説明

金属酸化物ヒドロゲル及びヒドロゾル、その製造及び使用

1種又はそれ以上の金属酸化物、例えば二酸化チタン、のヒドロゾルを製造する方法であって、水混和性の有機溶媒、例えばアルコール、中の金属アルコキシド溶液を提供すること;水性溶媒を提供すること;該金属アルコキシド溶液を該水性溶媒と、非イオン性ブロックポリマー界面活性剤の不存在下で水和金属酸化物の単相水性ゾルコロイド(ヒドロゾル)を形成する容量比又は量比で混合することを含む。また、対応するヒドロゲル;水和金属酸化物中にカプセル化された水不溶性粒子、及びそのカプセル化方法;カプセル化生成物の使用も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属酸化物ヒドロゲル及びヒドロゾル、その製造方法、及びその使用に関し、特に水不溶性粒子のカプセル化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬の分子、染料、磁気的に若しくは光学的に敏感な粒子、又は植物、動物若しくはヒトの組織又は細胞、並びにウィルスを含むバクテリア、菌類を含む生きた生物、種子若しくは植物若しくは動物の胚を、周囲条件の下で、生体適合性化学処理又は生化学処理によって、これらの目的物の制御放出の可能性をもって壁を通して、粒子又はより大きな分子を輸送させないで、カプセル内で分離することは、バイオコントロール保護及び/又は保存のために、ドラッグ・デリバリー、印刷による情報の光学的若しくは磁気的記憶、センサー技術、バイオデリバリー及び生物学的目的物の保護のような領域に、途方もない展望を開く。
【0003】
カプセル化のために、無機ヒドロゾル及びヒドロゲルの製造のための初期に開発された技術は、殆ど専らシリカゲルの製造を考えていた。2つの主な方法が開発された:1つは、酸触媒を使いシリコンアルコキシドを加水分解し、続いて緩衝液溶液を添加し、5から7の間にpHを安定させることに基づく[非特許文献1,2]。シリコンアルコキシドは水に溶けないか又は水とは混ざらないので、均質化を確保するには、アルコール(合計反応混合物の30%以上)のような共溶媒の使用、又は長時間の超音波処理又は他の混合方法を必要とする[非特許文献1]。他の可能性は、5から7の間のpHの緩衝溶液の添加によって、水溶液中でケイ酸ナトリウムを加水分解することによって供される[非特許文献3,4]。後者の場合には、局所的pHを調整したり、シリカポリマーの成長において動力学的に再現性のあるレジメ(regime)を提供するのが困難であることによって引き起こされる、カプセル化のかなりの再現性欠如が観察された[非特許文献5]。これらの対象物は拡散によって管理不能に放出されるので、これら両方のアプローチはポリマー状ゲルを与え、内部にトラップされた分子又は生物体を保持するが、しかし真のカプセル化では無い[非特許文献2,5]。カプセル化物(encapsulates)を放出する可能性ない密度の高いシリカカプセルの製造が、安定化界面活性剤の適用により、油中水滴型[非特許文献6]又は水中油滴型[非特許文献7]エマルジョンで行われることが報告された。ごく最近、ヘテロレプティックシリコン前駆体であるアルキルシリコンアルコキシドが水中油滴型エマルション中で加水分解される時、カプセルを与えることが示された[非特許文献8]。シリコンアルコキシドと同様の手順で金属アルコキシド類の使用が非特許文献9で請求されたが、同じ年にLivage et al.の研究によって不可能であることが示された[非特許文献10]。Livageによれば、金属アルコキシドの加水分解は、水の添加ですばやくゲルに変換するポリマーゾルを提供している。カプセル化の目的でヒドロゾルを得る可能性は、有機溶媒中の酸化物ゲルを得、そして水への移動後に再解膠するだけによることが提案された[非特許文献5]。そのような二次ゾルを得るために提案された、強酸の添加又は少なくとも90℃に加熱するような方法[非特許文献11]は、当然生体適合性ではない。最近[非特許文献12]、水中の銀ナノ粒子のコロイド溶液によるエタノール中のチタンイソプロポキシド溶液の加水分解を適用して、界面活性剤CTAB(セチルアンモニウムブロミド)によって安定化されたコアシェルAg−TiOナノ粒子の製造が報告された。粒子の表面上のシェルの選択的形成は、界面活性剤の触媒作用に起因していた。
【0004】
炭化水素中水滴型エマルジョン(2つの溶媒間の相分離を有するシステム)の中の化学的に改変(modified)されたジルコニウム及びチタニウムアルコキシドの加水分解がミセルの自己集合として起き、選択的に親水性分子をカプセル化する薄壁の酸化物シェルを提供することが、最近実証された[非特許文献13]。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Zink J. I.,Nishido F., Yamanaka S., Nishida C, Ellerby L., Dunn B. S., Valentine J. S.,International Patent WO 93/04196, 4 March 1993; Avnir D., Braun S., Lev 0.,Ottolenghi M., Chem. Mater., 1994, 6, 1605
【非特許文献2】Barbe C,Bartlett J., Kong L., Finnie K., Lin H. Q., Larkin M., Calleja S., Bush A.,Calleja G., Adv. Mater., 2004, 16, 1959
【非特許文献3】Bhatia R. B.,Brinker C. J., Gupta A. K., Singh A. K., Chem. Mater., 2000, 12, 2434
【非特許文献4】Coiffier A.,Coradin T., Roux C, Bouvet O. M. MLivage J., J. Mater.Chem., 2001, 11, 2039
【非特許文献5】Livage J.,Coradin T., Encapsulation of Enzymes, Antibodies and Bacteria in the Handbookof Sol-Gel Science and Technology, Vol. 1, P. 485
【非特許文献6】Schuleit MLuisi P. L., Biotechnol. Bioeng. , 2001, 72, 249
【非特許文献7】Magdassi S.,Avnir D., Seri-Levy A., Lapidot N., Sorek Y., Gans 0., International Patent WO00/09652, 24 February 2000
【非特許文献8】Ahn B. Y.,Seok S. I., Baek I. C, Hong S. I., Chem. Commun., 2006, 189
【非特許文献9】Yamamoto T.,European patent application 88102921.9, Date of filing 26.02.88
【非特許文献10】Sanchez C,Livage J., Henry M., J. Non-Cryst. Solids, 1988, 100, 65
【非特許文献11】Liu Z., DengJ., Li D., Anal. Chim. Acta, 2000, 407, 87
【非特許文献12】Sakai H.,Kanda T., Shibata H., Ohkubo H., Abe M., J. Amer. Chem. Soc, 2006, 128, 4945
【非特許文献13】Spijksma G.,Licentiate Thesis, SLU, Sweden, 2005
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、金属酸化物ヒドロゲル及びヒドロゾルを製造する方法を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、金属酸化物ヒドロゲル又はヒドロゾルによって、主族金属酸化物及び/又は遷移金属中に水不溶性粒子をカプセル化する方法を提供することである。
【0008】
本発明の付加的な目的は、金属酸化物でカプセル化された水不溶性粒子を提供することである。
【0009】
更なる本発明の目的は、金属酸化物でカプセル化された水不溶性粒子の使用を含む。
【0010】
更なる本発明の目的は、以下の発明の概要、その好適な態様の記載及び添付の特許請求から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
他に記載されない場合、この出願において、金属酸化物又はアルコキシドは、主族金属酸化物又は遷移金属酸化物、又はそのような金属酸化物又は金属アルコキシドの混合物である。
【0012】
本発明によると、
1)水混和性有機溶媒中の1種又はそれ以上の金属アルコキシドの金属アルコキシド溶液を調製すること;
2)水性溶媒を提供すること;
3)場合により、pH0からpH7までのpHを有する水性溶媒を提供すること;
4) 場合により、工程1)の溶液と工程3)の水性溶媒の測定された容量を混合して、水混和性有機溶媒中の金属酸化物ミセルを生成すること;
5) 工程1)の金属アルコキシド溶液又は工程4)の金属酸化物ミセルを含む水混和性有機溶媒を工程2)の水性溶媒と、水和金属酸化物の単相水性ゾルコロイド(ヒドロゾル)を形成する容量比又は重量比で混合すること;
を含み、但し、該ヒドロゾルが非イオン性ブロックポリマー界面活性剤を含まない、1種又はそれ以上の金属酸化物のヒドロゾルを製造する方法が開示される。
ヒドロゾルを製造する方法の好適な実施形態は、請求項2から8に開示される。
【0013】
また、本発明の方法によって、非イオン性ブロックポリマー界面活性剤を含まない水和金属酸化物のヒドロゾル、特に本発明の方法で得られる水和金属酸化物のヒドロゾルが開示される。
【0014】
本発明によると、ゾルーゲル転移を提供するのに十分な時間、本発明の水和金属酸化物の水性ヒドロゾルを貯蔵することを含む、非イオン性ブロックポリマー界面活性剤を含まない、1種又はそれ以上の金属酸化物のヒドロゲルを製造する方法が開示される。本発明の水和金属酸化物のヒドロゲルから、水及び/又は溶媒を場合により例えば減圧下で除去して、非イオン性ブロックポリマー界面活性剤を含まない1種又はそれ以上の金属酸化物の乾燥ヒドロゲルを形成することができる。本方法の好ましい実施態様。
【0015】
本発明の好ましい一態様によると、
a)水混和性有機溶媒中の金属アルコキシド溶液を調製すること;
b)水性溶媒中の粒子懸濁液を調製すること;
c)工程a)の溶液と工程b)の懸濁液を、水和金属酸化物の単相ヒドロゾル中の該粒子の懸濁液を形成するのに適切な容積又は重量比率で混合すること;
又は、工程b)及びc)に換えて、:
)pH0からpH7までのpHを有する水又は水性溶媒を提供すること;
) 工程a)の溶液と工程b)の水又は水性溶媒の夫々測定された容量を混合して、工程a)の水混和性有機溶媒中の金属酸化物ミセルを形成すること;
) 工程c)の金属酸化物ミセルを含む水混和性有機溶媒を水性溶媒と混合して、水和金属酸化物の単相ヒドロゾルを形成すること;
) 工程c)の単相ヒドロゾル中に水不溶性粒子を分散させて、その中の粒子の懸濁液を形成すること;
d)粒子上に金属酸化物ミセルの形成及び自己凝集を提供するのに十分な時間、工程c)又は工程c)のヒドロゾル粒子懸濁液を貯蔵して(ここで、貯蔵時間は、水性ゾルの水性ゲルへの転移を可能にするように選択できる)、粒子上に水和金属酸化物のシェルを形成すること;
e)場合により、工程d)の生成物から水及び/又は溶剤を除去して、水和金属酸化物(類)のシェル中の水不溶性粒子の凝集体を形成すること;
f)工程e)に代わる方法として、場合により、工程d)で得られた水和主族金属及び/又は遷移金属酸化物(類)のシェル中に封入された粒子を他の成分から分離すること;
g)場合により、工程f)の生成物から水及び溶媒を除去すること;
を含み、但し、非イオン性ブロック共重合体界面活性剤の使用を含まない、水和金属酸化物又は水和金属酸化物の混合物中に水不溶性粒子をカプセル化(封入)する方法が開示される。
【0016】
本方法の好適な実施形態は、添付の請求項15から32及び35から39に開示される。
【0017】
初期に製造された溶液中の金属アルコキシドは、カルボン酸、ジケトン、ケトエステル、ポリオール、又は追加のアミノ−、エーテル−、ケト−アルデヒド基を含むアルコール、又はフェノール、又はアルカノールアミンのようなヘテロリガンドの添加によって改変できる。ドラッグデリバリーの可能性のある、芳香族の断片、アミノ酸及びタンパク質を含むカルボン酸は、特に改変配位子として好ましい。
【0018】
本発明の好適な態様によれば、金属アルコキシド溶液は、強酸(HCl、HNO、HSO、HClO、CFSOH又はPHSOH)の添加により調整された0から7、最も望ましくは0から2の間のpHを有する制御された量の水の添加により、又は初期の金属アルコキシドの溶解に適用された有機溶媒と同一又はそれと混和し得る他の有機溶媒中のその溶液の添加により、加水分解に付すことができる。添加された水の量は、有機媒体での加水分解―重縮合を介して酸化物ミセルの形成の可能性を与える。添加される水の量は、金属量に対して0から5モル当量、特に、0.01から4.0モル当量、最も望ましくは0.05から1.0モル当量が好ましい。すべての用いられる有機溶媒は、さらなる調合のために提案された量において、相分離無く水性媒質と混和性であるべきである。有機金属アルコキシド溶液を選択された水性媒体と混合することによって生じる懸濁液は、液体状態で保ち得て、又は、周囲圧力又は真空での蒸発、又は気流下で、又は最初の懸濁液の噴霧、並びに凍結乾燥によって乾燥することができる。
【0019】
本発明によると、カプセル化された粒子又はその断片の制御放出方法が開示される。この方法では、本発明の方法の生成物が、pH調整された水性配位子溶液、例えば、カルボン酸塩(carboxylate)又はポリカルボン酸塩(polycarboxylate)溶液、特に、クエン酸塩、乳酸塩、コハク酸塩、シュウ酸塩等の溶液と接触する。水性配位子溶液は、pH4からpH9、特にpH5からpH7を有することが好ましい。
【0020】
本発明の好ましい側面によると、本発明の方法は、金属酸化物アルコキシド又は金属アルコキシドの前駆体、例えば主族金属及び/又は遷移金属のメトキシド、エトキシド、n−プロポキシド、イソプロポキシド、n−ブトキシド、sec−ブトキシド、イソブトキシド、tert−ブトキシド、n−ペントキシド、イソペントキシド、sec−ペントキシド、tert−ペントキシド、ネオペントキシド、長鎖アルコール誘導体(12までの炭素原子を含むアルキル基を備えたもの)、付加的なドナー機能を含むアルコール誘導体、例えばアルコキシ−、アミノ−、イミノ−、アルキルアミノ−、アルカノールアミノ−誘導体等;ジケトン、ケトエステル、カルボン酸、アルキル、不飽和炭化水素配位子、追加のドナー機能を備えたアルコール配位子、ポリオール、カリックスアレーン(calixarenes)などのような配位子で改変されなかった又は改変されたフェノール等の誘導体、の使用を含み、ミセル自己凝集メカニズムによって進行し、該メカニズムはシリカアルコキシド及び改変されたシリカアルコキシドの自己凝集と基本的に異なり、そして常に、それらの表面上の配位子の自己凝集によって決定されるサイズ及び反応性の密度の高い粒子の形成を含む。ミセルは不均一粒子であり、水混和性有機溶媒によって水溶液に導入された場合、水へ移動してゲル化及び/又はカプセル化することができる。さらに、反応混合物が不均一である場合、ミセルは一般に相分離面上で濃縮され、水相に存在する巨大分子、粒子又は生物のまわりに緻密なシェルを形成するであろう。有機溶媒中での一次ミセルの製造におけるアミン、アミノアルコール、アルカノールアミン、アミノ酸、アミノ置換糖等のような塩基性配位子を酸類と組み合わせた適用は、酸類と共に、それらの表面上の電気的に帯電したアンモニウムイオン(カチオン)を介して水性媒体中のミセルを安定化する手段を提供し、そして緩衝溶液を形成するプロトン化配位子の脱離を介して、得られたヒドロゾル中のpHを調整する。緩衝溶液は、生体適合性媒体を達成するために、4から10、5から9、最も望ましくは7.0から8.5のpHを有することが好ましい。ミセルの原溶液は、高度に濃縮でき、そしてそれは10%未満のアルコール含量の最終反応混合物を得ることを可能にする。このようにして得られたシェルは、炭化水素中水滴型エマルジョン中の金属アルコキシドから得られたシェルと比べて、厚くて(50μmまで)機械的に抵抗性のある壁を持つことができる[Spijksma G., Licentiate Thesis, SLU, Sweden, 2005]。カプセル化された対象物の性質と組み合わさって、磁性、伝導度、光学活性などのような主族金属酸化物及び遷移金属酸化物の特異的な化学的及び物理的性質は、広範囲の応用を提供する。金属アルコキシドから製造されたカプセルの高密度の壁は、カプセル化された対象物の保持性を高める。例えば、金属アルコキシド由来の(水和された)主族金属酸化物又は遷移金属酸化物の化学反応性は、例えば、ジ−及びポリカルボン酸塩(クエン酸塩、乳酸塩、琥珀酸塩、シュウ酸塩等)などの生体適合性配位子の導入によって、周囲温度でカプセル化粒子又はその断片を化学的に又は生化学的に制御して放出させる。適用された配位子の最も重要な特徴は、カルボン酸、スルホン酸、燐酸のような酸性基及び付加的基の存在であり、それは第1の基に対してα、β、γ又はδの位置(基の間に1から4の炭素原子)のカルボン酸基、スルホン酸基、燐酸基、又は水酸基であることができる。
【0021】
本方法の生成物は、どのようにそれがゾル又はゲル状態から回収されたかによって形態が異なり得るし、応用に依存して、液体懸濁物(ゾル)、ゲル、乾燥粉末、又は非晶質金属酸化物によって囲まれた硬質シェル中にカプセル化された粒子として使用することが出来る。
【0022】
本発明の方法は、アルコール類;アミノ、アルキルアミノ、エーテル、エステル、ケト−若しくはアルデヒド基のような付加的ドナー機能(donor function)を備えたアルコール類、エーテル類、エステル類、アミン類、アミド類、アルキルスルホキシド類又はアルキルホスホネート類(主要条件として、それらは相分離すること無く水と混和すること)であって、ジケトン、ケトエステル、カルボン酸、アルキル、不飽和炭化水素配位子、付加的ドナー機能を備えたアルコール配位子、アルカノールアミン、ポリオール、カリックスアレーンのような配位子により付加的に改変をしたもの又はしないもの、のような溶媒中の主族金属及び/又は遷移金属アルコキシド又は改変されたアルコキシドの溶液の調製に基づく。金属アルコキシドとしては、主族金属又は遷移金属のメトキシド、エトキシド、n−プロポキシド、イソプロポキシド、n−ブトキシド、sec-ブトキシド、イソブトキシド、tert−ブトキシド、n−ペントキシド、イソペントキシド、sec−ペントキシド、tert−ペントキシド、ネオペントキシド、6から12の炭素原子を有する長鎖アルコール誘導体、アルコキシ−、アミノ−、イミノ−、アルキルアミノ−、アルカノールアミノ誘導体等のような付加的ドナー機能を持ったアルコール誘導体、フェノールの誘導体が使用される。金属とは、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、ランタン及びランタニド、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、テクネチウム、レニウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、白金族金属、銀及び金、スズ、鉛及びビスマス、並びにそれらの混合物を意味し、これらの金属を含むヘテロ金属(heterometallic)錯体も含む。アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ニオブ及びモリブデンの誘導体は、特に生物学的な応用に興味深い。
【0023】
これらの溶液の部分的加水分解−重縮合は、純粋な形の水又は水混和性溶媒の水溶液中の水、特に前記有機溶媒の1種の溶液中の水を添加することによって行われる。水は中性pH、又は0から7のpH、特に強酸の添加によって調整された0から2のpHであることが好ましい。
【0024】
得られた有機金属アルコキシド溶液は、カプセル化用の粒子が分散されている水又は水溶液と混合される。該水溶液は、水混和性有機溶媒及び/又は1種又はそれ以上の無機塩又は有機塩(例えばMX、RNX、ここでM=Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba又は希土類元素、R=CH、C、C、C;X=F、Cl、Br、I、OH、NO1/2SO2−、ClO、CN、SCN等である)を含んでもよい。そのような塩は、自己凝集を推進し、シェル中の水分保持を低下させると信じられており、機械的に安定なクラックの無いシェルの製造に有用である。水性粒子懸濁液と金属アルコキシド溶液の混合は粒子の周りに自己凝集するヒドロゾルを生成して、それらの表面に集積された改変配位子を有する緻密なシェルを提供する。本方法は、別の界面活性剤(例えば、ポリエステル又はポリエーテル/ポリアルコールのブロック共重合体)又は触媒の適用を必要としない。カプセル化用の対象物を保護するために、保護的/不活性雰囲気、例えば無酸素雰囲気、が適用できる。金属アルコキシド溶液と最初の懸濁液を混合することによって得られたコロイド溶液の自己凝集を減速するために、−75℃から+15℃、特に−45℃から+10℃、最も好ましくは−20℃から0℃の温度への冷却の使用が好ましい。金属アルコキシド溶液と最初の懸濁液を混合することによって得られたコロイド溶液の自己凝集を加速するために、+25℃から+145℃、特に+30℃から+130℃、最も好ましくは+50℃から+120℃の温度への加熱を用いることが好ましい。金属アルコキシド溶液及び/又はゾル若しくはゲルコロイドの均質性は、超音波処理によって改善できる。水不溶性粒子(分子、組織、細胞又は生物など)のカプセル化は、数秒、特に1から20秒、から数時間、例えば2、3又は6時間に変化する時間内で起こる。カプセル化時間は、5秒から6時間、特に5秒から1時間、最も好ましくは10秒から30分が好ましい。得られたカプセルは懸濁液として溶液に残すか又は乾燥によって分離できる。応用次第であるが、後者は、周囲圧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥、気流下での乾燥又は粉霧乾燥により実現できる。それらは、濾過の有無に関わらず溶媒での繰り返し洗浄によって、捕捉されなかった成分のいかなる混合物からも意図的に分離できる。コロイドの乾燥は、カプセル化物質のより良い保存に使用できる。低温での乾燥又は凍結乾燥は、金属酸化物シェルにカプセル化された生物学的物質の不変の保存に使用できる。
【0025】
得られたカプセル化物は、種々の条件で保存できる。所望により、それらは弱酸性官能基を好ましくは0.01から5.0M、特に0.01から2M、最も好ましくは0.05から1.0Mの濃度で含む生体適合性配位子の水溶液の添加によって殆ど直ちに溶解できる。好ましい生体適合性配位子は、カルボン酸塩又はポリカルボン酸塩配位子であり、しかしまた、アミノカルボン酸塩又はヒドロキシルカルボン酸塩配位子でもある。溶解方法は、当初に適用された改変配位子の放出を伴う。従って該配位子はこの手順によって溶液中に制御良く伝達される。数マイクロメートルから3mmまでのサイズのマクロカプセルは、機械的、超音波又は光(レーザー)処理のような物理的処理によっても開くことができる。
【0026】
本発明は、多くの好ましいが制限しない実施形態を参照して、より詳細に説明されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】水溶液(B)中の(ミクロ−)不均質対象物のまわりの予備形成したミセル(A)の自己凝集を例示する大まかな図式である。
【図2−A】生体適合性配位子(B)による金属酸化物シェルの溶解を介したカプセル化物質(A)の放出を示す。
【図2−B】生体適合性配位子(B)による金属酸化物シェルの溶解を介したカプセル化物質(A)の放出を示す。
【図3】ペニシラミンにより改変したチタニウムアルコキサイド前駆体物質、チタニウムイソプロポキシド(A)及びチタニウムn−プロポキシド(B)、の分子構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
すべての化学物質はAldrichから購入し、そのまま使用した。
〔実施例1〕
【0029】
化学的に改変されそして予備加水分解された前駆体から得た水和酸化物シェル中への2.2μmのポリスチレンビーズのカプセル化
初期の前駆体溶液を、2mLのTi(OPr)を8mLの無水のPrOHに溶かし、次いで0.5mLのトリエタノールアミンを加えることによって得た。次に、0.4mLの0.1MHNOを1.6mLのPr0Hと混合することによって得られた1mLの加水分解溶液を、改変前駆体溶液にかき混ぜながら添加し、有機ゾルを得た。1mLのゾルを、ガラスフラスコ中で磁気攪拌子によって攪拌された水中で、5mLのマイクロビーズ(Duke Scientific社、カリフォルニア州パロアルト、米国)の懸濁液に注射器によってすばやく添加した。得られた僅かに不透明なヒドロゾルをペトリ皿に注ぎ込んで、約30分以内に僅かに不透明なゲルを生成した。ゲルを、次に水で数回洗浄し、1時間オーブンで乾燥した。球体は、水和酸化物のシェル(100から250nmの壁厚を有する)によって覆われ、さらに1/10(tenths)マイクロメートルから約1mmのゲル凝集体に組込まれたことを光学顕微鏡は示した。被覆粒子は、透明ゲル層を有する特異な光学的性質(反射及び/又は吸収)を備え、ソーラー制御用途への特別な興味が持たれる。
〔実施例2〕
【0030】
化学的に改変されそして予備加水分解された前駆体から得た水和酸化物シェル中へのArthrobacter chlorophenolicus A6Gのカプセル化
実施例1に従って得られた予備製造された有機ゾル(1mL)を、等張性塩化ナトリウム水溶液中の細菌Arthrobacter chlorophenolicus A6Gの懸濁液10mLに添加した。得られた僅かに不透明なヒドロゾルをペトリ皿に注ぎ込んで、30分以内に僅かに不透明なモノリシック構造のゲルに変えた。該ゲルを、次に数回等張性塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。適用された微生物は水和酸化物のシェル(100から250nmの壁厚を有する)によって覆われ、さらに1/10(tenths)マイクロメートルから約1mmのゲル凝集体に組込まれたことを、光学顕微鏡は示した。
〔実施例3〕
【0031】
カプセル化された細菌の放出(Liberation)とその後の生死判別試験
実施例2で得られ、特性化されたArthrobacter chlorophenolicus A6Gのゲルカプセル化物(約1g)を、pH=6.00そして合計濃度0.10M(10mL)のクエン酸緩衝液に添加した。調製された溶媒混合物中の細菌の透明な懸濁液の形成を伴う完全溶解は、緩やかな撹拌で5分以内に達成された。得られた溶液を培養プレート上に播くと、5・10cfu/mL(0.25%の生存率に対応)までの生存微生物の密度の可能性を示した。
〔実施例4〕
【0032】
配位子選択によるカプセル化物質の生体適合性の改良
初期の前駆体溶液を、6mLの無水EtOH中に4mLのTi(OEt)を溶かし、1.0mLのトリエタノールアミンを添加することによって得た。次に、0.5mLの0.5MHNOを2.0mLのET0Hと混合することによって得られた加水分解溶液1mLを添加し、有機ゾルを得た。1mLの該ゾルを、等張性塩化ナトリウム水溶液中のArthrobacter chlorophenolicus A6Gの懸濁液9mLに注射器によってすばやく添加した。得られた僅かに不透明なヒドロゾルをペトリ皿に注ぎ込んで、30分以内に僅かに不透明なモノリシック構造のゲルに変えた。該ゲルを数回等張性塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。適用された微生物は水和酸化物のシェル(100から250nmの壁厚を有する)によって覆われ、さらに1/10(tenths)マイクロメートルから約1mmのゲル凝集体に組込まれたことを、光学顕微鏡は示した。実施例3によるカプセル化された生物の放出は、それに続く生死判別試験で、6%の生存率を明らかにした。
〔実施例5〕
【0033】
種々の微生物に対するヒドロゾルカプセル化の生体適合性試験
初期の前駆体溶液を、5mLの無水のEtOH中に5mLのTi(OEt)を溶かし、1.5mLのトリエタノールアミンを添加することによって得た。次に、0.5mLの0.5MHNOを2.0mLのET0Hと混合することによって得られた加水分解溶液1.0mLを添加して、有機ゾルを得た。1mLの該ゾルを、等張性塩化ナトリウム水溶液中の細菌Lactobacillus plantarum又は酵母Pichia anomalaを含む9mLの懸濁液に注射器によってすばやく添加した。得られた僅かに不透明なヒドロゾルをペトリ皿に注ぎ込んで、30分以内に僅かに不透明なモノリシック構造のゲルに変た。該ゲルを数回、等張性塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。適用された微生物は、水和酸化物のシェル(100から250nmの壁厚を有する)によって覆われ、さらに1/10(tenths)マイクロメートルから約1mmのゲル凝集体に組込まれたことを、光学顕微鏡は示した。実施例3によるカプセル化された生物の放出は、それに続く生死判別試験で、73%のL. plantarum及び100%のP. anomalaの生存率を明らかにした。
〔実施例6〕
【0034】
化学的に改変されそして予備加水分解された前駆体から得た水和酸化物シェル中へのArabidopsisの種子のカプセル化
初期の前駆体溶液を、4mLのTi(OPr)を6mLの無水のPrOHに溶かし、次いで2mLのトリエタノールアミンを加えることによって得た。次に、0.5mLの0.1MHNOを2.0mLのPr0Hと混合することによって得られた2.5mLの加水分解溶液を添加して、有機ゾルを形成した。1mLの該有機ゾルを、8mLの蒸留水中の0.05gのArabidopsisの種子の懸濁液10mLに注射器によってすばやく添加した。得られた僅かに不透明なヒドロゾルをペトリ皿に注ぎ込んで、1時間オーブンで乾燥した。該種子は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察によると、約1μmの厚みのシェルで覆われていた。該シェルは、明らかに乾燥での収縮によって形成された0.5から0.8μmの深さのクラックを有して、
均一ではなかった。
〔実施例7〕
【0035】
化学的に改変されそして予備加水分解された前駆体から得た水和酸化物シェル中へのArabidopsisの種子のカプセル化、及び収縮を避けるための塩溶液の適用
初期の前駆体溶液を、4mLのTi(OPr)を6mLの無水PrOHに溶かし、2mLのトリエタノールアミンを加えることによって得た。次に、0.5mLの0.1MHNOを2.0mLのPr0Hと混合することによって得られた2.5mLの加水分解溶液を添加して、有機ゾルを得た。1mLの該有機ゾルを、8mLの等張性NaCl溶液中の0.05gのArabidopsisの種子の懸濁液10mLに注射器によってすばやく添加した。得られた僅かに不透明なヒドロゾルをペトリ皿に注ぎ込んで、1時間乾燥空気流中で乾燥した。該種子は、SEM観察によると約1μmの壁厚を有し、均一でクラックの無いシェルで覆われていた。
〔実施例8〕
【0036】
共改変配位子としての抗炎症薬の適用
初期の前駆体ゾルを、2mLのTi(OPr)を8mLの無水PrOHに溶かし、2mLのトリエタノールアミン及び0.1gのイブプロフェン又は0.1gのペニシラミンを加えることによって得た。次に、0.5mLの0.1MHNOを2.0mLのPr0Hと混合することによって得られた加水分解溶液1.0mLを添加して、有機ゾルを形成した。1mLの該有機ゾルを、4mLの水中の1mLの粒状のメソポーラス(mesoporous)Alに添加した。ヒドロゾル及び次にヒドロゲルが、混合物を一定に攪拌して形成され、それを次に戸外で乾燥した。粒状物は厚さ約1μmのシェルで覆れていた。被覆された粒状物の水への再移動は、UV−測定によれば、イブプロフェンのかなりの即時放出を引き起こさない。イブプロフェンは、pH=6.0のクエン酸塩緩衝液による処理で定量的に放出される。共改変配位子としてのペニシラミンの適用のUV−測定は、ペニシラミン残留物が、ポリカルボン酸塩配位子がない時には、最初の改変されたアルコキシドにおける場合と同じような金属原子のまわりの配位配列で、ゲルシェルに貯蔵されることを示す。
〔実施例9〕
【0037】
酸化鉄ヒドロゾルの製造、及びインジウム錫酸化物ナノ粒子のカプセル化のためのその適用
初期の前駆体ゾルを、0.4gの鉄エトキシド、FeO(OEt)13、を4mLの無水エタノールに溶かし、次いで0.5mLの0.1MHNOを5mLのEt0Hと混合することによって調製された溶液1mLを激しく攪拌しながら添加することによって得た。このように得られた暗赤色橙色ゾル2mLを8mLの蒸留水に添加した。得られたヒドロゾルは室温で数日間安定である。インジウム錫酸化物のナノ粒子(直径30nm、MG-Consulting、イタリー、から調達)0.05gを得られたヒドロゾル中に短い超音波処理(0.14kW浴、3分)によって分散させた。懸濁液をペトリ皿に注ぎ込み、戸外で乾燥させた。生成物は、SEM観察によると、約50−70nmの厚みの酸化物シェルによって覆われた粒子の凝集体から成る。そのような粒子のガラスの上への沈着は、ソーラー制御用途へのアプローチを提供する。
〔実施例10〕
【0038】
付加的ドナー機能を有するアルコールから誘導されるモリブデンアルコキシドから、三酸化モリブデン一水和物の透明ヒドロゾルの製造
2−メトキシエタノール、エーテロアルコキシド(etheroalkoxide)、の誘導体
であるモリブデンジオキソ−2−メトキシエトキシド、MoO(OCOCH、0.21gを3mLの元のアルコール(parent alcohol)、HOCOCH、に溶かした。溶液を5mLの蒸留水に注ぎ込んだ。1週間、透明な明るい青色ゾルは均一で透明であった。真空中(0.1mmHg)でのゾルの乾燥は、粉末X線によってMoO・HOと同定された明るい青色粉末を生じた。該ゾルは、光互変性特性を有していた:日光に曝されると、それは激しく青になり、暗所で0.5から2時間貯蔵後再び無色に戻った。そのようなゾルのガラス上での沈着は、光互変性応用へのアプローチを提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種又はそれ以上の金属酸化物のヒドロゾルの製造方法であって:
1)水混和性有機溶媒中の1種又はそれ以上の金属アルコキシドの金属アルコキシド溶液を製造すること;
2)水性溶媒を提供すること;
3)場合により、pH0からpH7までのpHを有する水性溶媒を提供すること;
4) 場合により、工程1)の溶液と工程3)の水性溶媒の測定された容量を混合して、水混和性有機溶媒中の金属酸化物ミセルを生成すること;
5) 工程1)の金属アルコキシド溶液又は工程4)の金属酸化物ミセルを含む水混和性有機溶媒を、工程2)の水性溶媒と、水和金属酸化物の単相水性ゾルコロイド(ヒドロゾル)を形成する容量比又は重量比で混合すること;
からなり、但し、ヒドロゾルが非イオン性ブロックポリマー界面活性剤を含まない、上記の製造方法。
【請求項2】
金属アルコキシドがマグネシウムアルコキシド、アルミニウムアルコキシド、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、ニオブアルコキシド、モリブデンアルコキシドから選択される請求項1の方法。
【請求項3】
金属アルコキシドがメトキシド、エトキシド、n−プロポキシド、イソプロポキシド、n−ブトキシド、アミロキシドから選択される請求項1又は2の方法。
【請求項4】
1種又は数種の金属アルコキシドの一つ又はそれ以上がアルコキシド以外の1種又はそれ以上の配位子を含む請求項1から3の方法。
【請求項5】
アルコキシド以外の1種又はそれ以上の該配位子が、カルボキシレート、βージケトナート、ケトエステラート、ジオラート、ポリオラート、炭水化物から選択される請求項4の方法。
【請求項6】
アルコキシド以外の配位子が電子供与基を含む請求項4又は5の方法。
【請求項7】
電子供与基がアルコキシ−、アミノ−、イミノ−、アルキルアミノ−、アルカノールアミノから選択される請求項6の方法。
【請求項8】
電子供与性配位子が薬剤、香料、香水、着色料(colour)、色素、食品添加物、抗酸化剤、加湿剤、ビタミン、ホルモン、殺虫剤、除草剤、抗原虫薬、防黴剤、殺菌剤、酵素、抗体、触媒、化学試薬から選択される請求項6又は7の方法。
【請求項9】
非イオン性ブロックポリマー界面活性剤を含まない1種又はそれ以上の水和金属酸化物のヒドロゾル。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれかの方法によって得られる請求項9のヒドロゾル。
【請求項11】
ゾル−ゲル転移を提供するのに十分な期間、請求項9又は10の水和金属酸化物の水性ヒドロゾルを貯蔵することを含む、非イオン性ブロックポリマー界面活性剤を含まない、1種又はそれ以上の金属酸化物のヒドロゲルの製造方法。
【請求項12】
ゾル−ゲル転移に際して、水及び溶媒を除去することを含む請求項11の方法。
【請求項13】
非イオン性ブロックポリマー界面活性剤を含まない、1種又はそれ以上の水和金属酸化物のヒドロゲル。
【請求項14】
請求項11又は12の方法によって得られる請求項13のヒドロゲル。
【請求項15】
金属酸化物又はその混合物中の水不溶性粒子のカプセル化方法であって、
a)水混和性有機溶媒中の1種又は数種の金属アルコキシドの金属アルコキシド溶液を調製すること;
b)水性溶媒中の粒子懸濁液を調製すること;
c)工程a)の溶液と工程b)の懸濁液を、水和金属酸化物(類)の単相水性ゾルコロイド中の該粒子の懸濁液を形成するのに適切な容積又は重量比率で混合すること;
d)該粒子上に水和金属酸化物(類)のシェルを形成するように、該粒子上に金属酸化物(類)のミセルの形成及び自己凝集を提供するのに十分な時間、該水性ゾルコロイド粒子懸濁液を貯蔵すること(ここで、貯蔵時間は、水性ゾルの水性ゲルへの遷移を可能にするように選択できる);
e)場合により、水和金属酸化物(類)のシェルの中に水不溶性粒子の凝集体を形成するために、工程d)の生成物から水及び/又は溶媒を除去すること;
f)工程e)に代わる方法として、場合により、工程d)で得られた水和金属酸化物(類)のシェル中に封入された粒子を他の成分から分離すること;
g)場合により、工程f)の生成物から水及び溶媒を除去すること;
を含み、但し、その方法は非イオン性ブロック共重合体界面活性剤の使用を含まない、上記のカプセル化方法。
【請求項16】
上記粒子が、ミトコンドリアのような、生きた若しくは死んだ単細胞若しくは多細胞の生物若しくは細胞小器官、又は植物、動物若しくはヒトの組織若しくは細胞若しくはその抽出物、又は工業用有機高分子、金属粒子及び金属酸化物粒子、金属カルコゲナイド粒子、色素の粒子、香料、殺菌剤、殺虫剤、除草剤、薬物のような非生物学的巨大分子若しくは粒子から選択される請求項15の方法。
【請求項17】
金属アルコキシドがメトキシド、エトキシド、n−プロポキシド、イソプロポキシド、n−ブトキシド、アミロキシドから選択される請求項15又は16の方法。
【請求項18】
金属酸化物が酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化モリブデンから選択される請求項15から17のいずれか1項の方法。
【請求項19】
1種又は数種の主族金属及び/又は遷移金属アルコキシドの1つ又はそれ以上がアルコキシド以外の1種又はそれ以上の配位子を含む請求項15から18のいずれか1項の方法。
【請求項20】
アルコキシド以外の1種又はそれ以上の配位子が、カルボキシレート、β―ジケトナート、ケトエステラート、ジオラート、ポリオラート、炭水化物から選択される請求項19の方法。
【請求項21】
アルコキシド以外の配位子が電子供与基を含む請求項19又は20の方法。
【請求項22】
電子供与基がアルコキシ−、アミノ−、イミノ−、アルキルアミノ−、アルカノールアミノから選択される請求項21の方法。
【請求項23】
電子供与配位子が薬剤、香料、香水、着色料、色素、食品添加物、抗酸化剤、加湿剤、ビタミン、ホルモン、殺虫剤、除草剤、抗原虫薬、防黴剤、殺菌剤、酵素、抗体、触媒、化学試薬から選択される請求項21又は22の方法。
【請求項24】
主族金属及び/又は遷移金属酸化物ミセルの形成のために、工程c)の溶液と工程b)のカプセル化用の水性溶媒を混合する前に、水を工程a)の金属アルコキシド溶液に添加する請求項15から23のいずれか1項の方法。
【請求項25】
水を全金属アルコキシドの0から10モル当量の量で添加する請求項24の方法。
【請求項26】
水を0.01から4.0当量の量で添加する請求項24の方法。
【請求項27】
水を0.05から1.0当量の量で添加する請求項24の方法。
【請求項28】
添加する水が水混和性有機溶媒を含む請求項24から27のいずれか1項の方法。
【請求項29】
添加用の水のpHが、酸又は緩衝液によってpH0からpH7に調整される請求項24から28のいずれか1項の方法。
【請求項30】
調整が、pH0からpH2である請求項24から28のいずれか1項の方法。
【請求項31】
工程a)の溶液及び/又は工程b)の懸濁液が混合の前に冷却されそして/又は加熱される請求項15から30のいずれか1項の方法。
【請求項32】
工程a)の溶液及び/又は工程b)の懸濁液が混合の前に超音波処理される請求項15から32のいずれか1項の方法。
【請求項33】
非イオン性ブロックポリマー界面活性剤を含まない、懸濁された粒子を含む水性金属酸化物ゾルコロイド(ヒドロゾル)。
【請求項34】
請求項15から32のいずれか1項の方法で得られる請求項33のヒドロゾル。
【請求項35】
工程d)の生成物が、蒸発、昇華、溶媒交換、及び/又は超臨界乾燥若しくは凍結乾燥によって乾燥される請求項15から32のいずれか1項の方法。
【請求項36】
工程e)の生成物が水又は水性溶媒で洗浄される請求項35の方法。
【請求項37】
乾燥生成物が加熱及び/又は冷却される請求項34の方法。
【請求項38】
乾燥生成物が機械的破砕される請求項34又は36の方法。
【請求項39】
工程f)の生成物が、ガス流の中での蒸発によって、溶媒交換によって、及び/又は超臨界乾燥若しくは凍結乾燥によって乾燥される請求項15から32のいずれか1項の方法。
【請求項40】
1つ又はいくつかの水不溶性粒子を含む水不溶性粒子の凝集体であって、各粒子は、より低密度の水和金属酸化物(類)ですき間を満たされた、より高密度の水和金属酸化物(類)のシェルに封入されていて、但し、非イオン性ブロック共重合体界面活性剤を含まない、上記の水不溶性粒子の凝集体。
【請求項41】
水不溶性粒子が、ミトコンドリアのような、生きた若しくは死んだ単細胞若しくは多細胞の生物若しくは細胞小器官、又は植物、動物若しくはヒトの組織若しくは細胞若しくはその抽出物から選択される、請求項40の粒子の凝集体。
【請求項42】
水不溶性粒子が工業用有機高分子、金属粒子及び金属酸化物粒子、金属カルコゲナイド粒子、色素粒子、香料、殺菌剤、水不溶性薬物等の粒子から選択される請求項40の粒子の凝集体。
【請求項43】
請求項15から32及び35から39のいずれか1項の方法によって得られる、より低密度の水和金属酸化物(類)ですき間を満たされた、より高密度の水和金属酸化物(類)の対応する数のシェルに封入された1つ又はいくつかの水不溶性粒子を含む不溶性粒子の凝集体。
【請求項44】
粉末形態の請求項43の粒子の凝集体。
【請求項45】
電子情報の転送及び/又は保存のための請求項40から42又は43から44の粒子の凝集体の使用。
【請求項46】
医薬品における請求項40から42又は43から44の粒子の凝集体の使用。
【請求項47】
医療インプラント用成分としての請求項46の使用。
【請求項48】
中性若しくは酸性の水性溶媒又は有機溶媒中の、請求項40から42又は43から44の粒子の凝集体の懸濁液。
【請求項49】
請求項40から42又は43から44の粒子の凝集体から製造した粉末。
【請求項50】
請求項40から42又は43から44の粒子の凝集体を含む医薬組成物。
【請求項51】
シェルが非イオン性ブロックポリマー界面活性剤を含まない条件で、水和主族金属及び/又は遷移金属酸化物(類)のシェル中に封入された水不溶性粒子。
【請求項52】
ミトコンドリアのような、死んだ若しくは生きた単細胞若しくは多細胞の生物若しくは細胞小器官、又は植物、動物若しくはヒトの組織若しくは細胞若しくはその抽出物から選択される請求項51の粒子。
【請求項53】
請求項15から32及び34から39のいずれか1項の方法によって得られる、水和主族金属及び/又は遷移金属酸化物(類)のシェルに封入された水不溶性粒子。
【請求項54】
請求項54の粒子を含む粉末。
【請求項55】
請求項10から11のヒドロゲル又は請求項13から14のヒドロゾル又はその乾燥品から放出されたヘテロリガンド。
【請求項56】
電子情報の転送及び/又保存への請求項51の粒子の使用。
【請求項57】
医薬品における請求項51の粒子の使用。
【請求項58】
医療用インプラント成分としての請求項57の使用。
【請求項59】
水性又は有機溶媒中の請求項51の粒子の懸濁液。
【請求項60】
請求項51の粒子及び1種又はそれ以上の製薬上許容可能な賦形剤の粒子を含む医薬組成物。
【請求項61】
錠剤の形態の請求項60の組成物。
【請求項62】
カプセル化粒子の徐放用の請求項60又は61の組成物。
【請求項63】
請求項9又は10のヒドロゾル中に粒子を分散させ、ゾル-ゲル転移に充分な時間、懸濁液を保存することを含む、水不溶性粒子のカプセル化方法。
【請求項64】
スピンオン法、浸漬塗布又は噴霧蒸着により表面に請求項13又は14の金属酸化物ヒドロゲルを沈着させることを含む、金属酸化物で表面を被覆する方法。
【請求項65】
請求項64の方法によって被覆された物品。

【図1】
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【図2−A】
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【図2−B】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−539601(P2009−539601A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−515348(P2009−515348)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【国際出願番号】PCT/SE2007/000577
【国際公開番号】WO2007/145573
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(508366776)
【出願人】(508366787)
【出願人】(508366798)
【出願人】(508366802)
【Fターム(参考)】