説明

録画再生装置及び録画再生装置を含むテレビジョン受信機

【課題】大容量のHDDのような録画メディアであっても、ハイビジョンデジタル放送番組を、そのまま録画すると、録画スペースがすぐに減ってしまうという問題点があった。
【解決手段】本発明は、ハイビジョンデジタル放送信号の受信データであるMPEG2−TS(トランスポートストリーム)信号(TS=映像+音声+字幕データ+BML(Broadcast Markup Language)+その他のデータ)から録画にとって必要なデータ情報のみ、例えば、TS’=映像+音声+字幕データ,あるいは、TS’’=映像+音声を録画することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、録画再生装置及び録画再生装置を含むテレビジョン受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル放送番組を記録することのできる録画再生装置、あるいは、録画再生装置を内蔵した放送用のテレビジョン受信機の開発が進められている。これらに用いられる録画再生装置としては、HDD(ハードディスクドライブ)、DVD、ブルーレイディスクなどの記録メディアを用いた大容量の録画再生装置が開発されている。
【0003】
録画再生装置に記録するデータを削減するための技術としては、図12に示すように、例えばハイビジョンテレビジョン信号を記録する場合に、ハイビジョンフォーマットを維持したままレートを下げるレート変換技術、あるいは、ハイビジョンフォーマットから画素数の少ないスタンダードフォーマットに変換するサイズ変換技術が知られている。
また、特許文献1には、記憶容量が必要以上に消費されないようにするために、繰り返し送信される同一のデータのうち最初のデータを記録し、それ以降の同一のデータは破棄する記録再生装置が開示されている。
【特許文献1】特開2006−60587号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、大容量のHDDのような録画メディアであっても、例えばハイビジョンデジタル放送番組のようなデータ量の多い信号をそのまま記録すると、記録スペースがすぐに減ってしまうという問題点があった。録画再生装置を含むテレビジョン受信機の従来技術においては、全てを記録していた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、デジタル放送信号の受信データであるトランスポートストリーム(TS)が映像データ、音声データ、及び例えばBML(Broadcast Markup Language)で記述されるデータ放送のためのデータを含む場合に、上記データ放送を除いて映像データ、音声データを記録することを特徴とするものである。TSに字幕データを含む場合は、該字幕データも上記映像及び音声データとともに記録することが好ましいが、記録しなくてもよい。また、映像及び音声データとともにデータ放送を記録する第1のモードと、データ放送を除いて映像及び音声データを記録する第2のモードとを設け、これらをユーザにより選択させるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、限られた記憶容量の記録メディアにより多くの番組を高画質に記録することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0008】
図1は、本発明の実施例1の録画再生装置を含むテレビジョン受信機の構成図を示している。また、図2は、ハイビジョンデジタル放送信号の受信データであるMPEG2−TS(トランスポートストリーム)信号と、本発明の実施例1において抽出されるTS’=映像+音声+字幕データの関係を示している。尚、本実施例では、デジタル放送信号のトランスポートストリームとして、MPEG2−TSを示しているが、これに限られるものではなく、他の符号化形式(例えばMPEG4等)で圧縮符号化されたデータストリームを用いてもよい。
【0009】
図1において、1はアンテナ、2はチューナ、3はビデオ抽出部、4はオーディオ抽出部、5は字幕抽出部、6はレート変換部、7は録画再生部、8は画像表示切換え処理部、9は表示装置、10はEPGデータ生成部、11はマイコン、12はリモコン受光部、13はリモコンを示している。
【0010】
図2において、MPEG2−TS(トランスポートストリーム)信号には、Video信号21、Audio信号22、字幕信号23、BML信号(Broadcast Markup Language信号:テータ放送信号)24、その他データ信号25が含まれる。その他データ信号25としては、放送ロゴ(“BS-hi103”)信号やTV受信機側のダウンロード用データなどが含まれている。ここで、データ放送とは、上記のようにBMLと呼ばれる言語で記述されたデータであり、例えばニュースや天気予報、株価や為替などのマーケット情報、広告、その他放送局側からのアンケートに応答するための双方向画面を視聴者(ユーザ)に提供するものである。このデータ放送は、Video信号21に基づく映像とともに、ユーザの要求に応じて画面上に表示される。すなわち、ユーザからデータ放送を表示するための要求があった場合は、このデータ放送の画面と映像とが合成されて画面上に表示される。
【0011】
図1において、アンテナ1で受信された受信信号は、チューナ2で受信処理が行われ、画像表示切換え処理部8を介して表示装置9に映像表示される。同時に、もう一方のアンテナ1で受信された受信信号を録画再生部7で記録することができる。もう一方のアンテナ1で受信された受信信号は、チューナ2で受信処理が行われ、デジタル放送信号の受信データであるMPEG2−TS (トランスポートストリーム)信号となるが、本発明の実施例1では、MPEG2−TSのうち、ビデオ抽出部3において、Video信号21が抽出され、また、オーディオ抽出部4において、Audio信号22が抽出され、字幕抽出部5において、字幕信号23が抽出される。これらのVideo信号21、Audio信号22、字幕信号23は結合され、TS’信号(TS’=映像+音声+字幕データ)となる。図2の下側に示されている信号がTS’信号であり、BML信号24とその他データ25は含まれていない。このように構成することによって、TS’信号からはBMLで記述されたデータ放送のデータが除かれることになる。従って、録画再生部7には、データ放送が除かれたTS’信号が記録される。
上述したように、データ放送は、ニュースや天気予報、株価や為替などのマーケット情報等情報を含んでおり、これらの情報は即時性が高く、その放送当日もしくは放送時刻においてのみ有益なものが多い。一方、ユーザが録画した番組の再生は、多くの場合は、録画してからある程度の時間もしくは日数(例えば録画した日から2〜3日後)が経過してから行われる。よって、放送日または放送時刻からある程度の時間もしくは日数が経過したデータ放送の情報は、ユーザにとって有用性が低い。つまり、録画されたデータ放送の多くは、再生時には即時性が低下してユーザに対してあまり有益ではない。このため、本実施例では、TSを記録する際に、再生時に有用性が低下するであろうデータ放送を削除して記録することによって、記録容量を確保し、より多くの映像/音声を録画可能としている。
図2に示されたVideo信号21、Audio信号22、字幕信号23、BML信号24、その他データ25は、それぞれそのデータが何を示しているのかを識別するためのID(PID)が付加されている。ビデオ抽出部3、オーディオ抽出部4、及び字幕抽出部は、上記IDを用いることによってTSからVideo信号21、Audio信号22、字幕信号23を識別し、選択的に抽出している。
【0012】
図1に示された実施例1の録画再生装置を含むテレビジョン受信機は、ビデオ抽出部3、オーディオ抽出部4、字幕抽出部5を備えていて、Video信号21、Audio信号22、及び字幕信号23のみが抽出される。しかしながら、ビデオ抽出部3、オーディオ抽出部4、字幕抽出部5以外に、BML抽出部、その他データ抽出部を備えていて、BML信号24とその他データ25をも抽出するが、BML信号24とその他データ25は、TS’信号には含まれないようにするように構成に変更することも可能である。
【0013】
このように、本発明の実施例1では、MPEG2−TS(トランスポートストリーム)信号から、BML信号24、その他データ信号25を除いた、Video信号21、Audio信号22、字幕信号23のみを録画再生部7に記録することにより、限られた記憶容量の記録メディアにより多くの番組を高画質に記録することができる。なお、図1には、アンテナ1とチューナ2を2系統配置する例を示したが、実施例1の回路配置はこれに限定されるものではなく、1系統のアンテナ1とチューナ2を配置するなど他の回路配置に変更することができる。
【実施例2】
【0014】
図3は、本発明の実施例2の録画再生装置を含むテレビジョン受信機の構成図を示している。図3に示される実施例2では、MPEG2−TS信号のうち、Video信号21とAudio信号22とは記録されるが、データ放送(BML)とその他データ信号は録画されない。字幕信号22については、記録する場合と記録しない場合をユーザが選択可能である。
【0015】
図3において、チューナ2で受信処理が行われたMPEG2−TS信号から、ビデオ抽出部3において抽出されたVideo信号21と、オーディオ抽出部4において抽出されたAudio信号22と、字幕抽出部5において抽出された字幕信号23とが結合されたTS’信号(TS’=映像+音声+字幕データ)と、ビデオ抽出部3において抽出されたVideo信号21と、オーディオ抽出部4において抽出されたAudio信号22とが結合されたTS’’信号(TS’’=映像+音声)となる。
【0016】
TS’信号とTS’’信号とが、切換部30に入力する。ユーザは、リモコン13等の操作を行い、リモコン13から送信された制御信号は、リモコン受光部12において受信され、電気信号に変換されてマイコン11に入力される。
【0017】
マイコン11は、切換部30の切換え制御を行うように構成されており、ユーザによるリモコン13の操作により、切換部30に入力されるTS’信号(TS’=映像+音声+字幕データ)と、TS’’信号(TS’’=映像+音声)とを選択して出力することができる。選択的に出力されたTS’信号またはTS’’信号は、レート変部30において、レート変換された後、圧縮されたTS’信号またはTS’’信号が、録画再生部7において記録される。あるいは、選択的に出力されたTS’信号またはTS’’信号は、レート変部30を介さずに、そのまま録画再生部7において記録される。
【0018】
本発明の実施例2では、MPEG2−TS(トランスポートストリーム)信号から、BML信号24、その他データ信号25を除いた、TS’信号またはTS’’信号をユーザが選択的に録画再生部7に記録することが可能である。よって、限られた記憶容量の記録メディアを用いて、ユーザの操作による選択的なTS信号を記録して、多くの番組を高画質に記録することができる。なお、図3に示される回路配置は模式的なものであり、TS’信号またはTS’’信号をユーザが選択的に記録するための回路構成は、上記回路配置に限定されるものではない。
【実施例3】
【0019】
図4は、本発明の実施例3の録画再生装置を含むテレビジョン受信機の構成図を示している。図4に示された録画再生装置では、音声に主音声/副音声がある場合に、主音声/副音声の一方をユーザが選択して記録して、無駄な記録データを減らすことが可能であり、また、主音声/副音声の両方を記録するモードを備えるようにすることもできる。
【0020】
図4において、特に、図1又は図3の例と比較すると、オーディオ抽出部4でAudio信号22の主音声信号と副音声信号が分離して出力されて音声信号切換部40に入力され、マイコン11の制御により、音声信号切換え部により、主音声/副音声のうちの一方、または、主音声/副音声の両方の信号が、ビデオ抽出部3において抽出されたVideo信号21と字幕抽出部5において抽出された字幕信号23と結合されたTS’’’信号が出力される。この結合されたTS’’’信号は、レート変換部6によりレート変換されて、あるいはそのまま録画再生部7において記録される。
【0021】
本発明の実施例3では、主音声/副音声のうちの一方の記録が必要でない場合には、主音声/副音声のうちの一方が削除されたTS’’’信号を記録することにより、多くの番組を高画質に記録することができる。なお、図4に示される回路配置は模式的なものであり、主音声/副音声のうちの一方、または、主音声/副音声の両方を選択する回路構成は、上記回路構成に限定されるものではなく、他の種々の回路構成を採用することができる。
【0022】
図5は、本発明の各実施例で使用するリモコン装置の例を示す図である。図5において、51は録画ボタン、52は停止ボタン、53は選択ボタン、54は決定ボタン、55はメニューボタン、56はアップダウンボタン、57は音量ボタン、58はチャンネルボタンを示しており、これらのボタンを操作することにより、受信処理されたMPEG2−TS(トランスポートストリーム)信号のうち、ユーザの選択により、記録が必要なデータのみを選択して記録することができる。なお、図5に示したリモコン装置は一例に過ぎず、他の任意の形態のリモコン装置、あるいは、録画再生装置本体に設けられた操作装置を用いるように変更することができる。
【実施例4】
【0023】
図6は、本発明の実施例4の録画再生装置を含むテレビジョン受信機の回路構成図を示している。本実施例では、リモコン装置上の録画ボタン51あるいは、録画再生装置の本体に設けられた録画ボタン51の連続操作により録画終了までの時間を指定して設定できるクイックタイマー(30分から6時間で選択可能)の機能を備えている。更に本実施例では、このクイックタイマーの機能に、デジタル放送の番組情報を使った「番組の終了まで」番組データを記録する機能を追加している。
このクイックタイマー機能は、ユーザが番組を視聴中(つまり表示装置9の画面上に番組が表示されているときに)実行され、表示装置9の画面上に番組が表示されているときに録画ボタン51を操作すると、その番組が録画される。かかるクイックタイマー機能を用いて録画した場合でも、上記実施例1〜3と同様にデータ放送は記録されないものとする。
【0024】
図6において、チューナ2で受信処理された信号からEPG(Electronic Program Guide:電子番組表)データ生成部10において、EPGデータが生成される。また、EPGデータ生成部10は、EPGデータから番組の番組終了時刻データを抽出し、マイコン11に出力する。マイコン10は、番組の終了時刻データを用いて、タイマー60を制御して、録画再生部7の記録動作を開始・終了の制御を行う。
【0025】
本発明の実施例4では、リモコン13の操作によるクイックタイマー機能により、表示装置9の画面上に表示されている番組を、予め定められた時間、もしくはその番組の終了まで録画することが可能となる。なお、クイックタイマー機能、「番組の終了まで」録画の機能は、図6に示された構成に限定されず、他の形態をとることができる。また、番組の終了時刻を表す情報としては、EPGデータ中の番組終了時刻データに限らず、利用可能な他の番組終了時刻データを用いるように変更することができる。
【0026】
図7には、クイックタイマーの操作に用いるリモコンまたは録画再生装置本体の録画ボタンと停止ボタンとを示す。本発明の実施例4では、録画ボタンを複数回押すことにより、クイックタイマーの「番組終了まで」と「30分」「1時間」などの記録が終了するまでの時間の設定の操作を行うことができる。
【0027】
図8は、クイックタイマー操作を行う際の、クイックタイマーの選択項目の表示例を示しており、この選択項目がユーザの任意により選択される。この選択項目は、2種類の項目を含んでいる。具体的には、図8上図の(3)〜(10)及び数の(2)及び(4)〜(10)に示されるように、予め定めた複数の録画時間を指定するための第1項目と、図8上図の(2)及び下図の(3)に示されるように、所望番組をその放送終了まで録画するための第2項目である。
図8には、(1)クイックタイマー表示なし(2)番組終了まで(3)30分(4)1時間(5)1時間30分(6)2時間(7)3時間(8)4時間(9)5時間(10)6時間の例が示されている。ここで、(1)クイックタイマー表示なしは、クイックタイマー機能を用いずに録画を行う場合に表示される。例えば録画ボタン51を1回押すと表示番組が9時間録画され、このときは上記(2)〜(10)の先約項目は表示されない。すなわち、本実施例に係るクイックタイマー機能は、録画ボタン51を2回押すことによって実行される。上記(2)〜(10)の選択項目は、本実施例では同一画面上に表示されるものではなく、録画ボタン51の操作回数(つまり録画ボタンが押された回数)によって順次切り替え表示されるものである。例えば、録画ボタン51を2回押すと(2)の「番組終了まで」との選択項目が表示装置9の例えば画面の下部に表示される。また、例えば録画ボタン51を3回押すと、「30分」との選択項目が、「番組終了まで」に代えて同様に画面の下部に表示される。同様に、例えば録画ボタンを6回押すと「2時間」の選択項目が表示される。そして、ある番組の視聴中に、ユーザの好みの選択項目を録画ボタン51により選択して表示すると、その表示された選択項目に対応する録画時間が、当該番組の録画時間として設定される。例えば録画ボタン51を6回押して「2時間」との選択項目を表示させると、自動的に2時間後に録画動作が終了する。
一方、録画ボタン51を2回押して「番組終了まで」を選択すると、録画ボタン51を2回押した時点で録画が開始し、EPGデータから抽出した番組終了時刻データが示す当該番組の放送終了時刻まで録画が継続する。そして当該番組終了時刻データと装置内部のタイマーとを比較し、両者が一致した場合、すなわち当該番組の放送終了時刻になると録画動作が終了する。
本実施例では、「番組終了まで」を選択した場合は、EPGデータに含まれる番組終了時刻データに示され時刻に録画を終了するようにしている。しかしながら、各番組のデータストリームに付加される番組終了を示す終了データを用いてして録画を終了するようにしてもよい。例えば「番組終了まで」を選択して録画を開始し、上記終了データが検出された場合に、それに応答して録画動作を終了するようにしてもよい。
尚、図8には、上段と下段に、それぞれクイックタイマーの選択項目の異なる表示例を示している。第2項目である「番組終了まで」は、図8の上図に示されるように選択項目の先頭に位置している。それは、「番組終了まで」の項目は、ユーザが比較的よく選択する項目と考えられるので、当該項目は多くの操作を要せずに選択できることが好ましいからである。つまり、本実施例では、クイックタイマー機能を動作させるための操作(録画ボタン51を2回押す操作)が為されると、最初に「番組終了まで」が表示されるようにしている。また、最初ではなく、図8の下図に示すように「番組終了まで」の項目を2番目に表示させるようにしてもよいが、上述のようになるべく少ない操作回数で当該選択項目を表示させることが好ましい。当然ながら、クイックタイマーの選択項目の表示例としては、上段と下段に示されたものに限定されず、他の表示例に変更することができる。
【0028】
なお、番組放送の延長の場合には、延長するためのフラグ情報が、遅くても番組終了時刻の30秒前には送られてくるので、そのフラグ情報を検出して、番組の延長時間に対応した録画の終了時刻の設定を行うように変更することができる。また、延長時間の設定は、例えば、1分単位に制御するように構成することができる。
【実施例5】
【0029】
図9は、本発明の実施例5の録画再生装置を含むテレビジョン受信機の構成図を示している。図9の実施例5では、MPEG2−TS(トランスポートストリーム)信号を記録するための第1のモードと、TS’信号(TS’=映像+音声+字幕データ)を記録するための第2のモードとをユーザが選択可能である。すなわち、第2のモードではデータ放送を除いて記録するモードであり、そのときの基本的な動作は、図1に示された実施例1と同様である。
図9において、アンテナ1で受信された受信信号は、チューナ2で受信処理が行われ、MPEG2−TS(トランスポートストリーム)信号として、画像表示切換え処理部8を介して表示装置9に映像表示される。同時に、もう一方のアンテナ1で受信された受信信号はチューナ2で受信処理が行われ、ハイビジョンデジタル放送信号の受信データであるMPEG2−TS(トランスポートストリーム)信号となるが、MPEG2−TSのうち、ビデオ抽出部3において、Video信号21が抽出され、また、オーディオ抽出部4において、Audio信号22が抽出され、字幕抽出部5において、字幕信号23が抽出される。これらのVideo信号21、Audio信号22、字幕信号23は結合され、TS’信号(TS’=映像+音声+字幕データ)となる。
【0030】
図9の実施例5では、MPEG2−TS(トランスポートストリーム)信号とTS’信号(TS’=映像+音声+字幕データ)とが切換器90に入力される。ユーザは、MPEG2−TS信号を記録する(つまりデータ放送を含めて記録する)第1のモードと、TS’信号を記録する(つまりデータ放送を除いて記録する)第2のモードとを選択することができる。すなわち、ユーザは、録画再生部に記録する信号として、リモコンのボタン操作もしくはメニュー画面に対する操作により、MPEG2−TS信号とTS’信号とのどちらを選択するかを決定することができる。マイコン11は、切換部90の切換え制御を行うように構成されており、ユーザによるリモコン13の操作により、切換部90に入力されるMPEG2−TS信号と、TS’信号(TS’=映像+音声+字幕データ)を選択して出力することができる。選択的に出力されたTS信号またはTS’信号がレート変部30において、レート変換された後、圧縮されたTS信号またはTS’信号が、録画再生部7において記録される。あるいは、選択的に出力されたTS信号またはTS’信号レート変部30を介さずに、そのまま録画再生部7において記録される。
【0031】
本発明の実施例5では、MPEG2−TS信号と、MPEG2−TS信号からBML信号24、その他データ信号25を除いた、TS’とを、ユーザが選択的に録画再生部7に記録することが可能である。従って、ユーザが例えば広告などの即時性の低いデータ放送について録画を希望する場合は、第1のモードを選択し、データ放送の記録を希望しない場合は第2のモードを選択できる。このため、本実施例によれば、ユーザの要望に応じて、限られた記憶容量の記録メディアを用いて、多くの番組を高画質に記録することができる。なお、図9に示される回路配置は模式的なものであり、MPEG2−TS信号またはTS’信号をユーザが選択的に記録するための回路構成は、上記回路配置に限定されるものではなく、他の回路配置に変更することができる。
【実施例6】
【0032】
図10は、本発明の実施例6の各録画モードの選択手順を示す図である。また、図11は、録画モードにおける録画時間の例を示す表である。本発明の実施例6では、実施例1〜実施例5の各構成を組み合わせて構成し、TSモード、TSE1モード、TSE2モード、XPモード等の各種の録画モードをユーザが選択することができる。図10には、各種の録画モードをユーザが選択する場合にユーザが操作するリモコン13あるいは録画記録装置本体に設けられた各種ボタンと、各種の録画モードをユーザが選択する場合の操作手順を示している。
【0033】
図10において、まず、ステップS1において、アップダウンボタン56を操作して録画したいチャンネルを選択する。次に、ステップS2において、選択ボタン53を用いて「録画モード/残量」を選択した後、決定ボタン54を押して、録画モードのメニュー選択画面を表示する。ステップS3において、選択ボタン53を押してカーソルを上下させて、希望する録画モードを選ぶ。そして、ステップ4において、録画ボタン51を押すと、希望するモードの録画が行われる。録画を停止する場合には、ステップS5において、停止ボタン52を押すと録画が停止する。
【0034】
図11には、各種録画モードと、デジタル放送及びアナログ放送の倍の録画時間の例を示している。
MPEG2−TS(トランスポートストリーム)信号を録画するTSモードと、MPEG2−TS(トランスポートストリーム)信号のうち、必要な信号を選択して録画するTSE1モード、TSE2モードになどの、録画モードをユーザが選択することができる。尚、XP、SP、LP、EPモードは、TSを記録するモードではなく、TSを復号してアナログ信号に変換した後に、再びデジタル信号に変換して圧縮符号化して記録するモードである。
【0035】
本発明の実施例6では、高効率ストリーム圧縮技術による、高圧縮ハイビジョン録画の「TSE」モードの追加により、ハイビジョン番組の画質劣化を最小限に抑えながらBSデジタル放送で約50時間(従来機種はTSモードで約16時間)、地上デジタル放送なら約70時間のHDD容量500GB相当分の長時間録画を実現することができる。
なお、実施例6に示されたTSモード、TSEモード等は例示であり、また、その録画可能時間も例示に過ぎず、採用する各種モードあるいは、その場合の録画可能時間は、本発明の範囲内で異なる種類、異なる値に変更して設定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施例1の録画再生装置を含むテレビジョン受信機の回路図である。
【図2】ハイビジョンデジタル放送信号の受信データであるMPEG2−TS (トランスポートストリーム)信号と、実施例1で抽出されるTS’=映像+音声+字幕データの関係を示す図である。
【図3】本発明の実施例2の録画再生装置を含むテレビジョン受信機の回路図である。
【図4】本発明の実施例3の録画再生装置を含むテレビジョン受信機の回路図である。
【図5】本発明で使用するリモコン装置の例を示す図である。
【図6】本発明の実施例4の録画再生装置を含むテレビジョン受信機の回路図である。
【図7】リモコンと本体の録画ボタンと停止ボタン
【図8】クイックタイマー機能を使用時の画面表示例を示す図である。
【図9】本発明の実施例5の録画再生装置を含むテレビジョン受信機の回路図である。
【図10】本発明の実施例6の各録画モードの選択手順を示す図である。
【図11】録画モードにおける録画時間の例を示す表である。
【図12】従来技術であるレート変換技術、サイズ変換技術がを示す図である。
【符号の説明】
【0037】
1 アンテナ
2 チューナ
3 ビデオ抽出部
4 オーディオ抽出部
5 字幕抽出部
6 レート変換部
7 録画再生部
8 画像表示切換え処理部
9 表示装置
10 EPGデータ生成部
11 マイコン
12 リモコン受光部
13 リモコン
21 Video信号
22 Audio信号
23 字幕信号
24 BML信号
25 その他データ
30 切換部
40 音声信号切換部
51 録画ボタン
52 停止ボタン
53 選択ボタン
54 決定ボタン
55 メニューボタン
56 アップダウンボタン
57 音量ボタン
58 チャンネルボタン
60 タイマー
90 TS切換部
111 TSモード
112 TSEモード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル放送信号に含まれるトランスポートストリームを記録、もしくは、圧縮して記録する録画再生装置において、
前記トランスポートストリームより、映像、音声、及び字幕データを抽出したデータを記録し、あるいは、前記抽出したデータを圧縮して記録することを特徴とする録画再生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の録画再生装置において、
前記抽出したデータに、前記字幕データが含まれる場合と前記字幕データが含まれない場合とを、ユーザが選択可能であることを特徴とする録画再生装置。
【請求項3】
請求項1に記載の録画再生装置において、
前記音声のうち、主音声及び/又は副音声を、ユーザが選択可能であることを特徴とする録画再生装置。
【請求項4】
番組を記録する録画再生装置において、
録画コマンドを発生するための操作部を備え、
番組の表示中に前記操作部に対して操作が為されると、当該番組に対する録画時間を設定するための選択項目が画面上に表示され、
該選択項目は、予め定められた複数の録画時間を示す複数の第1項目と、当該番組の放送終了時間までを録画時間とする第2項目とを含み、
前記操作部に対する操作に応じて、前記複数の第1項目の一つまたは前記第2項目のいずれかが前記番組の録画時間として設定可能であることを特徴とする録画再生装置。
【請求項5】
請求項4に記載の録画再生装置において、
前記操作部に対する操作回数に従って、前記複数の第1項目と前記第2項目とが切り替え表示されることを特徴とする録画再生装置。
【請求項6】
請求項5に記載の録画再生装置において、
番組の表示中に前記操作部が操作されると最初に前記第2項目が表示され、更に前記操作部が操作されると、該操作回数に応じて録画時間が短い順に前記複数の第1項目が順次切り替え表示されることを特徴とする録画再生装置。
【請求項7】
請求項4に記載の録画再生装置において、前記第2項目が選択されると、表示中の番組のEPGデータに含まれる当該番組の放送終了時刻を用いて、当該番組の録画終了時間を設定することを特徴とする録画再生装置。
【請求項8】
デジタル放送信号に含まれるトランスポートストリームを記録する録画再生装置を備えたテレビジョン受信機において、
前記トランスポートストリームを記録する場合に、該トランスポートストリーム内のデータ放送とともに映像と音声データを記録する第1のモードと、前記データ放送を除いて映像と音声データを記録する第2のモードとを備え、前記各モードをユーザが選択可能であることを特徴とするテレビジョン受信機。
【請求項9】
請求項8に記載のテレビジョン受信機において、
前記データ放送は、BML(Broadcast Markup Language)で記述されるデータであることを特徴とするテレビジョン受信機。
【請求項10】
請求項8に記載のテレビジョン受信機において、
前記トランスポートストリーム内に字幕データが含まれる場合に、前記第1のモードは、更に該字幕データを前記映像及び音声のデータとともに記録可能としたことを特徴とするテレビジョン受信機。
【請求項11】
請求項10に記載のテレビジョン受信機において、
前記字幕データを記録するか否かをユーザが選択可能であることを特徴とするテレビジョン受信機。
【請求項12】
請求項8に記載のテレビジョン受信機において、
更に、録画コマンドを発生するための操作部を備え、
番組の表示中に前記操作部に対して操作が為されると、当該番組に対する録画時間を設定するための選択肢が画面上に表示され、
該選択肢は、予め定められた複数の録画時間を示す複数の第1項目と、当該番組の放送終了時間までを録画時間とする第2項目とを含み、
前記操作部に対する操作に応じて、前記複数の第1項目の一つまたは前記第2項目のいずれかが前記番組の録画時間として設定可能であることを特徴とするテレビジョン受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−281537(P2007−281537A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−101358(P2006−101358)
【出願日】平成18年4月3日(2006.4.3)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】