説明

長尺部材収納用仕切り

【課題】プレフィルドシリンジなどの長尺部材を収納するに好適であって、小型軽量かつ簡易な仕切りを提供する。
【解決手段】仕切り10は、長方形のシート20が折り曲げられて形成され、直方体の収納箱50に挿入されるものであって、シート20の長手方向に沿ってそれぞれ形成された第1折罫線11、第2折罫線12、第3折罫線13及び第4折罫線14によって、長手方向101に沿って第1底面部21、第1側面部22、上面部23、第2側面部24、及び第2底面部25が順次連続して区画されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤が充填された注射器などの長尺部材を収納するに適した長尺部材収納用仕切りに関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス製の物など、運搬や保管の際に生ずる衝撃によって破損しやすい物は、衝撃を緩衝する部材に収納されて箱に入れられていることが多い。このような緩衝用の仕切りは、外箱と別体として形成されたものや(特許文献1)、外箱に一体に形成されたものがある(特許文献2,3)。外箱と別体に形成された仕切りは、印刷などが異なる複数種の外箱に共通して使用できるという利点がある。
【0003】
近年、注射器のシリンジやプランジャは合成樹脂製のものが増えているが、予め薬剤が充填された注射器(以下、「プレフィルドシリンジ」とも称される。)では、ガラス製のシリンジが用いられることが多い。したがって、プレフィルドシリンジの外箱や仕切りには、シリンジの破損を抑制するために、衝撃を緩衝する性能が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−173328号公報
【特許文献2】特開2001−2168号公報
【特許文献3】特開2003−40253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
収納される物がプレフィルドシリンジであるか否かに拘わらず、一般に、運送や保管のコストを抑制するために、外箱や仕切りは小型軽量化される傾向にある。しかしながら、仕切りなどを小型軽量化すると、衝撃を緩衝する性能が低くなり、収納物に衝撃が伝わりやすくなる。特に、プレフィルドシリンジに対しては、シリンジなどの破損のみならず、プランジャが移動することによって薬剤が混合されてしまうという問題も生じる。
【0006】
詳細に説明するに、プレフィルドシリンジにおいては、シリンジバレル内を移動可能なガスケットが設けられており、このガスケットがシリンジバレルの所定位置に位置せしめられて、シリンジバレルの内部空間が2部屋に分割されている。シリンジバレルの各部屋には、粉末の薬剤と、その薬剤を溶解させるための液が充填されている。使用に際しては、シリンジバレルに対してプランジャが押し込まれることによって、ガスケットも連動して所定位置から移動して各部屋が液を流通可能に連通され、粉末の薬剤が充填された部屋に液が流入して薬剤が溶解される。
【0007】
プレフィルドシリンジの構造は様々であるが、一般には、シリンジバレルに対してプランジャが押し込まれることによって、薬剤の粉末が液に溶解されるものが多い。したがって、輸送や保管の際に生じる衝撃によってプランジャが押し込まれると、使用前に薬剤が液に溶解されるおそれがある。
【0008】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、プレフィルドシリンジなどの長尺部材を収納するに好適であって、小型軽量かつ簡易な仕切りを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明に係る長尺部材収納用仕切りは、長方形のシートが折り曲げられて形成され、直方体の収納箱に挿入されるものであって、シートの長手方向に沿ってそれぞれ形成された第1折罫線、第2折罫線、第3折罫線及び第4折罫線によって、長手方向に沿って第1底面部、第1側面部、上面部、第2側面部、及び第2底面部が順次連続して区画されている。上記第1底面部及び上記第2底面部は、各折罫線が山折りされることによって重ねられて貼り付けられ、当該第1底面部及び当該第2底面部が重ねられた状態で厚み方向へ貫通する第1貫通孔及び第2貫通孔が少なくともいずれか一方に形成されている。上記上面部は、長手方向の中央部分において短手方向に切断され、かつ当該上面部を上記第1側面部及び上記第2側面部とそれぞれ区画する第2折罫線及び第3折罫線の一部が長手方向に沿ってそれぞれ切断されることによって、第1端支持部及び第2端支持部が長手方向の両側に分割されて形成されている。上記第1端支持部は、その中央部分が打ち抜かれて第1端用第1貫通孔が形成され、かつ当該第1端用第1貫通孔における上記第2端支持部側の一部分を含んで短手方向に沿って形成された第5折罫線及び当該第1端用第1貫通孔より上記第2端支持部側において短手方向に沿って形成された第6折罫線によって、第1端係止部及び第4底面部が連続して区画され、当該第5折罫線が山折りされ、かつ当該第6折罫線が谷折りされることによって、当該第4底面部が上記第1底面部及び上記第2底面部に重ねられ、当該第6折罫線に沿った一部が切断されることによって形成された突出片が上記第1貫通孔に係入されている。上記第2端支持部は、その中央部分が打ち抜かれて第2端用貫通孔が形成され、かつ当該第2端用貫通孔における上記第1端支持部側の一部分を含んで短手方向に沿って形成された第7折罫線及び当該第2端用貫通孔より上記第1端支持部側において短手方向に沿って形成された第8折罫線によって、第2端係止部及び第5底面部が連続して区画され、当該第7折罫線が山折りされ、かつ当該第8折罫線が谷折りされることによって、当該第5底面部が上記第1底面部及び上記第2底面部に重ねられ、当該第8折罫線に沿った一部が切断されることによって形成された突出片が上記第2貫通孔に係入されている。
【0010】
本発明に係る長尺部材収納用仕切りは、長方形のシートが折り曲げられて形成されるものなので、組み立てが容易である。また、直方体の収納箱と別体に形成されものなので、複数種の収納箱に共通して用いることができる。
【0011】
シートの長手方向に沿ってそれぞれ形成された第1折罫線、第2折罫線、第3折罫線及び第4折罫線によって、長手方向に沿って第1底面部、第1側面部、上面部、第2側面部、及び第2底面部が順次連続して区画されているので、シートが組み立てられた際に、底面及び側面が短手方向に切断されることなく長手方向へ連続した面をなすので、長尺部材用仕切りに歪みが生じにくい。
【0012】
接着箇所としては、第1底面部及び第2底面部が重ねられて貼り付けられるのみであるので、接着作業が極力少なくて済む。
【0013】
上面部が長手方向の中央部分において短手方向に切断されて、第1端支持部及び第2端支持部が長手方向の両側に分割されて形成されているので、収納される長尺部材を把持するに適した空間が中央部分に形成される。
【0014】
第1側面部及び第2側面部と連続する第1端支持部及び第2端支持部において、第1端係止部及び第2端係止部がそれぞれ形成されているので、収納される長尺部材を長手方向に対してしっかり係止することができる。
【0015】
第1端支持部及び第2端支持部は、各突出片が第1貫通孔及び第2貫通孔に係入されることによって第1底面部及び第2底面部と接続されるので、この部分の組み立てに接着作業は不要である。また、この接続によって第1端支持部及び第2端支持部の剛性が高められる。
【0016】
(2) 上記第1端支持部は、上記第1端用第1貫通孔よりシートの端側が打ち抜かれて第1端用第2貫通孔が形成され、当該第1端用第2貫通孔における上記第1端用第1貫通孔側の一部分を含んで短手方向に沿って形成された第9折罫線によって、上記第1端用第1貫通孔と当該第1端用第2貫通孔の間の一部分が上記第1底面及び上記第2底面側へ山折りされたものであってもよい。
【0017】
これにより、収納される長尺部材の第1端側を2カ所で係止することができる。
【0018】
(3) 上記収納箱は、上記上面部側において長尺部材を取り出し可能な大きさに開口されるものであってもよい。
【0019】
前述されたように、収納された長尺部材は、上面部側から中央部分を把持して取り出すことが容易なので、上面部側が開口される収納箱に対して好適に用いられる。
【0020】
(4) 上記長尺部材は、薬剤が予め充填された注射針付きの注射器であって、当該注射針側を上記第1端とし、当該注射器のプランジャ側を上記第2端とするものであり、当該注射器のシリンジバレルに形成されたフランジが、上記第2端係止部に長手方向の中央側から当接されるものが好適である。
【0021】
注射器のプランジャではなく、シリンジバレルのフランジが第2端係止部に係止されるので、プランジャに衝撃が直接的に加わることが抑制される。
【0022】
(5) 上記第2端用貫通孔は、上記プランジャの外形に沿った形状であり、当該プランジャの基端を長手方向に対して係止するものが好適である。
【0023】
シリンジバレルが係止され、かつプランジャも係止されるので、衝撃によってプランジャがシリンジバレルへ押し込まれることが一層抑制される。
【発明の効果】
【0024】
前述されたようにして、本発明によって、プレフィルドシリンジなどの長尺部材を収納するに好適であって、小型軽量かつ簡易な仕切りが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明の実施形態にかかる仕切り10を示す展開図である。
【図2】図2は、仕切り10が組み立てられた状態を示す斜視図である。
【図3】図3は、図1におけるIII-III切断線の断面構造を示す断面図である。
【図4】図4は、収納箱50の外観を示す斜視図である。
【図5】図5は、収納箱50が開封された状態を示す斜視図である。
【図6】図6は、プレフィルドシリンジ60の外観を示す斜視図である。
【図7】図7は、仕切り10にプレフィルドシリンジ60が位置決めされた状態を示す斜視図である。
【図8】図8は、仕切り10の変形例を示す展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。なお、本実施形態は本発明の一実施態様にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施態様を変更できることは言うまでもない。
【0027】
[仕切り10]
図1に示されるように、仕切り10は、長方形のシート20が折り曲げられて形成される。長方形の長辺の長さと短辺の長さとの比率は特に限定されず、収納すべき長尺部材に応じて適宜設定される。図1において、参照符号101が付された矢印によって示される方向が、仕切り10の長手方向101であり、参照符号102が付された矢印によって示される方向が仕切り10の短手方向102である。また、図1に現されている面が、シート20の表面であり、その反対側の面がシート20の裏面と称される。
【0028】
なお、本明細書において長方形とは正方形を含む概念であり、仮に正方形のシートが用いられるのであれば、隣接する2辺のいずれか一方に沿った方向が長手方向と解され、他方に沿った方向が短手方向と解される。
【0029】
シート20は、例えば紙や樹脂などからなる薄手の平らなものであるが、後述されるように打ち抜かれたり折り曲げられたりすることができるものであって、形状を維持できる剛性及び衝撃を適度に緩衝できる弾性を有するものであれば、特に素材は限定されない。
【0030】
シート20には、長手方向101に沿って第1折罫線11、第2折罫線12、第3折罫線13及び第4折罫線14がそれぞれ形成されている。図1に示されるように、これらは相互に平行であり、いずれもがシート20において対向する縁に渡って形成されている。
【0031】
シート20は、第1折罫線11、第2折罫線12、第3折罫線13及び第4折罫線14によって、第1底面部21、第1側面部22、上面部23、第2側面部24、及び第2底面部25に区画されている。第1折罫線11、第2折罫線12、第3折罫線13及び第4折罫線14には、折り曲げを容易にするための破断部がそれぞれ設けられている。
【0032】
第1底面部21、第1側面部22、上面部23、第2側面部24、及び第2底面部25は、短手方向102に沿って順次連続して並んでおり、シート20が第1折罫線11、第2折罫線12、第3折罫線13及び第4折罫線14に沿って折り曲げられることによって、図2に示されるように、仕切り10の上面、両側面、底面となる。第1底面部21、第1側面部22、上面部23、第2側面部24、及び第2底面部25は、それぞれが長手方向101に沿った長方形をなしている。第1底面部21、上面部23及び第2底面部25は、それぞれが概ね同じ大きさの長方形であり、また、第1側面部22と第2側面部24とは、概ね同じ大きさの長方形である。
【0033】
[第1底面部21及び第2底面部25]
図1から図3に示されるように、第1底面部21及び第2底面部25は、第1折罫線11、第2折罫線12、第3折罫線13及び第4折罫線14が山折りされることによって重ねられて貼り付けられる。なお、本明細書においてシート20の表面側が出隅となるような折り方が山折りと称され、シート20の表面側が入隅となるような折り方が谷折りと称される。第1底面部21及び第2底面部25は、いずれが外側となる重ね方であってもよいが、本実施形態においては、第2底面部25が外側となるように両者が重ねられる。また、図1において網掛けで示される領域が糊付部26であり、この糊付部26に糊などの接着剤が塗布されて、重ねられた第1底面部21と第2底面部25とが貼り付けられる。
【0034】
第1底面部21には、一対の貫通孔31,32が形成されており、第2底面部25には、一対の貫通孔37,38が形成されている。貫通孔31,32は、第1底面部21において、長手方向101の中央に対して左右対称に配置されている。各貫通孔31,32は、概ね三角形であり、中央側をその底辺として両者が対向されており、両縁側へ頂点が向かっている。貫通孔37,38は、第2底面部25において、長手方向101の中央に対して左右対称に配置されている。各貫通孔37,38は、概ね三角形であり、両縁側をその底辺とし、中央側へ頂点が向かって両者が対向されている。貫通孔31,37と貫通孔32,38とは、長手方向101の中央に対して対称となり、かつ第5折罫線15及び第7折罫線17がそれぞれ短手方向102に沿った方向へ延長された直線状に配置されている。貫通孔31,32と貫通孔37,38とは、第1底面部21及び第2底面部25が重ねられることによって、その一部がそれぞれ重複して、第1底面部21及び第2底面部25を厚み方向へ貫通する貫通孔を形成する。貫通孔31,37が本発明における第1貫通孔に相当し、貫通孔32,38が本発明における第2貫通孔に相当する。
【0035】
[上面部23]
上面部23は、長手方向101の中央が短手方向102に沿って第2折罫線12及び第3折罫線13に渡って切断されている。この切断によって、上面部23に、第1端支持部27及び第2端支持部28が長手方向101の両側に分割されて形成されている。また、第2折罫線12及び第3折罫線13の中央側における第5折罫線15から第7折罫線17に渡る一部が長手方向101に沿ってそれぞれ切断されている。
【0036】
[第1端支持部27]
第1端支持部27は、長手方向101の中央部分が打ち抜かれて第1端用第1貫通孔33が形成されている。第1端用第1貫通孔33は、長手方向101の中央側が半円より若干大きな円形をなしており、その円形において長手方向101の縁側へ開口された一部分が短手方向102に対して幅狭となっている。また、長手方向101の縁側が、短手方向102の両端が若干縁側へ突出する鈎形状をなしている。第1端用第1貫通孔33の円形は、収納すべきプレフィルドシリンジ60のノズル部63の断面形状に対応する。
【0037】
第1端用第1貫通孔33における第2端支持部28側、つまり長手方向101の中央側の一部分を含んで短手方向102に沿って第5折罫線15が形成されている。また、第1端用第1貫通孔33より第2端支持部28側、つまり長手方向101の中央側において短手方向102に沿って第6折罫線16が形成されている。第5折罫線15及び第6折罫線16によって、第1端係止部41及び第4底面部42が連続して区画されている。第5折罫線15が山折りされ、かつ第6折罫線16が谷折りされることによって、第4底面部42が第1底面部21及び第2底面部25に重ねられる。また、第6折罫線16に沿った一部が長手方向101の中央側へ膨出するように切断されている。この切断によって、第6折罫線16が谷折りされると、第1底面部21及び第2底面部25側へ突出する突出片43が形成される。この突出片43が貫通孔31,37に係入されることによって、第1端係止部41が第1底面部21及び第2底面部25に対して起立した状態に維持される。
【0038】
第1端支持部27は、第1端用第1貫通孔33より長手方向101の縁側が打ち抜かれて第1端用第2貫通孔34が形成されている。第1端用第2貫通孔34は、長手方向101に沿った楕円形である。第1端用第2貫通孔34の楕円形は、収納すべきプレフィルドシリンジ60の注射針61のキャップの断面形状に対応する。
【0039】
第1端用第2貫通孔34における第1端用第1貫通孔33側、つまり長手方向101の中央側の一部分を含んで短手方向102に沿って第9折罫線19が形成されている。第9折罫線19によって、第1端用第1貫通孔33と第1端用第2貫通孔34の間の一部分が第1底面部21及び第2底面部25側へ山折りされて、上面部23から第1底面部21及び第2底面部25へ向かって垂下される。
【0040】
[第2端支持部28]
第2端支持部28は、長手方向101の中央部分が打ち抜かれて第2端用貫通孔35が形成されている。第2端用貫通孔35は、長手方向101の中央側が半円より若干大きな円形をなしており、その円形において長手方向101の縁側へ開口された一部分が短手方向102に対して幅狭となっている。また、長手方向101の縁側が、短手方向102の両端が幅広となった形状をなしている。第2端用貫通孔35の円形は、収納すべきプレフィルドシリンジ60のプランジャ65における短手方向102に沿った断面形状に対応する。第2端用貫通孔35における円形より縁側の形状は、収納すべきプレフィルドシリンジ60のプランジャ65における長手方向102に沿った断面形状に対応する。
【0041】
第2端用貫通孔35における第1端支持部27側、つまり長手方向101の中央側の一部分を含んで短手方向102に沿って第7折罫線17が形成されている。また、第2端用貫通孔35より第1端支持部27側、つまり長手方向101の中央側において短手方向102に沿って第8折罫線18が形成されている。第7折罫線17及び第8折罫線18によって、第2端係止部44及び第5底面部45が連続して区画されている。第7折罫線17が山折りされ、かつ第8折罫線18が谷折りされることによって、第5底面部45が第1底面部21及び第2底面部25に重ねられる。また、第8折罫線18に沿った一部が長手方向101の中央側へ膨出するように切断されている。この切断によって、第8折罫線18が谷折りされると、第1底面部21及び第2底面部25側へ突出する突出片46が形成される。この突出片46が貫通孔32,38に係入されることによって、第2端係止部44が第1底面部21及び第2底面部25に対して起立した状態に維持される。
【0042】
[収納箱50]
仕切り10は、図4に示される収納箱50に挿入される。収納箱50は、仕切り10の長手方向101に長い直方体であり、その内部空間の幅及び奥行きが、仕切り10の幅及び奥行きとほぼ同等であり、内部空間の高さが、仕切り10の高さより大きい。したがって、収納箱50の内部空間には、高さ方向において若干隙間を有して仕切り10が収まる。収納箱50は、長手方向101の両端がそれぞれ開口されており、この開口のいずれか一方から仕切り10が挿入される。そして、仕切り10が挿入されると、各開口が小口部51によって閉鎖される。
【0043】
収納箱50の上面部52には、ジッパー53が形成されている。このジッパー53は、鈎状の切り目が所定間隔で形成されてなるものであり、開封方向103へ力が加えられることによって、切り目の間が引き裂かれる。上面部52と側面部54との山折りされた境界における長手方向101の中央には押し込み用の一対の切り目55が形成されている。一対の切り目55の間にユーザの指が挿入されることによって、ジッパー53における長手方向101の中央をユーザが挟み持つことができる。そして、その中央が開封方向103へ引き上げられることによって、図5に示されるように、ジッパー53に沿って上面部52の中央部分が開かれて、収納箱50が開口される。この開口の大きさは、後述されるプレフィルドシリンジ60を取り出し可能な大きさに設定されている。
【0044】
[プレフィルドシリンジ60]
図6に示されるように、プレフィルドシリンジ60は、仕切り10により位置決めされて収納箱50に収納される長尺部材である。プレフィルドシリンジ60は、薬剤が予め充填された注射針付きの注射器である。本明細書において、プレフィルドシリンジ60における注射針61側が第1端と称され、プランジャ65側が第2端と称される。
【0045】
プレフィルドシリンジ60は、円筒形状のシリンジバレル62を有する。各図には現れていないが、シリンジバレル62の内部空間は、中間ガスケットによって第1端側と第2端側の2部屋に区画されている。そして、各部屋において独立して摺動可能な2個のガスケットがそれぞれ液密に設けられている。また、各部屋には、粉末薬剤と薬液とがそれぞれ充填されている。使用に際しては、プランジャ65がシリンジバレル62に押し込まれることによって、各ガスケットが摺動されて粉末薬剤と薬液とが混合されるが、この機能は本発明の要旨をなすものではないので、詳細な説明が省略される。なお、この機能については、例えば特開2007−185319号公報に詳述されている。
【0046】
シリンジバレル62の第1端側にはノズル部63が設けられている。このノズル部63に注射針61が装着されている。なお、各図においては、キャップがなされた注射針61が示されている。ノズル部63とシリンジバレル62との境界は、径方向外側へ膨らんだ段をなしている。
【0047】
シリンジバレル62の第2端側にはフランジ64が設けられている。フランジ64は、ユーザがプランジャ65を押し込む際に指を掛けるためのものであり、相反する径方向へ一対の羽根形状の突片が突出されてなる。
【0048】
プランジャ65は、第1端側において前述されたガスケットの一つと連結されたものであり、シリンジバレル62の内部空間に挿入可能な棒形状である。プランジャ65がユーザに操作されることによって、粉末薬剤と薬液が混合されたり、注射針61の先端から薬液が流出されたりする。プランジャ65の第2端(基端)には端板66が設けられている。端板66は円板であり、フランジ64と同様に、プランジャ65の軸67から径方向外側へ突出する。
【0049】
[仕切り10の使用方法]
仕切り10は、例えば、シート20の第2折罫線12が山折りされて第1底面部21の糊付部26に糊が塗布される。次に、第4折罫線14が山折りされて第1底面部21の表面に第2底面部25が重ねられる。そして、第1底面部21の表面と第2底面部25の裏面とが糊付部26の糊によって接着される。この状態でシート20は保管され、また出荷される。なお、シート20の第1折罫線11及び第3折罫線13がそれぞれ山折りされて、同様に第1底面部21と第2底面部25とが糊付けされてもよい。
【0050】
前述された状態で保管又は出荷されたシート20は、使用に際して、図2及び図3に示されるように、第1折罫線11、第2折罫線12、第3折罫線13及び第4折罫線14がそれぞれ約90°の角度をなすように山折りされて、直方体の筒形状とされる。次に、第5折罫線15が山折りされ、かつ第6折罫線16が谷折りされることによって、第4底面部42が第1底面部21及び第2底面部25に重ねられ、突出片43が貫通孔31,37に係入されることによって、第1端係止部41が第1底面部21及び第2底面部25に対して起立した状態に維持される。同様に、第7折罫線17が山折りされ、かつ第8折罫線18が谷折りされることによって、第5底面部45が第1底面部21及び第2底面部25に重ねられ、突出片46が貫通孔32,38に係入されることによって、第2端係止部44が第1底面部21及び第2底面部25に対して起立した状態に維持される。
【0051】
図7に示されるように、仕切り10に対してプレフィルドシリンジ60が、上面部23側から挿入されて、仕切り10により位置決めされる。詳細には、先ず、プレフィルドシリンジ60の注射針61が第1端支持部27の第1端用第2貫通孔34へ挿入され、その後、プランジャ65が第2端支持部28の第2端用貫通孔35へ挿入される。
【0052】
第1端支持部27において、注射針61及びノズル部63が第1端用第1貫通孔33へ挿入されて、第1端係止部41の長手方向101の縁側からノズル部63が当接する。これにより、ノズル部63が長手方向101の中央側へ移動することが制止されるとともに、第1端係止部41の変形によって、ノズル部63が長手方向101の中央側へ移動するような衝撃が緩衝される。
【0053】
第2端支持部28において、プランジャ65が第2端用貫通孔35へ挿入されて、第2端係止部44の長手方向101の中央側からフランジ64が当接する。これにより、フランジ部64が長手方向101の縁側へ移動することが制止されるとともに、第2端係止部44の変形によって、フランジ64が長手方向101の縁側へ移動するような衝撃が緩衝される。
【0054】
また、第2端支持部28において、プランジャ65が第2端用貫通孔35へ挿入されることによって、長手方向101に対して、プランジャ65の端板66が第2端用貫通孔35とが係合する。これにより、プランジャ65が長手方向101へ移動することが制止される。
【0055】
前述されたようにして、仕切り10に位置決めされたプレフィルドシリンジ60が、仕切り10と共に収納箱50に挿入されて、収納箱50が封止される。そして、使用に際しては、収納箱50の上面部52の一部がジッパー53に沿って破断されることによって、仕切り10に収納されたプレフィルドシリンジ60の大部分が外側へ露出される。仕切り10において、長手方向101の中央部分には上面部23が存在しないので、ユーザは、上面部23が存在しない空間へ指を挿入して、シリンジバレル62を挟み持ってプレフィルドシリンジ60を上側へ引き上げることができる。収納箱50の上面部52は全てが開口されていないので、プレフィルドシリンジ60が引き上げられるに伴って、仕切り10が収納箱50から引き上げられることがない。
【0056】
[本実施形態の作用効果]
前述されたように、仕切り10は、長方形のシート20が折り曲げられて形成されるものなので、組み立てが容易である。また、収納箱50と別体に形成されものなので、複数種の収納箱50に共通して用いることができる。
【0057】
また、シート20が第1折罫線11、第2折罫線12、第3折罫線13及び第4折罫線14によって、長手方向101に沿って第1底面部21、第1側面部22、上面部23、第2側面部24、及び第2底面部25が順次連続して区画されているので、組み立てられた際に、仕切り10の底面及び側面が短手方向102に切断されることなく長手方向101へ連続した面をなすので、仕切り10に歪みが生じにくい。
【0058】
また、第1底面部21及び第2底面部25が重ねられて糊付部26に塗布された糊によって貼り付けられるのみであるので、接着作業が極力少なくて済む。
【0059】
また、上面部23が長手方向101の中央部分において短手方向102に切断されて、第1端支持部27及び第2端支持部28が長手方向101の両側に分割されて形成されているので、プレフィルドシリンジ60を把持するに適した空間が仕切り10の中央部分に形成される。
【0060】
また、第1側面部22及び第2側面部23と連続する第1端支持部27及び第2端支持部28において、第1端係止部41及び第2端係止部44がそれぞれ形成されているので、プレフィルドシリンジ60を長手方向101に対してしっかり係止することができる。
【0061】
また、第1端支持部27及び第2端支持部28は、各突出片43,46が貫通孔31,32,37,38にそれぞれ係入されることによって第1底面部21及び第2底面部25と接続されるので、この部分の組み立てに接着作業は不要である。また、この接続によって第1端支持部27及び第2端支持部28の剛性が高められる。
【0062】
また、第1端支持部27に第1端用第2貫通孔34が形成されているので、プレフィルドシリンジ60の第1端側を2カ所で係止することができる。
【0063】
[変形例]
前述された実施形態では、第1底面部21と第2底面部25とがほぼ同じ大きさであり、第1底面部21に貫通孔31,32が形成され、第2底面部25に貫通孔37,38が形成されているが、図8に示されるように、第1底面部21が第2底面部25に対して小さく、糊付部26によって第1底面部21と第2底面部25とが糊付けされても、第1底面部21が第2底面部25の貫通孔37,38を覆わないのであれば、第1底面部21に貫通孔31,32が形成されなくともよい。
【符号の説明】
【0064】
10・・・仕切り
11・・・第1折罫線
12・・・第2折罫線
13・・・第3折罫線
14・・・第4折罫線
15・・・第5折罫線
16・・・第6折罫線
17・・・第7折罫線
18・・・第8折罫線
19・・・第9折罫線
20・・・シート
21・・・第1底面部
22・・・第1側面部
23・・・上面部
24・・・第2側面部
25・・・第2底面部
26・・・糊付部
27・・・第1端支持部
28・・・第2端支持部
31,37・・・貫通孔(第1貫通孔)
32,38・・・貫通孔(第2貫通孔)
33・・・第1端用第1貫通孔
34・・・第1端用第2貫通孔
35・・・第2端用貫通孔
41・・・第1端係止部
42・・・第4底面部
43・・・突出片
44・・・第2端係止部
45・・・第5底面部
46・・・突出片
50・・・収納箱
60・・・プレフィルドシリンジ(注射器)
61・・・注射針
62・・・シリンジバレル
64・・・フランジ
65・・・プランジャ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形のシートが折り曲げられて形成され、直方体の収納箱に挿入されるものであって、
シートの長手方向に沿ってそれぞれ形成された第1折罫線、第2折罫線、第3折罫線及び第4折罫線によって、長手方向に沿って第1底面部、第1側面部、上面部、第2側面部、及び第2底面部が順次連続して区画され、
上記第1底面部及び上記第2底面部は、各折罫線が山折りされることによって重ねられて貼り付けられ、当該第1底面部及び当該第2底面部が重ねられた状態で厚み方向へ貫通する第1貫通孔及び第2貫通孔が少なくともいずれか一方に形成されており、
上記上面部は、長手方向の中央部分において短手方向に切断され、かつ当該上面部を上記第1側面部及び上記第2側面部とそれぞれ区画する第2折罫線及び第3折罫線の一部が長手方向に沿ってそれぞれ切断されることによって、第1端支持部及び第2端支持部が長手方向の両側に分割されて形成されており、
上記第1端支持部は、その中央部分が打ち抜かれて第1端用第1貫通孔が形成され、かつ当該第1端用第1貫通孔における上記第2端支持部側の一部分を含んで短手方向に沿って形成された第5折罫線及び当該第1端用第1貫通孔より上記第2端支持部側において短手方向に沿って形成された第6折罫線によって、第1端係止部及び第4底面部が連続して区画され、当該第5折罫線が山折りされ、かつ当該第6折罫線が谷折りされることによって、当該第4底面部が上記第1底面部及び上記第2底面部に重ねられ、当該第6折罫線に沿った一部が切断されることによって形成された突出片が上記第1貫通孔に係入されており、
上記第2端支持部は、その中央部分が打ち抜かれて第2端用貫通孔が形成され、かつ当該第2端用貫通孔における上記第1端支持部側の一部分を含んで短手方向に沿って形成された第7折罫線及び当該第2端用貫通孔より上記第1端支持部側において短手方向に沿って形成された第8折罫線によって、第2端係止部及び第5底面部が連続して区画され、当該第7折罫線が山折りされ、かつ当該第8折罫線が谷折りされることによって、当該第5底面部が上記第1底面部及び上記第2底面部に重ねられ、当該第8折罫線に沿った一部が切断されることによって形成された突出片が上記第2貫通孔に係入されてなる長尺部材収納用仕切り。
【請求項2】
上記第1端支持部は、上記第1端用第1貫通孔よりシートの端側が打ち抜かれて第1端用第2貫通孔が形成され、当該第1端用第2貫通孔における上記第1端用第1貫通孔側の一部分を含んで短手方向に沿って形成された第9折罫線によって、上記第1端用第1貫通孔と当該第1端用第2貫通孔の間の一部分が上記第1底面及び上記第2底面側へ山折りされたものである請求項1に記載の長尺部材収納用仕切り。
【請求項3】
上記収納箱は、上記上面部側において長尺部材を取り出し可能な大きさに開口されるものである請求項1又は2に記載の長尺部材収納用仕切り。
【請求項4】
上記長尺部材は、薬剤が予め充填された注射針付きの注射器であって、当該注射針側を上記第1端とし、当該注射器のプランジャ側を上記第2端とするものであり、当該注射器のシリンジバレルに形成されたフランジが、上記第2端係止部に長手方向の中央側から当接されるものである請求項1から3のいずれかに記載の長尺部材収納用仕切り。
【請求項5】
上記第2端用貫通孔は、上記プランジャの外形に沿った形状であり、当該プランジャの基端を長手方向に対して係止するものである請求項4に記載の長尺部材収納用仕切り。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−93584(P2011−93584A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−251130(P2009−251130)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(391019500)朝日印刷株式会社 (70)
【出願人】(000135036)ニプロ株式会社 (583)
【Fターム(参考)】