説明

配線基板

【課題】反りを低減可能であると共に、高密度化にも対応可能な配線基板を提供すること。
【解決手段】複数の配線層と、同一組成の絶縁性樹脂から構成された複数の絶縁層とが交互に積層され、第1の主面及びその反対面である第2の主面を有する配線基板であって、前記第1の主面に最も近い第1の絶縁層から露出する第1のピッチで配置された第1の電極パッドと、前記第2の主面に最も近い第2の絶縁層に隣接する第3の絶縁層上に設けられ、前記第2の絶縁層の開口部から露出する、前記第1のピッチよりも広い第2のピッチで配置された第2の電極パッドと、前記第3の絶縁層に設けられ、前記第2の電極パッドと前記第3の絶縁層が被覆する配線層とを電気的に接続する導体が形成された貫通孔と、を有し、前記貫通孔の前記第2の電極パッド側の径は、前記貫通孔の前記第3の絶縁層が被覆する配線層側の径よりも大きく、前記第2の絶縁層は、補強部材を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線層と絶縁層とが積層された配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来の配線基板を例示する断面図である。図1を参照するに、従来の配線基板100は、第1配線層110、第1絶縁層120、第2配線層130、第2絶縁層140、第3配線層150、第3絶縁層160、第4配線層170、第4絶縁層180を有する。
【0003】
第1配線層110、第2配線層130、第3配線層150、及び第4配線層170は、それぞれ例えば銅(Cu)等から構成されている。第1絶縁層120、第2絶縁層140、第3絶縁層160、及び第4絶縁層180は、それぞれ例えばエポキシ系の絶縁性樹脂等から構成されている。
【0004】
第1配線層110と第2配線層130とは、第1ビアホール120xを介して電気的に接続されている。第2配線層130を構成するビア配線は、第1ビアホール120xの側壁を覆うように形成され、中央部近傍に凹部130xを有する。第2配線層130と第3配線層150とは、第2ビアホール140xを介して電気的に接続されている。第3配線層150と第4配線層170とは、第3ビアホール160xを介して電気的に接続されている。
【0005】
第1配線層110の側面と下面(第2配線層130のビア配線と接続される面)は、第1絶縁層120に覆われている。第1配線層110の上面(第2配線層130のビア配線と接続される面の反対面)は第1絶縁層120から露出され、マザーボード等の実装基板(図示せず)と電気的に接続される電極パッドとして機能する。第4配線層170の一部は第4絶縁層180に形成された開口部180xから露出され、半導体チップ等(図示せず)と電気的に接続される電極パッドとして機能する。開口部180xから露出する第4配線層170のピッチは、第1絶縁層120から露出する第1配線層110のピッチよりも狭くされている。
【0006】
マザーボード等の実装基板(図示せず)と接続される側の第1絶縁層120には、X方向に並設されたガラス繊維束190aと、Y方向に並設されたガラス繊維束190bとが格子状に平織りされた形態を有するガラスクロス190が含まれている。このような構造により、配線基板100の反りを低減できる。
【0007】
配線基板100は、例えば、以下のようにして製造することができる。図2〜図4は、従来の配線基板の製造工程を例示する図である。始めに、図2に示す工程では、支持体210上に第1配線層110を形成し、更に第1配線層110を覆うように支持体210上にガラスクロス190を含む第1絶縁層120を形成する。そして、例えばCOレーザ等を用いたレーザ加工法により、第1絶縁層120に、第1絶縁層120を貫通し第1配線層110の上面を露出させる第1ビアホール120xを形成する。この際、レーザにより切断されたガラスクロス190の端部が開口部120xの側壁から突出する。
【0008】
次いで、図3に示す工程では、第1絶縁層120上に第2配線層130を形成する。第2配線層130は、第1ビアホール120x内の一部に形成されたビア配線、及び第1絶縁層120上に形成された配線パターンを含んで構成される。第2配線層130を構成するビア配線は、第1ビアホール120xの側壁を覆うように形成され、中央部近傍に凹部130xが形成される。第2配線層130は、第1ビアホール120xの底部に露出した第1配線層110と電気的に接続される。
【0009】
次いで、図4に示す工程では、第1絶縁層120上に、第2絶縁層140、第3配線層150、第3絶縁層160、第4配線層170、及び第4絶縁層180を積層する。そして、第4絶縁層180に、第4配線層170の一部を露出する開口部180xを形成する。これにより、支持体210の一方の面に所定のビルドアップ配線層が形成される。更に、支持体210を除去することにより、図1に示す配線基板100が完成する。なお、図1は、図2〜図4とは、上下を反転して描かれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−224739号公報
【特許文献2】特開2009−076565号公報
【特許文献3】国際公開第03/039219号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、配線基板100において、ガラスクロス190を含む第1絶縁層120の厚さは、ガラスクロスを含まない他の絶縁層の厚さよりも厚くなる。これにより、第1絶縁層120に形成される第1ビアホール120xは、第2絶縁層140に形成される第2ビアホール140xや第3絶縁層160に形成される第3ビアホール160xよりも深くなり、かつ、開口端における径(第2絶縁層140側の径)も大きくなる。つまり、第1ビアホール120xは、小径化が困難であり容積が大きくなる。
【0012】
このような容積が大きい第1ビアホール120x全体にビア配線を完全に充填することは、技術的或いはコスト的に困難である。そのため、第1ビアホール120xの側壁には第2配線層130のビア配線が形成されるが、第1ビアホール120xは完全には充填されず、第2配線層130を構成するビア配線の中央部近傍には凹部130xが形成される。
【0013】
ビア配線の中央部近傍に凹部130xが形成された第1ビアホール120xの直上に他のビアホールを形成すると、凹部130x上に他のビアホールのビア配線が形成されるため、上下に隣接するビアホールのビア配線間の接続信頼性が低下する。そこで、図4に示すように、第2ビアホール140xは、第1ビアホール120xの直上には形成せず、第1ビアホール120x内から横方向に延在する第2配線層130の配線パターン上に形成している。
【0014】
このように、接続信頼性の観点から、第1ビアホール120xの直上には他のビアホールを形成することができず、第1ビアホール120xの部分には複数のビアホールが垂直方向に積み重なり相互接続された所謂スタックビア構造を採用できない。
【0015】
つまり、図2〜図4に示すように、支持体210上に第1配線層110を覆うようにガラスクロス190を含む第1絶縁層120を形成し、その上に配線層や絶縁層を形成していく方法で製造された配線基板100は、反りを低減できる点で有利ではあるが、第1絶縁層120に形成される第1ビアホール120xが大容積となりビア配線を完全には充填できないため、所謂スタックビア構造を採用できず、配線基板100の高密度化を阻害するという問題があった。
【0016】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、反りを低減可能であると共に、高密度化にも対応可能な配線基板を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本配線基板の一形態は、複数の配線層と、同一組成の絶縁性樹脂から構成された複数の絶縁層とが交互に積層され、第1の主面及びその反対面である第2の主面を有する配線基板であって、前記第1の主面に最も近い第1の絶縁層から露出する第1のピッチで配置された第1の電極パッドと、前記第2の主面に最も近い第2の絶縁層に隣接する第3の絶縁層上に設けられ、前記第2の絶縁層の開口部から露出する、前記第1のピッチよりも広い第2のピッチで配置された第2の電極パッドと、前記第3の絶縁層に設けられ、前記第2の電極パッドと前記第3の絶縁層が被覆する配線層とを電気的に接続する導体が形成された貫通孔と、を有し、前記貫通孔の前記第2の電極パッド側の径は、前記貫通孔の前記第3の絶縁層が被覆する配線層側の径よりも大きく、前記第2の絶縁層は、補強部材を備えていることを要件とする。
【0018】
本配線基板の他の形態は、複数の配線層と、同一組成の絶縁性樹脂から構成された複数の絶縁層とが交互に積層され、第1の主面及びその反対面である第2の主面を有する配線基板であって、前記第1の主面に最も近い第1の絶縁層から露出する第1のピッチで配置された第1の電極パッドと、前記第2の主面に最も近い第2の絶縁層に隣接する第3の絶縁層上に設けられ、前記第2の絶縁層の開口部から露出する、前記第1のピッチよりも広い第2のピッチで配置された第2の電極パッドと、前記第3の絶縁層に設けられ、前記第2の電極パッドと前記第3の絶縁層が被覆する配線層とを電気的に接続する導体が形成された貫通孔と、を有し、前記貫通孔の前記第2の電極パッド側の径は、前記貫通孔の前記第3の絶縁層が被覆する配線層側の径よりも大きく、前記第3の絶縁層は、補強部材を備えていることを要件とする。
【0019】
本配線基板の更に他の形態は、複数の配線層と、複数の絶縁層とが交互に積層され、第1の主面及びその反対面である第2の主面を有する配線基板であって、前記第1の主面に最も近い第1の絶縁層から露出する第1のピッチで配置された第1の電極パッドと、前記第2の主面に最も近い第2の絶縁層に隣接する第3の絶縁層上に設けられ、前記第2の絶縁層の開口部から露出する、前記第1のピッチよりも広い第2のピッチで配置された第2の電極パッドと、前記第3の絶縁層に設けられ、前記第2の電極パッドと前記第3の絶縁層が被覆する配線層とを電気的に接続する導体が形成された貫通孔と、を有し、前記貫通孔の前記第2の電極パッド側の径は、前記貫通孔の前記第3の絶縁層が被覆する配線層側の径よりも大きく、前記第2の絶縁層は感光性の絶縁性樹脂から構成され、その他の絶縁層は非感光性の同一組成の絶縁性樹脂から構成され、前記第3の絶縁層は、補強部材を備えていることを要件とする。
【発明の効果】
【0020】
開示の技術によれば、反りを低減可能であると共に、高密度化にも対応可能な配線基板を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】従来の配線基板を例示する断面図である。
【図2】従来の配線基板の製造工程を例示する図(その1)である。
【図3】従来の配線基板の製造工程を例示する図(その2)である。
【図4】従来の配線基板の製造工程を例示する図(その3)である。
【図5】第1の実施の形態に係る配線基板を例示する断面図である。
【図6】ガラスクロスを例示する断面図である。
【図7】スタックビア構造を例示する図である。
【図8】配線基板に外部接続端子を形成する例を示す図である。
【図9】第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その1)である。
【図10】第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その2)である。
【図11】第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その3)である。
【図12】第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その4)である。
【図13】第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その5)である。
【図14】第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その6)である。
【図15】第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その7)である。
【図16】第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その8)である。
【図17】第2の実施の形態に係る配線基板を例示する断面図である。
【図18】図15の開口部近傍を拡大して例示する断面図である。
【図19】第2の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その1)である。
【図20】第2の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その2)である。
【図21】第2の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その3)である。
【図22】第3の実施の形態に係る半導体パッケージを例示する断面図である。
【図23】配線基板Aのシミュレーション結果を模式的に示した図である。
【図24】配線基板Bのシミュレーション結果を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0023】
〈第1の実施の形態〉
第1の実施の形態では、本発明を、半導体チップを搭載することにより半導体パッケージとなる配線基板に適用する例を示す。
【0024】
[第1の実施の形態に係る配線基板の構造]
始めに、第1の実施の形態に係る配線基板の構造について説明する。図5は、第1の実施の形態に係る配線基板を例示する断面図である。図5を参照するに、第1の実施の形態に係る配線基板10は、第1配線層11、第1絶縁層12、第2配線層13、第2絶縁層14、第3配線層15、第3絶縁層16、第4配線層17、第4絶縁層18が順次積層された構造を有する。
【0025】
なお、配線基板10において、第1絶縁層12の下面(第2絶縁層14と接する面の反対側の面)と第4絶縁層18の上面(第3絶縁層16と接する面の反対側の面)の何れか一方を第1の主面、他方を第2の主面と称する場合がある。例えば第1絶縁層12の下面が配線基板10の第1の主面であれば、第1の主面に最も近い絶縁層は第1絶縁層12である。又、例えば第4絶縁層18の上面が配線基板10の第2の主面であれば、第2の主面に最も近い絶縁層は第4絶縁層18である。
【0026】
配線基板10において、第1配線層11は、最下層に形成されている。第1配線層11は、第1層11a及び第2層11bから構成されている。第1層11aとしては、例えば金(Au)膜、パラジウム(Pd)膜、ニッケル(Ni)膜を、金(Au)膜が配線基板10の外部に露出するように、この順番で順次積層した導電層を用いることができる。第1層11aとして、例えば金(Au)膜とニッケル(Ni)膜を、金(Au)膜が配線基板10の外部に露出するように、この順番で順次積層した導電層を用いても良い。第2層11bとしては、例えば銅(Cu)層等を含む導電層を用いることができる。第1配線層11の厚さは、例えば10〜20μm程度とすることができる。
【0027】
第1配線層11の一部(第1層11a)は第1絶縁層12から露出しており、半導体チップ等(図示せず)と電気的に接続される電極パッドとして機能する。以降、第1絶縁層12から露出する第1配線層11を第1の電極パッド11と称する場合があり、又、第1の電極パッド11側を半導体チップ搭載側と称する場合がある。第1の電極パッド11の平面形状は例えば円形であり、その直径は例えば40〜120μm程度とすることができる。第1の電極パッド11のピッチは、例えば100〜200μm程度とすることができる。
【0028】
第1絶縁層12は、第1配線層11の上面(第2配線層13のビア配線と接続される面)と側面とを覆い、下面(第2配線層13のビア配線と接続される面の反対面)を露出するように形成されている。第1絶縁層12の材料としては、例えばエポキシ系樹脂を主成分とする非感光性の絶縁性樹脂等を用いることができる。第1絶縁層12の材料である非感光性の絶縁性樹脂としては、例えば熱硬化性樹脂を用いることができる。第1絶縁層12の厚さは、例えば15〜35μm程度とすることができる。
【0029】
第1絶縁層12は、シリカ(SiO)等のフィラーを含有している。フィラーの含有量は、例えば20〜70vol%程度とすることができる。フィラーの粒径は最小粒径0.1μm、最大粒径5μm、平均粒径0.5〜2μm程度であることが好ましい。フィラーの含有量を調整することにより、第1絶縁層12の熱膨張係数を調整できる(フィラーの含有量を増やすと熱膨張係数が小さくなる)。フィラーの含有量を調整して、第1絶縁層12の熱膨張係数を第2配線層13等を構成する銅(Cu)の熱膨張係数(17ppm/℃程度)に近づけることにより、配線基板10に生ずる反りを低減できる。なお、特記した場合を除き、本明細書における熱膨張係数は25〜150℃の範囲における値を示すものとする。なお、第1絶縁層12の含有するフィラーは、シリカ(SiO)には限定されず、アルミナ等を用いても構わない(以下、他の絶縁層についても同様)。
【0030】
第2配線層13は、第1絶縁層12上に形成されている。第2配線層13は、第1絶縁層12を貫通し第1配線層11の上面を露出する第1ビアホール12x内に充填されたビア配線、及び第1絶縁層12上に形成された配線パターンを含んで構成されている。第1ビアホール12xは、第2絶縁層14側に開口されていると共に、第1配線層11の上面によって底面が形成された、開口部の面積が底面の面積よりも大となる円錐台状の凹部となっている。又、この凹部内にビア配線が形成されている。
【0031】
第2配線層13は、第1ビアホール12xの底部に露出した第1配線層11と電気的に接続されている。第2配線層13の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。第2配線層13を構成する配線パターンの厚さは、例えば10〜20μm程度とすることができる。
【0032】
第2絶縁層14は、第1絶縁層12上に、第2配線層13を覆うように形成されている。第2絶縁層14の材料としては、第1絶縁層12と同一組成の非感光性の絶縁性樹脂を用いることが好ましい。又、第2絶縁層14は、第1絶縁層12が含有するフィラーと同一組成のフィラーを略同一量だけ含有することが好ましい。配線基板10に生ずる反りを低減するためである。第2絶縁層14の厚さは、例えば15〜35μm程度とすることができる。
【0033】
第3配線層15は、第2絶縁層14上に形成されている。第3配線層15は、第2絶縁層14を貫通し第2配線層13の上面を露出する第2ビアホール14x内に充填されたビア配線、及び第2絶縁層14上に形成された配線パターンを含んで構成されている。第2ビアホール14xは、第3絶縁層16側に開口されていると共に、第2配線層13の上面によって底面が形成された、開口部の面積が底面の面積よりも大となる円錐台状の凹部となっている。又、この凹部内にビア配線が形成されている。
【0034】
第3配線層15は、第2ビアホール14xの底部に露出した第2配線層13と電気的に接続されている。第3配線層15の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。第3配線層15を構成する配線パターンの厚さは、例えば10〜20μm程度とすることができる。
【0035】
第3絶縁層16は、第2絶縁層14上に、第3配線層15を覆うように形成されている。第3絶縁層16は、ガラスクロス19に例えばエポキシ系樹脂を主成分とする非感光性の絶縁性樹脂等を含浸させたものである。第3絶縁層16に含まれる非感光性の絶縁性樹脂としては、第1絶縁層12及び第2絶縁層14と同一組成の非感光性の絶縁性樹脂を用いることが好ましい。又、第3絶縁層16は、第1絶縁層12及び第2絶縁層14が含有するフィラーと同一組成のフィラーを略同一量だけ含有することが好ましい。配線基板10に生ずる反りを低減するためである。第3絶縁層16の厚さは、例えば25〜75μm程度とすることができる。
【0036】
ガラスクロス19は、図6に示すように、X方向に並設されたガラス繊維束19aと、Y方向に並設されたガラス繊維束19bとが格子状に平織りされた形態を有する。ガラスクロス19は、本発明に係る補強部材の代表的な一例である。ガラス繊維束19a及び19bは、1本が例えば数μm程度のガラス繊維を複数本束ねて例えば数100μm程度の幅にしたものである。ガラス繊維束19a及び19bの厚さは、それぞれ10〜15μm程度とすることができる。
【0037】
なお、ガラスクロス19等の補強部材を構成する繊維束は、ガラス繊維束には限定されず、炭素繊維束、ポリエステル繊維束、テトロン繊維束、ナイロン繊維束、アラミド繊維束等を用いても構わない。又、繊維束の織り方は平織りには限定されず、朱子織り、綾織り等であっても構わない。又、織布以外に不織布を用いても良い。
【0038】
なお、第3絶縁層16のみにガラスクロス19を設ける理由は、以下のとおりである。すなわち、一般的に、電極パッドとして用いられる配線層(本実施の形態では、第4配線層17)は、他の配線層に比較し残銅率が低い。よって、残銅率の差により配線基板に反りが生じやすい。そこで、第4配線層17に隣接する第3絶縁層16内にガラスクロス19を設けることにより、第4配線層17の残銅率を高くした場合と同等の効果が得られ、配線基板10に生ずる反りを低減可能となるからである。ここで、残銅率とは、ある絶縁層上の面積に占める、配線層を形成する金属層の面積の比率である。本実施の形態の場合には、金属層として銅を想定して残銅率と称するが、金属層は銅以外であっても良い。
【0039】
なお、半導体チップ搭載側は外部接続端子側に比べて配線層のデザインルールが厳しいため、ガラスクロス19を半導体チップ搭載側に近い絶縁層に設けることは好ましくない。ガラスクロス19を設けた絶縁層のビアホールが大容積化し、配線パターンの高密度化や電極パッドの狭ピッチ化等に支障が出るからである。
【0040】
第4配線層17は、第3絶縁層16上に形成されている。第4配線層17は、第3絶縁層16を貫通し第3配線層15の上面を露出する第3ビアホール16x内に形成されたビア配線、及び第3絶縁層16上に形成された配線パターンを含んで構成されている。第3ビアホール16xは、第4絶縁層18側に開口されていると共に、第3配線層15の上面によって底面が形成された、開口部の面積が底面の面積よりも大となる円錐台状の凹部となっている。又、この凹部内にビア配線が形成されている。
【0041】
第4配線層17を構成するビア配線は、第3ビアホール16xの側壁を覆うように形成され、中央部近傍に凹部17xが形成される場合がある。すなわち第4配線層17を構成するビア配線は、第3ビアホール16xを完全には充填しない場合がある。
【0042】
第4配線層17は、第3ビアホール16xの底部に露出した第3配線層15と電気的に接続されている。第4配線層17の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。第4配線層17を構成する配線パターンの厚さは、例えば10〜20μm程度とすることができる。
【0043】
第4配線層17のビア配線に凹部17xが形成される場合がある理由を以下に説明する。すなわち、ガラスクロス19を含む第3絶縁層16の厚さは、ガラスクロスを含まない他の絶縁層の厚さよりも厚くなる。これにより、第3絶縁層16に形成される第3ビアホール16xは、第1絶縁層12に形成される第1ビアホール12xや第2絶縁層14に形成される第2ビアホール14xよりも深くなり、かつ、開口端における径(第4絶縁層18側の径)も大きくなる。つまり、第3ビアホール16xは、小径化が困難であり容積が大きくなる。
【0044】
このような容積が大きい第3ビアホール16x全体にビア配線を完全に充填することは、技術的或いはコスト的に困難である。そのため、図5に示すように、第3ビアホール16xの側壁には第4配線層17のビア配線が形成されるが、第3ビアホール16xは完全には充填されず、第4配線層17を構成するビア配線の中央部近傍には凹部17xが形成される場合がある。
【0045】
第4絶縁層18は、第3絶縁層16上に、第4配線層17を覆うように形成されている。第4絶縁層18の材料としては、エポキシ系樹脂やイミド系樹脂等を含む感光性の絶縁性樹脂を用いることができる。第4絶縁層18の材料として、第1絶縁層12等と同様に、エポキシ系樹脂を主成分とする非感光性の絶縁性樹脂等を用いても構わない。第4絶縁層18の厚さは、例えば15〜35μm程度することができる。
【0046】
第4絶縁層18は開口部18xを有し、開口部18xの底部には凹部17xを含む第4配線層17の一部が露出している。開口部18xの底部に露出する凹部17xを含む第4配線層17は、マザーボード等の実装基板(図示せず)と電気的に接続される電極パッドとして機能する。必要に応じ、開口部18xの底部に露出する凹部17xを含む第4配線層17上に、金属層等を形成してもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。
【0047】
更に、開口部18xの底部に露出する凹部17xを含む第4配線層17上に(開口部18xの底部に露出する凹部17xを含む第4配線層17上に金属層等が形成されている場合には、金属層等の上に)はんだボールやリードピン等の外部接続端子を形成しても構わない。外部接続端子は、マザーボード等の実装基板(図示せず)と電気的に接続するための端子となる。但し、開口部18xの底部に露出する凹部17xを含む第4配線層17(凹部17xを含む第4配線層17上に金属層等が形成されている場合には、金属層等)自体を、外部接続端子としても良い。
【0048】
以降、開口部18xの底部に露出する凹部17xを含む第4配線層17を第2の電極パッド17と称する場合があり、又、第2の電極パッド17側を外部接続端子側と称する場合がある。第2の電極パッド17の平面形状は例えば円形であり、その直径は例えば200〜1000μm程度とすることができる。第2の電極パッド17のピッチは、前述の第1の電極パッド11のピッチ(例えば100〜200μm程度)よりも広く、例えば500〜1200μm程度とすることができる。
【0049】
なお、配線基板10において、第4配線層17を構成する配線パターンを第3絶縁層16上に引き出して形成し、第3絶縁層16上に引き出された配線パターンを第4絶縁層18の開口部18xから露出させ、第2の電極パッド17としても良い。つまり、第4配線層17の凹部17x以外の部分を第2の電極パッド17としても良い。
【0050】
図7は、スタックビア構造を例示する図である。図7(a)は比較のために示す従来の配線基板100であり、図7(b)は配線基板10にスタックビア構造を採用した配線基板10Aを例示する図である。
【0051】
図7(a)に示す従来の配線基板100では、中央部近傍に凹部130xが形成された第1ビアホール120x上(第2絶縁層140側)に他のビアホールを形成できないため、領域Aにおいて第3配線層150の設計自由度が制限され、配線密度を向上できない。
【0052】
これに対して、図7(b)に示す配線基板10Aでは、ビア配線の中央部近傍に凹部17xが形成された第3ビアホール16x上(第4絶縁層18側)には他のビアホールが形成されないため、例えば領域Bにスタックビア構造を採用できる。これにより、図7(a)の場合に比べて、ビアホール形成位置の制限が緩和され、領域Cにおいて第3配線層15の設計自由度が向上する。その結果、領域Dにおいて高密度に配線形成可能となる。又、領域Eにおいて配線を引き回す必要がなくなるため、配線基板の小型化が可能となる。
【0053】
このように、第1の実施の形態に係る配線基板では、ガラスクロス19を含む第3絶縁層16は、他の絶縁層に比べて層厚が厚くなる。その結果、第3絶縁層16に形成される第3ビアホール16xは大容積となるため、第4配線層17を構成するビア配線は第3ビアホール16xを完全には充填できず、中央部近傍に凹部17xが形成される場合がある。しかしながら、第3ビアホール16x上(第4絶縁層18側)には他のビアホールが形成されないため、凹部17xの存在は所謂スタックビア構造を採用する際の妨げとはならず、図7(b)に示す配線基板10Aのように、スタックビア構造を採用することができる。これにより、配線基板の高密度化及び小型化が可能となる。
【0054】
つまり、配線基板10は、第3絶縁層16にガラスクロス19を含む構造とすることにより剛性を高め反りを低減できると共に、必要な部分に所謂スタックビア構造を採用して高密度化及び小型化にも対応できる。又、配線基板10が高温になり、各絶縁層を構成する絶縁性樹脂のガラス転移温度を超えた場合でも、ガラスクロス19の剛性により反りの発生が抑制され、高温環境下における挙動が安定する。
【0055】
図8は、配線基板に外部接続端子を形成する例を示す図である。図8(a)は、配線基板10の第2の電極パッド17上に、はんだボール27を形成した場合の図である。図8(b)は、配線基板10の第2の電極パッド17に、はんだ28を用いてリードピン29を形成した場合の図である。図8(a)及び図8(b)に示すように、第2の電極パッド17に凹部17xが形成されていても、凹部17x内がはんだで充填されるため、はんだボールやリードピンの接合に支障は生じない。
【0056】
このように、第2の電極パッド17(開口部18xの底部に露出する凹部17xを含む第4配線層17)上に、はんだボールやリードピン等の外部接続端子を形成する場合でも、凹部17x内がはんだで充填されるため、第2の電極パッド17と外部接続端子との接続信頼性を損なうことはない。
【0057】
[第1の実施の形態に係る配線基板の製造方法]
続いて、第1の実施の形態に係る配線基板の製造方法について説明する。図7〜図14は、第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図である。
【0058】
始めに、図7に示す工程では、支持体21を準備する。支持体21としては、シリコン板、ガラス板、金属箔等を用いることができるが、本実施の形態では、支持体21として銅箔を用いる。後述する図9に示す工程等において電解めっきを行う際の給電層として利用でき、後述する図14に示す工程の後に容易にエッチングで除去可能だからである。支持体21の厚さは、例えば35〜100μm程度とすることができる。
【0059】
次いで、図8に示す工程では、支持体21の一方の面に、第1配線層11に対応する開口部22xを有するレジスト層22を形成する。具体的には、支持体21の一方の面に、例えばエポキシ系樹脂やイミド系樹脂等を含む感光性樹脂組成物からなる液状又はペースト状のレジストを塗布する。或いは、支持体21の一方の面に、例えばエポキシ系樹脂やイミド系樹脂等を含む感光性樹脂組成物からなるフィルム状のレジスト(例えば、ドライフィルムレジスト等)をラミネートする。そして、塗布又はラミネートしたレジストを露光、現像することで開口部22xを形成する。これにより、開口部22xを有するレジスト層22が形成される。なお、予め開口部22xを形成したフィルム状のレジストを支持体21の一方の面にラミネートしても構わない。
【0060】
開口部22xは、後述の図9に示す工程で形成される第1配線層11に対応する位置に形成されるが、その配設ピッチは、例えば100〜200μm程度とすることができる。開口部22xの平面形状は、例えば円形であり、その直径は例えば40〜120μm程度とすることができる。
【0061】
次いで、図9に示す工程では、支持体21をめっき給電層に利用する電解めっき法等により、支持体21の一方の面の開口部22x内に、第1層11a及び第2層11bから構成される第1配線層11を形成する。
【0062】
第1層11aは、例えば金(Au)膜、パラジウム(Pd)膜、ニッケル(Ni)膜をこの順番で順次積層した構造を有する。よって、第1配線層11を形成するには、先ず、支持体21をめっき給電層に利用する電解めっき法等により、金(Au)膜、パラジウム(Pd)膜、ニッケル(Ni)膜を順にめっきして第1層11aを形成し、続いて、支持体21をめっき給電層に利用する電解めっき法等により、第1層11a上に銅(Cu)等からなる第2層11bを形成すれば良い。
【0063】
次いで、図10に示す工程では、図9に示すレジスト層22を除去した後、第1配線層11を覆うように支持体21の一方の面に第1絶縁層12を形成する。第1絶縁層12の材料としては、例えばエポキシ系樹脂を主成分とする非感光性の絶縁性樹脂等を用いることができる。第1絶縁層12の厚さは、例えば15〜35μm程度とすることができる。第1絶縁層12は、シリカ(SiO)等のフィラーを含有している。フィラーの含有量や含有する目的は、前述の通りである。
【0064】
第1絶縁層12の材料として、例えば熱硬化性を有するフィルム状のエポキシ系樹脂を主成分とする非感光性の絶縁性樹脂等を用いた場合には、第1配線層11を覆うように支持体21の一方の面にフィルム状の第1絶縁層12をラミネートする。そして、ラミネートした第1絶縁層12を押圧しつつ、第1絶縁層12を硬化温度以上に加熱して硬化させる。なお、第1絶縁層12を真空雰囲気中でラミネートすることにより、ボイドの巻き込みを防止できる。
【0065】
第1絶縁層12の材料として、例えば熱硬化性を有する液状又はペースト状のエポキシ系樹脂を主成分とする非感光性の絶縁性樹脂等を用いた場合には、第1配線層11を覆うように支持体21の一方の面に液状又はペースト状の第1絶縁層12を例えばスピンコート法等により塗布する。そして、塗布した第1絶縁層12を硬化温度以上に加熱して硬化させる。
【0066】
次いで、図11に示す工程では、第1絶縁層12に、第1絶縁層12を貫通し第1配線層11の上面を露出させる第1ビアホール12xを形成する。第1ビアホール12xは、例えばCOレーザ等を用いたレーザ加工法により形成できる。レーザ加工法により形成した第1ビアホール12xは、第2絶縁層14が形成される側に開口されていると共に、第1配線層11の上面によって底面が形成された、開口部の面積が底面の面積よりも大となる円錐台状の凹部となる。なお、他のビアホールもレーザ加工法により形成すると同様の形状となる。第1ビアホール12xをレーザ加工法により形成した場合には、デスミア処理を行い、第1ビアホール12xの底部に露出する第1配線層11の上面に付着した第1絶縁層12の樹脂残渣を除去する。
【0067】
次いで、図12に示す工程では、第1絶縁層12上に第2配線層13を形成する。第2配線層13は、第1ビアホール12x内に充填されたビア配線、及び第1絶縁層12上に形成された配線パターンを含んで構成される。第2配線層13は、第1ビアホール12xの底部に露出した第1配線層11と電気的に接続される。第2配線層13の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。
【0068】
第2配線層13は、セミアディティブ法やサブトラクティブ法等の各種の配線形成方法を用いて形成できるが、一例としてセミアディティブ法を用いて第2配線層13を形成する方法を以下に示す。
【0069】
始めに、無電解めっき法又はスパッタ法により、第1ビアホール12xの底部に露出した第1配線層11の上面、及び第1ビアホール12xの側壁を含む第1絶縁層12上に銅(Cu)等からなるシード層(図示せず)を形成する。更に、シード層上に第2配線層13に対応する開口部を備えたレジスト層(図示せず)を形成する。そして、シード層を給電層に利用した電解めっき法により、レジスト層の開口部に銅(Cu)等からなる配線層(図示せず)を形成する。続いて、レジスト層を除去した後に、配線層をマスクにして、配線層に覆われていない部分のシード層をエッチングにより除去する。これにより、第1絶縁層12上に第1ビアホール12x内に充填されたビア配線、及び第1絶縁層12上に形成された配線パターンを含んで構成される第2配線層13が形成される。
【0070】
次いで、図13に示す工程では、上記と同様な工程を繰り返すことにより、第1絶縁層12上に、第2絶縁層14、第3配線層15、第3絶縁層16、及び第4配線層17を積層する。すなわち、第1絶縁層12上に第2配線層13を被覆する第2絶縁層14を形成した後に、第2絶縁層14を貫通し第2配線層13の上面を露出する第2ビアホール14xを形成する。第2ビアホール14xは、必要に応じて、第1ビアホール12xの垂直方向に積み重ねて相互接続する所謂スタックビア構造とすることができる。第2絶縁層14の材料としては、第1絶縁層12と同一組成の非感光性の絶縁性樹脂を用いることが好ましい。又、第2絶縁層14は、第1絶縁層12が含有するフィラーと同一組成のフィラーを略同一量だけ含有することが好ましい。配線基板10に生ずる反りを低減するためである。第2絶縁層14の厚さは、例えば15〜35μm程度とすることができる。
【0071】
更に、第2絶縁層14上に、第2ビアホール14xを介して第2配線層13に接続される第3配線層15を形成する。第3配線層15は、第2ビアホール14x内を充填するビア配線、及び第2絶縁層14上に形成された配線パターンを含んで構成されている。第3配線層15は、第2ビアホール14xの底部に露出した第2配線層13と電気的に接続される。第3配線層15の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。第3配線層15は、例えばセミアディティブ法により形成される。第3配線層15を構成する配線パターンの厚さは、例えば10〜20μm程度とすることができる。
【0072】
更に、第2絶縁層14上に、ガラスクロス19に例えばエポキシ系樹脂を主成分とする非感光性の絶縁性樹脂等を含浸させた樹脂フィルム(プリプレグ)を積層して第3配線層15を被覆する第3絶縁層16を形成する。そして、第3絶縁層16を貫通し第3配線層15の上面を露出する第3ビアホール16xを形成する。第3ビアホール16xは、必要に応じて、第2ビアホール14xの垂直方向に積み重ねて相互接続する所謂スタックビア構造とすることができる。第3絶縁層16は、ガラスクロス19に例えばエポキシ系樹脂を主成分とする非感光性の絶縁性樹脂等を含浸させたものである。第3絶縁層16に含まれる非感光性の絶縁性樹脂としては、第1絶縁層12及び第2絶縁層14と同一組成の非感光性の絶縁性樹脂を用いることが好ましい。又、第3絶縁層16は、第1絶縁層12及び第2絶縁層14が含有するフィラーと同一組成のフィラーを略同一量だけ含有することが好ましい。配線基板10に生ずる反りを低減するためである。第3絶縁層16の厚さは、例えば25〜75μm程度とすることができる。
【0073】
更に、第3絶縁層16上に、第3ビアホール16xを介して第3配線層15に接続される第4配線層17を形成する。第4配線層17は、第3ビアホール16x内に形成されたビア配線、及び第3絶縁層16上に形成された配線パターンを含んで構成されている。ガラスクロス19を含む第3絶縁層16に形成される第3ビアホール16xの容積が大きいため、第3ビアホール16xは完全には充填されず、第4配線層17を構成するビア配線の中央部近傍には凹部17xが形成される場合がある。第4配線層17は、第3ビアホール16xの底部に露出した第3配線層15と電気的に接続される。第4配線層17の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。第4配線層17は、例えばセミアディティブ法により形成される。第4配線層17を構成する配線パターンの厚さは、例えば10〜20μm程度とすることができる。
【0074】
このようにして、支持体21の一方の面に所定のビルドアップ配線層が形成される。本実施の形態では、3層のビルドアップ配線層(第2配線層13、第3配線層15、及び第4配線層17)を形成したが、n層(nは1以上の整数)のビルドアップ配線層を形成してもよい。
【0075】
次いで、図14に示す工程では、第3絶縁層16上に開口部18xを有する第4絶縁層18を形成する。具体的には、例えば、第4配線層17を覆うように、第3絶縁層16上に液状又はペースト状のエポキシ系樹脂やイミド系樹脂等を含む感光性の絶縁性樹脂を塗布する。そして、塗布した感光性の絶縁性樹脂を露光及び現像することで開口部18xを形成する。これにより、凹部17xを含む第4配線層17の一部は、第4絶縁層18の開口部18xの底部に露出する。第4絶縁層18の厚さは、例えば15〜35μm程度とすることができる。なお、第4絶縁層18をエポキシ系樹脂を主成分とする非感光性の絶縁性樹脂等(第1絶縁層12と同一組成の非感光性の絶縁性樹脂)を用いて形成し、開口部18xをレーザ加工法等により形成しても構わない。
【0076】
必要に応じ、開口部18xの底部に露出する凹部17xを含む第4配線層17上に、例えば無電解めっき法等により金属層等を形成してもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。
【0077】
次いで、図14に示す工程の後、図14に示す支持体21を除去することにより、図5に示す配線基板10が完成する。銅箔から構成されている支持体21は、例えば塩化第二鉄水溶液や塩化第二銅水溶液、過硫酸アンモニウム水溶液等を用いたウェットエッチングにより除去できる。この際、第1絶縁層12から露出する第1配線層11の最表層は金(Au)膜等であるため、銅箔から構成されている支持体21のみを選択的にエッチングできる。但し、第4配線層17が銅(Cu)から構成されている場合には、開口部18xの底部に露出する凹部17xを含む第4配線層17が支持体21とともにエッチングされることを防止するため、第4配線層17をマスクする必要がある。
【0078】
支持体21を除去した後に、開口部18xの底部に露出する凹部17xを含む第4配線層17上に(開口部18xの底部に露出する凹部17xを含む第4配線層17上に金属層等が形成されている場合には、金属層等の上に)はんだボールやリードピン等の外部接続端子を形成しても構わない。外部接続端子は、マザーボード等の実装基板(図示せず)と電気的に接続するための端子となる。但し、開口部18xの底部に露出する凹部17xを含む第4配線層17(凹部17xを含む第4配線層17上に金属層等が形成されている場合には、金属層等)自体を、外部接続端子としても良い。又、支持体21を除去する前に、はんだボールやリードピン等の外部接続端子を形成しても構わない。
【0079】
なお、図7〜図14では、支持体21上に1個の配線基板10を作製する例を示したが、支持体21上に複数の配線基板10となる部材を作製し、それを個片化して複数の配線基板10を得るような工程としても構わない。
【0080】
このように、第1の実施の形態によれば、支持体上に半導体チップ搭載側から配線層及び絶縁層を順次積層する。この際、外部接続端子側の最上層の絶縁層(第4絶縁層)の下側に隣接する絶縁層(第3絶縁層)にガラスクロス等の補強部材を設ける。そして、支持体を除去して配線基板を得る。これにより、補強部材を設けた第3絶縁層の剛性を高めることが可能となり、配線基板の反りを低減できる。
【0081】
この際、補強部材を含む第3絶縁層は、他の絶縁層に比べて層厚が厚くなる。その結果、第3絶縁層に形成されるビアホールは大容積となるため、ビア配線がこのビアホールを完全には充填できず、中央部近傍に凹部が形成される場合がある。しかしながら、第1の実施の形態では、半導体チップ搭載側から配線層及び絶縁層を順次積層して配線基板を製造する。その結果、外部接続端子側の最上層の絶縁層(第4絶縁層)の下側に隣接する第3絶縁層のビアホール上には他のビアホールが形成されないため、凹部の存在は所謂スタックビア構造を採用する際の妨げとはならず、配線基板の高密度化を阻害する要因とはならない。
【0082】
すなわち、第1の実施の形態に係る配線基板は、第3絶縁層にガラスクロス等の補強部材を設けることにより剛性を高め反りを低減できると共に、必要な部分に所謂スタックビア構造を採用して高密度化にも対応できる。
【0083】
又、配線基板が高温になり、各絶縁層を構成する絶縁性樹脂のガラス転移温度を超えた場合でも、ガラスクロスの剛性により反りの発生が抑制され、高温環境下における挙動が安定する。
【0084】
又、同一組成の非感光性の絶縁性樹脂から構成される各絶縁層が、同一組成のフィラーを略同一量だけ含有することにより、これらの絶縁層の熱膨張係数を略同一値に調整することが可能となり、配線基板に生ずる反りを低減できる。更に、同一組成の非感光性の絶縁性樹脂から構成される各絶縁層の熱膨張係数を、配線層の熱膨張係数に近づけることにより、配線基板に生ずる反りを一層低減可能となる。
【0085】
〈第2の実施の形態〉
第1の実施の形態では、外部接続端子側の最上層の絶縁層(第4絶縁層)の下側に隣接する絶縁層(第3絶縁層)にガラスクロス等の補強部材を設ける例を示した。第2の実施の形態では、外部接続端子側の最上層の絶縁層(第4絶縁層)にガラスクロスを設ける例を示す。以下、第1の実施の形態と同一構成部分の説明は極力省略し、第1の実施の形態と異なる部分を中心に説明する。
【0086】
[第2の実施の形態に係る配線基板の構造]
始めに、第2の実施の形態に係る配線基板の構造について説明する。図15は、第2の実施の形態に係る配線基板を例示する断面図である。図15を参照するに、第2の実施の形態に係る配線基板50は、第3絶縁層16、第4配線層17、及び第4絶縁層18が、それぞれ第3絶縁層56、第4配線層57、及び第4絶縁層58に置換されている点が、第1の実施の形態に係る配線基板10(図5参照)と相違する。
【0087】
配線基板50において、第3絶縁層56には、第1の実施の形態の第3絶縁層16とは異なり、ガラスクロスは設けられていない。第3絶縁層56の材料としては、第1絶縁層12及び第2絶縁層14と同一組成の非感光性の絶縁性樹脂を用いることが好ましい。又、第3絶縁層56は、第1絶縁層12及び第2絶縁層14が含有するフィラーと同一組成のフィラーを略同一量だけ含有することが好ましい。配線基板50に生ずる反りを低減するためである。第3絶縁層56の厚さは、第1絶縁層12及び第2絶縁層14の厚さと同程度であり、例えば15〜35μm程度とすることができる。
【0088】
第4配線層57は、第3絶縁層56上に形成されている。第4配線層57は、第3絶縁層56を貫通し第3配線層15の上面を露出する第3ビアホール56x内に充填されたビア配線、及び第3絶縁層56上に形成された配線パターンを含んで構成されている。第3ビアホール56xは、第4絶縁層58側に開口されていると共に、第3配線層15の上面によって底面が形成された、開口部の面積が底面の面積よりも大となる円錐台状の凹部となっている。又、この凹部内にビア配線が形成されている。
【0089】
第4配線層57は、第3ビアホール56xの底部に露出した第3配線層15と電気的に接続されている。第4配線層57の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。第4配線層57を構成する配線パターンの厚さは、例えば10〜20μm程度とすることができる。なお、ガラスクロスが設けられていない第3絶縁層56の厚さは特別に厚くはないため(例えば15〜35μm程度)、第1の実施の形態のような凹部17xは形成されず第3ビアホール56xは完全に充填することができる(フィルドビアを設けることができる)。
【0090】
なお、『完全に充填する』とは、ビアホールを充填するビア配線表面が平坦である場合のみならず、ビア配線表面の断面が例えば深さ数μm程度のなだらかな円弧状に凹んだり、例えば高さ数μm程度のなだらかな円弧状に突出したりする場合も含むものとする。つまり、『完全に充填する』には、スタックビアを形成する際に支障のない程度の凹凸が形成されている場合も含むものとする。
【0091】
外部接続端子側の最上層の絶縁層である第4絶縁層58は、ガラスクロス19に例えばエポキシ系樹脂を主成分とする非感光性の絶縁性樹脂等を含浸させたものである。なお、第1の実施の形態と同様に、ガラスクロス19等の補強部材を構成する繊維束は、ガラス繊維束には限定されず、炭素繊維束、ポリエステル繊維束、テトロン繊維束、ナイロン繊維束、アラミド繊維束等を用いても構わない。又、繊維束の織り方は平織りには限定されず、朱子織り、綾織り等であっても構わない。又、織布以外に不織布を用いても良い。
【0092】
第4絶縁層58に含まれる非感光性の絶縁性樹脂としては、第1絶縁層12、第2絶縁層14、及び第3絶縁層56と同一組成の非感光性の絶縁性樹脂を用いることが好ましい。又、第4絶縁層58は、第1絶縁層12、第2絶縁層14、及び第3絶縁層56が含有するフィラーと同一組成のフィラーを略同一量だけ含有することが好ましい。配線基板50に生ずる反りを低減するためである。第4絶縁層58の厚さは、例えば25〜75μm程度とすることができる。
【0093】
第4絶縁層58は開口部58xを有し、開口部58xの底部には第4配線層57の凹部57xが露出している。凹部57xは、マザーボード等の実装基板(図示せず)と電気的に接続される電極パッドとして機能する。必要に応じ、凹部57x上に、金属層等を形成してもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。なお、凹部57xは、第1の実施の形態の凹部17xとは異なり、後述のように、ブラスト処理により意識的に設けたものである。
【0094】
更に、凹部57x上に(凹部57x上に金属層等が形成されている場合には、金属層等の上に)はんだボールやリードピン等の外部接続端子を形成しても構わない。外部接続端子は、マザーボード等の実装基板(図示せず)と電気的に接続するための端子となる。但し、開口部58xの底部に露出する凹部57x(凹部57x上に金属層等が形成されている場合には、金属層等)自体を、外部接続端子としても良い。以降、開口部58xの底部に露出する凹部57xを第2の電極パッド57xと称する場合があり、又、第2の電極パッド57x側を外部接続端子側と称する場合がある。
【0095】
図16は、図15の開口部近傍を拡大して例示する断面図である。図16を参照するに、開口部58xは、第4配線層57側から開口端に向って末広がりとなっており、側壁の断面は凹型R形状である。言い換えれば、開口部58xは、第2の電極パッド57xの外周方向に突出又は湾曲する曲面状の側壁を有し、かつ、第4絶縁層58外面に開口する部分の面積が、底面部分の断面積よりも大きい。開口部58xは、例えば半球状に形成することができる。開口部58xの平面形状は例えば円形であり、その直径(開口端の直径)は例えば220〜1100μm程度とすることができる。
【0096】
凹部57xは、底面側から開口端に向って末広がりとなっており、側壁の断面は凹型R形状である。凹部57xの外縁部は第4絶縁層58の下部に入り込むことはなく、凹部57xの側壁の最外縁部は開口部58xの側壁の最内縁部と一致している。凹部57xの平面形状は例えば円形であり、その直径は例えば200〜1000μm程度とすることができる。凹部57xのピッチは、例えば500〜1200μm程度とすることができる。第4配線層57の上面を基準とした凹部57xの最深部の深さは、例えば0.5〜4μm程度とすることができる。
【0097】
なお、凹部57x(第2の電極パッド)及び開口部58x(第2の電極パッド用の開口)の平面形状は略円形のみならず、略矩形等の各種形状にしても構わない。例えば、凹部57x及び開口部58xの平面形状を略矩形とすれば、開口部58xにピン(ソケットのピン)を挿入する場合に、挿入するピン(ソケットのピン)の形状によっては、略矩形の開口部58xに、開口部58xの長手方向にピンの長手方向を対応させて挿入することにより、挿入時の作業性が向上する等の効果が得られる。
【0098】
開口部58xの側壁の断面が凹型R形状となるのは、後述のように、本実施の形態では、開口部58xをブラスト処理により形成するためである。又、開口部58xが形成されると、引き続き第4配線層57の上面をブラスト処理により研磨するため、開口部58xと連続する凹部57xが形成される。
【0099】
なお、開口部58xをレーザ加工法により形成することもできるが、以下の点で好ましくない。第1に、他の絶縁層よりも厚い最上層の絶縁層に比較的大きな開口部を形成する必要があるため、レーザ加工法を用いると数ショットの照射が必要となり、加工時間が増加するためである。第2に、レーザ加工法により形成された開口部の側壁からはレーザにより切断されたガラスクロスの端部が突出し、例えば開口部の底部に露出する配線層上に無電解めっき法等によりAu層等の金属層を形成する場合に、突出部の下部の金属層のめっき厚が薄くなる等の問題が生じるためである。第3に、レーザ加工法で開口部を形成すると、開口部の底部に露出する配線層の表面に樹脂残渣が残る。そのため、デスミア処理を行うが、デスミア処理に用いるエッチング液が配線層の一部を溶解し、所謂ハローイングが発生するためである。又、デスミア処理により絶縁層を構成する樹脂がエッチングされ、ガラスクロスの端部が、より開口部内に突出するからである。
【0100】
[第2の実施の形態に係る配線基板の製造方法]
続いて、第2の実施の形態に係る配線基板の製造方法について説明する。図17〜図19は、第2の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図である。
【0101】
始めに、図17に示す工程では、図7〜図13と同様の工程を実施し、第1絶縁層12上に、第2絶縁層14、第3配線層15、第3絶縁層56、及び第4配線層57を積層する。そして、第3絶縁層56上に、第4配線層57を覆うように、ガラスクロス19に例えばエポキシ系樹脂を主成分とする非感光性の絶縁性樹脂等を含浸させた第4絶縁層58を形成する。第4絶縁層58は、ガラスクロス19に例えばエポキシ系樹脂を主成分とする非感光性の絶縁性樹脂等を含浸させた樹脂フィルム(プリプレグ)を第3絶縁層56上に積層し、加圧及び加熱して樹脂を硬化させることにより形成できる。
【0102】
このようにして、支持体21の一方の面に所定のビルドアップ配線層が形成される。本実施の形態では、3層のビルドアップ配線層(第2配線層13、第3配線層15、及び第4配線層57)を形成したが、n層(nは1以上の整数)のビルドアップ配線層を形成してもよい。
【0103】
次いで、図18に示す工程では、第4絶縁層58上に、開口部23xを有するレジスト層23を形成する。具体的には、第4絶縁層58上に、例えばエポキシ系樹脂やイミド系樹脂等を含む感光性樹脂組成物からなる液状又はペースト状のレジストを塗布する。或いは、第4絶縁層58上に、例えばエポキシ系樹脂やイミド系樹脂等を含む感光性樹脂組成物からなるフィルム状のレジスト(例えば、ドライフィルムレジスト等)をラミネートする。そして、塗布又はラミネートしたレジストを露光、現像することで開口部23xを形成する。これにより、開口部23xを有するレジスト層23が形成される。なお、予め開口部23xを形成したフィルム状のレジストを第4絶縁層58上にラミネートしても構わない。
【0104】
開口部23xは、後述の図19に示す工程で形成される開口部58xに対応する位置に形成されるが、その配設ピッチは、例えば500〜1200μm程度とすることができる。開口部23xの平面形状は例えば円形であり、その直径は例えば220〜1100μm程度とすることができる。
【0105】
なお、レジスト層23は、後述する図19に示す工程におけるブラスト処理のマスクとして機能するが、レジスト層23の表面の一部もブラスト処理により削れる。そこで、レジスト層23は、表面の一部がブラスト処理により削れてもマスクとしての機能を維持できる程度の厚さに形成する必要がある。レジスト層23の厚さは、例えば50μm程度とすることができる。
【0106】
次いで、図19に示す工程では、レジスト層23をマスクとして矢印方向からブラスト処理を行い、第4絶縁層58に開口部58xを形成し第4配線層57の上面を露出させる。そして、更にブラスト処理を継続し第4配線層57の開口部58xの底部に露出する部分に凹部57xを形成する。このように、第4配線層57の上面を露出させた後、更にブラスト処理を継続し凹部57xを形成することにより、開口部58x内に第4絶縁層58の材料の残渣が残存しないようにできる。
【0107】
なお、開口部58xを形成する部分の第4配線層57に、開口部58xの底部の直径よりも大径のパッド(開口部58xの受けパッド)を形成しておくと、このパッドがブラスト処理で開口部58xを形成する際に研磨剤を受け止めるため、第3絶縁層56がブラスト処理により研磨されることを防止でき、好適である。
【0108】
ブラスト処理により形成された開口部58x及び凹部57xは、前述の図16で説明した形状となる。これにより、開口部58xを有する第4絶縁層58が形成され、開口部58xの底部に露出する第4配線層57の凹部57xは、マザーボード等の実装基板(図示せず)と電気的に接続される電極パッドとして機能する。
【0109】
ここでブラスト処理とは、研磨剤を被処理物に高圧で吹きつけ、被処理物の表面粗度を機械的に調整する処理をいう。ブラスト処理には、エアーブラスト処理、ショットブラスト処理、ウェットブラスト処理等があるが、特に、アルミナ砥粒や球状シリカ砥粒等の研磨剤を水等の溶媒に分散させて被処理物の表面に衝突させ、微細領域の研磨を行うウェットブラスト処理を用いると好適である。
【0110】
なぜならば、ウェットブラスト処理を用いると、エアーブラスト処理やショットブラスト処理に比べて極めて緻密で被処理物の損傷の少ない研磨が可能だからである。又、ウェットブラスト処理では、研磨剤を水等の溶媒に分散させているため、エアーブラスト処理やショットブラスト処理のように研磨剤が粉塵として空気中に飛散することがないからである。
【0111】
ウェットブラスト処理に用いるアルミナ砥粒や球状シリカ砥粒等の研磨剤の粒径は、例えば5〜20μm程度とすることができる。水等の溶媒に分散させたアルミナ砥粒や球状シリカ砥粒等の研磨剤の濃度は、例えば14vol%程度とすることができる。又、水等の溶媒に分散させた研磨剤を被処理物の表面に噴射する際の噴射圧力は、例えば0.25MPa程度とすることができる。
【0112】
開口部58xの側壁の面粗度は、例えばRa150〜600nm程度とすることができる。開口部58xを除く第4絶縁層58の上面の面粗度は、例えばRa150nm以下程度とすることができる。これは、ブラスト処理時に、第4絶縁層58の上面はレジスト層23でマスクされ、研磨剤がぶつからないためである。このように、ブラスト処理により、開口部58xの側壁のみが粗化され、開口部58xを除く第4絶縁層58の上面は粗化されない。なお、開口部58xをレーザ加工法により形成する場合には、デスミア処理により、開口部58xの側壁及び第4絶縁層58の上面はエッチングされ、何れもRa500nm程度となる。
【0113】
必要に応じ、開口部58xの底部に露出する第4配線層57の凹部57x上に、例えば無電解めっき法等により金属層等を形成してもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。但し、この金属層等は、レジスト層23を除去した後で形成しても良い。
【0114】
なお、開口部58xをレーザ加工法により形成しデスミア処理を行った場合のように、第4絶縁層58の上面の面粗度が大きい(例えばRa500nm程度)と、無電解めっきの際に、金属層が第4絶縁層58の上面にも付着(異常析出)しやすい問題が生じる。開口部58xをブラスト処理により形成した場合にはデスミア処理が不要なため、第4絶縁層58の上面の面粗度を小さく(例えばRa150nm以下程度)することが可能となり、このような問題を回避できる。
【0115】
又、開口部58xの側壁の面粗度は大きい(例えばRa150〜600nm程度)ため、例えば開口部58x内に第4配線層57と電気的に接続するはんだ(はんだボールやはんだバンプ等)を形成した場合に、開口部58xの側壁とはんだとの密着性を高めることができる。
【0116】
次いで、図19に示す工程の後、図19に示すレジスト層23を除去し、更に図19に示す支持体21を除去することにより、図15及び図16に示す配線基板50が完成する。銅箔から構成されている支持体21は、例えば塩化第二鉄水溶液や塩化第二銅水溶液、過硫酸アンモニウム水溶液等を用いたウェットエッチングにより除去できる。この際、第1絶縁層12から露出する第1配線層11の最表層は金(Au)膜等であるため、銅箔から構成されている支持体21のみを選択的にエッチングできる。但し、第4配線層57が銅(Cu)から構成されている場合には、開口部58xの底部に露出する凹部57xが支持体21とともにエッチングされることを防止するため、凹部57xをマスクする必要がある。
【0117】
なお、図17〜図19では、支持体21上に1個の配線基板50を作製する例を示したが、支持体21上に複数の配線基板50となる部材を作製し、それを個片化して複数の配線基板50を得るような工程としても構わない。又、支持体21を除去する前や除去した後に、はんだボールやリードピン等の外部接続端子を形成しても構わない。
【0118】
このように、第2の実施の形態によれば、半導体チップ搭載側から配線層及び絶縁層を順次積層して配線基板を製造する。そして、外部接続端子側の最上層の絶縁層(第4絶縁層)にガラスクロス等の補強部材を設ける。これにより、補強部材を設けた第4絶縁層の剛性を高めることが可能となり、配線基板の反りを低減できる。
【0119】
この際、補強部材を含む第4絶縁層の層厚は他の絶縁層の層厚に比べて厚くなるが、ソルダーレジスト層として機能する第4絶縁層にはビアホールが形成されないため、配線基板の高密度化を阻害する要因にはならない。
【0120】
すなわち、第2の実施の形態に係る配線基板は、第4絶縁層にガラスクロス等の補強部材を設けることにより剛性を高め反りを低減できると共に、必要な部分に所謂スタックビア構造を採用して高密度化にも対応できる。なお、ガラスクロス等の補強部材を、外部接続端子側の最上層の絶縁層(第4絶縁層)、又は、その下側に隣接する絶縁層(第3絶縁層)以外の絶縁層に設けても配線基板の反りはある程度は低減できる。しかしながら、配線基板が反った場合に、凹となる側の外部接続端子側の最上層の絶縁層(第4絶縁層)、又はその下側に隣接する絶縁層(第3絶縁層)にガラスクロス等の補強部材を設けることにより、配線基板を反らす応力に最も効果的に対抗でき、配線基板の反りを低減できる効果が大きくなる。ガラスクロス等の補強部材を、外部接続端子側の最上層の絶縁層(第4絶縁層)、又は、その下側に隣接する絶縁層(第3絶縁層)以外の絶縁層に設けると、補強部材を設けた絶縁層のビアホールに形成されるビア配線の中央部近傍に凹部が形成されるため、その部分では所謂スタックビア構造を採用できず配線層の高密度化に対応できなくなる。
【0121】
つまり、配線基板の反りの低減と高密度化を共に実現するためには、ガラスクロス等の補強部材を、外部接続端子側の最上層の絶縁層(第4絶縁層)、又は、その下側に隣接する絶縁層(第3絶縁層)に設けなければならない。
【0122】
又、配線基板が高温になり、各絶縁層を構成する絶縁性樹脂のガラス転移温度を超えた場合でも、ガラスクロスの剛性により反りの発生が抑制され、高温環境下における挙動が安定する。
【0123】
又、最上層の絶縁層(第4絶縁層)も含めた配線基板を構成する全ての絶縁層の材料として同一組成の非感光性の絶縁性樹脂を用い、全ての絶縁層が同一組成のフィラーを略同一量だけ含有することにより、全ての絶縁層の熱膨張係数を略同一値に調整することが可能となり、配線基板に生ずる反りを低減できる。更に、全ての絶縁層の熱膨張係数を、配線層の熱膨張係数に近づけることにより、配線基板に生ずる反りを一層低減可能となる。
【0124】
又、最上層の絶縁層の開口部をブラスト処理により形成するため、開口部は絶縁層に覆われる配線層側から開口端(絶縁層上面)に向って末広がりとなり、側壁の断面は凹型R形状となる。そのため、開口部の底部に露出する配線層上面の面積が等しければ、絶縁層上面における開口部の面積は、側壁の断面が配線層上面に対して垂直に近い直線的な形状である従来の配線基板の開口部の面積よりも広くなる。その結果、従来の配線基板と比べて、開口部に所謂LGA用ソケットのピンを挿入し易くなり、挿入不良や接触不良の発生を低減できる。
【0125】
又、絶縁層の開口部をブラスト処理により形成するため、デスミア処理が不要となりハローイングが発生しない。その結果、開口部近傍の配線層とそれを覆う絶縁層とが密着不良の状態になることを防止できる。
【0126】
又、最上層の絶縁層の開口部の底部に露出する最上層の配線層にブラスト処理により凹部を形成するため、凹部の底面は開口部近傍の配線層とそれを覆う絶縁層との界面とは同一平面内になく一段下がった位置にある。そのため、所謂LGA用ソケットのピンから、開口部近傍の配線層とそれを覆う絶縁層との界面に直接力が加わり難いため、界面が剥離する虞を低減できる。
【0127】
又、所定のマスクを介したブラスト処理により、開口部の側壁のみを粗化できるため、例えば開口部内にはんだ等(はんだボールやはんだバンプ等)を形成した場合に、アンカー効果により開口部の側壁とはんだ等との密着性を高めることができる。又、ブラスト処理時にマスクにより覆われる最上層の絶縁層の上面は粗化されないため、例えば最上層の絶縁層の開口部の底部に露出する配線層上に、無電解めっき法等により金属層等を形成する場合に、最上層の絶縁層の上面(開口部以外の部分)に金属層が付着(異常析出)することを防止できる。
【0128】
〈第3の実施の形態〉
第3の実施の形態では、第1の実施の形態に係る配線基板10(図5参照)に半導体チップを搭載した半導体パッケージの例を示す。以下、第1の実施の形態と同一構成部分の説明は極力省略し、第1の実施の形態と異なる部分を中心に説明する。
【0129】
図20は、第3の実施の形態に係る半導体パッケージを例示する断面図である。図20を参照するに、半導体パッケージ70は、図5に示す配線基板10と、半導体チップ71と、バンプ74と、アンダーフィル樹脂75とを有する。なお、図20において、配線基板10は、図5とは上下を反転して描かれている。
【0130】
半導体チップ71は、本体72と、電極パッド73とを有する。本体72は、シリコン等からなる薄板化された半導体基板(図示せず)上に半導体集積回路(図示せず)等が形成されたものである。本体72には、電極パッド73が形成されている。電極パッド73は、半導体集積回路(図示せず)と電気的に接続されている。電極パッド73の材料としては、例えばAl等を用いることができる。
【0131】
バンプ74は、半導体チップ71の電極パッド73と、配線基板10の第1絶縁層12から露出する第1配線層11(第1層11a)とを電気的に接続している。バンプ74は、例えば、はんだバンプである。はんだバンプの材料としては、例えばPbを含む合金、SnとCuの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金等を用いることができる。アンダーフィル樹脂75は、半導体チップ71と配線基板10の一方の面との間に充填されている。
【0132】
このように、第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態に係る配線基板に半導体チップを搭載した半導体パッケージを実現できる。すなわち、反りが少なく高密度化にも対応できる半導体パッケージを実現できる。なお、第2の実施の形態に係る配線基板(図15参照)を用いても同様の半導体パッケージを実現できることは言うまでもない。
【0133】
〈反りのシミュレーション〉
図5において第1絶縁層12と第2絶縁層14との間に更に絶縁層と配線層を各5層交互に積層形成した、全部で9層の絶縁層と配線層を有する配線基板(配線基板Aとする)について、反りのシミュレーションを実行した。又、配線基板Aにおいて第3絶縁層16にガラスクロス19を設けない構成の配線基板(配線基板Bとする)について、反りのシミュレーションを行った。
【0134】
配線基板A及びBにおいて、第4絶縁層18の熱膨張係数のみを60ppm/℃〜65ppm/℃(感光性の絶縁性樹脂を想定)とし、他の8層の絶縁層の熱膨張係数をそれぞれ20ppm/℃〜25ppm/℃(フィラーの含有量を調整した非感光性の絶縁性樹脂を想定)とした。又、配線基板A及びBの平面形状はそれぞれ45mm×45mmの矩形状とし、配線基板A及びBの総厚はそれぞれ270μmとした。
【0135】
図21は、配線基板Aのシミュレーション結果を模式的に示した図である。図22は、配線基板Bのシミュレーション結果を模式的に示した図である。図21及び図22に示したように、配線基板A及びBは何れも半導体チップ搭載面となる第1配線層11側が凸状に反った形状となった。配線基板全体の反りT及びT、半導体チップ搭載領域の反りT及びTを表1に示す。
【0136】
【表1】

表1に示すように、第3絶縁層16にガラスクロス19を設けた配線基板Aは、第3絶縁層16にガラスクロス19を設けていない配線基板Bに比べて、配線基板全体の反り及び半導体チップ搭載領域の反りが大幅に低減されることが確認された。
【0137】
すなわち、支持体上に半導体チップ搭載側から配線層及び絶縁層を順次積層して形成されるコアレス基板は、半導体チップ搭載側が凸状となるように反る傾向が顕著であるが、第3絶縁層16にガラスクロス19を設けることにより、剛性を高めることが可能となり、配線基板全体の反り及び半導体チップ搭載領域の反りが大幅に低減されることが確認された。
【0138】
なお、以上の各実施の形態及びシミュレーションの説明において、『最上層の絶縁層』及び『最上層の配線層』を、それぞれ『最外層の絶縁層』及び『最外層の配線層』と言い換えても良い。すなわち、配線基板における何れか一方の最外層の配線層が最上層の配線層であり、何れか一方の最外層の絶縁層が最上層の絶縁層である。
【0139】
以上、好ましい実施の形態について詳説したが、上述した実施の形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0140】
例えば、各実施の形態では、ビルドアップ工法により支持体の片側に(一方の面に)配線層及び絶縁層を積層し、最後に支持体を除去してコアレスの配線基板を製造する例を示した。しかし、ビルドアップ工法により支持体の両側に(一方の面及び他方の面に)配線層及び絶縁層を積層し、最後に支持体を除去してコアレスの配線基板を製造しても構わない。この場合には、支持体の一方の面及び他方の面の何れにも、半導体チップ搭載側から配線層及び絶縁層を順次積層し、最後に支持体を除去する。
【符号の説明】
【0141】
10、50 配線基板
11 第1配線層
11a 第1層
11b 第2層
12 第1絶縁層
12x 第1ビアホール
13 第2配線層
14 第2絶縁層
14x 第2ビアホール
15 第3配線層
16、56 第3絶縁層
16x、56x 第3ビアホール
17、57 第4配線層
17x、57x 凹部
18、58 第4絶縁層
18x、22x、23x、58x 開口部
19 ガラスクロス
19a、19b ガラス繊維束
21 支持体
22、23 レジスト層
27 はんだボール
28 はんだ
29 リードピン
70 半導体パッケージ
71 半導体チップ
72 本体
73 電極パッド
74 バンプ
75 アンダーフィル樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の配線層と、同一組成の絶縁性樹脂から構成された複数の絶縁層とが交互に積層され、第1の主面及びその反対面である第2の主面を有する配線基板であって、
前記第1の主面に最も近い第1の絶縁層から露出する第1のピッチで配置された第1の電極パッドと、
前記第2の主面に最も近い第2の絶縁層に隣接する第3の絶縁層上に設けられ、前記第2の絶縁層の開口部から露出する、前記第1のピッチよりも広い第2のピッチで配置された第2の電極パッドと、
前記第3の絶縁層に設けられ、前記第2の電極パッドと前記第3の絶縁層が被覆する配線層とを電気的に接続する導体が形成された貫通孔と、を有し、
前記貫通孔の前記第2の電極パッド側の径は、前記貫通孔の前記第3の絶縁層が被覆する配線層側の径よりも大きく、
前記第2の絶縁層は、補強部材を備えていることを特徴とする配線基板。
【請求項2】
複数の配線層と、同一組成の絶縁性樹脂から構成された複数の絶縁層とが交互に積層され、第1の主面及びその反対面である第2の主面を有する配線基板であって、
前記第1の主面に最も近い第1の絶縁層から露出する第1のピッチで配置された第1の電極パッドと、
前記第2の主面に最も近い第2の絶縁層に隣接する第3の絶縁層上に設けられ、前記第2の絶縁層の開口部から露出する、前記第1のピッチよりも広い第2のピッチで配置された第2の電極パッドと、
前記第3の絶縁層に設けられ、前記第2の電極パッドと前記第3の絶縁層が被覆する配線層とを電気的に接続する導体が形成された貫通孔と、を有し、
前記貫通孔の前記第2の電極パッド側の径は、前記貫通孔の前記第3の絶縁層が被覆する配線層側の径よりも大きく、
前記第3の絶縁層は、補強部材を備えていることを特徴とする配線基板。
【請求項3】
複数の配線層と、複数の絶縁層とが交互に積層され、第1の主面及びその反対面である第2の主面を有する配線基板であって、
前記第1の主面に最も近い第1の絶縁層から露出する第1のピッチで配置された第1の電極パッドと、
前記第2の主面に最も近い第2の絶縁層に隣接する第3の絶縁層上に設けられ、前記第2の絶縁層の開口部から露出する、前記第1のピッチよりも広い第2のピッチで配置された第2の電極パッドと、
前記第3の絶縁層に設けられ、前記第2の電極パッドと前記第3の絶縁層が被覆する配線層とを電気的に接続する導体が形成された貫通孔と、を有し、
前記貫通孔の前記第2の電極パッド側の径は、前記貫通孔の前記第3の絶縁層が被覆する配線層側の径よりも大きく、
前記第2の絶縁層は感光性の絶縁性樹脂から構成され、その他の絶縁層は非感光性の同一組成の絶縁性樹脂から構成され、
前記第3の絶縁層は、補強部材を備えていることを特徴とする配線基板。
【請求項4】
絶縁層を貫通し、上下に隣接する配線層同士を電気的に接続する導体が形成された貫通孔が、垂直方向に積み重なり相互接続された構造を有する請求項1乃至3の何れか一項記載の配線基板。
【請求項5】
前記貫通孔には、前記導体が充填されている請求項4記載の配線基板。
【請求項6】
前記補強部材は、繊維束を格子状に織り込んだ構造を有する請求項1乃至5の何れか一項記載の配線基板。
【請求項7】
前記同一組成の絶縁性樹脂から構成された絶縁層は、同一組成のフィラーを含有している請求項1乃至6の何れか一項記載の配線基板。
【請求項8】
前記開口部の側壁の断面は凹型R形状であり、
前記開口部の底部に露出する前記第2の電極パッド部分に凹部が設けられている請求項1記載の配線基板。
【請求項9】
前記凹部の側壁の断面は凹型R形状であり、
前記凹部の側壁の最外縁部は、前記開口部の側壁の最内縁部と一致している請求項8記載の配線基板。
【請求項10】
前記開口部の側壁の面粗度は、前記最上層の絶縁層の上面の面粗度よりも大きい請求項8又は9記載の配線基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−4440(P2012−4440A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139664(P2010−139664)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】