野菜汁の呈味改善方法及び野菜汁の製造方法
【課題】モロヘイヤやホウレンソウ等に共通する独特の臭みの原因成分を選択的に除去することができる野菜汁の製造方法を提供する。
【解決手段】活性白土、酸性白土又はこれらの混合物を、野菜汁に接触させた後、活性白土、酸性白土又はこれらの混合物を野菜汁から取り除くことにより、野菜汁中のアデニンを白土に選択的に吸着させて除去することができ、野菜汁の呈味を改善することができる。
【解決手段】活性白土、酸性白土又はこれらの混合物を、野菜汁に接触させた後、活性白土、酸性白土又はこれらの混合物を野菜汁から取り除くことにより、野菜汁中のアデニンを白土に選択的に吸着させて除去することができ、野菜汁の呈味を改善することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜汁を製造する方法において、野菜汁の呈味を改善することができる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モロヘイヤやホウレンソウ等の野菜汁には、青臭さやエグ味などの独特の臭いや味があり、これらがあまりに強いと飲み難くなるため、従来、これらの臭いや味を軽減するための方法が開示されている。
【0003】
例えば特許文献1(特開平05−111371号公報)には、野菜ジュースの苦味を除去する方法として、野菜ジュースを含水けい酸ゲルで処理する方法が開示されている。
【0004】
特許文献2(特開2001−275602号公報)には、キャベツに代表されるアブラナ科の野菜特有の不快臭を軽減するべく、必要に応じて野菜の塊を解す前処理を行った上で、品温を約80℃〜95℃の範囲を維持させるように野菜に蒸気を直接当てて加熱処理を行った後、細断処理及び搾汁を行い、得られた搾汁液は特殊な陰イオン交換体を用いて接触処理することによってアブラナ科野菜特有の異臭の発生をなくす方法が開示されている。
【0005】
特許文献3(特開2003−116496号公報)には、野菜汁の苦味、渋味、収斂味等の呈味を改善する方法として、野菜汁にカルボキシル基を有する水溶性酸性多糖類を添加する方法が開示されている。
【0006】
また、特許文献4(特開2004−000081号公報)には、緑色野菜汁の青臭さ・生臭さ、渋み、エグ味を軽減する方法として、セロリ、ほうれん草などの野菜を、細断後直ちに、−19℃〜5℃の温度において、含水エタノールなどのアルコール性溶媒で8〜96時間抽出し、ついで抽出液から溶媒を除去するという方法が開示されている。
【0007】
そのほか、野菜汁の香味改善方法として、イオン交換樹脂に通液処理する方法や、活性炭に通液処理する方法なども挙げられるが、いずれの方法も、除去したい成分とともに野菜の持つ風味や色調を除去し過ぎてしまったり、マスキングし過ぎたりするおそれがあった。
【0008】
【特許文献1】特開平05−111371号公報の要約書
【特許文献2】特開2001−275602号公報の要約書
【特許文献3】特開2003−116496号公報の要約書
【特許文献4】特開2004−000081号公報の要約書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、モロヘイヤやホウレンソウ等に共通する独特の臭みの原因成分を選択的に除去することができ、より自然で好ましい香味を有し、飲み易い野菜汁を製造することができる、新たな野菜汁の製造方法を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、モロヘイヤやホウレンソウ等に含まれるアデニンがこれらの野菜汁独特の臭みの原因成分であることを究明すると共に、これらの野菜汁を、活性白土や酸性白土などの白土に接触させることにより、野菜汁に含まれるアデニンを白土に吸着させることができ、野菜汁の臭みを軽減して飲み易くできることを見出すことに成功し、かかる知見に基づいて本発明を想到したものである。
【0011】
すなわち、本発明は、活性白土、酸性白土又はこれらの混合物を、野菜汁に接触させた後、活性白土、酸性白土又はこれらの混合物を野菜汁から取り除く工程を備えた野菜汁の製造方法を提案するものである。
このように、活性白土、酸性白土又はこれらの混合物を、野菜汁に接触させた後、活性白土、酸性白土又はこれらの混合物を野菜汁から取り除くことにより、野菜汁中のアデニンを白土に選択的に吸着させて除去することができ、野菜汁の呈味を改善することができる。よって、このように処理した野菜汁を使って飲み易い野菜飲料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明が下記実施形態に限定されるものではない。
【0013】
本実施形態にかかる野菜汁の製造方法(以下「本野菜汁製法」という)は、野菜汁(以下「原料野菜汁」という)に白土を接触させ、次いで野菜汁から白土を取り除くことを特徴とする方法である。
【0014】
(原料野菜汁)
本野菜汁製法において原料とする原料野菜汁は、アデニンを含有する野菜から得られる野菜汁であればよい。
アデニンを含有する野菜としては、例えばホウレンソウ、小松菜、カラシ菜、サラダ菜、春菊、白菜、レタス、芽キャベツ、キャベツ、チンゲン菜、シソの葉、ブロッコリー、モロヘイヤ、ネギ、ミズナ、ビート、チシャ、ターサイ、カラシナ、ケール、大麦若葉、セロリ、パセリ、ミツ葉、グリーンアスパラガス、クレソン、ニラ、高菜、一般的にスプラウトと称される発芽野菜の新芽などを挙げることができ、モヤシ、ダイコンの葉部、サツマイモの葉部などを挙げることができ、これらからなる群から選ばれる1種の野菜又は2種以上の野菜の組み合わせであればよい。中でも、アデニンをより多く含む素材という観点から、ホウレンソウ、ブロッコリーおよびモロヘイヤが特に好ましく、これらからなる群から選ばれる1種の野菜又は2種以上の野菜の組み合わせがより一層好ましい。
【0015】
原料野菜汁の形態は、搾汁液、ピューレ、抽出液などの液体状のものでも、パルプや細断物などの固形分を多く含む状態のものでもよい。
例えば、原料とする野菜を、必要に応じて洗浄、殺菌、剥皮等の前処理した後、これも必要に応じて適切な大きさに粉砕し、搾汁乃至抽出して原料野菜汁を得ることができる。この際、原料とする野菜は、生野菜であっても、乾燥野菜であってもよい。また、搾汁方法としては、例えば圧搾機でプレス処理したり、或は、遠心分離機等を用いて遠心分離したりすることができる。
なお、原料野菜汁が固形分を多く含む場合、固形分の粒度を特に限定するものではないが、例えば白土を充填したカラム内に野菜汁を通液させる場合には、通液可能な粒度に調製する必要がある。
【0016】
原料野菜汁のBrix(可溶性固形分濃度)は、特に限定するものではない。例えば、白土との接触効率や接触後に白土を除去する際のロスなどを考慮すると、Brix0.1%〜20%であるのが好ましく、特に1%〜10%であるのが好ましい。
【0017】
原料野菜汁のpHについても特に限定するものではない。野菜汁として可能性ある範囲、例えば3.5〜7などであればよい。
原料野菜汁の温度も特に限定するものではなく、前後の工程に応じて温度を調整すればよく、例えば10〜70℃であればよい。
なお、原料野菜汁はブランチング処理されたものであっても、されてないものであってもよく、ブランチングの有無によってアデニンの低減効果が影響されるものではない。
また、酵素の添加や、ろ過助剤を使用して濾過などの透明化処理の有無も特に問題とするものではない。
【0018】
(白土との接触処理)
処理に用いる白土は、活性白土、酸性白土又はこれらの混合物の何れであってもよいが、好ましくは、酸性白土を用いるのが好ましい。
通常、酸性白土に比べて活性白土の方が比表面積が大きく、吸着能が高いことが知られているが、本発明者は、アデニンの吸着に関しては、酸性白土の方が優れていることを究明した。よって、アデニンを選択的に除去するためには、酸性白土を用いるのが好ましい。
【0019】
なお、酸性白土および活性白土は、いずれも一般的な化学成分として、SiO2、Al2O3、Fe2O3、CaO、MgO等を含有するものである。
このうちの酸性白土は、天然に産出するモンモリロナイト(化学式:Al2O3・4SiO2・nH2O)系粘土から得られる白土であり、シリカ層・アルミナ層・シリカ層の三層から成る結晶構造を有するモンモリロナイトを原料とする多孔質構造の化合物である。市販されている酸性白土として、水澤化学社製のミズカエースシリーズを挙げることができる。
酸性白土の比表面積は、50〜200m2/gであるのが好ましく、特に50〜150m2/g、中でも特に50〜100m2/gであるのが好ましい。
酸性白土のpH(5質量%懸濁液)は5〜9、特に6〜7のものが好ましい。
【0020】
これに対し、活性白土は、上記酸性白土をさらに硫酸などで酸処理したものであり、酸性白土に比べて比表面積が大きく、一般的には吸着能も活性白土に比べて高い傾向にある。市販されている活性白土として、水澤化学社製のガレオンアースシリーズを挙げることができる。この活性白土は、アルミナ・鉄・マグネシウムの一部を溶出させることにより、比表面積及び吸着能を高めている特徴を有している。
活性白土の比表面積は、50〜400m2/gであるのが好ましく、特に200〜300m2/gであるのが好ましい。
活性白土のpH(5質量%懸濁液)は2.5〜7.0、特に3.5〜4.0のものが好ましい。
さらに、活性白土の酸度は、0.5〜7.0、特に1.0〜2.7のものが好ましい。
【0021】
なお、本野菜汁製法における白土との接触処理では、2種以上の白土を混合して使用することもできる。
【0022】
原料野菜汁を白土に接触させる方法としては、原料野菜汁中に白土を添加して攪拌する方法、原料野菜汁中に白土を添加して振とうする方法、白土を充填したカラム内に野菜汁を通液させる方法、その他などが挙げられるが、処理の簡易さの観点から、撹拌法が好ましい。
原料野菜汁に白土を添加して攪拌させる方法を採用した場合には、白土が底部に堆積しない程度に撹拌すればよく、特に液全体に白土が分散することが好ましい。攪拌時間は、特に1分〜2時間がより好ましく、中でも特に5分〜30分がより好ましい。
また、原料野菜汁中に白土を添加して振とうする方法を採用した場合には、白土が溶液中に分散し十分に流動する程度に振とうするのが好ましい。振とう時間は、特に1分〜2時間がより好ましく、中でも特に5分〜30分がより好ましい。
【0023】
原料野菜汁に接触させる白土の量としては、接触方法やアデニンの含有量にもよるが、原料野菜汁の可溶性固形分量の1%〜500%が好ましく、特に10%〜300%が好ましい。
【0024】
(野菜汁から白土を取り除く方法)
上記の如く原料野菜汁に白土を接触させた後、野菜汁から白土を吸着物とともに取り除く必要がある。
野菜汁から白土を取り除く方法としては、例えば通常使用されているフィルターのほか、ステンレスフィルターやネル布などを使用した濾過、ストレーナーを使用した濾過、遠心分離、フィルタープレスを使用したろ過、珪藻土などのろ過助剤を利用したろ過、或いはその他の濾過方法によって、野菜汁から白土を取り除けばよい。
【0025】
(処理により得られる野菜汁)
上記のように白土と接触処理することにより、野菜汁中のアデニンを選択的に吸着除去することができ、アデニンの少ない野菜汁(以下「処理済野菜汁」という)を得ることができる。
【0026】
アデニンは、核酸塩基類及びプリン塩基類に属する化合物であり、DNAやRNAなどの構成成分として知られている。
従来、アデニンが野菜汁の臭みに関係している知見は知られていないが、本発明者は、後述するように、白土と接触処理した後の野菜汁にアデニンを添加すると、野菜汁の臭みが増したことから、アデニンが野菜汁の臭み成分の一つであることを見出すことに成功した。
【0027】
野菜汁中のアデニンを選択的に吸着除去することができるとは、野菜汁が有する好ましい味や香りの成分を吸着除去せずに、アデニンを吸着除去することができることを意図しており、より具体的には、例えば、旨味成分であるアミノ酸や、アデニンと構造が似ているアデノシンなどのアデニン以外の核酸塩基類を吸着除去することなく、アデニンを吸着除去することができることを意図するものである。
【0028】
より具体的には、本野菜汁製法により、原料野菜汁のアデニンの50質量%以上、特に70質量%以上、中でも特に80質量%以上を除去することができる。
同時に、原料野菜汁のアデニン以外の核酸塩基類であるアデノシンの70質量%以上、特に80質量%以上、中でも特に90質量%以上を維持することができる。
また、同時に原料野菜汁のアミノ酸の80質量%以上、特に90質量%以上を維持することができる。
なお、この際のアミノ酸量は、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、アスパラギン(Asn)、セリン(Ser)、グルタミン(Gln)、アルギニン(Arg)、アラニン(Ala)、γ-アミノ酪酸(GABA)、メチオニン(Met)、バリン(Val)、フェニルアラニン(Phe)、イソロイシン(Ile)及びロイシン(Leu)の合計量を意味している。
【0029】
(処理物の利用)
上記の如く接触処理して得られた処理済野菜汁は、そのままの状態で保管してもよいし、必要に応じて成分を調整した後、濃縮或いは乾燥処理して保管してもよい。また、保管することなく、即座に飲料原料として使用することもできる。
【0030】
例えば、処理済野菜汁に水分を添加してBrixを調整することができる。この際、添加する水分としては、配合する野菜や果実に由来する水のほか、ミネラル水、天然水、イオン交換水、精製水、脱気水、水道水等の水を適宜配合することができる。
【0031】
また、必要に応じてpH調整剤を添加してもよい。pH調整剤としては、例えばクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、酢酸、乳酸、及びグルコン酸等の有機酸、レモン、アセロラ及びカムカム等の果汁を挙げることができる。
調整するpH範囲は特に限定するものではないが、一般的には野菜飲料の保存安定性及び飲み易さの点からpH3〜6とするのが好ましい。
【0032】
必要に応じて、すなわち任意成分として、通常各種飲食品へ配合される各種食品素材、例えば天然色素及びタール色素等の着色料、安息香酸及びソルビン酸等の保存料、エリソルビン酸及びアスコルビン酸等の抗酸化剤、タンパク質、糖質、乳化剤、酸味料、ビタミン剤及びミネラル等の強化剤、香料、乳製品等の任意成分を配合してもよい。但し、これらに限定するものではない。
【0033】
野菜飲料や野菜果実飲料などに調製する場合には、上記の如く接触処理して得られた処理済野菜汁に、例えばニンジン、トマト、リンゴ、グレープフルーツ、その他の果物や野菜などから得られたものを混合攪拌した後、ホモジナイザーで均質化処理を行い、ピューレやパルプ分を潰して滑らかにし、必要に応じて加熱殺菌した後、容器に充填すればよい。
【0034】
この際、殺菌方法は、通常の飲料と同様に行えばよい。例えば金属缶のように容器に充填後、加熱殺菌できる場合にあっては食品衛生法に定められた殺菌条件で殺菌を行えばよい。また、PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、例えばプレート式熱交換器などで高温殺菌後冷却して容器に充填するなどすればよい。
本野菜飲料を充填する容器は、PETボトル、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶等、通常の形態の容器を使用することができる。
【0035】
なお、本野菜汁製法における白土接触処理、すなわち原料野菜汁に白土を接触させ、次いで野菜汁から白土を取り除く処理は、乾燥野菜などの抽出工程の途中で行うことも、搾汁工程の途中で行うこともできる。
【0036】
(用語の説明)
本発明において「野菜飲料」とは、野菜成分を含有する飲料の意味であり、「野菜果実飲料」とは、野菜成分と果実成分とを含有する飲料の意味である。
また、「可溶性固形分」とは、Brix測定値から換算した固形分量の意味である。
本明細書において「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
また、「X以上」或いは「Y以下」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
【実施例】
【0037】
次に、試験例に基づいて本発明について更に説明するが、本発明が以下に示す実施例に限定されるものではない。
【0038】
<野菜汁から核酸塩基類を低減する方法の検討>
ホウレンソウ汁中の核酸塩基類を吸着除去する方法について、次のように検討した。
【0039】
ホウレンソウ透明濃縮汁にイオン交換水を添加してBrix2.3%のホウレンソウ汁(pH4.0〜5.0)を調製した。
なお、上記のホウレンソウ透明濃縮汁は、ホウレンソウをブランチングして得られたホウレンソウ搾汁液を濃縮して得られたものである。
【0040】
前記の如く調製したホウレンソウ汁10cc(可溶性固形分量0.23g)に、ミズカエース#600(酸性白土/水澤化学工業株式会社製)、ガレオンアースNF−2(活性白土/水澤化学工業株式会社製)又はZN−50(活性炭/北越炭素社製)を、それぞれ10mg(ホウレンソウ汁の可溶性固形分量の約4.3%)、50mg(ホウレンソウ汁の可溶性固形分量の約22.5%)又は250mg(ホウレンソウ汁の可溶性固形分量の約109%)を混合し、15mLのポリプロピレン遠沈管に入れて水平に寝かせ、レシプロ往復振とう器(TAITEC RECIPRO SHAKER SR−1)を用いて250回/分で30分間振とうした後、遠心分離器(条件:3000rpm10分間)で遠心後、イオン交換水を加えてBrixを調整し、0.45μmのフィルターでろ過し、得られたホウレンソウ汁をHPLC分析した。また、得られたホウレンソウ汁の色調や風味について、官能試験を実施した。
表1には、添加物の種類毎に、添加量、得られたホウレンソウ汁の色調強度、pH及びBrixを示し、表2には、添加物の種類・添加量毎に、得られたホウレンソウ汁の各種核酸塩基類の濃度(ppm)を示した。
【0041】
なお、ミズカエース#600は、水澤化学工業株式会社製の酸性白土であり、化学組成(Si02:71.0%、Al2O3:14.5%、Fe2O3:3.8%,MgO:2.5%,CaO:0.9%)、水分10.0%、粉末度(;90μmフルイ透過率)98.0%、比表面積95m2/g、細孔容積0.260mL/g、平均細孔直径109Å、pH6.4、嵩密度0.92g/mL、真比重2.6である。
ガレオンアースNF−2は、水澤化学工業株式会社製の活性白土であり、化学組成(Si02:78.3%、Al2O3:10.7%、Fe2O3:2.1%,MgO:2.3%,CaO:0.6%)、水分7.0%、粉末度(;90μmフルイ透過率)81.0%、比表面積290m2/g、酸度0.5mgKOH/g、pH3.3、嵩密度0.68g/mL、真比重2.4である。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
表1、表2および図1―5の結果より、ホウレンソウ汁に活性白土又は酸性白土を添加して接触処理すると、プリン塩基単体であるアデニンおよびグアニンを選択的に吸着除去できることが判明した。また、活性白土および酸性白土の処理品は、独特の臭みがなく風味は良好であった。
酸性白土の吸着挙動より、ホウレンソウ汁に対して酸性白土を約10質量%(約20mg)添加して接触処理することで、ホウレンソウ汁中のアデニンの80質量%を吸着除去できるとものと予想される。
また、活性白土の吸着挙動より、ホウレンソウ汁に対して活性白土を約65質量%(約150mg)添加して接触処理することとで、ホウレンソウ汁中のアデニンの80質量%を吸着除去できるとものと予想される。
なお、酸性白土及び活性白土接触処理によるホウレンソウ中の陽イオン量、陰イオン量の極端な変化は確認されなかった。
ここで陽イオンとはNa+、K+、Mg2+、Ca2+であり、陰イオンとはCl−、MA(リンゴ酸)、NO3−、CA(クエン酸)、OA(シュウ酸)である。
これに対し、活性炭を添加して接触処理すると、核酸塩基類が全体的に吸着傾向を示し、Brixおよび色調風味の減少も確認された。
【0045】
<白土の種類による影響の検討>
グレードの異なる白土(酸性白土(ミズカエース#600、#20)、活性白土(ガレオンアースV−2、NF−2))を使用し、前記試験と同様にホウレンソウ汁の白土接触処理を実施し、効果を比較した。
なお、酸性白土の型番は採掘地や採掘地層の違いにより分類され、活性白土では比表面積の違いによりグレード分けされている(V−2の比表面積>NF−2の比表面積)。
【0046】
ミズカエース#20は、水澤化学工業株式会社製の酸性白土であり、化学組成(Si02:72.3%、Al2O3:13.4%、Fe2O3:2.5%,MgO:2.6%,CaO:1.0%)、水分10.0%、粉末度(;90μmフルイ透過率)95.0%、比表面積115m2/g、細孔容積0.310mL/g、平均細孔直径108Å、pH5.6、嵩密度0.85g/mL、真比重2.6である。
ガレオンアースV−2は、水澤化学工業株式会社製の活性白土であり、化学組成(Si02:79.8%、Al2O3:8.7%、Fe2O3:1.9%,MgO:3.2%,CaO:0.7%)、水分10.0%、粉末度(;90μmフルイ透過率)94.5%、比表面積290m2/g、細孔容積0.460mL/g、平均細孔直径63Å、酸度1.2mgKOH/g、pH3.3、嵩密度0.70g/mL、真比重2.4である。
なお、ミズカエース#600及びガレオンアースNF−2は、前記<野菜汁から核酸塩基類を低減する方法の検討>で用いたものと同様である。
【0047】
<結果>
アデニンの吸着量は、酸性白土(#600)>酸性白土(#20)>活性白土(V−2)>活性白土(NF−2)の順に高いことが判明した(図6)。
一般的には比表面積の大きな活性白土の方が吸着能は高いが、アデニン、グアニンに関しては活性白土の方が強い吸着力を示す結果となった。
【0048】
<ホウレンソウの白土接触処理検討>
アデニン含有量の異なる2種類のホウレンソウ汁に対して酸性白土接触処理を実施し、白土接触処理の効果を検討した。
【0049】
製造ロットの異なるホウレンソウ透明濃縮汁にイオン交換水を添加してBrix10%の2種類のホウレンソウ汁を調製した。
これらのホウレンソウ汁(23.7℃)10ccにそれぞれ、可溶性固形分量1gに対し8.7%のミズカエース#600(酸性白土/水澤化学工業株式会社製)を87mg添加し、15mLのポリプロピレン遠沈管に入れて水平に寝かせ、レシプロ往復振とう器(TAITEC RECIPRO SHAKER SR−1)を用いて250回/分で0〜30分間振投した後、遠心分離機(条件:3000rpm10分間)で遠心後、0.45μmのフィルターでろ過し、得られたホウレンソウ汁をHPLC分析した。
表3には、Brixあたり4ppmのアデニンを含有するホウレンソウ汁に対して酸性白土接触処理を実施した際、接触時間毎に「ホウレンソウ汁のBrixあたりの各種核酸塩基類の濃度(ppm/Brix)」を示し、表4には、Brixあたり12.6ppmのアデニンを含有するホウレンソウ汁に対して酸性白土接触処理を実施した際、接触時間毎に「ホウレンソウ汁のBrixあたりの各種核酸塩基類の濃度(ppm/Brix)」を示した。
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】
この結果、前者では接触時間約3分で、後者では接触時間約7分で、アデニンの除去効果が頭打ちとなっていることから、接触時間は1分〜30分中でも特に1〜10分が好ましいと考えられる。
さらに、アデニンの除去効果を得るためには、白土添加量は、可溶性固形分量に対し4〜500重量%とするのが好ましく、特に20〜150重量%とするのが好ましいと考えられる。
【0053】
<白土接触処理に関する検討>
白土と接触処理する際のホウレンソウ透明濃縮汁の温度を変えて白土との接触処理を実施し、効果を検討した。併せて、白土がダマになる等、十分に接触しなかった場合を想定し15%添加での処理を実施した。
【0054】
ホウレンソウ透明濃縮汁にイオン交換水を添加してBrix10%のホウレンソウ汁を調製した。このホウレンソウ汁を各温度(室温、25℃、40℃、66℃)に加熱した後、このホウレンソウ調製汁100ccに、可溶性固形分量1gに対し15%又は9%のミズカエース#600(酸性白土/水澤化学工業株式会社製)を添加し、それぞれスターラーを使って白土が液中に分散する程度の回転速度で15分間攪拌し(保温なし)、遠心分離機(条件:5000rpm10分間)で遠心後、速やかにNo.5Cろ紙で吸引ろ過し、得られたホウレンソウ汁をHPLC分析した。
表5には、白土接触処理したホウレンソウ汁の温度毎に「ホウレンソウ汁のBrixあたりの各種核酸塩基類の濃度(ppm/Brix)」を示した。
【0055】
【表5】
【0056】
9%添加、15%のいずれにおいても、各温度帯ともに十分にアデニンを吸着除去できることが分かった。また、この際、アデニン以外の核酸塩基類の含有量はほとんど変化しなかった。
また、白土投入時、撹拌しつつ徐々に添加しても少量はダマになってしまうが、1〜2分ですぐに崩壊することが分かった。そして、撹拌停止により速やかに白土が沈降することが確認できた。
【0057】
<実機製造の検討>
実機で白土接触処理を行いアデニン量を抑えたホウレンソウ汁を製造し、得られた処理液の特徴を検討した。
【0058】
(実機での白土処理)
Brix20%のホウレンソウ透明濃縮汁をプレート式熱交換機で加熱殺菌(97℃)した後、23℃まで冷却して原料野菜汁を調製した。
この原料野菜汁に対し、予め水に懸濁した酸性白土(水澤化学工業株式会社製「ミズカエース#600」)を、原料野菜汁の可溶性固形分量の15重量%となるように添加した後、保温することなく白土が底部に堆積しないように適当な速度で撹拌翼を回転させ接触時間30分以上攪拌し、その後、横型ろ過機による一次ろ過および縦型ろ過機による二次ろ過を行い、次にカートリッジフィルタ(3μm)により異物を除去し、濃縮機にてBrix20%に濃縮し、再度カートリッジフィルタ(1μm)により異物を除去した後、プレート式熱交換器にて97℃±1℃で殺菌し、缶に充填して−18℃以下にて冷凍保管した。
なお、一次ろ過および二次ろ過は、縦型ろ過機および横型ろ過機へ市販のろ過助剤を使用し事前にプレコートを行なった後に白土含有ホウレンソウ汁を通液することにより実施した。
【0059】
表6には、各工程での各種分析値を示し、表7には、原料と製品における「Brixあたりの各種核酸塩基類の濃度(ppm/Brix)」を示すと共に、その下に、白土と接触を開始してからの経過時間毎に「Brixあたりの各種核酸塩基類の濃度(ppm/Brix)」を示し、表8には、原料と製品における「Brixあたりの各種アミノ酸の濃度(ppm/Brix)」を示した。
【0060】
【表6】
【0061】
【表7】
【0062】
【表8】
【0063】
得られた野菜汁は、Brix2%状態で、白土接触処理前と比較して、わずかに色調が明るくなり、味はまろやかですっきりとし、酸味と味の厚みがやや弱くなった印象であった。また、極端な香味変化もなく、白土臭も感じられなかったため香味良好と判断した。
なお、白土接触処理前後の汁中のアミノ酸含有量はほぼ変化がなかった。
【0064】
<官能評価>
pHの異なる2種類のホウレンソウ汁を使用して白土接触処理を行い、白土未処理品、白土接触処理品、白土接触処理品へアデニン標準品を添加したものについて官能評価を実施した。
【0065】
ホウレンソウ透明濃縮液(pH5.7)又はホウレンソウ透明濃縮液(pH5.2)にイオン交換水を添加してBrix10%のホウレンソウ汁を調製した。
なお、ホウレンソウ透明濃縮液は、ホウレンソウのブランチング搾汁液を濃縮したものである。
【0066】
前記の如く調製したホウレンソウ汁(23.7℃)10ccに、可溶性固形分量の20%の酸性白土(水澤化学工業株式会社製ミズカエース#600(商品名)又は活性白土(水澤化学工業株式会社製ガレオンアースV−2(商品名)酸度1.0)を添加し、15mLのポリプロピレン遠沈管に入れて水平に寝かせ、レシプロ往復振とう器(TAITEC RECIPRO SHAKER SR−1)を用いて250回/分で20分間振とうした後、遠心分離後(条件:3000rpm10分間)、No.5Cろ紙吸引ろ過し、Brix2%のホウレンソウ汁(サンプル)を調製した。
また、このようにして得られたホウレンソウ汁(サンプル)に、14ppmのアデニン標準品を添加してアデニン添加品(サンプル)を調製した。
【0067】
表9には、ホウレンソウ透明濃縮液(pH5.7)を用いたサンプルのBrixとpHを示し、表10には、Brixあたりの各種核酸塩基類の濃度(ppm/Brix)を示した。また、表11には、ホウレンソウ透明濃縮液(pH5.2)を用いたサンプルのBrixとpHを示し、表12には、Brixあたりの各種核酸塩基類の濃度(ppm/Brix)を示した。
また、表13には、官能評価での評価基準と評価点を示し、表14には、ホウレンソウ透明濃縮液(pH5.7)を用いたサンプルの官能評価結果(n=9)を示し、表15には、ホウレンソウ透明濃縮液(pH5.2)を用いたサンプルの官能評価結果(n=7)を示した。
【0068】
【表9】
【0069】
【表10】
【0070】
【表11】
【0071】
【表12】
【0072】
【表13】
【0073】
【表14】
【0074】
【表15】
【0075】
アデニン添加品の官能評価から、アデニンは野菜汁の臭み及び後味(あとにひく味)に悪影響を与える成分であることが確認された。
活性白土接触処理品は、官能評価においてやや飲み難いとの結果を示しており、これは活性白土の吸着能力が大きいことが影響している可能性が推測される。このことから官能面からも酸性白土接触処理のほうがより好ましいと考えられる。
【0076】
<シリカゲル処理との比較>
白土を用いた処理とケイ酸ゲル(シリカゲル)を用いた処理とを比較すると共に、一般的にろ過助剤として使用される珪藻土濾過についても比較した。
【0077】
ホウレンソウ透明濃縮液(pH5.2)に、イオン交換水を添加してBrix10%のホウレンソウ汁(pH5.2)を調製した。
このように調製したホウレンソウ汁(23.7℃)10ccに、可溶性固形分量の20%の酸性白土(水澤化学工業株式会社製ミズカエース#600(商品名))、シリカゲル球状(関東化学株式会社製)又は珪藻土(ラヂオライト#700 昭和化学工業株式会社製)を添加し、15mLのポリプロピレン遠沈管に入れて水平に寝かせ、レシプロ往復振とう器(TAITEC RECIPRO SHAKER SR−1)を用いて250回/分で20分間振投した後、遠心分離(条件:3000rpm10分間)に続けてNo.5Cろ紙吸引ろ過して、Brix2%のホウレンソウ汁(サンプル)を調製した。
表16には、各種処理を実施した後のホウレンソウ汁のBrix、pH及び香味を示し、表17には、Brixあたりの各種核酸塩基類の濃度(ppm/Brix)を示した。
【0078】
【表16】
【0079】
【表17】
【0080】
珪藻土およびシリカゲル処理では、白土接触処理に比べてアデニンおよびその他の核酸塩基類が除去されない結果となった。
また、白土接触処理に比べて、シリカゲル処理は、味の変化が大きく、野菜らしさがなくなり、活性炭処理に近い印象であった。
【0081】
<核酸塩基類の分析>
上記の各試験において、核酸塩基類の含有量の測定は、各溶液を蒸留水で適当な濃度に希釈後、0.45μmフィルターでろ過し高速液体クロマトグラフィー分析装置(HPLC装置)にて下記の条件で実施した。
【0082】
カラム:Atrantis T3、3.0mmφ×150mm、3.0μm(Waters社製)
移動相:A;10mM酢酸アンモニウム(酢酸でpH5.0に調整)
B;60%アセトニトリル
カラムオーブン温度:40℃
検出器:UV260nm
流速:0.6mL/分
アデニンのリテンションタイム: 10分付近
アデノシンのリテンションタイム:19分付近
サンプル注入量:10μL
グラジェントプログラム:表18参照
【0083】
【表18】
【0084】
<アミノ酸の分析>
上記試験において、アミノ酸の含有量の測定は、各溶液を蒸留水で適当な濃度に希釈後、0.45μmフィルターでろ過し高速液体クロマトグラフィー分析装置(HPLC装置)にて下記の条件で実施した。
【0085】
カラム:Wakosil−II 3C18HG 3.0mmφ×150mm
溶離液A:50mM酢酸ナトリウム
溶離液B:100%エタノール
流速:0.6mL/分
カラムオーブン温度:40℃
サンプル注入量:5μL
検出液:蛍光検出器 励起波長340nm 検出波長455nm(プレカラムOPA法)
グラジェントプログラム:表19参照
【0086】
【表19】
【0087】
<各種イオンの分析>
上記試験において、陽イオン、陰イオンの含有量の測定は、各溶液を蒸留水で適当な濃度に希釈後、0.45μmフィルターでろ過し高速液体クロマトグラフィー分析装置(HPLC装置)にて下記の条件で実施した。
【0088】
(陽イオン測定条件)
カラム:Shim−pack IC−C3 4.6mmφ×100mm
溶離液:2.5mMシュウ酸
流速:0.8mL/分
カラムオーブン温度:40℃
サンプル注入量:50μL
検出器:電気伝導度検出器
【0089】
(陰イオン測定条件)
カラム:Shin−pack IC−A1 4.6mmφ×100mm
溶離液:1.2mMフタル酸水素カリウム:アセトニトリル=95:5
流速:1.5mL/分
カラムオーブン温度:40℃
サンプル注入量:50μL
検出器:電気伝導度検出器
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】<野菜汁から核酸塩基類を低減する方法の検討>での試験結果を示したグラフであり、酸性白土(ミズカエース#600)を用いて処理した場合の野菜汁中の各核酸塩基類の濃度を示したグラフである。
【図2】<野菜汁から核酸塩基類を低減する方法の検討>での試験結果を示したグラフであり、活性白土(ガレオンアースNF−2)を用いて処理した場合の野菜汁中の各核酸塩基類の濃度を示したグラフである。
【図3】<野菜汁から核酸塩基類を低減する方法の検討>での試験結果を示したグラフであり、活性炭(ZN−50)を用いて処理した場合の野菜汁中の各核酸塩基類の濃度を示したグラフである。
【図4】<野菜汁から核酸塩基類を低減する方法の検討>での試験結果を示したグラフであり、酸性白土(ミズカエース#600)の添加量と野菜汁中のアデニン、グアニン、アデノシンの残存率(%)を示したグラフである。
【図5】<野菜汁から核酸塩基類を低減する方法の検討>での試験結果を示したグラフであり、活性白土(ガレオンアースNF−2)の添加量と野菜汁中のアデニン、グアニン、アデノシンの残存率(%)を示したグラフである。
【図6】<白土の種類による影響の検討>での試験結果を示したグラフであり、接触処理後のアデニン及びアデノシンの残存率を白土の種類毎に示したグラフである。
【図7】<白土の種類による影響の検討>での試験結果を示したグラフであり、酸性白土(ミズカエース#600)を用いて接触処理した際の各種元素の変化を、酸性白土の添加量別に示したグラフである。
【図8】<ホウレンソウの白土接触処理検討>での試験結果を示したグラフであり、Brixあたり4ppmのアデニンを含有するホウレンソウ汁に対して酸性白土接触処理を実施した際のアデニン残存率を示したグラフである。
【図9】<ホウレンソウの白土接触処理検討>での試験結果を示したグラフであり、Brixあたり12.6ppmのアデニンを含有するホウレンソウ汁に対して酸性白土接触処理を実施した際のアデニン残存率を示したグラフである。
【図10】<実機製造の検討>での結果を示したグラフであり、アデニンとアデノシンの含有量を示したグラフである。
【図11】<実機製造の検討>での結果を示したグラフであり、経過時間毎にアデニン及びアデノシンの含有量を示したグラフである。
【図12】<実機製造の検討>での結果を示したHPLCによる核酸塩基類の分析結果のチャートであり、上のチャートは白土接触処理前の各種核酸塩基類のピーク強度を示したものであり、下のチャートは白土接触処理後の各種核酸塩基類のピーク強度を示したものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜汁を製造する方法において、野菜汁の呈味を改善することができる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モロヘイヤやホウレンソウ等の野菜汁には、青臭さやエグ味などの独特の臭いや味があり、これらがあまりに強いと飲み難くなるため、従来、これらの臭いや味を軽減するための方法が開示されている。
【0003】
例えば特許文献1(特開平05−111371号公報)には、野菜ジュースの苦味を除去する方法として、野菜ジュースを含水けい酸ゲルで処理する方法が開示されている。
【0004】
特許文献2(特開2001−275602号公報)には、キャベツに代表されるアブラナ科の野菜特有の不快臭を軽減するべく、必要に応じて野菜の塊を解す前処理を行った上で、品温を約80℃〜95℃の範囲を維持させるように野菜に蒸気を直接当てて加熱処理を行った後、細断処理及び搾汁を行い、得られた搾汁液は特殊な陰イオン交換体を用いて接触処理することによってアブラナ科野菜特有の異臭の発生をなくす方法が開示されている。
【0005】
特許文献3(特開2003−116496号公報)には、野菜汁の苦味、渋味、収斂味等の呈味を改善する方法として、野菜汁にカルボキシル基を有する水溶性酸性多糖類を添加する方法が開示されている。
【0006】
また、特許文献4(特開2004−000081号公報)には、緑色野菜汁の青臭さ・生臭さ、渋み、エグ味を軽減する方法として、セロリ、ほうれん草などの野菜を、細断後直ちに、−19℃〜5℃の温度において、含水エタノールなどのアルコール性溶媒で8〜96時間抽出し、ついで抽出液から溶媒を除去するという方法が開示されている。
【0007】
そのほか、野菜汁の香味改善方法として、イオン交換樹脂に通液処理する方法や、活性炭に通液処理する方法なども挙げられるが、いずれの方法も、除去したい成分とともに野菜の持つ風味や色調を除去し過ぎてしまったり、マスキングし過ぎたりするおそれがあった。
【0008】
【特許文献1】特開平05−111371号公報の要約書
【特許文献2】特開2001−275602号公報の要約書
【特許文献3】特開2003−116496号公報の要約書
【特許文献4】特開2004−000081号公報の要約書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、モロヘイヤやホウレンソウ等に共通する独特の臭みの原因成分を選択的に除去することができ、より自然で好ましい香味を有し、飲み易い野菜汁を製造することができる、新たな野菜汁の製造方法を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、モロヘイヤやホウレンソウ等に含まれるアデニンがこれらの野菜汁独特の臭みの原因成分であることを究明すると共に、これらの野菜汁を、活性白土や酸性白土などの白土に接触させることにより、野菜汁に含まれるアデニンを白土に吸着させることができ、野菜汁の臭みを軽減して飲み易くできることを見出すことに成功し、かかる知見に基づいて本発明を想到したものである。
【0011】
すなわち、本発明は、活性白土、酸性白土又はこれらの混合物を、野菜汁に接触させた後、活性白土、酸性白土又はこれらの混合物を野菜汁から取り除く工程を備えた野菜汁の製造方法を提案するものである。
このように、活性白土、酸性白土又はこれらの混合物を、野菜汁に接触させた後、活性白土、酸性白土又はこれらの混合物を野菜汁から取り除くことにより、野菜汁中のアデニンを白土に選択的に吸着させて除去することができ、野菜汁の呈味を改善することができる。よって、このように処理した野菜汁を使って飲み易い野菜飲料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明が下記実施形態に限定されるものではない。
【0013】
本実施形態にかかる野菜汁の製造方法(以下「本野菜汁製法」という)は、野菜汁(以下「原料野菜汁」という)に白土を接触させ、次いで野菜汁から白土を取り除くことを特徴とする方法である。
【0014】
(原料野菜汁)
本野菜汁製法において原料とする原料野菜汁は、アデニンを含有する野菜から得られる野菜汁であればよい。
アデニンを含有する野菜としては、例えばホウレンソウ、小松菜、カラシ菜、サラダ菜、春菊、白菜、レタス、芽キャベツ、キャベツ、チンゲン菜、シソの葉、ブロッコリー、モロヘイヤ、ネギ、ミズナ、ビート、チシャ、ターサイ、カラシナ、ケール、大麦若葉、セロリ、パセリ、ミツ葉、グリーンアスパラガス、クレソン、ニラ、高菜、一般的にスプラウトと称される発芽野菜の新芽などを挙げることができ、モヤシ、ダイコンの葉部、サツマイモの葉部などを挙げることができ、これらからなる群から選ばれる1種の野菜又は2種以上の野菜の組み合わせであればよい。中でも、アデニンをより多く含む素材という観点から、ホウレンソウ、ブロッコリーおよびモロヘイヤが特に好ましく、これらからなる群から選ばれる1種の野菜又は2種以上の野菜の組み合わせがより一層好ましい。
【0015】
原料野菜汁の形態は、搾汁液、ピューレ、抽出液などの液体状のものでも、パルプや細断物などの固形分を多く含む状態のものでもよい。
例えば、原料とする野菜を、必要に応じて洗浄、殺菌、剥皮等の前処理した後、これも必要に応じて適切な大きさに粉砕し、搾汁乃至抽出して原料野菜汁を得ることができる。この際、原料とする野菜は、生野菜であっても、乾燥野菜であってもよい。また、搾汁方法としては、例えば圧搾機でプレス処理したり、或は、遠心分離機等を用いて遠心分離したりすることができる。
なお、原料野菜汁が固形分を多く含む場合、固形分の粒度を特に限定するものではないが、例えば白土を充填したカラム内に野菜汁を通液させる場合には、通液可能な粒度に調製する必要がある。
【0016】
原料野菜汁のBrix(可溶性固形分濃度)は、特に限定するものではない。例えば、白土との接触効率や接触後に白土を除去する際のロスなどを考慮すると、Brix0.1%〜20%であるのが好ましく、特に1%〜10%であるのが好ましい。
【0017】
原料野菜汁のpHについても特に限定するものではない。野菜汁として可能性ある範囲、例えば3.5〜7などであればよい。
原料野菜汁の温度も特に限定するものではなく、前後の工程に応じて温度を調整すればよく、例えば10〜70℃であればよい。
なお、原料野菜汁はブランチング処理されたものであっても、されてないものであってもよく、ブランチングの有無によってアデニンの低減効果が影響されるものではない。
また、酵素の添加や、ろ過助剤を使用して濾過などの透明化処理の有無も特に問題とするものではない。
【0018】
(白土との接触処理)
処理に用いる白土は、活性白土、酸性白土又はこれらの混合物の何れであってもよいが、好ましくは、酸性白土を用いるのが好ましい。
通常、酸性白土に比べて活性白土の方が比表面積が大きく、吸着能が高いことが知られているが、本発明者は、アデニンの吸着に関しては、酸性白土の方が優れていることを究明した。よって、アデニンを選択的に除去するためには、酸性白土を用いるのが好ましい。
【0019】
なお、酸性白土および活性白土は、いずれも一般的な化学成分として、SiO2、Al2O3、Fe2O3、CaO、MgO等を含有するものである。
このうちの酸性白土は、天然に産出するモンモリロナイト(化学式:Al2O3・4SiO2・nH2O)系粘土から得られる白土であり、シリカ層・アルミナ層・シリカ層の三層から成る結晶構造を有するモンモリロナイトを原料とする多孔質構造の化合物である。市販されている酸性白土として、水澤化学社製のミズカエースシリーズを挙げることができる。
酸性白土の比表面積は、50〜200m2/gであるのが好ましく、特に50〜150m2/g、中でも特に50〜100m2/gであるのが好ましい。
酸性白土のpH(5質量%懸濁液)は5〜9、特に6〜7のものが好ましい。
【0020】
これに対し、活性白土は、上記酸性白土をさらに硫酸などで酸処理したものであり、酸性白土に比べて比表面積が大きく、一般的には吸着能も活性白土に比べて高い傾向にある。市販されている活性白土として、水澤化学社製のガレオンアースシリーズを挙げることができる。この活性白土は、アルミナ・鉄・マグネシウムの一部を溶出させることにより、比表面積及び吸着能を高めている特徴を有している。
活性白土の比表面積は、50〜400m2/gであるのが好ましく、特に200〜300m2/gであるのが好ましい。
活性白土のpH(5質量%懸濁液)は2.5〜7.0、特に3.5〜4.0のものが好ましい。
さらに、活性白土の酸度は、0.5〜7.0、特に1.0〜2.7のものが好ましい。
【0021】
なお、本野菜汁製法における白土との接触処理では、2種以上の白土を混合して使用することもできる。
【0022】
原料野菜汁を白土に接触させる方法としては、原料野菜汁中に白土を添加して攪拌する方法、原料野菜汁中に白土を添加して振とうする方法、白土を充填したカラム内に野菜汁を通液させる方法、その他などが挙げられるが、処理の簡易さの観点から、撹拌法が好ましい。
原料野菜汁に白土を添加して攪拌させる方法を採用した場合には、白土が底部に堆積しない程度に撹拌すればよく、特に液全体に白土が分散することが好ましい。攪拌時間は、特に1分〜2時間がより好ましく、中でも特に5分〜30分がより好ましい。
また、原料野菜汁中に白土を添加して振とうする方法を採用した場合には、白土が溶液中に分散し十分に流動する程度に振とうするのが好ましい。振とう時間は、特に1分〜2時間がより好ましく、中でも特に5分〜30分がより好ましい。
【0023】
原料野菜汁に接触させる白土の量としては、接触方法やアデニンの含有量にもよるが、原料野菜汁の可溶性固形分量の1%〜500%が好ましく、特に10%〜300%が好ましい。
【0024】
(野菜汁から白土を取り除く方法)
上記の如く原料野菜汁に白土を接触させた後、野菜汁から白土を吸着物とともに取り除く必要がある。
野菜汁から白土を取り除く方法としては、例えば通常使用されているフィルターのほか、ステンレスフィルターやネル布などを使用した濾過、ストレーナーを使用した濾過、遠心分離、フィルタープレスを使用したろ過、珪藻土などのろ過助剤を利用したろ過、或いはその他の濾過方法によって、野菜汁から白土を取り除けばよい。
【0025】
(処理により得られる野菜汁)
上記のように白土と接触処理することにより、野菜汁中のアデニンを選択的に吸着除去することができ、アデニンの少ない野菜汁(以下「処理済野菜汁」という)を得ることができる。
【0026】
アデニンは、核酸塩基類及びプリン塩基類に属する化合物であり、DNAやRNAなどの構成成分として知られている。
従来、アデニンが野菜汁の臭みに関係している知見は知られていないが、本発明者は、後述するように、白土と接触処理した後の野菜汁にアデニンを添加すると、野菜汁の臭みが増したことから、アデニンが野菜汁の臭み成分の一つであることを見出すことに成功した。
【0027】
野菜汁中のアデニンを選択的に吸着除去することができるとは、野菜汁が有する好ましい味や香りの成分を吸着除去せずに、アデニンを吸着除去することができることを意図しており、より具体的には、例えば、旨味成分であるアミノ酸や、アデニンと構造が似ているアデノシンなどのアデニン以外の核酸塩基類を吸着除去することなく、アデニンを吸着除去することができることを意図するものである。
【0028】
より具体的には、本野菜汁製法により、原料野菜汁のアデニンの50質量%以上、特に70質量%以上、中でも特に80質量%以上を除去することができる。
同時に、原料野菜汁のアデニン以外の核酸塩基類であるアデノシンの70質量%以上、特に80質量%以上、中でも特に90質量%以上を維持することができる。
また、同時に原料野菜汁のアミノ酸の80質量%以上、特に90質量%以上を維持することができる。
なお、この際のアミノ酸量は、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、アスパラギン(Asn)、セリン(Ser)、グルタミン(Gln)、アルギニン(Arg)、アラニン(Ala)、γ-アミノ酪酸(GABA)、メチオニン(Met)、バリン(Val)、フェニルアラニン(Phe)、イソロイシン(Ile)及びロイシン(Leu)の合計量を意味している。
【0029】
(処理物の利用)
上記の如く接触処理して得られた処理済野菜汁は、そのままの状態で保管してもよいし、必要に応じて成分を調整した後、濃縮或いは乾燥処理して保管してもよい。また、保管することなく、即座に飲料原料として使用することもできる。
【0030】
例えば、処理済野菜汁に水分を添加してBrixを調整することができる。この際、添加する水分としては、配合する野菜や果実に由来する水のほか、ミネラル水、天然水、イオン交換水、精製水、脱気水、水道水等の水を適宜配合することができる。
【0031】
また、必要に応じてpH調整剤を添加してもよい。pH調整剤としては、例えばクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、酢酸、乳酸、及びグルコン酸等の有機酸、レモン、アセロラ及びカムカム等の果汁を挙げることができる。
調整するpH範囲は特に限定するものではないが、一般的には野菜飲料の保存安定性及び飲み易さの点からpH3〜6とするのが好ましい。
【0032】
必要に応じて、すなわち任意成分として、通常各種飲食品へ配合される各種食品素材、例えば天然色素及びタール色素等の着色料、安息香酸及びソルビン酸等の保存料、エリソルビン酸及びアスコルビン酸等の抗酸化剤、タンパク質、糖質、乳化剤、酸味料、ビタミン剤及びミネラル等の強化剤、香料、乳製品等の任意成分を配合してもよい。但し、これらに限定するものではない。
【0033】
野菜飲料や野菜果実飲料などに調製する場合には、上記の如く接触処理して得られた処理済野菜汁に、例えばニンジン、トマト、リンゴ、グレープフルーツ、その他の果物や野菜などから得られたものを混合攪拌した後、ホモジナイザーで均質化処理を行い、ピューレやパルプ分を潰して滑らかにし、必要に応じて加熱殺菌した後、容器に充填すればよい。
【0034】
この際、殺菌方法は、通常の飲料と同様に行えばよい。例えば金属缶のように容器に充填後、加熱殺菌できる場合にあっては食品衛生法に定められた殺菌条件で殺菌を行えばよい。また、PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、例えばプレート式熱交換器などで高温殺菌後冷却して容器に充填するなどすればよい。
本野菜飲料を充填する容器は、PETボトル、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶等、通常の形態の容器を使用することができる。
【0035】
なお、本野菜汁製法における白土接触処理、すなわち原料野菜汁に白土を接触させ、次いで野菜汁から白土を取り除く処理は、乾燥野菜などの抽出工程の途中で行うことも、搾汁工程の途中で行うこともできる。
【0036】
(用語の説明)
本発明において「野菜飲料」とは、野菜成分を含有する飲料の意味であり、「野菜果実飲料」とは、野菜成分と果実成分とを含有する飲料の意味である。
また、「可溶性固形分」とは、Brix測定値から換算した固形分量の意味である。
本明細書において「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
また、「X以上」或いは「Y以下」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
【実施例】
【0037】
次に、試験例に基づいて本発明について更に説明するが、本発明が以下に示す実施例に限定されるものではない。
【0038】
<野菜汁から核酸塩基類を低減する方法の検討>
ホウレンソウ汁中の核酸塩基類を吸着除去する方法について、次のように検討した。
【0039】
ホウレンソウ透明濃縮汁にイオン交換水を添加してBrix2.3%のホウレンソウ汁(pH4.0〜5.0)を調製した。
なお、上記のホウレンソウ透明濃縮汁は、ホウレンソウをブランチングして得られたホウレンソウ搾汁液を濃縮して得られたものである。
【0040】
前記の如く調製したホウレンソウ汁10cc(可溶性固形分量0.23g)に、ミズカエース#600(酸性白土/水澤化学工業株式会社製)、ガレオンアースNF−2(活性白土/水澤化学工業株式会社製)又はZN−50(活性炭/北越炭素社製)を、それぞれ10mg(ホウレンソウ汁の可溶性固形分量の約4.3%)、50mg(ホウレンソウ汁の可溶性固形分量の約22.5%)又は250mg(ホウレンソウ汁の可溶性固形分量の約109%)を混合し、15mLのポリプロピレン遠沈管に入れて水平に寝かせ、レシプロ往復振とう器(TAITEC RECIPRO SHAKER SR−1)を用いて250回/分で30分間振とうした後、遠心分離器(条件:3000rpm10分間)で遠心後、イオン交換水を加えてBrixを調整し、0.45μmのフィルターでろ過し、得られたホウレンソウ汁をHPLC分析した。また、得られたホウレンソウ汁の色調や風味について、官能試験を実施した。
表1には、添加物の種類毎に、添加量、得られたホウレンソウ汁の色調強度、pH及びBrixを示し、表2には、添加物の種類・添加量毎に、得られたホウレンソウ汁の各種核酸塩基類の濃度(ppm)を示した。
【0041】
なお、ミズカエース#600は、水澤化学工業株式会社製の酸性白土であり、化学組成(Si02:71.0%、Al2O3:14.5%、Fe2O3:3.8%,MgO:2.5%,CaO:0.9%)、水分10.0%、粉末度(;90μmフルイ透過率)98.0%、比表面積95m2/g、細孔容積0.260mL/g、平均細孔直径109Å、pH6.4、嵩密度0.92g/mL、真比重2.6である。
ガレオンアースNF−2は、水澤化学工業株式会社製の活性白土であり、化学組成(Si02:78.3%、Al2O3:10.7%、Fe2O3:2.1%,MgO:2.3%,CaO:0.6%)、水分7.0%、粉末度(;90μmフルイ透過率)81.0%、比表面積290m2/g、酸度0.5mgKOH/g、pH3.3、嵩密度0.68g/mL、真比重2.4である。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
表1、表2および図1―5の結果より、ホウレンソウ汁に活性白土又は酸性白土を添加して接触処理すると、プリン塩基単体であるアデニンおよびグアニンを選択的に吸着除去できることが判明した。また、活性白土および酸性白土の処理品は、独特の臭みがなく風味は良好であった。
酸性白土の吸着挙動より、ホウレンソウ汁に対して酸性白土を約10質量%(約20mg)添加して接触処理することで、ホウレンソウ汁中のアデニンの80質量%を吸着除去できるとものと予想される。
また、活性白土の吸着挙動より、ホウレンソウ汁に対して活性白土を約65質量%(約150mg)添加して接触処理することとで、ホウレンソウ汁中のアデニンの80質量%を吸着除去できるとものと予想される。
なお、酸性白土及び活性白土接触処理によるホウレンソウ中の陽イオン量、陰イオン量の極端な変化は確認されなかった。
ここで陽イオンとはNa+、K+、Mg2+、Ca2+であり、陰イオンとはCl−、MA(リンゴ酸)、NO3−、CA(クエン酸)、OA(シュウ酸)である。
これに対し、活性炭を添加して接触処理すると、核酸塩基類が全体的に吸着傾向を示し、Brixおよび色調風味の減少も確認された。
【0045】
<白土の種類による影響の検討>
グレードの異なる白土(酸性白土(ミズカエース#600、#20)、活性白土(ガレオンアースV−2、NF−2))を使用し、前記試験と同様にホウレンソウ汁の白土接触処理を実施し、効果を比較した。
なお、酸性白土の型番は採掘地や採掘地層の違いにより分類され、活性白土では比表面積の違いによりグレード分けされている(V−2の比表面積>NF−2の比表面積)。
【0046】
ミズカエース#20は、水澤化学工業株式会社製の酸性白土であり、化学組成(Si02:72.3%、Al2O3:13.4%、Fe2O3:2.5%,MgO:2.6%,CaO:1.0%)、水分10.0%、粉末度(;90μmフルイ透過率)95.0%、比表面積115m2/g、細孔容積0.310mL/g、平均細孔直径108Å、pH5.6、嵩密度0.85g/mL、真比重2.6である。
ガレオンアースV−2は、水澤化学工業株式会社製の活性白土であり、化学組成(Si02:79.8%、Al2O3:8.7%、Fe2O3:1.9%,MgO:3.2%,CaO:0.7%)、水分10.0%、粉末度(;90μmフルイ透過率)94.5%、比表面積290m2/g、細孔容積0.460mL/g、平均細孔直径63Å、酸度1.2mgKOH/g、pH3.3、嵩密度0.70g/mL、真比重2.4である。
なお、ミズカエース#600及びガレオンアースNF−2は、前記<野菜汁から核酸塩基類を低減する方法の検討>で用いたものと同様である。
【0047】
<結果>
アデニンの吸着量は、酸性白土(#600)>酸性白土(#20)>活性白土(V−2)>活性白土(NF−2)の順に高いことが判明した(図6)。
一般的には比表面積の大きな活性白土の方が吸着能は高いが、アデニン、グアニンに関しては活性白土の方が強い吸着力を示す結果となった。
【0048】
<ホウレンソウの白土接触処理検討>
アデニン含有量の異なる2種類のホウレンソウ汁に対して酸性白土接触処理を実施し、白土接触処理の効果を検討した。
【0049】
製造ロットの異なるホウレンソウ透明濃縮汁にイオン交換水を添加してBrix10%の2種類のホウレンソウ汁を調製した。
これらのホウレンソウ汁(23.7℃)10ccにそれぞれ、可溶性固形分量1gに対し8.7%のミズカエース#600(酸性白土/水澤化学工業株式会社製)を87mg添加し、15mLのポリプロピレン遠沈管に入れて水平に寝かせ、レシプロ往復振とう器(TAITEC RECIPRO SHAKER SR−1)を用いて250回/分で0〜30分間振投した後、遠心分離機(条件:3000rpm10分間)で遠心後、0.45μmのフィルターでろ過し、得られたホウレンソウ汁をHPLC分析した。
表3には、Brixあたり4ppmのアデニンを含有するホウレンソウ汁に対して酸性白土接触処理を実施した際、接触時間毎に「ホウレンソウ汁のBrixあたりの各種核酸塩基類の濃度(ppm/Brix)」を示し、表4には、Brixあたり12.6ppmのアデニンを含有するホウレンソウ汁に対して酸性白土接触処理を実施した際、接触時間毎に「ホウレンソウ汁のBrixあたりの各種核酸塩基類の濃度(ppm/Brix)」を示した。
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】
この結果、前者では接触時間約3分で、後者では接触時間約7分で、アデニンの除去効果が頭打ちとなっていることから、接触時間は1分〜30分中でも特に1〜10分が好ましいと考えられる。
さらに、アデニンの除去効果を得るためには、白土添加量は、可溶性固形分量に対し4〜500重量%とするのが好ましく、特に20〜150重量%とするのが好ましいと考えられる。
【0053】
<白土接触処理に関する検討>
白土と接触処理する際のホウレンソウ透明濃縮汁の温度を変えて白土との接触処理を実施し、効果を検討した。併せて、白土がダマになる等、十分に接触しなかった場合を想定し15%添加での処理を実施した。
【0054】
ホウレンソウ透明濃縮汁にイオン交換水を添加してBrix10%のホウレンソウ汁を調製した。このホウレンソウ汁を各温度(室温、25℃、40℃、66℃)に加熱した後、このホウレンソウ調製汁100ccに、可溶性固形分量1gに対し15%又は9%のミズカエース#600(酸性白土/水澤化学工業株式会社製)を添加し、それぞれスターラーを使って白土が液中に分散する程度の回転速度で15分間攪拌し(保温なし)、遠心分離機(条件:5000rpm10分間)で遠心後、速やかにNo.5Cろ紙で吸引ろ過し、得られたホウレンソウ汁をHPLC分析した。
表5には、白土接触処理したホウレンソウ汁の温度毎に「ホウレンソウ汁のBrixあたりの各種核酸塩基類の濃度(ppm/Brix)」を示した。
【0055】
【表5】
【0056】
9%添加、15%のいずれにおいても、各温度帯ともに十分にアデニンを吸着除去できることが分かった。また、この際、アデニン以外の核酸塩基類の含有量はほとんど変化しなかった。
また、白土投入時、撹拌しつつ徐々に添加しても少量はダマになってしまうが、1〜2分ですぐに崩壊することが分かった。そして、撹拌停止により速やかに白土が沈降することが確認できた。
【0057】
<実機製造の検討>
実機で白土接触処理を行いアデニン量を抑えたホウレンソウ汁を製造し、得られた処理液の特徴を検討した。
【0058】
(実機での白土処理)
Brix20%のホウレンソウ透明濃縮汁をプレート式熱交換機で加熱殺菌(97℃)した後、23℃まで冷却して原料野菜汁を調製した。
この原料野菜汁に対し、予め水に懸濁した酸性白土(水澤化学工業株式会社製「ミズカエース#600」)を、原料野菜汁の可溶性固形分量の15重量%となるように添加した後、保温することなく白土が底部に堆積しないように適当な速度で撹拌翼を回転させ接触時間30分以上攪拌し、その後、横型ろ過機による一次ろ過および縦型ろ過機による二次ろ過を行い、次にカートリッジフィルタ(3μm)により異物を除去し、濃縮機にてBrix20%に濃縮し、再度カートリッジフィルタ(1μm)により異物を除去した後、プレート式熱交換器にて97℃±1℃で殺菌し、缶に充填して−18℃以下にて冷凍保管した。
なお、一次ろ過および二次ろ過は、縦型ろ過機および横型ろ過機へ市販のろ過助剤を使用し事前にプレコートを行なった後に白土含有ホウレンソウ汁を通液することにより実施した。
【0059】
表6には、各工程での各種分析値を示し、表7には、原料と製品における「Brixあたりの各種核酸塩基類の濃度(ppm/Brix)」を示すと共に、その下に、白土と接触を開始してからの経過時間毎に「Brixあたりの各種核酸塩基類の濃度(ppm/Brix)」を示し、表8には、原料と製品における「Brixあたりの各種アミノ酸の濃度(ppm/Brix)」を示した。
【0060】
【表6】
【0061】
【表7】
【0062】
【表8】
【0063】
得られた野菜汁は、Brix2%状態で、白土接触処理前と比較して、わずかに色調が明るくなり、味はまろやかですっきりとし、酸味と味の厚みがやや弱くなった印象であった。また、極端な香味変化もなく、白土臭も感じられなかったため香味良好と判断した。
なお、白土接触処理前後の汁中のアミノ酸含有量はほぼ変化がなかった。
【0064】
<官能評価>
pHの異なる2種類のホウレンソウ汁を使用して白土接触処理を行い、白土未処理品、白土接触処理品、白土接触処理品へアデニン標準品を添加したものについて官能評価を実施した。
【0065】
ホウレンソウ透明濃縮液(pH5.7)又はホウレンソウ透明濃縮液(pH5.2)にイオン交換水を添加してBrix10%のホウレンソウ汁を調製した。
なお、ホウレンソウ透明濃縮液は、ホウレンソウのブランチング搾汁液を濃縮したものである。
【0066】
前記の如く調製したホウレンソウ汁(23.7℃)10ccに、可溶性固形分量の20%の酸性白土(水澤化学工業株式会社製ミズカエース#600(商品名)又は活性白土(水澤化学工業株式会社製ガレオンアースV−2(商品名)酸度1.0)を添加し、15mLのポリプロピレン遠沈管に入れて水平に寝かせ、レシプロ往復振とう器(TAITEC RECIPRO SHAKER SR−1)を用いて250回/分で20分間振とうした後、遠心分離後(条件:3000rpm10分間)、No.5Cろ紙吸引ろ過し、Brix2%のホウレンソウ汁(サンプル)を調製した。
また、このようにして得られたホウレンソウ汁(サンプル)に、14ppmのアデニン標準品を添加してアデニン添加品(サンプル)を調製した。
【0067】
表9には、ホウレンソウ透明濃縮液(pH5.7)を用いたサンプルのBrixとpHを示し、表10には、Brixあたりの各種核酸塩基類の濃度(ppm/Brix)を示した。また、表11には、ホウレンソウ透明濃縮液(pH5.2)を用いたサンプルのBrixとpHを示し、表12には、Brixあたりの各種核酸塩基類の濃度(ppm/Brix)を示した。
また、表13には、官能評価での評価基準と評価点を示し、表14には、ホウレンソウ透明濃縮液(pH5.7)を用いたサンプルの官能評価結果(n=9)を示し、表15には、ホウレンソウ透明濃縮液(pH5.2)を用いたサンプルの官能評価結果(n=7)を示した。
【0068】
【表9】
【0069】
【表10】
【0070】
【表11】
【0071】
【表12】
【0072】
【表13】
【0073】
【表14】
【0074】
【表15】
【0075】
アデニン添加品の官能評価から、アデニンは野菜汁の臭み及び後味(あとにひく味)に悪影響を与える成分であることが確認された。
活性白土接触処理品は、官能評価においてやや飲み難いとの結果を示しており、これは活性白土の吸着能力が大きいことが影響している可能性が推測される。このことから官能面からも酸性白土接触処理のほうがより好ましいと考えられる。
【0076】
<シリカゲル処理との比較>
白土を用いた処理とケイ酸ゲル(シリカゲル)を用いた処理とを比較すると共に、一般的にろ過助剤として使用される珪藻土濾過についても比較した。
【0077】
ホウレンソウ透明濃縮液(pH5.2)に、イオン交換水を添加してBrix10%のホウレンソウ汁(pH5.2)を調製した。
このように調製したホウレンソウ汁(23.7℃)10ccに、可溶性固形分量の20%の酸性白土(水澤化学工業株式会社製ミズカエース#600(商品名))、シリカゲル球状(関東化学株式会社製)又は珪藻土(ラヂオライト#700 昭和化学工業株式会社製)を添加し、15mLのポリプロピレン遠沈管に入れて水平に寝かせ、レシプロ往復振とう器(TAITEC RECIPRO SHAKER SR−1)を用いて250回/分で20分間振投した後、遠心分離(条件:3000rpm10分間)に続けてNo.5Cろ紙吸引ろ過して、Brix2%のホウレンソウ汁(サンプル)を調製した。
表16には、各種処理を実施した後のホウレンソウ汁のBrix、pH及び香味を示し、表17には、Brixあたりの各種核酸塩基類の濃度(ppm/Brix)を示した。
【0078】
【表16】
【0079】
【表17】
【0080】
珪藻土およびシリカゲル処理では、白土接触処理に比べてアデニンおよびその他の核酸塩基類が除去されない結果となった。
また、白土接触処理に比べて、シリカゲル処理は、味の変化が大きく、野菜らしさがなくなり、活性炭処理に近い印象であった。
【0081】
<核酸塩基類の分析>
上記の各試験において、核酸塩基類の含有量の測定は、各溶液を蒸留水で適当な濃度に希釈後、0.45μmフィルターでろ過し高速液体クロマトグラフィー分析装置(HPLC装置)にて下記の条件で実施した。
【0082】
カラム:Atrantis T3、3.0mmφ×150mm、3.0μm(Waters社製)
移動相:A;10mM酢酸アンモニウム(酢酸でpH5.0に調整)
B;60%アセトニトリル
カラムオーブン温度:40℃
検出器:UV260nm
流速:0.6mL/分
アデニンのリテンションタイム: 10分付近
アデノシンのリテンションタイム:19分付近
サンプル注入量:10μL
グラジェントプログラム:表18参照
【0083】
【表18】
【0084】
<アミノ酸の分析>
上記試験において、アミノ酸の含有量の測定は、各溶液を蒸留水で適当な濃度に希釈後、0.45μmフィルターでろ過し高速液体クロマトグラフィー分析装置(HPLC装置)にて下記の条件で実施した。
【0085】
カラム:Wakosil−II 3C18HG 3.0mmφ×150mm
溶離液A:50mM酢酸ナトリウム
溶離液B:100%エタノール
流速:0.6mL/分
カラムオーブン温度:40℃
サンプル注入量:5μL
検出液:蛍光検出器 励起波長340nm 検出波長455nm(プレカラムOPA法)
グラジェントプログラム:表19参照
【0086】
【表19】
【0087】
<各種イオンの分析>
上記試験において、陽イオン、陰イオンの含有量の測定は、各溶液を蒸留水で適当な濃度に希釈後、0.45μmフィルターでろ過し高速液体クロマトグラフィー分析装置(HPLC装置)にて下記の条件で実施した。
【0088】
(陽イオン測定条件)
カラム:Shim−pack IC−C3 4.6mmφ×100mm
溶離液:2.5mMシュウ酸
流速:0.8mL/分
カラムオーブン温度:40℃
サンプル注入量:50μL
検出器:電気伝導度検出器
【0089】
(陰イオン測定条件)
カラム:Shin−pack IC−A1 4.6mmφ×100mm
溶離液:1.2mMフタル酸水素カリウム:アセトニトリル=95:5
流速:1.5mL/分
カラムオーブン温度:40℃
サンプル注入量:50μL
検出器:電気伝導度検出器
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】<野菜汁から核酸塩基類を低減する方法の検討>での試験結果を示したグラフであり、酸性白土(ミズカエース#600)を用いて処理した場合の野菜汁中の各核酸塩基類の濃度を示したグラフである。
【図2】<野菜汁から核酸塩基類を低減する方法の検討>での試験結果を示したグラフであり、活性白土(ガレオンアースNF−2)を用いて処理した場合の野菜汁中の各核酸塩基類の濃度を示したグラフである。
【図3】<野菜汁から核酸塩基類を低減する方法の検討>での試験結果を示したグラフであり、活性炭(ZN−50)を用いて処理した場合の野菜汁中の各核酸塩基類の濃度を示したグラフである。
【図4】<野菜汁から核酸塩基類を低減する方法の検討>での試験結果を示したグラフであり、酸性白土(ミズカエース#600)の添加量と野菜汁中のアデニン、グアニン、アデノシンの残存率(%)を示したグラフである。
【図5】<野菜汁から核酸塩基類を低減する方法の検討>での試験結果を示したグラフであり、活性白土(ガレオンアースNF−2)の添加量と野菜汁中のアデニン、グアニン、アデノシンの残存率(%)を示したグラフである。
【図6】<白土の種類による影響の検討>での試験結果を示したグラフであり、接触処理後のアデニン及びアデノシンの残存率を白土の種類毎に示したグラフである。
【図7】<白土の種類による影響の検討>での試験結果を示したグラフであり、酸性白土(ミズカエース#600)を用いて接触処理した際の各種元素の変化を、酸性白土の添加量別に示したグラフである。
【図8】<ホウレンソウの白土接触処理検討>での試験結果を示したグラフであり、Brixあたり4ppmのアデニンを含有するホウレンソウ汁に対して酸性白土接触処理を実施した際のアデニン残存率を示したグラフである。
【図9】<ホウレンソウの白土接触処理検討>での試験結果を示したグラフであり、Brixあたり12.6ppmのアデニンを含有するホウレンソウ汁に対して酸性白土接触処理を実施した際のアデニン残存率を示したグラフである。
【図10】<実機製造の検討>での結果を示したグラフであり、アデニンとアデノシンの含有量を示したグラフである。
【図11】<実機製造の検討>での結果を示したグラフであり、経過時間毎にアデニン及びアデノシンの含有量を示したグラフである。
【図12】<実機製造の検討>での結果を示したHPLCによる核酸塩基類の分析結果のチャートであり、上のチャートは白土接触処理前の各種核酸塩基類のピーク強度を示したものであり、下のチャートは白土接触処理後の各種核酸塩基類のピーク強度を示したものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性白土、酸性白土又はこれらの混合物を、野菜汁に接触させた後、活性白土、酸性白土又はこれらの混合物を野菜汁から取り除くことを特徴とする野菜汁の呈味改善方法。
【請求項2】
活性白土、酸性白土又はこれらの混合物を、アデニンを含有する野菜汁に接触させた後、活性白土、酸性白土又はこれらの混合物を野菜汁から取り除くことを特徴とする、野菜汁中のアデニンの低減方法。
【請求項3】
活性白土、酸性白土又はこれらの混合物を、野菜汁(以下「原料野菜汁」とも称する)に接触させた後、活性白土、酸性白土又はこれらの混合物を野菜汁から取り除く工程を備えた野菜汁の製造方法。
【請求項4】
原料野菜汁中のアデニンの50質量%以上を除去し、かつ原料野菜汁中のアデノシンの70質量%以上を維持することを特徴とする請求項3に記載の野菜汁の製造方法。
【請求項5】
原料野菜汁中のアミノ酸の80質量%以上を維持することを特徴とする請求項3又は4に記載の野菜汁の製造方法。
【請求項6】
原料野菜汁は、ホウレンソウ、ブロッコリー及びモロヘイヤからなる群から選ばれる1種の野菜の野菜汁又は2種以上の野菜の野菜汁の組み合わせであることを特徴とする請求項3〜5の何れかに記載の野菜汁の製造方法。
【請求項7】
請求項3〜6の何れかに記載の野菜汁の製造方法によって得られた野菜汁。
【請求項8】
請求項7に記載の野菜汁を配合してなる野菜飲料。
【請求項1】
活性白土、酸性白土又はこれらの混合物を、野菜汁に接触させた後、活性白土、酸性白土又はこれらの混合物を野菜汁から取り除くことを特徴とする野菜汁の呈味改善方法。
【請求項2】
活性白土、酸性白土又はこれらの混合物を、アデニンを含有する野菜汁に接触させた後、活性白土、酸性白土又はこれらの混合物を野菜汁から取り除くことを特徴とする、野菜汁中のアデニンの低減方法。
【請求項3】
活性白土、酸性白土又はこれらの混合物を、野菜汁(以下「原料野菜汁」とも称する)に接触させた後、活性白土、酸性白土又はこれらの混合物を野菜汁から取り除く工程を備えた野菜汁の製造方法。
【請求項4】
原料野菜汁中のアデニンの50質量%以上を除去し、かつ原料野菜汁中のアデノシンの70質量%以上を維持することを特徴とする請求項3に記載の野菜汁の製造方法。
【請求項5】
原料野菜汁中のアミノ酸の80質量%以上を維持することを特徴とする請求項3又は4に記載の野菜汁の製造方法。
【請求項6】
原料野菜汁は、ホウレンソウ、ブロッコリー及びモロヘイヤからなる群から選ばれる1種の野菜の野菜汁又は2種以上の野菜の野菜汁の組み合わせであることを特徴とする請求項3〜5の何れかに記載の野菜汁の製造方法。
【請求項7】
請求項3〜6の何れかに記載の野菜汁の製造方法によって得られた野菜汁。
【請求項8】
請求項7に記載の野菜汁を配合してなる野菜飲料。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−94112(P2010−94112A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−270336(P2008−270336)
【出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【出願人】(591014972)株式会社 伊藤園 (213)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【出願人】(591014972)株式会社 伊藤園 (213)
【Fターム(参考)】
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