説明

金属微粒子含有組成物、およびその用途

【課題】低温焼成処理しても安定して高い導電性を有する金属微粒子含有組成物を提供する。
【手段】金属ナノロッドと金属ナノ粒子を含有することを特徴とする金属微粒子含有組成物であって、好ましくは、アスペクト比が1より大きく、長軸が400nm未満の金属ナノロッドと、平均一次粒子径が1nm以上10nm以下の金属ナノ粒子を含有し、金属ナノロッドと金属ナノ粒子の重量比率(金属ナノロッド/金属ナノ粒子)が95/5〜10/90であり、その合計含有量が1重量%〜95重量%である金属微粒子含有組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノサイズのロッド状金属微粒子(金属ナノロッド)と球状の金属微粒子(金属ナノ粒子)を含有する組成物、およびその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報端末の急速な小型化に伴い、実装配線幅の狭ピッチ化が進んでいる。従来のサブミクロンサイズの金属粒子を含む導電性ペーストを用いてピッチ幅の狭い配線を形成すると、導電性のばらつきが顕著になるため、ナノサイズの金属微粒子(金属ナノ粒子と云う)を使用した導電性ペーストの開発が進んでいる。また、配線の形成方法も従来の印刷法に代えて直接描画法であるインクジェット法の利用が検討されており、この方法に適する金属微粒子が求められている。
【0003】
例えば、特開2004−39379号公報には銀粉及び銀で表面被覆された金属粒子からなる群より選ばれる少なくとも1種の銀粒子(A)、銀原子と有機部分がヘテロ原子を介して結合した構造を有する含銀有機化合物(B)、及び有機絶縁樹脂からなるバインダー(C)を含有する導電性ペーストが示されている。また、特開2002−266002号公報には金属微粒子(金、銀、銅、白金など)がその表面部分を高分子化合物で被覆した様態により分散している金属微粒子含有組成物が示されている。
【特許文献1】特開2004−39379号公報
【特許文献2】特開2002−266002号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
球状金属ナノ粒子を配線材料として使用する場合、ペーストや溶液中での分散安定性を向上させるため、分散剤の使用量が多くなる傾向があり、導電性にばらつきが生じるとともに、低温焼成域においては高い導電性を得にくいと云う問題がある。また、導電性確保のため、導電性ペースト中の金属含有量をできるだけ高くする必要があるが、高濃度領域においては、経時安定性に課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決したものであり、金属ナノロッドと球状の金属ナノ粒子とを混合して使用することによって、これら金属微粒子を含有する組成物が低温焼成処理によっても安定して高い導電性を有するようにしたものである。
【0006】
すなわち、本発明によれば以下の構成からなる金属微粒子含有組成物とその用途が提供される。
(1)ナノサイズのロッド状の金属微粒子(金属ナノロッド)と、ナノサイズの球状の金属微粒子(金属ナノ粒子)を含有することを特徴とする金属微粒子含有組成物。
(2)金属ナノロッドのアスペクト比が1より大きく、長軸が400nm未満である上記(1)の金属微粒子含有組成物。
(3)金属ナノ粒子の平均一次粒子径が1nm以上であって10nm以下である上記(1)または(2)に記載する金属微粒子含有組成物。
(4)アスペクト比が5〜10であって長軸が100nm以下の金属ナノロッドと、平均一次粒子径1〜10nmの金属ナノ粒子を含有する上記(1)〜(3)の何れかに記載する金属微粒子含有組成物。
(5)金属ナノロッドと金属ナノ粒子の重量比率(金属ナノロッド/金属ナノ粒子)が95/5〜10/90である上記(1)〜(4)の何れかに記載する金属微粒子含有組成物。
(6)金属ナノロッドと金属ナノ粒子の含有量が1重量%〜95重量%である上記(1)〜(5)の何れかに記載する金属微粒子含有組成物。
(7)上記金属が、金、銀、銅、白金、パラジウム、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、イリジウム、鉄、錫、亜鉛、コバルト、ニッケル、クロム、チタン、タンタル、タングステン、インジウムの1種類または2種類以上から選ばれる金属、またはその合金である上記(1)〜(6)の何れかに記載する金属微粒子含有組成物。
(8)金属ナノロッド、金属ナノ粒子、分散剤、および分散媒からなる上記(1)〜(7)の何れかに記載する金属微粒子含有組成物。
(9)金属ナノロッド、金属ナノ粒子、分散剤、分散媒、およびバインダー(樹脂)からなる上記(1)〜(8)の何れかに記載する金属微粒子含有組成物。
(10)分散剤が窒素原子および/または硫黄原子を含有する上記(8)または(9)に記載する金属微粒子含有組成物。
(11)上記(1)〜(10)の何れかに記載する金属微粒子含有組成物からなる導電性ペースト、導電性塗料。
(12)上記(1)〜(10)の何れかに記載する金属微粒子含有組成物からなる被膜、またはフィルム。
(13)上記(1)〜(10)の何れかに記載された金属微粒子含有組成物からなる光学フィルター材料、配線材料、電極材料、触媒、着色剤、化粧品、近赤外線吸収剤、光記録材料、偏光材料、偽造防止用インク、電磁波シールド材、表面増強ラマンセンサー、生体マーカー、バイオセンサー、DNAチップ、ドラッグデリバリーシステム(DDS)用薬物保持体、検査薬、またはナノ導波路。
【0007】
〔具体的な説明〕
本発明の金属微粒子含有組成物は、ナノサイズのロッド状の金属微粒子と、ナノサイズの球状の金属微粒子を含有することを特徴とする。なお、ナノサイズのロッド状の金属微粒子を金属ナノロッドと云い、ナノサイズの球状の金属微粒子を金属ナノ粒子と云う。また、金属ナノロッドと金属ナノ粒子を併せて金属微粒子と云う。ナノサイズの金属微粒子とは、例えば、短軸が数十nm以下、長軸が数百nm以下の金属微粒子である。
【0008】
本発明の金属微粒子含有組成物は、好ましくは、アスペクト比(長軸長さ/短軸長さ)が1より大きく、長軸が400nm未満の金属ナノロッドと、平均一次粒子径が1nm以上であって10nm以下の金属ナノ粒子を含有するものである。金属ナノロッドの長軸が400nm以上になると、これを溶媒に分散させたときに溶媒中で沈降し易くなり、分散性が低下する傾向がある。また、金属ナノ粒子の平均一次粒子径が10nmよりも大きいと、この粒子径に起因する光吸収(プラズモン吸収)が顕著になるので、金属微粒子含有物を光学フィルター等の光学材料に利用するうえで好ましくない場合がある。
【0009】
金属ナノロッドと金属ナノ粒子の具体的な組合せとしては、例えば実施例に示すように、アスペクト比が5〜10であって長軸が100nm以下の金属ナノロッドと、平均一次粒子径1〜10nmの金属ナノ粒子を含有するものである。
【0010】
本発明の金属微粒子含有組成物は、金属ナノロッドと金属ナノ粒子の重量比率(金属ナノロッド/金属ナノ粒子)の割合は95/5〜10/90の範囲が適当である。例えば、配線材料の場合には、金属ナノロッドと金属ナノ粒子の重量比率は95/5〜80/20が好ましい。両者がこの割合で混在すれば、金属ナノロッドの隙間に金属ナノ粒子が適度に分散して接触した状態となり、優れた導電性を得ることができる。金属ナノロッドの重量比率がこれより小さいと、両粒子どうしの接触が少なくなるので比抵抗値が高くなる。また、金属ナノロッドの重量比率がこれより大きいと、金属ナノロッド相互の隙間に金属ナノ粒子が適度に分散し難いために導電性が向上しない傾向がある。
【0011】
本発明の金属微粒子含有組成物は、金属ナノロッドと金属ナノ粒子の合計含有量が1重量%〜95重量%であるものが好ましい。この含有量が1重量%よりも少ないと光学フィルター等としての効果が十分に得られ難い。なお、導電材料として用いる場合には上記含有量は5重量%以上が好ましい。一方、この含有量が95重量%を超えてもこれらの効果は大差ない。
【0012】
上記金属微粒子の金属種は、金、銀、銅、白金、パラジウム、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、イリジウム、鉄、錫、亜鉛、コバルト、ニッケル、クロム、チタン、タンタル、タングステン、インジウムの1種類または2種類以上から選ばれる金属、またはその合金などである
【0013】
上記金属ナノロッドは、電解法、化学還元法、光還元法などによって製造することができる。電解法は、界面活性剤を含む水溶液中で定電流電解し、陽極の金属板から金属イオンを溶脱させて金属ナノロッドを生成する。上記界面活性剤としては次式[1]で示す4級アンモニウム塩が知られており、さらにテトラドデシルアンモニウムブロミド(TDAB)などが添加されている。この界面活性剤の種類や添加量、電解条件などを調整することによって、金属微粒子の長さを制御することができる。
CH3(CH2)nN+(CH3)3Br-(n=1〜17)・・・…[1]
【0014】
化学還元法は、例えば、塩化金酸溶液中に還元剤を加えて金イオンを化学的に還元して金微粒子を生成させる方法であり、塩化金酸の量やその他の反応条件を調整することによって、金属ナノロッドの長さを制御することがでる。化学還元法によれば電解法よりも長軸が長い金ナノロッドを作成することができる。光還元法は還元剤に代えて紫外線照射によって金属イオンを還元する方法であり、紫外線の照射時間等を調整することによって金属ナノロッドの軸長を制御することができる。本発明に用いる金属ナノロッドは上記何れの方法によって製造したものであっても良い。
【0015】
金属ナノ粒子は化学的還元法によって製造することができる。例えば、銀ナノ粒子は硝酸銀溶液中に還元剤を加えて銀イオンを化学的に還元して製造することができる。還元剤の還元力の強さやその他の反応条件を調整することによって、金属ナノ粒子の粒子径を制御することができる。
【0016】
本発明の金属微粒子含有組成物は、上記金属ナノロッドおよび金属ナノ粒子と共に分散剤および分散媒を含むもの、あるいは、分散剤および分散媒と共にバインダー(樹脂)を含有するものなど上記金属微粒子以外の成分を含有することができる。例えば、上記金属ナノロッドおよび金属ナノ粒子を分散剤と共に水や有機溶媒に分散させた金属微粒子分散液、さらに、この金属微粒子分散液にバインダー(樹脂)を加えた分散液または分散ペーストなどの形態で利用することができる。
【0017】
上記金属ナノロッドおよび金属ナノ粒子と共に用いる分散剤は、これらの金属微粒子に対して高い吸着性を窒素原子および/または硫黄原子を含有するものが好ましい。上記窒素原子を有する分散剤としては、市販されているものを使用することができ、例えば、ソルスパース13940、ソルスパース24000SC、ソルスパース28000、ソルスパース32000(以上、アビシア社製品)、フローレンDOPA-15B、フローレンDOPA-17(以上、共栄社化学社製品)、アジスパーPB814、アジスパーPB711(以上、味の素ファインテクノ社製品)などが挙げられる。例えば、ソルスパース24000SCは金属ナノロッドに対して吸着性の高い元素である窒素を吸着部位として主鎖中に多数有し、側鎖は芳香族類、ケトン類、エステル類などの非水溶媒に対して高い溶解性を有するいわゆる櫛型構造の分散剤であり、金属ナノロッド表面に窒素部位で吸着した状態で非水溶媒中に安定分散することが可能である。また、上記イオウ原子を有する分散剤としては、例えば、ブタンチオール、ヘキサンチオール、オクタンチオール、デカンチオール、ドデカンチオールなどが挙げられる。
【0018】
バインダーとして用いられる樹脂は塗料用や成形用に通常利用されている可視光線から近赤外光領域の光に対して透過性を有する各種樹脂を特に制限無く使用できる。例えばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、等の各種有機樹脂や、ラジカル重合性のオリゴマーやモノマー(場合により硬化剤やラジカル重合開始剤と併用する)が代表的なものとして挙げられる。
【0019】
上記金属微粒子含有組成物において用いる溶媒としては、例えば、バインダー(樹脂)が溶解もしくは安定に分散するような溶媒を適宜選択すればよく、具体的には、水の他に、メタノール、エタノール、プロパノール、ヘキサノール、エチレングリコール等のアルコール類、キシレンやトルエン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチルや酢酸ブチル等のエステル類、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル等、あるいはこれらの混合物が代表的なものとして挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
上記金属ナノロッドおよび金属ナノ粒子を分散剤および分散媒と共にバインダー(樹脂)に配合した組成物は、コーティング組成物ないし塗料組成物、塗膜、フィルム、または板材など多様な形態で用いることができる。さらに、この金属ナノロッドおよび金属ナノ粒子を含有する組成物によって光学フィルターを得ることができる。具体的には、例えば、(イ)可視光線および近赤外光を吸収したい透明基材に直接に本発明の組成物を塗布もしくは印刷し、可視光線・近赤外光吸収フィルターとしての硬化塗膜を形成させる。(ロ)本発明の組成物をフィルム状や板状等に形成し、その組成物を可視光線・近赤外光吸収フィルターとして可視光線・近赤外光を吸収したい透明基材に積層もしくは包囲する。(ハ)本発明の組成物によって形成した上記塗膜やフィルムなどの形成物を透明なガラス製もしくはプラスチック製基材に積層させ、その積層体を可視光線・近赤外光吸収フィルターとして可視光線・近赤外光を吸収したい基材に積層もしくは包囲して用いる。
【0021】
さらに、本発明の金属ナノロッドおよび金属ナノ粒子を含有する組成物は、配線材料、電極材料、触媒、着色剤、化粧品、近赤外線吸収剤、光記録材料、偏光材料、偽造防止用インク、電磁波シールド材などの材料として好適であり、さらに表面増強ラマンセンサー、生体マーカー、バイオセンサー、DNAチップ、ドラッグデリバリーシステム(DDS)用薬物保持体、検査薬、またはナノ導波路の材料として用いることができる。
【0022】
例えば、本発明の金属ナノロッドおよび金属ナノ粒子を含有する分散液等を偽造防止インクの材料などに用い、金属ナノロッド等による特定波長の光吸収能効果を偽造判定に利用することができる。あるいは、この光吸収効果を表面増強赤外分光法や表面増強蛍光分光法に基づくセンサーとして利用することができる。また、生体の特定部位に本発明の金属微粒子含有組成物を付着させ、その光吸収作用によって生体を染色することができるので、従来は観察できなかった生体材料を観察することが可能になる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の金属微粒子含有組成物は、金属ナノロッドと金属ナノ粒子の両方を含み、金属ナノロッドの間に金属ナノ粒子が適度に分散し、これらの金属微粒子が相互に接触した状態が多くなるので、優れた導電性を得ることができる。また、本発明の金属微粒子含有組成物は金属ナノロッドの間に金属ナノ粒子が適度に分散した状態であるので、比較的低温で焼結し、安定な導電性塗膜を得ることことができる。
【0024】
さらに、本発明の金属微粒子含有組成物は、好ましくは平均一次粒子径が5nm以下の金属ナノ粒子を用いることによって、この粒子径に起因する光吸収(530nm付近の光吸収)を実質的に生じないようにし、主に金属ナノロッドの長軸に起因する光吸収を利用した光学フィルターを得ることができる。本発明の金属微粒子含有組成物は上述の優れた導電性および光吸収特性を利用した各種用途の材料として用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を実施例および比較例によって具体的に示す。各実施例および比較例において、金微粒子塗布基板をそれぞれ3枚作製し、比抵抗値を測定した。結果を表1に示した。
【実施例1】
【0026】
アスペクト比6.0の金ナノロッド(長軸約50nm)5.7g、および平均一次粒子径5nmの金ナノ粒子0.3gを、アミノ基含有高分子系分散剤(ソルスパース24000SC)0.6gと共に、トルエン10gに混合し、さらにアクリル樹脂0.4gを加えて金微粒子含有塗料を調製した。この塗料をガラス基板に塗布し、乾燥して金微粒子塗布基板を得た。
【実施例2】
【0027】
アスペクト比5.0の金ナノロッド(長軸約50nm)0.6g、および平均一次粒子径5nmの銀ナノ粒子5.4gを、n−デシルアミン0.8gと共に、トルエン10gに混合し、さらにアクリル樹脂0.4gを加えて金微粒子含有塗料を調製した。この塗料をガラス基板に塗布し、乾燥して金微粒子塗布基板を得た。
【実施例3】
【0028】
アスペクト比5.0の銀ナノロッド(長軸約50nm)5.7gを使用すること以外は実施例1と同様にして金微粒子含有塗料を調製した。この塗料をガラス基板に塗布し、乾操して金微粒子塗布基板を得た。
【実施例4】
【0029】
アスペクト比10.0の金ナノロッド〈長軸約80nm)5.3g、および平均一次粒子径5nmの銀ナノ粒子0.7gを使用すること以外は実施例1と同様にして金微粒子含有塗料を調製した。この塗料をガラス基板に塗布し、乾燥して金微粒子塗布基板を得た。
【比較例】
【0030】
〔比較例1〕
球状金ナノ粒子(平均一次粒子径10nm)6gをアミノ基含有高分子系分散剤(ソルスパース24000SC)0.6gと共にトルエン10gに混合し、さらにアクリル樹脂0.4gを加えて金ナノ粒子含有塗料を調製した。この塗料をガラス基板に塗布し、乾燥して金ナノ粒子塗布基板を得た。
【0031】
〔比較例2〕
アスペクト比5.0の金ナノロッド(長軸約50nm)6gを、アミノ基含有高分子系分散剤(ソルスパース24000SC)0.6gと共に、トルエン10gに混合し、さらにアクリル樹脂0.4gを加えて金ナノロッド含有塗料を調製した。この塗料をガラス基板に塗布し、乾燥して金ナノロッド塗布基板を得た。
【0032】

【表1】

【0033】
表1の結果に示すように、本発明の金属微粒子含有組成物は、200℃×1時間の比較的低温で加熱処理しても、比抵抗値は1.0×10-5と極めて小さく、安定な導電性を得ることができる。一方、同条件で処理した比較例1、2の比抵抗は上記実施例の比抵抗値の約10〜100倍であり、本発明より大幅に高い。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノサイズのロッド状の金属微粒子(金属ナノロッド)と、ナノサイズの球状の金属微粒子(金属ナノ粒子)を含有することを特徴とする金属微粒子含有組成物。
【請求項2】
金属ナノロッドのアスペクト比が1より大きく、長軸が400nm未満である請求項1の金属微粒子含有組成物。
【請求項3】
金属ナノ粒子の平均一次粒子径が1nm以上であって10nm以下である請求項1または2に記載する金属微粒子含有組成物。
【請求項4】
アスペクト比が5〜10であって長軸が100nm以下の金属ナノロッドと、平均一次粒子径1〜10nmの金属ナノ粒子を含有する請求項1〜3の何れかに記載する金属微粒子含有組成物。
【請求項5】
金属ナノロッドと金属ナノ粒子の重量比率(金属ナノロッド/金属ナノ粒子)が95/5〜10/90である請求項1〜4の何れかに記載する金属微粒子含有組成物。
【請求項6】
金属ナノロッドと金属ナノ粒子の含有量が1重量%〜95重量%である請求項1〜5の何れかに記載する金属微粒子含有組成物。
【請求項7】
上記金属が、金、銀、銅、白金、パラジウム、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、イリジウム、鉄、錫、亜鉛、コバルト、ニッケル、クロム、チタン、タンタル、タングステン、インジウムの1種類または2種類以上から選ばれる金属、またはその合金である請求項1〜6の何れかに記載する金属微粒子含有組成物。
【請求項8】
金属ナノロッド、金属ナノ粒子、分散剤、および分散媒からなる請求項1〜7の何れかに記載する金属微粒子含有組成物。
【請求項9】
金属ナノロッド、金属ナノ粒子、分散剤、分散媒、およびバインダー(樹脂)からなる請求項1〜8の何れかに記載する金属微粒子含有組成物。
【請求項10】
分散剤が窒素原子および/または硫黄原子を含有する請求項8または9に記載する金属微粒子含有組成物。
【請求項11】
請求項1〜10の何れかに記載する金属微粒子含有組成物からなる導電性ペースト、導電性塗料。
【請求項12】
請求項1〜10の何れかに記載する金属微粒子含有組成物からなる被膜、またはフィルム。
【請求項13】
請求項1〜10の何れかに記載された金属微粒子含有組成物からなる光学フィルター材料、配線材料、電極材料、触媒、着色剤、化粧品、近赤外線吸収剤、光記録材料、偏光材料、偽造防止用インク、電磁波シールド材、表面増強ラマンセンサー、生体マーカー、バイオセンサー、DNAチップ、ドラッグデリバリーシステム(DDS)用薬物保持体、検査薬、またはナノ導波路。


【公開番号】特開2006−70300(P2006−70300A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−252555(P2004−252555)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【出願人】(000003322)大日本塗料株式会社 (275)
【Fターム(参考)】