説明

部品組付方法及び部品組付装置

【課題】 部品組付方法及び部品組付装置において、部品を人手を介さずに容易に保持し、汎用性を高め、設備のコストを抑え、部品の組付精度を高めることにある。
【解決手段】 ドアにアウタモール13、ドアモール等の長尺部品を組み付ける方法であって、所定の位置に置かれた部品を吸着保持する工程と、部品を吸着保持した状態でドアの所定箇所に搬送する工程と、部品を吸着保持した状態で三次元的に位置決めしながらドアに組み付ける工程と、から構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品組付方法及び部品組付装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の部品組付方法及び部品組付装置として、ドアトリム本体に、ウェザーストリップを保持したウェザーストリップ保持機構を対向させ、このウェザーストリップ保持機構をドアトリム本体に回動させつつ押圧してウェザーストリップを組み付ける技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平10−109278号公報
【0003】
特許文献1の図1を以下の図7で説明する。なお、符号は振り直した。
図7は従来の部品組付方法及び部品組付装置を示す説明図である。
ウェザーストリップの装着装置は、ドアトリム本体201を保持する基材受け機構202と、ドアトリム本体201の縁にウェザーストリップ203を装着するためにウェザーストリップ203を保持するウェザーストリップ保持機構204とを備え、基材受け機構202にウェザーストリップ保持機構204を対向させたものである。
【0004】
ウェザーストリップ保持機構204は、ウェザーストリップ203を受ける受けブラケット206と、ウェザーストリップ203を押さえる押さえブラケット207とを備え、ウェザーストリップ203に設けた挟持枠部208の開口部を中心にして揺動運動を行わせる回動手段211と、ウェザーストリップ203をドアトリム本体201側に前進させる前後動手段212とを設けた機構である。
【0005】
ドアトリム本体201にウェザーストリップ203を組付けるには、回動手段211を作動させてウェザーストリップ203の挟持枠部208の開口部をドアトリム本体201の縁に対して所定角度傾斜させた状態とし、前後動手段212によりウェザーストリップ203を前進させて挟持枠部208の開口部をドアトリム本体201の縁に密着させ、回動手段211と前後動手段212とを同時に作動させることにより、挟持枠部208の開口部を中心とする回動運動を加えつつウェザーストリップ203を前進させてドアトリム本体201の縁にウェザーストリップ203の挟持枠部208を嵌め込む。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記ウェザーストリップの装着装置では、ウェザーストリップ203を受けブラケット206及び押さえブラケット207とで保持するため、例えば、作業者がウェザーストリップ203を受けブラケット206に装着する工程と、この後に、押さえブラケット207を移動させてウェザーストリップ203を押さえ付ける工程とが必要であるが、できれば、人手を介さずにウェザーストリップ203を保持できるのが望ましい。
【0007】
また、受けブラケット206及び押さえブラケット207は、ウェザーストリップ203の形状に合わせたものであり、形状の異なる別のウェザーストリップには使用できない。形状の異なるウェザーストリップを保持するためには、その形状に合った受けブラケット及び押さえブラケットが必要になるから、汎用性に乏しく、設備に多くのコストが掛かる。
【0008】
更に、ウェザーストリップの装着装置では、ウェザーストリップ保持機構204は、挟持枠部208の開口部を中心とする揺動及びドアトリム本体201に対する前後動のみでウェザーストリップ203を装着するため、例えば、ドアトリム本体201の縁(この縁は、紙面に垂直に延びている。)が基材受け機構202に対して図の上下に傾いていたり、図の左右に傾いている形状のものでは、ドアトリム本体201にウェザーストリップ203を精度良く組み付けることが難しい。
【0009】
本発明の課題は、部品組付方法及び部品組付装置において、部品を人手を介さずに容易に保持し、汎用性を高め、設備のコストを抑え、部品の組付精度を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、組立本体に部品を組み付ける方法であって、所定の位置に置かれた部品を吸着保持する工程と、部品を吸着保持した状態で組立本体の所定箇所に搬送する工程と、部品を吸着保持した状態で三次元的に位置決めしながら組立本体に組み付ける工程と、から構成したことを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明は、1台の部品組付装置で、種類の異なる部品をそれぞれに対応した組付箇所に組み付けることを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る発明は、部品を組み付ける際、複数のくの字形部材の2つの端部にそれぞれ取付けた弾性部材製のローラで部品を組立本体に押し付けることを特徴とする。
【0013】
請求項4に係る発明は、部品を吸着保持部で吸着保持し、この状態で組立本体に部品を組み付ける部品組付装置において、吸着保持部を、部品を吸着する吸着部と、複数のくの字形部材の2つの端部にそれぞれ弾性部材製のローラを回転自在に取付けることで吸着部で吸着した状態の部品を2つのローラで保持する保持部とから構成したことを特徴とする。
【0014】
請求項5に係る発明は、部品を、長尺な金属製部材又は長尺な樹脂製部材としたことを特徴とする。
【0015】
請求項6に係る発明は、金属製部材又は樹脂製部材を、自動車用ドアの縁に取付けるアウタモール又は自動車用ドアの側面に取付けるドアモールとしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明では、所定の位置に置かれた部品を組立本体の所定箇所まで搬送し、組立本体への組付けを終了するまで、部品を一貫して吸着するので、部品をほとんど人手を介さずに組付けることが可能になり、部品組付の自動化を図ることができる。また、部品を吸着保持した状態で三次元的に位置決めしながら組立本体に組み付けるので、部品の組付箇所が三次元的に傾斜していても、部品の組付精度を高めることができ、組立完了品の品質を向上させることができる。
【0017】
請求項2に係る発明では、種類の異なる部品を、その部品毎に異なる部品組付装置で組み付けるのに比べて、部品組付装置の台数を少なくすることができ、設備に要するコストを抑えることができる。
【0018】
請求項3に係る発明では、複数のくの字形部材で部品を組立本体に押し付けるので、長尺な部品の各部をほぼ均等に押し付けて組付けることができ、部品の局部的な変形、破損を防止することができて、組立完了品の品質を向上させることができる。
また、くの字形部材の2つの端部のローラで部品を組立本体に押し付けるため、部品を2つのローラで2点支持することができ、形状の異なった部品を一種類のくの字形部材で簡単に押し付けることができ、部品組付装置の汎用性を高めることができる。
【0019】
請求項4に係る発明では、部品の吸着及び保持を吸着部及び保持部によって人手を介さずに行うことができ、部品組付けの自動化が可能になる。また、複数のくの字形部材の2つの端部にそれぞれ弾性部材製のローラを回転自在に取付けた保持部によって、部品を2点支持で確実に保持できるため、形状の異なる部品を保持部によって保持することができ、部品組付装置の汎用性を高めることができる。
また、回転自在なローラにより部品を保持するときにローラが回転して部品に無理な力が加わらず、更に、ローラが弾性部材製であるから部品を傷つける心配がない。
【0020】
請求項5に係る発明では、部品が長尺な金属製部材又は長尺な樹脂製部材であっても、複数のくの字形部材で保持するため、部品を組み付けるときにくの字形部材でより均等に部品を押し付けることができ、部品の変形や破損を防止することができる。
【0021】
請求項6に係る発明では、金属製部材又は樹脂製部材をアウタモール又はドアモールとしたので、くの字形部材で、アウタモール又はドアモールを確実に且つ容易に保持することができ、しかも傷付けることがなく、また、複数のくの字形部材でドアにより均等に押し付けて組み付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る部品組付装置の斜視図であり、部品組付装置10は、例えば、自動車用のドア11のアウタパネル12の縁(後に詳述するフランジ部84である。)にアウタモール13を取付けたり、アウタパネル12の側面にドアモール14を取付ける装置であり、アウタモール13(又はドアモール14)を吸着及び保持する吸着保持部16と、この吸着保持部16を支持する支持部17とからなる。
【0023】
吸着保持部16については、次図で詳細に説明する。
支持部17は、ベース部21と、このベース部21に旋回自在に取付けた回転軸22と、この回転軸22に上下スイング自在に取付けた第1アーム23と、この第1アーム23の先端に上下スイング自在に取付けたアーム基部24と、このアーム基部24に回転自在に取付けた第2アーム26とからなり、この第2アーム26に前述の吸着保持部16をスイング自在に取付ける。
【0024】
ここで、符号28は吸着保持部16に接続するホースや支持部17の各駆動部に接続する導線を束ねたチューブである。図中には各部の回転方向、スイング方向を矢印で示した。即ち、矢印a,bは吸着保持部16の上下、左右の各スイング方向(ここで、左右のスイングとは、アウタモール13の端を上下させるスイングである。)、矢印cは回転軸22の回転方向、矢印dは第1アーム23のスイング方向、矢印eはアーム基部24のスイング方向、矢印fは第2アーム26の回転方向、矢印gは回転軸22の回転による吸着保持部16のスイング方向、矢印hは第1アーム23のスイング又はアーム基部24のスイングによる吸着保持部16のスイング方向である。以上の各矢印の向きの動作については、図示せぬ駆動部で行う。
【0025】
図2は本発明に係る部品組付装置の吸着保持部を示す斜視図であり、吸着保持部16は、支持部17にジョイント31を介して取付けたベースプレート32と、このベースプレート32に取付けた吸着部33及び保持部34とからなる。
【0026】
吸着部33は、ベースプレート32に取付けた3軸アーム36と、この3軸アーム36の先端に取付けた支持フレーム37と、この支持フレーム37に取付けた複数のL字形部材38と、これらのL字形部材38のそれぞれに取付けた吸着部材41とからなる。
【0027】
3軸アーム36は、ベースプレート32に取付けた第1アーム支持部43と、この第1アーム支持部43に第1軸44を介してスイング自在に連結した第1小アーム部材45と、この第1小アーム部材45の先端に取付けた第2アーム支持部46と、この第2アーム支持部46に第2軸47を介してスイング自在に連結した第2小アーム部材48と、この第2小アーム部材48の先端に取付けた第3アーム支持部49と、この第3アーム支持部49に第3軸51を介してスイング自在に連結するとともに先端に支持フレーム37を取付けた第3小アーム部材52とからなる。
【0028】
ここで、55は第1アーム支持部43に対して第1小アーム部材45をスイングさせるために第1アーム支持部43に取付けた第1駆動部、56は第2アーム支持部46に対して第2小アーム部材48をスイングさせるために第2アーム支持部46に取付けた第2駆動部、57は第3アーム支持部49に対して第3小アーム部材52をスイングさせるために第3アーム支持部49に取付けた第3駆動部である。
【0029】
保持部34は、ベースプレート32に取付けたメインフレーム61と、このメインフレーム61の先端に且つメインフレーム61に直交させて取付けたサブフレーム62と、このサブフレーム62の下部に取付けた複数の押さえ具63とからなり、押さえ具63は、サブフレーム62に取付けた複数の柱状部65と、この柱状部65の下端に取付けた保持部材66とからなる。
【0030】
保持部材66は、一対の保持プレート68,68と、これらの保持プレート68,68に回転自在に取付けたローラ71,71とからなり、図は、複数の吸着部材41で吸着した長尺なアウタモール13を複数の保持部材66で保持したことを示す。
【0031】
図3は本発明に係る部品組付装置の側面図である。ここでは、3軸アーム36は想像線で示した。
吸着部材41は、L字形部材38にナット74,75で取付け、負圧源から負圧を導くバキュームホース76を接続することで、先端に設けた吸着口から空気を吸入して部品を吸着する部材であり、3軸アーム36の各アーム部材45,48,52をスイングさせることで、紙面に平行な面に沿って移動可能であるとともに、支持部17(図1参照)によって三次元的に移動可能とした部材である。
【0032】
保持部材66は、吸着部材41で吸着した部品を2つのローラ71,71で保持する部材であり、保持部材66で部品を保持した状態を維持しながら、例えば、吸着保持部16の全体を第2アーム26に設けた支軸78(支軸78は、ジョイント31のスイング軸である。)を中心にして矢印aの向きにスイングさせることで部品の組付角度を変更する。なお、71a,71aはローラ71,71の回転軸となる支軸である。
【0033】
図4は本発明に係る組付用部品を示す断面図であり、部品としてのアウタモール13を示す。アウタモール13は、開口部81を有するほぼ環状の心材82と、この心材82に押出し成形により一体的に形成したゴム製の被覆部83とからなる。
【0034】
被覆部83は、ドア11(図1参照)のアウタパネル12の上縁を折り曲げて形成したフランジ部84に係止するための凸部86,87及びリップ91〜93と、ドアガラス94との間をシールするシールリップ96,97と、目隠しのためのリップ98とを備える。なお、101,102はシールリップ96,97にそれぞれ設けた植毛である。
【0035】
以上に述べた部品組付装置10によるアウタモール13の組付要領を以下の図5及び図6で説明する。
図5(a),(b)は本発明に係る部品組付装置による組付要領を示す第1作用図である。
(a)において、所定の位置に収納箱を配置し、この収納箱の所定位置に、例えば、アウタモール13を配置した状態で、保持部材66の2つのローラ71,71をアウタモール13に押し当てる。このとき、柱状部65は鉛直に延びた状態にある。(65Aは鉛直に延ばした鉛直線である。)
そして、図2及び図3に示した3軸アーム36の各駆動部55,56,57を作動させ、各小アーム部材45,48,52をスイングさせて、図5(a)において、吸着部材41を矢印jの向きに移動し、(b)に示すように、吸着部材41でアウタモール13を吸着する。ローラ71,71は保持プレート68,68に回転自在に取付けたものであるから、ローラ71,71でアウタモール13を保持するときに、アウタモール13に無理な力が加わらず、2点で確実に保持することができる。しかも、ローラ71,71は弾性部材製(例えば、ゴム製)であるから、アウタモール13に傷が付く心配がない。
【0036】
図6(a)〜(c)は本発明に係る部品組付装置による組付要領を示す第2作用図である。なお、ここでは、アウタモール13を太い輪郭線のみで示した。
(a)において、吸着部材41と保持部材66とを一体的に傾ける、即ち、吸着部材41と保持部材66とで構成する吸着保持部材105を紙面に沿って鉛直線65Aに対して角度θ1だけ傾け、また、アウタモール13の開口部81をドアのフランジ部84上方に移動させる。
そして、図中の矢印kで示す向きに吸着保持部材105を移動させる。
【0037】
(b)において、アウタモール13は、フランジ部84の上部にやや掛かった状態になる。この状態から矢印mで示す向きに更に吸着保持部材105を移動させるとともに、矢印nで示す向きに吸着保持部材105を傾ける。
【0038】
(c)は(b)の状態から吸着保持部材105が傾いて、鉛直線65Aに対して角度θ2だけ傾いた状態となり、アウタモール13のリップ93がフランジ部84の下端部84aに係合した状態を示す。これで、アウタモール13の組付けが完了する。
本実施形態では、部品組付装置10(図1参照)によってアウタモール13を三次元的に位置決めしながらドアのフランジ部84に組み付ける。
【0039】
以上の図1、図5及び図6で説明したように、本発明は第1に、組立本体としてのドア11に部品としてのアウタモール13、ドアモール14等の長尺部品を組み付ける方法であって、所定の位置に置かれた部品を吸着保持する工程と、部品を吸着保持した状態でドア11の所定箇所に搬送する工程と、部品を吸着保持した状態で三次元的に位置決めしながらドア11に組み付ける工程と、から構成したことを特徴とする。
【0040】
収納箱に収納した部品をドア11の所定箇所まで搬送し、ドア11への組付けを終了するまで、部品を一貫して吸着するので、部品をほとんど人手を介さずに組付けることが可能になり、部品組付けの自動化を図ることができる。また、部品を吸着保持した状態で三次元的に位置決めしながらドア11に組み付けるので、部品の組付箇所が三次元的に傾斜していても、部品の組付精度を高めることができ、組立完了品、即ちドア完成品の品質を向上させることができる。
【0041】
本発明は第2に、1台の部品組付装置10で、種類の異なる部品をそれぞれに対応した組付箇所に組み付ける、例えば、部品組付装置10でアウタモール13をドア11のフランジ部84に組み付け、また、部品組付装置10でドアモール14をドア11のアウタパネル12の側面に組み付けることを特徴とする。
【0042】
種類の異なるアウタモール13、ドアモール14を、その部品毎に異なる部品組付装置で組み付けるのに比べて、部品組付装置10の台数を少なくすることができ、設備に要するコストを抑えることができる。
【0043】
本発明は第3に、部品を組み付ける際、複数のくの字形部材としての保持部材66の2つの端部にそれぞれ備えた弾性部材製のローラ71,71で部品をドア11に押し付けることを特徴とする。
【0044】
複数の保持部材66、詳しくは、複数のローラ71で部品をドア11に押し付けるので、長尺な部品の各部をほぼ均等に押し付けて組付けることができる。
例えば、人手によって長尺な部品を組み付ける場合に、部品を一ヶ所ずつ押し付けて組み付けるために、押し付けた箇所によって押し付け力にばらつきが発生することがある。押し付け力が過大な箇所では部品が変形し、組付け力が不十分な箇所では部品が浮いた状態となり、外観性を損ねる場合がある。
【0045】
これに対して、本発明では、複数の保持部材66による押圧によって、部品の各部をほぼ同時に且つほぼ均等な押圧力で押し付けることができ、部品の局部的な変形、破損を防止することができて、組立完了品、即ちドア完成品の品質を向上させることができる。
【0046】
また、保持部材66の2つの端部のローラ71,71で部品をドア11に押し付けるため、部品を2つのローラ71,71で2点支持することができ、形状の異なった部品を一種類の保持部材66で簡単に押し付けることができ、部品組付装置10の汎用性を高めることができる。
【0047】
本発明は第4に、図1及び図2で説明したように、アウタモール13、ドアモール14等の長尺部品を吸着保持部16で吸着保持し、この状態でドア11に部品を組み付ける部品組付装置10において、吸着保持部16を、部品を吸着する吸着部33と、複数の保持部材66の2つの端部にそれぞれ弾性部材製のローラ71,71を回転自在に取付けることで吸着部33で吸着した状態の部品を2つのローラ71,71で保持する保持部34とから構成した、即ち、部品を2つのローラ71,71で押える保持部34と、この保持部34で部品を押えた状態で部品を吸着する吸着部33とから構成したことを特徴とする。
【0048】
部品の吸着及び保持を吸着部33及び保持部34によって人手を介さずに行うことができ、部品組付けの自動化が可能になる。また、複数の保持部材66の2つの端部にそれぞれ弾性部材製のローラ71,71を回転自在に取付けた保持部34によって、部品を2点支持で確実に保持できるため、形状の異なる部品を保持部34によって保持することができ、部品組付装置10の汎用性を高めることができる。
【0049】
また、回転自在なローラ71,71により部品を保持するときにローラ71,71が回転して部品に無理な力が加わらず、更に、ローラ71が弾性部材製であるから部品を傷つける心配がない。
【0050】
本発明は第5に、部品を、長尺な金属製部材又は長尺な樹脂製部材としたことを特徴とする。
部品が長尺な金属製部材又は長尺な樹脂製部材であっても、複数の保持部材66で保持するため、部品を組み付けるときに保持部材66でより均等に部品を押し付けることができ、部品の変形や破損を防止することができる。
【0051】
本発明は第6に、金属製部材又は樹脂製部材を、自動車用ドア11の縁に取付けるアウタモール13又は自動車用ドア11の側面に取付けるドアモール14としたことを特徴とする。
【0052】
金属製部材又は樹脂製部材をアウタモール13又はドアモール14としたので、保持部材66で、アウタモール13又はドアモール14を確実に且つ容易に保持することができ、しかも傷付けることがなく、また、複数の保持部材66でドア11により均等に押し付けて組み付けることができる。
【0053】
尚、本実施形態では、図6(a)〜(c)で示したように、吸着部材41と保持部材66とを一体的に移動、傾斜させたが、これに限らず、保持部材66に対して吸着部材41を傾斜させることで、アウタモール13を2つのローラ71,71で保持した状態を維持しながらアウタモール13を傾斜させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の部品組付方法及び部品組付装置は、自動車用ドアのアウタモール、ドアモールを組付けるのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る部品組付装置の斜視図である。
【図2】本発明に係る部品組付装置の吸着保持部を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る部品組付装置の側面図である。
【図4】本発明に係る組付用部品を示す断面図である。
【図5】本発明に係る部品組付装置による組付要領を示す第1作用図である。
【図6】本発明に係る部品組付装置による組付要領を示す第2作用図である。
【図7】従来の部品組付方法及び部品組付装置を示す説明図である。
【符号の説明】
【0056】
10…部品組付装置、11…組立本体(ドア)、12…アウタパネル、13,14…部品(アウタモール、ドアモール)、16…吸着保持部、33…吸着部、34…保持部、66…くの字形部材(保持部材)、71…ローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組立本体に部品を組み付ける方法であって、
所定の位置に置かれた前記部品を吸着保持する工程と、
部品を吸着保持した状態で前記組立本体の所定箇所に搬送する工程と、
部品を吸着保持した状態で三次元的に位置決めしながら組立本体に組み付ける工程と、
から構成したことを特徴とする部品組付方法。
【請求項2】
1台の部品組付装置で、種類の異なる前記部品をそれぞれに対応した組付箇所に組み付けることを特徴とする請求項1記載の部品組付方法。
【請求項3】
前記部品を組み付ける際、複数のくの字形部材の2つの端部にそれぞれ取付けた弾性部材製のローラで部品を前記組立本体に押し付けることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の部品組付方法。
【請求項4】
部品を吸着保持部で吸着保持し、この状態で組立本体に部品を組み付ける部品組付装置において、
前記吸着保持部は、前記部品を吸着する吸着部と、複数のくの字形部材の2つの端部にそれぞれ弾性部材製のローラを回転自在に取付けることで前記吸着部で吸着した状態の部品を前記2つのローラで保持する保持部とから構成したことを特徴とする部品組付装置。
【請求項5】
前記部品は、長尺な金属製部材又は長尺な樹脂製部材であることを特徴とする請求項4記載の部品組付装置。
【請求項6】
前記金属製部材又は樹脂製部材は、自動車用ドアの縁に取付けるアウタモール又は自動車用ドアの側面に取付けるドアモールであることを特徴とする請求項5記載の部品組付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−953(P2006−953A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−178708(P2004−178708)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】