説明

鉄道用軌道の避難路

【課題】 夜間、乗客が避難路面より逸脱せずに避難できるようにする。
【解決手段】 軌道床2に設けた避難路本体18の上側に、避難路面照明装置19設け、その上側を避難路面20とする。避難路面照明装置19は、樋状ケーシング21の内底部に充電池22を収納し、その上側に、人が歩くときの標準的な歩幅以下の間隔でLED照明ユニット23を収納し、各LED照明ユニット23同士の間の空間部に太陽電池をそれぞれ収納した状態で、樋状ケーシング21の上端開口部を、透明ポリカーボネート板25で閉塞させて形成する。太陽電池に充電池22を接続し、充電池22に、暗くなるとオン作動する照度スイッチを介してLED照明ユニット23を接続する。日中、太陽電池24で発電し充電池22に充電した電力により、夜間はLED照明ユニット23を常時点灯させて避難路面20を下側から照明させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、案内軌条式鉄道等の鉄道用軌道に設けられて車両の運行停止時に乗客が徒歩で避難するために設置してある鉄道用軌道の避難路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄道とバスとの中間の輸送力を持つ公共交通機関として、新交通システムと呼ばれる中量輸送システムが知られており、この種の中量輸送システムとしては、車両が、専用の軌道に設けた案内軌条(ガイドレール)に誘導されて走行するようにしてある案内軌条式鉄道が多く採用されている。
【0003】
上記案内軌条式鉄道は、APM(Automated People Mover)とも略称されるもので、案内軌条が、車両の走行する走行路の側方にある側方案内軌条方式のものと、案内軌条が走行路の中央にある中央案内軌条方式のものがある。
【0004】
図6は、側方案内軌条方式の案内軌条式鉄道(以下、APMと云う)の専用の軌道1の概要を示すもので、該軌道1には、通常、車両5を対面通行させることができるようにするために、軌道床2の左右幅方向の2個所に、所要の高さ寸法を有する矩形断面のコンクリート又はモルタルによるプリンス3を、図6の左半部に示すように1列、又は、図6の右半部に示すように幅方向所要間隔で平行に2列設けて、これらのプリンス3の上面を走行路面4として、ゴムタイヤ製の車輪6を備えた車両5を走行させるようにしてある。
【0005】
更に、上記軌道1の幅方向中央部の軌道床2上には、車両走行方向に沿って避難路7が設けてある。これにより、車両故障や停電等の不測の事態により図示しない隣接する駅間で車両運行が停止したときには、運行停止した車両5に乗車していた乗客(図示せず)が、上記避難路7上を歩いて付近の駅まで避難することができるようにしてある。
【0006】
上記APMの車両5は、本体部である車体8と、ゴムタイヤ製の車輪6で支持された台車9を備えた構成としてある。
【0007】
10は軌道1の両側に設けてある軌道側壁、11は上記軌道側壁10に沿って設けてある給電装置、12は車両5の台車9の走行用モータ、13は集電装置であり、該集電装置13を上記給電装置11に接触させることで車両5側へ電力を受けることができるようにしてある。
【0008】
又、14は上記台車9に設けた案内バー、15は上記案内バー14の両側に設けた案内輪、16は上記プリンス3の両側に沿って設けてある案内軌条(案内レール)であり、該案内軌条16に上記案内輪15をガイドさせることで、上記台車9の車輪6の操舵を行わせて、車両5を軌道1のカーブに沿わせて走行させることができるようにしてある。
【0009】
17は上記案内バー14における上記案内輪15の下方に設けた分岐案内輪であり、軌道1の分岐部分では、該分岐案内輪17を軌道1の分岐部分の左右両側壁に沿って出し入れ可能に設けてある可動式の直進側又は分岐側のいずれか一方の図示しない可動案内板に引っ掛けるようにしてガイドさせることで、上記車両5を直進側又は分岐側へ走行させることができるようにしてある(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−22599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところが、上記APMの軌道1は、通常、夜間照明がなく、しかも、APMの軌道1は高架となっていることが多いために、該軌道1には、街路灯や他の建造物の照明等の光が届き難くなっているというのが実状である。
【0012】
そのために、上記APMにて不測の事態による車両5の運行停止が夜間に生じた場合は、運行停止した車両5に乗車していた乗客(図示せず)が、非常に暗い中で避難路7上を歩いて近隣の駅まで避難しなければならないというのが実状であり、避難路7を歩く避難乗客が避難路7から足を踏み外したり、避難路7から転落する可能性が懸念される。
【0013】
そこで、本発明は、夜間であっても運行停止した車両からの避難乗客が歩いて避難する際に、避難路からの踏み外しや転落を未然に防止できる鉄道用軌道の避難路を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に対応して、軌道の所要個所に設けた避難路本体の上側に、避難路面照明装置を設けて、該避難路面照明装置の上側を避難路面とし、且つ、上記避難路面照明装置を、所要の発電部に接続した充電池と、暗くなるとオン作動される照度スイッチを介して上記充電池に接続した発光部材とを備えてなる構成とする。
【0015】
又、上記構成における所要の発電部として、太陽電池、風力発電機、車両通行時の軌道に生じる振動により発電を行う振動発電装置、揺れのエネルギーを電気エネルギーに変換して振動を減衰させる形式の制振装置をいずれか単独で、又は、複数組み合わせて用いるようにした構成とする。
【0016】
更に、上記各構成における避難路面照明装置を、上方に開口した樋状ケーシングの内部に充電池と発光部材を収納し、且つ上記樋状ケーシングの上端開口部を、透明蓋部材で水密に閉塞してなる構成とした構成とする。
【0017】
更に又、上記構成において、所要の発電部として太陽電池を用いる場合に、該太陽電池を、上端開口部を透明蓋部材で水密に閉塞させるようにしてある樋状ケーシングの内部に収納するようにした構成とする。
【0018】
上述の各構成において、樋状ケーシングの内部に収納する発光部材を、該樋状ケーシングの長手方向に所要間隔で配列するようにした構成とする。
【0019】
更に、上述の各構成において、発光部材を矢印状の発光領域を形成できる構成とし、更に、上記発光部材を、樋状ケーシングの長手方向に所要間隔で且つ上記矢印状の発光領域を或る方向に向けて配列するようにした構成とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の鉄道用軌道の避難路によれば、以下のような優れた効果を発揮する。
(1)軌道の所要個所に設けた避難路本体の上側に、避難路面照明装置を設けて、該避難路面照明装置の上側を避難路面とし、且つ、上記避難路面照明装置を、所要の発電部に接続した充電池と、暗くなるとオン作動される照度スイッチを介して上記充電池に接続した発光部材とを備えてなる構成としてあるので、夜間等、軌道の周辺環境が暗い状態となると、所要の発電部で発電して充電池に充電した電力を用いて避難路面照明装置の発光部材を点灯させることができて、この発光部材の発光する光により、避難路面照明装置の上面の避難路面を常時照明することができる。よって、周辺環境が暗い状態で不測の事態により運行停止した車両より避難する乗客の歩く避難路面を照明することで、乗客が避難路面から足を踏み外したり、避難路面から転落する虞を低減させることが可能になる。
(2)所要の発電部として、太陽電池、風力発電機、車両通行時の軌道に生じる振動により発電を行う振動発電装置、揺れのエネルギーを電気エネルギーに変換して振動を減衰させる形式の制振装置をいずれか単独で、又は、複数組み合わせて用いるようにした構成とすることにより、太陽光、風、車両通行時の軌道に生じる振動、軌道の揺れが有するエネルギーを利用して発光部材を発光させるための電力を得ることができるため、外部からの電力供給を行う必要がないことから、停電時等、軌道を走行する車両への電力供給が停止した状態であっても上記避難路面照明装置の発光部材による避難路面の照明を行わせることができる。
(3)避難路面照明装置を、上方に開口した樋状ケーシングの内部に充電池と発光部材を収納し、且つ上記樋状ケーシングの上端開口部を、透明蓋部材で水密に閉塞してなる構成とした構成とすることにより、避難路面を、避難路面照明装置の樋状ケーシングの内部に収納した発光部材の発光する光により透明蓋部材を通して下方より照明することができる。
(4)所要の発電部として太陽電池を用いる場合に、該太陽電池を、上端開口部を透明蓋部材で水密に閉塞させるようにしてある樋状ケーシングの内部に収納するようにした構成とすることにより、樋状ケーシングの透明蓋部材とを透過する光で太陽電池による発電を行わせることができ、上記樋状ケーシング内に充電池と発光部材と太陽電池を収納できて、コンパクトな装置構成とすることが可能になる。
(5)樋状ケーシングの内部に収納する発光部材を、該樋状ケーシングの長手方向に所要間隔で配列するようにした構成とすることにより、避難路面における長手方向所要間隔個所を、上記発光部材の発する光により照明できる。したがって、上記発光部材の配列間隔を、人が歩くときの標準的な歩幅以下の間隔となるように設定すれば、車両より乗客が避難路面を歩いて避難するときに、該避難路面における各発光部材により照明される該各発光部材の真上を踏んで歩くことができるようになるため、避難路面にて足で踏む個所を容易に且つ確実に確認することができ、しかも、避難路面上の障害物を容易に発見して該障害物を避けて歩くことができることから、乗客が避難路面から足を踏み外したり、避難路面から転落する虞を更に低減させるのに有利な構成とすることが可能になる。
(6)発光部材を矢印状の発光領域を形成できる構成とし、更に、上記発光部材を、樋状ケーシングの長手方向に所要間隔で且つ上記矢印状の発光領域を或る方向に向けて配列するようにした構成とすることにより、上記発光部材の矢印状の発光領域の向きにより
運行停止した車両より避難路面を歩いて避難する乗客に対して、避難する方向を指し示すことが可能になる。よって、上記矢印状の発光領域の向きが、最寄りの駅の方向、あるいは、軌道の勾配等を考慮して避難がより容易となる駅の方向となるように設定すれば、上記乗客の避難をより円滑に行わせることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の鉄道用軌道の避難路を示す一部切断概略平面図である。
【図2】図1のA−A方向矢視図である。
【図3】図1のB−B方向矢視図である。
【図4】図1の避難路における避難路面照明装置の回路構成を示す図である。
【図5】本発明の実施の他の形態を示す一部切断概略平面図である。
【図6】側方案内軌条方式の案内軌条式鉄道の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
【0023】
図1乃至図4は本発明の鉄道用軌道の避難路の実施の一形態を示すもので、以下のようにしてある。
【0024】
すなわち、上記本発明の鉄道用軌道の避難路は、図6に示したと同様の構成としてあるAPMの軌道1の幅方向中央部の軌道床2上に、所要の高さ寸法で且つ上端部を所要の幅寸法としてある避難路本体18を、車両走行方向に沿って設ける。更に、該避難路本体18の上側に、該避難路本体18の長手方向の全長に亘り避難路面照明装置19を設けて、該避難路面照明装置19の上面を、図示しない避難乗客が徒歩で移動するための避難路面20とした構成とする。
【0025】
詳述すると、上記避難路面照明装置19は、上方に開口を備えた樋状のケーシング21を備え、該樋状ケーシング21の内底部に、充電池22を敷き詰めるようにして収納する。
【0026】
更に、発光部材として、たとえば、上記樋状ケーシング21の長手方向に直交する内部幅寸法に応じた長さ寸法を有する帯状の基板に図示しないLEDを多数取り付けてなる構成として、該各LEDの点灯により帯状の発光領域を形成できるようにしたLED照明ユニット23を製作して、該発光部材としてのLED照明ユニット23を、上記樋状ケーシング21内の上部、すなわち、内底部に収納してある充電池22の上側となる位置に、該樋状ケーシング21の長手方向に所要間隔で配列して設ける。
【0027】
更に又、上記樋状ケーシング21内の上部における上記各LED照明ユニット23同士の間の空間部には、発電部としての太陽電池24をそれぞれ配設し、この状態で、上記樋状ケーシング21の上端開口部を、透明蓋部材としての透明ポリカーボネート板25で水密に閉塞させた構成としてある。これにより、上方より照射される太陽光27を、上記透明ポリカーボネート板25を透過させて上記太陽電池24に入射させることができるようにしてあると共に、上記LED照明ユニット23が発する照明光28を、上記透明ポリカーボネート板25を透過させて、避難路面20とする該透明ポリカーボネート板25の上面側へ照射できるようにしてある。
【0028】
なお、上記避難路面照明装置19の樋状ケーシング21の長手方向に上記LED照明ユニット23を配列して設けるときの配列間隔は、一般的な人が歩くときの標準的な歩幅以下の間隔となるように設定することが好ましい。このような配列間隔とすれば、暗い環境下で上記避難路面照明装置19の上面に設けてある避難路面20を人が歩くときに、発光するLED照明ユニット23の真上を踏んで歩くことが可能になる。したがって、暗い環境下で該避難路面20を歩く人が踏む個所を容易に且つ確実に確認できるようにしてあり、万一、避難路面20上に障害物があったとしても、上記LED照明ユニット23の真上にある障害物は、該LED照明ユニット23による下方からの照明で容易に発見できるため、該障害物を避けて歩くことができるようにしてある。
【0029】
更に、上記避難路面照明装置19は、図4に回路構成を示すように、上記太陽電池24が接続してある充電池22に、上記各LED照明ユニット23を、明るいときはオフ状態で暗くなるとオン作動される形式の照度スイッチ26を介して接続した構成としてある。なお、上記照度スイッチ26は、APMの軌道1の周辺の明るさを検出できるようにしてあれば、上記樋状ケーシング21の内部又は外部のいずれに設置してもよい。
【0030】
なお、図1乃至図3にて、図6に示したものと同一のものには同一符号が付してある。
【0031】
以上の構成としてある本発明の鉄道用軌道の避難路を、たとえば、APMの軌道1に装備すると、日中、上記APMの軌道1に太陽光27が照射されている間は、該太陽光27が照射される上記避難路面照明装置19の太陽電池24で発電される電力が、上記充電池22に充電されるようになる。この際、上記照度スイッチ26がオフ状態となっていることで上記各LED照明ユニット23への電力供給は行われない。
【0032】
一方、上記太陽電池24への太陽光27の照射が行われない状態では、該太陽電池24での発電は停止される。この状態で、夜間等、APMの軌道1の周辺環境が暗くなると、上記照度スイッチ26がオン作動されるようになることで、上記したように、日中、太陽電池24で発電されて充電池22に充電されていた電力が、上記照度スイッチ26を経て上記各LED照明ユニット23へ供給されるようになることから、該各LED照明ユニット23の図示しない各LEDの点灯が行われるようになる。したがって、上記のように夜間等、APMの軌道1の周辺環境が暗いときには、上記避難路面照明装置19の上面に設けられている避難路面20が、長手方向所要間隔で配列してある上記各LED照明ユニット23により常時照明されるようになる。
【0033】
したがって、本発明の鉄道用軌道の避難路によれば、夜間等、APMの軌道1の周辺環境が暗い状態で、不測の事態によりAPMの車両5の運行停止が生じた場合、運行停止した車両5に乗車していた乗客(図示せず)が、上記本発明の鉄道用軌道の避難路における避難路面照明装置19の上面の避難路面20を徒歩で避難することになるが、この際、該避難路面20は、上記各LED照明ユニット23により長手方向所要間隔で照明されているため、上記避難路面20を歩く避難乗客が該避難路面20から足を踏み外したり、避難路面20から転落する虞を低減させることができる。
【0034】
しかも、上記避難路面20は、一般的な人が歩くときの標準的な歩幅以下の間隔ごとに上記各LED照明ユニット23で照明が行われているため、上記避難乗客は、上記避難路面20における発光するLED照明ユニット23の真上を踏んで歩くようにすることで、該避難路面20にて足で踏む個所を容易に且つ確実に確保でき、しかも、避難路面20上の障害物を容易に発見して該障害物を避けて歩くことができるため、上記避難路面20を歩く避難乗客が該避難路面20から足を踏み外したり、避難路面20から転落する虞を更に低減させることができる。
【0035】
次に、図5は本発明の実施の他の形態を示すもので、図1乃至図4の実施の形態と同様の構成において、避難路面照明装置19の樋状ケーシング21の長手方向に所要間隔で配列して設ける各LED照明ユニット23を、図示しない各LEDの点灯により帯状の発光領域を形成できるようにした構成に代えて、各LED照明ユニット23aを、図示しない多数のLEDの点灯により矢印状の発光領域を形成できる構成とし、更に、上記各LED照明ユニット23aを、上記避難路面照明装置19の樋状ケーシング21内に長手方向所要間隔で配列して設けるときに、該各LED照明ユニット23aの矢印状の発光領域の先端側が、最適な避難方向を指し示すように、たとえば、最寄りの駅の方向、あるいは、軌道の勾配等を考慮して避難がより容易となる駅の方向に向けて配置したものである。
【0036】
その他の構成は図1乃至図4に示したものと同様であり、同一のものには同一の符号が付してある。
【0037】
本実施の形態によれば、上記図1乃至図4の実施の形態と同様の効果に加えて、夜間等、APMの軌道1の周辺環境が暗い状態で、不測の事態によりAPMの車両5の運行停止が生じた場合に、上記本実施の形態の鉄道用軌道の避難路における避難路面照明装置19の上面の避難路面20を徒歩で避難する乗客(図示せず)に対し、上記各LED照明ユニット23aの矢印状の発光領域の向きで、最適な避難方向として、最寄りの駅の方向、あるいは、軌道の勾配等を考慮して避難がより容易となる駅の方向を指し示すことができるようになるため、上記乗客(図示せず)を最寄りの駅の方向、あるいは、軌道の勾配等を考慮して避難がより容易となる駅の方向へ誘導できて、避難をより円滑に行わせることが可能になる。
【0038】
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、上記各実施の形態では、発電部として太陽電池24を用いるものを示したが、太陽電池24に代えて、風力発電機、あるいは、APMの軌道1を20〜40t程度の重量を有する車両5(図6参照)が数分間隔で通行する際に軌道1に生じる振動をエネルギー源として発電を行うようにした振動発電装置、更には、上記APMの軌道1が高架橋である場合に、該高架橋の軌道1の揺れエネルギーを電気エネルギーに変換して振動を減衰させる形式の制振装置を発電部として用いるようにしてもよい。又、太陽電池24、及び、上記発電部としての風力発電機、振動発電装置、揺れを電気エネルギーに変換して制振を行う形式の制振装置のうちの複数のものを併用するようにしてもよい。上記発電部としての風力発電機、振動発電装置、揺れを電気エネルギーに変換して制振を行う形式の制振装置は、避難路面照明装置19の樋状ケーシング21の外部に設けるようにすればよい。
【0039】
LED照明ユニット23,23aの発光領域は、帯状あるいは矢印状以外の形状としてもよい。又、LED照明ユニット23,23aは、樋状ケーシング21内における幅方向両端部位置、すなわち、避難路面20の幅方向両側部と対応する位置に、長手方向に連続的に並ぶように配設してもよい。更に、上記LED照明ユニット23,23aの発光領域の大きさや形状に応じて配列間隔を変更してもよく、更には、上記LED照明ユニット23,23aの配置を図示した以外の配置としてもよい。
【0040】
上記LED照明ユニット23,23aは、避難路面照明装置19の樋状ケーシング21の内部に収納することが好ましいが、避難路面照明装置19の上面の避難路面20の側部に設けるようにしてもよい。
【0041】
発光部材としては、消費電力及びコストの観点からするとLEDを発光素子とするLED照明ユニット23,23aを用いることが好ましいが、各種EL(エレクトロルミネッセンス)素子や蛍光灯等、LED以外のいかなる発光素子を用いた発光部材を採用してもよい。
【0042】
樋状ケーシング21の透明蓋部材として、透明ポリカーボネート板25を用いるものとして示したが、上面を避難路面20として人が歩くことができる強度を有し、且つ太陽電池24の感度領域の波長の光と、発光部材の発する照明光を透過できるようにしてあれば、透明ポリカーボネート板25以外のいかなる材料製の透明蓋部材を用いるようにしてもよい。
【0043】
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0044】
1 軌道
18 避難路本体
19 避難路面照明装置
20 避難路面
21 樋状ケーシング
22 充電池
23,23a LED照明ユニット(発光部材)
24 太陽電池(発電部)
25 透明ポリカーボネート板(透明蓋部材)
26 照度スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道の所要個所に設けた避難路本体の上側に、避難路面照明装置を設けて、該避難路面照明装置の上側を避難路面とし、且つ、上記避難路面照明装置を、所要の発電部に接続した充電池と、暗くなるとオン作動される照度スイッチを介して上記充電池に接続した発光部材とを備えてなる構成としたことを特徴とする鉄道用軌道の避難路。
【請求項2】
所要の発電部として、太陽電池、風力発電機、車両通行時の軌道に生じる振動により発電を行う振動発電装置、揺れのエネルギーを電気エネルギーに変換して振動を減衰させる形式の制振装置をいずれか単独で、又は、複数組み合わせて用いるようにした請求項1記載の鉄道用軌道の避難路。
【請求項3】
避難路面照明装置を、上方に開口した樋状ケーシングの内部に充電池と発光部材を収納し、且つ上記樋状ケーシングの上端開口部を、透明蓋部材で水密に閉塞してなる構成とした請求項1又は2記載の鉄道用軌道の避難路。
【請求項4】
所要の発電部として太陽電池を用いる場合に、該太陽電池を、上端開口部を透明蓋部材で水密に閉塞させるようにしてある樋状ケーシングの内部に収納するようにした請求項3記載の鉄道用軌道の避難路。
【請求項5】
樋状ケーシングの内部に収納する発光部材を、該樋状ケーシングの長手方向に所要間隔で配列するようにした請求項3又は4記載の鉄道用軌道の避難路。
【請求項6】
発光部材を矢印状の発光領域を形成できる構成とし、更に、上記発光部材を、樋状ケーシングの長手方向に所要間隔で且つ上記矢印状の発光領域を或る方向に向けて配列するようにした請求項3、4又は5記載の鉄道用軌道の避難路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−203174(P2010−203174A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−51464(P2009−51464)
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】