説明

部材の接合構造及び部材の接合方法

【課題】2つの部材をその端面同士で接合する際に、両部材が安定していない状態でも確実に両者を接合できる。
【解決手段】横梁13に接合構造部2の端部ブラケット21を装着し、柱12の芯材162の外面に柱頭接合プレート23を当接させ、端部ブラケット21と柱頭接合プレート23とを連結するボルト22を貫通孔3dと貫通孔3e、連通孔23c及び連通孔23d、連通溝部212a及び連通溝部212bを挿通させ、ボルト22を介して端部ブラケット21と柱頭接合プレート23とを引き寄せて、柱頭接合プレート23を端部ブラケット21側に移動させることで、柱12の芯材162の側壁と柱頭接合プレート23との間で挟まれた端部ブラケット21が弾性的に挟持されるとともに、端部ブラケット21を介して柱12及び横梁13の端面同士が互いに引き寄せられ接合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの部材の端面同士を接合する部材の接合構造及びその接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、2つの構造材を接合する際は、例えば、特許文献1にある様に、一方の接合面にほぞを設け、他方の接合面にほぞが嵌るほぞ穴を設けて、ほぞをほぞ穴に嵌め込むことで両者を接合していた。しかし、特許文献1の接合構造では、ほぞ穴に対するほぞの嵌め込む方向が正確に一致するように、両者を支持しながら接合作業を行う必要があり、接合の際に両者を安定させていないと、両者の接合面同士を密着させた状態で確実に接合することは困難であるという問題があった。
【0003】
このような問題に関し、本出願人は、座部及び脚部のそれぞれの内部に、端面側から挿入されて係合される係合部と、座部及び脚部の外面に当接される当接部と、係合部と当接部とを引き寄せ可能に連結したボルト部とを備える接合金物を介して座部と脚部とを突き合わせて、接合金物を介して端面同士が密着した状態で接合される部材の接合構造を特許文献2において提案した。
【特許文献1】特許第2729893号公報
【特許文献2】特開2004−125118号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献2で提案された部材の接合構造では座部及び脚部の接合強度を保証できるとしても、例えば菜園に構築される大がかりな構造体については接合構造部分が頭上に位置する場合もあり、さらに大なる強度及び良好な外観が構造的に保証される必要があった。
本発明は以上の従来技術における問題に鑑み、外装材内側に芯材が設けられた同一構造の複合材を用いてなる2つの部材をその端面同士で接合する際に、両部材が安定していない状態でも十分な強度で効率的に両者を接合することができる部材の接合構造及び部材の接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち本発明の部材の接合構造は、外装材内側に芯材が設けられた同一構造の複合材を用いてなる2つの部材の一の部材の芯材側面に形成された貫通孔に芯材の内側から外側に向けて挿通されたボルト軸部によって芯材の外側に取り付けられた柱頭接合プレートと、他の部材の端面に装着される端部ブラケットとを備えてなる接合構造部を有し、端部ブラケットは連通溝部を有し、端部ブラケットを柱頭接合プレートが取り付けられた一の部材の芯材の側面と柱頭接合プレート間に挿入し、ボルト軸部が芯材側面の貫通孔と端部ブラケットの連通溝部とを連通して端部ブラケットが一の部材の芯材の側面と柱頭接合プレート間に挟持されて、一の部材の端部が他の部材の端面部に、一の部材と他の部材とが直交した状態で接合されることを特徴とする。
【0006】
端部ブラケットは係止部を有し、連通溝部は係止部の両側面を連通すると共に係止部の一の側辺に開口する開口部を有する様にすることができる。
【0007】
係止部を柱頭接合プレートが取り付けられた一の部材の芯材の側面と柱頭接合プレート間に挿入し、ボルト軸部が端部ブラケットの係止部の一の側辺に開口する開口部から挿入されて芯材側面の貫通孔と係止部に形成された連通溝部とを連通し、端部ブラケットの係止部が一の部材の芯材の側面と柱頭接合プレート間に位置決めされて配置された状態で柱頭接合プレートと一の部材の芯材の側面との間に密着して挟持されてなる様にしてもよい。
【0008】
前記連通溝部は長さが異なる長短に形成された一対の連通溝部であり、一の部材の芯材側面に形成された一対の貫通孔と柱頭接合プレートの平板部に設けられた一対の連通孔と端部ブラケットに設けられた一対の連通溝部はボルト軸部を一連に挿通することができる相互に対応した位置に設けられ、かつ一の部材の芯材側面に形成された一対の貫通孔の間隔及び柱頭接合プレートの平板部に設けられた一対の連通孔の間隔は端部ブラケットに設けられた一対の連通溝部の最短間隔よりも大なる間隔とされる様にしてもよい。
【0009】
柱頭接合プレートは一体成形された平板部と曲折部とを有する様にしてもよい。
【0010】
また本発明の部材の接合方法は、外装材内側に芯材が設けられた同一構造の複合材を用いた2つの部材の一の部材の芯材側面に貫通孔を形成する工程と、その貫通孔に芯材の内側から挿通されたボルト軸によって芯材の外側に柱頭接合プレートを取り付ける工程と、他の部材の端面部に端部ブラケットを取り付ける工程と、接合構造部を介して一の部材と他の部材とを接合する工程とよりなり、端部ブラケットの連通溝部を柱頭接合プレートが取り付けられた一の部材の芯材の側面と柱頭接合プレート間に挿入し、芯材側面に貫通孔を貫通したボルト軸が端部ブラケットの連通溝部に挿通され、端部ブラケットが一の部材の芯材の側面と柱頭接合プレート間に所定に位置決めされて配置された状態でボルトを回動させ、ボルトの回動により一の部材の芯材外側に装着された柱頭接合プレートと一の部材の芯材の側面とを近接させることによって端部ブラケットを柱頭接合プレートと一の部材の芯材の側面との間に挟持し、もって他の部材の端面部と一の部材の芯材の側面とを引き寄せて接合することを特徴とする。
【0011】
端部ブラケットの連通溝部を端部ブラケットの有する係止部に係止部の両側面を連通すると共に係止部の一の側辺に開口する開口部を有する様に形成し、その係止部を芯材の側面と柱頭接合プレート間に挿入し、係止部の一の側辺に開口する開口部を介してボルト軸が連通溝部に挿入されてボルト軸に干渉させることなく係止部を芯材の側面と柱頭接合プレート間に配置する様にしてもよい。
【0012】
柱頭接合プレートを弾性素材により形成して柱頭接合プレートを端部ブラケットに弾性的に密着させて端部ブラケットを柱頭接合プレートと一の部材の芯材の側面との間に挟持する様にしてもよい。
【0013】
一の部材の芯材側面に貫通孔を形成する工程は、現場下穴加工用貫通孔を有する下穴加工テンプレートを備えた芯材加工治具を一の部材の芯材頂端部に装着し、その状態で下穴加工テンプレートの現場下穴加工用貫通孔に孔空け治具を挿入し、現場下穴加工用貫通孔によって位置決めされた一の部材の芯材側面に貫通孔を形成する工程によって行われ、現場下穴加工用貫通孔によって位置決めして形成された芯材側面貫通孔と柱頭接合プレートに設けられた連通孔と端部ブラケットに設けられた連通溝部をボルト軸部を一連に挿通することができる相互に対応した位置に設ける様にすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、外装材内側に芯材が設けられた同一構造の複合材を用いてなる2つの部材をその端面同士で接合する際に、両部材が安定していない状態でも十分な強度で効率的に接合構造部を介して、互いの端部が密着した状態で確実に且つ容易に両者が接合した状態にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
図1には、本発明に係る部材の接合構造を有する菜園構造体1を示す。
菜園構造体1は、主として押出材からなる部材を用いて築造され、略矩形板状の平面部を備えて延在する中空部を有する底盤部11と、底盤部11の四隅部から鉛直上方に延在して取りつけられた柱12,12とを有する。
また、柱12,12の上端部間には横梁13,13が差し渡され、横梁13,13の各両端部が柱12の上端部と接合構造部2を介して接合される。
【0016】
また、横梁13,13の上面間に差し渡す態様で横梁13,13と交差する方向に定間隔に複数の縦梁14,14・・・が差し渡され、その縦梁14,14・・・の端部は横梁13,13上面からさらに側方に延出して、底盤部11の鉛直上方の空間に形成される略矩形状の領域よりも外方に突出される。さらにこれらの複数の縦梁14,14・・・の中には、他の縦梁14,14・・・よりもさらに延長されて外方に突出する縦梁14a,14bが設けられる。
一方、底盤部11の外側において地盤から鉛直上方に延在する様に1対の柱15,15が地上に直接立設されており、この柱15,15の上端部と縦梁14a,14bの先端部とが接合構造部2を介して接合される。
【0017】
平板状の底盤部11は廃材樹脂を粉砕することによって得られた廃材樹脂粉砕物と、木質廃材を粉砕することによって得られた木質廃材粉砕粉と、木質廃材粉と廃材樹脂粉砕物との接着助剤としての無水マレイン酸と、顔料と、を混合し混合材料とし、この混合材料を溶融させて押出成形してなる押出材から形成されている。
【0018】
廃材樹脂は、食品等の包装に用いられた後回収されたトレイ、食品コンテナ等のポリプロピレン包装部材や、ポリプロピレン包装部材を形成した際に出るポリプロピレンの端材を粉砕したものである。
木質廃材は、住宅等の建物を解体した際に排出される木質廃材や家具を解体した際に排出される木質廃材、建物建築中に排出される木材の端材、おが屑等を使用する。そして、木質廃材、廃材樹脂、無水マレイン酸、顔料は、押出材全体に対してそれぞれ10〜60wt%、36〜86wt%、2wt%以下、2wt%以下含まれている。
【0019】
ここで、木質廃材を平板状部材全体に対して10〜60wt%含ませたのは、10wt%未満では本物の木材により近い手触り等の風合いを出すことが難しく、また、60wt%を越えると木質廃材が過多となって押出材の成形性が低下するためである。
また、廃材樹脂を平板状部材全体に対して36〜86wt%含ませたのは、36wt%未満では、廃材の再利用率を向上させることが難しく、86wt%を越えると溶融しづらい廃材樹脂を多く含むので押出材の成形性が低下するためである。さらに、無水マレイン酸および顔料を押出材全体に対して2wt%以下含ませたのは、押出材の成形性が低下するのを防ぐためである。
【0020】
柱12、横梁13,13及び縦梁14,14・・・には図2(a)(b)に示す複合材16が用いられる。
複合材16は、外装材161と芯材162とを備えている。外装材161は、筒状をなし、その内壁面から内側に突出する突条163,163…が所定間隔をもって形成され、その突条163,163…が外装材161内側に挿入される芯材162外側面に当接して、芯材162を外装材161内側にて支持している。芯材162はその四隅に婉曲なアール部162aが設けられてなり、その各アール部162aの内側にはビス孔162bが設けられる。
【0021】
外装材161と芯材162との間には、四隅のアール部162a間の四側面に各一づつ複数の装着部164,…が設けられている。この装着部164は、芯材162の内側方に向けて凹で、かつ芯材162の外側方に向けて開口部分164aを有する断面略長方形状にされてなる。
【0022】
外装材161は、セルロース系微粉粒と樹脂とを混合し、かつ、溶融させて成形してなるものである。セルロース系微粉粒は、例えば、住宅等の建物を解体した際に排出される木質廃材、建物建築中に排出される端材、おが屑等の木質廃材を周知の粉砕機により粉砕することによって得られる木粉や、木材、バカス、稲藁等の天然木材を粉砕することによって得られる木粉が挙げられる。
【0023】
樹脂は、例えば、食品等の包装に用いられた後回収されたトレー、食品コンテナ等の包装部材を周知の粉砕機により粉砕することによって得られる樹脂や、天然木材から得られる樹脂等が挙げられる。すなわち、塩化ビニル樹脂、発泡塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂等である。そして、セルロース系微粉粒と樹脂とを均一に混合し、混合材料としたうえで、この混合材料を押出成形機で加熱溶融させて押出成形することによって、外装材161が製造されている。なお、このようにして得られた外装材161の表面は、例えば、サンディングペーパー等で木目模様(図示しない)を施したり、塗装を施すことによって仕上げられている。
【0024】
芯材162は、断面略矩形状の金属製素材よりなり、外装材161の内壁面と隙間を隔てて挿入されている。すなわち、この芯材162はその四隅に形成された柱頭接合プレート162aが外装材161の突条163に支持された状態で外装材161内側に収納される。
【0025】
次に接合構造部2について説明する。以下の発明を実施するための最良の形態の説明では柱12と横梁13との接合構造部2に着目して、その説明を行う。
しかし、接合構造部2は、柱12,12及び横梁13,13及び縦梁14,14のうちの任意の二の部材の接合のいずれについても適用され、図1に示す菜園構造体1では横梁13,13の各両端部が柱12の上端部と接合構造部2を介して接合され、柱15,15の上端部と縦梁14a,14bの先端部とが接合構造部2を介して接合される。
【0026】
外装材161内側に芯材162を収納した状態で、柱12の上端面部は横梁13の端面部に、横梁13と柱12とが直交した状態で接合構造部2を介して接合される。
図3に示す様に接合構造部2は、柱12と接合される横梁13の端面部に装着される端部ブラケット21と、柱12の芯材162の装着部164にボルト22によって装着される板状の柱頭接合プレート23と、接合構造部2全体をカバーする柱キャップ24とを備える。
【0027】
図3〜図6に示す様に、端部ブラケット21は柱12と接合される横梁13の端面部に直接当接する一対の当接部211と、一対の当接部211間にあって当接部211と一体に形成された係止部212とを有してなる。一対の当接部211の各々には横梁13を構成する複合材16の各アール部162aに設けられた各ビス孔162bに対応する位置に、ビス孔211bが設けられ、ビス孔162bと端部ブラケット21のビス孔211bとにビス25が挿通されて、横梁13の端面部に端部ブラケット21が装着される。
【0028】
一対の当接部211間の係止部212には連通溝部212a及び連通溝部212bが形成される。連通溝部212a及び連通溝部212bは当接部211の長手方向に沿って係止部212の一側から切り込んだ態様で設けられ、それぞれ切り込み開口部212Aと切り込み開口部212Bとを有する。
【0029】
また連通溝部212a及び連通溝部212bは長さの異なる長短に形成され、かつ連通溝部212a及び連通溝部212bのうち連通溝部212aは、一対の当接部211の一方側に偏寄した位置に形成され、連通溝部212bは他方に偏寄した位置に形成される。 その結果、連通溝部212a及び連通溝部212b各々の切り込み開口部212Aと切り込み開口部212Bから最遠に位置する最深部212α及び212β間の間隔D1は、連通溝部212a及び連通溝部212b間の最短間隔D2に対し約2倍の間隔となる。なお、この最深部212α及び212βを結んで形成される仮想斜行線Xは係止部212の四隅によって構成される一対の対角線の内、一の対角線Yとほぼ一致し、若しくは近似する斜行線となる。
【0030】
図3、図5〜図7に示す様に、柱頭接合プレート23は柱12の芯材162の装着部164の外側に装着部164の開口部164aに近接して位置する様に、ボルト22によって装着され、横梁13の端面部に装着された端部ブラケット21は柱12の芯材162と柱頭接合プレート23との間に挟持される態様でボルト22によって装着される。
この柱頭接合プレート23は一体成形された平板部23aと曲折部23bとを有し、平板部23aには連通孔23c及び連通孔23dが設けられる。
この柱頭接合プレート23の平面形状は端部ブラケット21における一対の当接部211間の係止部212と相似形であって、かつ小なる大きさにされており、その結果柱頭接合プレート23は端部ブラケット21における一対の当接部211間の係止部212の内側に配置可能にされている。
【0031】
また平板部23aに設けられた連通孔23c及び連通孔23dは、端部ブラケット21の連通溝部212a及び連通溝部212b各々の最深部212α及び212βに対応する位置に設けられ、その結果連通孔23cと連通孔23dとの間隔は端部ブラケット21における連通溝部212a及び連通溝部212b各々の最深部212α及び212β間の間隔D1と一致し、連通溝部212a及び連通溝部212b間の最短間隔D2に対し約2倍の間隔となる。なお、この連通孔23c及び連通孔23dの配置位置を結んで形成される仮想斜行線Xは柱頭接合プレート23の四隅によって構成される一対の対角線の内、一の対角線Yとほぼ一致し、若しくは近接する斜行線となる。
【0032】
ボルト22は、図6に示すようにボルト軸22bの先端部にナット部22cに螺合する雄ネジ部が形成され、ボルト軸22bの基端部にボルト軸22bの直径より径が大きい頭部22aを備える。
【0033】
図8は、以上のように構成された接合構造部2によって横梁13の端面部に接合される柱12の芯材162に芯材加工治具3を用いて接合作業の前に施される現場下穴加工の手順を示す。
芯材加工治具3は嵌合平面部3aとこの嵌合平面部3aと一体に形成され嵌合平面部3aの一端からほぼ90°に曲折して連続する下穴加工テンプレート3bと、嵌合平面部3aの他端からほぼ90°に曲折して連続する保持片3cとを有してなる。下穴加工テンプレート3bには下穴加工用の貫通孔3dと貫通孔3eとが設けられる。
【0034】
この貫通孔3dと貫通孔3eは、柱頭接合プレート23の平板部23aに設けられた連通孔23c及び連通孔23d及び端部ブラケット21の連通溝部212a及び連通溝部212b各々の最深部212α及び212βに対応する位置に設けられ、その結果貫通孔3dと貫通孔3eとの間隔は端部ブラケット21における連通溝部212a及び連通溝部212b各々の最深部212α及び212β間の間隔D1と一致し、連通溝部212a及び連通溝部212b間の最短間隔D2に対し約2倍の間隔となる。なお、この貫通孔3dと貫通孔3eとの配置位置を結んで形成される仮想斜行線X’は下穴加工テンプレート3bの四隅によって構成される一対の対角線の内、一の対角線Y’とほぼ一致し、若しくは近接する方向の斜行線となる。
【0035】
芯材加工治具3を用いた柱12の芯材162側面への現場下穴加工は次の様にして行われる。
図8に示す様に、柱12の芯材162の四隅のアール部162a間の四側面に各一づつ設けられた装着部164の対向する壁面間に芯材加工治具3の嵌合平面部3a内側をあてがい、対向する装着部164の2壁面を下穴加工テンプレート3bと、保持片3cとによって把持する態様で芯材162の頂端部に芯材加工治具3を装着する。
その状態で下穴加工テンプレート3bの貫通孔3dと貫通孔3eにキリ等の孔空け治具を挿入し、貫通孔3dと貫通孔3eによって位置決めされた位置の柱12の芯材162側面に貫通孔を形成する。
【0036】
次に、以上の様にして柱12の芯材162側面への現場下穴加工が施工された後に、接合構造部2を介して柱12と横梁13とを接合する方法について説明する。
端部ブラケット21の横梁13への取り付けは、まず横梁13を構成する複合材16の各アール部162aに設けられた各ビス孔162bに整合する様に端部ブラケット21の各当接部211の各ビス孔211bを配置し、その横梁13のビス孔162bと端部ブラケット21のビス孔211bとにビス25を挿通し、締結することによって横梁13の端面部に端部ブラケット21を固定し、装着する。
【0037】
一方、柱12の芯材162の側面に現場下穴加工によって形成された貫通孔に一対のボルト22のボルト軸22bを芯材162の内側から挿通し、挿通したボルト軸22bの先端部の雄ネジ部を柱頭接合プレート23の連通孔23c及び連通孔23dに挿通させ、さらに挿通端部にナット部22cを螺合して、柱頭接合プレート23を柱12の側面に配置する。
【0038】
次に、以上の様に各々準備された柱12及び横梁13を接合構造部2を介して次の様に接合する。
横梁13の端面部に装着された端部ブラケット21の連通溝部212a及び連通溝部212bが形成された係止部212を柱12の芯材162の側面と柱頭接合プレート23間の柱12の芯材162の中空部12に挿入していく。
その際、芯材162の側面と柱頭接合プレート23とはボルト22によって連結されており、芯材162の側面と柱頭接合プレート23間に係止部212を挿入するとボルト22のボルト軸22bに係止部212が干渉する相互の配置関係となる。
【0039】
一対の当接部211間の係止部212には連通溝部212a及び連通溝部212bが形成される。
しかし係止部212には連通溝部212a及び連通溝部212bが形成されており、連通溝部212a及び連通溝部212bはそれぞれ切り込み開口部212Aと切り込み開口部212Bとを有し、さらにその連通溝部212a及び連通溝部212b各々の最深部212α及び212βの位置は、ボルト22のボルト軸22bが挿通された柱頭接合プレート23の連通孔23c及び連通孔23d及び芯材162に予め形成された貫通孔3dと貫通孔3eに対応する位置に設けられており、したがってボルト22のボルト軸22bが切り込み開口部212Aと切り込み開口部212B各々を介して連通溝部212a及び連通溝部212b各々の最深部212α及び212βに到達するまで、ボルト22のボルト軸22bに干渉することなく係止部212を柱12の芯材162の側面と柱頭接合プレート23間に挿入することができる。
【0040】
次にボルト22のボルト軸22bが連通溝部212a及び連通溝部212b各々の最深部212α及び212βに到達したところで端部ブラケット21の係止部212は柱12の芯材162の側面と柱頭接合プレート23間に、図5〜図7に示すように、所定に位置決めされて配置された状態となり、その状態でボルト頭部22aを回動させる。
【0041】
すると、ボルト22の回動により柱12の芯材162の装着部164の外側に装着部164の開口部164aに近接して予め装着された柱頭接合プレート23と柱12の芯材162の側面とが近接していき、柱12の芯材162の中空部12に挿入された端部ブラケット21は柱頭接合プレート23と柱12の芯材162の側面との間に密着して挟持される。その際、金属製素材により一体成形された平板部23aと曲折部23bとを有する柱頭接合プレート23は、曲折部23bが平板部23aと面一となるまで弾性的に変形する弾性変形代を有するので、柱頭接合プレート23が端部ブラケット21に弾性的に密着する状態で、端部ブラケット21は柱頭接合プレート23と柱12の芯材162の側面との間に挟持される。
【0042】
この様に端部ブラケット21の柱頭接合プレート23側の面が、柱頭接合プレート23の側面に当接するとともに柱頭接合プレート23の側面によって弾性的に押圧された状態で横梁13の端面部と柱12の上端面部とが互いに引き寄せられ、強固に接合される。
【0043】
その後、端部ブラケット21及び柱頭接合プレート23をカバーする様に柱キャップ24を取り付けて、図1に示す菜園構造体1における横梁13と柱12との接合構造部2が構成される。
【0044】
以上の実施の形態によれば、横梁13に接合構造部2の端部ブラケット21を装着し、柱12の芯材162の外面に柱頭接合プレート23を当接させ、端部ブラケット21と柱頭接合プレート23とを連結するボルト22を貫通孔3dと貫通孔3e、連通孔23c及び連通孔23d、連通溝部212a及び連通溝部212bを挿通させ、ボルト22を介して端部ブラケット21と柱頭接合プレート23とを引き寄せて、柱頭接合プレート23を端部ブラケット21側に移動させることで、柱12の芯材162の側壁及び柱頭接合プレート23とで挟まれた端部ブラケット21が挟持されるとともに、端部ブラケット21を介して柱12及び横梁13の端部同士が互いに引き寄せられ、柱頭接合プレート23の弾性によって弾性的に密着した状態で接合される。
【0045】
横梁13の端面部と柱12の上端面同士で接合する際に、柱12及び横梁13とが安定していない状態、つまり接合に際して両者を寝かした状態で接合する場合や、地盤から立設させた柱12に対して空中で直交するように横梁13を水平に支持した状態で、互いの端面部同士を接合する場合等、接合構造部2のボルト22を締めることで横梁13の端面部と柱12の上端面部とを互いに密着させて確実に接合することができる。
【0046】
また、端部ブラケット21及び柱頭接合プレート23は柱キャップ24内に収納されるので接合構造部2が露出することがなく意匠的にも外観の優れたものとなっている。
【0047】
また、以上の本発明を実施するための最良の形態の接合構造部2では、柱12の芯材162の側面に現場下穴加工によって形成された貫通孔3dと貫通孔3e及び柱頭接合プレート23に設けられた連通孔23cと連通孔23dとの間隔はいづれも端部ブラケット21における連通溝部212aと連通溝部212b各々の最深部212αと212β間の間隔D1と一致し、連通溝部212a及び連通溝部212b間の最短間隔D2に対し約2倍の間隔となる様にされており、貫通孔3dと貫通孔3e及び連通孔23cと連通孔23d及び最深部212αと212β間に得られる剛性は、連通溝部212a及び連通溝部212b間の間隔が最短間隔D2程度とされる場合に比し、高い剛性であることが保証される。したがって柱12と横梁13との接合状態において芯材162の貫通孔3dと貫通孔3e及び柱頭接合プレート23の連通孔23cと連通孔23d及び端部ブラケット21における連通溝部212aと連通溝部212b各々の最深部212αと212βに挿通されたボルト22を介して貫通孔3dと貫通孔3e及び連通孔23cと連通孔23d及び最深部212αと212β間に加わる負荷に抗する十分な強度を実現することができる。
【0048】
なお以上の実施の形態では、柱12及び横梁13の接合で代表して説明したが、柱12及び縦梁14の接合についても柱12及び横梁13の接合と同様に行うことができる。
【0049】
図9は本発明の他の実施の形態に係る部材の接合構造に用いられる芯材165の平面図を示し、本実施の形態の部材の接合構造では、芯材165を用いる以外は前述の実施の形態と同様に構成される。
すなわち本実施の形態にあっても芯材165は、断面略矩形状の金属製素材よりなり、外装材161の内壁面と隙間を隔てて挿入される。
しかし本実施の形態にあっては、芯材165はその外側面が屈曲のない平板状に形成されてその四隅にテーパ部165aが設けられてなり、その各テーパ部165aの内側にビス孔165bが設けられる。
【0050】
本実施の形態にあっても一対の当接部211の各々には横梁13を構成する複合材16の芯材165の各テーパ部165aに設けられた各ビス孔165bに対応する位置に、ビス孔211bが設けられ、ビス孔165bと端部ブラケット21のビス孔211bとにビス25が挿通されて、横梁13の端面部に端部ブラケット21が装着される。
【0051】
また柱頭接合プレート23は柱12の芯材165の外側面に近接して位置する様に、ボルト22によって装着され、横梁13の端面部に装着された端部ブラケット21は柱12の芯材165と柱頭接合プレート23との間に挟持される態様でボルト22によって装着される。
【0052】
このように本実施の形態では前述の実施の形態と同様に柱12及び横梁13の接合、柱12及び縦梁14の接合を行うことができ、しかも芯材165はその外側面が屈曲のない平板状に形成されるので生産性良く、安価に製造できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明を適用した一実施の形態の部材の接合構造を有する菜園構造体の構成を示す図である。
【図2】図1の菜園構造体の柱と梁との構成を示す斜視図である。
【図3】図1の菜園構造体の柱と梁との接合構造の要部を示す斜視図である。
【図4】図1の菜園構造体の柱と梁との接合に用いられた接合構造部の端部ブラケットを示す側面図である。
【図5】図1の菜園構造体の柱と梁との接合に用いられた接合構造部の端部ブラケット及び柱頭接合プレートを示す上面図である。
【図6】図1の菜園構造体の柱と梁との接合に用いられた接合構造部の端部ブラケット及び柱頭接合プレートを示す側面図である。
【図7】図1の菜園構造体の柱と梁との接合に用いられた接合構造部の柱頭接合プレートを示す平面図である。
【図8】本発明の部材の接合構造の接合構造部によってを形成する際に一の部材の芯材に接合作業の前に施される現場下穴加工の手順を示す斜視図である。
【図9】本発明の他の実施の形態に係る部材の接合構造に用いられる芯材の平面図である。
【符号の説明】
【0054】
1菜園構造体
11底盤部
12柱
12a上端面部
13横梁
13a端面部
14縦梁
16複合材
161外装材
162、165芯材
162aアール部
162bビス孔
164中空部
164a開口部
2接合構造部,
21端部ブラケット
211当接部
211bビス孔
212係止部
212a,212b連通溝部
212α,212β最深部
22ボルト
22aボルト頭部
22bボルト軸
22cナット部
23柱頭接合プレート
23a平板部
23b曲折部
23c,23d連通孔
25ビス
3芯材加工治具
3a嵌合平面部
3b下穴加工テンプレート
3c保持片
3d,3e貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装材内側に芯材が設けられた同一構造の複合材を用いてなる2つの部材の一の部材の芯材側面に形成された貫通孔に芯材の内側から外側に向けて挿通されたボルト軸部によって芯材の外側に取り付けられた柱頭接合プレートと、
他の部材の端面に装着される端部ブラケットとを備えてなる接合構造部を有し、
端部ブラケットは連通溝部を有し、
端部ブラケットを柱頭接合プレートが取り付けられた一の部材の芯材の側面と柱頭接合プレート間に挿入し、
ボルト軸部が芯材側面の貫通孔と端部ブラケットの連通溝部とを連通して端部ブラケットが一の部材の芯材の側面と柱頭接合プレート間に挟持されて、一の部材の端部が他の部材の端面部に、一の部材と他の部材とが直交した状態で接合されることを特徴とする2つの部材の接合構造。
【請求項2】
端部ブラケットは係止部を有し、連通溝部は係止部の両側面を連通すると共に係止部の一の側辺に開口する開口部を有する請求項1に記載の部材の接合構造。
【請求項3】
係止部を柱頭接合プレートが取り付けられた一の部材の芯材の側面と柱頭接合プレート間に挿入し、ボルト軸部が端部ブラケットの係止部の一の側辺に開口する開口部から挿入されて芯材側面の貫通孔と係止部に形成された連通溝部とを連通し、
端部ブラケットの係止部が一の部材の芯材の側面と柱頭接合プレート間に位置決めされて配置された状態で柱頭接合プレートと一の部材の芯材の側面との間に密着して挟持されてなる請求項2記載の部材の接合構造。
【請求項4】
前記連通溝部は長さが異なる長短に形成された一対の連通溝部であり、一の部材の芯材側面に形成された一対の貫通孔と柱頭接合プレートの平板部に設けられた一対の連通孔と前記一対の連通溝部は各々ボルト軸部を一連に挿通することができる相互に対応した位置に設けられ、かつ一の部材の芯材側面に形成された一対の貫通孔の間隔及び柱頭接合プレートの平板部に設けられた一対の連通孔の間隔は前記一対の連通溝部の最短間隔よりも大なる間隔とされる請求項1乃至請求項3のいづれか一に記載の部材の接合構造。
【請求項5】
前記柱頭接合プレートは一体成形された平板部と曲折部とを有する請求項1乃至請求項4のいづれか一に記載の部材の接合構造。
【請求項6】
外装材内側に芯材が設けられた同一構造の複合材を用いた2つの部材の一の部材の芯材側面に貫通孔を形成する工程と、
その貫通孔に芯材の内側から挿通されたボルト軸によって芯材の外側に柱頭接合プレートを取り付ける工程と、
他の部材の端面部に端部ブラケットを取り付ける工程と、
接合構造部を介して一の部材と他の部材とを接合する工程とよりなり、
端部ブラケットの連通溝部を柱頭接合プレートが取り付けられた一の部材の芯材の側面と柱頭接合プレート間に挿入し、
芯材側面に貫通孔を貫通したボルト軸が端部ブラケットの連通溝部に挿通され、
端部ブラケットが一の部材の芯材の側面と柱頭接合プレート間に所定に位置決めされて配置された状態でボルトを回動させ、ボルトの回動により一の部材の芯材外側に装着された柱頭接合プレートと一の部材の芯材の側面とを近接させることによって端部ブラケットを柱頭接合プレートと一の部材の芯材の側面との間に挟持し、もって他の部材の端面部と一の部材の芯材の側面とを引き寄せて接合することを特徴とする部材の接合方法。
【請求項7】
端部ブラケットの連通溝部を端部ブラケットの有する係止部に係止部の両側面を連通すると共に係止部の一の側辺に開口する開口部を有する様に形成し、その係止部を芯材の側面と柱頭接合プレート間に挿入し、係止部の一の側辺に開口する開口部を介してボルト軸が連通溝部に挿入されてボルト軸に干渉させることなく係止部を芯材の側面と柱頭接合プレート間に配置する請求項6記載の部材の接合方法。
【請求項8】
柱頭接合プレートを弾性素材により形成して柱頭接合プレートを端部ブラケットに弾性的に密着させて端部ブラケットを柱頭接合プレートと一の部材の芯材の側面との間に挟持する請求項7記載の部材の接合方法。
【請求項9】
一の部材の芯材側面に貫通孔を形成する工程は、現場下穴加工用貫通孔を有する下穴加工テンプレートを備えた芯材加工治具を一の部材の芯材頂端部に装着し、その状態で下穴加工テンプレートの現場下穴加工用貫通孔に孔空け治具を挿入し、現場下穴加工用貫通孔によって位置決めされた一の部材の芯材側面に貫通孔を形成する工程によって行われ、
現場下穴加工用貫通孔によって位置決めして形成された芯材側面貫通孔と柱頭接合プレートに設けられた連通孔と端部ブラケットに設けられた連通溝部をボルト軸部を一連に挿通することができる相互に対応した位置に設ける請求項4〜請求項8のいずれか一に記載の部材の接合方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−267482(P2008−267482A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−110711(P2007−110711)
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)
【Fターム(参考)】