説明

金属樹脂複合体および回路基板、積層回路基板

【課題】樹脂層と金属層との積層体として反りや両者の剥離が生じ難く、素子やパッケージの絶縁性基板や絶縁性放熱板に使用できる金属樹脂複合体を提供する。
【解決手段】Mo金属層と、ポリイミド樹脂層との積層体である金属樹脂複合体であって、線膨張係数が−5ppm/℃〜+7ppm/℃である金属樹脂複合体であり、350℃の反りが3%以下である金属樹脂複合体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低熱膨張金属であるMo(金属モリブデン)層上に同等の線膨張係数を有する特定のポリイミド樹脂層(フィルム)を積層することで、全体として線膨張率が小さい、そのため加熱時の反りなどが抑制された回路基板、絶縁性放熱板、電力素子など発熱の大きい素子などの基板などとして使用できる金属樹脂複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の半導体装置(パッケージ)におけるプリント配線基板などの絶縁基材にポリイミド樹脂やポリイミドフィルムなどが使用されているが、いずれのポリイミド樹脂やポリイミドフィルムにおいても環境耐久性特に耐熱耐久性が充分に満足し得るもの、特に高温における平面方向での変形に対して耐久性を保持したものは知られていない。
また従来の混成集積回路(ハイブリッドIC)においては、樹脂等よりなる配線基板上に素子が装着されるが、その基板の線熱膨張率がフリップチップ実装されるシリコンチップの線熱膨張率よりかなり大きく(例えばその値は、ガラスエポキシ基板で12〜13ppm/℃、シリコン;3〜4ppm/℃)、フリップチップを大型化し多バンプ化した際には接合部へのストレス(応力)が大きく接合部の信頼性が乏しくなるという問題があった。
【0003】
これらの問題を解決するために、表面に素子が配置される配線基板の裏面に前記素子の形成材料とその熱膨張率を近似させた第2の基板を接合した混成集積回路、また表面に素子が配置される配線基板の裏面に前記素子の形成材料とその熱膨張率を近似させる第2の基板を接合するとともに、当該第2の基板の裏面に前記配線基板とその熱膨張率が接近した第3の基板を接合した混成集積回路(特許文献1参照)が提案されているが、配線基板と第2の基板との線膨張係数の差異に着目したものではなく、素子の膨張係数に近い第2の基板を使用することで素子と配線基板配線基板との接合部の信頼性を補償せんとするものである。
また、半導体パッケージ内部の接続信頼性に優れ、反り変形の少ない薄型軽量の半導体パッケージを提供するため、半導体素子と、該半導体素子を取り巻く如く配置される基板と、該基板の一方の面側であって半導体素子の内部接続端子側に、該内部接続端子と接続される配線と絶縁層が積層されてなる配線層とを有する半導体パッケージであって、前記基板は、樹脂層と、前記半導体素子を取り巻く30〜200℃の平均熱膨張係数が−5ppm/℃以上10ppm/℃以下の低熱膨張金属層とが複合されている半導体パッケージ(特許文献2参照)が提案されているが、基板を構成する樹脂層としては、エポキシ、フェノール、BT、ポリイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、液晶ポリマー等の樹脂フィルムや、これらの樹脂をガラス等の無機質繊維やポリアミド等の有機質繊維等からなる織布、不織布に含浸させたプリプレグが挙げられており、低熱膨張金属層と樹脂層とは、たとえば、真空加熱プレス等により温度と圧力を用いて、両者を積層接着することが開示されており、少なくとも樹脂層の熱膨張係数に着目するものではない。
【0004】
これらの膨張係数に着目した積層は、一方の膨張係数には着目するものの、積層される(絶縁性)樹脂層と金属層両者の膨張係数をほぼ合致させて積層するものではなく両者間の膨張係数を同等にする思想も無いものであり、樹脂層と金属層との積層体としての反りや剥離に着目するものでもない。また、低線膨張係数を有するポリイミドフィルムを使用することで上記の課題を解決せんとする試みもなされているが、これら従来技術における導体金属層としては線膨張係数が16ppm/℃程度である銅金属層を使用しており、絶縁材としてのポリイミドフィルムの線膨張係数と銅のそれとの乖離による高温加熱時の反りを抑制することが困難であった。
【0005】
【特許文献1】特許第2586423号公報
【特許文献2】特開2004−071698号公報 これまで低熱膨張金属層としてMoはのぞましいと考えられてきたが、接着性に問題があり、低熱膨張金属であるMo(金属モリブデン)層上に同等の線膨張係数を有するベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸無水物類とを反応させて得られるポリイミドベンゾオキサゾールを主成分とするポリイミドフィルムを積層することで、全体として線膨張率が小さい、金属樹脂複合体を製造することが困難であった。 また、従来200℃までの温度領域での反りを問題としてきたが、これまで特許2の構成の積層体において350℃という高温でのプロセス中にも使用が可能となることが望まれていたが、これまでの構成では困難であった。 低熱膨張金属であるMo(金属モリブデン)層上に同等の線膨張係数を有するポリイミドフィルムを積層することで、全体として線膨張率が小さい、金属樹脂複合体で、回路を形成する、絶縁を保持するといった用途では、回路の微細化、放熱特性の向上といった観点から、該ポリイミドフィルムの厚さを薄くすることが望まれているが、薄くして、かつ膜厚変動も無いものでなければ、安定した製品を作成することが困難であるが、薄くなったときに厚さ斑の小さいポリイミドフィルムを作ることは困難であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、積層される(絶縁性)樹脂層とMo金属層両者の膨張係数をほぼ合致させて
積層し、両者間の膨張係数を同等にすることで、樹脂層と金属層との積層体としての反りや剥離が生じ難い金属樹脂複合体を提供せんとするものである。
小型化、高精細化、高密度化が可能である半導体装置、特に消費電力の高い発熱の大き
い半導体装置において、高い生産収率と環境耐久性に優れ、高密度実装(配線ピッチ狭くなる)、鉛フリー半田(半田温度の上昇)、消費電力による発熱などの熱履歴による基板の反り(カール)などの抑止されかつ両者間の積層が熱履歴によっても剥離が生じ難い基板を使用した半導体装置や絶縁性放熱板の提供を目的とする。
パッケージ及びそれを含む電子機器の製造工程での熱履歴、半導体駆動時の温度上昇、下降、その他部品による、温度上昇や下降による、反り、変形の発生を低減でき、このことから、パッケージ内接続信頼性、パッケージの外部との接続信頼性を高めることができる。熱が局所的に加わるときに、温度を伝え、広い領域に分散させるため、局所的な熱の上昇を緩和できる。
低線熱膨張係数を保有するポリイミド樹脂層とそれと同程度の線膨張係数を有するMo金属層とを積層した金属樹脂複合体により、高温加熱時においても反りや、変形を抑えることができることを見出し本発明に到達した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明は、以下の構成からなる。
1. Mo金属層と、ポリイミド樹脂層との積層体である金属樹脂複合体であって、線膨張係数が−5ppm/℃〜+7ppm/℃であることを特徴とする金属樹脂複合体。
2. 350℃の反りが3%以下である1.の金属樹脂複合体。
3. Mo金属層が、ポリイミド樹脂層に直接積層している1.〜2.いずれかの金属樹脂複合体。
4. ポリイミド樹脂層がベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸無水物類とを反応させて得られるポリイミドベンゾオキサゾールを主成分とするポリイミドフィルムである1.〜3.いずれかの金属樹脂複合体。
5. ポリイミド樹脂層厚さが9μm以下である1.〜4.いずれかの金属樹脂複合体。
6. 1.〜5.いずれかの金属樹脂複合体を用いた回路基板。
7. 1.〜5.いずれかの金属樹脂複合体をシリコンウエハに直接電気的に接合した回路基板。
8. 6.〜7.いずれかの回路基板を線膨張係数が+10ppm/℃以下の無機層と積層した積層回路基板。
【発明の効果】
【0008】
本発明のMo金属層と、ポリイミド樹脂層との積層体である金属樹脂複合体であって、
線膨張係数が−5ppm/℃〜+7ppm/℃である金属樹脂複合体は、小型化、高精細化、高密度化された半導体装置において、高密度実装(配線ピッチ狭くなる)や鉛フリー半田(半田温度の上昇)に伴い、消費電力による発熱などの熱履歴による基板の反り(カール)や(絶縁性)樹脂層と(補強や放熱のための)金属層との両者間の積層の熱履歴による剥離が生じ難い回路形成基板や絶縁性放熱板として極めて有用である。
半導体装置などにおける回路形成基板や絶縁性放熱板として本発明の金属樹脂複合体を使用した場合、これらの製造工程での熱履歴、半導体駆動時の温度上昇、下降、その他部品による温度上昇や下降による熱履歴によって、発生するこれらの反り、変形の発生また層間剥離を低減でき、パッケージ内接続信頼性、パッケージの外部との接続信頼性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のMo金属層と、ポリイミド樹脂層との積層体である金属樹脂複合体であって、線膨張係数が−5ppm/℃〜+7ppm/℃である金属樹脂複合体において、Mo金属層とは、Mo金属に不純物程度の他金属を
含有するMo合金およびMo単品の層であるが少なくともその金属層の線膨張係数が+4ppm/℃〜+7ppm/℃であること好ましい。
これらのMo金属層とポリイミド樹脂層との積層の方法は特に限定されるものではないが、Mo金属層とポリイミド樹脂層との圧着や、低熱膨張金属層にポリイミド樹脂を流延しイミド化する方法、ポリイミドフィルムに低熱膨張金属層をスパッタリング法や蒸着法などの乾式薄膜形成法で形成する方法が挙げられる、この積層において両者の積層が両者間で他を介在せずに直接積層する方法や、接着剤層などを介して積層する方法などが挙げられるが、好ましいのは、両者の積層が両者間で他を介在せずに直接積層する方法である。
【0010】
本発明において、線膨張係数は30℃から350℃の平均線膨張係数をもって表されるものであり、その測定は以下のようにして測定したものである。
『測定対象のポリイミド樹脂層(フィルム)および金属樹脂複合体について、下記条件にてMD方向およびTD方向の伸縮率を測定し、30℃〜40℃、40℃〜50℃、…と10℃の間隔での伸縮率/温度を測定し、この測定を370℃まで行い、30℃から350℃までの全測定値の平均値を線膨張係数(CTE)として算出した。
(なお金属層については、薄膜の場合は、そのスパッタターゲットあるいは、薄膜組成を蛍光X線分析して、0.1%以内で同一組成の厚さ0.1mm厚の薄板で測定を行った。30℃〜40℃、40℃〜50℃、…と10℃の間隔での伸縮率/温度を測定し、この測定を370℃まで行い、30℃から350℃までの全測定値の平均値を線膨張係数(CTE)として算出した。この場合、MD、TDの区別は行っていない。)
装置名 ; MACサイエンス社製TMA4000S
試料長さ ; 10mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/min
雰囲気 ; アルゴン』
【0011】
本発明の金属樹脂複合体に使用されるポリイミド樹脂層(フィルム)は、金属樹脂複合体として30℃から350℃の線膨張係数が−5ppm/℃〜+7ppm/℃となるポリイミド樹脂層であれば特に限定されるものではないが、好ましくは芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリイミド樹脂の層やフィルムであり、より好ましくは30℃から200℃の平均線膨張係数が−5ppm/℃〜10ppm/℃、さらに好ましくは−3ppm/℃〜6ppm/℃、特に好ましくは0ppm/℃〜3ppm/℃となるポリイミド樹脂の層である。
上述の「反応」は、特に限定はされないが、好ましくは溶媒中でジアミン類とテトラカルボン酸無水物類とを開環重付加反応に供してポリアミド酸溶液を得るものであり、フィルムの場合は、次いでこのポリアミド酸溶液からグリーンフィルムを成形した後に脱水縮合(イミド化)することにより製造することができ、樹脂層としては前記フィルムが好ましい形態であるがこれに限定されるものではなく、低熱膨張金属層に流延後に同様にしてイミド化したものであってもよい。
本発明における線膨張係数が−5ppm/℃〜+7ppm/℃である金属樹脂複合体において、より好ましくは線膨張係数が0ppm/℃〜+7ppm/℃のものである。
以下ポリイミド樹脂層の一であるフィルムについて記述する。
本発明における350℃での反りは、実施例の測定項目の項で記述する方法で測定されるものであり、3%以下が好ましく、より好ましくは2%以下、さらに好ましくは1.5%以下のものである。反りを低減するため、ポリイミドフィルム単体での反りを小さくすることが必要となるが、このためにはポリイミドフィルムの厚さ方向に見たときに、各部分での線膨張係数が一致していることが望まれる。これは、ポリアミド酸溶液を支持体上に塗布して乾燥するなどによりグリーンフィルムを得て、次いで、グリーンフィルムを熱処理に供することでイミド化反応させる方法について考えるなら、各工程を一定条件に管理するのみではばらつきを抑えることは出来ても、厚さ方向の均一性は得られない。ポリアミド酸溶液を支持体上に塗布して乾燥する工程自体が、支持体側と支持体と反対側で同じにはなりえないことが大きな理由となる。支持体側では溶媒の蒸発は起こらず、支持体と反対側のみで起こるためである。しかし、乾燥を単純に遅くすることで、支持体側と支持体と反対側の差を小さくしようとしても溶媒の乾燥と引き続いて起こる、分子配向、イミド化の過程へ影響を及ぼす為、達成困難となる。これらの過程をコントロールして、厚さ方向の線膨張係数の差が出にくい工程を設計する必要がある。
また、ポリイミドフィルム及び接着層ともに厚さを薄くすること望ましいが、薄くしてかつ厚み斑が少ない状態で無ければ、厚さ斑に起因するそりの発生、応力の集中も懸念される。
【0012】
本発明において、より好ましく使用されるポリイミドフィルムは、9μm以下の厚さより望ましくは、6μm以下の厚さで、かつ厚さ斑が20%以下より望ましくは10%以下、更に望ましくは 5%以下のフィルムである。薄くかつ厚さ斑の少ないポリイミドフィルム製造時におけるテンター式処理部(搬送装置)において、例えば、フィルムの両側端部において、処理製造されるフィルムとは別に用意した細幅にスリットしたポリイミド前駆体フィルムおよびまたはポリイミドフィルムとを重ね合わせてピンシートに設けられたピンに共に突き刺すことやクリップで把持することで、ポリアミド酸をイミド化する際などの500℃にも達する高温でも耐えて補強効果を充分に発揮して、フィルムの縦方向、幅方向に長孔状などに破断して収率の低下や品質不良が発生し易い課題を解消することができ、結果的に製造された極薄ポリイミドフィルムにおける品質上の課題が解消可能となり、厚さ斑の少ない寸法安定性に優れた極薄ポリイミドフィルムが得られ、この極薄ポリイミドフィルムは高温における安定性特に寸法安定性に優れ、厚さ斑の少ないフィルムである。
本発明において、より好ましく使用されるポリイミドフィルムは、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類が、全ジアミンの80〜100mol%の範囲であるジアミン類とテトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリイミドフィルムであり、例えばその製造方法としては、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類とテトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリアミド酸溶液(A)と、ベンゾオキサゾール構造を有さない芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリアミド酸溶液(B)とを、A:Bが80〜100:20〜0のmol比で、好ましくはA:Bが90〜100:10〜0のmol比で混合し、混合溶液を支持体上に塗布・流延し、乾燥して自己支持性フィルム(グリーンフィルム)を得て、このグリーンフィルムを150℃〜500℃の範囲で熱処理して閉環イミド化してポリイミドフィルムとなす方法が挙げられ、この方法が好ましく採用される。
【0013】
本発明において、使用されるベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類としては、具体的には以下のものが挙げられる。
【0014】
【化1】

【0015】
【化2】

【0016】
【化3】

【0017】
【化4】

【0018】
【化5】

【0019】
【化6】

【0020】
【化7】

【0021】
【化8】

【0022】
【化9】

【0023】
【化10】

【0024】
【化11】

【0025】
【化12】

【0026】
【化13】

【0027】
これらの中でも、合成のし易さの観点から、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールの各異性体が好ましい。ここで、「各異性体」とは、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールが有する2つアミノ基が配位位置に応じて定められる各異性体である(例;上記「化1」〜「化4」に記載の各化合物)。これらのジアミンは、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明は、前記ジアミンとは別に全ジアミンの20モル%未満で下記の芳香族ジアミンを使用してもよい。
そのようなジアミン類としては、例えば、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン。
【0028】
3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン。
【0029】
1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノシ)フェニル]ブタン、2,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン。
【0030】
1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ビフェニル、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド。
【0031】
2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−フルオロフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン。
【0032】
3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−ビフェノキシベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾニトリルおよび上記芳香族ジアミンにおける芳香環上の水素原子の一部もしくは全てがハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基またはアルコキシル基、シアノ基、またはアルキル基またはアルコキシル基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基またはアルコキシル基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。
【0033】
本発明で用いられるテトラカルボン酸類は好ましくは芳香族テトラカルボン酸無水物類である。芳香族テトラカルボン酸無水物類としては、具体的には、以下のものが挙げられる。中でも化4のピロメリット酸無水物が好ましく使用できる。
【0034】
【化14】

【0035】
【化15】

【0036】
【化16】

【0037】
【化17】

【0038】
【化18】

【0039】
【化19】

【0040】
これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明においては、全テトラカルボン酸二無水物の10モル%未満であれば、下記に例示される非芳香族のテトラカルボン酸二無水物類を一種または二種以上、併用しても構わない。そのようなテトラカルボン酸無水物としては、例えば、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−エチルシクロヘキサン−1−(1,2),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物。
【0041】
ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0042】
ジアミン類と、テトラカルボン酸無水物類とを重合してポリアミド酸を得るときに用いる溶媒は、原料となるモノマーおよび生成するポリアミド酸のいずれをも溶解するものであれば特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックアミド、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、スルホラン、ハロゲン化フェノール類等があげられる。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。溶媒の使用量は、原料となるモノマーを溶解するのに十分な量であればよく、具体的な使用量としては、モノマーを溶解した溶液に占めるモノマーの重量が、通常5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%となるような量が挙げられる。
【0043】
ポリアミド酸を得るための重合反応(以下、単に「重合反応」ともいう)の条件は従来公知の条件を適用すればよく、具体例として、有機溶媒中、0〜80℃の温度範囲で、10分〜70時間連続して撹拌および/または混合することが挙げられる。必要により重合反応を分割することや、温度を上下させてもかまわない。この場合に、両モノマーの添加順序には特に制限はないが、例えば芳香族ジアミン類の溶液中に芳香族テトラカルボン酸無水物類を添加するのが好ましい。重合反応によって得られるポリアミド酸溶液に占めるポリアミド酸の重量は、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは10〜30重量%であり、前記溶液の粘度はブルックフィールド粘度計による測定(25℃)で、送液の安定性の点から、好ましくは10〜2000Pa・sであり、より好ましくは100〜1000Pa・sである。
本発明におけるポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)は、特に限定するものではないが2.0以上が好ましく、3.0以上がさらに好ましく、なおさらに4.0以上が好ましい。
【0044】
重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミド酸の有機溶媒溶液を製造するのに有効である。また、重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封止剤を添加して重合を制御することを行ってもよい。末端封止剤としては、無水マレイン酸等といった炭素−炭素二重結合を有する化合物が挙げられる。無水マレイン酸を使用する場合の使用量は、芳香族ジアミン類1モル当たり好ましくは0.001〜1.0モルである。
重合反応により得られるポリアミド酸溶液から、ポリイミドフィルムを形成するためには、ポリアミド酸溶液を支持体上に塗布して乾燥するなどによりグリーンフィルムを得て、次いで、グリーンフィルムを熱処理に供することでイミド化反応させる方法が挙げられる。
【0045】
ポリアミド酸溶液を塗布する支持体は、ポリアミド酸溶液をフィルム状に成形するに足る程度の平滑性、剛性を有していればよく、表面が金属、プラスチック、ガラス、磁器などであるドラムまたはベルト状回転体などが挙げられる。中でも、支持体の表面は好ましくは金属であり、より好ましくは錆びなくて耐腐食に優れるステンレスである。支持体の表面にはCr、Ni、Snなどの金属メッキを施してもよい。支持体表面は必要に応じて鏡面にすることや、あるいは梨地状に加工することができる。支持体へのポリアミド酸溶液の塗布は、スリット付き口金からの流延、押出機による押出し、スキージコーティング、リバースコーティング、ダイコーティング、アプリケータコーティング、ワイヤーバーコーティング等を含むが、これらに限られず、従来公知の溶液の塗布手段を適宜用いることができる。
【0046】
グリーンフィルムを自己支持性が出る程度に乾燥する際に、乾燥後の全重量に対する残留溶媒量を制御することにより表裏面のイミド化率とその差が所定の範囲のグリーンフィルムを得ることができる。具体的には、乾燥後の全重量に対する残留溶媒量は、好ましくは25〜50重量%であり、より好ましくは35〜50重量%とするグリーンフィルムの製法である。当該残留溶媒量が25重量%より低い場合は、グリーンフィルム一方の側のイミド化率が相対的に高くなりすぎ、表裏面のイミド化率の差が小さいグリーンフィルムを得ることが困難になるばかりか、分子量低下により、グリーンフィルムが脆くなりやすい。また、50重量%を超える場合は、自己支持性が不十分となり、フィルムの搬送が困難になる場合が多い。
【0047】
乾燥後の全重量に対する残留溶媒量が所定の範囲であるグリーンフィルムを得るための乾燥条件としては、例えば、N−メチルピロリドンを溶媒として用いる場合は、乾燥温度は、好ましくは70〜130℃、より好ましくは75〜125℃であり、さらに好ましくは80〜120℃である。乾燥温度が130℃より高い場合は、分子量低下がおこり、グリーンフィルムが脆くなりやすい。また、グリーンフィルム製造時にイミド化が一部進行し、イミド化工程時に所望の物性が得られにくくなる。また70℃より低い場合は、乾燥時間が長くなり、分子量低下がおこりやすく、また乾燥不十分でハンドリング性が悪くなる傾向がある。また、乾燥時間としては乾燥温度にもよるが、好ましくは10〜90分間であり、より好ましくは15〜80分間である。乾燥時間が90分間より長い場合は、分子量低下がおこり、フィルムが脆くなりやすく、また10分間より短い場合は、乾燥不十分でハンドリング性が悪くなる傾向がある。また、乾燥効率の向上または乾燥時気泡発生の抑制のために、70〜130℃の範囲で温度を段階的に昇温して、乾燥してもよい。
【0048】
このような条件を達成する乾燥装置も従来公知のものを適用でき、熱風、熱窒素、遠赤外線、高周波誘導加熱などを挙げることができる。
熱風乾燥を行う場合は、グリーンフィルムを自己支持性が出る程度に乾燥する際に、グリーンフィルム表裏面のイミド化率の範囲およびその差を所定範囲にするために、支持体の上面/下面の温度差を10℃以下、好ましくは5℃以下に制御するのが好ましく、上面/下面の熱風温度を個別にコントロールすることにより、当該温度差を制御すること必要である。
【0049】
グリーンフィルムのイミド化方法としては、従来公知のイミド化反応を適宜用いることが可能である。例えば、閉環触媒や脱水剤を含まないポリアミド酸溶液を用いて、加熱処理に供することでイミド化反応を進行させる方法(所謂、熱閉環法)やポリアミド酸溶液に閉環触媒および脱水剤を含有させておいて、上記閉環触媒および脱水剤の作用によってイミド化反応を行わせる、化学閉環法を挙げることができるが、ポリイミドフィルム表裏面の表面面配向度の差が小さいポリイミドフィルムを得るためには、熱閉環法が好ましい。
熱閉環法の加熱最高温度は、100〜500℃程度であるが、好ましくは200〜480℃である。加熱最高温度がこの範囲より低いと充分に閉環されづらくなり、またこの範囲より高いと劣化が進行し、フィルムが脆くなりやすくなる。より好ましい態様としては、150〜250℃で3〜20分間処理した後に350〜500℃で3〜20分間処理する2段階熱処理が挙げられる。
【0050】
化学閉環法では、ポリアミド酸溶液を支持体に塗布した後、イミド化反応を一部進行させて自己支持性を有するフィルムを形成した後に、加熱によってイミド化を完全に行わせることができる。この場合、イミド化反応を一部進行させる条件としては、好ましくは100〜200℃による3〜20分間の熱処理であり、イミド化反応を完全に行わせるための条件は、好ましくは200〜400℃による3〜20分間の熱処理である。
閉環触媒をポリアミド酸溶液に加えるタイミングは特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。閉環触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどといった脂肪族第3級アミンや、イソキノリン、ピリジン、ベータピコリンなどといった複素環式第3級アミンなどが挙げられ、中でも、複素環式第3級アミンから選ばれる少なくとも一種のアミンが好ましい。ポリアミド酸1モルに対する閉環触媒の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.5〜8モルである。
【0051】
脱水剤をポリアミド酸溶液に加えるタイミングも特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。脱水剤の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などといった脂肪族カルボン酸無水物や、無水安息香酸などといった芳香族カルボン酸無水物などが挙げられ、中でも、無水酢酸、無水安息香酸あるいはそれらの混合物が好ましい。また、ポリアミド酸1モルに対する脱水剤の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.1〜4モルである。脱水剤を用いる場合には、アセチルアセトンなどといったゲル化遅延剤を併用してもよい。
【0052】
熱閉環反応であっても、化学閉環法であっても、支持体に形成されたポリイミドフィルムの前駆体(グリーンシート、フィルム)を完全にイミド化する前に支持体から剥離してもよいし、イミド化後に剥離してもよい。
ポリイミドフィルムの厚さは特に限定されないが、通常1〜100μm、好ましくは1〜9μmであり、なかでも特に好ましいのは9μm以下さらに好ましくは7μm以下のポリイミドフィルムであり、しかもこれらの薄いポリイミドフィルムであってかつその厚み斑が20%以下、好ましくは5%以下のポリイミドフィルムであり、この薄い厚み斑の小さいフィルムとMo金属層とを積層することで本発明の効果である、高温時の反りの少ない金属樹脂複合体が得られる。
この厚さはポリアミド酸溶液を支持体に塗布する際の塗布量や、ポリアミド酸溶液の濃度によって容易に制御し得る。
熱閉環法とは、ポリアミド酸を加熱することでイミド化する方法である。ポリアミド酸溶液に閉環触媒および脱水剤を含有させておいて、上記閉環触媒および脱水剤の作用によってイミド化反応を促進しても構わない。この方法では、ポリアミド酸溶液を支持体に塗布した後、イミド化反応を一部進行させて自己支持性を有するフィルムを形成した後に、加熱によってイミド化を完全に行わせることができる。
閉環触媒をポリアミド酸溶液に加えるタイミングは特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。閉環触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどといった脂肪族第3級アミンや、イソキノリン、ピリジン、ベータピコリンなどといった複素環式第3級アミンなどが挙げられ、中でも、複素環式第3級アミンから選ばれる少なくとも一種のアミンが好ましい。ポリアミド酸1モルに対する閉環触媒の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.5〜8モルである。
【0053】
脱水剤をポリアミド酸溶液に加えるタイミングも特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。脱水剤の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などといった脂肪族カルボン酸無水物や、無水安息香酸などといった芳香族カルボン酸無水物などが挙げられ、中でも、無水酢酸、無水安息香酸あるいはそれらの混合物が好ましい。また、ポリアミド酸1モルに対する脱水剤の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.1〜4モルである。脱水剤を用いる場合には、アセチルアセトンなどといったゲル化遅延剤を併用してもよい。
支持体に形成されたポリイミドフィルムの前駆体(グリーンシート、フィルム)を完全にイミド化する前に支持体から剥離してもよいし、イミド化後に剥離してもよい。
【0054】
本発明で使用するポリイミドフィルムまたは樹脂層には、滑材をポリイミド中に添加含有せしめるなどしてフィルムや樹脂層の表面に微細な凹凸を付与しフィルムや樹脂層の滑り性を改善することが好ましい。
滑材としては、無機や有機の0.03μm〜1μm程度の平均粒子径を有する微粒子が使用でき、具体例として、酸化チタン、アルミナ、シリカ、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、燐酸水素カルシウム、ピロ燐酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、粘土鉱物などが挙げられる。
本発明で使用されるポリイミドフィルムは、通常は無延伸フィルムであるが、1軸または2軸に延伸しても構わない。ここで、無延伸フィルムとは、テンター延伸、ロール延伸、インフレーション延伸などによってフィルムの面拡張方向に機械的な外力を意図的に加えずに得られるフィルムをいう。
【0055】
本発明の金属樹脂複合体を使用しての回路基板を作成する場合には、本発明の金属樹脂複合体の低熱膨張金属層を回路化することで得られる。
【0056】
本発明においては、金属樹脂複合体の表面にMo金属層を形成する前にポリイミドフィルムの表面を表面処理してもよい、例えば表面処理を施したポリイミドフィルムの片面または両面にMo金属層を積層する際、下地金属層を予め形成して主金属層であるMo金属層を形成してもよく、これらの下地金属層として使用される金属としては、ポリイミドフィルムとの密着性を強固にするもの、拡散がないこと、耐薬品性や耐熱性が良いこと等の特性を有するものであれば限定されるものではないが、クロム、ニッケル、TiN、Mo含有Cuが好適な例として挙げることができる。
前記した下地金属層は、例えば表面処理を施したフィルムの片面または両面に、クロム、ニッケル、TiN、Mo含有Cuなどの金属からなる群から選択した1種以上を、好適にはスパッタリング法、イオンプレーティング法で蒸着させて、下地金属層を形成する。この場合、加工の安定性、プロセスの簡素化、蒸着層の均一性を良好にし、カールの発生を少なくするスパッタリング法がより好適である。
下地金属層の膜厚は、1〜50nm(10〜500Å)の範囲が好ましく、2〜10nm(20〜100Å)の範囲がより好ましい。
【0057】
前記下地金属層上または直接金属樹脂複合体の表面に、Mo金属層を設けることができる。
これらの主金属層の形成方法は、乾式製膜方法または湿式製膜方法であればよく、この主金属層の膜厚(層厚)は、2μm〜50μmの範囲が好適である。
本発明の金属樹脂複合体は、上記の如くして、例えばFPC(フレキシブルプリント配線用基板)などとして極めて効果的に使用することができるが、本発明の金属樹脂複合体からのFPCなどは、高密度実装(配線ピッチ狭くなる)、鉛フリー半田(半田温度の上昇)、消費電力による発熱などの熱履歴による基板の反り(カール)などの抑止されかつ両者間の積層が熱履歴によっても剥離が生じ難いフレキシブルプリント配線板などとすることができる。また、本発明の金属樹脂複合体から作成される回路基板を、線膨張係数(CTE)が+10ppm/℃以下の無機層と積層することで高温加熱時、高温使用時における反りのない積層回路基板が得られるが、CTEが+10ppm/℃以下の無機層としては、例えば、石英ガラスなどのガラス、シリコンウエハ、シリコンチップ、Ge基板、GaAs基板、セラミック基板、例えばアルミナを主成分とする基板、ガラス質によって低温焼成可能となった、カ゛ラスセラミック基板(Low Temperature Co-fired Ceramic Substrate)
、ベリリア基板(BeO)、ステアタイト基板(MgO・SiO2)、SiC基板、Mo放熱板、コバール合金による放熱板表層、Cu-W(W90%)合金板、コバールリードフレーム、Cu−Ni(Ni42%)合金リードフレームなどが挙げられる。上に挙げた基板に、回路形成、素子形成、薄膜層付与などされたものも含む。
また、本発明の金属樹脂複合体から作成される回路基板を、線膨張係数(CTE)が+10ppm/℃以下の無機層と積層するときに使用する接着剤としては、5%重量減少温度が400℃以上のポリイミドまたはポリアミドイミドから選ばれた接着剤が好ましい。
【実施例】
【0058】
以下、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性の評価方法は以下の通りである。
【0059】
1.ポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドンに溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により25℃で測定した。
(ポリアミド酸溶液の調製に使用した溶媒がN、N−ジメチルアセトアミドの場合はN、N−ジメチルアセトアミドを使用してポリマーを溶解し測定した。)
【0060】
2.ポリイミドフィルムの厚さ
マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン1254D)を用いて測定した。
【0061】
3.ポリイミドフィルムの引張弾性率、引張破断強度および引張破断伸度
測定対象のポリイミドフィルムを、流れ方向(MD方向)および幅方向(TD方向)にそれぞれ100mm×10mmの短冊状に切り出したものを試験片とした。引張試験機(島津製作所製、オートグラフ(商品名)、機種名AG−5000A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmの条件で、MD方向、TD方向それぞれについて、引張弾性率、引張破断強度および引張破断伸度を測定した。
【0062】
4.ポリイミド樹脂層(フィルム)の30℃から200℃の平均線膨張係数、低熱膨張金属の30℃から200℃の平均線膨張係数および金属樹脂複合体の30℃から200℃の平均線膨張係数線膨張係数
測定対象のポリイミド樹脂層(フィルム)、金属樹脂複合体について、下記条件にてMD方向およびTD方向の伸縮率を測定し、30℃〜40℃、40℃〜50℃、…と10℃の間隔での伸縮率/温度を測定し、この測定を250℃まで行い、30℃から200℃までの全測定値の平均値を平均線膨張係数(CTE)として算出した。
MD方向(縦方向)、TD方向(幅方向)の大きい方の値を、測定値として採用する。測定対象のMD,TDの区別が付かない場合は、直交する2方向に測定を行い、大きい方向の値を採用する。
(なお、低熱膨張金属層については、薄膜の場合は、そのスパッタターゲットと同一組成の厚さ0.1mm厚の薄板で測定を行った。30℃〜40℃、40℃〜50℃、…と10℃の間隔での伸縮率/温度を測定し、この測定を250℃まで行い、30℃から200℃までの全測定値の平均値を平均線膨張係数(CTE)として算出した。この場合、MD、TDの区別は行っていない。)

装置名 ; MACサイエンス社製TMA4000S
試料長さ ; 10mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/min
雰囲気 ; アルゴン

5.(5%重量減少温度)
測定対象のフィルムもしくはポリマー溶液につき、充分に乾燥させたものを試料として、下記条件で熱天秤測定(TGA)を行い、試料の重量が5%減る温度を5%重量減少温度とした。
装置名 ; MACサイエンス社製 TG−DTA2000S
パン ; アルミパン(非気密型)
試料重量 ; 10mg
昇温開始温度 ; 30℃
昇温速度 ; 20℃/min
雰囲気 ; アルゴン

【0063】
5.350℃での反り(%)
金属樹脂複合体の350℃での反り(%)とは、下記の所定の熱処理を行った前後の金属樹脂複合体やフィルムの面方向に対する厚さ方向への変形度合を意味し、具体的には、図1に示すように、50mm×50mmの試験片を、室温で平面上に試験片を凹状となるように静置し、四隅の平面からの距離(h1rt、h2rt、h3rt、h4rt:単位mm)の平均値を元の反り量(mm)とし、350℃で10分間熱風処理した後に、平面上に試験片を凹状となるように静置し、四隅の平面からの距離(h1、h2、h3、h4:単位mm)の平均値を反り量(mm)とし、これの元の反り量からの差を350℃での反り量とした。試験片の各頂点から中心までの距離(35.36mm)に対するカール量の百分率(%)で表される値である。
試料片は、金属樹脂複合体の全長に対して5分の1の長さピッチで幅方向に2点(幅長の1/3と2/3の点)を試験片の中心点として計10点をサンプリングし、測定値は10点の平均値とする。
但し、10点のサンプリングをするに十分な金属樹脂複合体がない場合は、可能な限り等間隔でサンプリングする。 具体的には、次式によって算出される。
元の反り量(mm)=(h1rt+h2rt+h3rt+h4rt)/4
反り量(mm)=(h1+h2+h3+h4)/4
350℃の反り量(mm)=反り量−元の反り量
350℃の反り(%)=100×(350℃の反り量)/35.36
【0064】
6.金属樹脂複合体の金属層の剥がれと皺
得られた金属樹脂複合体の少なくとも長さ0.3mを採取し、水平面に静置して、金属薄膜層の剥がれと皺とを目視観察し、ほとんど剥がれと皺が観察されないものを◎、剥がれと皺が僅かに観察できるものを△、剥がれと皺が多く観察できるものを×として判定した。
7.ポリイミドフィルムの厚さ斑(%)
厚さ斑(%)=((最大値−最小値)/平均厚み)×100
測定については、幅方向および長手方向に、マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン1254D)を用いて測定した。
幅方向(TD)については、幅方向1cm間隔で全幅測定し、その間の平均および最大値、最小値を出し、上式を用いて計算した。
長手方向(MD)については、長手方向5cm間隔で5m分測定し、その間の平均および最大値、最小値を出し、上式を用いて計算した。
【0065】
〔参考例1〕
(ポリアミド酸の重合−1)
<ベンゾオキサゾール構造を有するジアミンからなるポリアミド酸の重合>
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(DAMBO)500質量部を仕込んだ。次いで、N、N−ジメチルアセトアミド8000質量部を加えて完全に溶解させた後,ピロメリット酸二無水物(PMDA)485質量部を加え,25℃の反応温度で48時間攪拌すると,淡黄色で粘調なポリアミド酸溶液(A)が得られた。得られた溶液のηsp/Cは4.0dl/gであった。
【0066】
〔参考例2〕
<ポリアミド酸の重合−2>
テトラカルボン酸二無水物として3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)398質量部、パラフェニレンジアミン(PDA)147質量部を4600質量部のN、N−ジメチルアセトアミドに溶解し、温度を20℃以下に保ちながら同様に反応させてポリアミド酸溶液(B)を得た。得られた溶液のηsp/Cは3.0dl/gであった。
【0067】
〔参考例3〕
<ポリアミド酸の重合−3>
ピロメリット酸無水物545質量部、4,4'ジアミノジフェニルエーテル(ODA)500質量部を8000質量部のN、N−ジメチルアセトアミドに溶解し、温度を20℃以下に保ちながら同様に反応させてポリアミド酸溶液(C)を得た。得られた溶液のηsp/Cは2.2でdl/gあった。
【0068】
<接着剤およびそのフィルム作成−1>
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル368.4質量部、無水フタル酸59.24質量部、無水ピロメリット酸174.5質量部およびm−クレゾール2,172質量部を装入し、攪拌下200℃まで加熱し、200℃にて6時間保温した。次いで反応溶液にトルエンを装入し、析出物を濾別し、さらにトルエンにて洗浄を数回行った後、窒素雰囲気下250℃で6時間乾燥を行い、510質量部(収率90.1%)のポリイミド粉(D)を得た。ポリイミド粉(D)を、二軸押出機を用いて380〜410℃において混練、溶融して押出して造粒しペレットとした。得られたペレットを径50mmの単軸押出機(成形温度420℃)に供給し、Tダイ前部に装着した10μmのリーフディスクタイプのフィルターを通過させ、1100mm幅Tダイより押出し、厚さ20μmの熱可塑性ポリイミドフィルム(D)を得た。5%重量減少温度は580℃であった。
【0069】
<接着剤およびそのフィルム作成−2>
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、反応容器に無水トリメリット酸192質量部、O−トリジンジイソシアネート211質量部、2,4−トリレンジイソシアネート35質量部、トリエチレンジアミン1質量部、及びN−メチル−2−ピロリドン2500質量部を加え、攪拌しながら130℃まで1時間で昇温し、さらに130℃で5時間反応させ対数粘度が1.6dl/gのポリイミド系樹脂溶液(E)を得た。ポリアミド酸溶液(E)を、ポリエチレンテレフタレート製フィルムA−4100(東洋紡績株式会社製)の無滑剤面上に、コンマコーターを用いてコーティングし、120℃にて3分間乾燥後、支持体から剥がさずにポリアミド酸フィルムを巻き取った。ポリアミド酸フィルムを3つの熱処理ゾーンを有するピンテンターに通し、一段目320℃×2分、2段目320℃×2分、3段目320℃×2分間の熱処理を行い、500mm幅にスリットして、20μmのポリアミドイミドフィルム(E)を得た。5%重量減少温度は485℃であった。
【0070】
<接着剤作成−3>
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内に、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル170質量部と1,3-ビス3アミノフェノキシベンゼン45質量部を入れ、十分に窒素置換した後、モレキュラーシーブを用いて脱水したN−メチル−2−ピロリドン1200質量部を加えて完全に溶解した。
この溶液を20℃以下に冷却し、攪拌しながら、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物268質量部と4-フェニルエチリルフタル酸無水物45質量部を少しづつ加えた。
N−メチル−2−ピロリドンを32質量部加えて、ポリマー濃度を30重量%に調整し、引き続き室温で24時間反応させた。
得られたポリアミド酸溶液(F)は、粘調で淡黄色であり、ηsp/Cは0.35dl/g
であった。5%重量減少温度は465℃であった。
【0071】
<接着剤作成−4>
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器、容量20リットルのガラス製フラスコに、2,3,3’,4’ビフェニルテトラカルボン酸二無水物 294.22質量部、トリグライム 700質量部を仕込み、室温で撹拌しながら溶解した後、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(信越シリコン製、X−22−161AS、n=9) 605.30質量部とトリグライム 185質量部を加えて均一に溶解させ、窒素雰囲気下に、185℃に加熱してこの温度を維持しながら4時間重合した。次いで反応液を室温に戻してして撹拌しながら2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン 62.20質量部と3,5−ジアミノ安息香酸 23.05質量部及びトリグライム509質量部を加えた後、反応温度を185℃にあげて更に4時間反応させてポリイミドシロキサン溶液を製造した。このイミドシロキサンは濃度が40.5重量%、溶液粘度が21ポイズであった。又、このようにして得られたポリイミドシロキサンは、収率が99%、分子量の目安として対数粘度が0.23であり、イミド化率が実質的に100%であった。
このポリイミドシロキサン溶液100質量部にノボラック型エポキシ樹脂(油化シェル社製、エピコート157S−70)6.2質量部を入れ、室温(25℃)で2時間攪拌して、均一に溶解させたポリイミドシロキサン組成物溶液(G)を得た。5%重量減少温度は408℃であった。
【0072】
<接着剤およびそのフィルム作成−5>
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、無水トリメリット酸192質量部、O−トリジンジイソシアネート154質量部、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物22.5質量部、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物41質量部、トリエチレンジアミン1質量部、及びN−メチル−2−ピロリドン2500質量部を加え、攪拌しながら130℃まで1時間で昇温し、さらに130℃で5時間反応させ対数粘度が1.6dl/gのポリイミド系樹脂溶液(H)を得た。ポリアミド酸溶液(H)を、ポリエチレンテレフタレート製フィルムA−4100(東洋紡績株式会社製)の無滑剤面上に、コンマコーターを用いてコーティングし、120℃にて3分間乾燥後、支持体から剥がさずにポリアミド酸フィルムを巻き取った。ポリアミド酸フィルムを3つの熱処理ゾーンを有するピンテンターに通し、一段目320℃×2分、2段目320℃×2分、3段目320℃×2分間の熱処理を行い、500mm幅にスリットして、20μmのポリアミドイミドフィルム(H)を得た。5%重量減少温度は504℃であった。
【0073】
<接着剤およびそのフィルム作成−6>
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、反応容器に、トリメリット酸無水物(TMA)、オキシジアニリンジイソシアネートをそれぞれ190質量部、250質量部仕込み、さらN−メチル−2−ピロリドン(NMP)をポリマー濃度が40%となるように仕込んで120℃で約1時間反応させた後、180℃に昇温して5時間攪拌しながら反応させた。次に加熱を止め、冷却しながら、さらにN−メチル−2−ピロリドンを加え希釈して、固形分濃度が20%のポリマー溶液(I)を得た。メタノールで再沈し、減圧乾燥を行った上で対数粘度ならびにガラス転移点を測定したところ、それぞれ0.9dl/g、290℃であった。5%重量減少温度は495℃であった。
【0074】
<接着剤樹脂およびそのフィルム作成−7>
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量469、油化シェルエポキシ社製エピコート1001)30質量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量215、大日本インキ化学工業社製 エピクロンN−673)40質量部、トリアジン構造含有フェノールノボラック樹脂(フェノール性水酸基当量120、大日本インキ化学工業社製、フェノライトKA−7052)30質量部をエチルジグリコールアセテート20質量部、ソルベントナフサ20質量部に攪拌しながら加熱溶解させ、そこへ末端エポキシ化ポリブタジエンゴム(ナガセ化成工業社製、デナレックスR−45EPT)15質量部と2−フェニル−4、5−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾール粉砕品1.5質量部、微粉砕シリカ2質量部、シリコン系消泡剤0.5質量部を添加し樹脂複合体の溶液(J)を調製した。
得られた樹脂複合体の溶液(J)を厚さ38μmのPETフィルム上に乾燥後の厚さが20μmとなるようにロールコーターを用いて塗布した後、80〜120℃で10分間乾燥させることにより、25μmのエポキシBステージフィルム(J)を得た。5%重量減少温度は345℃であった。
【0075】
<ポリイミドフィルム作成−1>
参考例で得たポリアミド酸溶液Aを、ポリエチレンテレフタレート製フィルムA−4100(東洋紡績株式会社製)の無滑材面上に、コンマコーターを用いてコーティングし、90℃にて60分間乾燥した。乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムを支持体から剥離して両端をカットし、厚さ8.0μm、幅1200mmのグリーンフィルムを得た。図2、3に示すように、得られたグリーンフィルムに幅35mmの易接着性細幅長尺スリットフィルムを両側端部に重ね合わせながら、ピンシートやブラシロール、押さえロール、支え治具の条件でピンテンターにて両端を把持し熱処理を行った。
テンターの熱処理設定は以下の通りである。第1段が180℃で5分、昇温速度4℃/秒で昇温して第2段として460℃で5分の条件で2段階の加熱を施して、イミド化反応を進行させた。その後、5分間で室温にまで冷却し、フィルムの両側端部の易接着性細幅長尺スリットフィルムが重なっている部分をスリッターにて切り落とし、ロール状に巻き上げ、褐色を呈する長尺厚さ5μmその厚さ斑1.5%のポリイミドフィルムA1を得た。
なお、易接着性細幅フィルムの作成は、上記と同様にして、ポリアミド酸溶液Aを使用して、厚さ9μmポリイミドフィルムを得て、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンと4,4’−オキシジフタル酸無水物とから得られる易接着性ポリイミド前駆体であるポリアミド酸溶液(E)を得て、これを前記厚さ9μmポリイミドフィルムの一面上に、バーコーターを用いてコーティングし、90℃にて10分間乾燥し、易接着性ポリイミドフィルムを得た。易接着性層の厚さは、厚さ9μmポリイミドフィルムの厚さに対しての比は、0.1/1である。 この得られた易接着性ポリイミドフィルムをスリットし、幅35mmの易接着性細幅(長尺)フィルムとすることで得たものである。
【0076】
<ポリイミドフィルム作成−2>
易接着性細幅(長尺)フィルムをイミド化に際してその両端部に使用しないこと以外は、ポリイミドフィルム作成−1と同様にして、厚さ10μmその厚さ斑4.5%のポリイミドフィルムA2を得た
【0077】
<ポリイミドフィルム作成−3>
ポリアミド酸溶液(B)を使用する以外はポリイミドフィルム作成−2と同様にして厚10μmその厚さ斑8.5%のポリイミドフィルムBを得た。
【0078】
<ポリイミドフィルム作成−4>
ポリアミド酸溶液(C)を使用する以外はポリイミドフィルム作成−2と同様にして厚10μmその厚さ斑9.5%のポリイミドフィルムCを得た。
【0079】
<Mo積層複合体の作成>
上記で得られた長尺フィルムA1を連続式スパッタリング装置に入れ、真空引きした後巻き返しを行い、フィルムからのガス出しを行った。その後、酸素のグロー放電でポリイミドフィルムの表面を処理した。この後、表面処理装置より取り出し、フィルムの片面上に、Mo金属をターゲットとしてアルゴンガスによるDCマグネトロンスパッタリング法により厚さ20nmのMo下地薄膜層を形成させた。薄膜層作製時の真空度は3×10−3Torrである。
Mo無電解めっき浴の組成としては、モリブデン酸アンモニウム等が用いられ、Moが 2モル/リットル 、有機カルボン酸誘導体が12モル/リットル 、塩化アンモニウム等の無電解めっき浴安定剤が 0.3モル/リットル 、その他、pH調整剤としてアンモニアを用いpH7とした。浴温90℃の条件で10分間浸漬してMo層0.8μmのMo積層複合体A1−Moを得た。
同様にして、フィルムA2、フィルムB,フィルムCを使用してそれぞれのMo積層複合体、A2−Mo、B−Mo、C−Moを作成した。
これらのMo積層複合体、A1−Mo、A2−Mo、B−Mo、C−Moを、それぞれ50mm×50mmの試験片を採取し、350℃で10分間熱風処理した後に、(試験片は、金属樹脂複合体であるMo積層複合体の全長に対して5分の1の長さピッチで幅方向に2点(幅長の1/3と2/3の点)を試験片の中心点として計10点をサンプリングし、測定値は10点の平均値とするようにした)反りを評価した。各フィルムの物性と各金属樹脂複合体の350℃での反りを表1に示す。
【0080】
<Cu積層複合体の作成>
上記で得られた長尺フィルムA1(250mm幅のもの)をスパッタリング装置に入れ、真空引きした後巻き返しを行い、フィルムからのガス出しを行った。その後、酸素のグロー放電でポリイミドフィルムの表面を処理した。この後、表面処理装置より取り出し、フィルムの片面上に、NiCr合金をターゲットとしてアルゴンガスによるDCマグネトロンスパッタリング法により厚さ15nmのNiCr下地薄膜層を形成させた。薄膜層作製時の真空度は3×10−3Torrである。その後、直ちに銅をターゲットとして、アルゴンガスによるDCマグネトロンスパッタリング法により厚さ250nmの銅薄膜層を形成させた。ターゲットのNiCr合金の組成は、Ni80wt%、Cr20wt%純度3Nのものを用いた。ターゲットのCuは純度4Nのものを用いた。各ターゲットのフィルム送り方向の幅は12cm、フィルム送り方向の幅は27cmの矩形である。この矩形のターゲットがフィルム送り方向に、4ケ設置されている。
Cuのために使用したターゲットの間隔は離れている為、NiCrのスパッタリングされた原子と、Cuの原子が、真空中で混合されてからフィルムに到達することはなく、下地のNiCr薄膜とCu薄膜は交じり合うことなくそれぞれの薄膜が形成され2層の薄膜となる。
スパッタ装置はロールツウロール方式の装置であり、巻き出し室、スパッタ室、予備室、巻き取り室へとロールからフィルムが移動されながら、順次、表面処理、NiCr層作製、Cu層作製が行われ、その後に、ロールに巻き取られる。
各室の間は、スリットによって概略仕切られている。スパッタ室ではフィルムはチルロールに接しており、チルロールの温度(−5℃)によって冷やされながら、巻きだし側に近い、NiCrターゲット1ケ、1ケのターゲットを使わず、その後Cuターゲット2ケからの金属粒子によって薄膜が形成される。
めっきは、ロールツウロールの電解めっき装置により、スパッタリング金属層に電極を接触させて片面めっきを実施した。これにより金属化ポリイミドフィルムであるCCLのA1−Cuが得られた。比較例1に使用した。
【0081】
【表1】

【0082】
<Mo-CLの基板への貼付>
使用した無機基板は以下のとおりである。
無機基板A:Siウェハーを150μm厚にバックグラインド後ポリッシュによりストレスリリーフ仕上げしたものを30mm×30mm角にダイシングしたもの
無機基板B:ガラス;7059
無機基板C:アルミナ基板
無機基板D:Mo板
【0083】
<実施例1>
無機基板A上に、に熱可塑ポリイミドフィルム(D)を載せ、さらにその上にフィルムMo積層複合体(A1−Mo)をポリイミド面を無機基板A面と対面させた向きに基板Aに2枚載せ位置決めして、280℃にて10分のプレスを行った。このときの圧力は10MPaとした。プレス後に、更に、N2フローしたマッフル炉にて400℃30分熱処理し、積層体であるテスト用多層基板を得た。
【0084】
<実施例2>
ポリアミドイミドフィルム(E)を使い、プレス温度を350℃とする以外は実施例1と同様にして、積層体であるテスト用多層基板を得た。
【0085】
<実施例3>
ポリイミド組成物溶液(F)をフィルムMo積層複合体(A1−Mo)のポリイミド面上に乾燥後の厚さが25μmとなるようにロールコーターを用いて塗布した後、100℃で1時間乾燥させるその後マッフル炉にて300℃1時間焼成することにより、接着層付きフィルムを得た。無機基板A上に、ポリイミド上の接着剤面を無機基板A面と対面させた向きに接着層付きフィルムを2枚載せ、位置決めして、350℃で真空プレスを行い、積層体であるテスト用多層基板を得た。
【0086】
<実施例4>
ポリイミド組成物溶液(G)をフィルム(A1−Mo)の面上に乾燥後の厚さが25μmとなるようにロールコーターを用いて塗布した後、90℃で5分間乾燥させることにより、接着層付きフィルムを得た。無機基板A上に、ポリイミド上の接着剤面を無機基板A面と対面させた向きに接着層付きフィルムを2枚載せ、位置決めして、120℃で真空プレスを行い、その後熱風乾燥機にて80℃80分、120℃120分熱処理し、積層体であるテスト用多層基板を得た。
【0087】
<実施例5>
ポリアミドイミドフィルム(H)を使い、プレス温度を380℃とする以外は、実施例2と同様にして、積層体であるテスト用多層基板を得た。
【0088】
<実施例6>
ポリイミド組成物溶液(I)をフィルムMo積層複合体(A1−Mo)の面上に乾燥後の厚さが25μmとなるようにバーコーターを用いて塗布した後、90℃で1時間乾燥させることにより、接着層付きフィルムを得た。無機基板A上に、ポリイミド上の接着剤面を無機基板A面と対面させた向きに接着層付きフィルムを2枚載せ、位置決めして、280℃にて10分のプレスを行った。このときの圧力は10MPaとした。プレス後に、更に、N2フローしたマッフル炉にて400℃30分熱処理し、積層体であるテスト用多層基板を得た。
【0089】
<実施例7>
基板Bを用いる以外は実施例1と同様にして実施例7のテスト用多層基板を得た。
【0090】
<実施例8>
基板Cを用いる以外は実施例1と同様にして実施例7のテスト用多層基板を得た。
【0091】
<実施例9>
基板Dを用いる以外は実施例1と同様にして実施例7のテスト用多層基板を得た。
【0092】
<実施例10>
フィルムMo積層複合体A2を用いる以外は実施例1と同様にして実施例7のテスト用多層基板を得た。
【0093】
<実施例11>
フィルムMo積層複合体Bを用いる以外は実施例1と同様にして実施例7のテスト用多層基板を得た。
【0094】
<比較例1>
Cu積層複合体の作成にて作成した、金属化ポリイミドフィルムであるCCLのA1−Cuを実施例1でのA1−Moの代わりに使う以外は実施例1と同様にして比較例1テスト用多層基板を得た。
【0095】
<比較例2>
ポリイミドフィルムCによるMo積層複合体C−Moを使う以外は実施例2と同様にして比較例2テスト用多層基板を得た。
【0096】
<比較例3>
接着剤にエポキシBステージフィルム(I)を使い、プレス温度を250℃とする以外は実施例1と同様にして比較例3テスト用多層基板を得た。
【0097】
これらの実施例、比較例で得たテスト用多層基板から、30mm×30mmの試料を採取して、水平面に静置して、無機基板とMo金属層/ポリイミド樹脂(フィルム)層との積層体との間の接着剤層での剥がれと皺とを目視観察し、ほとんど剥がれと皺が観察されないものを◎、剥がれと皺が僅かに観察できるものを○、剥がれと皺が多く観察できるものを×として判定した。その結果を表2に示す。
【0098】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明の、Mo金属層と、ポリイミド樹脂層との積層体である金属樹脂複合体であって、線膨張係数が−5ppm/℃〜+7ppm/℃であることを特徴とする金属樹脂複合体は、低熱膨張金属であるMo層上に同等の線膨張係数を有する特定のポリイミド樹脂層(フィルム)を積層することで、全体として線膨張率が小さく、樹脂層と金属層との積層体としての反りや剥離が生じ難く、素子やパッケージ及びそれを含む電子機器の製造工程での熱履歴、半導体駆動時の温度上昇と下降、その他部品による、温度上昇や下降による、反り、変形の発生を低減でき、このことから、パッケージ内接続信頼性、パッケージの外部との接続信頼性を高めることができるため、フレキシブルプリント配線板、多層基板、TAB、COF、COGなどの発熱の大きい素子の基板、低CTEの配線材料などとして使用でき工業的な意義は極めて大きい。
ガラス等を基板とした場合この平滑性、平坦性を利用する為、ヒ゛ルト゛アッフ゜での作成においても微細な回路形成に有利であり、感光性のガラスを使うことにより、ビアを小径にすることも可能なことから、ガラス部分でも微細なハ゜ターン形成が可能である。
ガラス等の透明性基板を利用した場合これを活かした、光信号の伝達も兼ね備えた光、電気伝送基板の作成、発光、受光素子単体の支持基板としても有効となる。
基板がカ゛スハ゛リア性はきわめて高い為、カ゛スハ゛リア性を必要とする用途にも最適となり、カ゛スハ゛リア性の高いガラスと接着している為、そこに接着した部分についても、ガス透過が少なくなり、きわめて高い信頼性を有することとなり、産業上極めて有意義な物である。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】金属樹脂複合体のカール度の測定方法を示す模式図
【0101】
【図2】本発明の好ましい態様の一である、ピンテンター式フィルム処理機におけるフィルムと接するピンの幅方向外側に台を設けたピンシートの概略を示す。 (a)は正面図であり、(b)は側面図である。
【0102】
【図3】本発明の好ましい態様の一であるピンテンター式フィルム処理機におけるフィルムのピン差し部の概略を示す。
【符号の説明】
【0103】
図1において、
1、2、3、4は金属樹脂複合体の平面における各平面の角を示す
【0104】
図2、図3において、
1:ブラシロール
2:ピン
3:ピン台座
4:台
5:支え治具
6:押さえロール
7:前駆体フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Mo金属層と、ポリイミド樹脂層との積層体である金属樹脂複合体であって、線膨張係数が−5ppm/℃〜+7ppm/℃であることを特徴とする金属樹脂複合体。
【請求項2】
350℃の反り(%)が3%以下であることを特徴とする請求項1記載の金属樹脂複合体。
【請求項3】
Mo金属層が、ポリイミド樹脂層に直接積層していることを特徴とする請求項1〜2いずれかに記載の金属樹脂複合体。
【請求項4】
ポリイミド樹脂層がベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸無水物類とを反応させて得られるポリイミドベンゾオキサゾールを主成分とするポリイミドフィルムであることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の金属樹脂複合体。
【請求項5】
ポリイミド樹脂層厚さが9μm以下であることをを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の金属樹脂複合体。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の金属樹脂複合体を用いた回路基板。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の金属樹脂複合体をシリコンウエハに直接電気的に接合した回路基板。
【請求項8】
請求項6〜7のいずれかに記載の回路基板を線膨張係数が+10ppm/℃以下の無機層と積層した積層回路基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−56771(P2009−56771A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−227896(P2007−227896)
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】