説明

酒類粕の密閉循環系固液分離システム

【課題】本願発明は、3R(Reuse再使用,Reduce減量,Recycle再利用)を実現する、小規模の酒造工場内に設備できる密閉循環系の固液分離処理する方法、処理装置並びに固液分離システムを提供することを目的とする。
【解決手段】光合成細菌希釈した光合成細菌処理水と酒類粕とを同時混合し又は同時撹拌し、5分間以内で凝集分離させ、配送管を通して直接連続遠心分離装置であるスクリュウデカンタ形遠心分離機及び/又は自動排出型遠心分離機に得られた凝集分離液を配送し、凝集分離液を固形物と清澄分離液とに固液分離し、清澄分離液を紫外線照射により、紫外線に強い光合成細菌を残存し、その他の微生物を殺菌し、残存する光合成細菌を増殖培養し、これを再利用する酒類粕の密閉循環系固液分離システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酒類粕を固液分離する方法、固液分離装置ならびに固液分離システムに関するものである。より詳しくは酒類粕を生物学的に短時間に凝集分離し、固液分離する方法、それらの固液分離装置ならびに密閉循環系固液分離システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開平11−262382号(以下、特許文献1という)に、「(1)焼酎粕廃液に米糠、その他穀類の糠、及び穀類の茎や葉を粉砕したものを混入し、水分を粗抜きしてペースト状にした焼酎粕を粒状に分散させて、乾燥させてなることを特徴とする焼酎粕の処理方法である。
(2)水分を粗抜きしてペースト状にした焼酎粕に、粒状に分散させた乾燥処理済みの焼酎粕を添加してなることを特徴とする前記(1)記載の焼酎粕の処理方法である。
(3)粒状に分散させた焼酎粕を搬出して、緩やかな傾斜台の上に敷き拡げ、裏返し撹きならしながら、傾斜面を下方向へ撹き移動させて、天日乾燥させてなることを特徴とする前記(1)又は(2)記載の焼酎粕の処理方法である。(特許文献5の第0008〜0010段落)」の記載がある。
【0003】
特開2005−305398号(以下、特許文献2という)に、「焼酎粕を含む焼酎蒸留廃水に同量の他の廃水を混合し、静置法により上澄液を得る方法、この上澄液をPH無調整、無希釈のままこの液に馴養した好酸性微生物群を接種して好気条件下で曝気処理する方法、さらにPH8前後で活性汚濁処理する方法が知られている(例えば、特開平11−188370号)及び条件:W/H>4は、オゾンを加えると特に脱臭効果を高めるのに有効である。本発明の効果をより高めるために、キャビテーションで発生する渦の中心に塩素やオゾンなどの殺菌効果のある物質を導入するようにしている。キャビテーションで廃液中の大腸菌類などの塊をばらばらに分解し、オゾンの導入により廃液にオゾンを溶解し脱臭させる効果を生む。オゾン等の殺菌効果のある物質を導入することによって廃液を効率よく溶解し細胞を破壊し殺菌、脱臭する。廃液を改質する方法は、基本的に前述の構成になる扁平空間に液体を導入し、前述の前者の条件を適用した場合には液体に奇数個又は偶数個のキャビテーション渦流を形成する。少なくとも1個の渦が常態的に発生する。後者の条件は、渦流が共振的に2つ発生する。本発明のキャビテーションを含む噴流崩壊は、焼酎粕を含めた有機性廃棄物の廃液の改質のために広く有効に利用されるのである。(特許文献7の第0027段落)」の記載がある。
【0004】
特開2002−272445号(以下、特許文献3という)に、「焼酎粕廃液に米糠、その他穀類の糠、及び穀類の茎や葉を粉砕したものを混合撹拌してペースト状にし、粒状に分散した焼酎粕をタンクの上方から降らせ、該タンクは底部が漏斗状に形成され、漏斗状の底部の上方にはタンクの中心より斜下方へ段々に多数のフイン板が配設されて、前記漏斗状の底部よりタンク内にエアーを噴出させると共に、前記フイン板とフイン板の間にエアーを通気させて、タンク内に降り積もる焼酎粕を乾燥させてなることを特徴とする焼酎粕の処理方法。(特許文献8の第請求項1)及びエアーをタンク内に噴出させて乾燥させることにより、熱エネルギーを消費することなく乾燥させることができるので、ランニングコストの低減が図られ、焼酎粕の処理費用を安価にすることができる。(特許文献8の第0020段落の発明の効果)」の記載がある。
【0005】
特開2000−23656号(以下、特許文献4という)に、澱粉質原料を発酵させた後蒸留して焼酎原酒とする焼酎製造装置において、蒸留釜1、ガラス繊維又は炭素繊維製であって嫌気性微生物が付着した中空筒状担体2を縦に並べた固定床3付き反応槽4、蒸留釜1と反応槽4とに接続されて蒸留釜1内の焼酎粕16を前記微生物の活性温度に冷却して反応槽4へ送る冷却器5、及び反応槽4に接続したバイオガス燃焼式の蒸気発生機6を備え、蒸留後に残る焼酎粕16を反応槽4で分解すると共にその分解時に生じるバイオガスの燃焼により蒸留釜1加熱用の蒸気を発生させてなるものである。(特許文献4の第0014段落)及びガラス繊維又は炭素繊維は嫌気性微生物の捕捉性に優れており、とくに従来は担体へ固定することが困難であるとされていた嫌気性高温微生物をも効率よく捕捉・担持することができる。嫌気性高温微生物は50〜60℃で高い活性を示す微生物であり、36〜38℃近辺が適温である従来の嫌気性中温微生物に比し約2倍の活性を有し、被処理液中の固形分をも効率よく分解することができる。好ましくは本発明で用いる嫌気性微生物を嫌気性高温微生物、例えば高温メタン生成菌とする。(特許文献4の第0016段落)」の記載がある。
特開平6−315369(以下、特許文献5という)に、「焼酎の蒸留廃液に麹菌を加えて、これを培養して、当該培養物を固液分離することを特徴とする、焼酎の蒸留廃液の処理方法である。
培養時間は、24〜72時間であり、好ましくは48時間程度である。
培養装置として内筒回転型醗酵装置を用いる場合この場合における初発pHは5.0 〜7.0 であり、好ましくはpH5.5 程度である。培養温度は、30〜37℃であり、好ましくは35℃付近である。そして、内筒の回転数は、100 〜600rpmであり、好ましくは340rpm程度である。
【0006】
培養時間は、24〜72時間であり、好ましくは48時間程度である。次に、上記により得られる培養物を固液分離する、かかる固液分離分離手段として、例えば自然沈澱法、遠心脱水法等の通常公知の手段を用いることができる。特に遠心脱水法は、蒸留廃液の迅速な処理が可能であるという点において好ましい。なお、当該遠心脱水法においては、2000〜5000rpm 程度で遠心脱水を行うのが好ましい。(特許文献5の第0014、0015段落)」の記載がある。
【0007】
特開平7−148497(以下、特許文献6という)には、「本発明は、このような新知見に基づきなされたものであって、その基本的技術思想は、植物繊維または植物繊維を主成分とする混合物とともにトリコスポロン属菌を、固形分を含む食品廃水に添加して速やかに固形分を凝集させ、容易に固形分を分離除去する点である。(段落番号0006)また、微生物処理に当り、処理対象廃液に植物繊維及び/又はその含有物を添加しておくことが必要である。(段落番号0009)」の記載がある。
これを裏付ける「麦焼酎及びソバ焼酎の蒸留廃液それぞれ75mlに植物性繊維、菌体懸濁液の順に添加して、固液分離のための濾過性の改善の評価を行った。植物性繊維としてKC−フロックW−50(武田薬品工業株式会社製品)を1.0g添加し攪拌後、Trichosporon sp. M111(FERM P−11960)(以下、M111と略称する)菌体懸濁液を最終濃度が3×10cells/mlとなるよう添加し、総量100mlとした。(濾過条件)桐山ロートS−60(有限会社 桐山製作所製品)(直径6cm)の底面にステンレス製網(330mesh、45μm)を敷き、その上に凝集させた廃液を注ぎ、500mmHgで吸引濾過した。試験は室温(20℃)で行い、所定時間に得られた濾過液を測定して、その結果を図1及び図2に示した。(実施例1段落番号0015、0016)」の記載がある。
特開2002−142686(以下、特許文献7という)には、「焼酎蒸留粕に稲わらを混合して粉砕することにより、粉砕物の粒度分布の範囲が0.1〜3500μm程度に広がり、この広範囲の粒度分布の焼酎蒸留粕と稲わらとの混合・粉砕物を圧搾濾過すると、かかる混合・粉砕物が濾過層を形成し、高粘度の焼酎蒸留粕においても効率のよい固液分離が達成しうることを見い出し、また、混合・粉砕物を圧搾濾過することにより得られる圧搾残渣が家畜等の優れた飼料として利用可能であり、また、濾過液も飼料や有用有機物源として有効に利用しうることを見い出し、本発明を完成するに至った。(段落番号0007)」の記載がある。
特開2003−235513(以下、特許文献8という)には、「焼酎廃液を凍結して液内のさつまいも食物繊維細胞を破壊し、その後解凍する工程と、解凍後の液内の固形分を微砕する工程と、微砕後の固形分を含む液を洗浄濾過して高純度のさつまいも食物繊維を含む固形分を取得する工程と、を含む焼酎廃液を原料とするさつまいも食物繊維の製造方法(段落番号0006)」であり、「急速凍結工程において、第1実施形態と同様に水の体積膨張により、さつまいもの細胞壁を破壊し内部のでんぷん成分を離脱させ、あるいは離脱させやすくする。次に、加熱解凍などを経て得たある程度の水分を含む繊維成分の固形分を例えば、グラインダや、マスコロイダ等の磨砕機を用いて砥石間間隙0.03mm以下で微砕させる(段落番号0017)。」の記載がある。
特開2001−120228(以下、特許文献9という)には、「澱粉粕15gを振動ミルに入れ10分間粉砕後、開口径35μmと150μmの篩を用い流水中で篩い、開口径150μmの篩の上に残ったものは更に1分間振動ミルで擦り潰し、再度、開口径35μmと150μmの篩を用い流水中で篩った。この操作を4回繰り返すと、開口径150μmの篩の上にはサツマイモ澱粉粕はなくなった。開口径35μmの篩上に食物繊維は回収でき、澱粉と細かく砕かれた食物繊維は、この篩で篩い落とされた。得られた食物繊維は全食物繊維の約50%の回収率であり、良質の食品素材としての食物繊維を得ることができた。」の記載がある。
山本 和夫ら(以下、非特許文献1という)によれば、「紅色非硫黄細菌は光合成細菌であり、種々の高濃度有機性廃水の処理に活用できることが知られている。しかし、従来の方法では、混合培養系となる実際の処理の現場で、この非硫黄細菌を選択的に増殖させることが難しく、一時期注目を浴びたものの、残念ながら普及するまでに至っていない。
本研究室では、赤外線フィルターを用いると、処理槽内での紅色非硫黄細菌の増殖を選択的に行え、しかも増殖した菌体は魚のエサなどの有価物として有効利用できる一石二鳥の廃水処理プロセスを開発している。このプロセスは食品生産工場などの廃水処理に適用すれば、消費エネルギーが少なく、低コストで、かつ環境に優しい廃水処理プロセスとなる。」とのインターネットによる記載がある。
【0008】
新村 孝善ら(以下、非特許文献2という)によれば、「「排水処理の方法として、物理的処理法(スクリーン、沈砂池など)、化学的処理法(中和処理、凝集沈殿など)があり、これらの方法では水溶性有機物の除去には、ほとんど効果がない」とされ、「生物学的処理法として、嫌気性処理(メタン発酵法など)と好気性処理法(活性汚泥法)」がある(ページ10)。
処理の現状として、焼酎粕の利用・処理(4)に、高速メタン発酵処理(UASB:メタン菌類を高濃度で保持)を、サザングリーン協同組合が稼働しており、国分酒造協同組合が多段式UASBをプラント試験中である。また、メタン発酵処理を九州化工株式会社とサツマ化工が嫌気池型を稼働中、白金酒造株式会社が膜併用・高温発酵を稼働中、西薩クリーンサンセット協同組合が建設中、濱田酒造株式会社、田苑酒造株式会社、山元酒造株式会社がNEDOフィールドテスト実施中である。いずれも、運転管理と廃棄物(残渣や余剰汚泥)の有効利用、消化液(液肥として利用可能)を放流する場合は処理も必要などの課題があるとしている(ページ26)」の報告がある。
【0009】
石井 優ら(以下、非特許文献3という)によれば、「指宿酒造組合、知覧酒造組合所属の焼酎メーカー(16社、20工場)から発生する焼酎もろみの処理をしている。処理量は芋焼酎もろみ:500t/d、麦焼酎もろみ:200t/dである。処理工程として、(1)固液分離工程、(2)乾燥工程、(3)メタン発酵処理工程、(4)脱リン工程、(5)活性汚泥処理工程、(6)余剰汚泥処理工程の工程をマテリアル・エネルギーバランス良く運転管理する。乾燥飼料として年間1800t生産している。」との稼働現状を報告している。
【特許文献1】特開平11−262382号公報
【特許文献2】特開2005−305398号公報
【特許文献3】特開2002−272445号公報
【特許文献4】特開2000−23656号公報
【特許文献5】特開平6−315369号公報
【特許文献6】特開平7−148497号公報
【特許文献7】特開2002−142686号公報
【特許文献8】特開2003−235513
【特許文献9】特開2001−120228
【非特許文献1】山本 和夫ら、環境安全研究センター「光合成細菌を用いた高濃度有機性廃水の処理と有価物生産との同時水処理システムの開発」、インターネット。
【非特許文献2】新村 孝善、鹿児島県工業技術センター、「鹿児島県内の有機性排水や焼酎粕等の処理現状と今後の動向」、環境ビジネス連携フォーラム in 鹿児島、K−RIP、かごしま水処理研究会主催、平成19年3月6日、講演1。
【非特許文献3】石井 優、サザングリーン協同組合、「焼酎粕からの有効利用の現状」、環境ビジネス連携フォーラム in 鹿児島、K−RIP、かごしま水処理研究会主催、平成19年3月6日、講演2。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1には、「焼酎粕廃液に米糠、その他穀類の糠等を混入し、水分を粗抜きして、天日乾燥させる」方法であるが、多量の混入物が必要であり、天日乾燥するための広大な面積の土地が必要であり、開放系であり、臭気等の環境保全あるいは菌体の散逸などに多くの問題がある。
特許文献2には、「焼酎粕を含む焼酎蒸留廃水に同量の他の廃水を混合し、静置法により上澄液を得る方法、この上澄液をPH無調整、無希釈のままこの液に馴養した好酸性微生物群を接種して好気条件下で曝気処理する方法、さらにPH8前後で活性汚濁処理する方法が知られている」とあるが、沈降する「他の廃水」を的確に、安定的に供給することが明確でなく、又オゾン等の殺菌装置等による細胞を破壊、殺菌、脱臭をする必要があり、その曝気処理、オゾン等の殺菌装置等が必要となり、開放系の処理にも問題がある。
特許文献3には、「焼酎粕廃液に米糠、その他穀類の糠、及び穀類の茎や葉を粉砕したものを混合撹拌してペースト状にし、粒状に分散した焼酎粕をタンクの上方から降らせ、該タンクは底部が漏斗状に形成され、漏斗状の底部の上方にはタンクの中心より斜下方へ段々に多数のフイン板が配設されて、前記漏斗状の底部よりタンク内にエアーを噴出させると共に、前記フイン板とフイン板の間にエアーを通気させて、タンク内に降り積もる焼酎粕を乾燥させてなることを特徴とする焼酎粕の処理方法。(特許文献3の第請求項1)及びエアーをタンク内に噴出させて乾燥させることにより、熱エネルギーを消費することなく乾燥させることができるので、ランニングコストの低減が図られ、焼酎粕の処理費用を安価にすることができる。(特許文献3の第0020段落の発明の効果)」の記載があるが、焼酎粕とその他粉砕したものを混合撹拌して焼酎粕を乾燥させてなることを特徴とする焼酎粕の処理方法は、大量処理に対応する「その他粉砕したもの」を大量に用意すること、乾燥した物質を廃棄することの問題点がある。
特許文献4には、澱粉質原料を発酵させた後蒸留して焼酎原酒とする焼酎製造装置において、前記微生物の活性温度に冷却して反応槽4へ送る冷却器5、及び反応槽4に接続したバイオガス燃焼式の蒸気発生機6を備え、バイオガスの燃焼により蒸留釜1加熱用の蒸気を発生させてなるものである。・・・好ましくは本発明で用いる嫌気性微生物を嫌気性高温微生物、例えば高温メタン生成菌とする」の記載があるが、加熱乾燥による固液分離の方法であり、過熱や、メタン発酵等は、安定処理とコストに問題がある。
【0011】
特許文献5には、「焼酎の蒸留廃液に麹菌を加えて、これを培養して、当該培養物を固液分離することを特徴とする、焼酎の蒸留廃液の処理方法である。培養時間は、24〜72時間であり、好ましくは48時間程度である。」とあり、本来、焼酎を製造するための麹菌を用いているので、これを加えて、48時間程度培養し、発酵する必要がある。培養し、発酵するために焼酎を製造すると同様の設備とエネルギーとを必要とする問題がある。
さらに開放系であること、3R(Reuse再使用,Reduce減量,Recycle再利用)を実現できない問題がある。
特許文献6には、「植物繊維または植物繊維を主成分とする混合物とともにトリコスポロン属菌を」併用することにより、固液分離が可能となることを実施例と結果のグラフ図で示し、トリコスポロン属菌のみではほとんど固液分離されないことなど、発明を開陳している。しかしながら、植物繊維または植物繊維を添加してもなお、ろ液量は60%であり、固液分離は不十分であり、添加物による固形分の利用の制限や廃棄の問題、コストアップの問題がある。さらに開放系であること、3R(Reuse再使用,Reduce減量,Recycle再利用)を実現できない問題がある。
特許文献7には、「焼酎蒸留粕に稲わらを混合して粉砕することにより、粉砕物の粒度分布の範囲が0.1〜3500μm程度に広がり、この広範囲の粒度分布の焼酎蒸留粕と稲わらとの混合・粉砕物を圧搾濾過する」方法であるが、焼酎粕は九州地区だけで46万トン/年排出されるので、その量に見合う稲わらを用意すること、この膨大な量を粉砕すること、さらにこれを圧搾濾過することの労力、コスト、エネルギーを考えると現実味は薄く、得られた圧搾残渣をすべて飼料、肥料に利用することには難しく、廃棄処分にますます問題を残すことになる。さらに開放系であること、3R(Reuse再使用,Reduce減量,Recycle再利用)を実現できない問題がある。
特許文献9には、焼酎粕を「凍結乾燥」、「粉砕」、「洗浄濾過」の処理を施して食物繊維を得るので、エネルギーコストのみならず、さらに廃棄物処理を行う必要があるという問題がある。
特許文献10には、サツマイモ澱粉粕をメッシュの異なる篩の間で「振動ミル粉砕」しながら、流水中で篩うことにより食物繊維を得るので、さらに排水処理を行う必要があるという問題がある。
【0012】
本願発明は、生物学的に光合成細菌を用いて、酒類粕原液を希釈させながら、同時混合し、撹拌して凝集分離し、固液分離することで、固形分を減容すること(Reduce)、安全な食品を分離して得られた固形物を食物繊維などに再使用でき(Reuse)、分離液を培地として光合成細菌を増殖し再利用でき(Recycle)、乾燥や分解処理することなく、多量のエネルギーコストの負担がなく、プラント建設の初期投資やランニングコストを低く抑え、臭気を抑え、処理時間が短かく、さらに小規模の酒造工場内に設備できる密閉循環系の固液分離処理する方法、処理装置並びに固液分離システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
従来技術が廃棄物を分解処理することを目的としており、掛かるエネルギーコストを低減するために濃縮する手段或いは燃焼してエネルギーを供給する手段を検討し、そこで新たに発生した廃棄物を含めて、曝気槽による処理をするものである。
本願発明者は、発想を転換し、酒類粕原液(単に酒類粕とも略称する)を廃棄物と捉えないで、安全な食品を生産する副産物と捉え、これを有効利用することを目的として、分解処理するのではなく、分離処理することとし、濃縮するのではなく、希釈することとし、水の潜熱及び/又は残存する有機物を、高温熱エネルギーを用いて処理するのでなく、環境に優しい、低温での生物処理することとし、3R(Reuse再使用,Reduce減量,Recycle再利用)を実現することを基本概念とする。
また、現状において、曝気槽による処理では、活性汚泥を馴養したものあるいはリン蓄積菌、硝化菌または脱窒菌の一つ以上を含む方法であり、処理システムは開放系であり、大規模な設備を伴うので、小規模の酒造工場内に処理設備を設置することが難しい。
そこで、菌体が散逸して酒造現場に混入し汚染することを防止できる、酒造工場内に処理設備を設置できる、小規模な設備である、密閉系の処理システムを創出することも基本概念とする。
鋭意研究の結果、生物学的に、たとえば光合成細菌を水により希釈した光合成細菌処理水と酒類粕原液とを同時混合し又は同時撹拌して、5分間以内で凝集分離させ、配送管を通して連続遠心分離装置に得られた凝集分離液を直接に配送し、凝集分離液を固形物と清澄分離液とに固液分離し、清澄分離液を紫外線照射により殺菌し、残存する光合成細菌を増殖培養し、これを再利用することにより発明を完成し、上記課題を解決した。すなわち、
本願発明は、光合成細菌とくに、紅色光合成細菌及び/又はラン色細菌(Synechococcus)を含んだ希釈した光合成細菌処理水と酒類粕とを同時混合し又は同時撹拌し、5分間以内で凝集分離させ、配送管を通して直接連続遠心分離装置であるスクリュウデカンタ形遠心分離機及び/又は自動排出型遠心分離機に得られた凝集分離液を配送し、凝集分離液を固形物と清澄分離液とに固液分離し、清澄分離液を紫外線照射により、紫外線に強い光合成細菌を残存し、その他の微生物を殺菌し、残存する光合成細菌を増殖培養し、これを再利用する酒類粕の密閉循環系固液分離システムを実現したものである。
本願発明にいう光合成細菌としては、ロドスピリラム ルブラム(Rhodospirillum rubrum )などのロドスピリラム属( Rhodospirillum )、ロドシュードモナス ビリディス( Rhodopseudomonas viridis )、ロドシュードモナス ゲラチノーサ( Rhodopseudomonas gelatinos )、ロドシュードモナス プラストリス( Rhodopseudomonas palustris )、ロドシュードモナス スルフィドフィラ( Rhodopseudomonas sulfidophila )、ロドシュードモナス カプシュラタス(C0psulatus)、ロドシュードモナス シェフロイデス(Spheroides)、ロドシュードモナス ジェラテイコバ(Gelatikoba)などのロドシュードモナス属( Rhodopseudomonas )及びロドバクター スフェロイデス( Rhodobacter sphaeroides )、ロドバクター キャプスレイタ( Rhodobacter capsulata )などのロドバクター属( Rhodobacter )、クロマチューム ビノサム(Chromatium vinosum)などのクロマチューム属があげられる。
本願発明にいう紅色光合成細菌(プロテオバクテリア)は、紅色非硫黄性細菌、紅色硫黄性細菌、ラン色細菌であり、紅色非硫黄性細菌は、光合成細菌に属する細菌のうちのロドスピリラセエ科(Rhodospirillaceae)に分類されるもので、例えば、ロドバクター属(Rhodobacter)、ロドシュードモナス属(Rhodopseudomonas)、ロドスピリルム属(Rhodospirillum)、ロドミクロビウム属(Rhodomicrobium)、ロドチラス属(Rhodocyclus)等の細菌であれば、特に限定されることなく利用することができる。かかる細菌の具体例としては、ロドシュードモナス パルスチルス(Rhodopseudomonas palstris)、ロドバクター カプスラタス(Rhodobacter capsulatus)、ロドバクター スファエロイデス(Rhodobacter sphaeroides)、ロドシクルス ゲラチノサス(Rhodocyclus gelatinosus)、ロドスピリウム ラバーム(Rhodospirillum rubrum)、ロドシュードモナス シュフエロイデス(Rhodopseudmonas shfreroides)などの細菌、及び耐アルカリ性光合成細菌が挙げられる。
本願発明にいう耐アルカリ性光合成細菌とは、特許3639905号に記載された耐アルカリ性光合成細菌(Rhodopseudomonasに属する)、耐アルカリ性ラン色細菌(Synechococcusに属する)であり、より具体的には、耐アルカリ性でバクテリアクロロフィルa、ノイロスポレン、リオコピンを有する光合成細菌(Rhodopseudomos)A株、耐アルカリ性でバクテリアクロロフィルa、ノイロスポレンを有する光合成細菌(Rhodopseudomos)B株、耐アルカリ性でクロロフィルa、およびβカロチンを有すラン色細菌(Synechococcus)C株から選ばれた少なくとも一つを含む微生物群をいう。
本願発明にいう共生菌株として、乳酸菌、アルコール酵母、ビール酵母、パン酵母、酒酵母、葡萄酒酵母、バチルス(Bacillus)、ストレプトコックス(Streptcoccus)、スタフイロコックス(Staphylococcus)、クリプトコックス(Cryptcoccus)、デバリオマイセス(Debaryomyces)、エンドマイコプシス(Endomycopcis)、ハンセニュラ(Hansenula)、クロッケラ(Kloekera)、ピシヤ(Pichia)、ロドトルラ(Rhodotorula)、サッカロマイセス(soccharomyces)、シゾサッカロマイシス(sehisosaccharomyces)、トルロプシス(Torulopsis)、シュードモナス(Psedomonas)、アスペルギルス(Aspergillus)、リゾプス(Rhisopus)、クルイベロマイセス(Kluyveromyces)、プリューロタス(Pleurotus)、キューネロマイセス(Kuehneromyces)、プラムリナ(Plammulina)、アセトベクター(Acetobacter)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、ノカルデア(Nocardia)が挙げられる。
【0014】
本願発明にいう酒類粕は、酒類製造時に、酒類を得たのちに発生する残分である。ここで、酒類として、日本酒、洋酒、ビール、リキュール、雑酒、焼酎などが挙げられる。焼酎として、芋焼酎、麦焼酎、米焼酎、ごま焼酎、ひえ焼酎、とうもろこし焼酎、黒糖焼酎などが挙げられる。

本発明の酒類粕の密閉循環系固液分離システムは、菌体数10の4乗〜10の13乗個/mL(記号Lはリットルの単位記号とする)の光合成細菌を用いて酒類粕を固形物と分離液とに固液分離する酒類粕の固液分離方法において、
光合成細菌(10の6乗〜10の13乗個/mL)を水で希釈し、希釈して得た光合成細菌処理水(10の4乗〜10の12乗個/mL)に対して粗取りフィルターした酒類粕75vol%以下10vol%以上を、密閉型同時混合機を用いて同時混合し若しくは同時攪拌しながら、5分間以内に凝集分離を生じせしめる同時混合工程と、
得られた凝集分離液を連続遠心分離装置に直接に配送し、凝集分離液を固形物と清澄分離液とに固液分離する連続固液分離工程と、
得られた清澄分離液中の光合成細菌以外の雑菌を殺菌する清澄分離液殺菌工程と、
殺菌された清澄分離液を光照射して培養する光合成細菌培養工程と
を主とした構成とする。
本発明の酒類粕の密閉循環系固液分離システムにおける連続固液分離工程が粗固液分離工程と清澄固液分離工程とから構成するものも含まれる。
本発明の前記の連続遠心分離装置又は粗固液分離工程の連続遠心分離装置がスクリュウデカンタ形遠心分離機であることを特徴とするものは、酒類粕の密閉循環系固液分離システムに用いると好ましい。
本発明の前記の清澄固液分離工程の連続遠心分離装置が自動排出型遠心分離機であること、好ましくはハイドロストップシステム自動排出型固液分離機であることを特徴とするものは、酒類粕の密閉循環系固液分離システムに用いると好ましい。
本発明の酒類粕の密閉循環系固液分離システムには、前記の清澄分離液殺菌工程に用いる殺菌装置が紫外線連続殺菌浄水装置であるものも含まれる。さらに、紫外線連続殺菌浄水装置として特開2006−116536に記載のハニカム型紫外線連続殺菌浄水装置が小型で、処理容量が大きく、安価でランニングコストも安いので、より好ましい。
本発明の前記の光合成細菌培養工程において、波長が400〜700nmを主として含む光線を照射しながら、残存する光合成細菌をさらに富栄養素を添加することなく、増殖培養することを特徴とするものも酒類粕の密閉循環系固液分離システムに含まれる。波長が400〜700nmを主として含む光源として、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、LEDランプが挙げられる。
さらに、本発明の酒類粕の密閉循環系固液分離システムには、前記の粗固液分離工程と清澄固液分離工程との間に、希釈して得た光合成細菌処理水(10の4乗〜10の12乗個/mL)に清澄分離液を連続的に若しくは間歇的に又は一度に投入しながら、回転数1000〜5000rpmの攪拌機を用いて、空気を取り込みながら激しく撹拌するミキシング工程を導入することを特徴とするものも含まれる。攪拌機として渦流ポンプ、ジェットポンプを用いるものも本発明に含まれる。
本発明の酒類粕の密閉循環系固液分離システムにおいて、前記の清澄分離液殺菌工程において紫外線照射して光合成細菌以外の細菌を滅菌した分離液(滅菌分離液ともいう)を、光合成細菌培養工程を経ないで、直接光合成細菌処理水(10の4乗〜10の12乗個/mL)として用いる又は光合成細菌処理水(10の4乗〜10の12乗個/mL)に添加することを特徴とするものも含まれる。
本発明の酒類粕の密閉循環系固液分離システムに用いられる前記の光合成細菌が、紅色光合成細菌及び/又はラン色細菌(Synechococcus)であることを特徴としているものも本発明に含まれる。
本発明の酒類粕の密閉循環系固液分離システムおいて、粗固液分離工程で分級され、清澄固液分離工程の固液分離で得られる固形物を、食物繊維として再使用することも本発明に含まれる。
本発明の酒類粕の密閉循環系固液分離システムおいて増殖培養された光合成細菌を用いて、土壌改質資材として再使用することも本発明に含まれる。
なお、焼酎粕には酒酵母などの共生菌株が潜在的に存在するが、これらの共生菌株をさらに光合成細菌に添加するものであっても、本発明に含まれる。
【0015】
前記共生菌株がバチルス菌(Bacillus)、或いは乳酸菌、アルコール酵母、ビール酵母、パン酵母、酒酵母、葡萄酒酵母、ストレプトコックス(Streptcoccus)、スタフイロコックス(Staphylococcus)、クリプトコックス(Cryptcoccus)、ハンセニュラ(Hansenula)、サッカロマイセス(soccharomyces)、シゾサッカロマイシス(sehisosaccharomyces)、トルロプシス(Torulopsis)から選ばれた少なくとも一つをバチルス菌(Bacillus)に混合したものを用いても酒類粕を固液分離することができ、後工程の清澄分離液殺菌工程において紫外線照射によりこれらの共生菌株を滅菌し、殺菌すると、光合成細菌培養工程において、残存する光合成細菌を増殖し、再利用することができるので、実質的に本発明の酒類粕の密閉循環系固液分離システムに含まれる。
【発明の効果】
【0016】
以上述べたように本願発明は、これまで困難とされてきた酒類製造工場から排出される酒類粕を生物学的な処理のみによって、安全に、容易に、極めて短時間に固液分離処理することができるのみならず、小規模な設備で、汚染防止できる密閉循環系固液分離システムであることから、酒造工場内に処理設備を設置できる。
中小の酒造会社(たとえば焼酎粕20ton/day以下)においても、一日の焼酎粕排出量を一日で分離処理できる。
【0017】
本願発明は、蒸留や乾燥することがなく、多量のエネルギーコストの負担がない。
酒造工場の生産ラインから直接配管を通して、酒造工場の焼酎粕貯蔵槽から直接配管を通して、本発明の密閉循環系固液分離システムに連結することで処理できる。操作が容易である上、制御し易く、プラント建設の初期投資を低く抑えることができる。所要エネルギーが混合機や
循環のためのポンプ電力などであるからランニングコストを低く抑えることができる。
静置沈降槽、曝気槽などを設置することなく、密閉系であるため、酒造りに不必要な雑菌が混入汚染することもない。
単純に固液分離された固形物は、安全な食品生産物である酒類の副生物であり、これらには糖質を含まず、安全な食物繊維として再使用することができる。
清澄分離液には、有機物、無機塩類が含まれており、残存する光合成細菌の富栄養素となり、新たに富栄養素を添加することなく、増殖培養することができる。増殖培養された光合成細菌を再び光合成細菌処理水に添加して再利用することができる。
このように固液分離することで、固形分を減容すること(Reduce)、安全な食品を分離して得られた固形物を食物繊維などに再使用でき(Reuse)、分離液を培地として光合成細菌を増殖し再利用でき(Recycle)、従来「バイオ系廃棄物の再使用は、原形をとどめないので、不可能」といわれていること、「必要量の生産計画が極めて困難」といわれていることを克服できる。
固形物を有効活用しないで、産業廃棄物としても、減容できるので、廃棄コストを著しく低下できる。光合成細菌の働きとして、
1:土壌中の悪臭物質(硫化水素、カプタン類など)や、二酸化炭素を除去して、ガス害を軽減する。
2:菌体からの分泌物(アミノ酸、核酸塩基、高エネルギーリン酸化合物など)が、根の伸長や根張りに影響する。
3:土壌中の放線菌が増殖することによる、病害抑制となる。
4:菌体自体が、50%以上タンパク質で構成されているので、死滅後も他の土着菌の餌になる。

5:好気性菌と土壌中で共存すると、窒素固定活性が高まる。
があり、これらを利用して土壌改質剤を作成する。本発明の培養光合成細菌を、水田土壌やレンコン栽培土壌の改質剤に添加し、ゴルフ場のグリーン土壌の改質剤に添加し、稲、芝生などの根腐れを予防することに有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本願発明の実施の形態の例として、酒類粕の密閉循環系固液分離システムの基本フローの概念図を図1に示す。この酒類粕の密閉循環系固液分離システムの基本フローに基づいて説明する。
【0019】
密閉循環系固液分離システムは、同時混合工程、連続固液分離工程、清澄分離液殺菌工程、光合成細菌培養工程を主とした工程により構成される。図中の太い線で結ばれたループが本発明の基本的な密閉循環系固液分離システムである。各工程の生成物の利用目的に沿って変形システムを構成する。
【0020】
〔同時混合工程〕
同時混合工程は、酒類粕を粗取りフィルターし、定量ポンブで密閉型同時混合機に、培養した光合成細菌を水で希釈した光合成細菌処理水を定量ポンブで密閉型同時混合機に輸送し、同時に混合・撹拌する作業をする工程である。
酒類製造工場から排出した酒類粕の原液を貯蔵する酒類粕原液槽の吐出口のバルブを開け、酒類粕を粗取りフィルターに掛ける。通常は、食品生産物の副生物であるから、金属、小石、布きれなどが混入していないけれども、後工程の連続遠心分離装置を保全するために設置するものである。粗取りフィルターは、3mm以上の異物を除去できる粗いメッシュの金網からなるフィルターであればよい。さらに磁性体を除去する強力な磁石を併用してもよい。粗取りフィルターされた酒類粕を外気に触れることなく、密閉した配送管を通して定量ポンプに配送する。酒類粕の温度、予定処理量を基に、定量ポンブの吐出量を設定する。
【0021】
一方、光合成細菌培養工程で培養した光合成細菌(10の4乗〜10の13乗個/mL)を貯蔵する培養菌貯蔵槽から光合成細菌を所定の菌体数(10の2乗〜10の12乗個/mL)になるまで水で希釈し、得た光合成細菌処理水を貯蔵する処理水貯蔵槽に貯蔵する。
水の温度、酒類粕の温度、予定処理量を基に、処理水貯蔵槽から輸送する定量ポンブの吐出量を設定する。光合成細菌が酒類粕を凝集分離する適切な温度範囲が、10〜45度C、好ましくは、25〜35度Cである。光合成細菌処理水と酒類粕とを混合した混合液の温度が、この温度範囲になるように設定する。
【0022】
密閉型同時混合機として、市販の2液混合反応器などを用いても良い。密閉されたタンク内に2液が乱流状態で混合し、若しくは撹拌すれば、或いは30秒以内に均一に混合すればよい。
たとえば、遠心ポンプ、斜流ポンプ、軸流ポンプ、回転ポンプ、渦流ポンプ、ジェットポンプ、シーレットポンプ、マグネットドライブシールレスポンプ、INDAGミキシングポンプ、INDAGダイナミックミキサなど200〜5000rpmの回転数の性能を有する、混合できる、撹拌できる、移送比率の変更できる程度の装置であり、ベッセル容量が大きく、処理滞留時間を制御できる、長繊維を粉砕できる装置であればさらに好ましい。
ギヤポンプ等の定量ポンプにより所定の混合比となるようにして、光合成細菌処理水に対して酒類粕が75vol%以下1vol%以上、好ましくは50vol%以下10vol%以上の容量比となるようにして、密閉型同時混合機に供給する。混合比は、密閉循環系固液分離システムであるから、水を多量に使用しないで、適度に液体のマテリアルバランスがとれる値に設定することが好ましい。酒類粕の成分組成、処理時の温度、処理量に依存するので、運転状況により適切に、補償しながら設定する。
〔連続固液分離工程〕
前工程でミクロ的に凝集分離されている凝集分離液を、マクロ的に固液分離する工程であり、粗固液分離工程及び清澄固液分離工程の2工程から構成されるのが好ましい。清澄固液分離工程の連続遠心分離装置に対する保全のためであり、有効利用する食物繊維を高品質に取得するためでもある。マクロ的に固液分離する分離機には多種多様な機種があり、これらを検討した結果、密閉循環系のシステムを構築するものとして、連続遠心分離装置を選択する。さらに、実用的であり、大量の処理できる、長時間連続運転ができる、耐用年数が長く、メンテナスが容易なものとして、スクリュウデカンタ形遠心分離機および自動排出型遠心分離機がとくに優れていることが分かった。
【0023】
スクリュウデカンタ形遠心分離機の一例の概略図を図2に示す。外胴ボウルは、円筒形と円錐形を一体にしたボウルで、両端を軸受けで支持されており、大径側には分離液の排出口、小径側には固形物の排出口がある。外胴ボウルを回転数max6000rpmで回転する。大径側の分離液の排出口には、液面高さΔNの壁が設けてあり、そこで分離液を溢れさせて、液体出口から分離液として次工程に送る。ワッシャーにより、液面をさらに10mmまで調整することができる。高いほど滞留時間が増加し、分離能が向上する。内胴スクリュウは内胴とそれに溶接したスクリウ羽根で構成され、外胴ボウルと回転数差をつけてスクリュウを回転すると、遠心力で外胴ボウルの内側に溜まった固形分をスクリウ羽根で固体出口に搬送する。固体出口から遠心力で飛散し、捕集ケーシングに排出する。フィードパイプはパイプホルダーで支持され、処理液である凝集分離液を外胴ボウル内に供給する。外胴ボウルを回転数max6000rpmで回転することにより、遠心力max3500Gを発生し、固液分離する。高速回転すると、シールドケース内に充満する清浄空気Aを図中のB,Cから凝集分離液に巻き込む。ミクロバルブ、マイクロバルブ、ナノバブルが発生し、酒類粕の微少粒子に吸着し、見かけ上比重が小さくなり、分離液と共に排出される。酒類粕粒子を分級する作用がある。食物繊維として回収する時の条件設定の一つとなる。
【0024】
スクリュウデカンタ形遠心分離機の本体をシールドケースで覆い、内部を清浄空気Aで充満する。外気からの雑菌を系内に持ち込まなくすること、逆に系内の菌体を外気に放出しなくすることを目的としている。光合成細菌以外の菌体は、設置環境にある菌体なので、問題は生じ難いが、より酒造会社の安心を与えるためにオプションとして装備する。
【0025】
自動排出型遠心分離機であるハイドロストップシステム自動排出型固液分離機(ウエストファリアセパレーター株式会社製)の概略図を図3に示す。原液供給口1から粗固液分離工程で固液分離された分離液を供給する。矢印に沿って移動し、ディスクセット4のミリ単位の狭い間隙に流入した分離液は層流となり、ディスク壁面で流速がゼロとなるので、ディスクを高速回転数12000〜4800rpmで発生した遠心力10000G以下3500G以上の力で、スラッジスペース5に飛散させる。スラッジスペース5に固形分が蓄積する。固形分排出孔を開閉することにより蓄積した固形分を排出する。ディスクセット4の間隙及び遠心力の強さとの関係から、固形物の粒径は300〜10μmに分布する。排出された固形分を衛生的に捕集し、食物繊維として利用する。
【0026】
固液分離された清澄分離液はセントリペタルポンプ3の作動により清澄液出口2に送られる。この清澄分離液を清澄分離液糟(I)に貯蔵する。
シールドケース内に充満する清浄空気Aを図中のB,Cから凝集分離液に巻き込む。ミクロバルブ、マイクロバルブ、ナノバブルが発生する。自動排出型固液分離機の場合、処理液の性状に依存するが、遠心力が大きいため、10μm以上の粒子は固形分として分離される。
【0027】
図1では、二系統の連続固液分離処理についてフローを示している。第一の系統は、粗固液分離工程から清澄固液分離工程への2工程から構成されている。酒類粕の固形粒子は、数μmから数cmの幅広い粒子分布をもつ繊維素であり、水との比重差も小さく、スクリュウデカンタ形遠心分離機の遠心力で全ての粒子を固液分離することが難しい。先ず、同時混合工程でミクロ的に凝集分離されている凝集分離液を、連続遠心分離装置であるスクリュウデカンタ形遠心分離機に直接供給する。同時混合機とスクリュウデカンタ形遠心分離機の原液供給口とを直接に配管で連結するが、緩衝効果を持つタンクを付帯してもよい。
酒類粕の大きい粒径粒子の部分を固形物(I)として分離する。酒類粕の小さい粒径粒子の部分を液体に残存させて、分離液として次工程の清澄固液分離工程に供給する。
得られた分離液を透明容器に採取して観察する。採取時には白濁しているが、数分経過すると半透明の黄色液体となる。1〜2時間経過すると、もやもやした固形物が容器の底部に浮遊する。1週間くらいは目視では変化を識別できない。1〜2月経過すると、もやもやした固形物が底部に沈殿し、上部は透明感のある黄色液体となる。
【0028】
スクリュウデカンタ形遠心分離機で固液分離された分離液を、より強い遠心力をもつ連続遠心分離器であるハイドロストップシステム自動排出型固液分離機により固液分離する。
光合成細菌のサイズが2μm以下であり、これを水と分離するには遠心力12000G以上の遠心力が必要である。ハイドロストップシステム自動排出型固液分離機は最大10000Gの遠心力であるから、光合成細菌が清澄分離液側に残存する。通常の運転条件では、10μm以上の酒類粕の固形分を固形物(II)として分離する。分離された清澄分離液を清澄分離液糟(I)に貯蔵する。
得られた清澄分離液を透明容器に採取して観察する。採取時には白濁しているが、数分経過すると透明感のある黄色液体となる。1〜2月経過しても底部に沈殿物を生じない。
【0029】
第二の系統は、粗固液分離工程からミキシング工程を経て清澄固液分離工程に至る連続固液分離処理である。この変形として粗固液分離工程から遠心分離液糟(I)に貯蔵し、或いは粗固液分離工程から直接ミキシング工程を経て清澄固液分離工程に至る系統、粗固液分離工程から遠心分離液糟(I)に貯蔵し、殺菌処理し、光合成細菌の増殖培養する系統も含まれる。
粗固液分離工程、清澄固液分離工程の連続遠心分離装置は、第一系統と同様なスクリュウデカンタ形遠心分離機、自動排出型遠心分離機を用いる。
〔ミキシング工程〕
粗固液分離工程で得られた分離液の固液分離を促進する方法として、希釈して得た光合成細菌処理水をエアレーションしながら高速撹拌(1000〜5000rpm)又は空気を巻き込みながら高速撹拌(1000〜5000rpm)している中に、前記の固液分離装置により固液分離された分離液を連続的に又は間歇的に投入し、PHが6.0に、好ましくは6.5になるまで投入する。
又は、PHが6.0に、好ましくは6.5になると予測される前記の光合成細菌処理水と分離液とを同時に混合し、エアレーションしながら高速撹拌(1000〜5000rpm)又は空気を巻き込みながら高速撹拌(1000〜5000rpm)する。
このとき、波長400〜700nmを主として含む光線を照射しながら投入すると処理能力(投入量、BODの低下など)が向上する。この操作をミキシング工程といい、構成する機器類をミキシング装置という。ミキシング装置には、遠心ポンプ、渦流ポンプ、ジェットポンプなどが含まれる。
【0030】
この撹拌された分離液をミキシング液といい、モヤモヤと浮遊する固形分と沈降する固形分を含む。これらの固形分の粒子を顕微鏡で観察すると非常に小さく、10〜100μmである。連続遠心分離装置を用いて、このミキシング液を固液分離する。得られた分離液をミキシング分離液ともいう。このミキシング分離液を一昼夜静置してpHを測定しても、その値は変化しなかった。前記の分離液のBODが5000ppm以上であるのに対して1000ppm以下にもなる。
【0031】
ミキシング工程を終えたままの分離液は、長時間の経過とともにpHが低下する。これを再度ミキシング処理するとpH値が回復する。

〔清澄分離液殺菌工程〕
光合成細菌を効率よく増殖培養する一つの方法として、他の微生物を共存させないことを見出したので、低圧水銀灯の250nmの紫外線を長時間照射して光合成細菌を生存させ、その他の微生物を死滅し、殺菌させる。紫外線は一般に透過力が小さく、液体中において、到達距離が短く、照射強度も弱まる。照射強度を強めるために、大型紫外線ランプを用いると、発生する熱で液体の温度が上がり、光合成細菌が死滅してしまう。
【0032】
本願発明者らが発明した特開2006−116536公報に記載の小型紫外線殺菌浄水装置(ハニカム型紫外線連続殺菌浄水装置という)を作製した。この装置の概略図を図4に示す。
殺菌槽ハウジング106内に複数の殺菌槽仕切り板109の処理流路110を通じて相互に連接された複数の正四角形殺菌槽105ないし紫外線ランプ104からなる。図のように、正四角形殺菌槽105を9個連結したものであり、殺菌槽ハウジング106を正四角形としている。紫外線ランプ104を正四角形殺菌槽105に一本挿入する。
処理流路110は、殺菌槽仕切り板109の上部または下部に交互に設ける。処理流路110の開口は、上部のとき高さ20〜30mm、下部のとき高さ15〜20mmとする。殺菌槽105のサイズは、(70〜90)mm×(70〜90)mm×(300〜400)mmである。
【0033】
使用する紫外線ランプ(253.7nm)がS社製型式GLD15MQの場合、水中における照射強度は、光源から5mmのとき12250μw、35mmのとき4250μwである。
紫外線に比較的強いといわれる枯草菌を殺菌するのにかかる照射量が33300μw・sec/cmであるから、菌の致死量となる基準値を36000μw・sec/cmとして、処理水量、正四角形殺菌槽サイズ、槽本数などを設計して、ハニカム型紫外線連続殺菌浄水装置を作製する。
また、殺菌槽ハウジング106には、複数の紫外線ランプソケット103、複数の磁歪振動子115、超音波発信器114を装着し、架台113を取り付けている。

具体的には清澄分離液が、殺菌槽ハウジング106内に流入する流入口101側から、流入パイプ107、複数の正四角形殺菌槽105、複数の処理流路110を通過して、流出パイプ108、流出口102の順で移動し、その間で紫外線照射され、殺菌処理される。得られた液を紫外線殺菌分離液という。滅菌した紫外線殺菌分離液を培養菌処理水槽及び/又は培養菌貯蔵槽に還流し、光合成細菌を再利用する。

〔光合成細菌培養工程〕 これらの分離液(凝集分離液、遠心分離液、ミキシング液、清澄分離液、および滅菌した紫外線殺菌分離液を含む)には、有機酸、タンパク質、微少な粒子(懸濁物など)、繊維素および微生物(光合成細菌など)などが含まれていて、処理1サイクルのBODが6000〜300ppmである。
【0034】
可溶性有機酸、可溶性タンパク質、可溶性脂肪、無機塩類、微少な粒子(繊維素、懸濁物など)は、光合成細菌の富栄養素である。そこで、これらの分離液を液状培地そのものとして用いる。

増殖培養する方法の一つとして、光合成細菌の場合を示す。
嫌気性光合成細菌のときは、上記した液状培地を光照射できる増殖培養槽に投入し、酒類粕処理と同じ光合成細菌ならば、温度20〜45度C、波長400〜700nmを主として含む光線を照射しながら培養する。撹拌することなく、静置し、24時間以上経過すると紅色となり、増殖培養されていることが目視される。波長が400〜700nmを主として含む光源として、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、LEDランプなどがある。
光合成細菌は、液中を活発に動き回るので、静置したままでよいが、窒素ガスなどの不活性ガスを導入し、緩やかに撹拌してもよい。
【0035】
一方、好気性光合成細菌のときは、上記の方法に代えて圧搾空気など滅菌された空気または酸素ガスを増殖培養槽に導入して、温度20〜45度C、波長400〜700nmを主として含む光線を照射しながら培養する。
さらに、紫外線殺菌分離液に増殖培養した光合成細菌(10の10乗〜10の13乗個/mL)を適量添加することにより、濃い紅色に増殖培養した光合成細菌(10の11乗〜10の13乗個/mL)を1〜2日間短縮して増殖培養することができる。
〔光合成細菌(佐藤菌)の培養法〕
三河環境微生物 さとう研究所の市販する光合成細菌液(元菌)を用いる。これは水田の表面の土壌から分離し、拡大培養した光合成細菌である。紅色で、「たんぼ」のドブ臭いにおいがし、pH=8.5前後であり、次のような性質を有する。1.土壌中の硫化水素など分解産物の無毒化。2.ビタミンB12、カロチン、核酸など菌体産物の利用。3.土壌や堆肥中の放線菌の増殖促進「フザリウムなどとの拮抗」。4.大腸菌、サルモネラ菌など腸内細菌の自然界からの消滅促進。5.土壌,汚水、堆肥などの脱窒素作用また反対の窒素固定作用。
したがって、紅色硫黄細菌を主体とする紅色光合成細菌である。これを佐藤元菌と称する。
この佐藤元菌の拡大培養法をするにあたり、原体菌水溶液(ワインのロゼ色、pH=8.35)を顕微鏡で観察すると、光合成細菌の他多種類の多数の雑菌が確認された。
【0036】
原体菌水溶液(ワインのロゼ色、pH=8.35)を10倍に希釈し、紫外線照射して雑菌を死滅させ、佐藤元菌のみの水溶液とした。
【0037】
培地組成として、水50L対して
塩化アンモニウム 40〜60g
炭酸水素ナトリウム 40〜60g
酢酸ナトリウム 40〜60g
塩化ナトリウム 40〜60g
リン酸水素二カリウム 8〜12g
硫酸マグネシウム 8〜12g
DL−リンゴ酸 10〜15g
ペプトン 8〜12g
酵母エキス 4〜6g
を混合するものである。
添加した後、2,3min撹拌し、培地水を作製する。
25〜40度に温調することができる、空気を遮断することができる、雑菌を混入しないようにできる培養釜であって、光を照射できるものを用意する。
この培養釜に培地水を所定量投入し、佐藤元菌水溶液(ワインのロゼ色、pH=8.35)を添加し、撹拌する。水温ヒータにて温度約32度で温調し、日の当たるところで、12日間培養する。ロゼ色透明のものが濃紅色に変化する。pH=8.5となる。
これを培養佐藤菌という。
〔耐アルカリ性光合成細菌の培養法〕
特許3699987号で得られた耐アルカリ性光合成細菌を拡大培養した菌体浄化資材を用いた。この菌体浄化資材(エコ菌と称して市販)は、紅色非硫黄性細菌、ラン色細菌及び土壌菌(バチルス菌を含む)を混合したものであり、特願2006−112336の実施例に用いたものである。
たとえば、水20Lにエコ菌2Kgを混合し、32度に昇温し、24Hr放置後、濾過する。濾液を紫外線照射(1200μW、40秒間)して、土壌菌を滅菌する。
得られた耐アルカリ性光合成細菌の水溶液を培養佐藤菌の培養法と同様に紫外線照射して殺菌し、培養を行った。ただし、濃紅色に変化するまでに3週間を要した。pH=8.3〜8.7である
これを培養耐アルカリ性光合成細菌という。
【実施例1】
【0038】
〔光合成細菌の増殖培養法〕
塩素で殺菌した50L水槽を準備した。水槽にはあらかじめマグネットスターラーを入れておく。
芋焼酎粕を固液分離した分離液をハニカム型紫外線連続殺菌浄水装置(紫外線強度(MAX12000μW.MIN4000μW))を用いて、540秒間連続して照射し、紫外線殺菌分離液を用意する。この紫外線殺菌分離液43Lを塩素で殺菌した50L水槽に投入した。濃紅色の培養佐藤菌及び/又は培養耐アルカリ性光合成細菌(10の10乗〜10の13乗個/mL)7Lをこれに植種した。水槽に雑菌が混入しないように、蓋をし、目張りをした。水温を30℃〜35℃に保ち、マグネットスターラーを回転させながら、500Wのハロゲンランプを光源として、50cm離れた所から水槽に向かって連続照射し、光合成細菌を培養した。無色透明であった水槽内が3日後には濃紅色となり、光合成細菌が増殖培養された。増殖培養して得た光合成細菌を培養光合成細菌という。
【実施例2】
【0039】
〔IHI社スクリュウデカンタ形遠心分離機(横型連続式遠心分離機HS−205L型)を用いた固液分離性能評価〕
芋焼酎会社OG社から、芋焼酎粕の原液を300L入手し、これを小分けして入れた20Lポリ容器15個と、培養光合成細菌9L入り容器2本をIHI社に搬送し、スクリュウデカンタ形遠心分離機の固液分離性能評価を実施した。実施の概略図を図5に示す。図に示すように、今回は「芋焼酎粕の固液分離はいままで成功していない。」とのIHI社の要望をいれて、凝集剤(光合成細菌)を添加混合した撹拌槽のところから、定量ポンプによる処理量の設定、スクリュウデカンタ形遠心分離機(HS−205L型)での処理、分離液と固形分の回収までの実施とした。試験機HS−205L型の処理量から、他の機種と実プラント機の処理量が予測でき、改良する点を見出し、オプションも選定できる。小酒造メーカ(焼酎粕10ton/day)において、光合成細菌処理水に対して焼酎粕10vol%の処理を1日で完了すると想定するならば、公称能力が5〜6ton/hrである型式HS−325Lの機種が対象となる。これに対応する処理が可能か否かを評価することとなる。試験機HS−205L型で0.7ton/hrの処理量が対応する。そこで、サンプル量から計算して、0.3、0.5、0.7、1.0、1.5ton/hrの5水準の処理量を試験することとした。その結果に基づいて、自動排出型遠心分離機用の大量の遠心分離液を作成する。
【0040】
ここで、公称能力は、SS濃度が1.5〜2.5%の標準的スラリーについての沈降能力基準処理量を示す。処理能力は原液の性状(SS濃度、粘度、粒径、比重など)、凝集剤使用の有無、によって異なる。
【0041】
まず、試験機HS−205L型の外胴ボウルの回転数を5600rpmとし、遠心力をmaxの3500Gに固定し、内胴スクリュウの回転数差を10rpmに固定し、始動した。定量ポンプの処理量設定値を0.3ton/hrに設定した。
次に、1tタンクに投げ込みヒータ(図示せず)を入れ、水道水を450リットル投入し、撹拌しながら水温を35度Cに昇温した。これに培養光合成細菌9Lを投入し、5分間撹拌し、培養菌処理水を作成した。外胴ボウルの回転数が安定していることを確認する。
【0042】
培養菌処理水に150Lの焼酎粕原液を1分30秒で投入し、30秒後に500mLビーカーに混合液を採取した。
【0043】
同時に定量ポンプの前にあるバルブを開き、0.3ton/hrの流量でスクリュウデカンタ形遠心分離機に供給した。5分後に200mLビーカー1個、ペットボトル2本、20Lポリタンク2個にサンブリングした。捕集ケーシングから落下した、受け皿の固形物をポリエチレン袋に適当量採取し、密封した。
【0044】
サンプリング終了後、定量ポンプの処理量設定値を0.5ton/hrに設定した。設定した5分後に、200mLビーカー1個、ペットボトル2本、20Lポリタンク2個にサンブリングした。捕集ケーシングから落下した、受け皿の固形物をポリエチレン袋に適当量採取し、密封した。
【0045】
引き続き、同様に、サンプリング終了後、定量ポンプの処理量設定値を0.7、1.0、1.5ton/hrに順次設定して実験した。それぞれの水準で同様に、200mLビーカー1個、ペットボトル2本、20Lポリタンク2個にサンブリングした。捕集ケーシングから落下した、受け皿の固形物をポリエチレン袋に適当量採取し、密封した。
【0046】
培養菌処理水と焼酎粕とを混合攪拌して2分後の混合液を、卓上遠心分離器を用いて遠心力3500Gで5分間、遠心分離した。その結果を図6(a)に示す。43mLの分離液に対して固形部分が目盛約4.4を示すところまで固液分離している。液状部分は半透明の薄茶色である。この分離結果を見て、IHI社の担当者は「このようにきれいに固液分離したのは初めてだ。予定通り実験を進めることができる。」と評価した。
【0047】
卓上遠心分離器を用いて遠心力3500Gで分離液40mLを遠心分離時間10分間、遠心分離し、上澄液を除いたものの写真を図6(b)に示す。固形物がガラス壁にしっかり付着していることが分かる。
【0048】
得られた分離液を透明容器に採取して観察する。採取時には白濁しているが、数分経過すると半透明の黄色液体となる。1〜2時間経過すると、もやもやした固形物が容器の底部に浮遊する。1週間くらいは目視では変化を識別できない。1〜2月経過すると、もやもやした固形物が底部に沈殿し、上部は透明感のある黄色液体となる。
スクリュウデカンタ形遠心分離機の固液分離性能評価をした。分離液の色相、SSについては目視により、沈殿物については1〜2時間以上静置していたペットボトルにおける「もやもやとした浮遊物」の底からの高さにより、処理量については固液分離しているか否かにより判定した。結果を表1に示す。1.5ton/hrの処理量について色相、沈殿物の判定を×印とせず、◇印としたのは、固液分離されて固形物が取得できており、分離液にある固形物のサイズも小さく、食物繊維に利用する場合には、却って収量増加する条件となるからである。
【0049】
【表1】

【0050】
また、これらの結果から、スクリュウデカンタ形遠心分離機の公称能力が5〜8ton/hrkHS−365L、さらに10〜16ton/hrのHS−505Lまたは16〜23ton/hrのHS−506Lの大量処理ができる機種も選定できることが分かる。
標準型を密閉型に設計変更するにあたっても、凝集分離液、分離液、固形物の出入口部の密閉化及び外気との遮断に関しては、サニタリータイプを基に手を加えることにより達成できることも分かった。
【0051】
供給後5分後にビーカーに採取した遠心分離液を、卓上遠心分離器を用いて遠心力3500Gで分離液40mLを遠心分離時間10分間、遠心分離したものの写真のうち0.3、0.7ton/hrを図7(a)に、上澄液を除いたものの写真のうち0.3、0.5、0.7、1.0ton/hrを図7(b)示す。
凝集分離液にある固形物を見かけ上80〜95wt%固液分離していることがわかる。
【0052】
芋焼酎粕原液、混合液、0.3、0.5、0.7、1.0、1.5ton/hr処理量について、BODの分析結果、pH、乾燥法による固形含有率の測定結果を表2に示す。
【0053】
【表2】

【0054】
さらに、2ケ月後に、ペットボトルの沈殿高さmm、上澄液の乾燥法による固形含有率の測定結果を表3に示す。上澄液の固形含有率から混合液もいずれの分離液も0.4wt%とほぼ一定の値を示している。これは、不揮発性の可溶物質の含有率を示していると考えられる。不溶物質であるSS(繊維質、灰分、微少懸濁物など)は、表2の固形含有率から表3の固形含有率を差し引いた実固形含有率である。スクリュウデカンタ形遠心分離機による固形物の分離除去率は、100(1−分離液/混合液)で計算される。これを表3に示す。
【0055】
【表3】

【0056】
乾燥法による固形含有率の測定について説明する。
【0057】
風袋になる東洋アルミホイルプロダクツ株式会社製アルミ皿の重量を計る。重量計は、株式会社石田衛器製作所製の誘電式計りQB−250を使用する。重量計に載せたまま、ゼロ調整し、東洋アルミホイルプロダクツ株式会社製アルミ皿に検体100gを入れる。ホットプレートを100℃にセットし、その上に検体を入れたアルミ皿を載せ、水分が完全に無くなるまで乾燥する。直ちに、乾燥後アルミ皿の重量を計り、この乾燥後重量からアルミ皿(風袋)の重量を差し引きし、正味重量を得る。正確な検体重量で割って固形含有率を算出する。
スクリュウデカンタ形遠心分離機の捕集ケーシングを開いたときの固形物ケーキの状態を図8に示す。固体出口から飛散し、捕集ケーシングに当たり、付着しながら積層し、鍾乳石のように延びて固形物ケーキを形成する。振動、重力により落下し、受け皿に堆積する。
捕集ケーシングから落下し、受け皿に堆積した固形物を採取したものの含水率を乾燥法により測定した。結果を表4に示す。含水率はいずれの供給量についても87〜90wt%とほぼ同程度である。
【0058】
【表4】

【実施例3】
【0059】
〔排出口液面高さの及ぼす影響〕
実施例2の結果を踏まえて、外胴ボウル大径側の分離液の排出口の液面高さΔNの壁をワッシャーにより、液面をさらに10mmまで調整することができる。実施例2の場合、液面高さΔN+5mmであったから、液面高さΔN+7mmとした実験及び次工程の自動排出型遠心分離機の検討用サンプルを作成する。
【0060】
実施例2と同様に、試験機HS−205L型の外胴ボウルの回転数を5600rpmとし、遠心力をmaxの3500Gに固定し、内胴スクリュウの回転数差を10rpmに固定し、始動した。定量ポンプの処理量設定値を1.0ton/hrに設定した。
次に、1tタンクに投げ込みヒータ(図示せず)を入れ、水道水を450リットル投入し、撹拌しながら水温を35度Cに昇温した。これに培養光合成細菌9Lを投入し、5分間撹拌し、培養菌処理水を作成した。外胴ボウルの回転数が安定していることを確認する。
【0061】
培養菌処理水に150Lの焼酎粕原液を1分30秒で投入し、30秒後に500mLビーカーに混合液を採取した。
【0062】
同時に定量ポンプの前にあるバルブを開き、1.0ton/hrの流量でスクリュウデカンタ形遠心分離機に供給した。5分後に200mLビーカー1個、ペットボトル2本、20Lポリタンク1個にサンブリングした。捕集ケーシングから落下した、受け皿の固形物をポリエチレン袋に適当量採取し、密封した。
【0063】
定量ポンプの前にあるバルブを閉じ、外胴ボウルの回転を停止し、ワッシャーを取り替えて液面高さをΔN+7mmとした。
再び外胴ボウルの回転を所定の値に設定し、始動した。定量ポンプの前にあるバルブを開き、1.0ton/hrの流量でスクリュウデカンタ形遠心分離機に供給した。5分後に200mLビーカー1個、ペットボトル2本、20Lポリタンク1個にサンブリングした。捕集ケーシングから落下した、受け皿の固形物をポリエチレン袋に適当量採取し、密封した。
【0064】
定量ポンプの前にあるバルブを閉じ、外胴ボウルの回転を停止し、ワッシャーを取り替えて液面高さをΔN+5mmに戻した。
再び外胴ボウルの回転を所定の値に設定し、始動した。定量ポンプの前にあるバルブを開き、0.7ton/hrの流量でスクリュウデカンタ形遠心分離機に供給した。5分後に200mLビーカー1個、ペットボトル2本、20Lポリタンク2個にサンブリングした。引き続き、残りの混合液が処理し終えるまで、分離液を1tonタンクに送り、貯蔵した。貯蔵した分離液を撹拌しながら、20Lポリタンクに詰めた。捕集ケーシングから落下した、受け皿の固形物をポリエチレン袋に適当量採取し、密封した。
【0065】
三水準の分離液のBODの分析結果、pH、乾燥法による固形含有率の測定結果を表2に併せて示す。各処理量の固形物の乾燥法による含水率を測定し、結果も表4に併せて示す。含水率は約88wt%であった。固形含有率は0.6wt%であった。
【0066】
2mmの高さの変化では、液面高さの影響がほとんど見られなかった。もっと高くできる機種による実験をする必要がある。
【実施例4】
【0067】
〔ハイドロストップシステム自動排出型固液分離機を用いた芋焼酎粕の固液分離性能評価〕
実施例3で大量に用意した分離液をハイドロストップシステム自動排出型固液分離機(ウエストファリアセパレーター株式会社製型式SA1型)を用いてさらに固液分離を実施した。今回は「芋焼酎粕の固液分離はいままで成功していない。」とのウエストファリアセパレーター株式会社の要望をいれて、卓上型SA1型の本機を用いた。芋焼酎粕が固液分離できれば、本機の固液分離データに基づいて、機種を選定することができ、ディスクセットの枚数や間隙を最適に設定することができる。
【0068】
実施例3で大量に用意した分離液を300L撹拌槽に入れ、インバータ制御した定量ギヤポンプを用いて供給量440,590,1125,2200,3400,4200,5250mL/minの7水準をハイドロストップシステム自動排出型固液分離機に順次供給し、固液分離の実験をした。
【0069】
まず、定量ギヤポンプを用いて、水槽から水を供給量440mL/minでハイドロストップシステム自動排出型固液分離機に供給し、いわゆる水運転をする。排出量が440mL/minであることを確認し、焼酎粕分離液を供給する。3分経過すると覗き窓の色が無職透明から淡い黄色に変化する。5分経過から5分毎にペットボトルに1本づつ採取する。15〜35分では薄黄色であり、40分以降は徐徐に薄くなる。70分の採取の終了後、スラッジスペースにある固形物を排出し、採取した。
【0070】
590mL/minの供給に設定し、5分経過して供給量を測定し,10分、20分、30分に分離液を採取した。採取し終わるとスラッジスペースにある固形物を排出し、採取した。以降、1125,2200,3400,4200,5250mL/minの5水準を、同様な手順で固液分離を行った。
【0071】
得られた分離液は透明感があり、二ヶ月経過しても沈殿物は確認できなかった。20分で採取したペットボトルを並べて撮影した写真を図9に示す。排出した固形物を同様に撮影した写真を図10に示す。20分で採取したものを検体として、BODの分析結果、pH、乾燥法による固形含有率を算出した。不揮発性の可溶物質を差し引いて実固形含有率も算出した。結果を表5に示す。
なお、実施例3で大量に用意した分離液をさらに培養光合成細菌50倍希釈処理水を等量混合し、処理量700mL/minで固液分離した清澄分離液のデータも記載している。
【0072】
【表5】

【0073】
スクリュウデカンタ形遠心分離機で分離液側に分離された0.2wt%の不揮発性の不溶物質が0.17wt%(除去率85%)から0.11wt%(除去率65%)まで除去されていることかが分かる。
【実施例5】
【0074】
〔自動排出型固液分離機を用いた麦焼酎粕の固液分離性能評価〕
SH酒造株式会社から入手した麦焼酎粕を、シーレックスポンプを用いて、麦焼酎粕5L/min、培養光合成細菌100倍希釈した処理水15L/minの供給量で同時混合した。これを回転濾過器とスクリュープレス型圧搾装置を用いて固液分離した。
培養光合成細菌100倍希釈した処理水に固液分離した分離液を等量混合し撹拌した。これを焼酎粕の8倍希釈液と表示する。実施例4と同様に、260,620,860,1000mL/minの供給量でウエストファリアセパレーターSA1型に供給し、固液分離した。
供給量620mL/minの経時変化を撮影した写真を図12に示す。ほとんど無色透明の分離液であった。麦焼酎粕、1:3混合液、8倍希釈液、清澄分離液を撮影した写真を図13に示す。麦焼酎粕に対する固液分離性能は素晴らしく良好である。
【0075】
供給量260,620,860,1000mL/minの固液分離において、スラッジスペースにある固形物を排出し、採取した。撮影した写真を図14に示す。麦焼酎粕の場合、芋焼酎粕の場合と異なり、2層に分離していることがわかる。
【0076】
麦焼酎粕原液、1:3混合液、8倍希釈液(実験前)、8倍希釈液(620mL/min)のBODの分析結果、pH、乾燥法による固形含有率を算出した。結果を表6に示す。
【0077】
【表6】

【実施例6】
【0078】
〔ミキシング処理の効果〕 ミキシング工程の概略図を図15に示す。水240Lを処理水槽27に入れる。次に佐藤元菌を拡大培養した培養光合成細菌40Lを加え軽く混合して、7倍希釈した処理水を作成する。実施例3の大量に作成した遠心分離液80Lを分離液槽28に投入した。処理水槽27の7倍希釈した処理水280Lを送水ポンプ29でポンプアップしてミキシング槽22に供給した。次いで、遠心分離液80Lを送水ポンプ31でポンプアップしてミキシング槽22に供給した。ミキシング用ブレード23をミキシングモーター21で回転数3400rpmの高速で回転し、空気を巻き込みながらミキシングを行った。10分毎に、スタートから240分後まで水温とpHの変化を記録した。

ミキシング時間30,50,70,90分のときミキシング液を採取し、それぞれ520,520,480,480mL/minの供給量でハイドロストップシステム自動排出型固液分離機SA1型を用いて固液分離した。分離液を撮影した写真を図16に示す。僅かに黄色を帯びた透明な液体であり、キミシングした効果は良好であった。キミシング0、30,70,90分のときのBODの分析結果はそれぞれ2600,2200,2000,1600ppmであった。
【0079】
次いでこれをハロゲンランプ500Wで照射した。4日目で濃い紅色となり、光合成細菌が培養された。
【実施例7】
【0080】
〔ミキシング処理と紫外線殺菌の効果〕実施例6と同様にミキシング実験を行い、ミキシング時間10分〜240分でのPHと水温の変化を記録した。表7に示す。 240分ミキシング処理したミキシング液を、ハイドロストップシステム自動排出型固液分離機SA1型を用いて固液分離した。得られた清澄分離液を、ハニカム型紫外線連続殺菌浄水装置を用いて、紫外線強度(MAX12000μW.MIN4000μW)を連続して540秒間照射し、殺菌し、紫外線殺菌分離液を得た。
【0081】
【表7】

【0082】
50L水槽を3コ準備し水槽内を塩素殺菌した。紫外線殺菌分離液43Lに、培養光合成細菌7Lを植種し、蓋をし、水槽の縁にテープを貼り密閉し、雑菌の混入を防止した。
【0083】
水槽内を30℃〜35℃に保ち、水槽の前面から50cm離れた所から500Wのハロゲンランプを用いて連続照射し、光合成細菌の培養を開始した。紫外線殺菌分離液を撹拌しないが、三槽いずれも72時間後に植種した培養光合成細菌と同等の色になった。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】酒類粕の密閉循環系固液分離システムのフロー図である。
【図2】スクリュウデカンタ形遠心分離機の概略図である。
【図3】自動排出型固液分離機の概略図である。
【図4】ハニカム型紫外線連続殺菌浄水装置の概略図である。
【図5】スクリュウデカンタ形遠心分離機の実験概略図である。
【図6】芋焼酎粕の混合液を卓上遠心分離器を用いて固液分離した図である。
【0085】
(a)3500Gで5分間処理したものである。
【0086】
(b)3500Gで10分間処理したものである。
【図7】遠心分離液を卓上遠心分離器を用いて固液分離した図である。
【0087】
(a)処理量0.3,0.7mL/minの遠心分離液を3500Gで5分間処理したものである。
【0088】
(b)処理量0.3,0.5,0.7,1.0mL/minの遠心分離液を3500Gで10分間処理し、底部に付着した固液分離の図である。
【図8】捕集ケーシングを開いて、固形物ケーキが付着している状態の図である。
【図9】0.7mL/minの遠心分離液をハイドロストップシステム自動排出型固液分離機を用いて供給量440,590,1125,2200,3400,4200,5250mL/minの7水準で固液分離した清澄分離液の図である。
【図10】0.7mL/minの遠心分離液をハイドロストップシステム自動排出型固液分離機を用いて供給量440,590,1125,2200,3400,4200,5250mL/minの7水準で固液分離した固形物の図である。
【図11】芋焼酎粕の遠心分離液をハイドロストップシステム自動排出型固液分離機で固液分離する処理時間の及ぼす清澄分離液の図である。
【図12】麦焼酎粕の遠心分離液をハイドロストップシステム自動排出型固液分離機で固液分離する処理時間の及ぼす清澄分離液の図である。
【図13】麦焼酎粕を固液分離した効果を示す図である。
【図14】麦焼酎粕の遠心分離液をハイドロストップシステム自動排出型固液分離機で固液分離した固形物IIの図である。
【図15】ミキシング工程の実験概略図である。
【図16】芋焼酎粕のミキシング効果を示す写真である。
【符号の説明】
【0089】
21 ミキシングモーター
22 ミキシング槽
23 ミキシング用ブレード
24 供給パイプ
25 排出バルブ
26 排出パイプ
27 処理水槽
28 分離液槽
29 送水ポンプ
31 送水ポンプ
100 紫外線殺菌浄水装置
101 流入口
102 流出口
103 紫外線ランプソケット
104 紫外線ランプ
105 殺菌槽
106 殺菌槽ハウジング
107 流入パイプ
108 流出パイプ
109 槽仕切り板
110 処理流路
111 流路パイプ
112 連結パイプ
113 架台
114 超音波発信器
115 磁歪振動子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
菌体数10の4乗〜10の13乗個/mLの光合成細菌を用いて酒類粕を固形物と分離液とに固液分離する酒類粕の固液分離方法において、
培養した光合成細菌(10の6乗〜10の13乗個/mL)を水で希釈し、希釈して得た光合成細菌処理水(10の4乗〜10の12乗個/mL)に対して粗取りフィルターした酒類粕(75vol%以下10vol%以上)を、密閉型同時混合機を用いて同時混合し若しくは同時攪拌しながら、5分間以内に凝集分離を生じせしめる同時混合工程と、
得られた凝集分離液を連続遠心分離装置に直接に配送し、凝集分離液を固形物と清澄分離液とに固液分離する連続固液分離工程と、
得られた清澄分離液中の光合成細菌以外の雑菌を殺菌する清澄分離液殺菌工程と、
殺菌された清澄分離液を光照射して培養する光合成細菌培養工程と
を主とした構成とする酒類粕の密閉循環系固液分離システム。
【請求項2】
前記の連続固液分離工程が粗固液分離工程と清澄固液分離工程とから構成する請求項1に記載の酒類粕の密閉循環系固液分離システム。
【請求項3】
請求項1に記載の連続遠心分離装置又は請求項2に記載の粗固液分離工程の連続遠心分離装置がスクリュウデカンタ形遠心分離機である酒類粕の密閉循環系固液分離システム。
【請求項4】
前記の清澄固液分離工程の連続遠心分離装置が自動排出型遠心分離機である請求項1から請求項3のいずれかに記載の酒類粕の密閉循環系固液分離システム。
【請求項5】
前記の清澄分離液殺菌工程に用いる殺菌装置が紫外線連続殺菌浄水装置である請求項1から請求項4のいずれかに記載の酒類粕の密閉循環系固液分離システム。
【請求項6】
前記の光合成細菌培養工程において、さらに富栄養素を添加することなく、波長が400〜700nmを主として含む光線を照射しながら、残存する光合成細菌を増殖培養することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の酒類粕の密閉循環系固液分離システム。
【請求項7】
前記の粗固液分離工程と清澄固液分離工程との間に、希釈して得た光合成細菌処理水(10の4乗〜10の12乗個/mL)に清澄分離液を連続的に若しくは間歇的に又は一度に投入しながら、回転数1000〜5000rpmの攪拌機を用いて、空気を取り込みながら激しく撹拌するミキシング工程を導入することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の酒類粕の密閉循環系固液分離システム。
【請求項8】
前記の清澄分離液殺菌工程において紫外線照射して光合成細菌以外の細菌を滅菌した分離液(滅菌分離液ともいう)を、光合成細菌培養工程を経ないで、直接光合成細菌処理水(10の4乗〜10の12乗個/mL)として用いる又は光合成細菌処理水(10の4乗〜10の12乗個/mL)に添加することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の酒類粕の密閉循環系固液分離システム。
【請求項9】
前記の光合成細菌が紅色光合成細菌及び/又はラン色細菌(Synechococcus)である請求項1から請求項8のいずれかに記載の酒類粕の密閉循環系固液分離システム。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の酒類粕の密閉循環系固液分離システムおいて、粗固液分離工程で分級され、清澄固液分離工程の固液分離で得られる固形物の食物繊維。
【請求項11】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の酒類粕の密閉循環系固液分離システムおいて増殖培養された光合成細菌を用いる土壌改質資材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−290049(P2008−290049A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−140651(P2007−140651)
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(304045457)サンコーテック株式会社 (5)
【Fターム(参考)】