説明

配管用クランプ継手

【課題】簡単な操作で接続と解除を行えると共に、充分な締め付け力が得られるようになした配管用クランプ継手を提供することを目的とする。
【解決手段】フェルール同士の突き合わせ部分の外周を覆うことができる凹溝を形成してなるほぼ半円形状をなすように二分された一対のクランプバンド6a,6bの下端部同士を、連結金具7を介して回動可能に連結する。一対のクランプバンドの自由端部側を互いに平行状態を維持できるように上方に折り曲げて一対の緊締部9a,9bを形成する。緊締部9aの両側にピン10を介してリンク板11,11を回動自在に取付け、当該一対のリンク板の先端部にピン12を介して基端部にカム部14を形成した操作レバー13を回動自在に付設する。当該カム部14が圧接するカム受け凹部16を、緊締部9bに凹設した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種粉粒体、液体または気体を通流させる配管類のフェルール同士を接続するときなどに用いられるクランプ継手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば合成樹脂の成形技術分野においては、成形用原料樹脂コンパウンド中に混在する鉄粉などの磁性金属粉を、射出成形機などに投入する前段階において除去するために、空気輸送によって原料樹脂を成形機まで吸引するようにした配管経路中に強力な磁着力を有する棒状のマグネットを着脱自在に取付けて、原料樹脂中の磁性金属粉を磁着分離除去するようにしている。
【0003】
前記した配管経路中のマグネットの外周部には経時的に磁性金属粉が磁着するため、一定時間毎に、運転を停止してフェルール部における配管接続を解除し、マグネットバーを配管系から取り出して清掃する必要がある。このような配管接続及び解除の際には、一般的に特許文献1に示されているようなクランプ継手が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−11992公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の第5図に示された従来のクランプ継手は、ほぼ半円形状に形成された金属製の2つの締め付け用部材1,2の内側に断面台形状の溝1a,2aを形成してあり、これらの締め付け用部材1,2は、一方の端部において接続用部材3を介して回動自在に接続されている。
【0006】
また、これらの締め付け用部材1,2の他端には、締め付け機構4が設けられており、この締め付け機構4は、上記締め付け用部材1,2のどちらか一方、例えば締め付け用部材1に設けられた支持軸4aによって回動自在に支持されたボルト4b、このボルト4bに螺合される蝶ナット4c、および他方の締め付け用部材2に形成され、ボルト4bが係止される係止用切り欠き溝4dとから構成されている。
【0007】
そのため、配管接続を解除するには、蝶ナット4cが係止用切り欠き溝4dから外れるまで回転し続けなければならず、操作に手間と時間が掛かるという欠点がある。また、交換乃至点検後再度接続するには、同様に蝶ナット4cを回さなければならず、迅速性に欠けると共に、配管内を通流する粉粒体、液体などが漏出するのを防ぐため蝶ナットをきつく締め込むため、次第に螺子山が損傷して充分な締め付け力が得られなくなるという問題点があった。なお、前記したように従来のクランプ継手には締め付け機構として螺子山をもった部品を用いているため食品加工分野等においては衛生上懸念される場合も少なからずあった。
【0008】
そこで、本発明は前記した従来の配管用クランプ継手の問題点をなくし、ワンタッチで接続と解除を行えると共に、螺子部品を用いずに充分な締め付け力が得られるようになし、食品加工分野においても安心して使用できる配管用クランプ継手を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明の構成を詳述すれば、請求項1に係る発明は、配管の繋ぎ目に形成したフェルールの当接面に凹設してある環状溝内にガスケットを挟み込むようにして両方の配管のフェルール同士を突き合わせ、当該突き合わせ部分の外周に緊着して配管内を通流する粉粒体、液体又は気体が外部に漏れるのを防止するクランプ継手において、前記フェルール同士の突き合わせ部分の外周を覆うことができる凹溝を形成してなるほぼ半円形状をなすように二分された一対のクランプバンドの下端部同士を、連結金具を介して回動可能に連結すると共に、当該一対のクランプバンドの自由端部側を互いに平行状態を維持できるように上方に折り曲げて上面からみてコ字をなす一対の緊締部を形成し、当該一対の緊締部のうちのいずれか一方の緊締部の両側にピンを介してリンク板を回動自在に取付け、当該一対のリンク板の先端部にピンを介して基端部にカム部を形成した操作レバーを回動自在に付設すると共に、当該操作レバーの基端部に形成したカム部が圧接するカム受け凹部を、他方の緊締部に凹設したことを特徴とする配管用クランプ継手である。
【発明の効果】
【0010】
本発明配管用クランプ継手によれば、一方の緊締部に回動自在に取付けてある操作レバーを掴んで一対のリンク板によって形成される枠体を他方の緊締部に被せてから操作レバーをクランプバンド方向へ回すと、操作レバーの基端部に形成してあるカム部が、他方の緊締部に凹設してあるカム受け凹部に圧接して、他方の緊締部が一方の緊締部方向に向けて圧締めされて配管のフェルール同士の突き合わせ部の気密性、水密性を保持することができるものである。
【0011】
従って、従来のように蝶ナットなどの螺着操作が不要となり、操作性が大幅に改善される。また、操作レバーの基端部に設けてあるカム部が、他方の緊締部に凹設してあるカム受け凹部に嵌着する構造であるから、耐久性に優れ、繰り返し使用にも充分耐え得るものである。なお、本発明クランプ継手においては、螺子山を有する部品を一切使用しないのでサニタリー性が向上し、厳しい衛生管理が要求される食品加工分野においてもより安心して使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る配管用クランプ継手の使用状態を示す斜視図である。
【図2】配管のフェルール同士の突き合わせ部を示す断面図である。
【図3】一対のクランプバンドを開いた状態の説明図である。
【図4】一対のリンク板によって形成される枠体を他方の緊締部に被せた状態の説明図である。
【図5】操作レバーを回して基端部にあるカム部をカム受け凹部内に圧入した状態の説明図である。
【図6】図5の状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明配管用クランプ継手の一実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0014】
図中1は各種粉粒体、液体または気体を通流させる配管を示し、2は当該配管1の繋ぎ目に形成したフェルールを示す。3は当該フェルール2の当接面に凹設してある環状の凹溝であり、4は当該環状溝3内に嵌着させる環状を呈するガスケットを示す。
【0015】
5は配管1の前記フェルール2同士の突き合わせ部分の外周に緊着して配管内を通流する粉粒体、液体又は気体が外部に漏れるのを防止するクランプ継手の全体を示す。
【0016】
クランプ継手5は、ほぼ半円形状をなすように二分された一対のクランプバンド6a,6bを主体とし、このクランプバンド6a,6bの下端部同士を連結金具7を介して回動可能乃至開閉自在に連結してある。なお、図中8は連結金具7とクランプバンド6a,6bの下端部を連結するための止めピンを示す。
【0017】
ほぼ半円形状をなすように二分されたクランプバンド6a,6bは、配管1の前記フェルール2同士の突き合わせ部分の外周を覆うことができるよう断面凹溝状に形成してあり、クランプバンド6a,6bを開いた状態で当該突き合わせ部分を凹溝内に嵌め込むことができるようになっている。
【0018】
次に、9a,9bは一対のクランプバンド6a,6bの自由端側を互いに平行状態を維持できるように上方に折り曲げて上面からみてほぼコ字をなすように形成した一対の緊締部を示し、当該一対の緊締部のうちのいずれか一方の緊締部9aには、その両側にピン10を介してリンク板11,11を回動自在に取付け、当該一対のリンク板11,11の先端部にはピン12を介して基端部にカム部14を形成した操作レバー13を回動自在に付設してある。
【0019】
なお、ピン軸12の中心部に操作レバー13が保持されるように、操作レバー13の両側には適宜スペーサー15,15をピン軸12に挿着しておくようにするとよい。
【0020】
図中16は他方の緊締部9bに凹設したカム受け凹部であり、前記操作レバー13の基端部に形成したカム部14が圧入できる形状となっている。なお、図示するカム受け凹部16は円形状となっているが、これ以外にも緊締部9bの横方向に凹溝を形成してカム受け凹部となしても充分適用可能である。
【実施例】
【0021】
本発明配管用クランプ継手の実施例を図2乃至図6により説明すれば、先ず、配管1の繋ぎ目に形成してあるフェルール2の当接面に凹設してある環状の凹溝3内にガスケット4を挿着してからフェルール同士2を突き合わせ、次いで、クランプ継手5の一対のクランプバンド6a,6bを開放状態にする。クランプバンド6a,6bはその下端部が止めピン8,8によって連結金具7に回動自在に取付けられているので、クランプバンド6a,6bは容易に開放することができる(図3)。
【0022】
開かれたクランプバンド6a,6bの凹溝内に前記フェルール同士2の突き合わせ部を嵌め込んでから、クランプバンド6a,6bを閉じると共に、緊締部9aに付設してある操作レバー13を掴んで一対のリンク板11,11とピン12によって形成される枠体を他方の緊締部9bを囲むようにする(図4)。
【0023】
次いで、操作レバー13をピン軸12を中心として下向きに回動させると、操作レバー13の基端部に設けてあるカム部14が操作レバー13の動きとは逆に上向きに回動し、カム部14の先端カム面が緊締部9bに設けてあるカム受け凹部16内にきつく嵌まり込むと同時に緊締部9bが緊締部9a方向に向け強力に引き寄せられロック状態が保持される(図5及び図6)。
【0024】
上記とは逆にロック状態のフェルール部を解除するには、操作レバー13を上方に押し上げれば、カム部14に下向きの力が加わり、カム面が緊締部9bのカム受け凹部16内から外れてロック状態が解除されるので、操作レバー13を掴んで一対のリンク板11,11とピン12によって形成される枠体を緊締部9bから開放すれば、クランプバンド6a,6bを左右に容易に開くことができ、クランプ継手5をフェルール部から取り外すことができる。
【0025】
このように、本発明配管用クランプ継手によれば、操作レバーを下方向に回動させるだけのワンタッチ操作で、フェルール同士の突き合わせ部の気密性、水密性を保持することができると共に、従来のような螺着操作が不要となり、作業性が大幅に改善される。また、操作レバーの基端部に設けてあるカム部が、他方の緊締部に凹設してあるカム受け凹部に嵌着する構造であるから、耐久性に優れ、繰り返し使用にも充分耐え得るものである。また、本発明のクランプ継手では、螺子部をもった部品を一切用いないのでサニタリー性が良好であり、食品加工分野における配管接続にも好適である。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明配管用クランプ継手は前記したように合成樹脂の成形加工分野のほか、食品製造加工分野、薬品製造分野等、その製造過程で配管を用いる各種分野に適用可能である。
【符号の説明】
【0027】
1:配管
2:フェルール
3:環状溝
4:ガスケット
5:クランプ継手
6a:クランプバンド
6b:クランプバンド
7:連結金具
8:止めピン
9a:緊締部
9b:緊締部
10:ピン
11:リンク板
12:ピン
13:操作レバー
14:カム部
15:スペーサー
16:カム受け凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管の繋ぎ目に形成したフェルールの当接面に凹設してある環状溝内にガスケットを挟み込むようにして両方の配管のフェルール同士を突き合わせ、当該突き合わせ部分の外周に緊着して配管内を通流する粉粒体、液体又は気体が外部に漏れるのを防止するクランプ継手において、前記フェルール同士の突き合わせ部分の外周を覆うことができる凹溝を形成してなるほぼ半円形状をなすように二分された一対のクランプバンドの下端部同士を、連結金具を介して回動可能に連結すると共に、当該一対のクランプバンドの自由端部側を互いに平行状態を維持できるように上方に折り曲げて上面からみてコ字をなす一対の緊締部を形成し、当該一対の緊締部のうちのいずれか一方の緊締部の両側にピンを介してリンク板を回動自在に取付け、当該一対のリンク板の先端部にピンを介して基端部にカム部を形成した操作レバーを回動自在に付設すると共に、当該操作レバーの基端部に形成したカム部が圧接するカム受け凹部を、他方の緊締部に凹設したことを特徴とする配管用クランプ継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−255701(P2010−255701A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−104607(P2009−104607)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(502366790)株式会社ジェイエムアイ (2)
【Fターム(参考)】