説明

鉄系粉末及びその組成物

Ni0.75〜1.1重量%、Mo0.75〜1.1重量%、及びMn0.45重量%以下とともに予備合金化され、さらに、0.5から3.0重量%、好ましくは0.5から2.5重量%、最も好ましくは0.5から2.0重量%のCuと、不可避の不純物とを含み、残分がFeである、水噴霧された鉄系粉末。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄系合金粉末、並びに鉄系合金粉末、グラファイト、潤滑剤、及び最終的には他の添加剤を含む鉄系合金粉末組成物に関する。この組成物は、良好な機械的特性を有する、プレス及び焼結された要素(component;構成要素、部品、材料)のコスト効率のよい製造のために設計されている。
【背景技術】
【0002】
工業において、金属粉末組成物を圧縮及び焼結することにより製造される金属製品の使用は、ますます広まるようになっている。様々な異なる形状及び厚さを有する多くの製品が製造されており、コストの低減が求められると同時に、品質の要求が連続的に高まっている。これは、P/M工業のための重要な市場である自動車市場のためのP/M部品について特にあてはまる。P/M工業において、Mo、Ni及びCu等の合金要素は、一般に、プレス及び焼結された要素の特性を改善するために用いられてきた。しかし、これらの合金要素は、コストがかかり、したがって、プレス及び焼結された要素の十分な特性を維持しつつ、これらの合金要素の含有率をできるだけ低く保つことができれば望ましい。
【0003】
プレス及び焼結された要素の高い強度を達成するために、材料の焼入性(hardenability;硬化性)が必須である。P/M要素を焼入するコスト効率のよい方法は、要素が、焼結の後、冷却ステップの間に直接に焼入される、いわゆる焼結焼入法である。合金要素、及び要素の含有率を注意深く選択することにより、焼結焼入を、従来の焼結炉内で通常適用される冷却速度で達成することができる。
【0004】
プレス及び焼結された要素を製造する際の別の重要な要因は、いろいろな焼結部品の間の寸法の変化が、焼結後のコストがかかる機械加工を避けるためにできるだけ小さいことである。さらに、未焼入段階(green stage)、すなわちプレス後の要素と、それが焼結された後の要素との間の寸法変化が小さく、寸法変化による炭素含有率の変化の影響は、コストのかかる機械加工にもつながることがあるので、応力の導入と要素に起こりうる歪みとを避けるために、これができるだけ少ないことが望ましい。硬度及び強度が増加するにつれて機械加工のコストが増加するので、このことは、高い硬度及び強度を有する材料に特に重要である。
【0005】
別の重要な要因は、環境面で大きな効果を有する、噴霧されるべき溶融物の調製における自動車工業からの屑の再生利用の可能性である。この点において、鉄系合金粉末中の0.3%以下のMn含有率を受容する可能性は、こうしたMn量が、再生利用される鉄屑中では一般的であるために重要である。
【0006】
Ni、Mo及びCuにより合金化された鉄系粉末は、合金要素として広く用いられ、様々な特許出願から知られている。例として、Semelへの米国特許第6068813号は、銅含有粉末及びニッケル含有粉末に混合される、含有率0.10〜2.0重量%のモリブデンを有する、予備合金化した(prealloyed)鉄及びモリブデンの粉末を含み、それにより、銅含有粉末及びニッケル含有粉末が、結合剤により鉄−モリブデン粉末に結合される粉末組成物を示している。この粉末組成物は、銅0.5〜4.0重量%、及びニッケル0.5〜8.0重量%を含有する。実施例において用いられる鉄系粉末は、0.56重量%のMo含有率、1.75重量%又は4.00重量%のNi含有率、及び1.5重量%のCu含有率を有する。
【0007】
Cu粉末に混合され得る、Ni、Mo及びMnを含有する予備合金化粉末に関する特許文献における別の例は、Mocarskiへの米国特許第4069044号である。この特許は、粉末の製造方法を開示し、この粉末は、粉末鍛造物(powder−forged articles)を製造するのに適している。Mo及びNiを0.4〜0.65%含有する好ましい組成物に係る鍛造された要素の試験からの結果が報告されている。この特許は、グラファイト、及び圧縮されるべきCu0.2〜2.1%を含有する組成物を与えるCuの又はCu含有の粉末に混合される、Ni0.2〜1.0%、Mo0.2〜0.8%及びMn0.25〜0.6%を含み、2250〜2350°Fで焼結され熱間鍛造されるのに適した、予備合金化した鉄系粉末を含有する変形にも言及している。しかし、0.60重量%を上回るNi含有率についても、0.65重量%を上回るMo含有率についても、試験結果が示されていない。
【0008】
焼結焼入の用途のために、米国ニュージャージー州のHoeganaes Corp.から入手可能なAncorsteel737SH、及びカナダのQuebec Metal Powdersから入手可能なAtomet4701等の、多くの市販の粉末が存在する。言及した鉄系粉末は、Mo、Ni及びMnと合金化され、ATOMET4701は、さらにCrと合金化される。Ancorsteel737SHは、Mn0.42%,Mo1.25%,Ni1.40%の化学組成を有する予備合金化した鋼粉末である。Atomet4701の化学組成は、Mn0.45%、Mo1.00%、Ni0.9%及びCr0.45%である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、新規な鉄系粉末、及び/又は低含有率のMo、Ni及びCuを有するその粉末組成物を提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、
− 圧縮及び焼結焼入された要素を製造するのに適した、新規な鉄系粉末(iron−based powder)並びに/又はその粉末組成物を提供すること、
− 未焼結段階と焼結された段階との間に有する寸法変化が小さい焼結製品を製造するのに適した、新規な鉄系粉末及び/又はその粉末組成物を提供すること、
− 炭素含有率の変化からの寸法変化への影響ができるだけ少ない、新規な鉄系粉末及び/又はその粉末組成物を提供すること、
− 鉄系合金粉末が、鉄系合金粉末を安価な屑から製造することを可能にする0.45重量%以下のMnを含む、新規な鉄系粉末及び/又はその粉末組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的及び/又は課題の少なくとも1つは、Mo0.75〜1.1重量%(重量での%)、好ましくはMo0.8重量%超、Ni0.75〜1.1重量%、Mn0.45重量%以下、及び不可避の不純物とともに予備合金化した鉄系粉末を提供することにより満たされる。この鉄系粉末は、0.25重量%以下の酸素、好ましくは0.20重量%以下のO、最も好ましくは0.15重量%以下のOを有する。鉄系粉末は、1)予備合金化された鉄系粉末の表面に拡散結合され、及び/又は2)予備合金化した鉄系粉末の表面に結合剤により結合され、及び/又は3)鉄系粉末に混合されて存在する0.5〜2.5重量%のCuをさらに有する。さらに、その粉末組成物は、鉄系粉末、グラファイト、潤滑剤、及び任意に機械加工性増進剤(machinability enhancing agents)を含有する。
【0012】
グラファイトの含有率は、好ましくは、粉末組成物の0.4〜0.9重量%の範囲内であり、より好ましくは、0.5〜0.9重量%の範囲内であり、潤滑剤の含有率は、好ましくは、粉末組成物の0.05〜1.0重量%の範囲内である。
【0013】
好ましい実施形態において、Cuは、予備合金化された鉄系粉末の表面に拡散結合(diffusion bonded)される。
【0014】
本発明の実施形態によれば、グラファイト、潤滑剤及び機械加工性改善剤の少なくとも1種が、予備合金化された鉄系粉末の表面に結合される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
鉄系合金粉末の調製
本発明の鉄系合金粉末を、上述の組成の合金要素Ni、Mo及びMnを有するように調製された鋼溶融物に任意の既知の水噴霧法(water atomising method)を受けさせることにより、容易に製造することができる。
【0016】
Moの量
Moは、焼入性の改善により、並びに固溶硬化及び析出硬化にもより、鋼の強度を改善するように作用する。十分な量のマルテンサイトが通常の冷却速度で形成されるのを確実にするために、Moの量は、0.75〜1.1重量%の範囲内であるべきことが見出されている。しかし、好ましくは、Moの含有率は、十分な量のマルテンサイトが通常の冷却速度で形成されるのを確実にするために、0.8重量%超、より好ましくは0.85重量%超である。
【0017】
Niの量
Niは、強度及び延性を増大させるために、P/M鋼に加えられる。Niの添加により、鋼の焼入性も増大する。0.75重量%未満のNiの添加は、機械的特性に不十分な影響を有する一方で、1.1重量%を上回る添加によっては、鋼の所期の用途にいかなるさらなる改善をも加えられない。
【0018】
Mnの量
Mnは、焼入性を改善することにより、及び固溶硬化により、鋼の強度を改善する。しかし、Mnの量がフェライトを上回る場合、固溶硬化により硬度が増し、粉末の圧縮性を低下させる。圧縮性の減少はほとんど無視できるので、0.45重量%以下のMn量を受け入れることができ、Mnの量が0.35重量%未満であることが好ましい。Mnの量が0.08%未満であったとしても、鋼の製造の途中でMnを減少させるための特定の処理を行わない限り、通常0.08%を上回るMn含有率を有する安価な再生利用された材料を用いることは不可能である。したがって、本発明に係る好ましいMn量は0.09〜0.45%である。
【0019】
Cの量
鉄系合金粉末中のCが、0.02重量%以下、好ましくは0.01重量%以下であるのは、Cが、侵入型の固溶硬化によりフェライトマトリックスを硬化させるように作用する要素であるからである。Cの含有率が、0.02重量%を超える場合、粉末はかなり硬化され、低すぎる圧縮性につながる。
【0020】
Oの量
Oの量は、0.25重量%を超えるべきではなく、Oの含有率は、0.2重量%まで、最も好ましくは0.15重量%までに制限されるのが好ましい。
【0021】
不可避の不純物
鉄系合金粉末中の不可避の不純物の総量は、全体で0.5重量%を超えるべきではない。
【0022】
Cuの量
銅粒子は、焼結温度に達して拡散速度を増大させ湿潤により焼結ネックを作り出す前に溶融するので、微粒の銅は、P/M工業においてしばしば用いられる。Cuの添加により、要素の強度も増大する。好ましくは、銅は、鉄系粉末に結合して、銅の不規則な分布と要素における特性の変化につながることがある、組成物中の偏析を回避するが、鉄系粉末にCuを混合することも可能である。Cu粒子又はCu酸化物粒子を鉄系粉末に拡散焼きなまし(diffusion annealing)する任意の既知の方法を、有機バインダーによりCu粒子を鉄系粉末に結合するのと同様に適用することができる。Cuの量は、0.5〜3.0重量%の間、好ましくは0.5〜2.5重量%の間、より好ましくは0.5〜2.0重量%であるべきである。
【0023】
グラファイト
グラファイトは、通常、機械的特性を改善するためにP/Mの組成物に添加される。グラファイトは、焼結体中の酸化物量を減少させ、さらに、機械的特性を向上させる還元剤としても作用する。焼結製品中のCの量は、鉄系合金粉末組成物に加えられたグラファイト粉末の量により決定される。焼結された要素の十分な特性を達成するために、グラファイトの量は、組成物の0.4〜0.9重量%、好ましくは0.5〜0.9重量%であるべきである。
【0024】
潤滑剤
潤滑剤を、圧縮されるべき鉄系合金粉末組成物に加えることもできる。周囲温度で用いられる潤滑剤の代表的な例は、Kenolube(登録商標)、エチレン−ビス−ステアラミド(EBS)、Zn−ステアレート等の金属ステアレート、オレイン酸アミド等の脂肪酸誘導体、ステアリン酸グリセリル、及びポリエチレンワックスである。高温で用いられる潤滑剤(高温潤滑剤)の代表的な例は、ポリアミド、アミドオリゴマー、ポリエステルである。添加される潤滑剤の量は、通常、組成物の1重量%以下である。
【0025】
他の添加剤
本発明に従って、場合によって用いられ得る他の添加剤には、硬質相材料、機械加工性改善剤及び流動性向上剤が挙げられる。
【0026】
圧縮及び焼結
圧縮は、周囲温度又は高温において2000MPa以下の圧力での一軸で圧縮する操作で行われ得るが、通常、圧力は、400から800MPaの間で変化する。
【0027】
圧縮後に、得られた要素の焼結が、約1000℃から約1400℃の温度で行われる。1050℃から1200℃の温度範囲内での焼結は、高性能な要素のコスト効率のよい製造につながる。
【0028】
本発明は、以下の非限定的な実施例により、さらに説明される。
【実施例】
【0029】
この実施例により、本発明に係るP/M組成物から製造される要素について、より高含有率の合金要素Cu、Ni及びMoを有する材料と同水準の高い引張り強さを得られることが説明される。
【0030】
Mo0.9重量%、Ni0.9重量%及びMn0.25重量%の含有率を有する鉄系合金粉末を、鋼の溶融物に水噴霧を受けさせることにより製造した。原水噴霧された粉末の焼きなましを、湿潤水素の雰囲気中で960℃の温度にて、実験用の炉の中で行った。さらに、焼きなまされた粉末に、いろいろな量の酸化第一銅を加え、それぞれ、1重量%、2重量%及び3重量%の含有率の拡散結合された銅を有する粉末を得た。拡散結合又は焼きなましを、乾燥水素の雰囲気中で830℃にて、実験用の炉の中で行った。焼きなまされた粉末を、破砕し、磨砕し、篩い、生成した粉末は、約180μm未満の粒子を95%有していた。
【0031】
第1の参照の組成物、組成物番号10は、2重量%の銅粉末及び0.75%のグラファイトに混合された、米国ニュージャージー州のHoeganaes Corp.から入手可能なAncorsteel737の鉄系粉末をベースとした。
【0032】
3つのさらなる参照の組成物、組成物11〜13は、2%の銅粉末、並びにそれぞれ、0.65%、0.75%及び0.85%のグラファイトに混合された、Mo0.6%、Ni0.45%及びMn0.3%の含有率を有する予備合金化された鉄系粉末をベースとした。
【0033】
本発明に係る粉末組成物、及び参照の材料を、いろいろな量のグラファイト、及び0.8重量%のEBS潤滑剤を添加することにより調製した。表1に、そのいろいろな組成物を示す。
表1:試験した組成物
【表1】

【0034】
組成物を圧縮圧力600MPaで圧縮することにより、SS−EN10002−1に従った引張試験用の棒を作製した。試料を、90%N/10%Hの雰囲気中で30分間、1120℃の焼結温度にて、実験用のベルト炉の中で焼結した。
【0035】
冷却速度の影響を検討するために、試料数の半分に、2℃/秒の冷却速度で、焼結後の強制冷却を受けさせ、200℃で60分間の焼き戻し(tempering)を続けた一方で、もう半分には、約0.8℃/秒にて、通常の冷却速度を受けさせた。表2に、通常の冷却速度に対応する結果を示し、表3に、強制冷却速度に対応する結果を示す。
【0036】
結果
圧縮及び焼結された試料間の寸法変化を、SS−EN10002−1に従って、引張強さと同様に測定し、EN ISO6507−1に従って、10グラムの荷重でのマイクロビッカース硬度を測定した。
表2:通常の冷却速度を受けさせた、寸法変化、引張試験及び硬度試験の試料の測定からの結果
【表2】

【0037】
表3:強制冷却(焼結焼入される)速度を受けさせた、寸法変化、引張試験及び硬度試験の試料の測定からの結果
【表3】

【0038】
表2及び3は、組成物1〜9から製造される試料について、焼結焼入された試料、及び通常の冷却速度で冷却された試料の両方についての引張強さ及び硬度の値が、Ni及びMo等の、より高い含有率でコストのかかる合金要素を有する参照の組成物10から製造される試料と同水準に達することを示している。
【0039】
高い銅価格のために、できるだけ低く維持することも望まれるCu−含有率に関して、寸法変化は、量及び分散(variance;変動)の両方とも、炭素含有率の変化のために、1重量%のCu含有率を有する組成物1〜3、及び2重量%のCu含有率を有する組成物4〜6についてより、3重量%のCu含有率を有する組成物7〜9についての方がはるかに大きいことが分かる。したがって、本発明によれば、銅の含有率は、好ましくは3重量%以下、より好ましくは2.5重量%以下、より好ましくは2.0重量%以下であるべきである。
【0040】
組成物1〜3に関して、通常の冷却速度の間の寸法変化の量は、参照の組成物10より大きいが、これらの結果は比較的良好であるので、炭素含有物による分散は非常に小さい。しかし、強制冷却速度の間、寸法変化の量は、その分散と同様に小さい。
【0041】
組成物4〜6に関して、通常の冷却の間の寸法変化の量は、ほとんどゼロであり、炭素含有物による分散も非常に小さい。強制冷却速度の間、寸法変化の量はややより大きいが、参照の組成物10よりはなお小さい。分散も、ややより大きいが、その量は比較的小さいので、これは重要な問題ではない。
【0042】
参照の組成物11、12及び13に関して、特に、強制冷却を受けた試料について、より小さい引張強さが得られることを特記し得る。さらに、寸法変化は、本発明に係る組成物と比較して比較的大きい。
【0043】
寸法変化
圧縮及び焼結された試料間の寸法変化は、+−0.35%未満、好ましくは+−0.3%未満、より好ましくは0.2%未満であるべきである。
【0044】
引張強さ
好ましくは、引張強さは、急速冷却及び焼き戻しを受けた場合、900MPa超、より好ましくは920MPa超であるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Ni0.75から1.1重量%、
Mo0.75から1.1重量%、及び
Mn<0.45重量%
の含有率で、Ni及びMoとともに予備合金化され、さらに、0.5から3.0重量%、好ましくは0.5から2.5重量%、最も好ましくは0.5から2.0重量%のCuと、不可避の不純物とを含み、残分がFeである、水噴霧された鉄系粉末。
【請求項2】
Moの含有率が、0.8重量%超、好ましくは0.85重量%超である、請求項1に記載の水噴霧された鉄系粉末。
【請求項3】
Mnの含有率が、0.35重量%未満である、請求項1又は2に記載の水噴霧された鉄系粉末。
【請求項4】
Cuの少なくとも一部又は総量が、Ni及びMoと合金化されたFe粉末の表面に拡散結合された、請求項1から3までのいずれか一項に記載の水噴霧された鉄系粉末。
【請求項5】
すべてのCuが、Ni及びMoと合金化されたFe粉末の表面に拡散結合された、請求項4に記載の水噴霧された鉄系粉末。
【請求項6】
Cuの全量の少なくとも一部が、結合剤により、Ni及びMoと合金化されたFe粉末の表面に結合された、請求項1から4までのいずれか一項に記載の水噴霧された鉄系粉末。
【請求項7】
すべてのCuが、結合剤により、Ni及びMoと合金化されたFe粉末の表面に結合された、請求項6に記載の水噴霧された鉄系粉末。
【請求項8】
Cuの少なくとも一部又は総量が、Ni及びMoと合金化されたFe粉末に混合された、請求項1から4及び6のいずれか一項に記載の水噴霧された鉄系粉末。
【請求項9】
すべてのCuが、Ni及びMoと合金化されたFe粉末に混合された、請求項8に記載の水噴霧された鉄系粉末。
【請求項10】
Ni及びMoと合金化されたFe粉末中のC含有率が0.02重量%以下である、請求項1から9までのいずれか一項に記載の水噴霧された鉄系粉末。
【請求項11】
Ni及びMoと合金化されたFe粉末中のO含有率が0.25重量%以下、好ましくは0.2重量%以下、より好ましくは0.15重量%以下である、請求項1から10までのいずれか一項に記載の水噴霧された鉄系粉末。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか一項に記載の水噴霧された鉄系粉末と、0.4から0.9重量%、好ましくは0.5から0.9重量%の量のグラファイトと、潤滑剤と、任意に他の添加剤とを含む、合金化された鉄系粉末組成物。
【請求項13】
請求項1に記載の水噴霧された鉄系粉末と、0.4から0.9重量%、好ましくは0.5から0.9重量%の量のグラファイトと、潤滑剤と、任意に他の添加剤とを含有し、グラファイト、潤滑剤、及び任意に含有される他の要素の少なくとも1種が、Ni及びMoと合金化されたFe粉末の表面に結合された、合金化された鉄系粉末組成物。
【請求項14】
a.請求項12又は13に記載の粉末冶金組成物を提供すること、
b.上記粉末冶金組成物を圧縮すること、及び
c.還元又は中性の雰囲気中で、大気圧以下で、及び1000℃を上回る温度で、上記の圧縮された粉末冶金組成物を焼結すること
を含む、要素の製造方法。
【請求項15】
b)において、圧縮圧力が、2000MPa以下、好ましくは、400から800MPaの範囲内の圧縮圧力である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
c)において、焼結温度が、1000℃から1400℃の温度範囲で、好ましくは、1050℃から1200℃の温度範囲で行われる、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
請求項11又は12に記載の、合金化された鉄系粉末組成物から製造される、焼結された要素。

【公表番号】特表2010−529302(P2010−529302A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512126(P2010−512126)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際出願番号】PCT/SE2008/050709
【国際公開番号】WO2008/153499
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(509020295)ホガナス アクチボラグ (パブル) (21)
【Fターム(参考)】