説明

鉄道用車両の制振装置

【課題】 乗り心地の向上化を図る。
【解決手段】 車体1に、可動マス13を、アクチュエータ14により上下動作可能に設け、更に、可動マス13の自重分を負担させるばね要素15を備えた制振装置本体12を形成する。台車2上に車体1を支持するために設けてある空気ばね10の空気圧を検出する圧力計16設ける。圧力計16の圧力計測信号から推定する車体重量と、車体重量を基に算出される車体1の固有振動数から、車体1の振動特性をリアルタイムに求め、その振動特性に対応する制御パラメータを格納してある制御器21a,21b,21cにより導出した可動マス13の制御指令をアクチュエータ14へ与える制御装置17を備える。車体重量と固有振動数の変化に伴って車体1の振動特性が変化しても、その振動特性に対応する制御パラメータを用いて導出した制御指令により可動マス13を制御することで、常に良好な車体1の制振効果を発揮させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台車上に車体を所要のばねを介し支持してなる形式の鉄道用車両の上記車体に生じる弾性振動を減衰させるために用いる鉄道用車両の制振装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄道とバスとの中間の輸送力を持つ公共交通機関として、新交通システムと呼ばれる中量輸送システムが知られており、この種の中量輸送システムとしては、車両が、専用の軌道に設けた案内軌条(ガイドレール)に誘導されて走行するようにしてある案内軌条式鉄道が多く採用されている。
【0003】
上記案内軌条式鉄道は、APM(Automated People Mover)とも略称されるもので、案内軌条が、車両の走行する走行路の側方にある側方案内軌条方式のものと、案内軌条が走行路の中央にある中央案内軌条方式のものがある。
【0004】
このうち、側方案内軌条方式の案内軌条式鉄道(以下、単にAPMと云う)の車両は、図5にその一例の概要を示す如く、本体部である車体1と、ゴムタイヤ製の車輪3で支持された台車2を備えた構成としてある。
【0005】
上記台車2には、左右両側部に、走行路4の左右両側に設置してある案内軌条5に沿って案内させるための案内部材としての案内アーム6を備えて、走行路4がカーブしている個所では、上記案内アーム6が走行路4のカーブに応じたカーブ形状とされている上記案内軌条5に沿って案内されるときに生じる左右方向への変位に基づいて、上記車輪3を左右方向へ操舵できるようにした操舵系を具備するようにしてある(たとえば、特許文献1参照)。
【0006】
又、上記台車2は、図6に示すように、上記車輪3の車軸7を保持させた懸架枠8の上側に、車体1を支持する台車枠9が、空気ばね10を介して取り付けてある。更に、上記台車枠9と懸架枠8との間には、平行リンク機構11を備えてなる構成としてある。これにより、上記台車枠9と懸架枠8の前後左右方向への相対的なずれを規制できるようにしてあると共に、上記空気ばね10により、走行路4を転動する車輪3からの振動が伝わる上記懸架枠8と、上記車体1側に取り付けられている台車枠9との間で、振動を絶縁させることで、上記車体1の上下方向の乗り心地の向上を図ることができるようにしてある。
【0007】
ところで、上記構成としてあるAPMの車両における振動系では、車体1(厳密には、上記空気ばね10の上側に取り付けられている台車枠9を含む)が上下方向に大きく揺れる振動と、台車2(厳密には、空気ばねよりも下側の懸架枠8)が大きく揺れる振動の二種類が生じ、それぞれ、ばね上共振、ばね下共振と呼ばれている。
【0008】
一般に、ばね下共振では、車体1が大きく揺れることはないが、車体1が柔軟で、弾性モードの固有振動数が、ばね下共振の共振振動数に近接する場合には、車体1が共振を起こし、びびり振動が発生する。
【0009】
そのために、従来は、通常、車体1の弾性振動の固有振動数を、ばね下共振の共振振動数よりも高く設計することで、お互いが干渉しないようにする対策が採られている。
【0010】
なお、従来、鉄道車両の車体の制振を行うために提案されている制振装置の一例としては、たとえば、台車上に弾性支持手段を介して支持した車体の床下部に、アクチュエータと、該アクチュエータにより上下方向に駆動可能な可動マス(アクティブマス)と、車体上下方向の振動を検出するためのセンサと、該センサで検出した振動に対応した制御力を上記アクチュエータにより発生させる制御器を備えて、該制御器にて、上記センサの検出データから位相及びゲインを補償した制御信号(制御入力)を生成して上記アクチュエータを作動させることで、上記可動マスを、車体の1次曲げ振動数近傍における車体中央部の振動に対してほぼ逆相に加振することで、車体の曲げ振動を低減させるようにしたものがある(たとえば、特許文献1参照)。
【0011】
又、鉄道車両の車体の制振装置の別の例としては、たとえば、車体を台車上にばねを介して支持した鉄道車両において、車体床下部に配置されたアクチュエータと、該アクチュエータにより上下方向に稼動する可動マス(アクティブマス)と、車体の上下方向の振動を検出するセンサと、上記センサにより検出した振動に対応した制御力を上記アクチュエータにより発生させるための制御信号(制御入力)を該アクチュエータへ与える制御器を備え、更に、上記車体と上記アクチュエータの間を弾性支持材と剛性支持機構で並列に結合した構成とし、且つ、上記弾性支持材のばね定数を、アクチュエータ及び可動マスの総重量を全数の弾性支持材で支持したときの共振周波数が、車体の4次曲げ振動周波数になるように定めた構成としてなるものが従来提案されている。
【0012】
かかる構成としてある制振装置によれば、車体曲げ振動が大きく制御が必要な場合は、上記剛性支持機構で上記アクチュエータを車体に剛結合させた状態にて、該アクチュエータにより上記可動マスを駆動する時の慣性反力を車体へ伝えることで、振動制御効果が期待できるとされている。
【0013】
一方、走行速度が小さい等の理由で車体曲げ振動が小さくて制御が不必要である場合は、上記アクチュエータの作動を停止させた状態とし、更に、上記剛体支持機構による上記アクチュエータの車体に対する剛結合を解除させることで、上記弾性支持材によって支持される上記アクチュエータ及び可動マスの質量を可動質量とするダイナミックダンパとして機能させて、車体の曲げ振動を抑制することができるとされている(たとえば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2008−265570公報
【特許文献2】特許第3503465号公報
【特許文献3】特開2000−6804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところが、近年、APMの車両は、乗車定員を増加させるために車体1が大型化される傾向にあり、このようにして車体1が大型化されると、該車体1の弾性振動の固有振動数が低下する結果、車両走行時における車体1の上下方向の弾性振動が顕在化してしまい、乗り心地が低下してしまう。
【0016】
そこで、本発明者等は、上記APMの車両の乗り心地を改善するために、上下方向に往復動作可能な所要質量の可動マス(質量体)を所要のアクチュエータで制御するアクティブ方式の制振装置を用いて、上記車体1に生じる上下方向の弾性振動の制振を行うことを考えている。
【0017】
なお、一般に、可動マスを所要のアクチュエータで往復動させるようにしてあるアクティブ方式の制振装置を用いて制振対象に生じる振動の制振を行う場合、上記可動マスの慣性力を上記制振対象に振動を生じさせている外力を打ち消すよう作用させて良好な制振効果を得るためには、通常、上記可動マス駆動用の所要のアクチュエータを制御するための制御系を設計する際に、フィードバック制御を行なう場合におけるフィードバックゲインのような所要の制御パラメータを、制振対象の固有振動数や振動重量等の振動特性に応じて定める必要がある。
【0018】
したがって、上記アクティブ方式の制振装置では、制振対象の振動特性が制御系設計時の振動特性と一致していれば、大きな(良好な)制振効果を得ることができるが、制振対象の振動特性が制御系設計時より変動すると、制振性能は劣化してしまう。
【0019】
ところで、APMの車両は、車体1が比較的軽量なため、車体重量に対して乗客重量の占める割合が大きくなり易く、たとえば、空車時の車体重量(空車重量)と、満員の乗客重量が加算された時の車体重量では、重量が1.5倍程度にまで増加することがあり、この空車時から乗客満員時までに至る乗客数の大小に応じた車体重量の変化に伴って、車体1が弾性振動するときの固有振動数に変化が生じてしまう。そのために、上記APMの車両では、その運用中に、乗客数の変化に応じて車体重量の変化と固有振動数の変化が生じることに起因して、車体1の振動特性が変化しているというのが実状である。
【0020】
よって、上記APMの車両のように乗客数の大小に応じて車体1が弾性振動するときの振動特性が変化する鉄道用車両に、一般的なアクティブ方式の制振装置を単に装備したとしても、上記車体1に生じる弾性振動に対し、常に良好な制振効果を得ることは難しいという問題がある。
【0021】
なお、上記特許文献2や特許文献3に示された従来の鉄道車両の車体の制振装置において、制振対象となる車体の重量の変化や、該車体重量の変化に伴う車体の固有振動数の変化に起因する車体の振動特性の変化に対応できるようにする考えは何ら示されていない。
【0022】
そこで、本発明は、上記APMの車両のように台車に車体を所要のばねを介して支持させてなる形式の鉄道用車両にて、車体に生じる弾性振動を低減でき、しかも、乗客数の変化による車体重量の変化に伴い車体が弾性振動するときの固有振動数が変化し、この車体重量と固有振動数の変化に起因して車体の振動特性が変化しても、該車体に生じる弾性振動に対して常に良好な制振性能を得ることができる鉄道用車両の制振装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に対応して、台車に所要のばねを介して車体を支持させた構成を有する鉄道用車両における上記車体の所要個所に、可動マスと、該可動マスを上下方向に往復動作させるためのアクチュエータを有する制振装置本体を設け、更に、上記車体の振動を検出するセンサと、上記可動マスの動きを検出するセンサと、上記車体の重量を検出するための車体重量検出手段と、制御装置を備え、且つ該制御装置を、上記車体重量検出手段により検出される車体重量を基に上記車体が弾性振動するときの固有振動数を求める機能と、上記車体重量と固有振動数の変化に基づく車体の振動特性の変化に対応した複数種の制御パラメータを格納して、該複数種の制御パラメータのうちのリアルタイムの車体重量及び車体の固有振動数に基づく車体の振動特性に対応する制御パラメータを用いて上記各センサより入力される信号を基に上記可動マスの慣性力を上記車体に弾性振動を生じさせている外力を打ち消すように作用させるための該可動マスの制御指令を導出する機能と、該導出した制御指令を上記アクチュエータへ与える機能を有してなるものとした構成とする。
【0024】
又、上記構成において、制振装置本体における可動マスと車体との間に、上下方向に伸縮可能なばね要素を介装させて、該ばね要素により上記可動マスの自重分を負担した状態で支持させるようにした構成とする。
【0025】
更に、上記各構成において、鉄道用車両を、台車に空気ばねを介して車体を支持させてなる構成とし、且つ車体重量検出手段を、上記空気ばねの空気圧を検出する圧力計の圧力計測信号を基に、該空気ばねに対し車体より作用している荷重を求めることで、上記車体の車体重量を検出するものとした構成とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明の鉄道用車両の制振装置によれば、以下のような優れた効果を発揮する。
(1)台車に所要のばねを介して車体を支持させた構成を有する鉄道用車両における上記車体の所要個所に、可動マスと、該可動マスを上下方向に往復動作させるためのアクチュエータを有する制振装置本体を設け、更に、上記車体の振動を検出するセンサと、上記可動マスの動きを検出するセンサと、上記車体の重量を検出するための車体重量検出手段と、制御装置を備え、且つ該制御装置を、上記車体重量検出手段により検出される車体重量を基に上記車体が弾性振動するときの固有振動数を求める機能と、上記車体重量と固有振動数の変化に基づく車体の振動特性の変化に対応した複数種の制御パラメータを格納して、該複数種の制御パラメータのうちのリアルタイムの車体重量及び車体の固有振動数に基づく車体の振動特性に対応する制御パラメータを用いて上記各センサより入力される信号を基に上記可動マスの慣性力を上記車体に弾性振動を生じさせている外力を打ち消すように作用させるための該可動マスの制御指令を導出する機能と、該導出した制御指令を上記アクチュエータへ与える機能を有してなるものとした構成としてあるので、鉄道用車両の車体に上下方向の弾性振動が生じると、車体の振動を検出するセンサより入力される信号と、可動マスの動きを検出するセンサより入力される信号を基に導出された可動マスの制御指令が与えられるアクチュエータにより可動マスを上下動作させて、該可動マスの慣性力を上記車体に弾性振動を生じさせている外力を打ち消すように作用させることができて、車体に生じた弾性振動の振幅を低減させると共に、該弾性振動を速やかに減衰させることができる。よって、上記鉄道用車両の乗り心地の向上化を図ることができる。
(2)しかも、上記車体に対する乗車人数が増減することに伴って車体重量が増減すると共に、該車体重量の増減に伴って車体が弾性振動するときの固有振動数が変化することに起因して、該車体の振動特性が変化しても、リアルタイムに検出される車体重量と車体の固有振動数に基づく振動特性に応じた制御パラメータを用いて導出した可動マスの制御指令をアクチュエータへ与えることができるため、上記車体の振動特性の変化に関わらず、車体の良好な制振効果を常に得ることができる。
(3)制振装置本体における可動マスと車体との間に、上下方向に伸縮可能なばね要素を介装させて、該ばね要素により上記可動マスの自重分を負担した状態で支持させるようにした構成とすることにより、可動マスを上下動作させるためのアクチュエータの駆動能力で上記可動マスの自重分を負担する必要がなくなるため、上記アクチュエータとして駆動能力の小さなものを採用することが可能になる。
(4)鉄道用車両を、台車に空気ばねを介して車体を支持させてなる構成とし、且つ車体重量検出手段を、上記空気ばねの空気圧を検出する圧力計の圧力計測信号を基に、該空気ばねに対し車体より作用している荷重を求めることで、上記車体の車体重量を検出するものとした構成とすることにより、鉄道用車両において台車に車体を支持させるために広く一般的に作用されている空気ばねの空気圧を利用して、車体重量を検出することができるため、既存の鉄道用車両の設計を利用して本発明の鉄道用車両の制振装置を容易に実現するのに有利な構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の鉄道用車両の制振装置の実施の一形態を示す概要図である。
【図2】図1の制振装置の制御装置における処理のフローを示す図である。
【図3】図1の制振装置における制振装置本体の具体例を示す概略側面図である。
【図4】本発明の実施の他の形態を示す概要図である。
【図5】側方案内軌条方式の案内軌条式鉄道における車両の構造の一例の概要を示すもので、台車の構造を示す平面図である。
【図6】図5の台車部分の概略を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
【0029】
図1乃至図3は本発明の鉄道用車両の制振装置の実施の一形態として、図5及び図6に示したと同様の構成としてあるAPMの車両に適用する場合を示すもので、以下のようにしてある。
【0030】
すなわち、図1は本発明の鉄道用車両の制振装置の概要を示すもので、APMの車両の車体1における所要個所に、所要質量の可動マス13(質量体)を、アクチュエータ14により上下方向に往復駆動可能に設けて、制振装置本体12を構成する。
【0031】
この際、上記可動マス13は、上下方向に伸縮可能なばね要素15を介して上記車体1の所要個所に連結して、該ばね要素15に上記可動マス13の自重分を負担させた状態で上記車体1の所要個所に支持させるようにする。これにより、上記可動マス13を上記アクチュエータ14により上下方向に往復駆動させるときに、該アクチュエータ14に、上記可動マス13の自重分を支える負担が作用しないようにしてある。よって、上記アクチュエータ14を、駆動能力の小さなものとすることができるようにしてある。
【0032】
更に、上記車体1の車体重量(W)、すなわち、車体1の空車重量と乗客重量の和を検出できるようにするための車体重量検出手段として、たとえば、上記APMの車両の各台車2において車体1を支持するために用いられている各空気ばね10の圧力(空気圧)を検出する個別の圧力計16を備え、該各圧力計16より入力される圧力計測信号と、上記車体1における上記可動マス13の設置個所の近傍となる所要個所に設けたセンサ18より入力される上記車体1の弾性振動の検出信号と、上記可動マス13の所要個所に取り付けたセンサ19より入力される該可動マス13の変位(振動)の検出信号を基に、上記アクチュエータ14へ上記可動マス13の往復動を制御させるための制御指令(制御入力)を与える制御装置17を備えてなる構成としてある。
【0033】
詳述すると、上記制御装置17は、制御パラメータの判定器20と、該判定器20によって択一的に選択される複数種の制御パラメータ、たとえば、3種の制御パラメータを個別に格納した3種の制御器21a,21b,21cとを備えた構成としてある。
【0034】
上記制御パラメータの判定器20は、上記各圧力計16より入力される各空気ばね10の圧力計測信号を基に、該各空気ばね10に対し車体1より作用している荷重を求めて、この荷重の総和から、上記車体1の車体重量(W)を逐次推定(算出)できる機能を有するようにしてある。なお、APMの車両走行時や、駅での乗客の乗降時には、車体1が揺れることに伴って、該車体1を支持している上記各空気ばね10の圧力が変動するようになるため、上記各圧力計16による圧力の検出値が増減するが、この場合は、上記制御装置17にて、上記各圧力計16より入力される圧力計測信号の値が増減するときの平均の値を取るようにするか、あるいは、ローパスフィルタ処理によって直流成分のみを抽出するようにするか、ないしは前者と後者の手法を併用することで、上記車体1の車体重量(W)を推定させるようにすればよい。
【0035】
更に、上記制御パラメータの判定器20は、予め、車体1の車体重量(W)の変化と、該車体1が弾性振動するときの固有振動数(f)の変化との相関について、実験的、あるいは、数値計算等に基づいて求めた結果を、たとえば、f=Function(W)とした関数で作成して備えてなり、これにより、該判定器20では、或る時点で、上記したように各圧力計16より入力される圧力計測信号を基に車体1の車体重量(W)が推定されると、上記関数で示された車体1の車体重量(W)と該車体1が弾性振動するときの固有振動数(f)との相関を基に、その時点で車体1が弾性振動する場合の固有振動数(f)を算出する機能を有するものとしてある。
【0036】
上記3種の各制御器21a,21b,21cは、上記車体1の空車時から満員時までの車体重量(W)の変化に伴って該車体1の固有振動数(f)が通常変化する範囲を複数の固有振動数領域、たとえば、上記APMの車両を運用するときの平均的な乗車率等から導かれる比較的出現頻度が高い乗客数のときの車体重量(W)に応じた固有振動数領域f1〜f2と、それよりも低い固有振動数領域f3〜f1、及び、より高い固有振動数領域f2〜f4の3つの領域(ただしf3<f1<f2<f4とする)に区分したときの該各区分ごとの固有振動数(f)とそれに対応する車体重量(W)を備えた車体1の振動特性に応じて定められる上記可動マス13駆動用のアクチュエータ14を制御するための所要の制御パラメータを、それぞれ格納するようにしてある。
【0037】
上記制御パラメータの具体例としては、たとえば、上記制振対象となる車体1及び可動マス13に設けたセンサ18,19を共に加速度センサとし、且つ該各センサ18,19の出力から、上記車体1の速度及び変位と、可動マス13の速度及び変位をそれぞれ求めると共に、上記アクチュエータ14の制御入力uを、以下の式のように、
【数1】

車体1と可動マス13の速度及び変位の各信号にそれぞれフィードバックゲインを乗じて加算した量として算出する場合における上記各フィードバックゲインを用いるようにすればよい。したがって、上記各制御器21a,21b,21cには、各々対応する固有振動数領域に含まれる所要の固有振動数(f)、たとえば、対応する固有振動数領域を代表する値や該領域の中間付近となる固有振動数(f)と、それに応じた車体重量(W)を備えた状態の車体1の振動特性に基づいてLQ制御理論等の所要の制御理論により求められる上記各フィードバックゲインを、それぞれ個別に格納するようにしてある。
【0038】
上記構成としてある制御装置17による具体的な処理は、図2にそのフロー図を示す如き処理手順で実施するようにしてある。
【0039】
すなわち、上記制御装置17は、上記各圧力計16より圧力計測信号が入力されると(ステップ1:S1)、先ず、上記制御パラメータの判定器20にて、上記したように各圧力計16による圧力検出値を基に車体1の車体重量(W)の推定(ステップ2:S2)と、該推定された車体重量(W)を基にした車体1の固有振動数(f)の算出を行なう(ステップ3:S3)。
【0040】
次いで、該制御パラメータの判定器20にて、上記ステップ3(S3)で算出された車体1の固有振動数(f)が、比較的出現頻度が高い乗客数となる場合の車体1の固有振動数領域であるf1以上で且つf2以下の範囲に該当しているか否か、すなわち、f1≦f≦f2の条件式を満たしているか否かの判定(ステップ4:S4)を行い、該当している場合は、ノミナルな制御器として制御器21aを選択した後(ステップ5:S5)、該制御器21aにて、格納してある上記フィードバックゲインのような制御パラメータに基づいて、上記可動マス13駆動用のアクチュエータ14に対する制御指令(制御入力)を導出して(ステップ6:S6)、該導出された制御指令を上記アクチュエータ14へ与えるようにしてある(ステップ7:S7)。これにより、上記制御装置17からの制御指令によるアクチュエータ14の制御を介して、該アクチュエータ14により駆動される可動マス13の往復動作が制御されることで、該可動マス13の慣性力が、上記ステップ2(S2)及びステップ3(S3)で求められた車体重量(W)及びf1以上で且つf2以下の固有振動数(f)を備えた車体1に弾性振動を生じさせている外力を打ち消すように作用するようになることから、該車体1に生じた弾性振動の振幅が低減されると共に、該弾性振動が速やかに減衰されるようになる。
【0041】
一方、上記ステップ4(S4)の判定において、上記ステップ3(S3)で算出された車体1の固有振動数(f)がf1以上で且つf2以下の固有振動数領域に該当していないと判断された場合は、ステップ8(S8)に進んで、上記ステップ3(S3)で算出された車体の固有振動数(f)が、f3以上で且つf1未満の固有振動数領域に該当しているか否か、すなわち、f3≦f<f1の条件式を満たしているか否かの判定を行い、該当している場合は、制御器21bを選択した後(ステップ9:S9)、上記ステップ6(S6)と同様に、該選択された制御器21bにて、格納してある上記フィードバックゲインのような制御パラメータに基づいて、上記可動マス13駆動用のアクチュエータ14に対する制御指令(制御入力)を導出した後、該導出された制御指令を、上記アクチュエータ14へ与えるようにしてある(ステップ7:S7)。これにより、上記制御装置17からの制御指令によるアクチュエータ14の制御を介して、該アクチュエータ14により駆動される可動マス13の往復動作が制御されることで、該可動マス13の慣性力が、上記ステップ2(S2)及びステップ3(S3)で求められた車体重量(W)及びf3以上で且つf1未満の固有振動数(f)を備えた車体1に弾性振動を生じさせている外力を打ち消すように作用するようになることから、該車体1に生じた弾性振動の振幅が低減されると共に、該弾性振動が速やかに減衰されるようになる。
【0042】
更に、上記ステップ8(S8)の判定において、上記ステップ3(S3)で算出された車体1の固有振動数(f)がf3以上で且つf1未満の固有振動数領域に該当しないと判断された場合は、ステップ10(S10)に進んで、上記ステップ3(S3)で算出された車体1の固有振動数(f)が、f2よりも大きく且つf4以下の固有振動数領域に該当しているか否か、すなわち、f2<f≦f4の条件式を満たしているか否かの判定を行い、該当している場合は、制御器21cを選択した後(ステップ11:S11)、上記ステップ6(S6)と同様に、該選択された制御器21cにて、格納してある上記フィードバックゲインのような制御パラメータに基づいて、上記可動マス13駆動用のアクチュエータ14に対する制御指令(制御入力)を導出した後、該導出された制御指令を、上記アクチュエータ14へ与えるようにしてある(ステップ7:S7)。これにより、上記制御装置17からの制御指令によるアクチュエータ14の制御を介して、該アクチュエータ14により駆動される可動マス13の往復動作が制御されることで、該可動マス13の慣性力が、上記ステップ2(S2)及びステップ3(S3)で求められた車体重量(W)及びf2よりも大きく且つf4以下の固有振動数(f)を備えた車体1に弾性振動を生じさせている外力を打ち消すように作用するようになることから、該車体1に生じた弾性振動の振幅が低減されると共に、該弾性振動が速やかに減衰されるようになる。
【0043】
その後は、駅でAPMの車両の車体1に乗車している乗客数に変動が生じる都度等、車体重量(W)に変動が生じる所要のタイミングで、上記ステップ1(S1)より、ステップ5(S5)又はステップ9(S9)又はステップ11(S11)のいずれかを経て最適な制御器21a又は21b又は21cを選択した後、上記ステップ7(S7)に至る処理を順次繰り返すようにする。これにより、駅での乗客の乗降に起因して車体重量(W)に変化が生じ、それに伴って車体1が弾性振動するときの固有振動数(f)に変化が生じて、該車体重量(W)及び固有振動数(f)の変化により車体1の振動特性に変化が生じる場合は、その変化後の車体1の振動特性に応じた制御パラメータを格納した制御器21a,21b,21cが常に選択されて、該選択された制御器21a,21b,21cに格納してある制御パラメータに基づいて導出された制御指令がアクチュエータ14へ与えられて、可動マス13の制御が行なわれるようになる。よって、上記車体1の車体重量(W)や固有振動数(f)の変化に伴う振動特性に変化が生じる場合であっても、常に該車体1の弾性振動の良好な制振が行なわれるようになる。
【0044】
なお、上記ステップ10(S10)の判定において、上記ステップ3(S3)で算出された車体1の固有振動数(f)がf2よりも大きく且つf4以下の固有振動数領域に該当しないと判断された場合、すなわち、上記ステップ3(S3)で算出された車体1の固有振動数(f)が、f4を超えて過大となった場合(f4<f)、又は、f3よりも下がって過小となった場合は、上記制御装置17では異常と判断して、上記アクチュエータ14への制御指令の発信を停止するようにしてある(ステップ12:S12)。これにより、上記アクチュエータ14による可動マス13の駆動が行なわれなくなるため、上記車体1にアクチュエータ14とばね要素15を介して取り付けられている該可動マス13が、上記車体1の弾性振動に伴われてフリーな状態で上下動するようになるが、予め、上記可動マス13の固有振動数が、上記車体1の固有振動数が変化し得る範囲を大きく外れるように設定しておくことで、可動マス13が車体1に及ぼす影響が小さくなるようにしておけばよい。
【0045】
図3は、上記制振装置本体12の具体例を示すもので、以下のようにしてある。
【0046】
すなわち、車体1の所要個所の床面にブラケット22を設け、該ブラケット22に略水平方向に延びる支持梁23の長手方向一端部を、ピン24を介し片持ちで支持するように取り付けて、該支持梁23が、上記ピン24を揺動中心として上下方向に揺動できるようにしてある。
【0047】
上記支持梁23の自由端寄りとなる長手方向他端部寄りの所要個所の上側には、所要質量の可動マス13を取り付ける。
【0048】
更に、上記車体1の床面にて、上記支持梁23の長手方向他端部寄りにおける上記可動マス13取付個所の下方となる個所に、ブラケット25を設け、上記制御装置17より制御指令を与えるアクチュエータ14として、たとえば、上下方向に延びる筒状の固定子14aと、該固定子14aの内側に挿通配置した可動子14bとからなるリニアモータ14(便宜上、上記アクチュエータ14と同じ符号が付してある)の上記固定子14aを、上記ブラケット25に揺動可能に取り付けると共に、上記可動子14bの上端部を、上記支持梁23の長手方向他端部寄りの所要個所の下面側に、ピン26を介して揺動可能に取り付ける。これにより、上記制御装置17より与えられる制御指令に従って上記リニアモータ14を運転することで、上記可動マス13を上記支持梁23と一緒に上下動作させることができるようにしてあると共に、該可動マス13と支持梁23の慣性力を、上記車体1に対して作用させることができるようにしてある。
【0049】
上記支持梁23の自由端寄りとなる長手方向他端部寄りの所要個所の下側と、該個所の下方に位置する車体1の床面との間には、上下方向に伸縮可能なコイルばね等のばね要素15を介装して取り付けることで、上記支持梁23の自重と、該支持梁23上に設けた上記可動マス13の重量のうち、該支持梁23の自由端側に作用する重量を、上記ばね要素15により支持させるようにしてある。
【0050】
なお、上記ばね要素15は、上記支持梁23の自重と可動マス13の重量のうち、支持梁23の自由端側に作用する重量を支持することができ、且つ上記支持梁23の自由端側に作用する重量を支持した状態から、車体1の上下方向の弾性振動を制振するために上記リニアモータ14により上記可動マス13を上下方向に往復移動させるときに必要とされるストロークの半分に相当する寸法分、伸長側と収縮側へそれぞれ弾性変形することが可能な長さ寸法及び強度を有するものとしてあれば、コイルばね以外のいかなる形式のばね要素を用いるようにしてよい。
【0051】
上記制振装置本体12は、車体1における他の装備や機器、乗客の乗車スペースと干渉しない個所、たとえば、図3に一点鎖線で示すように、車体1の長手方向の中央部に装備するロングシート27の座面の下に収納するように設置するようにすればよい。
【0052】
その他、図1に示したものにおいて、図6に示したものと同一のものには同一符号が付してある。
【0053】
以上の構成としてある本発明の鉄道用車両の制振装置によれば、APMの車両の走行時に車体1に上下方向の弾性振動が生じると、車体1に設けてあるセンサ18より制御装置17に入力される上記車体1の弾性振動の検出信号と、可動マス13に設けてあるセンサ19より制御装置17へ入力される可動マス13の変位の検出信号とを基に、該制御装置17より上記リニアモータ14へ制御指令が与えられる。この際、上記リニアモータ14へ与える制御指令は、車体1を支持する各空気ばね10の各圧力計16より制御装置17へ入力される圧力計測信号に基づいてリアルタイムで推定される車体重量(W)と、該車体重量(W)を基にリアルタイムで算出される車体1が弾性振動するときの固有振動数(f)とに対応する該車体1のリアルタイムの振動特性に応じた制御パラメータを用いて導出されているため、上記リニアモータ14により往復動させられる可動マス13の慣性力が、上記車体1に弾性振動を生じさせている外力を打ち消すように作用するようになることから、該車体1に生じた弾性振動の振幅が低減されると共に、弾性振動が速やかに減衰されるようになる。よって、上記APMの車両の走行時における乗り心地の向上化が図られるようになる。
【0054】
しかも、上記車体1への乗車人数が増減し、それに伴い車体重量(W)が増減すると共に該車体1の弾性振動の固有振動数(f)が変化しても、その固有振動数(f)の変化を基に、最適な制御パラメータを具備した制御器21a,21b,21cを選定して、上記リニアモータ14の制御指令を導出させることができるため、上記車体1に生じた弾性振動の振幅の低減と、速やかな減衰による制振効果を常に良好に得ることができる。
【0055】
次に、図4は本発明の実施の他の形態として、上記実施の形態の応用例を示すもので、制御装置17にて、車体1の乗車人数の変化に伴って変化する車体重量(W)の検出を、車体1を支持するために台車2に装備されている各空気ばね10の空気圧を検出する圧力計16の圧力検出値に基づいて行うようにしてある構成に代えて、上記台車2に車体1を支持するために装備されている各空気ばね10に、車体重量検出手段としてのロードセル28を個別に直列に配置して設け、該各ロードセル28による圧力検出値を上記制御装置17に入力して、該制御装置17にて、車体1の乗車人数の変化に伴って変化する車体重量の検出を、上記各ロードセル28より入力される圧力検出値に基づいて行う構成としたものである。
【0056】
その他の構成は図1乃至図3に示したものと同様であり、同一のものには同一の符号が付してある。
【0057】
本実施の形態によっても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0058】
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、制振装置本体12を、支持梁23の長手方向一端部を支持するブラケット22と、ばね要素15の下端側と、アクチュエータとしてのリニアモータ14の固定子14aを保持するブラケット25を、図示しない共通のベースプレートに取り付けてなる構成として、該ベースプレートごと車体1の所要個所の床面上に設置できるようにしたものとしてもよい。
【0059】
ばね要素15は、可動マス13の自重分を負担して、該可動マス13駆動用のアクチュエータとしてのリニアモータ14に要求される駆動能力を小さくするという観点からすると、設けることが望ましいが、上記リニアモータ14等の可動マス13駆動用のアクチュエータに、上記可動マス13の自重分を負担するための上向きの力を常時出力させるようにすれば、ばね要素15を省略した構成としてもよい。
【0060】
車体1の弾性振動に影響する車体重量を検出できるようにしてあれば、検出用のセンサとしては、図1乃至図3の実施の形態における空気ばね10の圧力計16や、図4の実施の形態におけるロードセル28以外のいかなる形式のセンサを用いるようにしてもよい。
【0061】
制振装置本体12は、車体1に装備される各種機器の配置や乗客の乗車スペースと干渉しないようにしてあれば、車体1に装備されるクロスシートの座面の下側や、車体1の床下等、その設置個所は適宜変更してもよい。更には、可動マス13を支持する支持梁23の長手方向一端部を、車体1の所要個所に固定された固定部の下面側に設けたブラケットにピンを介して上下方向揺動可能に取り付けると共に、上記支持梁23における上記可動マス13の配置と干渉しない所要個所と、その上方に位置する車体1側の固定部との間に、上下方向のばね要素15と、リニアモータ14等の可動マス13駆動用のアクチュエータを介装させるように取り付ける構成としてもよい。
【0062】
可動マス13駆動用のアクチュエータは、制御装置17からの制御指令に応じて可動マス13を上下方向に往復動作させることができれば、ボールねじ機構とその駆動用モータからなる構成等、リニアモータ以外のいかなる形式のアクチュエータを採用してもよい。
【0063】
本発明の鉄道用車両の制振装置は、台車にばねを介して支持された車体を備え、且つ該車体に生じる弾性振動の振動特性が、乗客数の変化に伴う車体重量(W)の変化に起因して、車体が弾性振動するときの固有振動数(f)が変化し、この車体重量(W)の変化と固有振動数(f)の変化により車体が弾性振動するときの振動特性が変化してしまう鉄道用車両であれば、APMの車両以外のいかなる鉄道用車両の制振に適用してもよい。
【0064】
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0065】
1 車体
2 台車
10 空気ばね(ばね)
12 制振装置本体
13 可動マス
14 リニアモータ(アクチュエータ)
15 ばね要素
16 圧力計(車体重量検出手段)
17 制御装置
18 センサ
19 センサ
28 ロードセル(車体重量検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車に所要のばねを介して車体を支持させた構成を有する鉄道用車両における上記車体の所要個所に、可動マスと、該可動マスを上下方向に往復動作させるためのアクチュエータを有する制振装置本体を設け、更に、上記車体の振動を検出するセンサと、上記可動マスの動きを検出するセンサと、上記車体の重量を検出するための車体重量検出手段と、制御装置を備え、且つ該制御装置を、上記車体重量検出手段により検出される車体重量を基に上記車体が弾性振動するときの固有振動数を求める機能と、上記車体重量と固有振動数の変化に基づく車体の振動特性の変化に対応した複数種の制御パラメータを格納して、該複数種の制御パラメータのうちのリアルタイムの車体重量及び車体の固有振動数に基づく車体の振動特性に対応する制御パラメータを用いて上記各センサより入力される信号を基に上記可動マスの慣性力を上記車体に弾性振動を生じさせている外力を打ち消すように作用させるための該可動マスの制御指令を導出する機能と、該導出した制御指令を上記アクチュエータへ与える機能を有してなるものとした構成を有することを特徴とする鉄道用車両の制振装置。
【請求項2】
制振装置本体における可動マスと車体との間に、上下方向に伸縮可能なばね要素を介装させて、該ばね要素により上記可動マスの自重分を負担した状態で支持させるようにした請求項1記載の鉄道用車両の制振装置。
【請求項3】
鉄道用車両を、台車に空気ばねを介して車体を支持させてなる構成とし、且つ車体重量検出手段を、上記空気ばねの空気圧を検出する圧力計の圧力計測信号を基に、該空気ばねに対し車体より作用している荷重を求めることで、上記車体の車体重量を検出するものとした請求項1又は2記載の鉄道用車両の制振装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−16491(P2011−16491A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−163676(P2009−163676)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】