説明

重合体ポリオールの製造方法

【課題】 ポリオール中に分散している重合体粒子の粒子径が小さく、ポリウレタン樹脂に用いた場合の樹脂物性に優れた重合体ポリオールの製造方法を見出す。
【解決手段】
下記の工程(1)、(2)および(n)を含む、重合体粒子を含有する重合体ポリオール(I)の製造方法であって、工程(2)における(B1)および(A2)の合計重量を基準とする(b)の濃度(重量%)が26〜40であることを特徴とする重合体ポリオール(I)の製造方法。
工程(1) :ポリオール(a)、エチレン性不飽和モノマー(b)、ラジカル重合開
始剤(c)および分散剤(d)からなるモノマー混合液(A1)を重合
させ、または重合させたものを(a)で希釈して、重合体粒子の含有量
(重量%)が7〜15の重合体ポリオール中間体(B1)を得る工程
工程(2) :(B1)中で、(b)および(c)からなるモノマー混合液(A2)を
重合させて重合体ポリオール中間体(B2)を得る工程
工程(n) :重合体ポリオール中間体(B(n−1))中で、(b)および(c)か
らなるモノマー混合液(An)を重合させて重合体ポリオール中間体(
Bn)、または重合体ポリオール(I)を得る工程(nは3〜7の整数
を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は重合体ポリオールの製造方法に関する。さらに詳しくは、ポリウレタンフォームおよびポリウレタンエラストマーの原料として好適な重合体ポリオールの製造方法、およびそれを用いたポリウレタン樹脂の製法に関する。
【背景技術】
【0002】
重合体ポリオールは、例えばポリウレタンフォームの、圧縮硬さのアップ、耐久性向上といった物性向上を目的に用いられ、ポリオール中で重合開始剤の存在下、エチレン性不飽和モノマーを重合させて得られる。近年、切断伸度等の機械物性の更なるアップを目的に、平均粒子径の小さい重合体ポリオールが望まれている。粒子径を小さくするためには、使用するエチレン性不飽和モノマーの一部として使用するアクリロニトリルの比率を高めて使用する方法(特許文献1参照)があり、第1ステップの重合で予備形成されたサブミクロン粒子からなるシード分散体を用意し、第2ステップでシード分散体にモノマーを添加し所望の重合体濃度とするプロセスが記されている。また、あらかじめ予備形成されたサブミクロン粒子を核に粒子を得る方法が知られている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平6−172462号公報
【特許文献2】特開平9−309937号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の方法で得られた重合体ポリオールを用いると、スラブフォーム用途では重合体粒子中のアクリロニトリル比率が高いためにスコーチを起こしやすく、特許文献2の方法では、小粒子径を得るために重合場となるポリオール中に結合ポリオールと呼ばれる、ポリオールをイソシアネートでジョイントした高分子量ポリオールを多量に使用するため、重合体ポリオールの粘度が高く、得られるポリウレタンフォームの切断伸度等の機械物性が不十分となる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記の問題点を解決するべく鋭意検討を重ねた結果、特定の条件下で多段階の重合を行うことで、上記の問題点を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、下記4発明である。
[1]下記の工程(1)、(2)および(n)を含む、重合体粒子を含有する重合体ポリオール(I)の製造方法であって、工程(2)における(B1)および(A2)の合計重量を基準とする(b)の濃度(重量%)が26〜40であることを特徴とする重合体ポリオール(I)の製造方法。
[2]下記の工程(1)で得られる重合体ポリオール中間体(B1)を用いた、下記の工程(2)および(n)を含む、重合体粒子を含有する重合体ポリオール(I)の製造方法であって、(A1)中の(b)の濃度(重量%)が7〜15、および工程(2)における(B1)および(A2)の合計重量を基準とする(b)の濃度(重量%)が26〜40であることを特徴とする重合体ポリオール(I)の製造方法。
[3]下記の工程(1)および(2)を経て得られる重合体ポリオール中間体(B2)を用いた、下記の工程(n)を含む、重合体粒子を含有する重合体ポリオール(I)の製造方法であって、(A1)中の(b)の濃度(重量%)が7〜15、および工程(2)における(B1)および(A2)の合計重量を基準とする(b)の濃度(重量%)が26〜40であることを特徴とする重合体ポリオール(I)の製造方法。
工程(1) :ポリオール(a)、エチレン性不飽和モノマー(b)、ラジカル重合開
始剤(c)および分散剤(d)からなるモノマー混合液(A1)を重合
させ、または重合させたものを(a)で希釈して、重合体粒子の含有量
(重量%)が7〜15の重合体ポリオール中間体(B1)を得る工程
工程(2) :(B1)中で、(b)および(c)からなるモノマー混合液(A2)を
重合させて重合体ポリオール中間体(B2)を得る工程
工程(n) :重合体ポリオール中間体(B(n−1))中で、(b)および(c)か
らなるモノマー混合液(An)を重合させて重合体ポリオール中間体(
Bn)、または重合体ポリオール(I)を得る工程(nは3〜7の整数
を表す。)
[4]ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させてポリウレタン樹脂を製造する方法において、ポリオール成分の少なくとも一部として請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法で得られてなる重合体ポリオール(I)を用いることを特徴とするポリウレタン樹脂の製造方法。
【発明の効果】
【0005】
本発明の製造方法によれば、モノマー中のアクリロニトリル含量が低い場合でも、粒子径が十分小さい重合体ポリオールが得られ、これを使用した本発明のポリウレタン樹脂は、切断伸度等の機械強度に優れる。さらに、低粘度の重合体ポリオールとすることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明において、ポリオール(a)は、通常、重合体ポリオールの製造に用いられる公知のポリオールが使用できる。例えば、少なくとも2個(ポリウレタン樹脂の物性の観点から、好ましくは2〜8個)の活性水素を含有する化合物(多価アルコール、多価フェノール、アミン、ポリカルボン酸、リン酸等)にアルキレンオキサイドを付加した構造の化合物(a1)およびこれらの混合物が挙げられる。ポリウレタン製造時の生産性の観点から、これらのうちで好ましいものは、多価アルコールにアルキレンオキサイドが付加された構造の化合物である。
【0007】
多価アルコールとしては、炭素数2〜20の2価アルコール(脂肪族ジオール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−および1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのアルキレングリコール;および脂環式ジオール、例えば、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどのシクロアルキレングリコール)、炭素数3〜20の3価アルコール(脂肪族トリオール、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ヘキサントリオールなどのアルカントリオール);炭素数5〜20の4〜8価またはそれ以上の多価アルコール(脂肪族ポリオール、例えば、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン、ジペンタエリスリトールなどの、アルカンポリオールおよびそのもしくはアルカントリオールの分子内もしくは分子間脱水物;ならびにショ糖、グルコース、マンノース、フルクトース、メチルグルコシドなどの糖類およびその誘導体)が挙げられる。
【0008】
多価フェノールとしては、ピロガロール、ハイドロキノンおよびフロログルシン等の単環多価フェノール;ビスフェノールA、ビスフェノールF、およびビスフェノールスルホン等のビスフェノール;フェノールとホルムアルデヒドの縮合物(ノボラック)等が挙げられる。
【0009】
アミンとしては、アンモニア;脂肪族アミンとして、炭素数2〜20のアルカノールアミン(例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、イソプロパノールアミンおよびアミノエチルエタノールアミン)、炭素数1〜20のアルキルアミン(例えば、n−ブチルアミンおよびオクチルアミン)、炭素数2〜6のアルキレンジアミン(例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミンおよびヘキサメチレンジアミン)、ポリアルキレンポリアミン(アルキレン基の炭素数が2〜6のジアルキレントリアミン〜ヘキサアルキレンヘプタミン、例えば、ジエチレントリアミンおよびトリエチレンテトラミン)が挙げられる。
また、炭素数6〜20の芳香族モノもしくはポリアミン(例えば、アニリン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、メチレンジアニリンおよびジフェニルエーテルジアミン);炭素数4〜20の脂環式アミン(イソホロンジアミン、シクロヘキシレンジアミンおよびジシクロヘキシルメタンジアミン);炭素数4〜20の複素環式アミン(例えば、アミノエチルピペラジン)等が挙げられる。
【0010】
ポリカルボン酸としては、炭素数4〜18の脂肪族ポリカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、アゼライン酸など)、炭素数8〜18の芳香族ポリカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸など)、およびこれらの2種以上の混合物などが挙げられる。
【0011】
上記活性水素含有化合物に付加させるアルキレンオキサイドとしては、ポリウレタン樹脂の物性の観点から炭素数2〜8のものが好ましく、エチレンオキサイド(以下、EOと略記する。)、プロピレンオキサイド(以下、POと略記する。)、1,2−、1,3−、1,4−および2,3−ブチレンオキサイド(以下、BOと略記する。)、スチレンオキサイド(以下、SOと略記する。)等およびこれらの2種以上の併用(ブロックおよび/またはランダム付加)が挙げられる。ポリウレタン樹脂の物性の観点から、好ましくは、POまたはPOとEOとの併用(EO含量が25%以下)である。なお、上記および以下において、%はとくに断りのない限り、重量%を意味する。
【0012】
上記ポリオ−ルの具体例としては、上記活性水素含有化合物にPOを付加したものおよびPOと他のアルキレンオキサイド(以下、AOと略記する。)、好ましくはAOを下記の様式で付加したもの、またはこれらの付加化合物とポリカルボン酸若しくはリン酸とのエステル化物等が挙げられる。
(1)PO−AOの順序でブロック付加したもの
(2)PO−AO−PO−AOの順序でブロック付加したもの
(3)AO−PO−AOの順序でブロック付加したもの
(4)PO−AO−POの順序でブロック付加したもの
(5)POおよびAOを混合付加したランダム付加物
(6)米国特許第4226756号明細書記載の順序でランダムまたはブロック付加したもの
また、(a1)の水酸基当量は、ポリウレタン樹脂の物性の観点から、好ましくは200〜4,000、さらに好ましくは400〜3,000である。2種以上の(a1)を併用して水酸基当量がこの範囲内としたものも好ましい。
【0013】
ポリオール(a)として、前記(a1)と共に他のポリオール(a2)を併用することもできる。この場合、(a1)/(a2)の使用比率(重量比)は、ポリウレタン樹脂の物性の観点から好ましくは、100/0〜80/20である。
(a2)としては、ポリエステルポリオール、ジエン系ポリオール等の高分子ポリオール並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0014】
ポリエステルポリオールとしては、前記の多価アルコールおよび/またはポリエーテルポリオール〔エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−または1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の2価アルコールまたはこれらとグリセリン、トリメチロールプロパン等の3価またはそれ以上の多価アルコールとの混合物、並びにこれら多価アルコールのアルキレンオキサイド低モル(1〜10モル)付加物〕と、前記ポリカルボン酸もしくはその無水物、低級アルキル(アルキル基の炭素数:1〜4)エステル等のエステル形成性誘導体(例えば、アジピン酸、セバシン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、テレフタル酸ジメチル等)との縮合反応物、または前記の多価アルコールおよび/またはポリエーテルポリオールと、前記カルボン酸無水物およびアルキレンオキサイドとの縮合反応物;それら縮合反応物のアルキレンオキサイド(EO、PO等)付加反応物;ポリラクトンポリオール、例えば前記多価アルコールを開始剤としてラクトン(ε−カプロラクトン等)を開環重合させることにより得られるもの;ポリカーボネートポリオール、例えば前記多価アルコールとアルキレンカーボネートとの反応物;等が挙げられる。
【0015】
さらには、ポリブタジエンポリオール等のジエン系ポリオールおよびその水素添加物;アクリル系ポリオール等の水酸基含有ビニル重合体;ヒマシ油等の天然油系ポリオール;天然油系ポリオールの変性物等が挙げられる。
これらのポリオール(a2)は、通常2〜8個、ポリウレタン樹脂の物性の観点から、好ましくは3〜8個の水酸基と、通常500〜4,000、ポリウレタン樹脂の物性の観点から、好ましくは700〜3,000の水酸基当量を有している。
ポリオール(a)の数平均分子量〔ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)による、とくに記さない限り以下の数平均分子量についても同じ〕は、通常1,500以上、好ましくは1,500〜15,000、特に好ましくは1,800〜12,000、最も好ましくは2,000〜9,000である。数平均分子量が1,500以上であるとポリウレタンフォームの発泡性の面で好ましく、15,000以下であると低粘度となり重合体ポリオールの取り扱い性の面で好ましい。また(a)の水酸基当量は、ポリウレタン樹脂の物性の観点から、好ましくは500〜4,000、さらに好ましくは700〜3,000である。
【0016】
本発明でモノマー含有混合液(A)〔以下モノマー含有混合液(A1)、(A2)または(An)を(A)と記載する〕中に用いるエチレン性不飽和モノマー(b)としては、不飽和ニトリル(b1)、芳香環含有モノマー(b2)、(メタ)アクリル酸エステル(b3)、水酸基を有する不飽和化合物のポリオキシアルキレンエーテル(b4)、その他のエチレン性不飽和モノマー(b5)、およびこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
(b1)としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。
(b2)としては、スチレン、α−メチルスチレン、ヒドロキシスチレン、クロルスチレンなどが挙げられる。
(b3)としては、C、H、およびO原子のみで構成されるものが挙げられ、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル(アルキル基の炭素数が1〜24);ヒドロキシポリオキシアルキレン(アルキレン基の炭素数2〜8)モノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
(b4)としては、α−アルケニル基含有化合物および水酸基を有する不飽和エステルのアルキレンオキサイド付加物が含まれる。α−アルケニル基含有化合物のアルキレンオキサイド付加物としては、炭素数3〜24の末端不飽和アルコールのアルキレンオキサイド付加物が挙げられ、末端不飽和アルコールとしては、アリルアルコール、1−ヘキセン−3−オールなどが挙げられる。水酸基を有する不飽和エステルのAO付加物としては、C3〜24の水酸基を有する不飽和エステルのAO付加物が挙げられ、水酸基を有する不飽和化合物としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。粒子安定性の観点から、好ましいのはアリルアルコールのアルキレンオキサイド付加物、ヒドロキシアルキル(C2〜12)(メタ)アクリレートのAO付加物である。
(b4)のオキシアルキレン単位の数は、通常1〜9、粒子安定性の観点から、好ましくは1〜5、さらに好ましくは1〜3である。上記アルキレンオキサイドとしては、前述のポリオール(a)の項において、活性水素含有化合物に付加させるアルキレンオキサイドとして例示したものと同様のものが挙げられる。粒子安定性の観点から、好ましくは、POおよび/またはEOである。
(b4)の数平均分子量は、170〜480が好ましく、さらに好ましくは180〜450、特に好ましくは182〜420、最も好ましくは185〜400である。数平均分子量が170以上であると、重合体ポリオールの粘度が低粘度となり取り扱い性の面で好ましく、それから得られるポリウレタン樹脂の硬度も良好である。(b4)の数平均分子量が480以下であると、それを用いて得られるポリウレタン樹脂の硬度が良好である。
【0017】
(b4)の不飽和基の数は、平均1個以上有すればよい。重合体ポリオールの粘度およびポリウレタン樹脂の物性の観点から、重合体ポリオールの粘度およびポリウレタン樹脂の物性の観点から、好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜2個、とくに好ましくは1個である。
【0018】
また、(b4)の溶解度パラメーター(SP値)は好ましくは9.5〜13であり、さらに好ましくは9.8〜12.5、次にさらに好ましくは10.0〜12.2である。(b4)のSP値が9.5以上であると、これらを使用して製造される重合体ポリオールの粘度が低くなる。また、SP値が13以下であると、重合体ポリオールを使用して得られるポリウレタン樹脂の圧縮硬さが向上する。
SP値とは、下記に示した様に凝集エネルギー密度と分子容の比の平方根で表されるものである。
[SP値]=(△E/V)1/2
ここで△Eは凝集エネルギー密度を表す。Vは分子容を表し、その値は、ロバート エフ.フェドールス(Robert F.Fedors)らの計算によるもので、例えばポリマー エンジニアリング アンド サイエンス(Polymer engineering and science)第14巻、147〜154頁に記載されている。
【0019】
上記以外の、その他のエチレン性不飽和モノマー(b5)としては、(メタ)アクリルアミド;(メタ)アクリル酸などのビニル基含有カルボン酸およびその誘導体;エチレン、プロピレンなどの脂肪族炭化水素系モノマー;パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、パーフルオロオクチルエチルアクリレートなどのフッ素含有ビニル系モノマー;ジアミノエチルメタクリレート、モルホリノエチルメタクリレートなどの上記以外の窒素含有ビニル系モノマー;ビニル変性シリコン;ノルボルネン、シクロペンタジエン、ノルボルナジエン等の環状オレフィン化合物;などが挙げられる。
【0020】
さらに(b)中に少量の上記以外の2官能以上の多官能モノマー(b6)を用いることにより、重合体ポリオールの分散安定性をさらに向上させることができる。多官能モノマーとは、例えば、ジビニルベンゼン、エチレンジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキサイドグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、国際公開WO01/009242号公報に記載の、数平均分子量が500以上の不飽和カルボン酸とグリコールとのエステルおよび不飽和アルコールとカルボン酸のエステルなどが挙げられる。
【0021】
本発明において、(b)中の(b1)、(b2)、(b3)、(b4)、(b5)および(b6)の重量比率は特に限定無く、本発明の製造方法によれば、モノマーの組成にかかわらず良好な重合体ポリオール(I)を得ることができるが、要求されるポリウレタンの物性等に応じて適宜変えることができる。
水酸基を有する不飽和化合物のポリオキシアルキレンエーテル(b4)の含有量は、重合体ポリオール(I)の低粘度化および得られるポリウレタン樹脂の物性(引張強度等)の観点から、0.5〜10%が好ましく、さらに好ましくは1〜7%である。
耐スコーチ性の点から、不飽和ニトリル(b1)(とくにアクリロニトリル)の含有量は、好ましくは50%以下、さらに好ましくは15〜40%である。
また、芳香環含有モノマー(b2)(とくにスチレン)の含有量は、(I)中の重合体粒子の小粒子径化の観点から、好ましくは99.5%以下、さらに好ましくは20〜90%、特に好ましくは35〜80%である。
これら以外のモノマーの(b)中の含量は、ポリウレタン樹脂の物性の観点から、(b3)は好ましくは0〜30%、さらに好ましくは0〜20%である。(b5)は好ましくは0〜10%、より好ましくは0〜5%である。(b6)は好ましくは0.01〜0.7%、より好ましくは0.05〜0.4%である。
【0022】
次に、ラジカル重合開始剤(c)としては、遊離基を生成して重合を開始させるものが使用でき、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネイト)、2,2’−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]及び1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)等のアゾ化合物;ジベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド及び過コハク酸等の有機過酸化物;過硫酸塩及び過ホウ酸塩等の無機過酸化物等が挙げられる。尚、これらは2種以上を併用することができる。
【0023】
(A)中のラジカル重合開始剤(c)の使用量は、(b)の重量に基づいて、好ましくは0.05〜20%、さらに好ましくは0.1〜5%、とくに好ましくは0.2〜1.5%である。(c)の使用量がこの範囲であると、重合体ポリオール中の(b)の重合率が十分高くなり、また、分子量も大きくなるため、ポリウレタンフォームにした際に十分なフォーム圧縮硬さや切断伸度が得られる面で優れている。
【0024】
分散剤(d)としては、とくに限定されず、重合体ポリオールで使用されている通常の分散剤等を使用することができる。
例えば、〔1〕エチレン性不飽和基含有変性ポリエーテルポリオール(例えば特開平08−333508号公報)等のポリオールとエチレン性不飽和化合物を反応させたマクロマータイプの分散剤;〔2〕ポリオールとの溶解度パラメーターの差が1.0以下のポリオール親和性セグメント2個以上を側鎖とし、ビニル単量体からの重合体との溶解度パラメーターの差が2.0以下の重合体親和性セグメントを主鎖とするグラフト型重合体(例えば特開平05−059134号公報)等のポリオールとオリゴマーを結合させたグラフトタイプの分散剤;〔3〕ポリオールの水酸基の少なくとも一部をメチレンジハライドおよび/またはエチレンジハライドと反応させて高分子量化した変性ポリオール(例えば特開平07−196749号公報)等の高分子量ポリオールタイプの分散剤;〔4〕重量平均分子量が1000〜30000であり、その少なくとも一部がポリオールに可溶性であるビニル系オリゴマー、およびこのオリゴマーと上記〔1〕のエチレン性不飽和基含有変性ポリエーテルポリオールを併用する分散剤(例えば特開平09−77968号公報)等のオリゴマータイプの分散剤;等が挙げられる。
これらの中でポリマーの粒子径の観点から、好ましいものは〔1〕および〔4〕のタイプである。いずれの場合もポリマーの粒子径の観点から、数平均分子量が1,000〜30,000であることが好ましい。
また、これら通常の分散剤を用いる場合の使用量は、(b)の重量に基づいて、得られる重合体ポリオールの粘度の観点から、好ましくは50%以下、さらに好ましくは1〜40%以下である。
【0025】
分散剤(d)として、これらの通常の分散剤以外に、以下に述べる特開2002−308920号公報に記載の反応性分散剤(d’)を用いることができ、上記好ましい分散剤と同様に好ましい。
反応性分散剤(d’)は、実質的に飽和のポリオール(p)と、少なくとも1個の重合性不飽和基を有する単官能活性水素化合物(q)が、ポリイソシアネート(e)を介して結合されてなり、1分子中のNCO基に由来する含窒素結合の数に対する不飽和基数の比の平均値が0.1〜0.4である含窒素結合含有不飽和ポリオールである。
ここで実質的に飽和とは、JISK−1557(1970年版)で規定された測定法で測定された不飽和度が0.2meq/g以下(ポリマーの粒子径の観点から、好ましくは0.08meq/g以下)であることを意味する。
【0026】
反応性分散剤(d’)を構成する(p)としては、前記(a)として例示したものと同様のものが使用できる。(p)と(a)とは同一であっても異なっていてもよい。
(p)の1分子中の水酸基の数は、少なくとも2個、ポリマーの粒子径の観点から、好ましくは2〜8個、さらに好ましくは3〜4個であり、(p)の水酸基当量は、ポリウレタン樹脂の物性の観点から、好ましくは1,000〜3,000、さらに好ましくは1,500〜2,500である。
【0027】
(d’)を得るのに用いる(q)は、1個の活性水素含有基と少なくとも1個の重合性不飽和基を有する化合物である。活性水素含有基としては、水酸基、アミノ基、イミノ基、カルボキシル基、SH基などがあるが、ポリウレタン樹脂の物性の観点から、特に水酸基が好ましい。
【0028】
(q)の重合性不飽和基は反応性の観点から、重合性二重結合が好ましく、また1分子中の重合性不飽和基の数は反応性の観点から、1〜3個が好ましく、とくに1個が好ましい。即ち、(q)として好ましいものは、重合性二重結合を1個有する不飽和モノヒドロキシ化合物である。
上記不飽和モノヒドロキシ化合物としては、例えば、モノヒドロキシ置換不飽和炭化水素、不飽和モノカルボン酸と2価アルコールとのモノエステル、不飽和2価アルコールとモノカルボン酸とのモノエステル、アルケニル側鎖基を有するフェノール、不飽和ポリエーテルモノオールなどが挙げられる。
【0029】
モノヒドロキシ置換不飽和炭化水素としては、炭素数3〜6のアルケノール、例えば(メタ)アリルアルコール、2−ブテン−1−オール、3−ブテン−2−オール、3−ブテン−1−オールなど;アルキノール、例えばプロパギルアルコールなどが挙げられる。
不飽和モノカルボン酸と2価アルコールとのモノエステルとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸等の炭素数3〜8の不飽和モノカルボン酸と、前記2価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等の炭素数2〜12の2価アルコール)とのモノエステルが挙げられ、その具体例としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートなどが挙げられる。
【0030】
不飽和2価アルコールとモノカルボン酸のモノエステルとしては、例えば、ブテンジオールの酢酸モノエステルなどの、炭素数3〜8の不飽和2価アルコールと炭素数2〜12モノカルボン酸とのモノエステルが挙げられる。
アルケニル側鎖基を有するフェノールとしては、例えばオキシスチレン、ヒドロキシα−メチルスチレンなどのアルケニル基の炭素数が2〜8のアルケニル側鎖基を有するフェノールが挙げられる。
不飽和ポリエーテルモノオールとしては、前記モノヒドロキシ置換不飽和炭化水素もしくは前記アルケニル側鎖基を有するフェノールのアルキレンオキサイド(炭素数2〜8)1〜50モル付加物〔例えばポリオキシエチレン(重合度2〜10)モノアリルエーテル〕などが挙げられる。
【0031】
不飽和モノヒドロキシ化合物以外の(q)の例としては、以下のものが挙げられる。
アミノ基、イミノ基を有する(q)としては、モノ−およびジ−(メタ)アリルアミン、アミノアルキル(炭素数2〜4)(メタ)アクリレート〔アミノエチル(メタ)アクリレートなど〕、モノアルキル(炭素数1〜12)アミノアルキル(炭素数2〜4)(メタ)アクリレート〔モノメチルアミノエチル−メタクリレートなど〕;カルボキシル基を有する(q)としては、前記不飽和モノカルボン酸;SH基を有する(q)としては、前記不飽和モノヒドロキシ化合物に相当する(OHがSHに置き換わった)化合物が挙げられる。重合性不飽和基を2個以上有する(q)の例としては、前記3価、4〜8価またはそれ以上の多価アルコールのポリ(メタ)アリルエーテルまたは前記不飽和カルボン酸とのポリエステル〔例えばトリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、グリセリンジ(メタ)アクリレートなど〕が挙げられる。
【0032】
これらのうち好ましい化合物は、炭素数3〜6のアルケノール、炭素数3〜8の不飽和モノカルボン酸と炭素数2〜12の2価アルコールとのモノエステルおよびアルケニル側鎖基を有するフェノールであり、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸と、エチレングリコール、プロピレングリコールもしくはブチレングリコールとのモノエステル;アリルアルコール;およびヒドロキシα−メチルスチレンであり、とくに好ましくは2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートである。
また、(q)の分子量は特に限定されないが、得られる重合体ポリオールの粘度の観点から、1000以下、特に500以下であるものが好ましい。
【0033】
ポリイソシアネート(e)は、少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物であり、芳香族ポリイソシアネート(e1)、脂肪族ポリイソシアネート(e2)、脂環式ポリイソシアネート(e3)、芳香脂肪族ポリイソシアネート(e4)、これらのポリイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシアヌレート基またはオキサゾリドン基含有変性物など)(e5)、およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0034】
(e1)としては、炭素数(NCO基中の炭素を除く;以下のポリイソシアネートも同様)6〜16の芳香族ジイソシアネート、炭素数6〜20の芳香族トリイソシアネートおよびこれらのイソシアネートの粗製物などが挙げられる。具体例としては、1,3−および1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI[粗製ジアミノジフェニルメタン{ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)またはその混合物との縮合生成物:ジアミノジフェニルメタンと少量(たとえば5〜20%)の3官能以上のポリアミンとの混合物}のホスゲン化物:ポリアリルポリイソシアネート(PAPI)など]、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネートなどが挙げられる。
(e2)としては、炭素数2〜18の脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。具体例としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0035】
(e3)としては、炭素数4〜16の脂環式ジイソシアネートなどが挙げられる。具体例としては、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
(e4)としては、炭素数8〜15の芳香脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。具体例としては、キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
(e5)のとしては、ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、ショ糖変性TDIおよびひまし油変性MDIなどが挙げられる。
(q)または(p)との反応性の観点から、これらのうちで好ましいものは芳香族ジイソシアネートであり、さらに好ましくは2,4−および/または2,6−TDIである。
【0036】
反応性分散剤(d’)の含窒素結合は、イソシアネート基と活性水素含有基との反応によって生じるものであり、活性水素含有基が水酸基である場合、主にウレタン結合が生成し、アミノ基である場合、主に尿素結合が生成する。カルボキシル基の場合はアミド結合、SH基の場合はチオウレタン結合が生成する。これらの基以外に、他の結合、例えば、ビューレット結合、アロファネート結合などが生成していてもよい。
この含窒素結合は実質的に飽和のポリオール(p)の水酸基とポリイソシアネート(e)のイソシアネート基との反応で生じるものと、不飽和単官能活性水素化合物(q)の活性水素含有基と(e)のイソシアネート基との反応で生じるものとがある。
【0037】
(d’)は、下記式によって求められる、1分子中の(e)のNCO基に由来する含窒素結合に対する不飽和基数の比の平均値:Kが0.1〜0.4となるような割合で、(p)、(q)および(e)を反応させたものである。
K=[(q)のモル数×(q)の不飽和基数]/[(e)のモル数×(e)のNCO基数]
Kの値は、さらに好ましくは0.1〜0.3であり、とくに好ましくは0.2〜0.3である。Kの値が上記範囲内であると、重合体ポリオールの分散安定性がとくに良好となる。
【0038】
モノマー含有混合液(A)中に、必要により希釈溶剤(f)を添加してもよい。(f)としては、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶剤;ヘキサン、ヘプタン、ノルマルデカンなどの炭素数5〜15の飽和脂肪族炭化水素溶剤;などが挙げられるが、好ましいのは芳香族炭化水素溶剤である。希釈溶剤(f)の使用量は、(b)の使用量に基づいて、粒子の凝集防止の観点から、好ましくは50%以下、さらに好ましくは1〜40%である。使用した(f)は、重合反応後に減圧ストリッピング等により除去するのが好ましい。
【0039】
また(f)を、必要により本発明の方法により得られた重合体ポリオール(I)に添加して、さらに低粘度とすることもできる。(I)中に含有させる(f)としては、上記飽和脂肪族炭化水素溶剤;芳香族炭化水素溶剤;および低粘度(100mPa・s/25℃以下)の難燃剤、例えばトリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート;などを挙げることができる。なお、重合体ポリオールの揮発成分低減の観点から、重合体ポリオール(I)には(f)を添加しないことが好ましい。
得られる重合体ポリオール(I)中の(f)の含有量は、ポリウレタン樹脂の物性の観点から、好ましくは2%以下、さらに好ましくは1%以下である。
【0040】
また、必要により連鎖移動剤(g)をモノマー含有混合液(A)中に使用でき、例えば、ドデシルメルカプタンおよびメルカプトエタノール等のアルキルメルカプタン;等が挙げられる。(g)の使用量は、(b)の使用量に基づいて、ポリウレタン樹脂の物性の観点から、好ましくは2%以下、さらに好ましくは0.1%以下である。
【0041】
本発明の製造方法においては、第1工程で、上記ポリオール(a)、エチレン性不飽和モノマー(b)、ラジカル重合開始剤(c)および分散剤(d)からなるモノマー含有混合液(A1)を重合させ、または重合させたものを(a)で希釈して、重合体粒子の含有量(重量%)が7〜15の重合体ポリオール中間体(B1)を得る。次いで第2工程で、得られた(B1)中で、エチレン性不飽和モノマー(b)およびラジカル重合開始剤(c)、さらに必要によりポリオール(a)および分散剤(d)からなるモノマー含有混合液(A2)を重合させ、重合体ポリオール中間体(B2)を得る。さらに重合体ポリオール中間体(B(n−1))中で、エチレン性不飽和モノマー(b)およびラジカル重合開始剤(c)、さらに必要によりポリオール(a)および分散剤(d)からなるモノマー含有混合液(An)を重合させ(nは3〜7の整数である)重合体ポリオール中間体(Bn)を得る{第n工程}。重合体ポリオール中間体(Bn)をそのまま、重合体ポリオール(I)とするか、必要により脱モノマー・脱溶剤処理を行って重合体ポリオール(I)を得る。
なお、本発明において重合体ポリオール中間体とは、目的とする重合体ポリオール(I)よりも前の工程の段階にある重合体ポリオールを意味する。
【0042】
本発明においてモノマー混合液は、重合時に混合されていればよく、反応槽への仕込みについては、必ずしも構成成分を混合してから反応槽に仕込むことを意味せず、各構成成分を単独で、あるいはいくつかの成分を混合して、反応槽に仕込み、反応槽において混合されてもよい。すなわち、モノマー混合液とは、重合体ポリオール中間体(B1)、(B2)および(Bn)並びに後述する重合体ポリオール(H)以外の、各工程に供される(a)、(b)、(c)、(d)および(f)からなる組成物を意味する。
【0043】
本発明の製造方法におけるnは、ポリマーの粒子径の観点から、3〜7であり、好ましくは3〜5、さらに好ましくは3〜4である。この範囲であれば、10μm以上の粒子の割合を1重量%以下とすることができ、重合体ポリオールの低粘度化の観点から好ましい。
【0044】
上記第1工程で得られる重合体ポリオール中間体(B1)は、重合体粒子含有量が7〜15重量%の重合体ポリオールである。
この重合体ポリオールとしては、公知(特開2004−263192号、特開2006−104236号公報等)の重合体ポリオールが使用でき、ポリオールおよびエチレン性不飽和モノマーを重合して得られる重合体粒子からなる重合体ポリオールが使用できる。ポリオールとしては、前述したポリオール(a)と同様のものが挙げられ、エチレン性不飽和モノマーとしては、前述したエチレン性不飽和モノマー(b)と同様のものが挙げられ、それぞれ、好ましいものも同様である。また、前述した希釈溶剤(f)を含有していてもよく、好ましいものも同様である。
【0045】
重合体ポリオール中間体(B1)は、重合体粒子含有量が7〜15重量%であり、ポリウレタン樹脂の物性およびポリマーの粒子径の観点から、10〜14重量%が好ましく、さらに好ましくは11〜13重量%である。
重合体ポリオール中間体(B1)は、重合体粒子含有量がこの範囲であればよく、例えば、重合させて得られたより高い重合体粒子含有量の重合体ポリオールを(a)で希釈して、重合体粒子含有量を調整してもよい。
【0046】
本発明において、重合体粒子含有量は、以下の方法により求める。
<重合体粒子含有量測定方法>
遠心分離用50ml遠沈管に、重合体ポリオール約5gを精秤し、重合体ポリオール重量(W1)とする。メタノール50gを加えて希釈する。冷却遠心分離機[型番:H−9R、コクサン(株)製]を用いて、18,000rpm×60分間、20℃にて遠心分離する。上澄み液をガラス製ピペットを用いて除去する。残留沈降物にメタノール50gを加えて希釈し、上記と同様に遠心分離して上澄み液を除去する操作を、さらに3回繰り返す。遠沈管内の残留沈降物を、2,666〜3,999Pa(20〜30torr)で60℃×60分間減圧乾燥し、乾燥した沈降物を重量測定し、該重量を(W2)とする。次式で算出した値を、重合体粒子含有量(重量%)とする。

重合体粒子含有量(重量%)=(W2)×100/(W1)
【0047】
(B1)の重合体粒子含有量と第2工程の(b)の濃度の比としては、ポリウレタン樹脂の物性およびポリマーの粒子径の観点から、好ましくは第1工程:第2工程=15:26〜7:40、さらに好ましくは第1工程:第2工程=14:27〜10:34、特に好ましくは第1工程:第2工程=13:28〜11:32である。
【0048】
第1工程の重合開始前のモノマー含有混合液(A1)中のエチレン性不飽和モノマー(b)の濃度は、ポリウレタン樹脂の物性およびポリマーの粒子径の観点から、7〜15が好ましく、さらに好ましくは10〜14、つぎにさらに好ましくは11〜13である。
【0049】
第1工程における(b)の重合体への転化率(重量%)は、生産性の観点より、下限は好ましくは75%以上、さらに好ましくは80%以上、特に好ましくは85%以上であり、ポリマーの粒子径の観点より、上限は好ましくは99.5%以下、さらに好ましくは99.2%以下、特に好ましくは99%以下である。
【0050】
第1工程の(b)の濃度と第2工程の(b)の濃度の比としては、ポリウレタン樹脂の物性およびポリマーの粒子径の観点から、好ましくは第1工程:第2工程=15:26〜7:40、さらに好ましくは第1工程:第2工程=14:27〜10:34、特に好ましくは第1工程:第2工程=13:28〜11:32である。
【0051】
第2工程において、重合体ポリオール中間体(B1)および重合開始前のモノマー含有混合液(A2)の合計重量を基準とするエチレン性不飽和モノマー(b)の濃度は、ポリウレタン樹脂の物性およびポリマーの粒子径の観点から、26〜40であり、好ましくは27〜34、さらに好ましくは28〜32である。(b)の濃度が40%を越えると、得られる重合体ポリオール中の重合体の粒子径が増大し、これを用いて得られるポリウレタン樹脂の物性が低下する。26%未満であると重合体ポリオール(I)中の重合体粒子含量が低下し、フォームの圧縮硬さが低下する。
【0052】
第n工程において、重合体ポリオール中間体(B(n−1))および重合開始前のモノマー含有混合液(An)の合計重量を基準とするエチレン性不飽和モノマー(b)の濃度は、ポリウレタン樹脂の物性および得られる重合体ポリオールの粘度の観点から、20〜35が好ましく、さらに好ましくは22〜30、特に好ましくは23〜27である。
【0053】
第2工程以降における(b)の重合体への転化率(重量%)は、生産性の観点より、下限は好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上、特に好ましくは95%以上であり、ポリマーの粒子径の観点より、上限は好ましくは99.5%以下、さらに好ましくは99.2%以下、特に好ましくは99%以下である。
【0054】
本発明において、重合温度(℃)は、生産性およびポリオールの分解防止の観点から、100〜200が好ましく、さらに好ましくは110〜180、特に好ましくは120〜160である。
【0055】
第1工程、第2工程、第n工程において、重合方式は、連続重合、バッチ重合(滴下重合、一括重合等)等、いずれの方式であってもよい。生産性の観点から、連続重合方式またはバッチ一括重合方式が好ましい。
また、第1工程、第2工程、第n工程の重合方式は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0056】
第n工程で得られる重合体ポリオール中間体(Bn)は、そのまま重合体ポリオール(I)としてもよく、必要により脱モノマー・脱溶剤処理を行って重合体ポリオール(I)を得てもよい。ポリウレタン樹脂の臭気の観点から、脱モノマー処理・脱溶剤処理を行うことが好ましい。
脱モノマー・脱溶剤処理としては、公知(特開2004−002800号公報等)の方法が適用でき、ポリウレタン樹脂の白色度の観点から、減圧下でモノマーおよび/または溶剤をストリッピングする方法が好ましい。
【0057】
また、必要により老化防止剤、抗酸化剤を得られた重合体ポリオールに添加して、重合体ポリオールの変色およびそれを用いて得られるポリウレタン樹脂の変色を防止できる。老化防止剤、抗酸化剤としては、公知(特開2006−188685号公報等)のもの等が使用でき、ラクトン、ヒンダードフェノール、リン含有化合物、ヒンダードアミン、ヒドロキシルアミン、硫黄含有化合物等が挙げられる。ポリウレタン樹脂の変色防止の観点から、ラクトンとヒンダードフェノールの併用が好ましい。
【0058】
本発明において、得られる重合体ポリオール(I)の重合体粒子含有量(重量%)は、それから得られるポリウレタン樹脂の物性、例えばポリウレタンフォームの切断伸度や圧縮硬さおよび重合体ポリオールの粘度の観点から、35〜60が好ましく、さらに好ましくは40〜55、特に好ましくは40〜50である。
【0059】
本発明の重合体ポリオールの製造方法で得られる重合体ポリオール(I)中の、エチレン性不飽和モノマー(b)からなる重合体粒子の、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(LA−750;堀場製作所製、以下同じ)による、0.020〜2000μmの範囲を85分割した際の体積基準による粒度分布において、重合体粒子中に含まれる10μm以上の粒子の含有量は、それから得られるポリウレタン樹脂の物性(引裂強度等)の観点から、好ましくは1体積%以下、さらに好ましくは0.8体積%以下、特に好ましくは0である。
なお、重合体粒子は、ポリウレタン樹脂の物性の観点から、実質的に0.020〜2000μmの範囲内の粒子径を有するものであることが好ましい。ここで実質的とは、99体積%以上、好ましくは100体積%がこの範囲の粒子径を有することを意味する。
【0060】
また、重合体ポリオール(I)中の重合体粒子の、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置による体積平均粒子径は、好ましくは0.2〜1.5μm、さらに好ましくは0.3〜1.3μm、特に好ましくは0.4〜1.0μmである。体積平均粒子径がこの範囲であると、それから得られるポリウレタン樹脂の物性が良好である。
【0061】
本発明の製造方法により得られる重合体ポリオール(I)は、ポリウレタン樹脂を製造する場合に使用するポリオール成分の少なくとも一部として用いられる。すなわち(I)をポリオール成分の少なくとも一部として用いて、ポリイソシアネート成分と、必要により触媒、発泡剤、整泡剤等の1種以上の通常用いられる添加剤の存在下、通常の方法で反応させてポリウレタン樹脂を得るのに用いられる。ポリオール成分中には、(I)以外に、必要により前記ポリオール(a)を含有してもよい。
【0062】
ポリオール成分中の(I)の使用量(重量%)は、得られるポリウレタン樹脂の機械物性およびポリオール成分の粘度の観点から好ましくは10〜100、さらに好ましくは15〜90、とくに好ましくは20〜80、最も好ましくは25〜70である。
【0063】
ポリイソシアネート成分としては、従来からポリウレタン樹脂の製造に使用されている公知の有機ポリイソシアネートが使用できる。このようなポリイソシアネートとしては、前記のポリイソシアネート(e)として例示したものが挙げられる。
これらのうちで好ましいものは、2,4−および2,6−TDI、これらの異性体の混合物、粗製TDI;4,4’−および2,4’−MDI、これらの異性体の混合物、粗製MDI;およびこれらのポリイソシアネートより誘導されるウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、またはイソシアヌレート基を含有する変性ポリイソシアネートである。
【0064】
ポリウレタン樹脂の製造に際してのイソシアネート指数[(NCO基/活性水素原子含有基の当量比)×100]は、通常80〜140、好ましくは85〜120、とくに好ましくは95〜115である。またイソシアネート指数を上記範囲より大幅に高くして(たとえば300〜1000)ポリウレタン樹脂中にポリイソシアヌレート基を導入することもできる。
【0065】
ポリウレタン樹脂の製造に際しては反応を促進させるため、ポリウレタン反応に通常使用される触媒[たとえばアミン系触媒(トリエチレンジアミン、N−エチルモルホリンなどの3級アミン)、錫系触媒(オクチル酸第1スズ、ジブチルチンジラウレートなど)、その他の金属触媒(オクチル酸鉛など)など]を使用することができる。触媒の量は、反応混合物の重量に基づいて通常0.001〜5%である。
また、本発明においては、ポリウレタン樹脂の製造に際し、発泡剤(たとえば水、HFC、HCFC、メチレンクロライドなど)を使用し、ポリウレタンフォームとすることができる。発泡剤の使用量はポリウレタンフォームの所望の密度により変えることができる。
本発明のポリウレタン樹脂の製法において、必要により整泡剤を使用することができる。整泡剤としてはシリコーン界面活性剤(例えばポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体)が挙げられる。
本発明において、必要により老化防止剤、抗酸化剤を使用できる。老化防止剤、抗酸化剤としては、公知(特開2006−188685号公報等)のもの等が使用でき、ラクトン、ヒンダードフェノール、リン含有化合物、ヒンダードアミン、ヒドロキシルアミン、硫黄含有化合物等が挙げられる。ポリウレタン樹脂の変色防止の観点から、ラクトンとヒンダードフェノールの併用が好ましい。
その他、本発明の製法において使用できる添加剤としては、例えば難燃剤、反応遅延剤、着色剤、内部離型剤、老化防止剤、抗酸化剤、可塑剤、殺菌剤、カーボンブラックおよびその他の充填剤等公知(特開2005−162791号公報等)の添加剤が挙げられる。
【0066】
ポリウレタン樹脂の製造は通常の方法で行うことができ、ワンショット法、セミプレポリマー法、プレポリマー法等の公知の方法により行うことができる。
ポリウレタン製造には通常用いられている製造装置を用いることができる。無溶媒の場合はたとえばニーダーやエクストルーダーのような装置を用いることができる。閉鎖モールドあるいは開放モールド内で各種の非発泡あるいは発泡のポリウレタン樹脂の製造を行うことができる。ポリウレタンの製造は普通低圧あるいは高圧の機械装置を用いて原料を混合反応させることにより行われる。さらには、原料混合前後(とくに原料混合前)、原料中の溶存空気あるいは混合時に混入した空気などのガスを真空法により除去することによりポリウレタン樹脂の製造を行うこともできる。
【0067】
本発明の製造方法により得られた重合体ポリオール(I)は、軟質モールドフォームおよびスラブフォーム等のポリウレタンフォームの製造に特に有用である。またRIM(反応射出成形)法による成形にも好適に使用できる。
【実施例】
【0068】
以下に本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下において、部、および比は、特に断りのない限り、それぞれ、重量部、および重量比を示す。
【0069】
実施例および比較例に使用した原料の組成、記号等は次の通りである。
(1)ポリオール(a1)
ポリオール(a1−1):グリセリンにPO−EO−POの順に付加させた、水酸基価=56、内部EO単位含量=5%、末端PO単位含量=5%のポリオール。
ポリオール(a1−2):ペンタエリスリトールにPO−EOの順に付加させた、水酸基価=32、末端EO単位含量=14%のポリオール
(2)ラジカル重合開始剤(c)
c−1:2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)〔商品名「V−65」、和光純薬工業(株)製〕
c−2:2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)商品名「V−59」、和光純薬工業(株)製〕
c−3:1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル〔商品名「V−40」、和光純薬工業(株)製〕)
c−4:ジクミル パーオキサイド〔商品名「パークミルD」、日本油脂(株)製〕
(3)分散剤(d)
d−1 :ポリオール(a1−2)0.14モルと2−ヒドロキシメタクリレート0.07モルをTDI0.16モルでジョイントして得られる水酸基価=20、不飽和基数/含窒素基数=0.22の反応性分散剤〔特開2002−308920号公報参照〕
(4)ポリイソシアネート(e)
TDI−80:コロネートT−80〔日本ポリウレタン工業(株)製〕
(5)触媒
触媒A:ネオスタンU−28(オクチル酸第1スズ)〔日東化成(株)製〕
触媒B:DABCO(トリエチレンジアミン)〔日本乳化剤(株)製〕
(6)製泡剤
SRX−280A(ポリエーテルシロキサン重合体)〔東レダウコーニングシリコーン(株)製〕
【0070】
実施例における測定、評価方法は次のとおりである。
<10μm以上の粒子の含有量および体積平均粒子径>
得られた重合体ポリオールを、レーザー光の透過率が70〜90%となるように、それに用いたポリオールで希釈し、下記の粒度分布測定装置にて10μm以上の粒子の含有量(体積%)および体積平均粒子径(μm)を測定した。

装置 :堀場製作所製 LA−750
測定原理 :Mie散乱理論
測定範囲 :0.04μm〜262μm
溶液注入量:He−Neレーザー
測定時間 :20秒
【0071】
<体積平均粒子径>
以下の式による。
体積平均粒子径(μm) = Σ〔q(J)×X(J)〕/Σ〔q(J)〕
J :粒子径分割番号(1〜85)
q(J):頻度分布値(%)
X(J):粒子径分割番号J番目の粒子径(μm)
【0072】
<重合体粒子含有量>
遠心分離用50ml遠沈管に、重合体ポリオール約5gを精秤し、重合体ポリオール重量(W1)とした。メタノール50gを加えて希釈した。冷却遠心分離機[型番:H−9R、コクサン(株)製]を用いて、18,000rpm×60分間、20℃にて遠心分離した。上澄み液をガラス製ピペットを用いて除去した。残留沈降物にメタノール50gを加えて希釈し、上記と同様に遠心分離して上澄み液を除去する操作を、さらに3回繰り返した。遠沈管内の残留沈降物を、2,666〜3,999Pa(20〜30torr)で60℃×60分間減圧乾燥し、乾燥した沈降物を重量測定し、該重量を(W2)とした。次式で算出した値を、重合体粒子含有量(重量%)とした。

重合体粒子含有量(重量%)=(W2)×100/(W1)
<粘度>
BL型粘度計(東京計器製)を用いて、3号ローター、12rpm、25℃の条件にて求めた。
【0073】
<転化率>
転化率は、仕込みモノマー量に対する各モノマーの残存モノマー含量から算出し、その重量平均から求めた。残存モノマー含量は、ガスクロマトグラフ法により、内部標準物質に対する面積比から算出した。具体的な分析方法はスチレンを例に以下に示す。
転化率〔重量%〕
=100−100×[(残存スチレン含量〔%〕/(原料中のスチレン仕込量〔%〕]
残存スチレン含量〔%〕=L/M ×(内部標準物質に対するファクター)
L=(残存スチレンのピーク面積)/(重合体ポリオールの重量〔g〕)
M=(内部標準物質のピーク面積)/(内部標準物質の重量〔g〕)

内部標準物質に対するファクターは、同質量における各モノマーのピーク面積を内部標準物質のピーク面積で除したものである。
ガスクロマトグラフ :GC−14B(島津製作所製)
カラム :内径4mmφ、長さ1.6m、ガラス製
カラム充填剤 :ポリエチレングリコール20M〔信和化工(株)製〕
内部標準物質 :ブロモベンゼン〔ナカライテスク(株)社製〕
希釈溶媒 :ジプロピレングリコールモノメチルエーテル 1級〔和光純
薬(株)製〕(50%溶液とする。)
インジェクション温度:200℃
カラム初期温度 :110℃
昇温速度 :5℃/min.
カラムファイナル温度:200℃
試料注入量 :1μl
【0074】
製造例1 [重合体ポリオール(H−1)の製造]
温度調節器、バキューム攪拌翼、滴下ポンプ、減圧装置、ジムロート冷却管、窒素流入口および流出口を備えた4口フラスコに、ポリオール(a1−1)105.8部、キシレン105.2部、および分散剤(d−1)43部を投入し、窒素置換後、窒素雰囲気下(重合終了まで)で撹拌下130℃に昇温した。ついで、ポリオール(a1−1)235.17部、アクリロニトリル129部、スチレン301部、ジビニルベンゼン0.43部、およびラジカル重合開始剤(c−2)4.3部を予め混合したモノマー含有混合液(Z1)を滴下ポンプを用いて25部/分の速度で連続的に滴下し、130℃で30分重合させた。さらに、25℃に冷却し、(a1−1)2249部と混合し、重合体ポリオール中間体(H−1)を得た。
【0075】
製造例2 [重合体ポリオール(H−2)の製造]
温度調節器、バキューム攪拌翼、滴下ポンプ、減圧装置、ジムロート冷却管、窒素流入口および流出口を備えた4口フラスコに、ポリオール(a1−1)105.8部、キシレン105.2部、および分散剤(d−1)43部を投入し、窒素置換後、窒素雰囲気下(重合終了まで)で撹拌下130℃に昇温した。ついで、ポリオール(a1−1)235.17部、アクリロニトリル129部、スチレン301部、ジビニルベンゼン0.43部、およびラジカル重合開始剤(c−2)4.3部を予め混合したモノマー含有混合液(Z2)を滴下ポンプを用いて25部/分の速度で連続的に滴下し、130℃で30分重合させた。さらに、25℃に冷却し、(a1−1)3791部と混合し、重合体ポリオール中間体(H−2)を得た。
【0076】
製造例3 [重合体ポリオール(H−3)の製造]
温度調節器、バキューム攪拌翼、滴下ポンプ、減圧装置、ジムロート冷却管、窒素流入口および流出口を備えた4口フラスコに、ポリオール(a1−1)105.8部、キシレン105.2部、および分散剤(d−1)43部をを投入し、窒素置換後、窒素雰囲気下(重合終了まで)で撹拌下130℃に昇温した。ついで、ポリオール(a1−1)235.17部、アクリロニトリル129部、スチレン301部、ジビニルベンゼン0.43部、およびラジカル重合開始剤(c−2)4.3部を予め混合したモノマー含有混合液(Z3)を滴下ポンプを用いて25部/分の速度で連続的に滴下し、130℃で30分重合させた。さらに、25℃に冷却し、(a1−1)1808部と混合し、重合体ポリオール中間体(H−3)を得た。
【0077】
実施例1 [重合体ポリオール(I−1)の製造]
〔第1工程〕 連続重合装置(送液ライン、オーバーフローラインを接続した2LのSUS製耐圧反応容器)を3槽用意し、1槽目のオーバーフローラインを2槽目の重合槽の入口と接続し、さらに2槽目のオーバーフローラインを3槽目の重合槽の入口と接続し、直列に配置する。1槽目、2槽目および3槽目の重合槽にそれぞれ、あらかじめポリオール(a1−1)2000部を充液し、130℃に昇温した。(a1−1)、アクリロニトリル、スチレン、ジビニルベンゼン、アリルアルコールPO2.2モル付加物、キシレン、ラジカル重合開始剤(c−1)〜(c−3)および分散剤(d−1)を表1に示す部数で混合した原料混合液(G1−1)をスタティックミキサーを用いてラインブレンドした後、46.6部/分の速度で1槽目の重合槽へ連続的に送液し、重合槽からオーバーフローさせ重合体ポリオール中間体(B1)を得た。1槽目の重合槽からオーバーフローさせた(B1−1)は46.6部/分の速度で2槽目の重合槽へ連続的に送液した。
〔第2工程〕 1槽目から46.6部/分の速度でオーバーフローさせた(B1−1)と(a1−1)、アクリロニトリル、スチレン、ジビニルベンゼン、アリルアルコールPO2.2モル付加物、キシレン、ラジカル重合開始剤(c−1)〜(c−3)および分散剤(d−1)を表1に示す部数で混合した原料混合液(G1−2)をスタティックミキサーを用いてラインブレンドした後、81.3部/分の速度で2槽目の重合槽へ連続的に送液し、重合槽からオーバーフローさせ重合体ポリオール中間体(B1−2)を得た。2槽目の重合槽からオーバーフローさせた(B1−2)は81.3部/分の速度で3槽目の重合槽へ連続的に送液した。
〔第3工程〕 2槽目から81.3部/分の速度でオーバーフローさせた(B1−2)と(a1−1)、アクリロニトリル、スチレン、ジビニルベンゼン、アリルアルコールPO2.2モル付加物、キシレン、ラジカル重合開始剤(c−1)〜(c−3)および分散剤(d−1)を表1に示す部数で混合した原料混合液(G1−3)をスタティックミキサーを用いてラインブレンドした後、120部/分の速度で3槽目の重合槽へ連続的に送液した。3槽目の重合槽からオーバーフローさせた反応液をSUS製の受け槽にストックして、重合体ポリオール中間体(B1−3)を得た。(B1−3)から未反応モノマーとキシレンを2,666〜3,999Pa(20〜30torr)で2時間、減圧下でストリッピングして、重合体ポリオール(I−1)を得た。前記の測定、評価方法で(I−1)を評価した。結果を表2に示す。
【0078】
実施例2 [重合体ポリオール(I−2)の製造]
〔第1工程〕 製造例1で作成した重合体粒子含有量12重量%の重合体ポリオール(H−1)を表1に示す部数準備する。
〔第2工程〕 連続重合装置(送液ライン、オーバーフローラインを接続した2LのSUS製耐圧反応容器)を2槽用意し、1槽目のオーバーフローラインを2槽目の重合槽の入口と接続し、直列に配置する。1槽目および2槽目の重合槽にそれぞれ、あらかじめポリオール(a1−1)2000部を充液し、130℃に昇温した。(H−1)、(a1−1)、アクリロニトリル、スチレン、ジビニルベンゼン、アリルアルコールPO2.2モル付加物、キシレン、ラジカル重合開始剤(c−1)〜(c−3)および分散剤(d−1)を表1に示す部数で混合した原料混合液(G2−1)をスタティックミキサーを用いてラインブレンドした後、60.9部/分の速度で1槽目の重合槽へ連続的に送液し、重合槽からオーバーフローさせ重合体ポリオール中間体(B2−2)を得た。1槽目の重合槽からオーバーフローさせた(B2−2)は60.9部/分の速度で2槽目の重合槽へ連続的に送液した。
〔第3工程〕 2槽目から60.9部/分の速度でオーバーフローさせた(B2−2)と(a1−1)、アクリロニトリル、スチレン、ジビニルベンゼン、アリルアルコールPO2.2モル付加物、キシレン、ラジカル重合開始剤(c−1)〜(c−3)および分散剤(d−1)を表1に示す部数で混合した原料混合液(G2−2)をスタティックミキサーを用いてラインブレンドした後、120部/分の速度で3槽目の重合槽へ連続的に送液した。3槽目の重合槽からオーバーフローさせた反応液をSUS製の受け槽にストックして、重合体ポリオール中間体(B2−3)を得た。(B2−3)から未反応モノマーとキシレンを2,666〜3,999Pa(20〜30torr)で2時間、減圧下でストリッピングして、重合体ポリオール(I−2)を得た。前記の測定、評価方法で(I−2)を評価した。結果を表2に示す。
【0079】
実施例3 [重合体ポリオール(I−3)の製造]
実施例1において、第1工程、第2工程および第3工程で、表1に示す部数で混合した原料混合液を使用する以外は実施例1と同様にして、重合体ポリオール(I−3)を得た。(I−3)について、実施例1と同様に測定、評価した。結果を表2に示す。
【0080】
実施例4 [重合体ポリオール(I−4)の製造]
実施例1において、第1工程、第2工程および第3工程で、表1に示す部数で混合した原料混合液を使用する以外は実施例1と同様にして、重合体ポリオール(I−4)を得た。(I−4)について、実施例1と同様に測定、評価した。結果を表2に示す。
【0081】
実施例5 [重合体ポリオール(I−5)の製造]
実施例2において、第1工程、第2工程および第3工程で、表1に示す部数で混合した原料混合液を使用する以外は実施例2と同様にして、重合体ポリオール(I−5)を得た。(I−5)について、実施例2と同様に測定、評価した。結果を表2に示す。
【0082】
実施例6 [重合体ポリオール(I−6)の製造]
実施例2において、第1工程、第2工程および第3工程で、表1に示す部数で混合した原料混合液を使用する以外は実施例2と同様にして、重合体ポリオール(I−6)を得た。(I−6)について、実施例2と同様に測定、評価した。結果を表2に示す。
【0083】
実施例7 [重合体ポリオール(I−7)の製造]
実施例1において、第1工程、第2工程および第3工程で、表1に示す部数で混合した原料混合液を使用する以外は実施例1と同様にして、重合体ポリオール(I−7)を得た。(I−7)について、実施例1と同様に測定、評価した。結果を表2に示す。
【0084】
実施例8 [重合体ポリオール(I−8)の製造]
〔第1工程〕 SUS製耐圧反応容器に、25℃で、ポリオール(a1−1)169.1部、アクリロニトリル10.0部、スチレン23.3部、ジビニルベンゼン0.10部、キシレン31.4部、アリルアルコールPO2.2モル付加物1.7部、および分散剤(d−1)43.3部を入れ、撹拌下100℃に温度調整した。ここにラジカル重合開始剤(c−1)0.33部、(c−2)0.10部、(c−3)0.03部をキシレン1.4部に溶解させた液を5秒間で仕込んで混合し、重合を開始させた。ラジカル重合開始剤溶液投入後、重合反応は1分以内に速やかに開始し、約6分で最高到達温度約140℃に到達した。該温度に到達してから130〜160℃で約10分間熟成させた後、25℃に冷却して、重合体ポリオール中間体(B8−1)を得た。
〔第2工程〕 引き続いて反応容器に、25℃で、ポリオール(a1−1)127.5部、アクリロニトリル54.5部、スチレン127.3部、ジビニルベンゼン0.5部、キシレン5.05部、およびアリルアルコールPO2.2モル付加物9.1部を入れ、撹拌下、95℃に温度調整した。ここに(c−1)1.82部、(c−2)0.55部、(c−3)0.18部をキシレン7.65部に溶解させた液を5秒間で仕込んで混合し、重合を開始させた。ラジカル重合開始剤溶液投入後、重合反応は1分以内に速やかに開始し、約6分で最高到達温度約160℃に到達した。該温度に到達してから150〜170℃で約10分間熟成させた後、25℃に冷却して、重合体ポリオール中間体(B8−2)を得た。
〔第3工程〕 引き続いて反応容器に、25℃でポリオール(a1−1)153部、アクリロニトリル65.5部、スチレン152.7部、ジビニルベンゼン0.7部、キシレン6.2部およびをアリルアルコールPO2.2モル付加物10.9部入れ、撹拌下、90℃に温度調整した。ここに(c−1)2.18部、(c−2)0.65部、(c−3)0.22部および(c−4)0.03部をキシレン9.2部に溶解させた液を5秒間で仕込んで混合し、重合を開始させた。ラジカル重合開始剤溶液投入後、重合は1分以内に速やかに開始し、約6分で最高到達温度約160℃に到達した。該温度に到達してから150〜170℃で約10分間熟成させた後、25℃に冷却して、重合体ポリオール中間体(B3)を得た。(B3)から未反応モノマーとキシレンを2,666〜3,999Pa(20〜30torr)で2時間、減圧下ストリッピングして、重合体ポリオール(I−8)を得た。上記の方法で(I−8)を測定、評価した。結果を表2に示す。
【0085】
実施例9 [重合体ポリオール(I−9)の製造]
〔第1工程〕 SUS製耐圧反応容器に、25℃で、ポリオール(a1−1)332.1部、アクリロニトリル13.6部、スチレン31.7部、ジビニルベンゼン0.3部、キシレン9.88部、および分散剤(d−1)43.3部を入れ、撹拌下100℃に温度調整した。ここにラジカル重合開始剤(c−1)0.45部、(c−2)0.14部、(c−3)0.05部をキシレン1.92部に溶解させた液を5秒間で仕込んで混合し、重合を開始させた。ラジカル重合開始剤溶液投入後、重合反応は1分以内に速やかに開始し、約6分で最高到達温度約140℃に到達した。該温度に到達してから130〜160℃で約10分間熟成させた後、25℃に冷却して、重合体ポリオール中間体(B9−1)を得た。
〔第2工程〕 連続重合装置(送液ライン、オーバーフローラインを接続した2LのSUS製耐圧反応容器)を2槽用意し、1槽目のオーバーフローラインを2槽目の重合槽の入口と接続し、直列に配置する。1槽目および2槽目の重合槽にそれぞれ、あらかじめポリオール(a1−1)2000部を充液し、130℃に昇温した。第1工程で製造した重合体ポリオール中間体(B9−1)433.4部と(a1−1)、アクリロニトリル、スチレン、ジビニルベンゼン、アリルアルコールPO2.2モル付加物、キシレン、ラジカル重合開始剤(c−1)〜(c−3)および分散剤(d−1)を表1に示す部数で混合した原料混合液(G9−2)をスタティックミキサーを用いてラインブレンドした後、30.7部/分の速度で反応容器へ連続的に送液した。
〔第3工程〕 1槽目の重合槽からオーバーフローさせた反応液(B9−2)は30.7部/分の速度で2槽目の重合槽へ連続的に送液した。(a1−1)、アクリロニトリル、スチレン、ジビニルベンゼン、アリルアルコールPO2.2モル付加物、キシレン、ラジカル重合開始剤(c−1)〜(c−4)および分散剤(d−1)を表1に示す部数で混合した原料混合液(G9−3)をスタティックミキサーを用いてラインブレンドした後、33.5部/分の速度で2槽目の反応容器へ連続的に送液した。この操作を連続的に行い、2槽目の重合槽からオーバーフローさせた反応液の(B9−3)をSUS製の受け槽にストックして、130℃にて重合させ重合体ポリオール中間体(B9−3)を得た。(B9−3)から未反応モノマーとキシレンを2,666〜3,999Pa(20〜30torr)で2時間、減圧下でストリッピングして、重合体ポリオール(I−9)を得た。前記の測定、評価方法で(I−9)を評価した。結果を表2に示す。
【0086】
比較例1 [比較の重合体ポリオール(R−1)の製造]
実施例1において、第1工程、第2工程および第3工程で、表1に示す部数で混合した原料混合液を使用する以外は実施例1と同様にして、重合体ポリオール(R−1)を得た。(R−1)について、実施例1と同様に測定、評価した。結果を表2に示す。
【0087】
比較例2 [比較の重合体ポリオール(R−2)の製造]
実施例1において、第1工程、第2工程および第3工程で、表1に示す部数で混合した原料混合液を使用する以外は実施例1と同様にして、重合体ポリオール(R−2)を得た。(R−2)について、実施例1と同様に測定、評価した。結果を表2に示す。
【0088】
比較例3 [比較の重合体ポリオール(R−3)の製造]
実施例1において、第1工程、第2工程および第3工程で、表1に示す部数で混合した原料混合液を使用する以外は実施例1と同様にして、重合体ポリオール(R−3)を得た。(R−3)について、実施例1と同様に測定、評価した。結果を表2に示す。
【0089】
比較例4 [比較の重合体ポリオール(R−4)の製造]
実施例1において、第1工程、第2工程および第3工程で、表1に示す部数で混合した原料混合液を使用する以外は実施例1と同様にして、重合体ポリオール(R−4)を得た。(R−4)について、実施例1と同様に測定、評価した。結果を表2に示す。
【0090】
【表1】

【0091】
【表2】

【0092】
表2の結果から実施例1〜6および8、9は、比較例3および4に比べて、体積平均粒子径が小さく、10μm以上の粒子の含有量が小さくかつ粘度が低いことがわかる。また、実施例1〜6および8、9は、比較例1に比べ重合体含量がはるかに高いが、体積平均粒子径が同等以下であることがわかる。また、実施例1〜6および8、9は、比較例2に比べ重合体含量が高いが、体積平均粒子径が小さく、10μm以上の粒子の含有量が小さくかつ粘度が同等以下であることがわかる。実施例7は、比較例1〜4に比べ重合体含有量が高く、体積平均粒子径が小さいことがわかる。また、実施例7は、重合体含有量がより低い比較例3および4よりも低粘度であることがわかる。さらに実施例7は、比較例2〜4よりも10μm以上の粒子の含有量が小さいことがわかる。
【0093】
<実施例〔10〕〜〔20〕及び比較例〔5〕〜〔8〕>ポリウレタンフォームの製造
実施例1〜9及び比較例1〜4から得られた重合体ポリオール(I−1)〜(I−9)及び比較の重合体ポリオール(R−1)〜(R−4)を使用し、表3記載の配合比で、以下に示す発泡条件によりポリウレタンフォームを製造した。これらのフォーム物性測定結果を表3に示す。発泡処方は以下の通りである。
〔1〕 重合体ポリオール、ポリオール(a1−1)の混合物、及びポリイソシアネートをそれぞれ25±2℃に温調する。
〔2〕 重合体ポリオール、ポリオール(a1−1)、整泡剤、水、触媒の順で容量1リットルの紙コップに入れて、室温(25℃±2℃)で撹拌混合し、直ちにポリイソシアネートを加え、攪拌機〔ホモディスパー:特殊機化(株)製、撹拌条件:2000rpm×8秒〕を用いて、撹拌して発泡を行った。
〔3〕 撹拌停止後、25×25×10cmの木箱(25℃±2℃)に内容物を投入して、ポリウレタンフォームを得た。
【0094】
【表3】

【0095】
表3におけるフォーム物性の評価方法は以下の通りである。
密度(kg/m3):JIS K6400−1997〔項目5〕に準拠
25%ILD(硬度)(kgf/314cm2)
:JIS K6382−1995〔項目5.3〕に準拠
引張強度(kgf/cm2):JIS K6301−1995〔項目3〕に準拠
引裂強度(kgf/cm) :JIS K6301−1995〔項目9〕に準拠
切断伸度(%) :JIS K6301−1995〔項目3〕に準拠
圧縮永久歪(%) :JIS K6382−1995〔項目5.5〕に準拠
白色度:JIS 8715−1999に準拠。
なお通常ポリウレタンフォームの物性として、密度は15〜50の範囲が好ましく、25%ILD、引張強度、引裂強度、切断伸度は数値が大きいほど好ましい。また、圧縮永久歪は数値が小さいほど好ましい。
【0096】
表3の結果から、実施例〔10〕、〔13〕〜〔20〕は、比較例〔5〕〜〔8〕と重合体ポリオール以外の原料組成がほぼ同一であるが、比較例[5]と比べると、25%ILD(硬度)、引張強度が良好であり、比較例[6]と比べると、25%ILD(硬度)、引裂強度、切断伸度が良好であり、比較例[7]と比べると、25%ILD(硬度)、引裂強度が良好であり、比較例[8]と比べると、25%ILD(硬度)、切断伸度、白色度等が良好であることがわかる。また、同程度の硬度同士で比較すると、実施例の方が比較例よりも切断伸度が良好である。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明の重合体ポリオールの製造方法により得られた重合体ポリオールを用いて製造された本発明のポリウレタン樹脂は、通常ポリウレタン樹脂が用いられる各種用途に使用されるが、特にポリウレタンフォームとして、家具の室内調度等の用途に好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の工程(1)、(2)および(n)を含む、重合体粒子を含有する重合体ポリオール(I)の製造方法であって、工程(2)における(B1)および(A2)の合計重量を基準とする(b)の濃度(重量%)が26〜40であることを特徴とする重合体ポリオール(I)の製造方法。
工程(1) :ポリオール(a)、エチレン性不飽和モノマー(b)、ラジカル重合開
始剤(c)および分散剤(d)からなるモノマー混合液(A1)を重合
させ、または重合させたものを(a)で希釈して、重合体粒子の含有量
(重量%)が7〜15の重合体ポリオール中間体(B1)を得る工程
工程(2) :(B1)中で、(b)および(c)からなるモノマー混合液(A2)を
重合させて重合体ポリオール中間体(B2)を得る工程
工程(n) :重合体ポリオール中間体(B(n−1))中で、(b)および(c)か
らなるモノマー混合液(An)を重合させて重合体ポリオール中間体(
Bn)、または重合体ポリオール(I)を得る工程(nは3〜7の整数
を表す。)
【請求項2】
下記の工程(1)で得られる重合体ポリオール中間体(B1)を用いた、下記の工程(2)および(n)を含む、重合体粒子を含有する重合体ポリオール(I)の製造方法であって、(A1)中の(b)の濃度(重量%)が7〜15、および工程(2)における(B1)および(A2)の合計重量を基準とする(b)の濃度(重量%)が26〜40であることを特徴とする重合体ポリオール(I)の製造方法。
工程(1) :ポリオール(a)、エチレン性不飽和モノマー(b)、ラジカル重合開
始剤(c)および分散剤(d)からなるモノマー混合液(A1)を重合
させ、または重合させたものを(a)で希釈して、重合体粒子の含有量
(重量%)が7〜15の重合体ポリオール中間体(B1)を得る工程
工程(2) :(B1)中で、(b)および(c)からなるモノマー混合液(A2)を
重合させて重合体ポリオール中間体(B2)を得る工程
工程(n) :重合体ポリオール中間体(B(n−1))中で、(b)および(c)か
らなるモノマー混合液(An)を重合させて重合体ポリオール中間体(
Bn)、または重合体ポリオール(I)を得る工程(nは3〜7の整数
を表す。)
【請求項3】
下記の工程(1)および(2)を経て得られる重合体ポリオール中間体(B2)を用いた、下記の工程(n)を含む、重合体粒子を含有する重合体ポリオール(I)の製造方法であって、(A1)中の(b)の濃度(重量%)が7〜15、および工程(2)における(B1)および(A2)の合計重量を基準とする(b)の濃度(重量%)が26〜40であることを特徴とする重合体ポリオール(I)の製造方法。
工程(1) :ポリオール(a)、エチレン性不飽和モノマー(b)、ラジカル重合開
始剤(c)および分散剤(d)からなるモノマー混合液(A1)を重合
させ、または重合させたものを(a)で希釈して、重合体粒子の含有量
(重量%)が7〜15の重合体ポリオール中間体(B1)を得る工程
工程(2) :(B1)中で、(b)および(c)からなるモノマー混合液(A2)を
重合させて重合体ポリオール中間体(B2)を得る工程
工程(n) :重合体ポリオール中間体(B(n−1))中で、(b)および(c)か
らなるモノマー混合液(An)を重合させて重合体ポリオール中間体(
Bn)、または重合体ポリオール(I)を得る工程(nは3〜7の整数
を表す。)
【請求項4】
工程(1)における(A1)中の(b)の濃度(重量%)が7〜15である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
さらに、重合体ポリオール中間体(B3〜B7)を減圧下でストリッピングして重合体ポリオールを得る工程を含む請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
(I)中の重合体粒子の含有量(重量%)が、35〜60である請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
(I)中の重合体粒子の、レーザー回折/散乱式粒度分布測定で、0.020〜2,000μmの粒度範囲を85分割して求められる体積基準の粒度分布において、重合体粒子中に含まれる10μm以上の粒子の含有量(体積%)が1以下である請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
(I)中の重合体粒子の体積平均粒子径が、0.2〜1.0μmである請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させてポリウレタン樹脂を製造する方法において、ポリオール成分の少なくとも一部として請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法で得られてなる重合体ポリオール(I)を用いることを特徴とするポリウレタン樹脂の製造方法。
【請求項10】
(I)の使用量が、ポリオール成分の重量に基づいて10〜100%である請求項9記載のポリウレタン樹脂の製造方法。

【公開番号】特開2009−40946(P2009−40946A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−209427(P2007−209427)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】