説明

部品吸着ノズル及び部品実装装置

【課題】吸着部同士の相対移動の自由度が極めて高く、多種類のシールド部品に対する吸着を行うことができる吸着ノズル及び部品実装装置を提供することを目的とする。
【解決手段】シールド部品吸着用ノズル22が、装着ヘッド16に取り付けられて内部に装着ヘッド側真空圧供給管路16aと繋がるベース部内真空管路54,55を有したベース部51、一端側が第1枢結具61によりベース部51に枢結され、第1枢結具61回りの任意の回動位置で位置決め可能な第1アーム部62、一端側が第2枢結具63により第1アーム部62の他端側に枢結され、第2枢結具63回りの任意の回動位置で位置決め可能な第2アーム部64及び第2アーム部64の他端側に設けられた吸着部65から成る複数の吸着部ユニット52を有し、各吸着部ユニット52は、ベース部内真空管路54,55を介して装着ヘッド側真空圧供給管路16aと連通する吸着管路67を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品実装装置が備える装着ヘッドに取り付けられ、装着ヘッド側の真空圧供給管路からの真空圧の供給を受けて部品の吸着を行う吸着ノズル及びこの吸着ノズルを備えた部品実装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
部品実装装置は基板に電子部品を含む種々の部品を装着する装置であり、基板の位置決めを行う基板位置決め部、部品の供給を行う部品供給部及び基板位置決め部により位置決めした基板に対して移動自在な装着ヘッドを備えている。装着ヘッドは真空圧の供給によって部品を吸着する吸着ノズルを備えており、吸着ノズルにより部品供給部から供給される部品を吸着して基板上に移動させ、そこで吸着を解除することで部品を基板に装着する。
【0003】
このような部品実装装置では、基板に装着された電子部品の周囲を取り囲んで基板に取り付けられるシールド部品と呼ばれる部品を基板に取り付ける場合がある。このシールド部品は通常、汎用部品ではなく、基板に取り付けられた状態の電子部品(或いは電子部品群)のサイズや形状等に応じて作成される専用部品であるうえ、極めて限定された複数の吸着指定箇所のみが吸着ノズルによって吸着可能となっているケースが多い。このため吸着ノズル側もシールド部品の複数の吸着指定箇所を同時に吸着できる複数の吸着部を備えた構成が必要であり、吸着ノズルもまたシールド部品に応じた専用品として製作される場合が多い。
【0004】
一方、吸着ノズルを専用品とするのではなく、シールド部品上の複数の吸着指定箇所に応じて複数の吸着部の位置を相対的に変えることができるようにしたものも知られている(例えば、特許文献1)。このタイプの吸着ノズルは、吸着部が形成された複数のノズルブロックをそれぞれ装着ヘッドの本体部に対してスライド自在に構成したものであり、各ノズルブロックをスライドさせて複数の吸着部の相対位置をシールド部品が有する複数の吸着指定箇所の配置に合致するようにすることで複数種類のシールド部品に対する吸着を可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−206059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ノズルブロックを本体部に対してスライドさせる構成の上記従来の吸着ノズルは、ノズルブロック同士の干渉が妨げとなって各吸着部の移動範囲が大きく制限されるものであった。このため吸着部同士の相対移動の自由度は必ずしも大きくなく、この吸着ノズルによって吸着できるシールド部品の種類はさほど多くないという問題点があった。
【0007】
そこで本発明は、吸着部同士の相対移動の自由度が極めて高く、多種類のシールド部品に対する吸着を行うことができる吸着ノズル及び部品実装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の吸着ノズルは、部品実装装置が備える装着ヘッドに取り付けられ、装着ヘッド側の真空圧供給管路からの真空圧の供給を受けて部品の吸着を行う吸着ノズルであって、装着ヘッドに取り付けられて内部に装着ヘッド側の真空圧供給管路と繋がる真空管路を有したベース部と、一端側が第1枢結具によりベース部に枢結され、第1枢結具回りの任意の回動位置で位置決め可能な第1アーム部、一端側が第2枢結具により第1アーム部の他端側に枢結され、第2枢結具回りの任意の回動位置で位置決め可能な第2アーム部及び第2アーム部の他端側に設けられた吸着部から成る複数の吸着部ユニットとを有し、各吸着部ユニットは、第1枢結具内に設けられてベース部内の真空管路と繋がる第1枢結具内管路、第1アーム部の内部に設けられて第1枢結具内管路と繋がる第1アーム部内管路、第2枢結具内に設けられて第1アーム部内管路と繋がる第2枢結具内管路、第2アーム部の内部に設けられて第2枢結具内管路と繋がる第2アーム部内管路及び吸着部の内部に設けられて第2アーム部内管路と繋がる吸着部内管路から成る吸着管路を備えた。
【0009】
請求項2に記載の吸着ノズルは、請求項1に記載の吸着ノズルであって、ベース部に対する吸着部ユニットの取り付け部であるユニット取り付け部がベース部に取り付けられる吸着部ユニットの数よりも多く設けられている。
【0010】
請求項3に記載の吸着ノズルは、請求項1又は2に記載の吸着ノズルであって、ベース部に取り付けられ、吸着部と接触した状態の部品に当接して部品を支持する部品支持ユニットを備えた。
【0011】
請求項4に記載の吸着ノズルは、請求項3に記載の吸着ノズルであって、ユニット取り付け部がベース部に取り付けられる吸着部ユニットの数よりも多く設けられており、部品支持ユニットはユニット取り付け部に取り付けられる。
【0012】
請求項5に記載の吸着ノズルは、請求項1乃至4の何れかに記載の吸着ノズルであって、部品は基板に装着された電子部品の周囲を取り囲んで基板に取り付けられるシールド部品から成る。
【0013】
請求項6に記載の部品実装装置は、請求項1乃至5の何れかに記載の吸着ノズルを備えた装着ヘッドを用いて基板に部品を装着する。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、ベース部に取り付けられて内部に吸着管路が形成された複数の吸着部ユニットはそれぞれ、ベース部に取り付けられた第1枢結具回りに回動自在な第1アーム部と第1アーム部の他端に取り付けられた第2枢結具回りに回動自在な第2アーム部を有し、第2アーム部の他端に吸着部が設けられた構成となっているので、各吸着部ユニットの吸着部は第1枢結具を中心とする一定の範囲内で自在に移動させることができる。このため吸着部同士の相対位置の配置の自由度は極めて高く、多種類のシールド部品に対する吸着を行うことができる。また、本発明は、シールド部品のみならず、コネクタ等のように複数の吸着部によって安定的に吸着する必要のある異形部品の吸着にも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態における部品実装装置の構成図
【図2】本発明の一実施の形態における部品実装装置が備える装着ヘッドの斜視図
【図3】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品実装装置が備える装着ヘッドのシャフト部材とシャフト部材に取り付けられる電子部品吸着用ノズルの側面図
【図4】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品実装装置が備える装着ヘッドのシャフト部材とシャフト部材に取り付けられるシールド部品吸着用ノズルの側面図
【図5】本発明の一実施の形態におけるシールド部品吸着用ノズルの(a)側断面図(b)下面図
【図6】本発明の一実施の形態におけるシールド部品吸着用ノズルの下方斜視図
【図7】本発明の一実施の形態におけるシールド部品吸着用ノズルの一部の上方斜視図
【図8】本発明の一実施の形態におけるシールド部品吸着用ノズルの分解下方斜視図
【図9】本発明の一実施の形態におけるシールド部品吸着用ノズルの分解側断面図
【図10】本発明の一実施の形態におけるシールド部品吸着用ノズル及びシールド部品の斜視図
【図11】本発明の一実施の形態におけるシールド部品吸着用ノズル及びシールド部品の一部断面側面図
【図12】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるシールド部品吸着用ノズルによって基板にシールド部品を装着する手順を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1に示す部品実装装置1は、基板2上に設けられた電極部3への電子部品4の装着、基板2の電極部3に装着した電子部品4の周囲を取り囲むシールド部品5の基板2上への装着を行う装置であり、図示しない基台上に設けられて基板2の搬送と位置決めを行う基板搬送コンベア11、基台に取り付けられて部品取り出し口12pへの電子部品4の供給を行う電子部品供給部としての複数のテープフィーダ12とシールド部品5の供給を行うシールド部品供給部としてのトレイフィーダ13、基台上に設けられた直交軸ロボットから成る装着ヘッド移動ロボット14によって基板搬送コンベア11の上方を移動自在であり、下方に延びた複数のシャフト部材15を有した装着ヘッド16、装着ヘッド16の側方に取り付けられた基板カメラ17、基台上に設けられた部品カメラ18及びこれら各部の作動制御を行う制御装置19を備えている。
【0017】
図2において、装着ヘッド16が備える複数のシャフト部材15のうちの一部の下端には、テープフィーダ12より供給される電子部品4を吸着するための電子部品吸着用ノズル21が取り付けられており、複数のシャフト部材15のうちの他の一部の下端には、シールド部品5を吸着するためのシールド部品吸着用ノズル22が取り付けられている。各シャフト部材15は装着ヘッド16に対して昇降自在(図2中に示す矢印A)であるとともに、上下軸回りに回転自在(図2中に示す矢印B)に設けられている。
【0018】
図1において、基板カメラ17は撮像視野を下方に向けた状態で装着ヘッド16に取り付けられており、部品カメラ18は撮像視野を上方に向けた状態で基台上に取り付けられている。
【0019】
基板搬送コンベア11による基板2の搬送及び位置決め動作は制御装置19が図示しないアクチュエータ等から成るコンベア駆動機構31の作動制御を行うことによってなされる。
【0020】
各テープフィーダ12による部品取り出し口12pへの電子部品4の供給動作は制御装置19が図示しないアクチュエータ等から成るテープフィーダ駆動機構32の作動制御を行うことによってなされる。
【0021】
装着ヘッド16の移動動作は制御装置19が装着ヘッド移動ロボット14の作動制御を行うことによってなされる。また、装着ヘッド16が備える各シャフト部材15の昇降動作及び回転動作は制御装置19が図示しないアクチュエータ等から成るシャフト部材駆動機構33の作動制御を行うことによってなされ、電子部品吸着用ノズル21を介した電子部品4の吸着動作及びシールド部品吸着用ノズル22を介したシールド部品5の吸着動作は制御装置19が図示しないアクチュエータ等から成る吸着機構34の作動制御を行うことによってなされる。
【0022】
基板カメラ17による撮像動作の制御と部品カメラ18による撮像動作の制御は制御装置19によってなされる。基板カメラ17の撮像動作によって得られた画像データと部品カメラ18の撮像動作によって得られた画像データはそれぞれ制御装置19に送信され、制御装置19の画像認識部19aにおいて画像認識処理がなされる。
【0023】
図3(a),(b)に示すように、電子部品吸着用ノズル21は、上方に延びた挿入部41sを有した鍔状のベース部41と、ベース部41から下方に延びて設けられた吸着部42が一体に成形されて成り、ベース部41及び吸着部42の内部にはこれらを上下方向に貫通するノズル内真空管路43が設けられている。
【0024】
電子部品吸着用ノズル21は、ベース部41の挿入部41sがシャフト部材15の下端に下方に開口して設けられたノズル取り付け孔15aに下方から挿入されてシャフト部材15に取り付けられる。電子部品吸着用ノズル21がシャフト部材15に取り付けられた状態では、電子部品吸着用ノズル21内を延びるノズル内真空管路43がシャフト部材15内を延びる装着ヘッド16側の真空管路(装着ヘッド側真空圧供給管路16a)と連通し、前述の吸着機構34から装着ヘッド側真空圧供給管路16a経由でノズル内真空管路43内に真空圧を供給することができるようになる。
【0025】
図4〜図9に示すように、シールド部品吸着用ノズル22は、シャフト部材15の下端に取り付けられるベース部51、ベース部51の下部に取り付けられる複数の吸着部ユニット52及び複数の部品支持ユニット53から成る。
【0026】
ベース部51は、上方に延びた挿入部51sを有した鍔状の上部ベース51aと、上部ベース51aの下面に設けられた円盤状の下部ベース51bから成る。上部ベース51aの内部には上下方向に貫通する第1のベース部内真空管路54が設けられており、下部ベース51bの内部には、第1のベース部内真空管路54と連通する複数の第2のベース部内真空管路55が設けられている。第2のベース部内真空管路55は下部ベース51bの上面に沿って放射状に延びており、その外周側の端部には下部ベース51bの厚さ方向に延びて下面に開口するユニット取り付け部55aが形成されている。なお、第2のベース部内真空管路55の下部ベース51bの上面に沿って放射状に延びる部分は上方に開口した溝状に形成されており、上部ベース51aと下部ベース51bが接合された状態において、上部ベース51aによって上方の開口が塞がれるようになっている。第2のベース部内真空管路55は単純な座グリ穴形状としてもよい。
【0027】
各吸着部ユニット52はシールド部品5に接触してシールド部品5を吸着する機能を有するものであり、図4〜図6、図8及び図9に示すように、第1枢結具61、第1アーム部62、第2枢結具63、第2アーム部64及び吸着部65を有して成る。第1アーム部62と第2アーム部64はそれぞれ水平方向に延びた形状を有している。
【0028】
図8及び図9において、第1アーム部62の一端側には第1枢結具挿通孔62aが上下方向に貫通して設けられており、第1アーム部62の他端側には第2枢結具挿通孔62bが上下方向に貫通して設けられている。また、第2アーム部64の一端側には第2枢結具挿通孔64aが上下方向に貫通して設けられており、第2アーム部64の他端側には吸着部取り付け突起64bが下方に延びて設けられている。
【0029】
第1枢結具61は第1アーム部62の第1枢結具挿通孔62aに下方から挿通され、その上端の螺子部(図示せず)が下部ベース51bに開口して設けられた複数のユニット取り付け部55aのうちのひとつに螺着されている。第2枢結具63は第2アーム部64の第2枢結具挿通孔64aと第1アーム部62の第2枢結具挿通孔62bにこの順で下方から挿通され、その上端の螺子部(図示せず)にはナット66が螺着されている。
【0030】
吸着部65は全体として円筒状に形成されて上下に貫通した吸着部内管路65sを有しており、吸着部内管路65sを第2アーム部64の上記吸着部取り付け突起64bに下方から外嵌させて第2アーム部64に取り付けられている。
【0031】
図6において、第1アーム部62はベース部51に取り付けられた第1枢結具61の上下中心軸J1回りに水平面内で回動自在であり(図中に示す矢印R1)、第2アーム部64は第1アーム部62に取り付けられた第2枢結具63の上下中心軸J2回りに水平面内で回動自在である(図中に示す矢印R2)。このため第2アーム部64の他端部に取り付けられた吸着部65は、他の吸着部ユニット52や2つの部品支持ユニット53と干渉する領域を除いて、第1枢結具61の上下中心軸J1を中心とする一定の範囲内、すなわち第1枢結具61の上下中心軸J1と第2枢結具63の上下中心軸J2との間の水平距離L1と、第2枢結具63の上下中心軸J2と吸着部65の上下中心軸J3との間の水平距離L2とを合わせた長さを半径とする円形範囲内)で自在に移動させることができる。
【0032】
なお、第1アーム部62は第1枢結具61をベース部51に螺着して締め付けることによって第1枢結具61回りの任意の回動位置で位置決めすることができ、第2アーム部64はナット66を第2枢結具63に螺着して締め付けることによって第2枢結具63回りの任意の回動位置で位置決めすることができる。
【0033】
図5、図8及び図9において、第1枢結具61の内部にはベース部51内の真空管路と繋がるとともに第1枢結具61の円筒状の側面において第1枢結具挿通孔62a内に開口する第1枢結具内管路61sが設けられており、第1アーム部62の内部には第1枢結具挿通孔62aから延びて第2枢結具挿通孔62bに開口する第1アーム部内管路62sが設けられている。
【0034】
第2枢結具63の内部には第1アーム部62の第2枢結具挿通孔62b内に開口するとともに第2アーム部64の第2枢結具挿通孔64a内に開口する第2枢結具内管路63sが設けられており、第2アーム部64の内部には第2アーム部64の第2枢結具挿通孔64aから延びて吸着部取り付け突起64bの下面に開口する第2アーム部内管路64sが設けられている。この第2アーム部内管路64sは第2アーム部64の吸着部取り付け突起64bに取り付けられた吸着部65の吸着部内管路65sに繋がる。
【0035】
このように本実施の形態におけるシールド部品吸着用ノズル22は、装着ヘッド16に取り付けられて内部に装着ヘッド16側の真空圧供給管路である装着ヘッド側真空圧供給管路16aと繋がる真空管路を有したベース部51と、一端側が第1枢結具61によりベース部51に枢結され、第1枢結具61回りの任意の回動位置で位置決め可能な第1アーム部62、一端側が第2枢結具63により第1アーム部62の他端側に枢結され、第2枢結具63回りの任意の回動位置で位置決め可能な第2アーム部64及び第2アーム部64の他端側に設けられた吸着部65から成る複数の吸着部ユニット52を有している。そして、各吸着部ユニット52は、第1枢結具61内に設けられてベース部51内の真空管路と繋がる第1枢結具内管路61s、第1アーム部62の内部に設けられて第1枢結具内管路61sと繋がる第1アーム部内管路62s、第2枢結具63内に設けられて第1アーム部内管路62sと繋がる第2枢結具内管路63s、第2アーム部64の内部に設けられて第2枢結具内管路63sと繋がる第2アーム部内管路64s及び吸着部65の内部に設けられて第2アーム部内管路64sと繋がる吸着部内管路65sから成る吸着管路67(図5(a))を備えている。
【0036】
図4(a),(b)において、シールド部品吸着用ノズル22は、ベース部51の挿入部51sがシャフト部材15の下端に下方に開口して設けられたノズル取り付け孔15aに下方から挿入されてシャフト部材15に取り付けられる。シールド部品吸着用ノズル22がシャフト部材15に取り付けられた状態では、各吸着部ユニット52内を延びる吸着管路67がベース部51内の真空管路を介してシャフト部材15内を延びる装着ヘッド側真空圧供給管路16aと連通し、吸着機構34から装着ヘッド側真空圧供給管路16a及びベース部51内の真空管路経由で吸着管路67内に真空圧を供給することができるようになる。
【0037】
本実施の形態におけるシールド部品吸着用ノズル22では、ベース部51に取り付けられて内部に吸着管路67が形成された複数の吸着部ユニット52はそれぞれ、ベース部51に取り付けられた第1枢結具61回りに回動自在な第1アーム部62と第1アーム部62の他端に取り付けられた第2枢結具63回りに回動自在な第2アーム部64を有し、第2アーム部64の他端に吸着部65が設けられた構成となっているので、各吸着部ユニット52の吸着部65は第1枢結具61を中心とする一定の範囲内で自在に移動させることができ、これにより複数の吸着部65の相対位置をシールド部品5が有する複数の吸着指定箇所(後述)の配置に合致するようにすることができる。
【0038】
ベース部51に取り付けられる各部品支持ユニット53は、吸着部ユニット52と接触した状態のシールド部品5に当接してシールド部品5を支持する機能を有するものであり、図4〜図6、図8及び図9に示すように、ベース部51(下部ベース51b)に取り付けられるスペーサピン71と、スペーサピン71に取り付けられるサポート部材72を有して成る。
【0039】
サポート部材72は水平部72aと水平部72aの一端側から下方に延びた垂直部72bを有して成り、水平部72aには複数の溝部72mが設けられている。サポート部材72は、各スペーサピン71の下端部に形成された螺子孔71aに取り付けられる取り付け螺子73とスペーサピン71の下端との間に溝部72mの縁が挟まれるようにしてスペーサピン71に取り付けられる。サポート部材72がスペーサピン71に取り付けられた状態では、図5(a)に示すように、サポート部材72の垂直部72bの下端がベース部51に取り付けられた各吸着部ユニット52の吸着部65の下端とほぼ同じ水平レベルLVに位置する。なお、サポート部材72は、水平部72aに設けられた溝部72mを取り付け螺子73に対して相対移動させることによって、スペーサピン71に対するサポート部材72の取り付け位置の調整を行うことができる。
【0040】
ここで、各部品支持ユニット53のスペーサピン71は、吸着部ユニット52の第1枢結具61と同様、ベース部51に設けられた複数のユニット取り付け部55aのうちのひとつに選択的に取り付けられる。部品支持ユニット53のスペーサピン71が取り付けられたユニット取り付け部55aは、そのスペーサピン71によってプラグされた状態となり、その箇所からの第2のベース部内真空管路55への空気の出入りは遮断される。
【0041】
図10に示す一例としてのシールド部品5は、平面視において矩形状に配置された4つの側壁5aを備えるとともに、対向する一組の側壁5aの上部の間に掛け渡された帯状の連結部5bを備えて成り、基板2上に既に装着されている電子部品4或いは電子部品4の集合である電子部品群の周囲を4つの側壁5aで取り囲むように基板2上に装着される。
【0042】
本実施の形態におけるシールド部品5では、連結部5bの上面の2箇所が2つの吸着部ユニット52による吸着指定箇所Pとして使用可能であり、これに付随して、連結部5bを挟んで対向する一対の側壁5aの上面の領域が2つの部品支持ユニット53による支持指定領域Sとして使用可能である。
【0043】
このような場合、部品実装装置1のオペレータは、シールド部品吸着用ノズル22を用いたシールド部品5の吸着の事前準備として吸着部ユニット52と部品支持ユニット53の配置調整を行う。具体的には、各吸着部ユニット52と各部品支持ユニット53をベース部51が備える複数のユニット取り付け部55aに選択的に取り付けたうえで、各吸着部ユニット52については、第1枢結具61に対する第1アーム部62の回動と第2枢結具63に対する第2アーム部64の回動とを組み合わせて吸着部65を水平面内で移動させることによって、各吸着部ユニット52の吸着部65がシールド部品5上の2つの吸着指定箇所Pに接触し得るようにする。また、各部品支持ユニット53については、スペーサピン71に対するサポート部材72の取り付け位置を前述の要領で調整して、各サポート部材72の垂直部72bがシールド部品5上の2つの支持指定領域Sに接触し得るようにする。
【0044】
本実施の形態では、ベース部51に対する吸着部ユニット52の取り付け部であるユニット取り付け部55aがベース部51に取り付けられる吸着部ユニット52の数よりも多く設けられた構成となっているので、吸着部ユニット52の配置自由度は高く、図10に示す形状のシールド部品5に限られず、様々な形状のシールド部品5に対応してその吸着を行うことができる。
【0045】
ベース部51に吸着部ユニット52と部品支持ユニット53を配置するに際してのユニット取り付け部55aに対する吸着部ユニット52と部品支持ユニット53の取り付け位置の選択は、吸着部ユニット52による吸着指定箇所Pの吸着と部品支持ユニット53による支持指定領域Sの支持とが同時に満たされるようになされるが、吸着部ユニット52による吸着指定箇所Pの吸着と部品支持ユニット53による支持指定領域Sの支持とを同時に満たすことができないと判断した場合には、吸着部ユニット52による吸着指定箇所Pの吸着が優先されるようにし、部品支持ユニット53によるシールド部品5の支持は二次的なものとしてもよい。
【0046】
したがって、部品支持ユニット53は必ずしも用意された数のものを全部使用する必要はなく、更には吸着部ユニット52だけでシールド部品5を安定的に吸着することができるのであれば、部品支持ユニット53は使用しなくてもよい。
【0047】
部品支持ユニット53によるシールド部品5の支持が二次的なものであることについては、部品支持ユニット53はベース部51に対して着脱自在であるので都合がよい。また、部品支持ユニット53は部品支持ユニット53の専用の取り付け部をベース部51に有しているのではなく、吸着部ユニット52の取り付け部に取り付けるようになっているので、ベース部51に対する部品支持ユニット53の配置方法に大きな自由度があるのも利点である。
【0048】
ここでは部品支持ユニット53は2つのスペーサピン71によってひとつのサポート部材72を支持する構成となっているが、ひとつのスペーサピン71によってひとつのサポート部材72を支持する構成としてもよい。このようにすればサポート部材72の配置の自由度が更に高まる。なお、上述の吸着部ユニット52とサポート部材72の配置に用いないユニット取り付け部はプラグで塞ぎエア漏れを防ぐようにする。
【0049】
次に、本実施の形態における部品実装装置1による電子部品4の基板2への装着作業とこれに続くシールド部品5の基板2への装着作業について説明する。
【0050】
部品実装装置1による電子部品4の基板2への装着作業では、部品実装装置1の制御装置19は先ず、コンベア駆動機構31の作動制御を行って基板搬送コンベア11を作動させ、部品実装装置1の上流工程側の他の装置から送られてきた基板2を搬入し、所定の作業位置に位置決めする。制御装置19は、基板2を所定位置に位置決めしたら、装着ヘッド移動ロボット14の作動制御を行って装着ヘッド16を基板2の上方に移動させ、基板カメラ17に基板2上の一対の基板マーク2m(図1)の撮像を行わせる。制御装置19は、一対の基板マーク2mの画像データが得られたら、その基板マーク2mの画像認識を行って基板2の基準位置からの位置ずれを求める。
【0051】
制御装置19は、基板2の基準位置からの位置ずれを求めたら、基板2上の各電極部3に電子部品4を装着する以下の電子部品装着工程を繰り返し実行する。
【0052】
電子部品装着工程では、制御装置19は、テープフィーダ駆動機構32の作動制御を行って各テープフィーダ12に部品取り出し口12pへの電子部品4の供給動作を行わせる一方、装着ヘッド移動ロボット14の作動制御を行って装着ヘッド16をテープフィーダ12の上方に位置させるとともに、シャフト部材駆動機構33及び吸着機構34の作動制御を行って装着ヘッド16が備える電子部品吸着用ノズル21に電子部品4を吸着させる。
【0053】
制御装置19は、電子部品吸着用ノズル21に電子部品4を吸着させたら、装着ヘッド16を移動させて電子部品4が部品カメラ18の上方を通過するようにする。そして、部品カメラ18に電子部品4の撮像を行わせ、その撮像によって得られた画像データに基づいて電子部品吸着用ノズル21に対する電子部品4の位置ずれを把握したうえで、装着ヘッド16を基板2の上方に位置させる。制御装置19は、装着ヘッド16を基板2の上方に位置させたらシャフト部材15を下降させ、電子部品4が基板2上の電極部3に接触したところで吸着を解除して電子部品4を電極部3上に装着させる。
【0054】
ここで制御装置19は、電子部品4を電極部3上に装着するときは、基板カメラ17による基板マーク2mの撮像によって得られた基板2の位置ずれと、部品カメラ18による電子部品4の撮像によって得られた電子部品吸着用ノズル21に対する電子部品4の位置ずれがキャンセルされるように電子部品吸着用ノズル21の位置及び回転方向の補正を行うようにする。
【0055】
制御装置19は、上記電子部品装着工程を繰り返すことによって電子部品4の基板2への装着作業が終了したら、次いで、シールド部品5の基板2への装着作業を行なう。
【0056】
シールド部品5の基板2への装着作業では、制御装置19は、装着ヘッド移動ロボット14の作動制御を行って装着ヘッド16をトレイフィーダ13の上方に位置させるとともに、シャフト部材駆動機構33及び吸着機構34の作動制御を行って装着ヘッド16が備えるシールド部品吸着用ノズル22にシールド部品5を吸着させる。このシールド部品5の吸着では、前述のように、シールド部品吸着用ノズル22が備える2つの吸着部ユニット52によって連結部5b上の2つの吸着指定箇所Pを吸着するとともに、2つの部品支持ユニット53によって2つの支持指定領域Sを支持する。
【0057】
制御装置19は、シールド部品吸着用ノズル22にシールド部品5を吸着させたら、装着ヘッド16を移動させてシールド部品5が部品カメラ18の上方を通過するようにする。そして、部品カメラ18にシールド部品5の撮像を行わせ、シールド部品吸着用ノズル22に対するシールド部品5の位置ずれを把握したうえで、装着ヘッド16を基板2の上方に位置させる(図12(a))。制御装置19は、装着ヘッド16を基板2の上方に位置させたらシャフト部材15を下降させ(図12(a)中に示す矢印C)、シールド部品5が基板2に接触したところで吸着を解除してシールド部品5を基板2上の所定箇所に装着させる(図12(b))。
【0058】
制御装置19は、シールド部品5の基板2への装着作業が終了したら、基板搬送コンベア11を作動させて基板2を部品実装装置1の下流工程側の他の装置に搬出する。
【0059】
以上説明したように、本実施の形態におけるシールド部品吸着用ノズル22(及びシールド部品吸着用ノズル22を備えた部品実装装置1)では、各吸着部ユニット52の吸着部65は第1枢結具61を中心とする一定の範囲内で自在に移動させることができるので、吸着部65同士の相対位置の配置の自由度は極めて高く、多種類のシールド部品5に対する吸着を行うことができる。
【0060】
なお、上述の実施の形態では、吸着部ユニット52と部品支持ユニット53の数はともに2つであったが、これは一例に過ぎず、ベース部51に設けられたユニット取り付け部55aの数に応じた任意の数であってよい。
【0061】
また、上述の実施の形態では、シールド部品吸着用ノズル22の構成をシールド部品吸着用ノズル22によってシールド部品5を吸着して基板2に装着する場合を例にして説明したが、本実施の形態におけるシールド部品吸着用ノズル22はシールド部品5のみならず、コネクタ等のように複数の吸着部65によって安定的に吸着する必要のある部品異形部品の基板2への装着の際にも用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
吸着部同士の相対移動の自由度が極めて高く、多種類のシールド部品に対する吸着を行うことができる吸着ノズル及び部品実装装置を提供する。
【符号の説明】
【0063】
1 部品実装装置
2 基板
4 電子部品
5 シールド部品(部品)
16 装着ヘッド
16a 装着ヘッド側真空圧供給管路(真空圧供給管路)
22 シールド部品吸着用ノズル(吸着ノズル)
51 ベース部
52 吸着部ユニット
53 部品支持ユニット
54 第1のベース部内真空管路(真空管路)
55 第2のベース部内真空管路(真空管路)
55a ユニット取り付け部
61 第1枢結具
61s 第1枢結具内管路
62 第1アーム部
62s 第1アーム部内管路
63 第2枢結具
63s 第2枢結具内管路
64 第2アーム部
64s 第2アーム部内管路
65 吸着部
65s 吸着部内管路
67 吸着管路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品実装装置が備える装着ヘッドに取り付けられ、装着ヘッド側の真空圧供給管路からの真空圧の供給を受けて部品の吸着を行う吸着ノズルであって、
装着ヘッドに取り付けられて内部に装着ヘッド側の真空圧供給管路と繋がる真空管路を有したベース部と、
一端側が第1枢結具によりベース部に枢結され、第1枢結具回りの任意の回動位置で位置決め可能な第1アーム部、一端側が第2枢結具により第1アーム部の他端側に枢結され、第2枢結具回りの任意の回動位置で位置決め可能な第2アーム部及び第2アーム部の他端側に設けられた吸着部から成る複数の吸着部ユニットとを有し、
各吸着部ユニットは、第1枢結具内に設けられてベース部内の真空管路と繋がる第1枢結具内管路、第1アーム部の内部に設けられて第1枢結具内管路と繋がる第1アーム部内管路、第2枢結具内に設けられて第1アーム部内管路と繋がる第2枢結具内管路、第2アーム部の内部に設けられて第2枢結具内管路と繋がる第2アーム部内管路及び吸着部の内部に設けられて第2アーム部内管路と繋がる吸着部内管路から成る吸着管路を備えたことを特徴とする吸着ノズル。
【請求項2】
ベース部に対する吸着部ユニットの取り付け部であるユニット取り付け部がベース部に取り付けられる吸着部ユニットの数よりも多く設けられていることを特徴とする請求項1に記載の吸着ノズル。
【請求項3】
ベース部に取り付けられ、吸着部と接触した状態の部品に当接して部品を支持する部品支持ユニットを備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の吸着ノズル。
【請求項4】
ユニット取り付け部がベース部に取り付けられる吸着部ユニットの数よりも多く設けられており、
部品支持ユニットはユニット取り付け部に取り付けられることを特徴とする請求項3に記載の吸着ノズル。
【請求項5】
部品は基板に装着された電子部品の周囲を取り囲んで基板に取り付けられるシールド部品から成ることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の吸着ノズル。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載の吸着ノズルを備えた装着ヘッドを用いて基板に部品を装着することを特徴とする部品実装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−30644(P2013−30644A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166290(P2011−166290)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】