説明

酢酸エチルを経由して酢酸から酢酸ビニルを製造するための一体化した方法

本発明は、蒸気相中の酢酸から酢酸ビニルモノマー(VAM)を製造するための一体化した三段階の経済的な方法を提供する。最初に、酢酸を、水素化触媒組成物上で選択的に水素化して、酢酸エチルを形成し、それを、第二工程においてクラッキングして、エチレンおよび酢酸を形成し、そしてそれに続く工程において、そのように形成されたエチレンおよび酢酸を、好適な触媒上で分子酸素と反応させて、VAMを形成する。本発明の態様において、シリカ上に担持された白金および銅上での酢酸および水素の反応は、蒸気相中において約250℃の温度で選択的に酢酸エチルを生成し、それを、NAFION触媒上でクラッキングして、約185℃の温度でエチレンおよび酢酸を形成し、それを、分子酸素と混合し、そしてチタニア上に担持されたパラジウム/金/カリウム触媒上で反応させて、約150℃〜170℃の温度でVAMを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本出願は、そのまま援用される2009年12月31日出願の同じ名称を有する米国特許出願第12/319,121号に優先権を主張する。
【0002】
本発明は、概して、酢酸エチルを経由して酢酸から酢酸ビニルモノマー(VAM)を製造するための一体化した方法(integrated process)に関する。より詳しくは、本発明は、一体化した方法であって、最初に、1または複数の追加の水素化用金属を含有していてもよい好適な触媒担体上に担持された、例えば、白金またはパラジウムおよび銅またはコバルトなどの担持された二元金属触媒から構成される触媒を利用して酢酸を水素化して、酢酸エチルを高選択性で形成することを包含する一体化した方法に関する。それに続く第二工程では、このように形成された酢酸エチルを、熱分解工程に供して、エチレンを形成し、そして最終工程において、このように形成されたエチレンを、追加量の酢酸および分子酸素と混合して、好適な触媒上で酢酸ビニルを形成する。
【背景技術】
【0003】
VAMを酢酸から直接的に形成する経済的に実行可能な方法について切実な要求が存在している。VAMは、他の重要な用途の中でも、ポリ酢酸ビニルおよびポリビニルアルコール製品の製造において重要なモノマーである。VAMは、現在のところ、二つの鍵となる原料であるエチレンおよび酢酸から製造されている。エチレンは、主に、石油ベースの原料から製造されるが、酢酸は、石油ベースの原料からは僅かしか製造することができない。したがって、変動する天然ガスおよび原油の価格は、慣用的に製造される石油または天然ガス源のVAMの費用の変動の原因となっていて、石油価格上昇時に、VAMの代替源への要求をますます生じている。
【0004】
ここで、VAMは、本質的に、一酸化炭素および水素の混合物(一般的に、合成ガスとして知られる)から、少数の工業的に実行可能な工程を包含して製造することができるということが判明した。例えば、合成ガスは、メタノールへ還元することができ、それは、実際に、メタノールを製造する工業的に好ましい方法であるということは周知である。次に、このように形成されたメタノールを、接触カルボニル化条件下において選択的に酢酸へ変換することができ、それは、再度、酢酸の製造に工業的に好ましい方法である。次に、このように形成された酢酸は、好適な接触条件下において選択的に酢酸エチルへ変換することができる。このような変換について知られている好ましい方法は存在しないが、先行技術は、酢酸の酢酸エチルへのこのような変換について、低い転化率および収率で、したがって、工業的に不適当にさせてはいるが、特定の方法を提供している。
【0005】
例えば、一つのこのような方法は、最初に、不均一触媒上でのカルボン酸の水素化を包含して、アルコールを生成後、それを、エステル化反応によって該当するアセテートへ変換することができる。例えば、Ford の米国特許第2,607,807号は、エタノールを、約88%の収率を達成するために、ルテニウム触媒上において700〜950バールの極めて高い圧力で酢酸から形成することができるが、約40%だけの低収率は、約200バールの圧力で得られるということを開示している。しかしながら、このような極端な反応条件は、商業的作業に許容できないし且つ不経済である。
【0006】
より最近になって、依然として商業的に実行可能でないかもしれないとしても、エタノールは、コバルト触媒を約40〜120バールなどの超大気圧で用いて酢酸を水素化することから製造することができるということが報告された。例えば、Shusterらの米国特許第4,517,391号を参照されたい。
【0007】
他方において、Kitsonらの米国特許第5,149,680号は、白金群金属合金触媒を利用したカルボン酸およびそれらの無水物のアルコールおよび/またはエステルへの接触水素化の方法を記載している。その触媒は、周期表の第VIII族の少なくとも一つの貴金属およびその第VIII族貴金属と合金にすることができる少なくとも一つの金属の合金を、ルテニウム、タングステンまたはモリブデンの少なくとも一つの金属を含む成分と混合された状態で含んでなる。そこには、未反応のカルボン酸とアルコールおよびそのエステルの混合物への改善された選択性が、先行技術引例にまさって達成されるということが請求の範囲に記載されていたが、メタンおよびエタンなどのアルカンの3〜9パーセントは、それらの最適接触条件下における酢酸のエタノールへの水素化の際に副生成物として形成されるということも報告された。
【0008】
酢酸を水素化することによる酢酸エチルの製造について僅かに修飾された方法は、EP0372847号に報告された。この方法の場合、例えば、酢酸エチルなどのカルボン酸エステルを、50%より大きい選択性で生成するが、同時に、該当するアルコールを、カルボン酸またはその無水物から、その酸または無水物と水素とを、第一成分として少なくとも一つの第VIII族貴金属;およびモリブデン、タングステンおよびルテニウムの少なくとも一つを含む第二成分;および第IVb族元素の酸化物を含む第三成分;を含む触媒組成物の存在下において高温で反応させることによって、10%未満の選択性で生成する。しかしながら、そこに報告された最適条件でさえ、エタノールに加えて、メタン、エタン、アセトアルデヒドおよびアセトンを含めた多量の副生成物を生じる。更に、酢酸の転化率は、概して低く、転化率が80%程度に高くなった少数の場合を除いて、約5〜40%の範囲内である。
【0009】
同様に、参考文献において、酢酸エチルは、いろいろな条件下でエチレンへ変換することができるということが報告された。当該技術分野において報告されたいくつかの方法は、商業的作業に好適でないかもしれないが、その特定の修飾は、本明細書中の「発明を実施するための形態」に更に記載のように、それを工業的に用いることができるような、酢酸エチルのエチレンへの選択的変換に好適でありうる。
【0010】
例えば、エチレンは、気相中において、ゼオライト触媒上、150〜300℃の温度範囲で、いろいろエチルエステルから製造することができるということが報告された。用いることができるエチルエステルのタイプには、ギ酸、酢酸およびプロピオン酸のエチルエステルが含まれる。例えば、選択性が許容しうると報告されている、Cognionらの米国特許第4,620,050号を参照されたい。
【0011】
Knifton の米国特許第4,270,015号は、二段法であって、一酸化炭素および水素の混合物を、2〜4個の炭素原子を含有するカルボン酸と反応させて、このカルボン酸の該当するエチルエステルを形成後、それを、石英反応器中において約200℃〜600℃の範囲内の高温で熱分解してエチレンを得る二段法を包含してエチレンを得ることを記載している。このように生成されたエチレンは、他の炭化水素、特に、エタンを不純物として含有する。そこには、エタンの濃度が、純粋なプロピオン酸エチルを460℃で熱分解することによって、5%に近い高い値に達しうるということも報告された。より重要なことに、エステルの転化率およびエチレンの収率は、極めて低いと報告されている。
【0012】
Schreck の米国特許第4,399,305号は、高純度エチレンを酢酸エチルから、NAFION(登録商標)という商標で E.I. DuPont de Nemours & Co. より市販されているペルフルオロスルホン酸樹脂から構成されるクラッキング触媒を用いて得ることを記載している。
【0013】
もう一方において、MalinowskiらのBull. Soc. Chim. Belg. (1985), 94(2), 93-5 は、シリカ(SiO)またはチタニア(TiO)などの担体材料上の不均一な低原子価チタン上での酢酸反応が、選択性が不十分である場合、ジエチルエーテル、エチレンおよびメタンを含めた生成物の混合物を生じたことを開示している。
【0014】
WO2003/040037号は、結晶性の微孔質メタロアルミノホスフェート(ELAPO)、具体的には、0.03〜017のSi/Al比を有するSAPO−5、SAPO−11、SAPO−20、SAPO−18およびSAPO−34などのSAPO型ゼオライトが、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、C4−C20アルコール、メチルエチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ホルムアルデヒド、ジメチルカーボネート、ジメチルケトンおよび/または酢酸を含有する酸素化供給原料からオレフィンを製造するための吸着剤としてまたは触媒として有用であるということを開示している。同様の開示は、少なくとも一つの連晶相(intergrown phase)のモレキュラーシーブを含むシリコアルミノホスフェートモレキュラーシーブを利用する。この方法では、酸素含有物(oxygenate)を含有する供給原料は、反応器の反応区域において、軽オレフィン、具体的には、エチレンおよびプロピレンを生成するのに有効な条件で、モレキュラーシーブを含む触媒に接触するということが報告されている。Janssenらの米国特許第6,812,372号を参照されたい。このような酸素化供給原料は、酢酸を包含するということが述べられているが、その開示は、メタノールかまたはジメチルエーテルに限られていると考えられる。酸素化供給原料のオレフィンへの変換を更に開示している、Vaughnらの米国特許第6,509,290号も参照されたい。
【0015】
二元金属ルテニウム−スズ/シリカ触媒は、テトラブチルスズと、シリカ上に担持された二酸化ルテニウムとの反応によって製造された。これら触媒は、スズ/ルテニウム比(Sn/Ru)のそれらの含有量に基づく異なった選択性を示すということが報告された。具体的には、酢酸エチルの水素化分解についての選択性は、全く異なり、それは、触媒中のSn/Ru比に依存するということが報告された。例えば、SiO上の単独のルテニウムでは、反応は選択的でない:メタン、エタン、一酸化炭素、二酸化炭素、更には、エタノールおよび酢酸を生成する。ところが、低スズ含有量では、それら触媒は、酢酸の形成にかなり選択的であるが、より高いSn/Ru比では、エタノールが、唯一検出される生成物であるということが報告された。LoessardらのStudies in Surface Science and Catalysis (1989), Volume Date 1988, 48 (Struct. React. Surf.), 591-600 を参照されたい。
【0016】
酢酸の接触還元も研究された。例えば、HindermannらのJ. Chem. Res. Synopses (1980), (11), 373 は、鉄上およびアルカリで促進された鉄上での酢酸の接触還元を開示した。彼らの研究では、アルカリで促進された鉄上での酢酸の還元が、温度に依存して少なくとも二つの経路をたどったということが判明した。例えば、彼らは、350℃で、Piria 反応が優先的に存在し、アセトンおよび二酸化炭素、更には、分解生成物であるメタンおよび二酸化炭素を生じたが、分解生成物は、より低温で還元されたということを発見した。他方、300℃では、通常の還元反応が認められて、アセトアルデヒドおよびエタノールの形成を引き起こした。
【0017】
更に、エチレンおよび酢酸からのVAMの製造について工業的に実行可能な方法が存在するということにも注目すべきである。例えば、本明細書中にそのまま援用される Herzogらの米国特許第6,696,596号は、VAMを、気相中において、エチレン、酢酸および酸素または酸素含有ガスから、担体上のパラジウムおよび/またはその化合物、金および/またはその化合物およびアルカリ金属化合物を含む触媒であって、バナジウムおよび/またはその化合物を更に含む触媒上で製造することができるということを開示している。
【0018】
更に、参考文献には、VAMの一体化した製造方法であって、エタンなどのアルカンまたはエチレンなどのアルケンの酢酸への酸化;およびそれに続く工程における、そのように形成された酢酸と追加量のエチレンとの、酸素の存在下における反応を包含して、VAMを形成する方法の報告が存在する。例えば、Jobsonらの米国特許第6,040,474号を参照されたいが、それは、二つの反応区域を用いた酢酸および/または酢酸ビニルの製造を記載していて、ここにおいて、第一反応区域は、酢酸への酸化のためのエチレンおよび/またはエタンを含み、第二反応区域は、引き続き分離されることによって酢酸ビニルを生成する生成物流と一緒に酢酸およびエチレンを含む。更に、Ellisらの米国特許第6,476,261号を参照されたいが、それは、酢酸ビニルを形成するために反応するエチレンおよび酢酸などのアルケンおよびカルボン酸の製造のための酸化方法を記載していて、二つ以上の反応区域を用いて酢酸ビニルを形成することができるということを示している。
【0019】
Zeyssらの米国特許第6,852,877号は、別の一体化した方法であって、エタンを、第一反応区域において、好適な酸化触媒の存在下で分子酸素と反応させ;同時に、第二反応区域において、別のバッチのエタンを、好適な触媒の存在下でエチレンへと酸化的に脱水素し、そして次に、第三反応区域において、反応区域1において形成された酢酸と、第二反応区域から生成されたエチレンとを、追加量の分子酸素および好適な触媒の存在下で反応させて、VAMを形成する方法を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】米国特許第2,607,807号
【特許文献2】米国特許第4,517,391号
【特許文献3】米国特許第5,149,680号
【特許文献4】EP0372847号
【特許文献5】米国特許第4,620,050号
【特許文献6】米国特許第4,270,015号
【特許文献7】米国特許第4,399,305号
【特許文献8】WO2003/040037号
【特許文献9】米国特許第6,812,372号
【特許文献10】米国特許第6,509,290号
【特許文献11】米国特許第6,696,596号
【特許文献12】米国特許第6,040,474号
【特許文献13】米国特許第6,476,261号
【特許文献14】米国特許第6,852,877号
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】Bull. Soc. Chim. Belg. (1985), 94(2), 93-5
【非特許文献2】Studies in Surface Science and Catalysis (1989), Volume Date 1988, 48 (Struct. React. Surf.), 591-600
【非特許文献3】J. Chem. Res. Synopses (1980), (11), 373
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
前述のことから、既存の方法は、それらを、本質的に合成ガスおよび/または合成ガスベースの製品からVAMを製造するのに工業的に採用可能にさせる一体化した方法で、酢酸からおよび/またはそのエチレンへの直接変換から酢酸エチルを形成後、得られた生成物をVAMへ変換するのに必要な選択性を有していないということは明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
驚くべきことに、ここで、VAMは、一体化した方法であって、最初に、酢酸エチルを、酢酸から直接的に、極めて高い選択性および収率で形成後、それを、熱分解して、エチレンおよび酢酸を形成する一体化した方法を包含した工業規模で製造することができるということが、意外にも判明した。最終工程では、第二工程においてそのように形成されたエチレンおよび酢酸の混合物を、分子酸素と、そして場合により、より多くの酢酸と混合して、好適な触媒の存在下でVAMを形成する。より詳しくは、本発明は、酢酸からのVAMの選択的形成方法であって、(a)第一反応区域において、ニッケル、白金およびパラジウムからなる群より選択される少なくとも一つの金属と、モリブデン、レニウム、ジルコニウム、銅およびコバルトより選択される少なくとも一つの金属とを含む水素化触媒上の水素の存在下で酢酸を水素化して、第一気体生成物流を生成し、但し、白金は、モリブデン、レニウム、ジルコニウム、銅またはコバルトを含むことなく用いてよいという条件付きであり;(b)この第一気体生成物流を、酢酸エチルで少なくとも50モルパーセントまで富化(enriching)し;(c)第二反応区域において、工程(b)からのこの富化された第一気体生成物流を、好適なクラッキング触媒上で反応させて、エチレンおよび酢酸から本質的になる第二気体生成物流を形成し;(d)工程(c)からのこの第二気体生成物流と、分子酸素および場合により追加量の酢酸とを、触媒の存在下において反応させて、酢酸ビニルを含む第三気体生成物流を形成し;そして(e)酢酸ビニルをこの第三気体生成物流から分離すること;を含む方法を提供する。
【0024】
更に、工程(a)において用いられる触媒は、ルテニウム、イリジウム、クロム、スズ、タングステン、バナジウムおよび亜鉛からなる群より選択される1または複数の金属触媒を包含してよい好適な触媒担体を含んでなる。より具体的には、本発明の工程(a)の方法に好適な触媒は、典型的に、好適な触媒担体上に担持された白金および銅、または好適な触媒担体上に担持されたパラジウムおよびコバルトの組み合わせを含んでなる。好適な触媒担体には、シリカ、アルミナ、ケイ酸カルシウム、炭素、ジルコニア、ジルコニア−シリカ、チタニア、チタニア−シリカ、酸化鉄およびゼオライト触媒、例えば、H−ZSM−5などのものが含まれるが、全くこれに制限されるわけではない。同様に、本明細書中に記載のいろいろな担体を、本発明の工程(c)および工程(d)に用いることもできる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明を、多数の態様に関して、単に具体例および説明の目的で下に詳細に記載する。請求の範囲に記載の本発明の精神および範囲の範囲内の具体的な態様への修飾は、当業者に容易に明らかであろう。
【0026】
より詳しく下に定義されない限り、本明細書中で用いられる専門用語は、その通常の意味を示す。モルパーセント(モル%または%)および類似の用語は、特に断らない限り、モルパーセントを意味する。重量パーセント(wt%または%)および類似の用語は、特に断らない限り、重量パーセントを意味する。
【0027】
典型的に、触媒金属装填量は、金属および触媒担体の全乾燥重量に基づく触媒金属の重量パーセントとして表される。したがって、例えば、担体上の1重量パーセントの金属は、1グラムの純金属が、100グラムの担持金属触媒、すなわち、担体(99グラム)および金属(1グラム)の総合重量中に存在するということを意味する。
【0028】
「転化率」は、供給材料中の酢酸に基づくモル百分率として表される。酢酸(AcOH)の転化率は、次の方程式を用いて、ガスクロマトグラフィー(GC)データから計算する。
【0029】
【数1】

【0030】
「選択性」は、変換された酢酸に基づくモルパーセントとして表される。例えば、転化率が50モル%であり、そして変換された酢酸の50モル%が酢酸エチル(EtOAc)へ変換される場合、酢酸エチル選択性を50%とする。選択性は、次の方程式を用いて、ガスクロマトグラフィー(GC)データから計算する。
【0031】
【数2】

【0032】
式中、「排出全mmolC(GC)」は、ガスクロマトグラフによって分析された全ての生成物からの炭素の全mmolを意味する。
反応は、次の化学反応式にしたがって進行する。
【0033】
(a)酢酸の酢酸エチルへの水素化
【0034】
【化1】

【0035】
(b)酢酸エチルのエチレンおよび酢酸へのクラッキング
【0036】
【化2】

【0037】
(c)VAMを形成するための酢酸のエチレンへの酸化的付加
【0038】
【化3】

【0039】
工程(a):酢酸の酢酸エチルへの水素化
本発明により、酢酸の酢酸エチルへの変換は、いろいろな配置で、例えば、所望ならば、積層固定床であってよい単一反応区域などで行うことができる。断熱反応器を用いうると考えられるし、または熱媒体と一緒に与えられるシェルおよびチューブ反応器を用いうると考えられる。固定床は、異なった触媒粒子の混合物、または本明細書中に更に記載されるような多重触媒を包含する触媒粒子を含むことができる。固定床は、更に、反応物のための混合区域を構成する粒状物質の層を包含してよい。酢酸、水素、そして場合により、不活性キャリヤーガスを含めた反応混合物を、その床へ、混合区域への圧力下の流れとして供給する。次に、その流れを、(圧力降下によって)反応区域または層へ供給する。反応区域は、好適な水素化触媒を含めた触媒組成物を含み、そこで、酢酸を水素化して、酢酸エチルを生成する。いずれか好適な粒子サイズを、反応器のタイプ、処理量必要条件等に依存して用いることができる。
【0040】
当業者に知られているいろいろな金属担持水素化触媒を、本発明の方法の工程(a)において酢酸を水素化して酢酸エチルを形成する場合に用いることができるが、用いられる水素化触媒は、ニッケル、白金およびパラジウムからなる群より選択される少なくとも一つの金属と、モリブデン、レニウム、ジルコニウム、銅およびコバルトより選択される少なくとも一つの金属とを含んでなる。更に、触媒は、ルテニウム、イリジウム、クロム、スズ、タングステン、バナジウムおよび亜鉛からなる群より選択される1または複数の金属触媒を包含してよい好適な触媒担体を含んでなる。しかしながら、例えば白金が単独でチタニアなどの好適な触媒担体上に担持された単一金属担持触媒も、本発明の方法において用いることができる。
【0041】
好ましくは、本発明の方法に好適な他の触媒は、好適な触媒担体上に担持された白金および銅、または好適な触媒担体上に担持されたパラジウムおよびコバルトの組み合わせを含んでなる。典型的に、好適な担体上の好適な重量比の金属組み合わせを、水素化触媒として用いることができることが好ましい。したがって、例えば、約0.1〜1の重量比の白金および銅(Pt/Cu)またはパラジウムおよびコバルト(Pd/Co)の組み合わせが、特に好ましい。より好ましくは、Pt/CuまたはPd/Coの重量比は、約0.2〜0.5であり、そして最も好ましくは、Pt/CuまたはPd/Coの重量比は、約0.2である。
【0042】
本発明の方法に好適な他の触媒には、H−ZSM−5、シリカまたは炭素上に担持されたニッケル/モリブデン(Ni/Mo)、パラジウム/モリブデン(Pd/Mo)または白金/モリブデン(Pt/Mo)の二元金属の組み合わせが含まれる。本発明のこの側面において、二元金属Ni/Moの組み合わせの装填レベルは、酢酸の酢酸エチルへの選択的水素化に影響を与えるいずれのレベルであってもよく、典型的に、それは、炭素上に担持された約1重量パーセントのニッケルおよび5重量パーセントのモリブデン(1wt%Ni/5wt%Mo)である。
【0043】
別の側面において、二元金属Pd/Moの組み合わせの装填レベルは、H−ZSM−5またはシリカ上に担持された約1重量パーセントのパラジウムおよび5重量パーセントのモリブデン(1wt%Pd/5wt%Mo)である。同様に、シリカまたは炭素上に担持された約1重量パーセントの白金および5重量パーセントのモリブデン(1wt%Pt/5wt%Mo)の装填量を有する二元金属Pt/Moの組み合わせを用いることもできる。
【0044】
本発明の別の側面において、触媒は、チタニア上に担持されたニッケル/ルテニウム(Ni/Re)またはパラジウム/ルテニウム(Pd/Re)の二元金属組み合わせより選択される。再度、本発明のこの側面において、いずれの好適な金属装填量も、酢酸の酢酸エチルへの選択的水素化をもたらすのに用いることができる。例えば、チタニア上に担持された1重量パーセントのニッケルおよび5重量パーセントのルテニウム(1wt%Ni/5wt%Re)の二元金属組み合わせ、またはチタニア上に担持された1重量パーセントのパラジウムおよび5重量パーセントのルテニウム(1wt%Pd/5wt%Re)の二元金属組み合わせを用いることができる。
【0045】
本発明の別の態様において、更に、酢酸からの酢酸エチルの選択的且つ直接的形成方法であって、好適な触媒担体上に約0.5重量パーセント〜約1重量パーセントのパラジウム、および2.5重量パーセント〜約5重量パーセントのルテニウムを含有する好適な水素化触媒と、酢酸および水素を含有する供給流とを高温で接触させることを含む方法を提供する。より具体的に、その触媒担体は、約1重量パーセントの装填レベルでのパラジウムおよび約5重量パーセントの装填レベルでのルテニウムを含有し、そして触媒担体は、チタニアである。
【0046】
本発明のこの側面において、反応物は、約1:10〜1:5の範囲内のモル比を有する酢酸および水素から成り、反応区域の温度は、約225℃〜275℃の範囲内であり、そして反応区域の圧力は、約10〜20絶対気圧(atmospheres absolute)の範囲内である。
【0047】
当該技術分野において知られているいろいろな触媒担体は、本発明の触媒を担持するのに用いることができる。このような担体の例には、H−ZSM−5などのゼオライト、酸化鉄、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、炭素、黒鉛およびそれらの混合物が含まれるが、全くこれに制限されるわけではない。好ましい担体は、シリカ、アルミナ、ケイ酸カルシウム、炭素、ジルコニアおよびチタニアである。より好ましくは、本発明の方法においてシリカを触媒担体として用いる。更に、シリカの純度が高いほど、それが担体として優れて作用するということに留意することが重要である。
【0048】
本発明の方法の別の側面において、既知のゼオライト触媒はいずれも、触媒担体として用いることもできる。少なくとも約0.6nmの細孔直径を有するゼオライトはいずれも、用いることができるが、好ましくは、このようなゼオライトの中で用いられるのは、モルデナイト、ZSM−5、ゼオライトXおよびゼオライトYからなる群より選択される触媒担体である。
【0049】
大孔モルデナイトの製造は、例えば、Plummer の米国特許第4,018,514号および Mol. Sieves Pap. Conf., 1967, 78, Soc. Chem. Ind. London, by D. DOMINE and J. QUOBEX に記載されている。
【0050】
ゼオライトXは、例えば、 Milton の米国特許第2,882,244号に、そしてゼオライトYは、Breck の米国特許第3,130,007号に記載されている。
いろいろなゼオライトおよびゼオライト型材料が、当該技術分野において化学反応の触媒用に知られている。例えば、Argauer の米国特許第3,702,886号は、いろいろな炭化水素変換法の触媒作用に有効である、「Zeolite ZSM−5」として特性決定された合成ゼオライトのクラスを開示している。
【0051】
本発明の手順に好適なゼオライトは、基本形、部分的にまたは全体的に酸性化された形、または部分的に脱アルミニウムの形でありうる。
好ましくは、本発明の方法におけるゼオライト触媒担体は、「H−ZSM−5」または「H−モルデナイト」ゼオライトとして特性決定されたプロトン性の形であり、それらは、当該技術分野において周知の技法を用いて、該当する「ZSM−5」ゼオライトまたは「モルデナイト」ゼオライトから、大部分は且つ概して、そのゼオライトの少なくとも約80%の陽イオンを水素イオンで置き換えることによって製造される。これらゼオライト触媒は、本質的に、結晶性アルミノケイ酸塩、または十分に定義された結晶構造のシリカおよびアルミナの組み合わせである中性形である。本発明の目的に特に好ましいクラスのゼオライト触媒において、これらゼオライト中のSiO対Alのモル比は、約10対60の比率の範囲内である。
【0052】
本発明の別の側面において、触媒金属の組み合わせ、パラジウムおよびコバルト、または白金および銅の組み合わせは、当該技術分野において周知の手順または本明細書中に更に記載される手順を用いて、高純度低表面積シリカまたはH−ZSM−5上に担持される。白金またはパラジウムベースの金属触媒に好ましい他の触媒担体は、炭素、チタニアおよびジルコニアである。
【0053】
本発明の別の態様において、好ましい触媒担体は、炭素である。触媒担体として好適である当該技術分野において知られているいろいろな形の炭素は、本発明の方法で用いることができる。特に好ましい炭素担体は、黒鉛化炭素、具体的には、英国特許第2,136,704号に記載の高表面積黒鉛化炭素である。その炭素は、好ましくは、粒状形で、例えば、ペレットとしてある。それら炭素粒子のサイズは、(最小ペレットサイズを生じる)いずれか与えられた反応器中で許容しうる圧力降下および(最大ペレットサイズを生じる)ペレット内の反応物拡散係数に依存するであろう。
【0054】
本発明の方法に好適である炭素触媒担体は、好ましくは、多孔質炭素触媒担体である。好ましい粒子サイズでは、炭素は、好ましい表面積特性を満たすために多孔質であることを必要とするであろう。
【0055】
炭素触媒担体を含めた触媒担体は、それらのBET、基礎面およびエッジの表面積によって特性決定することができる。BET表面積は、Brunauer Emmett and Teller, J. Am. Chem. Soc., 60,309 (1938) の方法を用いて窒素吸着によって決定される表面積である。基礎面表面積は、Proc. Roy. Soc. A314 の473〜498頁、特に498頁に関して記載の方法によってn−ヘプタンからのn−ドトリアコンタンの炭素上の吸着熱から決定される表面積である。エッジ表面積は、上述の Proc. Roy. Soc. という論文、特に495頁に関して開示されるn−ヘプタンからのn−ブタノールの炭素上の吸着熱から決定される表面積である。
【0056】
本発明に用いるのに好ましい炭素触媒担体は、少なくとも100m/g、より好ましくは、少なくとも200m/g、最も好ましくは、少なくとも300m/gのBET表面積を有する。BET表面積は、好ましくは、1000m/g以下、より好ましくは、750m/g以下である。
【0057】
少なくとも10:1、好ましくは、少なくとも100:1の基礎面表面積対エッジ表面積の比率を有する炭素触媒担体を用いることは可能である。その比率に上限が存在するとは考えられないが、実際に、200:1を超えることは通常はないであろう。
【0058】
好ましい炭素担体は、炭素含有出発物質を熱処理することによって製造することができる。その出発物質は、例えば、英国特許第1,168,785号に開示のように製造される親油性黒鉛であってよいし、またはカーボンブラックであってよい。
【0059】
しかしながら、親油性黒鉛は、フレーク形の極めて微細な粒子の形の炭素を含有し、したがって、触媒担体として用いるには極めて不適当な材料である。本発明者は、それらの使用を避けることを選択する。同様の考察が、同様に極めて微細な粒子サイズを有するカーボンブラックに当てはまる。
【0060】
好ましい材料は、植物性材料、例えば、ココヤシ木炭;または泥炭または石炭;または炭化可能ポリマーに由来する活性炭;である。熱処理を施される材料は、好ましくは、これらが炭素担体に好ましいと上に示されている以上の粒子サイズを有する。
【0061】
好ましい出発物質は、次の特性を有する:少なくとも100m/g、より好ましくは、少なくとも500m/gのBET表面積。
規定の特性を有する炭素担体を製造するための一つの好ましい熱処理手順は、逐次的に、(1)炭素を不活性雰囲気中において900℃〜3300℃の温度で加熱し、(2)その炭素を300℃〜1200℃の温度で酸化し、(3)不活性雰囲気中において900℃〜3000℃の温度で加熱することを含む。
【0062】
酸化工程は、酸化剤として酸素を(例えば、空気として)用いる場合、好ましくは、300℃〜600℃の温度で行う。
不活性ガス中の加熱時間は、臨界的ではない。必要な最大温度へ炭素を加熱するのに必要な時間は、炭素に必要な変化を生じるのに十分である。
【0063】
酸化工程は、明らかに、炭素が完全燃焼するような条件下で行ってはならない。それは、好ましくは、制御速度で供給される気体酸化剤を用いて行われて、過酸化を免れる。気体酸化剤の例は、スチーム、二酸化炭素、および分子酸素を含有するガス、例えば、空気である。酸化は、好ましくは、酸化工程に供される炭素の重量に基づく少なくとも10重量パーセント、より好ましくは、少なくとも15重量パーセントの炭素重量損失を生じるように行われる。
【0064】
その重量損失は、好ましくは、酸化工程に供される炭素の40重量パーセント以下、より好ましくは、その炭素の25重量パーセント以下である。
酸化剤の供給速度は、好ましくは、所望の重量損失が、少なくとも2時間、より好ましくは、少なくとも4時間にわたって起こるようにある。
【0065】
不活性雰囲気が必要とされる場合、それは、窒素または不活性ガスで供給することができる。
上記のように、二つの金属触媒の組み合わせの装填レベルは、概して、主な触媒金属の含有量および組み合わせの重量比に関係している。例えば、Pt/CuまたはPd/Coの重量比は、約0.1〜2の範囲内である。したがって、Pt/CuまたはPd/Coの重量比が0.1である場合、白金またはパラジウムの量は、0.1または1重量パーセントでありうるし、したがって、1または10重量パーセントの銅またはコバルトが、触媒担体上に存在する。より好ましくは、Pt/CuまたはPd/Coの重量比は、約0.5であり、したがって、触媒担体上の白金またはパラジウムの量は、0.5かまたは1重量パーセントでありうるし、そして銅またはコバルトのそれは、1かまたは2重量パーセントである。より好ましくは、Pt/CuまたはPd/Coの重量比は、1または0.2である。したがって、担体上の白金またはパラジウムの量は、0.5、1または2重量パーセントであり、そして銅またはコバルトのそれも、重量比が1である場合、0.5、1または2重量パーセントである。同様に、Pt/CuまたはPd/Coの重量比が0.2である場合、担体上の白金またはパラジウムの量は、0.5または1重量パーセントでありうるし、そして銅またはコバルトの量は、2.5かまたは5重量パーセントである。
【0066】
担体上に存在する場合の第三の金属装填量は、本発明において全く臨界的ではないが、約0.1重量パーセント〜約10重量パーセントの範囲内でありうる。担体の重量に基づく約1重量パーセント〜約6重量パーセントの金属装填量が、特に好ましい。
【0067】
金属含浸は、当該技術分野における既知の方法のいずれかを用いて行うことができる。典型的に、含浸前に、担体を120℃で乾燥させ、そして約0.2〜0.4mmの範囲内のサイズ分布を有する粒子へ造形する。場合により、担体は、所望のサイズ分布へと加圧し、破砕し、そして篩分けすることができる。担体材料を所望のサイズ分布へ造形する既知の方法はいずれも、用いることができる。
【0068】
低表面積を有する、例えば、αアルミナなどの担体について、金属溶液を、完全な湿潤または過剰の液体含浸まで、望ましい金属装填量を得るように過剰に加える。
上記のように、本発明の方法に用いられる水素化触媒は、少なくとも、白金/銅、パラジウム/コバルト等を含有する二元金属触媒である。概して、いずれの理論にも拘束されるものではないが、一方の金属は、促進剤(promoter)金属として作用し、そして別の金属は、主金属であると考えられる。例えば、本発明の方法において、上記の組み合わせの内の白金、パラジウムおよび銅はそれぞれ、本発明の水素化触媒を製造するための主金属と考えられる。他方の金属、すなわち、白金と一緒の銅、パラジウムと一緒のコバルトは、用いられる触媒担体、反応温度および圧力等が含まれるがこれに制限されるわけではないいろいろな反応パラメーターに依存して、促進剤金属であると考えられる。触媒は、タングステン、バナジウム、モリブデン、クロムまたは亜鉛などの他の促進剤金属を包含してよい。
【0069】
二元金属触媒は、概して、二つの工程で含浸する。各々の含浸工程後、乾燥およびカ焼を行う。二元金属触媒は、更に、共含浸(co-impregnation)によって製造することができる。大部分の場合、含浸は、金属硝酸塩溶液を用いて行うことができる。しかしながら、カ焼時に金属イオンを放出するいろいろな他の可溶性塩を用いることもできる。含浸に好適な他の金属塩の例には、金属シュウ酸塩、金属水酸化物、金属酸化物、金属酢酸塩、ヘプタモリブデン酸アンモニウム六水和物などのアンモニウム金属酸化物、過レニウム酸溶液などの金属酸等が含まれる。
【0070】
したがって、本発明の一つの態様において、水素化触媒であって、触媒担体が、二元金属装填量の白金および銅を含むシリカである水素化触媒を提供する。本発明のこの側面において、白金の装填量は、約0.5重量パーセント〜約1重量パーセントであり、そして銅の装填量は、約2.5重量パーセント〜約5重量パーセントである。具体的には、シリカ上の1/1、1/5、0.5/0.5および0.5/2.5重量パーセントの白金/銅装填レベルを用いることができる。
【0071】
本発明の別の態様において、更に、水素化触媒であって、触媒担体が、二元金属装填量の白金および銅またはパラジウムおよびコバルトを含む高純度低表面積シリカである水素化触媒を提供する。本発明のこの側面において、白金またはパラジウムの装填量は、約0.5重量パーセント〜約1重量パーセントであり、そして銅またはコバルトの装填量は、約0.1重量パーセント〜約5重量パーセントである。具体的には、高純度低表面積シリカ上の1/1、1/5、0.5/0.5および0.5/2.5重量パーセントの白金/銅またはパラジウム/コバルト装填レベルを用いることができる。本発明のこの側面における他の好ましい担体には、H−ZSM−5、黒鉛化炭素、ジルコニア、チタニア、酸化鉄、シリカ−アルミナおよびケイ酸カルシウムが含まれる。
【0072】
本発明のもう一つの態様において、水素化触媒であって、二元金属触媒が、シリカ、ジルコニア、黒鉛化炭素、H−ZSM−5、チタニア−シリカおよびジルコニア−シリカ上に担持された銅およびクロムである水素化触媒を提供する。本発明のこの側面において、銅およびクロムの装填レベルは、各々、約3重量パーセント〜約10重量パーセントである。具体的には、いずれか前述の触媒担体上に各々5重量パーセントの銅/クロム装填レベルが好ましい。
【0073】
概して、本発明の実施により、酢酸は、選択的に酢酸エチルへ極めて高率で変換することができる。概して、酢酸エチルへの選択性は、極めて高く、少なくとも60パーセントでありうる。好ましい反応条件下において、酢酸は、酢酸エチルへ85または87.5パーセントより大きい選択性で、またはより好ましくは、90パーセントまたはそれを超える選択性で変換される。最も好ましくは、酢酸エチル選択性は、少なくとも95パーセントである。
【0074】
本発明の触媒を用いた酢酸の転化率は、少なくとも20%であり、しかも酢酸エチルへの少なくとも60%、好ましくは、80%、そして最も好ましくは、95%の選択性で、70%まででありうる。
【0075】
概して、本発明の活性触媒は、本明細書中に記載のような単一金属触媒または二元金属触媒である。より詳しくは、1重量パーセントの白金装填量および5重量パーセントの銅装填量でシリカ上に担持された白金および銅を含有する二元金属触媒が好ましい。本発明の実施により、酢酸は、この触媒を用いて、約70%の転化率において、少なくとも80%の酢酸エチル選択性で変換することができ、より好ましくは、少なくとも90%の酢酸エチルへの選択性を達成することができる。
【0076】
同様の転化率および選択性は、ジルコニア、黒鉛またはチタニアを担体として用い且つ1重量パーセントおよび5重量パーセントのそれぞれの装填量の白金および銅を含んで達成される。他の促進剤金属も、上記のようにパラジウムまたは白金と一緒に用いることができる。
【0077】
本発明の別の側面において、更に、触媒担体としてのシリカまたはH−ZSM−5上の1重量パーセントのパラジウム装填量および5重量パーセントのコバルト装填量を用いて、少なくとも25%のオーダーの高レベルの転化率および少なくとも約90%の高い酢酸エチルへの選択性を得ることが可能である。本発明のこの側面において、他の好ましい触媒担体には、黒鉛化炭素、チタニア、ジルコニア、酸化鉄、シリカ−アルミナおよびケイ酸カルシウムが含まれる。
【0078】
本発明の方法の別の側面において、水素化は、触媒床中の圧力降下を克服するのにちょうど十分な圧力で行う。
その反応は、広範囲の条件下において蒸気または液体状態で行うことができる。好ましくは、反応は、蒸気相中で行う。反応温度は、例えば、約200℃〜約300℃、好ましくは、約225℃〜約275℃の範囲内で用いることができる。圧力は、概して、反応に臨界的ではないので、大気圧未満、大気圧または超大気圧を用いることができる。しかしながら、大部分の場合、反応圧力は、約5〜30絶対気圧の範囲内であろうし、最も好ましくは、反応区域の圧力は、約8〜20絶対気圧の範囲内である。
【0079】
その反応は、酢酸1モルにつき1モルの水素を消費して、1/2モルの酢酸エチルを生成するが、供給流中の酢酸対水素の実測モル比は、広い限界の間で、例えば、約100:1〜1:100に変動することがありうる。しかしながら、このような比率は、約1:20〜1:2の範囲内であることが好ましい。より好ましくは、酢酸対水素のモル比は、約1:5である。
【0080】
本発明の方法に関連して用いられる原料は、天然ガス、石油、石炭、バイオマス等を含めたいずれか好適な源に由来してよい。酢酸を、メタノールカルボニル化、アセトアルデヒド酸化、エチレン酸化、酸化的発酵および嫌気性発酵等によって製造することは周知である。石油および天然ガスは、一層高価になってきたので、代わりの炭素源から酢酸並びにメタノールおよび一酸化炭素などの中間体を製造する方法が、一層関心を呼んでいた。特に興味深いのは、いずれか好適な炭素源に由来してよい合成ガス(シンガス(syngas))からの酢酸製造である。本明細書中にその開示が援用される、Vidalin の米国特許第6,232,352号は、例えば、酢酸の製造用にメタノールプラントを改装する方法を教示している。メタノールプラントを改装することにより、新しい酢酸プラントのためのCO発生に関連した大きい資本経費は、大きく減少するまたは大きく削減される。シンガスの全部または一部分を、メタノール合成ループから転じ、分離器装置へ供給して、COおよび水素を回収後、それらを用いて酢酸を製造する。酢酸に加えて、その方法は、本発明に関連して利用される水素を製造するのに用いることもできる。
【0081】
本明細書中に更に援用される、Steinbergらの米国特許第RE35,377号は、メタノールの製造方法であって、石油、石炭、天然ガスおよびバイオマス材料などの炭質材料の変換による方法を提供している。その方法は、固体および/または液体の炭質材料の水素添加ガス化(hydrogasification)を包含して、プロセスガスを得、それを、追加の天然ガスでスチーム熱分解して、合成ガスを形成する。そのシンガスを、メタノールへ変換し、それを、酢酸へカルボニル化することができる。その方法は、同様に、上記のように本発明に関連して用いることができる水素を生成する。本明細書中にそれらの開示が援用される、Kindigらの米国特許第6,685,754号並びに廃棄物バイオマスをガス化によって合成ガスへ変換する方法を開示している Gradyらの米国特許第5,821,111号も参照されたい。
【0082】
酢酸は、反応温度で気化させることができ、次に、それを、未希釈の状態の水素、または窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素等のような比較的不活性なキャリヤーガスで希釈された水素と一緒に供給することができる。
【0083】
或いは、蒸気の形の酢酸は、本明細書中にその開示が援用される、Scatesらの米国特許第6,657,078号に記載のクラスのメタノールカルボニル化装置のフラッシュ容器から粗生成物として直接的に得ることができる。その粗製蒸気生成物は、酢酸およびライトエンドを凝縮させるまたは水を除去する必要性を伴うことなく、本発明の反応区域へ直接的に供給されて、総作業原価を節約することができる。
【0084】
接触または滞留時間も、酢酸の量、触媒、反応器、温度および圧力のような変数に依存して、広く変動することがありうる。典型的な接触時間は、固定床以外の触媒システムを用いる場合、一秒の何分の一〜数時間を超え、好ましい接触時間は、少なくとも蒸気相反応について約0.5〜100秒である。
【0085】
典型的に、触媒は、固定床反応器中で、例えば、伸長したパイプまたはチューブの形状で用いられ、そこにおいて、典型的には蒸気の形の反応物が、その触媒の上をまたはそれを介して通過する。所望ならば、流動床または沸騰床反応器などの他の反応器を用いることができる。いくつかの場合、水素化触媒を、不活性材料と一緒にして用いて、触媒粒子と反応物化合物の接触時間を含めた、触媒床中の圧力降下、流れ、熱収支または他の作業パラメーターを調節することが好都合である。
【0086】
一つの好ましい態様において、更に、酢酸からの酢酸エチルの選択的且つ直接的形成方法であって、好適な触媒担体上の約0.5重量パーセント〜約1重量パーセントの白金またはパラジウムおよび約2.5重量パーセント〜約5重量パーセントの銅またはコバルトを含有する好適な水素化触媒と、酢酸および水素を含有する供給流とを高温で接触させることを含む方法を提供する。好ましい触媒担体は、シリカかまたはH−ZSM−5である。
【0087】
本発明の方法のこの態様において、好ましい水素化触媒は、約1重量パーセントの白金および約5重量パーセントの銅、または約1重量パーセントのパラジウムおよび約5重量パーセントのコバルトを含有する。それら水素化触媒は、固定床中に積層されていて、そして反応は、約1:20〜1:5のモル範囲内の酢酸および水素の供給流を用いた蒸気相中において、約225℃〜275℃の範囲内の温度および約8〜20絶対気圧の範囲内の反応区域の圧力で行い、そして反応物の接触時間は、約0.5〜100秒の範囲内であるのが好ましい。
【0088】
工程(b):第一気体生成物流中の酢酸エチルの富化
本発明の方法の第二工程において、本明細書中に記載の本発明の方法の工程(a)の第一反応区域において形成された酢酸エチルを、少なくとも50モルパーセントの酢酸エチルを含有する流れを生じるように、更に富化する。当該技術分野において知られている方法はいずれも、この目的に用いることができる。例えば、好適な蒸留カラムを用いて、オーバーヘッドおよび下部カラムで揮発性気体副生成物を除去して、高沸点画分を分離することができる。低いかまたは高い沸点を有する不純物または他の副生成物を除去するスクラバーなどのいろいろな他の低温法および/または温度制御トラッピング装置を用いることもできるので、得られた流れは、少なくとも50モルパーセントの酢酸エチルを含有していた。
【0089】
好ましくは、第一反応区域からの富化された生成物流は、少なくとも60モルパーセントの酢酸エチルを含有していた。より好ましくは、第一反応区域からの富化された気体生成物流は、少なくとも70モルパーセントの酢酸エチルを含有した。なお一層好ましくは、第一反応区域からの富化された気体生成物流は、少なくとも80モルパーセントの酢酸エチルを含有していた。
【0090】
工程(c):酢酸エチルのエチレンおよび酢酸へのクラッキング
次に、富化された気体生成物流を、第二反応区域においてクラッキング触媒と高温で接触させる。典型的に、このようなクラッキング反応は、約300℃〜約550℃の範囲内の高温で、全く触媒を用いることなく行われる。エチレンおよび酢酸の収率は、概して、高いことがありうる。例えば、本明細書中にそのまま援用される DePuy and King, Chem. Rev., 60, 431-445(1960) を参照されたい。しかしながら、このような反応は、所望ならば、クラッキング触媒を利用して触媒作用をすることができる。より重要なことに、本発明の方法のこの工程(b)におけるクラッキング触媒の使用により、クラッキング温度を劇的に下げ、その上、クラッキング生成物への高い選択性および転化率を得ることが可能である。
【0091】
好適なクラッキング触媒には、本明細書中にその開示が援用される、上記の Schreck の米国特許第4,399,305号に開示されたペルフルオロスルホン酸樹脂などのスルホン酸樹脂が含まれる。ゼオライトも、本明細書中にその開示も援用される Cognionらの米国特許第4,620,050号に記載のようにクラッキング触媒として好適である。したがって、ゼオライト触媒を用いて、本明細書中の上に記載の水素化触媒を同時に担持することができるし、そして次に、得られた酢酸エチルをクラッキングして、エチレンおよび酢酸を形成することができる。
【0092】
したがって、本発明の方法の一つの側面により、更に、圧密固定床反応器であって、反応器の前端に、本明細書中の上に記載の水素化触媒を装填し、そして反応器の後端に、本明細書中の上に記載の好適なクラッキング触媒を装填し、それによって、本発明の方法の工程(a)および工程(b)双方を、一段階で有効に行うことができる反応器を提供する。このような結果をもたらすことができる既知の固定床反応器はいずれも、この目的に用いることができる。好ましくは、本明細書中に記載の二つの異なった触媒層を含有するように設計されたチューブ状反応器を用いて、この作業を達成する。
【0093】
典型的に、クラッキング触媒の存在下における酢酸エチルのクラッキングは、約150℃〜約300℃の温度範囲で、好ましくは、約160℃〜約250℃の範囲内で、そしてより好ましくは、約170℃〜225℃の範囲内で行うことができる。再度、上記のように、ゼオライトはいずれも、クラッキング触媒として用いることができる。好ましくは、クラッキングは、約0.6nmを超える細孔直径を有するゼオライトの存在下で行われる。このようなゼオライトの具体的な例には、本明細書中に記載のモルデナイト、ゼオライトXおよびゼオライトYが含まれるが、全くこれに制限されるわけではない。
【0094】
上記のように、本発明の方法の工程(c)において用いることができる別の好ましいクラッキング触媒は、ペルフルオロスルホン酸樹脂であり、それは、NAFION(登録商標)という商標で、DuPont de Nemours Company in Wilmington, Delaware より商業的に入手可能である。これら樹脂の好適な変種は、Cares の米国特許第4,065,512号および DuPont“Innovation,”Volume 4, number 3, Spring 1973 に記載されている。
【0095】
工程(d):エチレンおよび酢酸を含有する第二気体生成物流からのVAMの形成
第三反応器区域において、クラッキング反応器からの気体生成物流を、所望ならば、反応の化学量論を平衡させるために、触媒並びに分子酸素および場合により追加量の酢酸を含有する第二供給材料と更に接触させる。等モル比のエチレンおよび酢酸を、第三反応器区域中に供給することが好ましい。
【0096】
VAMを形成するための酢酸とエチレンの酸化的反応について既知の触媒、例えば、GB1559540号;米国特許第5,185,308号;同第5,691,267号;同第6,114,571号;および米国特許第6,603,038号に相当するWO99/08791号;に記載のものはいずれも、本発明の方法の工程(d)に用いることができる。EP−A0330853号は、金の代わりに追加の促進剤としてパラジウム、カリウム、マンガンおよびカドミウムを含有するVAMの製造用の含浸触媒を記載している。本明細書中に挙げられた参考文献は全て、本明細書中にそのまま援用される。
【0097】
GB1559540号は、本発明の方法の工程(d)において用いられるような、エチレン、酢酸および酸素の反応によるVAMの製造に用いることができる好適な触媒を記載している。その触媒は、(1)3〜7mmの粒子直径および約0.2〜1.5ml/gの細孔容積を有する触媒担体であって、約3.0〜9.0のpHを有する10重量%水懸濁液の触媒担体;(2)触媒担体の表層であって、担体表面から0.5mm未満に拡がっている表層中に分布したパラジウム−金合金であって、合金中のパラジウムが、触媒1リットルにつき約1.5〜5.0グラムの量で存在し且つ金が、触媒1リットルにつき約0.5〜2.25グラムの量で存在するもの;および(3)触媒1リットルにつき5〜60グラムのアルカリ金属酢酸塩;を含んでなる。
【0098】
米国特許第5,185,308号は、エチレン、酢酸、および酸素含有ガスからのVAMの製造に活性なシェル型含浸触媒であって、(1)約3〜約7mmの粒子直径および0.2〜1.5ml/gの細孔容積を有する触媒担体;(2)触媒担体粒子の最も外側1.0mmの層厚み中に分布したパラジウムおよび金;および(3)約3.5〜約9.5重量%の酢酸カリウム;から本質的に成り、ここにおいて、この触媒中の金対パラジウム重量比が、0.6〜1.25の範囲内である触媒を記載している。
【0099】
Nicolauらの米国特許第5,691,267号は、エチレン、酸素および酢酸の反応からのVAMの気相形成に用いられる触媒を製造するための二段階の金付加方法を記載している。その触媒は、(1)触媒担体を、水溶性パラジウム塩および第一量のナトリウム・パラジウム塩化物および塩化第二金などの水溶性金化合物の水溶液で含浸し;(2)その含浸した担体の、パラジウムおよび金化合物と反応する水性水酸化ナトリウムなどの反応性塩基性溶液での処理により、水不溶性のパラジウムおよび金化合物を沈殿させて、担体表面上にパラジウムおよび金の水酸化物を形成することによって、貴金属を担体上に固定し;(3)水で洗浄して、塩化物イオン(または他の陰イオン)を除去し;そして(4)貴金属水酸化物を全て、フリーのパラジウムおよび金へ還元することによって形成し;、ここにおいて、改良点は、(5)第一量の水溶性金物質を固定後に、第二量の水溶性金化合物で担体を含浸し;そして(6)第二量の水溶性金化合物を固定すること;を含む。
【0100】
Abelらの米国特許第6,114,571号は、エチレン、酢酸および酸素または酸素含有ガスから、気相中において酢酸ビニルを形成するための触媒であって、担体上のパラジウム、金、ホウ素およびアルカリ金属化合物を含んでなる触媒を記載している。その触媒は、(a)担体を、可溶性のパラジウムおよび金化合物で含浸し;(b)その担体上の可溶性パラジウムおよび金化合物を、アルカリ性溶液によって不溶性化合物へ変換し;(c)その担体上の不溶性パラジウムおよび金化合物を、液相中において還元剤によって還元し;(d)担体を洗浄後、乾燥させ;(e)その担体を、可溶性アルカリ金属化合物で含浸し;そして(f)最後に、その担体を、最大150℃で乾燥させ、ここにおいて、ホウ素またはホウ素化合物を、最終乾燥の前に触媒に加えること;によって製造する。
【0101】
Hagemeyerらの米国特許第6,603,038号に相当するWO99/08791号は、多孔質担体上の金属ナノ粒子を含有する触媒、特に、VAMを形成するためのエチレンおよび酢酸の気相酸化のための触媒を製造する方法を記載している。その発明は、多孔質担体粒子上の周期表の亜族IbおよびVIIIbを含む金属の群から一つまたはいくつかの金属を含有する触媒を製造する方法であって、周期表の亜族IbおよびVIIIbからの金属の化合物群から一つまたはいくつかの前駆体を、多孔質担体に加える第一工程;および少なくとも一つの前駆体が加えられた多孔質の、好ましくは、ナノ多孔質の担体を、少なくとも一つの還元剤で処理して、この担体の細孔中に現場で生成した金属ナノ粒子を得る第二工程;を特徴とする方法に関する。
【0102】
典型的に、本発明の方法の工程(d)は、気相中に存在している反応物で不均一に行われる。
本発明の方法の工程(d)に用いられる分子酸素含有ガスは、窒素などの他の不活性ガスを含んでいてよい。好ましくは、本発明の方法の工程(d)に用いられる分子酸素は、空気である。
【0103】
本発明の方法の工程(d)は、好適には、約140℃〜220℃の範囲内の温度および約1〜100絶対気圧の範囲内の圧力で行うことができる。本発明の方法の工程(d)は、適当な方法で反応熱を除去することが可能ないずれか好適な反応器設計において行うことができ、好ましい技術的解答は、本明細書中に記載の固定床または流動床反応器である。
【0104】
約5〜50%の範囲内の酢酸転化率は、本発明の方法の工程(d)において達成することができる。約20〜100%の範囲内の酸素転化率は、本発明の工程(d)において達成することができる。本発明の方法の工程(d)において、触媒は、好適には、触媒1リットルにつき毎時約100〜2000グラムの範囲内の酢酸ビニル生産性(空時収量、STY)を有するが、触媒1リットルにつき毎時>10,000グラムの酢酸ビニルも適している。
【0105】
上に既述したように、本方法の工程(d)からの第三気体生成物流は、VAMおよび水、そして更に、場合により、未反応の酢酸、エチレン、酢酸エチル、エタン、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素およびおそらくは微量の他の副生成物を含む。本発明の方法の工程(d)と工程(e)との間の中間で、その第三生成物流から、もしあれば、エチレンおよびエタン、一酸化炭素および二酸化炭素を、好適には、スクラビングカラムからオーバーヘッド気体画分として除去することが好ましく、この場合、酢酸ビニル、水および酢酸を含む液体画分は、底部から除去する。
【0106】
VAM、水および酢酸を含む工程(d)からの第三生成物流は、中間のスクラビング工程を伴っても伴わなくても、工程(e)において、蒸留によって、酢酸ビニルおよび水を含むオーバーヘッド共沸混合物画分と、酢酸を含む底部画分とに分離する。
【0107】
VAMは、工程(d)において分離された共沸混合物画分から、好適には、例えば、傾瀉によって回収する。回収されたVAMは、所望ならば、既知の方法で更に精製することができる。工程(d)において分離された酢酸を含む底部画分は、好ましくは、追加の精製を伴って、または好ましくは、伴うことなく、本方法の工程(a)へ再循環するし、または所望ならば、工程(d)へ再循環する。
【実施例】
【0108】
次の実施例A〜Vは、その次の実施例1〜15において用いられるいろいろな触媒の製造に用いられた手順を記載する。
実施例A
高純度低表面積シリカ上1重量パーセントの白金および5重量パーセントの銅の製造
約0.2mmの一様な粒子サイズ分布を有する粉末且つメッシュの高純度低表面積シリカ(94g)を、窒素雰囲気下のオーブン中において120℃で一晩乾燥後、室温に冷却する。これに、蒸留水(16ml)中の硝酸白金(Chempur)(1.64g)の溶液を加える。得られたスラリーを、110℃に徐々に(>2時間、10℃/分)加熱されるオーブン中において乾燥させる。次に、含浸した触媒混合物を、500℃でカ焼する(6時間、1℃/分)。このカ焼し且つ冷却した材料に、蒸留水(19ml)中の硝酸銅三水和物(Alfa Aesar)(19g)の溶液を加える。得られたスラリーを、110℃に徐々に(>2時間、10℃/分)加熱されるオーブン中において乾燥させる。次に、含浸した触媒混合物を、500℃でカ焼する(6時間、1℃/分)。
【0109】
実施例B
高純度低表面積シリカ上1重量パーセントのパラジウムおよび5重量パーセントのコバルトの製造
約0.2mmの一様な粒子サイズ分布を有する粉末且つメッシュの高純度低表面積シリカ(94g)を、窒素雰囲気下のオーブン中において120℃で一晩乾燥後、室温に冷却する。これに、蒸留水(22ml)中の硝酸パラジウム(Heraeus)(2.17g)の溶液を加える。得られたスラリーを、110℃に徐々に(>2時間、10℃/分)加熱されるオーブン中において乾燥させる。次に、含浸した触媒混合物を、500℃でカ焼する(6時間、1℃/分)。このカ焼し且つ冷却した材料に、蒸留水(25ml)中の硝酸コバルト六水和物(24.7g)の溶液を加える。次に、得られたスラリーを、110℃に徐々に(>2時間、10℃/分)加熱されるオーブン中において乾燥させる。次に、含浸した触媒混合物を、500℃でカ焼する(6時間、1℃/分)。
【0110】
実施例C
H−ZSM−5上1重量パーセントのパラジウムおよび5重量パーセントのコバルトの製造
実施例Bの手順を、触媒担体としてH−ZSM−5を利用することを除いて、実質的に繰り返す。
【0111】
実施例D
高純度低表面積シリカ上5重量パーセントの銅および5重量パーセントのクロムの製造
約0.2mmの一様な粒子サイズ分布を有する粉末且つメッシュの高純度低表面積シリカ(90g)を、窒素雰囲気下のオーブン中において120℃で一晩乾燥後、室温に冷却する。これに、蒸留水(19ml)中の硝酸銅三水和物(Alfa Aesar)(19g)の溶液を加える。次に、得られたスラリーを、110℃に徐々に(>2時間、10℃/分)加熱されるオーブン中において乾燥させる。次に、含浸した触媒混合物を、500℃でカ焼する(6時間、1℃/分)。このカ焼し且つ冷却した材料に、蒸留水(65ml)中の硝酸クロム九水和物(Alfa Aesar)(32.5g)の溶液を加える。得られたスラリーを、110℃に徐々に(>2時間、10℃/分)加熱されるオーブン中において乾燥させる。次に、含浸した触媒混合物を、500℃でカ焼する(6時間、1℃/分)。
【0112】
実施例E
高純度低表面積シリカ上5重量パーセントの炭化モリブデン(MoC)の製造
約0.2mmの一様な粒子サイズ分布を有する粉末且つメッシュの高純度低表面積シリカ(95g)を、窒素雰囲気下のオーブン中において120℃で一晩乾燥後、室温に冷却する。これに、蒸留水(63ml)中のヘプタモリブデン酸アンモニウム六水和物(Sigma)(9.5g)の溶液を加える。得られたスラリーを、110℃に徐々に(>2時間、10℃/分)加熱されるオーブン中において乾燥させる。次に、含浸した触媒混合物を、500℃でカ焼する(6時間、1℃/分)。これは、シリカ上の酸化モリブデンを生じる。次に、それを、メタン流中において500℃で処理して、標題の触媒を与える。
【0113】
実施例F
チタニア上1重量パーセントの白金および5重量パーセントのモリブデンの製造
約0.2mmの一様な粒子サイズ分布を有する粉末且つメッシュのチタニア(94g)を、窒素雰囲気下のオーブン中において120℃で一晩乾燥後、室温に冷却する。これに、蒸留水(16ml)中の硝酸白金(Chempur)(1.64g)の溶液を加える。得られたスラリーを、110℃に徐々に(>2時間、10℃/分)加熱されるオーブン中において乾燥させる。次に、含浸した触媒混合物を、500℃でカ焼する(6時間、1℃/分)。このカ焼し且つ冷却した材料に、蒸留水(63ml)中のヘプタモリブデン酸アンモニウム六水和物(Sigma)(9.5g)の溶液を加える。得られたスラリーを、110℃に徐々に(>2時間、10℃/分)加熱されるオーブン中において乾燥させる。次に、含浸した触媒混合物を、500℃でカ焼する(6時間、1℃/分)。
【0114】
実施例G
高純度低表面積シリカ上1重量パーセントのパラジウムの製造
約0.2mmの一様な粒子サイズ分布を有する粉末且つメッシュの高純度低表面積シリカ(99g)を、窒素雰囲気下のオーブン中において120℃で一晩乾燥後、室温に冷却する。これに、蒸留水(22ml)中の硝酸パラジウム(Heraeus)(2.17g)の溶液を加える。得られたスラリーを、110℃に徐々に(>2時間、10℃/分)加熱されるオーブン中において乾燥させる。次に、含浸した触媒混合物を、500℃でカ焼する(6時間、1℃/分)。
【0115】
実施例H
H−ZSM−5上1重量パーセントのパラジウムおよび5重量パーセントのモリブデンの製造
実施例Aの手順を、蒸留水(22ml)中の硝酸パラジウム(Heraeus)(2.17g)の溶液、蒸留水(65ml)中のヘプタモリブデン酸アンモニウム六水和物(Sigma)(9.5g)の溶液および94グラムのH−ZSM−5を利用することを除いて、実質的に繰り返す。触媒は、逐次的に、最初にモリブデンで、次にパラジウムで含浸する。
【0116】
実施例I
炭素上1重量パーセントのニッケルおよび5重量パーセントのモリブデンの製造
実施例Aの手順を、蒸留水(5ml)中の硝酸ニッケル六水和物(Alfa Aesar)(4.96g)の溶液、蒸留水(65ml)中のヘプタモリブデン酸アンモニウム六水和物(Sigma)(9.5g)の溶液および94グラムの炭素を利用することを除いて、実質的に繰り返す。触媒は、逐次的に、最初にモリブデンで、次にニッケルで含浸する。
【0117】
実施例J
チタニア上1重量パーセントの白金の製造
実施例Aの手順を、蒸留水(16ml)中の硝酸白金(Chempur)(1.64g)の溶液および99グラムのチタニアを利用することを除いて、実質的に繰り返す。
【0118】
実施例K
チタニア上1重量パーセントのパラジウムおよび5重量パーセントのレニウムの製造
実施例Aの手順を、蒸留水(22ml)中の硝酸パラジウム(Heraeus)(2.17g)の溶液、蒸留水(14ml)中の過レニウム酸(7g)の溶液および94グラムのチタニアを利用することを除いて、実質的に繰り返す。触媒は、逐次的に、最初にレニウムで、次にパラジウムで含浸する。
【0119】
実施例L
炭素上1重量パーセントの白金および5重量パーセントのモリブデンの製造
実施例Fの手順を、94グラムの炭素を利用することを除いて、実質的に繰り返す。
【0120】
実施例M
シリカ上1重量パーセントのパラジウムおよび5重量パーセントのジルコニウムの製造
実施例Aの手順を、蒸留水(22ml)中の硝酸パラジウム(Heraeus)(2.17g)の溶液、蒸留水(100ml)中の硝酸ジルコニウム五水和物(23.5g)の溶液および94グラムのシリカを利用することを除いて、実質的に繰り返す。触媒は、逐次的に、最初にジルコニウムで、次にパラジウムで含浸する。
【0121】
実施例N
チタニア上1重量パーセントの白金および5重量パーセントの銅の製造
実施例Aの手順を、94グラムのチタニアを利用することを除いて、実質的に繰り返す。
【0122】
実施例O
チタニア上1重量パーセントのニッケルおよび5重量パーセントのレニウムの製造
実施例Aの手順を、蒸留水(5ml)中の硝酸ニッケル六水和物(Alfa Aesar)(4.96g)の溶液、蒸留水(14ml)中の過レニウム酸(7g)の溶液および94グラムのチタニアを利用することを除いて、実質的に繰り返す。触媒は、逐次的に、最初にレニウムで、次にニッケルで含浸する。
【0123】
実施例P
シリカ上1重量パーセントの白金および5重量パーセントのモリブデンの製造
実施例Fの手順を、94グラムのシリカを利用することを除いて、実質的に繰り返す。
【0124】
実施例Q
シリカ上1重量パーセントのパラジウムおよび5重量パーセントのモリブデンの製造
実施例Hの手順を、94グラムのシリカを利用することを除いて、実質的に繰り返す。
【0125】
実施例R
シリカ上5重量パーセントの銅および5重量パーセントのジルコニウムの製造
実施例Aの手順を、蒸留水(19ml)中の硝酸銅三水和物(Alfa Aesar)(19g)の溶液、蒸留水(100ml)中の硝酸ジルコニウム五水和物(23.5g)の溶液および94グラムのシリカを利用することを除いて、実質的に繰り返す。触媒は、逐次的に、最初に銅で、次にジルコニウムで含浸する。
【0126】
実施例S
K、Pd、Au/TiOの製造
標題触媒を、Zeyssらの米国特許第6,852,877号に記載の手順にしたがって製造する。
【0127】
実施例T
PdおよびAuの製造
エチレン、酸素または空気および酢酸を含有するガス流をVAMへと変換するためのPdおよびAuを含有する酢酸ビニル触媒は、概して、次のように製造する。
【0128】
触媒は、約5mmの直径を有する球状シリカ担体上に製造する。それらシリカ担体を、触媒が、約7gm/lのパラジウム金属および約7gm/lの金金属を各々有すると考えられるような十分な量のナトリウム・パラジウム四塩素酸塩およびテトラクロロ金酸ナトリウム(sodium tetracholroaurate)を含有する水溶液で含浸する。
【0129】
含浸後、担体を、真空を用いることなくロトエバポレーター中に入れ、そして283mlの50%w/w水酸化ナトリウム水溶液で処理する。それら担体を、水酸化ナトリウム溶液中において70℃の温度で、熱水浴中の回転によって約5rpmで約2.5時間回転させる。得られた触媒を、窒素中の5%エチレンのガスブレンド中において約150℃の温度、約0.5SCFH(標準立方フィート/時)の流速、大気圧で約5時間還元して、それら金属塩を金属へ還元する。
【0130】
次に、触媒を、テトラクロロ金酸ナトリウム水溶液および1.65gmの50%w/w水酸化ナトリウム固定用水溶液で再度含浸する。得られた触媒を、窒素中の5%エチレンのガスブレンド中において約150℃の温度、約0.5SCFH(標準立方フィート/時)の流速、大気圧で約5時間還元して、金塩を金金属へ還元する。
【0131】
実施例U
Pd、AuおよびKの製造
エチレン、酢酸および酸素または酸素含有ガスから気相中において酢酸ビニルを製造するための触媒であって、概して、次のように製造される触媒。
【0132】
7.3mmの直径を有する250mlの二酸化ケイ素触媒球担体を、4.6gのNaPdClおよび1.4gのNaAuClを含有する85mlの水溶液で含浸する。不溶性金属化合物の沈殿は、17gのホウ砂の283mlの水溶液の添加によって達成する。直後に、その容器を、ロータリーエバポレーターによって、真空を用いることなく、5回転/分(rpm)で2.5時間回転させる。還元は、20mlの水中の7mlのヒドラジン水和物の添加およびその容器の5rpmで1時間の即時回転によって達成する。
【0133】
このようにして得られたペレットを、1000℃で1時間乾燥させる。還元した触媒を、10gの酢酸カリウムを含有し且つ乾燥担体材料の吸収力に対応する容量を有する水溶液で含浸する。次に、触媒を再度乾燥させる。
【0134】
実施例V
Pd、AuおよびBの製造
酢酸ビニルを生じるエチレンおよび酢酸の気相酸化のための多孔質担体上のナノサイズ金属粒子を含有する触媒を、次のように製造する。
【0135】
300m/gのBET表面積を有する200gのSiO担体に、500mlの水中の3.33g(18.8mmol)の塩化パラジウムおよび1.85g(4.7mmol)の金酸の塩酸溶液を、コーティング装置中において30〜32℃の温度で35分間にわたって不連続的に噴霧する。
【0136】
次に、それら担体球を乾燥させ、そして200mlの水中に溶解させた20gのクエン酸三カリウム水和物を25分間にわたって噴霧する。10rpmのドラム回転速度において、噴霧を1バールで不連続的に行う。入口温度(温空気温度)は60℃であるが、生成物温度は、32〜30℃であった。これは、400μmのシェル厚みを有する均一含浸済み被覆触媒を生じた。ナノサイズ粒子の直径は、TEMによって決定する。平均粒子直径は、30nmである。
【0137】
生成物のガスクロマトグラフィー(GC)分析:
生成物の分析は、オンラインGCで行った。一つの炎イオン化検出器(FID)および二つの熱伝導度検出器(TCD)を装備した三チャンネルコンパクトGCを用いて、反応物および生成物を分析した。フロントチャンネルに、FIDおよびCP−Sil 5(20m)+WaxFFap(5m)カラムを装備し、そしてそれを用いて
アセトアルデヒド;
エタノール;
アセトン;
酢酸メチル;
酢酸ビニル;
酢酸エチル;
酢酸;
エチレングリコールジアセテート;
エチレングリコール;
エチリデンジアセテート;
パラアルデヒド;
を定量した。
【0138】
ミドルチャンネルに、TCDおよび Porabond Qカラムを装備し、それを用いて
CO
エチレン;
エタン;
を定量した。
【0139】
バックチャンネルに、TCDおよび Molsieve 5Aカラムを装備し、それを用いて
ヘリウム;
水素;
窒素;
メタン;
一酸化炭素;
を定量した。
【0140】
反応前に、異なった成分の保持時間を、個々の化合物でスパイキングすることによって決定し、そしてGCは、既知の組成の検量用ガスかまたは既知の組成物の液体溶液で検量した。これは、いろいろな成分についての応答因子の決定を可能にした。
【0141】
実施例1〜10は、本発明の方法の工程(a)に記載の、酢酸の酢酸エチルへの水素化の手順を記載する。
実施例1
利用した触媒は、実施例Aの手順にしたがって製造されたシリカ上1重量パーセントの白金および5重量パーセントの銅であった。
【0142】
ステンレス鋼製の、30mmの内径を有する且つ制御温度へ上昇させることが可能なチューブ状反応器中に、50mlのシリカ上1重量パーセントの白金および5重量パーセントの銅を配置する。充填後の触媒床の長さは、約70mmであった。反応前に、その触媒を、400℃の最終温度へ2℃/分の速度で加熱することによって現場で還元した。次に、窒素中の5mol%水素を、触媒室へ7500h−1のガス毎時空間速度(gas hourly space velocity)(GHSV)で導入した。還元後、触媒を、窒素中の5mol%水素のガス流を続けることによって275℃の反応温度へ冷却した。反応温度が、275℃でいったん安定したら、酢酸の水素化を、次のように開始した。
【0143】
供給液は、本質的に、酢酸を含んでいた。その反応供給液を、蒸発させ、そして反応器へ、キャリヤーガスとしての水素およびヘリウムと一緒に、約275℃の温度および15バールの圧力において約1250hr−1の平均混合ガス毎時空間速度(GHSV)で充填した。得られた供給流は、約4.4%〜約13.8%のモルパーセントの酢酸および約14%〜約77%のモルパーセントの水素を含有した。蒸気流出物の一部分を、流出物の内容物分析用に、ガスクロマトグラフを介して通過させた。酢酸エチルへの選択性は、37%の酢酸転化率で88.5%であった。
【0144】
実施例2
利用した触媒は、実施例Bの手順にしたがって製造されたシリカ上1重量パーセントのパラジウムおよび5重量パーセントのコバルトであった。
【0145】
実施例1に示された手順を、250℃の温度および8バールの圧力において、2,500hr−1の平均混合ガス毎時空間速度(GHSV)の気化した酢酸および水素(5のH対酢酸モル比)の供給流で、実質的に繰り返した。蒸気流出物の一部分を、流出物の内容物分析用に、ガスクロマトグラフを介して通過させる。酢酸転化率は、26%であり、酢酸エチル選択性は、91%であった。
【0146】
実施例3
利用した触媒は、実施例Cの手順にしたがって製造されたH−ZSM−5上1重量パーセントのパラジウムおよび5重量パーセントのコバルトであった。
【0147】
実施例1に示された手順を、250℃の温度および15バールの圧力において、2,500hr−1の平均混合ガス毎時空間速度(GHSV)の気化した酢酸および水素(5のH対酢酸モル比)の供給流で、実質的に繰り返した。蒸気流出物の一部分を、流出物の内容物分析用に、ガスクロマトグラフを介して通過させる。酢酸転化率は、18%であり、酢酸エチル選択性は、93%であった。
【0148】
実施例4
利用した触媒は、実施例Cの手順にしたがって製造されたH−ZSM−5上1重量パーセントのパラジウムおよび5重量パーセントのコバルトであった。
【0149】
実施例1に示された手順を、250℃の温度および1バールの圧力において、10,000hr−1の平均混合ガス毎時空間速度(GHSV)の気化した酢酸および水素(5のH対酢酸モル比)の供給流で、実質的に繰り返した。蒸気流出物の一部分を、流出物の内容物分析用に、ガスクロマトグラフを介して通過させる。酢酸転化率は、6%であり、酢酸エチル選択性は、約96%であった。形成された他の生成物は、エタン(1.8%)およびエタノール(0.3%)であった。
【0150】
実施例5
利用した触媒は、実施例Hの手順にしたがって製造されたH−ZSM−5上1重量パーセントのパラジウムおよび5重量パーセントのモリブデンであった。
【0151】
実施例1に示された手順を、250℃の温度および15バールの圧力において、2,500hr−1の平均混合ガス毎時空間速度(GHSV)の気化した酢酸および水素(5のH対酢酸モル比)の供給流で、実質的に繰り返した。蒸気流出物の一部分を、流出物の内容物分析用に、ガスクロマトグラフを介して通過させる。酢酸転化率は、18%であり、酢酸エチル選択性は、93%であった。形成された他の生成物は、エタン(4.3%)およびエタノール(0.2%)であった。
【0152】
実施例6
利用した触媒は、実施例Iの手順にしたがって製造された炭素上1重量パーセントのニッケルおよび5重量パーセントのモリブデンであった。
【0153】
実施例1に示された手順を、250℃の温度および15バールの圧力において、2,500hr−1の平均混合ガス毎時空間速度(GHSV)の気化した酢酸および水素(5のH対酢酸モル比)の供給流で、実質的に繰り返す。蒸気流出物の一部分を、流出物の内容物分析用に、ガスクロマトグラフを介して通過させる。酢酸転化率は、6%であり、酢酸エチル選択性は、88%であった。形成された他の生成物は、エタン(3.3%)およびエタノール(4.9%)であった。
【0154】
実施例7
利用した触媒は、実施例Jの手順にしたがって製造されたチタニア上1重量パーセントの白金であった。
【0155】
実施例1に示された手順を、250℃の温度および15バールの圧力において、2,500hr−1の平均混合ガス毎時空間速度(GHSV)の気化した酢酸および水素(5のH対酢酸モル比)の供給流で、実質的に繰り返す。蒸気流出物の一部分を、流出物の内容物分析用に、ガスクロマトグラフを介して通過させる。酢酸転化率は、41%であり、酢酸エチル選択性は、88%であった。形成された他の生成物は、エタン(4.8%)およびメタン(1.7%)であった。
【0156】
実施例8
利用した触媒は、実施例7で用いた同じ触媒であり、それを、この実施例8で再生使用した。
【0157】
実施例1に示された手順を、250℃の温度および15バールの圧力において、2,500hr−1の平均混合ガス毎時空間速度(GHSV)の気化した酢酸および水素(5のH対酢酸モル比)の供給流で、実質的に繰り返す。蒸気流出物の一部分を、流出物の内容物分析用に、ガスクロマトグラフを介して通過させる。酢酸転化率は、41%であり、酢酸エチル選択性は、87%であった。形成された他の生成物は、エタン(5%)およびメタン(1.7%)であった。
【0158】
実施例9
利用した触媒は、実施例Kの手順にしたがって製造されたチタニア上1重量パーセントのパラジウムおよび5重量パーセントのレニウムであった。
【0159】
実施例1に示された手順を、250℃の温度および15バールの圧力において、2,500hr−1の平均混合ガス毎時空間速度(GHSV)の気化した酢酸および水素(5のH対酢酸モル比)の供給流で、実質的に繰り返す。蒸気流出物の一部分を、流出物の内容物分析用に、ガスクロマトグラフを介して通過させる。酢酸転化率は、61%であり、酢酸エチル選択性は、87%であった。形成された他の生成物は、エタノール(11%)およびアセトアルデヒド(1.3%)であった。
【0160】
実施例10A
利用した触媒は、実施例Lの手順にしたがって製造された炭素上1重量パーセントの白金および5重量パーセントのモリブデンであった。
【0161】
実施例1に示された手順を、250℃の温度および15バールの圧力において、2,500hr−1の平均混合ガス毎時空間速度(GHSV)の気化した酢酸および水素(5のH対酢酸モル比)の供給流で、実質的に繰り返す。蒸気流出物の一部分を、流出物の内容物分析用に、ガスクロマトグラフを介して通過させる。酢酸転化率は、15%であり、酢酸エチル選択性は、85%であった。形成された他の生成物は、エタン(7.1%)およびエタノール(5.2%)であった。
【0162】
実施例10B
利用した触媒は、実施例Mの手順にしたがって製造されたシリカ上1重量パーセントのパラジウムおよび5重量パーセントのジルコニウムであった。
【0163】
実施例1に示された手順を、250℃の温度および15バールの圧力において、2,500hr−1の平均混合ガス毎時空間速度(GHSV)の気化した酢酸および水素(5のH対酢酸モル比)の供給流で、実質的に繰り返す。蒸気流出物の一部分を、流出物の内容物分析用に、ガスクロマトグラフを介して通過させる。酢酸転化率は、8.3%であり、酢酸エチル選択性は、84%であった。形成された他の生成物は、メタン(7.9%)およびエタン(1%)であった。
【0164】
実施例10C
利用した触媒は、実施例Nの手順にしたがって製造されたチタニア上1重量パーセントの白金および5重量パーセントの銅であった。
【0165】
実施例1に示された手順を、250℃の温度および15バールの圧力において、2,500hr−1の平均混合ガス毎時空間速度(GHSV)の気化した酢酸および水素(5のH対酢酸モル比)の供給流で、実質的に繰り返す。蒸気流出物の一部分を、流出物の内容物分析用に、ガスクロマトグラフを介して通過させる。酢酸転化率は、10%であり、酢酸エチル選択性は、84%であった。形成された他の生成物は、アセトン(8.4%)およびアセトアルデヒド(7.1%)であった。
【0166】
実施例10D
利用した触媒は、実施例Oの手順にしたがって製造されたチタニア上1重量パーセントのニッケルおよび5重量パーセントのレニウムであった。
【0167】
実施例1に示された手順を、250℃の温度および15バールの圧力において、2,500hr−1の平均混合ガス毎時空間速度(GHSV)の気化した酢酸および水素(5のH対酢酸モル比)の供給流で、実質的に繰り返す。蒸気流出物の一部分を、流出物の内容物分析用に、ガスクロマトグラフを介して通過させる。酢酸転化率は、16.2%であり、酢酸エチル選択性は、83%であった。形成された他の生成物は、エタノール(10.4%)およびエタン(2%)であった。
【0168】
実施例10E
利用した触媒は、実施例Pの手順にしたがって製造されたシリカ上1重量パーセントの白金および5重量パーセントのモリブデンであった。
【0169】
実施例1に示された手順を、250℃の温度および15バールの圧力において、2,500hr−1の平均混合ガス毎時空間速度(GHSV)の気化した酢酸および水素(5のH対酢酸モル比)の供給流で、実質的に繰り返す。蒸気流出物の一部分を、流出物の内容物分析用に、ガスクロマトグラフを介して通過させる。酢酸転化率は、14.3%であり、酢酸エチル選択性は、82.4%であった。形成された他の生成物は、エタン(6.6%)およびエタノール(5.7%)であった。
【0170】
実施例10F
利用した触媒は、実施例Qの手順にしたがって製造されたシリカ上1重量パーセントのパラジウムおよび5重量パーセントのモリブデンであった。
【0171】
実施例1に示された手順を、250℃の温度および15バールの圧力において、2,500hr−1の平均混合ガス毎時空間速度(GHSV)の気化した酢酸および水素(5のH対酢酸モル比)の供給流で、実質的に繰り返す。蒸気流出物の一部分を、流出物の内容物分析用に、ガスクロマトグラフを介して通過させる。酢酸転化率は、9.8%であり、酢酸エチル選択性は、82%であった。形成された他の生成物は、エタノール(8.3%)およびエタン(3.5%)であった。
【0172】
実施例10G
利用した触媒は、実施例Rの手順にしたがって製造されたシリカ上5重量パーセントの銅および5重量パーセントのジルコニウムであった。
【0173】
実施例1に示された手順を、250℃の温度および15バールの圧力において、2,500hr−1の平均混合ガス毎時空間速度(GHSV)の気化した酢酸および水素(5のH対酢酸モル比)の供給流で、実質的に繰り返す。蒸気流出物の一部分を、流出物の内容物分析用に、ガスクロマトグラフを介して通過させる。酢酸転化率は、2.2%であり、酢酸エチル選択性は、81.4%であった。形成された他の生成物は、エタン(3.3%)およびアセトアルデヒド(10%)であった。
【0174】
実施例10H
利用した触媒は、実施例Dの手順にしたがって製造されたシリカ上5重量パーセントの銅および5重量パーセントのクロムであった。
【0175】
実施例1に示された手順を、250℃の温度および15バールの圧力において、2,500hr−1の平均混合ガス毎時空間速度(GHSV)の気化した酢酸および水素の供給流で、実質的に繰り返す。蒸気流出物の一部分を、流出物の内容物分析用に、ガスクロマトグラフを介して通過させる。酢酸転化率は、25%であり、酢酸エチル選択性は、約75%である。
【0176】
実施例10I
利用した触媒は、実施例Eの手順にしたがって製造された高純度低表面積シリカ上5重量パーセントの炭化モリブデン(MoC)であった。
【0177】
実施例1に示された手順を、250℃の温度および15バールの圧力において、2,500hr−1の平均混合ガス毎時空間速度(GHSV)の気化した酢酸および水素の供給流で、実質的に繰り返す。蒸気流出物の一部分を、流出物の内容物分析用に、ガスクロマトグラフを介して通過させる。酢酸転化率は、25%であり、酢酸エチル選択性は、75%である。
【0178】
実施例10J
利用した触媒は、実施例Fの手順にしたがって製造されたチタニア上1重量パーセントの白金および5重量パーセントのモリブデンであった。
【0179】
実施例1に示された手順を、250℃の温度および15バールの圧力において、2,500hr−1の平均混合ガス毎時空間速度(GHSV)の気化した酢酸および水素の供給流で、実質的に繰り返す。蒸気流出物の一部分を、流出物の内容物分析用に、ガスクロマトグラフを介して通過させる。酢酸転化率は、約50%であり、酢酸エチル選択性は、85%である。
【0180】
実施例10K
利用した触媒は、実施例Gの手順にしたがって製造されたシリカ上1重量パーセントのパラジウムであった。
【0181】
実施例1に示された手順を、250℃の温度および15バールの圧力において、2,500hr−1の平均混合ガス毎時空間速度(GHSV)の気化した酢酸および水素の供給流で、実質的に繰り返す。蒸気流出物の一部分を、流出物の内容物分析用に、ガスクロマトグラフを介して通過させる。酢酸転化率は、約65%であり、酢酸エチル選択性は、85%である。
【0182】
実施例11は、本発明の工程(b)に記載の、酢酸エチルのエチレンおよび酢酸へのクラッキングを記載する。
実施例11
Schreck の米国特許第4,399,305号に示された手順を用いて、本発明の方法の工程(c)においてNAFIONをクラッキング触媒として185℃で用い、本発明の方法の工程(b)からの酢酸エチル富化された供給流を用いて、酢酸エチルをエチレンおよび酢酸へクラッキングする。
【0183】
実施例12
利用する触媒は、実施例Sの手順にしたがって製造されたK、Pd、Au/TiOである。Zeyssらの米国特許第6,852,877号に示された手順を用いて、本発明の方法の工程(d)を、本発明の方法の工程(c)からの供給流および分子酸素を、所望ならば、生成物流の化学量論を平衡させる追加量の酢酸と組み合わせて用いて行う。
【0184】
実施例13
利用する触媒は、実施例Tの手順にしたがって製造されたPdおよびAuである。Nicolauらの米国特許第5,691,267号に示された手順を用いて、本発明の方法の工程(d)を、本発明の方法の工程(c)からの供給流および分子酸素を、所望ならば、生成物流の化学量論を平衡させる追加量の酢酸と組み合わせて用いて行う。
【0185】
実施例14
利用する触媒は、実施例Uの手順にしたがって製造されたPd、AuおよびKである。Abelらの米国特許第6,114,571号に示された手順を用いて、本発明の方法の工程(d)を、本発明の方法の工程(c)からの供給流および分子酸素を、所望ならば、生成物流の化学量論を平衡させる追加量の酢酸と組み合わせて用いて行う。
【0186】
実施例15
利用する触媒は、実施例Sの手順にしたがって製造されたPd、AuおよびBである。Hagemeyerらの米国特許第6,603,0.8号に示された手順を用いて、本発明の方法の工程(d)を、本発明の方法の工程(c)からの供給流および分子酸素を、所望ならば、生成物流の化学量論を平衡させる追加量の酢酸と組み合わせて用いて行う。
【0187】
本発明を、具体的な実施例に関連して詳しく説明してきたが、本発明の精神および範囲の範囲内でのこれら実施例への修飾は、当業者に容易に明らかであろう。前述の考察、当該技術分野において関係のある知識、ならびに背景技術および詳細な説明に関連して上に論じられ、それらの開示が全て本明細書中に援用される参考文献を考慮すると、更なる説明は不必要であると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酢酸から酢酸ビニルを製造する方法であって、
(a)好適な触媒担体上に担持された、ニッケル、白金およびパラジウムからなる群より選択される少なくとも一つの金属、およびモリブデン、レニウム、ジルコニウム、銅およびコバルトより選択される少なくとも一つの金属を含有する好適な水素化触媒と、酢酸および水素を含有する供給流とを高温で接触させて、酢酸エチルを含む第一気体生成物流を形成し、但し、白金は、モリブデン、レニウム、ジルコニウム、銅またはコバルトを含むことなく用いてよいという条件付きであり、そしてここにおいて、触媒は、ルテニウム、イリジウム、クロム、スズ、タングステン、バナジウムおよび亜鉛からなる群より選択される1または複数の追加の金属触媒を更に包含してよく;
(b)該第一気体生成物流を、酢酸エチルで少なくとも50モルパーセントに富化し;
(c)第二反応区域において、工程(b)において得られた該富化された第一気体生成物流と、好適なクラッキング触媒とを高温で接触させて、エチレンおよび酢酸の混合物を含む第二気体生成物を形成し;
(d)第三反応区域において、工程(c)において得られた該第二気体生成物を、分子酸素および場合により追加量の酢酸を含む第二供給流と組み合わせて、触媒の存在下において接触させて、酢酸ビニルを含む第三気体生成物流を形成し;そして
(e)酢酸ビニルを該第三気体生成物流から分離すること;
を含む上記方法。
【請求項2】
工程(a)における水素化触媒が、約0.1〜1の範囲内のPt/Cu重量比での白金および銅の組み合わせ;約0.1〜1の範囲内のPd/Co重量比でのパラジウムおよびコバルトの組み合わせ;ニッケル/モリブデン(Ni/Mo)、パラジウム/モリブデン(Pd/Mo)および白金/モリブデン(Pt/Mo)の組み合わせ;からなる群より選択され、ここにおいて、水素化触媒が、H−ZSM−5、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、ケイ酸カルシウム、炭素、ジルコニア、チタニアおよびそれらの混合物からなる群より選択される担体上に担持されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(c)におけるクラッキング触媒が、ペルフルオロスルホン酸樹脂、H−モルデナイト、ZSM−5、ゼオライトXおよびゼオライトYからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第一気体生成物流を、工程(b)において、酢酸エチルで少なくとも80モルパーセントまで富化する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
工程(a)における反応物が、約100:1〜1:100の範囲内のモル比を有する酢酸および水素から成り、反応区域の温度が、約200℃〜300℃の範囲内であり、そして反応区域の圧力が、約1〜30絶対気圧の範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
工程(a)における反応物が、約1:20〜1:2の範囲内のモル比を有する酢酸および水素から成り、反応区域の温度が、約225℃〜275℃の範囲内であり、そして反応区域の圧力が、約1〜30絶対気圧の範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
工程(a)における水素化触媒が、約0.5重量パーセント〜約1重量パーセントの装填量で触媒担体上に担持された白金、および約2.5重量パーセント〜約5重量パーセントの装填量で触媒担体上に担持された銅であり、ここにおいて、触媒担体が、シリカ、黒鉛、シリカ−アルミナまたはジルコニアである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
工程(a)における水素化触媒が、約1重量パーセントの装填量で触媒担体上に担持されたパラジウム、および約5重量パーセントの装填量で触媒担体上に担持されたコバルトであり、ここにおいて、触媒担体が、H−ZSM−5、シリカ、黒鉛、シリカ−アルミナ、ジルコニア、チタニアまたは酸化鉄である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
工程(d)における触媒が、パラジウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
工程(d)における触媒が、金および酢酸カリウムを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
パラジウムが、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、チタニアおよびジルコニアからなる群より選択される触媒担体上に担持されている、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
エチレン対分子酸素のモル比が、約4:1以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
工程(d)において、分子酸素を空気の形で加える、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
酢酸から酢酸ビニルを製造する方法であって、
(a)第一反応区域において、好適な触媒担体上に約0.5重量パーセント〜約1重量パーセントの白金またはパラジウム;および約2.5重量パーセント〜約5重量パーセントの銅またはコバルトを含有する好適な水素化触媒と、酢酸および水素を含有する供給流とを高温で接触させて、酢酸エチルを含有する第一気体生成物を形成し;
(b)該第一気体生成物流を、酢酸エチルで少なくとも50モルパーセントに富化し;
(c)第二反応区域において、工程(b)において得られた該富化された第一気体生成物と、ペルフルオロスルホン酸樹脂、H−モルデナイトまたはZSM−5より選択されるクラッキング触媒とを高温で接触させて、エチレンおよび酢酸の混合物を含む第二気体生成物を形成し;
(d)第三反応区域において、工程(c)において得られた該第二気体生成物流を、分子酸素および場合により追加量の酢酸を含む第二供給流と組み合わせて、触媒の存在下において接触させて、酢酸ビニルを含む第三気体生成物流を形成し;そして
(e)酢酸ビニルを該第三気体生成物流から分離すること;
を含む上記方法。
【請求項15】
工程(a)における水素化を、担体上の水素化触媒であって、シリカ上に担持された約半(0.5)重量パーセントの装填レベルでの白金および約2と半(2.5)重量パーセントの装填レベルでの銅;シリカ上に担持された約1重量パーセントの装填レベルでの白金および約5重量パーセントの装填レベルでの銅;およびシリカまたはH−ZSM−5上に担持された約1重量パーセントの装填レベルでのパラジウムおよび約5重量パーセントの装填レベルでのコバルト;からなる群より選択される触媒上で行う、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
工程(a)における酸触媒が、シリカ上に担持された約1重量パーセントの装填レベルでの白金および約5重量パーセントの装填レベルでの銅である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
工程(a)における酸触媒が、シリカまたはH−ZSM−5上に担持された約1重量パーセントの装填レベルでのパラジウムおよび約5重量パーセントの装填レベルでのコバルトである、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
工程(a)における水素化を、触媒床中の圧力降下を克服するのにちょうど十分な圧力で行う、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
工程(a)における反応物が、約100:1〜1:100の範囲内のモル比を有する酢酸および水素から成り、反応区域の温度が、約200℃〜300℃の範囲内であり、そして反応区域の圧力が、約5〜25絶対気圧の範囲内であり、そして反応物および触媒の接触時間が、約0.5秒〜100秒の範囲内である、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
工程(a)における反応物が、約1:20〜1:2の範囲内のモル比を有する酢酸および水素から成り、反応区域の温度が、約225℃〜275℃の範囲内であり、そして反応区域の圧力が、約8〜20絶対気圧の範囲内であり、そして反応物および触媒の接触時間が、約0.5秒〜100秒の範囲内である、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
工程(b)におけるクラッキング触媒が、ペルフルオロスルホン酸樹脂である、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
工程(d)における触媒が、パラジウムを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
工程(d)における触媒が、金および酢酸カリウムを更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
パラジウムが、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、チタニアおよびジルコニアからなる群より選択される触媒担体上に担持されている、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
エチレン対分子酸素のモル比が、約4:1以下である、請求項14に記載の方法。
【請求項26】
工程(c)において、分子酸素を空気の形で加える、請求項14に記載の方法。
【請求項27】
酢酸から酢酸ビニルを製造する方法であって、
(a)第一反応区域において、好適な触媒担体上に担持された約0.5重量パーセント〜約1重量パーセントのパラジウムおよび2.5重量パーセント〜約5重量パーセントのレニウムを含有する触媒と、酢酸および水素を含有する供給流とを高温で接触させ;
(b)前記第一気体生成物流を、酢酸エチルで少なくとも50モルパーセントに富化し;
(c)第二反応区域において、工程(b)において得られた該富化された第一気体生成物と、ペルフルオロスルホン酸樹脂とを高温で接触させて、エチレンおよび酢酸の混合物を含む第二気体生成物を形成し;
(d)第三反応区域において、工程(c)において得られた該第二気体生成物流を、分子酸素および場合により追加量の酢酸を含む第二供給流と組み合わせて、担持されたパラジウム触媒の存在下において接触させて、酢酸ビニルを含む第三気体生成物流を形成し;そして
(e)酢酸ビニルを該第三気体生成物流から分離すること;
を含む方法。
【請求項28】
水素化触媒担体が、約1重量パーセントの装填レベルでのパラジウムおよび約5重量パーセントの装填レベルでのレニウムを含有し、そして触媒担体が、チタニアである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
第一および第二反応区域が、それぞれ、第一触媒組成物の第一層および第二触媒組成物の第二層を固定床中に含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
第一および第二反応区域が、別々の容器中である、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
消費される酢酸に基づく酢酸エチルへの選択性が、少なくとも約80%である、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
工程(a)における反応物が、約100:1〜1:100の範囲内のモル比を有する酢酸および水素から成り、反応区域の温度が、約200℃〜300℃の範囲内であり、そして反応区域の圧力が、約5〜25絶対気圧の範囲内である、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
工程(a)における反応物が、約1:20〜1:2の範囲内のモル比を有する酢酸および水素から成り、反応区域の温度が、約225℃〜275℃の範囲内であり、そして反応区域の圧力が、約8〜20絶対気圧の範囲内である、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
工程(d)における触媒が、金および酢酸カリウムを更に含む、請求項27に記載の方法。
【請求項35】
工程(d)において、パラジウムが、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、チタニアおよびジルコニアからなる群より選択される触媒担体上に担持されている、請求項27に記載の方法。
【請求項36】
工程(d)において、エチレン対分子酸素のモル比が、約4:1以下である、請求項27に記載の方法。
【請求項37】
工程(d)において、分子酸素を空気の形で加える、請求項27に記載の方法。

【公表番号】特表2012−514035(P2012−514035A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544410(P2011−544410)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/006726
【国際公開番号】WO2010/077343
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(500175107)セラニーズ・インターナショナル・コーポレーション (77)
【Fターム(参考)】