説明

避難誘導システムおよび誘導装置

【課題】災害発生等に際して被誘導者を所定の誘導路に沿って安全かつ確実に誘導することができるようにした避難誘導システムおよび誘導装置を提供する。
【解決手段】避難誘導路に沿って所定間隔で相互に通信線(60)で接続された複数の誘導装置(50)を配設し、各誘導装置(50)に、報知駆動指示により、被誘導者を誘導するための報知を行う発光部(54)と、避難誘導路の誘導方向後段の誘導装置(50)に対して報知駆動指示を通信線(60)を介して順次送信する制御部(56)とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、避難誘導システムおよび誘導装置に関し、特に、災害発生等に際して被誘導者を所定の誘導路に沿って安全かつ確実に誘導することができるようにした避難誘導システムおよび誘導装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、災害発生時に被誘導者を安全に案内する視覚障害者案内システムとしては、特許文献1に開示されたもの等が知られている。
【0003】
この特許文献1には、建物の避難通路の避難口100迄の間に、所定の間隔で、誘導灯1,2,3,・・及びスピーカー11,12,13,・・を取付け、又火災が発生し自火報盤装置20の接点がオンすると、該接点にて、避難口100迄の間に取り付けた誘導灯1,2,3,・・を避難口100に向かって順次所定の時間点灯することを繰り返すと共に、避難口100迄の間に取り付けたスピーカー11,12,13,・・より避難口100に向かって順次所定の時間誘導音を送出させることを繰り返す誘導灯点灯誘導音発生装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−135286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された誘導灯点灯誘導音発生装置においては、各誘導灯1,2,3,・・の点灯、誘導音発生制御を、1つの誘導灯点灯誘導音発生装置80からの指示により行っているため、各誘導灯1,2,3,・・と誘導灯点灯誘導音発生装置80との間の個別の配線が必要になり、また、誘導灯を増加すると、これに伴って誘導灯点灯誘導音発生装置80の構成を変更する必要が有るため、拡張性に問題があり、かつ高価になるという問題があった。
【0006】
そこで、この発明は、災害発生等に際して被誘導者を所定の誘導路に沿って安全かつ確実に誘導することができるようにするとともに、拡張性が高く、かつ安価に構成可能な避難誘導システムおよび誘導装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1の発明の避難誘導システムは、避難誘導路に沿って所定間隔で配置され、相互に通信線で接続された複数の誘導装置を具備し、前記誘導装置は、報知駆動指示の受信により、被誘導者を誘導するための報知を行う報知手段と、前記避難誘導路の誘導方向後段の誘導装置に対して前記報知駆動指示を前記通信線を介して順次送信する送信手段とを具備する。
【0008】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記報知手段は、前記避難誘導路の壁若しくは床に沿って所定間隔で配置され、所定の光を発生する光発生手段を含み、前記送信手段は、前記避難誘導路の誘導方向後段の誘導装置に対して前記光発生手段から光を発生するための駆動指示を前記通信線を介して送信する。
【0009】
また、請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記光発生手段は、前記誘導装置の配置位置に対応して異なる色の光を発生する。
【0010】
また、請求項4の発明の誘導装置は、避難誘導路に沿って所定間隔で配置され、相互に通信線で接続された誘導装置であって、報知駆動指示により駆動し、被誘導者を誘導するための報知を行う報知手段と、前記避難誘導路の誘導方向後段の誘導装置に対して前記報知駆動指示を前記通信線を介して順次送信する送信手段とを具備する。
【0011】
また、請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記避難誘導路の壁若しくは床に沿って所定間隔で配置され、所定の光を発生する光発生手段を含み、前記送信手段は、前記避難誘導路の誘導方向後段の誘導装置に対して前記光発生手段から光を発生するための駆動指示を前記通信線を介して送信する。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、避難誘導路に沿って配置された複数の誘導装置の報知手段が、被誘導者を誘導するための報知を順次行うので、災害発生等に際して、被誘導者を所定の誘導路に沿って安全かつ確実に誘導することができ、また、複数の誘導装置を統括制御する制御装置は不要になるので、拡張性が高く、かつ安価に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明が適用される避難誘導システムにおける避難誘導路の一例を示す図である。
【図2】図1に示した避難誘導システムの避難誘導路決定部で決定される他の避難誘導路の一例を示したものである。
【図3】図1および図2に示した誘導装置を用いた避難誘導システムの一実施例を示すブロック図である。
【図4】図3に示した誘導装置の配置例を示す図である。
【図5】図3に示した誘導装置の制御部の動作を示すフローチャートである。
【図6】図1および図2に示した誘導装置を用いた避難誘導システムの他の実施例を示すブロック図である。
【図7】図6に示した誘導装置の制御部の動作を示すフローチャートである。
【図8】図6に示した携帯端末制御部の動作を示すフローチャートである。
【図9】図1および図2に示した誘導装置を用いた避難誘導システムの更に他の実施例を示すブロック図である。
【図10】図9に示した誘導装置の配置例を示す図である。
【図11】図9に示す携帯端末の制御部の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明に係わる避難誘導システムおよび誘導装置の実施例を添付図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、この発明が適用される避難誘導システムにおける避難誘導路の一例を示す図である。
【0016】
図1に示す避難誘導システムは、例えば、大規模店舗、病院、各種施設等に適用されるもので、誘導エリア10内で火災が発生した場合に、この火災発生箇所20を特定して、この特定した火災発生箇所20を避けるようにした避難誘導路を設定して被誘導者30をこの避難誘導路に沿って非常口40まで誘導する。
【0017】
この避難誘導システムにおいては、被誘導者30を所定の避難誘導路に沿って非常口40まで誘導するために、誘導エリア10内の通路に沿って複数の誘導装置50を配設するとともに、該複数の誘導装置50を通信線60を介して相互に接続し、この通信線60に、火災発生箇所特定部71および避難誘導路決定部72を有する制御装置70を接続して構成される。
【0018】
ここで、複数の誘導装置50は、後に詳細を示すが、誘導エリア10内の通路の床面、側壁、側壁に設けらた手摺等に所定間隔で配設され、振動、光等の発生により被誘導者30を所定の避難誘導路に沿って非常口40まで誘導するために用いられる。
【0019】
制御部70に設けられる火災発生箇所特定部71は、図示しない周知の火災検知システム等から送られた火災発生情報に基づき火災発生箇所20を特定する。
【0020】
避難誘導路決定部72は、例えば、誘導エリア10内の通路に関する地図情報等を保持しており、火災発生箇所特定部71で特定された火災発生箇所20を避けて被誘導者を安全に非常口40まで誘導することができる避難誘導路を決定する。
【0021】
例えば、図1においては、複数のブロックAからGの間に被誘導者を誘導可能な通路が設けられている誘導エリア10を想定しており、この誘導エリア10内のブロックAの下右隅で発生した火災発生箇所20が火災発生箇所特定部71で特定され、被誘導者30がブロックEとブロックGの間の通路にいることが検知されたとすると、避難誘導路決定部72は、この被誘導者30を、火災発生箇所20を避けて安全に非常口40まで誘導することができる図1で黒で塗り潰した一連の誘導装置50を辿る避難誘導路を決定する。
【0022】
図2は、避難誘導路決定部72で決定される他の避難誘導路の一例を示したものである。
【0023】
図2においては、この誘導エリア10内のブロックAの下右隅の火災発生箇所20が火災発生箇所特定部71で特定され、被誘導者30がブロックDとブロックEの間の通路にいることが検知された場合に、避難誘導路決定部72で決定される避難誘導路の一例を示している。この場合、被誘導者30がブロックA側に向かう通路は、火災発生箇所20に近づくので、被誘導者30にとって危険が伴うので、避難誘導路決定部72は、火災発生箇所20を避けて、ブロックEとブロックFの間の通路を迂回して通る図1で黒で塗り潰した一連の誘導装置50を辿る避難誘導路を決定する。
【0024】
そして、制御装置70の避難誘導路決定部72は、決定した避難誘導路に沿って被誘導者30を導くための誘導情報を各誘導装置50に信号線を介して送信する。
【0025】
図3は、図1および図2に示した誘導装置50を用いた避難誘導システムの一実施例を示すブロック図である。
【0026】
図3に示す避難誘導システムにおいて、誘導装置50−1、50−2、50−3は、図4に示すように、通路の側壁80に沿って設けられた手摺90に所定間隔で埋め込まれて配設される。
【0027】
誘導装置50−1、50−2、50−3は、それぞれ通信線60で相互に接続され、被誘導者30に感知可能な所定の振動を発生する振動発生部51、被誘導者30を検知する被誘導者検知部52、被誘導者検知部52による被誘導者30の検知出力に基づき該被誘導者30の誘導方向前の誘導装置50に通信線60を介して振動指示を送信するとともに、該被誘導者30の誘導方向後の誘導装置50の制御装置53から通信線60を介して受信した振動指示に基づき振動発生部52から振動を発生するように制御する制御部53を具備する。
【0028】
ここで、被誘導者検知部52は、被誘導者30が該当誘導装置50が埋め込まれた手摺90に触れたことを抵抗若しくは静電容量の変化に基づき検知する周知のタッチセンサを用いて構成することができる。
【0029】
例えば、被誘導者30が手摺90に触れたことを誘導装置50−2の被誘導者検知部52が検知すると、その検知出力は、誘導装置50−2の制御部53に入力される。
【0030】
誘導装置50−2の制御部53は、被誘導者検知部52から被誘導者30の検知出力を入力すると、図1および図2に示した制御装置70から通信線60を介して通知された誘導情報に基づき被誘導者30の誘導方向前の誘導装置50は、誘導装置50−1か、誘導装置50−3かを判別する。
【0031】
ここで、被誘導者30の誘導方向前の誘導装置50が誘導装置50−1であると判別された場合は、誘導装置50−2の制御部53から誘導装置50−1の制御部53へ通信線60を介して誘導装置50−1の振動発生部51から振動を発生するための振動指示を送信する。
【0032】
この振動指示を受信した誘導装置50−1の制御装置53は、誘導装置50−1の振動発生部51から振動を発生するように制御する。
【0033】
図5は、図3に示した誘導装置50の制御部53の動作をフローチャートで示したものである。
【0034】
図5において、誘導装置50の制御部53は、まず、誘導方向後の誘導装置50の制御部53から通信線60を介して振動発生部51に対する振動指示を受信したかを調べる(ステップ501)。
【0035】
ここで、振動指示を受信している場合は(ステップ501でYES)、振動発生部51を制御して振動発生部51から振動を発生させる(ステップ502)。
【0036】
ステップ501で振動指示を受信していないと判断した場合は(ステップ501でNO)、次に、被誘導者検知部52で被誘導者30を検知したかを調べる(ステップ503)。ここで、被誘導者30を検知していない場合は(ステップ503でNO)、ステップ501に戻るが、被誘導者30を検知した場合は(ステップ503でYES)、制御部70の避難誘導路決定部72から誘導情報を取得して(ステップ504)、誘導方向の判別を行う(ステップ505)。
【0037】
そして、この誘導方向の判別結果に基づき誘導方向前の誘導装置50へ振動指示を送信し(ステップ506)、その後、時装置の振動発生部51から発生した振動を停止して(ステップ507)、この処理を終了する。なお、図5に示したフローチャートの処理は、所定の時間間隔で繰り返し実行される。
【0038】
このような構成によると、被誘導者30は、手摺90に触れるだけで、移動方向前の誘導装置50の振動発生部51から順次振動が発生され、また、被誘導者30が通過した誘導装置50の振動発生部51から発生される振動は順次停止されるので、被誘導者30は誘導装置50から発生される振動を頼りにするだけで避難誘導路に沿って移動することが可能になる。
【0039】
この場合、被誘導者30は、手摺90に埋め込まれた誘導装置50の振動発生部51から発生された振動を頼りに移動するので、例えば、視覚障害者等も安全に誘導することができ、また、火災の煙等で視界が悪い場合には、視覚健常者を誘導する場合にも有効である。
【実施例2】
【0040】
図6は、図1および図2に示した誘導装置50を用いた避難誘導システムの他の実施例を示すブロック図である。
【0041】
図6に示す避難誘導システムにおいて、誘導装置50は、被誘導者30が携帯する携帯端末100との通信に基づき被誘導者30を検出し、誘導装置50の発光部54からの発光および携帯端末100からの音声案内を利用して被誘導者を避難誘導路に沿って非常口40まで誘導する。
【0042】
図6に示す誘導装置50−1、50−2、50−3は、通路の床若しくは側壁に所定間隔で埋め込まれて配設される。
【0043】
図6に示す誘導装置50−1、50−2、50−3は、それぞれ通信線60で相互に接続され、被誘導者30に感知可能な所定の光を発生する発光部54、被誘導者30が携帯する携帯端末100と通信する通信部55、通信部55による通信結果に基づく被誘導者30の検知出力に基づき該被誘導者30の誘導方向前の誘導装置50に通信線60を介して発光指示を送信するとともに、該被誘導者30の誘導方向後の誘導装置50の制御装置56から通信線60を介して受信した発光指示に基づき発光部54から所定の光を発光するように制御する制御部56を具備して構成される。
【0044】
ここで、通信部55は、被誘導者30が携帯する携帯端末100と光または電波を用いた近距離通信により、被誘導者30の検知を行うとともに、被誘導者30が携帯する携帯端末100に対して被誘導者30を誘導するための情報を送信する。
【0045】
なお、通信部55は、携帯端末100に内蔵されたRFタグとの通信により被誘導者を検知するようにしてもよい。
【0046】
図6において、誘導装置50−2の通信部55が、被誘導者30が携帯する携帯端末100との通信により被誘導者30を検知すると、誘導装置50−2の制御部56は、図1および図2に示した制御装置70から通信線60を介して通知された誘導情報に基づき被誘導者30の誘導方向前の誘導装置50−1を判別し、誘導装置50−1の制御部56へ通信線60を介して誘導装置50−1の発光部54から所定の光を発光するための発光指示を送信するとともに、通信部55から被誘導者30が携帯する携帯端末100に対して被誘導者30を誘導するための音声案内情報を送信する。
【0047】
誘導装置50−2から発光指示を受信した誘導装置50−1の制御装置56は、誘導装置50−1の発光部54から所定の光を発光するように制御する。
【0048】
被誘導者30が携帯する携帯端末100は、誘導装置50の通信部55と通信する通信部101、被誘導者30を誘導するための音声案内を行う音声案内部102、通信部101による誘導装置50との通信により取得した音声案内情報を解析して被誘導者30を誘導するための音声案内を行うように音声案内部102を制御する制御部103を具備して構成される。
【0049】
図7は、図6に示した誘導装置50の制御部56の動作をフローチャートで示したものである。
【0050】
図7において、誘導装置50の制御部56は、まず、誘導方向後の誘導装置50の制御部56から通信線60を介して発光部54に対する発光指示を受信したかを調べる(ステップ701)。
【0051】
ここで、発光指示を受信している場合は(ステップ701でYES)、発光部54を制御して発光部54から所定の光を発光させる(ステップ702)。
【0052】
ステップ701で発光指示を受信していないと判断した場合は(ステップ701でNO)、次に、通信部55による携帯端末100との通信により被誘導者30を検知したかを調べる(ステップ703)。ここで、被誘導者30を検知していない場合は(ステップ703でNO)、ステップ701に戻る。
【0053】
また、ステップ703で、被誘導者30を検知した場合は(ステップ703でYES)、制御部70の避難誘導路決定部72から誘導情報を取得して(ステップ704)、誘導方向の判別を行う(ステップ705)。
【0054】
そして、この誘導方向の判別結果に基づき誘導方向前の誘導装置50へ発光指示を送信するとともに(ステップ706)、通信部55から被誘導者30が携帯する携帯端末100に対して被誘導者30を誘導するための音声案内情報を送信し(ステップ707)、その後、発光部54からの発光を停止し(ステップ708)、この処理を終了する。なお、図7に示したフローチャートの処理は、所定の時間間隔で繰り返し実行される。
【0055】
図8は、図6に示した携帯端末100の制御部103の動作をフローチャートで示したものである。
【0056】
図8において、携帯端末100の制御部103は、通信部101で誘導装置50から音声案内情報を受信したかを調べる(ステップ801)。
【0057】
ここで、音声案内情報を受信していない場合は(ステップ801でNO)、ステップ801に戻るが、音声案内情報を受信した場合は(ステップ801でYES)、受信した音声案内情報の解析を行い(ステップ802)、この解析結果に基づき音声案内部102を制御して被誘導者30を避難誘導路に沿って誘導するための音声案内を開始し(ステップ803)、この処理を終了する。この図8に示したフローチャートの処理は、所定の時間間隔で繰り返し実行される。
【0058】
このような構成によると、誘導装置50の発光部54から順次発光される光を頼りに被誘導者30を避難誘導路に沿って安全に誘導することができ、また、被誘導者30の携帯する携帯端末100から被誘導者30を避難誘導路に沿って誘導するための音声案内が行われるので、視覚障害者等も有効かつ安全に避難誘導路に沿って誘導することが可能になる。
【0059】
なお、上記構成において、誘導装置50の発光部54から発光される光の色を誘導装置50の配設場所に対応して変化させてもよい。例えば、避難誘導路上の通常の位置にある誘導装置50は、発光部54から発光を頼りに進めを意味する青色の点灯を行い、避難誘導路上の分岐点にある誘導装置50は、注意を意味する黄色の点灯を行い、避難口の前の誘導装置50は、避難口を示す赤色の点灯を行う。
【実施例3】
【0060】
図9は、図1および図2に示した誘導装置50を用いた避難誘導システムの更に他の実施例を示すブロック図である。
【0061】
図9に示す避難誘導システムは、図6に示した避難誘導システムと同様に誘導装置50から光により被誘導者30に対して誘導に必要な報知を行うが、光を認識でない視覚障害者等にとっては、誘導装置50からの光の認識できないので、例えば、誘導装置50の配設場所に対応して誘導装置50から発光される光の色を変化させても視覚障害者等を安全に誘導することはできない。
【0062】
そこで、この実施例においては、被誘導者30が携帯する携帯端末(視覚障害者案内装置)100に、誘導装置50から発光される光の色を識別する色識別機能を持たせ、この色識別に基づき被誘導者30を誘導するに有用な情報を音声案内するように構成される。 なお、誘導装置50(50−1、50−2、50−3)の構成は、発光部57が、誘導装置50の配設箇所に応じて異なる色の光、具体的には、避難誘導路上の通常の位置にある誘導装置50は青色、避難誘導路上の分岐点にある誘導装置50は黄色、避難口の前の誘導装置50は赤色の点灯を行うようにした点、受光部58は、携帯端末100の発光部104から発光された光を受光して被誘導者30を検出するようにした点、制御部59は、音声案内情報の送信の制御を行う代わりに発光部57から発光される光の色を切り換える点が異なるだけで、図6に示した誘導装置50(50−1、50−2、50−3)と同一の構成を有する。
【0063】
また、携帯端末100は、誘導装置50に対して所定の光を発光する発光部104、誘導装置50の発光部57から発光された光を受光する受光部105、受光部105で受光した光の色を検出して該色に対応する音声案内を音声案内部106から行うように音声案内部106を制御する制御部107を具備する。
【0064】
図9に示す誘導装置50は、図10に示すように、ブロックH、I、J、Kの間の通路の側壁に所定間隔で埋め込まれて配設される。
【0065】
図9において、誘導装置50−2の受光部58が、被誘導者30が携帯する携帯端末100の発光部104から発光された光を受光すると、誘導装置50−2の制御部59は、図1および図2に示した制御装置70から通信線60を介して通知された誘導情報に基づき被誘導者30の誘導方向前の誘導装置50−1を判別し、誘導装置50−1の制御部59へ通信線60を介して誘導装置50−1の発光部54から所定の光を発光するための発光指示を送信する。
【0066】
誘導装置50−2から発光指示を受信した誘導装置50−1の制御装置59は、誘導装置50−1の発光部57から所定の光を発光するように制御する。この場合、発光部57から発光される色は、誘導装置50の配設位置に対応して、青色、黄色、赤色のいずれかになる。
【0067】
すなわち、図10にハッチングで付して示した避難誘導路の通常の位置に位置する誘導装置50aの発光部57は青色の光を発光し、クロスハッチングを付して示した避難誘導路の分岐点に位置する誘導装置50bの発光部57は黄色の光を発光し、網点を付して示した避難誘導路の非常口40の前に位置する誘導装置50cの発光部57は黄色の光を発光する。
【0068】
発光部57から発光された光は、携帯端末100の受光部105で受光され、この受光部105で受光された光の色は制御部107で識別され、制御部107は、この識別した色に対応する音声案内を音声案内部106から行うように音声案内部106を制御する。
【0069】
例えば、制御部107で識別した色が青色である場合は、「前方の点灯している光の方向に進んで下さい」という音声案内を行い、黄色である場合は、「分岐点ですので前方の点灯している光の方向に注意して進んで下さい」という音声案内を行い、赤色である場合は、「非常口の前ですので非常口から脱出して下さい」という音声案内を行うように制御部107は音声案内部106を制御する。
【0070】
図11は、図9に示す携帯端末100の制御部107で動作をフローチャートで示したものである。
【0071】
携帯端末100の制御部107は、まず、誘導装置50の発光部57から発光された光(色信号)を受光部105で受光したかを調べ(ステップ1101)、色信号を受光していない場合は(ステップ1101でNO)、ステップ1001に戻るが、色信号を受光したと判断した場合は(ステップ1101でYES)、受光した色信号の色識別を行う(ステップ1102)。
【0072】
この色識別により、受光した色信号の色が青色である場合は(ステップ1103でYES)、音声案内部106を制御して前方の点灯している光の方向に進めの音声案内を行い(ステップ1104)、黄色である場合は(ステップ1105でYES)、音声案内部106を制御して前方の点灯している光の方向に注意して進めの音声案内を行い(ステップ1106)、赤色である場合は(ステップ1107でYES)、非常口の音声案内を行う(ステップ1108)。
【0073】
このような構成によると、誘導装置50の発光部57から発光される光の色を識別できない視覚障害者等も安全に避難誘導路に沿って誘導することができる。
【0074】
なお、上記実施例においては火災が発生した場合の非常口までの避難誘導について説明したが他の災害が発生した場合における避難誘導にも同様に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0075】
この発明は、大規模店舗内、病院内、空港内、各種展示会場内等で災害が発生した場合の避難誘導に利用可能である。この発明によれば、避難誘導路に沿って所定間隔で配置され、相互に通信線で接続された複数の誘導装置を具備し、誘導装置は、報知駆動指示により駆動し、被誘導者を誘導するための報知を行う報知手段と、避難誘導路の誘導方向後段の誘導装置に対して上記報知駆動指示を通信線を介して順次送信する送信手段とを具備して構成したので、非常に安価な構成で視覚障害者等を安全かつ適切に避難誘導することが可能になる。
【符号の説明】
【0076】
10 誘導エリア
20 火災発生箇所
30 被誘導者
40 非常口
50、50−1、50−2、50−3 誘導装置
51 振動発生部
52 被誘導者検知部
53 制御部
54 発光部
55 通信部
56 制御部
57 発光部
58 受光部
59 制御部
60 通信線
70 制御装置
71 火災発生箇所特定部
72 避難誘導路決定部
80 側壁
90 手摺
100 携帯端末(視覚障害者案内装置)
101 通信部
102 音声案内部
103 制御部
104 発光部
105 受光部
107 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
避難誘導路に沿って所定間隔で配置され、相互に通信線で接続された複数の誘導装置
を具備し、
前記誘導装置は、
報知駆動指示の受信により、被誘導者を誘導するための報知を行う報知手段と、
前記避難誘導路の誘導方向後段の誘導装置に対して前記報知駆動指示を前記通信線を介して順次送信する送信手段と
を具備する避難誘導システム。
【請求項2】
前記報知手段は、
前記避難誘導路の壁若しくは床に沿って所定間隔で配置され、所定の光を発生する光発生手段
を含み、
前記送信手段は、
前記避難誘導路の誘導方向後段の誘導装置に対して前記光発生手段から光を発生するための駆動指示を前記通信線を介して送信する請求項1記載の避難誘導システム。
【請求項3】
前記光発生手段は、
前記誘導装置の配置位置に対応して異なる色の光を発生する請求項2記載の避難誘導システム。
【請求項4】
避難誘導路に沿って所定間隔で配置され、相互に通信線で接続された誘導装置であって、
報知駆動指示により駆動し、被誘導者を誘導するための報知を行う報知手段と、
前記避難誘導路の誘導方向後段の誘導装置に対して前記報知駆動指示を前記通信線を介して順次送信する送信手段と
を具備する誘導装置。
【請求項5】
前記報知手段は、
前記避難誘導路の壁若しくは床に沿って所定間隔で配置され、所定の光を発生する光発生手段
を含み、
前記送信手段は、
前記避難誘導路の誘導方向後段の誘導装置に対して前記光発生手段から光を発生するための駆動指示を前記通信線を介して送信する請求項4記載の誘導装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−154706(P2011−154706A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54933(P2011−54933)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【分割の表示】特願2007−62537(P2007−62537)の分割
【原出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【出願人】(503158475)株式会社ティーエヌケー (14)
【Fターム(参考)】