説明

酸化チタンを含有する美容洗浄組成物

本発明は、1ミクロン未満の二酸化チタン、場合によっては修飾物質及び特定の沈積系を用いて、優れた美白効果を与える洗顔組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、即時の肌美白効果を与えるリンスオフタイプの洗浄組成物に関する。これは、洗顔料ベースから、1ミクロン未満の二酸化チタンを、好ましくは光修飾物質(例えば、ミクロン径の雲母もしくはタルクもしくは皮膚軟化油)と一緒に使用することにより、達成される。一般に、特定の沈積系(例えば、陽イオン性ポリマー/陰イオン界面活性剤沈殿物)の使用により、及び/又は皮膚又は沈積基質において確実に粒子を分散させることにより(例えば凝集が殆ど又は全くない。)、この促進効果を得る。
【背景技術】
【0002】
リンスオフタイプの組成物から、優れた美白、特に即時の美白効果を与えることは非常に困難である。これらの特性を与える光修飾物質は、容易には沈積せず、容易にすすぎ落とされ、簡単に凝集するため、基質に対して効率的に送達される十分な分散状態にならない(別の言い方をすると、あまりに容易にすすぎ落とされるということである。)。
【0003】
本出願者の、Zhangらに対する同時係属出願米国特許第10/241,401号(2002年9月11日提出)は、規定された、屈折率、厚さ、形状及び大きさの粒子を含有する個人用ケア処方物を開示している。この開示は、粒子それ自身の、大きさ、形状などがいかに沈積(及び、したがって光沢)を促進するかに関するものであるが、一方、増強された美白効果を与えるための、特定の沈積促進系(例えば、界面活性剤及び/又はポリマーのタイプに基づく。)及び分散された1ミクロン未満のTiO(好ましくは、その他の光修飾物質とともに。)の使用を開示していない。この開示はまた、光学的測定特性(measure optical trait)を感知するのに必要な規定された変化の値を与えるために、粒子がどのように基質(例えば皮膚)に対して適切に分散されなければならないか、ということを開示していない。
【0004】
Zhangらに対する米国特許第10/443,396号(2003年5月23日提出)は、光修飾物質の送達を促進するための構造化された有益物質を開示するが、同じく、1ミクロン未満の二酸化チタン、陽イオン性沈積ポリマー(沈積補助物質として沈殿を形成する。)の組合せ及び美白を促進するために適切な分散は開示していない。
【0005】
思いがけなく、本出願者らは、今回、リンスオフタイプのシステムから増強された美白効果を与えるために、組成物及びこのような組成物を操作する方法の両方を見出した。これは、沈積促進系(例えば、ポリマー及び界面活性剤の相互作用を介して形成される沈殿を特徴とするもの。)、特定の光学的特性を伴う修飾物質(例えば、美白効果のための1ミクロン未満の二酸化チタン)を用いて分散させることができ、所望する視覚的美白効果を与えるために送達させることができる(つまり、感知される白色化の変化を得るための美白成分の絶対値又は%値を十分に変化させることによる。)。特定の成分を選択することにより、洗い流しタイプ/リンスオフタイプシステムから以前に得られなかった視覚的属性の変化が与えられる。
【0006】
とりわけ、ある局面において、本発明は次のものを含む:
a)陰イオン性、非イオン性、両性及び陽イオン性界面活性剤及びそれらの混合物から選択される界面活性剤約0.5重量%から約90重量%、好ましくは5重量%から75重量%、より好ましくは10重量%から75重量%、最も好ましくは20重量%から70重量%と;
b)特定の一連の光学的特性(例えば、輝き/光沢(Δ光沢)、白さ(ΔL)、赤味もしくは緑味の程度(Δa)、黄色味もしくは青味の程度(Δb)、不透明度の変化を規定するもの。)を示し、沈積促進系と組み合わせて、組成物を皮膚に塗布した場合に、標的視覚的属性(例えば、光沢、色合い)のうち少なくとも1つを少なくとも5%向上させる(つまり、5%の変化)(様々な光学的特性を反映する値は、規定したプロトコールに従い試験を行う前又は後に測定する。)固形粒子状光修飾物質0から35重量%、好ましくは0.2重量%から25重量%と;
c)約100nmから300nmのサイズを有する二酸化チタン粒子0.01重量%から30重量%、好ましくは0.1重量%から25重量%と;
d)沈積促進系(同じ濃度で使用される同じ界面活性剤及び光修飾物質を有していて該沈積促進系を含まない組成物と比較して、該沈積促進系は、光修飾物質による目的の、又は規定された視覚的属性(つまり、美白)の皮膚への送達を促進する。)0.1重量%から25重量%と;
e)親水性構造性分散剤(例えばポリアルキレングリコール)約0.1%から45%と、を含有する、皮膚に対して増強された(変化した)美白効果又は明白効果を与えるための美容洗浄製品組成物。
【0007】
絶対的に、又は割合で、少なくとも5%のL値(白さの尺度)の変化により、美白効果の向上を判定し得る。
【0008】
以下の詳細な記述及び添付の請求項を読むことから、これら及びその他の局面、特徴及び長所が当業者にとって明らかとなろう。誤解を避けるために、本発明のある局面のあらゆる特性は、本発明の何らかの他の局面において利用し得る。
【0009】
下記の説明で与える実施例は、本発明を明らかにするためのものであり、本発明を、それ自体、実施例に限定するものではないことに留意されたい。実験例におけるものを除き、又は別段の断りがある場合を除き、本明細書中で使用する、成分の量又は反応条件を表す数字は全て、全ての場合において、「約」という用語で修飾されることを理解されたい。同様に、パーセンテージは全て、別段の指示がない限り、組成物全体の、重量/重量%である。
【0010】
「xからy」の形式で表される数値域は、x及びyを含むと理解されたい。特定の特性に対して複数の好ましい範囲が「xからy」の形式で述べられている場合、異なるエンドポイントを組み合わせる範囲全てもまたもくろまれることを理解されたい。「含有する(comprising)」という用語が明細書又は請求項で使用される場合、具体的に列挙されないあらゆる項、段階又は特性を除外するものではない。温度は全て、別段の指定がない限り、摂氏温度(℃)である。測定は全て、別段の指定がない限り、SIユニットである。引用する文書は全て、要部において、参照により本明細書に組み込む。
【0011】
本発明は、リンスオフタイプ組成物からの美白効果の送達を促進する、組成物及び方法に関する。特に、1ミクロン未満の二酸化チタンを、好ましくはその他の光修飾物質及び特定の沈積促進系とともに使用することにより、所望する白さを与えるために、目的とする値を操作することができる。
【0012】
特に、ある実施形態において、本発明のリンスオフタイプの組成物は、
a)泡立つ界面活性剤(泡立つとは、その組成物が泡立て洗浄試験において少なくとも30ccの泡を形成することを意味する。)0.5重量%から約90重量%、好ましくは5重量%から75重量%、より好ましくは10重量%から75重量%と;
b)特定の一連の特性(例えば白さ)を促進し、修飾物質に対する沈積促進系(例えば、ポリマー及び界面活性剤の相互作用から形成される沈殿物)との組み合わせで、少なくとも1つの目的の光学的特性を少なくとも5%変化させる(該変化は、特定の特性を特徴付ける絶対値もしくは%値(つまり、Δ光沢は、輝きに関連し、又はΔLは白さに関連する。)の増減により規定され、規定されたインビトロの皮膚プロトコール試験を用いた後に評価が行われる。)、固形粒子状光修飾物質0%から35重量%、好ましくは0.2重量%から25重量%と;
c)約100nmから300nmのサイズを有する二酸化チタン粒子0.01重量%から30重量%と;
d)前記沈積促進系(同じ濃度でいくつかの界面活性剤及び光修飾物質を有しているが該沈積促進系を含まない組成物と比較して、前記標的視覚的属性の送達を促進するその能力により、前記系(c)が規定される。)0.1重量%から25重量%と;
e)親水性構造性分散剤0.1重量%から45重量%と、を含有する。
【0013】
界面活性剤は、製品形態により、本組成物の0.5%から90%、好ましくは5重量%から75重量%、より好ましくは10重量%から75重量%、さらにより好ましくは20重量%から70重量%のレベルで存在する。
【0014】
一般に、述べるとおり、本界面活性剤は、石鹸(純石鹸系を含む。)、陰イオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性/両性イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0015】
一般的意味、つまり、脂肪族、アルカン又はアルケンモノカルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカノールアンモニウム塩と同じように「石鹸」を使用する。使用し得るその他の界面活性剤は、Schwartz,Perry&Berch著「Surface Active Agents and Detergents」(I巻及びII巻)(このコピーを本明細書中に参照により組み込む。)で述べられている。
【0016】
本明細書中に示されるように、粒子状光修飾物質(二酸化チタン及び任意のその他の修飾物質)は、沈積促進系との組み合わせにおいて、明白性に関連するL値を少なくとも5%変化させる。
【0017】
特に、特定の測定成分(例えば美白効果に対するL値)に対する数値化を行い、粒子状沈積促進系の塗布前後にその成分の値を測定(例えば、インビトロの豚皮アッセイ)することにより、向上の度合いを判定する。
【0018】
光修飾物質の沈積により与えられる視覚的利益を、皮膚表面の平坦域又は皮膚の皺部分のいずれかに向けることができる。
【0019】
ある実施形態において、TiO及び任意の修飾物質の処方沈積により、皮膚の明白性、白さ及び/又は色合い又は同様の属性が得られ、本組成物は、±10L単位の範囲のΔL値(L単位は、プロトコールで述べられるように、Hunter Lab Color Meterにより規定される。)を示すために、1ミクロン未満のTiO及び任意の粒子状光修飾物質を沈積させる。Δa値は、約0から約±10の範囲であり得、Δb値は、約0から約±10の範囲であり得、不透明度の変化は、約0から約±50%の範囲であり得る。反射率は、正常な皮膚反射率範囲内である。この場合、これは、反射率の変化が≦10%であることを意味する。反射率は、光沢計から測定した光沢の変化により評価される。Δa及びΔb値に焦点を当て得るが(一般的なカラー属性に関心があるため。)、L値(美白効果に関与する。)が少なくとも5%変化することが重要である。
【0020】
本発明に使用し得る任意の光修飾物質は、無色及び有色の、有機物質及び無機物質から選択し得る。
【0021】
使用し得る物質の中でも、酸化チタン、酸化亜鉛、着色酸化鉄、酸化クロム、水酸化クロムもしくは水和クロム、アルミナ、シリカ、ジルコニア、硫酸バリウム、ケイ酸塩、天然/アルカロイド(誘導体を含む。)ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ウルトラマリン及び炭酸アルカリ土類などの、有機顔料、無機顔料、ポリマー及び充填剤が挙げられる。本物質は、タルク、絹雲母、雲母、合成雲母、又は、有機及び無機分子(オキシ塩化ビスマス又は硫酸バリウムなど)で被覆された板状基質などの板状物質であり得る。
【0022】
粒子は、数種類の物質から構成され得る(色素、レーキ、トナーなど)。レーキは、例えば、固体へのその結合を促進するために水酸化アルミニウムを伴う色素である。蛍光、吸収又は銀化を介して色を生じさせることができる。即ち、例えば化学的手段ではなくむしろ、視覚的手段を介して修飾物質の色を生じさせる。
【0023】
光修飾物質はまた、D50<100ナノメートルのUVスクリーン物質であり得る(D50とは、粒子の50%の大きさが、この例において、<100nmであることを意味する。)。
【0024】
この光修飾物質は、それらの物理的特性によっても規定し得る。例えば、この光修飾物質を次のように広く規定し得る:
i)1.3から4.0の屈折率を有する外面;
ii)球面状、板状又は円筒型である形状;
iii)寸法:球面状−0.1から200μm、平板状−1から200μm、円筒型−長さ1から200μm及び直径0.5から5μm;
iv)≦200のD50の粒子サイズ;
v)蛍光色、吸収色及び/又は干渉色(光学による色)を有し得る。
【0025】
とりわけ、光沢/輝き(glow)/光輝(radiance)の変化を与える粒子を次のように規定し得る:
i)1.8から4.0の屈折率を有する外面;
ii)板状又は円筒型である形状;
iii)寸法:球面状−0.1から200μm(ミクロン)、平板状−10から200μm、円筒型−長さ10から200μm及び直径0.5から5.0μm;
iv)≦200のD50の粒子サイズ。
【0026】
皮膚の明白化/色合いを与える粒子は、次のように規定し得る:
i)1.3から4.0の屈折率を有する外面;
ii)球面状又は板状である形状;
iii)寸法:球面状−0.1から1μmミクロン、平板状−1から30μm;
iv)≦300のD50の粒子サイズ;及び
v)蛍光色、吸収色及び/又は干渉色(光学による色)を有し得る。
【0027】
均一性又はソフトフォーカスを生じさせる粒子を次のように規定し得る:
i)1.3から2.0の屈折率を有する外面;
ii)球面状、板状又は円筒型である形状;
iii)外形:球面状−0.1から200μm、平板状−1から10μm、円筒型−長さ1から10μm及び直径0.5から5.0μm;及び
iv)≦200のD50の粒子サイズ。
【0028】
言うまでもなく、本処方は、視覚的効果の組合せを生じさせるために、それぞれが特定の視覚的利益の特徴を有する、粒子の混合物を含有し得る。
【0029】
最大の効果を得るための視覚的効果/属性に対して、本粒子は、皮膚上で良く分散されなければならず、知覚的な欠点がわずかであるか全くないものであるべきことも理解されたい。
【0030】
「よく分散される」とは、粒子が凝集しないこと、及び粒子が皮膚表面にわたり容易に広がることを意味する。
【0031】
好ましい実施形態において、粒子TiO及び他の光修飾物質のうち、本粒子サイズの10倍以上のサイズの凝集体であるのは、その30%未満である。これは、光学顕微鏡又は電子顕微鏡を用いて測定することができる。
【0032】
本粒子は、本組成物の約0から35重量%、好ましくは0.2重量%から25重量%で使用する。
【0033】
本発明の組成物には、粒子サイズが1ミクロン未満の二酸化チタンの使用が必要である。特に、本粒子は、100から300ナノメートルの範囲、好ましくは120から300ナノメートルの範囲でなければならない。
【0034】
粒子サイズの必要条件の重要な局面は、2種類の視覚的効果を組み合わせてバランスを取ることである。200nmを超える大きさの粒子の場合、ミー光散乱が得られる。この光散乱機構は、白化、不透明効果を生じさせる可視スペクトルの波長全てを散乱させる。このような粒子サイズは、効果的な隠蔽被覆力及び白色を生じさせるために適切である。
【0035】
200nmのサイズ未満の粒子は、レイリー光散乱を生じさせる。この形の光散乱は、青系の光のみを散乱させる。他の可視スペクトル波長は透過させる。このような性質により、青味のある半透明効果が生じ、より明るく色白であるような視覚的効果を生み出すために、肌の色合いの黄色の影響を弱める。2種類の光散乱機構(及び使用する粒子サイズが100から300ナノメートルの範囲である必要条件)を組み合わせることにより、求める、所望する視覚的外観/効果を生み出すために、不透明性と半透明性の間のバランスならびに、白さと青味のバランスを取ることができる。
【0036】
TiOは、約0.01重量%から30重量%、好ましくは0.1重量%から25重量%のレベルで使用すべきである。
【0037】
沈積促進は、二酸化チタン及び増強された視覚的利益(例えば、ΔL、Δaなどの変化において、及び所望する効果(例えば、輝き、色合いなど)を与えるために値を操作するための方法において規定されるようなもの。)を与える光学的粒子の送達にとって、重要である。
【0038】
ある実施形態において、次のものを含有する沈積系により沈積がもたらされる:
a)電荷密度≧1Meq/グラムを有する陽イオン性ポリマー約0.1重量%から約10重量%、好ましくは約0.1重量%から約8重量%;及び
b)希釈時に陽イオン性ポリマーと沈殿を形成する陰イオン界面活性剤約0.1重量%から30重量%、好ましくは0.5重量%から25重量%。
【0039】
形成された沈殿は、剪断の際に、又は皮膚表面で均一かつ分散した薄膜を形成するために擦り込む際に破壊され得る綿状塊であり得る。
【0040】
このような界面活性剤の例には、C10−C24脂肪酸石鹸(例えばラウリン酸塩)、アルキルタウレート(例えば、ココイルメチルタウレートもしくは他のアルキルタウレート)、スルホスクシナート、アルキル硫酸塩、グリシナート、サルコシナート及びそれらの混合物が含まれる。
【0041】
所望する視覚的属性を送達する光修飾物質の沈積に重要である沈殿を形成するために、陽イオン性ポリマーが、指示された電荷を有することが重要である。このようなポリマーは、陽イオン性グアーガム、合成陽イオン性ポリマー、陽イオン性デンプンなどを含む、修飾多糖類であり得る。
【0042】
使用される特定の陽イオン性ポリマーには、ポリクオタニウム6(例えば、Merquat(R)100又はSalcare(R)SC30)及びポリクオタニウム7(例えば、Merquat(R)2200又はSalcare(R)SC10)などのMerquat(R)ポリマー;グアーガム及び/又は誘導体(例えばJaguar CI7);四級化ビニルピロリドン/メタクリレートコポリマー(例えば、Gafquat(R)775);及びポリクオタニウム−16(例えば;Luviquat(R)FC550)が含まれる。
【0043】
【表1】


【0044】
一般に、他の沈積補助物質(例えば、TiO及び任意の光修飾物質粒子に対して)には、顆粒状陰イオンポリマー(例えば、デンプン、セルロース又はそれらの誘導体などのアルカロイドポリマー)が含まれ得る。沈積系がさらにこのような沈積補助物質を含有する場合、さらに沈積が促進される。
【0045】
沈積を促進するためのさらに別の方法は、粒子の修飾(例えば表面修飾)によるものであり得る。
【0046】
別の実施形態において、本沈積促進系は、
1)少なくとも≧1.0Meq/グラムの電荷密度を有する陰イオン性ポリマー0.1重量%から10重量%と;
2)希釈時に陰イオン性ポリマーと沈殿を形成する陽イオン界面活性剤0.1重量%から30重量%と、を含有し得る。
【0047】
この系は、陽イオン性ポリマー陰イオン界面活性剤系と逆のものである。この沈殿もまた、剪断又は擦り込み時に破壊され、皮膚表面で均一かつ分散した薄膜を形成することができる綿状塊であり得る。
【0048】
適切な陽イオン性界面活性剤は、ベタイン(例えば、ココアミドプロピルベタイン)などの、四級化アミノ界面活性剤又は両性界面活性剤であり得る。
【0049】
陰イオンポリマーは、ポリアクリレート、架橋ポリアクリレート、ポリウレタン及び/又はアルカロイド由来ポリマー(例えば、デンプン、セルロース及び誘導体)、多糖類(例えばキサンタンガム)、寒天及び/又はそれらの混合物であり得る。この系はまた、沈積補助物質として、天然アルカロイドポリマー(デンプン、セルロース及び誘導体)である、0.1%から30%の顆粒状陰イオン性ポリマーをさらに含有し得る。
【0050】
実施例
実施例中の量は全て、別段の断りがない限り、重量%である。
【0051】
プロトコール
インビトロ、ブタ/豚皮アッセイ
5.0cmx10cmの大きさの黒豚皮膚片を使用し(L=40±3)、その皮膚を黒色の背景紙カード上に置く。未処理皮膚の最初の測定を行う。次に、液体洗い流しタイプ処方物又は固形石鹸0.2gを用いて、置いた皮膚を洗浄し、すすぐ。乾燥2時間後、最終測定を行う。
【0052】
色測定
Hunter Labスペクトル色度計を用いて、0°光源及び45°検出器配置で、ブタ又はインビボヒト皮膚に対して、最初及び最終の色測定を行った。適切に黒い及び白い標準物を用いてスペクトル色度計を調整した。洗浄処理の前後に測定を行った。各測定において3回測定を行い、平均値を計算した。La色空間表示からの、L、a及びb値をこの様式で得た。Lは、「明るさ」の単位を測定し、aは、赤から緑の値を測定し、bは、黄色から青の値を測定する。
【0053】
反射率(光沢)測定
光沢の単位を測定する光沢計を用いて、ブタ又はインビボヒト皮膚の、最初及び最終の反射率/光沢測定を行った。法線から85°で、検出器及び光源の両方とともに、光沢計を最初に設定した。適切な反射標準物を用いてこの光沢計を調整した。光沢測定は、処方物塗布の前後で行い、%差異を得るために、Δ光沢を計算した。
【0054】
不透明度測定
Hunter Lab色測定から、洗い落とせる沈積物の不透明度を計算した。60で割ったΔL(沈積前と比較した、沈積後の白さの変化)から不透明度コントラストを計算した(これは、皮膚と純白色とのL値の差である)。
【0055】
(実施例1から実施例5)
次の組成物は、同じ成分を含まない、及び/又は異なる沈積系を含む、又は沈積系を含まない組成物に対する、界面活性剤及び沈積系を使用する場合の値の変化(つまり、図表の下方で見られるように、Δ光沢(%)、ΔL、Δa、Δb)を示す。
【0056】
【表2】

上記の表から分かるように、本発明の系は、粒子の正確な粒子サイズ及び使用する沈積系に依存して値の変化が様々である視覚的属性(ΔL、Δaなど)(及び、それに応じて、強調される属性とともに)を生じさせる。このように、本出願者らは、洗い流しタイプの系から値を操作し、以前には知られていなかった、値及び操作能を提供することができる。
【0057】
多くの実施例から得ることができる観察のさらに詳細な考察を下記に示す。
【0058】
実施例1から実施例5は、Jaguar C13Sをベースにした処方物であり、ある程度の沈積を示す。
【0059】
実施例1及び実施例2は、20%TiO及び10%TiOをそれぞれ含み、20%TiO処方物は、沈積度がより高く、ΔLの変化がより大きい。ここでは、b値の変化も大きい(及び負である。)(より青味が増す。)。この沈積はまた、負のΔ光沢(これは、光沢の低下を示す。)から分かるように、マットな視覚的効果も有する。
【0060】
実施例3から実施例5は、実施例2処方物に、反射性粒子状物質を添加したものである。
【0061】
実施例3は、処方物中にタルク(10μmのD50)が含まれている。Δ光沢の変化がゼロであることから分かるように、タルクの僅かな反射性により、沈積したTiOのマット効果が弱められる。この組合せから、より白く明るい外観が得られ、その一方で、皮膚の正常な光沢が依然として維持される。実施例2から見られるΔL又はΔbは、タルクの添加によって変化しなかった。
【0062】
実施例5は、天然雲母(22μmのD50)を使用することを除き、実施例3と同じである。より大型の雲母は反射率がより高く、Δ光沢の増加により分かるように、沈積したTiOのマット効果を弱め、視覚的光沢を向上させる。実施例2から見られるΔL又はΔbは、天然雲母の添加によって変化しなかった。
【0063】
実施例4は、チタン被覆雲母(6μmのD50)を使用することを除き、実施例3と同じである。チタン被覆雲母は反射率がより高く、Δ光沢の増加から分かるように、沈積したTiOのマット効果を弱め、視覚的光沢を向上させる。実施例2と比較して、チタン被覆雲母の添加により、ΔL又はΔbが大きくなる。
【0064】
対照は比較目的のためにある。これは、陽イオン性ポリマー(Jaguar C13S)を含有しないことを除き、実施例2と同じ処方である。L、a、b及び光沢値から、沈積は観察されない。
【0065】
実施例1から実施例5において、視覚的属性の変化を見ることができるが、これらは十分に大きくはない。粒子沈積がさらに多量である必要がある。このために、より大きい電荷密度を有する陽イオン性ポリマーを使用しなければならない(この場合、Merquat 100)。
【0066】
実施例6は、使用する陽イオン性ポリマーが、Jaguarの代わりにMerquat 100であることを除き、実施例2と同じである。ΔL及びΔ光沢から分かるように、TiOの沈積が非常に大きくなる(5の因子による。)。視覚的効果は、白さが顕著に大きくなるが、また、マット感もより大きくなる。マット感を弱めるために、天然雲母又はタルクを本処方に添加することができる。
【0067】
実施例7及び実施例8は、天然雲母又はタルクを含む、Merquat 100処方物である。両実施例とも、例えば実施例6と比較して、負であるが0に近づいている、又はさらに正であるΔ光沢から分かるように、多量のTiO沈積のマット効果の減弱を示す。実施例9は、Timiron super blue、虹色のチタニア被覆雲母顔料を含有する、Merquat 100処方物である。この実施例は、正のΔ光沢から分かるように、多量のTiO沈積のマット効果の減弱を示す。これはまた、虹色の色合いから青の色合いを生み出す。
【0068】
洗い流しタイプ洗顔処方物はまた、デンプンなどの様々な親水性構造性分散剤を使用することができる。既に述べた実施例のように、デンプン処方系を用いて、同様の相互関係及び傾向を見ることができる。
【0069】
実施例12及び実施例13は、Merquat 100及びJaguar C13Sをそれぞれ用いた処方物からの、TiO/タルクの沈積を比較する。上記と同じように、電荷密度がより高いMerquatは、同様の視覚的属性を持ち、Jaguarよりも多量の沈積を示す。
【0070】
実施例10は、陽イオン性ポリマーを含まない対照処方物である。L、a、b及び光沢値測定から、沈積は微量であるか全くない。
【0071】
実施例11は、沈積効率に対する、界面活性剤系の適合性の重要性を示す。実施例11は、CAPベタイン及びラウリルエーテル硫酸塩の混合物を使用する。実施例12と比較して、ΔL値が低いことから分かるように、沈積効率が低い。このことから、CAPベタイン/ラウリルエーテル硫酸界面活性剤系は、希釈の際に、陽イオン性ポリマーをそれ程効率的に沈殿させないことが示される。
【0072】
(実施例6)
下記の図表は、さらなる実施例を与える。
【0073】
【表3】


【0074】
同じように、本発明の、沈積系及び粒子が、所望する視覚的属性(例えば、輝き、色合い、光沢)を与える所望する値を有する組成物を如何に与えるかということを上記の図表から見ることができる。
【0075】
対照
下記の図表は、さらなる実施例を与える。
【0076】
【表4】

【0077】
同様に、陽イオン性ポリマーがない場合、沈積は殆どないか全くないことが上記の対照から分かる。
【0078】
(実施例7)
下記の図表は、同様に、様々な変形物を与える。
【0079】
【表5】

【0080】
(実施例8)
下記の図表は、さらにもう1つの実施例を示す。
【0081】
【表6】

【0082】
−5.6は、幾分中間的な光沢が二酸化チタンのマット効果を弱めることを示す。
【0083】
(実施例10から実施例13)
下記の図表は、デンプン構造化液体を含む実施例を示す。
【0084】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)界面活性剤約0.5重量%から約90重量%と;
(b)ΔL、Δa、Δb、反射率の変化及び/又は不透明度の変化により規定される特定の一連の光学的特性を示し、沈積促進系と組み合わせて、組成物を皮膚に塗布した場合、目的とする光学的特性のうち少なくとも1つを少なくとも5%変化させる、固形粒子状光修飾物質0.1重量%から35重量%と;
(c)約100nmから300nmのサイズを有する二酸化チタン粒子0.01重量%から30重量%と;
(d)沈積促進系(該沈積促進系を含まずに同じ濃度で同じ界面活性剤及び光修飾物質を有する組成物と比較して、該沈積促進系は、該光修飾物質による標的視覚的属性の皮膚への送達を促進する。)2重量%から25重量%と;
(e)親水性構造性分散剤約0.1%から45%と、を含む、特定の視覚的属性とともに皮膚に対して増強された視覚的利益を送達するための、美容洗浄製品組成物。
【請求項2】
前記光学的特性のうち少なくとも1つの少なくとも5%の変化により影響を受ける視覚的属性が、皮膚の光沢、皮膚の明るさ、皮膚の色合い、皮膚の輝き(glow)、皮膚の光輝(radiance)、皮膚の光学的一様性、皮膚の均一性及びこれらの組合せから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
界面活性剤20重量%から75重量%を含む、請求項1又は請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
光学的利益の送達が標的とされる皮膚部位が、皮膚の平坦域及び/又は皮膚の皺部分である、請求項1から3の何れか1項に記載の組成物。
【請求項5】
光修飾物質0.2重量%から25重量%を含む、請求項1から4の何れか1項に記載の組成物。
【請求項6】
下記で示すように、修飾物質の送達が規定された値の変化:
(0から±10L単位のΔL(L単位は、Hunter Lab Color Meter(色度計)により規定される。);
0から±10a単位のΔa(a単位は、Hunter Lab Color Meter(色度計)により規定される。);
0から±10b単位のΔb(b単位は、Hunter Lab Color Meter(色度計)により規定される。);
不透明度コントラスト(該コントラストは、60で割ったΔLにより規定される。)によって測定された0から±50%の不透明度の変化;
(ここで、Δ反射率は≦10%であり(Δ反射率は、光沢(光沢は光沢計において測定される。)の変化として測定される。);
少なくともLは、修飾物質の送達前の最初の値から少なくとも5%の変化を有する。)をもたらす、
明るさ又は白さの変化を与える、請求項1から5の何れか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記光修飾物質が、有機顔料;無機顔料;ポリマー及び充填剤(二酸化チタン、酸化亜鉛、着色酸化鉄、酸化クロム、水酸化クロムもしくは水和クロム;アルミナ;シリカ;ジルコニア;硫酸バリウム;ケイ酸塩;アルカロイドポリマー及びその誘導体;ポリアルキレン;ナイロン;ウルトラマリン;炭酸アルカリ土類;タルク;絹雲母;天然及び合成雲母;有機及び無機物質で被覆された板状基質;オキシ塩化ビスマス;並びにこれらの混合物から選択される。)から選択される、無色又は有色の、有機もしくは無機物質である、請求項1から6の何れか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記光修飾物質が、D50<100ナノメートルのUVサンスクリーン物質である、請求項1から7の何れか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記光修飾物質が以下のように規定される、請求項1から8の何れか1項に記載の組成物:
(a)1.3から4.0の屈折率を有する外面;
(b)球面状、板状又は円筒型である形状;
(c)≦200ミクロンのD50である粒子サイズ;
(d)蛍光色、吸収及び/又は干渉色として得られる色。
【請求項10】
前記粒子状光修飾物質が、さらに、
(a)1.3から4.0の屈折率を有する外面;
(b)板状又は球面状である形状;
(c)0.1から1μmの球面状粒子の偏向(diversion);及び1から30μmの板状粒子の偏向(diversion);
(d)≦30ミクロンのD50である粒子サイズ;及び
(e)蛍光、吸収及び/又は干渉による色
により規定される、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
前記沈積系が、
(a)陽イオン性ポリマー又は平均電荷密度≧1Meq/グラムを有するポリマー1重量%までと;
(b)希釈時に、陽イオン性ポリマーと沈殿を形成する陰イオン界面活性剤30重量%までと、を含む、請求項1から10の何れか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記沈殿が、剪断時に、又は皮膚表面で均一かつ分散した薄膜を形成するために擦り込む際に破壊され得る綿状塊である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記陰イオン界面活性剤が、C10からC24脂肪酸石鹸、アルキルタウレート、スルホスクシナート、アルキルサルフェート、グリシナート、サルコシナート又はこれらの混合物である、請求項11又は請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記陽イオン性ポリマーが、ポリクオタニウム6、ポリクオタニウム7、ポリクオタニウム16、四級化ビニルピロリドン/メタクリレートコポリマー、ヒドロキシプロピルグアーガム及びこれらの混合物から選択される、請求項11から請求項13の何れか1項に記載の組成物。
【請求項15】
天然アルカロイドポリマーである顆粒状の陰イオンポリマー約0.1重量%から30重量%をさらに含む、請求項11から請求項14の何れか1項に記載の組成物。
【請求項16】
前記ポリマーが、デンプン及び誘導体、セルロース及び誘導体並びにこれらの混合物である、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
目的の光学的粒子が、アミノ酸、タンパク質、脂肪酸、脂質、リン脂質、陰イオン性及び/又は陽イオン性オリゴマー/ポリマー並びにこれらの混合物から選択される表面修飾を含有する、請求項7に記載の組成物。
【請求項18】
前記粒子が皮膚上で分散され、そこで該粒子の30%未満が、光学顕微鏡により測定した場合のD50粒子サイズの10倍以上の大きさを有する、請求項1から17の何れか1項に記載の組成物。

【公表番号】特表2007−530608(P2007−530608A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−505419(P2007−505419)
【出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【国際出願番号】PCT/EP2005/002703
【国際公開番号】WO2005/094779
【国際公開日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】