説明

配線回路基板の製造方法、配線回路基板集合体シートの製造方法、配線回路基板および配線回路基板集合体シート

【課題】配線回路用基板部の良否を正確かつ容易に識別することができる配線回路基板の製造方法、配線回路基板集合体シートの製造方法、配線回路基板および配線回路基板集合体シートを提供する。
【解決手段】導電性の支持基板上にサスペンション基板1および保持片Qのためのベース絶縁層が形成される。支持基板がエッチングされることによりサスペンション基板1の支持基板および複数の導電部p1〜p5が形成される。保持片Qおよび導電部p1〜p5により形状判定部2が構成される。導電部p3,p4は互いに離間した状態で配置され、導電部p3,p4の間に導電部p5が形成される。導電部p5の一端部および他端部に導電部p1,p2がそれぞれ導電部p5と一体的に形成される。形状判定部2における2つの導電部p1,p2間が導通しているか否かが判定され、2つの導電部p1,p3間が導通しているか否かが判定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線回路基板の製造方法、配線回路基板集合体シートの製造方法、配線回路基板および配線回路基板集合体シートに関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスクドライブ装置等のドライブ装置にはアクチュエータが用いられる。このようなアクチュエータは、回転軸に回転可能に設けられるアームと、そのアームに取り付けられる磁気ヘッド用の回路付きサスペンション基板とを備える。回路付きサスペンション基板は、磁気ディスクの所望のトラックに磁気ヘッドを位置決めするための配線回路基板である。
【0003】
このような回路付きサスペンション基板の製造工程では、金属製の支持基板に複数の回路付きサスペンション基板集合体シート(以下、集合体シートと略記する。)が作製され、支持基板が切断されることにより各集合体シートが分離される。各集合体シートにおいては、矩形の支持枠内に複数の回路付きサスペンション基板が整列状態で設けられる(例えば、特許文献1参照)。最終的に、集合体シートから各回路付きサスペンション基板が切り離される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−115828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の回路付きサスペンション基板の製造工程においては、集合体シートの形態で各回路付サスペンション基板が良品であるか不良品であるかが判定される。
【0006】
各回路付サスペンション基板が良品であるか不良品であるかを判定するために、例えば検査員による目視検査が行われる。目視検査において、集合体シートに設けられる複数の回路付サスペンション基板のうちの一部の回路付サスペンション基板の形状に異常が存在する場合、検査員は正常な回路付サスペンション基板と異常な回路付サスペンション基板とを容易に識別することができる。したがって、検査員は、異常が存在する回路付サスペンション基板を不良品として比較的容易に判定することができる。
【0007】
しかしながら、集合体シートに設けられる全ての回路付サスペンション基板の形状に共通の異常が発生している場合、検査員が集合体シート内の全ての回路付サスペンション基板を不良品として判定することは難しい。
【0008】
本発明の目的は、配線回路用基板部の良否を正確かつ容易に識別することができる配線回路基板の製造方法、配線回路基板集合体シートの製造方法、配線回路基板および配線回路基板集合体シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)第1の発明に係る配線回路基板の製造方法は、導電性の支持基板の第1および第2の領域上に絶縁層を形成するとともに、第1の領域上の絶縁層上に配線回路を形成する工程と、支持基板をエッチングすることにより支持基板の第1の領域に配線回路用基板部を形成するとともに支持基板の第2の領域に互いに離間する第1および第2の導電部を形成する工程と、第1の導電部と第2の導電部との間の導通状態および第2の導電部上の互いに離間した第1および第2の位置の間の導通状態を検出することにより配線回路用基板部のエッチング量の良否を判定する工程とを備えるものである。
【0010】
その配線回路基板の製造方法においては、導電性の支持基板の第1および第2の領域上に絶縁層が形成され、第1の領域上の絶縁層上に配線回路が形成される。支持基板がエッチングされることにより、支持基板の第1の領域に配線回路用基板部が形成されるとともに支持基板の第2の領域に互いに離間する第1および第2の導電部が形成される。
【0011】
その後、第1の導電部と第2の導電部との間の導通状態が検出される。支持基板のエッチング量が不十分である場合には、第1の導電部と第2の導電部との間が導通する。そのため、第1の導通部と第2の導通部との間の導通状態を検出することにより支持基板のエッチング量が不十分であるか否かを判定することができる。また、第2の導電部上の互いに離間した第1および第2の位置の間の導通状態が検出される。支持基板のエッチング量が過剰である場合には、第2の導電部の両端部が互いに分離する。それにより、第2の導電部の第1の位置と第2の位置との間が導通しない。そのため、第2の導電部の第1の位置と第2の位置との間の導通状態を検出することにより支持基板のエッチング量が過剰であるか否かを判定することができる。
【0012】
これらの導通状態の判定結果に基づいて、第1の領域における支持基板のエッチング量の良否を判定することができる。その結果、配線回路用基板部の良否を正確かつ容易に識別することができる。
【0013】
(2)第2の導電部は、第1の位置と第2の位置との間に最小幅の部分を有し、第1の導電部と第2の導電部との間の最小間隔および第2の導電部の最小幅は、エッチング不良と判定されるエッチング量の最小値にそれぞれ設定されてもよい。
【0014】
支持基板のエッチング量が不十分である場合には、第1の導電部と第2の導電部との間の最小間隔の部分で、第1の導電部と第2の導電部との間が導通する。そのため、第1の導電部と第2の導電部との間の最小間隔がエッチング不良と判定されるエッチング量の最小値に設定されることにより、支持基板のエッチング量が不十分であるか否かを正確に判定することができる。また、支持基板のエッチング量が過剰である場合、第2の導電部の第1の位置と第2の位置との間の最小幅の部分で、第2の導電部の両端部が分離する。それにより、第2の導電部の第1の位置と第2の位置との間が導通しない。そのため、第2の導電部の第1の位置と第2の位置との間の最小幅がエッチング不良と判定されるエッチング量の最小値に設定されることにより、支持基板のエッチング量が過剰であるか否かを正確に判定することができる。これらの結果、配線回路用基板部の良否をより正確に識別することができる。
【0015】
(3)第2の領域は、第1の領域の外部に設けられてもよい。この場合、配線回路用基板部にエッチング量の良否を判定するための第1の導電部および第2の導電部を設ける必要がない。したがって、第1の領域の内部で配線回路の形成領域を拡大することができる。
【0016】
(4)第2の領域は、第1の領域の内部に設けられてもよい。この場合、第1の領域における支持基板のエッチング量と第2の領域における支持基板のエッチング量とがより正確に一致する。そのため、第2の領域における第1の導電部と第2の導電部との間の導通状態および第2の領域における第2の導電部上の互いに離間した第1および第2の位置の間の導通状態を検出することにより、第1の領域における配線回路用基板部の良否をより正確に識別することができる。
【0017】
(5)第2の発明に係る配線回路基板集合体シートの製造方法は、複数の配線回路基板が一体的に設けられた配線回路基板集合体シートの製造方法であって、導電性の支持基板の複数の第1の領域および第2の領域上に絶縁層をそれぞれ形成する工程と、複数の第1の領域上の絶縁層上に複数の配線回路をそれぞれ形成する工程と、支持基板をエッチングすることにより支持基板の複数の第1の領域に複数の配線回路用基板部をそれぞれ形成するとともに支持基板の第2の領域に互いに離間する第1および第2の導電部を形成する工程と、第1の導電部と第2の導電部との間の導通状態および第2の導電部上の互いに離間した第1および第2の位置の間の導通状態を検出することにより複数の配線回路用基板部のエッチング量の良否を判定する工程とを備えるものである。
【0018】
その配線回路基板集合体シートの製造方法においては、導電性の支持基板の複数の第1の領域および第2の領域上にそれぞれ絶縁層が形成され、複数の第1の領域上の絶縁層上に複数の配線回路がそれぞれ形成される。支持基板がエッチングされることにより、支持基板の複数の第1の領域に複数の配線回路用基板部がそれぞれ形成されるとともに支持基板の第2の領域に互いに離間する第1および第2の導電部が形成される。
【0019】
その後、第1の導電部と第2の導電部との間の導通状態が検出される。支持基板のエッチング量が不十分である場合には、第1の導電部と第2の導電部との間が導通する。そのため、第1の導通部と第2の導通部との間の導通状態を検出することにより支持基板のエッチング量が不十分であるか否かを判定することができる。また、第2の導電部上の互いに離間した第1および第2の位置の間の導通状態が検出される。支持基板のエッチング量が過剰である場合には、第2の導電部の両端部が互いに分離する。それにより、第2の導電部の第1の位置と第2の位置との間が導通しない。そのため、第2の導電部の第1の位置と第2の位置との間の導通状態を検出することにより支持基板のエッチング量が過剰であるか否かを判定することができる。
【0020】
これらの導通状態の判定結果に基づいて、複数の第1の領域における支持基板のエッチング量の良否を判定することができる。その結果、エッチング不良が生じることにより複数の配線回路用基板部の形状に共通の異常が発生している場合でも、複数の配線回路用基板部の良否を正確かつ容易に識別することができる。
【0021】
(6)第3の発明に係る配線回路は、導電性の支持基板と、支持基板の第1および第2の領域上に形成された絶縁層と、第1の領域上の絶縁層上に形成された配線回路とを備え、支持基板の第1の領域は配線回路用基板部に加工され、支持基板の第2の領域は互いに離間する第1および第2の導電部に加工されたものである。
【0022】
その配線回路基板においては、導電性の支持基板の第1および第2の領域上に絶縁層が形成され、第1の領域上の絶縁層上に配線回路が形成される。支持基板の第1の領域が配線回路用基板部に加工され、支持基板の第2の領域が互いに離間する第1および第2の導電部に加工される。
【0023】
第1および第2の導電部が互いに離間するように加工されていない場合、第1の導電部と第2の導電部との間が導通する。そのため、第1の導電部と第2の導電部との間の導通状態を検出することにより、第1および第2の導電部が互いに離間されているか否かを判定することができる。また、第2の導電部が一体的に加工されず、第2の導電部の両端部が互いに分離されている場合には、第2の導電部の一端部および他端部の間が導通しない。そのため、第2の導電部の一端部および他端部の間の導通状態を検出することにより、第2の導電部が一体的に加工されているか否かを判定することができる。
【0024】
これらの判定結果に基づいて、第1および第2の導電部が正確に加工されているか否かを判定することができる。その結果、配線回路用基板部の良否を正確かつ容易に識別することができる。
【0025】
(7)第4の発明に係る配線回路基板集合体シートは、複数の配線回路基板が一体的に設けられた配線回路基板集合体シートであって、導電性の支持基板と、支持基板の複数の第1の領域および第2の領域上にそれぞれ形成された絶縁層と、複数の第1の領域上の絶縁層上にそれぞれ形成された複数の配線回路とを備え、支持基板の複数の第1の領域は複数の配線回路用基板部にそれぞれ加工され、支持基板の第2の領域は互いに離間する第1および第2の導電部に加工されたものである。
【0026】
その配線回路基板集合体シートにおいては、導電性の支持基板の複数の第1の領域および第2の領域上にそれぞれ絶縁層が形成され、複数の第1の領域上の絶縁層上に複数の配線回路がそれぞれ形成される。支持基板の複数の第1の領域が複数の配線回路用基板部にそれぞれ加工され、支持基板の第2の領域が互いに離間する第1および第2の導電部に加工される。
【0027】
第1および第2の導電部が互いに離間するように加工されていない場合、第1の導電部と第2の導電部との間が導通する。そのため、第1の導電部と第2の導電部との間の導通状態を検出することにより、第1および第2の導電部が互いに離間されているか否かを判定することができる。また、第2の導電部が一体的に加工されず、第2の導電部の両端部が互いに分離されている場合には、第2の導電部の一端部および他端部の間が導通しない。そのため、第2の導電部の一端部および他端部の間の導通状態を検出することにより、第2の導電部が一体的に加工されているか否かを判定することができる。
【0028】
これらの判定結果に基づいて、第1および第2の導電部が正確に加工されているか否かを判定することができる。その結果、複数の配線回路用基板部の形状に共通の異常が発生している場合でも、複数の配線回路用基板部の良否を正確かつ容易に識別することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、配線回路用基板部の良否を正確かつ容易に識別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施の形態に係る集合体シートの上面図である。
【図2】図1の集合体シートの一部拡大上面図である。
【図3】サスペンション基板の上面図である。
【図4】図1の集合体シートにおける1つの形状判定部およびその周辺部分の上面図である。
【図5】図4のA−A線断面図である。
【図6】集合体シートの製造方法の一例を示す工程断面図である。
【図7】集合体シートの製造方法の一例を示す工程断面図である。
【図8】支持基板の導通検査の詳細を説明するための形状判定部の上面図である。
【図9】形状判定部の他の構成例を示す上面図である。
【図10】他の実施の形態に係る形状判定部の第1の配置例を示す一部拡大上面図である。
【図11】他の実施の形態に係る形状判定部の第2の配置例を示す上面図である。
【図12】他の実施の形態に係る形状判定部の第3の配置例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態に係る配線回路基板の製造方法、配線回路基板集合体シートの製造方法、配線回路基板および配線回路基板集合体シートについて図面を参照しながら説明する。本実施の形態では、配線回路基板および配線回路基板集合体シートの一例として、回路付きサスペンション基板集合体シート(以下、集合体シートと呼ぶ)について説明する。
【0032】
(1)集合体シート
図1は、本発明の一実施の形態に係る集合体シートの上面図である。また、図2は、図1の集合体シート100の一部拡大上面図である。集合体シート100は、回路付きサスペンション基板(以下、サスペンション基板と呼ぶ)の製造過程における半製品であり、金属製の長尺状の支持基板から作製される。集合体シート100の製造方法については後述する。なお、図1、図2ならびに後述する図3、図4、図8、図9および図10においては、矢印X,Yで示すように、互いに直交する二方向をX方向およびY方向と定義する。本例では、X方向およびY方向は水平面に平行な方向である。
【0033】
集合体シート100は、矩形状の外形を有し、支持枠FR、複数の長尺状のサスペンション基板1および複数の形状判定部2を含む。支持枠FRは、一対の側部枠f1,f2および複数の端部枠f3,f4,f5,f6,f7からなる。
【0034】
一対の側部枠f1,f2は、互いに対向するとともにY方向に延びている。端部枠f3〜f7は、それぞれ一対の側部枠f1,f2に直交するX方向に延び、一対の側部枠f1,f2間をつなぐように形成されている。端部枠f3〜f7は、一対の側部枠f1,f2の一端部から他端部にかけて等間隔でY方向に並んでいる。これにより、支持枠FR内には、側部枠f1,f2および端部枠f3〜f7により仕切られた複数(本例では5つ)の矩形領域AR1,AR2,AR3,AR4,AR5が形成されている。
【0035】
複数のサスペンション基板1は、矩形領域AR1〜AR5内でX方向に並ぶように設けられている。各サスペンション基板1の外周縁部に沿って分離溝TRが形成されている。本実施の形態において、複数の形状判定部2は、複数のサスペンション基板1にそれぞれ対応する。各形状判定部2は、対応するサスペンション基板1の一側方で分離溝TR内に設けられる。
【0036】
図2に示すように、各サスペンション基板1の両端は、連結部Jを介して支持枠FRに連結されている。一方の側部枠f1とその側部枠f1に隣接するサスペンション基板1との間の分離溝TR内では、形状判定部2が2つの連結部Jを介して側部枠f1およびサスペンション基板1に連結される。また、互いに隣接する2つのサスペンション基板1間の分離溝TR内では、形状判定部2が2つの連結部Jを介して2つのサスペンション基板1に連結される。なお、上述のように、複数の形状判定部2は、複数のサスペンション基板1にそれぞれ対応する。そのため、図1に示すように、他方の側部枠f2とその側部枠f2に隣接するサスペンション基板1との間の分離溝TR内には形状判定部2は設けられない。
【0037】
製造工程の最終段階において連結部Jが切断されることにより、各サスペンション基板1が支持枠FRおよび形状判定部2から分離される。
【0038】
(2)サスペンション基板および形状判定部の構造
図3はサスペンション基板1の上面図である。図3に示すように、サスペンション基板1は、後述する支持基板10(図5)およびベース絶縁層11により形成されるサスペンション本体部1aを備える。サスペンション本体部1aの先端部には、U字状の開口部40を形成することにより磁気ヘッド搭載部(以下、タング部と呼ぶ)50が設けられている。タング部50は、サスペンション本体部1aに対して所定の角度をなすように破線Rの箇所で折り曲げ加工される。
【0039】
タング部50の端部には4つの電極パッド20が形成される。サスペンション本体部1aの他端部には4つの電極パッド30が形成される。タング部50上の4つの電極パッド20とサスペンション本体部1aの他端部の4つの電極パッド30とは、配線パターンである線状の4本の導体層12により電気的に接続されている。また、サスペンション本体部1aには複数の孔部Hが形成される。4本の導体層12は、カバー絶縁層13で被覆されている。4本の導体層12が、本願発明の配線回路を構成する。
【0040】
図4は図1の集合体シート100における1つの形状判定部2およびその周辺部分の上面図である。図4には、主として側部枠f1とサスペンション基板1との間に設けられる形状判定部2の上面図が示される。図5は図4のA−A線断面図である。図5には、主として1つのサスペンション基板1および形状判定部2の断面が示される。
【0041】
図5に示すように、サスペンション基板1、形状判定部2、側部枠f1および連結部Jはステンレス鋼からなる支持基板10により構成される。サスペンション基板1は第1の領域R1に形成され、形状判定部2は第2の領域R2に形成される。側部枠f1から分離溝TRの内側に延びるように連結部Jが形成されている。また、サスペンション基板1から分離溝TRの内側に延びるように連結部Jが形成されている。
【0042】
側部枠f1およびサスペンション基板1から延びる2つの連結部Jの間に形状判定部2が設けられている。形状判定部2は、図4に示すように、複数の導電部p1,p2,p3,p4,p5および矩形状を有する保持片Qからなる。導電部p1〜p5は、図5の支持基板10をエッチングすることにより形成される。保持片Qは、支持基板10上に形成される図5のベース絶縁層11をエッチングすることにより導電部p1〜p5を覆うように形成される。
【0043】
側部枠f1から延びる連結部Jの先端に導電部p3が連結部Jと一体的に形成され、サスペンション基板1から延びる連結部Jの先端に導電部p4が連結部Jと一体的に形成されている。X方向において、導電部p3,p4は互いに離間した状態で配置されている。
【0044】
導電部p3,p4の間に、Y方向に延びるように導電部p5が形成されている。導電部p5の一端部および他端部に導電部p1,p2がそれぞれ導電部p5と一体的に形成されている。X方向における導電部p5の幅W1は、導電部p1,p2の幅W2に比べて小さくなるように定められる。本実施の形態では、導電部p5が一定の幅W1を有し、導電部p1,p2が一定の幅W2を有する。導電部p5が一定の幅を有しない場合には、導電部p5の幅の最小値を導電部p5の幅W1とする。
【0045】
導電部p5と導電部p3との間には間隙g1が設けられる。X方向における間隙g1の幅D1は導電部p5の幅W1に等しくなるように定められる。同様に、導電部p5と導電部p4との間には間隙g2が設けられる。X方向における間隙g2の幅D2は導電部p5の幅W1に等しくなるように定められる。本実施の形態では、間隙g1が一定の幅D1を有する。間隙g1が一定の幅を有しない場合には、間隙g1の幅の最小値を間隙g1の幅D1とする。また、間隙g2が一定の幅D2を有する。間隙g2が一定の幅を有しない場合には、間隙g2の幅の最小値を間隙g2の幅D2とする。
【0046】
図4の導電部p5の幅W1の設計寸法は、例えば50μmであり、10μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上60μm以下であることがより好ましい。
【0047】
間隙g1,g2の幅D1,D2の設計寸法は、例えば50μmであり、10μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上60μm以下であることがより好ましい。
【0048】
4つの導電部p1,p2,p3,p4の中央部分と重なる保持片Qの部分に4つの貫通孔h1,h2,h3,h4がそれぞれ形成されている。各貫通孔h1,h2,h3,h4の内径の設計寸法は、例えば100μmであり、30μm以上200μm以下であることが好ましく、50μm以上100μm以下であることがより好ましい。
【0049】
図5において、サスペンション基板1の第1の領域R1では、ステンレス鋼からなる支持基板10上に、ポリイミドからなるベース絶縁層11が形成されている。ベース絶縁層11上に銅からなる4本の導体パターン12が形成されている。さらに、4本の導体パターン12を覆うようにベース絶縁層11上にポリイミドからなるカバー絶縁層13が形成されている。
【0050】
(3)集合体シートの製造方法
次に、集合体シート100の製造方法について説明する。図6(a),(b)および図7(a),(b)は、本実施の形態に係る集合体シート100の製造方法の一例を示す工程断面図である。図6および図7は図4のA−A線断面に対応する。
【0051】
まず、図6(a)に示すように、ステンレス鋼からなる長尺状の支持基板10上にポリイミドからなるベース絶縁層11を形成する。支持基板10とベース絶縁層11との積層構造を有する2層基材を用いてもよい。
【0052】
支持基板10の材料は、ステンレス鋼に限らず、アルミニウム(Al)等の他の金属材料を用いてもよい。支持基板10の厚みは、例えば10μm以上30μm以下であり、12μm以上20μm以下であることが好ましい。ベース絶縁層11の材料は、ポリイミドに限らず、エポキシ等の他の樹脂材料を用いてもよい。ベース絶縁層11の厚みは、例えば3μm以上20μm以下であり、5μm以上15μm以下であることが好ましい。
【0053】
次に、図6(b)に示すように、ベース絶縁層11をエッチングレジスト(図示せず)を介してエッチングすることにより支持基板10上にサスペンション基板1のためのベース絶縁層11および複数の保持片Qのためのベース絶縁層11を形成する。
【0054】
次に、図7(a)に示すように、電解めっきによりサスペンション基板1のためのベース絶縁層11上に導体パターン12を形成する。導体パターン12は、アディティブ法を用いて形成されてもよく、セミアディティブ法を用いて形成されてもよく、またはサブトラクティブ法等の他の方法を用いて形成されてもよい。
【0055】
導体パターン12の材料は、銅に限らず、金(Au)もしくはアルミニウム等の他の金属、または銅合金もしくはアルミニウム合金等の合金を用いてもよい。導体パターン12の厚みは、例えば3μm以上16μm以下であり、6μm以上13μm以下であることが好ましい。導体パターン12の幅は、例えば12μm以上60μm以下であり、16μm以上50μm以下であることが好ましい。
【0056】
さらに、導体パターン12およびベース絶縁層11を覆うように、支持基板10上にポリイミドからなるカバー絶縁層を形成した後、エッチングレジスト(図示せず)を介してカバー絶縁層をエッチングする。それにより、図7(b)に示すように、導体パターン12を覆うようにサスペンション基板1のためのベース絶縁層11上にカバー絶縁層13を形成する。
【0057】
カバー絶縁層13の材料は、ポリイミドに限定されず、エポキシ等の他の絶縁材料を用いてもよい。カバー絶縁層13の厚みは、例えば3μm以上30μm以下であり、5μm以上10μm以下であることが好ましい。
【0058】
カバー絶縁層13は、サスペンション基板1のためのベース絶縁層11上に加えて、複数の保持片Qのためのベース絶縁層11上に形成されてもよい。この場合、各保持片Q上のカバー絶縁層13においては、保持片Qの貫通孔h1,h2,h3,h4と重なる部分に、それぞれ貫通孔h1,h2,h3,h4と同様の貫通孔が形成される。
【0059】
その後、図4のサスペンション基板1、支持枠FR、複数の連結部Jおよび複数の導電部p1〜p5の領域を除く支持基板10の領域をエッチングにより除去することにより、図4の分離溝TR、開口部40、孔部Hおよび間隙g1,g2を形成する。
【0060】
最後に、支持基板10を切断することにより各集合体シート100を切り離す。それにより、独立した集合体シート100が作製される。
【0061】
作製された集合体シート100について、集合体シート100の形状の異常を検出するための検査を行う。本実施の形態において、集合体シート100の形状の異常を検出するための検査は、目視検査および形状判定部2における支持基板10の導通検査を含む。
【0062】
目視検査においては、検査員が顕微鏡を用いて集合体シート100の外観を観察する。これにより、各サスペンション基板1の形状に異常が発生しているか否かが判定される。
【0063】
上述のように、集合体シート100の製造工程においては、エッチングにより支持基板10が予め定められた形状に加工される。そのため、支持基板10のエッチング工程において、支持基板10が過剰にエッチングされる場合または支持基板10が十分にエッチングされない場合には、支持基板10を予め定められた形状に加工することができない。
【0064】
例えば、図4に太い一点鎖線Nで示すように、サスペンション基板1が狭い幅の部分(以下、狭小部と呼ぶ。)を含む場合には、支持基板10が過剰にエッチングされることにより狭小部の幅がさらに小さくなる。この場合、サスペンション基板1の十分な剛性を得ることができない。また、支持基板10が十分にエッチングされない場合には、図4の開口部40が小さくなる。この場合、タング部50が正確に形成されない。
【0065】
複数の集合体シート100を作製するために支持基板10が同一の条件でエッチングされる。この場合、各集合体シート100に設けられる全てのサスペンション基板1の形状に共通の異常が発生していると、目視検査により検査員が全てのサスペンション基板1の形状に異常が発生していると判定することは難しい。
【0066】
そこで、エッチングが過剰または不十分であることにより、エッチング後の支持基板10の外縁の位置と設計された支持基板10の外縁の位置(以下、設計位置と呼ぶ。)との誤差が、不良とみなされる値(以下、不良誤差と呼ぶ。)以上であるか否かを判定するために支持基板10の導通検査が行われる。
【0067】
支持基板10の導通検査においては、第1に、形状判定部2における2つの導電部p1,p2間が電気的に接続されているか否かが判定される。第2に、図4の形状判定部2における2つの導電部p1,p2のうちの少なくとも一方と2つの導電部p3,p4のうちの少なくとも一方との間が電気的に接続されているか否かが判定される。
【0068】
導通検査には、2つの検査用プローブを備える導通検査装置(図示せず)が用いられる。例えば、検査員が保持片Qの2つの貫通孔h1,h2を通して2つの導電部p1,p2にそれぞれ検査用プローブを接触させる。この状態で、導通検査装置により2つの検査用プローブ間の抵抗値が測定される。
【0069】
導通検査装置には予め基準抵抗値が設定されている。測定された抵抗値が基準抵抗値よりも大きい場合、2つの導電部p1,p2間が電気的に接続されていないと判定される。一方、測定された抵抗値が基準抵抗値以下の場合、2つの導電部p1,p2が電気的に接続されていると判定される。
【0070】
同様に、検査員が、保持片Qの貫通孔h1,h3を通して2つの導電部p1,p3にそれぞれ検査用プローブを接触させる。この状態で、導通検査装置により2つの検査用プローブ間の抵抗値が測定される。これにより、検査用プローブが接触された2つの導電部p1,p3が電気的に接続されているか否かが判定される。
【0071】
導通検査により得られる複数(本例では2つ)の判定結果に基づいて、エッチング後の支持基板10の外縁の位置と設計位置との誤差が不良誤差以上であるか否か、すなわち各サスペンション基板1の形状に異常が発生しているか否かが判定される。
【0072】
上記の目視検査および導通検査により異常が発生していないと判定されたサスペンション基板1は、良品であると判定される。一方、目視検査および導通検査のうちの少なくとも一方の検査により異常が発生していると判定されたサスペンション基板1は、不良品であると判定される。不良品のサスペンション基板1には、パンチングまたはインキング等のマーキング処理が施される。
【0073】
最後に、集合体シート100の連結部Jで支持枠FRから各サスペンション基板1を切り離す。このとき、形状判定部2が各サスペンション基板1から分離される。また、マーキングが施された不良品のサスペンション基板1が除去される。このようにして、複数のサスペンション基板1が完成する。
【0074】
(4)支持基板の導通検査の詳細
図8は、支持基板の導通検査の詳細を説明するための形状判定部2の上面図である。図8では、形状判定部2における複数の導電部p1〜p5および間隙g1,g2を明確に示すために、保持片Qを一点鎖線で表す。
【0075】
支持基板10が好ましい条件でエッチングされた場合には、図8(a)に示すように、形状判定部2の複数の導電部p1〜p5の外縁の位置がそれぞれ設計位置と一致する。この場合、形状判定部2の保持片Q上で導電部p1,p2,p5が互いに接続される。また、導電部p3が導電部p1,p2,p4,p5から分離され、導電部p4が導電部p1,p2,p3,p5から分離される。これにより、支持基板10の導通検査時には、導電部p1,p2が互いに電気的に接続されており、導電部p1,p3が互いに電気的に接続されていないと判定される。
【0076】
このように、導電部g1,g2が互いに電気的に接続されかつ導電部g1,g3が互いに電気的に接続されていないと判定された場合に、エッチング後の支持基板10の外縁の位置と設計位置との誤差が不良誤差よりも小さいと判定される。これにより、導通検査が行われた形状判定部2に対応するサスペンション基板1が良品であると判定される。
【0077】
本実施の形態において、形状判定部2の導電部p5の幅W1は、導電部p1,p2の幅W2に比べて小さくなるように定められる(図8(a)および図4参照)。そのため、支持基板10が過剰にエッチングされると、図8(b)に示すように、例えば導電部p1,p2間の導電部p5の両端部が中央部で分離される。この場合、支持基板10の導通検査時には、導電部p1,p2が互いに電気的に接続されていないと判定される。このように、少なくとも導電部p1,p2が互いに電気的に接続されていないと判定された場合に、エッチング後の支持基板10の外縁の位置と設計位置との誤差が不良誤差以上であると判定される。これにより、導通検査が行われた形状判定部2に対応するサスペンション基板1が不良品であると判定される。
【0078】
一方、支持基板10が十分にエッチングされないと、図8(c)に示すように、例えば導電部p3,p5が互いに分離されない。この場合、支持基板10の導通検査時には、導電部p1,p3が互いに電気的に接続されていると判定される。このように、少なくとも導電部p1,p3が互いに電気的に接続されていると判定された場合に、エッチング後の支持基板10の外縁の位置と設計位置との誤差が不良誤差以上であると判定される。これにより、導通検査が行われた形状判定部2に対応するサスペンション基板1が不良品であると判定される。
【0079】
上記の例では、支持基板10の導通検査時に、導電部p1,p2が互いに電気的に接続されているか否かの判定が行われるとともに、導電部p1,p3が互いに電気的に接続されているか否かの判定が行われる。支持基板10の導通検査時には、導電部p3,p4が互いに電気的に接続されているか否かの判定、導電部p2,p3が互いに電気的に接続されているか否かの判定、導電部p1,p4が互いに電気的に接続されているか否かの判定、および導電部p2,p4間が互いに電気的に接続されているか否かの判定のうちの少なくとも1つの判定が行われてもよい。
【0080】
例えば、導電部p3,p4が互いに電気的に接続されていると判定された場合に、エッチング後の支持基板10の外縁の位置と設計位置との誤差が不良誤差以上であると判定される。これにより、導通検査が行われた形状判定部2に対応するサスペンション基板1が不良品であると判定される。
【0081】
また、導電部p2,p3が互いに電気的に接続されていると判定された場合に、エッチング後の支持基板10の外縁の位置と設計位置との誤差が不良誤差以上であると判定される。これにより、導通検査が行われた形状判定部2に対応するサスペンション基板1が不良品であると判定される。
【0082】
さらに、導電部p1,p4が互いに電気的に接続されていると判定された場合に、エッチング後の支持基板10の外縁の位置と設計位置との誤差が不良誤差以上であると判定される。これにより、導通検査が行われた形状判定部2に対応するサスペンション基板1が不良品であると判定される。
【0083】
また、導電部p2,p4が互いに電気的に接続されていると判定された場合に、エッチング後の支持基板10の外縁の位置と設計位置との誤差が不良誤差以上であると判定される。これにより、導通検査が行われた形状判定部2に対応するサスペンション基板1が不良品であると判定される。
【0084】
(5)導電部の寸法
上記のように、本実施の形態において、不良誤差はエッチング後の支持基板10の外縁の位置と設計位置との誤差である。そのため、エッチング不良とみなされるエッチング量(設計寸法とエッチング後の寸法との差)は、不良誤差の2倍の値に相当する。
【0085】
したがって、図4の導電部p5の幅W1、X方向における間隙g1の幅D1およびX方向における間隙g2の幅D2は、それぞれ不良誤差の2倍の値に等しくなるように定められる。
【0086】
不良誤差が10μmである場合には、例えば図4の導電部p5の幅W1および間隙g1,g2の幅D1,D2をそれぞれ20μmに設定する。不良誤差が15μmである場合には、例えば図4の導電部p5の幅W1および間隙g1,g2の幅D1,D2をそれぞれ30μmに設定する。不良誤差が20μmである場合には、例えば図4の導電部p5の幅W1および間隙g1,g2の幅D1,D2をそれぞれ40μmに設定する。不良誤差が25μmである場合には、例えば図4の導電部p5の幅W1および間隙g1,g2の幅D1,D2をそれぞれ50μmに設定する。不良誤差が30μmである場合には、例えば図4の導電部p5の幅W1および間隙g1,g2の幅D1,D2をそれぞれ60μmに設定する。
【0087】
(6)実施の形態の効果
本実施の形態においては、集合体シート100の製造時に、支持基板10におけるサスペンション基板1の形成領域がエッチングされるとともに支持基板10における形状判定部2の形成領域がエッチングされる。これにより、形状判定部2を構成する複数の導電部p1,p2,p3,p4,p5が形成される。
【0088】
その後、エッチングが過剰であるか否かを判定するために2つの導電部p1,p2間が電気的に接続されているか否かが判定される。また、エッチングが不十分であるか否かを判定するために図4の形状判定部2における2つの導電部p1,p2のうちの少なくとも一方と2つの導電部p3,p4のうちの少なくとも一方との間が電気的に接続されているか否かが判定される。これらの導通状態の判定結果に基づいて、支持基板10のエッチング量の良否が判定される。その結果、複数のサスペンション基板1の形状に共通の異常が発生している場合でも、サスペンション基板1の形状に異常が発生しているか否かを正確かつ容易に識別することができる。
【0089】
集合体シート100において、各形状判定部2は対応するサスペンション基板1の領域とは異なる領域に配置される。これにより、サスペンション基板1の形成領域に形状判定部2を設ける必要がないので、サスペンション基板1の形成領域内で配線パターンの形成領域を拡大することができる。
【0090】
(7)形状判定部の他の構成例
形状判定部2における複数の導電部p1〜p5の形状は以下のように設定されてもよい。図9は、形状判定部2の他の構成例を示す上面図である。図9では、形状判定部2における複数の導電部p1〜p5および間隙g1,g2を明確に示すために、保持片Qを一点鎖線で表す。
【0091】
図9(a)の例では、導電部p5のY方向に延びる両側辺が互いに内側に湾曲するように形成されている。これにより、導電部p5の幅は、Y方向における導電部p5の両端部から中央部にかけて漸次小さくなり、導電部p5の中央部で最小となっている。本例では、導電部p5の中央部の幅が導電部p5の幅W1となる。
【0092】
X方向において互いに離間して配置された導電部p3,p4の先端部は凸状に湾曲している。間隙g1が導電部p3と導電部p5との間で湾曲しつつY方向に延び、間隙g2が導電部p4と導電部p5との間で湾曲しつつY方向に延びている。間隙g1の幅D1および間隙g2の幅D2は導電部p5の幅W1に等しくなるように定められる。本例では、間隙g1がその間隙g1の中心軸に沿って一定の幅D1を有する。また、間隙g2がその間隙g2の中心軸に沿って一定の幅D2を有する。
【0093】
上記のように、導電部p5にはY方向にくびれが形成されている。支持基板10のエッチング時において、くびれ部分のエッチングレートはくびれが存在しない部分のエッチングレートに比べて高くなる。そのため、図9(a)の形状判定部2においては、支持基板10が過剰にエッチングされると、導電部p5の両端部がその導電部p5のくびれ部分で分離されやすくなる。したがって、過剰にエッチングされたサスペンション基板1の形状に異常が発生していることを確実に判定することができる。
【0094】
また、本例では間隙g1,g2は湾曲しつつY方向に延びている。この場合、間隙g1,g2の中心軸の長さは、Y方向に沿って直線状に延びる図4の間隙g1,g2の中心軸の長さに比べて長くなる。そのため、支持基板10が十分にエッチングされないと、導電部p3と導電部p5とが分離されにくくなり、導電部p4と導電部p5とが分離されにくくなる。したがって、エッチングが不十分であったサスペンション基板1の形状に異常が発生していることを確実に判定することができる。
【0095】
図9(b)の例では、形状判定部2が複数の導電部p1,p2,p3,p4および保持片Qからなる。導電部p1,p2がそれぞれ略二等辺三角形状を有する。導電部p1,p2の底辺部分はそれぞれX方向に平行であり、導電部p1の1つの頂点部分と導電部p2の1つの頂点部分とが互いに接続されている。X方向における、導電部p1,p2の幅は、導電部p1,p2の接続部分で最小となる。したがって、本例では、導電部p1,p2の接続部分の幅が上記の幅W1となる。
【0096】
X方向において互いに離間して配置された導電部p3,p4の先端部はV字形状を有する。間隙g1および間隙g2は折れ曲がるようにY方向に延びている。間隙g1の幅D1および間隙g2の幅D2は導電部p1,p2の接続部分の幅W1に等しくなるように定められる。本例では、間隙g1がその間隙g1の中心軸に沿って一定の幅D1を有する。また、間隙g2がその間隙g2の中心軸に沿って一定の幅D2を有する。
【0097】
このように、図9(b)の形状判定部2においては、図9(a)の形状判定部2と同様に、導電部p1,p2の接続部分にくびれが形成されている。したがって、過剰にエッチングされたサスペンション基板1の形状に異常が発生していることを確実に判定することができる。
【0098】
また、間隙g1,g2は折れ曲がるようにY方向に延びている。この場合、間隙g1,g2の中心軸の長さは、Y方向に沿って直線状に延びる図4の間隙g1,g2の中心軸の長さに比べて長くなる。したがって、十分にエッチングされなかったサスペンション基板1の形状に異常が発生していることを確実に判定することができる。
【0099】
(8)他の実施の形態
上記実施の形態では、形状判定部2は支持枠FRには形成されていないが、形状判定部2が支持枠FRに形成されてもよい。
【0100】
上記の実施の形態では、集合体シート100において、各形状判定部2は対応するサスペンション基板1の領域とは異なる領域に配置される。これに限らず、各形状判定部2は対応するサスペンション基板1の領域内に配置されてもよい。図10は、他の実施の形態に係る形状判定部2の第1の配置例を示す一部拡大上面図である。図10の集合体シート100においては、各サスペンション基板1の領域内にそのサスペンション基板1に対応する形状判定部2が配置されている。この場合、形状判定部2における支持基板10のエッチング量とサスペンション基板1における支持基板10のエッチング量とが一致する。したがって、集合体シート100内の各サスペンション基板1の形状に異常が発生しているか否かを正確に判定することができる。
【0101】
上記の実施の形態では、集合体シート100においては、複数の形状判定部2が複数のサスペンション基板1にそれぞれ対応するように配置される。これに限らず、各形状判定部2が複数のサスペンション基板1に対応するように配置されてもよい。
【0102】
図11は、他の実施の形態に係る形状判定部2の第2の配置例を示す上面図である。図11の例では、集合体シート100内で均等な間隔で並ぶように25個の形状判定部2が配置されている。この場合、例えば1つの形状判定部2で支持基板10のエッチング不良が判定されることにより、判定が行われた形状判定部2の近傍の複数(本例では3つ)のサスペンション基板1が不良品であると判定することができる。これにより、支持基板10の導通検査時間が短縮される。
【0103】
図12は、他の実施の形態に係る形状判定部2の第3の配置例を示す上面図である。図12の例では、集合体シート100の四隅にそれぞれ形状判定部2が配置されている。この場合、例えば4つの形状判定部2のうち少なくとも1つの形状判定部2で支持基板10のエッチング不良が判定されることにより、集合体シート100内の全てのサスペンション基板1が不良品であると判定することができる。これにより、支持基板10の導通検査時間がさらに短縮される。
【0104】
上記実施の形態では、保持片Qは、ベース絶縁層11で形成される代わりにカバー絶縁層13により形成されてもよい。また、保持片Qは、必ずしも矩形状を有する必要はなく、例えば円形状、楕円形状または三角形状等の他の形状を有してもよい。
【0105】
上記実施の形態では、集合体シート100が四角形状を有するが、これに限定されない。集合体シート100が楕円形状、三角形状等の他の形状を有してもよい。
【0106】
上記実施の形態では、配線回路基板集合体シートが回路付きサスペンション基板集合体シートである場合が説明されているが、本発明に係る配線回路基板集合体シートの配線回路基板は、回路付きサスペンション基板に限らない。例えば、配線回路基板がフレキシブル配線回路基板、COF(chip on film)用の基板、TAB(tape automated bonding)用の基板等の他の配線回路基板であってもよい。
【0107】
(9)請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0108】
上記実施の形態では、支持基板10が支持基板の例であり、支持基板10においてサスペンション基板1が形成される第1の領域R1が第1の領域の例であり、支持基板10において形状判定部2が形成される第2の領域R2が第2の領域の例であり、ベース絶縁層11が絶縁層の例であり、4本の導体層12が配線回路の例である。
【0109】
また、サスペンション基板1を構成する支持基板10の部分が配線回路用基板部の例であり、導電部p3および導電部p4が第1の導電部の例であり、導電部p1,p2,p5の集合体が第2の導電部の例であり、サスペンション基板1および集合体シート100が配線回路基板の例であり、集合体シート100が配線回路基板集合体シートの例である。
【0110】
さらに、導電部p5の幅W1の部分が第2の導電部の最小幅の部分の例であり、導電部p5と導電部p3との間の間隙g1の幅D1および導電部p5と導電部p4との間の間隙g2の幅D2が第1導電部と第2導電部との間の最小間隔の例である。
【0111】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明は、種々の配線回路基板の製造等に利用することができる。
【符号の説明】
【0113】
1 サスペンション基板
1a サスペンション本体部
2 形状判定部
10 支持基板
11 ベース絶縁層
12 導体層
13 カバー絶縁層
20,30 電極パッド
40 開口部
50 タング部
100 集合体シート
AR1,AR2,AR3,AR4,AR5 矩形領域
f1,f2 側部枠
f3,f4,f5,f6,f7 端部枠
FR 支持枠
g1,g2 間隙
H 孔部
h1,h2,h3,h4 貫通孔
J 連結部
p1,p2,p3,p4,p5 導電部
Q 保持片
R1 第1の領域
R2 第2の領域
TR 分離溝
W1,W2,D1,D2 幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性の支持基板の第1および第2の領域上に絶縁層を形成するとともに、前記第1の領域上の前記絶縁層上に配線回路を形成する工程と、
前記支持基板をエッチングすることにより前記支持基板の前記第1の領域に配線回路用基板部を形成するとともに前記支持基板の前記第2の領域に互いに離間する第1および第2の導電部を形成する工程と、
前記第1の導電部と前記第2の導電部との間の導通状態および前記第2の導電部上の互いに離間した第1および第2の位置の間の導通状態を検出することにより前記配線回路用基板部のエッチング量の良否を判定する工程とを備えることを特徴とする配線回路基板の製造方法。
【請求項2】
前記第2の導電部は、前記第1の位置と前記第2の位置との間に最小幅の部分を有し、
前記第1の導電部と前記第2の導電部との間の最小間隔および前記第2の導電部の前記最小幅は、エッチング不良と判定されるエッチング量の最小値にそれぞれ設定されることを特徴とする請求項1記載の配線回路基板の製造方法。
【請求項3】
前記第2の領域は、前記第1の領域の外部に設けられることを特徴とする請求項1または2記載の配線回路基板の製造方法。
【請求項4】
前記第2の領域は、前記第1の領域の内部に設けられることを特徴とする請求項1または2記載の配線回路基板の製造方法。
【請求項5】
複数の配線回路基板が一体的に設けられた配線回路基板集合体シートの製造方法であって、
導電性の支持基板の複数の第1の領域および第2の領域上に絶縁層をそれぞれ形成する工程と、
前記複数の第1の領域上の前記絶縁層上に複数の配線回路をそれぞれ形成する工程と、
前記支持基板をエッチングすることにより前記支持基板の前記複数の第1の領域に複数の配線回路用基板部をそれぞれ形成するとともに前記支持基板の前記第2の領域に互いに離間する第1および第2の導電部を形成する工程と、
前記第1の導電部と前記第2の導電部との間の導通状態および前記第2の導電部上の互いに離間した第1および第2の位置の間の導通状態を検出することにより前記複数の配線回路用基板部のエッチング量の良否を判定する工程とを備えることを特徴とする配線回路基板集合体シートの製造方法。
【請求項6】
導電性の支持基板と、
前記支持基板の第1および第2の領域上に形成された絶縁層と、
前記第1の領域上の前記絶縁層上に形成された配線回路とを備え、
前記支持基板の前記第1の領域は配線回路用基板部に加工され、
前記支持基板の前記第2の領域は互いに離間する第1および第2の導電部に加工されたことを特徴とする配線回路基板。
【請求項7】
複数の配線回路基板が一体的に設けられた配線回路基板集合体シートであって、
導電性の支持基板と、
前記支持基板の複数の第1の領域および第2の領域上にそれぞれ形成された絶縁層と、
前記複数の第1の領域上の前記絶縁層上にそれぞれ形成された複数の配線回路とを備え、
前記支持基板の前記複数の第1の領域は複数の配線回路用基板部にそれぞれ加工され、
前記支持基板の前記第2の領域は互いに離間する第1および第2の導電部に加工されたことを特徴とする配線回路基板集合体シート。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2012−134197(P2012−134197A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−282586(P2010−282586)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】