説明

酸化染毛剤又は脱色剤組成物

【課題】酸化染毛剤又は脱色剤組成物において、炭素数6〜11のアルキル基を有するポリグルコシドを配合した場合であっても、良好な染毛性及び染毛された毛髪の高い染色堅牢性もしくは良好な脱色性を示すようにする。
【解決手段】酸化染毛又は脱色剤組成物は、次の成分(A)及び(B)
成分(A) 一般式(1)で示されるポリグルコシド
R−O−[G]p−H (1)
(式中、Rは炭素数6〜11の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、Gはアンヒドログルコース単位を示し、pは数平均で1〜5の数を示す。)、及び
成分(B)炭素数4〜22の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有するモノグリセリルエーテル
を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪に用いるのに好適な酸化染毛剤又は脱色剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪の染色や脱色には、酸化染毛剤又は脱色剤が広く使用されている。これらは、アンモニア等のアルカリ剤を含有する第1剤と過酸化水素等の酸化剤を含有する第2剤とを混合して用いるものであり、染毛剤の場合には、第1剤に更に酸化染料や直接染料を含有するものである。
【0003】
このような酸化染毛剤又は脱色剤は、通常、界面活性剤を含有しており、その界面活性剤として、頭皮への刺激性の少ないアルキルポリグルコシドを用いることが知られている。この例として、第1剤に炭素数12〜16のアルキル基を有するポリグルコシドを添加することにより、染色性をも併せて高めた酸化染毛剤が提案されている(特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特表平8−500351号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の酸化染毛剤において、炭素数12〜16のアルキル基を有するグルコシドに代えて、それよりも製造が容易であり、また特に組成物を可溶化系等の液状とした場合に低温での保存安定性を高められるという利点を有する炭素数6〜11のアルキル基を有するポリグルコシドを使用した場合、染料の繊維への吸収が十分とは言えず、所期の髪色に染毛し難いという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、酸化染毛剤又は脱色剤において、炭素数6〜11のアルキル基を有するポリグルコシドを使用した場合でも、良好な染毛性及び染毛された毛髪の高い染色堅牢性(以下、単に堅牢性と称することがある)もしくは良好な脱色性を示す酸化染毛剤又は脱色剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上述したような酸化染毛剤又は脱色剤組成物に炭素数6〜11のアルキル基を有するポリグルコシドを使用した場合でも、特定のグリセリルエーテルを併用することで、良好な染毛性及び高い堅牢性もしくは良好な脱色性を示すことを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
即ち、本発明は、以下の一般式(1)で示されるポリグルコシド(成分(A))と、炭素数4〜22の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有するモノグリセリルエーテル(成分(B))とを含有することを特徴とする酸化染毛剤又は脱色剤組成物を提供する。
【0009】
【化1】

【0010】
式(1)中、Rは炭素数6〜11の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、Gはアンヒドログルコース単位を示し、pは数平均で1〜5の数を示す。
【発明の効果】
【0011】
本発明の酸化染毛剤又は脱色剤組成物は、炭素数6〜11のアルキル又はアルケニル基を有するポリグルコシドを使用しているにも拘わらず、特定のモノグリセリルエーテルを併用しているので、良好な染毛性及び高い堅牢性もしくは良好な脱色性を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の酸化染毛剤又は脱色剤組成物は、アルカリ剤を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤とを混合してなる組成物であり、以下の成分(A)と成分(B)とを含有する。ここで、成分(A)は、一般式(1)で示されるポリグルコシドであり、一方、成分(B)は炭素数4〜22の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有するモノグリセリルエーテルである。両者を併用することにより、良好な染色性及び高い堅牢性もしくは良好な脱色性を毛髪に付与することができる。
【0013】
【化2】

【0014】
式(1)において、Rは炭素数6〜11の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基であり、例えば、n−ヘキシル基、3−ヘキセニル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、イソデシル基、n−ウンデシル基、イソウンデシル基などが挙げられる。その中でも、炭素数8〜11、より好ましくは炭素数9〜11の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましい。また、Gはアンヒドログルコース単位を示し、pは数平均で1〜5の数であり、好ましくは1.1〜2、より好ましくは1.2〜1.5の数である。成分(A)のポリグルコシドは、2種以上を併用してもよい。
【0015】
成分(A)のポリグルコシドの酸化染毛剤又は脱色剤組成物中の含有量は、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.3〜5質量%、特に好ましくは0.5〜3質量%である。その含有量がこの範囲内であると、頭皮への刺激が低減され、染毛性及び堅牢性もしくは脱色性を高めることができるので好ましい。
【0016】
成分(B)は、炭素数4〜22の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有するモノグリセリルエーテルである。ここで、炭素数4〜22の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基は、モノグリセリルエーテル中に1又は2個存在し、1個存在することが好ましい。このようなアルキル基又はアルケニル基としては、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、イソデシル基、ラウリル基、ミリスチリル基、セチル基、ステアリル基、イソステアリル基、ベヘニル基、オレイル基等が挙げられる。中でも、炭素数6〜12、より好ましくは炭素数8〜10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、特に2−エチルヘキシル基又はイソデシル基を有するモノアルキルモノグリセリルエーテルが好ましい。成分(B)のモノグリセリルエーテルは、2種以上を併用してもよい。
【0017】
成分(B)のモノグリセリルエーテルの酸化染毛剤又は脱色剤組成物中の含有量は、染毛性及び堅牢性もしくは脱色性の向上の観点から、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.05〜3質量%、特に好ましくは0.1〜2質量%である。
【0018】
本発明の酸化染毛剤又は脱色剤組成物において、成分(A)に対する成分(B)の質量比[B/A]は、染毛性及び堅牢性もしくは脱色性の向上の観点から、好ましくは0.05〜1、より好ましくは0.1〜0.7である。
【0019】
本発明の酸化染毛剤又は脱色剤組成物は、上述の成分(A)及び成分(B)の他に、アルカリ剤を含有する。アルカリ剤は第1剤に含有され、第1剤のpH(25℃)は、好ましくは8〜12である。また、第1剤には、必要に応じて、酸化染料又は直接染料、シリコーン類、ポリマー類、高級アルコール類、他の界面活性剤、媒体、pH調整剤等を含有させることができる。他方、第2剤は、酸化剤を含有する。第2剤のpH(25℃)は、好ましくは2〜5である。また、第2剤には、必要に応じて、シリコーン類、ポリマー類、高級アルコール類、他の界面活性剤、媒体、pH調整剤等を含有させることができる。なお、本発明の酸化染毛剤又は脱色剤組成物(第1剤と第2剤との混合時)のpH(25℃)は、染毛もしくは脱色効果及び皮膚刺激性の観点から、好ましくは8〜12、より好ましくは9〜11である。
【0020】
本発明の酸化染毛剤又は脱色剤組成物で使用するアルカリ剤としては、アンモニア、モノエタノールアミン、イソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール、2−アミノブタノール等のアルカノールアミン、1,3−プロパンジアミン等のアルカンジアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基が挙げられる。中でも、アンモニア及びアルカノールアミンが好ましい。アルカノールアミンとしてはモノエタノールアミンが好ましい。このようなアルカリ剤は、2種以上を併用してもよい。
【0021】
また、アルカリ剤の酸化染毛剤又は脱色剤組成物中の含有量は、十分な染毛・脱色効果の観点、毛髪損傷や頭皮刺激の低減の観点から、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.05〜4質量%、特に好ましくは0.1〜3質量%である。
【0022】
酸化剤としては、過酸化水素、過酸化水素を発生し得る過酸化尿素、過酸化メラミン、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム等が挙げられる。特に過酸化水素を好ましく使用できる。
【0023】
酸化剤の酸化染毛剤又は脱色剤組成物中の含有量は、十分な染毛・脱色効果及び毛髪損傷や頭皮刺激の低減の点から、過酸化水素換算量として、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは1〜5質量%となる量である。
【0024】
本発明の組成物が酸化染毛剤組成物の場合には、第1剤は酸化染料又は直接染料を含有する。
【0025】
酸化染料のうちプレカーサーとしては、従来の酸化染毛剤に使用されている公知のプレカーサーを用いることができ、例えばパラフェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン、2−クロロ−パラフェニレンジアミン、N−メトキシエチル−パラフェニレンジアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−パラフェニレンジアミン、2−(2−ヒドロキシエチル)−パラフェニレンジアミン、2,6−ジメチル−パラフェニレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルアミン、1,3−ビス(N−(2−ヒドロキシエチル)−N−(4−アミノフェニル)アミノ)−2−プロパノール、PEG−3,3,2′−パラフェニレンジアミン、パラアミノフェノール、パラメチルアミノフェノール、3−メチル−4−アミノフェノール、2−アミノメチル−4−アミノフェノール、2−(2−ヒドロキシエチルアミノメチル)−4−アミノフェノール、オルトアミノフェノール、2−アミノ−5−メチルフェノール、2−アミノ−6−メチルフェノール、2−アミノ−5−アセトアミドフェノール、3,4−ジアミノ安息香酸、5−アミノサリチル酸、2,4,5,6−テトラアミノピリミジン、2,5,6−トリアミノ−4−ヒドロキシピリミジン、4,5−ジアミノ−1−(4′−クロロベンジル)ピラゾール、4,5−ジアミノ−1−ヒドロキシエチルピラゾールとこれらの塩等が挙げられる。これらのプレカーサーは、2種以上を併用してもよい。
【0026】
また、カップラーとしては、従来の酸化染毛剤に使用されている公知のカップラーを用いることができ、例えばメタフェニレンジアミン、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、2−アミノ−4−(2−ヒドロキシエチルアミノ)アニソール、2,4−ジアミノ−5−メチルフェネトール、2,4−ジアミノ−5−(2−ヒドロキシエトキシ)トルエン、2,4−ジメトキシ−1,3−ジアミノベンゼン、2,6−ビス(2−ヒドロキシエチルアミノ)トルエン、2,4−ジアミノ−5−フルオロトルエン、1,3−ビス(2,4−ジアミノフェノキシ)プロパン、メタアミノフェノール、2−メチル−5−アミノフェノール、2−メチル−5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)フェノール、2,4−ジクロロ−3−アミノフェノール、2−クロロ−3−アミノ−6−メチルフェノール、2−メチル−4−クロロ−5−アミノフェノール、N−シクロペンチル−メタアミノフェノール、2−メチル−4−メトキシ−5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)フェノール、2−メチル−4−フルオロ−5−アミノフェノール、レゾルシン、2−メチルレゾルシン、4−クロロレゾルシン、1−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2−イソプロピル−5−メチルフェノール、4−ヒドロキシインドール、5−ヒドロキシインドール、6−ヒドロキシインドール、7−ヒドロキシインドール、6−ヒドロキシベンゾモルホリン、3,4−メチレンジオキシフェノール、2−ブロモ−4,5−メチレンジオキシフェノール、3,4−メチレンジオキシアニリン、1−(2−ヒドロキシエチル)アミノ−3,4−メチレンジオキシベンゼン、2,6−ジヒドロキシ−3,4−ジメチルピリジン、2,6−ジメトキシ−3,5−ジアミノピリジン、2,3−ジアミノ−6−メトキシピリジン、2−メチルアミノ−3−アミノ−6−メトキシピリジン、2−アミノ−3−ヒドロキシピリジン、2,6−ジアミノピリジンとこれらの塩等が挙げられる。これらのカップラーは、2種以上を併用してもよい。
【0027】
酸化染料の酸化染毛剤組成物中の含有量は、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.1〜4質量%である。
【0028】
直接染料としては、ニトロ染料、分散染料、塩基性染料等が挙げられ、具体的には、ニトロ染料としては、2−ニトロ−パラフェニレンジアミン、2−アミノ−6−クロロ−4−ニトロフェノール、3−ニトロ−パラヒドロキシエチルアミノフェノール、4−ニトロ−オルトフェニレンジアミン、4−アミノ−3−ニトロフェノール、4−ヒドロキシプロピルアミノ−3−ニトロフェノール、HCブルーNo.2、HCオレンジNo.1、HCレッドNo.1、HCイエローNo.2、HCイエローNo.4、HCイエローNo.5、HCレッドNo.3、N,N−ビス−(2−ヒドロキシエチル)−2−ニトロ−パラフェニレンジアミン等が挙げられ、分散染料としては、ディスパーズバイオレット1、ディスパーズブルー1、ディスパーズブラック9等が挙げられ、塩基性染料としては、ベーシックブルー99、ベーシックブラウン16、ベーシックブラウン17、ベーシックレッド76、ベーシックレッド51、ベーシックイエロー57、ベーシックイエロー87、ベーシックオレンジ31等が挙げられる。直接染料は、2種以上を併用してもよく、酸化染料と併用することもできる。
【0029】
直接染料の酸化染毛剤組成物中の含有量は、好ましくは0.001〜5質量%、より好ましくは0.01〜3質量%である。
【0030】
本発明の酸化染毛剤又は脱色剤組成物は、毛髪に高いコンディショニング効果を付与するためにシリコーン類を含有することができる。シリコーン類の例としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、オキサゾリン変性シリコーンエラストマー等、及びこれらを界面活性剤により水中に分散させたエマルションが挙げられる。高いコンディショニング効果を付与することからポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン及びこれらのエマルションが好ましい。
【0031】
ポリエーテル変性シリコーンには、末端変性又は側鎖変性のもの、ペンダント型(櫛型)、両末端変性型、片末端変性型のものなどが含まれる。このようなポリエーテル変性シリコーンとしては、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体等が挙げられる。このようなポリエーテル変性シリコーンのうちペンダント型(櫛型)の好ましい具体例としては、FZ−2404、FZ−2405、FZ−2408、FZ−2411、FZ−2412、SS−2801、SS−2802、SS−2804、FZ−2184、FZ−2161、FZ−2162、FZ−2104、L−7604、FZ−2188、FZ−2163、FZ−2118、FZ−2170、FZ−2105、L−77(以上、日本ユニカー社)、KF−6011、KF−6013、KF−6018(以上、信越化学工業社)、SH3771M(以上、東レ・ダウコーニング・シリコーン社)、TSF4440、TSF4441、TSF4452(以上、GE東芝シリコーン社)という商品名で特定されるものが挙げられる。特に、ポリエーテル変性シリコーンとしては、HLB10以上、特にHLB10〜18のものが、水との相溶性の点から好ましい。ここで、HLBは、曇数(曇数:HLBと相関のある指標でエーテル型ノニオン系界面活性剤に適用される)から求めた値によるものである。
【0032】
アミノ変性シリコーンとしては、アミノ基又はアンモニウム基を有していればよく、末端水酸基の全て又は一部がメチル基等で封鎖されたアミノ変性シリコーンオイル、末端が封鎖されていないアモジメチコーン等が挙げられる。好ましいアミノ変性シリコーンは、アモジメチコーンである。このようなアミノ変性シリコーンの好ましい具体例としては、SF8451C、SF8452C、SF8457C(以上、東レ・ダウコーニング・シリコーン社)、KF8003、KF867(以上、GE東芝シリコーン社)という商品名で特定されるアミノ変性シリコーンオイルや、SM8704C(東レ・ダウコーニング・シリコーン社)という商品名で特定されるアモジメチコーンをカチオン界面活性剤で乳化したエマルションが挙げられる。ここで、アミノ変性シリコーンのエマルションは、機械的乳化(アミノ変性シリコーンと水との高剪断機械混合)、化学的乳化(アミノ変性シリコーンを水及び界面活性剤で乳化)、若しくはこれらの組み合わせによって、又は乳化重合によっても調製することができる。
【0033】
シリコーン類の酸化染毛剤又は脱色剤組成物中の含有量は、毛髪にコンディショニング効果を付与する効果の観点から、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%、特に好ましくは0.5〜3質量%である。
【0034】
本発明の酸化染毛剤又は脱色剤組成物は、毛髪に良好なコンディショニング効果を付与するためにカチオンポリマー又は両性ポリマーを含有することができる。具体的には、ポリマー鎖の側鎖にアミノ基又はアンモニウム基を含むか、又はジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として含む水溶液のもの、例えばカチオン化セルロース誘導体、カチオン性澱粉、カチオン化グアーガム誘導体、ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体、4級化ポリビニルピロリドン誘導体等が挙げられる。これらのうち、特にシャンプー時の柔らかさ、滑らかさ及び指の通り易さ、乾燥時のまとまり易さ及び保湿性という効果の点から、ジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として含むポリマー、4級化ポリビニルピロリドン誘導体、カチオン化セルロース誘導体が好ましく、ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体がより好ましい。ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体の具体例としては、塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体(ポリクオタニウム−6,例えばマーコート100;オンデオナルコ社)、塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリル酸共重合体(ポリクオタニウム−22,例えばマーコート280,同295;オンデオナルコ社)、塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド共重合体(ポリクオタニウム−7,例えばマーコート550;オンデオナルコ社)、塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリル酸/アクリルアミド共重合体(ポリクオタニウム−39,例えばマーコートプラス3330,同3331;オンデオナルコ社)等が挙げられる。
【0035】
カチオンポリマー又は両性ポリマーの酸化染毛剤又は脱色剤組成物中の含有量は、毛髪にコンディショニング効果を付与する効果の観点から、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.1〜4質量%、特に好ましくは0.2〜3質量%である。
【0036】
本発明の酸化染毛剤又は脱色剤は、毛髪に滑らかな感触を付与するために高級アルコールを含有することができる。高級アルコールとしては、炭素数8〜24、特に炭素数16〜22のアルコールが好ましく、具体的には、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール等が挙げられ、特に感触面からベヘニルアルコールが好ましい。これらは2種以上を併用することができる。
【0037】
高級アルコールの酸化染毛剤又は処理剤組成物中の含有量は、毛髪の感触向上の観点から、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.1〜10質量%である。
【0038】
本発明の酸化染毛剤又は脱色剤組成物は、前述した成分(A)、成分(B)以外の界面活性剤を含有することができる。このような界面活性剤としては、アニオン活性剤、カチオン活性剤、両性活性剤、成分(A)、成分(B)以外の非イオン界面活性剤が挙げられる。このような非イオン界面活性剤としては、炭素数12〜18のアルキル基を有するアルキルポリグルコシド、炭素数12〜22の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル、例えば、ポリオキシエチレン(2〜40)セチルエーテル等を挙げることができる。また、感触面を考慮すれば、長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩等のカチオン界面活性剤を含有させることが好ましい。ここで、好ましい長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩としては、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムを挙げることができる。
【0039】
成分(A)、成分(B)以外の界面活性剤の酸化染毛剤又は脱色剤組成物中の含有量は、毛髪へのなじみやすさや感触向上の観点から、好ましくは約0.1〜15質量%、より好ましくは約1〜10質量%である。
【0040】
本発明の酸化染毛剤及び脱色剤組成物は、媒体として、水及び必要により有機溶剤を含有する。有機溶剤としては、エタノール、2−プロパノール等の低級アルカノール類、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール等の芳香族アルコール類、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、グリセリン等のポリオール類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ベンジルセロソルブ等のセロソルブ類、エチルカルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類が挙げられる。
【0041】
本発明の酸化染毛剤又は脱色剤組成物は、pH調整剤を含有することができ、前記のアルカリ剤のほか、塩酸、リン酸等の無機酸、クエン酸、グリコール酸、乳酸等の有機酸、塩化アンモニウム、塩酸モノエタノールアミン等の塩酸塩、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム等の炭酸塩、リン酸二水素一カリウム、リン酸一水素二ナトリウム等のリン酸塩等を必要に応じて含有することができる。
【0042】
本発明の酸化染毛剤又は脱色剤組成物は、上述した成分の他、従来から化粧品原料として用いられる一般的な添加剤を含有することができる。このような添加剤としては、炭化水素類、動植物油脂、高級脂肪酸類、アニオンポリマー、非イオンポリマー、エステル類、蛋白誘導体、加水分解蛋白、アミノ酸類、過硫酸塩、防腐剤、キレート剤、安定化剤、酸化防止剤、植物性抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、香料、紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0043】
本発明の酸化染毛剤又は脱色剤組成物は、アルカリ剤を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤とを混合してなる、成分(A)及び成分(B)を含有する組成物である。ここで、第1剤は、アルカリ剤と、必要に応じて酸化染料又は直接染料等と、他の成分や媒体とを常法に従って混合することにより調製することができ、他方、第2剤は、酸化剤と、必要に応じて他の成分と媒体とを常法に従って混合することにより調製することができる。なお、成分(A)は、第1剤と第2剤の一方又は両方に含有され、成分(B)は第1剤と第2剤の一方又は両方に含有される。該第1剤を収容した容器と該第2剤を収容した容器とを同一パッケージに収納し、酸化染毛用又は脱色用キットとすることもできる。
【0044】
本発明の酸化染毛剤又は脱色剤組成物を用いて毛髪を染色又は脱色処理するには、第1剤と第2剤とを使用直前に混合した後、その混合物を毛髪に適用し、所定時間放置後、洗い流し、シャンプーで洗浄後、必要に応じてコンディショニング処理剤を適用し、乾燥すればよい。毛髪への適用温度は15〜45℃、適用時間は3〜45分間、好ましくは5〜30分間、より好ましくは10〜30分間である。
【実施例】
【0045】
本発明を以下の実施例により具体的に説明する。なお、以下の表の脚注における*1、*3、*4及び*5で指し示す成分の配合量については、有効成分の量を基準とし、他の成分は成分全体の量を基準とする。
【0046】
実施例1〜4及び比較例1〜6
表1に示す配合組成の第1剤(クリーム状)を常法により調製し、表2に示す配合組成の第2剤(クリーム状)を常法により調製し、これらを質量比1:1で混合することにより各酸化染毛剤組成物を得た。得られた酸化染毛剤組成物について、以下に説明するようにその「染毛性」及び染毛処理された毛髪の「染色堅牢性」を試験評価した。得られた結果を表1に併せて示す。
【0047】
<染毛性>
得られた各酸化染毛剤組成物を、1gの毛束(ヤギ毛)に浴比1:1で塗布し、30℃恒温槽中に15分間静置した。その後、40℃の流水で毛束をすすぎ、シャンプー処理し、更にリンス処理をした後、乾燥して酸化染毛処理した乾燥毛束を得た。その乾燥毛束について、以下の評価基準に従って専門パネラー5名に目視にて染毛性の官能評価をしてもらい、得られた評価数値の平均値を求め、その数値が2.5以上の場合をAと評価し、1.5以上2.5未満をBと評価し、0.5以上1.5未満をCと評価し、0.5未満をDと評価した。得られた結果を表1に示す。
【0048】
染毛性評価基準
3:とても強く染色され、染毛性にとても優れている
2:強く染色され、染毛性に優れている
1:やや弱く染色され、染毛性がやや悪い
0:弱く染色され、染毛性が悪い
【0049】
<染色堅牢性>
染毛性の試験と同様に得た、酸化染毛処理した乾燥毛束を、ラウリルエトキシ(1〜3)硫酸ナトリウムの1.5質量%水溶液(pH7)10mLに浸し、40℃恒温槽中で30分間左右に振動させた。その後、40℃の流水で濯いだ後に乾燥した。この毛束の酸化染毛の堅牢性について、以下の評価基準に従って専門パネラー5名に目視にて官能評価をしてもらい、得られた評価数値の平均値を求め、その数値が2.5以上の場合をAと評価し、1.5以上2.5未満をBと評価し、0.5以上1.5未満をCと評価し、0.5未満をDと評価した。得られた結果を表1に示す。
【0050】
染色堅牢性評価基準
3:色落ちがほとんどなく、堅牢性にとても優れている
2:色落ちが少なく、堅牢性に優れている
1:色落ちがあり、堅牢性がやや悪い
0:色落ちが大きく、堅牢性が悪い








































【0051】
【表1】




【0052】
【表2】

【0053】
表1から、成分(A)と成分(B)とを併用する実施例の酸化染毛剤組成物は、成分(A)及び成分(B)の少なくともいずれかを使用していない比較例の酸化染毛剤組成物に比べ、染毛性に優れており、特に堅牢性については大きく改善していることがわかる。
【0054】
実施例5,6
表3に示す配合組成の第1剤(クリーム状)を常法により調製し、実施例1でも使用した表2に示す配合組成の第2剤(クリーム状)を常法により調製し、これらを質量比1:1で混合することにより酸化染毛剤組成物を得た。得られた酸化染毛剤組成物について、実施例1と同様にその「染毛性」及び染毛処理された毛髪の染色「堅牢性」を試験評価した。その結果、実施例1と同様の良好な結果が得られた。

























【0055】
【表3】

【0056】
実施例7
表4に示す配合組成の第1剤(液状)を常法により調製し、表5に示す配合組成の第2剤(液状)を常法により調製し、これらを質量比1:1.5で混合することにより酸化染毛剤組成物を得た。得られた酸化染毛剤組成物をスクイズフォーマー容器(大和製罐製)から泡状に吐出して、実施例1と同様にその「染毛性」及び染毛処理された毛髪の染色「堅牢性」を試験評価した。その結果、実施例1と同様の良好な結果が得られた。















【0057】
【表4】

【0058】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の酸化染毛剤又は脱色剤組成物は、炭素数6〜11のアルキル基を有するポリグルコシドと、モノグリセリルエーテルとを併用しているので、良好な染毛性及び高い堅牢性もしくは良好な脱色性を示す。従って、毛髪の酸化染毛処理もしくは脱色処理に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)及び(B)を含有する酸化染毛剤又は脱色剤組成物。
成分(A) 一般式(1)で示されるポリグルコシド
【化1】

(式中、Rは炭素数6〜11の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、Gはアンヒドログルコース単位を示し、pは数平均で1〜5の数を示す。)
成分(B) 炭素数4〜22の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有するモノグリセリルエーテル
【請求項2】
成分(A)の含有量が0.1〜10質量%であり、成分(B)の含有量が0.01〜5質量%である請求項1記載の酸化染毛剤又は脱色剤組成物。
【請求項3】
成分(A)に対する成分(B)の質量比[B/A]が、0.05〜1である請求項1又は2記載の酸化染毛剤又は脱色剤組成物。

【公開番号】特開2008−273882(P2008−273882A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−119943(P2007−119943)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】