説明

鏡餅用包装体

【課題】小型化及び省資源化を図り、かつ内容を視認することができる、鏡餅と三方その他のお飾りをセットにして収容するための包装体を提供する。
【解決手段】一枚の板紙からなり、中央に三方台差込溝25を有する正方形の底板2と、底板に連設した底部側板3,4と、底部側板4上辺に延長した側板3の溝への差込片8を連設した側面係止部7を有する台形の側面板6と、一方の側面板6の係止部9に他方の側面板6に連設した上面板10の差込片11を係合した包装体に鏡餅と三方台を収納し、使用時に側面係止部と側面板6を切取線26と側面板切取線27により切り取り、側面板下部15を下方へ折り曲げ、一枚の紙製平板を筒型に形成した三方台31の三方台差込部32を三方台差込溝25に差し込むことにより鏡餅41を載せる三方となる鏡餅用包装体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正月飾りである鏡餅を収容するための包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
正月に鏡餅を飾る風習は広く根付いており、現代でも多くの家庭で行われている。しかし、鏡餅と三方及びその他のお飾りを全て準備し飾りつけるには手間がかかるため、最近では鏡餅と紙製の三方やその他のお飾りをセットにしたものが提案され、実際に多く利用されている。例えば、文献1においては、鏡餅が紙製三方に載せられた状態で包装箱に収容されているものが示されている。また文献2においては、鏡餅を収容する包装箱を三方として利用できるものが示されている。
【特許文献1】登録実用新案3093291号公報
【特許文献2】特開2002−362541号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、文献1においては、鏡餅が三方に載せられた状態であるので高さが高くなり、容器全体も大きなものとならざるを得ず、また内容物が見えるように窓を設けプラスチックフィルムを貼っているため、廃棄の際には分別の手間がかかるものであった。一方、文献2においては、包装箱を三方として利用することで省資源化が図られているが、内容物である鏡餅が外からはほとんど見えないため、顧客吸引力の点で問題があった。
【0004】
本発明は、小型化及び省資源化を図り、かつ内容を視認することができる、鏡餅と三方その他のお飾りをセットにして収容するための包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のうち請求項1記載の発明は、一枚の紙製平板からなり、中央に三方台差込溝を有する正方形の底板と、該底板各辺から上方に折れ曲がる底部側板と、一方の対辺一組の該底部側板上辺から上方にのびる下底の方が長い台形の側面板と、該側面板の側辺下部から内側に折れ曲がる側面係止部と、該側面係止部下辺から内側に折れ曲がり他方の対辺一組の前記底部側板下部に設けられた側面係止部差込溝に差し込まれる側面係止部差込片と、一方の前記側面板上辺から他方の前記側面板上辺へ横架される矩形の上面板と、を有し、前記側面係止部の前記側面板に接する辺は切り込みが入った側面係止部切取線とし、前記側面板は水平方向に切り込みが入った側面板切取線により側面板上部と側面板下部とに分割可能であり、前記側面係止部切取線及び前記側面板切取線にて前記側面係止部及び前記側面板上部を切り取り、前記側面板下部を下方へ折り曲げ、一枚の紙製平板を筒型に形成した三方台の三方台差込部を前記三方台差込溝に差し込むことにより鏡餅を載せる三方となることを特徴とする。
【0006】
以上のように本鏡餅用包装体を構成すると、全体の大きさが鏡餅自体の大きさとほぼ同じになるので、非常に小型で材料の紙も節減できる。また、側面板のない面からは内容物がはっきりと視認できる。
【0007】
また、請求項2記載の発明のように、三方台及びその他の半紙や御幣といったお飾りを折り畳んで底板と鏡餅の間に挟みこめば、飾り付けに必要なもの全てを本包装体の中に収容できる。
【0008】
さらに、請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、対辺一組の前記底部側板側辺から内側に折れ曲がる側板補強片を有し、前記側面板下部の高さが前記底部側板の高さと等しく、前記側面板切取線が凸形状に形成され、該凸部を側面板差込片とし、三方として組み立てる際には前記側板補強片を前記底部側板と下方へ折り曲げた前記側面板下部とで挟み込み、前記側面板差込片が前記底板に設けられた側面板差込溝に差し込まれることを特徴とする。
【0009】
側板補強片や側面板差込片を設けることで、三方として組み立てた際の形状がより安定し、また頑丈なものとなる。
【0010】
また、請求項4記載の発明は、前記上面板側辺から下方に折り畳まれ円形切欠を備える押さえ部を有することを特徴とする。
【0011】
押さえ部の円形切欠に鏡餅の頭頂部が嵌まり込み、より確実に鏡餅を固定することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のうち請求項1記載の発明によれば、包装体自体を三方として利用できるため、包装体全体の大きさは鏡餅自体の大きさとほぼ同じになり、非常に小型で材料の紙も節減でき、輸送費も抑えることができる。また、側面板のない面からは内容物である鏡餅がはっきりと視認できるため、消費者に訴える力が強く、商品価値が高められる。さらに、全体が台形型で変形しにくいこと、側面係止部を有しさらに変形を抑えていること、上面板が鏡餅の頭頂部と接し鏡餅自身が荷重を支えることから、包装体として十分な強度が確保される。
【0013】
本発明のうち請求項2記載の発明によれば、三方台及びその他の半紙や御幣といったお飾りを折り畳んで底板と鏡餅の間に挟みこむことで、飾り付けに必要なもの全てを本包装体の中に収容でき、利便性が高く、全体の外観もすっきりとして見栄えの良いものとなる。
【0014】
本発明のうち請求項3記載の発明によれば、三方として組み立てる際に、側板補強片を底部側板と下方へ折り曲げた側面板下部とで挟み込み、側面板差込片を底板に設けられた側面板差込溝に差し込むことで、三方の受け皿部分としても形状がより安定し、また頑丈なものとなる。
【0015】
本発明のうち請求項4記載の発明によれば、押さえ部の円形切欠に鏡餅の頭頂部が嵌まり込み、また押さえ部は上面板の側辺から下方に折り畳まれるため、紙の復元力により鏡餅を押さえつける方向に力が働き、より確実に鏡餅を固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の鏡餅用包装体の具体的な構成について、各図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は本発明の鏡餅用包装体の斜視図であり、図2はその組み立て前の展開図である。図2に示すように、本鏡餅用包装体は一枚の紙製平板からなる。底板2は正方形でその大きさは収容する鏡餅の大きさに合わせて定まり、中央の三方台差込溝25と辺部の側面板差込溝24を有する。底板2各辺からは底部側板3,4が上方に折れ曲がり、一方の対辺一組の底部側板3側辺からは側板補強片5が内側に折れ曲がり、他方の対辺一組の該底部側板4上辺からは下底の方が長い台形の側面板6が上方にのびる。側面板6の高さは収容する鏡餅の高さに合わせて定まる。また側面板6の側辺下部から側面係止部7が内側に折れ曲がり、側面係止部7下辺から側面係止部差込片8が内側に折れ曲がり底部側板3下部に設けられた側面係止部差込溝21に差し込まれる。さらに、一方の側面板6上辺から上面係止部9が内側へ折れ曲がり、他方の側面板6上辺から上面板10が内側へ折れ曲がる。上面板10先端辺中央から上面板差込片11が下方へ折れ曲がり上面係止部9に設けられた上面板差込溝23に差し込まれる。上面板10側辺からは円形切欠22を備える押さえ部12が下方に折り畳まれる。
また、側面係止部7の側面板6に接する辺は切り込みが入った側面係止部切取線26とし、側面板6は凸型状に切り込みが入った側面板切取線27により側面板上部14と側面板下部15とに分割可能である。側面板下部15の高さは底部側板3,4の高さと等しく、側面板切取線27の凸部を側面板差込片13とする。
【0018】
図3は本包装体に鏡餅41を収容した状態を示す斜視図である。実際に鏡餅41を収容する際には、まず底板2に一枚の紙製平板を筒型に形成した三方台を折り畳んで置き、さらにその他の半紙や御幣といったお飾りを置き、その上に鏡餅41を置く。鏡餅41には予め水引42をゴムバンドで固定しておく。そして底部側板3,4を上方に折り曲げ、側面係止部差込片8を側面係止部差込溝21に差込み、上面係止部9及び上面板10を内側に折り曲げ、押さえ部12を下方に折り畳み、上面板差込片11を上面板差込溝23に差し込む。
【0019】
図4は、本包装体の各切取線において各部分を切り取った状態を示す説明図である。本包装体に収容された鏡餅を飾りつける際には、まず各差込片を引き抜いて包装体を平板の状態に戻し、鏡餅、三方台及びその他のお飾りを取り出す。そして側面係止部切取線26及び側面板切取線27にて側面係止部7及び側面板上部14を切り取り、底部側板3,4を再び上方に折り曲げ、側板補強片5を挟み込むようにして側面板下部15を下方へ折り曲げ、側面板差込片13が側面板差込溝24に差し込む。さらに図5及び図6に示すように、折り畳まれた三方台31を筒状にし、三方台差込部32を底板2の三方台差込溝25に差し込むことにより、三方が完成する。完成した三方に半紙を敷き、御幣を置き、鏡餅を載せれば飾りつけが完成する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の鏡餅用包装体を示す斜視図である。
【図2】鏡餅用包装体の組み立て前の展開図である。
【図3】鏡餅用包装体に鏡餅を収容した状態を示す斜視図である。
【図4】鏡餅用包装体の各切取線において各部分を切り取った状態を示す説明図である。
【図5】三方台の斜視図である。
【図6】三方の完成図である。
【符号の説明】
【0021】
2 底板
3,4 底部側板
5 側板補強片
6 側面板
7 側面係止部
8 側面係止部差込片
9 上面係止部
10 上面板
11 上面板差込片
12 押さえ部
13 側面板差込片
14 側面板上部
15 側面板下部
21 側面係止部差込溝
22 円形切欠
23 上面板差込溝
24 側面板差込溝
25 三方台差込溝
26 側面係止部切取線
27 側面板切取線
31 三方台
32 三方台差込部
41 鏡餅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚の紙製平板からなり、中央に三方台差込溝(25)を有する正方形の底板(2)と、該底板(2)各辺から上方に折れ曲がる底部側板(3,4)と、一方の対辺一組の該底部側板(4)上辺から上方にのびる下底の方が長い台形の側面板(6)と、該側面板(6)の側辺下部から内側に折れ曲がる側面係止部(7)と、該側面係止部(7)下辺から内側に折れ曲がり他方の対辺一組の前記底部側板(3)下部に設けられた側面係止部差込溝(21)に差し込まれる側面係止部差込片(8)と、一方の前記側面板(6)上辺から内側へ折れ曲がる上面係止部(9)と、他方の前記側面板(6)上辺から内側へ折れ曲がる上面板(10)と、該上面板(10)先端辺中央から下方へ折れ曲がり前記上面係止部(9)に設けられた上面板差込溝(23)に差し込まれる上面板差込片(11)と、を備え、
前記側面係止部(7)の前記側面板(6)に接する辺は切り込みが入った側面係止部切取線(26)とし、前記側面板(6)は水平方向に切り込みが入った側面板切取線(27)により側面板上部(14)と側面板下部(15)とに分割可能であり、
包装時には、底板(2)に鏡餅(41)を置き、底部側板(3,4)を上方に折り曲げ、側面係止部差込片(8)を側面係止部差込溝(21)に差込み、上面係止部(9)及び上面板(10)を内側に折り曲げ、上面板差込片(11)を上面板差込溝(23)に差し込むことで鏡餅(41)を収容することが可能であり、
組み立て時には、前記側面係止部切取線(26)及び前記側面板切取線(27)にて前記側面係止部(7)及び前記側面板上部(14)を切り取り、前記側面板下部(15)を下方へ折り曲げ、一枚の紙製平板を筒型に形成した三方台(31)の三方台差込部(32)を前記三方台差込溝(25)に差し込むことにより鏡餅(41)を載せる三方となることを特徴とする鏡餅用包装体。
【請求項2】
包装時に、前記底板(2)と鏡餅(41)の間に、折り畳まれた三方台(31)及びその他のお飾りを挟み込んで収容することを特徴とする請求項1記載の鏡餅用包装体。
【請求項3】
対辺一組の前記底部側板(3)側辺から内側に折れ曲がる側板補強片(5)を有し、前記側面板下部(15)の高さが前記底部側板(3,4)の高さと等しく、前記側面板切取線(27)が凸形状に形成され、該凸部を側面板差込片(13)とし、三方として組み立てる際には前記側板補強片(5)を前記底部側板(4)と下方へ折り曲げた前記側面板下部(15)とで挟み込み、前記側面板差込片(13)が前記底板(2)に設けられた側面板差込溝(24)に差し込まれることを特徴とする請求項1又は2記載の鏡餅用包装体。
【請求項4】
前記上面板(10)側辺から下方に折り畳まれ円形切欠(22)を備える押さえ部(12)を有することを特徴とする請求項1、2又は3記載の鏡餅用包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−131344(P2007−131344A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−328743(P2005−328743)
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【出願人】(598082776)城北麺工株式会社 (2)
【出願人】(392034621)株式会社丸定 (1)
【出願人】(391003794)押尾産業株式会社 (32)
【出願人】(391026276)株式会社タイヨーパッケージ (2)
【Fターム(参考)】