説明

酸ペレットの製造方法

本発明は、活性物質を含有する医薬品製剤を調製するのに好適な実質的に球状/ボール状の酒石酸スターターペレットの改善された製造方法、並びにこの方法により得られうるそのようなペレット、及び活性物質を含有する医薬品製剤を調製するための出発原料としてのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性物質を含む医薬品製剤の調製に好適な実質的に球状/ボール状の酒石酸スターターペレット(Weinsaeurestarterpellets)を製造する改善された方法、並びにこの方法により得られ得るそのようなペレット、及び活性物質を含む医薬品製剤の調製のための出発原料としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ペレット、即ち、小さな丸い小球は、薬学的な製剤の基礎原料として先行技術において知られている。トウモロコシデンプン及びショ糖からなる、いわゆる「中性の」ペレットは、ペレットの形態で薬学的な製剤の基礎原料として度々使用される。主に有機酸からなるスターターペレット(Starterpellet)を使用することもまた可能である。この種のペレット製剤は例えば、WO03/074056に開示されている。これらの製剤は、結合剤及び必要に応じて離型剤を含む活性物質の層を、薬学的に許容される有機酸からなる又はこれを含む実質的に球状のコア材料に塗布して、コア材料を包むようにした複合物である。コア層及び活性物質層はいわゆる分離層によりお互いから分離される。この種の活性物質製剤の構造はWO03/074056の図1に概略的に示されている。
必要とされる実質的に球状の形を有するこの種の酸スターターペレットの製造は、しかしながら予想外に難しいことが判明した。特に、所望の球状の対称性から過度に逸脱する可能性が常にあり、例えばより大きな球から形成された塊の外側に小さな塊が付着していわゆるサテライトを形成する場合がある。スターターペレットが酸に感受性の活性物質層に囲まれているペレット製剤においては、これらのサテライトが分離層の塗工の後に離脱することがあり、それゆえ分離材(Isolierung)に欠損をもたらす。これはひいては活性物質のペレットの保存安定性に有害な効果を有する。
本発明の課題は、形のそろった球状の形状を有するいわゆるスターターペレットを提供することである。加えて、それらは分離材にサテライトにより引き起こされる少数のみの潜在的な欠損を有しているべきである。可能な限り完全に球状の形状と、酸に感受性の活性物質の低い表面粗さを達成することが特に重要であり、ここで、脱離したサテライト又は酒石酸粉末の大きすぎる粒子上の過剰に粗い表面により引き起こされる分離材の欠損は保存安定性及びそれ故、最終製品の保存期間の重大な損傷に帰着しうるものである。酸に感受性の活性物質についてのこの理由により、高い再現性と一貫した高い品質を備えたもののような分離層を塗工することが必須である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO03/074056
【発明を実施するための形態】
【0004】
本発明は、上記で概要を説明した問題を解決するスターターペレットを製造するための方法に関する。
本発明の方法は一連の部分的な工程により特徴付けられる。まず、コアが薬学的に許容される有機酸から製造される。本発明の範囲内ではコアを調製するために酒石酸が使用される。斯くして得られたコア材料は次いで、分離懸濁液をスプレーすることにより、いわゆる分離された酒石酸コアに変換される。本発明の範囲内では分離された酒石酸コアは必要に応じて分離された酒石酸ペレット又はスターターペレットと言及されてもよい。
コアは、0.2mmから0.8mm、好ましくは0.3mmから0.7mm、特に好ましくは0.4mmから0.6mmの範囲の粒径(エアジェットふるいわけ(Luftstrahlsiebung)により決定される)を有する酒石酸粒子から調製され、その上には酒石酸と結合剤の溶液がスプレーされる。溶液を調製するために以下の方法が使用される。酒石酸をまず、昇温下、好ましくは30℃から70℃の範囲、特に好ましくは40℃から60℃の範囲の温度で、好適な結合剤、好ましくはアカシアゴム(アラビアゴム)と共に水に溶解する。投入される酒石酸のキログラムあたり、好ましくは0.1kgから0.3kg、特に好ましくは0.15kgから0.25kg、特には約0.2kgのアカシアゴムが使用される。水の量は、投入される酒石酸のキログラムあたり、好ましくは0.6kgから1.0kg、好ましくは0.7kgから0.9kg、特には約0.8kgである。
本発明では、好ましくは、まず上記の温度でアカシアゴムの透明な水溶液を調製する。これが得られたら、次いで撹拌を続けながら酒石酸を好ましくは定温で加える。添加が終了した後、混合物を少なくとも1時間、好ましくは3時間から10時間、特に好ましくは4時間から8時間、特に好ましくは5時間から6時間撹拌する。
斯くして得られた溶液を、粒径0.2mmから0.8mm、好ましくは0.3mmから0.7mm、特に好ましくは0.4mmから0.6mmの酒石酸粒子上にスプレーする。上記の粒径を有する粒子の比率は、少なくとも90%であるべきであり、好ましくは少なくとも95%、特に好ましくは少なくとも97%である。このため、酒石酸粒子は好適な容器中に置かれる。その容器は好ましくは、容器の回転によりこの中で粒子を混合して動かせる容器(Kessel)である。様々な型の容器が当業界に知られており、必要に応じてドラムコーターとも言及されてもよい。この問題については、例えば、EP80199、WO83/03052、WO95/19713、又はWO06/134133の開示が参照される。本発明の範囲内においては、本発明の方法に使用することができる容器は水平容器(Horizontalkessel)としても知られている。
【0005】
以上に記載された方法により調製される酸性ゴム溶液は、次いで回転により動き続ける粒子上にスプレーされる。
本発明の範囲内において、スプレーに供される材料は必要に応じてペレット床(Pelletbett)としても言及される。本発明の範囲内において、ペレットという語は粒子又はコアという語と等価とみなされる。
本発明によれば、供給される酒石酸の粒子のキログラムあたり、好ましくは0.8kgから1.6kg、特に好ましくは1.0kgから1.4kg、特に好ましくは1.2kgの上記の酸性ゴム溶液がスプレーされる。
本発明の方法における供給エアの量は、バッチの大きさに依存する。本発明に従って供給される酒石酸コアのキログラムあたりの標準化した供給エアの量は、好ましくは0.5(m3/h)/kgから2(m3/h)/kg、好ましくは0.75(m3/h)/kgから1.5(m3/h)/kg、特に好ましくは0.9(m3/h)/kgから1.1(m3/h)/kgの範囲である。供給エアの量とは、時間あたり回転するペレット床に導入される乾燥した空気の量を意味する。もし、例えば1000kgn酒石酸コアが1回のバッチに入れられるのであれば、1.0(m3/h)/kgの供給エアの標準化された量は、1000m3/hの供給エアの実際の量に対応する。本発明によれば、乾燥するために供給される供給エアの温度は、好ましくは90℃未満であり、特に好ましくは80℃未満である。理想的には、供給エアの温度は35℃から75℃の範囲内であるべきである。
本発明によれば、ペレットの温度(形成されるペレット床の温度)は、好ましくは30℃から50℃の範囲内であり、特に好ましくは36℃から44℃の範囲内であり、理想的には38℃から42℃の範囲内である。
差圧は好ましくは、1mbarから3mbar、特に好ましくは1.5mbarから2.5mbar、特に好ましくは1.8mbarから2.2mbarである。差圧は容器の圧力と環境気圧との間の圧力差である。容器は好ましくは減圧下におき、酸性の埃が漏れないようにするべきである。
【0006】
スプレーは所定の溶射速度で行われる。溶射速度は、時間当たり回転するペレット床にスプレーされる酸性ゴム溶液の量を意味する。溶射速度は本発明の方法におけるバッチの大きさに依存する。本発明による標準化された溶射速度は、供給される酒石酸の結晶のキログラムあたり、好ましくは0.2(kg/h)/kgから0.4(kg/h)/kgの範囲、好ましくは0.25(kg/h)/kgから0.35(kg/h)/kgの範囲、特に好ましくは0.28(kg/h)/kgから0.32(kg/h)/kgの範囲である。例えば、1000kgの酒石酸結晶が1バッチに入れられるのであれば、標準化された溶射速度0.3(kg/h)/kgは、実際の溶射速度300kg/hに対応する。
酸性ゴム溶液の最初の部分が粒径0.2mmから0.8mmの酒石酸粒子上にスプレーされ、容器を回転させることにより溶液が行き渡った後、微細な酒石酸粉末を湿った酒石酸粒子上に塗す。この酒石酸粉末は100ミクロン未満、好ましくは75ミクロン未満、特に好ましくは50ミクロン未満の粒径(エアジェットふるいわけにより決定される)の酒石酸粒子からなる。上記の粒径の粒子の割合は、少なくとも85%であるべきであり、好ましくは少なくとも90%、特に好ましくは少なくとも94%である。本発明によれば、供給される酒石酸粒子のキログラムあたり、好ましくは0.4kgから1.2kg、特に好ましくは0.6kgから1.0kg、特に好ましくは0.8kgの上記の酒石酸粉末を使用する。上記の酒石酸粉末を塗した後、生成物の温度が約30℃から50℃、好ましくは約40℃に到達するまでスプレー材料を乾燥する。この後、酸性ゴム溶液が再びスプレーされる。
球状の粒子の均一な形成を確実にするために、酸性ゴム溶液のスプレー及び酒石酸粉末を塗しは交互に行われる。酸性ゴム溶液及び酒石酸粉末の総量は、少なくとも100、好ましくは150から350、特に好ましくは200から300、特に好ましくは約250の類似の大きさのバッチにより供給され、上記に記載された方法の工程は回数に対応して繰り返される。
一度方法が終了すれば、得られたコアは乾燥される。乾燥は好ましくは50℃から70℃、好ましくは55℃から65℃の温度で、24時間から72時間、好ましくは36時間から60時間の期間にわたって行われる。
【0007】
酒石酸コアの調製の後、いわゆるコア材料の分離が必要である。分離層は酒石酸コアの周囲に塗布され、最終製品において活性物質と酒石酸コアとの如何なる相互作用をも防止する。
コア材料は、分離懸濁液を上記の方法で得られた酒石酸コア上にスプレーすることにより分離される。分離懸濁液を調製するために、バッチ容器中にエタノールを入れ、撹拌しながらヒドロキシプロピルメチルセルロース及びジメチルポリシロキサンをそこに添加して溶解し、次いでタルクを添加して懸濁する。
ヒドロキシプロピルメチルセルロースとタルクの使用は、例えば、アラビアゴムとタルクの使用よりも有用であることが示された。タルクと共にヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用することにより、再現性のある方法で一定品質の分離層を製造することができる。この品質と再現性は工業的規模で試験された。
分離懸濁液を調製するために、エタノールのキログラムあたり、好ましくは0.04kgから0.06kg、特に好ましくは0.046kgから0.05kgのヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用する。ヒドロキシプロピルメチルセルロースの使用に加えて、本発明によれば、泡立ちを防止するため分離懸濁液にジメチルポリシロキサンを添加することが特に好ましいと示された。分離懸濁液2の調製液に撹拌しながら添加するジメチルポリシロキサンの量は、エタノールのキログラムあたり、好ましくは0.6gから1.2g、特に好ましくは0.8gから0.9gである。最終的にタルクを添加して撹拌しながらそこに懸濁する。エタノールのキログラムあたり、好ましくは0.04kgから0.06kg、特に好ましくは0.046kgから0.05kgのタルクを使用する。
【0008】
一つの態様においては、本発明は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを、好ましくは上記の量で含有するエタノール分離懸濁液に関する。もう一つの態様においては、本発明は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースに加えて、ジメチルポリシロキサンを好ましくは上記の量で含有するエタノール分離懸濁液に関する。もう一つの態様においては、本発明は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びジメチルポリシロキサンに加えて、タルクを好ましくは上記の量で含有するエタノール分離懸濁液に関する。もう一つの態様においては、本発明は、上記の方法により得ることができるエタノール分離懸濁液に関する。
もう一つの態様においては、本発明は酒石酸コアの分離のためのエタノール分離懸濁液の使用に関する。別の態様においては、本発明はダビガトランエテキシレートメタンスルホネートの医薬品製剤の調製のための出発原料としてのエタノール分離懸濁液の使用に関する。
斯くして調製された分離懸濁液2を、水平塗工機中での連続したスプレー方法において、先に調製された酒石酸ペレットにスプレーする。供給された酒石酸コアのキログラムあたり、0.5kgから0.8kg、好ましくは0.55kgから0.75kg、特に好ましくは0.6kgから0.7kgの分離懸濁液をスプレーする。
スプレーは所定の溶射速度で実施される。溶射速度とは時間あたり、ペレット上にスプレーされる分離懸濁液の量を意味する。本発明の方法における上記溶射速度は、バッチの大きさに依存する。本発明による標準化された溶射速度は、供給される酒石酸ペレットのキログラムあたり、好ましくは0.01(kg/h)/kgから0.1(kg/h)/kg、好ましくは0.02(kg/h)/kgから0.04(kg/h)/kg、特に好ましくは0.025(kg/h)/kgから0.035(kg/h)/kgである。仮に、例えば1200kgの酒石酸コアを1バッチに入れるのであれば、0.027(kg/h)/kgの標準化された溶射速度は32kg/hの実際の溶射速度に対応する。仮に、例えば600kgの酒石酸コアを1バッチに入れるのであれば、0.035(kg/h)/kgの標準化された溶射速度は21kg/hの実際の溶射速度に対応する。
この連続した方法の行われる間、コアは、70℃まで、好ましくは25℃から70℃の空気の供給により連続して乾燥される。
供給エアの量とは、時間当たり回転するペレット床に導入される乾燥空気の量を意味する。本発明の方法における供給エアの量はバッチの大きさに依存する。本発明による標準化された供給エアの量は、最初に供給された酒石酸コアのキログラムあたり、好ましくは1.0(m3/h)/kgから2.5(m3/h)/kg、好ましくは1.2(m3/h)/kgから2.0(m3/h)/kg、特に好ましくは1.40(m3/h)/kgから1.85(m3/h)/kgである。仮に、例えば600kgの酒石酸コアを1バッチに入れるのであれば、1.83(m3/h)/kgの供給エアの標準化された量は1100m3/hの供給エアの実際の量に対応する。仮に、例えば1200kgの酒石酸コアを1バッチに入れるのであれば、1.42(m3/h)/kgの供給エアの標準化された量は1700m3/hの供給エアの実際の量に対応する。
【0009】
もう一つの側面においては、本発明は上記の方法により得られる分離された酒石酸コアそれ自体に関する。
本発明により得られる分離された酒石酸コア3は、追加の処理を非常に容易にする形のそろった球状の形状を有する。加えて、本発明のペレット3は、いわゆるサテライトにより引き起こされる欠損がほんの少しである。いわゆるサテライトは、丸いペレットの外側に付着する小さな粒子であり、それは、球状のペレットの形態に悪影響を有する。酸感受性活性物質について、ペレット3の可能な限り完全に球状の形態と、低い表面粗さを達成することが特に重要であり、ここで、サテライトにより引き起こされる分離層における欠陥、又は大きすぎる酒石酸粉末の粒子により引き起こされる過剰に粗い表面は最終製品の保存安定性、及びそれ故に寿命を大いに損なう可能性がある。
先行技術において記載された方法を使用した発明によれば、活性物質を含むペレットはペレットから調製できる。
もう一つの側面において、本発明は活性物質を含む医薬品製剤の調製のための出発原料としての本発明のペレットの使用に関する。
スターターペレットから始まるジピリダモールのペレット製剤の調製の例はEP32562(特に、実施例1及び2)に見出すことができる。アセチルサリチル酸と組み合わせたジピリダモールのペレット製剤の調製の例はEP257344に見出される(注:特に実施例2)。ダビガトランを含む製剤の調製については、例としてWO03/074056の開示が参照される。
【0010】
本発明のペレットから始まって、スターターペレットを上記の公報に記載された活性物質で塗工する方法を使用することができる。
それ故もう一つの態様においては、本発明は、活性物質がジピリダモール、ダビガトラン、及びアセチルサリチル酸、又はそれらの組み合わせの中から選択される、活性物質含有医薬品製剤の調製のための出発原料としての本発明によるペレットの使用に関する。
好ましい側面においては、本発明は、ジピリダモール含有製剤の調製のための出発原料としての本発明のペレットの使用に関する。本発明のもう一つの好ましい側面は、ダビガトラン含有製剤の調製のための出発原料としての本発明のペレットの使用に関する。
以下の実施例は本発明のより詳細な説明に寄与する。
【実施例】
【0011】
<エアジェットふるいわけによる酒石酸の粒径の決定>
[測定機器及び設定]
測定機器:エアジェットふるい、例えばAlpine A 200 LS
ふるい:必要に応じる
投入された重量:10g/ふるい
期間:1分/ふるい、次いで最大の重量の損失0.1gに到達するまで1分毎。
[試料の調製/製品の供給]
物質を乳鉢に移し、存在する全ての塊を強くたたいて破壊する。ゴム製のシールと覆いを備えたふるいを天秤皿におき、値をゼロに設定して10.0gのたたいた物質をふるい上に置く。ふるいを、その中身、ゴム製のシール、及び覆いと共に装置の上に置く。タイマーは1分に設定し、この時間の間、材料をエアジェットふるいにより処理する。次いで残渣を検量し、記録する。この方法は、エアジェットふるいわけの後の残渣の重量の減少が0.1g未満になるまで繰り返す。
【0012】
(実施例1−スターターペレットの調製)
480kgの水を50℃まで加熱し、120kgのアカシアゴム(アラビアゴム)を、くぼんだ末端とスターラーを備える慣用の混合容器内で透明な溶液が得られるまで撹拌しながら添加した。透明な溶液が得られるまで一定の温度で撹拌を続けた。透明な溶液が得られたら(通常1又は2時間後)、600kgの酒石酸を撹拌しながら添加した。酒石酸は撹拌を続けながら一定の温度で添加した。添加が終了した後、混合物を更に約5時間から6時間撹拌した。
1000kgの酒石酸を、スプレーユニットと粉末塗工ユニットを備えたゆっくりと回転する(1分間に3回転)孔のない水平容器(例えば、Driamat 2000/2.5)に加えた。スプレーを開始する前に、上記酸の試料をふるいわけ分析用に取り分けた。問題とする上記の酸は粒径が0.4mmから0.6mmの範囲の酒石酸粒子であった。
上記の方法で得られた酸性ゴム溶液を、斯くして提供された酒石酸粒子上にスプレーした。スプレーの間、供給される空気の量を1000m3/hに調整し、温度を35℃から75℃に調整した。差圧は2mbarで、容器の回転速度は毎分9回転であった。ノズルは内容物から350mmから450mmの距離に配置された。
以下の工程と交互に、酸性ゴム溶液をスプレーにかけた。約4.8kgの酸性ゴム溶液を粒径0.4mmから0.6mmの酒石酸粒子上にスプレーし、溶液を行き渡らせた後、約3.2kgの酒石酸粉末を湿った酒石酸粒子上に塗した。問題とする酒石酸粉末は50ミクロン未満の粒径の微細な酒石酸粒子からなるものであった。合計で800kgの酒石酸粉末が必要であった。上記酒石酸粉末を塗して行き渡らせた後、生成物の温度が約40℃に到達するまでスプレー材料を乾燥した。これに続いて酸性ゴム溶液をスプレーした。
酸性ゴム溶液を使い切るまでこれらのサイクルを繰り返した。方法が終了した後、酸性ペレットを容器中3rpmで240分間乾燥させた。乾燥が終わった後のケーキングを防止するため、毎時3rpmで3分、断続的なプログラムを実施した。この場合において、これは、容器を1時間の間隔で、3rpmで3分間回転させ、次いで静置させたことを意味する。この酸性ペレットを次いで、乾燥機に移した。それらを次いで、60℃で48時間の期間に亘って乾燥させた。最後に、ふるいわけ分析により粒度分布を決定した。0.6mmから0.8mmの粒径のものが製品に対応する。この画分は85%を超えて構成されるべきである。
【0013】
(実施例2−スターターペレットの分離)
分離懸濁液の調製のため、666.1(347.5)kgのエタノールを混合溶液中に入れ、次いでヒドロキシプロピルメチルセルロース(33.1(17.3)kg)を約600rpmで撹拌しながら添加して、溶解させた。次いで同一の条件下で0.6(0.3)kgのジメチコンを加えた。使用の直前に、再度撹拌しながらタルク(33.1(17.3)kg)を添加し、懸濁した。
酸性ペレット1200(600)kgを塗工装置(例えばGS-Coater Mod. 600/ Mod. 1200)に移し、回転容器中、その中に、1200kgの混合物について32kg/hの溶射速度、又は600kgの混合物について21kg/hの溶射速度で数時間続く連続するスプレー法で上記の分離懸濁液をスプレーした。ペレットをまた、エアの供給により70℃まで連続して乾燥した。
GS-Coaterを空にした後、分離されたスターターペレットをふるいわけにより分画した。直径1.0mm以下の生成物の画分を保存して更に使用した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離された酒石酸ペレットを調製する方法であって、第一の工程において、酒石酸ペレットを調製し、その上に、第二の工程において、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むエタノール分離懸濁液をスプレーする方法。
【請求項2】
酒石酸ペレットを調製するために、粒径が0.2mmから0.8mmの範囲内の酒石酸粒子を、交互に、酒石酸と結合剤、好ましくはアラビアゴムとを含む溶液でスプレーし、次いで、粒径が100ミクロン未満の微細な酒石酸粉末を塗す、請求項1の分離された酒石酸ペレットを調製する方法。
【請求項3】
使用される酒石酸粒子の少なくとも90%が0.2mmから0.8mmの範囲内の粒径を有する、請求項2の分離された酒石酸ペレットを調製する方法。
【請求項4】
酒石酸粉末の少なくとも85%が100ミクロン未満の粒径を有する、請求項2又は3の分離された酒石酸ペレットを調製する方法。
【請求項5】
使用されるエタノール分離懸濁液がヒドロキシプロピルメチルセルロースに加えてタルクを含む、請求項1から4のいずれかの分離された酒石酸ペレットを調製する方法。
【請求項6】
使用されるエタノール分離懸濁液がヒドロキシプロピルメチルセルロース及びタルクに加えてジメチルポリシロキサンを含む、請求項1から5のいずれかの分離された酒石酸ペレットを調製する方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかにより得られ得る分離された酒石酸ペレット
【請求項8】
活性物質を含有する医薬品製剤を製造するための出発原料としての請求項7の分離された酒石酸ペレットの使用。
【請求項9】
活性物質を含有する医薬品製剤が、活性物質がジピリダモール、ダビガトラン、及びアセチルサリチル酸又はそれらの組み合わせの中から選択されるものである、請求項8の使用。
【請求項10】
ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むエタノール分離懸濁液
【請求項11】
更にジメチルポリシロキサンを含む、請求項10のエタノール分離懸濁液
【請求項12】
更にタルクを含む、請求項10又は11のエタノール分離懸濁液

【公表番号】特表2011−515438(P2011−515438A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−501203(P2011−501203)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【国際出願番号】PCT/EP2009/053468
【国際公開番号】WO2009/118321
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】