配線・配管材用吊り具、および配線・配管材用吊り具の帯体の止め具
【課題】 帯体の形状を簡単にすることができ、かつ、帯体の強度を保って配線・配管材を安定して吊り下げることができる、配線・配管材用吊り具を提供する。
【解決手段】 吊り具30は、配線・配管材2を抱えるようにして吊り下げる帯体3と、帯体3の、配線・配管材2に回されて上方に延びる各側を、互いに止める止め具20とを、備える。ここで、止め具20は、帯体3が掛け止められるフック部Xを備える。このフック部Xは、帯体3の長手方向に延びて、その自由端X2から帯体3の第1貫通孔301に挿入可能に構成される。そして、フック部Xの自由端X2側には、帯体3の第2貫通孔302に入り込んでその第2貫通孔302の周縁に係合する突状係合部X3が設けられている。
【解決手段】 吊り具30は、配線・配管材2を抱えるようにして吊り下げる帯体3と、帯体3の、配線・配管材2に回されて上方に延びる各側を、互いに止める止め具20とを、備える。ここで、止め具20は、帯体3が掛け止められるフック部Xを備える。このフック部Xは、帯体3の長手方向に延びて、その自由端X2から帯体3の第1貫通孔301に挿入可能に構成される。そして、フック部Xの自由端X2側には、帯体3の第2貫通孔302に入り込んでその第2貫通孔302の周縁に係合する突状係合部X3が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、配線・配管材を吊り下げるための吊り具、およびその吊り具の帯体の止め具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、配線・配管材等の被保持物を吊り下げるようにして保持する保持材となる吊り具があった(例えば、特許文献1参照)。図14に示すように、この吊り具50は、鋼板等によって形成された湾曲可能な帯体からなっていた。この吊り具50は、上端部分が、横木51の側部51aに、釘52により固定され、下部側が、ループLを形成するように曲げ返されることで、そのループLの内側に被保持物53が保持された。ここにおいて、吊り具50は、貫通部50aが穿設された掛止部50bと、その掛止部50bに掛け止められる被掛止部50cとを、交互に繰り返すようにして形成されていた。そして、掛止部50bにおける貫通部50aは、幅広貫通部50dと、その幅広貫通部50dに連通する幅狭貫通部50eとを備えていた。また、被掛止部50cは、幅広部50fと、その幅広部50fに連設される幅狭部50gとを備えていた。そこで、被掛止部50cを掛止部50bの幅広貫通部50dに挿通し、次いで、被掛止部50cを掛止部50bの面に沿う下に移動することで、被掛止部50cの幅狭部50gを掛止部50bの幅狭貫通部50e内に進入させると、被掛止部50cの幅広部50fが、掛止部50bに掛け止められた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−39086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来の吊り具50にあっては、帯体のみからなるものの、その帯体は、掛止部50bと被掛止部50cとを交互に繰り返したり、被掛止部50cに、幅広部50fと幅狭部50gとを設ける必要があったりして、その形状が、複雑となっていた。また、掛止部50bに、幅広貫通部50dを設ける必要があったり、被掛止部50cに、幅狭部50gを設ける必要があることから、この吊り具50の強度は、その幅の割には制限されていた。
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、帯体の形状を簡単にすることができ、かつ、帯体の強度を保って配線・配管材を安定して吊り下げることができる、配線・配管材用吊り具、および配線・配管材用吊り具の帯体の止め具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る配線・配管材用吊り具、および配線・配管材用吊り具の帯体の止め具は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る配線・配管材用吊り具は、配線・配管材を吊り下げるための吊り具であって、長手方向に並ぶ複数の貫通孔を有して、前記配線・配管材を抱えるようにして吊り下げる帯体と、前記帯体の、前記配線・配管材に回されて上方に延びる各側を、互いに止める止め具とを、備える。ここで、前記止め具は、前記帯体の一方の側が止められる第1止め部と、前記帯体の他方の側が止められる第2止め部とを備える。そして、前記第1止め部と前記第2止め部との少なくとも一方は、前記帯体が掛け止められるフック部からなる。このフック部は、前記帯体の長手方向に延びて、その自由端から前記複数の貫通孔のいずれかの貫通孔である第1貫通孔に挿入可能に構成される。そして、前記フック部の基端部が、そのフック部に対する前記帯体の、前記自由端側から前記基端部側に向かう方向の相対移動を規制するように、前記第1貫通孔の周縁に係合可能となる。また、前記フック部の自由端側には、そのフック部に対する前記帯体の、前記基端部側から前記自由端側に向かう方向の相対移動を規制するように、前記第1貫通孔とは別の貫通孔である第2貫通孔に入り込んでその第2貫通孔の周縁に係合する、または、前記帯体の端部に係合する、突状係合部が設けられている。
【0007】
この配線・配管材用吊り具によると、帯体は、長手方向に並ぶ複数の貫通孔を有している。そして、止め具は、配線・配管材に回されて上方に延びる一方の側が止められる第1止め部と、他方の側が止められる第2止め部とを備える。ここにおいて、第1および第2止め部の少なくとも一方は、自由端側に突状係合部が設けられたフック部からなる。そこで、フック部を、帯体の第1貫通孔に挿入すると、そのフック部の基端部が、第1貫通孔の周縁に係合することで、帯体は、フック部の自由端側から基端部側に向かう方向の相対移動が規制される。そして、フック部の自由端側の突状係合部が、第2貫通孔の周縁(または、帯体の端部)に係合することで、帯体は、フック部の基端部側から自由端側に向かう方向の相対移動が規制される。このように、この吊り具によると、帯体には、止め具におけるフック部が挿入される第1貫通孔とか、フック部の自由端側の突状係合部が係合する第2貫通孔を設ければよく、その帯体の形状を簡単にすることができ、また、それによって、帯体の強度を保って配線・配管材を安定して吊り下げることができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る配線・配管材用吊り具は、請求項1に記載の配線・配管材用吊り具において、前記止め具は、前記第1止め部と第2止め部とが設けられるベース部を備える。そして、前記突状係合部は、前記フック部から前記ベース部側に突出する。
【0009】
また、請求項3に記載の発明に係る配線・配管材用吊り具は、請求項2に記載の配線・配管材用吊り具において、前記第1止め部と前記第2止め部とが、それぞれ、前記フック部からなり、それらフック部は、前記ベース部を挟むように設けられる。
【0010】
また、請求項4に記載の発明に係る配線・配管材用吊り具は、請求項3に記載の配線・配管材用吊り具において、二つの前記フック部は、その自由端が同一方向を向くように設けられる。これにより、止め具を、フック部の自由端側が上となり基端部側が下となる向きで配置すると、止め具の下で、帯体が配線・配管材によって広がろうとするのを、両フック部の基端部側で受け止めることができ、自由端側が開くのを抑えることができる。
【0011】
また、請求項5に記載の発明に係る配線・配管材用吊り具は、請求項2に記載の配線・配管材用吊り具において、前記第1止め部と前記第2止め部は、共通する一つの前記フック部からなり、前記帯体の一方の側と他方の側とは、重ねられて、共通する一つの前記フック部に掛け止められる。
【0012】
また、請求項6に記載の発明に係る配線・配管材用吊り具は、請求項2ないし5のいずれか1項に記載の配線・配管材用吊り具において、前記ベース部には、前記フック部における基端部と前記突状係合部との間の位置に対向して、前記帯体を前記ベース部から離して前記突状係合部側へと押しやる突部が設けられる。こうして、帯体を突状係合部側へと押しやる突部を設けることで、突状係合部を、第2貫通孔または帯体の端部に確実に係合させることができる。
【0013】
また、請求項7に記載の発明に係る配線・配管材用吊り具は、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の配線・配管材用吊り具において、前記フック部の基端部には、前記第1貫通孔における、前記帯体の幅方向側の両縁部に掛かる、掛り段部が設けられる。
【0014】
また、請求項8に記載の発明に係る配線・配管材用吊り具の帯体の止め具は、長手方向に並ぶ複数の貫通孔を有して、前記配線・配管材を抱えるようにして吊り下げる帯体の、前記配線・配管材に回されて上方に延びる各側を、互いに止める、配線・配管材を吊り下げるための吊り具の帯体の止め具である。この止め具は、前記帯体の一方の側が止められる第1止め部と、前記帯体の他方の側が止められる第2止め部とを備える。そして、前記第1止め部と前記第2止め部との少なくとも一方は、前記帯体が掛け止められるフック部からなる。このフック部は、前記帯体の長手方向に延びて、その自由端から前記複数の貫通孔のいずれかの貫通孔である第1貫通孔に挿入可能に構成される。そして、前記フック部の基端部が、そのフック部に対する前記帯体の、前記自由端側から前記基端部側に向かう方向の相対移動を規制するように、前記第1貫通孔の周縁に係合可能となる。また、前記フック部の自由端側には、そのフック部に対する前記帯体の、前記基端部側から前記自由端側に向かう方向の相対移動を規制するように、前記第1貫通孔とは別の貫通孔である第2貫通孔に入り込んでその第2貫通孔の周縁に係合する、または、前記帯体の端部に係合する、突状係合部が設けられている。
【0015】
この止め具によると、止め具は、配線・配管材に回されて上方に延びる一方の側が止められる第1止め部と、他方の側が止められる第2止め部とを備える。ここにおいて、第1および第2止め部の少なくとも一方は、自由端側に突状係合部が設けられたフック部からなる。そこで、フック部を、帯体の第1貫通孔に挿入すると、そのフック部の基端部が、第1貫通孔の周縁に係合することで、帯体は、フック部の自由端側から基端部側に向かう方向の相対移動が規制される。そして、フック部の自由端側の突状係合部が、第2貫通孔の周縁(または、帯体の端部)に係合することで、帯体は、フック部の基端部側から自由端側に向かう方向の相対移動が規制される。このように、帯体には、止め具におけるフック部が挿入される第1貫通孔とか、フック部の自由端側の突状係合部が係合する第2貫通孔を設ければよく、その帯体の形状を簡単にすることができ、また、それによって、帯体の強度を保って配線・配管材を安定して吊り下げることができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明に係る配線・配管材用吊り具および止め具によれば、帯体には、止め具におけるフック部が挿入される第1貫通孔とか、フック部の自由端側の突状係合部が係合する第2貫通孔を設ければよく、その帯体の形状を簡単にすることができ、また、それによって、帯体の強度を保って配線・配管材を安定して吊り下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の一実施の形態の、全体を示す正面図である。
【図2】同じく、図1における止め具部分の斜視図である。
【図3】同じく、図1における止め具部分の拡大断面図である。
【図4】同じく、図1における帯体固定具部分の拡大断面図である。
【図5】同じく、止め具の斜視図である。
【図6】同じく、止め具の正面図である。
【図7】同じく、帯体固定具の斜視図である。
【図8】この発明の他の実施の形態の、図3相当図である。
【図9】同じく、止め具の斜視図である。
【図10】同じく、止め具の正面図である。
【図11】この発明のさらに他の実施の形態の、要部を示す正面図である。
【図12】同じく、止め具の斜視図である。
【図13】同じく、止め具の正面図である。
【図14】従来の、吊り具を用いた吊下げ構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明に係る配線・配管材用吊り具、および配線・配管材用吊り具の帯体の止め具を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1〜図7は、本発明の一実施の形態を示す。図中符号2は、配線・配管材(配線材または配管材)を示す。3は、帯体を示し、帯体3は、長手方向に並ぶ複数の貫通孔3a、3aを有して、前記配線・配管材2を抱えるようにして吊り下げるものである。20は、止め具を示し、この止め具20は、前記帯体3の、配線・配管材2(図示実施の形態においては、配管材であって、例えば空調ダクト等のダクト)に回されて上方に延びる各側を、互いに止めるものである。30は、前記配線・配管材2を吊り下げるための吊り具(配線・配管材用吊り具)を示し、この吊り具30は、前記帯体3と前記止め具20とを備える。
【0020】
ここで、止め具20は、帯体3の一方の側が止められる第1止め部21と、帯体3の他方の側が止められる第2止め部22とを備える。そして、第1止め部21と第2止め部22との少なくとも一方は、帯体3が掛け止められるフック部Xからなる。
【0021】
このフック部Xは、帯体3の長手方向に延びて、その自由端X2から帯体3における複数の貫通孔3a、3aのいずれかの貫通孔3aである第1貫通孔301に挿入可能に構成され、フック部Xの基端部X1が、そのフック部Xに対する帯体3の、フック部Xにおける自由端X2側から基端部X1側に向かう方向の相対移動を規制するように、第1貫通孔301の周縁に係合可能となっている。そして、フック部Xの自由端X2側には、そのフック部Xに対する帯体3の、フック部Xにおける基端部X1側から自由端X2側に向かう方向の相対移動を規制するように、第1貫通孔301とは別の貫通孔3aである第2貫通孔302に入り込んでその第2貫通孔302の周縁に係合可能な、または、帯体3の端部に係合可能な、突状係合部X3が設けられている。つまり、突状係合部X3は、図示実施の形態においては、第2貫通孔302の周縁に係合するが、その他に、帯体3の先端側を短くすることで、突状係合部X3が帯体3の端部に係合するようにすることもできる。
【0022】
また、止め具20は、第1止め部21と第2止め部22とが設けられるベース部23を備えている。そこで、前記突状係合部X3は、フック部Xからベース部23側に突出する。図示実施の形態においては、第1止め部21と第2止め部22とが、それぞれ、フック部Xからなり、それらフック部X、Xは、ベース部23を挟むように設けられる。そして、これら二つのフック部X、Xは、その自由端X2、X2側が同一方向を向くように設けられている。
【0023】
具体的には、帯体3は、例えば合成樹脂製であって、一定幅で連続して形成されている。そして、前記貫通孔3a、3aは、帯体3の長手方向の側に若干長孔となるように形成され、帯体3の幅中央に位置している。また、帯体3は、これら貫通孔3a、3aに加えて、各貫通孔3a、3a間に、径小となる円形形状をした他の貫通孔3bを有している(図2参照)。
【0024】
止め具20は、例えば合成樹脂製であって、ベース部23が板状であって、細長に形成されている。そして、フック部X(止め部21、22)は、ベース部23を挟んで対向位置するように、そのベース部23の表裏に設けられている。詳細には、フック部Xは、ベース部23の表裏の各側において、長手方向の一方側から突出し、さらに、ベース部23の板面に沿うようにて、長手方向の他方側に向かって延びている。そこで、このフック部Xの基端部X1には、帯体3の第1貫通孔301における、帯体3の幅方向側の両縁部に掛かる、掛り段部X4、X4が設けられている。つまり、フック部Xの基端部X1には、第1貫通孔301に嵌まる側に対して抜け出る側が幅広となることで、前記掛り段部X4、X4が形成される。
【0025】
また、このフック部Xに設けられる前記突状係合部X3は、ベース部23側であって自由端X2から基端部X1側に折り返すように傾斜して、突出形成されている。これにより、帯体3(詳しくは、第2貫通孔302の周縁)が、この突状係合部X3に掛かり易くなる。そして、このフック部Xの自由端X2には、突状係合部X3とは反対側であって基端部X1から離れる側に傾斜して、指掛部X5が突出形成されている。この指掛部X5は、突状係合部X3を第2貫通孔302から離脱させるための操作部となっており、この指掛部X5に指を掛けて反ベース部23側に引くことで、第2貫通孔302から突状係合部X3を離脱させることができる。そして、フック部Xの自由端X2の端面は、突状係合部X3および指掛部X5を含めて、ベース部23側ほど基端部X1側に進むように傾斜することで、フック部Xを第1貫通孔301に通すようにして、帯体3をフック部Xとベース部23との間に受け入れる、案内部として機能する。すなわち、フック部Xの自由端X2の傾斜する端面からなる案内部に第1貫通孔301を宛がえば、帯体3を下げるのみでフック部Xに帯体3を掛けることができる。また、帯体3をフック部Xに宛がって押し下げれば、案内部に第1貫通孔301が引っ掛かり、続いて帯体3を下げることで、フック部Xに帯体3を掛けられるため、手探りでもこの作業を行うことができる。
【0026】
また、ベース部23には、フック部Xにおける基端部X1と突状係合部X3との間の位置に対向して、帯体3をベース部23から離して突状係合部X3側へと押しやる突部23aが設けられている。詳細には、この突部23aは、突状係合部X3寄りの位置に設けられ、突状係合部X3側および基端部X1側が、なだらかな斜面となるように形成されている。また、ベース部23は、その両側に、弧状に窪むへこみ23b、23bが形成されている。
【0027】
ところで、帯体3は、その上方側において、帯体固定具4を用いて、天井面1から垂れ下がるように固定される。この帯体固定具4は、例えば、合成樹脂製であって、帯体固定具4自身を天井面1に固定するために、その天井面1に固着されるビスとか釘等の固着具6が貫通する固定部7を備える。そして、帯体固定具4は、帯体3の一端側が天井面1に沿って配置されるようにその帯体3の一端側が載置される載置部8と、その載置部8の上面に続いて天井面1から離れる側(つまり、下側)に湾曲して帯体3を垂れ下がる側に案内する支持面9aを有する支持部9とを、備える。さらに、帯体固定具4は、帯体固定具4自身が天井面1に固定された固定状態で、帯体3の長手方向の移動を規制すべく、帯体3の複数の貫通孔3a、3aのうちのいずれかの貫通孔3aに入り込んでその貫通孔3aの周縁に係合する係合部10を備える。
【0028】
詳細には、前記固定部7は、固着具6が帯体3の複数の貫通孔3a、3aのいずれかの貫通孔3aを貫通するよう、その貫通孔3aに対応した位置に設けられる。図示実施の形態においては、固定部7は、前記係合部10を有し、固着具6は、係合部10を含めて固定部7を貫通するとともに、係合部10が入り込む貫通孔3aを貫通するようになっている。そして、この係合部10を有する固定部7は、載置部8の中央に設けられ、その固定部7には、固着具6が貫通する孔7aがあけられている。
【0029】
また、帯体固定具4は、帯体3を仮保持するように、帯体固定具4自身が天井面1に固定された固定状態となる前において、帯体3の複数の貫通孔3a、3aにおけるいずれかの貫通孔3aに入り込み、帯体3の、垂れ下がる側への移動を規制する、第1規制部11を備える。この第1規制部11は、帯体3の貫通孔3aを抜けて帯体3の上面を抑えるように、鉤状(L字状)に前方に折れ曲がって形成されている(図4、図7参照)。そして、帯体固定具4は、第1規制部11に加えて、第2規制部12を備えている。この第2規制部12は、帯体3を仮保持するように、前記固定状態となる前において、帯体3の複数の貫通孔3a、3aにおける第1規制部11が入り込む貫通孔3aまたはその貫通孔3aとは異なる貫通孔3aに入り込んで、帯体3の、垂れ下がる側とは反対側への移動を規制する。図示実施の形態においては、帯体固定具4は、前記載置部8を挟んで支持部9とは反対側(つまり、帯体3の垂れ下がる側とは反対側)に延出する延出部13を備えており、この延出部13に、第1規制部11と第2規制部12とが、帯体3の複数の貫通孔3a、3aにおける同一の貫通孔3aに入り込むように設けられている。そして、載置部8、支持部9および延出部13の下面には、補強のためのリブ4aが設けられる。
【0030】
また、帯体固定具4は、帯体3の幅方向の両側を保持する保持片14、14を備えている。図示実施の形態においては、これら保持片14、14は、前記支持部9に設けられる。詳細には、保持片14、14は、帯体3をその幅方向で挟むように、支持部9の幅の各側においてその上面から突出して形成され、さらに、帯体3の上面を抑えるように、鉤状(L字状)に内側に折れ曲がって形成されている(図4、図7参照)。
【0031】
次に、以上の構成からなる吊り具30の作用効果について説明する。この吊り具30によると、帯体3は、長手方向に並ぶ複数の貫通孔3a、3aを有している。そして、止め具20は、配線・配管材2に回されて上方に延びる一方の側が止められる第1止め部21と、他方の側が止められる第2止め部22とを備える。ここにおいて、第1および第2止め部21、22の少なくとも一方(図示実施の形態においては、両方)は、自由端X2側に突状係合部X3が設けられたフックX部からなる。そこで、フック部Xを、帯体3の第1貫通孔301に挿入すると、そのフック部Xの基端部X1(詳しくは、基端部X1における自由端X2側の面)が、第1貫通孔301の周縁に係合することで、帯体3は、フック部Xの自由端X2側から基端部X1側に向かう方向の相対移動が規制される。そして、フック部Xの自由端X2側に設けられた突状係合部X3が、第2貫通孔302の周縁(または、帯体3の端部)に係合することで、帯体3は、フック部Xの基端部X1側から自由端X2側に向かう方向の相対移動が規制される。このように、この吊り具30によると、帯体3には、止め具20におけるフック部Xが挿入される第1貫通孔301とか、フック部Xの自由端X2側の突状係合部X3が係合する第2貫通孔302を設ければよく、その帯体3の形状を簡単にすることができ、また、それによって、帯体3の強度を保って配線・配管材2を安定して吊り下げることができる。
【0032】
また、帯体3は、フック部Xの突状係合部X3によって基端部X1側から自由端X2側に向かう方向の相対移動が規制されている。このため、配線・配管材2が踊って上下に揺れた場合であっても、突状係合部X3により、帯体3がフック部Xの自由端X2から抜け出るのを防ぐことができる。
【0033】
また、図示実施の形態においては、相対的に、帯体3が、フック部Xの基端部X1側から自由端X2側に向かう方向に移動しようとすることに対し、突状係合部X3か帯体3の第2貫通孔302の周縁(または、帯体3の端部)に係合するだけでなく、基端部X1(詳しくは、基端部X1における自由端X2とは反対側の面)が帯体3の第1貫通孔301の周縁に係合する。このため、この方向の、止め具20に対する帯体3の相対移動を的確に規制することができる。
【0034】
また、フック部Xの基端部X1には、前記第1貫通孔301における、前記帯体3の幅方向側の両縁部に掛かる、掛り段部X4が設けられており、これによって、第1貫通孔301に嵌まった基端部X1を、その第1貫通孔301から抜け出し難くすることができる。しかも、配線・配管材2の自重により帯体3がその長手方向に引っ張られると、第1貫通孔301が引き延ばされて僅かに細るため、この第1貫通孔301への掛り段部X4の掛かりが確実となる。
【0035】
また、止め具20におけるベース部23には、帯体3を突状係合部X3側へと押しやる突部23aが設けられており、これによって、突状係合部X3を、第2貫通孔302または帯体3の端部に確実に係合させることができる。
【0036】
また、止め具20の二つのフック部X、Xは、その自由端X2が同一方向を向くように設けられている。そこで、図1〜図3に示すように、止め具20を、フック部Xの自由端X2側が上となり基端部X1側が下となる向きで配置すると、止め具20の下で、帯体3が配線・配管材2によって広がろうとするのを、両フック部X、Xの基端部X1、X1側で受け止めることができ、フック部X、Xの自由端X2、X2側が開くのを抑えることができる。
【0037】
また、止め具20は、先に帯体3の一方側に取り付けておくことができ、その後に、配線・配管材2に回した帯体3の他方側を、止め具20のフック部Xに掛けることで、簡単に配線・配管材2を吊り下げることができる。
【0038】
また、フック部Xは、帯体3の第1貫通孔301と第2貫通孔302(または、帯体3の端部)に係合することで、帯体3は、止め具20に対して回り止めされる。
【0039】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、止め具20における二つのフック部X、Xは、その自由端X2、X2側が同一方向を向くように設けられなくとも、互いに逆方向を向くように設けられてもよい。
【0040】
また、止め具20において、第1止め部21と第2止め部22とのいずれもがフック部Xからならなくとも、図8〜図10に示すように、第1止め部21と第2止め部22のうちの一方のみ、例えば第2止め部22のみがフック部Xからなっていてもよい。この図においては、第1止め部21と第2止め部22のうちの他方となる例えば第1止め部21は、別々の貫通孔3a、3aの周縁に掛けられる、掛止め片Y、Yを備える。これら掛止め片Y、Yは、帯体3の長手方向に鉤状(L字状)に折れ曲がって形成される。さらに、第1止め部21は、一方の掛け止片Yが掛かる貫通孔3aにおけるその掛かる側とは反対側の端縁と当接する当接部Y1を備えている。そこで、これら掛け止片Y、Yと当接部Y1とにより、相対的に帯体3が止め具20に対して長手方向のどちらの方向に移動することも規制される。また、この当接部Y1がある側の掛け止片Yには、指掛部Y2が突出形成されており、この指掛部Y2を第2止め部22側に押すことで、当接部Y1や掛け止片Yを貫通孔3aから容易に外すことができる。
【0041】
また、帯体3を、天井面1等の被固定部に固定するにあたって、帯体固定具4を用いなくとも、例えば、帯体3の他の貫通孔3bを通るビスとか釘等の固着具により、直接被固定部に固定してもよい。
【0042】
また、図11〜図13に示すように、止め具20において、第1止め部21と第2止め部22は、共通する一つのフック部Xからなり、帯体3の配線・配管材2に回されて上方に延びる一方の側と他方の側とは、重ねられて、その共通する一つのフック部Xに掛け止められてもよい。この例では、止め具20は、ベース部23におけるフック部Xのある側とは反対側に、この止め具20を吊ボルト等の棒材24に取り付けるための、棒材24を抱持する抱持片25を備えている。この抱持片25は、上下に並ぶように一対設けられ、これら抱持片25、25は、互いに、逆側から棒材24を抱えるよう逆回りに湾曲形成されている。なお、図11においては、帯体3の両方の側が、突状係合部X3と係合しているが、帯体3における外側となる側のみが突状係合部X3と係合してもよい。
【0043】
また、帯体3は、合成樹脂製でなくとも、鋼板等の金属板からなっていてもよい。
【符号の説明】
【0044】
2 配線・配管材
3 帯体
3a 貫通孔
301 第1貫通孔
302 第2貫通孔
20 止め具
21 第1止め部
22 第2止め部
23 ベース部
23a 突部
30 吊り具(配線・配管材用吊り具)
X フック部
X1 基端部
X2 自由端
X3 突状係合部
X4 掛り段部
【技術分野】
【0001】
この発明は、配線・配管材を吊り下げるための吊り具、およびその吊り具の帯体の止め具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、配線・配管材等の被保持物を吊り下げるようにして保持する保持材となる吊り具があった(例えば、特許文献1参照)。図14に示すように、この吊り具50は、鋼板等によって形成された湾曲可能な帯体からなっていた。この吊り具50は、上端部分が、横木51の側部51aに、釘52により固定され、下部側が、ループLを形成するように曲げ返されることで、そのループLの内側に被保持物53が保持された。ここにおいて、吊り具50は、貫通部50aが穿設された掛止部50bと、その掛止部50bに掛け止められる被掛止部50cとを、交互に繰り返すようにして形成されていた。そして、掛止部50bにおける貫通部50aは、幅広貫通部50dと、その幅広貫通部50dに連通する幅狭貫通部50eとを備えていた。また、被掛止部50cは、幅広部50fと、その幅広部50fに連設される幅狭部50gとを備えていた。そこで、被掛止部50cを掛止部50bの幅広貫通部50dに挿通し、次いで、被掛止部50cを掛止部50bの面に沿う下に移動することで、被掛止部50cの幅狭部50gを掛止部50bの幅狭貫通部50e内に進入させると、被掛止部50cの幅広部50fが、掛止部50bに掛け止められた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−39086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来の吊り具50にあっては、帯体のみからなるものの、その帯体は、掛止部50bと被掛止部50cとを交互に繰り返したり、被掛止部50cに、幅広部50fと幅狭部50gとを設ける必要があったりして、その形状が、複雑となっていた。また、掛止部50bに、幅広貫通部50dを設ける必要があったり、被掛止部50cに、幅狭部50gを設ける必要があることから、この吊り具50の強度は、その幅の割には制限されていた。
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、帯体の形状を簡単にすることができ、かつ、帯体の強度を保って配線・配管材を安定して吊り下げることができる、配線・配管材用吊り具、および配線・配管材用吊り具の帯体の止め具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る配線・配管材用吊り具、および配線・配管材用吊り具の帯体の止め具は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る配線・配管材用吊り具は、配線・配管材を吊り下げるための吊り具であって、長手方向に並ぶ複数の貫通孔を有して、前記配線・配管材を抱えるようにして吊り下げる帯体と、前記帯体の、前記配線・配管材に回されて上方に延びる各側を、互いに止める止め具とを、備える。ここで、前記止め具は、前記帯体の一方の側が止められる第1止め部と、前記帯体の他方の側が止められる第2止め部とを備える。そして、前記第1止め部と前記第2止め部との少なくとも一方は、前記帯体が掛け止められるフック部からなる。このフック部は、前記帯体の長手方向に延びて、その自由端から前記複数の貫通孔のいずれかの貫通孔である第1貫通孔に挿入可能に構成される。そして、前記フック部の基端部が、そのフック部に対する前記帯体の、前記自由端側から前記基端部側に向かう方向の相対移動を規制するように、前記第1貫通孔の周縁に係合可能となる。また、前記フック部の自由端側には、そのフック部に対する前記帯体の、前記基端部側から前記自由端側に向かう方向の相対移動を規制するように、前記第1貫通孔とは別の貫通孔である第2貫通孔に入り込んでその第2貫通孔の周縁に係合する、または、前記帯体の端部に係合する、突状係合部が設けられている。
【0007】
この配線・配管材用吊り具によると、帯体は、長手方向に並ぶ複数の貫通孔を有している。そして、止め具は、配線・配管材に回されて上方に延びる一方の側が止められる第1止め部と、他方の側が止められる第2止め部とを備える。ここにおいて、第1および第2止め部の少なくとも一方は、自由端側に突状係合部が設けられたフック部からなる。そこで、フック部を、帯体の第1貫通孔に挿入すると、そのフック部の基端部が、第1貫通孔の周縁に係合することで、帯体は、フック部の自由端側から基端部側に向かう方向の相対移動が規制される。そして、フック部の自由端側の突状係合部が、第2貫通孔の周縁(または、帯体の端部)に係合することで、帯体は、フック部の基端部側から自由端側に向かう方向の相対移動が規制される。このように、この吊り具によると、帯体には、止め具におけるフック部が挿入される第1貫通孔とか、フック部の自由端側の突状係合部が係合する第2貫通孔を設ければよく、その帯体の形状を簡単にすることができ、また、それによって、帯体の強度を保って配線・配管材を安定して吊り下げることができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る配線・配管材用吊り具は、請求項1に記載の配線・配管材用吊り具において、前記止め具は、前記第1止め部と第2止め部とが設けられるベース部を備える。そして、前記突状係合部は、前記フック部から前記ベース部側に突出する。
【0009】
また、請求項3に記載の発明に係る配線・配管材用吊り具は、請求項2に記載の配線・配管材用吊り具において、前記第1止め部と前記第2止め部とが、それぞれ、前記フック部からなり、それらフック部は、前記ベース部を挟むように設けられる。
【0010】
また、請求項4に記載の発明に係る配線・配管材用吊り具は、請求項3に記載の配線・配管材用吊り具において、二つの前記フック部は、その自由端が同一方向を向くように設けられる。これにより、止め具を、フック部の自由端側が上となり基端部側が下となる向きで配置すると、止め具の下で、帯体が配線・配管材によって広がろうとするのを、両フック部の基端部側で受け止めることができ、自由端側が開くのを抑えることができる。
【0011】
また、請求項5に記載の発明に係る配線・配管材用吊り具は、請求項2に記載の配線・配管材用吊り具において、前記第1止め部と前記第2止め部は、共通する一つの前記フック部からなり、前記帯体の一方の側と他方の側とは、重ねられて、共通する一つの前記フック部に掛け止められる。
【0012】
また、請求項6に記載の発明に係る配線・配管材用吊り具は、請求項2ないし5のいずれか1項に記載の配線・配管材用吊り具において、前記ベース部には、前記フック部における基端部と前記突状係合部との間の位置に対向して、前記帯体を前記ベース部から離して前記突状係合部側へと押しやる突部が設けられる。こうして、帯体を突状係合部側へと押しやる突部を設けることで、突状係合部を、第2貫通孔または帯体の端部に確実に係合させることができる。
【0013】
また、請求項7に記載の発明に係る配線・配管材用吊り具は、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の配線・配管材用吊り具において、前記フック部の基端部には、前記第1貫通孔における、前記帯体の幅方向側の両縁部に掛かる、掛り段部が設けられる。
【0014】
また、請求項8に記載の発明に係る配線・配管材用吊り具の帯体の止め具は、長手方向に並ぶ複数の貫通孔を有して、前記配線・配管材を抱えるようにして吊り下げる帯体の、前記配線・配管材に回されて上方に延びる各側を、互いに止める、配線・配管材を吊り下げるための吊り具の帯体の止め具である。この止め具は、前記帯体の一方の側が止められる第1止め部と、前記帯体の他方の側が止められる第2止め部とを備える。そして、前記第1止め部と前記第2止め部との少なくとも一方は、前記帯体が掛け止められるフック部からなる。このフック部は、前記帯体の長手方向に延びて、その自由端から前記複数の貫通孔のいずれかの貫通孔である第1貫通孔に挿入可能に構成される。そして、前記フック部の基端部が、そのフック部に対する前記帯体の、前記自由端側から前記基端部側に向かう方向の相対移動を規制するように、前記第1貫通孔の周縁に係合可能となる。また、前記フック部の自由端側には、そのフック部に対する前記帯体の、前記基端部側から前記自由端側に向かう方向の相対移動を規制するように、前記第1貫通孔とは別の貫通孔である第2貫通孔に入り込んでその第2貫通孔の周縁に係合する、または、前記帯体の端部に係合する、突状係合部が設けられている。
【0015】
この止め具によると、止め具は、配線・配管材に回されて上方に延びる一方の側が止められる第1止め部と、他方の側が止められる第2止め部とを備える。ここにおいて、第1および第2止め部の少なくとも一方は、自由端側に突状係合部が設けられたフック部からなる。そこで、フック部を、帯体の第1貫通孔に挿入すると、そのフック部の基端部が、第1貫通孔の周縁に係合することで、帯体は、フック部の自由端側から基端部側に向かう方向の相対移動が規制される。そして、フック部の自由端側の突状係合部が、第2貫通孔の周縁(または、帯体の端部)に係合することで、帯体は、フック部の基端部側から自由端側に向かう方向の相対移動が規制される。このように、帯体には、止め具におけるフック部が挿入される第1貫通孔とか、フック部の自由端側の突状係合部が係合する第2貫通孔を設ければよく、その帯体の形状を簡単にすることができ、また、それによって、帯体の強度を保って配線・配管材を安定して吊り下げることができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明に係る配線・配管材用吊り具および止め具によれば、帯体には、止め具におけるフック部が挿入される第1貫通孔とか、フック部の自由端側の突状係合部が係合する第2貫通孔を設ければよく、その帯体の形状を簡単にすることができ、また、それによって、帯体の強度を保って配線・配管材を安定して吊り下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の一実施の形態の、全体を示す正面図である。
【図2】同じく、図1における止め具部分の斜視図である。
【図3】同じく、図1における止め具部分の拡大断面図である。
【図4】同じく、図1における帯体固定具部分の拡大断面図である。
【図5】同じく、止め具の斜視図である。
【図6】同じく、止め具の正面図である。
【図7】同じく、帯体固定具の斜視図である。
【図8】この発明の他の実施の形態の、図3相当図である。
【図9】同じく、止め具の斜視図である。
【図10】同じく、止め具の正面図である。
【図11】この発明のさらに他の実施の形態の、要部を示す正面図である。
【図12】同じく、止め具の斜視図である。
【図13】同じく、止め具の正面図である。
【図14】従来の、吊り具を用いた吊下げ構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明に係る配線・配管材用吊り具、および配線・配管材用吊り具の帯体の止め具を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1〜図7は、本発明の一実施の形態を示す。図中符号2は、配線・配管材(配線材または配管材)を示す。3は、帯体を示し、帯体3は、長手方向に並ぶ複数の貫通孔3a、3aを有して、前記配線・配管材2を抱えるようにして吊り下げるものである。20は、止め具を示し、この止め具20は、前記帯体3の、配線・配管材2(図示実施の形態においては、配管材であって、例えば空調ダクト等のダクト)に回されて上方に延びる各側を、互いに止めるものである。30は、前記配線・配管材2を吊り下げるための吊り具(配線・配管材用吊り具)を示し、この吊り具30は、前記帯体3と前記止め具20とを備える。
【0020】
ここで、止め具20は、帯体3の一方の側が止められる第1止め部21と、帯体3の他方の側が止められる第2止め部22とを備える。そして、第1止め部21と第2止め部22との少なくとも一方は、帯体3が掛け止められるフック部Xからなる。
【0021】
このフック部Xは、帯体3の長手方向に延びて、その自由端X2から帯体3における複数の貫通孔3a、3aのいずれかの貫通孔3aである第1貫通孔301に挿入可能に構成され、フック部Xの基端部X1が、そのフック部Xに対する帯体3の、フック部Xにおける自由端X2側から基端部X1側に向かう方向の相対移動を規制するように、第1貫通孔301の周縁に係合可能となっている。そして、フック部Xの自由端X2側には、そのフック部Xに対する帯体3の、フック部Xにおける基端部X1側から自由端X2側に向かう方向の相対移動を規制するように、第1貫通孔301とは別の貫通孔3aである第2貫通孔302に入り込んでその第2貫通孔302の周縁に係合可能な、または、帯体3の端部に係合可能な、突状係合部X3が設けられている。つまり、突状係合部X3は、図示実施の形態においては、第2貫通孔302の周縁に係合するが、その他に、帯体3の先端側を短くすることで、突状係合部X3が帯体3の端部に係合するようにすることもできる。
【0022】
また、止め具20は、第1止め部21と第2止め部22とが設けられるベース部23を備えている。そこで、前記突状係合部X3は、フック部Xからベース部23側に突出する。図示実施の形態においては、第1止め部21と第2止め部22とが、それぞれ、フック部Xからなり、それらフック部X、Xは、ベース部23を挟むように設けられる。そして、これら二つのフック部X、Xは、その自由端X2、X2側が同一方向を向くように設けられている。
【0023】
具体的には、帯体3は、例えば合成樹脂製であって、一定幅で連続して形成されている。そして、前記貫通孔3a、3aは、帯体3の長手方向の側に若干長孔となるように形成され、帯体3の幅中央に位置している。また、帯体3は、これら貫通孔3a、3aに加えて、各貫通孔3a、3a間に、径小となる円形形状をした他の貫通孔3bを有している(図2参照)。
【0024】
止め具20は、例えば合成樹脂製であって、ベース部23が板状であって、細長に形成されている。そして、フック部X(止め部21、22)は、ベース部23を挟んで対向位置するように、そのベース部23の表裏に設けられている。詳細には、フック部Xは、ベース部23の表裏の各側において、長手方向の一方側から突出し、さらに、ベース部23の板面に沿うようにて、長手方向の他方側に向かって延びている。そこで、このフック部Xの基端部X1には、帯体3の第1貫通孔301における、帯体3の幅方向側の両縁部に掛かる、掛り段部X4、X4が設けられている。つまり、フック部Xの基端部X1には、第1貫通孔301に嵌まる側に対して抜け出る側が幅広となることで、前記掛り段部X4、X4が形成される。
【0025】
また、このフック部Xに設けられる前記突状係合部X3は、ベース部23側であって自由端X2から基端部X1側に折り返すように傾斜して、突出形成されている。これにより、帯体3(詳しくは、第2貫通孔302の周縁)が、この突状係合部X3に掛かり易くなる。そして、このフック部Xの自由端X2には、突状係合部X3とは反対側であって基端部X1から離れる側に傾斜して、指掛部X5が突出形成されている。この指掛部X5は、突状係合部X3を第2貫通孔302から離脱させるための操作部となっており、この指掛部X5に指を掛けて反ベース部23側に引くことで、第2貫通孔302から突状係合部X3を離脱させることができる。そして、フック部Xの自由端X2の端面は、突状係合部X3および指掛部X5を含めて、ベース部23側ほど基端部X1側に進むように傾斜することで、フック部Xを第1貫通孔301に通すようにして、帯体3をフック部Xとベース部23との間に受け入れる、案内部として機能する。すなわち、フック部Xの自由端X2の傾斜する端面からなる案内部に第1貫通孔301を宛がえば、帯体3を下げるのみでフック部Xに帯体3を掛けることができる。また、帯体3をフック部Xに宛がって押し下げれば、案内部に第1貫通孔301が引っ掛かり、続いて帯体3を下げることで、フック部Xに帯体3を掛けられるため、手探りでもこの作業を行うことができる。
【0026】
また、ベース部23には、フック部Xにおける基端部X1と突状係合部X3との間の位置に対向して、帯体3をベース部23から離して突状係合部X3側へと押しやる突部23aが設けられている。詳細には、この突部23aは、突状係合部X3寄りの位置に設けられ、突状係合部X3側および基端部X1側が、なだらかな斜面となるように形成されている。また、ベース部23は、その両側に、弧状に窪むへこみ23b、23bが形成されている。
【0027】
ところで、帯体3は、その上方側において、帯体固定具4を用いて、天井面1から垂れ下がるように固定される。この帯体固定具4は、例えば、合成樹脂製であって、帯体固定具4自身を天井面1に固定するために、その天井面1に固着されるビスとか釘等の固着具6が貫通する固定部7を備える。そして、帯体固定具4は、帯体3の一端側が天井面1に沿って配置されるようにその帯体3の一端側が載置される載置部8と、その載置部8の上面に続いて天井面1から離れる側(つまり、下側)に湾曲して帯体3を垂れ下がる側に案内する支持面9aを有する支持部9とを、備える。さらに、帯体固定具4は、帯体固定具4自身が天井面1に固定された固定状態で、帯体3の長手方向の移動を規制すべく、帯体3の複数の貫通孔3a、3aのうちのいずれかの貫通孔3aに入り込んでその貫通孔3aの周縁に係合する係合部10を備える。
【0028】
詳細には、前記固定部7は、固着具6が帯体3の複数の貫通孔3a、3aのいずれかの貫通孔3aを貫通するよう、その貫通孔3aに対応した位置に設けられる。図示実施の形態においては、固定部7は、前記係合部10を有し、固着具6は、係合部10を含めて固定部7を貫通するとともに、係合部10が入り込む貫通孔3aを貫通するようになっている。そして、この係合部10を有する固定部7は、載置部8の中央に設けられ、その固定部7には、固着具6が貫通する孔7aがあけられている。
【0029】
また、帯体固定具4は、帯体3を仮保持するように、帯体固定具4自身が天井面1に固定された固定状態となる前において、帯体3の複数の貫通孔3a、3aにおけるいずれかの貫通孔3aに入り込み、帯体3の、垂れ下がる側への移動を規制する、第1規制部11を備える。この第1規制部11は、帯体3の貫通孔3aを抜けて帯体3の上面を抑えるように、鉤状(L字状)に前方に折れ曲がって形成されている(図4、図7参照)。そして、帯体固定具4は、第1規制部11に加えて、第2規制部12を備えている。この第2規制部12は、帯体3を仮保持するように、前記固定状態となる前において、帯体3の複数の貫通孔3a、3aにおける第1規制部11が入り込む貫通孔3aまたはその貫通孔3aとは異なる貫通孔3aに入り込んで、帯体3の、垂れ下がる側とは反対側への移動を規制する。図示実施の形態においては、帯体固定具4は、前記載置部8を挟んで支持部9とは反対側(つまり、帯体3の垂れ下がる側とは反対側)に延出する延出部13を備えており、この延出部13に、第1規制部11と第2規制部12とが、帯体3の複数の貫通孔3a、3aにおける同一の貫通孔3aに入り込むように設けられている。そして、載置部8、支持部9および延出部13の下面には、補強のためのリブ4aが設けられる。
【0030】
また、帯体固定具4は、帯体3の幅方向の両側を保持する保持片14、14を備えている。図示実施の形態においては、これら保持片14、14は、前記支持部9に設けられる。詳細には、保持片14、14は、帯体3をその幅方向で挟むように、支持部9の幅の各側においてその上面から突出して形成され、さらに、帯体3の上面を抑えるように、鉤状(L字状)に内側に折れ曲がって形成されている(図4、図7参照)。
【0031】
次に、以上の構成からなる吊り具30の作用効果について説明する。この吊り具30によると、帯体3は、長手方向に並ぶ複数の貫通孔3a、3aを有している。そして、止め具20は、配線・配管材2に回されて上方に延びる一方の側が止められる第1止め部21と、他方の側が止められる第2止め部22とを備える。ここにおいて、第1および第2止め部21、22の少なくとも一方(図示実施の形態においては、両方)は、自由端X2側に突状係合部X3が設けられたフックX部からなる。そこで、フック部Xを、帯体3の第1貫通孔301に挿入すると、そのフック部Xの基端部X1(詳しくは、基端部X1における自由端X2側の面)が、第1貫通孔301の周縁に係合することで、帯体3は、フック部Xの自由端X2側から基端部X1側に向かう方向の相対移動が規制される。そして、フック部Xの自由端X2側に設けられた突状係合部X3が、第2貫通孔302の周縁(または、帯体3の端部)に係合することで、帯体3は、フック部Xの基端部X1側から自由端X2側に向かう方向の相対移動が規制される。このように、この吊り具30によると、帯体3には、止め具20におけるフック部Xが挿入される第1貫通孔301とか、フック部Xの自由端X2側の突状係合部X3が係合する第2貫通孔302を設ければよく、その帯体3の形状を簡単にすることができ、また、それによって、帯体3の強度を保って配線・配管材2を安定して吊り下げることができる。
【0032】
また、帯体3は、フック部Xの突状係合部X3によって基端部X1側から自由端X2側に向かう方向の相対移動が規制されている。このため、配線・配管材2が踊って上下に揺れた場合であっても、突状係合部X3により、帯体3がフック部Xの自由端X2から抜け出るのを防ぐことができる。
【0033】
また、図示実施の形態においては、相対的に、帯体3が、フック部Xの基端部X1側から自由端X2側に向かう方向に移動しようとすることに対し、突状係合部X3か帯体3の第2貫通孔302の周縁(または、帯体3の端部)に係合するだけでなく、基端部X1(詳しくは、基端部X1における自由端X2とは反対側の面)が帯体3の第1貫通孔301の周縁に係合する。このため、この方向の、止め具20に対する帯体3の相対移動を的確に規制することができる。
【0034】
また、フック部Xの基端部X1には、前記第1貫通孔301における、前記帯体3の幅方向側の両縁部に掛かる、掛り段部X4が設けられており、これによって、第1貫通孔301に嵌まった基端部X1を、その第1貫通孔301から抜け出し難くすることができる。しかも、配線・配管材2の自重により帯体3がその長手方向に引っ張られると、第1貫通孔301が引き延ばされて僅かに細るため、この第1貫通孔301への掛り段部X4の掛かりが確実となる。
【0035】
また、止め具20におけるベース部23には、帯体3を突状係合部X3側へと押しやる突部23aが設けられており、これによって、突状係合部X3を、第2貫通孔302または帯体3の端部に確実に係合させることができる。
【0036】
また、止め具20の二つのフック部X、Xは、その自由端X2が同一方向を向くように設けられている。そこで、図1〜図3に示すように、止め具20を、フック部Xの自由端X2側が上となり基端部X1側が下となる向きで配置すると、止め具20の下で、帯体3が配線・配管材2によって広がろうとするのを、両フック部X、Xの基端部X1、X1側で受け止めることができ、フック部X、Xの自由端X2、X2側が開くのを抑えることができる。
【0037】
また、止め具20は、先に帯体3の一方側に取り付けておくことができ、その後に、配線・配管材2に回した帯体3の他方側を、止め具20のフック部Xに掛けることで、簡単に配線・配管材2を吊り下げることができる。
【0038】
また、フック部Xは、帯体3の第1貫通孔301と第2貫通孔302(または、帯体3の端部)に係合することで、帯体3は、止め具20に対して回り止めされる。
【0039】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、止め具20における二つのフック部X、Xは、その自由端X2、X2側が同一方向を向くように設けられなくとも、互いに逆方向を向くように設けられてもよい。
【0040】
また、止め具20において、第1止め部21と第2止め部22とのいずれもがフック部Xからならなくとも、図8〜図10に示すように、第1止め部21と第2止め部22のうちの一方のみ、例えば第2止め部22のみがフック部Xからなっていてもよい。この図においては、第1止め部21と第2止め部22のうちの他方となる例えば第1止め部21は、別々の貫通孔3a、3aの周縁に掛けられる、掛止め片Y、Yを備える。これら掛止め片Y、Yは、帯体3の長手方向に鉤状(L字状)に折れ曲がって形成される。さらに、第1止め部21は、一方の掛け止片Yが掛かる貫通孔3aにおけるその掛かる側とは反対側の端縁と当接する当接部Y1を備えている。そこで、これら掛け止片Y、Yと当接部Y1とにより、相対的に帯体3が止め具20に対して長手方向のどちらの方向に移動することも規制される。また、この当接部Y1がある側の掛け止片Yには、指掛部Y2が突出形成されており、この指掛部Y2を第2止め部22側に押すことで、当接部Y1や掛け止片Yを貫通孔3aから容易に外すことができる。
【0041】
また、帯体3を、天井面1等の被固定部に固定するにあたって、帯体固定具4を用いなくとも、例えば、帯体3の他の貫通孔3bを通るビスとか釘等の固着具により、直接被固定部に固定してもよい。
【0042】
また、図11〜図13に示すように、止め具20において、第1止め部21と第2止め部22は、共通する一つのフック部Xからなり、帯体3の配線・配管材2に回されて上方に延びる一方の側と他方の側とは、重ねられて、その共通する一つのフック部Xに掛け止められてもよい。この例では、止め具20は、ベース部23におけるフック部Xのある側とは反対側に、この止め具20を吊ボルト等の棒材24に取り付けるための、棒材24を抱持する抱持片25を備えている。この抱持片25は、上下に並ぶように一対設けられ、これら抱持片25、25は、互いに、逆側から棒材24を抱えるよう逆回りに湾曲形成されている。なお、図11においては、帯体3の両方の側が、突状係合部X3と係合しているが、帯体3における外側となる側のみが突状係合部X3と係合してもよい。
【0043】
また、帯体3は、合成樹脂製でなくとも、鋼板等の金属板からなっていてもよい。
【符号の説明】
【0044】
2 配線・配管材
3 帯体
3a 貫通孔
301 第1貫通孔
302 第2貫通孔
20 止め具
21 第1止め部
22 第2止め部
23 ベース部
23a 突部
30 吊り具(配線・配管材用吊り具)
X フック部
X1 基端部
X2 自由端
X3 突状係合部
X4 掛り段部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線・配管材を吊り下げるための吊り具であって、
長手方向に並ぶ複数の貫通孔を有して、前記配線・配管材を抱えるようにして吊り下げる帯体と、
前記帯体の、前記配線・配管材に回されて上方に延びる各側を、互いに止める止め具とを、備え、
前記止め具は、前記帯体の一方の側が止められる第1止め部と、前記帯体の他方の側が止められる第2止め部とを備え、
前記第1止め部と前記第2止め部との少なくとも一方は、前記帯体が掛け止められるフック部からなり、
前記フック部は、前記帯体の長手方向に延びて、その自由端から前記複数の貫通孔のいずれかの貫通孔である第1貫通孔に挿入可能に構成され、前記フック部の基端部が、そのフック部に対する前記帯体の、前記自由端側から前記基端部側に向かう方向の相対移動を規制するように、前記第1貫通孔の周縁に係合可能となり、
前記フック部の自由端側には、そのフック部に対する前記帯体の、前記基端部側から前記自由端側に向かう方向の相対移動を規制するように、前記第1貫通孔とは別の貫通孔である第2貫通孔に入り込んでその第2貫通孔の周縁に係合可能な、または、前記帯体の端部に係合可能な、突状係合部が設けられている、配線・配管材用吊り具。
【請求項2】
前記止め具は、前記第1止め部と第2止め部とが設けられるベース部を備え、
前記突状係合部は、前記フック部から前記ベース部側に突出する、請求項1に記載の配線・配管材用吊り具。
【請求項3】
前記第1止め部と前記第2止め部とが、それぞれ、前記フック部からなり、それらフック部は、前記ベース部を挟むように設けられる、請求項2に記載の配線・配管材用吊り具。
【請求項4】
二つの前記フック部は、その自由端が同一方向を向くように設けられる、請求項3に記載の配線・配管材用吊り具。
【請求項5】
前記第1止め部と前記第2止め部は、共通する一つの前記フック部からなり、前記帯体の一方の側と他方の側とは、重ねられて、共通する一つの前記フック部に掛け止められる、請求項2に記載の配線・配管材用吊り具。
【請求項6】
前記ベース部には、前記フック部における基端部と前記突状係合部との間の位置に対向して、前記帯体を前記ベース部から離して前記突状係合部側へと押しやる突部が設けられる、請求項2ないし5のいずれか1項に記載の配線・配管材用吊り具。
【請求項7】
前記フック部の基端部には、前記第1貫通孔における、前記帯体の幅方向側の両縁部に掛かる、掛り段部が設けられる、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の配線・配管材用吊り具。
【請求項8】
長手方向に並ぶ複数の貫通孔を有して、配線・配管材を抱えるようにして吊り下げる帯体の、前記配線・配管材に回されて上方に延びる各側を、互いに止める、配線・配管材を吊り下げるための吊り具の帯体の止め具であって、
前記帯体の一方の側が止められる第1止め部と、前記帯体の他方の側が止められる第2止め部とを備え、
前記第1止め部と前記第2止め部との少なくとも一方は、前記帯体が掛け止められるフック部からなり、
前記フック部は、前記帯体の長手方向に延びて、その自由端から前記複数の貫通孔のいずれかの貫通孔である第1貫通孔に挿入可能に構成され、前記フック部の基端部が、そのフック部に対する前記帯体の、前記自由端側から前記基端部側に向かう方向の相対移動を規制するように、前記第1貫通孔の周縁に係合可能となり、
前記フック部の自由端側には、そのフック部に対する前記帯体の、前記基端部側から前記自由端側に向かう方向の相対移動を規制するように、前記第1貫通孔とは別の貫通孔である第2貫通孔に入り込んでその第2貫通孔の周縁に係合可能な、または、前記帯体の端部に係合可能な、突状係合部が設けられている、配線・配管材用吊り具の帯体の止め具。
【請求項1】
配線・配管材を吊り下げるための吊り具であって、
長手方向に並ぶ複数の貫通孔を有して、前記配線・配管材を抱えるようにして吊り下げる帯体と、
前記帯体の、前記配線・配管材に回されて上方に延びる各側を、互いに止める止め具とを、備え、
前記止め具は、前記帯体の一方の側が止められる第1止め部と、前記帯体の他方の側が止められる第2止め部とを備え、
前記第1止め部と前記第2止め部との少なくとも一方は、前記帯体が掛け止められるフック部からなり、
前記フック部は、前記帯体の長手方向に延びて、その自由端から前記複数の貫通孔のいずれかの貫通孔である第1貫通孔に挿入可能に構成され、前記フック部の基端部が、そのフック部に対する前記帯体の、前記自由端側から前記基端部側に向かう方向の相対移動を規制するように、前記第1貫通孔の周縁に係合可能となり、
前記フック部の自由端側には、そのフック部に対する前記帯体の、前記基端部側から前記自由端側に向かう方向の相対移動を規制するように、前記第1貫通孔とは別の貫通孔である第2貫通孔に入り込んでその第2貫通孔の周縁に係合可能な、または、前記帯体の端部に係合可能な、突状係合部が設けられている、配線・配管材用吊り具。
【請求項2】
前記止め具は、前記第1止め部と第2止め部とが設けられるベース部を備え、
前記突状係合部は、前記フック部から前記ベース部側に突出する、請求項1に記載の配線・配管材用吊り具。
【請求項3】
前記第1止め部と前記第2止め部とが、それぞれ、前記フック部からなり、それらフック部は、前記ベース部を挟むように設けられる、請求項2に記載の配線・配管材用吊り具。
【請求項4】
二つの前記フック部は、その自由端が同一方向を向くように設けられる、請求項3に記載の配線・配管材用吊り具。
【請求項5】
前記第1止め部と前記第2止め部は、共通する一つの前記フック部からなり、前記帯体の一方の側と他方の側とは、重ねられて、共通する一つの前記フック部に掛け止められる、請求項2に記載の配線・配管材用吊り具。
【請求項6】
前記ベース部には、前記フック部における基端部と前記突状係合部との間の位置に対向して、前記帯体を前記ベース部から離して前記突状係合部側へと押しやる突部が設けられる、請求項2ないし5のいずれか1項に記載の配線・配管材用吊り具。
【請求項7】
前記フック部の基端部には、前記第1貫通孔における、前記帯体の幅方向側の両縁部に掛かる、掛り段部が設けられる、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の配線・配管材用吊り具。
【請求項8】
長手方向に並ぶ複数の貫通孔を有して、配線・配管材を抱えるようにして吊り下げる帯体の、前記配線・配管材に回されて上方に延びる各側を、互いに止める、配線・配管材を吊り下げるための吊り具の帯体の止め具であって、
前記帯体の一方の側が止められる第1止め部と、前記帯体の他方の側が止められる第2止め部とを備え、
前記第1止め部と前記第2止め部との少なくとも一方は、前記帯体が掛け止められるフック部からなり、
前記フック部は、前記帯体の長手方向に延びて、その自由端から前記複数の貫通孔のいずれかの貫通孔である第1貫通孔に挿入可能に構成され、前記フック部の基端部が、そのフック部に対する前記帯体の、前記自由端側から前記基端部側に向かう方向の相対移動を規制するように、前記第1貫通孔の周縁に係合可能となり、
前記フック部の自由端側には、そのフック部に対する前記帯体の、前記基端部側から前記自由端側に向かう方向の相対移動を規制するように、前記第1貫通孔とは別の貫通孔である第2貫通孔に入り込んでその第2貫通孔の周縁に係合可能な、または、前記帯体の端部に係合可能な、突状係合部が設けられている、配線・配管材用吊り具の帯体の止め具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−36544(P2013−36544A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173264(P2011−173264)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】
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