金属上の有機化合物の単分子層のためのアンカー基及びそれを用いて製造された有機エレクトロニクスに基づく構成素子
本発明は、特に有機ベースのコンデンサを製造する際に使用する有機誘電性化合物用の新規なアンカー基に関する。プリプレグ又は他の慣用の配線板基板に関する並行プロセスにおいて銅上の付加的メタライジングなしで製造することができるコンデンサが記載されている。引き続き、予め作成されたコンデンサ層を配線板中に組み込むことができ、それにより、この配線板の面積に対して面積/費用の利点が生じる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば有機に基づくエレクトロニクス構成素子の製造の際に使用される金属電極上の、特に銅層又は銅含有層上の、有機誘電性又は導電性の化合物のための新規なアンカー基に関する。
【背景技術】
【0002】
小型化の意味で、正確に適合させられた官能性を有する最も薄い層、特に単分子層、を、エレクトロニクス構成素子中に、特に有機エレクトロニクス構成素子中に、使用することが特に有利である。単分子層中の分子が、自己組織化し最高の官能性及び官能基密度を示すために、この分子をそれぞれの電極にヘッド基又はアンカー基によって固定することが推奨され、それにより、リンカー基、つまり両末端を結合する基、の整列が自動的に行われる。基板との結合は、この基板が相応して準備された場合に自動的に行われる。
【0003】
この特異的な官能性は、リンカー基及びヘッド基によって決定される。アンカーは自己組織化を決定する。
【0004】
このために、例えばドイツ国特許第102004005082号明細書から、化学的に費用をかけて導入する、芳香族の、π−π相互作用を有するヘッド基が公知であり、このヘッド基が自己組織化する誘電層を電極と結合させる。対向電極との結合として、つまり単分子層として、コンデンサ中で使用することができる有機誘電性化合物のいわゆるアンカー基として、ドイツ国特許第102004005082号明細書によると、シラン化合物が用いられ、このシラン化合物は、酸化銅以外の酸化物から形成される酸化物層を介して電極と結合可能である。
【0005】
この公知の先行技術の欠点は、自己組織化する単分子層を設けるために有利に、この電極表面、つまり例えば銅表面、を、結合のための酸化物表面を提供することになるアルミニウム又はチタンで、官能化する必要があることにある。しかしながら、電極表面のこのような官能化工程は、極めてコストがかかる。なぜなら、先ず、非銅金属を設け、それを構造化する必要があるためである。更に、慣用の方法で慣用のボード又は配線板又はプリプレグ上で加工した場合に、この電極表面は一般に約4μmの範囲内の表面粗さを有するという事情もある。この粗さは、単分子層で被覆された表面の機械的安定性を制限する。なぜなら、粒界間隙が必然的に完全には覆われないか、又は基板先端部で高い電界強度が生じるためである。一般に約2〜5nm、最大でも20nmの単分子層の高さは、同様な堆積のため、この粗さを平坦化しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の課題は、先行技術の欠点を克服すること、特に、慣用の方法で製造され準備された銅電極上に、自己組織化する単分子層(SAM)の被覆を設けることができる、自己組織化する単分子層(SAM)用のアンカー基を、意のままに提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題の解決策及び本発明の主題は、独立請求項及び従属請求項、明細書並びに図面中に含まれている。
【0008】
従って、本発明の主題は、第1の電極層のためのアンカー基、リンカー基及び次の層に結合するためのヘッド基を少なくとも有する、銅層又は銅含有層上で自己組織化する単分子のための有機化合物であって、ここで、前記アンカー基は、少なくともホスホン酸及び/又はホスホン酸誘導体を含有する有機化合物である。このヘッド基は、この場合、特別に構成することができるか又は省くことができる。更に、本発明の主題は、有機エレクトロニクスに基づく構成素子であり、この構成素子は、配線板、プリプレグ又はボード中に組み込まれていて、このボード、配線板又はプリプレグは、基板として機能し、この基板上に本発明(上記参照)の主題による自己組織化する単分子のための有機化合物が塗布される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
「自己組織化する単分子のための有機化合物」とは、多数の分子が並行して及び/又は同じように整列して層中に存在するように所定のアンカー基に基づき層中で整列する、上述の化合物を意味する。例えば、ドイツ国特許第102004005082号明細書に相応する、有機エレクトロニクスに基づく構成素子の誘電体層中で単分子層を形成することができる、有機化合物が記載されている。本発明により使用可能な有機化合物は、上記有機化合物とは、少なくともヘッド基及び/又はアンカー基が異なる点において、相異する。更に、本発明の場合には、市場で入手可能な多くの材料を使用することができ、かつ緻密な単分子層の製造のために使用することができる。
【0010】
本発明の有利な実施態様によると、有機エレクトロニクスに基づく構成素子は、ボード、例えば通常の製造方法により製造されており、他の金属で官能化されておらず又は特別な方法で平滑化されていない銅ボード、の上に、直接、塗布される。このアンカー基がその上に設けられた金属層は、従って、銅層又は銅含有層であり、ここで、層中の銅の割合は、モルパーセントで、有利には10%以上、特に有利には40%以上、更に特に有利には70%以上である。
【0011】
この基板表面の個別の準備は必要ない。この準備は、洗浄工程だけを有し、先行技術では通常行なわれているような付加的な材料を設けることはない。
【0012】
有機エレクトロニクスに基づく構成素子として、特にコンデンサが考えられる。更に、例えば、有機電界効果型トランジスタ(有機電界効果型トランジスタ用のゲート誘電体は、配線板中へ直接組み込むために適している。)又は有機発光ダイオード(OLED)(薄い絶縁体上にOLEDのための電極が堆積される。)を、本発明により改善することができる。なぜなら、特に、上面発光型のOLED用の銅層は、気密密閉されているからである。OLEDの概念には、発光する電気化学セル(LEEC)も含まれる。
【0013】
最後に、OLEDのための構造と同様に、太陽電池用の層順序を使用することもできるので、有機エレクトロニクスに基づく構成素子として、コンデンサの他に、少なくとも有機電界効果型トランジスタ、OLED及び有機太陽電池が、挙げられる。基本的に、本発明は、全種類の有機絶縁性中間層のために適している。この層は、一定の時間だけ、つまり一時的に塗布されていてもよい。銅又は銅合金上に一時的に又は永久に塗布される場合、この層は、印刷可能な「フォトレジスト代替品」としても又は多様な疎水性領域の作製のためにも適している。
【0014】
特に、前記構成素子を、低コストで、いわゆる酸洗いされた銅表面上に、直接構築することも可能である。図1には、コンデンサの例について、この種の構造を示す。
【0015】
このコンデンサのための基材として、約5〜30μmの被膜及びミクロンメートル範囲の粗さを有する、慣用の方法により酸洗いされた、銅ボードを用いる。この酸洗いは、通常、有機溶剤による脱脂並びに引き続くペルオキソ二硫酸塩及び硫酸によるエッチングにより行なうことができる。図2は、酸洗いされた配線板基板の粗さを可視化している。
【0016】
この銅表面の付加的清浄化は、ガルバノ技術において通常行なわれるように、カソードで行なうことができる。更に、希釈された炭酸ナトリウム溶液中で、この基板をカソードとして接続し、10〜100mA/cm2の電流で、生じた水素によって清浄化される。
【0017】
この酸洗いにより、水に対する接触角は、5°未満となる。これにより、銅表面は極めて親水性になる。この銅の酸化の抑制のために、そして、これに続く薄く、局所的にだけ平坦化するポリマー堆積物用のプライマーとして、直接的に接続して、有機ホスホン酸の単分子層を堆積させる。このホスホン酸アンカー基は、特に銅に対して最も適していることが判明しているが、一方、ドイツ国特許(DE−B4)第102004005082号明細書では、有利にはシランで処理され(実施例)、この銅表面は、有利にはアルミニウム又はチタンを用いる堆積のために官能化しなければならない。このような銅表面の官能化工程は、想定された構成素子中で完全に省略される。
【0018】
長鎖ホスホン酸、例えばデシル−乃至オクタデシル−ホスホン酸、一般式:CH3−(CH2)n−PO(OH)2(式中、n=8−25、有利には、n=18である)、が有利である。この分子鎖は、ポリエーテル鎖(−O−CH2−CH2−O−)m(式中、mは、1〜20、有利には、2〜10である。)として構成されていてもよい。この水に対する接触角は、オクタデシルホスホン酸の堆積により、アルキルホスホン酸について130°超に高まり、従って、これは、堆積の品質のための指標である。このアルキル鎖は、完全に又は部分的に、フッ素化されていてもよい。
【0019】
代替法として、この堆積は、ホスホン酸エステル若しくはその塩又はアミン等のその他の誘導体を介して行なうこともできる。この塩は、当量又はそれ未満の量のアルカリ液(NaOH、KOH、アンモニア又は水酸化アンモニウム)の添加により、溶液の形で直接得ることができる。
【0020】
ヘッド基として、基材ポリマー(Stuetzpolymer)の使用の場合に、最も簡単な分枝した、非分枝のアルキル基又は他の反応(つまり架橋)のために適したアルケニル基を用いることができる。この基材ポリマーに対する単分子層の結合を改善するために、このヘッド基は、フッ素、ニトリル、アミノ、エステル、アルデヒド、エポキシ又は酸官能基であることができる。フッ素化の場合には、このヘッド基は−CF3、−CHF2、CH2Fからなることができる。
【0021】
機械的安定性を高めるために、本発明の有利な実施態様において、安定化のため及び/又はコンデンサ若しくは構成素子の局所的な平坦化のために、この単分子層上に、基材ポリマー、つまり薄いポリマー層が設けられる。典型的には、3.17の誘電率において、50pF/mm2の集積密度のためには、有効なポリマー膜厚は約550〜600nmであり、150pF/mm2の集積密度のためには、有効な膜厚は180〜200nmである。窪み中には、より多くのポリマーが導入され、他方、先端部には薄いポリマー膜が提供される。3Mにより提供された評価と比べて、14μmの構成素子の厚さは、70分の1になり、同時に容量は15倍高まる。
【0022】
ここで示されたコンデンサの漏れ電流挙動は、ほぼ、自己組織化する単分子層によってのみ決定される。従って、この抵抗が安定化ポリマー厚みに依存しない推移を有することも測定された(これについては図24に比較)。何故なら、直流に対する、キャパシタの全オーム抵抗への本質的な貢献は、自己組織化する単分子層によりなされるためである。従って、配線板プロセスに適合する限り、平坦化のために任意のポリマーを使用することができる。
【0023】
例えば、メラミン−コ−ホルムアルデヒドにより架橋されたポリヒドロキシスチレンを使用した。良好な平坦化作用は、このポリヒドロキシスチレンが、500〜100,000の範囲内の、特に3,500〜50,000の範囲内の、特に有利には8,000の分子量を有する場合に達成された。この架橋は、有利には、180〜230℃の温度範囲で実施した。この架橋後に、この機械的安定化のためのポリマー層は、もはや溶剤によって攻撃されない。
【0024】
このノボラック型ポリマーの他に、エポキシド、アクリレート、ウレタン又はカーボネートをベースとする樹脂も、基材ポリマーとして使用することができる。他のポリマー:ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリビニリデンジフルオリド(一般にテフロン型の材料)、ポリビニル化合物(カルバゾール、アルコール及びそのエステル)。同様に、コポリマー又はブロックコポリマー、例えばABS、も適している。このポリマーの分子量は、1,000〜1,000,000の範囲内であってよい。
【0025】
この局所的に平坦化するポリマー層は、次のように塗布することができる:
a.溶液から。このため、架橋剤を有し又は架橋剤を有しないポリマー1〜50%、有利には5〜20%、を有機溶剤(PGMEA=プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラヒドロフラン、ジオキサン、クロロベンゼン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリジノン、エトキシエタノール、キシレン、トルエン等)中に溶解し、スピンコーティング、印刷(スクリーン印刷、インクジェット印刷、吹き付け等)により相応する厚さに塗布する。引き続き、この溶剤を熱処理段階によって蒸発させ、これにより、ダストフリーの、場合によっては硬化した、ポリマー層が残留する。このポリマーは、熱的又は光化学的に、架橋させることができる。この架橋は任意である。ポリビニルアルコールのためには、例えば溶剤として水も適している。可能な架橋剤は光酸発生剤である。
b.アクリレート及びエポキシドの場合には、このモノマー又はオリゴ化合物は、スピンコーティング又は印刷(上記参照)により塗布することができ、引き続き、熱的又は光化学的に架橋させて誘電体にすることができる。
【0026】
このコンデンサのための上方電極として、全ての金属若しくはその合金又は導電性の金属印刷ペーストを使用することができる。同様に、有機導電体、例えばPEDOT(ポリスチレンスルホン酸ドープポリジエトキシチオフェン)又はPANI(カンファースルホン酸ドープポリアニリン)も適している。しかしながら、配線板工業において利用される金属である銅、アルミニウム、ニッケル、金及び銀又はこれらの合金が特に有利である。全面に設けられた金属対向電極は、引き続き当業者に公知のエッチング法及び機械的剥離法(レーザー)により構造化することができる。複数のコンデンサに一つの共通の対向電極が設けられている場合には、この対向電極の堆積は、気相からシャドーマスクを用いて行なうこともできる(実施例参照)。
【0027】
この対向電極は、局所的又は全面的な種付けの後に無電解メッキによっても設けることができる。原理的には、配線板工業の全ての方法を使用することができる。なぜなら、この誘電体は、架橋後に配線板工業の通常の媒体に対して適合するからである。
【0028】
このヘッド基は、通常、単分子層自体を安定化させる。一般に、このヘッド基は、SAMと反対側の層との結合を生じさせる。結合とは、この場合、全ての形の結合、特に共有二重結合から、イオン結合、簡単なファンデルワース結合までを含む化学結合であると解釈される。
【0029】
このヘッド基は、コンデンサ中で、本発明の有利な実施態様により意図されるように、安定なポリマー被覆層と接触しており、電極とは接触していない。この上方電極とは、ポリマー層だけが接触している。この上方電極は、公知の方法で、例えば金属を用いた蒸着又はスパッタリング、金属ペースト等を用いた印刷等により官能化することができる。実験により、高価なヘッド基を省略できることも示された。個々の鎖の相互作用は、基本的に自己組織化する単分子層用の安定化のために十分であるが、ヘッド基は、ポリマー被覆層を使用する際も、この単分子層の安定化のために電気的特性を改善できる。
【0030】
後続する絶縁層を備えた電極層の準備された構造は、もちろんコンデンサの場合にだけ有利に使用されるのではなく、この構造は原則的に次に適用のためにも適している:
1.配線板に直接組み込むための有機電界効果型トランジスタ用のゲート誘電体として。
2.上面発光型OLED(この銅層は、気密である。)用の基板として。次に、薄い絶縁層上にOLED用の電極を堆積させることができる。
3.OLEDのための構造と同様に、この層順序は太陽電池のためにも適している。
【実施例】
【0031】
実施例1:
試験構造のために、銅30μmで被覆されたFR4−ボードを、50×50m2の寸法に切断する。これを、先ず、アセトン及びイソプロパノールで脱脂する。市販のフォトレジスト(TMSR8900)を、6,000rpmで20秒間スピンコーティングし、110℃で60秒間、ホットプレート上で乾燥させる。このフォトレジストに365nmの波長のUV線を7秒間照射し、水性アルカリ性現像液中で60秒間現像する。
【0032】
このフォトレジスト構造化に引き続き、40℃で3分間、5%のペルオキシ二硫酸アンモニウム溶液中で酸洗いする。水及びイソプロパノールで洗浄した後に、このボードを、イソプロパノール(100ml)中のオクタデシルホスホン酸(0.2〜0.25g)の溶液中に置く。12時間後に、このボードをイソプロパノールで洗浄し、100℃で1分間、窒素流中で乾燥した。
【0033】
この酸洗いの後に、水に対する接触角は1゜〜4゜である。オクタデシルホスホン酸の堆積の後に、接触角は135゜であり、このことは銅層の十分な被覆を推測させる。これに引き続き、100nmのアルミニウムを、シャドーマスクを介して、対向電極として蒸着する。例えば、加工された容量モデルをFR4配線板上に製造した。図3及び4中のこの電気的特性曲線(約10Ω及び約0゜のインピーダンスの位相角である)は、全てのコンデンサが短絡していることを示す。理想的なコンデンサは、無限の接触抵抗を有する。10オームは短絡であり、即ち、このコンデンサは機能しない。ミクロンメートル範囲内の粗さを有し、Ti前処理若しくはAl前処理のない、又はプライマーとしての芳香族ヘッド基の存在しない標準配線板について、ドイツ国特許第102004005082号明細書からの方法は、高い歩留まりでのコンデンサの構築には適していないことが明らかである。
【0034】
他の実施例では、プライマーを用いて化学的に費用をかけて導入するπ−π相互作用を有するヘッド基なしでも、高容量のコンデンサを銅に直接設けることができることを示す。この銅表面上には、アンカー基、つまりホスホン酸基、が直接続いている。
【0035】
実施例2:集積密度50pF/mm2:
実施例1と同様に、銅被覆されたFR4−配線板又はプリプレグを、プライマーのオクタデシルホスホン酸又はヘキサデシルホスホン酸で被覆する。ポリメラミン−コ−ホルムアルデヒド架橋剤0.2gを有するポリビニルフェノール(分子量8,000)0.8gの溶液を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート5.67g中に溶かし、2,500rpmで40秒間スピンコーティングし、100℃で60秒間、ホットプレート上で予備乾燥する。真空炉中で、このノボラック型のポリマーを、ホルムアルデヒド架橋剤により180℃〜230℃で、硬化させる。それに引き続き、実施例1と同様にアルミニウム電極を蒸着(基本圧力1×10-6mbar)により堆積させる。他の集積密度をスピンコート回転数の適合により得ることもできる。
【0036】
図5は、スピンコート速度の関数としてのポリマー層の有効平均層厚を表すスピン曲線である。
【0037】
図6〜9は、容量(6)、インピーダンスの相(7)及び49pF/mm2の集積密度(9)を有する実現されたコンデンサの損失ファクタ(8)の、周波数及び印加された直流電圧に対する依存性を示す。この電気的特性データが図6〜9に示されている。測定された容量の周波数への依存性は僅かであり、このことは、提供されたコンデンサの品質を示す。実現されたコンデンサのインピーダンスの相は、示された周波数領域で−89゜〜−87゜の間の値をとる。損失ファクタは0.0xの範囲内にあり、図8に示すように、同様に、周波数にほとんど依存しない。更に、図6〜9に示したパラメータは、印加された直流電圧に依存しないことが認識できる。この測定時に0V〜3Vの間のバイアス電圧が設定され、1kHz〜1MHzの間で変化する周波数を有する重畳交流電圧の振幅は0.1Vであった。
【0038】
図10〜13は、電極面積に対する容量の依存性を示す。この正確な直線の挙動は、大面積の容量(20mm2=1nF)も製造できることを示す。機能することができる基板の歩留まりは、実施例1による基板に関して100%である。コンデンサの品質は、従って個別のSMD素子に匹敵している(市販のセラミックSMDコンデンサの場合0.035の損失ファクタ)。
【0039】
図10〜13は、50pF/mm2での0V〜3Vでの電極面積に対する容量の依存性を示す。
【0040】
図14及び15は、50pF/mm2の集積密度及び円形電極(14)又は方形電極(15)を有するコンデンサについての漏れ電流測定を示す。
【0041】
図14及び15は、異なる電極面積を有するコンデンサにおける印加された直流電圧に依存する測定された漏れ電流を示す。この測定曲線は、実際のブレークダウンを示さず、単に7VDCから高められた漏れ電流(2nA〜4nA)を示すだけであり、この漏れ電流は、しかしながら、SMD構成素子と比較して小さい。更に、図14及び15中で測定された電流の電極形状への依存性は認識できない。
【0042】
架橋したポリマーの誘電率は、次のように測定した。FR4基板(図2参照)の高すぎる粗さのために、誘電体厚さの正確な測定は不可能である。この理由から、できる限り低い粗さを有する基板上にコンデンサを実現した。このため、基板としてガラス基板を選択した。プロフィール計を用いて、まずこのような基板のプロフィールを調査した。図16は、ガラス試験体の粗さの測定を示す。
【0043】
図16で認識できるように、この粗さは0.20nm〜0.33nmの範囲内にある。このコンデンサの他の特性を決定するために、両方の電極をこの基板上に、蒸着プロセスによって、設けた。蒸着された層の均一性は、図17に示されている。100nmの厚さの銅層を蒸着した。このガラス試験体のエッジは、シャドーマスクとしてカプトンテープを貼り付けた。蒸着法の後にカプトンテープを除去し、層厚をプロフィール計で測定した。
【0044】
基板上にSAMを堆積した後に、ポリマー層を回転塗布により塗布した(20質量%のポリマー溶液、回転速度2,500rpm)。この処理工程の前に、この試験体のエッジに、新たにカプトンテープを設けた。それにより所定の段が作成され、これに関して誘電体の厚さを測定することができた。引き続く層厚測定は、573nmの有効平均厚さを示した。新たな蒸着工程を用いて、コンデンサの上方電極を実現した。
【0045】
電極面積、真空についての誘電率及び両方のコンデンサプレートの間の間隔の逆数の積の関数としての測定された容量のプロットにより、比誘電率をグラフにより決定することができる。
【0046】
図18は、比誘電率の決定のための測定値を示す。
【0047】
この比誘電率について、測定信頼性を考慮して、記載された測定により、3.17±0.08の値が算定された。
【0048】
実施例3:集積密度150pF/mm2:
実施例1と同様に、銅被覆されたFR4−配線板又はプリプレグを、プライマーのオクタデシルホスホン酸又はヘキサデシルホスホン酸で被覆する。プリプレグの接着特性を得るために、光化学的に架橋するエポキシ樹脂を使用する。この光架橋は、例えばシャドーマスクによって実施する。架橋されていない領域を洗い落とした後に、定義された誘電体領域が残る。コンタクト箇所は露出される。
【0049】
配線板の場合には、ポリメラミン−コ−ホルムアルデヒド架橋剤0.25gを有するポリビニルフェノール(分子量8,000)1gの溶液を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート8.75g中に溶かし、2,000rpmで40秒間、スピンコーティングし、100℃で60秒間、ホットプレート上で予備乾燥させる。真空炉中で、ノボラック型のポリマーをホルムアルデヒド架橋剤で硬化させた。引き続き、実施例1と同様に、アルミニウム電極を蒸着(基本圧力1×10-6mbar)により堆積させた。
【0050】
本発明の他の実施態様によると、この対向電極は、例えばスパッタリングにより設けられる銅電極であってもよい。
【0051】
150pF/mm2の集積密度を有するコンデンサの電気的特性データは、図19〜22に示されている。
【0052】
図19〜22は、150pF/mm2の集積密度を有するコンデンサの周波数に対する容量(19)、相(20)及び損失ファクタ(21)の依存性並びに容量値(又は電極面積)に対する漏れ電流挙動(22)の依存性を示す。
【0053】
機能することができる基板の歩留まりは、実施例1による基板に関して、99%を遥かに超える。図19は、1mm2の面積のコンデンサの容量がほとんど周波数に依存しない挙動を示す。この損失ファクタは、0.05〜0.3の範囲内にあり、図21に示すように、同様に、周波数にほとんど依存しない。図22は、多様な電極面積を有するコンデンサに対する測定された漏れ電流を示す。この測定結果は、容量値にほとんど依存せず、且つそれにより電極面積にほとんど依存しない。更に、測定された電流は、実施例2、図6及び7における電流と比較可能である。図23は、多様な集積密度で又は多様な有効平均ポリマー層厚における(150pF/mm2について180〜200nm及び50pF/mm2について500〜600nm)実際のコンデンサの等価回路図中での測定されたオーム抵抗を示す。この抵抗は、両方の場合に同じである。
【0054】
図23は、多様に調節された集積密度でのDC電流に対するコンデンサの抵抗を示す。
【0055】
図23中の測定された抵抗が同じ推移を有するという事実は、直流に対するコンデンサの全体のオーム抵抗に、自己組織化する単分子層が本質的に貢献することを示す。従って、堆積されたSAM層の品質は、一方で、良好な絶縁特性及び他方で実現されたコンデンサの良好な歩留まりのために重要である。図24は、このプロセスが僅かな動力学を有することを示す。10秒の誘導期間の後に、接触角は、10分後の接触角よりも1.1゜小さいだけであり、1時間後の接触角よりも1.9゜小さいだけである。この角度は、次いで繰り返し測定した後に、SAM溶液中に試験体を導入した72時間後でも、135゜±0.8゜の平均値であった。
【0056】
図24は、溶液中での試験体の誘導期間による、配線板のSAM被覆後の測定された接触角の依存性を示す。
【0057】
他の実施態様によると、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)のポリマー層が実施される。これは、標準方法によりパラジウムで構造化して種付けし、銅又はニッケルからなる上方電極が無電解で堆積される。
【0058】
この場合、初めて、プリプレグ又は他の慣用の配線板基板に関する並行プロセスにおいて製造することができるコンデンサが記載される。引き続き、予め作成されたコンデンサ層を配線板中に組み込むことができ、それによりこの配線板の面積に対して面積/費用の利点が生じる。
【0059】
このコンデンサのトポグラフィーは、基礎基板の粗さに対して極端に低い。先行技術は、自己組織化する単分子層を銅上に堆積させないことから出発している。ここで、ホスホン酸アンカーを有する自己組織化する単分子層(SAM)が、銅表面を相応して清浄化した後に、銅上に極めて良好で且つ迅速に堆積することができることを示す。この層は、コンデンサの本来の絶縁層を形成する。機械的安定化のために、薄いポリマー層をこのSAM上に設ける。この上方コンタクトは多様に作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】酸洗いされた銅表面上に、構成素子が直接構築されたコンデンサを示す図である。
【図2】酸洗いされた配線板基板の粗さを可視化した図である。
【図3】全てのコンデンサが短絡していることを示す電気的特性曲線を示す図である。
【図4】全てのコンデンサが短絡していることを示す電気的特性曲線を示す図である。
【図5】スピンコート速度の関数としてのポリマー層の有効平均層厚を表すスピン曲線である。
【図6】容量のインピーダンスの周波数及び印加された直流電圧に対する依存性を示す図である。
【図7】インピーダンスの相のインピーダンスの周波数及び印加された直流電圧に対する依存性を示す図である。
【図8】コンデンサの損失ファクタの周波数及び印加された直流電圧に対する依存性を示す
【図9】集積密度の周波数及び印加された直流電圧に対する依存性を示す
【図10】電極面積に対する容量の依存性を示す図である。
【図11】電極面積に対する容量の依存性を示す図である。
【図12】電極面積に対する容量の依存性を示す図である。
【図13】電極面積に対する容量の依存性を示す図である。
【図14】集積密度及び円形電極を有するコンデンサについての漏れ電流測定を示す図である。
【図15】集積密度及び方形電極(15)を有するコンデンサについての漏れ電流測定を示す図である。
【図16】ガラス試験体の粗さの測定を示す図である。
【図17】蒸着された層の均一性を示す図である。
【図18】比誘電率の決定のための測定値を示す図である。
【図19】コンデンサの周波数に対する容量の依存性を示す図である。
【図20】コンデンサの相(20)に対する漏れ電流挙動(22)の依存性を示す図である。
【図21】コンデンサの周波数に対する損失ファクタ(21)の依存性を示す図である。
【図22】容量値(又は電極面積)に対する漏れ電流挙動(22)の依存性を示す図である。
【図23】実際のコンデンサの等価回路図中での測定されたオーム抵抗を示す図である。
【図24】溶液中での試験体の誘導期間による、配線板のSAM被覆後の測定された接触角の依存性を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば有機に基づくエレクトロニクス構成素子の製造の際に使用される金属電極上の、特に銅層又は銅含有層上の、有機誘電性又は導電性の化合物のための新規なアンカー基に関する。
【背景技術】
【0002】
小型化の意味で、正確に適合させられた官能性を有する最も薄い層、特に単分子層、を、エレクトロニクス構成素子中に、特に有機エレクトロニクス構成素子中に、使用することが特に有利である。単分子層中の分子が、自己組織化し最高の官能性及び官能基密度を示すために、この分子をそれぞれの電極にヘッド基又はアンカー基によって固定することが推奨され、それにより、リンカー基、つまり両末端を結合する基、の整列が自動的に行われる。基板との結合は、この基板が相応して準備された場合に自動的に行われる。
【0003】
この特異的な官能性は、リンカー基及びヘッド基によって決定される。アンカーは自己組織化を決定する。
【0004】
このために、例えばドイツ国特許第102004005082号明細書から、化学的に費用をかけて導入する、芳香族の、π−π相互作用を有するヘッド基が公知であり、このヘッド基が自己組織化する誘電層を電極と結合させる。対向電極との結合として、つまり単分子層として、コンデンサ中で使用することができる有機誘電性化合物のいわゆるアンカー基として、ドイツ国特許第102004005082号明細書によると、シラン化合物が用いられ、このシラン化合物は、酸化銅以外の酸化物から形成される酸化物層を介して電極と結合可能である。
【0005】
この公知の先行技術の欠点は、自己組織化する単分子層を設けるために有利に、この電極表面、つまり例えば銅表面、を、結合のための酸化物表面を提供することになるアルミニウム又はチタンで、官能化する必要があることにある。しかしながら、電極表面のこのような官能化工程は、極めてコストがかかる。なぜなら、先ず、非銅金属を設け、それを構造化する必要があるためである。更に、慣用の方法で慣用のボード又は配線板又はプリプレグ上で加工した場合に、この電極表面は一般に約4μmの範囲内の表面粗さを有するという事情もある。この粗さは、単分子層で被覆された表面の機械的安定性を制限する。なぜなら、粒界間隙が必然的に完全には覆われないか、又は基板先端部で高い電界強度が生じるためである。一般に約2〜5nm、最大でも20nmの単分子層の高さは、同様な堆積のため、この粗さを平坦化しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の課題は、先行技術の欠点を克服すること、特に、慣用の方法で製造され準備された銅電極上に、自己組織化する単分子層(SAM)の被覆を設けることができる、自己組織化する単分子層(SAM)用のアンカー基を、意のままに提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題の解決策及び本発明の主題は、独立請求項及び従属請求項、明細書並びに図面中に含まれている。
【0008】
従って、本発明の主題は、第1の電極層のためのアンカー基、リンカー基及び次の層に結合するためのヘッド基を少なくとも有する、銅層又は銅含有層上で自己組織化する単分子のための有機化合物であって、ここで、前記アンカー基は、少なくともホスホン酸及び/又はホスホン酸誘導体を含有する有機化合物である。このヘッド基は、この場合、特別に構成することができるか又は省くことができる。更に、本発明の主題は、有機エレクトロニクスに基づく構成素子であり、この構成素子は、配線板、プリプレグ又はボード中に組み込まれていて、このボード、配線板又はプリプレグは、基板として機能し、この基板上に本発明(上記参照)の主題による自己組織化する単分子のための有機化合物が塗布される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
「自己組織化する単分子のための有機化合物」とは、多数の分子が並行して及び/又は同じように整列して層中に存在するように所定のアンカー基に基づき層中で整列する、上述の化合物を意味する。例えば、ドイツ国特許第102004005082号明細書に相応する、有機エレクトロニクスに基づく構成素子の誘電体層中で単分子層を形成することができる、有機化合物が記載されている。本発明により使用可能な有機化合物は、上記有機化合物とは、少なくともヘッド基及び/又はアンカー基が異なる点において、相異する。更に、本発明の場合には、市場で入手可能な多くの材料を使用することができ、かつ緻密な単分子層の製造のために使用することができる。
【0010】
本発明の有利な実施態様によると、有機エレクトロニクスに基づく構成素子は、ボード、例えば通常の製造方法により製造されており、他の金属で官能化されておらず又は特別な方法で平滑化されていない銅ボード、の上に、直接、塗布される。このアンカー基がその上に設けられた金属層は、従って、銅層又は銅含有層であり、ここで、層中の銅の割合は、モルパーセントで、有利には10%以上、特に有利には40%以上、更に特に有利には70%以上である。
【0011】
この基板表面の個別の準備は必要ない。この準備は、洗浄工程だけを有し、先行技術では通常行なわれているような付加的な材料を設けることはない。
【0012】
有機エレクトロニクスに基づく構成素子として、特にコンデンサが考えられる。更に、例えば、有機電界効果型トランジスタ(有機電界効果型トランジスタ用のゲート誘電体は、配線板中へ直接組み込むために適している。)又は有機発光ダイオード(OLED)(薄い絶縁体上にOLEDのための電極が堆積される。)を、本発明により改善することができる。なぜなら、特に、上面発光型のOLED用の銅層は、気密密閉されているからである。OLEDの概念には、発光する電気化学セル(LEEC)も含まれる。
【0013】
最後に、OLEDのための構造と同様に、太陽電池用の層順序を使用することもできるので、有機エレクトロニクスに基づく構成素子として、コンデンサの他に、少なくとも有機電界効果型トランジスタ、OLED及び有機太陽電池が、挙げられる。基本的に、本発明は、全種類の有機絶縁性中間層のために適している。この層は、一定の時間だけ、つまり一時的に塗布されていてもよい。銅又は銅合金上に一時的に又は永久に塗布される場合、この層は、印刷可能な「フォトレジスト代替品」としても又は多様な疎水性領域の作製のためにも適している。
【0014】
特に、前記構成素子を、低コストで、いわゆる酸洗いされた銅表面上に、直接構築することも可能である。図1には、コンデンサの例について、この種の構造を示す。
【0015】
このコンデンサのための基材として、約5〜30μmの被膜及びミクロンメートル範囲の粗さを有する、慣用の方法により酸洗いされた、銅ボードを用いる。この酸洗いは、通常、有機溶剤による脱脂並びに引き続くペルオキソ二硫酸塩及び硫酸によるエッチングにより行なうことができる。図2は、酸洗いされた配線板基板の粗さを可視化している。
【0016】
この銅表面の付加的清浄化は、ガルバノ技術において通常行なわれるように、カソードで行なうことができる。更に、希釈された炭酸ナトリウム溶液中で、この基板をカソードとして接続し、10〜100mA/cm2の電流で、生じた水素によって清浄化される。
【0017】
この酸洗いにより、水に対する接触角は、5°未満となる。これにより、銅表面は極めて親水性になる。この銅の酸化の抑制のために、そして、これに続く薄く、局所的にだけ平坦化するポリマー堆積物用のプライマーとして、直接的に接続して、有機ホスホン酸の単分子層を堆積させる。このホスホン酸アンカー基は、特に銅に対して最も適していることが判明しているが、一方、ドイツ国特許(DE−B4)第102004005082号明細書では、有利にはシランで処理され(実施例)、この銅表面は、有利にはアルミニウム又はチタンを用いる堆積のために官能化しなければならない。このような銅表面の官能化工程は、想定された構成素子中で完全に省略される。
【0018】
長鎖ホスホン酸、例えばデシル−乃至オクタデシル−ホスホン酸、一般式:CH3−(CH2)n−PO(OH)2(式中、n=8−25、有利には、n=18である)、が有利である。この分子鎖は、ポリエーテル鎖(−O−CH2−CH2−O−)m(式中、mは、1〜20、有利には、2〜10である。)として構成されていてもよい。この水に対する接触角は、オクタデシルホスホン酸の堆積により、アルキルホスホン酸について130°超に高まり、従って、これは、堆積の品質のための指標である。このアルキル鎖は、完全に又は部分的に、フッ素化されていてもよい。
【0019】
代替法として、この堆積は、ホスホン酸エステル若しくはその塩又はアミン等のその他の誘導体を介して行なうこともできる。この塩は、当量又はそれ未満の量のアルカリ液(NaOH、KOH、アンモニア又は水酸化アンモニウム)の添加により、溶液の形で直接得ることができる。
【0020】
ヘッド基として、基材ポリマー(Stuetzpolymer)の使用の場合に、最も簡単な分枝した、非分枝のアルキル基又は他の反応(つまり架橋)のために適したアルケニル基を用いることができる。この基材ポリマーに対する単分子層の結合を改善するために、このヘッド基は、フッ素、ニトリル、アミノ、エステル、アルデヒド、エポキシ又は酸官能基であることができる。フッ素化の場合には、このヘッド基は−CF3、−CHF2、CH2Fからなることができる。
【0021】
機械的安定性を高めるために、本発明の有利な実施態様において、安定化のため及び/又はコンデンサ若しくは構成素子の局所的な平坦化のために、この単分子層上に、基材ポリマー、つまり薄いポリマー層が設けられる。典型的には、3.17の誘電率において、50pF/mm2の集積密度のためには、有効なポリマー膜厚は約550〜600nmであり、150pF/mm2の集積密度のためには、有効な膜厚は180〜200nmである。窪み中には、より多くのポリマーが導入され、他方、先端部には薄いポリマー膜が提供される。3Mにより提供された評価と比べて、14μmの構成素子の厚さは、70分の1になり、同時に容量は15倍高まる。
【0022】
ここで示されたコンデンサの漏れ電流挙動は、ほぼ、自己組織化する単分子層によってのみ決定される。従って、この抵抗が安定化ポリマー厚みに依存しない推移を有することも測定された(これについては図24に比較)。何故なら、直流に対する、キャパシタの全オーム抵抗への本質的な貢献は、自己組織化する単分子層によりなされるためである。従って、配線板プロセスに適合する限り、平坦化のために任意のポリマーを使用することができる。
【0023】
例えば、メラミン−コ−ホルムアルデヒドにより架橋されたポリヒドロキシスチレンを使用した。良好な平坦化作用は、このポリヒドロキシスチレンが、500〜100,000の範囲内の、特に3,500〜50,000の範囲内の、特に有利には8,000の分子量を有する場合に達成された。この架橋は、有利には、180〜230℃の温度範囲で実施した。この架橋後に、この機械的安定化のためのポリマー層は、もはや溶剤によって攻撃されない。
【0024】
このノボラック型ポリマーの他に、エポキシド、アクリレート、ウレタン又はカーボネートをベースとする樹脂も、基材ポリマーとして使用することができる。他のポリマー:ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリビニリデンジフルオリド(一般にテフロン型の材料)、ポリビニル化合物(カルバゾール、アルコール及びそのエステル)。同様に、コポリマー又はブロックコポリマー、例えばABS、も適している。このポリマーの分子量は、1,000〜1,000,000の範囲内であってよい。
【0025】
この局所的に平坦化するポリマー層は、次のように塗布することができる:
a.溶液から。このため、架橋剤を有し又は架橋剤を有しないポリマー1〜50%、有利には5〜20%、を有機溶剤(PGMEA=プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラヒドロフラン、ジオキサン、クロロベンゼン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリジノン、エトキシエタノール、キシレン、トルエン等)中に溶解し、スピンコーティング、印刷(スクリーン印刷、インクジェット印刷、吹き付け等)により相応する厚さに塗布する。引き続き、この溶剤を熱処理段階によって蒸発させ、これにより、ダストフリーの、場合によっては硬化した、ポリマー層が残留する。このポリマーは、熱的又は光化学的に、架橋させることができる。この架橋は任意である。ポリビニルアルコールのためには、例えば溶剤として水も適している。可能な架橋剤は光酸発生剤である。
b.アクリレート及びエポキシドの場合には、このモノマー又はオリゴ化合物は、スピンコーティング又は印刷(上記参照)により塗布することができ、引き続き、熱的又は光化学的に架橋させて誘電体にすることができる。
【0026】
このコンデンサのための上方電極として、全ての金属若しくはその合金又は導電性の金属印刷ペーストを使用することができる。同様に、有機導電体、例えばPEDOT(ポリスチレンスルホン酸ドープポリジエトキシチオフェン)又はPANI(カンファースルホン酸ドープポリアニリン)も適している。しかしながら、配線板工業において利用される金属である銅、アルミニウム、ニッケル、金及び銀又はこれらの合金が特に有利である。全面に設けられた金属対向電極は、引き続き当業者に公知のエッチング法及び機械的剥離法(レーザー)により構造化することができる。複数のコンデンサに一つの共通の対向電極が設けられている場合には、この対向電極の堆積は、気相からシャドーマスクを用いて行なうこともできる(実施例参照)。
【0027】
この対向電極は、局所的又は全面的な種付けの後に無電解メッキによっても設けることができる。原理的には、配線板工業の全ての方法を使用することができる。なぜなら、この誘電体は、架橋後に配線板工業の通常の媒体に対して適合するからである。
【0028】
このヘッド基は、通常、単分子層自体を安定化させる。一般に、このヘッド基は、SAMと反対側の層との結合を生じさせる。結合とは、この場合、全ての形の結合、特に共有二重結合から、イオン結合、簡単なファンデルワース結合までを含む化学結合であると解釈される。
【0029】
このヘッド基は、コンデンサ中で、本発明の有利な実施態様により意図されるように、安定なポリマー被覆層と接触しており、電極とは接触していない。この上方電極とは、ポリマー層だけが接触している。この上方電極は、公知の方法で、例えば金属を用いた蒸着又はスパッタリング、金属ペースト等を用いた印刷等により官能化することができる。実験により、高価なヘッド基を省略できることも示された。個々の鎖の相互作用は、基本的に自己組織化する単分子層用の安定化のために十分であるが、ヘッド基は、ポリマー被覆層を使用する際も、この単分子層の安定化のために電気的特性を改善できる。
【0030】
後続する絶縁層を備えた電極層の準備された構造は、もちろんコンデンサの場合にだけ有利に使用されるのではなく、この構造は原則的に次に適用のためにも適している:
1.配線板に直接組み込むための有機電界効果型トランジスタ用のゲート誘電体として。
2.上面発光型OLED(この銅層は、気密である。)用の基板として。次に、薄い絶縁層上にOLED用の電極を堆積させることができる。
3.OLEDのための構造と同様に、この層順序は太陽電池のためにも適している。
【実施例】
【0031】
実施例1:
試験構造のために、銅30μmで被覆されたFR4−ボードを、50×50m2の寸法に切断する。これを、先ず、アセトン及びイソプロパノールで脱脂する。市販のフォトレジスト(TMSR8900)を、6,000rpmで20秒間スピンコーティングし、110℃で60秒間、ホットプレート上で乾燥させる。このフォトレジストに365nmの波長のUV線を7秒間照射し、水性アルカリ性現像液中で60秒間現像する。
【0032】
このフォトレジスト構造化に引き続き、40℃で3分間、5%のペルオキシ二硫酸アンモニウム溶液中で酸洗いする。水及びイソプロパノールで洗浄した後に、このボードを、イソプロパノール(100ml)中のオクタデシルホスホン酸(0.2〜0.25g)の溶液中に置く。12時間後に、このボードをイソプロパノールで洗浄し、100℃で1分間、窒素流中で乾燥した。
【0033】
この酸洗いの後に、水に対する接触角は1゜〜4゜である。オクタデシルホスホン酸の堆積の後に、接触角は135゜であり、このことは銅層の十分な被覆を推測させる。これに引き続き、100nmのアルミニウムを、シャドーマスクを介して、対向電極として蒸着する。例えば、加工された容量モデルをFR4配線板上に製造した。図3及び4中のこの電気的特性曲線(約10Ω及び約0゜のインピーダンスの位相角である)は、全てのコンデンサが短絡していることを示す。理想的なコンデンサは、無限の接触抵抗を有する。10オームは短絡であり、即ち、このコンデンサは機能しない。ミクロンメートル範囲内の粗さを有し、Ti前処理若しくはAl前処理のない、又はプライマーとしての芳香族ヘッド基の存在しない標準配線板について、ドイツ国特許第102004005082号明細書からの方法は、高い歩留まりでのコンデンサの構築には適していないことが明らかである。
【0034】
他の実施例では、プライマーを用いて化学的に費用をかけて導入するπ−π相互作用を有するヘッド基なしでも、高容量のコンデンサを銅に直接設けることができることを示す。この銅表面上には、アンカー基、つまりホスホン酸基、が直接続いている。
【0035】
実施例2:集積密度50pF/mm2:
実施例1と同様に、銅被覆されたFR4−配線板又はプリプレグを、プライマーのオクタデシルホスホン酸又はヘキサデシルホスホン酸で被覆する。ポリメラミン−コ−ホルムアルデヒド架橋剤0.2gを有するポリビニルフェノール(分子量8,000)0.8gの溶液を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート5.67g中に溶かし、2,500rpmで40秒間スピンコーティングし、100℃で60秒間、ホットプレート上で予備乾燥する。真空炉中で、このノボラック型のポリマーを、ホルムアルデヒド架橋剤により180℃〜230℃で、硬化させる。それに引き続き、実施例1と同様にアルミニウム電極を蒸着(基本圧力1×10-6mbar)により堆積させる。他の集積密度をスピンコート回転数の適合により得ることもできる。
【0036】
図5は、スピンコート速度の関数としてのポリマー層の有効平均層厚を表すスピン曲線である。
【0037】
図6〜9は、容量(6)、インピーダンスの相(7)及び49pF/mm2の集積密度(9)を有する実現されたコンデンサの損失ファクタ(8)の、周波数及び印加された直流電圧に対する依存性を示す。この電気的特性データが図6〜9に示されている。測定された容量の周波数への依存性は僅かであり、このことは、提供されたコンデンサの品質を示す。実現されたコンデンサのインピーダンスの相は、示された周波数領域で−89゜〜−87゜の間の値をとる。損失ファクタは0.0xの範囲内にあり、図8に示すように、同様に、周波数にほとんど依存しない。更に、図6〜9に示したパラメータは、印加された直流電圧に依存しないことが認識できる。この測定時に0V〜3Vの間のバイアス電圧が設定され、1kHz〜1MHzの間で変化する周波数を有する重畳交流電圧の振幅は0.1Vであった。
【0038】
図10〜13は、電極面積に対する容量の依存性を示す。この正確な直線の挙動は、大面積の容量(20mm2=1nF)も製造できることを示す。機能することができる基板の歩留まりは、実施例1による基板に関して100%である。コンデンサの品質は、従って個別のSMD素子に匹敵している(市販のセラミックSMDコンデンサの場合0.035の損失ファクタ)。
【0039】
図10〜13は、50pF/mm2での0V〜3Vでの電極面積に対する容量の依存性を示す。
【0040】
図14及び15は、50pF/mm2の集積密度及び円形電極(14)又は方形電極(15)を有するコンデンサについての漏れ電流測定を示す。
【0041】
図14及び15は、異なる電極面積を有するコンデンサにおける印加された直流電圧に依存する測定された漏れ電流を示す。この測定曲線は、実際のブレークダウンを示さず、単に7VDCから高められた漏れ電流(2nA〜4nA)を示すだけであり、この漏れ電流は、しかしながら、SMD構成素子と比較して小さい。更に、図14及び15中で測定された電流の電極形状への依存性は認識できない。
【0042】
架橋したポリマーの誘電率は、次のように測定した。FR4基板(図2参照)の高すぎる粗さのために、誘電体厚さの正確な測定は不可能である。この理由から、できる限り低い粗さを有する基板上にコンデンサを実現した。このため、基板としてガラス基板を選択した。プロフィール計を用いて、まずこのような基板のプロフィールを調査した。図16は、ガラス試験体の粗さの測定を示す。
【0043】
図16で認識できるように、この粗さは0.20nm〜0.33nmの範囲内にある。このコンデンサの他の特性を決定するために、両方の電極をこの基板上に、蒸着プロセスによって、設けた。蒸着された層の均一性は、図17に示されている。100nmの厚さの銅層を蒸着した。このガラス試験体のエッジは、シャドーマスクとしてカプトンテープを貼り付けた。蒸着法の後にカプトンテープを除去し、層厚をプロフィール計で測定した。
【0044】
基板上にSAMを堆積した後に、ポリマー層を回転塗布により塗布した(20質量%のポリマー溶液、回転速度2,500rpm)。この処理工程の前に、この試験体のエッジに、新たにカプトンテープを設けた。それにより所定の段が作成され、これに関して誘電体の厚さを測定することができた。引き続く層厚測定は、573nmの有効平均厚さを示した。新たな蒸着工程を用いて、コンデンサの上方電極を実現した。
【0045】
電極面積、真空についての誘電率及び両方のコンデンサプレートの間の間隔の逆数の積の関数としての測定された容量のプロットにより、比誘電率をグラフにより決定することができる。
【0046】
図18は、比誘電率の決定のための測定値を示す。
【0047】
この比誘電率について、測定信頼性を考慮して、記載された測定により、3.17±0.08の値が算定された。
【0048】
実施例3:集積密度150pF/mm2:
実施例1と同様に、銅被覆されたFR4−配線板又はプリプレグを、プライマーのオクタデシルホスホン酸又はヘキサデシルホスホン酸で被覆する。プリプレグの接着特性を得るために、光化学的に架橋するエポキシ樹脂を使用する。この光架橋は、例えばシャドーマスクによって実施する。架橋されていない領域を洗い落とした後に、定義された誘電体領域が残る。コンタクト箇所は露出される。
【0049】
配線板の場合には、ポリメラミン−コ−ホルムアルデヒド架橋剤0.25gを有するポリビニルフェノール(分子量8,000)1gの溶液を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート8.75g中に溶かし、2,000rpmで40秒間、スピンコーティングし、100℃で60秒間、ホットプレート上で予備乾燥させる。真空炉中で、ノボラック型のポリマーをホルムアルデヒド架橋剤で硬化させた。引き続き、実施例1と同様に、アルミニウム電極を蒸着(基本圧力1×10-6mbar)により堆積させた。
【0050】
本発明の他の実施態様によると、この対向電極は、例えばスパッタリングにより設けられる銅電極であってもよい。
【0051】
150pF/mm2の集積密度を有するコンデンサの電気的特性データは、図19〜22に示されている。
【0052】
図19〜22は、150pF/mm2の集積密度を有するコンデンサの周波数に対する容量(19)、相(20)及び損失ファクタ(21)の依存性並びに容量値(又は電極面積)に対する漏れ電流挙動(22)の依存性を示す。
【0053】
機能することができる基板の歩留まりは、実施例1による基板に関して、99%を遥かに超える。図19は、1mm2の面積のコンデンサの容量がほとんど周波数に依存しない挙動を示す。この損失ファクタは、0.05〜0.3の範囲内にあり、図21に示すように、同様に、周波数にほとんど依存しない。図22は、多様な電極面積を有するコンデンサに対する測定された漏れ電流を示す。この測定結果は、容量値にほとんど依存せず、且つそれにより電極面積にほとんど依存しない。更に、測定された電流は、実施例2、図6及び7における電流と比較可能である。図23は、多様な集積密度で又は多様な有効平均ポリマー層厚における(150pF/mm2について180〜200nm及び50pF/mm2について500〜600nm)実際のコンデンサの等価回路図中での測定されたオーム抵抗を示す。この抵抗は、両方の場合に同じである。
【0054】
図23は、多様に調節された集積密度でのDC電流に対するコンデンサの抵抗を示す。
【0055】
図23中の測定された抵抗が同じ推移を有するという事実は、直流に対するコンデンサの全体のオーム抵抗に、自己組織化する単分子層が本質的に貢献することを示す。従って、堆積されたSAM層の品質は、一方で、良好な絶縁特性及び他方で実現されたコンデンサの良好な歩留まりのために重要である。図24は、このプロセスが僅かな動力学を有することを示す。10秒の誘導期間の後に、接触角は、10分後の接触角よりも1.1゜小さいだけであり、1時間後の接触角よりも1.9゜小さいだけである。この角度は、次いで繰り返し測定した後に、SAM溶液中に試験体を導入した72時間後でも、135゜±0.8゜の平均値であった。
【0056】
図24は、溶液中での試験体の誘導期間による、配線板のSAM被覆後の測定された接触角の依存性を示す。
【0057】
他の実施態様によると、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)のポリマー層が実施される。これは、標準方法によりパラジウムで構造化して種付けし、銅又はニッケルからなる上方電極が無電解で堆積される。
【0058】
この場合、初めて、プリプレグ又は他の慣用の配線板基板に関する並行プロセスにおいて製造することができるコンデンサが記載される。引き続き、予め作成されたコンデンサ層を配線板中に組み込むことができ、それによりこの配線板の面積に対して面積/費用の利点が生じる。
【0059】
このコンデンサのトポグラフィーは、基礎基板の粗さに対して極端に低い。先行技術は、自己組織化する単分子層を銅上に堆積させないことから出発している。ここで、ホスホン酸アンカーを有する自己組織化する単分子層(SAM)が、銅表面を相応して清浄化した後に、銅上に極めて良好で且つ迅速に堆積することができることを示す。この層は、コンデンサの本来の絶縁層を形成する。機械的安定化のために、薄いポリマー層をこのSAM上に設ける。この上方コンタクトは多様に作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】酸洗いされた銅表面上に、構成素子が直接構築されたコンデンサを示す図である。
【図2】酸洗いされた配線板基板の粗さを可視化した図である。
【図3】全てのコンデンサが短絡していることを示す電気的特性曲線を示す図である。
【図4】全てのコンデンサが短絡していることを示す電気的特性曲線を示す図である。
【図5】スピンコート速度の関数としてのポリマー層の有効平均層厚を表すスピン曲線である。
【図6】容量のインピーダンスの周波数及び印加された直流電圧に対する依存性を示す図である。
【図7】インピーダンスの相のインピーダンスの周波数及び印加された直流電圧に対する依存性を示す図である。
【図8】コンデンサの損失ファクタの周波数及び印加された直流電圧に対する依存性を示す
【図9】集積密度の周波数及び印加された直流電圧に対する依存性を示す
【図10】電極面積に対する容量の依存性を示す図である。
【図11】電極面積に対する容量の依存性を示す図である。
【図12】電極面積に対する容量の依存性を示す図である。
【図13】電極面積に対する容量の依存性を示す図である。
【図14】集積密度及び円形電極を有するコンデンサについての漏れ電流測定を示す図である。
【図15】集積密度及び方形電極(15)を有するコンデンサについての漏れ電流測定を示す図である。
【図16】ガラス試験体の粗さの測定を示す図である。
【図17】蒸着された層の均一性を示す図である。
【図18】比誘電率の決定のための測定値を示す図である。
【図19】コンデンサの周波数に対する容量の依存性を示す図である。
【図20】コンデンサの相(20)に対する漏れ電流挙動(22)の依存性を示す図である。
【図21】コンデンサの周波数に対する損失ファクタ(21)の依存性を示す図である。
【図22】容量値(又は電極面積)に対する漏れ電流挙動(22)の依存性を示す図である。
【図23】実際のコンデンサの等価回路図中での測定されたオーム抵抗を示す図である。
【図24】溶液中での試験体の誘導期間による、配線板のSAM被覆後の測定された接触角の依存性を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅層又は銅含有層上のアンカー基、リンカー基及び後続する層との結合のためのヘッド基を有する、自己組織化する単分子のための有機化合物であって、前記アンカー基が、少なくとも1つの、銅基板又は銅含有基板上に直接結合する、ホスホン酸及び/又はホスホン酸誘導体を含有してなる、自己組織化する単分子のための有機化合物。
【請求項2】
前記アンカー基が長鎖のホスホン酸を含有してなる、請求項1に記載の有機化合物。
【請求項3】
前記アンカー基が、デシル−乃至オクタデシル−ホスホン酸、一般式:CH3−(CH2)n−PO(OH)2(式中、n=8−25、有利にはn=18)を含有してなる、請求項1又は2に記載の有機化合物。
【請求項4】
前記リンカー基が、ポリエーテル鎖(−O−CH2−CH2−O−)m(式中、mは、1〜20である。)を含有してなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機化合物。
【請求項5】
前記単分子層に隣接して、少なくとも前記単分子層の側面に薄いポリマー層が配置されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機化合物。
【請求項6】
前記ポリマー層がポリヒドロキシスチレンからなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機化合物。
【請求項7】
ポリヒドロキシスチレンが500〜15,000の範囲内の分子量を有する、請求項6に記載の有機化合物。
【請求項8】
ポリヒドロキシスチレンが、メラミン−コ−ホルムアルデヒドにより架橋されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の有機化合物。
【請求項9】
前記ポリマー層が、エポキシド、アクリレート、ウレタン及び/又はカーボネートのようなポリマーを含有してなる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の有機化合物。
【請求項10】
前記ポリマー層が、1μmより小さい範囲内の層厚を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の有機化合物。
【請求項11】
前記ポリマー層が、1,000〜1,000,000の範囲内の分子量を有するポリマーを含有してなる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の有機化合物。
【請求項12】
ボード、配線板又はプリプレグが基板として利用され、前記基板上に請求項1〜11のいずれか一項に記載の自己組織化する単分子のための有機化合物が塗布される、配線板、プリプレグ又はボード中に組み込まれている有機エレクトロニクスに基づく構成素子。
【請求項13】
前記単分子層に隣接してポリマー層を含有してなる、請求項12に記載の構成素子。
【請求項14】
銅又はニッケルからなる上方電極を含有してなる、請求項12又は13に記載の構成素子。
【請求項1】
銅層又は銅含有層上のアンカー基、リンカー基及び後続する層との結合のためのヘッド基を有する、自己組織化する単分子のための有機化合物であって、前記アンカー基が、少なくとも1つの、銅基板又は銅含有基板上に直接結合する、ホスホン酸及び/又はホスホン酸誘導体を含有してなる、自己組織化する単分子のための有機化合物。
【請求項2】
前記アンカー基が長鎖のホスホン酸を含有してなる、請求項1に記載の有機化合物。
【請求項3】
前記アンカー基が、デシル−乃至オクタデシル−ホスホン酸、一般式:CH3−(CH2)n−PO(OH)2(式中、n=8−25、有利にはn=18)を含有してなる、請求項1又は2に記載の有機化合物。
【請求項4】
前記リンカー基が、ポリエーテル鎖(−O−CH2−CH2−O−)m(式中、mは、1〜20である。)を含有してなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機化合物。
【請求項5】
前記単分子層に隣接して、少なくとも前記単分子層の側面に薄いポリマー層が配置されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機化合物。
【請求項6】
前記ポリマー層がポリヒドロキシスチレンからなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機化合物。
【請求項7】
ポリヒドロキシスチレンが500〜15,000の範囲内の分子量を有する、請求項6に記載の有機化合物。
【請求項8】
ポリヒドロキシスチレンが、メラミン−コ−ホルムアルデヒドにより架橋されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の有機化合物。
【請求項9】
前記ポリマー層が、エポキシド、アクリレート、ウレタン及び/又はカーボネートのようなポリマーを含有してなる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の有機化合物。
【請求項10】
前記ポリマー層が、1μmより小さい範囲内の層厚を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の有機化合物。
【請求項11】
前記ポリマー層が、1,000〜1,000,000の範囲内の分子量を有するポリマーを含有してなる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の有機化合物。
【請求項12】
ボード、配線板又はプリプレグが基板として利用され、前記基板上に請求項1〜11のいずれか一項に記載の自己組織化する単分子のための有機化合物が塗布される、配線板、プリプレグ又はボード中に組み込まれている有機エレクトロニクスに基づく構成素子。
【請求項13】
前記単分子層に隣接してポリマー層を含有してなる、請求項12に記載の構成素子。
【請求項14】
銅又はニッケルからなる上方電極を含有してなる、請求項12又は13に記載の構成素子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公表番号】特表2012−503097(P2012−503097A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527285(P2011−527285)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【国際出願番号】PCT/EP2009/061323
【国際公開番号】WO2010/034597
【国際公開日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【国際出願番号】PCT/EP2009/061323
【国際公開番号】WO2010/034597
【国際公開日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】
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