測定後、HBSS中のアゴニストを加え、蛍光を、3から5分間、2秒間隔で測定する。いくつかの場合に、細胞を、50ng/mlの百日咳毒素(Sigma、カタログ番号P2980)で5時間予め処理する。50μMおよび/または150μMで小胞体からのカルシウムの放出を阻害する(Ascher-Landsberg et al., 1999, Biochem. Biophys. Res. Commun. 264, 979)2−アミノエトキシジフェニルボレイト(2−APB、Calbiochem, Juro Supply, Bleicherstr. 11, Lucerne, Switzerland、カタログ番号100065)を、測定の20−40分前に、細胞培地に直接加える。EC50の計算を、Novartisから入手可能なOrigin 7 RS2ソフトウェアパッケージ(Origin Lab Corporation)で提供される非線形回帰フィットプログラムを用いて行う。
【0038】
S1P4アゴニストの特異性および選択性のインビトロ決定:
本出願に記載の化合物を、特異性、例えばS1P4 cDNAで形質転換する前に親細胞株が有する活性について、およびS1P1、S1P2、S1P3、およびS1P5で形質転換されたCHO細胞株の選択性について試験する。他のS1P受容体に関して安定な細胞株の作製を、上記の公開されたヒトcDNA配列を用いて、S1P4について記載の通りに行う。好ましくは、100×の選択性および特異性を有する化合物が選択される。例えば、S1P4に特異性および選択性の化合物は、野生型CHO細胞または他の4個のS1P受容体のいずれかを発現する細胞において測定されるよりも10倍、好ましくは100倍低い、S1P4で測定されたEC50(推定EC50)を有し得る。例えば、200nMのEC50がS1P4について測定されるとき、CHO細胞またはS1P1、2、3、5を発現するCHO細胞のEC50は、好ましくは≧20μMである。実施例1の化合物は、本アッセイにおいてS1P4について432nMのEC50を有する。
【0039】
CHO細胞または様々なS1P受容体を発現するCHO細胞における実施例2の化合物についてのEC50値(μM)を、下記の表2に示す:
【表3】

【0040】
本発明の化合物は、従って、リンパ球相互作用が介在する疾患または障害、例えば移植術において、細胞、組織または臓器の同種もしくは異種移植片の急性または慢性拒絶、または移植片機能の遅延、移植片対宿主疾患のようなもの、自己免疫疾患、例えばリウマチ性関節炎、全身性エリテマトーデス、橋本甲状腺炎、多発性硬化症、重症筋無力症、I型またはII型糖尿病、およびそれらの合併症、脈管炎、悪性貧血、シェーグレン症候群、ブドウ膜炎、乾癬、グレーブス眼症、円形脱毛症およびその他、アレルギー性疾患、例えば、アレルギー性喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎/結膜炎、アレルギー性接触性皮膚炎、所望により根底に異常反応を伴っていてもよい炎症疾患、例えば、炎症性腸疾患、クローン病または潰瘍性大腸炎、内因性喘息、炎症性肺損傷、炎症性肝臓損傷、炎症性糸球体損傷、アテローム性動脈硬化症、骨関節症、刺激性接触性皮膚炎およびさらなる湿疹性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、免疫学介在性の疾患の皮膚症状、炎症性眼疾患、角結膜炎、心筋炎または肝炎、虚血/再潅流傷害、例えば心筋梗塞、卒中、腸虚血、腎不全または出血性ショック、外傷性ショック、その他、癌、例えばT細胞リンパ腫またはT細胞白血病、感染症、例えば、毒素ショック(例えば超抗原誘発)、敗血症性ショック、成人呼吸窮迫症候群またはウイルス感染、例えばAIDS、ウイルス性肝炎、慢性細菌感染、または老人性認知症の処置および/または予防に有用である。細胞、組織または固形臓器移植の例には、例えば膵臓島、幹細胞、骨髄、角膜組織、神経組織、心臓、肺、複合心臓−肺、腎臓、肝臓、腸、膵臓、気管または食道が含まれる。
【0041】
上記使用のために、必要な投与量はもちろん、投与の形態、処置すべき特定の状態および望む効果に依存して変化するだろう。一般に、十分な結果が、体重1kgあたり約0.03から2.5mgの1日投与量で、全身的に得られることが示される。大型哺乳動物、例えばヒトへの指示される1日投与量は、約0.5mgから約100mgの範囲であり、簡便には、例えば、1日4回までの分割用量でまたは徐放形態で投与する。経口投与用の好適な単位投与形態は、約1から50mgの活性成分を含む。
【0042】
本発明の化合物は、任意の慣用の経路で、特に経腸的に、例えば経口で、例えば錠剤またはカプセルの形で、または非経腸的に、例えば、注射用溶液または懸濁液の形で、局所的に、例えばローション、ジェル、軟膏またはクリームの形で、または経鼻または坐薬形で投与できる。遊離型または薬学的に許容される塩形態の本発明の化合物を、少なくとも1個の薬学的に許容される担体または希釈剤と共に含む医薬組成物は、薬学的に許容される担体または希釈剤との混合による常套法で製造できる。
【0043】
本発明の化合物は、例えば上記の通り、遊離型または薬学的に許容される塩形で投与できる。このような塩は常套法で製造でき、遊離化合物と同程度の活性を示す。
【0044】
前記により、本発明はさらに下記を提供する:
1.1 処置を必要とする対象における、例えば上記のような、リンパ球が介在する障害または疾患を予防または処置する方法であって、該対象に有効量の本発明の化合物、例えば式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法;
【0045】
1.2 処置を必要とする対象における、例えば上記のような、急性または慢性移植片拒絶またはT細胞介在性炎症性疾患または自己免疫疾患を予防または処置する方法であって、該対象に有効量の本発明の化合物、例えば式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法;
【0046】
2. 例えば、上記の1.1または1.2に示された方法のいずれかにおいて、医薬としての使用のための遊離型または薬学的に許容される塩形態の本発明の化合物、例えば式Iの化合物。
【0047】
3. 遊離型または薬学的に許容される塩形態の本発明の化合物、例えば式Iの化合物をその薬学的に許容される希釈剤または担体と共に含む、例えば上記1.1または1.2に記載の方法のいずれかにおいて使用するための、医薬組成物。
【0048】
本発明の化合物、例えば式Iの化合物は、唯一の活性成分として、または、例えばアジュバントとして、他の薬剤、例えば同種または異種移植片急性または慢性拒絶、または炎症性もしくは自己免疫疾患の処置または予防のために、例えば免疫抑制剤または免疫調節剤または他の抗炎症剤と、または化学療法剤、例えば悪性細胞抗増殖性剤と組み合わせて投与され得る。例えば、本発明の化合物を、カルシニューリン阻害剤、例えばシクロスポリンAまたはFK506;mTOR阻害剤、例えばラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン、CCI779またはABT578;免疫抑制作用を有するアスコマイシン、例えばABT−281、ASM981など;コロチコステロイド;シクロホスファミド;アザチオプリン;メトトレキサート;レフルノミド;ミゾリビン;ミコフェノール酸;ミコフェノール酸モフェチル;15−デオキシスペルグアリンまたはその免疫抑制相同体、類似体または誘導体;免疫抑制性モノクローナル抗体、例えばMHC、CD2、CD3、CD4、CD7、CD8、CD25、CD28、CD40、CD45、CD58、CD80、CD86またはそれらのリガンドに対するモノクローナル抗体;他の免疫調節性化合物、例えば、CTLA4細胞外ドメインの少なくとも一部またはその変異体を有する、例えば非CTLA4タンパク質配列と結合した、CTLA4の細胞外ドメインの少なくとも一部またはその変異体を有する、組換え結合分子、例えば、CTLA4Ig(例えば、ATCC68629と称される)またはその変異体、例えば、LEA29Y;接着分子阻害剤、例えば、LFA−1アンタゴニスト、ICAM−1または−3アンタゴニスト、VCAM−4アンタゴニストまたはVLA−4アンタゴニスト;または化学療法剤、例えば、パクリタキセル、ゲムシタビン、シスプラチウム(cisplatinum)、ドキソルビシンまたは5−フルオロウラシルと組み合わせて使用できる。
【0049】
本発明の化合物、例えば式Iの化合物を、他の免疫抑制剤/免疫調節剤、抗炎症剤または化学療法剤と併用して投与するとき、併用投与される免疫抑制剤、免疫調節剤、抗炎症剤または化学療法性化合物の投与量は、用いる併用剤のタイプ、例えばそれがステロイドであるかまたはカルシニューリン阻害剤であるか、用いる特定の薬剤、処置すべき状態などに依存してもちろん変化するだろう。前記により、本発明はさらに別の局面を提供する:
【0050】
4. 治療的に有効な非毒性量の本発明の化合物、例えば式Iの化合物、および少なくとも第二の製剤物質、例えば上記の通りの、免疫抑制剤、免疫調節剤、抗炎症剤または化学治療薬などを、例えば同時または連続して併用投与することを含む、上記で定義の方法。
【0051】
5. a)本明細書に開示の通りの、遊離型または薬学的に許容される塩形態の、本発明の化合物、例えば式Iの化合物である第一剤、およびb)例えば、免疫抑制剤、免疫調節剤、抗炎症剤または化学療法剤などの少なくとも1個の併用剤を含む、薬学的組合せ剤、例えばキット。前記キットは、その投与のための取扱説明書を含んでいてよい。
【0052】
本明細書で用いる用語“併用投与”または“組合せ投与”などは、選択した治療剤を単独の患者に投与することを包含することを意味し、薬剤を必ずしも同じ投与経路でまたは同時に投与するものではない処置レジメンを含むことを意図する。
【0053】
本明細書で用いる用語“薬学的組合せ剤”は、2個以上の活性成分の混合または組合せによりもたらされる製品を意味し、活性成分の固定されたおよび固定されていない組合せの両方を含む。用語“固定された組合せ”は、活性成分、例えば本発明の化合物および併用剤を、患者に両方とも同時に1個の物または投与薬の形態で投与することを意味する。用語“固定されていない組合せ”は、活性成分、例えば本発明の化合物および併用剤を、患者に個別の物として、同時に、一緒にまたは時間的制限なしに連続して投与することを意味し、ここでかかる投与が、患者の体内で2個の化合物の治療的有効レベルを提供する。後者はまた、カクテル療法、例えば、3個またはそれ以上の活性成分の投与にも適用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊離型または薬学的に許容される塩形態の、S1P4受容体アゴニストである化合物であって、S1P4受容体に対する化合物のEC50とS1P1、S1P2、S1P3またはS1P5受容体に対する化合物のEC50の比により測定して、1個またはそれ以上のS1P1、S1P2、S1P3またはS1P5受容体よりもS1P4受容体に対して少なくとも10倍の選択性を有する化合物。
【請求項2】
遊離型、水和物または塩形態の、式I
【化1】

[式中、
は、フェニルまたはナフチルであり、ここでフェニルは、1個または2個のハロゲン、C1−6アルキル、C1−6アルコキシまたはフェニルC1−6アルキルにより置換されており;そして
は、水素またはC1−6アルキルである]
で示される化合物。
【請求項3】
3−(4−(2−エチルフェニル)−2−カルボキサミド−インドール)−アラニン、 3−(4−(2−ベンジル−フェニル)−2−カルボキサミド−インドール)−アラニン、3−(4−(ナフタレン−2−イル)−2−カルボキサミド−インドール)−アラニン、3−(4−(ナフタレン−1−イル)−2−カルボキサミド−インドール)−アラニン、3−(4−(2−ブトキシ−フェニル)−2−カルボキサミド−インドール)−アラニン、3−(4−(2−プロピル−フェニル)−2−カルボキサミド−インドール)−アラニン、3−(4−(2−イソプロピル−フェニル)−2−カルボキサミド−インドール)−アラニンおよび3−(4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−2−カルボキサミド−インドール)−アラニンから選択される、請求項1または2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
遊離型または薬学的に許容される塩形態の、3−(4−(2−エチルフェニル)−2−カルボキサミド−インドール)−D−アラニンである請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
医薬としての使用のための、遊離型または薬学的に許容される塩形態の請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
遊離型または薬学的に許容される塩形態の請求項1から4のいずれか一項に定義の化合物を、その薬学的に許容される希釈剤または担体と共に含む医薬組成物。
【請求項7】
リンパ球が介在する障害または疾患、急性または慢性移植片拒絶、T細胞介在性炎症性疾患または自己免疫疾患、糖尿病、アレルギー性疾患、心筋炎、肝炎、虚血/再潅流傷害、腎不全、出血性ショック、外傷性ショック、癌または感染症の処置または予防のための医薬の製造における、遊離型または薬学的に許容される塩形態の請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物、または請求項4に記載の医薬組成物の使用。
【請求項8】
遊離型または薬学的に許容される塩形態の請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物、ならびに免疫抑制剤、免疫調節剤、抗炎症剤および化学療法剤から選択されるさらなる薬剤を包含する薬学的組合せ剤。
【請求項9】
式II
【化2】

[式中、RおよびRは、請求項2に定義の通りであり、
は、C1−6アルキルまたはベンジルであり、
は、アミノ保護基である]
で示される化合物を脱保護すること、および所望により遊離型で得られる式Iの化合物を塩形態に変換すること、もしくはその逆を含む、請求項2に記載の化合物の製造方法。
【請求項10】
処置の必要な対象において、リンパ球が介在する障害または疾患、急性または慢性移植片拒絶、T細胞介在性炎症性疾患または自己免疫疾患、糖尿病、アレルギー性疾患、心筋炎、肝炎、虚血/再潅流傷害、腎不全、出血性ショック、外傷性ショック、癌または感染症の処置または予防のための方法であって、有効量の請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩を該対象に投与することを含む方法。

【公表番号】特表2007−518766(P2007−518766A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−550040(P2006−550040)
【出願日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【国際出願番号】PCT/EP2005/000541
【国際公開番号】WO2005/070886
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】