説明

重炭酸塩ベースの腹膜透析溶液

腹膜透析のための重炭酸塩ベースの溶液、ならびにこの溶液を製造する方法および使用する方法が、提供される。この透析溶液は、少なくとも、3つの溶液部分を備え、これらの溶液部分は、別々に貯蔵され、そしてpH感受性溶液部分を含む、これらの溶液部分の安定化を促進するために効果的なpHで滅菌される。このpH感受性溶液部分は、例えば、グルコースポリマーのようなpH感受性浸透剤を有する。これらの溶液部分は、混合されて、生理学的に受容可能なpHを有する、使用の準備ができた溶液を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本発明は、一般に、医療処置に関する。より特定すると、本発明は、透析療法のために使用される溶液に関する。
【背景技術】
【0002】
疾患、障害または他の原因に起因して、ヒトの腎系は、不全になり得る。あらゆる原因の腎不全において、数種の生理学的混乱が存在する。水と、無機質と、毎日の代謝負荷の排泄物との釣り合いが、腎不全においては、もはや不可能である。腎不全の間、窒素代謝酸物の毒性最終生成物(例えば、尿素、クレアチニン、尿酸など)が、血液中および組織中に蓄積し得る。
【0003】
腎不全および低下した腎機能は、透析を用いて処置されている。透析は、老廃物、毒素および過剰の水を、身体から除去する。これらの老廃物、毒素および過剰の水は、他の場合には、正常に機能する腎臓によって除去される。腎機能の置換のための透析処置は、多くの人々にとって重要である。なぜなら、この処置は、生命を救助するからである。不全の腎臓を有するヒトは、それらの腎臓の少なくとも濾過機能を置換せずには、生存し続け得ない。
【0004】
血液透析、血液濾過および腹膜透析は、腎機能の損失を処置するために一般的に使用される、3つの型の透析療法である。血液透析処置は、老廃物、毒素および過剰の水を、患者の血液から直接除去する。この患者は、血液透析機械に接続され、そしてこの患者の血液が、この機械を通してポンプ送達される。例えば、針またはカテーテルが、この患者の静脈および動脈に挿入され、その血流を、透析機械へ、そして透析機械から接続し得る。血液が、この血液透析機械中の透析器を通過するにつれて、この透析器は、老廃物、毒素および過剰の水を、患者の血液から除去し、そしてこの血液を戻して、患者に注入して戻す。多量の透析液(例えば、約90リットル〜120リットル)が、ほとんどの透析機械によって、1回の血液透析療法の間に血液を透析するために使用される。次いで、使用済み透析液は、処分される。血液透析処理は、数時間続き、そして一般に、1週間あたり約3回、処置センターで実施される。
【0005】
血液濾過は、対流に基づく血液清浄化技術である。血液へのアクセスは、静静脈または動静脈であり得る。血液が血液フィルタを通って流れるにつれて、血液区画と限外濾過区画との間の膜内外圧力勾配は、血漿水を、非常に透過性の膜を横切って濾過させる。この水がこの膜を横切るにつれて、この水は、小さい分子と大きい分子とを、この膜を横切らせて対流させ、これによって、血液を清浄化する。過剰の量の血漿水が、濾過によって排除される。従って、体液の釣り合いを取らせて維持するために、流体は、静脈内注入される釣り合いの取れた電解質溶液(交換流体または置換流体)によって、連続的に交換されなければならない。この置換流体は、血液フィルタに導く動脈血ラインに注入されても(予備希釈)、血液フィルタを離れる静脈血ラインに注入されても、いずれでもよい。
【0006】
腹膜透析は、滅菌透析溶液、すなわち「透析液」を利用し、この溶液は、患者の腹腔に注入され、患者の腹膜と接触する。老廃物、毒素および過剰の水が、この患者の血流から、腹膜を通って、この透析液内へと通る。老廃物、毒素、および過剰の水の、血流から透析液への移動は、透析液中の浸透剤が膜を横切る浸透圧勾配を生じる滞留時間の間に、拡散および浸透に起因して起こる。使用済み透析液は、後に、患者の腹腔から排液されて、老廃物、毒素および過剰の水を、患者から除去する。
【0007】
種々の型の腹膜透析療法が存在し、これらには、連続携行式腹膜透析(「CAPD」)および自動腹膜透析が挙げられる。CAPDは、手動透析処置であり、ここで、患者は、カテーテルを、新しい透析液のバッグに接続し、そして新たな透析液を、カテーテルまたは他の適切なアクセスデバイスを通して、患者の腹腔に手動で注入する。この患者は、このカテーテルを、新しい透析液のバッグから外し、そしてこの透析液を腹腔内で滞留させて、老廃物、毒素および過剰の水を、患者の血流からこの透析溶液に移動させる。滞留期間の後に、この患者は、使用済み透析液を排液し、次いで、手動の透析手順を繰り返す。溶液バッグおよび廃液バッグのための、「Y」字型コネクタを備える配管セットが利用可能であり、この配管セットは、患者が行わなければならない接続の回数を減少させ得る。これらの配管セットは、予め取り付けられたバッグ(例えば、空のバッグおよび透析液で満たされたバッグ)を備え得る。
【0008】
CAPDにおいて、患者は、1日の間に数回(例えば、1日あたり約4回)の廃液、充填、および滞留のサイクルを実施する。各処置サイクル(廃液、充填および滞留を包含する)には、約4時間かかる。
【0009】
自動腹膜透析は、透析処置が、廃液、充填および滞留のサイクルを包含する点で、連続携行式腹膜透析と類似する。しかし、透析機械が、自動的に、腹膜透析処置の3回以上のサイクルを、代表的には患者が眠っている間に一晩、実施する。
【0010】
自動腹膜透析の場合、自動透析機械は、移植されたカテーテルに流体接続される。自動透析機械はまた、新しい透析液の供給源またはバッグおよび流体廃液部に流体接続される。透析機械は、使用済み透析液を、腹腔から、このカテーテルを通して、廃液部へとポンプ送達する。次いで、この透析機械は、新しい透析液を、この透析液供給源から、このカテーテルを通して、患者の腹腔内へとポンプ送達する。この自動機械は、透析液が腹腔内で滞留されることを可能にし、これによって、老廃物、毒素および過剰の水の、患者の血流から透析溶液への移動が起こり得る。コンピュータが、この自動透析機械を制御し、これによって、患者がこの透析機械に接続されている場合に、例えば、この患者が眠っている間に、この透析処置が自動的に行われる。すなわち、この透析システムは、自動的かつ連続的に、流体を患者の腹腔内にポンプ送達し、滞留を可能にし、ポンプで流体を腹腔から流出させ、そしてこの手順を繰り返す。
【0011】
数回の廃液、充填、および滞留のサイクルが、処置の間に行われる。また、最終体積の「最後の充填」は、代表的に、自動透析処置の終了時に使用され、これは、患者がこの透析機械を、その日のために外す場合に、この患者の腹腔内に残る。自動腹膜透析は、患者が、廃液、滞留および充填の工程を、日中に手動で行う必要をなくす。
【0012】
従来の腹膜透析溶液は、浸透剤としてグルコースを含有し、この溶液の浸透圧を、生理的浸透圧より高く(すなわち、約285mOsmol/kgより高く)維持する。グルコースは、好ましい浸透剤である。なぜなら、グルコースは、迅速な限外濾過速度を提供するからである。他の型の浸透剤は、一般に公知であり、そしてグルコースに加えて、またはグルコースの代わりとして、使用される。
【0013】
例えば、腹膜透析溶液において浸透剤として働き得る、別の種類の化合物は、グルコースポリマー(例えば、イコデキストリン、マルトデキストリンなど)である。しかし、これらの化合物は、浸透剤としての使用のために適切であるが、これらの化合物はまた、特に、滅菌および長期間の貯蔵の間に、低いpHおよび高いpHに対して感受性であることもまた、公知である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、より大きい安定性、改善された生体適合性などの特徴を示す、改善された透析溶液(例えば、腹膜透析溶液)に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(発明の要旨)
本発明は、一般に、透析溶液、ならびにこの透析溶液を作製する方法および使用する方法、ならびにこの透析溶液を備えるシステムに関する。より特定すると、本発明は、複数の溶液部分の混合物から作製される、使用の準備ができた透析溶液の安定性、生体適合性、および全体的な有効性を増強させるために、複数の溶液部分を含有する、腹膜透析溶液に関する。
【0016】
例えば、本発明は、化学的に非適合性の成分(例えば、pH感受性成分)を別個の区画内に貯蔵することを可能にする、マルチチャンババッグ構成を提供する。これらのpH感受性成分としては、種々の適切な型の成分が挙げられ得、好ましくは、pH感受性の浸透剤(例えば、グルコースポリマー)が挙げられ得る。先に議論されたように、グルコースポリマーは、透析溶液において、浸透剤として、デキストロースに加えてか、またはデキストロースの代わりとして使用され得る。本出願人らは、グルコースポリマーなどに基づく透析溶液の安定性が、pH感受性成分を、別個の溶液部分において、調製、貯蔵および滅菌の目的に効果的なpHレベルで、調製し、貯蔵し、そして滅菌することによって、増強され得ることを認識した。従って、一旦、残りの溶液部分と混合されると、使用の準備ができた透析溶液の全体的な有効性が、増強され得る。
【0017】
さらに、pH感受性成分の溶液部分は、必要に応じて、(例えば、乳酸および/または他の適切な緩衝剤を用いて)緩衝され得るが、他の2つの溶液成分部分は、それぞれの濃縮物の混合の際に生理学的pHの重炭酸塩含有溶液を得るように、処方される。このことは、pH感受性溶液部分の安定性をさらに増強し得る。これらの2つのさらなる溶液成分部分は、例えば乳酸を含有する、酸性濃縮物、および重炭酸塩緩衝剤を含有するアルカリ性濃縮物を、それぞれ含有し、この重炭酸塩成分は、気体バリアオーバーポーチなしで安定である。次いで、これらの2つのさらなる溶液成分部分の混合物は、pH感受性溶液部分に添加されて、使用の準備ができた透析溶液を形成し得る。
【0018】
この目的で、1つの実施形態において、本発明は、重炭酸塩含有溶液を提供する。この重炭酸塩含有溶液は、第一の容器に収容された第一の部分(この第一の部分は、約8.6〜約10.0の範囲のpHを有するアルカリ性重炭酸塩濃縮物を含有する);第二の容器に収容された第二の部分(この第二の部分は、約5.0以下のpHを有する酸性濃縮物を含有する);および第三の容器に収容された第三の部分(この第三の部分は、pH感受性成分を含有し、そして8.6以下のpHを有し、このpH感受性成分は、第一の容器および第二の容器のいずれか一方において滅菌される場合に、安定性を維持しない)を含有する。第二の部分のpHおよび第三の部分のpHは、第一の部分と、第二の部分と、第三の部分とが一緒に混合される場合に、生理学的に受容可能なpH(例えば、約6.5〜約7.6の範囲)を有する混合溶液を得るために効果的である。
【0019】
1つの実施形態において、第一の容器は、マルチチャンバ容器の第一のチャンバであり、第二の容器は、マルチチャンバ容器の第二のチャンバであり、そして第三の容器は、マルチチャンバ容器の第三のチャンバであり、その結果、第一の部分と、第二の部分と、第三の部分とは、このマルチチャンバ容器内で混合されて、混合溶液を形成し得る。
【0020】
1つの実施形態において、この混合溶液は、0.5mM〜45mMの重炭酸塩;および0.2mM〜2.0mMのカルシウムを含有する。
【0021】
1つの実施形態において、この混合溶液は、0.5mM〜45mMの重炭酸塩;0.2mM〜2.0mMのカルシウム;100mM〜150mMのナトリウム;0mM〜1.5mMのマグネシウム;0mM〜4.5mMのカリウム;70mM〜120mMの塩化物;0mM〜60mMの乳酸塩;0mM〜60mMの酢酸塩;0mM〜60mMのクエン酸塩;および0mM〜60mMのピルビン酸塩を含有する。
【0022】
1つの実施形態において、上記重炭酸塩含有溶液は、グルコース、グルコースポリマー、加工デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、ポリオール、アミノ酸、ペプチド、グリセロールなどが挙げられる、1種以上の浸透剤をさらに含有する。
【0023】
1つの実施形態において、上記pH感受性成分は、上記浸透剤のうちの1種以上を含有する。
【0024】
1つの実施形態において、第一の容器、第二の容器および第三の容器は、気体透過性材料から構築される。
【0025】
別の実施形態において、腹膜透析のための三部分重炭酸塩溶液が提供される。この溶液は、第一の容器に貯蔵された第一の部分(約8.6〜約10.0の範囲のpHを有するアルカリ性重炭酸塩濃縮物を含有する);第二の容器に貯蔵された第二の部分(約4.0未満のpHを有する酸性濃縮物を含有する);および第三の容器に貯蔵された第三の部分(約4.0〜約8.6の範囲のpHを有する濃縮物を含有し、この濃縮物は、pH感受性浸透剤を含有する)を含有する。第一の部分と、第二の部分と、第三の部分とは、混合されて、約6.5〜約7.6の範囲のpHを有する混合溶液を形成し得、この混合溶液は、0.5mM〜45mMの重炭酸塩;0.2mM〜2.0mMのカルシウム;100mM〜150mMのナトリウム;0mM〜1.5mMのマグネシウム;0mM〜4.5mMのカリウム;70mM〜120mMの塩化物;0mM〜60mMの乳酸塩;0mM〜60mMの酢酸塩;0mM〜60mMのクエン酸塩;および0mM〜60mMのピルビン酸塩を含有する。
【0026】
1つの実施形態において、第一の部分は、少なくとも、0mM〜200mMの重炭酸塩/炭酸塩、0mM〜200mMの乳酸塩、および0mM〜50mMの添加された水酸化ナトリウムを含有し;第二の部分は、少なくとも、0mM〜200mMの乳酸/乳酸塩および0mM〜50mMの添加された塩酸を含有し;そして第三の部分は、少なくとも、0mM〜200mMの乳酸/乳酸塩および0mM〜50mMの添加された塩酸を含有する。
【0027】
1つの実施形態において、第一の容器は、マルチチャンバ容器の第一のチャンバであり、第二の容器は、マルチチャンバ容器の第二のチャンバであり、そして第三の容器は、マルチチャンバ容器の第三のチャンバであり、その結果、第一の部分と、第二の部分と、第三の部分とは、このマルチチャンバ容器内で混合されて、混合溶液を形成し得る。
【0028】
1つの実施形態において、pH感受性浸透剤は、グルコースポリマーを含有する。
【0029】
1つの実施形態において、上記三部分重炭酸塩溶液は、グルコース、グルコースポリマー、加工デンプン、1種以上のアミノ酸、1種以上のペプチド、グリセロールなど、およびこれらの組み合わせが挙げられる、浸透剤をさらに含有する。
【0030】
1つの実施形態において、第一の容器、第二の容器、および第三の容器は、気体透過性材料から構築される。
【0031】
1つの実施形態において、第三の部分は、緩衝溶液を含有する。
【0032】
1つの実施形態において、第三の部分は、乳酸塩、ピルビン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、KREBSサイクルの中間体など、およびこれらの組み合わせが挙げられる緩衝剤で、緩衝される。
【0033】
1つの実施形態において、上記酸性濃縮物は、乳酸/乳酸塩、ピルビン酸/ピルビン酸塩、酢酸/酢酸塩、クエン酸/クエン酸塩、KREBSサイクルの中間体、塩酸、およびこれらの組み合わせを含有する。
【0034】
なお別の実施形態において、透析溶液を調製する方法が提供される。この方法は、第一の容器に収容された第一の部分、第二の容器に収容された第二の部分、および第三の容器に収容された第三の部分を調製する工程であって、この第一の部分は、約8.6〜約10.0の範囲のpHを有するアルカリ性重炭酸塩濃縮物を含有し、この第二の部分は、約5.0以下の範囲のpHを有する酸性濃縮物を含有し、そしてこの第三の部分は、pH感受性成分を含有し、そして約8.6以下の範囲のpHを有する、工程;第一の部分と第二の部分とを混合して、溶液混合物を形成する工程;ならびに第三の部分をこの溶液混合物と混合して、約6.5〜約7.6の範囲のpHを有する、使用の準備ができた透析溶液を形成する工程を包含する。
【0035】
1つの実施形態において、第一の部分と、第二の部分と、第三の部分とは、使用の準備ができた透析溶液を形成する前に、滅菌される。
【0036】
1つの実施形態において、上記pH感受性成分は、第一の部分および第二の部分と混合する前に、別個に滅菌される。
【0037】
1つの実施形態において、緩衝剤が、第三の部分に添加されて、pH感受性浸透剤を含有するpH感受性成分の安定化を促進する。
【0038】
1つの実施形態において、上記緩衝剤としては、乳酸塩、ピルビン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、KREBSサイクルの中間体など、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0039】
1つの実施形態において、上記pH感受性浸透剤は、グルコースポリマーを含有する。
【0040】
1つの実施形態において、上記使用の準備ができた透析溶液は、0.5mM〜45mMの重炭酸塩;0.2mM〜2.0mMのカルシウム;100mM〜150mMのナトリウム;0mM〜1.5mMのマグネシウム;0mM〜4.5mMのカリウム;70mM〜120mMの塩化物;0mM〜60mMの乳酸塩;0mM〜60mMの酢酸塩;0mM〜60mMのクエン酸塩;および0mM〜60mMのピルビン酸塩を含有する。
【0041】
1つの実施形態において、上記使用の準備ができた透析溶液は、グルコース、グルコースポリマー、加工デンプン、1種以上のアミノ酸、1種以上のペプチド、グリセロールなど、およびこれらの組み合わせが挙げられる、浸透剤をさらに含有する。
【0042】
さらなる実施形態において、患者に透析を提供する方法が提供される。この方法は、透析溶液を調製する工程を包含し、ここで、この透析溶液は、第一の部分と、第二の部分と、第三の部分とを含有し、これらの部分は、混合されて、透析溶液を形成する。この第一の部分は、重炭酸塩を含有し、そして約8.6〜約10.0の範囲のpHを有する、アルカリ性濃縮物を含有する;この第二の部分は、約4.0未満のpHを有する酸性濃縮物を含有する;そしてこの第三の部分は、浸透剤を含有し、約4.0〜約8.6の範囲のpHを有し、そしてさらに、この浸透剤の安定化を促進するための緩衝剤を含有する。この方法は、透析の間に、この透析溶液を使用する工程をさらに包含する。
【0043】
1つの実施形態において、使用の準備ができた腹膜透析溶液が、腹膜透析(例えば、連続携行式腹膜透析、自動腹膜透析など)の間に、使用される。
【0044】
なおさらなる実施形態において、本発明は、透析を提供するためのシステムを提供する。このシステムは、第一の容器に収容された第一の部分(この第一の部分は、約8.6〜約10.0の範囲のpHを有するアルカリ性重炭酸塩濃縮物を含有する);第二の容器に収容された第二の部分(この第二の部分は、約4.0未満のpHを有する酸性濃縮物を含有する);および第三の容器に収容された第三の部分(この第三の部分は、pH感受性成分を含有し、そして約4.0〜約8.6の範囲のpHを有する)を備える。このpH感受性成分は、第一の容器および第二の容器のうちのいずれか1つにおいて滅菌される場合に、安定性を維持せず、第二の部分および第三の部分のpHは、第一の部分と、第二の部分と、第三の部分とが一緒に混合される場合に、約6.5〜約7.6の範囲の生理学的に受容可能なpHを有する混合溶液を与えるために効果的である。さらに、このシステムは、少なくとも、第一の部分と、第二の部分と、第三の部分とに適合されて接続される配管セットを備え、これによって、透析の間に、これらの部分の使用を可能にする。
【0045】
なおさらなる別の実施形態において、本発明は、腹膜透析のための三部分重炭酸塩溶液を提供する。この溶液は、第一の容器に貯蔵された第一の部分(約8.6〜約10.0の範囲のpHを有するアルカリ性重炭酸濃縮物を含有する);第二の容器に貯蔵された第二の部分(約4.0未満のpHを有する酸性濃縮物を含有する);および第三の容器に貯蔵された第三の部分(約4.0〜約5.5の範囲のpHを有する濃縮物を含有し、この濃縮物は、pH感受性浸透剤および緩衝剤を含有し、このpH感受性浸透剤の安定化をさらに促進する)を含有する。これらの第一の部分と、第二の部分と、第三の部分とは、混合されて、約6.5〜約7.6の範囲のpHを有する混合溶液を形成し得る。
【0046】
1つの実施形態において、第三の部分は、約15mM以下(例えば、約10mM以下)の緩衝剤を含有する。
【発明の効果】
【0047】
本発明の1つの利点は、改善された透析溶液を提供することである。
【0048】
本発明の別の利点は、改善された生体適合性特徴を有する透析溶液を提供することである。
【0049】
本発明のなお別の利点は、安定化、貯蔵などの間などに、増強された安定性を有する透析溶液を提供することである。
【0050】
本発明のなおさらに別の利点は、溶液部分の1つ以上におけるpH感受性成分の安定化を促進するために、別々に処方され、そして滅菌された溶液部分を含有する、改善された透析溶液を提供することである。
【0051】
本発明のさらなる利点は、乳酸塩緩衝化透析溶液を提供することである。
【0052】
本発明のなおさらなる利点は、透析溶液を作製する改善された方法、および透析溶液を使用する改善された方法を提供することである。
【0053】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の発明の詳細な説明および図面に記載されており、これらから明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
(発明の詳細な説明)
本発明は、一般に、透析溶液、ならびにこの透析溶液を作製する方法および使用する方法、ならびにこの透析溶液を備えるシステムに関する。より特定すると、本発明は、少なくとも3つの溶液部分を含有する、腹膜透析溶液に関する。これらの溶液部分は、混合されて使用の準備ができた溶液を形成する前に、別々に処方され、滅菌され、そして貯蔵される。このことは、使用の準備ができた溶液の安定性、生体適合性、および全体的な有効性を増強し得る。
【0055】
本発明は、少なくとも3つの別々の溶液部分から処方される、重炭酸塩ベースの透析溶液に関する。これらの溶液部分は、例えば、重炭酸塩成分が気体バリアオーバーポーチなしで安定であるアルカリ性重炭酸塩濃縮物と、例えば乳酸を含有する酸性濃縮物と、浸透剤および/または他の任意の溶液成分(例えば、添加剤)を含有する濃縮物である。この浸透剤および/または他の溶液成分は、残りの他の溶液区画内で滅菌/貯蔵される場合に、安定性を維持しない。これらの溶液部分は、混合の際に、生理学的範囲の受容可能なpHを有する最終溶液を提供するように、設計される。
【0056】
本発明の透析溶液は、種々の適切な用途において使用され得る。好ましくは、これらの透析溶液は、腹膜透析の間に(例えば、連続携行式腹膜透析、自動腹膜透析などの間に)使用される。しかし、本発明は、腎不全を処置するための、種々の異なる適切な透析療法において使用され得ることが、理解されるべきである。透析療法は、この用語または類似の用語が本文全体にわたって使用される場合、老廃物、毒素および過剰の水を患者から除去するためにこの患者の血液を利用する、任意のすべての適切な形態の治療を包含し、そして網羅することを意味する。このような治療(例えば、血液透析、血液濾過および血液ダイアフィルトレーション)は、断続的な治療と、連続的な腎置換治療(CRRT)のために使用される連続的な治療との両方を包含する。連続治療としては、例えば、遅い連続限外濾過(SCUF)、連続静静脈血液濾過(CVVH)、連続静静脈血液透析(CVVHD)、連続静静脈血液ダイアフィルトレーション(CVVHDF)、連続動静脈血液濾過(CAVH)、連続動静脈血液透析(CAVHD)、連続動静脈血液ダイアフィルトレーション(CAVHDF)、連続限外濾過周期的断続血液透析などが挙げられる。好ましくは、透析溶液は、腹膜透析(例えば、自動腹膜透析、連続携行式腹膜透析、連続流れ腹膜透析など)の間に使用される。さらに、本発明は、1つの実施形態において、慢性の腎不全または疾患を有する患者に透析療法を提供する方法において利用され得るが、本発明は、急性の透析に必要性のために(例えば、救急治療室の設定において)使用され得ることが、理解されるべきである。最後に、当業者が理解するように、治療の断続的な形態(すなわち、血液濾過、血液透析、腹膜透析および血液ダイアフィルトレーション)は、センターにおいて、自己治療/制限された治療、および家庭での設定において、使用され得る。
【0057】
本発明の三部分透析溶液は、任意の適切な数、型および量の溶液成分を含有し得る。1つの実施形態において、この三部分溶液は、pH感受性成分の溶液部分を含有する。本発明者らは、pH感受性成分の溶液部分の安定性が、効果的なpH範囲で、残りの他の溶液部分とは別個にこの溶液部分を調製し、滅菌し、そして貯蔵することによって、増強され得ることを見出した。使用の前に、このpH感受性溶液部分は、残りの他の溶液部分と混合されて、使用の準備ができた溶液を形成し得る。
【0058】
本明細書中で定義される場合、用語「pH感受性成分」または他の類似の用語は、多部分透析溶液に関連する酸性濃縮物、重炭酸塩濃縮物などの溶液部分のpHと比較した場合に、中間のpHレベルで安定性を維持する、あらゆる適切な型の溶液成分を意味する。例えば、pH感受性成分は、ある実施形態における使用までの調製、滅菌、貯蔵および他の条件の間、約3.0〜約8.6の範囲のpHで安定性を維持し得る。好ましくは、pH感受性成分は、上で議論されたようなpH範囲において安定性を維持する、浸透剤を含有する。特定の化合物(グルコースポリマーなどが挙げられる)に対して、pHは、実施形態に従って、約4.0〜約5.5の範囲であり得る。
【0059】
1つの実施形態において、pH感受性浸透剤としては、グルコースポリマーが挙げられる。先に議論されたように、グルコースポリマー(例えば、イコデキストリン)は、腹膜透析溶液中のデキストロースに加えて、またはデキストロースの代わりに使用され得る。一般に、イコデキストリンは、コーンスターチの加水分解から誘導される、グルコースのポリマーである。イコデキストリンは、12,000ダルトン〜20,000ダルトンの分子量を有する。イコデキストリンにおけるグルコース分子の大部分(>90%)は、α(1−4)グルコシド結合で線状に連結しており、一方で、小部分(<10%)は、α(1−6)結合によって連結している。
【0060】
pH感受性成分の溶液部分は、任意の数の他の型の適切な成分を含有し得る。1つの実施形態において、pH感受性成分部分は、緩衝剤(例えば、有機酸(例えば、乳酸塩、ピルビン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、KREBSサイクルの中間体など、およびこれらの組み合わせが挙げられる))を含有する。緩衝添加剤は、pH感受性溶液成分部分の安定性を、さらに増強し得る。
【0061】
本発明の透析溶液のさらなる溶液成分は、少なくとも、重炭酸塩ベースの濃縮物および酸性濃縮物を含有する。この重炭酸塩ベースの濃縮物は、任意の適切な型および量の溶液成分を含有し得る。1つの実施形態において、重炭酸塩濃縮物は、アルカリ性溶液であり、その結果、この重炭酸塩は、気体バリアオーバーポーチなどを使用せずに、安定性を維持し得る。1つの実施形態において、この重炭酸塩濃縮物は、約8.6〜約10.0の範囲、好ましくは、約9.0のpHを有する。この重炭酸塩溶液部分のpHは、任意の適切な型の成分(例えば、水酸化ナトリウムなど)で調整され得る。本発明の重炭酸塩溶液部分の例示的な例は、米国特許第6,309,673号(発明の名称「BICARBONATE−BASED SOLUTION IN TWO PARTS FOR PERITONEAL DIALYSIS OR SUBSTITUTION IN CONTINUOUS RENAL REPLACEMENT THERAPY」、2001年10月31日発行、その開示は、本明細書中に参考として援用される)に見出され得る。
【0062】
酸性濃縮物溶液部分は、任意の適切な型、量および数の成分を含有し得る。1つの実施形態において、この酸性成分は、1種以上の生理学的に受容可能な酸(例えば、乳酸、ピルビン酸、酢酸、クエン酸、塩酸など)を含有する。この酸性濃縮物は、残りの他の溶液部分より低くあり得るpH(例えば、約5.0以下の範囲のpH、約4.0以下の範囲のpH、約3.0以下の範囲のpH、約2.0以下の範囲のpH、約1.0以下の範囲のpH、および他の任意の適切な酸性pH)を有する。混合の際に生理学的pHを達成するために、所定の量の酸(H+イオン)が、溶液部分に存在する必要がある(安定性の目的により、重炭酸塩溶液部分を除く)。この酸は、塩酸、乳酸、または上で議論されたような他の任意の生理学的に受容可能な酸の形態であり得る。しかし、乳酸の使用は、濃塩酸を使用する場合よりも低い酸性pHで、酸性濃縮物を処方することを可能にする。従って、有機酸(例えば、乳酸)を、単独でか、または別の適切な酸(例えば、塩酸が挙げられる適切な無機酸、別の適切な有機酸など)と組み合わせて使用することによって、この溶液部分を、実施形態に従って、より生理学的に許容性のあるものにし得る。
【0063】
本発明の透析溶液は、上に記載された成分に加えて、他の溶液成分を含有し得る。例えば、適切な溶液部分のいずれか1つまたは組み合わせは、1種以上の電解質を含有し得る。電解質の例としては、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、塩化物などが挙げられる。1つの実施形態において、これらの電解質は、pH感受性溶液部分および酸性濃縮物溶液部分に添加される。別の実施形態において、ナトリウムおよび/または塩化物は、3つの溶液部分(pH感受性溶液部分、重炭酸塩ベースの溶液部分および酸性濃縮物溶液部分を含む)のいずれか1つまたは組み合わせに添加され得る。
【0064】
本発明の種々の実施形態を例示する実施例が、限定なしに、本発明の実施形態に従って、以下に提供される。
【実施例】
【0065】
3つの溶液を、本発明の実施形態に従って調製した。これらの3つの試験溶液の各々についての溶液部分のpHを、滅菌の前後に測定した。最終混合溶液のpH、および二酸化炭素の分圧(pCO)もまた、以下により詳細に記載されるように、測定した。
【0066】
これらの3つの製品構築物を、小規模で生成し、そして通常の製造条件下で滅菌した。これらの3つの再構築した溶液の処方は、以下の表Iに示されるものと同じである:
【0067】
【表1】

試験された3つの構築物の間の差は、以下のような、中間のpHの(例えば、イコデキストリンを含有する)区画に存在する乳酸塩の量に起因する。これらの量は、以下にさらに示される:0mM(溶液1)、10mM(溶液2)、および15mM(溶液3)。アルカリ性濃縮物と、酸性濃縮物と、中間のpHの濃縮物との比を、1:1:2になるように選択した。アルカリ性重炭酸塩含有濃縮物中の、重炭酸塩および水酸化ナトリウムの濃度を予め決定すると、中和のために、酸性濃縮物中に26.7mMのH+が必要であった。混合用液中の乳酸塩濃縮物もまた、10mMであると予め決定されたので、中間のpHの成分中の乳酸塩の濃度は、酸性区画に添加され得る乳酸および乳酸塩の最大量を決定した。酸性濃縮物中の26.7mMのH+(アルカリ性濃縮物の中和のために必要とされる)を、最大量の乳酸を添加することによって得、そして必要であれば、これに塩酸を補充した。これらの3つの試験溶液の各々についての溶液部分は、以下の表II(溶液1)、表III(溶液2)および表IV(溶液3)に記載される:
【0068】
【表2】

【0069】
【表3】

【0070】
【表4】

表II〜IVに示されるように、非滅菌溶液および滅菌溶液について得られたpHの結果は、少量の乳酸を中間のpHの(例えば、イコデキストリンを含有する)区画に添加することによって、滅菌の間にpHが低下することを防止することを実証した。これらの結果はまた、3つの酸性濃縮物のpHが、乳酸、乳酸塩および塩酸の組成と供に変化することを示す。これらの混合溶液は、上にさらに説明されるような、生理学的pHと生理学的pCOとの両方を示した。
【0071】
本発明の透析溶液の溶液部分は、任意の適切な様式で収容または格納され得、その結果、これらの透析溶液は、効果的に調製され得、滅菌され得、貯蔵され得、そして使用され得ることが、理解されるべきである。1つの実施形態において、本発明は、3つ以上の溶液部分が、別々に処方され、貯蔵され、そして滅菌され、次いで、使用の直前に混合される、多部分透析溶液を包含する。種々の容器(例えば、適切な流体連絡機構によって接続される別々の容器(例えば、フラスコまたはバッグ))が、透析溶液の種々の部分を収容するために使用され得る。1つの実施形態において、マルチチャンバの容器またはバッグが、別々の溶液部分(pH感受性溶液部分、重炭酸塩ベースの溶液部分および酸性濃縮物溶液部分を含む)を収容するために使用され得る。1つの実施形態において、別々の成分が、使用の前(例えば、連続腹膜透析の間)に、マルチチャンババッグ内で混合される。
【0072】
図1は、本発明の実施形態に従う透析溶液を、例えば、連続携行式腹膜透析の間に、貯蔵し、処方し、混合し、そして投与するために適切な容器を図示する。マルチチャンババッグ10は、第一のチャンバ12、第二のチャンバ14、および第三のチャンバ16を有する。この容器の内側は、剥離可能なシール18によって、これらの3つのチャンバに分割されている。この剥離可能なシールは、以下により詳細に記載されるように、各チャンバ内に格納される溶液成分の混合を可能にする。任意の適切なデバイスが、単独でかまたはこの剥離可能なシールと組み合わせて使用されて、溶液成分の金剛を可能にし得ることが、理解されるべきである。例えば、バッグ10は、熱シール材料によって、別々のチャンバに分割され得、この熱シールの箇所に、これらのチャンバの間での溶液成分の混合を可能にするための、コネクタが提供される。1つの実施形態において、このコネクタは、破壊可能なコネクタ、他の適切な任意の型のコネクタ、およびこれらの組み合わせを備える。これらのチャンバの体積比は、任意の適切な様子息では位置および構成され得ることが、さらに理解されるべきである。図1にさらに示されるように、バッグ10は、各チャンバに取り付けられたポート20を備え、このポートを介して、それぞれの溶液成分またはその混合物が流れ得る。
【0073】
マルチチャンババッグ10は、先に議論されたような3つの溶液得分を格納する。1つの実施形態において、アルカリ性重炭酸塩溶液部分22は、第一のチャンバ12に格納される;酸性濃縮物溶液部分24は、第二のチャンバ14に格納される;そしてpH感受性溶液部分または中間のpHの溶液部分26は、第三のチャンバ16に格納される。次いで、重炭酸塩ベースの溶液部分22は、酸性濃縮物溶液部分24と混合される。この混合物は、pH感受性溶液部分とさらに混合されて、使用の準備ができた透析溶液を、マルチチャンババッグ10の内部に形成する。次いで、この使用の準備ができた溶液は、任意の適切な様式で、それぞれのポートを通して患者に投与され得る。
【0074】
このマルチチャンババッグは、溶液部分を別々に格納し、そしてこれらの混合をさらに可能にするために、任意の適切な様式で改変および構成され得ることが、理解されるべきである。さらに、これらの溶液部分は、任意の適切な順序で混合され得る。マルチチャンババッグの例は、米国特許第4,465,488号(発明の名称「COLLAPSIBLE MULTI−CHAMBER MEDICAL FLUID CONTAINER」、1984年8月14日発行);および米国特許第4,396,383号(発明の名称「MULTIPLE CHAMBER SOLUTION CONTAINER INCLUDING POSITIVE TEST FOR HOMOGENOUS MIXTURE」、1983年8月2日発行)に見出され得、これらの開示は、本明細書中に参考として援用される。1つの実施形態において、このマルチチャンババッグは、気体透過性材料(例えば、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなど)から作製され得る。
【0075】
別の実施形態において、これらの溶液部分は、別々の容器内で調製され得、滅菌され得、そして貯蔵され得、次いで、使用の前に、混合デバイス(例えば、自動腹膜透析の間に適用されるもの)を介して混合され得る。図2に示されるように、重炭酸塩濃縮物28、酸性濃縮物30、およびpH感受性濃縮物または中間のpHの濃縮物32が、それぞれの別々の容器またはバッグ34、36および38に貯蔵され、これらの容器またはバッグは、自動腹膜透析の間に使用するために適切な、混合デバイス40に流体接続される。この混合デバイスの1つの例としては、BAXTER INTERNATIONAL,INC.によるADMIX HOMECHOICEが挙げられる。溶液濃縮物に加えて、他の溶液バッグ(例えば、溶液バッグ42)もまた、透析療法の間に、一般的に公知であるように使用され得る。1つの実施形態において、有効量の溶液濃縮物が、各それぞれの容器から引き出され、そしてヒータバッグ44に入り、ここで、これらの溶液濃縮物は、混合および加熱され得、その後、透析療法の間、患者46に注入され得る。図2にさらに示されるように、廃液ライン48が、混合デバイス40に接続され、この廃液ラインから、廃液流体が、治療の間、患者から除去され得る。
【0076】
1つの実施形態において、本発明は、透析を提供するためのシステムを提供する。このシステムは、多部分の溶液成分(例えば、第一の溶液部分、第二の溶液部分および第三の溶液部分)を備え、これらの溶液部分は、混合されて、先に議論されたような透析用の使用の準備ができた溶液を形成し得る。さらに、これらのシステムは、少なくとも、種々の溶液部分に適合されて接続される配管セットなどを備え、これによって、透析(例えば、上で議論されたような連続腹膜透析および自動腹膜透析)の間、これらの溶液部分の使用を可能にする。この配管セットは、任意の適切な様式で構成され得、そして適切な材料から作製され得る。図1に示されるように、マルチチャンババッグ10内で調製された、使用の準備ができた溶液は、連続携行式腹膜透析の間、配管セット50を介して、患者に送られ得る。図2において、これらの溶液部分は、自動腹膜透析の間、配管を介して混合デバイスに送られ、そして引き続いて、患者に送られる。
【0077】
本発明は、任意の適切な様式で改変され得ることが理解されるべきである。例えば、種々の浸透剤または添加剤が、溶液部分のいずれか1つまたは組み合わせに添加され得る。1つの実施形態において、グルコースが、酸性濃縮物に添加され得、そして必要に応じて、アミノ酸が、アルカリ性濃縮物に添加され得る。次いで、グルコースは、効果的に低いpHで滅菌され得、これによって、グルコース分解生成物の形成を防止し得る。アミノ酸は、アルカリ性溶液部分において、別に滅菌され得る。
【0078】
先に議論されたように、pH感受性の浸透剤は、その独自の区画内で、適切に緩衝されたpHで滅菌され得る。あるいは、pH感受性成分(例えば、pH感受性浸透剤)は、他の溶液濃縮物中に存在する成分と化学的に非適合性である成分であり得、従って、別の区画で滅菌されなければならない。先に議論されたように、マルチチャンババッグは、任意の適切な様式で構成され得る。例えば、異なる別個のチャンバの体積比は、その用途に依存して変動し得る。
【0079】
本明細書中に記載される、現在好ましい実施形態に対する、種々の変更および改変が当業者に明らかであることが、理解されるべきである。このような変更および改変は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、そして本発明の意図される利点を縮小することなくなされ得る。従って、このような変更および改変は、添付の特許請求の範囲によって網羅されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図1は、本発明の1つの実施形態に従う透析溶液と供に使用するための、マルチチャンババッグの概略図である。
【図2】図2は、本発明の1つの実施形態に従う透析溶液を利用する、自動腹膜透析療法の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重炭酸塩含有溶液であって、以下:
第一の容器に収容された第一の部分であって、該第一の部分は、約8.6〜約10.0の範囲のpHを有するアルカリ性重炭酸塩濃縮物を含有する、第一の部分;
第二の容器に収容された第二の部分であって、該第二の部分は、約5.0以下の範囲のpHを有する酸性濃縮物を含有する、第二の部分;および
第三の容器に収容された第三の部分であって、該第三の部分は、pH感受性成分を含有し、そして約8.6以下の範囲のpHを有し、ここで、該pH感受性成分は、該第一の容器および該第二の容器のいずれか一方において滅菌される場合に、安定性を維持せず、そして該第一の部分と、該第二の部分と、該第三の部分とが一緒に混合される場合に、該第二の部分および該第三の部分のpHは、約6.5〜約7.6の範囲である生理学的の受容可能なpHを有する混合溶液を与えるために効果的である、第三の部分、
を含有する、重炭酸塩含有溶液。
【請求項2】
前記第一の容器が、マルチチャンバ容器の第一のチャンバであり、前記第二の容器が、マルチチャンバ容器の第二のチャンバであり、そして前記第三の容器が、マルチチャンバ容器の第三のチャンバであり、その結果、前記第一の部分、前記第二の部分、および前記第三の部分が、該マルチチャンバ容器内で混合されて、前記混合溶液を形成し得る、請求項1に記載の重炭酸塩含有溶液。
【請求項3】
前記混合溶液が、以下:
0.5mM〜45mMの重炭酸塩;および
0.2mM〜2.0mMのカルシウム、
を含有する、請求項1に記載の重炭酸塩含有溶液。
【請求項4】
前記混合溶液が、以下:
0.5mM〜45mMの重炭酸塩;
0.2mM〜2.0mMのカルシウム;
100mM〜150mMのナトリウム;
0mM〜1.5mMのマグネシウム;
0mM〜4.5mMのカリウム;
70mM〜120mMの塩化物;
0mM〜60mMの乳酸塩;
0mM〜60mMの酢酸塩;
0mM〜60mMのクエン酸塩;および
0mM〜60mMのピルビン酸塩、
を含有する、請求項1に記載の重炭酸塩含有溶液。
【請求項5】
グルコース、グルコースポリマー、加工デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、ポリオール、アミノ酸、ペプチド、およびグリセロールからなる群より選択される1種以上の浸透剤をさらに含有する、請求項1に記載の重炭酸塩含有溶液。
【請求項6】
前記pH感受性成分が、前記浸透剤のうちの1種以上を含有する、請求項5に記載の重炭酸塩含有溶液。
【請求項7】
前記混合溶液が、グルコース、グルコースポリマー、加工デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、ポリオール、アミノ酸、ペプチド、およびグリセロールからなる群より選択される1種以上の浸透剤を含有し、そしてさらに、
0.5mM〜45mMの重炭酸塩;
0.2mM〜2.0mMのカルシウム;
100mM〜150mMのナトリウム;
0mM〜1.5mMのマグネシウム;
0mM〜4.5mMのカリウム;
70mM〜120mMの塩化物;
0mM〜60mMの乳酸塩;
0mM〜60mMの酢酸塩;
0mM〜60mMのクエン酸塩;および
0mM〜60mMのピルビン酸塩、
を含有する、請求項1に記載の重炭酸塩含有溶液。
【請求項8】
前記第一の容器、前記第二の容器、および前記第三の容器が、気体透過性材料から構築されている、請求項1に記載の重炭酸塩含有溶液。
【請求項9】
腹膜透析のための三部分重炭酸塩溶液であって、該溶液は、以下:
約8.6〜約10.0の範囲のpHを有するアルカリ性重炭酸塩濃縮物を含有する、第一の容器に貯蔵された第一の部分;約4.0以下のpHを有する酸性濃縮物を含有する、第二の容器に貯蔵された第二の部分;および約4.0〜約8.6の範囲のpHを有する濃縮物を含有する、第三の容器に貯蔵された第三の部分であって、該濃縮物が、pH感受性の浸透剤を含有し、そして該第一の部分、該第二の部分、および該第三の部分が、混合されて、約6.5〜約7.6の範囲のpHを有する混合溶液を形成し得、該混合溶液は、以下:
0.5mM〜45mMの重炭酸塩;
0.2mM〜2.0mMのカルシウム;
100mM〜150mMのナトリウム;
0mM〜1.5mMのマグネシウム;
0mM〜4.5mMのカリウム;
70mM〜120mMの塩化物;
0mM〜60mMの乳酸塩;
0mM〜60mMの酢酸塩;
0mM〜60mMのクエン酸塩;および
0mM〜60mMのピルビン酸塩、
を含有する、三部分重炭酸塩溶液。
【請求項10】
前記第一の部分が、少なくとも、0mM〜200mMの重炭酸塩/炭酸塩、0mM〜200mMの乳酸塩、および0mM〜50mMの添加された水酸化ナトリウムを含有し、前記第二の部分が、少なくとも、0mM〜200mMの乳酸/乳酸塩および0mM〜50mMの添加された塩酸を含有し、そして前記第三の部分が、少なくとも、0mM〜200mMの乳酸/乳酸塩および0mM〜50mMの添加された塩酸を含有する、請求項9に記載の三部分重炭酸塩溶液。
【請求項11】
前記第一の容器が、マルチチャンバ容器の第一のチャンバであり、前記第二の容器が、マルチチャンバ容器の第二のチャンバであり、そして前記第三の容器が、マルチチャンバ容器の第三のチャンバであり、その結果、前記第一の部分、前記第二の部分、および前記第三の部分が、該マルチチャンバ容器内で混合されて、前記混合溶液を形成し得る、請求項9に記載の三部分重炭酸塩溶液。
【請求項12】
前記pH感受性浸透剤が、グルコースポリマーを含有する、請求項9に記載の三部分重炭酸塩溶液。
【請求項13】
グルコース、加工デンプン、1種以上のアミノ酸、1種以上のペプチド、グリセロールおよびこれらの組み合わせからなる群より選択される浸透剤をさらに含有する、請求項12に記載の三部分重炭酸塩溶液。
【請求項14】
前記第一の容器、前記第二の容器および前記第三の容器が、気体透過性材料から構築されている、請求項9に記載の三部分重炭酸塩溶液。
【請求項15】
前記第三の部分が、緩衝剤を備える、請求項9に記載の三部分重炭酸塩溶液。
【請求項16】
前記緩衝剤が、乳酸塩、ピルビン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、KREBSサイクルの中間体、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項15に記載の三部分重炭酸塩溶液。
【請求項17】
前記酸性濃縮物が、乳酸/乳酸塩、ピルビン酸/ピルビン酸塩、酢酸/酢酸塩、クエン酸/クエン酸塩、KREBSサイクルの中間体、塩酸、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項9に記載の三部分重炭酸塩溶液。
【請求項18】
透析溶液を調製する方法であって、該方法は、以下:
第一の容器に収容された第一の部分、第二の容器に収容された第二の部分、および第三の容器に収容された第三の部分を調製する工程であって、該第一の部分は、約8.6〜約10.0の範囲のpHを有するアルカリ性重炭酸塩濃縮物を含有し、該第二の部分は、約5.0以下のpHを有する酸性濃縮物を含有し、そして該第三の部分は、約8.6以下のpHを有するpH感受性成分を含有する、工程;
該第一の部分と該第二の部分とを混合して、溶液混合物を形成する工程;ならびに
該第三の部分と該溶液混合物とを混合して、使用の準備ができた透析溶液を形成する工程であって、該使用の準備ができた透析溶液は、約6.5〜約7.6の範囲の、生理学的に受容可能なpHを有する、工程、
を包含する、方法。
【請求項19】
前記第一の部分、前記第二の部分、および前記第三の部分が、前記使用の準備ができた透析溶液を形成する前に滅菌される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記pH感受性成分が、前記第一の部分および前記第二の部分と混合される前に別個に滅菌される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
pH感受性の浸透剤を含有する前記pH感受性成分の安定化を促進するために、前記第三の部分に緩衝剤が添加される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記緩衝剤が、乳酸塩、ピルビン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、KREBSサイクルの中間体、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記pH感受性浸透剤が、グルコースポリマーを含有する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記使用の準備ができた透析溶液が、以下:
0.5mM〜45mMの重炭酸塩;
0.2mM〜2.0mMのカルシウム;
100mM〜150mMのナトリウム;
0mM〜1.5mMのマグネシウム;
0mM〜4.5mMのカリウム;
70mM〜120mMの塩化物;
0mM〜60mMの乳酸塩;
0mM〜60mMの酢酸塩;
0mM〜60mMのクエン酸塩;および
0mM〜60mMのピルビン酸塩、
を含有する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記使用の準備ができた透析溶液が、グルコース、加工デンプン、1種以上のアミノ酸、1種以上のペプチド、グリセロールおよびこれらの組み合わせからなる群より選択される浸透剤をさらに含有する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
患者に透析を提供する方法であって、該方法は、以下:
透析溶液を調製する工程であって、該透析溶液は、第一の部分、第二の部分および第三の部分を含有し、該第一の部分と、該第二の部分と、該第三の部分とが混合されて、該透析溶液を形成し、該第一の部分は、約8.6〜約10.0の範囲のpHを有する重炭酸塩を含有するアルカリ性濃縮物を含有し、該第二の部分は、4.0未満のpHを有する酸性濃縮物を含有し、そして該第三の部分は、浸透剤を含有し、約4.0〜約8.6の範囲のpHを有し、そして該浸透剤の安定化を促進するための緩衝剤を含有する、工程;ならびに
透析の間、該透析溶液を使用する工程、
を包含する、方法。
【請求項27】
前記浸透剤が、グルコースポリマーを含有する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記透析溶液が、グルコース、加工デンプン、1種以上のアミノ酸、1種以上のペプチド、およびグリセロールからなる群より選択される1種以上のさらなる浸透剤を含有する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記第一の部分と前記第二の部分とが混合され、引き続いて、前記第三の部分と混合されて、使用の準備ができた腹膜透析溶液を形成する、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記使用の準備ができた透析溶液が、連続携行式腹膜透析および自動腹膜透析からなる群より選択される腹膜透析の間に使用される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記緩衝剤が、乳酸塩、ピルビン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、KREBSサイクルの中間体、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
透析を提供するためのシステムであって、該システムは、以下:
第一の容器に収容された第一の部分であって、該第一の部分は、約8.6〜約10.0の範囲のpHを有するアルカリ性重炭酸塩濃縮物を含有する、第一の部分;
第二の容器に収容された第二の部分であって、該第二の部分は、約4.0未満のpHを有する酸性濃縮物を含有する、第二の部分;
第三の容器に収容された第三の部分であって、該第三の部分は、pH感受性成分を含有し、そして約4.0〜約8.6の範囲のpHを有し、該pH感受性成分は、該第一の容器および該第二の容器のうちのいずれかにおいて滅菌される場合に、安定性を維持せず、そして該第二の部分および第三の部分のpHは、該第一の部分と、該第二の部分と、該第三の部分とが一緒に混合される場合に、約6.5〜約7.6の範囲の、生理学的に受容可能なpHを有する混合溶液を与えるために有効である、第三の部分;ならびに
該第一の部分、該第二の部分、および該第三の部分に適合されて接続された配管セットであって、これによって、透析の間に、該第一の部分と、該第二の部分と、該第三の部分との使用を可能にする、配管セット、
を備える、システム。
【請求項33】
前記第一の容器が、マルチチャンバ容器の第一のチャンバであり、前記第二の容器が、マルチチャンバ容器の第二のチャンバであり、そして前記第三の容器が、マルチチャンバ容器の第三のチャンバであり、その結果、前記第一の部分と、前記第二の部分と、前記第三の部分とが、該マルチチャンバ容器の内部で混合されて、前記混合溶液を形成し得る、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記第一の部分と前記第二の部分とが混合され、引き続いて、前記第三の部分と混合されて、連続携行式腹膜透析の間に使用され得る使用の準備ができた溶液を形成する、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記配管セットが、前記第一の部分と、前記第二の部分と、前記第三の部分とを、混合デバイスに接続し、該混合デバイスは、自動腹膜透析の間に使用するために、使用の準備ができた溶液が調製されることを可能にする、請求項32に記載のシステム。
【請求項36】
前記混合溶液が、以下:
0.5mM〜45mMの重炭酸塩;
0.2mM〜2.0mMのカルシウム;
100mM〜150mMのナトリウム;
0mM〜1.5mMのマグネシウム;
0mM〜4.5mMのカリウム;
70mM〜120mMの塩化物;
0mM〜60mMの乳酸塩;
0mM〜60mMの酢酸塩;
0mM〜60mMのクエン酸塩;および
0mM〜60mMのピルビン酸塩、
を含有する、請求項32に記載のシステム。
【請求項37】
グルコース、グルコースポリマー、加工デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、ポリオール、アミノ酸、ペプチド、およびグリセロールからなる群より選択される1種以上の浸透剤をさらに含有する、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
前記pH感受性成分が、1種以上の前記浸透剤を含有する、請求項37に記載の重炭酸塩含有溶液。
【請求項39】
前記第一の部分が、少なくとも、0mM〜200mMの重炭酸塩/炭酸塩、0mM〜200mMの乳酸塩、および0mM〜50mMの添加された水酸化ナトリウムを含有し、前記第二の部分が、少なくとも、0mM〜200mMの乳酸/乳酸塩および0mM〜50mMの塩酸を含有し、そして前記第三の部分が、少なくとも、0mM〜200mMの乳酸/乳酸塩および0mM〜50mMの添加された塩酸を含有する、請求項32に記載の三部分重炭酸塩溶液。
【請求項40】
腹膜透析のための三部分重炭酸塩溶液であって、該溶液は、以下:
約8.6〜約10.0の範囲のpHを有するアルカリ性重炭酸塩濃縮物を含有する、第一の容器に貯蔵された第一の部分;
約4.0以下のpHを有する酸性濃縮物を含有する、第二の容器に貯蔵された第二の部分;および
約4.0〜約5.5の範囲のpHを有する濃縮物を含有する、第三の容器に貯蔵された第三の部分であって、該濃縮物が、pH感受性の浸透剤、および該pH感受性の浸透剤の安定化を促進するための緩衝剤を含有する、第三の部分、
を含有し、該第一の部分、該第二の部分、および該第三の部分が、混合されて、約6.5〜約7.6の範囲のpHを有する混合溶液を形成し得る、三部分重炭酸塩溶液。
【請求項41】
前記第一の部分が、少なくとも、0mM〜200mMの重炭酸塩/炭酸塩、0mM〜200mMの乳酸塩、および0mM〜50mMの添加された水酸化ナトリウムを含有し、前記第二の部分が、少なくとも、0mM〜200mMの乳酸/乳酸塩および0mM〜50mMの塩酸を含有し、そして前記第三の部分が、少なくとも、0mM〜200mMの乳酸/乳酸塩および0mM〜50mMの添加された塩酸を含有する、請求項40に記載の三部分重炭酸塩溶液。
【請求項42】
前記第一の容器が、マルチチャンバ容器の第一のチャンバであり、前記第二の容器が、マルチチャンバ容器の第二のチャンバであり、そして前記第三の容器が、マルチチャンバ容器の第三のチャンバであり、その結果、前記第一の部分、前記第二の部分、および前記第三の部分が、該マルチチャンバ容器内で混合されて、前記混合溶液を形成し得る、請求項40に記載の三部分重炭酸塩溶液。
【請求項43】
前記pH感受性浸透剤が、グルコースポリマーを含有する、請求項40に記載の三部分重炭酸塩溶液。
【請求項44】
前記緩衝剤が、乳酸塩、ピルビン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、KREBSサイクルの中間体、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項40に記載の三部分重炭酸塩溶液。
【請求項45】
前記第三の部分が、約15mM以下の緩衝剤を含有する、請求項40に記載の三部分重炭酸塩溶液。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−502722(P2008−502722A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527538(P2007−527538)
【出願日】平成17年5月18日(2005.5.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/017995
【国際公開番号】WO2006/001962
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【出願人】(504375581)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (26)
【Fターム(参考)】