説明

銅張積層板及びその製造方法

【課題】ポリイミド樹脂層と、前記ポリイミド樹脂層の少なくとも片面に積層された表面処理銅箔とを備える銅張積層板において、クロムフリーでありながら十分な防錆性を有する表面処理層を備えており、しかもポリイミド樹脂層と表面処理銅箔との間の接着強度が十分に高い銅張積層板を提供すること。
【解決手段】ポリイミド樹脂層と、前記ポリイミド樹脂層の少なくとも片面に積層された表面処理銅箔とを備える銅張積層板であって、
前記表面処理銅箔が、母材銅箔と、前記母材銅箔における前記ポリイミド樹脂層の形成面側に形成され、ニッケル−亜鉛合金及びケイ素を含有する表面処理層とを備えており、前記表面処理層中におけるニッケル含有量が0.1mg/dm以上であり、亜鉛含有量が0.05mg/dm以上であり、ニッケル及び亜鉛の含有量の合計に対するニッケル含有量の比率が50〜90質量%の範囲にあり、且つ、ケイ素含有量が、グロー放電発光分光測定法によるケイ素のピーク強度がニッケルのピーク強度に対して50%以上となる量であることを特徴とする銅張積層板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銅張積層板及びその製造方法に関し、より詳しくは、前記銅張積層板に使用される銅箔がクロムやクロメートを含まないクロムフリーの表面処理層を備える銅張積層板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
銅張積層板に用いられる銅箔においては、銅張積層板としての電気特性、エッチング特性、耐熱性、耐薬品性といった諸特性を満足させるという観点から、銅箔表面の防錆性や、銅箔とポリイミド樹脂等の絶縁樹脂層との間の接着強度が要求されている。そのため、製箔後の銅箔の表面上に粗化処理を施し、更に粗化処理が施された表面上に亜鉛めっきやニッケルめっきを施し、更には亜鉛めっきやニッケルめっきが施された表面上に耐薬品性と防錆のための防錆処理層としてクロメート処理を施すといった方法が採用されていた。しかしながら、このような防錆処理層として施されるクロメート皮膜は、一般的に電解クロメートにより形成され、処理液中には公害規制物質である六価クロムが含まれているために、使用の制限がされるようになった。
【0003】
そこで、クロメート処理以外の表面処理方法の検討がなされており、例えば、特開2005−353918号公報(特許文献1)には、粗化処理面を有する銅箔に、バリヤー層としてのニッケル層、耐熱層としての亜鉛層、防錆処理層としてのモリブデン化合物層、及びシランカップリング処理層を順に施してなるプリント配線板用の表面処理銅箔が開示されている。また、特開2007−009261号公報(特許文献2)には、セリウム化合物皮膜からなる防錆処理層が形成されているプリント配線板用の表面処理銅箔が開示されている。さらに、特開2008−111169号公報(特許文献3)には、防錆処理層としてニッケル合金層及びスズ層とシランカップリング処理層とを備える表面処理銅箔が開示されている。しかしながら、前記特許文献1〜3に記載されているような表面処理銅箔においては、モリブデン、セリウムやスズといった特殊な金属層を設けることを必要とし、また様々な機能を有する層を複数形成する必要があるため、表面処理層の形成工程が煩雑となるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−353918号公報
【特許文献2】特開2007−009261号公報
【特許文献3】特開2008−111169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、ポリイミド樹脂層と、前記ポリイミド樹脂層の少なくとも片面に積層された表面処理銅箔とを備える銅張積層板において、クロムフリーでありながら十分な防錆性を有する表面処理層を備えており、しかもポリイミド樹脂層と表面処理銅箔との間の接着強度が十分に高い銅張積層板、並びにその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリイミド樹脂層と、前記ポリイミド樹脂層の少なくとも片面に積層された表面処理銅箔とを備える銅張積層板において、前記表面処理銅箔として特定のニッケル−亜鉛合金及び特定量以上のケイ素を含有する表面処理層が形成されたものを用いることにより、クロムフリーでありながら十分な防錆性を有する表面処理層を備えており、しかもポリイミド樹脂層と表面処理銅箔との間の接着強度が十分に高い銅張積層板を得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の銅張積層板は、ポリイミド樹脂層と、前記ポリイミド樹脂層の少なくとも片面に積層された表面処理銅箔とを備える銅張積層板であって、
前記表面処理銅箔が、母材銅箔と、前記母材銅箔における前記ポリイミド樹脂層の形成面側に形成され、ニッケル−亜鉛合金及びケイ素を含有する表面処理層とを備えており、前記表面処理層中におけるニッケル含有量が0.1mg/dm以上であり、亜鉛含有量が0.05mg/dm以上であり、ニッケル及び亜鉛の含有量の合計に対するニッケル含有量の比率が50〜90質量%の範囲にあり、且つ、ケイ素含有量が、グロー放電発光分光測定法によるケイ素のピーク強度がニッケルのピーク強度に対して50%以上となる量であることを特徴とするものである。
【0008】
本発明の銅張積層板の製造方法は、表面処理銅箔の表面にポリアミド酸の樹脂溶液を塗布し、熱処理して、ポリイミド樹脂層を形成させてなる銅張積層板の製造方法であって、
前記表面処理銅箔が、母材銅箔と、前記母材銅箔における前記ポリイミド樹脂層の形成面側に形成され、ニッケル−亜鉛合金及びケイ素を含有する表面処理層とを備えており、前記表面処理層中におけるニッケル含有量が0.1mg/dm以上であり、亜鉛含有量が0.05mg/dm以上であり、ニッケル及び亜鉛の含有量の合計に対するニッケル含有量の比率が50〜90質量%の範囲にあり、且つ、ケイ素含有量が、グロー放電発光分光測定法によるケイ素のピーク強度がニッケルのピーク強度に対して50%以上となる量であることを特徴とする方法である。
【0009】
また、本発明の銅張積層板及びその製造方法においては、表面処理層中のケイ素がアミン系シランカップリング剤に由来するものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ポリイミド樹脂層と、前記ポリイミド樹脂層の少なくとも片面に積層された表面処理銅箔とを備える銅張積層板において、クロムフリーでありながら十分な防錆性を有する表面処理層を備えており、しかもポリイミド樹脂層と表面処理銅箔との間の接着強度が十分に高い銅張積層板、並びにその製造方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
【0012】
先ず、本発明の銅張積層板について説明する。すなわち、本発明の銅張積層板は、ポリイミド樹脂層と、前記ポリイミド樹脂層の少なくとも片面に積層された表面処理銅箔とを備える銅張積層板であって、
前記表面処理銅箔が、母材銅箔と、前記母材銅箔における前記ポリイミド樹脂層の形成面側に形成され、ニッケル−亜鉛合金及びケイ素を含有する表面処理層とを備えており、前記表面処理層中におけるニッケル含有量が0.1mg/dm以上であり、亜鉛含有量が0.05mg/dm以上であり、ニッケル及び亜鉛の含有量の合計に対するニッケル含有量の比率が50〜90質量%の範囲にあり、且つ、ケイ素含有量が、グロー放電発光分光測定法によるケイ素のピーク強度がニッケルのピーク強度に対して50%以上となる量であることを特徴とするものである。
【0013】
本発明の銅張積層板は、表面処理銅箔とポリイミド樹脂層とを備えているものである。このような銅張積層板は、前記ポリイミド樹脂層の片面のみに前記表面処理銅箔を備える片面銅張積層板であってもよく、前記ポリイミド樹脂層の両面に前記表面処理銅箔を備える両面銅張積層板であってもよい。
【0014】
本発明にかかる表面処理銅箔は、前記表面処理層を形成させる前の母材銅箔と、前記表面処理層とを備えるものである。このような母材銅箔は、電解銅箔及び圧延銅箔のうちのいずれであってもよい。このような母材銅箔の厚みは一般的な銅張積層板に用いられる銅箔の厚み範囲であれば特に制限はないが、銅張積層板の可撓性の観点から、70μm以下であることが好ましい。厚みが70μmを超えると得られる銅張積層板の用途が限定されるため好ましくない。また、銅張積層板をフレキシブル銅張積層板として用いる場合においては、前記母材銅箔の厚みが5〜35μmの範囲であることが好ましい。前記母材銅箔の厚みが5μm未満では、製造時においてシワ等が入りやすく、薄い銅箔の製造にコストがかかる傾向にあり、他方、厚みが35μmを超えると、得られる銅張積層板を用いた場合において、パソコン、携帯電話や携帯情報端末(PDA)の表示部である液晶ディスプレイを駆動するIC実装基板等の薄型化や小型化が不十分となる傾向にある。
【0015】
前記母材銅箔は、銅箔とポリイミド樹脂層との間の接着強度(ピール強度)や耐薬品性を向上させるという観点から、表面に粗化処理を施したものを用いることが好ましい。そして、前記母材銅箔の十点平均粗さ(Rz)は、上記観点及び得られる銅張積層板の屈曲性の観点から、1.5μm以下であることが好ましく、0.1〜1.0μmの範囲であることがより好ましい。また、前記母材銅箔の算術平均粗さ(Ra)は0.15μm以下であることが好ましい。なお、十点平均粗さ及び算術平均粗さはJIS B 0601に記載された方法に準じた方法で測定することができる。
【0016】
本発明にかかる表面処理層は、前記母材銅箔における前記ポリイミド樹脂層の形成面側に形成され、ニッケル−亜鉛合金及びケイ素を含有する層である。本発明においては、このような表面処理層を前記母材銅箔に形成させることにより前記母材銅箔に十分な防錆性を付与すると共に、ポリイミド樹脂層と表面処理銅箔との間の接着強度を向上させることが可能となる。このような表面処理層の厚みは、10〜50nmの範囲であることが好ましい。厚みが前記下限未満では、母材銅箔表面が均一に覆われず十分な防錆効果が得られにくくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、表面処理層の銅エッチング液に対する溶解性(エッチング性)が不十分となる傾向にある。
【0017】
本発明においては、前記表面処理層中におけるニッケル含有量が0.1mg/dm以上であることが必要である。ニッケル含有量が0.1mg/dm未満では、銅箔表面の防錆効果が十分でなく、加熱後や高温や高湿度の環境下において銅箔表面の変色が起きやすくなる。また、表面処理層やポリイミド樹脂層に母材銅箔からの銅の拡散することを十分に防止するという観点から、ニッケル含有量は0.1〜3mg/dmの範囲であることがより好ましい。
【0018】
また、前記表面処理層中における亜鉛含有量が0.05mg/dm以上であることが必要である。亜鉛含有量が0.05mg/dm未満では、表面処理層の銅エッチング液に対する溶解性(エッチング性)が不十分となると共に、表面処理層の銅張積層板の製造時における熱劣化によってポリイミド樹脂層と表面処理銅箔との間の接着強度が不十分となる。また、表面処理層のエッチング性、並びにポリイミド樹脂層と表面処理銅箔との間の接着強度を更に向上させるという観点から、亜鉛含有量は0.05〜1.5mg/dmの範囲であることがより好ましい。
【0019】
さらに、前記表面処理層中におけるニッケル及び亜鉛の含有量の合計に対するニッケル含有量の比率は50〜90質量%の範囲にあることが必要である。前記ニッケル含有量の比率が50質量%未満では、回路加工時におけるエッチング液に対する耐性が低下するため、回路加工に支障をきたし、他方、90質量%を超えると、エッチング液に対する溶解性が悪化するため、回路加工に支障をきたすと共に、ポリイミド樹脂層と表面処理銅箔との間の接着強度が不十分となる。
【0020】
また、前記表面処理層中におけるケイ素含有量が、グロー放電発光分光測定法によるケイ素のピーク強度がニッケルのピーク強度に対して50%以上となる量であることが必要である。ケイ素のピーク強度がニッケルのピーク強度に対して50%未満では、ポリイミド樹脂層と表面処理銅箔との間の接着強度が不十分となる。また、ポリイミド樹脂層と表面処理銅箔との間の接着強度の更なる向上という観点から、ケイ素のピーク強度はニッケルのピーク強度に対して60%以上であることがより好ましい。なお、グロー放電発光分光測定法によるケイ素及びニッケルのピーク強度は、グロー放電発光分光分析装置を用いて波長毎の光強度を検出して発光スペクトルを作成し、そのスペクトルからケイ素及びニッケルに対応するピークのピーク強度(ピーク面積)を測定することができる。
【0021】
本発明にかかる表面処理層は、ニッケル化合物、亜鉛化合物及びケイ素化合物を含有するめっき液を用いて、前記母材銅箔の表面にめっき処理を施すことにより形成することができる。前記めっき液は、ピロりん酸めっき液であることが好ましく、例えば以下の条件(i)〜(v)のうちのいずれか(特に好ましくは全ての)条件を満たすめっき液であることがより好ましい。
(i)硫酸ニッケルを含有しており、ニッケル濃度が1〜4g/Lであること。
(ii)ピロりん酸亜鉛を含有しており、亜鉛濃度が0.05〜1g/Lであること。
(iii)ピロりん酸カリウムの濃度が10〜500g/Lであること。
(iv)ケイ素化合物の濃度が10g/L以上(より好ましくは15〜50g/L)であること。
(v)アンモニア水の添加量が25g/L以上であること。
【0022】
本発明に用いるケイ素化合物としては、アミノ系シラン、エポキシ系シラン、メタクリロキシ系シラン、メルカプト系シラン等のシランカップリング剤が挙げられる。これらのシランカップリング剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、これらのシランカップリング剤の中でも、ピロりん酸めっき液の安定性の観点から、アミノ系シランカップリング剤であることが特に好ましい。
【0023】
前記アミノ系シランカップリング剤としては、例えば、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジン)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0024】
本発明にかかる表面処理層を形成する際のめっき条件としては、通常、液温を15〜50℃とし、pHを8〜11とし、電流密度0.1〜5A/dmとすることができる。
【0025】
本発明にかかるポリイミド樹脂層はポリイミド樹脂からなる層である。そして、このようなポリイミド樹脂は、一般的に下記一般式(1)で表される樹脂であり、例えばジアミン成分と酸二無水物成分とを実質的に等モル使用して有機極性溶媒中で重合する公知の方法によって製造することができる。
【0026】
【化1】

【0027】
前記一般式(1)において、Arは芳香族環を1個以上有する4価の有機基を示し、Arは芳香族環を1個以上有する2価の有機基を示す。すなわち、Arは酸二無水物の残基であり、Arは芳香族ジアミンの残基である。
【0028】
前記酸二無水物としては、一般式:O(CO)−Ar−(CO)Oによって表される芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いることができる。また、前記一般式におけるArとしては、例えば下記構造式で表される有機基が挙げられる。
【0029】
【化2】

【0030】
これらの酸二無水物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、これらの酸二無水物の中でも、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)、及び4、4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)を使用することが好ましい。
【0031】
前記ジアミンとしては、一般式:HN−Ar−NHによって表される芳香族ジアミンを用いることができる。また、前記一般式におけるArとしては、例えば下記構造式で表される有機基が挙げられる。
【0032】
【化3】

【0033】
これらの芳香族ジアミンは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、これらの芳香族ジアミンの中でも、ジアミノジフェニルエーテル(DAPE)、2’−メトキシ−4,4’−ジアミノベンズアニリド(MABA)、2、2’−ジメチル−4、4’−ジアミノビフェニル(m−TB)、パラフェニレンジアミン(p−PDA)、1、3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)、1、3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)、1、4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−Q)、及び2、2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)を使用することが好ましい。
【0034】
前記ジアミン及び前記酸二無水物を重合させる際に用いる溶媒としては、例えば、ジメチルアセトアミド、n-メチルピロリジノン、2−ブタノン、ジグライム、キシレンが挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、重合して得られるポリアミド酸(ポリイミド前駆体)の樹脂粘度については、500cps〜35000cpsの範囲とすることが好ましい。
【0035】
本発明の銅張積層板において、前記ポリイミド樹脂層は、単層からなるものであってもよく、複数層からなるものであってもよいが、銅張積層板がフレキシブル銅張積層板である場合にその反りや寸法安定性を制御するという観点や、銅箔とポリイミド樹脂層との接着強度が優れたものとするという観点から、複数層からなるものとすることが好ましい。また、前記ポリイミド樹脂層の厚みは、特に制限されないが、フレキシブル銅張積層板とする場合には、6〜60μmの範囲であることが好ましく、9〜40μmの範囲であることがより好ましい。ポリイミド樹脂層の厚みが前記下限未満では、銅張積層板の製造時にポリイミド樹脂層にシワが入る等の不具合が生じるやすくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、銅張積層板の製造時の寸法安定性や屈曲性において問題が生じやすくなる傾向にある。なお、前記ポリイミド樹脂層が複数層からなるものである場合には、複数層の合計の厚みが上記範囲内になるようにすればよい。
【0036】
前記ポリイミド樹脂層が複数層からなるものである場合においては、線膨張係数(CTE)が30×10−6(1/K)以下、好ましくは1×10−6〜30×10−6(1/K)の範囲の低線膨張性ポリイミド樹脂層と、その片面又は両面にガラス転移温度(Tg)が330℃以下の低Tgポリイミド樹脂層とを備えることが好ましい。前記低線膨張性ポリイミド樹脂層の線膨張係数が30×10−6(1/K)を超えると、銅張積層板を形成した際のカールが激しくなる傾向にあり、また、寸法安定性が低下する傾向にある。
【0037】
また、このようにポリイミド樹脂層が複数層からなるものである場合には、前記低Tgポリイミド樹脂層としては、線膨張係数(CTE)が30×10−6(1/K)を超え且つガラス転移温度が330℃以下であるものを用いることが好ましく、線膨張係数が30×10−6〜60×10−6(1/K)の範囲で且つガラス転移温度が200〜330℃の範囲にあるものを用いることがより好ましい。
【0038】
さらに、このようにポリイミド樹脂層が複数層からなるものである場合には、前記低線膨張性ポリイミド樹脂層を主たる樹脂層とすることが好ましい。また、前記低線膨張性ポリイミド樹脂層の厚みは、複数層の合計の厚みに対し50%以上とすることが好ましく、70〜95%の範囲とすることがより好ましい。
【0039】
次に、本発明の銅張積層板の製造方法について説明する。すなわち、本発明の銅張積層板の製造方法は、表面処理銅箔の表面にポリアミド酸の樹脂溶液を塗布し、熱処理して、ポリイミド樹脂層を形成させてなる銅張積層板の製造方法であって、
前記表面処理銅箔が、母材銅箔と、前記母材銅箔における前記ポリイミド樹脂層の形成面側に形成され、ニッケル−亜鉛合金及びケイ素を含有する表面処理層とを備えており、前記表面処理層中におけるニッケル含有量が0.1mg/dm以上であり、亜鉛含有量が0.05mg/dm以上であり、ニッケル及び亜鉛の含有量の合計に対するニッケル含有量の比率が50〜90質量%の範囲にあり、且つ、ケイ素含有量が、グロー放電発光分光測定法によるケイ素のピーク強度がニッケルのピーク強度に対して50%以上となる量であることを特徴とする方法である。
【0040】
本発明の銅張積層板の製造方法に用いる表面処理銅箔としては、前記本発明の銅張積層板に用いる表面処理銅箔と同様のものを使用することが必要である。すなわち、前記表面処理層中におけるニッケル含有量、亜鉛含有量及びケイ素含有量、並びにニッケル及び亜鉛の含有量の合計に対するニッケル含有量の比率が前記条件を満たす表面処理銅箔を用いることが必要である。
【0041】
本発明の銅張積層板の製造方法においては、前記表面処理銅箔の表面にポリアミド酸の樹脂溶液を塗布し、熱処理して、ポリイミド樹脂層を形成させて銅張積層板を得る。
【0042】
ポリイミド樹脂層を形成する方法については特に限定されないが、例えば、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の樹脂溶液を、前記表面処理銅箔の表面に直接塗布し、樹脂溶液に含まれる溶剤を150℃以下の温度である程度除去した後、更に、100〜450℃、好ましくは300〜450℃の温度範囲で5〜40分間程度の熱処理を施すことによって、溶媒の乾燥及びイミド化を行う方法を採用することができる。熱処理の温度が100℃未満では、ポリイミドの脱水閉環反応が進行しにくくなる傾向にあり、他方、450℃を超えると、ポリイミド樹脂層及び銅箔が酸化等により劣化しやすくなる傾向にある。また、ポリアミド酸や溶剤としては、前記本発明の銅張積層板に用いるポリアミド酸や溶剤と同様のものを使用することができる。また、前記ポリイミド樹脂層を例えば3層からなるものとする場合は、第一のポリアミド酸の樹脂溶液を塗布、乾燥したのち、第二のポリアミド酸の樹脂溶液を塗布、乾燥し、その後、第三のポリアミド酸の樹脂溶液を塗布、乾燥した後、まとめて300〜450℃の温度範囲で5〜40分間程度の熱処理を施すことによって、イミド化を行う方法を採用することができる。
【0043】
このようにしてポリイミド樹脂層の片面に表面処理銅箔を備えた片面銅張積層板が得られる。また、ポリイミド樹脂層の両面に表面処理銅箔を備えた両面銅張積層板を作製する方法としては、(i)片面銅張積層板を作製した後、互いにポリイミド樹脂層を向き合わせて熱プレスによって圧着し形成する方法、(ii)片面銅張積層板のポリイミド樹脂層に表面処理銅箔を加熱圧着する方法を採用することができる。
【実施例】
【0044】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、表面処理銅箔の表面処理層中のニッケル含有量、亜鉛含有量及びケイ素含有量の測定、高温及び高温高湿の条件下における銅箔の変色、銅箔とポリイミド樹脂層とのピール強度はそれぞれ以下の方法により測定又は評価した。
【0045】
(i)表面処理層中のニッケル含有量及び亜鉛含有量の測定
表面処理銅箔の表面処理層について、原子吸光分光光度計(Analytikjena製、製品名「NovAA300」)を用いて、ニッケルについては標準添加法により、亜鉛については絶対検量法によりそれぞれ含有量を測定した。
【0046】
(ii)表面処理層中のケイ素含有量の測定
表面処理銅箔の表面処理層について、グロー放電発光分光分析装置(堀場製作所製(JOBIN YVON社製)、製品名「GD−PROFILER2」)を用いて、波長毎の光強度を検出して発光スペクトルを作成し、そのスペクトルからケイ素及びニッケルに対応するピークのピーク強度(ピーク面積)を測定した。そして、その測定値から、ニッケルのピーク強度に対するケイ素のピーク強度を算出した。
【0047】
(iii)高温及び高温高湿の条件下における銅箔の変色の評価
表面処理銅箔を温度150℃の条件下、並びに温度85℃、湿度85%の条件下にそれぞれ72時間曝露し、目視にて銅箔表面の変色を確認した。なお、変色が確認されなかった場合は「○」と判定し、変色が確認された場合は「×」と判定した。
【0048】
(iv)銅箔とポリイミド樹脂層とのピール強度の測定
幅1mmの銅張積層板を試料とし、テンシロンテスター(東洋精機製作所社製)を用いて、試料の樹脂側を両面テープによりステンレス板に固定し、銅箔を180°方向に50mm/分の速度で剥離した際のピール強度を測定した。
【0049】
(合成例1)
熱電対及び攪拌機を備えると共に窒素導入が可能な反応容器に、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)132質量部を投入した後、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)11.7質量部を容器中で撹拌しながら溶解させた。次に、この溶液に、ジアミン成分と等モルのピロメリット酸二無水物(PMDA)6.3質量部を加え、その後、室温にて3時間撹拌を続けて重合反応を進行させ、固形分濃度が12質量%であり溶液粘度が3000cpsであるポリアミド酸aの樹脂溶液を得た。得られたポリアミド酸aを用いてポリイミドフィルムを作製し、ポリイミドフィルムのガラス転移温度及び線膨張係数を測定したところ、ガラス転移温度は280℃であり、線膨張係数は55×10−6(1/K)であった。
【0050】
(合成例2)
熱電対及び攪拌機を備えると共に窒素導入が可能な反応容器に、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)127.5質量部を投入した後、2’−メトキシ−4,4’−ジアミノベンズアニリド(MABA)6.5質量部及び4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(DAPE)5.1質量部を容器中で撹拌しながら溶解させた。次に、この溶液に、ジアミン成分と等モルのピロメリット酸二無水物(PMDA)10.9質量部を加え、その後、室温にて3時間撹拌を続けて重合反応を進行させ、固形分濃度が15質量%であり溶液粘度が20000cpsであるポリアミド酸bの樹脂溶液を得た。得られたポリアミド酸bを用いてポリイミドフィルムを作製し、ポリイミドフィルムの線膨張係数を測定したところ、線膨張係数は13×10−6(1/K)であった。
【0051】
(実施例1)
母材銅箔(未処理の電解銅箔、厚み:12μm、大きさ:10cm×10cm)の表面に、硫酸ニッケル、ピロりん酸亜鉛、ピロりん酸カリウム、3−アミノプロピルトリメトキシシラン及びアンモニア水を含有し、下記条件を満たすめっき液を用いて、めっき液温度が20℃で、電流密度が1.5A/dmで、処理時間が5分間の条件下にてめっき処理を施して、表面処理層を形成して表面処理銅箔を得た。
【0052】
ニッケル濃度 2.5g/L
亜鉛濃度 0.1g/L
ピロりん酸カリウムの濃度 50g/L
3−アミノプロピルトリメトキシシランの濃度 15.2g/L
アンモニア水の添加量 25.3g/L。
【0053】
得られた表面処理銅箔について、グロー放電発光分光測定法による表面処理層中のケイ素の含有量を測定したところ、ケイ素のピーク強度はニッケルのピーク強度に対して63%であった。また、表面処理層中のニッケル含有量は0.14mg/dmであり、亜鉛含有量は0.08mg/dmであった。さらに、得られた表面処理銅箔の変色試験を行ったところ、72時間曝露後の変色は確認できなかった。得られた結果を表1に示す。
【0054】
得られた表面処理銅箔の表面処理層の表面上に、合成例1で得られたポリアミド酸aを塗工し、130℃で1分間乾燥してポリアミド酸aの膜を形成した。その後、このポリアミド酸aの膜の表面に合成例2で得られたポリアミド酸bを塗工し、130℃で4分間乾燥してポリアミド酸bの膜を形成し、さらに、合成例1で得られたポリアミド酸aを塗工し、130℃で1分間乾燥してポリアミド酸aの膜を形成した。そして、15分かけて350℃まで昇温することによりイミド化を進行させ、ポリイミド樹脂層(2μmの低Tgポリイミド樹脂層/36μmの低線膨張性ポリイミド樹脂層/2μmの低Tgポリイミド樹脂層)を形成してフレキシブル片面銅張積層板を得た。得られたフレキシブル片面銅張積層板のピール強度を測定したところ、ピール強度は1.2kN/mであった。得られた結果を表1に示す。
【0055】
(実施例2)
下記条件を満たすめっき液を用い、電流密度を0.5A/dmとした以外は実施例1と同様にして表面処理銅箔及びフレキシブル片面銅張積層板を得た。
【0056】
ニッケル濃度 2.5g/L
亜鉛濃度 0.1g/L
ピロりん酸カリウムの濃度 50g/L
3−アミノプロピルトリメトキシシランの濃度 30.5g/L
アンモニア水の添加量 25.3g/L。
【0057】
得られた表面処理銅箔について、グロー放電発光分光測定法による表面処理層中のケイ素の含有量を測定したところ、ケイ素のピーク強度はニッケルのピーク強度に対して115%であった。また、表面処理層中のニッケル含有量は0.13mg/dmであり、亜鉛含有量は0.09mg/dmであった。さらに、得られた表面処理銅箔の変色試験を行ったところ、72時間曝露後の変色は確認できなかった。また、得られたフレキシブル片面銅張積層板のピール強度を測定したところ、ピール強度は1.3kN/mであった。得られた結果を表1に示す。
【0058】
(実施例3)
電流密度を0.7A/dmとした以外は実施例2と同様にして表面処理銅箔及びフレキシブル片面銅張積層板を得た。
【0059】
得られた表面処理銅箔について、グロー放電発光分光測定法による表面処理層中のケイ素の含有量を測定したところ、ケイ素のピーク強度はニッケルのピーク強度に対して111%であった。また、表面処理層中のニッケル含有量は0.21mg/dmであり、亜鉛含有量は0.11mg/dmであった。さらに、得られた表面処理銅箔の変色試験を行ったところ、72時間曝露後の変色は確認できなかった。また、得られたフレキシブル片面銅張積層板のピール強度を測定したところ、ピール強度は1.3kN/mであった。得られた結果を表1に示す。
【0060】
(実施例4)
処理時間を20分間とした以外は実施例2と同様にして表面処理銅箔及びフレキシブル片面銅張積層板を得た。
【0061】
得られた表面処理銅箔について、グロー放電発光分光測定法による表面処理層中のケイ素の含有量を測定したところ、ケイ素のピーク強度はニッケルのピーク強度に対して115%であった。また、表面処理層中のニッケル含有量は0.68mg/dmであり、亜鉛含有量は0.24mg/dmであった。さらに、得られた表面処理銅箔の変色試験を行ったところ、72時間曝露後の変色は確認できなかった。また、得られたフレキシブル片面銅張積層板のピール強度を測定したところ、ピール強度は1.3kN/mであった。得られた結果を表1に示す。
【0062】
(比較例1)
下記条件を満たすめっき液を用い、電流密度を0.5A/dmとした以外は実施例1と同様にして比較のための表面処理銅箔及びフレキシブル片面銅張積層板を得た。
【0063】
ニッケル濃度 2.5g/L
亜鉛濃度 0.1g/L
ピロりん酸カリウムの濃度 50g/L
3−アミノプロピルトリメトキシシランの濃度 1.9g/L
アンモニア水の添加量 25.3g/L。
【0064】
得られた表面処理銅箔について、グロー放電発光分光測定法による表面処理層中のケイ素の含有量を測定したところ、ケイ素のピーク強度はニッケルのピーク強度に対して14%であった。また、表面処理層中のニッケル含有量は0.22mg/dmであり、亜鉛含有量は0.10mg/dmであった。さらに、得られた表面処理銅箔の変色試験を行ったところ、72時間曝露後の変色は確認できなかった。また、得られたフレキシブル片面銅張積層板のピール強度を測定したところ、ピール強度は0.3kN/mであった。得られた結果を表1に示す。
【0065】
(比較例2)
下記条件を満たすめっき液を用い、電流密度を1.0A/dmとした以外は実施例1と同様にして比較のための表面処理銅箔及びフレキシブル片面銅張積層板を得た。
【0066】
ニッケル濃度 2.5g/L
亜鉛濃度 0.1g/L
ピロりん酸カリウムの濃度 50g/L
3−アミノプロピルトリメトキシシランの濃度 3.8g/L
アンモニア水の添加量 25.3g/L。
【0067】
得られた表面処理銅箔について、グロー放電発光分光測定法による表面処理層中のケイ素の含有量を測定したところ、ケイ素のピーク強度はニッケルのピーク強度に対して26%であった。また、表面処理層中のニッケル含有量は0.21mg/dmであり、亜鉛含有量は0.08mg/dmであった。さらに、得られた表面処理銅箔の変色試験を行ったところ、72時間曝露後の変色は確認できなかった。また、得られたフレキシブル片面銅張積層板のピール強度を測定したところ、ピール強度は0.6kN/mであった。得られた結果を表1に示す。
【0068】
(比較例3)
処理時間を2分間とした以外は実施例2と同様にして比較のための表面処理銅箔及びフレキシブル片面銅張積層板を得た。
【0069】
得られた表面処理銅箔における表面処理層中のニッケル含有量は0.07mg/dmであり、亜鉛含有量は0.04mg/dmであった。さらに、得られた表面処理銅箔の変色試験を行ったところ、温度150℃の条件、及び温度85℃、湿度85%の条件のいずれの場合も48時間曝露後に変色が確認された。得られた結果を表1に示す。
【0070】
(比較例4)
処理時間を3分間とした以外は実施例2と同様にして比較のための表面処理銅箔及びフレキシブル片面銅張積層板を得た。
【0071】
得られた表面処理銅箔における表面処理層中のニッケル含有量は0.09mg/dmであり、亜鉛含有量は0.05mg/dmであった。さらに、得られた表面処理銅箔の変色試験を行ったところ、温度150℃の条件、及び温度85℃、湿度85%の条件のいずれの場合も48時間曝露後に変色が確認された。得られた結果を表1に示す。
【0072】
【表1】

【0073】
表1に示した結果から明らかなように、本発明の銅張積層板(実施例1〜4)においては、十分な防錆性を有する表面処理層が形成されており、しかもポリイミド樹脂層と表面処理銅箔との間の接着強度が十分に高いことが確認された。これに対し、比較例1及び2で得られた銅張積層板においては、ポリイミド樹脂層と表面処理銅箔との間の接着強度が不十分であることが確認された。さらに、比較例3及び4で得られた銅張積層板においては、表面処理銅箔における表面処理層の防錆性が不十分であることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0074】
以上説明したように、本発明によれば、ポリイミド樹脂層と、前記ポリイミド樹脂層の少なくとも片面に積層された表面処理銅箔とを備える銅張積層板において、クロムフリーでありながら十分な防錆性を有する表面処理層を備えており、しかもポリイミド樹脂層と表面処理銅箔との間の接着強度が十分に高い銅張積層板、並びにその製造方法を提供することが可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイミド樹脂層と、前記ポリイミド樹脂層の少なくとも片面に積層された表面処理銅箔とを備える銅張積層板であって、
前記表面処理銅箔が、母材銅箔と、前記母材銅箔における前記ポリイミド樹脂層の形成面側に形成され、ニッケル−亜鉛合金及びケイ素を含有する表面処理層とを備えており、前記表面処理層中におけるニッケル含有量が0.1mg/dm以上であり、亜鉛含有量が0.05mg/dm以上であり、ニッケル及び亜鉛の含有量の合計に対するニッケル含有量の比率が50〜90質量%の範囲にあり、且つ、ケイ素含有量が、グロー放電発光分光測定法によるケイ素のピーク強度がニッケルのピーク強度に対して50%以上となる量であることを特徴とする銅張積層板。
【請求項2】
前記表面処理層中のケイ素がアミン系シランカップリング剤に由来するものであることを特徴とする請求項1に記載の銅張積層板。
【請求項3】
表面処理銅箔の表面にポリアミド酸の樹脂溶液を塗布し、熱処理して、ポリイミド樹脂層を形成させてなる銅張積層板の製造方法であって、
前記表面処理銅箔が、母材銅箔と、前記母材銅箔における前記ポリイミド樹脂層の形成面側に形成され、ニッケル−亜鉛合金及びケイ素を含有する表面処理層とを備えており、前記表面処理層中におけるニッケル含有量が0.1mg/dm以上であり、亜鉛含有量が0.05mg/dm以上であり、ニッケル及び亜鉛の含有量の合計に対するニッケル含有量の比率が50〜90質量%の範囲にあり、且つ、ケイ素含有量が、グロー放電発光分光測定法によるケイ素のピーク強度がニッケルのピーク強度に対して50%以上となる量であることを特徴とする銅張積層板の製造方法。
【請求項4】
前記表面処理層中のケイ素がアミン系シランカップリング剤に由来するものであることを特徴とする請求項3に記載の銅張積層板の製造方法。

【公開番号】特開2010−201620(P2010−201620A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−46255(P2009−46255)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000006644)新日鐵化学株式会社 (747)
【Fターム(参考)】