説明

配合土化可能なハロゲン化ビニルポリマー組成物及び複合体シート

PVCのようなハロゲン化ビニルポリマーの組成物がオルガノチタネート又はジルコネート及び有機錫の分解促進性システムにより配合土化可能とされる。PVCシート及び複合体は埋め土に配合土化可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配合土化可能な(compostable)又は生分解性のハロゲン化ビニルポリマー組成物、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)及びかかるポリマーの複合体シートに関する。
【背景技術】
【0002】
何年にもわたって、ポリ塩化ビニル(PVC)のようなハロゲン化ビニルポリマーから、微生物により生分解性であるか又は埋め土におけるように環境的分解性であるプラスチック材料を製造することが望まれてきた。かなりの努力にも拘らず、埋め土は多分数世紀にわたり分解しないであろうプラスチック材料及びそれらから製造された物品で充満されつつある。非生分解性と考えられるPVCのようなハロゲン化ビニルポリマー材料に関しては特にそうである、即ち、それらは嫌気条件下埋め土中で目立った分解なしにいつまでも存続する。この因子が、有用な性能バランス及び低価格が魅力的である多数の製品におけるPVCの受容性を制限する。一例は印刷可能フィルム及びシートの受容性である。もしも可撓性(可塑化)PVCのサンプルをASTM D 5526、促進埋立条件下におけるプラスチック材料の嫌気生分解性を測定する標準試験方法について試験すると、疑似家庭廃棄物と接触させて97°Fで100日後相当の損失重量又は外観変化は無い。対照的に、セルロース系ポリマー及び他の生分解性プラスチック、例えば、ポリ乳酸及びポリカプロラクトンは完全に破壊される。
【0003】
ポリ塩化ビニルフィルム、国旗、掲示板、標識、ラミネート、インク噴射基材、おむつ、衛生基材等のような多数の最終製品に使用するための配合土化可能なハロゲン化ビニルポリマー組成物に対して特別の必要性が存在していた。これらの製品は実用的な目的のための性質、例えば、引裂き強度、引張強度及び衝撃強度を満足して多数の有用な物品において機能しなければならない。しかしながら、それらを有用にする同じ性質が生分解性の欠乏を招く。PVC及び他のハロゲン化ビニルポリマーは多数の実用的な物品において広範囲に及ぶ使用を成し遂げてきた。しかしながら、配合土化可能なハロゲン化ビニルポリマー組成物又は複合体の目標は満たされていない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は配合土化可能なハロゲン化ビニルポリマー組成物を対象にする。具体的に、ポリ塩化ビニル(PVC)組成物は、オルガノチタネート又はジルコネート化合物及び有機錫化合物の分解促進性組成物(prodegradant composition)を用いた配合により配合土化可能とされた。
【0005】
本発明のより広い形態において、ポリ塩化ビニル組成物は該分解促進性組成物と一緒に可塑剤及び安定剤を用いて配合された。この組成物を含有するポリマーシート及び織シート又は不織シートとの複合体が配合土化可能とされた。
【0006】
セルロース系ポリマーに匹敵する又は優る生分解性を生ずるようにPVCを配合できることが今や見出された。本発明のより具体的な態様において、かかる組成物は、(a)PVC、(b)完全に脂肪族のカルボン酸エステルの群から選択される可塑剤、(c)硫黄のないジアルキル及びモノアルキル錫カルボキシレートの群から選択される熱安定剤、及び(d)反応性オルガノチタネート又はオルガノジルコネートから成る。かかる組成物は、プラスチゾル又はオルガノゾルから押出、カレンダー掛け(calendering)又は塗布のような標準的方法によりPVCフィルム及びシートを製造するように使用することが出来る。それらは、PVC配合で日常的に使用されている他の添加剤、例えば、充填剤、顔料、抗酸化剤、紫外線吸収剤、接合剤等を含有することが出来る。かかるフィルムは、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート及びポリエステルのようなポリマーから製造した生分解性布に、又は紙に積層して埋立条件下全体として生分解性であるラミネートを製造することが出来る。これらのラミネートは、使用後標準的な埋め土中に処分することが出来る印刷可能なシート構造物に特に有用である。
【0007】
本発明の組成物及び複合体は配合土化可能である。「配合土化可能」(“compostable”)とは、該組成物又はシートが、紙や庭廃棄物のような他の公知の配合土化可能物質のように、完成配合土(腐食土)に混和されそれと物理的に区別出来なくなり最終的に環境中でCO、水及び生物量に鉱物化する(生分解する)ように化学的、物理的、熱的及び(又は)生物学的分解を受けることを意味する。配合土化可能フィルム及び複合体は生分解性であるか又は環境的に分解性である。「生分解性」とは、該組成物又は複合体が、大地に埋められた場合又はさもなくば微生物の成長を促す条件下で微生物と接触している場合、微生物による同化を受け易いことを意味する。「環境的に分解性」とは、該フィルム又は層が、最終的に生分解性となり得る、即ち、鉱物化する、例えば、二酸化炭素、水及び生物量に生分解する形態まで、微生物なしで熱又は周囲の環境的要素により分解され得ることを意味する。本発明の目的のため、「配合土化可能」は「生分解性」又は「環境的に分解性」を含むように意図されている。
【0008】
該組成物又は複合体の化学的、物理的、熱的及び(又は)生物学的分解を可能にする配合土化条件は変化し得る。本発明の組成物又は複合体は特に地方自治体の固体廃棄物配合土化施設又は埋め土において配合土化可能となるように適合させられている。例えば、ASTM D 5526−94(2002年再承認)、促進埋立条件下におけるプラスチック材料の嫌気生分解性を測定する標準試験方法に従って、PVCのサンプルを分解し、試験埋め土中に混和し物理的に区別出来なくした。
【0009】
本発明の配合土化可能なハロゲン化ビニルポリマー組成物及び複合体、それらの製造方法及び配合土化可能性は、以下の詳細な説明を参照して理解されるであろう。
【0010】
(発明の詳細な説明)
A.ハロゲン化ビニルポリマー
使用されるハロゲン化ビニル樹脂は、通常塩化ビニルの単独重合体、即ち、ポリ塩化ビニルである。しかしながら、本発明はポリ塩化ビニル又はその共重合体のような特定のハロゲン化ビニル樹脂に限定されないことを理解すべきである。使用されて本発明の原理を説明する他のハロゲン含有ポリマー又は樹脂は、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリ塩化ビニル、及び他のハロゲン化ビニルポリマー又は樹脂タイプを含む。本明細書で理解され技術的に認識されているハロゲン化ビニルポリマー又は樹脂は、一般的な用語であり、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、ビニルエーテル、塩化ビニリデン、メタクリレート、アクリレート、スチレン、等のような他のコモノマーと共に又は無しで塩化ビニルを含むビニルモノマーの重合又は共重合により通常誘導される樹脂又はポリマーであるという定義が採用されている。単純な場合は、塩化ビニル、HC=CHClからポリ塩化ビニル、(HCCHCl−)(ハロゲンはポリマーの炭素鎖の炭素原子に結合されている)への変換である。かかるハロゲン化ビニル樹脂の他の例は、塩化ビニリデンポリマー、塩化ビニル−ビニルエステル共重合体、塩化ビニル−ビニルエーテル共重合体、塩化ビニル−ビニリデン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩素化ポリエチレン、等を含むであろう。勿論、工業的に通常使用されるハロゲン化ビニルは塩化物であるが、臭化物及び弗化物のような他の物を使用することも出来る。後者のポリマーの例は、ポリ臭化ビニル、ポリ弗化ビニル、及びその共重合体を含む。
【0011】
B.分解促進性システム
本発明の分解促進性システム又は組成物は、オルガノジルコネート又はオルガノチタネートアミド付加物及び有機錫化合物を含む。
【0012】
(1)オルガノチタネート又はオルガノジルコネートアミド付加物
オルガノチタネート又はジルコネートの化学的説明及び化学的構造は充分開発されている。例えば、Kenrich LICA 38Jは、化学名がチタニウムIVネオアルカノラート・トリ(ジオクチル)ピロフォスファート−O(付加物)N−置換メタクリルアミドである反応性チタネートである。更に、チタニウムの代りにジルコニウムを置換して、Kenrichは化学的説明がジルコニウムIVネオアルカノラート・トリ(ジオクチル)ピロフォスファート−O(付加物)N−置換メタクリルアミドであるNZ 38を製造している。これらの化合物は、一般的にネオアルコキシ変性モノアルコキシチタネート又はジルコネートのアミド塩と言及されている。本発明はこれらの具体的なオルガノチタネート又はオルガノジルコネートのアミド付加物を用いて例示されているが、他の同様な化合物が本発明の目的を達成することが出来ることは理解されるべきである。
【0013】
これらのオルガノチタネート又はジルコネートは、以下の米国特許、即ち、米国特許、4,069,192;4,080,353;4,087,402;4,094,853;4,096,110;4,098,758;4,122,062;4,152,311;4,192,792;4,101,810;4,261,913;4,277,415;4,338,220;4,417,009にかなり詳細に更に説明されているが、それらを全体として本明細書に引用して援用する。
【0014】
(2)有機錫化合物
モノ及びジオルガノ錫化合物は周知のPVC用安定剤である。有機錫安定剤の一般式はRSnX又はRSnXである。上記の錫安定剤の一般式で用いられているR基は、ブチルのような低級アルキルであることが出来る。つい最近、入手可能性及び比較的低価格の故に、脂肪酸カルボキシレートが使用されている。錫中間体を製造する費用効率が高い方法が開発されたが、錫中間体は次にカルボン酸又はメルカプタン基を含有する配位子と反応してハロゲン化ビニル樹脂用安定剤を生成した。従って、本発明に従って使用するのに適する有機錫化合物類の中には、米国特許2,641,588;2,648,650;2,726,227;2,726,254;2,801,258;2,870,119;2,891,922;2,914,506及び2,954,363に記載された有機錫カルボキシレート又は有機錫硫黄含有化合物、米国特許2,641,596に記載された有機錫メルカプト酸エステル、米国特許2,870,119;2,870,182;2,872,468及び2,883,363に記載されたメルカプトアルコールの有機錫エステル、及び米国特許3,021,302;3,413,264;3,424,712及び3,424,717に開示されたブチルチオ錫酸のようなオルガノチオ錫酸がある。これらの特許のすべてを全体として本明細書に引用して援用する。ジブチル錫ジラウレート又はジブチル錫マレエートのような有機錫カルボキシレートが好ましい。他の有機錫を使用することが出来る。
【0015】
(3)相乗的分解促進性組成物
オルガノチタネート又はオルガノジルコネート化合物及び有機錫の分解促進性組成物はハロゲン化ビニルポリマーの配合土化可能性において予測外の相乗作用を示すことが見出された。全面的な必須成分比に亘って顕著な配合土化可能性が存在する。分解促進性システムを用いたハロゲン化ビニルポリマーの予想外の結果及び配合土化可能性に対する正確なメカニズムは完全には理解されていない。提案され得るであろう理論は確かに存在するが、理論の如何を問わず、後に続く本発明の多数の実施例で明白な有益な結果は、この詳細な説明を更に見ると、それ自体が雄弁に物語っている。本出願人は、これらの本発明原理の実験的証明に依存して本発明の長所を進めるものである。
【0016】
本発明の分解促進性システムにおいて、全分解促進性組成物は100重量部のハロゲン化ビニルポリマーに基づいて約1〜約10重量部(phr)の範囲に亘って有用であることが分った。全組成物における有機錫又はジルコネートの全重量部の最も有用な範囲は、約5〜約7phrの程度である。有機錫化合物の場合、最も有用な重量部は約2〜約3phrの程度である。該システム成分の各々は1〜10phrで変動することが出来る。該成分の比は、本発明の比較的広い局面の中で非常に限定的であるとは考えられない。
【0017】
(4)可塑剤
比較的広い態様において、該ハロゲン化ビニル組成物は、脂肪族又は芳香族エステル、典型的には、アジピン酸ジオクチル(DOA)、シクロヘキサンジカルボン酸のジイソノニルエステル又はフタル酸ジイソデシル(DIDP)を用いて可塑化される。その現在最良の形態においては、脂肪族エステルが使用される。硬質PVC試料は配合土化可能性を実証していないので、ポリマーマトリックス中において可塑剤が示す移動度は重要であると現在考えられている。
【0018】
本発明の原理及びその操作パラメーターは以下の詳細な実施例を参照すると更に理解されるであろうが、該実施例は典型的なハロゲン化ビニルポリマー樹脂配合物で使用される具体的な分解促進剤のタイプ並びにそれらの量及び本発明の分解促進性システム成分の本質的な組合せにより示される配合土化可能性を例証するのに役立っている。これらの実施例は、本発明に関して典型的なものであると考えられ、特に出願人が本発明の原理を広く開示していることを考慮すると、限定的なものであると考えられるべきではない。
【0019】
実施例の各々において、100重量部のポリ塩化ビニル単独重合体(B.F.GoodrichによるGeon 121 PVC)を含有する標準的樹脂配合が使用された。該標準的配合にはアジピン酸ジオクチル(DOA)又はフタル酸ジイソデシル(DIDP)のような可塑剤が含まれた。
【0020】
実施例のPVC組成物の配合土化可能性は、ASTM D 5526−94(2002年再承認)、促進埋立条件下におけるプラスチック材料の嫌気生分解性を測定する標準試験方法に従うことにより測定された。標準試験を用いて、60重量%の滅菌脱水肥料(処理された家庭廃棄物をまねるため)、30%の蒸留水、及び10%の活性菌床材料(active composter)からの発酵用種菌を含む混合物を準備した。50gを、密封ペトリ皿中で、PVC組成物又は複合体シート材料の1/2 x 1インチ試料と一緒に用いた。すべての実験は暗い培養器中において97°Fで行った。
【実施例1】
【0021】
100部のPVC(Geon 121)、80部のフタル酸ジイソデシル(DIDP)、及び2部のジブチル錫ジラウレート(DBTDL)熱安定剤から成るプラスチゾルを混合し、剥離紙上に2ミルのフィルムとして塗布し、そして融着させた。試料は、ASTM D 5526−94の試験条件に90日間露出した後でも変化しなかった。DIDPの代りにアジピン酸ジオクチル(DOA)を用いて、該操作を繰返した。90日後、該フィルム上にカビの成長が見られたが、分解の証拠は見られなかった。イソチアゾロン殺生剤(Ferro CorporationのMICRO−CHEK 11)の4%溶液を2.5部添加して該操作を繰返した。この場合、90日後にカビ成長の証拠は無かった。
【実施例2】
【0022】
DOA、DBTDLプラス5部のチタニウムネオアルカノラート・トリ(ジオクチル)ピロフォスファート−O−(付加物)−N−置換メタクリルアミド(Kenrich LICA 38J)を用いて、実施例1のプラスチゾルを混合した。融着させた試料は10日以内に試験埋め土中で破壊され、肉眼から消えた。2.5部のMICRO−CHEK 11殺生剤を添加して該実験を繰返したが、結果は同じであった。
【実施例3】
【0023】
実施例1のプラスチゾルを、DOA、シクロヘキサンジカルボン酸のジイソノニルエステル(BASFのDINCH)に置換えて、DBTDL、LICA 38Jと混合した。ASTM D 5526−94の方法により試験すると、融着させた試料は殺生剤を添加してもしなくても7日のうちに消えた。
【実施例4】
【0024】
LICA 38Jのジルコネート類似体(Kenrich NZ 38J)を用いて実施例3を繰返した。ASTM D 5526−94の方法により試験すると、融着させた試料は10日以内に消えた。
【実施例5】
【0025】
該プラスチゾルを、DINCH、LICA 38J及びDBTDLの代りのジブチル錫マレエートエステル熱安定剤(HalstabのPLASTISTAB 2808)を用いて混合した。ASTM D 5526−94の方法により試験すると、融着させた試料は10日以内に消えた。
【実施例6】
【0026】
該プラスチゾルを、DINCH、LICA 38J及びDBTDL有機錫の代りの液体カルシウム/亜鉛安定剤(HalstabのPLASTISTAB 3002)2部を用いて混合した。90日後、融着させた試料は激しいカビ成長を示し砕けていたが、依然として明白に同じ寸法であった。
【実施例7】
【0027】
対照試料を比較のために処理した。ASTM D 5526−94の方法により試験すると、未処理濾紙の試料は1週間以内でカビ成長を示し30日で破壊された。ポリ乳酸(PLA)2ミルフィルムの試料は7日で完全に破壊された。低密度ポリエチレン(LDPE)1ミルフィルムの試料は90日後でも変化しなかった。
【実施例8】
【0028】
100部のGeon 121 PVC、80部のDOA、2部のDBTDL安定剤、及び5部のLICA 38(これはメタクリルアミド付加物なしのチタネートLICA 38Jである)から成るプラスチゾルを混合した。ASTM D 5526により97°Fで30日後、分解の兆候は見えなかった。NZ 38、即ちNZ 38J用のジルコネートベースを用いて、又5部のメタクリルアミド自体を用いて、同じ結果が見出された。これらの試験により、オルガノチタネート又はジルコネートのメタクリルアミド付加物が配合土化可能性には必要であることが証明される。
【実施例9】
【0029】
100部のPVC、80部のDOA、5部のLICA 38Jオルガノチタネート−メタクリルアミド付加物、及び2部のジブチル錫ジイソチオグリコレート(Ferro CorporationのSP1002)から成るプラスチゾルを混合した。30日後、ほんの少しの分解があったに過ぎない。これは多分、有機錫メルカプチドの抗酸化剤性能を反映するものであろう。それは又、分解促進性システムにおける好ましい有機錫カルボキシレートを現在証明するものである。
【実施例10】
【0030】
次の安定化システム、即ち、2部のエポキシ化大豆油(ESO)、2部のフェニルジイソデシルホスファイト、0.2部のステアリン酸亜鉛を用いて実施例9を繰返した。30日後、配合土化可能性は見られなかったが、これは恐らく、大部分の混合金属安定剤システムで用いられているであろう該ホスファイトの抗酸化剤性能によるであろう。しかしながらこの場合、顕著なカビ成長があったので、(数年の期間で)分解が結果として生ずるかも知れない。4%のイソチアゾロン殺生剤を含有するESOを用いて繰返したら、カビ成長は生じなかった。
【実施例11】
【0031】
前に述べたように、100部のGeon 121 PVC、80部のDOA、2部のDBTDL、及び5部のKenrich LICA 38J反応性チタネートから成るプラスチゾルを混合した。これに、5部のVULCABOND MDX(Akzo Nobel)結合剤を添加した。該プラスチゾルをポリエステル布上に塗布し融着させて約5ミル厚さの塗膜にした。
【0032】
本発明の分解促進性システムを用いたこの塗布布の試料、及び(該分解促進性システムなしの)同じ構成の完成市販製品の対照試料をASTM D 5526の条件で90°Fに曝した。2週間曝した後、該対照試料は本質的に変化しなかった。本発明の試料はプラスチゾルのほとんどすべての痕跡を失って埋め土となり、唯一の残存物は該布メッシュの交点に浸透したものであった。該布はいくらかの分解の証拠を示し、該ポリエステルは徐々に分解するであろうと予想される。
【0033】
本発明を種々の態様及びパラメーターで説明してきたが、他の変型は当業者に明らかとなるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハロゲン化ビニルポリマー、
可塑剤、
オルガノチタネート又はオルガノジルコネートのアミド付加物及び有機錫化合物を含む分解促進性システム、
を含む配合土化可能なハロゲン化ビニルポリマー組成物であって、前記分解促進性システムが該ハロゲン化ビニルポリマー組成物を配合土化可能にするのに適切な量である、前記組成物。
【請求項2】
該分解促進性システムの成分群がポリマーの約1〜約10phrの合計量で含有されている、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
該分解促進性システムの成分群の各々がポリマーの約1〜約10phrの量で含有されている、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
該オルガノチタネート又はジルコネートが約5〜約7phrの量であり、有機錫が約2〜約3phrの量である、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
該有機錫が有機錫カルボキシレートである、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
前記アミド付加物がメタクリルアミド付加物である、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
前記チタネート又はジルコネートがネオアルコキシ変性モノアルコキシチタネート又はジルコネートのアミド塩である、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
該オルガノチタネートがチタニウムIVネオアルカノラート・トリ(ジオクチル)ピロフォスファート−O(付加物)N−置換メタクリルアミドである、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
該オルガノジルコネートがジルコニウムIVネオアルカノラート・トリ(ジオクチル)ピロフォスファート−O(付加物)N−置換メタクリルアミドである、請求項1の組成物。
【請求項10】
該ハロゲン化ビニルポリマーがポリ塩化ビニル又はその共重合体であり、該可塑剤がエステルである、請求項1の組成物。
【請求項11】
ポリ塩化ビニル又はその共重合体、
可塑剤、
チタニウムIVネオアルカノラート・トリ(ジオクチル)ピロフォスファート−O(付加物)N−置換メタクリルアミド並びにジルコニウムIVネオアルカノラート・トリ(ジオクチル)ピロフォスファート−O(付加物)N−置換メタクリルアミドから成る群から選択されるアミド付加物及び有機錫カルボキシレートを含む分解促進性システム、
を含む配合土化可能なポリ塩化ビニル(PVC)ポリマー組成物であって、前記分解促進性システムが該PVCポリマー組成物を配合土化可能にするのに適切な量である、前記組成物。
【請求項12】
該可塑剤が脂肪族エステルである、請求項11記載の組成物。
【請求項13】
該有機錫カルボキシレートがジブチル錫ジラウレート及びジブチル錫マレエートから成る群から選択される、請求項11記載の組成物。
【請求項14】
該分解促進性システムの成分群の各々がポリマーの約1〜約10phrの量で含有されている、請求項11記載の組成物。
【請求項15】
該オルガノチタネート又はジルコネートが約5〜約7phrの量であり、有機錫が約2〜約3phrの量である、請求項11記載の組成物。
【請求項16】
ハロゲン化ビニルポリマーのフィルム、
可塑剤、及び
オルガノチタネート又はオルガノジルコネートのアミド付加物及び有機錫化合物を含む分解促進性システム、
を含む配合土化可能なハロゲン化ビニルポリマーシートであって、前記分解促進性システムが該ハロゲン化ビニルポリマーシートを配合土化可能にするのに適切な量である、前記配合土化可能シート。
【請求項17】
該オルガノチタネート又はジルコネートが約5〜約7phrの量であり、有機錫が約2〜約3phrの量である、請求項16記載の配合土化可能シート。
【請求項18】
該オルガノチタネートがチタニウムIVネオアルカノラート・トリ(ジオクチル)ピロフォスファート−O(付加物)N−置換メタクリルアミドである、請求項16記載の配合土化可能シート。
【請求項19】
該オルガノジルコネートがジルコニウムIVネオアルカノラート・トリ(ジオクチル)ピロフォスファート−O(付加物)N−置換メタクリルアミドである、請求項16記載の配合土化可能シート。
【請求項20】
該ハロゲン化ビニルポリマーがポリ塩化ビニル又はその共重合体であり、該可塑剤が脂肪族エステルである、請求項16記載の配合土化可能シート。
【請求項21】
請求項16記載のシート及び織布又は不織布を含む複合体。
【請求項22】
前記織布又は不織布が配合土化可能である、請求項21記載の複合体。
【請求項23】
前記配合土化可能布がポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート及びポリエステルから成る群から選択されるポリマーである、請求項22記載の複合体。
【請求項24】
ポリ塩化ビニル又はその共重合体、
可塑剤、
チタニウムIVネオアルカノラート・トリ(ジオクチル)ピロフォスファート−O(付加物)N−置換メタクリルアミド並びにジルコニウムIVネオアルカノラート・トリ(ジオクチル)ピロフォスファート−O(付加物)N−置換メタクリルアミドから成る群から選択されるアミド付加物及び有機錫カルボキシレートを含む分解促進性システム、
を含む配合土化可能なポリ塩化ビニル(PVC)シートであって、前記分解促進性システムがそのビニルハロゲン化物ポリマー組成物を配合土化可能にするのに適切な量である、前記シート。
【請求項25】
該可塑剤がエステルである、請求項24記載のシート。
【請求項26】
該可塑剤が脂肪族エステルである、請求項24記載のシート。
【請求項27】
該有機錫カルボキシレートがジブチル錫ジラウレート及びジブチル錫マレエートから成る群から選択される、請求項24記載のシート。
【請求項28】
請求項24記載のシート及び織布又は不織布を含む複合体。
【請求項29】
前記織布又は不織布が配合土化可能である、請求項28記載の複合体。
【請求項30】
前記配合土化可能布がポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート及びポリエステルから成る群から選択されるポリマーである、請求項29記載の複合体。

【公表番号】特表2008−528726(P2008−528726A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−552112(P2007−552112)
【出願日】平成17年8月9日(2005.8.9)
【国際出願番号】PCT/US2005/028140
【国際公開番号】WO2006/080955
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(507314198)バイオテック プロダクツ、エルエルシー (3)
【Fターム(参考)】