説明

長時間作用型催眠剤と短時間作用型催眠剤との組合せ、およびその治療上の使用

本発明は、睡眠障害の治療のためのGABA−A受容体モジュレーター、ベンゾジアゼピン、フェノチアジン、メラトニン誘導体およびメラトニン受容体アゴニストから選択される短時間作用型催眠剤と;GABA−A受容体モジュレーター、ベンゾジアゼピン、5HT2A受容体アンタゴニストおよびカルシウムイオンモジュレーターから選択される長時間作用型催眠剤との組合せに関する。また、本発明は、前記組合せを含むガレヌス製剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種の長時間作用型催眠剤と少なくとも1種の短時間作用型催眠剤との組合せに関する。また、本発明は、これを含む組成物およびこの治療上の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
作用の様式および持続時間が異なるいくらかの数の催眠剤が、長年にわたり開発されている。
【0003】
催眠剤の第1のカテゴリーは、作用持続時間の短い催眠剤からなる。以下の文章において、「短時間作用型催眠剤」という用語は、主に睡眠導入剤として作用する化合物(すなわち、睡眠相に入るための時間に作用する化合物)を意味する。
【0004】
したがって、ゾルピデムは、GABA−A受容体モジュレーターとして作用する短時間作用型催眠剤である。ゾルピデムは、イミダゾピリジンのクラスに属し、即時放出錠剤の形態または遅延放出を可能にするガレヌス形態で経口投与される。
【0005】
ゾルピデムは、迅速に作用し、良好に吸収され、生物学的利用率が70%である。従来の配合における5mgから10mgまでの平均用量により、0.5時間から3時間で最大血漿濃度に達し、半減期は平均値が2.4時間と短く、作用持続時間は最高6時間までの範囲に及ぶ。
【0006】
他の短時間作用型催眠剤の例は、ピラゾロピリミジンのクラスに属するザレプロン、シクロピロロンのクラスに属するゾピクロンおよびエスゾピクロン、ならびにその誘導体である。
【0007】
長時間作用型催眠剤も開発されている。以下の文章において、「長時間作用型催眠剤」という用語は、主に睡眠(特に、深睡眠相)の質および/または維持に作用する化合物を意味する。
【0008】
そのような長時間作用型催眠剤は、例えば、エプリバンセリンである。エプリバンセリンは、ドーパミンを遮断することなく作用する5HT2A受容体阻害薬である。エプリバンセリンおよびその調製法は、特に文書EP−A−0373998に記載されている。
【0009】
また、エプリバンセリンは、生物学的利用率が80%で良好に吸収される。従来の用量(1mgと10mgの間)により、2時間から6時間で最大血漿濃度に達し、半減期は比較的長く、平均値が50時間である。
【0010】
他の長時間作用型催眠剤は、例えば、ガボキサドールおよびプレガバリン、さらにその誘導体である。
【0011】
上記の催眠剤は、睡眠障害(特に、不眠症)の治療を可能にする。しかし、短時間作用型催眠剤は、主に睡眠相への移行に対して作用するが、長時間作用型催眠剤は、むしろ深睡眠相に対して作用する。
【0012】
さらに、催眠剤は、特に高用量で投与すると、覚醒期間に負の影響(特に薬剤の服用後の影響)を及ぼす。
【0013】
したがって、睡眠の修復を誘発または維持することができ、このことが低用量でできる組成物を入手できることが依然として望まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、短時間作用型催眠剤と長時間作用型催眠薬との作用を組み合わせることを可能にする組合せを提案し、さらに患者の覚醒相に対する負の作用なしに、睡眠の質ならびに短時間作用型催眠剤および長時間作用型催眠薬のそれぞれの作用を向上させることにより、この障害を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
したがって、本発明の第1の対象は、2種の催眠剤の組合せに関する。
【0016】
本発明の別の対象は、2種の催眠剤の組合せを含む医薬組成物に関する。
【0017】
本発明の別の対象は、薬剤を調製するためのこの組合せの使用に関する。
【0018】
第1の態様によれば、本発明は、2種の催眠剤の組合せに関する。
【0019】
本発明の組合せは、少なくとも1種の短時間作用型催眠剤および少なくとも1種の長時間作用型催眠剤を含む。
【0020】
一実施形態によれば、短時間作用型催眠剤は、即時または持続放出に適したガレヌス形態で存在し、長時間作用型催眠剤は、即時放出に適したガレヌス形態で存在する。
【発明の効果】
【0021】
短時間作用型催眠剤と長時間作用型催眠剤との組合せが、患者の睡眠に対して有益な作用をもたらすことを可能にし、この作用が、個々に考慮した2種の催眠剤のそれぞれの作用より大きいことが明確に発見されている。
【0022】
本発明の第1の態様によれば、短時間作用型催眠剤および長時間作用型催眠剤は、即時に放出される。次に、2種の薬剤は、それぞれの薬物動態学的特性によって血漿中に出現する。したがって、短時間作用型催眠剤は、長時間作用型催眠剤の前に血漿中に出現する。
【0023】
本実施形態によれば、各薬剤は、2種の薬剤間の相乗効果と共に、この作用機序を発揮する。
【0024】
本発明の第2の態様によれば、短時間作用型催眠剤は、持続的様式で放出され、長時間作用型催眠剤は即時に放出される。本実施形態によれば、短時間作用型催眠剤の作用時間は、血漿中の滞留時間が増加するに伴い増加する。したがって、2種の薬剤は、再度、相乗効果と共に、同時に作用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の状況で使用することができる短時間作用型催眠剤の例は、特にGABA−A受容体モジュレーター、ベンゾジアゼピン、フェノチアジン、メラトニン誘導体およびメラトニン受容体アゴニストである。
【0026】
例えば、短時間作用型催眠剤は、特にゾルピデム、ゾピクロン、エスゾピクロン、ザレプロン、メラトニン、ラメルテオン、トリアゾラム、エチゾラム、ブロチゾラムおよびインディプロン、さらにその誘導体および/または混合物から選択することができる。
【0027】
本発明の状況で使用することができる長時間作用型催眠剤の例は、特に5HT2A受容体アンタゴニスト、GABA−A受容体モジュレーター、ベンゾジアゼピンおよびカルシウムイオンモジュレーターである。
【0028】
例えば、長時間作用型催眠剤は、特にエプリバンセリン、テマゼパム、クロナゼパム、ガボキサドールおよびプレガバリン、さらにその誘導体および/または混合物から選択することができる。
【0029】
上記の短時間作用型または長時間作用型催眠剤は、1つまたは複数の不斉炭素原子を含むことができる。したがって、これらはエナンチオマーまたはジアステレオマーの形態で存在することができる。これらのエナンチオマーおよびジアステレオマー、さらにラセミ混合物を含むその混合物は、本発明の一部を成す。
【0030】
また、上記の短時間作用型または長時間作用型催眠剤は、塩基または酸付加塩の形態で存在することができる。そのような付加塩は、本発明の一部を成す。
【0031】
これらの塩は、薬学的に許容される酸により調製することができる。
【0032】
また、上記の短時間作用型または長時間作用型催眠剤は、水和物または溶媒和物の形態、すなわち1つもしくは複数の水分子または溶媒との会合または組合せの形態で存在することができる。そのような水和物および溶媒和物も、本発明の一部を成す。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、組合せは、短時間作用型催眠剤として、特にヘミ酒石酸塩形態のゾルピデム、および長時間作用型催眠剤として、特にフマル酸塩形態のエプリバンセリンを含む。
【0034】
別の態様によれば、本発明は、少なくとも1種の短時間作用型催眠剤および少なくとも1種の長時間作用型催眠剤を有効成分として含む医薬組成物に関する。本発明の医薬組成物は、少なくとも1種の短時間作用型催眠剤および少なくとも1種の長時間作用型催眠剤、または薬学的に許容されるこれら薬剤の塩、前記薬剤の水和物もしくは溶媒和物の有効量、さらに少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0035】
賦形剤は、当業者に公知の通常の賦形剤から、薬剤形状および所望の投与方法に従って選択される。
【0036】
短時間作用型催眠剤および長時間作用型催眠剤は、上記の薬剤から選択することができる。
【0037】
本発明の医薬組成物は、睡眠障害を治療および予防するために適している。
【0038】
この特許出願の状況において、「睡眠障害」という用語は、特に睡眠異常、過眠症、睡眠時異常行動、睡眠時無呼吸、不眠症、原発性不眠症、睡眠持続障害不眠症、精神病に関連した不眠症、およびカフェイン、アルコール、アンフェタミン、オピオイドまたは抗不安薬などの薬物によって誘発される不眠症を意味する。
【0039】
適切な単位投与形態は、特に、核を有する被覆多層錠剤、軟または硬ゼラチンカプセル、粉末、顆粒および経口溶剤または懸濁液など経口経路形態、ならびに舌下または口腔投与形態を含む。
【0040】
一実施形態によれば、本発明による組成物中に存在している長時間作用型催眠剤および短時間作用型催眠剤は、即時に放出される。
【0041】
別の実施形態によれば、本発明による組成物中に存在している長時間作用型催眠剤は、即時に放出され、短時間作用型催眠剤は、持続的様式で放出される。
【0042】
即時放出種は、医薬生成物の即時放出単位(例えば、即時放出の錠剤もしくはゲルカプセル)、またはゲルカプセル;錠剤の即時放出マトリックス;多層錠剤に組み込まれた即時放出層;錠剤もしくはペレットの1つもしくは複数の被覆層に配合された錠剤の形態における、これら単位のいくつかからなることができる。
【0043】
持続放出種は、医薬生成物の持続放出単位(例えば、持続放出の錠剤もしくはゲルカプセル);またはゲルカプセル;多層錠剤に組み込まれた持続放出層;持続放出核もしくは多被覆錠剤に組み込まれた被覆層;崩壊錠剤(disintegrating tablet)内の持続放出ペレットに配合されたこれら単位のいくつかからなることができる。
【0044】
長時間作用型催眠剤および短時間作用型催眠剤は、本発明により、単一の医薬組成物、または代わりに同時、分割もしくは連続投与のために分割した医薬組成物に配合することができる。
【0045】
経口経路を通して、本発明による組成物内に存在する有効成分の用量は、長時間作用型催眠剤が約0.1から約30mgの範囲、短時間作用型催眠剤が約0.1から約30mgの範囲である。
【0046】
例えば、本発明による組成物は、塩基型のエプリバンセリン約0.2から約15mg、特に1から10mgを含み、塩基型のゾルピデム約0.2から約20mg、特に1から10mgを含む。
【0047】
より高い用量または低い用量が適切である特殊な場合が存在する可能性があり;そのような用量は、本発明の範囲を逸脱しない。一般の慣例によれば、各患者に適した用量は、投与方法、前記患者の体重および反応によって医師により決定される。
【0048】
本発明による組成物の第1の実施形態は、短時間作用型催眠剤を含む1種または複数の即時放出錠剤、および長時間作用型催眠剤を含む1種または複数の即時放出錠剤を含むゲルカプセルからなる。
【0049】
本発明による組成物の別の実施形態は、短時間作用型催眠剤を含む1種または複数の持続放出錠剤、および長時間作用型催眠剤を含む1種または複数の即時放出錠剤を含むゲルカプセルからなる。
【0050】
本発明による組成物の別の実施形態は、短時間作用型催眠剤の即時放出ペレットと長時間作用型催眠剤の即時放出ペレットとの混合物を含むゲルカプセルからなる。
【0051】
本発明による組成物の別の実施形態は、短時間作用型催眠剤の持続放出ペレットと長時間作用型催眠剤の即時放出ペレットとの混合物を含むゲルカプセルからなる。
【0052】
本発明による組成物の別の実施形態は、短時間作用型催眠剤および長時間作用型催眠剤の即時放出ペレットを含む錠剤からなる。
【0053】
本発明による組成物の別の実施形態は、短時間作用型催眠剤の持続放出ペレットおよび長時間作用型催眠剤の即時放出ペレットを含む錠剤からなる。
【0054】
本発明による組成物の別の実施形態は、長時間作用型催眠剤の即時放出ペレットおよび短時間作用型催眠剤の即時放出ペレットを含む持続放出腸溶性錠剤からなる。
【0055】
本発明による組成物の別の実施形態は、短時間作用型催眠剤を含む持続放出内核および長時間作用型催眠剤を含む即時放出被覆層を含む有核錠剤からなる。
【0056】
本発明による組成物は、当業者に公知の方法に従って調製することができる。
【0057】
したがって、長時間作用型催眠剤を含む1つまたは複数の少量の即時放出錠剤、および短時間作用型催眠剤を含む1種または複数の少量の即時放出錠剤を含むゲルカプセルを、以下の方法で調製することができる。
【0058】
即時放出錠剤を、塩基または塩の形態の有効成分と微結晶性のセルロース、マンニトール、ソルビトールまたはラクトースなどの希釈剤との混合物の直接圧縮によって調製することができる。崩壊剤または潤滑剤などの他の賦形剤を加えてもよい。
【0059】
これら機能的賦形剤およびこれら希釈剤の選択は、当業者に周知である。
【0060】
別の実施形態によれば、錠剤を、有効成分と適切な希釈剤、崩壊剤および結合性ポリマーとの混合物の水または溶媒による顆粒化、続いて得られた顆粒のキャリブレーションおよび乾燥ならびに潤滑剤の添加、続いて打錠機による圧縮によって調製することができる。
【0061】
使用される方法は、一般に文献(例えば、B.B.Sheth,F.J.Bandelin,R.JF.Shangraw,Compressed Tablets,in Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,Vol 1,H.A.Lieberman and L Lachman編,Dekker N,Y.(1980))に記載の方法である。
【0062】
長時間作用型催眠剤を含む1種または複数の少量の即時放出錠剤、および短時間作用型催眠剤を含む1種または複数の少量の持続放出錠剤を含むゲルカプセルを、以下の方法で調製することができる。
【0063】
短時間作用型催眠剤を含む持続放出錠剤を、上記のように即時放出錠剤を制限拡散(limited−diffusion)ポリマー被覆で被覆することにより調製することができる。
【0064】
この目的のためのポリマーは、エチルセルロースコポリマー、さらにEudragit(商標)RS(登録商標)、Eudragit(商標)RL(登録商標)およびEudragit(商標)NE(登録商標)という名称の下で販売されている製品などのメタクリル酸メチルポリマーから選択することができる。
【0065】
被覆方法は、被覆機または流動床装置においてポリマー溶液を錠剤に吹き付けることにある。
【0066】
溶媒は、用いられるポリマーの性質によって有機または水性とすることができる。被覆方法は、特にJ.M.Bakan,Microencapsulation,in L.Lachman,H.Lieberman and J.L.Kanig(編)、The Theory and Practice of Industrial Pharmacy,Lea&Febinger,Philadelphia,USA,1986;J.M.Mc Ginity,Aqueous Polymer Coatings for Pharmaceutical Dosage Forms,Dekker NY,1989に記載されている。
【0067】
また、持続放出錠剤を、崩壊剤なしにマトリックス形成賦形剤を配合物に取り込むことによって調製することができる。マトリックス形成賦形剤の例は、親水性ポリマー、特にヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースであり、これらは水性液と接触させると膨張し、膨張したポリマーネットワークを通して有効成分の放出を制御することができる。そのような賦形剤は、重量パーセントとして表すと、錠剤の総重量に対して約10%から約30%の量で使用する。
【0068】
また、マトリックス形成賦形剤は、水素添加ヒマシ油またはカルナウバろうなどの脂質物質でよく、これらを重量パーセントとして表すと、錠剤の総重量に対して約10%から約40%の量で使用する。
【0069】
持続放出錠剤は、塩基性の有効成分の場合、小腸の中性pH状態の下で溶解中に錠剤のpHを維持するために、以下に示すものから選択される薬学的に許容される有機酸と配合することができる。
【0070】
使用することができる有機酸の例は、ラセミ体または異性体の形態の、マレイン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、乳酸、クエン酸、アジピン酸およびコハク酸、ならびに存在する場合は、その酸性塩を含む。
【0071】
長時間作用型催眠剤と短時間作用型催眠剤の即時放出ペレットの混合物を含むゲルカプセルは、以下の方法で調製することができる。
【0072】
長時間作用型催眠剤と短時間作用型催眠剤の即時放出ペレットは、水中に懸濁した有効成分を、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースにより、またはエタノール、ポビドンもしくは結合剤として作用する適切な他のポリマーなどの有機溶剤中で、球状顆粒へ沈着させることによって調製することができる。
【0073】
流動床被覆装置は、一般に用いられている。
【0074】
粒子を、高速造粒機−撹拌機または流動床回転アグロメレーター(agglomerator)において凝集させて、球状顆粒またはペレットを形成させる。
【0075】
そのような方法は、K.W.Olson,A.M.Mehta,Int.J.Phar.Tech&Prod.Mfr.6 18−24,1985に記載されている。また、ペレットは、例えば、C.Vervaet,L.Baert&J.P.Remon,Int.J.Pharm.116 (1995) 131−146に記載のように、バルクまたは湿式溶解押し出し成形(wet−melt extrusion)と、これに引き続く球形化によって調製することができる。
【0076】
使用する賦形剤は、一般的に微結晶性のセルロースおよびマンニトールなどの良好な可塑性特性を有する賦形剤である。少量のポリマー結合剤を一般に加える。また、ドデシル硫酸ナトリウムなどの界面活性物質を、押し出し成形を促進するために組み入れてもよい。
【0077】
長時間作用型催眠剤の即時放出ペレットと、短時間作用型催眠剤の持続放出ペレットとの混合物を含むゲルカプセルを、以下の方法で調製することができる。
【0078】
即時放出ペレットを、上記のように調製することができる。
【0079】
持続放出ペレットは、塩基性の有効成分の場合、小腸の中性状態の下で溶解全体を通してペレット内の局部的pHを維持するために、薬学的に許容される有機酸またはそのような有機酸の酸性塩を含むことができる。
【0080】
代わりに、ペレットを、中性pHで可溶性であり、酸性pHで不浸透性であるポリマー(例えば、製品Eudragit(商標)S(登録商標))を含むpH感受性膜で被覆することができる(これらは、5以上のpH値で有効成分の浸透を向上させ、これらのpH範囲での成分の溶解度の減少を補う。)。
【0081】
長時間作用型催眠剤および短時間作用型催眠剤のいくつかの即時放出ペレットを含む錠剤を、以下の方法で調製することができる。
【0082】
様々なペレットを、マトリックスに埋め込むか、またはマトリックス自体に催眠剤の1つを含めることができる。
【0083】
錠剤は、これらが液体と接触している間に崩壊し、即時放出ペレットまたは即時放出ペレットの被覆から、有効成分を迅速に放出する。
【0084】
長時間作用型催眠剤の、1種または複数の即時放出ペレットおよび短時間作用型催眠剤の、1種または複数の持続放出ペレットを、以下の方法で調製することができる。
【0085】
1)錠剤は、何も有効成分を含まないマトリックスに包埋した、活性成分を含む即時放出ペレットと持続放出ペレットとの混合物からなる。
【0086】
2)代わりに、2種の催眠剤を含むペレットを、それ自体が2種の治療剤のうちの1種を含むマトリックスに包埋することができる。
【0087】
別の形態によれば、有効成分の含まれないマトリックスに包埋された、持続放出ペレットを、有効成分および賦形剤を含む層で被覆して、この被覆層からの即時放出を可能にすることができる。
【0088】
ペレットを包囲しているマトリックスを、錠剤への圧縮がペレットを包囲している膜の完全性を妨げないように配合する。
【0089】
錠剤は、液体と接触している間に崩壊し、マトリックスもしくは即時放出ペレットから、または即時放出ペレットの被覆から長時間作用型薬剤を迅速に放出し、次に持続放出ペレットから短時間作用型薬剤を放出する。
【0090】
また、本発明の医薬組成物を、多層錠剤の形態にすることができる。
【0091】
そのような多層錠剤は、
1つまたは複数の即時放出層(各層は長時間作用型催眠剤の用量および場合によって短時間作用型催眠剤の用量を含む。);
1つまたは複数の持続放出層(各層は短時間作用型催眠剤の用量を含む。);および
場合によって追加的層[有効成分を含まないが、親水性ポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースもしくはヒドロキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体)または可溶性希釈剤(例えば、ラクトース、ソルビトールまたはマンニトール)、1種もしくは複数の他の親水性ポリマーおよび/または1種もしくは複数の他の可溶性賦形剤を含み、この層が持続放出層からの有効成分の放出を調節する。]を含む。
【0092】
各層は、錠剤の良好な圧縮、潤滑および結合を可能にするために他の賦形剤を場合によって含む。
【0093】
他の実施形態は、短時間作用型催眠剤と場合によって薬学的に許容される有機酸を含む核からなる。核は、液体との接触後、迅速または直ちに放出される長時間作用型催眠剤を含むポリマーの層で被覆され、一方、短時間作用型催眠剤は核から放出される。
【0094】
場合によって、核および被覆層を、結腸内において放出させるように配合することができる。
【0095】
多被覆錠剤の各成分は、良好な圧縮、潤滑および結合を可能にするために他の賦形剤を含むことができる。多層錠剤および多被覆錠剤を調製するための工程は、特にW.C.Gunsel,Compression coated and layer tablets in pharmaceutical dosage forms:tablets,Vol 1,H.A.Lieberman and L.Lachman編,Dekker N.Y.(1980)に記載されている。
【実施例1】
【0096】
GABA受容体モジュレーターと5HT2A受容体阻害薬との組合せの睡眠に及ぼす作用に関する試験。
【0097】
本試験のために、各群が5から9匹のラットを含む4群のオスのSD系ラットを使用する。
【0098】
A群には、3mg/kg p.o.(経口投与)の用量でエプリバンセリン(経口経路、ヘミフマレート)を投与する。
【0099】
B群には、3mg/kg p.o.の用量でゾルピデム(経口経路、ヘミ酒石酸塩)を投与する。
【0100】
C群には、エプリバンセリンヘミフマレート3mg/kg p.o.とヘミ酒石酸ゾルピデム3mg/kgとの組合せで投与(経口)し、2種の化合物は、5分間隔で投与する。
【0101】
最後に、D群には、10mg/kg p.o.の用量でゾルピデム(経口経路、ヘミ酒石酸塩)を投与する。
【0102】
データを0日目(対照日)(この日には動物に溶媒(蒸留水およびメチルセルロース)のみ与える。)および1日後(この日には動物に有効成分を与える。)に記録する。
【0103】
データを日ごとに6時間記録し、有効成分は記録開始15分前に投与する。
【0104】
得られた結果を表Iに示す。
【0105】
【表1】

【0106】
表Iにおいて、特に明記しない限り、結果は、溶媒のみを投与している対照群と比較した割合として表している。
NREM:ノンレム眼球運動。
睡眠の持続時間:6時間の記録の間の総睡眠持続時間。
NREM睡眠の持続期間:6時間の記録の間の総NREM睡眠持続時間。
NREM睡眠の出現時間のずれ:記録開始から最初のNREM睡眠期間の瞬間までを計測した時間。
NREM睡眠期間の平均持続時間:NREM睡眠の持続期間/6時間の記録中のNREM睡眠期間の数
上記の表Iから、エプリバンセリン3mg/kgの経口量は、睡眠の持続時間またはNREM睡眠の持続時間のいずれに対しても効果を示さないが、NREM睡眠期間の平均持続時間の増加(およびNREM睡眠期間の平均数の減少)を引き起こすことが認められる。
【0107】
3mg/kgの用量のゾルピデムは、NREM睡眠期間の平均数の増加を除き、いずれの睡眠変数に対しても統計的に有意な効果を示さない。
【0108】
3mg/kgのエプリバンセリンと3mg/kgのゾルピデムとの組合せは、NREM睡眠期間の平均持続時間の強い増加に関連するNREM睡眠時間の増加を引き起こすが、NREM睡眠期間の平均数は、実質的に変化しないままである。催眠作用は、ラットにおいて約3時間持続する。
【0109】
エプリバンセリンとゾルピデムとの用量の組合せは、これらを個々に用いると効果は見られないが、高用量ゾルピデムの単独使用で観察される作用と同様に、これにより、ラットで顕著な催眠作用を得ることが可能になる。
【0110】
さらに、エプリバンセリンによる5HT2A受容体の遮断は、NREM睡眠期間の平均持続時間の増加によって示されるように、NREM睡眠相の維持を促進する。
【0111】
したがって、本発明の組合せは、睡眠の誘導および質に対する正の効果を得ることを可能にするが、この効果は、単一の催眠剤では、たとえ高用量であっても得ることはできない。
【実施例2】
【0112】
エプリバンセリンおよびゾルピデムを含むゲルカプセルの調製
小型錠剤の形態で、長時間作用型催眠剤として1.18mgの用量のフマル酸エプリバンセリンおよび短時間作用型催眠剤として6.22mgの用量のヘミ酒石酸ゾルピデムを含むゲルカプセルを、以下のように調製する。
【0113】
エプリバンセリン錠剤は、以下の表II示す成分を含む。
【0114】
【表2】

【0115】
フマル酸エプリバンセリン、ラクトース一水和物、ゼラチン化デンプン、ナトリウムクロスカルメロースおよびステアリン酸ナトリウムの混合物を、最初に調製する。次に、この混合物をバイコニカル(biconical)撹拌機に30分間かける。次に、均一混合物を、標準のロータリー式打錠機を用いて、50mg錠剤の形態に圧縮する。
【0116】
ヘミ酒石酸ゾルピデム錠剤は、以下の表IIIで示す組成を有する。
【0117】
【表3】

【0118】
ヘミ酒石酸ゾルピデム、ラクトース、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびカルボキシルメチルセルロースナトリウムを、一緒に混合し、次に混合物を水で顆粒化する。次に顆粒を乾燥させ、キャリブレーションする。次に顆粒を、ステアリン酸マグネシウムと混合し、ロータリー式打錠機を用いて、60mg/錠剤の質量に圧縮する。
【0119】
次に、1.18mgの用量のフマル酸エプリバンセリンおよび6.42mgの用量のヘミ酒石酸ゾルピデムを含む錠剤を、硬ゼラチンゲルカプセル内に挿入する。
【0120】
ゲルカプセルの溶解プロフィールを、2種の溶媒と共に、米国薬局方の機械II
(machine II)を用いることにより測定することができる。
【0121】
0.01M塩酸900mlおよび
撹拌しながら(50rpm)、37±0.5℃で維持したpH6.8の0.05Mリン酸カリウム緩衝液900ml。
【実施例3】
【0122】
即時放出エプリバンセリン錠剤および持続放出ゾルピデム錠剤を含むゲルカプセルの調製。
【0123】
即時放出フマル酸エプリバンセリン錠剤を、上記の実施例2に記載の工程に従って調製する。
【0124】
持続放出ヘミ酒石酸ゾルピデム錠剤を、上記の実施例2に記載の工程に従って調製して、以下の表IVに示す組成を有する錠剤を得る。
【0125】
【表4】

【0126】
上記の実施例2のヘミ酒石酸ゾルピデムについて記載した方法と同一の湿式造粒および圧縮方法を使用する。塩基のゾルピデム5mg(ヘミ酒石酸ゾルピデム6.22mgに相当)を含む1種または複数の50mg持続放出錠剤、および塩基のエプリバンセリン1mg(フマル酸エプリバンセリン1.18mgに相当)を含む1種または複数の50mg即時放出錠剤を含むゲルカプセルを調製する。
【0127】
このようにして調製されたゲルカプセルのin vitroにおける溶解プロフィールは、上記の実施例2に記載の方法を使用することによって確立することができる。
【実施例4】
【0128】
即時放出エプリバンセリンペレットと即時放出ゾルピデムペレットとの混合物を含むゲルカプセルの調製。
【0129】
エタノール670g中でフマル酸エプリバンセリン59g(塩基のエプリバンセリン50gに相当)およびポビドン100g(プラドン(Pladone)K29/32、BASF)の懸濁液を調製する。次にこの懸濁液750gを、流動床乾燥機を用いて、大きさ16〜18メッシュの微粒剤1060g上へ噴霧する。
【0130】
次にエタノール670g中でゾルピデム酒石酸塩62.2g(塩基のゾルピデム50gに相当)およびポビドン100g(プラドンK29/32、BASF)の懸濁液を調製する。次にこの懸濁液750gを、空気流動床乾燥機を用いて、大きさ16〜18メッシュの微粒剤1060g上へ噴霧する。
【0131】
2種のペレットの混合物を、酒石酸ゾルピデム5重量部あたり、フマル酸エプリバンセリン1重量部の比率で調製する。この混合物を硬ゼラチンゲルカプセルに挿入し、総量で塩基型のエプリバンセリン1mg(フマル酸エプリバンセリン1.18mgに相当)および塩基型のゾルピデム5mg(酒石酸ゾルピデム6.22mgに相当)を得る。各ペレット量を、用量を調整するために変更することができる。
【0132】
このようにして調製されたゲルカプセルのin vitroにおける溶解プロフィールは、上記の実施例2に記載の方法を使用して確立することができる。
【実施例5】
【0133】
即時放出エプリバンセリンペレットと持続放出ゾルピデムペレットとの混合物を含むゲルカプセルの調製。
【0134】
即時放出フマル酸エプリバンセリンペレットを、上記の実施例4の記載のように調製する。
【0135】
ヘミ酒石酸ゾルピデムペレットを、上記の実施例4の記載のように調製する。
【0136】
溶液を、60/40イソプロパノール/アセトン混合物(重量/重量)1180gにメタクリレートコポリマー25g(Eudragit(商標)RL100、Rohm Pharma)、メタクリレートコポリマー143g(Eudragit(商標)RS100、Rohm Pharma)およびクエン酸エチル18.7g(Eudrafex(商標)、Rohm Pharma)を加えることによって調製する。
【0137】
ヘミ酒石酸ゾルピデムペレットを、流動床乾燥機内で噴霧することによって、このポリマー混合物で被覆し、被覆の最終量を、被覆されていないペレットの質量の20重量%とする。
【0138】
35℃で24時間のペレットの熟成後、1:2の比率(エプリバンセリン/ゾルピデム)で被覆ヘミ酒石酸ゾルピデムペレットとフマル酸エプリバンセリンペレットとの混合物を調製し、この混合物をゲルカプセルに挿入して、ゲルカプセルあたり塩基のエプリバンセリン5mgおよび塩基のゾルピデム10mgに相当する量を得る。
【0139】
このようにして調製されたゲルカプセルのin vitroにおける溶解プロフィールは、上記の実施例2に記載の方法を使用して確立することができる。
【実施例6】
【0140】
即時放出エプリバンセリンペレットおよび即時放出ゾルピデムペレットを含む錠剤の調製。
【0141】
フマル酸エプリバンセリンおよびヘミ酒石酸ゾルピデムペレットを、上記の実施例4に記載の方法に従って調製した。
【0142】
ヘミ酒石酸ゾルピデム2重量部あたりフマル酸エプリバンセリン1重量部の重量比の2種のペレットの混合物を、調製し、ステアリン酸マグネシウム0.1%を加える。次に、この混合物をバイコニカル撹拌機に30分間かける。
【0143】
次に、均一混合物を、標準のロータリー式打錠機を用いて錠剤にし、フマル酸エプリバンセリン5.9mg(塩基型のエプリバンセリン5mgに相当)およびヘミ酒石酸ゾルピデム12.44mg(塩基型のゾルピデム10mgに相当)を含む錠剤を得る。
【0144】
このようにして調製されたゲルカプセルのin vitroにおける溶解プロフィールは、上記の実施例2に記載の方法を使用することによって確立することができる。
【実施例7】
【0145】
即時放出エプリバンセリンペレットおよび持続放出ゾルピデムペレットを含む錠剤の調製。
【0146】
即時放出フマル酸エプリバンセリンペレットを、実施例4に記載の工程に従って調製し、持続放出ゾルピデムペレットを実施例5に記載の工程に従って調製する。
【0147】
ヘミ酒石酸ゾルピデム6重量部あたりフマル酸エプリバンセリン2重量部の重量比の2種のペレットの混合物を調製し、ステアリルフマル酸マグネシウムの0.2%を加える。次に、この混合物をバイコニカル撹拌機に30分間移す。次に、均一混合物を、標準のロータリー式打錠機を用いて錠剤にし、総量でフマル酸エプリバンセリン4.72mg(塩基のエプリバンセリン4mgに相当)およびヘミ酒石酸ゾルピデム14.93mg(塩基のゾルピデム12mgに相当)を含む錠剤を得る。
【0148】
このようにして調製されたゲルカプセルのin vitroにおける溶解プロフィールは、上記の実施例2に記載の方法を使用して確立することができる。
【実施例8】
【0149】
即時放出エプリバンセリンペレットおよび即時放出ゾルピデムペレットを含む持続放出腸溶性錠剤の調製。
【0150】
フマル酸エプリバンセリンおよびヘミ酒石酸ゾルピデムの両方を含む錠剤を、実施例6に記載の工程に従って調製する。
【0151】
次に錠剤を以下に記載の工程に従って被覆する。
【0152】
65/35イソプロパノール/アセトン混合物(重量/重量)2280g中でメタクリレートコポリマー46g(Eudragit(商標)RL100、Rohm Pharma)、メタクリレートコポリマー295g(Eudragit(商標)RS100、Rohm Pharma)およびクエン酸エチル40g(Eudrafex(商標)、Rohm Pharma)の溶液を調製する。
【0153】
フマル酸エプリバンセリン3.93mgおよびヘミ酒石酸ゾルピデム12.44mgを含む錠剤を、「被覆パン(coating pan)」型のシステム内で噴霧することによって、このポリマー混合物で被覆し、被覆の最終量を、被覆されていないペレットの質量の5重量%から10重量%とする。
【実施例9】
【0154】
即時放出エプリバンセリン層および即時放出ゾルピデム層を含む2層錠剤の調製。
【0155】
以下の表Vに示す組成に従って、顆粒Aを乾式混合(dry−mixing)により調製し、顆粒Bを実施例2の記載のように湿式混合(wet−mixing)により調製する。
【0156】
【表5】

【0157】
次に、混合物を、交互式打錠機(alternating tabletting machine)を用いて、フマル酸エプリバンセリン5.90mg(塩基のエプリバンセリン5mgに相当)を含む200mgの質量を有する顆粒Aの第1の即時放出層と、ヘミ酒石酸ゾルピデム12.44mg(塩基のゾルピデム10mgに相当)を含む200mgの質量を有する顆粒Bの第2の即時放出層との2層錠剤として錠剤にする。
【0158】
このようにして調製されたゲルカプセルのin vitroにおける溶解プロフィールは、上記の実施例2に記載の方法を使用することによって確立することができる。
【実施例10】
【0159】
即時放出エプリバンセリン層および持続放出ゾルピデム層を含む2層錠剤の調製。
【0160】
以下の表VIに示す組成に従って、顆粒Cを乾式混合により調製し、顆粒Dを実施例2の記載のように湿式混合により調製する。
【0161】
【表6】

【0162】
混合物を、交互式打錠機を用いて、フマル酸エプリバンセリン4.425mg(塩基のエプリバンセリン3.75mgに相当)を含む150mgの質量を有する顆粒Cの第1の即時放出層と、ヘミ酒石酸ゾルピデム15.50mg(塩基のゾルピデム12.45mgに相当)を含む200mgの質量を有する顆粒Dの第2の持続放出層との2層錠剤として錠剤にする。
【0163】
このようにして調製されたゲルカプセルのin vitroにおける溶解プロフィールは、上記の実施例2に記載の方法を使用して確立することができる。
【実施例11】
【0164】
即時放出エプリバンセリン層、不活性層および持続放出ゾルピデムの第3層を含む3層錠剤の調製。
【0165】
以下の表VIIに示す組成に従って、顆粒EおよびFを乾式混合により調製し、顆粒Gを実施例2の記載のように湿式混合により調製する。
【0166】
【表7】

【0167】
実施例9の記載のように混合物を、フマル酸エプリバンセリン2.95mg(塩基のエプリバンセリン2.5mgに相当)を含む125mgの質量を有する顆粒Eの外層と、125mgの質量を有する顆粒Fの中間層と、ヘミ酒石酸ゾルピデム15mg(塩基のゾルピデム12.06mgに相当)を含む300mgの質量を有する顆粒Gの第3の外層との3層錠剤として錠剤にする。
【実施例12】
【0168】
ゾルピデム内核およびエプリバンセリン外側被覆を含む有核錠剤の調製。
【0169】
顆粒を、以下の表VIIIに示す組成に基づいて、実施例2に記載の方法で調製する。
【0170】
【表8】

【0171】
内核を形成する顆粒を、交互式打錠機を用いて、小型錠剤として錠剤にした後、第2層の乾式被覆操作を実施する。この操作により、ヘミ酒石酸ゾルピデム12.44mg(塩基のゾルピデム10mgに相当)を含む80mgの持続放出錠剤を得る。
【0172】
外側被覆層を形成する顆粒を、ロータリー式打錠機を用いて、内核の小型錠剤を含むことができるように錠剤にする。外層は、301mgの質量を有し、フマル酸エプリバンセリン5.9mg(塩基のエプリバンセリン5mgに相当)を含む。
【0173】
別の態様によれば、本発明の対象は、上記の睡眠障害、特に不眠症を予防および/または治療するための薬剤調製のための、少なくとも1種の短時間作用型催眠剤と組み合わせた少なくとも1種の長時間作用型催眠剤の使用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GABA−A受容体モジュレーター、ベンゾジアゼピン、フェノチアジン、メラトニン誘導体およびメラトニン受容体アゴニストから選択される少なくとも1種の短時間作用型催眠剤と、GABA−A受容体モジュレーター、ベンゾジアゼピン、5HT2A受容体アンタゴニストおよびカルシウムイオンモジュレーターから選択される少なくとも1種の長時間作用型催眠剤との組合せ。
【請求項2】
短時間作用型催眠剤が、即時または持続放出に適したガレヌス製剤中に存在し、長時間作用型催眠剤が、即時放出に適したガレヌス製剤中に存在することを特徴とする、請求項1に記載の組合せ。
【請求項3】
短時間作用型催眠剤が、塩基または付加塩、水和物もしくは溶媒和物の形態のゾルピデム、ゾピクロン、エスゾピクロン、ザレプロン、メラトニン、ラメルテオン、トリアゾラム、エチゾラム、ブロチゾラムまたはインディプロン、さらにその誘導体および/または混合物であることを特徴とする、請求項1または2に記載の組合せ。
【請求項4】
長時間作用型催眠剤が、塩基または付加塩、水和物もしくは溶媒和物の形態のエプリバンセリン、テマゼパム、クロナゼパム、ガボキサドールまたはプレガバリン、さらにその誘導体および/または混合物であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項5】
有効成分として、GABA−A受容体モジュレーター、ベンゾジアゼピン、メラトニン誘導体およびメラトニン受容体アゴニストから選択される少なくとも1種の短時間作用型催眠剤ならびにGABA−A受容体モジュレーター、ベンゾジアゼピン、5HT2A受容体アンタゴニストおよびカルシウムイオンモジュレーターから選択される少なくとも1種の長時間作用型催眠剤、または薬学的に許容される前記薬剤の塩、さらに少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤を含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項6】
短時間作用型催眠剤が、塩基または付加塩、水和物もしくは溶媒和物の形態のゾルピデム、ゾピクロン、エスゾピクロン、ザレプロン、メラトニン、ラメルテオン、トリアゾラム、エチゾラム、ブロチゾラムまたはインディプロン、さらにその誘導体および/または混合物であることを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
長時間作用型催眠剤が、塩基または付加塩、水和物もしくは溶媒和物の形態のエプリバンセリン、テマゼパム、クロナゼパム、ガボキサドールまたはプレガバリン、さらにその誘導体および/または混合物であることを特徴とする、請求項5または6に記載の組成物。
【請求項8】
短時間作用型催眠剤がゾルピデムまたはその塩であり、長時間作用型催眠剤がエプリバンセリンまたはその塩であることを特徴とする、請求項5から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
短時間作用型催眠剤および長時間作用型催眠剤が即時に放出されることを特徴とする、請求項5から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
短時間作用型催眠剤が持続的様式で放出され、長時間作用型催眠剤が即時に放出されることを特徴とする、請求項5から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
短時間作用型催眠剤を含む1種または複数の即時放出錠剤および長時間作用型催眠剤を含む1種または複数の即時放出錠剤を含むゲルカプセルからなることを特徴とする、請求項5から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
短時間作用型催眠剤を含む1種または複数の持続放出錠剤および長時間作用型催眠剤を含む1種または複数の即時放出錠剤を含むゲルカプセルからなることを特徴とする、請求項5から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
短時間作用型催眠剤の即時放出ペレットと、長時間作用型催眠剤の即時放出ペレットとの混合物を含むゲルカプセルからなることを特徴とする、請求項5から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
短時間作用型催眠剤の持続放出ペレットと、長時間作用型催眠剤の即時放出ペレットとの混合物を含むゲルカプセルからなることを特徴とする、請求項5から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
短時間作用型催眠剤および長時間作用型催眠剤の即時放出ペレットを含む錠剤からなることを特徴とする、請求項5から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
短時間作用型催眠剤の持続放出ペレットおよび長時間作用型催眠剤の即時放出ペレットを含む錠剤からなることを特徴とする、請求項5から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
長時間作用型催眠剤の即時放出ペレットおよび短時間作用型催眠剤の即時放出ペレットを含む持続放出腸溶性錠剤からなることを特徴とする、請求項5から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
(a)1つまたは複数の即時放出層(各層は長時間作用型催眠剤の用量および場合によって短時間作用型催眠剤の用量を含む。)と、
(b)1つまたは複数の持続放出層(各層は短時間作用型催眠剤の用量を含む。)と、場合によって
(c)不活性層(いかなる催眠剤も含まない。)と
を含む多層錠剤からなることを特徴とする、請求項5から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
短時間作用型催眠剤を含む内側の持続放出内核を含み、即時放出被覆層が長時間作用型催眠剤を含むことを特徴とする、有核錠剤からなることを特徴とする、請求項5から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
睡眠障害、特に睡眠異常、過眠症、睡眠時異常行動、睡眠時無呼吸、不眠症、原発性不眠症、睡眠持続障害不眠症、精神病に関連した不眠症、およびカフェイン、アルコール、アンフェタミン、オピオイドまたは抗不安薬などの薬物によって誘発される不眠症を予防および/または治療するための薬剤調製のための、GABA−A受容体モジュレーター、ベンゾジアゼピン、フェノチアジン、メラトニン誘導体およびメラトニン受容体アゴニストから選択される少なくとも1種の短時間作用型催眠剤と組み合わせた、GABA−A受容体モジュレーター、ベンゾジアゼピン、5HT2A受容体アンタゴニストおよびカルシウムイオンモジュレーターから選択される少なくとも1種の長時間作用型催眠剤の使用。

【公表番号】特表2009−504713(P2009−504713A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−526520(P2008−526520)
【出願日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際出願番号】PCT/FR2006/001830
【国際公開番号】WO2007/020337
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(504456798)サノフイ−アベンテイス (433)
【Fターム(参考)】