説明

酸化物超伝導体針状結晶とその製造方法

【課題】 Caを含まず、極めて欠陥の少ない高品位なR1Ba2Cu37針状結晶と、そのR1Ba2Cu37針状結晶の簡便な製造方法を提供する。
【解決手段】 一般式(1)
【化9】


(式中、Rは、Y,La,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Dy,Ho,Er,Tm,YbおよびLuのうちのいずれか1種の希土類元素を示し、Xは、Sb,Te,Se,As,S,Pのうちのいずれか1種の元素を示す)で表される原子比組成を有する圧粉成形体からなる前駆体を、5〜100%の酸素雰囲気中、900℃以上前駆体が完全に溶融する温度未満の温度範囲で熱処理することで、R1Ba2Cu37結晶構造を有する酸化物超伝導体針状結晶を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願の発明は、酸化物超伝導体針状結晶とその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、Caを含まず、極めて欠陥の少ない高品位なR1Ba2Cu37針状結晶と、そのR1Ba2Cu37針状結晶の簡便な製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
酸化物超伝導体の単結晶は、導電層と非導電層が交互に積層した結晶構造を有し、各層間は固有ジョセフソン結合している。近年、この固有ジョセフソン効果を用いた単結晶スイッチング素子デバイスが提案されている。この新しい単結晶スイッチング素子は、従来のジョセフソン接合を用いたものに比べ約1/100に小型化することができ、スイッチング速度も100倍程度速く、作動周波数はTHz(テラヘルツ)の高周波が期待されている。また現在、酸化物超伝導体の針状結晶を用いて作製したサブミクロン結晶素子においては、電子対が1個づつ通過する超伝導単電子トンネル現象が発生することが明らかとなっており、超伝導単電子対素子の実現が期待されている。かかる超伝導単電子トンネル現象を発現させるには、液体ヘリウム温度(4.2K)で作動させる必要があるが、結晶のユニットセルの積層数を1000層程度にすると、液体窒素温度(77K)で作動可能な超伝導単電子対素子が実現できるものと予想されている。
【0003】
しかし、これらの素子の実現には、無欠陥もしくは欠陥の極めて少ない単結晶が要求される。実用観点からの酸化物超伝導体としては、超伝導臨界温度が約110Kの(BiPb)2Sr2Ca2Cu310、約80KのBi2Sr2Ca1Cu28、および約90KのR1Ba2Cu37(Rは希土類元素を示す)の結晶構造物が知られている。ここで、R1Ba2Cu37結晶構造物については、Caを含有する構造も存在し、Caの含有あるいは非
含有により、超伝導デバイス素子の特性に関るキャリア濃度や臨界電流密度が変化される。
【0004】
そして、この出願の発明者らは、(BiPb)2Sr2Ca2Cu310、Bi2Sr2Ca1Cu28の結晶構造物について、その融点を低減させる元素であるTe等を含有させた
原料の圧粉成形体から、極めて結晶性の良好な針状結晶が育成できることを見出し、既に特許出願を行っている(特許文献1および2)。また、R1Ba2Cu37の結晶構造物については、その融点を低減させる元素であるTeとともにCaを複合含有させた原料の圧粉成形体から、極めて結晶性の良好な針状結晶が育成できることを見出し、特許出願を行っている(特許文献3)。
【特許文献1】特開2002−241197号公報
【特許文献2】特開2003−40698号公報
【特許文献3】特開2003−327498号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記の従来のR1Ba2Cu37結晶構造物の製造方法においては、前駆体である圧粉成形体に融点を低減させる元素としてTeとCaを複合含有させているため、前駆体の組成調整がやや複雑なものとなってしまっていた。さらに、得られるR1Ba2Cu37針状結晶中には、必ずCaが含まれてしまい、Caを含まないR1Ba2Cu37針状結晶を得ることができないという問題もあった。
【0006】
そこで、この出願の発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、従来技
術の問題点を解消し、極めて欠陥の少ない高品位な、Ca非含有のR1Ba2Cu37針状結晶と、そのR1Ba2Cu37針状結晶をより簡便に製造することができる方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、まず第1には、一般式(1)
【0008】
【化4】

【0009】
(式中、Rは、Y,La,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Dy,Ho,Er,Tm,YbおよびLuのうちのいずれか1種の希土類元素を示し、Xは、Sb,Te,Se,As,S,Pのうちのいずれか1種の元素を示す)で表される原子比組成を有する前駆体から針状形態に育成されたことを特徴とするR1Ba2Cu37結晶構造を有する酸化物超伝導体針状結晶を提供する。
【0010】
第2には、この出願の発明は、上記のR1Ba2Cu37結晶構造を有する酸化物超伝導体針状結晶であって、上記の一般式(1)で表される原子比組成を有する前駆体が、5〜100%の酸素雰囲気中、900℃以上前駆体が完全に溶融する温度未満の温度範囲で熱処理されることにより、前駆体から針状形態に育成されたことを特徴とするR1Ba2Cu37結晶構造を有する酸化物超伝導体針状結晶を提供する。
【0011】
さらに、この出願の発明は、第3には、一般式(1)
【0012】
【化5】

【0013】
(式中、Rは、Y,La,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Dy,Ho,Er,Tm,YbおよびLuのうちのいずれか1種の希土類元素を示し、Xは、Sb,Te,Se,As,S,Pのうちのいずれか1種の元素を示す)で表される原子比組成を有する圧粉成形体からなる前駆体を、5〜100%の酸素雰囲気中、900℃以上前駆体が完全に溶融する温度未満の温度範囲で熱処理することを特徴とするR1Ba2Cu37結晶構造を有する酸化物超伝導体針状結晶の製造方法を提供する。
【0014】
そしてこの出願の発明は、上記の発明の方法において、第4には、前駆体の組成を、次の一般式(2)
【0015】
【化6】

【0016】
(式中、Rは、Y,La,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Dy,Ho,Er,Tm,YbおよびLuのうちのいずれか1種の希土類元素を示し、Xは、Sb,Te,Se,As,S,Pのうちのいずれか1種の元素を示す)で表される原子比組成のものとすることを特徴とするR1Ba2Cu37結晶構造を有する酸化物超伝導体針状結晶の製造方法を、第5には、20%の酸素雰囲気中、980℃近傍で熱処理することを特徴とするR1Ba2Cu37結晶構造を有する酸化物超伝導体針状結晶の製造方法をも提供する。
【発明の効果】
【0017】
この出願の発明により、従来法では製造することができなかったCaを含有しない高品位なR1Ba2Cu37の針状結晶を製造することが可能となり、未だ実現していない超伝導エレクトロニクス素子実用化へ道を拓くことができる。また、この出願の発明方法は、前駆体の成分調整がより容易なものとなり、高品位なR1Ba2Cu37の針状結晶を簡便に製造することができる。さらに、既に提案されているCaを含有する高品位なR1Ba2Cu37の針状結晶の製造方法(特開2003−327498号公報)と使い分けることで、R1Ba2Cu37の針状結晶におけるCaの含有、非含有の選択が可能となり、キャリア濃度や臨界電流密度等により超伝導特性が制御された超伝導エレクトロニクス素子の実現が可能とされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
この出願の発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
【0019】
この出願の発明者らは、R1Ba2Cu37結晶構造を有する酸化物超伝導体針状結晶の製造に際し、前駆体の組成について、前駆体の融点を低減させる元素とその量、また、前駆体におけるR1Ba2Cu37結晶を構成する元素の組成比との関係を詳細に検討した。その結果、
(1)前駆体の融点を低減させる元素Xとして、Sb,Te,Se,As,S,Pのうちのいずれかを含有させるのが有効であること、
(2)前駆体におけるR1Ba2Cu37結晶を構成する元素の組成比としては、Cuを3とした場合の各元素の原子比として、Rが1.1〜2.4、Baが2.1〜3.4の範囲のR1.12.4Ba2.13.4Cu3Xで表される酸化物組成とすること、
(3)前記のR1.12.4Ba2.13.4Cu3Xで表される酸化物1モルに対し、融点を低減させる元素Xを0.2〜0.8モルの割合で含有させること
により、この前駆体から直接、極めて欠陥の少ないR1Ba2Cu37結晶構造を有する酸化物超伝導体針状結晶を製造できることを見出し、この出願の発明に到達するに至った。
【0020】
すなわち、この出願の発明のR1Ba2Cu37結晶構造を有する酸化物超伝導体針状結晶は、一般式(1)
【0021】
【化7】

【0022】
で表される原子比組成を有する前駆体から針状形態に育成されたことを特徴としている。ここで、(1)式中、Rは、Y,La,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Dy,Ho,Er,Tm,YbおよびLuのうちのいずれか1種の希土類元素を示し、Xは、Sb,Te,Se,As,S,Pのうちのいずれか1種の元素を示している。
【0023】
前駆体の融点を低減させる元素Xとしては、Sb,Te,Se,As,S,Pのうちのいずれかとすることができ、たとえば、SbまたはTe、より限定的にはSbとするのが、酸化物超伝導体針状結晶の育成の面で好ましいものとして例示される。
【0024】
なお、従来の方法においては、前駆体に融点を低減させる元素としてTeのみを含有させた場合についてはBa3Te16が生成してしまい、超伝導体が得られないため、Te
とCaの複合含有が必須とされていた。しかし、この出願の発明においては、前駆体におけるR1Ba2Cu37結晶を構成する元素の組成比をR1.12.4Ba2.13.4Cu3Xで表される酸化物組成とすることで、融点低減元素を1種類含有させるだけで、R1Ba2
37結晶構造を有する酸化物超伝導体針状結晶を得られるようにしている。
【0025】
また、この出願の発明においては、前駆体の原子比組成を、次の一般式(2)
【0026】
【化8】

【0027】
で表されるものとすることが、酸化物超伝導体針状結晶の育成の面で好ましいものとして例示される。
【0028】
以上の前駆体は、公知のとおり、各構成元素の酸化物あるいは炭酸塩の粉末等を用いて調整することができる。また、融点低減元素については、各元素の酸化物、炭酸塩、あるいは元素単体を用いることができる。所定の割合で配合された各構成元素の混合粉末は、たとえば、大気中、760〜820℃程度の温度範囲で10時間程度仮焼し、圧縮成形するなどして、前駆体とすることができる。
【0029】
このような前駆体から育成されたR1Ba2Cu37結晶構造を有する酸化物超伝導体針状結晶は、前駆体に含有させた融点低減元素Xが含まれることがない。そして、もちろんのこと、結晶構造中にCaが含まれることもない。すなわち、この出願の発明により、より簡便な前駆体の組成調整で、極めて欠陥の少ない高品位な、Ca非含有のR1Ba2Cu37針状結晶を製造することができる。
【0030】
また、この出願の発明のR1Ba2Cu37結晶構造を有する酸化物超伝導体針状結晶は、前記の前駆体が、5〜100%の酸素雰囲気中、900℃以上前駆体が完全に溶融する温度未満の温度範囲で熱処理されることにより、前駆体から針状形態に育成されたことを特徴としている。
【0031】
前駆体の熱処理雰囲気における酸素濃度が5〜100%の場合に、R1Ba2Cu37結晶構造を有する酸化物超伝導体針状結晶が育成される。酸素濃度が5%未満の場合には、針状結晶が育成されない場合が生じるため、酸素濃度は5%以上とする。酸素濃度を20%近傍とすると、針状結晶の育成が良好となり、より大型のR1Ba2Cu37結晶構造を有する酸化物超伝導体酸素針状結晶が得られるために好ましい。
【0032】
前駆体の熱処理温度は、前駆体が部分的に溶融し、完全に溶融しない温度とすることができる。前駆体が部分的に溶融する温度は、雰囲気中の酸素濃度にもよるため一概には定義できないが、この出願の発明においては、熱処理温度の下限を、前駆体が部分的でかつ反応するに十分な程度溶融する温度である、900℃以上とするようにしている。また、熱処理温度の上限は、前駆体が完全に溶融する温度未満としている。
【0033】
以上のような熱処理条件において、酸素濃度を20%とし、熱処理温度を980℃近傍とする場合に、針状結晶の育成が良好となり、より大型で結晶性の良いR1Ba2Cu37結晶構造を有する酸化物超伝導体酸素針状結晶が得られるために好ましいことが例示される。
【0034】
以下、添付した図面に沿って実施例を示し、この出願の発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、この発明は以下の例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることは言うまでもない。
【実施例】
【0035】
<<実施例1〜9、比較例1〜11>>:前駆体組成範囲
酸化物超伝導体R1Ba2Cu37におけるRをYとし、融点低減元素をSbとして、Y1Ba2Cu37針状結晶を製造した。
【0036】
まず、原料として、構成元素の酸化物Y23、CuOおよび炭酸塩BaCO3の各粉末
に、酸化物Sb23粉末(X=Sbの場合)を用い、これらを後に示す表1の割合で配合して、Y1.02.5Ba2.03.5Cu3Sb00.9xの原子比組成(Cuを3とした場合の組成比)の混合粉末を調整した。この混合粉末を、800℃で10時間仮焼した後、直径φ15mm、厚さ2mmに圧縮成形し、前駆体を作製した。なお、アルカリ土類元素の原料として炭酸塩を用いたのは、酸化物より取扱いが容易なためであり、例えばBaCO3
粉末のかわりにBaO粉末を用いることもできる。また、融点低減元素Sbとして酸化物を用いたのも取扱いが容易なためであり、その他に炭酸塩や元素単体の粉末等を用いることができる。
【0037】
この前駆体を20%酸素雰囲気中、980℃で10時間熱処理した後、室温まで徐冷し、針状結晶を育成した。育成された針状結晶の長さおよび構造を、併せて表1に示した。
【0038】
【表1】

【0039】
実施例1〜3および比較例1〜3から、前駆体にSbを添加し、その含有量が0.2〜0.8原子比の場合において針状結晶が成長することが確認された。また、含有量が0.5原子比近傍で、針状結晶の成長が最も良くなることが分かった。
【0040】
実施例4〜9および比較例4〜11から、YおよびBaの含有量は、それぞれ1.1〜2.4、2.1〜3.4原子比の場合において針状結晶が成長することが確認された。また、比較例7〜11から明らかなように、Yの含有量を原子比で1とした場合においても針状結晶が得られるが、ここで得られた針状結晶の結晶構造はBa1Cu12の非超伝導
物質であることが確認された。これらのことから、Sbの含有とともに、一定の範囲のYおよびBaの含有が必要であることがわかった。
【0041】
以上の実施例1〜9で得られたこの出願の発明の針状結晶を、X線回折装置およびエネ
ルギー分散スペクトロメータで調べたところ、これらの針状結晶は酸化物超伝導体R1
2Cu37結晶構造の単結晶構造であり、この単結晶構造中にはSbが含まれていない
ことが確認された。また、最も成長が良好で、結晶性のよいY1Ba2Cu37針状結晶は、表1のNo.18(実施例8)に示したものであって、前駆体の組成を、Cuを3とした場合の組成比でSbの含有量を0.5、Yの含有量を2.0、Baの含有量を2.75とした場合に得られたものであった。図1に、R2.0Ba2.75Cu3Sb0.5X原子比組成(Cuを3とした場合の組成比)の前駆体から育成したY1Ba2Cu37針状結晶の走査電子顕微鏡像を示した。前駆体表面から針状の形態に成長していることが確認できる。
【0042】
<<実施例10〜14、比較例12〜14>>:熱処理の温度と雰囲気の効果
2.0Ba2.75Cu3Sb0.5X原子比組成(Cuを3とした場合の組成比)の混合粉末を800℃で10時間仮焼した後、圧粉成形して前駆体を作製した。この前駆体を、表2に示した温度と雰囲気の酸素割合の下で10時間熱処理し、R1Ba2Cu37針状結晶を育成した。表2に、熱処理の温度と雰囲気の酸素割合を変化させた際に得られた針状結晶の長さを併せて示した。
【0043】
【表2】

【0044】
表2から、針状結晶は、前駆体が部分的に溶融する温度、例えば20%酸素雰囲気中では960〜1010℃、で熱処理した場合に成長し、980℃のときに最も成長が良好であることがわかった。また、針状結晶は、雰囲気の酸素割合を5〜100%とした場合においても成長し、20%のときが最も成長が良好であることもわかった。
【0045】
実施例10〜14で得られたこの出願の発明の針状結晶をX線回折装置およびエネルギー分散スペクトロメータで調べたところ、これらの針状結晶は酸化物超伝導体R1Ba2Cu37結晶構造の単結晶構造であり、この単結晶構造中にはSbが含まれていないことが確認された。
【0046】
<<実施例15〜18、比較例15,16>>:融点低減元素の置換
融点低減元素をTeとし、あとは上記実施例1〜14と同様の方法で、20%酸素雰囲気中、960〜1030℃で10時間熱処理した後、室温まで序冷してY1Ba2Cu37針状結晶を製造した。その結果、例えば表3に示したように、融点低減元素をTeにした場合でも、Sbの場合と同様に針状結晶Y1Ba2Cu3Xが成長することが確認された。
【0047】
【表3】

【0048】
<<実施例19>>
図2に、この出願の発明のCa非含有のY1Ba2Cu37針状結晶と、特開2003−327498号公報に開示された方法で作成された従来のCa含有のY1Ba2Cu37針状結晶の電気抵抗と温度の関係を示した。これは直流四端子法で測定した値である。また、図3にはX線回折パターン(005)面を示した。いずれも結晶性の高い高品位なY1
Ba2Cu37針状結晶であることが確認できる。そして、この出願の発明のY1Ba2
37針状結晶は、Ca非含有であるため90K近傍で超伝導遷移が発現しており、従来のCa含有Y1Ba2Cu37針状結晶と比較してTcがおよそ10K程度高いことが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】実施例で得られたこの発明の本発明のY1Ba2Cu37針状結晶の走査型電子顕微鏡像を例示した図である。
【図2】(a)この発明の本発明のCa非含有のY1Ba2Cu37針状結晶と、(b)従来のCa含有のY1Ba2Cu37針状結晶の超伝導性を示す、温度と電気抵抗との関係を例示した図である。
【図3】(a)この発明の本発明のCa非含有のY1Ba2Cu37針状結晶と、(b)従来のCa含有のY1Ba2Cu37針状結晶の(005)面のX線回折パターンを例示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】

(式中、Rは、Y,La,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Dy,Ho,Er,Tm,YbおよびLuのうちのいずれか1種の希土類元素を示し、Xは、Sb,Te,Se,As,S,Pのうちのいずれか1種の元素を示す)で表される原子比組成を有する前駆体から針状形態に育成されたことを特徴とするR1Ba2Cu37結晶構造を有する酸化物超伝導体針状結晶。
【請求項2】
請求項1記載のR1Ba2Cu37結晶構造を有する酸化物超伝導体針状結晶であって、上記の一般式(1)で表される原子比組成を有する前駆体が、5〜100%の酸素雰囲気中、900℃以上前駆体が完全に溶融する温度未満の温度範囲で熱処理されることにより、前駆体から針状形態に育成されたことを特徴とするR1Ba2Cu37結晶構造を有する酸化物超伝導体針状結晶。
【請求項3】
一般式(1)
【化2】

(式中、Rは、Y,La,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Dy,Ho,Er,Tm,YbおよびLuのうちのいずれか1種の希土類元素を示し、Xは、Sb,Te,Se,As,S,Pのうちのいずれか1種の元素を示す)で表される原子比組成を有する圧粉成形体からなる前駆体を、5〜100%の酸素雰囲気中、900℃以上前駆体が完全に溶融する温度未満の温度範囲で熱処理することを特徴とするR1Ba2Cu37結晶構造を有する酸化物超伝導体針状結晶の製造方法。
【請求項4】
前駆体の組成を、次の一般式(2)
【化3】

(式中、Rは、Y,La,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Dy,Ho,Er,Tm,YbおよびLuのうちのいずれか1種の希土類元素を示し、Xは、Sb,Te,Se,As,S,Pのうちのいずれか1種の元素を示す)で表される原子比組成のものとすることを特徴とする請求項3記載のR1Ba2Cu37結晶構造を有する酸化物超伝導体針状結晶の製造方法。
【請求項5】
20%の酸素雰囲気中、980℃近傍で熱処理することを特徴とする請求項3または4記載のR1Ba2Cu37結晶構造を有する酸化物超伝導体針状結晶の製造方法。


【図2】
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【図3】
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【図1】
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【公開番号】特開2006−45028(P2006−45028A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−231319(P2004−231319)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(301023238)独立行政法人物質・材料研究機構 (1,333)
【Fターム(参考)】