説明

鉄道車両用の通信システム

【課題】2台の移動局車上装置の送信部がそれぞれオンになることでビートが発生することを防止する。
【解決手段】鉄道車両の通信システムであって、指令所と通信する第1及び第2移動局と、対応する移動局の送信器のオン/オフ制御、該送信器への音声の接続制御を行う第1及び第2SR受信装置と、第1及び第2SR受信装置毎に用意された着脱自在な携帯無線機とを含み、第1及び第2移動局の送信器が未起動状態で、第1SR受信装置が携帯無線機の取り外された第2状態で、第2SR受信装置が携帯無線機が装着された第1状態である場合において、第2SR受信装置は携帯無線機から受信される音声を自身に対応する送信器に接続することなく音声回線を通じて第1SR受信装置に伝達し、第1SR受信装置は音声回線から受信される音声を用いて第1移動局の送信器をオンにして当該音声を該送信器に接続し、該送信器は当該音声を運転指令所へ向けて送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列車(鉄道車両)の乗務員が、携帯無線機を使用して、運転指令所の指令員と通話を行うための通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道施設に適用される通信技術の一つには、運転指令所と運行中の列車に搭載された移動局車上装置との間で行われる音声等の相互通話や、緊急時における列車からの非常発報や、及び携帯無線機を用いた運転指令所との誘導無線通信があり、主として地下鉄道に広く使用されている。
【0003】
図4は、従来における誘導無線通信システムの概略構成図である。図4に示す通信システムは、運転指令所1に接続された基地局2と、基地局2から線路に沿って設定された複数の誘導線3,誘導線3間に挿入された各誘導線3の設置場所におけるインピーダンス整合をとる中間結合器4,及び誘導線3の終端に接続される終端結合器5からなる誘導線路と、線路上を走行する鉄道車両(列車)に搭載される移動局車上装置6とを含んで構成されている。移動局車上装置6は、受信アンテナ7と、送信アンテナ8と、送受信器(送信部
及び受信部)等で構成されている。
【0004】
音声が運転指令所1から列車へ伝達される場合、運転指令所1にて発せられた音声は、基地局2にて誘導無線周波数f1(例えば130kHz)の誘導無線周波数信号(信号S1)に変調された後、誘導線3に送出される。誘導線3を伝達される信号S1は、電磁誘導によって受信アンテナ7に受信され、移動局車上装置6の受信部にて音声信号に復調され、音声信号に応じた音声が移動局車上装置6から出力される。
【0005】
一方、音声が列車から運転指令所1へ伝達される場合、列車内で発せられた音声は、移動局車上装置6の送信部にて誘導無線周波数f2(例えば180kHz)の誘導無線周波数信号(信号S2)に変調され、送信アンテナ8から送出され、電磁誘導によって誘導線3に受信される。その後、信号S2は、誘導線路を通じて基地局2にて音声信号に変換(復調)され、この音声信号に応じた音声が運転指令所1にて出力される。以上の構成によって、運転指令所1と移動局車上装置6との間で音声を相互に送受信することができる。
【0006】
通常の運行状態では、音声通信が上記構成を用いて運転指令所1と列車(移動局車上装
置6)との間で行われる。これに対し、列車の故障等の事故が発生した場合、列車の乗務
員は、列車を停止させた後、車外に出て車両点検等を行う必要がある。この場合、乗務員は、図4に示すような、送受信とも誘導無線方式の携帯無線機(以下、「IR式携帯無線
機」という)9を所持して車外に出た後、IR式携帯無線機9を用いて運転指令所1との
間で点検に係る相互連絡通話を行う。
【0007】
図4に示すように、IR式携帯無線機9は、受信アンテナ10と、送信アンテナ11とを有している。受信アンテナ10は、基地局2からの誘導線3に送出される信号S1を受信することによって運転指令所1からの音声を受信することができる。一方、送信アンテナ11は、伸縮自在なアンテナ棒(絶縁棒)12の先端に取り付けられており、誘導線3に直接引っ掛けることが可能となっている。
【0008】
IR式携帯無線機9から運転指令所1へ音声が伝達される場合、乗務員は送信アンテナ11を誘導線3に引っ掛けて両者を接触させた後、IR式携帯無線機9のマイクロホンに向かって音声を発する。すると、IR式携帯無線機9にて、マイクロホンから入力された
音声信号が変調された信号S2が生成される。信号S2は、送信アンテナ11から誘導線3に伝達され、誘導線3及び基地局2を通じて運転指令所1へ伝送される。
【0009】
このように、IR式携帯無線機9は、送信アンテナ11を誘導線3に接触させる構成を有しているので、信号S2の利用効率を高めることができる。しかしながら、IR式携帯無線機9を誘導線路3から離れた場所で使用することを想定すると、誘導無線周波数が低いことからIR式携帯無線機9の出力及びアンテナ並びに携帯電源部がそれぞれ大きくなって携帯型には不向きとなる。
【0010】
また、近年、IR式携帯無線機9の送信アンテナ11を誘導線3に引っ掛ける不都合を解消する目的で、携帯無線機の受信に誘導無線周波数帯を使用する一方で、送信に空間波無線周波数帯を使用するIR/SR式携帯無線機(以下、単に「携帯無線機」と表記する)が使用されている。
【0011】
列車には、空間波受信器(以下「SR受信器」という)を設備して、携帯無線機から送信される空間波無線信号(音声)を一旦SR受信器で受信し、その空間波無線信号を復調して、移動局車上装置6の送信部に入力した後、誘導無線周波数帯の周波数に変換して送出することにより、携帯無線機と運転指令所1との間で相互通話を行う装置がある(例えば、
特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−115058号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
列車が、その進行方向に対して前部と後部となる二つの先頭車両を含む(これらの間に
1以上の中間車両を含む場合もある)編成車両である場合は、前部及び後部先頭車両のそ
れぞれに移動局車上装置及びSR受信器が設置される。通常、携帯無線機は、一方のSR受信器の空間波無線信号の受信可能エリア(通信エリア)内で使用されることが想定され、そのSR受信器に対応する移動局車上装置がオン状態にされる。
【0013】
ところが、状況によっては、乗務員が、例えば前部先頭車両側のSR受信器及び移動局車上装置がオンの状態で携帯無線機を所持して車外に出た後、後部先頭車両側に移動することでSR受信器の通信エリア外へ出てしまうことがあり得る。この場合、携帯無線機が通信エリア外に出てしまえば、当然、運転指令所との通信を継続することはできない。そこで、後部先頭車両側のSR受信器及び移動局車上装置をオンにして、後部先頭車両側のSR受信器で受信される携帯無線機からの音声を後部先頭車両側の移動局車上装置から運転指令所へ向けて送出することが考えられる。このような状況下では、前部及び後部先頭車両の移動局車上装置の双方が動作状態となる。この場合、各移動局車上装置の送信部の送信周波数は、お互いに全く同一の誘導無線周波数に成り難く、基地局側では2台の移動局車上装置からの異なる2つの移動局送信周波数を受信することになり、近接した2つの周波数によってビートが発生し、基地局受信に支障を来すおそれがあった。
【0014】
また、列車にて緊急事態が発生し、乗務員が移動局車上装置に含まれる非常送信器を動作させて列車から非常発報を発信している場合では、非常発報を行っている移動局車上装置からは音声用の通話送信器及び携帯無線機は使用できないという不都合があった。
【0015】
本発明の目的は、上記した問題に鑑みなされたものであり、2台の移動局車上装置の送信部がそれぞれオンになることでビートが発生することを防止できる通信システムを提供することである。
【0016】
また、本発明の目的は、2台の移動局車上装置の一方が非常発報により音声通信不能状
態となっている場合において、携帯無線機を用いた運転指令所との通話を可能とする通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、上記した目的を達成するために以下の構成を採用する。
【0018】
即ち、本発明の第1の態様は、鉄道車両に搭載される通信システムであって、
地上に設置された誘導線路及び基地局を介して運転指令所と通信する送信器及び受信器をそれぞれ有する第1及び第2の移動局車上装置と、
前記第1及び第2の移動局車上装置に対応づけて用意され、対応する移動局車上装置の送信器のオン/オフ制御,及び受信された空間波周波数帯の無線信号を復調した音声信号の前記対応する送信器への接続制御をそれぞれ行う第1及び第2の空間波受信装置と、
前記第1及び第2の空間波受信装置毎に用意され、所定の収容位置に対して着脱自在に構成され、前記誘導線路からの誘導無線帯の周波数を有する第1の無線信号を受信する誘導無線受信器と、入力された音声信号が変調された空間波無線帯の周波数を有する第2の無線信号を送信する空間波送信器とを含む携帯無線機と、を含み、
前記第1及び第2の空間波受信装置は、自装置に対応する携帯無線機の装着時において、携帯無線機からの第2の無線信号を受信可能であるが、前記対応する送信器をオンにしない第1の状態となり、前記対応する携帯無線機の取り外し時において、携帯無線機から第2の無線信号を受信したときに、前記対応する送信器をオンにするとともに、当該第2の無線信号から復調した音声信号を前記対応する送信器に接続する第2の状態となり、
前記第1及び第2の移動局車上装置の送信器が未起動状態であり、前記第1の空間波受信装置が第2の状態であり、且つ前記第2の空間波受信装置が第1の状態である場合において、前記第2の空間波受信装置が前記携帯無線機からの前記第2の無線信号を受信したときには、前記第2の空間波受信装置は、その第2の無線信号を所定の周波数を有する音声信号に復調し、前記鉄道車両内に設けられた音声回線を通じて前記第1の空間波受信装置に伝達し、
前記第1の空間波受信装置は、前記第2の状態において前記音声回線から音声信号を受信したときに、この音声信号を用いて前記第1の移動局車上装置の送信器をオンにするとともに当該音声信号を当該送信器に接続し、
前記第1の移動局車上装置の送信器は、前記第1の空間波受信装置から受信される音声信号を誘導無線周波数帯の無線信号に変換し、前記運転指令所へ向けて送信する
通信システムである。
【0019】
本発明の第1の態様によれば、第2の空間波受信装置は、第1の状態において、携帯無線機からの音声を受信した場合に、その音声を音声回線を通じて第1の空間波受信装置へ伝達し、第1の空間波受信装置は、第1の移動局車上装置の送信器を起動させて音声を接続し、第1の移動局車上装置から運転指令所へ向けて音声を送信させる。このとき、第2の移動局車上装置の送信器は音声が接続されず、且つ起動状態(オン)にされない。このため、第1及び第2の移動局車上装置の双方から第1の無線信号が送信されるのが防止される。これによって、基地局側でビートが生じるのを防止することができる。
【0020】
好ましくは、本発明の第1の態様において、前記携帯無線機の前記誘導無線受信器は、前記収容位置から取り外されたときに、前記誘導線路からの第1の信号の受信待機状態となる。
【0021】
また、好ましくは、本発明の第1の態様において、前記携帯無線機は、音声を前記第1の移動局車上装置を介して前記運転指令所へ送るための送信スイッチと、
前記運転指令所と自身との間の回線接続状態を示す報知部とを有する。
【0022】
また、好ましくは、本発明の第1の態様において、前記携帯無線機は、前記運転指令所との回線接続時に、トーン信号又はDTMF信号を前記運転指令所との間でやりとりする。
【0023】
この場合、前記携帯無線機は、トーン信号又はDTMF信号を所定間隔で断続的に発信される間隔断続信号音として発信し、その後、前記運転指令所を折り返して送り返されて来る間隔断続信号音を受信したときに、前記報知部を回線接続完了状態にするように構成するのが好ましい。
【0024】
或いは、前記携帯無線機は、自身が発信するトーン信号又はDTMF信号と異なる前記運転指令所からのDTMF信号を受信したときに、前記報知部を回線接続状態にするように構成するのが好ましい。
【0025】
また、好ましくは、本発明の第1の態様において、前記第1の空間波受信装置は、前記音声回線から受信される音声信号を、前記第1の移動局車上装置の送信器に接続する第1の経路と、第2の経路とに分流させる分流部を有し、
前記第2の経路上には、前記音声信号を整流する整流器と、整流された信号により作動し、前記第1の移動局車上装置の送信器に電源を供給するスイッチとが設けられている。
【0026】
本発明の第2の態様は、鉄道車両に搭載される通信システムであって、
地上に設置された誘導線路及び基地局を介して運転指令所と通信する送信器及び受信器をそれぞれ有する第1及び第2の移動局車上装置と、
前記第1及び第2の移動局車上装置に対応づけて用意され、対応する移動局車上装置の送信器のオン/オフ制御,及び受信された空間波周波数帯の無線信号を復調した音声信号の前記対応する送信器への接続制御をそれぞれ行う第1及び第2の空間波受信装置と、
前記第1及び第2の空間波受信装置毎に用意され、所定の収容位置に対して着脱自在に構成され、前記誘導線路からの誘導無線帯の周波数を有する第1の無線信号を受信する誘導無線受信器と、入力された音声信号が変調された空間波無線帯の周波数を有する第2の無線信号を送信する空間波送信器とを含む携帯無線機と、
前記第1の移動局車上装置が非常発報に使用され、携帯無線機からの音声を前記第1の移動局車上装置を介して運転指令所へ送信できない場合に、当該音声を前記第2の空間波受信器及び前記第2の移動局車上装置を用いて送信する制御を行う制御手段と、を含み、
前記第1及び第2の空間波受信装置は、自装置に対応する携帯無線機の装着時において、携帯無線機からの第2の無線信号を受信可能ではあるが、前記対応する送信器をオンにしない第1の状態となり、前記対応する携帯無線機の取り外し時において、対応する移動局車上装置が非常発報に使用されておらず、且つ携帯無線機から第2の無線信号が受信されたときには、前記対応する送信器をオンにするとともに、当該第2の無線信号から復調された音声信号を前記対応する送信器に接続する第2の状態となり、
前記第1の空間波受信装置が第2の状態であり、前記第2の空間波受信装置が第1の状態である場合において、前記第1の移動局車上装置が非常発報に使用されているときには、前記第1の空間波受信装置が携帯無線機から受信する第2の無線信号から復調された音声信号が、前記鉄道車両に設けられた音声回線に接続され、前記第2の空間波受信装置が前記音声回線から当該音声信号を受信し、
前記制御手段は、前記第2の空間波受信装置が音声回線から当該音声信号を受信する場合に、当該音声信号が前記第2の空間波受信装置を通って前記第2の移動局車上装置の送信器に入力される伝達経路を生成するとともに、当該送信器をオンにし、
前記制御手段によって起動した送信器が、前記伝達経路を通って入力される音声信号を誘導無線周波数帯の無線信号に変調し、前記運転指令所へ向けて送信する
通信システムである。
【0027】
本発明の第2の態様によれば、第1の移動局車上装置が非常発報に使用されて携帯無線機からの音声を第1の移動局車上装置を介して運転指令所に伝達できない場合に、第2の空間波受信器及び第2の移動局車上装置を介して当該音声を運転指令所に伝達することができる。
【0028】
好ましくは、本発明の第2の態様において、前記制御手段は、前記第1の空間波受信装置で受信される前記携帯無線機からの音声が前記音声回線に接続される場合に、制御信号を前記音声回線に接続する制御信号送信部と、前記音声回線を介して受信される制御信号に基づいて、前記第2の空間波受信装置内で前記伝達経路が形成されるように、前記第2の空間波受信装置に設けられた少なくとも一つの回路接点の切替制御を行う制御信号受信部とを含む。
【0029】
また、好ましくは、本発明の第2の態様において、前記制御手段は、前記第2の状態における第1の空間波受信装置において、携帯無線機からの第2の無線信号の受信レベルが所定値以下になったときに、前記第1の状態にある前記第2の空間波受信装置を、携帯無線機からの第2の無線信号を受信したときにこの第2の無線信号から復調された音声信号が前記第2の移動局車上装置の送信器に入力される状態とするとともに、当該送信器を起動させる。
【0030】
また、好ましくは、本発明の第2の態様において、前記制御手段は、前記第1の空間波受信装置で受信される第2の無線信号の受信レベルが所定値以下になったときに、制御信号を前記音声回線に接続する制御信号送信部と、前記音声回線を介して受信される制御信号に基づいて、前記第2の空間波受信装置内で携帯無線機からの第2の無線信号から復調された音声信号が前記送信器に入力されるように、前記第2の空間波受信装置に設けられた少なくとも一つの回路接点の切替制御を行う制御信号受信部とを含む。
【0031】
また、好ましくは、本発明の第1の態様において、前記第2の空間波受信装置から音声回線を通じて前記携帯無線機からの音声信号が前記第1の空間波受信装置へ送信されている場合に、前記鉄道車両に設けられた乗務員間連絡装置に入力された音声が、前記音声回線に接続される。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、2台の移動局車上装置の送信部がそれぞれオンになることでビートが発生することを防止することができる。
【0033】
また、本発明によれば、2台の移動局車上装置の一方が非常発報により音声通信不能状態となっている場合において、携帯無線機を用いた運転指令所との通話を可能とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。実施形態の構成は例示であり、本発明は実施形態の構成に限定されない。
【0035】
〔第1実施形態〕
図1及び図2は、本発明の第1実施形態による通信システムの構成例を示す図である。図1には、誘導無線と空間波無線とを併用した携帯無線機40を使用し、前部先頭車両Aの移動局車上装置10Aの送信部を中継して、運転指令所1と相互通話を行う場合が示されている。
【0036】
また、図2には、前部先頭車両AのSR受信装置30から携帯無線機40を取り外して
、前部先頭車両Aの移動局車上装置10Aの通話送信回路を動作状態にして、乗務員が携帯無線機40Aを持参して列車編成車両の後部先頭車両C付近に移動して、携帯無線機40と運転指令所1とで相互通話を行う場合が示されている。
【0037】
図1において、列車(鉄道車両)は、前部先頭車両A(以下、「先頭車両A」という)と、中間車両Bと、後部先頭車両C(以下、「先頭車両C」という)とからなる。先頭車両Aには、移動局車上装置10A(第1の移動局車上装置)と、空間波受信装置(以下、「SR受
信装置」という)30A(第1の空間波受信装置)と、携帯無線機40Aと、乗務員間連絡
装置50Aとが設置されている。先頭車両Cには、先頭車両Aと同様に、移動局車上装置10B(第2の移動局車上装置)と、SR受信装置30B(第2の空間波受信装置)と、携帯無線機40Bと、乗務員間連絡装置50Bとが設置されている。各先頭車両A及びCに設置された移動局車上装置,SR受信装置,携帯無線機,乗務員間連絡装置は、それぞれ同様の構成を有している。乗務員間連絡装置50Aと50Bとは、乗務員間連絡音声回線(
音声回線)103,104を介して接続されている。携帯無線機40A(40B)は、SR
受信装置30A(30B)に設けられた所定の収容位置に対して着脱自在に構成され、使用時にはSR受信装置30A(30B)から取り外される。各SR受信装置30A,30Bは
、携帯無線機の着脱に応じて、第1及び第2の状態となる。
【0038】
図1において、図示されない車両元スイッチ(車両電源スイッチ)の投入によって、先頭車両A及び先頭車両Cの各移動局車上装置10A及び10Bの受信回路と、乗務員間連絡装置50A及び50Bの受話回路と、SR受信装置30A及び30Bの受信器32A及び32B(図2)とは動作状態となる。
【0039】
このとき、携帯無線機40AがSR受信装置30Aから取り外されない状態(第1の状
態)において、運転指令所1から列車へ音声が伝達される場合には、運転指令所1で発せ
られた音声は、基地局2にて誘導無線周波数f1(例えば130kHz)の誘導無線周波数信号(信号S1)に変調された後、誘導線3に送出される。誘導線3を伝達される信号S1は、移動局車上装置10Aの受信アンテナ15Aで受信され、通話受信器17Aにて音声信号に復調され、復調された音声信号に応じた音声が鉄道車両のスピーカ20Aから出力される。
【0040】
一方、列車から運転指令所1に音声が伝達される場合、列車の移動局車上装置10Aの図示されない送話スイッチを乗務員がオンにしている間、スイッチSW1Aの接点a及び接点bがオンとなる。通話送信器13Aは、接点aが閉じることで電源が供給され、動作状態になる。この状態で、マイクロホン12Aに向けて音声が発せられると、マイクロホン12Aに入力された音声信号が通話送信器13Aにて誘導無線周波数f2(例えば18
0kHz)の誘導無線周波数信号(信号S2)に変調され、送信アンテナ14Aから送出さ
れ、誘導線3に受信される。その後、信号S2は、誘導線路を通じて基地局2にて音声信号に変換(復調)され、この音声信号に応じた音声が運転指令所1にて出力される。以上の構成によって、運転指令所1と移動局車上装置10Aとの間で音声を相互に送受信することができる。
【0041】
列車に何らかの不具合が発生し、例えば先頭車両Aの乗務員(運転士)が列車を停止させた後、携帯電話機40Aを持って車外に出て、運転指令所1と連絡通話を行う場合がある。この場合、最初に、SR受信装置30Aから携帯無線機40Aを取り外す。これによって、携帯無線機40Aの受信回路(受信器45)の電源が自動的にオンとなり、待機状態になる。
【0042】
また、取り外しによって、SR受信装置30Aの状態が第1の状態から第2の状態へ遷移する。即ち、取り外しと同時にスイッチSW3Aが動作し、接点eが閉じることより、
移動局車上装置10Aの通話送信器13Aへの電源供給準備が行われる。このとき、移動局車上装置10Aの図示されない送受話器ハンドスイッチは握られておらず、接点a及びbは開いた状態にある。また、スイッチSW3Aの作動による接点fの切替動作により、乗務員間連絡装置50A及び50Bを結ぶ音声回線104にSR受信装置30Aが接続される。さらに、スイッチSW3Aの作動で接点gが切替動作を行い、接点gの接片が接点h側へ倒れた状態となる。なお、図1において、SR受信装置30AのスイッチSW3Aの接点e,f及びgの状態は、携帯無線機40AがSR受信装置30Aから取り外されたときの状態を示している。
【0043】
この状態で、携帯無線機40Aの図示されない送信スイッチが押され、マイクロホン41に音声が入力されると、空間波送信部(以下「SR送信部」という)42から空間波無線周波数f4(例えば322MHz帯の1波)の信号(信号S4:第2の無線信号)に変調された音声が、SR送信アンテナ43から発せられる。
【0044】
携帯無線機40Aから発せられた信号S4は、先頭車両AのSR受信装置30AのSR受信アンテナ31Aで受信される。SRアンテナ31Aで受信された信号S4は、SR受信器32Aに入力され、増幅された後、2方向に分割される。
【0045】
SR受信器32Aからは、信号S4がSQ信号(スケルチ信号)として取り出され、ダイオード34Aで整流され、リレー33Aを動作させてスイッチSW4Aの接点mを閉状態にする。これによって、移動局車上装置10Aの通話送信器13Aに対し、接点e及びmを介して電源が供給され、通話送信器13Aが送信状態になる。また、リレー33Aの作動により、接点hがオン状態(接点gを介して受信器32Aに接続された状態)になる。
【0046】
また、SR受信器32Aは、増幅した信号S4に対する復調処理により音声信号を生成する。音声信号はスイッチSW3Aの接点gから接点hを経由して、移動局車上装置10Aの通話送信器13Aに含まれる音声変調回路に入力される。音声変調回路は、音声信号を誘導無線周波数f2(例えば180kHz)を有する信号(信号S2)に変調する。
【0047】
信号S2は、送信アンテナ14Aから送信され、電磁誘導によって誘導線3に受信される。その後、信号S2は、誘導線路を通じて基地局2にて音声信号に復調され、運転指令所1に伝達され、この音声信号に応じた音声が運転指令所1にて出力される。このようにして、運転指令所1の指令員を音声で呼び出すことができる。このとき、運転指令所1において、音声信号の到着に応じてブザー音又は所定の表示が行われるように構成し、ブザー音や所定表示による報知によって運転指令所1を呼び出すこともできる。
【0048】
音声等によって呼び出された運転指令所1から列車へ音声が伝達される場合には、運転指令所1で発せられた音声は、基地局2にて信号S1に変調された後、誘導線3に送出される。誘導線3を伝送される信号S1は、先頭車両Aの受信アンテナ15Aで受信され、通話受信器17Aにて音声信号に復調され、復調された音声信号に応じた音声がスピーカ20Aから出力される。
【0049】
また、誘導線3を伝送される信号S1(第1の無線信号)は、電磁誘導によって直接に携帯無線機40Aの受信アンテナ44に受信され、受信器45に入力される。受信器45では、信号S1の搬送波が整流され、整流された信号が、図示しない送信可能ランプ(報知
部に相当)の点灯色を変更する(例えば、赤色から緑色に変化させる。これによって、携帯無線機40Aを所持する乗務員は、運転指令所1と携帯無線機40Aとの回線接続が完了したことを知ることができる。
【0050】
ところで、先頭車両Cの移動局車上装置10Bの受信回路は、車両元スイッチ投入と同
時に動作状態となる。このため、移動局車上装置10Bの受信アンテナ15Bは、誘導線3から運転指令所1からの音声(信号S1)を受信することができ、受信された信号S1は通話受信器17Bで音声信号に復調され、対応する音声がスピーカ20Bから出力される。これによって、運転指令所1から携帯電話機40Aに指示又は連絡を行っている音声は、移動局車上装置10Bのスピーカ20Bを通じてモニタすることができる。
【0051】
ここで、携帯無線機40Aの送信スイッチ(図示せず)を押してから所定時間(例えば約
10秒)内に送信可能ランプの点灯色を変化させることによって、携帯無線機40Aが移
動局車上装置10Aを介して運転指令所1と回線接続が完了したことを知らせる方法として、音声帯域内信号である押しボタンダイヤル電話機等に適用されるDTMF(Dial Tone
Multi Frequency)信号の、シングルトーン又はデュアルトーンや、トーン信号を使用す
ることができる。
【0052】
DTMF信号が使用される場合、DTMF信号は、使用帯域が通話音声と重複するため、音声通話に支障を来さないように、例えば、次のような構成が適用される。携帯無線機40Aの送信スイッチが投入されると、携帯無線機40Aは、トーン信号又はDTMF信号を間隔断続信号音(例えば、1秒から3秒程度の発信音を約5秒から10秒間隔ごとに
発信)として、送信する。間隔断続信号音としてのトーン信号又はDTMF信号は、SR
受信装置30A,移動局車上装置10A,誘導線路,及び基地局2を介して運転指令所1に伝達される。
【0053】
運転指令所1では、携帯無線機40Aからの間隔断続信号音がBPF(バンドパスフィ
ルタ)により取り出された後、ソフトウェア又はハードウェア処理を通じて、指令員に対
する断続又は連続の呼び出し音出力や、呼び出し表示などが行われる。また、運転指令所1では、携帯無線機40Aからの間隔断続信号音がBPFにより取り出された後に、同じ間隔断続信号音が、基地局2を介して携帯無線機40Aに送り返される。携帯無線機40Aでは、運転指令所1から送り返された間隔断続信号音の受信を契機として、送信可能ランプの表示制御(回線接続完了を示す点灯表示)を行う。
【0054】
なお、運転指令所1から携帯無線機40Aへ送信される間隔断続信号音(トーン信号又
はDTMF信号)、即ち回線接続完了を知らせる折り返し信号を、携帯無線機40Aから
の間隔断続信号音とは異なる第2の間隔断続信号音としても良い。或いは、携帯無線機40からの間隔断続信号音を、運転指令所1ではなく基地局2で折り返すように構成することもできる。
【0055】
なお、携帯無線機40Aからの間隔断続信号音又は連続信号音並びに指令所1又は基地局2から携帯無線機40Aに折り返される間隔断続信号音又は連続信号音は、通話音声の邪魔にならないように、通話音声レベルより、例えば6dB〜20dBの範囲でレベルを下げることが望ましい。
【0056】
図2には、図1に示した通信システムにおいて、列車に何らかの不具合が発生し、例えば先頭車両Aの運転士が列車を停車させた後、携帯電話機40Aを所持して車外に出て、先頭車両AのSR受信装置30Aを経由して、運転指令所1と連絡通話を行っている際、何らかの都合により先頭車両Aから先頭車両C側に移動したときに、携帯電話機40Aからの信号S4をSR受信装置30Aが受信できず、先頭車両CのSR受信装置30Bを経由して、運転指令所1と連絡する場合が示されている。なお、図2は、SR受信装置30Aから携帯無線機40Aが取り外され、SR受信装置30AのスイッチSW3Aが動作状態になった状態(第2の状態)を示している。
【0057】
図2において、携帯無線機40Aが先頭車両AのSR受信装置30Aから取り外される
ことにより、携帯無線機40Aの受信回路(受信器45A)の電源が自動的にオンとなり、待機状態になる。また、SR受信装置30AのスイッチSW3が作動して接点eが閉じて先頭車両Aの通話送信器13Aの電源供給準備を行い(接点aは開いている)、接点fを介してSR受信装置30Aが乗務員間連絡音声回線(先頭車両Aでは音声受話回線)104に接続される。
【0058】
この状態で、乗務員が携帯無線機40Aを所持して先頭車両C付近(SR受信装置30
Aの通信エリア外)に移動する。すると、SR受信アンテナ31Aで携帯無線機40Aか
らの信号S4が受信されない(受信レベルが所定値以下に低下する)状態となり、リレー33Aが停止して、接点hの切替(接点f側を選択)が行われるとともに、接点mが開いて通話送信器13Aに電源が供給されない状態(未起動状態)となる。
【0059】
SR受信装置30Bの通信エリア内において、図示されない携帯無線機40Aの送信スイッチを押し、マイクロホン41へ向けて音声が発せられると、SR送信部42から音声信号が変調された空間波無線周波数f4の信号S4がSR送信アンテナ43から発せられる。
【0060】
携帯無線機40Aから発せられた信号S4は、先頭車両CのSR受信装置30BのSR受信アンテナ31Bで受信される。SR受信アンテナ31Bで受信された信号S4は、SR受信器32Bに入力される。SR受信器32Bは、信号S4を増幅した後、音声信号への復調を行う。音声信号は、スイッチSW3Bの接点g’を経て音声回線104に接続される。スイッチSW3Bは、携帯無線機40Bが収容位置に装着された第1の状態においては、接点e’が開となり、接点f’がSR受信装置30Bと音声回線103との間を開放(切断)し、且つ接点g’がSR受信装置30Bと音声回線104との間を接続する状態となっている。
【0061】
音声回線104に接続された携帯無線機40Aからの音声信号は、先頭車両AのSR受信装置30AのスイッチSW3Aの接点fを経た後、2方向に分割される。即ち、接点fの後段には、音声信号が通話送信器13Aに接続される第1の経路と、信号受信器37A側に接続される第2の経路とに分流される分流部が設けられている。第2の経路へ分流した一方の音声信号は、レベル調整器(可変抵抗減衰器)35Aを通じて信号受信器37Aに入力される。信号受信器37Aに入力された音声信号は、増幅された後、ダイオード38A(整流器)で整流され、時素リレー39A(リレー)を動作させて、リレー接点uを閉じる。これにより、接点e及び接点uを経て移動局車上装置10Aの通話送信器13Aに電源が供給される(通話送信器13Aが起動状態になる)。
【0062】
接点fを経た後に、第1の経路へ分流される他方の音声信号は、入力音声信号レベル調整器(可変抵抗減衰器)36を通過し、スイッチSW4Aの接点h(レベル調整器36側を
選択している)を通って先頭車両Aの通話送信器13Aの音声変調回路に入力される。
【0063】
通話送信器13Aの音声変調回路に入力された、先頭車両C側から転送されてきた携帯無線機40Aの音声は、信号S2に変調され、送信アンテナ14Aから誘導線3に送信される。誘導線3で受信された信号S2は、誘導線路を通じて基地局2にて音声信号に復調され、この音声信号が運転指令所1に伝達される。この音声信号を用いて、運転指令所1の指令員を音声,ブザー音及び所定表示の少なくとも1つによって呼び出すことができる。
【0064】
一方、運転指令所1の指令員が呼び出しに応じて列車へ音声を伝達する場合、運転指令所1で発せられた音声信号は、基地局2にて信号S1に変調された後、誘導線路を通じて受信アンテナ15Aで受信され、通話受信器17Aにて音声信号に復調され、この音声信
号に応じた音声がスピーカ20Aから出力される。このとき、誘導線路上の信号S1は、受信アンテナ15Bでも受信され、通話受信器17Bで音声信号に復調され、復調された音声信号に応じた音声がスピーカ20Bからも出力される。
【0065】
さらに、誘導線路上の信号S1は、携帯無線機40Aの受信アンテナ44でも受信され、受信器45にて搬送波が整流され、整流された信号が送信可能ランプの点灯色を変化させる(例えば赤色から緑色)。これによって、運転指令所1と携帯無線機40Aとの間の音声送受信回線が接続されたことが乗務員に知らされる。また、受信器45において、信号S1は音声信号に復調され、スピーカ46から出力される。このようにして、携帯無線機40Aと運転指令所1とは、相互に音声を送受信することができる。
【0066】
第1実施形態によれば、携帯無線機40AがSR受信装置30Bの通信エリア内で使用される場合、携帯無線機40Aからの音声は、音声回線104を介してSR受信装置30BからSR受信装置30Aに伝達され、SR受信装置30Aが通話送信器13Aを起動状態にして当該音声を接続する。これによって、携帯無線機40Aからの音声は、携帯無線機40AがSR受信装置30A及び30Bの通信エリアのいずれにあっても、移動局車上装置10Aを用いて送信される。即ち、通話送信器13A及び13Bの双方がオン状態(
起動状態)になることがない。従って、通話送信器13A及び13Bのそれぞれから並列
に信号S2が送信されないので、基地局2側でビートが発生するのを防止することができる。
【0067】
また、送話可能ランプの表示態様が、携帯無線機と運転指令所との回線接続の完了の前後で変化することにより、乗務員が運転指令所との通話可能状態を送話可能ランプの視認により確認することができる。
【0068】
また、回線接続確認にDTMF信号を用いることにより、乗務員が送話を行わない場合でも、回線接続を行うことができる。
【0069】
〔第2実施形態〕
図3は、本発明の第2実施形態による通信システムの構成例が示されている。図3には、先頭車両Aで移動局車上装置10Aから非常発報を行い、そのままの状態で乗務員が携帯無線機40Aを取り外し、先頭車両Cの移動局車上装置10Bの通話送信器13Bを使用して、携帯無線機40Aと運転指令所1とで相互通話を行う場合が示されている。
【0070】
具体的には、列車に何らかの異常事態が発生し、例えば先頭車両Aの運転士が列車を停車させて移動局車上装置10Aの非常発報釦22Aを操作し、非常発報信号の変調信号(
例えば、143kHzの誘導無線周波数を有する信号(信号S3))を発報したまま、携帯
電話機40Aを所持して車外に出た場合に、トーン信号による送信制御信号を送信制御装置60Aから乗務員間連絡音声回線103を経由して先頭車両Cに送り、移動局車上装置10Bの通話送信器13Bを動作させて、運転指令所1と携帯無線機40Aとで連絡通話を行う場合が示されている。
【0071】
図3における通信システムは、図1に示した構成に加えて、音声回線104に接続された送信制御装置60Aと、音声回線103に接続された送信制御装置60Bとを含んでいる。また、図3において、移動局車上装置10A(10B)には、非常発報に係る構成が付加されている。また、移動局車上装置10A(10B)及びSR受信装置30A(30B)には、音声信号の伝達経路生成に係る構成が付加されている。図3に示す通信システムにおいても、各先頭車両A及びCに搭載された移動局車上装置,SR受信装置,携帯無線機,乗務員間連絡装置,及び送信制御装置は、それぞれ同じ構成を有している。
【0072】
送信制御装置60A及び60Bは、制御手段を構成し、送信制御装置60A(60B)における信号発生器61,62,及び接点o,p,q,s,tは、制御信号送信部を構成し、HPF63,LPF64,BPF65及び67,並びに信号受信器66及び68は、制御信号受信部を構成する。
【0073】
先頭車両Aの非常発報釦22Aが押されると、スイッチSW2Aがオン(閉)状態となり、非常送信器23Aから非常発報信号(例えば802.5Hz)が変調された信号S3が出力される。スイッチSW2Aがオンになると、スイッチSW1Aが作動し、接点eが通話送信器13A側ではなく非常送信器23Aを選択する状態になる。これによって、信号S3が送信アンテナ14Aから対向する列車及び基地局2に対して送出される。
【0074】
また、スイッチSW1Aの作動によって、接点cがオフ(開)状態となり、接点dがスピーカ21A側ではなくスピーカ20A側を選択する状態となる。これによって、マイクロホン12Aとスピーカ21Aとを有する音声連絡用の送受話器11Aが使用不可の状態となる。
【0075】
さらに、スイッチSW1Aが作動すると、スイッチSW6A(非常リレー)が動作して接点erをオフ(開)状態にし、通話送信器13Aの電源供給回路をオフ状態にする。また、スイッチSW6Aの作動によって、接点bが、通話送信器13A側(図3の上側)ではなく、SR受信器30A側(乗務員間連絡装置側:図3の下側)を選択する状態となる。
【0076】
この状態で、先頭車両AのSR受信装置30Aから携帯無線機40Aを取り外し(携帯
無線機40Aを第1の状態から第2の状態にし)て、携帯無線機40Aの送信スイッチ(図示せず)を押し、マイクロホン41から音声を発すると、SR送信部42から音声信号が
変調された空間波無線周波数f4の信号S4が、SR送信アンテナ43から発せられる。
【0077】
携帯無線機40AがSR受信装置30Aの通信エリアに存する場合、信号S4は、先頭車両AのSR受信アンテナ31Aで受信される。信号S4は、SR受信器32Aに入力され、増幅された後、2方向に分割される。一方は、SQ信号として取り出され、ダイオード34Aで整流され、リレー33Aを動作させてスイッチSW4Aの接点hをオン(閉)状態にする。他方は、SR受信器32Aで音声信号に復調され、音声信号はスイッチSW3Aの接点g(携帯無線機40Aの取り外しによって接点h側を選択している)から接点hを経由して、移動局車上装置10Aの接点bを通って乗務員間連絡装置50Aの音声入力回路Mに入力される。
【0078】
一方、先頭車両Aで、移動局車上装置10Aの非常発報が動作したことで動作する(例
えば、スイッチSW2Aのオンに連動してオンになる)送信制御装置60Aの接点pと、
SR受信器32Aによる信号S4の受信により作動するリレー33Aの作動によりオンとなる接点qとのオン(閉)により、信号発生器61Aから、通話送信制御用のトーン信号OSC1(第1の制御信号:例えば、音声帯域外信号の173.8Hz)が発せられ、乗務員間連絡装置50Aの音声入力回路MにSR受信器32Aからの音声とともに入力される。
【0079】
音声入力回路Mに入力された携帯無線機40Aからの音声信号と、信号発生器61Aから入力されたトーン信号OSC1とは、増幅器53Aで増幅された後、音声回線103を経由して、先頭車両Cの送信制御装置60Bに伝達される。トーン信号OSC1は、LPF(ローパスフィルタ)64B及びBPF65B(BPF1:通過周波数173.8Hz)を通過し、信号受信器66B(REC1)を動作させ、図示されない通話送信回路をオンとする。これと同時に、信号受信器66Bは、SR受信装置30B内の接点n’をオン(閉)にして、先頭車両Cの移動局車上装置10Bの通話送信器13Bに電源を供給し、動作状態にする。
【0080】
一方、先頭車両Cの送信制御装置60Bに入力された携帯無線機40Aからの音声信号は、HPF(ハイパスフィルタ)63Bを通過し、信号受信器66Bの作動によりオンとなった接点u’とスイッチSW3Bの接点f’(スイッチSW3Bの非作動時(携帯無線機40B装着時)には、接点u’側を選択している)を通過し、非常発報回路のバック接点b’(スイッチSW6Bの非作動により通話送信器13B側を選択している)を経て移動局車上装置10Bの通話送信器13Bに含まれる音声入力回路に接続される。
【0081】
通話送信器13Bは、音声信号を変調した信号S2を生成し、出力する。信号S2は、接点e’(非常発報釦22Bが押されていないので、通話送信器13B側を選択している)を介して送信アンテナ14Bから誘導線路へ放射される。
【0082】
以上の構成により、先頭車両Aで非常発報が行われている際に、SR受信装置30Aの通信エリア内で携帯無線機40Aを用いて運転指令所1と通話する場合は、先頭車両Aにおいて、SR受信装置30Aで受信される携帯無線機40Aからの音声を音声回線103へ接続する経路が形成され、当該音声は、音声回線103を通って先頭車両C側へ伝送される。このとき、先頭車両Aの送信制御装置60Aが、第1の制御信号たるトーン信号OSC1を生成し、トーン信号OSC1が音声回線103を通じて先頭車両C側へ伝送される。
【0083】
先頭車両C側では、トーン信号OSC1に従って、信号受信器66Bが、音声回線103を伝送されてくる音声信号を移動局車上装置10Bの通話送信器13Bに接続する経路を生成するともに、通話送信器13Bに電源を供給して動作状態とする。これによって、携帯無線機40Aからの音声を、音声回線103及び移動局車上装置10Bを経由して、運転指令所1へ伝送することができる。一方、携帯無線機40Aは、運転指令所1からの音声を誘導線路から直接受信することができる。従って、携帯無線機40Aと運転指令所1との間で相互通話を行うことができる。
【0084】
また、先頭車両Aにて、非常発報(列車防護発報)を行い、かつ先頭車両Aの乗務員が携帯無線機40Aを所持して先頭車両C付近(SR受信装置30Aの通信エリア外)に移動して運転指令所1と連絡通話を行う場合がある。或いは、先頭車両Aの乗務員が非常発報を行うことなく携帯無線機40Aを所持して先頭車両C付近に移動し、運転指令所1と連絡通話を行う場合などがある。これらの場合において、先頭車両AのSR受信装置30Aが携帯無線機40Aからの信号を受信できない場合には、先頭車両AのSR受信装置30Aから、携帯無線機40Aからの信号を受信できないことをSR受信装置30Bに知らせる。
【0085】
第2の制御信号(トーン信号OSC2)として、第1の制御信号(トーン信号OSC1)と異なる70〜250Hzの1波を使用し、音声回線103を介して先頭車両CのSR受信装置30Bに携帯無線機40Aの移動を知らせて、SR受信装置30Bを動作状態(SR
受信可能状態)にし、SR受信装置32Bで受信される携帯無線機40Aからの音声を、
直接、移動局車上装置10Bの通話受信器13Bに入力して、携帯無線機40Aと運転指令所1とで相互通話を行うようにすることができる。
【0086】
即ち、図3において、乗務員が、先頭車両AのSR受信装置30Aから、携帯無線機40Aを取り外し、携帯無線機40Aを所持して先頭車両C付近(SR受信装置30Aの通
信エリア外)へ移動すると、SR受信装置30Aは、携帯無線機40Aからの信号S4を
受信できなくなり、リレー33Aへの信号供給が停止される(スケルチレベルが低下する)。すると、リレー33Aの作動時にオフとなる送信制御装置60Aの接点sがオン(閉)状態となる。即ち、接点sは携帯無線機40Aからの受信レベルが所定値以下になるとオン
となる。一方、接点sに接続された接点tは、携帯無線機40Aの取り外しに伴うスイッチSW3Aの作動により(携帯無線機40Aの取り外しを条件として)、オン(閉)状態となっている。
【0087】
これによって、信号発生器62Bから出力される、トーン信号OSC1と異なるトーン信号OSC2(例えば70〜250Hzの1波)が、接点s及び接点tを経て、音声入力回路Mに接続され、増幅器53Aで増幅された後、音声回線103へ送出され、先頭車両C側へ伝送される。
【0088】
トーン信号OSC2は、先頭車両Cの送信制御装置60BのLPF64B,及びBPF67B(BPF2)を通過し、信号受信器68B(REC2)を作動させる。信号受信器68Bは、接点v’をオン(閉)状態にするとともに、接点j’をオン(閉)状態にする。なお、接点i’は、携帯無線機40Bの装着状態では、接点m’ではなく接点j’側を選択した状態となっている。
【0089】
このような状態で、携帯無線機40Aからの信号S4が、先頭車両CのSR受信器32BのSR受信アンテナ31Bで受信されると、信号S4は、SR受信器32Bに入力される。すると、SR受信器32BからSQ信号がリレー33Bに対して供給され、リレー33Bが接点h’及びk’をオンにする。これによって、電源が、接点er’,接点i’,接点j’及び接点k’を経由して移動局車上装置10Bの通話送信器13Bに供給され、通話送信器13Bが動作状態となる。
【0090】
一方、SR受信器32Bからは信号S4が復調された音声信号が出力され、音声信号は、オン状態の接点v’及びh’を通過し、接点b’を経て通話送信器13Bに入力される。通話送信器13Bは、音声信号を復調した信号S2を出力し、信号S2は、接点e’を介して送信アンテナ14Bから誘導線路へ放射され、運転指令所1へ向けて伝送される。このような構成によって、携帯無線機40Aからの通話音声は、先頭車両CのSR受信装置30Bと移動局車上装置10Bを経由して、運転指令所1に接続され、携帯無線機40Aと運転指令所1とで直接、相互に連絡通話を行うことができる。
【0091】
なお、図3では、送信制御装置60A(60B)は、SR受信装置30A(30B)や乗務員間連絡装置50A(50B)から独立した装置として構成したが、送信制御装置60A(
60B)の構成要素は、SR受信装置30A(30B)及び/又は乗務員間連絡装置50A(50B)内に組み込まれても良い。
【0092】
第2実施形態によれば、移動局車上装置10Aが非常発報を発して携帯無線機40Aからの音声を運転指令所1へ伝達できない状態において、SR受信装置30Aが、当該音声を音声回線103に接続し、当該音声を送信制御装置60Bに伝達する。一方、送信制御装置60Aの信号発生器61Aからの第1の制御信号(トーン信号OSC1)が音声回線103に接続され、音声信号と重畳されて送信制御装置60Bに伝達される。
【0093】
送信制御装置60Bでは、HPF及びLPFからなる分離部が、重畳信号を音声信号と第1の制御信号とに分離し、分離された音声信号はSR受信装置30Bに接続される。一方、分離された第1の制御信号は、BPF1及びBPF2からなる制御信号の抽出部にて信号受信器66Bに接続される。信号受信器66Bは、SR受信装置30B内に音声信号の通話送信器13Bへの伝達経路が形成されるように、SR受信装置30B内の回路接点(接点u’)を切り替える(オンにする)。また、接点n’を閉じて、車両電源からの電源(
電力)を通話送信器13Bに接続し、通話送信器13Bを起動させる。これによって、携
帯無線機40Aからの音声を、SR受信装置30B及び移動局車上装置10Bを介して運転指令所1へ送信することができる。
【0094】
また、SR受信装置30Aにて携帯無線機40Aからの信号の受信レベルが所定値以下になった場合に、第2の制御信号(トーン信号OSC2)が音声回線103を通じて信号受信器68Bに伝達される。これによって、信号受信器68Bは、SR受信装置30B内の回路接点の切替動作(接点v’のオン)を行い、SR受信装置30Bで受信される携帯無線機40Aからの音声が通話送信器13Bに接続される状態にするとともに、接点j’を閉じて通話送信器13Bに電源を供給する(起動状態にする)。これによって、携帯無線機40AがSR受信装置30Aの通信エリアを離れてSR受信装置30Bの通信エリアに位置する場合においても、SR受信装置30B及び移動局車上装置10Bを通じて音声を運転指令所1へ送信することができる。
【0095】
〔変形例〕
また、図1及び図2に示す通信システムの構成において、先頭車両Aの乗務員(運転士)が携帯無線機40Aを使用し、運転指令所1と通話連絡を行っているとき(図2参照)、先頭車両Cに乗務する乗務員(車掌)が、先頭車両Cの乗務員間連絡装置50Bの送受話器51Bの送話スイッチ(図示せず)を押し、マイクロホン52Bへ向けて発せられた音声が増幅器53Bで増幅された後、音声回線104を通り、先頭車両AのSR受信装置30Aと移動局車上装置10Aとを経由して、運転指令所1に伝達されるようにし、運転指令所1からの音声は、先頭車両Cの移動局車上装置10Bのスピーカ20Bで聞くことで、携帯無線機40Aと乗務員間連絡装置50Bの送受話器51Bと運転指令所1との間で三者間通話ができるように構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明による通信システムの第1実施形態の構成例を示す図である。
【図2】本発明による通信システムの第1実施形態の構成例を示す図であって、前部先頭車両側のSR受信装置から取り外された携帯無線機を後部先頭車両側のSR受信装置の通信エリア内で使用する場合の動作例を示す。
【図3】本発明による通信システムの第2実施形態の構成例を示す図である。
【図4】従来技術の説明図である。
【符号の説明】
【0097】
1・・・運転指令所
2・・・基地局
10A,10B・・・移動局車上装置
30A,30B・・・空間波受信装置
40A,40B・・・携帯無線機
50A,50B・・・乗務員間連絡装置
60A,60B・・・送信制御装置
103,104・・・乗務員間連絡音声回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両に搭載される通信システムであって、
地上に設置された誘導線路及び基地局を介して運転指令所と通信する送信器及び受信器をそれぞれ有する第1及び第2の移動局車上装置と、
前記第1及び第2の移動局車上装置に対応づけて用意され、対応する移動局車上装置の送信器のオン/オフ制御,及び受信された空間波周波数帯の無線信号を復調した音声信号の前記対応する送信器への接続制御をそれぞれ行う第1及び第2の空間波受信装置と、
前記第1及び第2の空間波受信装置毎に用意され、所定の収容位置に対して着脱自在に構成され、前記誘導線路からの誘導無線帯の周波数を有する第1の無線信号を受信する誘導無線受信器と、入力された音声信号が変調された空間波無線帯の周波数を有する第2の無線信号を送信する空間波送信器とを含む携帯無線機と、を含み、
前記第1及び第2の空間波受信装置は、自装置に対応する携帯無線機の装着時において、携帯無線機からの第2の無線信号を受信可能であるが、前記対応する送信器をオンにしない第1の状態となり、前記対応する携帯無線機の取り外し時において、携帯無線機から第2の無線信号を受信したときに、前記対応する送信器をオンにするとともに、当該第2の無線信号から復調した音声信号を前記対応する送信器に接続する第2の状態となり、
前記第1及び第2の移動局車上装置の送信器が未起動状態であり、前記第1の空間波受信装置が第2の状態であり、且つ前記第2の空間波受信装置が第1の状態である場合において、前記第2の空間波受信装置が前記携帯無線機からの前記第2の無線信号を受信したときには、前記第2の空間波受信装置は、その第2の無線信号を所定の周波数を有する音声信号に復調し、前記鉄道車両内に設けられた音声回線を通じて前記第1の空間波受信装置に伝達し、
前記第1の空間波受信装置は、前記第2の状態において前記音声回線から音声信号を受信したときに、この音声信号を用いて前記第1の移動局車上装置の送信器をオンにするとともに当該音声信号を当該送信器に接続し、
前記第1の移動局車上装置の送信器は、前記第1の空間波受信装置から受信される音声信号を誘導無線周波数帯の無線信号に変換し、前記運転指令所へ向けて送信する
通信システム。
【請求項2】
前記携帯無線機の前記誘導無線受信器は、前記収容位置から取り外されたときに、前記誘導線路からの第1の信号の受信待機状態となる
請求項1記載の通信システム。
【請求項3】
前記携帯無線機は、音声を前記第1の移動局車上装置を介して前記運転指令所へ送るための送信スイッチと、
前記運転指令所と自身との間の回線接続状態を示す報知部とを有する
請求項1又は2記載の通信システム。
【請求項4】
前記携帯無線機は、前記運転指令所との回線接続時に、トーン信号又はDTMF信号を前記運転指令所との間でやりとりする
請求項1〜3のいずれかに記載の通信システム。
【請求項5】
前記携帯無線機は、トーン信号又はDTMF信号を所定間隔で断続的に発信される間隔断続信号音として発信し、その後、前記運転指令所を折り返して送り返されて来る間隔断続信号音を受信したときに、前記報知部を回線接続完了状態にする
請求項4記載の通信システム。
【請求項6】
前記携帯無線機は、自身が発信するトーン信号又はDTMF信号と異なる前記運転指令所からのトーン信号又はDTMF信号を受信したときに、前記報知部を回線接続状態にす

請求項4記載の通信システム。
【請求項7】
前記第1の空間波受信装置は、前記音声回線から受信される音声信号を、前記第1の移動局車上装置の送信器に接続する第1の経路と、第2の経路とに分流させる分流部を有し、
前記第2の経路上には、前記音声信号を整流する整流器と、整流された信号により作動し、前記第1の移動局車上装置の送信器に対する電源供給をオン/オフするスイッチとが設けられている
請求項1〜6のいずれかに記載の通信システム。
【請求項8】
鉄道車両に搭載される通信システムであって、
地上に設置された誘導線路及び基地局を介して運転指令所と通信する送信器及び受信器をそれぞれ有する第1及び第2の移動局車上装置と、
前記第1及び第2の移動局車上装置に対応づけて用意され、対応する移動局車上装置の送信器のオン/オフ制御,及び受信された空間波周波数帯の無線信号を復調した音声信号の前記対応する送信器への接続制御をそれぞれ行う第1及び第2の空間波受信装置と、
前記第1及び第2の空間波受信装置毎に用意され、所定の収容位置に対して着脱自在に構成され、前記誘導線路からの誘導無線帯の周波数を有する第1の無線信号を受信する誘導無線受信器と、入力された音声信号が変調された空間波無線帯の周波数を有する第2の無線信号を送信する空間波送信器とを含む携帯無線機と、
前記第1の移動局車上装置が非常発報に使用され、携帯無線機からの音声を前記第1の移動局車上装置を介して運転指令所へ送信できない場合に、当該音声を前記第2の空間波受信器及び前記第2の移動局車上装置を用いて送信する制御を行う制御手段と、を含み、
前記第1及び第2の空間波受信装置は、自装置に対応する携帯無線機の装着時において、携帯無線機からの第2の無線信号を受信可能ではあるが、前記対応する送信器をオンにしない第1の状態となり、前記対応する携帯無線機の取り外し時において、対応する移動局車上装置が非常発報に使用されておらず、且つ携帯無線機から第2の無線信号が受信されたときには、前記対応する送信器をオンにするとともに、当該第2の無線信号から復調された音声信号を前記対応する送信器に接続する第2の状態となり、
前記第1の空間波受信装置が第2の状態であり、前記第2の空間波受信装置が第1の状態である場合において、前記第1の移動局車上装置が非常発報に使用されているときには、前記第1の空間波受信装置が携帯無線機から受信する第2の無線信号から復調された音声信号が前記鉄道車両に設けられた音声回線に接続され、前記第2の空間波受信装置が前記音声回線から当該音声信号を受信し、
前記制御手段は、前記第2の空間波受信装置が音声回線から当該音声信号を受信する場合に、当該音声信号が前記第2の空間波受信装置を通って前記第2の移動局車上装置の送信器に入力される伝達経路を生成するとともに、当該送信器をオンにし、
前記制御手段によって起動した送信器が、前記伝達経路を通って入力される音声信号を誘導無線周波数帯の無線信号に変換し、前記運転指令所へ向けて送信する
通信システム。
【請求項9】
前記制御手段は、前記第1の空間波受信装置で受信される前記携帯無線機からの音声が前記音声回線に接続される場合に、制御信号を前記音声回線に接続する制御信号送信部と、前記音声回線を介して受信される制御信号に基づいて、前記第2の空間波受信装置内で前記伝達経路が形成されるように、前記第2の空間波受信装置に設けられた少なくとも一つの回路接点の切替制御を行う制御信号受信部とを含む
請求項8記載の通信システム。
【請求項10】
前記制御手段は、前記第2の状態における第1の空間波受信装置において、携帯無線機
からの第2の無線信号の受信レベルが所定値以下になったときに、前記第1の状態にある前記第2の空間波受信装置を、携帯無線機からの第2の無線信号を受信したときにこの第2の無線信号から復調された音声信号が前記第2の移動局車上装置の送信器に入力される状態とするとともに、当該送信器をオンにする
請求項8又は9記載の通信システム。
【請求項11】
前記制御手段は、前記第1の空間波受信装置で受信される第2の無線信号の受信レベルが所定値以下になったときに、制御信号を前記音声回線に接続する制御信号送信部と、前記音声回線を介して受信される制御信号に基づいて、前記第2の空間波受信装置内で携帯無線機からの第2の無線信号から復調された音声信号が前記送信器に入力されるように、前記第2の空間波受信装置に設けられた少なくとも一つの回路接点の切替制御を行う制御信号受信部とを含む
請求項10記載の通信システム。
【請求項12】
前記第2の空間波受信装置から音声回線を通じて前記携帯無線機からの音声信号が前記第1の空間波受信装置へ送信されている場合に、前記鉄道車両に設けられた乗務員間連絡装置に入力された音声が、前記音声回線に接続される
請求項1〜7のいずれかに記載の通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−135003(P2007−135003A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−326578(P2005−326578)
【出願日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(592245627)京浜急行電鉄株式会社 (6)
【出願人】(592066860)八幡電気産業株式会社 (15)
【Fターム(参考)】