避震滑動基礎構法及び装置
【課題】この発明は、建物を滑動可能な本基礎上へ設置し、地震の震動が過大になった場合(例えば震度6以上の場合)には、本基礎が滑動することにより、地震のエネルギーを緩和させ、建物の倒壊を防止することを目的としたものである。
【解決手段】この発明は、建物建設用地に地盤を設けた後、地盤上へ型枠を設けると共に配筋し、ついでコンクリートを打設して、周側壁及び受基礎を設け、該受基礎上を平面処理し、該平面上へ下部の滑動板を固定し、前記下部の滑動板上へ上部の滑動板を重ねて滑動層を形成し、前記滑動層上へ、型枠と、配筋を設けた後、コンクリートを打設して所定形状の本基礎を形成し、前記本基礎と受基礎の間の受基礎上へ滑動制御面を設け、前記本基礎上へ建物を構築することを特徴とした避震滑動基礎構法により、目的を達成した。
【解決手段】この発明は、建物建設用地に地盤を設けた後、地盤上へ型枠を設けると共に配筋し、ついでコンクリートを打設して、周側壁及び受基礎を設け、該受基礎上を平面処理し、該平面上へ下部の滑動板を固定し、前記下部の滑動板上へ上部の滑動板を重ねて滑動層を形成し、前記滑動層上へ、型枠と、配筋を設けた後、コンクリートを打設して所定形状の本基礎を形成し、前記本基礎と受基礎の間の受基礎上へ滑動制御面を設け、前記本基礎上へ建物を構築することを特徴とした避震滑動基礎構法により、目的を達成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地震に際し、構造物の震動を緩和し、構造物の破壊を可及的に防止することを目的とした避震滑動基礎構法及び装置に関する。またこの構法による装置は強風に際して、滑動を阻止することができる。
【背景技術】
【0002】
従来耐震又は免震構造体としては、構造物と支持基礎との間に震動吸収構造物(例えば補強されたゴム材、又はスプリングその他)を介装した耐震構造が知られている。
【0003】
また出願人は先に上部本基礎と、下部受基礎の間へ上下滑動板を介装した避震滑動基礎構造を提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−257080号公報
【特許文献2】実用新案登録第3111620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の構造物は大地震によって破壊しない堅固な基礎を地盤上に構築し、該基礎上へ、大地震によっても破壊しない構造物を構築し、前記基礎と前記構造物とを堅固に連結する構法を採用していた。従って大地震(震度6強)においては、前記基礎と地盤と、構造物とは一体的に震動していたので、構造物も震度6強で震動し、構造物は破壊を免れても、構造物内の家具その他は、震度6強に対抗し切れず破壊し、多大の損害を受けている問題点があった。前記のように耐震構造でない一般家屋は、震度5以上の震動に際し、多大の損害(倒壊)を受けている。
【0006】
また従来地上に載置しただけの犬小屋又は物置小屋などは、震度6強の大地震に際し、小屋の位置の移動は認められるが、小屋自体の破損は皆無であった。従来古い民家又は社、寺等の大型家屋の伝統的工法においては、建物の基礎は大きな自然石を据えて、その自然石の上に柱の下端面を当接支持しただけの基礎構造であった。従って大地震に際して、地盤は震度6強の大震動を生じても、柱に支持された建物全体は、前記自然石と柱下端面とによって震動の縁が切れている為に、震度5弱程度の震動に減衰し、建物全体は殆ど損害を受けない事実があった。
【0007】
従来公然と推進されている地震対策としては次の3つが知られているが、夫々特徴と問題点がある。
【0008】
(1)耐震構法
この構法は、現行の主要な地震対策として実施されているものであり、建造物に一定量の筋違又は合板により補強された耐力壁を確保して建造を剛強にし、震度6強の地震に耐え得るようにしたものである。然しこの構法では、震動が緩和されないので、屋内事故や恐怖感は軽減されない。また、建造物の窓等の開口部が制限されるので、居住性も若干拘束される。但し、既設建造物の耐震補強はこの構法に準じて施工されている。
【0009】
(2)免震構法
この構法は、建造物の構造体と基礎との間に設けられた免震装置により、地震動を吸収して建造物の震動を軽減するものであり、位置の自己復元機能もあるが、この装置の耐久性と維持管理に問題があると共に、工期も長く工事費も高価となる。従って、住宅等比較的低価格の建造物には適されていない。
【0010】
(3)制震構造
この構造は、建造物の構造体の要所に防震用金具を取り付けるもので、その弾力により構造体を柔軟にし、震度6強の地震に耐え得るようにしたものであると共に、震動も緩和されるので、屋内事故も抑止される。然し、これには用具の耐久性と維持管理に問題があるが、住宅等の建造物には対応可能である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の概要を説明する。従来から基礎は地盤に固着し、一体として構築されてきた。これを上部の本基礎と、下部の受基礎に分離してその間に滑動層を設けた点が従来知られていない新規な基礎である。前記滑動層とは、本基礎の下部に固定した上部滑動板と、受基礎の上面に固定された下部滑動板により構成されており、その接触面における滑動により地震動を緩和するものである。また滑動板には、その耐久性、強度及び滑り性能が実証されている陶板、硝子板及びステンレス鋼板を素材とした成型品を用いる。これらの摩擦係数は、乾燥時と吸湿時で異なる。この構法は次の4つに集約される。
【0012】
(1)避震滑動基礎構法
この構法を、住宅を主目的にして用いた場合には、基礎の高さ(1階床高)を地上約50cmと想定する。この建造物は、木造、鉄骨造、RC造、組積造の各種があり、地震の加速度を150ガルに緩和することができる。洪水の床下浸水は被害皆無であり、台風などの時に風速30m以上と予告された場合のみ滑動阻止手段を行う。前記基礎を蓄熱体として使用することができる。
【0013】
(2)避震滑動床板構法
いわゆる新設及び既設の建造物の床面の積載物及び設置物に対する防震に用い、地震の加速度を150ガルに緩和することができる。またこの構法は、展示台、陳列台、貨物台、医療機器台、機械設備台及び操作室などに有効である。
【0014】
(3)避震湛水滑動基礎構法
一階床面の使用を主要目的とするので、床高を低くするとともに、床面振動の緩和軽減を必要とする場合、建造物の基礎外周部の制動溝に湛水して対処するものである。この構法によれば、湛水の潤滑性により、滑動層の摩擦限界が低下し、地震加速度を120ガルに緩和する。前記湛水の水位変化は、通水管により緩和することができる。従って、店舗、工場、倉庫その他の人及び車の出入りする施設に好適である。
【0015】
(4)避震貯水滑動基礎構法
現在、大規模の重量建造物は、基礎を地中深く剛強な基礎を構築することが主流であるが、本構法は、建造物の周囲を貯水池として本構法の基礎を構築するものであるから、恰も水に浮かぶ船が地震の影響を受けないと同様になり、水の浮力により重量が軽減された上にその潤滑により、滑動層の摩擦限界が低下するので、地震加速度が100ガル程度となり、建造物及び建造物内の物品は損壊しない。
【0016】
前記における周辺の水は、雑排水に利用されるとともに、防火用水、冷却用水、雑用水として活用することができるとともに、貯水池とすれば庭としての景観を保つこともできる。
【0017】
(5)地震に対する緩和は次のようになる。
【0018】
(イ)地震発生→摩擦限界を超えると滑動開始→摩擦抵抗により制動→停止となり、最大150ガル程度に止まる。
【0019】
(ロ)地震発生→水により摩擦限界低下→滑動開始→徐々に制動→100ガル程度になり、物品の破損などは大幅に阻止される。
【0020】
前記(1)〜(5)のように、この発明によれば、地震加速度の著しい低下により地震被害を大幅に低減させることができるので、いわゆる震度6強以上というような強震が震度5弱以下という程度となり、被害が殆どなくなり、又は軽微な被害となり、それだけ修復も早くなるものと期待される。
【0021】
この発明は、所定用地を例えば1m掘り下げ、その底部を整地し、通常の要領により地盤工事を行う。例えば、砂利、礫などを20cm程敷き詰めた後、その上にならしコンクリート又はモルタルを敷設し、その上に鉄筋を配して、厚さ20cm程度の鉄筋コンクリート盤を構築して、受基礎とする。
【0022】
前記受基礎の外周には、厚さ30cm程度の鉄筋コンクリート製の周壁を周繞設置する。前記受基礎(特に溝部分)と周壁とは、水密処理し、水洩れしないように施工する。前記受基礎の周壁と本基礎の側壁との間の滑動溝底以外の表面を水平面に形成した後、前記受基礎の水平面上へ、滑面を上向きにして下部滑動板を敷設固定する。前記下部滑動板の上面に、滑面を下向きにして上部滑動板を敷設し、該上部滑動板上へ補強鉄筋等を設置した後、コンクリートを打設して、例えば30cm〜50cm厚さの本基礎を構築する。前記本基礎の上面上に、通常の要領により建造物を構築する。従って、前記受基礎上へ、前記本基礎が滑動板を介して滑動自在に載置されている。
【0023】
前記本基礎の内側下部には(本基礎を50cmとすれば、下から10cm〜20cmの位置)、前記対向滑動溝間を結ぶ通水孔(直径5cm〜10cm)を縦横に設けて、本基礎の滑動時に前記滑動溝内の水位が過度に上昇しないように配慮してある。前記滑動溝の幅は30cm〜40cm、水深は40cm〜50cm程度とする。前記寸法に特別の限定はないが、本基礎の移動に際し、十分の緩衝作用があることが望ましい。
【0024】
この発明は、受基礎の周囲に滑動溝を設け、該滑動溝底以外の受基礎の表面を平面とし、この表面に滑動層を設け、滑動層の上部へ本基礎を設け、該本基礎の上部へ通常の要領により構造物(以下「建物」という)を建造する。
【0025】
前記における滑動溝底は、本基礎の側面側から滑動面(受基礎の滑動面と同一高さ)、制動面(滑動面から1度〜3度の上り傾斜とする)停止面(制動面から更に2度〜5度程度のより傾斜増とする)のほぼ3等分の面としてある。従って、本基礎がどの方向へ移動しても、本来の摩擦力+制動力が加わり、本基礎の移動を有効に阻止することができる。前記傾斜度は、求める制動力により適宜定めることができる。
【0026】
前記における滑動層は、受基礎表面に固定した滑動板と、本基礎の下面に固定した滑動板とを当接してなり、両滑動板の接触面で滑動する。前記滑動板としては、ステンレス鋼板、硝子板又は陶板を使用することができる。
【0027】
前記ステンレス鋼板の場合には、例えば厚さ0.4mm、幅22.5cm、長さ割付寸法を用い、同一寸法のセメント平板(厚さ8mm)に固定して用いる。
【0028】
次に陶板の場合には、規格(45cm×45cm×1.5cm)の陶製平板で、表面(滑動面)のみ釉薬焼付けとし、裏面は素地のまま、格子状に目地を付ける。
【0029】
また硝子板の場合には、規格(45cm×45cm×0.2cm)に、厚さ8mmのセメント板を接着固定して用いる。
【0030】
前記滑動板の寸法は一例であって、これに限定するものでなく、適宜の寸法を用いるが、大地震に際し、滑動すること、及び破損しないこと、並びに滑動して不安定にならないことが必要である。特に微小滑動(例えば1cm〜5cm)に際し旧位置へ復帰させない場合においても滑動面が正常(建設時の条件どおり)に保持されていることが好ましい。
【0031】
前記条件を保持する為に、各建物に対して加えられる外力を予め算定し、滑動面の強度を、前記算定値に耐え得るように選定する必要がある。前記滑動板の寸法は、通常の建物が滑動した場合に十分耐え得る材質と寸法を示すものである。前記加えられる荷重計算式の一例を示すと、表1のとおりである。前記ステンレス鋼板の場合には、側面と平行な凹凸条を設ける場合もある。
【0032】
【表1】
【0033】
次に具体的計算例を示すと、次のとおりである。
【0034】
(建物概要)
図1参照
木造鋼板葺2階建
床面積 53m2
延面積 106m2
別壁面積 190m2
内壁面積 86m2
受風面積 40m2
前記における荷重計算は表2のとおりである。
【0035】
【表2】
【0036】
(対地圧力)
基礎重量 本 2400×0.4=960kg/m2
受 2400×0.2=480kg/m2
f=499+960+480=1939kg/m2<2.0t/m2
これは極めて少なく平均している上、全体の重心も低いので、安心している。
【0037】
(滑動板)
ステンレス鋼板(SUS304、0.5m/m、厚さ4mm)を使用する。
【0038】
摩擦係数 乾燥状態 静止時 0.15 運転時 0.05
摩擦限界(499+960)×0.15=219kg/m2
(地震)
α 地震加速度
g 重力加速度(980cm/sec2)
W 重量
法定算式 P=W×0.2 P=(499+960)×0.2=292kg/m2
加速度算式 P=W×α/g W=(499+960)=1459kg
震度5弱 α=150ガル P=1459×150/980=223kg/m2
震度5強 α=250ガル P=1459×250/980=372kg/m2
震度6 α=400ガル P=1459×400/980=596kg/m2
この結果、地震加速度150ガル以下の衝撃は摩擦限界内であるので、本基礎及び建物に震動を与えるが、この限界を超えた衝撃により本基礎は滑動を始める。然し滑動は制動溝における摩擦抵抗により抑制の上、停止される。
【0039】
この発明の装置は、受基礎の水平仕上げした上面に、滑動面を上向きにして下部滑動板を固定し、該下部滑動板の上面に、滑動面を下向きにして、上部滑動板を摺動自在に当接し、前記上部滑動板の上部に、本基礎を構築し、該本基礎上へ所定の構造物を構築するとともに、前記本基礎と、受基礎の間に制動装置を設置したことを特徴とする避震滑動基礎装置であり、受基礎の水平仕上げした上面に、滑動面を上向きにして下部滑動板を固定し、該下部滑動板の上面に、滑動面を下向きにして、上部滑動板を摺動自在に当接し、前記上部滑動板の上部に、本基礎を構築し、該本基礎上へ所定の構造物を構築するとともに、前記本基礎と、受基礎の間に前記受基礎の外周部であって、前記本基礎の地震時の滑動可能な当接面を設け、該当接面は外側を高く緩傾斜面を形成する制動装置を設置したことを特徴とする避震滑動基礎装置である。
【0040】
また、他の装置は、受基礎の水平仕上げした上面に、滑動面を上向きにして下部滑動板を固定し、該下部滑動板の上面に、滑動面を下向きにして、上部滑動板を摺動自在に当接し、前記上部滑動板の上部に、本基礎を構築し、該本基礎上へ所定の構造物を構築するとともに、前記本基礎と、受基礎の間に前記受基礎の外周部へ所定間隔で周側壁を設置して、所定幅の環状溝を設け、該環状溝に所定水位の水を収容し、前記本基礎振動の緩衝作用付与の制動装置を設置したことを特徴とする避震滑動基礎装置であり、受基礎の水平仕上げした上面に、滑動面を上向きにして下部滑動板を固定し、該下部滑動板の上面に、滑動面を下向きにして、上部滑動板を摺動自在に当接し、前記上部滑動板の上部に、本基礎を構築し、該本基礎上へ所定の構造物を構築するとともに、前記本基礎と、受基礎の間に前記受基礎の単数又は複数個所に円錐状の突起を設けるとともに、該突起を中心として所定直径の制動域を設け、該制動域の外側へ滑動域を設け、前記制動域は前記滑動域より表面傾斜を大きくして緩衝作用付与の制動装置を設置したことを特徴とする避震滑動基礎装置である。
【0041】
更に、他の装置は、受基礎の水平仕上げした上面に、滑動面を上向きにして下部滑動板を固定し、該下部滑動板の上面に、滑動面を下向きにして、上部滑動板を摺動自在に当接し、前記上部滑動板の上部に、本基礎を構築し、該本基礎上へ所定の構造物を構築するとともに、前記本基礎と、受基礎の間に前記受基礎の外周部であって、前記本基礎の地震時の滑動可能な当接面を設け、該当接面は外側を高く緩傾斜面を形成するとともに、前記受基礎の外周部へ所定間隔で周側壁を設置して、所定幅の環状溝を設け、該環状溝に所定水位の水を収容し、前記本基礎振動の緩衝作用付与の制動装置を設置したことを特徴とする避震滑動基礎装置であり、受基礎の水平仕上げした上面に、滑動面を上向きにして下部滑動板を固定し、該下部滑動板の上面に、滑動面を下向きにして、上部滑動板を摺動自在に当接し、前記上部滑動板の上部に、本基礎を構築し、該本基礎上へ所定の構造物を構築するとともに、前記本基礎と、受基礎の間に前記受基礎の外周部であって、前記本基礎の地震時の滑動可能な当接面を設け、該当接面は外側を高く緩傾斜面を形成するとともに、前記受基礎の単数又は複数個所に円錐状の突起を設けるとともに、該突起を中心として所定直径の制動域を設け、該制動域の外側へ滑動域を設け、前記制動域は前記滑動域より表面傾斜を大きくして緩衝作用付与の制動装置を設置したことを特徴とする避震滑動基礎装置であり、受基礎の水平仕上げした上面に、滑動面を上向きにして下部滑動板を固定し、該下部滑動板の上面に、滑動面を下向きにして、上部滑動板を摺動自在に当接し、前記上部滑動板の上部に、本基礎を構築し、該本基礎上へ所定の構造物を構築するとともに、前記本基礎と、受基礎の間に前記受基礎の外周部へ所定間隔で周側壁を設置して、所定幅の環状溝を設け、該環状溝に所定水位の水を収容し、前記本基礎振動の緩衝作用を付与するとともに、前記受基礎の単数又は複数個所に円錐状の突起を設けるとともに、該突起を中心として所定直径の制動域を設け、該制動域の外側へ滑動域を設け、前記制動域は前記滑動域より表面傾斜を大きくして緩衝作用付与の制動装置を設置したことを特徴とする避震滑動基礎装置である。
【0042】
前記のように、本基礎の移動制約によって制動され、震動は減衰されるので、震度6強の大地震であっても震度5弱の震度となり、建物及び調度品の破壊を未然に防止することができる。
【0043】
前記滑動面からの傾斜度1度〜3度は、建造物の種類、重量により異なるが、要は大地震の際の災害を可及的に少なくすることであり、建造物の種類、構造、重量、大きさ、材質などに鑑み、実験を経て適宜定める。
【発明の効果】
【0044】
この発明は、突発的に生じる地震であっても自動的に対応し、強震(例えば震度6強)であっても、建物には中震以下(例えば震度5弱)の影響力に抑制することができる。
【0045】
また風圧に対しては、風速30mまでは滑動を生じないが(計算上)、風速30m以上になると、建物が滑動しないような措置をする必要がある(例えば滑動。溝内へ阻止駒を収容する)。台風の場合には事前に正確な予報があるから、十分な対応時間があり対応措置に失敗するおそれはない。予め阻止駒を準備しておけば容易に対処できる。
【0046】
本基礎を蓄熱方式に構成すれば、夏季、冬季の冷暖房費を節減することができる効果がある。
【0047】
また一般建物以外の建造物、例えば水槽、油槽、穀槽、各種機械設備の架台及び地上置物(例えば石碑、灯篭、記念碑、石像、銅像など)に応用すれば、強震に対してこれを減衰させ、破壊を未然に防止することができる効果がある。また、原子力発電設備などのような特別防護を要する構造物にあっては、溝幅を大幅に拡大(例えば1m〜10m)することにより耐震制御を確実にする効果がある。溝幅を拡大すると、建造物は恰も湖中の浮島のようになり、制震効果が大きい。また地震の振幅の関係を考慮し、溝の深さを決めれば更に有効である。
【0048】
然して工事が単純であるから、滑動層を作る為の労力、時間は比較的少なく、工期、工費を著しく増大させるおそれはない。
【0049】
またこの発明は、従来知られている免震構法と比較(表3)しても、明らかに優れている。
【0050】
【表3】
【0051】
センサーなどを使用することなく、そのまま自動的に対応できると共に、全荷重が本基礎により支持されているので、局所的に応力が集中するおそれがなく、滑動に際しても各所均等圧力のもとに作用するので、局部的に破損を招くおそれがない。従来の免震又は耐震構造は、複数の支持部(例えば柱)によって支持されているので、万一1つの支持部が破壊すると、その荷重は付近の支持部で分散支持されるが、不均等に分散すると一部へ過大な荷重が掛かり、遂には連鎖破壊を生じるに至ることがある。
【0052】
このように、従来の免震などは破壊の連鎖を生じるおそれがあるが、この発明の場合には前記のような破壊の連鎖を生じる余地は全くないなどの効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】(a)この発明を実施した建物の一部を省略した断面図、(b)同じく一部を省略した平面図。
【図2】この発明の構法の順序を示す図であって、(a)縦掘りの一部を省略した断面拡大図、(b)同じく受基礎、本基礎の一部を省略した断面拡大図、(c)同じく建物を建てた一部を省略した断面拡大図。
【図3】(a)同じく他の実施例の一部を省略した拡大断面図、(b)同じく一部を省略した平面拡大図、(c)同じく滑動層の一部断面拡大図。
【図4】同じく他の実施例(水を用いない)の一部断面拡大図。
【図5】(a)同じく一部を省略した平面図、(b)同じく一部を省略した断面図、(c)同じく隅部の一部を拡大した平面拡大図、(d)同じく一部(c)図の断面拡大図。
【図6】(a)同じく一部を省略した平面図、(b)同じく一部を省略した断面図。
【図7】(a)同じく制動部(円形)を示す一部を省略した平面拡大図、(b)同じく一部を省略した拡大断面図、(c)同じく制動部(平行系)の一部を省略した平面拡大図、(d)同じく一部を省略した断面拡大図。
【図8】(a)同じく正方形としたステンレス鋼板の一部を省略した拡大平面図、(b)同じく一部を省略した拡大正面図、(c)同じく矩形としたステンレス鋼板の一部を省略した拡大平面図、(d)同じく一部を省略した拡大正面図。
【図9】(a)同じく正方形ガラス板の一部を省略した平面図、(b)同じく正面図、(c)同じく矩形ガラス板の一部を省略した平面図、(d)同じく矩形ガラス板の一部を省略した正面図。
【図10】(a)同じく正方形の陶板の一部を省略した平面図、(b)同じく一部を省略した正面図、(c)同じく矩形の陶板の一部を省略した平面図、(d)同じく一部を省略した正面図。
【図11】(a)同じく長方形滑動板のセット例を示す平面図、(b)同じく上部板の正面図、(c)同じく下部板の正面図。
【図12】(a)同じく長方形滑動板のセット例を示す平面図、(b)同じく上部板の正面図、(c)同じく下部板の正面図。
【図13】(a)同じく正方形滑動板のセット例を示す平面図、(b)同じく上部板の正面図、(c)同じく下部板の正面図。
【図14】(a)同じく避震滑動地上型基礎の外部制動溝の一部を省略した縦断面図、(b)同じく一部を省略した平面図、(c)同じく他の実施例の一部を省略した断面図、(d)同じく一部を省略した平面図。
【図15】(a)同じく避震滑動地上型基礎の内部制動溝の一部を省略した縦断面図、(b)同じく一部を省略した平面図。
【図16】(a)同じく滑動溝幅を大きくした実施例の一部省略し、一部断面した平面説明図、(b)同じく一部断面説明図。
【図17】同じく地震と溝内の水の動きの説明図(イ、ロ、ハ、ニ、ホ、ヘ、ト)。
【図18】(a)同じく一部を省略した平面図、(b)同じく一部を省略した一部断面拡大図、(c)同じく一部を省略した平面図。
【図19】(a)同じく一部を省略した平面図、(b)同じく一部を省略した断面拡大図、(c)同じく制動溝の一部平面図、(d)同じく配管ピットの平面図。
【図20】(a)同じく一部を省略した平面図、(b)同じく一部を省略した断面拡大図、(c)同じく一部を省略した制動部の平面図。
【図21】(a)同じく一部を省略した平面図、(b)同じく一部を省略した断面拡大図、(c)同じく他の実施例の制動部のない部分の一部断面拡大図、(d)同じく一部を省略した制動部の平面図。
【図22】(a)同じく蓄熱基礎の実施例の一部を省略した横断平面図、(b)同じく一部を省略した断面図、(c)同じく一部を省略した断面拡大図。
【図23】同じく(a)、(b)、(c)はこの発明の使用例を示す斜視図であって、(a)陳列台、(b)展示台(c)医療機台、(d)貨物台。
【図24】(a)同じくこの発明の建物の位置復元を図るジャッキの一部を省略した拡大平面図、(b)同じく一部を省略した拡大正面図。
【発明を実施するための形態】
【0054】
この発明は、建物の建設と、滑動の復元作業の為の余地を考慮して用地を決定し、所定地を整地の上総掘すると共に、掘削底(地盤)強度の調査を行い、必要に応じて土質改良又は杭打等の補強工事を実施し、建物荷重及び本基礎荷重を支持し得る地盤を整備し、ついで設計に基づき地下排水管等の埋設を行い、例えば栗石敷設の上展圧し、その上に均しの捨コンクリートを打設する。上記は地盤整備の従来法を用いるので、前記地盤整備の方法と異なっても、この発明に属するものである。
【0055】
前記捨コンクリート上へ、厚さ20cmの鉄筋コンクリートの受基礎を設ける。前記受基礎の外周上部へ厚さ20cmの鉄筋コンクリート製の側壁を周繞設置する。前記側壁の内側であって、受基礎上へ滑動溝幅(例えば30cm〜40cm)をおいて表面を堅モルタルにより完全水平(平面)に仕上げ、この平面上へ下部滑動板の割付を設計図に基づいて行う。ついで、下部滑動板上へ上部滑動板を重ね合わせる。
【0056】
前記上部滑動板上へ鉄筋コンクリート製の本基礎(厚さ40cm)を設ける。この本基礎を設けることにより、前記側壁との間に滑動溝が構成される。当然のこと乍ら滑動溝内の水位は、前記本基礎の上面より下位にあるようにする。ついで前記本基礎上へ、通常の要領により建物を建設すると共に、滑動溝内へ適量の水を注入すれば、この発明の構法を終了する。前記において滑動溝底は、側壁側を高くして、本体基礎の抵抗を大きくし、滑動阻止できるようにしてある。
【0057】
従って本基礎は、滑動抵抗と、前記滑動溝底の抵抗によって滑動の緩和と阻止とが連続的に行われ、結果的に震度6強の震度は震度5弱の影響力となり、震度6強の激震であっても震度5弱程度の中震以下に低下して防震、制震の目的を達成し、建物を防護し、内容家具などの破損を防止することになる。
【実施例1】
【0058】
この発明の実施例を図1,2,3に基づいて説明する。この発明は、建物等(地上構造物、塔、碑、その他設置物を含む)を地上に構築する際、耐震又は免震その他大地震対策として用いる構法である。従って地盤の状態によって、地盤の造成については異なるが、地盤上の構法に関しては従来構法と同一である。
【0059】
また高層又は超高層については、各種変更があると思われるが、一般木造家屋又は中層構造物(5〜6階建鉄筋、鉄骨コンクリート構造物)については、ほぼ同一構法を採用することができる。次に、各種構造物(以下「建物」という)を構築する際の構法を説明する。前記における地盤の構築は従来法によるので、詳細な説明を省略する。
【0060】
(1)地業の作業
用地は滑動と復元作業の為の余地を考慮して若干広く決定する(例えば、通常用地の外側へ少なくとも1m幅を加えた用地とする)。先ず前記決定した用地1を整地し、その内側(滑動溝の外壁の外側を目途とする)を深さ1m位総掘する(基礎穴2)。地盤の悪い場合(建物の重量に耐え得るか否かで決める)には、更に20cm位掘り下げる。この掘り下げ部分(図2(a))へ砂利、栗石3を詰めた上に捨てコンクリート4を打設する(図2(b))。また、地盤が特に悪い場合にはコンクリート基礎杭を打設する。
【0061】
(2)受基礎構築
前記捨てコンクリート4の上面をほぼ平面に均した後、底面と、周辺側面に所要の補強配筋し(通常の地盤を構築する要領、建物の荷重により配筋量を決める。総て設計書による)、型枠建込の上コンクリートを打設する。これにより周側壁5と基礎6を構築する。次に型枠を除去した後、基礎6の内側の受基礎7の滑動面対応上面7aの表面に堅練りモルタル10を薄く塗り(例えば1cm)完全水平面に仕上げる。前記仕上げ面に下部滑動板8,8をその滑動面を上向きにして、前記水平上へ割付固定する。前記捨てコンクリート4は、各栗石3の間にも入り込み、一体的盤状となるようにする。
【0062】
(3)滑動層
前記下部滑動板8は、モルタル10により、受基礎7上へ固定する。前記下部滑動板8上へ上部滑動板9を滑動面を下にして重ねると共に、各目地をシールし、前記滑動面上へ配筋すると共に、モルタル10aを置いて配筋と上部滑動板9とを一体化することにより下部滑動板8と上部滑動板9により滑動層を完成する。前記目地は、各滑動板の当接部にできる。
【0063】
(4)制動溝の構成
前記周側壁5と、制動層外周壁との間の滑動溝底11上面は、滑動層側から滑動壁11a、制動壁11b(若干例えば2度〜3度上向傾斜)及び停止壁11cと、段階的に急になる上向傾斜底とする(図2(b)、(c))。
【0064】
前記のように、滑動溝底11に制動を設けない時には、本基礎と、受基礎の間へ設ける。このような時には、本基礎構築時に行うことになる。また蓄熱する時には本基礎内に空洞を設け、この空洞に栗石などの蓄熱体を充填し、前記空洞内へ熱気又は冷気の吹き込みパイプと、給気パイプを連結し、熱気又は冷気を吹き込んで蓄熱し、これを給気パイプにより必要な場所へ供給すれば、冷暖房の補助として使用することができる(この点は実施例8で説明する)。
【0065】
(5)本基礎の構築
前記上部滑動板の上面周縁へ型枠を建て込み、底面及び側面へ所定の配筋をした後、周側壁5のコンクリート面より若干低い面まで打設する(例えば配管12、13の施工高さまで)。前記コンクリートの硬化をまって、上層部に配筋を行い所定の高さまでコンクリートを打設した上に(周側壁5の上面よりも高く)、モルタルにより上面仕上げし、本基礎15とする(図4)。
【0066】
前記本基礎15の下部には通水用の配管12,13を縦横に設けると共に、必要なアンカーボルト(例えば建物との緊結用)を埋設する。前記配管12、13は前後左右の周側壁の内側の水位が振動時に異常に高くなるのを防止するために設ける。
【0067】
前記本基礎15の周壁、側壁の周壁及び滑動溝底には夫々防水処理を施し、滑動溝2内で水洩れを起こさないように配慮する。また滑動溝2には溢水管、排水管(図示なし)その他通常の設備を付設して、滑動溝のデメリット(溢水、乾水、落下防止その他)を未然に防止する。
【0068】
前記上下部滑動板の材質としては、ステンレス板16、陶板17、ガラス板18などが用いられ、ステンレス板16及びガラス板18には、剛性付与の為にモルタル板19を併設するのが普通である(図8、9)。
【0069】
前記実施例において、地震の結果本基礎が滑動し、その滑動量が修正を要する程の量(例えば4cm〜10cm)になった時には、図24に示すように、予め設置したジャッキ29に加圧油を注入し、ロッド28を矢示31のように押し出して、本基礎15を旧位置の方向に移動させる。前記押し出しに要する力は、予め計算できるので、ジャッキ29の能力を勘案し、適所へ複数台設置すれば目的を容易に達成することができる。
【0070】
尤も前記滑動量の修正は、何年又は何十年に一度であるから、前記ジャッキの設置場所のみ用意し、修正すべき滑動量は専門業者に依頼することになる。
【実施例2】
【0071】
この発明の他の実施例を図3に基づいて説明する。この実施例は、鉄筋コンクリート造建物について、この発明の水を利用した避震滑動基礎構法である。次の条件で設定した。
【0072】
建物 鉄筋コンクリート造4階建
建積面積 100m2
延面積 400m2
貯水池水量 800m2
貯水池水量 2110t
貯水池水深 3.5m
前記実施例は、図3(a)に示すような池30を総掘りし、ついで池底30aに地盤を築いた後(従来構法による)、地盤上及び側壁上に一定厚さ(例えば5cm〜10cm)のコンクリート32を打設し、その表面に防水モルタル層を設ける。前記池30の中央部へ、面積100m2の建物用地を決めて、該用地表面に硬モルタル層33(防水モルタル兼用)の正確な水平面を設けた後、下部滑動板8を滑動面を上にして敷設する(敷設は他の実施例で説明図11、12、13)。次に、滑動板8上へ、滑動面を下にした滑動板9を載置して位置決めした後、前記滑動板9上へ接着用モルタル35を敷設し、該接着用モルタル35の上部へ鉄筋を配し、これに本基礎用のコンクリート34を打設する(例えば厚さ30cm)。前記建物用地の周外側の表面には、前記滑動板9が移動した場合に、これを制動又は制止すべく、建物側から滑動壁に制動壁及び停止壁を設けることは前記実施例1と同様である(滑動壁は図8、9、10で説明)。図4は、滑動溝に水を入れない乾式(砂利36を入れる)を示す。図4の場合でも滑動溝底11によって制動される。
【0073】
前記滑動壁、制動壁などは、建物の外側へ設ける場合(図4、5)と、図7のように建物直下の内側へ設ける場合とある。何れにしても、滑動層が矢示37又は38のように摺動することによって、抵抗が増加し、その摩擦抵抗により遂には停止するように設計されている。
【実施例3】
【0074】
この実施例は、滑動板に関するものである。図8(a)は450mm×450mmのステンレス板16(厚さ0.4mm)に厚さ8mmのモルタル板19を裏打して用いる。また図8(c)は、600mm×300mmのステンレス板16(厚さ0.4mm)に厚さ8mmの硅カル平板19aを裏打したものである。
【0075】
次に図9(a)は、ガラス板18で、450mm×450mm(厚さ3mm)に厚さ8mmの硅カル板19aを裏打したものであり、図9(c)は600mm×300mm(厚さ3mm)に厚さ8mmの硅カル板19aを裏打ちしたものである。
【0076】
また図10(a)、(b)は、陶板17で450mm×450mm(厚さ15mm)の表面に釉薬17aを施して焼成したものであり、図10(c)、(d)は陶板17で600mm×300mm(厚さ150mm)の表面に釉薬17aを施して焼成したものである。
【0077】
前記実施例は各材料により正方形及び矩形の滑動板の一例であって、このような寸法に特定されたものではなく、自由に選定できる。
【実施例4】
【0078】
この発明の制動の実施例を図5、7に基づいて説明する。図7(a)は、受基礎28の中央部に停止突起25を設けると共に、前記停止突起25を中心として、所定直径の制動域26を設け、前記制動域26の外側へ、所定直径の滑動域27を設けた制御装置である。このように、円形配置すれば地震の方向が矢示37、38その他の方向で不規則であっても、確実に対処することができる(全方位であるから)。図中24は空間、29は本基礎である。
【0079】
次に図7(c)、(d)は側縁と平行な停止突起を停止域40とし、その外側に制動域41を設け、その外側に滑動域42を設けたもので、図中39は空間である。この場合には、各域は平行に設けられた実施例である。
【0080】
また図5(c)は、本基礎29の外側滑動溝底43上に停止域44、制動域45、滑動域46を設ける。
【実施例5】
【0081】
この発明の実施例を図11、12、13に基づいて説明すると、図11(a)は、長尺滑動板62を配置したもので、上下に配置する際、上部滑動板62aを矢示64の方向へ平行して設置すれば、下部滑動板62bは矢示66の方向へ重ね、結局上下部滑動板62a、62bは、交叉して配置される。このようにすれば各滑動板62a、62bの受圧条件が均等になる。
【0082】
次に図12(a)は、長方形の滑動板63を互いに滑動できるように配置したものである。また図13(a)は、各方形滑動板68、68aを互いに1/2ずらして配置したものである。これにより各部の目地部の条件相違が補完され、恰も一枚で構成されたものと近似したものとなる。
【実施例6】
【0083】
この発明の実施例を図14、15に基づいて説明する。図14(a)は、本造2階建69に、外部制動溝70を設けたものである。この場合には、制動溝70に制動源を設置し、水なしのものである。次に図14(c)は、本造2階建69の本基礎69aと、受基礎69bの間の滑動層72内に制動装置72aを設けた場合がある。図中79は台風時の滑動阻止ブロックである。
【0084】
また図15(a)は、鉄筋コンクリート建73に用い、滑動溝74に水を入れた場合である。図中75は受基礎、76は本基礎、77は滑動層、78は通水パイプである。制動作用は前記実施例4と同一である(図示なし)。
【実施例7】
【0085】
この発明における貯水池(各実施例の溝に相当する)と、水深の実施例を図16について説明すると共に、地震の振幅と振動状態を図17について説明する。
【0086】
貯水池80の中央部へ建造物81を建設する場合に、建造物81の周囲には、湛水しているので、水の浮力によって滑動面における重量が軽減される。この浮力は、本基礎82の水深(水に浸されている深さd1)によって定まる。
【0087】
前記のように、湛水した場合には、水による潤滑効果と、水の浮力による総重量の軽減による相乗効果により、大地震(震度6強)の場合にも震度5弱以下に緩和される。図中82は滑動層、83は通水パイプである。
【0088】
前記における地震地の水の動きを、図17に基づいて説明すると、(イ)は震動が摩擦限界以下であって、建造物81は移動していない。(ロ)は摩擦限界以上の震度であるけれども、建造物81が滑動しない場合の水の変動を示す(図中xは基礎不動を示す。以下同じ)。次に(ハ)は建造物81が矢示84の方向へ滑動した場合の水面の変化を示す。また(ニ)、(ホ)は滑動しない場合を示し、(ヘ)は矢示85の方向へ滑動する場合を示し、(ト)は滑動しない場合を示す。図中86は受基礎、87は本基礎である。
【0089】
前記において、水面の変動は鎖線で示し、半水面は実線で示した。
【0090】
前記図17において示したように、大震度の際に、滑動しないと(ロ)、(ホ)のように、水面傾斜が大きくなり、滑動により(ハ)、(ヘ)のように水面の傾斜が小さくなるので、地震の影響力が消滅されることが判る。
【0091】
前記実施例において、地震により生ずるあらゆる変動が、地震の周期内に収束して原状に復することが求められる。そこで、建造物の側面と、貯水池の縁部との幅を、その水深と同等とすることを基準とする。このようにすれば、地震により生じる水面の上下変動は、振幅と同じとなると共に、水圧の変動も少ないので、水面の安定に要する時間が短くなる。但し、前記は建造物の平面形状が正方形又はこれに近い場合である。従って、建造物の平面形状が長方形、又は無視できない大きな凹凸がある場合又は貯水池として必要な面積が少ない場合は、本基礎内に通水パイプを設けて水流を円滑にし、水平面を得る時間を短縮化するなどの工夫を要する。
【実施例8】
【0092】
この発明の実施例を図18、19、20、21に基づいて説明する。図18は軽量鉄骨建造物の一例であって、2〜3階建の場合である。基礎地盤の上に栗石3を敷き詰め、栗石3の上に受基礎86を設け、受基礎86の上に滑動層82を設け、滑動層82の上に本基礎を構築する。前記滑動層82の適所に制動部90を設ける。制動部90は、滑動面と制動面を設けることは従来と同様である。この実施例のように、2〜3階建ての場合には、制動部90を2〜4箇所設ける。この場合の制動部90は制動面が並行しているが、地震の震動方向が不定(判らない)の場合には、平面同心円状の制動面が好ましい。図中81は建造物、91は配管ピットである。
【0093】
次に図19はRC構造の集合住宅(ラーメン構造)であって、3〜4階建ての例である。この実施例の場合も基本的には、図18と同一であるが、図18の実施例に比し、建物が大きく、かつ高くなるので、基礎は地盤の耐性を考慮しつつ、十分の支持力を得るべくコンクリート杭92を打設する。この場合においても地盤の対性によって、コンクリート杭の直径、本数、密度などを決める必要がある。そこで受基礎86、本基礎87の強度に留意する必要がある。
【0094】
また図20の実施例は、重量鉄骨構造物(ラーメン工法)における1〜2階建ての例を示す。この実施例も前記実施例(図19)と同様に、コンクリート杭92を打設した上に、受基礎86を設置し、滑動層82を介して本基礎87を設置する。前記において、本基礎87の外周に突壁93による溝96を設けて、外囲とし、溝96に水を入れる。この点は図2の実施例と同一であって、作用効果も同一である。図中93は柱、94はジャッキ据え付け用のピットであり、内部に制動部90が設けてある。前記ジャッキ据え付け用のピット94にジャッキを据え付けることによって、本基礎のずれ(地震による)を修正することができる。
【0095】
また図21の実施例は、煉瓦、石造建物(組積工法)における1〜3階建てのものである。この建物の基礎も基本的に前記各建物で説明したとおりである。即ち、基礎杭92を打設し、その上に栗石3その他を用いて受基礎86を敷設し、その上へ滑動層82を介して本基礎87を設置する。この場合には、本基礎の広さに応じ、複数個の制動部90を設ける。
【実施例9】
【0096】
この発明の他の実施例を図23に基づいて説明する。この実施例は、この発明が建築物以外の構造物についても有用であることを示す一例である。
【0097】
即ち図23において(a)は受基礎100に滑動層101を介して本基礎102を設置し、本基礎102の上部へ陳列台103を設置したものである。
【0098】
次に(b)は受基礎100に滑動層101を介して本基礎102を設置し、本基礎102の上部を展示台107として展示台107上に各列陳列物106を陳列したものである。
【0099】
また(c)は本基礎102上へ医療機、その他の機械類104を設置するものである。
【0100】
更に(d)は受基礎100、滑動層101及び本基礎102をセットとする振動盤であって、各種物品の貨物台105としたものである。
【0101】
前記のように、振動盤108を基本とし、各種物品等の震動を低下させる震動盤とすることができる。
【実施例10】
【0102】
この発明の他の実施例を図22に基づいて、本基礎50を蓄熱用に用いた場合を説明する。本基礎50の中央部には蓄熱室51を設け、各蓄熱室51内を格子状に区切り、多数の部屋とし、この部屋の内へ夫々蓄熱礫52を充填し、各仕切り壁53へ通気孔を設け、前記本基礎50の一側部へ吸入口55(外気)を設け、他側部へ、排出口56を設け、外気を吸入して蓄熱し、ここに空気を通すようにして、この空気により暖房又は冷房したものである。
【0103】
前記実施例において、例えば夏季に、夜間に冷気を矢示57のように吸気し、各格子状部へ矢示58,59,60,61のように導いて、礫を十分冷却しておき、昼間には、室内空気を吸い込んで蓄熱室で冷却した後、各部屋に給送すれば、部屋内を冷却することができる。
【0104】
また各季は逆に、日中の暖かい空気で蓄熱し、夜間に部屋の空気を蓄熱室に送って加温した後、再び部屋に戻せば、部屋を暖めることができる。
【0105】
前記のように、本基礎50内で冷却又は加熱した熱により、室内の冷暖房を援助することができる。
【符号の説明】
【0106】
1 用地
2 基礎穴
3 栗石
4 コンクリート
5 周側壁
6 基礎
7 受基礎
8,9 滑動板
10 モルタル
11 制動底
12,13 配管
15 本基礎
16 ステンレス板
17 陶板
18 ガラス板
19 モルタル板
24,39 空間
25 停止突起
30 池
32,34 コンクリート
40 停止域
41 制動域
42 滑動域
69 木造2階建
70 外部制動溝
75 受基礎
76 本基礎
77 滑動層
【技術分野】
【0001】
この発明は、地震に際し、構造物の震動を緩和し、構造物の破壊を可及的に防止することを目的とした避震滑動基礎構法及び装置に関する。またこの構法による装置は強風に際して、滑動を阻止することができる。
【背景技術】
【0002】
従来耐震又は免震構造体としては、構造物と支持基礎との間に震動吸収構造物(例えば補強されたゴム材、又はスプリングその他)を介装した耐震構造が知られている。
【0003】
また出願人は先に上部本基礎と、下部受基礎の間へ上下滑動板を介装した避震滑動基礎構造を提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−257080号公報
【特許文献2】実用新案登録第3111620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の構造物は大地震によって破壊しない堅固な基礎を地盤上に構築し、該基礎上へ、大地震によっても破壊しない構造物を構築し、前記基礎と前記構造物とを堅固に連結する構法を採用していた。従って大地震(震度6強)においては、前記基礎と地盤と、構造物とは一体的に震動していたので、構造物も震度6強で震動し、構造物は破壊を免れても、構造物内の家具その他は、震度6強に対抗し切れず破壊し、多大の損害を受けている問題点があった。前記のように耐震構造でない一般家屋は、震度5以上の震動に際し、多大の損害(倒壊)を受けている。
【0006】
また従来地上に載置しただけの犬小屋又は物置小屋などは、震度6強の大地震に際し、小屋の位置の移動は認められるが、小屋自体の破損は皆無であった。従来古い民家又は社、寺等の大型家屋の伝統的工法においては、建物の基礎は大きな自然石を据えて、その自然石の上に柱の下端面を当接支持しただけの基礎構造であった。従って大地震に際して、地盤は震度6強の大震動を生じても、柱に支持された建物全体は、前記自然石と柱下端面とによって震動の縁が切れている為に、震度5弱程度の震動に減衰し、建物全体は殆ど損害を受けない事実があった。
【0007】
従来公然と推進されている地震対策としては次の3つが知られているが、夫々特徴と問題点がある。
【0008】
(1)耐震構法
この構法は、現行の主要な地震対策として実施されているものであり、建造物に一定量の筋違又は合板により補強された耐力壁を確保して建造を剛強にし、震度6強の地震に耐え得るようにしたものである。然しこの構法では、震動が緩和されないので、屋内事故や恐怖感は軽減されない。また、建造物の窓等の開口部が制限されるので、居住性も若干拘束される。但し、既設建造物の耐震補強はこの構法に準じて施工されている。
【0009】
(2)免震構法
この構法は、建造物の構造体と基礎との間に設けられた免震装置により、地震動を吸収して建造物の震動を軽減するものであり、位置の自己復元機能もあるが、この装置の耐久性と維持管理に問題があると共に、工期も長く工事費も高価となる。従って、住宅等比較的低価格の建造物には適されていない。
【0010】
(3)制震構造
この構造は、建造物の構造体の要所に防震用金具を取り付けるもので、その弾力により構造体を柔軟にし、震度6強の地震に耐え得るようにしたものであると共に、震動も緩和されるので、屋内事故も抑止される。然し、これには用具の耐久性と維持管理に問題があるが、住宅等の建造物には対応可能である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の概要を説明する。従来から基礎は地盤に固着し、一体として構築されてきた。これを上部の本基礎と、下部の受基礎に分離してその間に滑動層を設けた点が従来知られていない新規な基礎である。前記滑動層とは、本基礎の下部に固定した上部滑動板と、受基礎の上面に固定された下部滑動板により構成されており、その接触面における滑動により地震動を緩和するものである。また滑動板には、その耐久性、強度及び滑り性能が実証されている陶板、硝子板及びステンレス鋼板を素材とした成型品を用いる。これらの摩擦係数は、乾燥時と吸湿時で異なる。この構法は次の4つに集約される。
【0012】
(1)避震滑動基礎構法
この構法を、住宅を主目的にして用いた場合には、基礎の高さ(1階床高)を地上約50cmと想定する。この建造物は、木造、鉄骨造、RC造、組積造の各種があり、地震の加速度を150ガルに緩和することができる。洪水の床下浸水は被害皆無であり、台風などの時に風速30m以上と予告された場合のみ滑動阻止手段を行う。前記基礎を蓄熱体として使用することができる。
【0013】
(2)避震滑動床板構法
いわゆる新設及び既設の建造物の床面の積載物及び設置物に対する防震に用い、地震の加速度を150ガルに緩和することができる。またこの構法は、展示台、陳列台、貨物台、医療機器台、機械設備台及び操作室などに有効である。
【0014】
(3)避震湛水滑動基礎構法
一階床面の使用を主要目的とするので、床高を低くするとともに、床面振動の緩和軽減を必要とする場合、建造物の基礎外周部の制動溝に湛水して対処するものである。この構法によれば、湛水の潤滑性により、滑動層の摩擦限界が低下し、地震加速度を120ガルに緩和する。前記湛水の水位変化は、通水管により緩和することができる。従って、店舗、工場、倉庫その他の人及び車の出入りする施設に好適である。
【0015】
(4)避震貯水滑動基礎構法
現在、大規模の重量建造物は、基礎を地中深く剛強な基礎を構築することが主流であるが、本構法は、建造物の周囲を貯水池として本構法の基礎を構築するものであるから、恰も水に浮かぶ船が地震の影響を受けないと同様になり、水の浮力により重量が軽減された上にその潤滑により、滑動層の摩擦限界が低下するので、地震加速度が100ガル程度となり、建造物及び建造物内の物品は損壊しない。
【0016】
前記における周辺の水は、雑排水に利用されるとともに、防火用水、冷却用水、雑用水として活用することができるとともに、貯水池とすれば庭としての景観を保つこともできる。
【0017】
(5)地震に対する緩和は次のようになる。
【0018】
(イ)地震発生→摩擦限界を超えると滑動開始→摩擦抵抗により制動→停止となり、最大150ガル程度に止まる。
【0019】
(ロ)地震発生→水により摩擦限界低下→滑動開始→徐々に制動→100ガル程度になり、物品の破損などは大幅に阻止される。
【0020】
前記(1)〜(5)のように、この発明によれば、地震加速度の著しい低下により地震被害を大幅に低減させることができるので、いわゆる震度6強以上というような強震が震度5弱以下という程度となり、被害が殆どなくなり、又は軽微な被害となり、それだけ修復も早くなるものと期待される。
【0021】
この発明は、所定用地を例えば1m掘り下げ、その底部を整地し、通常の要領により地盤工事を行う。例えば、砂利、礫などを20cm程敷き詰めた後、その上にならしコンクリート又はモルタルを敷設し、その上に鉄筋を配して、厚さ20cm程度の鉄筋コンクリート盤を構築して、受基礎とする。
【0022】
前記受基礎の外周には、厚さ30cm程度の鉄筋コンクリート製の周壁を周繞設置する。前記受基礎(特に溝部分)と周壁とは、水密処理し、水洩れしないように施工する。前記受基礎の周壁と本基礎の側壁との間の滑動溝底以外の表面を水平面に形成した後、前記受基礎の水平面上へ、滑面を上向きにして下部滑動板を敷設固定する。前記下部滑動板の上面に、滑面を下向きにして上部滑動板を敷設し、該上部滑動板上へ補強鉄筋等を設置した後、コンクリートを打設して、例えば30cm〜50cm厚さの本基礎を構築する。前記本基礎の上面上に、通常の要領により建造物を構築する。従って、前記受基礎上へ、前記本基礎が滑動板を介して滑動自在に載置されている。
【0023】
前記本基礎の内側下部には(本基礎を50cmとすれば、下から10cm〜20cmの位置)、前記対向滑動溝間を結ぶ通水孔(直径5cm〜10cm)を縦横に設けて、本基礎の滑動時に前記滑動溝内の水位が過度に上昇しないように配慮してある。前記滑動溝の幅は30cm〜40cm、水深は40cm〜50cm程度とする。前記寸法に特別の限定はないが、本基礎の移動に際し、十分の緩衝作用があることが望ましい。
【0024】
この発明は、受基礎の周囲に滑動溝を設け、該滑動溝底以外の受基礎の表面を平面とし、この表面に滑動層を設け、滑動層の上部へ本基礎を設け、該本基礎の上部へ通常の要領により構造物(以下「建物」という)を建造する。
【0025】
前記における滑動溝底は、本基礎の側面側から滑動面(受基礎の滑動面と同一高さ)、制動面(滑動面から1度〜3度の上り傾斜とする)停止面(制動面から更に2度〜5度程度のより傾斜増とする)のほぼ3等分の面としてある。従って、本基礎がどの方向へ移動しても、本来の摩擦力+制動力が加わり、本基礎の移動を有効に阻止することができる。前記傾斜度は、求める制動力により適宜定めることができる。
【0026】
前記における滑動層は、受基礎表面に固定した滑動板と、本基礎の下面に固定した滑動板とを当接してなり、両滑動板の接触面で滑動する。前記滑動板としては、ステンレス鋼板、硝子板又は陶板を使用することができる。
【0027】
前記ステンレス鋼板の場合には、例えば厚さ0.4mm、幅22.5cm、長さ割付寸法を用い、同一寸法のセメント平板(厚さ8mm)に固定して用いる。
【0028】
次に陶板の場合には、規格(45cm×45cm×1.5cm)の陶製平板で、表面(滑動面)のみ釉薬焼付けとし、裏面は素地のまま、格子状に目地を付ける。
【0029】
また硝子板の場合には、規格(45cm×45cm×0.2cm)に、厚さ8mmのセメント板を接着固定して用いる。
【0030】
前記滑動板の寸法は一例であって、これに限定するものでなく、適宜の寸法を用いるが、大地震に際し、滑動すること、及び破損しないこと、並びに滑動して不安定にならないことが必要である。特に微小滑動(例えば1cm〜5cm)に際し旧位置へ復帰させない場合においても滑動面が正常(建設時の条件どおり)に保持されていることが好ましい。
【0031】
前記条件を保持する為に、各建物に対して加えられる外力を予め算定し、滑動面の強度を、前記算定値に耐え得るように選定する必要がある。前記滑動板の寸法は、通常の建物が滑動した場合に十分耐え得る材質と寸法を示すものである。前記加えられる荷重計算式の一例を示すと、表1のとおりである。前記ステンレス鋼板の場合には、側面と平行な凹凸条を設ける場合もある。
【0032】
【表1】
【0033】
次に具体的計算例を示すと、次のとおりである。
【0034】
(建物概要)
図1参照
木造鋼板葺2階建
床面積 53m2
延面積 106m2
別壁面積 190m2
内壁面積 86m2
受風面積 40m2
前記における荷重計算は表2のとおりである。
【0035】
【表2】
【0036】
(対地圧力)
基礎重量 本 2400×0.4=960kg/m2
受 2400×0.2=480kg/m2
f=499+960+480=1939kg/m2<2.0t/m2
これは極めて少なく平均している上、全体の重心も低いので、安心している。
【0037】
(滑動板)
ステンレス鋼板(SUS304、0.5m/m、厚さ4mm)を使用する。
【0038】
摩擦係数 乾燥状態 静止時 0.15 運転時 0.05
摩擦限界(499+960)×0.15=219kg/m2
(地震)
α 地震加速度
g 重力加速度(980cm/sec2)
W 重量
法定算式 P=W×0.2 P=(499+960)×0.2=292kg/m2
加速度算式 P=W×α/g W=(499+960)=1459kg
震度5弱 α=150ガル P=1459×150/980=223kg/m2
震度5強 α=250ガル P=1459×250/980=372kg/m2
震度6 α=400ガル P=1459×400/980=596kg/m2
この結果、地震加速度150ガル以下の衝撃は摩擦限界内であるので、本基礎及び建物に震動を与えるが、この限界を超えた衝撃により本基礎は滑動を始める。然し滑動は制動溝における摩擦抵抗により抑制の上、停止される。
【0039】
この発明の装置は、受基礎の水平仕上げした上面に、滑動面を上向きにして下部滑動板を固定し、該下部滑動板の上面に、滑動面を下向きにして、上部滑動板を摺動自在に当接し、前記上部滑動板の上部に、本基礎を構築し、該本基礎上へ所定の構造物を構築するとともに、前記本基礎と、受基礎の間に制動装置を設置したことを特徴とする避震滑動基礎装置であり、受基礎の水平仕上げした上面に、滑動面を上向きにして下部滑動板を固定し、該下部滑動板の上面に、滑動面を下向きにして、上部滑動板を摺動自在に当接し、前記上部滑動板の上部に、本基礎を構築し、該本基礎上へ所定の構造物を構築するとともに、前記本基礎と、受基礎の間に前記受基礎の外周部であって、前記本基礎の地震時の滑動可能な当接面を設け、該当接面は外側を高く緩傾斜面を形成する制動装置を設置したことを特徴とする避震滑動基礎装置である。
【0040】
また、他の装置は、受基礎の水平仕上げした上面に、滑動面を上向きにして下部滑動板を固定し、該下部滑動板の上面に、滑動面を下向きにして、上部滑動板を摺動自在に当接し、前記上部滑動板の上部に、本基礎を構築し、該本基礎上へ所定の構造物を構築するとともに、前記本基礎と、受基礎の間に前記受基礎の外周部へ所定間隔で周側壁を設置して、所定幅の環状溝を設け、該環状溝に所定水位の水を収容し、前記本基礎振動の緩衝作用付与の制動装置を設置したことを特徴とする避震滑動基礎装置であり、受基礎の水平仕上げした上面に、滑動面を上向きにして下部滑動板を固定し、該下部滑動板の上面に、滑動面を下向きにして、上部滑動板を摺動自在に当接し、前記上部滑動板の上部に、本基礎を構築し、該本基礎上へ所定の構造物を構築するとともに、前記本基礎と、受基礎の間に前記受基礎の単数又は複数個所に円錐状の突起を設けるとともに、該突起を中心として所定直径の制動域を設け、該制動域の外側へ滑動域を設け、前記制動域は前記滑動域より表面傾斜を大きくして緩衝作用付与の制動装置を設置したことを特徴とする避震滑動基礎装置である。
【0041】
更に、他の装置は、受基礎の水平仕上げした上面に、滑動面を上向きにして下部滑動板を固定し、該下部滑動板の上面に、滑動面を下向きにして、上部滑動板を摺動自在に当接し、前記上部滑動板の上部に、本基礎を構築し、該本基礎上へ所定の構造物を構築するとともに、前記本基礎と、受基礎の間に前記受基礎の外周部であって、前記本基礎の地震時の滑動可能な当接面を設け、該当接面は外側を高く緩傾斜面を形成するとともに、前記受基礎の外周部へ所定間隔で周側壁を設置して、所定幅の環状溝を設け、該環状溝に所定水位の水を収容し、前記本基礎振動の緩衝作用付与の制動装置を設置したことを特徴とする避震滑動基礎装置であり、受基礎の水平仕上げした上面に、滑動面を上向きにして下部滑動板を固定し、該下部滑動板の上面に、滑動面を下向きにして、上部滑動板を摺動自在に当接し、前記上部滑動板の上部に、本基礎を構築し、該本基礎上へ所定の構造物を構築するとともに、前記本基礎と、受基礎の間に前記受基礎の外周部であって、前記本基礎の地震時の滑動可能な当接面を設け、該当接面は外側を高く緩傾斜面を形成するとともに、前記受基礎の単数又は複数個所に円錐状の突起を設けるとともに、該突起を中心として所定直径の制動域を設け、該制動域の外側へ滑動域を設け、前記制動域は前記滑動域より表面傾斜を大きくして緩衝作用付与の制動装置を設置したことを特徴とする避震滑動基礎装置であり、受基礎の水平仕上げした上面に、滑動面を上向きにして下部滑動板を固定し、該下部滑動板の上面に、滑動面を下向きにして、上部滑動板を摺動自在に当接し、前記上部滑動板の上部に、本基礎を構築し、該本基礎上へ所定の構造物を構築するとともに、前記本基礎と、受基礎の間に前記受基礎の外周部へ所定間隔で周側壁を設置して、所定幅の環状溝を設け、該環状溝に所定水位の水を収容し、前記本基礎振動の緩衝作用を付与するとともに、前記受基礎の単数又は複数個所に円錐状の突起を設けるとともに、該突起を中心として所定直径の制動域を設け、該制動域の外側へ滑動域を設け、前記制動域は前記滑動域より表面傾斜を大きくして緩衝作用付与の制動装置を設置したことを特徴とする避震滑動基礎装置である。
【0042】
前記のように、本基礎の移動制約によって制動され、震動は減衰されるので、震度6強の大地震であっても震度5弱の震度となり、建物及び調度品の破壊を未然に防止することができる。
【0043】
前記滑動面からの傾斜度1度〜3度は、建造物の種類、重量により異なるが、要は大地震の際の災害を可及的に少なくすることであり、建造物の種類、構造、重量、大きさ、材質などに鑑み、実験を経て適宜定める。
【発明の効果】
【0044】
この発明は、突発的に生じる地震であっても自動的に対応し、強震(例えば震度6強)であっても、建物には中震以下(例えば震度5弱)の影響力に抑制することができる。
【0045】
また風圧に対しては、風速30mまでは滑動を生じないが(計算上)、風速30m以上になると、建物が滑動しないような措置をする必要がある(例えば滑動。溝内へ阻止駒を収容する)。台風の場合には事前に正確な予報があるから、十分な対応時間があり対応措置に失敗するおそれはない。予め阻止駒を準備しておけば容易に対処できる。
【0046】
本基礎を蓄熱方式に構成すれば、夏季、冬季の冷暖房費を節減することができる効果がある。
【0047】
また一般建物以外の建造物、例えば水槽、油槽、穀槽、各種機械設備の架台及び地上置物(例えば石碑、灯篭、記念碑、石像、銅像など)に応用すれば、強震に対してこれを減衰させ、破壊を未然に防止することができる効果がある。また、原子力発電設備などのような特別防護を要する構造物にあっては、溝幅を大幅に拡大(例えば1m〜10m)することにより耐震制御を確実にする効果がある。溝幅を拡大すると、建造物は恰も湖中の浮島のようになり、制震効果が大きい。また地震の振幅の関係を考慮し、溝の深さを決めれば更に有効である。
【0048】
然して工事が単純であるから、滑動層を作る為の労力、時間は比較的少なく、工期、工費を著しく増大させるおそれはない。
【0049】
またこの発明は、従来知られている免震構法と比較(表3)しても、明らかに優れている。
【0050】
【表3】
【0051】
センサーなどを使用することなく、そのまま自動的に対応できると共に、全荷重が本基礎により支持されているので、局所的に応力が集中するおそれがなく、滑動に際しても各所均等圧力のもとに作用するので、局部的に破損を招くおそれがない。従来の免震又は耐震構造は、複数の支持部(例えば柱)によって支持されているので、万一1つの支持部が破壊すると、その荷重は付近の支持部で分散支持されるが、不均等に分散すると一部へ過大な荷重が掛かり、遂には連鎖破壊を生じるに至ることがある。
【0052】
このように、従来の免震などは破壊の連鎖を生じるおそれがあるが、この発明の場合には前記のような破壊の連鎖を生じる余地は全くないなどの効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】(a)この発明を実施した建物の一部を省略した断面図、(b)同じく一部を省略した平面図。
【図2】この発明の構法の順序を示す図であって、(a)縦掘りの一部を省略した断面拡大図、(b)同じく受基礎、本基礎の一部を省略した断面拡大図、(c)同じく建物を建てた一部を省略した断面拡大図。
【図3】(a)同じく他の実施例の一部を省略した拡大断面図、(b)同じく一部を省略した平面拡大図、(c)同じく滑動層の一部断面拡大図。
【図4】同じく他の実施例(水を用いない)の一部断面拡大図。
【図5】(a)同じく一部を省略した平面図、(b)同じく一部を省略した断面図、(c)同じく隅部の一部を拡大した平面拡大図、(d)同じく一部(c)図の断面拡大図。
【図6】(a)同じく一部を省略した平面図、(b)同じく一部を省略した断面図。
【図7】(a)同じく制動部(円形)を示す一部を省略した平面拡大図、(b)同じく一部を省略した拡大断面図、(c)同じく制動部(平行系)の一部を省略した平面拡大図、(d)同じく一部を省略した断面拡大図。
【図8】(a)同じく正方形としたステンレス鋼板の一部を省略した拡大平面図、(b)同じく一部を省略した拡大正面図、(c)同じく矩形としたステンレス鋼板の一部を省略した拡大平面図、(d)同じく一部を省略した拡大正面図。
【図9】(a)同じく正方形ガラス板の一部を省略した平面図、(b)同じく正面図、(c)同じく矩形ガラス板の一部を省略した平面図、(d)同じく矩形ガラス板の一部を省略した正面図。
【図10】(a)同じく正方形の陶板の一部を省略した平面図、(b)同じく一部を省略した正面図、(c)同じく矩形の陶板の一部を省略した平面図、(d)同じく一部を省略した正面図。
【図11】(a)同じく長方形滑動板のセット例を示す平面図、(b)同じく上部板の正面図、(c)同じく下部板の正面図。
【図12】(a)同じく長方形滑動板のセット例を示す平面図、(b)同じく上部板の正面図、(c)同じく下部板の正面図。
【図13】(a)同じく正方形滑動板のセット例を示す平面図、(b)同じく上部板の正面図、(c)同じく下部板の正面図。
【図14】(a)同じく避震滑動地上型基礎の外部制動溝の一部を省略した縦断面図、(b)同じく一部を省略した平面図、(c)同じく他の実施例の一部を省略した断面図、(d)同じく一部を省略した平面図。
【図15】(a)同じく避震滑動地上型基礎の内部制動溝の一部を省略した縦断面図、(b)同じく一部を省略した平面図。
【図16】(a)同じく滑動溝幅を大きくした実施例の一部省略し、一部断面した平面説明図、(b)同じく一部断面説明図。
【図17】同じく地震と溝内の水の動きの説明図(イ、ロ、ハ、ニ、ホ、ヘ、ト)。
【図18】(a)同じく一部を省略した平面図、(b)同じく一部を省略した一部断面拡大図、(c)同じく一部を省略した平面図。
【図19】(a)同じく一部を省略した平面図、(b)同じく一部を省略した断面拡大図、(c)同じく制動溝の一部平面図、(d)同じく配管ピットの平面図。
【図20】(a)同じく一部を省略した平面図、(b)同じく一部を省略した断面拡大図、(c)同じく一部を省略した制動部の平面図。
【図21】(a)同じく一部を省略した平面図、(b)同じく一部を省略した断面拡大図、(c)同じく他の実施例の制動部のない部分の一部断面拡大図、(d)同じく一部を省略した制動部の平面図。
【図22】(a)同じく蓄熱基礎の実施例の一部を省略した横断平面図、(b)同じく一部を省略した断面図、(c)同じく一部を省略した断面拡大図。
【図23】同じく(a)、(b)、(c)はこの発明の使用例を示す斜視図であって、(a)陳列台、(b)展示台(c)医療機台、(d)貨物台。
【図24】(a)同じくこの発明の建物の位置復元を図るジャッキの一部を省略した拡大平面図、(b)同じく一部を省略した拡大正面図。
【発明を実施するための形態】
【0054】
この発明は、建物の建設と、滑動の復元作業の為の余地を考慮して用地を決定し、所定地を整地の上総掘すると共に、掘削底(地盤)強度の調査を行い、必要に応じて土質改良又は杭打等の補強工事を実施し、建物荷重及び本基礎荷重を支持し得る地盤を整備し、ついで設計に基づき地下排水管等の埋設を行い、例えば栗石敷設の上展圧し、その上に均しの捨コンクリートを打設する。上記は地盤整備の従来法を用いるので、前記地盤整備の方法と異なっても、この発明に属するものである。
【0055】
前記捨コンクリート上へ、厚さ20cmの鉄筋コンクリートの受基礎を設ける。前記受基礎の外周上部へ厚さ20cmの鉄筋コンクリート製の側壁を周繞設置する。前記側壁の内側であって、受基礎上へ滑動溝幅(例えば30cm〜40cm)をおいて表面を堅モルタルにより完全水平(平面)に仕上げ、この平面上へ下部滑動板の割付を設計図に基づいて行う。ついで、下部滑動板上へ上部滑動板を重ね合わせる。
【0056】
前記上部滑動板上へ鉄筋コンクリート製の本基礎(厚さ40cm)を設ける。この本基礎を設けることにより、前記側壁との間に滑動溝が構成される。当然のこと乍ら滑動溝内の水位は、前記本基礎の上面より下位にあるようにする。ついで前記本基礎上へ、通常の要領により建物を建設すると共に、滑動溝内へ適量の水を注入すれば、この発明の構法を終了する。前記において滑動溝底は、側壁側を高くして、本体基礎の抵抗を大きくし、滑動阻止できるようにしてある。
【0057】
従って本基礎は、滑動抵抗と、前記滑動溝底の抵抗によって滑動の緩和と阻止とが連続的に行われ、結果的に震度6強の震度は震度5弱の影響力となり、震度6強の激震であっても震度5弱程度の中震以下に低下して防震、制震の目的を達成し、建物を防護し、内容家具などの破損を防止することになる。
【実施例1】
【0058】
この発明の実施例を図1,2,3に基づいて説明する。この発明は、建物等(地上構造物、塔、碑、その他設置物を含む)を地上に構築する際、耐震又は免震その他大地震対策として用いる構法である。従って地盤の状態によって、地盤の造成については異なるが、地盤上の構法に関しては従来構法と同一である。
【0059】
また高層又は超高層については、各種変更があると思われるが、一般木造家屋又は中層構造物(5〜6階建鉄筋、鉄骨コンクリート構造物)については、ほぼ同一構法を採用することができる。次に、各種構造物(以下「建物」という)を構築する際の構法を説明する。前記における地盤の構築は従来法によるので、詳細な説明を省略する。
【0060】
(1)地業の作業
用地は滑動と復元作業の為の余地を考慮して若干広く決定する(例えば、通常用地の外側へ少なくとも1m幅を加えた用地とする)。先ず前記決定した用地1を整地し、その内側(滑動溝の外壁の外側を目途とする)を深さ1m位総掘する(基礎穴2)。地盤の悪い場合(建物の重量に耐え得るか否かで決める)には、更に20cm位掘り下げる。この掘り下げ部分(図2(a))へ砂利、栗石3を詰めた上に捨てコンクリート4を打設する(図2(b))。また、地盤が特に悪い場合にはコンクリート基礎杭を打設する。
【0061】
(2)受基礎構築
前記捨てコンクリート4の上面をほぼ平面に均した後、底面と、周辺側面に所要の補強配筋し(通常の地盤を構築する要領、建物の荷重により配筋量を決める。総て設計書による)、型枠建込の上コンクリートを打設する。これにより周側壁5と基礎6を構築する。次に型枠を除去した後、基礎6の内側の受基礎7の滑動面対応上面7aの表面に堅練りモルタル10を薄く塗り(例えば1cm)完全水平面に仕上げる。前記仕上げ面に下部滑動板8,8をその滑動面を上向きにして、前記水平上へ割付固定する。前記捨てコンクリート4は、各栗石3の間にも入り込み、一体的盤状となるようにする。
【0062】
(3)滑動層
前記下部滑動板8は、モルタル10により、受基礎7上へ固定する。前記下部滑動板8上へ上部滑動板9を滑動面を下にして重ねると共に、各目地をシールし、前記滑動面上へ配筋すると共に、モルタル10aを置いて配筋と上部滑動板9とを一体化することにより下部滑動板8と上部滑動板9により滑動層を完成する。前記目地は、各滑動板の当接部にできる。
【0063】
(4)制動溝の構成
前記周側壁5と、制動層外周壁との間の滑動溝底11上面は、滑動層側から滑動壁11a、制動壁11b(若干例えば2度〜3度上向傾斜)及び停止壁11cと、段階的に急になる上向傾斜底とする(図2(b)、(c))。
【0064】
前記のように、滑動溝底11に制動を設けない時には、本基礎と、受基礎の間へ設ける。このような時には、本基礎構築時に行うことになる。また蓄熱する時には本基礎内に空洞を設け、この空洞に栗石などの蓄熱体を充填し、前記空洞内へ熱気又は冷気の吹き込みパイプと、給気パイプを連結し、熱気又は冷気を吹き込んで蓄熱し、これを給気パイプにより必要な場所へ供給すれば、冷暖房の補助として使用することができる(この点は実施例8で説明する)。
【0065】
(5)本基礎の構築
前記上部滑動板の上面周縁へ型枠を建て込み、底面及び側面へ所定の配筋をした後、周側壁5のコンクリート面より若干低い面まで打設する(例えば配管12、13の施工高さまで)。前記コンクリートの硬化をまって、上層部に配筋を行い所定の高さまでコンクリートを打設した上に(周側壁5の上面よりも高く)、モルタルにより上面仕上げし、本基礎15とする(図4)。
【0066】
前記本基礎15の下部には通水用の配管12,13を縦横に設けると共に、必要なアンカーボルト(例えば建物との緊結用)を埋設する。前記配管12、13は前後左右の周側壁の内側の水位が振動時に異常に高くなるのを防止するために設ける。
【0067】
前記本基礎15の周壁、側壁の周壁及び滑動溝底には夫々防水処理を施し、滑動溝2内で水洩れを起こさないように配慮する。また滑動溝2には溢水管、排水管(図示なし)その他通常の設備を付設して、滑動溝のデメリット(溢水、乾水、落下防止その他)を未然に防止する。
【0068】
前記上下部滑動板の材質としては、ステンレス板16、陶板17、ガラス板18などが用いられ、ステンレス板16及びガラス板18には、剛性付与の為にモルタル板19を併設するのが普通である(図8、9)。
【0069】
前記実施例において、地震の結果本基礎が滑動し、その滑動量が修正を要する程の量(例えば4cm〜10cm)になった時には、図24に示すように、予め設置したジャッキ29に加圧油を注入し、ロッド28を矢示31のように押し出して、本基礎15を旧位置の方向に移動させる。前記押し出しに要する力は、予め計算できるので、ジャッキ29の能力を勘案し、適所へ複数台設置すれば目的を容易に達成することができる。
【0070】
尤も前記滑動量の修正は、何年又は何十年に一度であるから、前記ジャッキの設置場所のみ用意し、修正すべき滑動量は専門業者に依頼することになる。
【実施例2】
【0071】
この発明の他の実施例を図3に基づいて説明する。この実施例は、鉄筋コンクリート造建物について、この発明の水を利用した避震滑動基礎構法である。次の条件で設定した。
【0072】
建物 鉄筋コンクリート造4階建
建積面積 100m2
延面積 400m2
貯水池水量 800m2
貯水池水量 2110t
貯水池水深 3.5m
前記実施例は、図3(a)に示すような池30を総掘りし、ついで池底30aに地盤を築いた後(従来構法による)、地盤上及び側壁上に一定厚さ(例えば5cm〜10cm)のコンクリート32を打設し、その表面に防水モルタル層を設ける。前記池30の中央部へ、面積100m2の建物用地を決めて、該用地表面に硬モルタル層33(防水モルタル兼用)の正確な水平面を設けた後、下部滑動板8を滑動面を上にして敷設する(敷設は他の実施例で説明図11、12、13)。次に、滑動板8上へ、滑動面を下にした滑動板9を載置して位置決めした後、前記滑動板9上へ接着用モルタル35を敷設し、該接着用モルタル35の上部へ鉄筋を配し、これに本基礎用のコンクリート34を打設する(例えば厚さ30cm)。前記建物用地の周外側の表面には、前記滑動板9が移動した場合に、これを制動又は制止すべく、建物側から滑動壁に制動壁及び停止壁を設けることは前記実施例1と同様である(滑動壁は図8、9、10で説明)。図4は、滑動溝に水を入れない乾式(砂利36を入れる)を示す。図4の場合でも滑動溝底11によって制動される。
【0073】
前記滑動壁、制動壁などは、建物の外側へ設ける場合(図4、5)と、図7のように建物直下の内側へ設ける場合とある。何れにしても、滑動層が矢示37又は38のように摺動することによって、抵抗が増加し、その摩擦抵抗により遂には停止するように設計されている。
【実施例3】
【0074】
この実施例は、滑動板に関するものである。図8(a)は450mm×450mmのステンレス板16(厚さ0.4mm)に厚さ8mmのモルタル板19を裏打して用いる。また図8(c)は、600mm×300mmのステンレス板16(厚さ0.4mm)に厚さ8mmの硅カル平板19aを裏打したものである。
【0075】
次に図9(a)は、ガラス板18で、450mm×450mm(厚さ3mm)に厚さ8mmの硅カル板19aを裏打したものであり、図9(c)は600mm×300mm(厚さ3mm)に厚さ8mmの硅カル板19aを裏打ちしたものである。
【0076】
また図10(a)、(b)は、陶板17で450mm×450mm(厚さ15mm)の表面に釉薬17aを施して焼成したものであり、図10(c)、(d)は陶板17で600mm×300mm(厚さ150mm)の表面に釉薬17aを施して焼成したものである。
【0077】
前記実施例は各材料により正方形及び矩形の滑動板の一例であって、このような寸法に特定されたものではなく、自由に選定できる。
【実施例4】
【0078】
この発明の制動の実施例を図5、7に基づいて説明する。図7(a)は、受基礎28の中央部に停止突起25を設けると共に、前記停止突起25を中心として、所定直径の制動域26を設け、前記制動域26の外側へ、所定直径の滑動域27を設けた制御装置である。このように、円形配置すれば地震の方向が矢示37、38その他の方向で不規則であっても、確実に対処することができる(全方位であるから)。図中24は空間、29は本基礎である。
【0079】
次に図7(c)、(d)は側縁と平行な停止突起を停止域40とし、その外側に制動域41を設け、その外側に滑動域42を設けたもので、図中39は空間である。この場合には、各域は平行に設けられた実施例である。
【0080】
また図5(c)は、本基礎29の外側滑動溝底43上に停止域44、制動域45、滑動域46を設ける。
【実施例5】
【0081】
この発明の実施例を図11、12、13に基づいて説明すると、図11(a)は、長尺滑動板62を配置したもので、上下に配置する際、上部滑動板62aを矢示64の方向へ平行して設置すれば、下部滑動板62bは矢示66の方向へ重ね、結局上下部滑動板62a、62bは、交叉して配置される。このようにすれば各滑動板62a、62bの受圧条件が均等になる。
【0082】
次に図12(a)は、長方形の滑動板63を互いに滑動できるように配置したものである。また図13(a)は、各方形滑動板68、68aを互いに1/2ずらして配置したものである。これにより各部の目地部の条件相違が補完され、恰も一枚で構成されたものと近似したものとなる。
【実施例6】
【0083】
この発明の実施例を図14、15に基づいて説明する。図14(a)は、本造2階建69に、外部制動溝70を設けたものである。この場合には、制動溝70に制動源を設置し、水なしのものである。次に図14(c)は、本造2階建69の本基礎69aと、受基礎69bの間の滑動層72内に制動装置72aを設けた場合がある。図中79は台風時の滑動阻止ブロックである。
【0084】
また図15(a)は、鉄筋コンクリート建73に用い、滑動溝74に水を入れた場合である。図中75は受基礎、76は本基礎、77は滑動層、78は通水パイプである。制動作用は前記実施例4と同一である(図示なし)。
【実施例7】
【0085】
この発明における貯水池(各実施例の溝に相当する)と、水深の実施例を図16について説明すると共に、地震の振幅と振動状態を図17について説明する。
【0086】
貯水池80の中央部へ建造物81を建設する場合に、建造物81の周囲には、湛水しているので、水の浮力によって滑動面における重量が軽減される。この浮力は、本基礎82の水深(水に浸されている深さd1)によって定まる。
【0087】
前記のように、湛水した場合には、水による潤滑効果と、水の浮力による総重量の軽減による相乗効果により、大地震(震度6強)の場合にも震度5弱以下に緩和される。図中82は滑動層、83は通水パイプである。
【0088】
前記における地震地の水の動きを、図17に基づいて説明すると、(イ)は震動が摩擦限界以下であって、建造物81は移動していない。(ロ)は摩擦限界以上の震度であるけれども、建造物81が滑動しない場合の水の変動を示す(図中xは基礎不動を示す。以下同じ)。次に(ハ)は建造物81が矢示84の方向へ滑動した場合の水面の変化を示す。また(ニ)、(ホ)は滑動しない場合を示し、(ヘ)は矢示85の方向へ滑動する場合を示し、(ト)は滑動しない場合を示す。図中86は受基礎、87は本基礎である。
【0089】
前記において、水面の変動は鎖線で示し、半水面は実線で示した。
【0090】
前記図17において示したように、大震度の際に、滑動しないと(ロ)、(ホ)のように、水面傾斜が大きくなり、滑動により(ハ)、(ヘ)のように水面の傾斜が小さくなるので、地震の影響力が消滅されることが判る。
【0091】
前記実施例において、地震により生ずるあらゆる変動が、地震の周期内に収束して原状に復することが求められる。そこで、建造物の側面と、貯水池の縁部との幅を、その水深と同等とすることを基準とする。このようにすれば、地震により生じる水面の上下変動は、振幅と同じとなると共に、水圧の変動も少ないので、水面の安定に要する時間が短くなる。但し、前記は建造物の平面形状が正方形又はこれに近い場合である。従って、建造物の平面形状が長方形、又は無視できない大きな凹凸がある場合又は貯水池として必要な面積が少ない場合は、本基礎内に通水パイプを設けて水流を円滑にし、水平面を得る時間を短縮化するなどの工夫を要する。
【実施例8】
【0092】
この発明の実施例を図18、19、20、21に基づいて説明する。図18は軽量鉄骨建造物の一例であって、2〜3階建の場合である。基礎地盤の上に栗石3を敷き詰め、栗石3の上に受基礎86を設け、受基礎86の上に滑動層82を設け、滑動層82の上に本基礎を構築する。前記滑動層82の適所に制動部90を設ける。制動部90は、滑動面と制動面を設けることは従来と同様である。この実施例のように、2〜3階建ての場合には、制動部90を2〜4箇所設ける。この場合の制動部90は制動面が並行しているが、地震の震動方向が不定(判らない)の場合には、平面同心円状の制動面が好ましい。図中81は建造物、91は配管ピットである。
【0093】
次に図19はRC構造の集合住宅(ラーメン構造)であって、3〜4階建ての例である。この実施例の場合も基本的には、図18と同一であるが、図18の実施例に比し、建物が大きく、かつ高くなるので、基礎は地盤の耐性を考慮しつつ、十分の支持力を得るべくコンクリート杭92を打設する。この場合においても地盤の対性によって、コンクリート杭の直径、本数、密度などを決める必要がある。そこで受基礎86、本基礎87の強度に留意する必要がある。
【0094】
また図20の実施例は、重量鉄骨構造物(ラーメン工法)における1〜2階建ての例を示す。この実施例も前記実施例(図19)と同様に、コンクリート杭92を打設した上に、受基礎86を設置し、滑動層82を介して本基礎87を設置する。前記において、本基礎87の外周に突壁93による溝96を設けて、外囲とし、溝96に水を入れる。この点は図2の実施例と同一であって、作用効果も同一である。図中93は柱、94はジャッキ据え付け用のピットであり、内部に制動部90が設けてある。前記ジャッキ据え付け用のピット94にジャッキを据え付けることによって、本基礎のずれ(地震による)を修正することができる。
【0095】
また図21の実施例は、煉瓦、石造建物(組積工法)における1〜3階建てのものである。この建物の基礎も基本的に前記各建物で説明したとおりである。即ち、基礎杭92を打設し、その上に栗石3その他を用いて受基礎86を敷設し、その上へ滑動層82を介して本基礎87を設置する。この場合には、本基礎の広さに応じ、複数個の制動部90を設ける。
【実施例9】
【0096】
この発明の他の実施例を図23に基づいて説明する。この実施例は、この発明が建築物以外の構造物についても有用であることを示す一例である。
【0097】
即ち図23において(a)は受基礎100に滑動層101を介して本基礎102を設置し、本基礎102の上部へ陳列台103を設置したものである。
【0098】
次に(b)は受基礎100に滑動層101を介して本基礎102を設置し、本基礎102の上部を展示台107として展示台107上に各列陳列物106を陳列したものである。
【0099】
また(c)は本基礎102上へ医療機、その他の機械類104を設置するものである。
【0100】
更に(d)は受基礎100、滑動層101及び本基礎102をセットとする振動盤であって、各種物品の貨物台105としたものである。
【0101】
前記のように、振動盤108を基本とし、各種物品等の震動を低下させる震動盤とすることができる。
【実施例10】
【0102】
この発明の他の実施例を図22に基づいて、本基礎50を蓄熱用に用いた場合を説明する。本基礎50の中央部には蓄熱室51を設け、各蓄熱室51内を格子状に区切り、多数の部屋とし、この部屋の内へ夫々蓄熱礫52を充填し、各仕切り壁53へ通気孔を設け、前記本基礎50の一側部へ吸入口55(外気)を設け、他側部へ、排出口56を設け、外気を吸入して蓄熱し、ここに空気を通すようにして、この空気により暖房又は冷房したものである。
【0103】
前記実施例において、例えば夏季に、夜間に冷気を矢示57のように吸気し、各格子状部へ矢示58,59,60,61のように導いて、礫を十分冷却しておき、昼間には、室内空気を吸い込んで蓄熱室で冷却した後、各部屋に給送すれば、部屋内を冷却することができる。
【0104】
また各季は逆に、日中の暖かい空気で蓄熱し、夜間に部屋の空気を蓄熱室に送って加温した後、再び部屋に戻せば、部屋を暖めることができる。
【0105】
前記のように、本基礎50内で冷却又は加熱した熱により、室内の冷暖房を援助することができる。
【符号の説明】
【0106】
1 用地
2 基礎穴
3 栗石
4 コンクリート
5 周側壁
6 基礎
7 受基礎
8,9 滑動板
10 モルタル
11 制動底
12,13 配管
15 本基礎
16 ステンレス板
17 陶板
18 ガラス板
19 モルタル板
24,39 空間
25 停止突起
30 池
32,34 コンクリート
40 停止域
41 制動域
42 滑動域
69 木造2階建
70 外部制動溝
75 受基礎
76 本基礎
77 滑動層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物建設用地に地盤を設けた後、地盤上へ型枠を設けると共に配筋し、ついでコンクリートを打設して、周側壁及び受基礎を設け、該受基礎上を平面処理し、該平面上へ下部の滑動板を固定し、前記下部の滑動板上へ上部の滑動板を重ねて滑動層を形成し、前記滑動層上へ、型枠と、配筋を設けた後、コンクリートを打設して所定形状の本基礎を形成し、前記本基礎と受基礎の間の受基礎上へ滑動制御面を設け、前記本基礎上へ建物を構築することを特徴とした避震滑動基礎構法。
【請求項2】
建物建設用地を所定の深さに掘削し、該掘削底に地盤を設けた後、地盤上へ型枠を設けると共に配筋し、ついでコンクリートを打設して、周側壁及び受基礎を設け、該受基礎上を平面処理し、該平面上へ下部の滑動板を固定し、前記下部の滑動板上へ上部の滑動板を重ねて滑動層を形成し、前記滑動層上へ、型枠と、配筋を設けた後、コンクリートを打設して所定形状の本基礎を形成し、前記周側壁と、本基礎との間の滑動溝底に滑動制御面を設け、前記本基礎上へ建物を構築することを特徴とした避震滑動基礎構法。
【請求項3】
本基礎下部の面する受基礎上部へ滑動制御面を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の避震滑動基礎構法。
【請求項4】
本基礎内へ蓄熱部を設け、冷熱風の吸入及び排出装置を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の避震滑動基礎構法。
【請求項5】
滑動溝内へ所定量の水を入れて、一定水位を保たせることを特徴とした請求項1又は2記載の避震滑動基礎構法。
【請求項6】
受基礎の水平仕上げした上面に、滑動面を上向きにして下部滑動板を固定し、該下部滑動板の上面に、滑動面を下向きにして、上部滑動板を摺動自在に当接し、前記上部滑動板の上部に、本基礎を構築し、該本基礎上へ所定の構造物を構築するとともに、前記本基礎と、受基礎の間に制動装置を設置したことを特徴とする避震滑動基礎装置。
【請求項7】
受基礎の水平仕上げした上面に、滑動面を上向きにして下部滑動板を固定し、該下部滑動板の上面に、滑動面を下向きにして、上部滑動板を摺動自在に当接し、前記上部滑動板の上部に、本基礎を構築し、該本基礎上へ所定の構造物を構築するとともに、前記本基礎と、受基礎の間に前記受基礎の外周部であって、前記本基礎の地震時の滑動可能な当接面を設け、該当接面は外側を高く緩傾斜面を形成する制動装置を設置したことを特徴とする避震滑動基礎装置。
【請求項8】
受基礎の水平仕上げした上面に、滑動面を上向きにして下部滑動板を固定し、該下部滑動板の上面に、滑動面を下向きにして、上部滑動板を摺動自在に当接し、前記上部滑動板の上部に、本基礎を構築し、該本基礎上へ所定の構造物を構築するとともに、前記本基礎と、受基礎の間に前記受基礎の外周部へ所定間隔で周側壁を設置して、所定幅の環状溝を設け、該環状溝に所定水位の水を収容し、前記本基礎振動の緩衝作用付与の制動装置を設置したことを特徴とする避震滑動基礎装置。
【請求項9】
受基礎の水平仕上げした上面に、滑動面を上向きにして下部滑動板を固定し、該下部滑動板の上面に、滑動面を下向きにして、上部滑動板を摺動自在に当接し、前記上部滑動板の上部に、本基礎を構築し、該本基礎上へ所定の構造物を構築するとともに、前記本基礎と、受基礎の間に前記受基礎の単数又は複数個所に円錐状の突起を設けるとともに、該突起を中心として所定直径の制動域を設け、該制動域の外側へ滑動域を設け、前記制動域は前記滑動域より表面傾斜を大きくして緩衝作用付与の制動装置を設置したことを特徴とする避震滑動基礎装置。
【請求項10】
受基礎の水平仕上げした上面に、滑動面を上向きにして下部滑動板を固定し、該下部滑動板の上面に、滑動面を下向きにして、上部滑動板を摺動自在に当接し、前記上部滑動板の上部に、本基礎を構築し、該本基礎上へ所定の構造物を構築するとともに、前記本基礎と、受基礎の間に前記受基礎の外周部であって、前記本基礎の地震時の滑動可能な当接面を設け、該当接面は外側を高く緩傾斜面を形成するとともに、前記受基礎の外周部へ所定間隔で周側壁を設置して、所定幅の環状溝を設け、該環状溝に所定水位の水を収容し、前記本基礎振動の緩衝作用付与の制動装置を設置したことを特徴とする避震滑動基礎装置。
【請求項11】
受基礎の水平仕上げした上面に、滑動面を上向きにして下部滑動板を固定し、該下部滑動板の上面に、滑動面を下向きにして、上部滑動板を摺動自在に当接し、前記上部滑動板の上部に、本基礎を構築し、該本基礎上へ所定の構造物を構築するとともに、前記本基礎と、受基礎の間に前記受基礎の外周部であって、前記本基礎の地震時の滑動可能な当接面を設け、該当接面は外側を高く緩傾斜面を形成するとともに、前記受基礎の単数又は複数個所に円錐状の突起を設けるとともに、該突起を中心として所定直径の制動域を設け、該制動域の外側へ滑動域を設け、前記制動域は前記滑動域より表面傾斜を大きくして緩衝作用付与の制動装置を設置したことを特徴とする避震滑動基礎装置。
【請求項12】
受基礎の水平仕上げした上面に、滑動面を上向きにして下部滑動板を固定し、該下部滑動板の上面に、滑動面を下向きにして、上部滑動板を摺動自在に当接し、前記上部滑動板の上部に、本基礎を構築し、該本基礎上へ所定の構造物を構築するとともに、前記本基礎と、受基礎の間に前記受基礎の外周部へ所定間隔で周側壁を設置して、所定幅の環状溝を設け、該環状溝に所定水位の水を収容し、前記本基礎振動の緩衝作用を付与するとともに、前記受基礎の単数又は複数個所に円錐状の突起を設けるとともに、該突起を中心として所定直径の制動域を設け、該制動域の外側へ滑動域を設け、前記制動域は前記滑動域より表面傾斜を大きくして緩衝作用付与の制動装置を設置したことを特徴とする避震滑動基礎装置。
【請求項1】
建物建設用地に地盤を設けた後、地盤上へ型枠を設けると共に配筋し、ついでコンクリートを打設して、周側壁及び受基礎を設け、該受基礎上を平面処理し、該平面上へ下部の滑動板を固定し、前記下部の滑動板上へ上部の滑動板を重ねて滑動層を形成し、前記滑動層上へ、型枠と、配筋を設けた後、コンクリートを打設して所定形状の本基礎を形成し、前記本基礎と受基礎の間の受基礎上へ滑動制御面を設け、前記本基礎上へ建物を構築することを特徴とした避震滑動基礎構法。
【請求項2】
建物建設用地を所定の深さに掘削し、該掘削底に地盤を設けた後、地盤上へ型枠を設けると共に配筋し、ついでコンクリートを打設して、周側壁及び受基礎を設け、該受基礎上を平面処理し、該平面上へ下部の滑動板を固定し、前記下部の滑動板上へ上部の滑動板を重ねて滑動層を形成し、前記滑動層上へ、型枠と、配筋を設けた後、コンクリートを打設して所定形状の本基礎を形成し、前記周側壁と、本基礎との間の滑動溝底に滑動制御面を設け、前記本基礎上へ建物を構築することを特徴とした避震滑動基礎構法。
【請求項3】
本基礎下部の面する受基礎上部へ滑動制御面を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の避震滑動基礎構法。
【請求項4】
本基礎内へ蓄熱部を設け、冷熱風の吸入及び排出装置を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の避震滑動基礎構法。
【請求項5】
滑動溝内へ所定量の水を入れて、一定水位を保たせることを特徴とした請求項1又は2記載の避震滑動基礎構法。
【請求項6】
受基礎の水平仕上げした上面に、滑動面を上向きにして下部滑動板を固定し、該下部滑動板の上面に、滑動面を下向きにして、上部滑動板を摺動自在に当接し、前記上部滑動板の上部に、本基礎を構築し、該本基礎上へ所定の構造物を構築するとともに、前記本基礎と、受基礎の間に制動装置を設置したことを特徴とする避震滑動基礎装置。
【請求項7】
受基礎の水平仕上げした上面に、滑動面を上向きにして下部滑動板を固定し、該下部滑動板の上面に、滑動面を下向きにして、上部滑動板を摺動自在に当接し、前記上部滑動板の上部に、本基礎を構築し、該本基礎上へ所定の構造物を構築するとともに、前記本基礎と、受基礎の間に前記受基礎の外周部であって、前記本基礎の地震時の滑動可能な当接面を設け、該当接面は外側を高く緩傾斜面を形成する制動装置を設置したことを特徴とする避震滑動基礎装置。
【請求項8】
受基礎の水平仕上げした上面に、滑動面を上向きにして下部滑動板を固定し、該下部滑動板の上面に、滑動面を下向きにして、上部滑動板を摺動自在に当接し、前記上部滑動板の上部に、本基礎を構築し、該本基礎上へ所定の構造物を構築するとともに、前記本基礎と、受基礎の間に前記受基礎の外周部へ所定間隔で周側壁を設置して、所定幅の環状溝を設け、該環状溝に所定水位の水を収容し、前記本基礎振動の緩衝作用付与の制動装置を設置したことを特徴とする避震滑動基礎装置。
【請求項9】
受基礎の水平仕上げした上面に、滑動面を上向きにして下部滑動板を固定し、該下部滑動板の上面に、滑動面を下向きにして、上部滑動板を摺動自在に当接し、前記上部滑動板の上部に、本基礎を構築し、該本基礎上へ所定の構造物を構築するとともに、前記本基礎と、受基礎の間に前記受基礎の単数又は複数個所に円錐状の突起を設けるとともに、該突起を中心として所定直径の制動域を設け、該制動域の外側へ滑動域を設け、前記制動域は前記滑動域より表面傾斜を大きくして緩衝作用付与の制動装置を設置したことを特徴とする避震滑動基礎装置。
【請求項10】
受基礎の水平仕上げした上面に、滑動面を上向きにして下部滑動板を固定し、該下部滑動板の上面に、滑動面を下向きにして、上部滑動板を摺動自在に当接し、前記上部滑動板の上部に、本基礎を構築し、該本基礎上へ所定の構造物を構築するとともに、前記本基礎と、受基礎の間に前記受基礎の外周部であって、前記本基礎の地震時の滑動可能な当接面を設け、該当接面は外側を高く緩傾斜面を形成するとともに、前記受基礎の外周部へ所定間隔で周側壁を設置して、所定幅の環状溝を設け、該環状溝に所定水位の水を収容し、前記本基礎振動の緩衝作用付与の制動装置を設置したことを特徴とする避震滑動基礎装置。
【請求項11】
受基礎の水平仕上げした上面に、滑動面を上向きにして下部滑動板を固定し、該下部滑動板の上面に、滑動面を下向きにして、上部滑動板を摺動自在に当接し、前記上部滑動板の上部に、本基礎を構築し、該本基礎上へ所定の構造物を構築するとともに、前記本基礎と、受基礎の間に前記受基礎の外周部であって、前記本基礎の地震時の滑動可能な当接面を設け、該当接面は外側を高く緩傾斜面を形成するとともに、前記受基礎の単数又は複数個所に円錐状の突起を設けるとともに、該突起を中心として所定直径の制動域を設け、該制動域の外側へ滑動域を設け、前記制動域は前記滑動域より表面傾斜を大きくして緩衝作用付与の制動装置を設置したことを特徴とする避震滑動基礎装置。
【請求項12】
受基礎の水平仕上げした上面に、滑動面を上向きにして下部滑動板を固定し、該下部滑動板の上面に、滑動面を下向きにして、上部滑動板を摺動自在に当接し、前記上部滑動板の上部に、本基礎を構築し、該本基礎上へ所定の構造物を構築するとともに、前記本基礎と、受基礎の間に前記受基礎の外周部へ所定間隔で周側壁を設置して、所定幅の環状溝を設け、該環状溝に所定水位の水を収容し、前記本基礎振動の緩衝作用を付与するとともに、前記受基礎の単数又は複数個所に円錐状の突起を設けるとともに、該突起を中心として所定直径の制動域を設け、該制動域の外側へ滑動域を設け、前記制動域は前記滑動域より表面傾斜を大きくして緩衝作用付与の制動装置を設置したことを特徴とする避震滑動基礎装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2010−248894(P2010−248894A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73215(P2010−73215)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(502303979)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(502303979)
【Fターム(参考)】
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