説明

金属製、プラスチック製、またはセラミック製の、開放孔を有するコンポーネントの製造方法

【課題】確定された細孔寸法を有し、必要に応じては確定された外殻厚さを有し、かつ低密度の、金属製、プラスチック製、又はセラミック製の、開放孔を有するコンポーネントを製造しうる方法を提供する。
【解決手段】微細なキャリア材料、好ましくはケイ砂又は石英粉末を、成形法に従い、できるだけ均一なボールに成形し、所望の外型内に配置した状態で、硬化法により、各接点を接着し、各接点に粘結剤の架橋を形成し、粘結剤の架橋または融着により互いに接続されたボールをその型から外して、所望の外型または永久型内に配置し、ボール間のキャビティに、液体金属または金属合金または液体プラスチックまたはセラミック化合物を、鋳造プロセスで公知の方法、好ましくは低圧法で充填し、前記金属または前記化合物の固化後、ボール材料を、固化金属または固化化合物から、振動および/または水洗によって除去および/または洗い出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製、プラスチック製、またはセラミック製の、開放孔を有するコンポーネントの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属にガスなどの適当な推進剤を供給し、液相下で発泡させることにより、製造されるコンポーネントの低密度化と高強度化とを同時に達成する試みがなされている(特許文献1〜5参照)。
【0003】
【特許文献1】独国特許発明第2218455号明細書
【特許文献2】独国特許発明第1126302号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第4403509号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第1296386号明細書
【特許文献5】特開平04−362146号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらの従来の方法では、導入される(ガスの)泡の発生が、極めて制御困難な手法で行なわれるため、その寸法がばらつき、正確に確定されないという課題があった。
【0005】
さらに、それらの泡がコンポーネントの表面に達するため、信頼性のある安定的な機能発現に欠かせない、確定された厚さの外殻の形成を妨げてしまう。
【0006】
本発明の目的は、確定された細孔寸法を有し、必要に応じては確定された外殻厚さを有し、かつ低密度の、金属製、プラスチック製、またはセラミック製の、開放孔を有するコンポーネントの製造を可能にする方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の各態様によれば、以下の[1]から[35]が提供される。
【0008】
[1]微細なキャリア材料、好ましくはケイ砂または石英粉末を、粘結剤を用いて、成形法、好ましくは造粒、ペレット成形、またはその他の成形法にしたがい、できるだけ均一なボール(1)に成形し、
仕上げ前のボール(1)を、前記粘結剤と同一の、あるいは異なる粘結剤をも用いて湿らし、あるいは被覆し、所望の外型内に配置した状態で、硬化法により、各接点を接着し、および/または、各接点に粘結剤の架橋(2)を形成し、
粘結剤の架橋(2)または融着により互いに接続されたボール(1)をその型から外して、所望の外型または永久型内に配置し、
続いて、ボール(1)間のキャビティ(3)に、液体金属または金属合金または液体プラスチックまたはセラミック化合物を、鋳造プロセスで公知の方法、好ましくは低圧法で充填し、
前記金属または前記化合物の固化後、前記ボール材料のすべてを、前記固化金属または前記固化化合物から、振動および/または水洗によって除去および/または洗い出す
ことを特徴とする、様々な形状を有する金属製、金属合金製、プラスチック製またはセラミック製の、軽量コンポーネントの製造方法。
【0009】
[2]前記ボールは、前記キャリア材料に水を加えることにより形成されることを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0010】
[3]前記粘結剤は、有機性のものであり、好ましくはアミンガス硬化性の樹脂であることを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0011】
[4]前記粘結剤は、硫酸マグネシウム、リン酸塩、もしくはケイ酸塩、またはそれらの混合物からなる、水溶性の無機粘結剤であることを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0012】
[5]前記キャビティに充填される材料は、冷却および/または対応する硬化剤との反応によって硬化しうる、ポリウレタン、エポキシド、ポリエステル、アクリレートなどの人工樹脂、または熱可塑性物質であることを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0013】
[6]前記キャビティ(3)への充填は、それ自体公知の射出成形機を用いて、比較的高圧で行われることを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0014】
[7]前記キャビティに充填される材料は、乾燥および/または対応する硬化剤との反応および/またはキルン内での焼成により硬化しうる、セラミック化合物、または、高品質セラミック製造用のセラミックスリップを含むことを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0015】
[8]前記ボール材料の除去後、得られた生成物を再度、より高い温度で焼成することを特徴とする、[7]に記載の方法。
【0016】
[9]前記ボール(1)を製造するために用いられる材料は、石英粉末であることを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0017】
[10]前記ボール(1)を製造するために用いられる材料は、無機の粉末もしくは砂である、または、例えば石英、長石、酸化アルミニウム、シャモット、かんらん石、クロム鉱、粘土、カオリン、ホタル石、ケイ酸塩、ベントナイト等の混合物、もしくはこれらの個々の物質を含むことを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0018】
[11]前記ボール(1)を製造するために用いられる材料は、NaCl、KCl、K2SO4、Mg2SO4等の塩であることを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0019】
[12]前記ボール(1)を製造するために用いられる材料は、金属粉末であることを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0020】
[13]前記ボール(1)を製造するために用いられる材料は、水溶性ポリ酢酸ビニル、PVP、アクリレート、粒状プラスチック、または、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、テフロン粉等からなる粉末などの、有機材料であることを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0021】
[14]前記ボール(1)を製造するために使用される粘結剤、および/または、前記ボール(1)を互いに結合するために使用される粘結剤は、水のみからなることを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0022】
[15]前記ボール(1)を製造するために使用される粘結剤、および/または、前記ボール(1)を互いに結合するために使用される粘結剤は、水と、水に溶解させた塩とを含むことを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0023】
[16]前記ボール(1)を製造するために使用される粘結剤、および/または、前記ボール(1)を互いに結合するために使用される粘結剤は、硫酸マグネシウムを含むことを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0024】
[17]前記ボール(1)を製造するために使用される粘結剤、および/または、前記ボール(1)を互いに結合するために使用される粘結剤は、ケイ酸塩、好ましくはケイ酸ナトリウムを含むことを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0025】
[18]前記ボール(1)を製造するために使用される粘結剤、および/または、前記ボール(1)を互いに結合するために使用される粘結剤は、リン酸塩を含むことを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0026】
[19]前記ボール(1)を製造するために使用される粘結剤、および/または、前記ボール(1)を互いに結合するために使用される粘結剤は、鋳造プロセスで型および中子を製造するために通常使用される粘結剤を含むことを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0027】
[20]前記ボール(1)の直径は、0.2mm〜30cmであることを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0028】
[21]前記ボール(1)の直径は、好ましくは4〜8mmであることを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0029】
[22]前記ボール(1)は、公知の成形方法により製造されることを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0030】
[23]前記ボール(1)は、造粒法により、好ましくはディスクペレッターまたはスプレー造粒機により製造されることを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0031】
[24]前記ボール(1)は、前記成形材料を2枚のハーフシェル内に導入し、圧縮成形または圧縮空気を用いた射出成形により製造されることを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0032】
[25]前記コンポーネントを熱交換器または冷却アセンブリの一部として使用する場合において、前記ボール(1)を硬化プロセスにより互いに連結する前に、冷却用または加熱用コイルを前記ボール連結体内に直接導入することを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0033】
[26]前記ボール(1)間の前記キャビティ(3)に金属または金属合金を充填する前に、前記ボール(1)を加熱することを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0034】
[27]前記ボール(1)間の前記キャビティ(3)にアルミ合金を充填する前に、前記ボール(1)を800℃まで加熱することを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0035】
[28]前記ボール(1)間の前記キャビティ(3)に鋳鉄合金を充填する前に、前記ボール(1)を1600℃まで加熱することを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0036】
[29]前記ボール(1)を液体金属、プラスチックまたはセラミックスリップによって湿らせるのみとし、余剰の材料を再度キャビティ(3)から除去することを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0037】
[30]ボール材料の除去後に、分離した2つの連通キャビティが形成されることを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0038】
[31]各キャビティに必要な連結部を成形時に予め考慮しておき、キャビティへの充填と同時に鋳造することを特徴とする、[1]または[30]に記載の方法。
【0039】
[32]2つの連通キャビティまたはチャンバー間に生じうる漏れを、シール剤で閉止することを特徴とする、[30]に記載の方法。
【0040】
[33]前記の液体金属、液体金属合金、液体プラスチックまたはセラミック化合物は、繊維を含有するとともに、前記繊維の長さは、充填処理の際に前記繊維がボールの中間領域(3)内で、中間領域(3)により形成される流路に沿って配向するように選択されることを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0041】
[34]前記繊維の長さは3〜4mmであることを特徴とする、[33]に記載の方法。
【0042】
[35]前記繊維は、炭素、ガラス、無機、または合成繊維であることを特徴とする、[33]に記載の方法。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、確定された細孔寸法を備え、必要に応じては確定された外殻厚さを備え、かつ低密度の、金属製、プラスチック製、またはセラミック製の、開放孔を有するコンポーネントの製造が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明について図1を参照しつつ詳細に説明する。図1は、型内に配置されたボール連結体を示す図である。しかしながら、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨に反しない限りにおいて、その実施形態に様々な改変を施すことが可能である。
【0045】
本発明ではまず、所望の細孔寸法に応じたボール1を製造する。これらのボール1の直径は任意である(例えば約5mm)。これらのボール1は、例えば、適宜な鋳物砂すなわち石英粉末に、鋳造プロセスにおいて公知の砂粘結剤を混合することにより製造される。そして適当な成形法、例えば造粒、ペレット成形、射出などにより、できるだけ均一なボール1の形状に成形される。
【0046】
硬化されたボール1は、続いて、粘結剤と混合され、および/または被覆され、所望の型内に配置される。これらのボール1は、当該粘結剤に応じた硬化方法により、互いに連結される。この処理は、熱風、二酸化炭素、もしくはアミンを用いて行なってもよく、マイクロ波等による単なる熱処理でもよい。この処理は、乾燥により実施するか、あるいは、粘結剤の種類によっては、アミンあるいは二酸化炭素などの反応ガスを通過させることにより、あるいはマイクロ波を用いた硬化や乾燥炉への格納により実施することが好ましい。粘結剤の架橋2は、個々のボール1間の、ボール1が互いに接する箇所のみで生じる(図1を参照)。
【0047】
粘結剤は、金属、プラスチックまたはセラミック化合物が鋳込まれた後、再びコンポーネントから除去し得るように、熱した金属やプラスチック、あるいは熱したセラミックの熱効果によって分解するもの、あるいは水溶性のものが選択される。こうした目的に適うものとして、有機、無機化合物を問わず、多種多様な鋳造用粘結剤が使用可能である。
【0048】
このボール連結体を、続いて、例えば永久型などの型内に配置する。後のコンポーネントの外殻の厚さは、ボール連結体と当該永久型の壁との間の距離により調整することができる。次に、各ボール1間のキャビティ3と、ボール連結体と永久型等の外型との間に形成された中間領域4に、金属、プラスチックまたはセラミック化合物を、適宜な鋳造方法により充填する。金属を充填する場合には、当該金属が微細な中間領域の全てに確実に流れ込むように、ボール連結体の全体をあらかじめ炉の中で加熱しておくことが好ましい。金属の場合の例としては、一般的な低圧鋳造法が推奨される。充填材料がボール1内部に浸入するのを防ぐために、それらボールにあらかじめ適当な薬剤を含浸させておいてもよい。
【0049】
溶融した金属、プラスチック、またはセラミック化合物を硬化した後、コンポーネントから全てのボール材料を、振動または水を用いて流し出すことにより除去する。このために、コンポーネントの少なくとも一つの側面を、外殻を有さないように製造する。あるいは後から、外殻の適切な箇所をドリル等で穿孔し、再び開放させる。これによって、ボール材料を余すことなく、完全に除去することができる。なぜならば、生成した全てのキャビティは、ボール1間の粘結剤の架橋2を介して、互いに連通しているからである。粘結剤の架橋2を大きく形成するほど、言い換えれば、ボール1間を連結するための粘結剤を多く使用するほど、得られる球状キャビティ間の通路もそれだけ大きくなる。
【0050】
上述の手法によれば、従来の製造方法では不可能であった、確定された形状と、明確に確定された細孔寸法と、正確に確定された外殻厚さとを有する、大型のコンポーネントも製造することが可能となる。
【0051】
本発明の特別の実施形態では、溶融された金属、プラスチック、またはセラミック化合物に、繊維を混合する。それらの繊維は、充填処理時にボールの中間領域内で、中間領域によりボール1間に形成された流路に沿って自然に配向するため、強度を著しく増加させることができる。繊維としては、炭素、ガラス、無機、合成繊維が挙げられる。繊維の長さは、繊維がボール間の中間領域内で配向するような長さとなるように決められる。
【0052】
こうして製造されたコンポーネントは、軽量でありながらも非常に高い安定性および強度を有するコンポーネントが求められる、あらゆる分野で使用することが可能である。特に、車両や航空機の建造や、宇宙旅行の分野が挙げられるが、建築、機械工学、家具製造業への応用も考えられる。
【0053】
特殊な用途として、熱交換器や冷却アセンブリ内での使用、および各種の冷却リブの代替使用が挙げられる。特に、アルミや銅の合金等の熱伝導性に優れた材料を用い、上述の方法により製造されたコンポーネントは、優れた通気性と大きな表面積を有することから、冷却アセンブリ内での使用等にとりわけ好適である。本用途において、冷媒を運ぶ冷却コイル等を、金属の鋳造前であって、且つ、ボール1を互いに固着する前に、あらかじめボール1内に直接的に配置すれば、より大きな製造上の利点が得られる。こうすれば、一の作業工程によって、冷却コイルの製造、および/または、冷却用もしくは加熱用パイプの金属との融着を行なうことができる。製造時におけるこの可能性により、従来の冷却アセンブリや熱交換器では一般的な、冷却用または加熱用のパイプを構造体の中に押し込んで固定するという、後の作業が不要になる。更には、多数の極めて長い冷却用および加熱用のパイプを、スパイラルやクリューなど、所望に応じてボール連結体内に配置すれば、熱交換性能をより向上させることができる。
【0054】
製造方法の特殊な変形例として、上述のボール1を型内に導入し、硬化された粘結剤の架橋2により連結した後、熱伝導性材料、好ましくはアルミ合金を、キャビティ3に完全に充填するのではなく、ボール連結体およびそれによって形成されるキャビティ3を単に湿らせるだけとしてもよい。このようにすれば、ボール材料を除去した後に、空間的に互いに分離された2つの連通キャビティが得られる。一方の連通キャビティは、冷媒または熱媒用となり、前記キャビティとは分離され且つ前記キャビティ内に入り込んだ第2の連通キャビティは、冷却又は加熱される媒体用となる。よって何らの冷却用または加熱用のパイプを備え付けることなく、この種の熱交換器を製造することが可能となる。ボール1はこの場合、微細な石英粉末と耐熱性の粘結剤とから製造することが好ましい。ボール1を製造し、且つ、互いに連結するための粘結剤としては、無機材料が好ましく使用される。例としては、鋳物砂粘結剤で公知のケイ酸塩、硫酸マグネシウム、および/またはリン酸塩等が挙げられる。次に、固着されたボール連結体は、注入される金属と少なくとも同じ温度まで加熱される。これによって、金属をキャビティ3に対し完全に充填した後でも、金属が硬化しないので、余剰の金属をキャビティ3から外部へ排出することができる。これによって、実質的に全ての表面が金属で被覆されるので、金属の外部への排出後に、ボール1間に連通キャビティが形成される。金属の硬化後、ボール成形材料を全て洗い流すことによって、第2の連通キャビティが開放される。この第2のキャビティは、先に得られた第1のキャビティから完全に分離されている。成形時に、二つのキャビティまたはチャンバー間の連結部を考慮しておき、鋳造処理の際に一度に鋳造を行なうようにしてもよい。2つのキャビティまたはチャンバー間で漏れが発生する場合には、例えば、一方または両方のキャビティまたはチャンバーにシール剤を導入することにより、閉止することができる。
【0055】
以上の説明を要約すると以下の通りであるが、これに限定されるものではない。
【0056】
[1]微細なキャリア材料、好ましくはケイ砂または石英粉末を、粘結剤を用いて、成形法、好ましくは造粒、ペレット成形、またはその他の成形法にしたがい、できるだけ均一なボール(1)に成形し、
仕上げ前のボール(1)を、前記粘結剤と同一の、あるいは異なる粘結剤をも用いて湿らし、あるいは被覆し、所望の外型内に配置した状態で、硬化法により、各接点を接着し、および/または、各接点に粘結剤の架橋(2)を形成し、
粘結剤の架橋(2)または融着により互いに接続されたボール(1)をその型から外して、所望の外型または永久型内に配置し、
続いて、ボール(1)間のキャビティ(3)に、液体金属または金属合金または液体プラスチックまたはセラミック化合物を、鋳造プロセスで公知の方法、好ましくは低圧法で充填し、
前記金属または前記化合物の固化後、前記ボール材料のすべてを、前記固化金属または前記固化化合物から、振動および/または水洗によって除去および/または洗い出す
ことを特徴とする、様々な形状を有する金属、金属合金、プラスチック、及びセラミックからなる群より選択される少なくとも一つの材料からなる、軽量コンポーネント(開放孔を有するコンポーネント)の製造方法。
【0057】
[2]前記ボールは、前記キャリア材料に水を加えることにより形成されることを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0058】
[3]前記粘結剤は、有機性のものであり、好ましくはアミンガス硬化性の樹脂であることを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0059】
[4]前記粘結剤は、硫酸マグネシウム、リン酸塩、もしくはケイ酸塩、またはそれらの混合物からなる、水溶性の無機粘結剤であることを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0060】
[5]前記キャビティに充填される材料は、冷却および/または対応する硬化剤との反応によって硬化しうる、ポリウレタン、エポキシド、ポリエステル、アクリレートなどの人工樹脂、または熱可塑性物質であることを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0061】
[6]前記キャビティ(3)への充填は、それ自体公知の射出成形機を用いて、比較的高圧で行われることを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0062】
[7]前記キャビティに充填される材料は、乾燥および/または対応する硬化剤との反応および/またはキルン内での焼成により硬化しうる、セラミック化合物、または、高品質セラミック製造用のセラミックスリップを含むことを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0063】
[8]前記ボール材料の除去後、得られた生成物を再度、より高い温度で焼成することを特徴とする、[7]に記載の方法。
【0064】
[9]前記ボール(1)を製造するために用いられる材料は、石英粉末であることを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0065】
[10]前記ボール(1)を製造するために用いられる材料は、無機の粉末もしくは砂である、または、例えば石英、長石、酸化アルミニウム、シャモット、かんらん石、クロム鉱、粘土、カオリン、ホタル石、ケイ酸塩、ベントナイト等の混合物、もしくはこれらの個々の物質を含むことを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0066】
[11]前記ボール(1)を製造するために用いられる材料は、NaCl、KCl、K2SO4、Mg2SO4等の塩であることを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0067】
[12]前記ボール(1)を製造するために用いられる材料は、金属粉末であることを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0068】
[13]前記ボール(1)を製造するために用いられる材料は、水溶性ポリ酢酸ビニル、PVP、アクリレート、粒状プラスチック、または、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、テフロン粉等からなる粉末などの、有機材料であることを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0069】
[14]前記ボール(1)を製造するために使用される粘結剤、および/または、前記ボール(1)を互いに結合するために使用される粘結剤は、水のみからなることを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0070】
[15]前記ボール(1)を製造するために使用される粘結剤、および/または、前記ボール(1)を互いに結合するために使用される粘結剤は、水と、水に溶解させた塩とを含むことを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0071】
[16]前記ボール(1)を製造するために使用される粘結剤、および/または、前記ボール(1)を互いに結合するために使用される粘結剤は、硫酸マグネシウムを含むことを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0072】
[17]前記ボール(1)を製造するために使用される粘結剤、および/または、前記ボール(1)を互いに結合するために使用される粘結剤は、ケイ酸塩、好ましくはケイ酸ナトリウムを含むことを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0073】
[18]前記ボール(1)を製造するために使用される粘結剤、および/または、前記ボール(1)を互いに結合するために使用される粘結剤は、リン酸塩を含むことを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0074】
[19]前記ボール(1)を製造するために使用される粘結剤、および/または、前記ボール(1)を互いに結合するために使用される粘結剤は、鋳造プロセスで型および中子を製造するために通常使用される粘結剤を含むことを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0075】
[20]前記ボール(1)の直径は、0.2mm〜30cmであることを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0076】
[21]前記ボール(1)の直径は、好ましくは4〜8mmであることを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0077】
[22]前記ボール(1)は、公知の成形方法により製造されることを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0078】
[23]前記ボール(1)は、造粒法により、好ましくはディスクペレッターまたはスプレー造粒機により製造されることを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0079】
[24]前記ボール(1)は、前記成形材料を2枚のハーフシェル内に導入し、圧縮成形または圧縮空気を用いた射出成形により製造されることを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0080】
[25]前記コンポーネントを熱交換器または冷却アセンブリの一部として使用する場合において、前記ボール(1)を硬化プロセスにより互いに連結する前に、冷却用または加熱用コイルを前記ボール連結体内に直接導入することを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0081】
[26]前記ボール(1)間の前記キャビティ(3)に金属または金属合金を充填する前に、前記ボール(1)を加熱することを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0082】
[27]前記ボール(1)間の前記キャビティ(3)にアルミ合金を充填する前に、前記ボール(1)を800℃まで加熱することを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0083】
[28]前記ボール(1)間の前記キャビティ(3)に鋳鉄合金を充填する前に、前記ボール(1)を1600℃まで加熱することを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0084】
[29]前記ボール(1)を液体金属、プラスチックまたはセラミックスリップで湿らせるのみとし、余剰の材料を再度キャビティ(3)から除去することを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0085】
[30]ボール材料の除去後に、分離した2つの連通キャビティが形成されることを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0086】
[31]各キャビティに必要な連結部を成形時に予め考慮しておき、キャビティへの充填と同時に鋳造することを特徴とする、[1]または[30]に記載の方法。
【0087】
[32]2つの連通キャビティまたはチャンバー間に生じうる漏れを、シール剤で閉止することを特徴とする、[30]に記載の方法。
【0088】
[33]前記の液体金属、液体金属合金、液体プラスチックまたはセラミック化合物は、繊維を含有するとともに、前記繊維の長さは、充填処理の際に前記繊維がボールの中間領域(3)内で、中間領域(3)により形成される流路に沿って配向するように選択されることを特徴とする、[1]に記載の方法。
【0089】
[34]前記繊維の長さは3〜4mmであることを特徴とする、[33]に記載の方法。
【0090】
[35]前記繊維は、炭素、ガラス、無機、または合成繊維であることを特徴とする、[33]に記載の方法。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、様々な応用分野に適用可能である。例えば、車両や航空機の建造、宇宙旅行、建築、機械工学、家具製造産業などである。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】型内に配置されたボール連結体を示す図である。
【符号の説明】
【0093】
1 ボール
2 粘結剤の架橋
3 キャビティ
4 中間領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細なキャリア材料、好ましくはケイ砂または石英粉末を、粘結剤を用いて、成形法、好ましくは造粒、ペレット成形、またはその他の成形法にしたがい、できるだけ均一なボール(1)に成形し、
仕上げ前のボール(1)を、前記粘結剤と同一の、あるいは異なる粘結剤をも用いて湿らし、あるいは被覆し、所望の外型内に配置した状態で、硬化法により、各接点を接着し、および/または、各接点に粘結剤の架橋(2)を形成し、
粘結剤の架橋(2)または融着により互いに接続されたボール(1)をその型から外して、所望の外型または永久型内に配置し、
続いて、ボール(1)間のキャビティ(3)に、液体金属または金属合金または液体プラスチックまたはセラミック化合物を、鋳造プロセスで公知の方法、好ましくは低圧法で充填し、
前記金属または前記化合物の固化後、前記ボール材料のすべてを、前記固化金属または前記固化化合物から、振動および/または水洗によって除去および/または洗い出す
ことを特徴とする、様々な形状を有する金属製、金属合金製、プラスチック製またはセラミック製の、軽量コンポーネントの製造方法。
【請求項2】
前記ボールは、前記キャリア材料に水を加えることにより形成されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記粘結剤は、有機性のものであり、好ましくはアミンガス硬化性の樹脂であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記粘結剤は、硫酸マグネシウム、リン酸塩、もしくはケイ酸塩、またはそれらの混合物からなる、水溶性の無機粘結剤であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記キャビティに充填される材料は、冷却および/または対応する硬化剤との反応によって硬化しうる、ポリウレタン、エポキシド、ポリエステル、アクリレートなどの人工樹脂、または熱可塑性物質であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記キャビティ(3)への充填は、それ自体公知の射出成形機を用いて、比較的高圧で行なわれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記キャビティに充填される材料は、乾燥および/または対応する硬化剤との反応および/またはキルン内での焼成により硬化しうる、セラミック化合物、または、高品質セラミック製造用のセラミックスリップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ボール材料の除去後、得られた生成物を再度、より高い温度で焼成することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ボール(1)を製造するために用いられる材料は、石英粉末であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ボール(1)を製造するために用いられる材料は、無機の粉末もしくは砂である、または、例えば石英、長石、酸化アルミニウム、シャモット、かんらん石、クロム鉱、粘土、カオリン、ホタル石、ケイ酸塩、ベントナイト等の混合物、もしくはこれらの個々の物質を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ボール(1)を製造するために用いられる材料は、NaCl、KCl、K2SO4、Mg2SO4等の塩であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ボール(1)を製造するために用いられる材料は、金属粉末であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ボール(1)を製造するために用いられる材料は、水溶性ポリ酢酸ビニル、PVP、アクリレート、粒状プラスチック、または、ポリエチレン、ポリプロピレン、テフロン粉等からなる粉末などの、有機材料であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ボール(1)を製造するために使用される粘結剤、および/または、前記ボール(1)を互いに結合するために使用される粘結剤は、水のみを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記ボール(1)を製造するために使用される粘結剤、および/または、前記ボール(1)を互いに結合するために使用される粘結剤は、水と、水に溶解させた塩とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記ボール(1)を製造するために使用される粘結剤、および/または、前記ボール(1)を互いに結合するために使用される粘結剤は、硫酸マグネシウムを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記ボール(1)を製造するために使用される粘結剤、および/または、前記ボール(1)を互いに結合するために使用される粘結剤は、ケイ酸塩、好ましくはケイ酸ナトリウムを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記ボール(1)を製造するために使用される粘結剤、および/または、前記ボール(1)を互いに結合するために使用される粘結剤は、リン酸塩を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記ボール(1)を製造するために使用される粘結剤、および/または、前記ボール(1)を互いに結合するために使用される粘結剤は、鋳造プロセスで型および中子を製造するために通常使用される粘結剤を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記ボール(1)の直径は、0.2mm〜30cmであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記ボール(1)の直径は、好ましくは4〜8mmであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記ボール(1)は、公知の成形方法により製造されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記ボール(1)は、造粒法により、好ましくはディスクペレッターまたはスプレー造粒機により製造されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記ボール(1)は、前記成形材料を2枚のハーフシェル内に導入し、圧縮成形または圧縮空気を用いた射出成形により製造されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記コンポーネントを熱交換器または冷却アセンブリの一部として使用する場合において、前記ボール(1)を硬化プロセスにより互いに連結する前に、冷却用または加熱用コイルを前記ボール連結体内に直接導入することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記ボール(1)間の前記キャビティ(3)に金属または金属合金を充填する前に、前記ボール(1)を加熱することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記ボール(1)間の前記キャビティ(3)にアルミ合金を充填する前に、前記ボール(1)を800℃まで加熱することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記ボール(1)間の前記キャビティ(3)に鋳鉄合金を充填する前に、前記ボール(1)を1600℃まで加熱することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記ボール(1)を液体金属、プラスチックまたはセラミックスリップで湿らせるのみとし、余剰の材料を再度キャビティ(3)から除去することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
ボール材料の除去後に、分離した2つの連通キャビティが形成されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
各キャビティに必要な連結部を成形時に予め考慮しておき、キャビティへの充填と同時に鋳造することを特徴とする、請求項1または請求項30に記載の方法。
【請求項32】
2つの連通キャビティまたはチャンバー間に生じうる漏れを、シール剤で閉止することを特徴とする、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記の液体金属、液体金属合金、液体プラスチックまたはセラミック化合物は、繊維を含有するとともに、前記繊維の長さは、充填処理の際に前記繊維がボールの中間領域(3)内で、中間領域(3)により形成される流路に沿って配向するように選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記繊維の長さは3〜4mmであることを特徴とする、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記繊維は、炭素、ガラス、無機、または合成繊維であることを特徴とする、請求項33に記載の方法。

【公開番号】特開2007−268611(P2007−268611A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−6824(P2007−6824)
【出願日】平成19年1月16日(2007.1.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(507015893)
【氏名又は名称原語表記】Bernd KUHS
【出願人】(507015907)レンペ ウント モスナー ゲーエムベーハー (2)
【氏名又は名称原語表記】Laempe & Mossner GmbH
【出願人】(507015918)クルツ ゲーエムベーハー (2)
【氏名又は名称原語表記】Kurtz GmbH
【Fターム(参考)】