説明

酸化安定性油及びブレンド並びにそれらを含有する組成物

酸化安定性の油及びブレンド並びにそれらを含む液体クリーマーを提供する。液体クリーマーの製造方法も提供する。一般的な実施形態において、本開示は、総油ブレンドの重量に基づき、80重量%以下の飽和脂肪酸最終濃度及び総油ブレンドの重量に基づき、1重量%以下のトランス脂肪酸濃度を有する油ブレンドを提供する。油ブレンドは、例えば、ココナッツ油、パーム油、パーム分別油及び高オレイン酸ヒマワリ油を、単独で又は組み合わせとして含むことができる。この油ブレンドは、液体クリーマー中に使用でき、必要な保存寿命の間、液体クリーマーを酸化安定性及び乳化安定性とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は一般に、油及び油のブレンドに関する。より詳しくは、本開示は、液体クリーマーに使用できる油及びブレンド、並びに液体クリーマーの製造方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
[0002]クリーマーは液体又は粉末形態であることができ、乳製品又は非乳製品をベースとすることができる。液体非乳製品クリーマー(non−dairy liquid creamer)は典型的には、水中油脂エマルジョンを含む。これらの製品は、室温又は冷蔵温度で比較的長い予想保存寿命を有する。しかし、液体非乳製品クリーマーは、それらの成分の一部又は全体としてのエマルジョンが物理的又は化学的に不安定であるため、劣化しやすい可能性がある。したがって、液体クリーマーに使用する油脂エマルジョンは、製品の安定性の達成に重要である。
【0003】
[0003]伝統的に、液体非乳製品クリーマーに使用する油脂は、高濃度の飽和脂肪酸及び/又はトランス脂肪酸を含む。しかし、いずれの型の脂肪酸も、心血管疾患及び他の慢性疾患の危険因子を増加させることが知られている。危険因子の増加を回避するために、液体非乳製品クリーマーは、より健康に良い不飽和油から作られている。しかし、不飽和油から作られたクリーマーは、急速な酸化及び不快な異臭の発生により、保存寿命が短い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0004]前記考察に鑑みて、必要な保存寿命の間、酸化安定性及び乳化安定性であるが、また、極めて低濃度のトランス脂肪酸及び中レベルの不飽脂肪酸を含有する液体非乳製品クリーマーを開発することが、課題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]酸化安定性及び乳化安定性の油並びにそれらを含む液体クリーマーを提供する。液体クリーマーの製造方法も提供する。一般的な実施形態において、本開示は、ココナッツ油、パーム油、パーム分別油(palm oil franction)、高オレイン酸ヒマワリ油又はそれらの組み合わせからなる群から選択される油又は少なくとも1種の油を含むブレンドを提供する。油又はブレンドは、総重量に基づき、80重量%以下の飽和脂肪酸及び1重量%以下のトランス脂肪酸を含む。別の実施形態において、油又はブレンドは、総重量に基づき、75重量%以下の飽和脂肪酸を含む。さらに別の実施形態において、油又はブレンドは、総重量に基づき、70重量%以下の飽和脂肪酸を含む。
【0006】
[0006]一実施形態において、油ブレンドは、油ブレンドの総重量に基づき、約50〜約80重量%のココナッツ油及び約20〜約50重量%の高オレイン酸ヒマワリ油を含む。油ブレンドは、約65〜約75重量%のココナッツ油及び約25〜約35重量%の高オレイン酸ヒマワリ油を含んでいてもよい。別の実施形態において、油ブレンドは、約50〜約70重量%のココナッツ油及び約30〜約50重量%の高オレイン酸ヒマワリ油を含む。一実施形態において、油ブレンドは、約67.5重量%のココナッツ油及び約32.5重量%の高オレイン酸ヒマワリ油を含む。
【0007】
[0007]一実施形態において、油ブレンドは、油ブレンドの総重量に基づき、約20〜約40重量%のココナッツ油、約5〜約25重量%の高オレイン酸ヒマワリ油及び約45〜約65重量%のパームステアリン油を含む。油ブレンドは、油ブレンドの総重量に基づき、約25〜約35重量%のココナッツ油、約10〜約20重量%の高オレイン酸ヒマワリ油及び約50〜約60重量%のパームステアリン油を含んでいてもよい。一実施形態において、油ブレンドは、約30重量%のココナッツ油、約15重量%の高オレイン酸ヒマワリ油及び約55重量%のパームステアリン油を含む。
【0008】
[0008]一実施形態において、油ブレンドは、油ブレンドの総重量に基づき、約60〜約90重量%のパームステアリン油及び約10〜約40重量%の高オレイン酸ヒマワリ油を含む。油ブレンドは、約70〜約80重量%のパームステアリン油及び約20〜約30重量%の高オレイン酸ヒマワリ油を含んでいてもよい。一実施形態において、油ブレンドは、約75重量%のパームステアリン油及び約25重量%の高オレイン酸ヒマワリ油を含む。
【0009】
[0009]別の実施形態において、液体クリーマーを提供する。液体クリーマーは、ガム成分、タンパク質、乳化剤系及び脂質相を含む。脂質相は、ココナッツ油、パーム油、パーム分別油、高オレイン酸ヒマワリ油又はそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の油を含む。脂質相はまた、脂質相の総重量に基づき、80重量%以下の飽和脂肪酸及び脂質相の総重量に基づき、1重量%以下のトランス脂肪酸を含む。別の実施形態において、脂質相は、総重量に基づき、75重量%以下の飽和脂肪酸を含む。さらに別の実施形態において、脂質相は、総重量に基づき、70重量%以下の飽和脂肪酸を含む。
【0010】
[0010]一実施形態において、脂質相は、脂質相の総重量に基づき、約50〜約80重量%のココナッツ油及び約20〜約50重量%の高オレイン酸ヒマワリ油を含む。脂質相は、約65〜約75重量%のココナッツ油及び約25〜約35重量%の高オレイン酸ヒマワリ油を含んでいてよい。別の実施形態において、脂質ブレンドは、約50〜約70重量%のココナッツ油及び約30〜約50重量%の高オレイン酸ヒマワリ油を含む。一実施形態において、脂質相は、約67.5重量%のココナッツ油及び約32.5重量%の高オレイン酸ヒマワリ油を含む。
【0011】
[0011]一実施形態において、脂質相は、油ブレンドの総重量に基づき、約20〜約40重量%のココナッツ油、約5〜約25重量%の高オレイン酸ヒマワリ油及び約45〜約65重量%のパームステアリン油を含む。脂質相は、脂質相の総重量に基づき、約25〜約35重量%のココナッツ油、約10〜約20重量%の高オレイン酸ヒマワリ油及び約50〜約60重量%のパームステアリン油を含んでいてもよい。一実施形態において、脂質相は、約30重量%のココナッツ油、約15重量%の高オレイン酸ヒマワリ油及び約55重量%のパームステアリン油を含む。
【0012】
[0012]一実施形態において、脂質相は、脂質相の総重量に基づき、約60〜約90重量%のパームステアリン油及び約10〜約40重量%の高オレイン酸ヒマワリ油を含む。脂質相は、約70〜約80重量%のパームステアリン油及び約20〜約30重量%の高オレイン酸ヒマワリ油を含んでいてもよい。一実施形態において、脂質相は、約75重量%のパームステアリン油及び約25重量%の高オレイン酸ヒマワリ油を含む。
【0013】
[0013]本開示の任意の実施形態において、液体クリーマーは、香味料、甘味料、着色剤又はそれらの組み合わせからなる群から選択される成分を含む。
【0014】
[0014]別の実施形態において、安定な液体クリーマーの製造方法を提供する。この方法は、ガム成分、タンパク質、乳化剤系及び脂質相の組み合わせを水和させて液体クリーマーを形成するステップと、液体クリーマーを容器に無菌充填するステップとを含む。脂質相は、ココナッツ油、パーム油、パーム分別油、高オレイン酸ヒマワリ油又はそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の油を含む。脂質相は、脂質相の総重量に基づき、80重量%以下の飽和脂肪酸及び脂質相の総重量に基づき、1重量%以下のトランス脂肪酸を含む。別の実施形態において、脂質相は、総重量に基づき、75重量%以下の飽和脂肪酸を含む。さらに別の実施形態において、脂質相は、総重量に基づき、70重量%以下の飽和脂肪酸を含む。
【0015】
[0015]一実施形態において、この方法は、容器に充填するステップの前に、液体クリーマーを熱処理するステップを含む。
【0016】
[0016]一実施形態において、この方法は、容器に充填するステップの前に、液体クリーマーを均質化するステップを含む。
【0017】
[0017]一実施形態において、脂質相は、脂質相の総重量に基づき、約50〜約80重量%のココナッツ油及び約20〜約50重量%の高オレイン酸ヒマワリ油を含む。脂質相は、約65〜約75重量%のココナッツ油及び約25〜約35重量%の高オレイン酸ヒマワリ油を含んでいてよい。別の実施形態において、脂質ブレンドは、約50〜約70重量%のココナッツ油及び約30〜約50重量%の高オレイン酸ヒマワリ油を含む。一実施形態において、脂質相は、約67.5重量%のココナッツ油及び約32.5重量%の高オレイン酸ヒマワリ油を含む。
【0018】
[0018]一実施形態において、脂質相は、脂質相の総重量に基づき、約20〜約40重量%のココナッツ油、約5〜約25重量%の高オレイン酸ヒマワリ油及び約45〜約65重量%のパームステアリン油を含む。脂質相は、油ブレンドの総重量に基づき、約25〜約35重量%のココナッツ油、約10〜約20重量%の高オレイン酸ヒマワリ油及び約50〜約60重量%のパームステアリン油を含んでいてもよい。一実施形態において、脂質相は、約30重量%のココナッツ油、約15重量%の高オレイン酸ヒマワリ油及び約55重量%のパームステアリン油を含む。
【0019】
[0019]一実施形態において、脂質相は、脂質相の総重量に基づき、約60〜約90重量%のパームステアリン油及び約10〜約40重量%の高オレイン酸ヒマワリ油を含む。脂質相は、約70〜約80重量%のパームステアリン油及び約20〜約30重量%の高オレイン酸ヒマワリ油を含んでいてもよい。一実施形態において、脂質相は、約75重量%のパームステアリン油及び約25重量%の高オレイン酸ヒマワリ油を含む。
【発明の効果】
【0020】
[0020]本開示の利点は、低濃度のトランス脂肪酸を含む、改良された油ブレンドを提供することである。
【0021】
[0021]本開示の別の利点は、中レベルの不飽和脂肪酸を含む、改良された油ブレンドを提供することである。
【0022】
[0022]本開示のさらに別の利点は、保存安定性の液体クリーマーを提供することである。
【0023】
[0023]本開示のさらに別の利点は、酸化安定性及び乳化安定性の液体クリーマーを提供することである。
【0024】
[0024]本開示の別の利点は、室温又は冷蔵温度で長期間貯蔵された後に、良好な外観、芳香、風味及び質感を有する液体クリーマーを提供することである。
【0025】
[0025]さらなる特徴及び利点は、本明細書中に記載してあり、以下の詳細な説明から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】[0026] 対照綿実油/大豆油ブレンド、パーム油、パーム分別油及び高オレイン酸ヒマワリ油/ココナッツ油ブレンドを含む液体クリーマーの、20℃で1ヶ月貯蔵後の官能スコアを示すグラフである。
【図2】[0027] 対照綿実油/大豆油ブレンド、パーム油、パーム分別油及び高オレイン酸ヒマワリ油/ココナッツ油ブレンドを含む液体クリーマーの、30℃で1ヶ月貯蔵後の官能スコアを示すグラフである。
【図3】[0028] 対照綿実油/大豆油ブレンド、パーム油、パーム分別油及び高オレイン酸ヒマワリ油/ココナッツ油ブレンドを含む液体クリーマーの、38℃で1ヶ月貯蔵後の官能スコアを示すグラフである。
【図4】[0029] 対照綿実油/大豆油ブレンド、部分水素化高オレイン酸ヒマワリ油/パームステアリン油/ココナッツ油ブレンド、高オレイン酸ヒマワリ油/パームステアリン油ブレンド及び高オレイン酸ヒマワリ油を含む液体クリーマーの、油を製造したばかりの、時間0における官能スコアを示すグラフである。
【図5】[0030] 対照綿実油/大豆油ブレンド、高オレイン酸ヒマワリ油/パームステアリン油ブレンド及び高オレイン酸ヒマワリ油を含む液体クリーマーの、38℃において1ヶ月貯蔵後の官能スコアを示すグラフである。
【図6】[0031] 液体クリーマーの白色度(L値)を示すグラフである。
【図7】[0032] 図6の液体クリーマーの、コーヒー中における白色化能を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[0033]本開示は、酸化安定性の油及び油ブレンド並びにそれらを含む液体クリーマーに関する。本開示はまた、液体クリーマーの製造方法を提供する。液体非乳製品クリーマーは典型的には、水中油脂エマルジョンからなる。これらの製品は、室温又は冷蔵温度で比較的長い予想保存寿命(例えば、6ヶ月)を有する。しかし、これらの製品はまた、一部の成分又は全体としてのエマルジョンが物理的及び化学的に不安定であるため、劣化しやすい。したがって、このようなクリーマーに使用する油及び油ブレンドは、製品の安定性を達成するのに重要な因子である。
【0028】
[0034]従来の液体非乳製品クリーマー中に使用する油脂は典型的には、高濃度の飽和脂肪酸及び/又はトランス脂肪酸を含み、これらはいずれも、心血管疾患及び他の慢性疾患の危険因子を増加させることが知られている。一方で、より健康に良い不飽和脂肪酸から作られた液体非乳製品クリーマーは、急速な酸化及び不快な異臭の発生により、保存寿命が短い。
【0029】
[0035]意外なことに、特定の油及び混合物並びに油、乳化剤及び脂質酸化防止剤のブレンドは、物理的及び化学的に安定なエマルジョン及び製品を生成できることが判明した。具体的には、油系は、ココナッツ油、パーム油及び高オレイン酸ヒマワリ油を含む3種の基本成分を含むことができる。最大酸化安定性、総油系の80%以下の飽和脂肪酸最終濃度及び総油系の1%以下のトランス脂肪酸濃度を確実にするために、油は必要な割合でブレンドしてもよいし、又は単独で用いてもよい。別の実施形態において、最大酸化安定性、75%以下の飽和脂肪酸最終濃度を確実にするために、油は必要な割合でブレンドしてもよいし、又は単独で用いてもよい。さらに別の実施形態において、最大酸化安定性、70%以下の飽和脂肪酸最終濃度を確実にするために、油は必要な割合でブレンドしてもよいし、又は単独で用いてもよい。本開示の油は単独でも又は組み合わせても使用できるので、個々の油及び油のブレンド(blend;混合物)の両方を指すように、本明細書中では、「油/ブレンド」という表現を用いるものとする。
【0030】
[0036]本開示の油/ブレンドは、任意の形態であることができる。例えば、油/ブレンドは未使用のもの、精製されたもの、水素化されているもの、部分水素化されているもの、分画されたもの(例えば、ステアリン、オレインなど)、部分分画されたものなどであることができる。一実施形態において、本開示の油/ブレンドは、パーム分別油を含む。別の実施形態において、油/ブレンドは、部分水素化高オレイン酸ヒマワリ油を含む。さらに別の実施形態において、油/ブレンドは、パームステアリンを含む。当業者ならば、ココナッツ油、パーム油又は高オレイン酸ヒマワリ油のいずれかが前記形態のいずれかで存在できることはすぐにわかるであろう。
【0031】
[0037]さらに、本開示の油/ブレンドは、一部の望ましい非グリセリド成分、例えば、限定するものではないが、遊離脂肪酸、リン脂質、カロテノイド、トコフェロール、トコトリエノールなどをもともと含んでいることがある。例えば、高オレイン酸ヒマワリ油及びパーム油は、トコフェロール、トコフェロールとパルミチン酸アスコルビルの混合物をそれぞれ、脂質酸化防止剤として含有していることがある。
【0032】
[0038]本開示の油/ブレンドは、総油/ブレンドの重量に基づき、80重量%以下の飽和脂肪酸最終濃度及び総油/ブレンドの重量に基づき、1%以下のトランス脂肪酸濃度を達成するのに必要な任意の量で使用できる。例えば、一実施形態において、本開示の油/ブレンドは、100%のパーム油を含んでいてもよい。別の実施形態において、本開示の油/ブレンドは、100%の軟質パーム中融点分別油(soft palm mid-fraction)を含んでいてもよい。さらに別の実施形態において、本開示の油/ブレンドは、100%の高オレイン酸ヒマワリ油を含んでいてもよい。
【0033】
[0039]あるいは、ココナッツ油、パーム油及びヒマワリ油を、前記の特定の脂肪酸量を達成するのに必要な割合及びブレンドで含んでいてもよい。例えば、一実施形態において、油ブレンドは、油ブレンドの総重量に基づき、約50〜約80重量%のココナッツ油及び約20〜約50重量%の高オレイン酸ヒマワリ油を含むことができる。油ブレンドは、約65〜約75重量%のココナッツ油及び約25〜約35重量%の高オレイン酸ヒマワリ油を含んでいてもよい。別の実施形態において、油ブレンドは、約50〜約70重量%のココナッツ油及び約30〜約50重量%の高オレイン酸ヒマワリ油を含む。さらに詳しくは、油ブレンドは、約67.5重量%のココナッツ油及び約32.5重量%の高オレイン酸ヒマワリ油を含む。
【0034】
[0040]別の実施形態において、油ブレンドは、油ブレンドの総重量に基づき、約20〜約40重量%のココナッツ油、約5〜約25重量%の高オレイン酸ヒマワリ油及び約45〜約65重量%のパームステアリン油を含むことができる。油ブレンドは、油ブレンドの総重量に基づき、約25〜約35重量%のココナッツ油、約10〜約20重量%の高オレイン酸ヒマワリ油及び約50〜約60重量%のパームステアリン油を含んでいてもよい。油ブレンドはまた、約30重量%のココナッツ油、約15重量%の高オレイン酸ヒマワリ油及び約55重量%のパームステアリン油を含んでいてもよい。
【0035】
[0041]さらに別の実施形態において、油ブレンドは、油ブレンドの総重量に基づき、約60〜約90重量%のパームステアリン油及び約10〜約40重量%の高オレイン酸ヒマワリ油を含むことができる。油ブレンドは、約70〜約80重量%のパームステアリン油及び約20〜約30重量%の高オレイン酸ヒマワリ油を含んでいてもよい。油ブレンドはまた、約75重量%のパームステアリン油及び約25重量%の高オレイン酸ヒマワリ油を含んでいてもよい。当業者ならば、本出願で開示する油の任意の組み合わせを使用して、総油/ブレンドの重量に基づき、80重量%以下(又は75重量%以下若しくは70重量%以下)の飽和脂肪酸最終濃度及び総油/ブレンドの重量に基づき、1重量%以下のトランス脂肪酸濃度を達成できることがわかるであろう。
【0036】
[0042]前述のように、本開示の油/ブレンドは、例えばガム成分、タンパク質と乳化剤系を含む安定な液体非乳製品クリーマーに使用できる。この液体クリーマーは保存安定性で、無菌であることができる。このような液体クリーマーは一般に、水中油型エマルジョンと称することができ、水性連続相及び油性分散相を有する。本明細書中で使用する用語「安定な(安定性)」は、長期間(例えば、少なくとも1ヶ月間)、相分離(例えば、クリーム分離、沈降分離、経時的ゲル化)が最小限である状況又は状態であり続けることを意味する。本開示の実施形態による安定な液体クリーマーは、少なくとも1ヵ月の間保持する場合に安定である認めることができ、一般に2〜3ヶ月又はそれ以上の期間にわたって安定であり、液体クリーマーの保存寿命全体にわたって種々の貯蔵条件中でフェザリング、凝集、沈降分離又は他の相分離の問題(例えば、クリーム分離、経時的ゲル化など)を起こさない。安定な液体クリーマーは、保存寿命安定性、例えば、20℃で少なくとも9ヶ月間、30℃で少なくとも6ヶ月間及び38℃で少なくとも1ヶ月間の保存寿命安定性を有することができる。この液体クリーマーは、高い白色化能及び心地良い口当たりを有することができる。
【0037】
[0043]液体非乳製品クリーマー組成物は、κ−カラギーナンとι−カラギーナンの重量比約1:2〜約1:6のブレンドを含むガム成分、液体非乳製品クリーマー組成物の約0.5〜約2.5重量%の範囲のタンパク質、少なくとも2種の乳化剤のブレンドを含む、約0.2〜約0.7重量%の範囲の乳化剤系及び約8〜約20重量%の範囲の脂質相を含む。乳化剤系:タンパク質:ガム成分の重量比は、(2〜14):(5〜50):1である。
【0038】
[0044]液体クリーマーのガム成分は、κ−カラギーナンとι−カラギーナンのブレンドを含むことができる。一実施形態において、ガム成分は、約0.05〜約0.10重量%の範囲である。さらに、液体クリーマーのタンパク質成分は、当業者に知られている任意の適当なタンパク質を含んでいてもよい。例えば、タンパク質は、カゼイン、カゼイン酸ナトリウム、カゼイン酸カリウム、カゼイン酸カルシウム、大豆タンパク質、エンドウ豆タンパク質、ホエータンパク質又はそれらの任意の組み合わせであることができる。
【0039】
[0045]液体クリーマーの乳化剤系は、少なくとも2種の低分子量乳化剤の、特定の比率の組み合わせを含むことができる。エマルジョンの型は、乳化剤によって制御でき、乳化剤は連続相中に可溶でなければならない。安定な水中油型エマルジョンの場合には、典型的には、高い親水性・親油性バランス(「HLB」)値を有する乳化剤が最良の安定性を提供するはずである。しかし、意外なことに、低HLB値を有する低分子量乳化剤と中HLB値を有する低分子量乳化剤の組み合わせが、それらの特定の重量比において、液体クリーマーの最良の乳化安定性を提供することが判明した。
【0040】
[0046]親水性及び親油性は乳化剤間で異なり、親水性と親油性のバランスをHLB値と称する。HLB値は、分子の種々の領域の親水性値又は親油性値を算出することによって求める。HLB値に関する種々の参考文献がある。例には以下のものがある:Griffin WC:「Classification of Surface−Active Agents by ‘HLB’」、Journal of the Society of Cosmetic Chemists1(1949):311、又はGriffin WC:「Calculation of HLB Values of Non−Ionic Surfactants」、Journal of the Society of Cosmetic Chemists 5(1954):259。乳化剤のHLB値は典型的には0〜20の範囲である。
【0041】
[0047]低HLB値は、約1〜約4の範囲である。中HLB値は、約5〜約10の範囲である。低HLB値を有する低分子量乳化剤としては、モノグリセリド、ジグリセリド、アセチル化モノグリセリド、ソルビタントリオレエート、グリセロールジオレエート、ソルビタントリステアレート、プロピレングリコールモノステアレート、グリセロールモノオレエート及びモノステアレートを、単独で又は組み合わせとして挙げることができるが、これらに限定するものではない。中HLB値を有する低分子量乳化剤としては、ソルビタンモノオレエート、プロピレングリコールモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、カルシウムステアロキシル−2−ラクチレート、グリセロールソルビタンモノパルミテート、大豆レシチン及びモノグリセリドのジアセチル化酒石酸エステルを、単独で又は組み合わせとして挙げることができるが、これらに限定するものではない。一実施形態において、乳化剤は、モノグリセリド(「MG」)、ジグリセリド(「DG」)、モノグリセリドのジアセチル酒石酸エステル(「TMG」)又は特定の低いHLB値若しくは中HLB値を有するそれらの組み合わせである。
【0042】
[0048]液体クリーマー組成物は、脂質相を含む。脂質相は、本開示の油ブレンドを含む。油ブレンドは、クリーム性(creaminess)及び口当たりをクリーマーに与えることができる。油は、クリーマーの白色化効果にも関与する。
【0043】
[0049]一実施形態において、液体クリーマーは、セルロースを含まない。例えば、液体クリーマーは、微結晶セルロース及びカルボキシメチルセルロースなどのセルロース成分を用いずに製造できる。
【0044】
[0050]一実施形態において、液体クリーマーは緩衝剤を含む。緩衝剤は、コーヒーなどの高温の酸性環境中への添加時に、クリーマーの不所望なクリーム分離又は沈殿を防止する。緩衝剤は、例えば、一リン酸塩、二リン酸塩、炭酸ナトリウム(sodium monocarbonate)及び炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム(potassium monocarbonate)及び炭酸水素カリウム又はそれらの組み合わせであることができる。より詳しくは、適当な緩衝剤の非限定的な例は、塩、例えば、リン酸カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン二水素ナトリウム及びトリポリリン酸ナトリウムである。緩衝剤は、液体クリーマーの総重量に基づき、約0.5〜約1%の量に存在できる。
【0045】
[0051]白色化剤も、液体クリーマー中に使用できる。白色化剤は、液体クリーマーを加える水性媒体をさらに白色化するのに十分な量で含ませることができる。例えば、白色化剤はTiOであってもよく、TiOは組成物の重量に基づき、約0.1〜約1重量%の量で存在できる。TiOは、約0.1〜約0.7ミクロンの範囲の粒径(particle size)を有することができ、好ましい実施形態は0.4ミクロンの粒径を有する。TiOを補足的なホワイトナーとして用いる場合には、TiOは、液体クリーマーの保存寿命全体にわたって完全に分散した状態に保持できる。一実施形態において、液体クリーマー組成物は、TiOを含まない。
【0046】
[0052]白色化剤の粒子径(particulate sizes)は、0.3〜0.5ミクロンの範囲である。白色化剤の最適粒子径は、光散乱が最も濃い白色を発する場合に得られる。白色化剤の最適粒子径は、考慮する波長に関係し、全可視スペクトルについては、最適粒子径は平均波長の1/2又は約0.30ミクロンであろう。白色化剤の粒子径が小さいほど液体クリーマー自体は青味がかり、白色化剤の粒子径が大きいほど白色化力が低下していくと予想できる。
【0047】
[0053]平均約0.30ミクロンの粒径の使用は、少なくとも2つの理由で有益なはずである。白色化力の増加は、同じ最終的な色に必要な白色化成分の減少につながり、コスト削減を可能にする。粒子は小さいほど懸濁が容易であり、懸濁状態が保持される。一般的に言えば、懸濁粒子は、沈降傾向をもたらす重力に関して、ストークスの法則の終端速度によって支配される。しかし、粒径約2.0ミクロン未満では、他の力がかなり大きくなり、それが沈降又は懸濁も制御する。粒径2.0ミクロン未満では、ブラウン運動が支配的であり、粒径の減少につれて、重力が次第に重要性を失っていき、その結果、小粒子の懸濁に有利となり、沈降もそれほど起こらないことは、よく知られている。
【0048】
[0054]液体クリーマーは、香味料、甘味料、着色剤又はそれらの組み合わせなどの1種又は複数の成分を含むこともできる。甘味料としては、例えば、スクロース、フルクトース、デキストロース、マルトース、デキストリン、レブロース、タガトース、ガラクトース、コーンシロップ固体及び他の天然甘味料又は人工甘味料を挙げることができる。シュガーレス甘味料としては、糖アルコール、例えば、マルチトール、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール、マンニトール、イソマルト、ラクチトール、水素化澱粉加水分解物などを、単独で又は組み合わせとして挙げることができるが、これらに限定するものではない。
【0049】
[0055]香味料、甘味料及び着色剤の使用レベルは大きく変化し、甘味料の強さ、目的とする、製品の甘味度、使用する香味料のレベル及び種類並びにコストの事情によって異なるであろう。糖及び/又はシュガーレス甘味料の組み合わせを、液体クリーマー中に使用してもよい。一実施形態において、甘味料は、液体クリーマー中に約20〜約50重量%の範囲の濃度で存在する。別の実施形態において、甘味料は、約25〜35重量%の範囲である。
【0050】
[0056]本開示の実施形態の安定な液体クリーマーは、コーヒーに容易に分散でき、高温及び低温の酸性環境において安定であることができる。コーヒー、茶(tea)、ココア又は他の液体製品に加える場合には、この液体クリーマーは、高い白色化能、良好な口当たり、十分なこく、滑らかな質感及びさらには、貯蔵期間中に異臭(off−flavor note)のない良好な風味を提供できる。この液体クリーマーはまた、シリアルなどの他の種々の食品と共に、ベリー用のクリームとして、スープ用のクリーマーとして、及び多くの調理用途において使用できる。
【0051】
[0057]この液体クリーマーは、飲料にクリーミング効果を与えるのに十分な量で、任意の適当な飲料に加えることができる。クリーミング効果は、クリーム又は乳製品に関連する品質、例えば、望ましい風味、質感、こく及び/又は色(淡色化又は白色化)を与える。他の実施形態において、液体クリーマーは、安定であり、冷蔵温度(例えば、約4℃)、室温(例えば、約20℃)及び高温(例えば、約30〜38℃)での貯蔵中の相分離問題(例えば、クリーム分離、プラグ形成、ゲル化、シネレシス、沈降分離など)を克服している。
【0052】
[0058]図1〜5は、本開示の油/ブレンドが、液体非乳製品クリーマー中に使用する場合に、種々の温度で種々の時間にわたって液体クリーマーを貯蔵した後であっても、許容される官能スコア(sensory score)を示すことを、明白に示している。官能スコアは、コーヒー中の液体非乳製品クリーマーの味を評価した5〜6人の訓練されたパネリストのコンセンサスによって得た。パネリストは、例えば外観、芳香、風味及び質感を含むいくつかの主要な官能的特性に基づいて、液体非乳製品クリーマーを評価した。グラフを横切るに横線は、許容最小限の官能スコアを示している。
【0053】
[0059]例えば、図1〜3は、本開示のいくつかの例となる油/ブレンドを含んでいた液体非乳製品クリーマーを含むコーヒーに関する官能スコアのグラフを示している。「対照」と表示した第1の油は、市販の液体クリーマー中に現在使用されている部分水素化綿実油と大豆油のブレンドである。第2の油は、パーム油である。第3の油は、パーム分別油である。第4の油は、高オレイン酸ヒマワリ油32.5%とヤシ油67.5%のブレンドである。図1の油は、液体非乳製品クリーマーに入れ、20℃で1ヶ月貯蔵してから、コーヒーに加えた。図2の油は、液体非乳製品クリーマーに入れ、30℃で1ヶ月貯蔵してから、コーヒーに加えた。図3の油は、液体非乳製品クリーマーに入れ、38℃で1ヶ月貯蔵してから、コーヒーに加えた。
【0054】
[0060]図1〜3によって明白に示されるように、本開示の油/ブレンドを含むクリーマーのほとんどは、コーヒー中に使用した場合に、許容最小限の官能スコアを上回った。実際に、図1〜3の油/ブレンドによって表されるクリーマーのほとんどは、対照の油ブレンドと同様か又はそれを上回る官能スコアを得た。
【0055】
[0061]同様に、図4〜5も、本開示のいくつかの例となる油/ブレンドを含んでいた液体非乳製品クリーマーを含むコーヒーに関する官能スコアのグラフを示している。「対照」と表示した第1の油は、市販の液体クリーマー中に現在使用されている部分水素化綿実油と大豆油のブレンドである。第2の油は、部分水素化高オレイン酸ヒマワリ油15%、ココナッツ油30%及びパームステアリン油55%のブレンドである。第3の油は、高オレイン酸ヒマワリ油25%とパームステアリン油75%のブレンドである。第4の油は、高オレイン酸ヒマワリ油である。図4の油/ブレンドは、液体非乳製品クリーマー中に入れ、コーヒーに加える前には貯蔵しなかった。すなわち、油/ブレンドはクリーマーに加えてからすぐに、官能検査のためにコーヒー中に使用した。図5の油/ブレンドは、液体非乳製品クリーマーに入れ、38℃で1ヶ月貯蔵してから、コーヒーに加えた。
【0056】
[0062]図4〜5によって明白に示されるように、本開示の油/ブレンドを含むクリーマーは全て、コーヒー中に使用した場合に、許容最小限の官能スコアを上回った。実際、図4〜5の油/ブレンドによって表されるクリーマーは全て、対照の油/ブレンドの官能スコアと同様な官能スコアを得た。したがって、図から、提示した油及びブレンドの官能スコアは、少なくとも許容され、ほとんどの場合、単に許容されるよりもはるかに良好であることが明白である。
【0057】
[0063]本開示はまた、本明細書中で開示した酸化安定性/乳化安定性の油/ブレンドを用いる、安定な液体クリーマーの製造方法を提供する。有利には、他の実施形態において、安定な液体クリーマーは、例えば、室温又は冷蔵温度において少なくとも6ヶ月間にわたって保存寿命安定性を有することができる。
【0058】
[0064]液体クリーマーの製造方法は、ガム成分、タンパク質、乳化剤系及び脂質相の組み合わせを水和させて液体クリーマーを形成するステップと、液体クリーマーを均質化するステップと、液体クリーマーを容器に無菌充填するステップとを含む。脂質相は、ココナッツ油、パーム油、パーム分別油、高オレイン酸ヒマワリ油及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の油を含み、脂質相は、脂質相の総重量に基づき、80重量%以下の飽和脂肪酸及び脂質相の総重量に基づき、1重量%以下のトランス脂肪酸を含む。この方法の別の実施形態において、脂質相は、総重量に基づき、75重量%以下の飽和脂肪酸を含む。さらに別の実施形態において、脂質相は、総重量に基づき、70重量%以下の飽和脂肪酸を含む。
【0059】
[0065]水和は、水又は任意の他の適当な液体を用いて実施できる。例えば、ガム、乳化剤、タンパク質、1種又は複数の緩衝剤、1種又は複数の甘味料及び1種又は複数の香味料の水中での水和を、撹拌しながら融解油脂を添加して実施し、続いて熱処理、均質化、冷却及び無菌条件下での無菌容器への充填を行うことができる。無菌熱処理は、直接的又は間接的な超高温(「UHT」)法を使用できる。均質化は、熱処理の前及び/又は後に実施できるであろう。
【0060】
[0066]本開示の油/ブレンドは、極めて低濃度のトランス脂肪酸及び中レベルの不飽和脂肪酸を含むと同時に、長期保存寿命を提供できる酸化安定性及び乳化安定性を有する。液体非乳製品クリーマーに加える場合、本開示の油/ブレンドは、物理的及び化学的に安定な液体クリーマーを提供する。液体クリーマーの使用は、コーヒーへの適用に限定しない。例えば、クリーマーは、他の飲料、例えば、茶若しくはココアにも使用できるし、又はシリアル若しくはベリーと共に、スープ用クリーマーとして、及び多くの調理用途などにおいても使用できる。
【実施例】
【0061】
[0067]以下の例は、限定ではなく実例として、本開示の種々の実施形態の説明に役立つ。
【0062】
[0068]スクロースとκ−カラギーナン及びι−カラギーナンを重量比1:3で混ぜ合わせることによって、カラギーナンとスクロースとのドライブレンドを調製した。タンク中で高撹拌下において、約75℃の熱水中にドライブレンドを加えた。次いで、リン酸水素二カリウムを、連続撹拌下でタンクに加えた。
【0063】
[0069]次に、カゼイン酸ナトリウム及びスクロースを混ぜ合わせることによって、ドライブレンドを調製した。ドライブレンドを、高撹拌下でタンクに加えた。約10分間の混合後、連続高撹拌下でタンクに乳化剤を加えた。さらに、約60℃の融解油ブレンドを、高撹拌下で加え、続いて残りのスクロースを加えた。少量の追加の水を加えて、総生成物重量を100kgに調整した。クリーマー組成物の種々の成分の割合を、下記表1に示す。
【表1】

【0064】
[0070]得られた液体を予熱し、143℃で5秒間UHT処理し、180/40バールで均質化し、冷却し、液体クリーマーをボトルに無菌充填した。液体クリーマーは、任意の無菌容器、例えば、ジャー、ジャグ又はパウチ中に無菌充填してもよい。
【0065】
[0071]クリーマー組成物を含むコーヒーの調製:インスタントコーヒー粉末(例えば、Taster Choice(登録商標)、フレンチロースト、凍結乾燥)を用いて、1.2%のコーヒー飲料を調製した。85℃のブラックコーヒー溶液180mlにクリーマー組成物30gを加えることによって、白色化コーヒー試料を調製した。
【0066】
[0072]白色化能:CMLによるコーヒーのLab表色値を、Colorimeter、Model ColorQuest XEを用いて測定した。
【0067】
[0073]種々の油ブレンドを含むが低TFAでTiOを添加していないクリーマー組成物試料の白色度を、図6に示す。クリーマーの油レベルの増加は、対照と比較して高いL値をもたらす。
【0068】
[0074]コーヒー中におけるクリーマー組成物の白色化能を、図7に示す。クリーマー組成物のより高い白色化能が、MS−FFA−03によって得られた。純粋なクリーマー生成物中の種々の油ブレンドの白色化効果が、コーヒー中における白色化効果と一致しないことは興味深いことである。
【0069】
[0075]クリーマー及び液体クリーマーを添加したコーヒー飲料の物理化学的安定性及び官能プロフィールを、訓練を受けていないパネリストが判定した。貯蔵中に、相分離(例えば、クリーム分離、脱油、マーブリングなど)、ゲル化、沈降分離も、実質的な粘度変化も認められなかった。
【0070】
[0076]液体クリーマーは、良好な外観、口当たり、滑らかな質感及び「異」味のない良好な風味を有することが判明した。さらに、クリーマーは、コーヒーに加えた場合に、高い白色化能を示した。
【0071】
[0077]組成物の成分に関して本明細書中で示す全ての百分率は、特に断らない限り、組成物の総重量に基づく重量%である。全体を通じて使用するように、本明細書中では範囲を簡略表現として使用することにより、範囲内の全ての値を詳細に説明しなくて済み、範囲内の全ての値を記載している。範囲内の任意の適当な値を、必要に応じて、範囲の上値、下値又は終端として選択できる。
【0072】
[0078]本発明の好ましい実施形態の種々の変更及び修正は、当業者には明白であることを理解すべきである。このような変更及び修正は、本発明の対象の精神及び範囲から逸脱することなく、また、所期の利点を損なうことなく、実施できる。したがって、このような変更及び修正は添付の特許請求の範囲によって網羅されるよう意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ココナッツ油、パーム油、パーム分別油、高オレイン酸ヒマワリ油又はそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の油を含む油ブレンドであって、ブレンドが80重量%以下の飽和脂肪酸及び1重量%以下のトランス脂肪酸を含む油ブレンド。
【請求項2】
油ブレンドの総重量に基づき、約50〜約80重量%のココナッツ油及び約20〜約50重量%の高オレイン酸ヒマワリ油を含む、請求項1に記載の油ブレンド。
【請求項3】
油ブレンドの総重量に基づき、約20〜約40重量%のココナッツ油、約5〜約25重量%の高オレイン酸ヒマワリ油及び約45〜約65重量%のパームステアリン油を含む、請求項1に記載の油ブレンド。
【請求項4】
油ブレンドの総重量に基づき、約60〜約90重量%のパームステアリン油及び約10〜約40重量%の高オレイン酸ヒマワリ油を含む、請求項1に記載の油ブレンド。
【請求項5】
油ブレンドの総重量に基づき、約50〜約70重量%のココナッツ油及び約30〜約50重量%の高オレイン酸ヒマワリ油を含む、請求項1に記載の油ブレンド。
【請求項6】
ブレンドが75重量%以下の飽和脂肪酸を含む、請求項1に記載の油ブレンド。
【請求項7】
ブレンドが70重量%以下の飽和脂肪酸を含む、請求項1に記載の油ブレンド。
【請求項8】
香味料、甘味料、着色剤又はそれらの組み合わせからなる群から選択される成分を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の油ブレンド。
【請求項9】
ガム成分と、
タンパク質と、
乳化剤系と、
ココナッツ油、パーム油、パーム分別油、高オレイン酸ヒマワリ油及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の油を含む脂肪相と
を含む液体クリーマーであって、脂質相が、脂質相の総重量に基づき、80重量%以下の飽和脂肪酸及び脂質相の総重量に基づき、1重量%以下のトランス脂肪酸を含む、液体クリーマー。
【請求項10】
脂質相が、脂質相の総重量に基づき、約50〜約80重量%のココナッツ油及び約20〜約50重量%の高オレイン酸ヒマワリ油を含む、請求項9に記載の液体クリーマー。
【請求項11】
脂質相が、脂質相の総重量に基づき、約20〜約40重量%のココナッツ油、約5〜約25重量%の高オレイン酸ヒマワリ油及び約45〜約65重量%のパームステアリン油を含む、請求項9に記載の液体クリーマー。
【請求項12】
脂質相が、脂質相の総重量に基づき、約60〜約90重量%のパームステアリン油及び約10〜約40重量%の高オレイン酸ヒマワリ油を含む、請求項9に記載の液体クリーマー。
【請求項13】
脂質相の総重量に基づき、約50〜約70重量%のココナッツ油及び約30〜約50重量%の高オレイン酸ヒマワリ油を含む、請求項9に記載の液体クリーマー。
【請求項14】
脂肪相が、脂肪相の総重量に基づき、80重量%以下の飽和脂肪酸を含む、請求項9に記載の液体クリーマー。
【請求項15】
脂肪相が、脂肪相の総重量に基づき、80重量%以下の飽和脂肪酸を含む、請求項9に記載の液体クリーマー。
【請求項16】
香味料、甘味料、着色剤又はそれらの組み合わせからなる群から選択される成分を含む、請求項9〜15のいずれか一項に記載の液体クリーマー。
【請求項17】
ガム成分、タンパク質、乳化剤系及び脂質相の組み合わせを水和させて液体クリーマーを形成するステップであって、脂質相がココナッツ油、パーム油、パーム分別油、高オレイン酸ヒマワリ油及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の油を含み、脂質相が、脂質相の総重量に基づき、80重量%以下の飽和脂肪酸及び脂質相の総重量に基づき、1重量%以下のトランス脂肪酸を含むステップと、
液体クリーマーを均質化するステップと、
液体クリーマーを容器に無菌充填するステップと
を含む、安定な液体クリーマーの製造方法。
【請求項18】
容器に充填するステップの前に、液体クリーマーを熱処理するステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
容器に充填するステップの前に、液体クリーマーを均質化するステップをさらに含む、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
脂質相が、脂質相の総重量に基づき、約50〜約80重量%のココナッツ油及び約20〜約50重量%の高オレイン酸ヒマワリ油を含む、請求項17〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
脂質相が、脂質相の総重量に基づき、約20〜約40重量%のココナッツ油、約5〜約25重量%の高オレイン酸ヒマワリ油及び約45〜約65重量%のパームステアリン油を含む、請求項17〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
脂質相が、脂質相の総重量に基づき、約60〜約90重量%のパームステアリン油及び約10〜約40重量%の高オレイン酸ヒマワリ油を含む、請求項17〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
脂質相が、脂質相の総重量に基づき、約50〜約70重量%のココナッツ油及び約30〜約50重量%の高オレイン酸ヒマワリ油を含む、請求項17〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
脂肪相が、脂肪相の総重量に基づき、75重量%以下の飽和脂肪酸を含む、請求項17〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
脂肪相が、脂肪相の総重量に基づき、70重量%以下の飽和脂肪酸を含む、請求項17〜19のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−511965(P2013−511965A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−540384(P2012−540384)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【国際出願番号】PCT/EP2010/067909
【国際公開番号】WO2011/064167
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】